JP2020111054A - ポリオレフィン樹脂層を備える積層体およびそれを備える包装製品 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂層を備える積層体およびそれを備える包装製品 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の化石燃料由来のポリオレフィンからなるポリオレフィン樹脂層を備える積層体と機械的特性等の物性面で遜色ないバイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層を備える積層体の提供。【解決手段】熱可塑性樹脂層と、紙基材層11と、ポリオレフィン樹脂層12とを備え、ポリオレフィン樹脂層が、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマス由来の低密度ポリエチレンを含み、ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度が5%以上であり、熱可塑性樹脂層が低密度ポリエチレンであり、最内層がポリオレフィン樹脂層であり、最外層が熱可塑性樹脂層である、紙カップ用積層体10。【選択図】図1

Description

本発明は、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層を備えた積層体に関し、より詳細には、少なくとも、紙基材層と、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層とを備える積層体に関する。さらには、該積層体を備える包装製品および紙コップに関する。
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、材料分野においてもエネルギーと同様に化石燃料からの脱却が望まれており、バイオマスの利用が注目されている。バイオマスは、二酸化炭素と水から光合成された有機化合物であり、それを利用することにより、再度二酸化炭素と水になる、いわゆるカーボンニュートラルな再生可能エネルギーである。昨今、これらバイオマスを原料としたバイオマスプラスチックの実用化が急速に進んでおり、各種の樹脂をバイオマス原料から製造する試みも行われている。
バイオマス由来の樹脂としては、乳酸発酵を経由して製造されるポリ乳酸(PLA)が先行して商業生産が始まったが、生分解性であることをはじめ、プラスチックとしての性能が現在の汎用プラスチックとは大きく異なるため、製品用途や製品製造方法に限界があり広く普及するには至っていない。また、PLAに対しては、ライフサイクルアセスメント(LCA)評価が行われており、PLA製造時の消費エネルギーおよび汎用プラスチック代替時の等価性等について議論がなされている。
ここで、汎用プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等、様々な種類が用いられている。特に、ポリエチレンは、フィルム、シート、ボトル等に成形され、包装材等の種々の用途に供されており、世界中での使用量が多い。そのため、従来の化石燃料由来のポリエチレンを用いることは環境負荷が大きい。
そのため、ポリエチレンの製造にバイオマス由来の原料を用いて、化石燃料の使用量を削減することが望まれている。例えば、現在までに、ポリオレフィン樹脂の原料となるエチレンやブチレンを、再生可能な天然原料から製造することが研究されてきた(例えば、特許文献1を参照)。
特表2011−506628号公報
本発明者らは、ポリオレフィン樹脂の原料であるエチレンに着目し、従来の化石燃料から得られるエチレンに代えて、バイオマス由来のエチレンをその原料としたバイオマスポリオレフィン(以下、単に「バイオマスポリオレフィン」ということがある)を含むポリオレフィン樹脂層を備える積層体は、従来の化石燃料から得られるエチレンを用いて製造されたポリオレフィン(以下、単に「化石燃料由来のポリオレフィン」ということがある)からなるポリオレフィン樹脂層を備える積層体と、機械的特性等の物性面で遜色ないものが得られるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
したがって、本発明の目的は、従来の化石燃料由来のポリオレフィンからなるポリオレフィン樹脂層を備える積層体と機械的特性等の物性面で遜色ない、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層を備える積層体を提供することである。
本発明の態様においては、
少なくとも、熱可塑性樹脂層と、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層とをこの順に備える紙カップ用積層体であって、
前記ポリオレフィン樹脂層が、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマス由来の低密度ポリエチレンを含み、
前記ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度が5%以上であり、
前記熱可塑性樹脂層が低密度ポリエチレンであり、
前記紙カップ用積層体の最内層が前記ポリオレフィン樹脂層であり、
前記紙カップ用積層体の最外層が前記熱可塑性樹脂層である、紙カップ用積層体が提供される。
本発明の態様においては、前記熱可塑性樹脂層の低密度ポリエチレンが化石燃料由来の低密度ポリエチレンであることが好ましい。
本発明の態様においては、前記紙カップ用積層体がさらにバリア層を有することが好ましい。
本発明の態様においては、前記紙カップ用積層体がさらに印刷層を有することが好ましい。
本発明の別の態様においては、前記紙カップ用積層体を備える、紙カップが提供される。
本発明による積層体は、少なくとも、紙基材層と、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層とを備えることで、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、本発明による積層体は、従来の化石燃料由来のポリオレフィン樹脂の積層体と比べて機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来の化石燃料由来のポリオレフィン樹脂の積層体を代替することができる。
本発明による積層体の一例を示す模式断面図である。 本発明による積層体の一例を示す模式断面図である。 本発明による積層体の一例を示す模式断面図である。 紙カップの一部を切除した斜視図。 紙カップの別の実施形態を示す一部を破断した正面図。
本発明において、「バイオマスポリオレフィン」および「バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層」とは、原料として少なくとも一部にバイオマス由来の原料を用いたものであって、原料の全てがバイオマス由来のものであることを意味するものではない。
<積層体>
本発明による積層体は、紙基材層と、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層とを備えるものである。ポリオレフィン樹脂層は、積層体を用いて包装容器を形成したときに、最内層となる層である。積層体は、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層を備えることで、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、本発明による積層体は、従来の化石燃料から得られる原料から製造されたポリオレフィン樹脂の積層体と比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来のポリオレフィン樹脂の積層体を代替することができる。
