JP2020111220A - 車両ボデー構造 - Google Patents

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【課題】コストを抑えつつ、横転時に車両の側部の変形を抑える。【解決手段】車両ボデー構造は、車両1の天井部で車幅方向に延設されたルーフボウ3と、車両1の左右の側部で車高方向に延設され、上端部がルーフボウ3の端部に結合された複数のピラー6と、車両1の室内でピラー6と車幅方向に並んで設けられ、車高方向に延在してルーフボウ3と車両1の床部とを繋ぐ複数の第1棒部材10と、車両1の室内で第1棒部材10の車幅方向の外側に設けられ、車幅方向に延在して第1棒部材10とピラー6とを連結する複数の第2棒部材20と、ルーフボウ3の下方に設けられ、車幅方向に延在して第1棒部材10同士を連結する第3棒部材30と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、横転時に車両の側部の変形を抑えるための車両ボデー構造に関する。
一般に、マイクロバス等の車両の乗降口付近には、乗員の乗降動作を補助するためのアシストグリップが設けられる。特許文献1には、ワンボックス車両の室内に設置されるアシストグリップの固定構造が提案されており、かかるアシストグリップは下端部が車室の床部分に固定され、上端部が車室の天井部分に固定されている。
特開2011-148467号公報
ところで、近年、乗員保護の観点から車両の強度に関する要求が高まっている。特に、マイクロバス等の車高が高い箱型の車両が横転(ロールオーバー)した場合、車両の側部が車幅方向の荷重を受けて変形しやすいため、横転時に車両の側部の変形を抑えることが課題とされている。
これに対し、特許文献1に開示されるようなアシストグリップを設置すれば、このアシストグリップにより車両が補強されるため、コストを抑えつつ、車両の強度が高められる。しかし、特許文献1に開示されたアシストグリップは、車室の床部分と天井部分とを繋ぐものであるため、車高方向の荷重に対する強度は高められても、車幅方向の荷重に対する強度は十分に高められない虞がある。
本件の車両ボデー構造は、前述したような課題に鑑み創案されたものであり、コストを抑えつつ、横転時に車両の側部の変形を抑えることを目的の一つとする。
ここで開示する車両ボデー構造は、車両の天井部で車幅方向に延設されたルーフボウと、前記車両の左右の側部で車高方向に延設され、上端部が前記ルーフボウの端部に結合された複数のピラーと、前記車両の室内で前記ピラーと車幅方向に並んで設けられ、車高方向に延在して前記ルーフボウと前記車両の床部とを繋ぐ複数の第1棒部材と、前記室内で前記第1棒部材の車幅方向の外側に設けられ、車幅方向に延在して前記第1棒部材と前記ピラーとを連結する複数の第2棒部材と、前記ルーフボウの下方に設けられ、車幅方向に延在して前記第1棒部材同士を連結する第3棒部材と、を備えたことを特徴としている。
複数の第2棒部材により、車両の側部が車幅方向の内側から支えられるため、車両の側部における車幅方向の荷重に対する強度が高まる。さらに、第3棒部材により、第1棒部材が車幅方向の内側から支えられるため、第1棒部材の車幅方向内側への変位が抑えられる。また、第1棒部材及び第2棒部材は、棒状であるとともに車両の室内に設けられるため、乗員の乗降動作や姿勢保持を補助するアシストグリップ(手摺)として使用可能である。
開示の車両ボデー構造によれば、コストを抑えつつ、横転時に車両の側部の変形を抑えることができる。
実施形態に係る車両ボデー構造が適用された車両の骨格を示す斜視図である。 図1に示す車両ボデー構造の第1棒部材、第2棒部材、及び第3棒部材を示す斜視図である。
図面を参照して、実施形態としての車両ボデー構造について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
[1.構成]
本実施形態に係る車両ボデー構造は、図1に示す車両1に適用されている。ここでは車両1としてマイクロバスを例示する。以下、この車両1の通常の姿勢(横転していない姿勢)を基準にして前後方向、左右方向及び上下方向を定め、前後方向を車長方向ともいい、左右方向を車幅方向ともいい、上下方向を車高方向ともいう。
車両1には、ルーフレール2、ルーフボウ3、シル4、クロスメンバ5、ピラー6が設けられる。これらの部材2〜6はいずれも、車両1の車体の骨格をなす構造体である。