本発明による該積層体は、上記の層以外に、熱可塑性樹脂層、印刷層、バリア層、プラスチックフィルム、接着層等の他の層を少なくとも1層さらに有してもよい。その他の層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本発明による積層体について、図面を参照しながら説明する。本発明による積層体の模式断面図の例を図1〜3に示す。
図1に示される積層体10は、紙基材層11と、紙基材層11上に形成されたポリオレフィン樹脂層12とを備えるものである。積層体10を備える紙カップの場合、ポリオレフィン樹脂層12が紙カップの内側に位置する。ここで、ポリオレフィン樹脂層12は、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層である。
図2に示される積層体20は、紙基材層11と、紙基材層11の一方の面上に、接着層13と、バリア層14と、ポリオレフィン樹脂層12とをこの順に備えるものである。積層体20を備える紙カップの場合、ポリオレフィン樹脂層12が紙カップの内側に位置する。
図3に示される積層体30は紙基材層11と、紙基材層11の一方の面上に、接着層13と、プラスチックフィルム15と、接着層13と、ポリオレフィン樹脂層12とをこの順に備えるものである。積層体30を備える紙カップの場合、ポリオレフィン樹脂層12が紙カップの内側に位置する。
なお、いずれの積層体においても、紙基材層11の他方の面上に、印刷層または熱可塑性樹脂層を積層してもよい。印刷層および熱可塑性樹脂層を積層する場合、熱可塑性樹脂層が最外面になるように積層してもよい。
以下、積層体を構成する各層について説明する。
(紙基材層)
本発明において、紙基材層は、ポリオレフィン樹脂層を保持する基材層としての機能を果たすものであり、積層体に包装製品としての強度を付与できるものが好ましい。紙基材層として用いる紙は、100g/m以上700g/m以下、好ましくは150g/m以上600g/m以下、より好ましくは200g/m以上500g/m以下の坪量を有するものである。紙基材層としては、白板紙全般を対象とするが、特に安全性の観点から天然パルプを用いたアイボリー紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙等の使用が好ましい。
また、本発明で使用する板紙は、サイズ剤として、中性ロジンやアルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸を使用してもよく、定着剤としてカチオン性のポリアクリルアミドやカチオン性デンプン等を使用してもよい。また、硫酸バンドを使用してpH6以上pH9以下の中性領域で抄紙することも可能である。その他、必要に応じて上記のサイズ剤のほか、定着剤の他、製紙用各種填料、歩留向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、結合剤、分散剤、凝集剤、可塑剤、接着剤を適宜含有していてもよい。
(ポリオレフィン樹脂層)
本発明において、ポリオレフィン樹脂層は、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリオレフィンを含むものであり、化石燃料由来のポリオレフィンをさらに含んでもよい。ポリオレフィン樹脂層は、ポリオレフィン樹脂層全体に対して、5質量%以上100質量%以下のバイオマスポリオレフィンと0質量%以上95質量%以下の化石燃料由来のポリオレフィンとを含んでもよく、5質量%以上100質量%未満のバイオマスポリオレフィンと0質量%超過95質量%以下の化石燃料由来のポリオレフィンとを含んでもよく、25質量%以上75質量%質量%以下のバイオマスポリオレフィンと25質量%以上75質量%質量%以下の化石燃料由来のポリオレフィンとを含んでもよい。ポリオレフィン樹脂層全体として、下記のバイオマス度を実現できればよい。本発明においては、ポリオレフィン樹脂層がバイオマスポリオレフィンを含むことで、従来に比べて化石燃料由来のポリオレフィンの量を削減し環境負荷を減らすことができる。
本発明において、ポリオレフィン樹脂層中の「バイオマス度」(バイオマスポリオレフィン中のバイオマス由来の炭素濃度)は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、ポリオレフィン中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明においては、ポリオレフィン中のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求めることができる。
bio(%)=PC14/105.5×100
本発明においては、理論上、ポリオレフィンの原料として、全てバイオマス由来のエチレンを用いれば、バイオマス度は100%であり、バイオマス由来のポリオレフィンのバイオマス度は100%となる。また、化石燃料由来の原料のみで製造された化石燃料由来のポリオレフィン中のバイオマス由来の炭素濃度は0%であり、化石燃料由来のポリオレフィンのバイオマス度は0%となる。
本発明において、ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度は、5%以上であり、好ましくは10%以上であり、より好ましくは15%以上であり、さらに好ましくは20%以上である。なお、ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度は100%である必要はない。積層体の一部にでもバイオマス由来の原料が用いられていれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減するという本発明の趣旨に沿うからである。ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度が5%以上であれば、従来に比べて化石燃料由来のポリオレフィンの量を削減し環境負荷を減らすことができる。
ポリオレフィン樹脂層は、好ましくは0.91g/cm以上0.93g/cm以下、より好ましくは0.911g/cm以上0.928g/cm以下、さらに好ましくは0.915g/cm以上0.925g/cm以下の密度を有するものである。ポリオレフィン樹脂層の密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。ポリオレフィン樹脂層の密度が0.91g/cm以上0.93g/cm以下であれば、加工や成形を容易にすることができる。
ポリオレフィン樹脂層は、5μm以上100μm以下、好ましくは10μm以上60μm以下、より好ましくは15μm以上40μm以下の厚さを有するものである。ポリオレフィン樹脂層の厚さが上記範囲程度であれば、包装容器のシール層としての機能を十分に果たすことができる。
(バイオマスポリオレフィン)
本発明において、バイオマスポリオレフィンは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体である。バイオマス由来のエチレンには、後述の製造方法により得られたものを用いることが好ましい。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されてなるポリオレフィンはバイオマス由来となる。なお、ポリオレフィンの原料モノマーは、バイオマス由来のエチレンを100質量%含むものでなくてもよい。
バイオマスポリオレフィンの原料であるモノマーは、化石燃料由来のエチレンのモノマーおよび/または化石燃料由来のα−オレフィンのモノマーをさらに含んでもよいし、バイオマス由来のα−オレフィンのモノマーをさらに含んでもよい。
上記のα−オレフィンは、炭素数は特に限定されないが、通常、炭素数3〜20のものを用いることができ、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであることが好ましい。ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであれば、バイオマス由来の原料であるエチレンの重合により製造することが可能となるからである。また、このようなα−オレフィンを含むことで、重合されてなるバイオマスポリオレフィンはアルキル基を分岐構造として有するため、単純な直鎖状のものよりも柔軟性に富むものとすることができる。
バイオマスポリオレフィンとしては、ポリエチレンや、エチレンとα−オレフィンの共重合体を単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。特に、バイオマスポリオレフィンはポリエチレンであることが好ましい。バイオマス由来の原料であるエチレンを用いることで、理論上100%バイオマス由来の成分により製造することが可能となるからである。
バイオマスポリオレフィンは、異なるバイオマス度のバイオマスポリオレフィンを2種以上含むものであってもよく、ポリオレフィン樹脂層全体として、バイオマス度が、上記範囲内であればよい。
バイオマスポリオレフィンは、好ましくは0.91g/cm以上0.93g/cm以下、より好ましくは0.912g/cm以上0.928g/cm以下、さらに好ましくは0.915g/cm以上0.925g/cm以下の密度を有するものである。
バイオマスポリオレフィンの密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。バイオマスポリオレフィンの密度が0.91g/cm以上であれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の剛性を高めることができ、包装製品の内層として好適に用いることができる。また、バイオマスポリオレフィンの密度が0.93g/cm以下であれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の透明性や機械的強度を高めることができ、包装製品の内層として好適に用いることができる。
バイオマスポリオレフィンは、0.1g/10分以上10g/10分以下、好ましくは0.2g/10分以上9g/10分以下、より好ましくは1g/10分以上8.5g/10分以下のメルトフローレート(MFR)を有するものである。メルトフローレートとは、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。バイオマスポリオレフィンのMFRが0.1g/10分以上であれば、成形加工時の押出負荷を低減することができる。また、バイオマスポリオレフィンのMFRが10g/10分以下であれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の機械的強度を高めることができる。
本発明において、好適に使用されるバイオマスポリオレフィンとしては、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度95%)、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SPB681、密度:0.922g/cm、MFR:3.8g/10分、バイオマス度95%)等が挙げられる。
(バイオマス由来のエチレンの製造方法)
本発明において、バイオマスポリオレフィンの原料となるバイオマス由来のエチレンの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法により得ることができる。以下、バイオマス由来のエチレンの製造方法の一例を説明する。
バイオマス由来のエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。植物原料は、特に限定されず、従来公知の植物を用いることができる。例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、およびマニオクを挙げることができる。
本発明において、バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物またはその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離、および抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、または膜分離等により水分を除去する等の方法が挙げられる。
本発明のエチレンを得るために、この段階で、エタノール中の不純物総量が1ppm以下にする等の高度な精製をさらに行ってもよい。
エタノールの脱水反応によりエチレンを得る際には通常触媒が用いられるが、この触媒は、特に限定されず、従来公知の触媒を用いることができる。プロセス上有利なのは、触媒と生成物の分離が容易な固定床流通反応であり、例えば、γ―アルミナ等が好ましい。
この脱水反応は吸熱反応であるため、通常加熱条件で行う。商業的に有用な反応速度で反応が進行すれば、加熱温度は限定されないが、好ましくは100℃以上、より好ましくは250℃以上、さらに好ましくは300℃以上の温度が適当である。上限も特に限定されないが、エネルギー収支および設備の観点から、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下である。
反応圧力も特に限定されないが、後続の気液分離を容易にするため常圧以上の圧力が好ましい。工業的には触媒の分離の容易な固定床流通反応が好適であるが、液相懸濁床、流動床等でもよい。
エタノールの脱水反応においては、原料として供給するエタノール中に含まれる水分量によって反応の収率が左右される。一般的に、脱水反応を行う場合には、水の除去効率を考えると水が無いほうが好ましい。しかしながら、固体触媒を用いたエタノールの脱水反応の場合、水が存在しないと他のオレフィン、特にブテンの生成量が増加する傾向にあることが判明した。恐らく、少量の水が存在しないと脱水後のエチレン二量化を押さえることができないためと推察している。許容される水の含有量の下限は、0.1%以上、好ましくは0.5%以上必要である。上限は特に限定されないが、物質収支上および熱収支の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。
このようにしてエタノールの脱水反応を行うことによりエチレン、水および少量の未反応エタノールの混合部が得られるが、常温において約5MPa以下ではエチレンは気体であるため、これら混合部から気液分離により水やエタノールを除きエチレンを得ることができる。この方法は公知の方法で行えばよい。
気液分離により得られたエチレンはさらに蒸留され、このときの操作圧力が常圧以上であること以外は、蒸留方法、操作温度、および滞留時間等は特に制約されない。
原料がバイオマス由来のエタノールの場合、得られたエチレンには、エタノール発酵工程で混入した不純物であるケトン、アルデヒド、およびエステル等のカルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガスや、酵素の分解物・夾雑物であるアミンおよびアミノ酸等の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニア等が極微量含まれる。エチレンの用途によっては、これら極微量の不純物が問題となるおそれがあるので、精製により除去しても良い。精製方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。好適な精製操作としては、例えば、吸着精製法をあげることができる。用いる吸着剤は特に限定されず、従来公知の吸着剤を用いることができる。例えば、高表面積の材料が好ましく、吸着剤の種類としては、バイオマス由来のエタノールの脱水反応により得られるエチレン中の不純物の種類・量に応じて選択される。
なお、エチレン中の不純物の精製方法として苛性水処理を併用してもよい。苛性水処理をする場合は、吸着精製前に行うことが望ましい。その場合、苛性処理後、吸着精製前に水分除去処理を施す必要がある。
(バイオマスポリオレフィンの製造方法)
本発明において、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。重合温度や重合圧力は、重合方法や重合装置に応じて、適宜調節するのがよい。重合装置についても特に限定されず、従来公知の装置を用いることができる。以下、エチレンを含むモノマーの重合方法の一例を説明する。