ルーフレール2は、車両1の天井部で車長方向に延設されている。より具体的には、ルーフレール2は、車両1の左上の角部と、右上の角部とのそれぞれに配置されている。
ルーフボウ3は、車両1の天井部で車幅方向に延設されている。ルーフボウ3の左右の端部は、左右のルーフレール2にそれぞれ結合されている。車両1には、複数のルーフボウ3が車長方向に互いに間隔をあけて配置される。ルーフレール2及びルーフボウ3は、車両1のルーフパネル(図示略)を支持する。
シル4は、車両1の室内(以下、「車室内」という)に設置されるシートを取り付けるためのフレーム部材である。シル4は、車両1の下部で車長方向に延設されている。車両1には、複数のシル4が車幅方向に互いに間隔をあけて配置される。
クロスメンバ5は、車両1の下部で車幅方向に延設されている。車両1には、複数のクロスメンバ5が車長方向に互いに間隔をあけて配置される。本実施形態のクロスメンバ5は、車長方向の位置がルーフボウ3と対応する(ルーフボウ3の略真下に位置する)ように設けられている。クロスメンバ5は、シル4とともに車両1のフロアパネル(図示略)を支持する。
ピラー6は、車両1の左右の側部において車高方向に延設される。ピラー6は、車長方向の位置がルーフボウ3及びクロスメンバ5と対応するように設けられている。ピラー6は、車両1の側面視では、ルーフボウ3とクロスメンバ5とを繋ぐように延設されている。ピラー6は、上端部がルーフボウ3に結合され、下端部がクロスメンバ5に結合される。本実施形態では、車両1の左側の側部に設けられた二つのピラー6が乗降口7の前後の枠をなしている。また、他のピラー6は、車両1の窓枠をなす。
なお、本実施形態では、車両1の前側にエンジン(図示略)が搭載されており、乗降口7よりも前方であって運転席及び助手席との間にエンジンリッドフレーム8が設けられている。エンジンリッドフレーム8は、車両1のエンジンルームを上方から覆う部材である。シル4、クロスメンバ5、エンジンリッドフレーム8及びフロアパネルは、車両1の床部を構成する。
図1及び図2に示すように、車両ボデー構造は、車室内に配置された複数の棒状の部材を備えている。具体的には、車両ボデー構造は、車高方向に延設された複数の縦部材10(第1棒部材)と、縦部材10の車幅方向の外側で車幅方向に延設された複数の横部材20(第2棒部材)と、車幅方向に延在して縦部材10同士を連結する連結部材30(第3棒部材)とを備えている。本実施形態では、これらの部材10,20,30が乗降口7の近傍に適用されている場合を例示する。
縦部材10は、ピラー6と車幅方向に並んで設けられ、ルーフボウ3と車両1の床部とを繋ぐ。具体的には、縦部材10は、上端部がブラケット14を介してルーフボウ3に結合され、下端部がブラケット15を介して床部に結合されている。縦部材10は、乗員の乗降動作や姿勢保持を補助するアシストグリップ(手摺)としての機能と、車両1の車高方向の荷重に対する強度を高める補強部材としての機能とを併せもつ。本実施形態の縦部材10は、周辺部材(例えば荷物棚や音響,空調設備)との干渉を回避するために、天井部付近で車幅方向の内側に向かってカーブした形状とされている。
本実施形態では、3本の縦部材10が設けられている。3本の縦部材10は、具体的には、運転席の直後方に位置する第1縦部材11と、第1縦部材11と車幅方向に並ぶ第2縦部材12と、第2縦部材12の後方に位置する第3縦部材13とである。第2縦部材12は、乗降口7の前枠をなすピラー6と車幅方向に並ぶとともに、助手席の直後方に位置する。第3縦部材13は、乗降口7の後枠をなすピラー6と車幅方向に並んで位置する。第2縦部材12及び第3縦部材13は、乗降口7を通る乗員の両側に位置するように設けられている。
第1縦部材11の下端部は、シル4と結合されている。第2縦部材12の下端部は、エンジンリッドフレーム8と結合されている。第3縦部材13の下端部は、クロスメンバ5と結合されている。なお、本実施形態の第2縦部材12は、他の部材との干渉を回避するために、上端部が下端部に対して後方にややオフセットしている。
横部材20は、各縦部材10の車幅方向の外側に設けられ、縦部材10とピラー6とを連結する。横部材20は、縦部材10と一体に形成されており、その車幅方向の外側の端部がブラケット27を介してピラー6に結合されている。横部材20は、前述したアシストグリップとしての機能と、車両1の車幅方向の荷重に対する強度を高める補強部材としての機能とを併せもつ。