ポリオレフィン、特に、エチレン重合体やエチレンとα−オレフィンの共重合体の重合方法は、目的とするポリエチレンの種類、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等の密度や分岐の違いにより、適宜選択することができる。
例えば、重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒等のマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒等のシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合、および高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段または2段以上の多段で行うことが好ましい。
上記のシングルサイト触媒とは、均一な活性種を形成しうる触媒であり、通常、メタロセン系遷移金属化合物や非メタロセン系遷移金属化合物と活性化用助触媒とを接触させることにより、調整される。シングルサイト触媒は、マルチサイト触媒に比べて、活性点構造が均一であるため、高分子量かつ均一度の高い構造の重合体を重合することができるため好ましい。シングルサイト触媒としては、特に、メタロセン系触媒を用いることが好ましい。メタロセン系触媒は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と、助触媒と、必要により有機金属化合物と、担体の各触媒成分とを含む触媒である。
上記のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物において、そのシクロペンタジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基等である。置換シクロペンタジエニル基としては、炭素数1〜30の炭化水素基、シリル基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ハロシリル基等から選ばれた少なくとも一種の置換基を有するものである。その置換シクロペンタジエニル基の置換基は2個以上有していてもよく、また置換基同士が互いに結合して環を形成し、インデニル環、フルオレニル環、アズレニル環、その水添体等を形成してもよい。置換基同士が互いに結合し形成された環がさらに互いに置換基を有していてもよい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物において、その遷移金属としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げられ、特にジルコニウム、ハフニウムが好ましい。該遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては通常2個を有し、各々のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は架橋基により互いに結合しているものが好ましい。なお、架橋基としては炭素数1〜4のアルキレン基、シリレン基、ジアルキルシリレン基、ジアリールシリレン基等の置換シリレン基、ジアルキルゲルミレン基、ジアリールゲルミレン基等の置換ゲルミレン基等が挙げられる。好ましくは、置換シリレン基である。
周期律表第IV族の遷移金属化合物において、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子としては、代表的なものとして、水素、炭素数1〜20の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、ポリエニル基等)、ハロゲン、メタアルキル基、メタアリール基等が挙げられる。
上記のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物は、一種または二種以上の混合物を触媒成分とすることができる。
助触媒としては、上記の周期律表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効になしうる、または触媒的に活性化された状態のイオン性電荷を均衝させうるものをいう。助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼン可溶のアルミノキサンやベンゼン不溶の有機アルミニウムオキシ化合物、イオン交換性層状珪酸塩、ホウ素化合物、活性水素基含有あるいは非含有のカチオンと非配位性アニオンからなるイオン性化合物、酸化ランタン等のランタノイド塩、酸化スズ、フルオロ基を含有するフェノキシ化合物等が挙げられる。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用されてもよい。該担体としては無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的には、モンモリロナイト等のイオン交換性層状珪酸塩、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等またはこれらの混合物が挙げられる。
また更に必要により使用される有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物等が例示される。このうち有機アルミニウムが好適に使用される。
バイオマスポリオレフィンには、その特性が損なわれない範囲において、主成分であるポリオレフィン以外に、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等を添加することができる。これら添加剤は、バイオマスポリオレフィン全体に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下、好ましくは1質量%以上10質量%以下の範囲で添加される。
(熱可塑性樹脂層)
熱可塑性樹脂層は、従来公知の熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。積層体が、熱可塑性樹脂層をさらに備えることで、従来の積層体と同様の耐熱性、耐圧性、耐水性、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐突き刺し性、およびその他の物性を付与させることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン等を挙げることができ、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、およびエチレン−メタクリル酸共重合体が好ましい。
熱可塑性樹脂層は、バイオマス由来の材料を含んでいてもよいし、化石燃料由来の材料を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂層がバイオマス由来の材料を含む場合、ポリオレフィン樹脂層と同様に、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリオレフィンを含んでいてもよい。
(印刷層)
印刷層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示や美感の付与のために、文字、数字、絵柄、図形、記号、模様などの所望の任意の印刷模様を形成する層である。印刷層は、必要に応じて設けることができ、例えば、紙基材層のポリオレフィン樹脂層とは反対側の面に設けることができる。印刷層は、紙基材層の全面に設けてもよく、あるいは一部に設けてもよい。印刷層は、従来公知の顔料や染料を用いて形成することができ、その形成方法は特に限定されない。
(バリア層)