以下、第1縦部材11から右方へ延出した横部材20を第1横部材21ともいい、第2縦部材12から左方へ延出した横部材20を第2横部材22ともいい、第3縦部材13から左方へ延出した横部材20を第3横部材23ともいう。
本実施形態では、3本の第1横部材21が設けられている。第1横部材21は、車高方向に略等間隔に配置されている。なお、最上部の第1横部材21は、車両1の横転時に車両1の右側の側部と天井部との角部の変形を抑えるという観点から、天井部に近い(できるだけ上方に位置する)方が望ましい。
本実施形態では、最下部の第1横部材21から車幅方向の内側に延出した後、下方へ略L字状に湾曲した脚部材24が設けられている。脚部材24は、縦部材10及び横部材20と同様な棒状に形成され、第1横部材21及び第1縦部材11と一体的に設けられている。脚部材24は、縦部材10の下端部と同様に、ブラケット28を介してシル4に結合されている。
第2横部材22は、乗降口を通る乗員がつかまりやすい高さ(車高方向の位置)に設けられている。本実施形態では、第2横部材22の車幅方向の外側の端部から第2縦部材12の下端部まで斜め下方へ延びて両者を繋ぐ斜め部材25が設けられている。斜め部材25は、縦部材10及び横部材20と同様な棒状に形成され、第2横部材22と一体的に設けられている。
本実施形態では、2本の第3横部材23が設けられている。具体的には、一方(上側)の第3横部材23が第3縦部材13の車高方向における略中間の高さに位置し、他方(下側)の第3横部材23が上側の第3横部材23と車両1の床部との略中間の高さに位置する。なお、上側の第3横部材23の高さと、第2横部材22の高さとは、略同じになるように設定される。
本実施形態では、上側の第3横部材23の車幅方向の略中間部から下方へ延出し、下側の第3横部材23と交差した後、左方(乗降口7側)へ略L字状に湾曲した手摺部材26が設けられている。手摺部材26は、縦部材10及び横部材20と同様な棒状に形成され、第3横部材23と一体的に設けられている。手摺部材26の端部は、横部材20の端部と同様に、ブラケット29を介してピラー6に結合されている。手摺部材26は、主にアシストグリップとして機能する。
連結部材30は、ルーフボウ3の下方に設けられ、第1縦部材11と第2縦部材12とを連結する。連結部材30の両端部は、第1縦部材11及び第2縦部材12の各上端部よりもやや下側の部分に対し、略T字状の連結具31を介して結合されている。連結部材30は、主に車両1の車幅方向の荷重に対する強度を高める補強部材として機能する。
[2.作用及び効果]
上述の車両ボデー構造によれば、複数の縦部材10が車室内でピラー6と車幅方向に並んで設けられ、車高方向に延在してルーフボウ3と床部とを繋ぐため、縦部材10により、車両1の天井部を下方から支えることができ、かつ、車両1の床部を上方から支えることができる。これにより、車両1の車高方向の荷重に対する強度を高めることができる。
さらに、複数の横部材20が車室内で縦部材10の車幅方向の外側に設けられ、車幅方向に延在して縦部材10とピラー6とを連結するため、横部材20により、車両1の側部を車幅方向の内側から支えることができる。これにより、車両1の側部における車幅方向の荷重に対する強度を高めることができる。
また、連結部材30がルーフボウ3の下方に設けられ、車幅方向に延在して第1縦部材11と第2縦部材12とを連結するため、連結部材30により、第1縦部材11及び第2縦部材12を車幅方向の内側から支えることができる。これにより、第1縦部材11及び第2縦部材12の車幅方向内側への変位を抑えることができる。
したがって、車両1の横転時に車幅方向の内側へ向かう荷重が車両1の側部に入力されたとしても、横部材20によりピラー6の車幅方向内側への変位を抑えることができる。また、この荷重が横部材20を介して第1縦部材11または第2縦部材12に伝達されたとしても、連結部材30により第1縦部材11及び第2縦部材12の車幅方向内側への変位を抑えることができる。これらにより、横転時に車両1の側部の変形を抑えることができる。また、車高方向に延びる縦部材10と、車幅方向に延びる横部材20及び連結部材30とを組み合わせることで、車両1の強度を効率よく高めることができる。