バリア層は、無機物および/または無機酸化物からなるものであり、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜または金属箔からなるものが好ましい。蒸着膜は、従来公知の無機物または無機酸化物を用いて、従来公知の方法により形成することができ、その組成および形成方法は特に限定されない。積層体が、バリア層をさらに有することで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性を、付与ないし向上させることができる。なお、積層体は、バリア層を2層以上有してもよい。バリア層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
蒸着膜としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の無機物または無機酸化物の蒸着膜を使用することができる。特に、包装用材料(袋)等に適するものとしては、アルミニウム金属の蒸着膜、あるいは、ケイ素酸化物またはアルミニウム金属もしくはアルミニウム酸化物の蒸着膜を用いるのがよい。
無機酸化物の表記は、例えば、SiO、AlO等のようにMO(ただし、式中、Mは、無機元素を表し、Xの値は、無機元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。Xの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではなく、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。包装用材料には、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)が好適に使用され、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機物または無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する無機物または無機酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50Å以上2000Å以下、好ましくは、100Å以上1000Å以下の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。更に具体的に説明すると、アルミニウムの蒸着膜の場合には、膜厚50Å以上600Å以下、更に、好ましくは、100Å以上450Å以下が望ましく、また、酸化アルミニウムあるいは酸化珪素の蒸着膜の場合には、膜厚50〜500Å位、更に、好ましくは、100〜300Å位が望ましいものである。
蒸着膜は、ポリエチレンテレフタレートやナイロンなどのプラスチックフィルムに以下の形成方法を用いて形成することができる。蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
また、他の態様によれば、バリア層は、金属を圧延して得られた金属箔であってもよい。金属箔としては、従来公知の金属箔を用いることができる。酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性の点からは、アルミニウム箔が好ましい。
(プラスチックフィルム)
本発明においては、他の層として各種プラスチックフィルムを用いてもよい。例えば、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロン6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルムまたはポリプロピレン/ エチレン−ビニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム等のいずれか、またはこれらの2以上のフィルムを積層した複合フィルムであってもよい。なお、プラスチックフィルムには、ポリビニルアルコールなどがコーティングされていてもよい。
(接着層)
接着層は、ドライラミネート法により2層を接着する場合に、積層しようとする層の表面に、接着剤を塗布して乾燥させることにより形成される接着剤層とすることができる。
接着剤としては、例えば、1液型あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などの接着剤を用いることができる。上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で積層体を構成する層の塗布面に塗布することができる。塗布量としては、0.1g/m以上10g/m以下(乾燥状態)が好ましく、1g/m以上5g/m以下(乾燥状態)がより好ましい。
また、接着層は、溶融押出しラミネート法によりポリオレフィン樹脂層や熱可塑性樹脂層などを積層する場合に、積層しようとする層の表面に、アンカーコート剤を塗布して乾燥させることにより形成されるアンカーコート層であってもよい。アンカーコート剤としては、耐熱温度が135℃以上である任意の樹脂、例えばビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等からなるアンカーコート剤が挙げられるが、特に、構造中に2以上のヒドロキシル基を有するポリアクリル系又はポリメタクリル系樹脂と、硬化剤としてのイソシアネート化合物とからなるアンカーコート剤を、好ましく使用することができる。また、これに添加剤としてシランカップリング剤を併用してもよく、また、硝化綿を、耐熱性を高めるために併用してもよい。
また、接着層は、サンドラミネート法により2層を接着する場合や溶融押出しラミネート法に使用される接着樹脂層であってもよい。接着樹脂層に使用できる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、または環状ポリオレフィン系樹脂、またはこれら樹脂を主成分とする共重合樹脂、変性樹脂、または、混合体(アロイでを含む)を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、エチレン・ポリプロピレンのランダムもしくはブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン・マレイン酸共重合体、アイオノマー樹脂、また、層間の密着性を向上させるために、上記したポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂などを用いることができる。また、ポリオレフィン樹脂に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂などを用いることができる。これらの材料は、一種単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィンなどを用いることができる。これらの樹脂は、単独または複数を組み合せて使用できる。なお、上記したポリエチレン系樹脂としては、上記したバイオマス由来のエチレンをモノマー単位として用いたものを使用できることは言うまでもない。
接着樹脂層は、バイオマス由来の材料を含んでいてもよいし、化石燃料由来の材料を含んでいてもよい。接着樹脂層がバイオマス由来の材料を含む場合、ポリオレフィン樹脂層と同様に、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリオレフィンを含んでいてもよい。
(積層体の製造方法)
本発明による積層体の製造方法は特に限定されず、ドライラミネート法、溶融押出しラミネート法、サンドラミネート法等の従来公知の方法を用いて製造することができる。本発明においては、溶融押出しラミネート法を用いて、積層しようとする層の表面にポリオレフィン樹脂層を形成することが好ましい。また、ポリオレフィン樹脂層と、他の層とを、共押し出し法により積層してもよい。
例えば、以下の方法によりポリオレフィン樹脂層を形成するための樹脂組成物の融点Tm以上の温度〜Tm+70℃の温度に加熱された溶融押出機に供給して、ポリオレフィン樹脂層を形成するための樹脂組成物を溶融し、積層しようとする層の表面に例えばTダイ等のダイよりシート状に押出し、押出されたシート状物を回転している冷却ドラム等で急冷固化することによりポリオレフィン樹脂層を積層することができる。溶融押出機としては、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機等を目的に応じて使用することができる。
上記のようにして得られる積層体の厚さは、その用途に応じて任意であるが、通常、5μm以上500μm以下、好ましくは20μm以上300μm以下である。
本発明による積層体には、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、二次加工を施すことも可能である。二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング、等)等が挙げられる。また、本発明による積層体に、ラミネート加工(ドライラミネートや押し出しラミネート)、製袋加工、およびその他の後処理加工を施して、成型品を製造することもできる。
(用途)
本発明による積層体は、紙カップ、液体紙容器、ラベル材料、蓋材等の包装製品に使用することができる。
(紙カップ)
本発明による積層体は、特に紙コップに好適に使用できる。本発明による積層体を用いて紙カップを形成した場合について説明する。図4は、紙カップの一部を切除した斜視図である。図4に示すように、紙カップ40は、上部にフランジ部41を有し、かつ直径が開口部へ向かって徐々に広がる円筒状の胴部42と、胴部42の下端(一端)に設けられた底部43とを備えている。胴部42は、その上端が外側に丸められたフランジ部41が設けられている。なお、紙カップ40は、内容物を収納した後に、胴部42のフランジ部41に沿って蓋材(図示せず)が貼着されることにより密封されていてもよい。蓋材はガスバリア性を有していることが好ましい。
また、紙カップ40は、図5に示すように、胴部42の外周に外装体44を備えていてもよい。外装体44としては、例えば、紙を用いることができる。そして、胴部42には凸部45が形成されている。凸部45は、胴部42と外装体44との間に空気層の間隙46を設けるために形成される。凸部45は水平方向に一本以上設けられ、例えば、図5に示すように二本設けることができる。
(別の態様)
本発明の別の目的は、従来の化石燃料由来のポリオレフィンからなるポリオレフィン樹脂層を備える積層体と機械的特性等の物性面で遜色ない、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層を備える積層体を提供することである。
本発明の別の態様においては、
少なくとも、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層とを備える積層体であって、
前記ポリオレフィン樹脂層が、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリオレフィンを含み、
前記ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度が5%以上であり、
前記バイオマスポリオレフィンが、0.91g/cm以上0.93g/cm以下の密度を有する、積層体が提供される。
本発明の態様においては、前記ポリオレフィン樹脂層が、化石燃料由来のポリオレフィンをさらに含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記ポリオレフィン樹脂層が、前記バイオマスポリオレフィンを5質量%以上100質量%以下、および前記化石燃料由来のポリオレフィンを0質量%以上95質量%以下含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記ポリオレフィン樹脂層が、ポリエチレンを含むことが好ましい。
本発明の別の態様においては、前記積層体を備える包装製品が提供される。
本発明の別の態様においては、前記積層体を備える紙カップであって、
前記紙カップの最内層が前記ポリオレフィン樹脂層である、紙カップが提供される。
本発明の別の態様による積層体は、少なくとも、紙基材層と、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層とを備えることで、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、本発明の別の態様による積層体は、従来の化石燃料由来のポリオレフィン樹脂の積層体と比べて機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来の化石燃料由来のポリオレフィン樹脂の積層体を代替することができる。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定解釈されるものではない。
<測定・条件>
下記の参考例、参考比較例、実施例、および比較例において、バイオマス度とは、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素濃度の値である。
下記で用いた押出製膜機の条件は、以下のとおりであった。
スクリュー径:90mm
スクリュー型式:フルフライト
L/D:28
Tダイ:11S型ストレートマニホールド
Tダイ有効開口長:560mm
[実施例1]
<積層体1の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、ポリオレフィン樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ40μm)を形成して、紙基材層、ポリオレフィン樹脂層が順に積層された積層体1を得た。
[実施例2]
<積層体2の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、バイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)70質量部と化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)30質量部とをドライブレンドした混合樹脂を、320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、ポリオレフィン樹脂層(バイオマス度:67%、厚さ40μm)を形成して、紙基材層、ポリオレフィン樹脂層が順に積層された積層体2を得た。
[比較例1]
<積層体3の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ40μm)を形成して、紙基材層、樹脂層が順に積層された積層体3を得た。
[実施例3]
<積層体4の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ20μm)を形成した。次に、紙基材層の熱可塑性樹脂層と反対側の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)70質量部と化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)30質量部とをドライブレンドした混合樹脂を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、ポリオレフィン樹脂層(バイオマス度:67%、厚さ40μm)を形成して、熱可塑性樹脂層、紙基材層、ポリオレフィン樹脂層が順に積層された積層体4を得た。
[実施例4]
<積層体5の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m2)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ20μm)を形成した。次に、紙基材層の熱可塑性樹脂層と反対側の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、ポリオレフィン樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ40μm)を形成して、熱可塑性樹脂層、紙基材層、ポリオレフィン樹脂層が順に積層された積層体5を得た。