さらに、縦部材10及び横部材20は、棒状であるとともに車室内に設けられるため、前述したように補強部材として機能するだけでなく、アシストグリップとしても機能する。したがって、上述の車両ボデー構造によれば、縦部材10及び横部材20のほかにアシストグリップを設けなくても済む(あるいは、縦部材10及び横部材20のほかに車室内に設けるアシストグリップの個数を削減できる)ことから、コストを抑えることができる。また、車室内に設置された既存のアシストグリップを利用して上述の車両ボデー構造を形成すれば、上述の車両ボデー構造にかかる製造コストを削減することができる。
なお、エンジンは他の装置に比べて重いため、車両1の前側にエンジンが搭載される場合、車両1の前側(すなわちエンジンの周辺)に高い剛性が必要となる。これに対し、本実施形態では、第1縦部材11、第2縦部材12、第1横部材21、第2横部材22及び連結部材30がエンジンの近傍(直後方)に配置されるため、車両1を効率よく補強することができる。
さらに、本実施形態では、脚部材24が設けられているため、第1縦部材11及び最下部の第1横部材21を車幅方向の内側から支えることができる。これにより、車両1の側部における車幅方向の荷重に対する強度を高めることができる。したがって、車両1の側部の車幅方向内側への変位をより抑えられる。また、本実施形態のように、脚部材24を最下部の第1横部材21の高さに合わせて設けることで、乗員の視界を確保することができる。
さらに、第3横部材23が第3縦部材13の車高方向の中間部よりも上側には設けられていないため、乗員の視界を確保することができる。また、第2横部材22が上側の第3横部材23と同じ高さに設けられており、これよりも上側には第2横部材22が設けられていないため、同様に乗員の視界を確保することができる。
[3.変形例]
上述の実施形態では、車両1としてマイクロバスを例示したが、本車両ボデー構造が適用される車両はマイクロバスに限定されない。また、車両における本車両ボデー構造の適用位置は、乗降口の近傍に限定されない。
さらに、縦部材10、横部材20、連結部材30の各本数は上述したものに限定されない。例えば、上述した第3縦部材13及び第3横部材23を省略してもよい。この場合であっても、第1縦部材11、第2縦部材12、第1横部材21、第2横部材22及び連結部材30により、コストを抑えつつ、横転時に車両1の側部の変形を抑えることができる。
なお、上述の実施形態のように、車両1の左側の側部に乗降口7が設けられる場合、車両1では、左側の側部の強度が右側の側部の強度よりも高くなりやすい。このため、上述の実施形態のように、第2横部材22及び第3横部材23の各本数を第1横部材21の本数より少なく設定しても、左側の側部の強度を確保することができる。ただし、第2横部材22及び第3横部材23の各本数が第1横部材21と同数であってもよいし、第2横部材22及び第3横部材23が、第3縦部材13の車高方向における略中間の高さよりも高い位置に設けられてもよい。
縦部材10の形状は上述した形状に限定されない。例えば、縦部材10は、その全体が車高方向に沿って直線的に延びた形状であってもよい。また、上述した実施形態では、縦部材10及び横部材20の端部の結合にブラケット14、15、27が適用される場合を例示したが、縦部材10及び横部材20の端部の結合方法は特に限定されない。なお、縦部材10に対する連結部材30の結合方法も、上述した結合具31を用いる方法に限定されない。例えば、連結部材30は、縦部材10と一体に形成されてもよい。
1 車両
3 ルーフボウ
6 ピラー
10 縦部材(第1棒部材)
20 横部材(第2棒部材)
30 連結部材(第3棒部材)

Claims (1)

  1. 車両の天井部で車幅方向に延設されたルーフボウと、
    前記車両の左右の側部で車高方向に延設され、上端部が前記ルーフボウの端部に結合された複数のピラーと、
    前記車両の室内で前記ピラーと車幅方向に並んで設けられ、車高方向に延在して前記ルーフボウと前記車両の床部とを繋ぐ複数の第1棒部材と、
    前記室内で前記第1棒部材の車幅方向の外側に設けられ、車幅方向に延在して前記第1棒部材と前記ピラーとを連結する複数の第2棒部材と、
    前記ルーフボウの下方に設けられ、車幅方向に延在して前記第1棒部材同士を連結する第3棒部材と、
    を備えたことを特徴とする、車両ボデー構造。
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