[比較例2]
<積層体6の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m2)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ20μm)を形成した。次に、紙基材層の熱可塑性樹脂層と反対側の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で押出成形して、樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ40μm)を形成して、熱可塑性樹脂層、紙基材層、樹脂層が順に積層された積層体6を得た。
[実施例5]
<積層体7の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にアンカーコート剤(マツモトファインケミカル社製、WS−700)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。続いて、アンカーコート層上にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)70質量部と化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)30質量部とをドライブレンドした混合樹脂を、320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:67%、厚さ20μm)を形成した。次に、紙基材層の熱可塑性樹脂層と反対側の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、コロナ処理を施した化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、T4100、厚さ12μm)のコロナ処理面を貼り合わせた。続いて、該ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT−RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)70質量部と化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)30質量部とをドライブレンドした混合樹脂を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、ポリオレフィン樹脂層(バイオマス度:67%、厚さ40μm)を形成して、熱可塑性樹脂層、アンカーコート層、紙基材層、接着樹脂層、プラスチックフィルム、アンカーコート層、ポリオレフィン樹脂層が順に積層された積層体7を得た。
[比較例3]
<積層体8の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にアンカーコート剤(マツモトファインケミカル社製、WS−700)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。続いて、アンカーコート層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ20μm)を形成した。次に、紙基材層の熱可塑性樹脂層と反対側の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、コロナ処理を施した化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、T4100、厚さ12μm)のコロナ処理面を貼り合わせた。続いて、該ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT−RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ40μm)を形成して、熱可塑性樹脂層、アンカーコート層、紙基材層、接着樹脂層、プラスチックフィルム、アンカーコート層、樹脂層が順に積層された積層体8を得た。
[実施例6]
<積層体9の作製>
紙基材層としてコップ原紙(日本製紙社製、坪量280g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC600A、密度:0.919g/cm、MFR:7.0g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、コロナ処理を施した化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、T4100、厚さ12μm)のコロナ処理面を貼り合わせた。続いて、該ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT−RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、ポリオレフィン樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ40μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、プラスチックフィルム、アンカーコート層、ポリオレフィン樹脂層が順に積層された積層体9を得た。
[比較例4]
<積層体10の作製>
紙基材層としてコップ原紙(日本製紙社製、坪量280g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC600A、密度:0.919g/cm、MFR:7.0g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、コロナ処理を施した化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、T4100、厚さ12μm)のコロナ処理面を貼り合わせた。続いて、該ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT−RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上に上記と同様の化石燃料由来の低密度ポリエチレンを320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ40μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、プラスチックフィルム、アンカーコート層、樹脂層が順に積層された積層体10を得た。
[実施例7]
<積層体11の作製>
化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、T4100、厚さ12μm)を使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、次いで、下記に示す条件で、上記のポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成して、酸化珪素蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム1を得た。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
導入ガス量;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:3:3(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度;2〜6×10−6mBar
蒸着チャンバー内の真空度;2〜5×10−3mBar
冷却・電極ドラム供給電力;10kW
ライン速度;100m/分
紙基材層としてコップ原紙(日本製紙社製、坪量260g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、上記の酸化珪素蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム1の蒸着面を貼り合わせた。続いて、該ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT−RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm3、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)70質量部と化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)30質量部とをドライブレンドした混合樹脂を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、ポリオレフィン樹脂層(バイオマス度:67%、厚さ25μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、バリア層、プラスチックフィルム、アンカーコート層、ポリオレフィン樹脂層が順に積層された積層体11を得た。
[比較例5]
<積層体12の作製>
紙基材層としてコップ原紙(日本製紙社製、坪量260g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、上記の酸化珪素蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム1の蒸着面を貼り合わせた。続いて、該ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT−RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ25μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、バリア層、プラスチックフィルム、アンカーコート層、樹脂層が順に積層された積層体12を得た。
[実施例8]
<積層体13の作製>
紙基材層として片面コート紙(三菱製紙株式会社製、DMSC、坪量260g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ15μm)を介して、アルミニウム箔(厚さ7μm)を貼り合わせた。続いて、該アルミニウム箔上に、化石燃料由来のエチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製、ニュクレルN0908C)を溶融押出しラミネートして、樹脂層(厚さ12μm)を形成した。さらに、この樹脂層上にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm3、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)70質量部と化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)30質量部とをドライブレンドした混合樹脂を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、ポリオレフィン樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ28μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、バリア層、樹脂層、ポリオレフィン樹脂層が順に積層された積層体13を得た。
[比較例6]
<積層体14の作製>
紙基材層として片面コート紙(三菱製紙株式会社製、DMSC、坪量260g/m)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、アルミニウム箔(厚さ7μm)を貼り合わせた。続いて、該アルミニウム箔上に、化石燃料由来のエチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製、ニュクレルN0908C)を溶融押出しラミネートして、樹脂層(厚さ12μm)を形成した。さらに、この樹脂層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ28μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、バリア層、樹脂層、樹脂層が順に積層された積層体14を得た。
[製造例1〜14]
<紙カップの作製>
下記表1に記載の胴部材用積層体と底部材用積層体を組み合わせて、以下の工程にて紙カップを製造した。まず、胴部材用積層体から紙カップの胴部を作る円錐台形のブランク板を打ち抜き加工した。次に、上記のブランク板を筒状に巻いて、その両端部を部分的に重ね合わせ、その重合部分にホットエアー処理を行い、上記の重合部分に存在する低密度ポリエチレン樹脂層を加熱溶融した。続いて、熱板等によって押圧して胴貼りを行って胴シール部を形成して、紙カップを構成する筒状のカップ胴部を製造した。
他方、底部材用積層体を円形状に打ち抜き加工して、底部を構成する円板を製造し、次いで、当該円板の外周部を筒状に起立成形して、起立成形部を有する底部を製造した。次いで、上記で製造した筒状のカップ胴部に、同じく上部で製造した底紙を挿入した後、その筒状のカップ胴部と底紙とを、その接合部分に熱風等を吹きつけてその接合部分に存在する樹脂層を加熱溶融した。続いて、カール用型により筒状のカップ胴部の先端部を内方に折り曲げて、上記の底部を構成する起立成形部にかぶせて、上記の筒状のカップ胴部の先端部と底部の起立成形部との重合部分を内径側からローレットによりローレットがけすることにより、上記の筒状のカップ胴部と底部とを密接着させて接合部を形成して、上記の筒状のカップ胴部と底部とからなる紙カップ底部を形成した。
その後、上記の筒状のカップ胴部の底部を密接着させて接合部を形成した側と反対側の先端短部を、上記と同様にカール用型により外方に折り曲げながらカールさせて、上端外向きカール部を形成して、満杯容量382ccの紙カップを製造した。
<性能評価試験>
製造した紙カップについて以下の性能評価試験を行った。
(破壊検査試験)
製造した紙カップを破壊検査し、接着状態を下記の評価基準にて目視で評価した。評価結果を表1に示した。
(評価基準)
○:紙剥けの現象が確認されるかあるいは材料が破壊され、接着状態は問題無かった。
×:シール異常が有り、接着状態は不良であった。
(液漏れ試験)
製造した紙カップを各40個用意し、各紙カップに中性洗剤(0.3%溶液)を添加し、10分間静置した後、下記の評価基準にて目視で評価した。評価結果を表1に示した。
(評価基準)
○:液漏れが無く、紙カップとしての性能が良好であった。
×:液漏れが有り、紙カップとしての性能が不良であった。
Figure 2020111054
10、20、30 積層体
11 紙基材層
12 ポリオレフィン樹脂層
13 接着層
14 バリア層
15 プラスチックフィルム
40 紙カップ
41 フランジ部
42 胴部
43 底部
44 外装体
45 凸部
46 間隙

Claims (5)

  1. 少なくとも、熱可塑性樹脂層と、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層とをこの順に備える紙カップ用積層体であって、
    前記ポリオレフィン樹脂層が、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマス由来の低密度ポリエチレンを含み、
    前記ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度が5%以上であり、
    前記熱可塑性樹脂層が低密度ポリエチレンであり、
    前記紙カップ用積層体の最内層が前記ポリオレフィン樹脂層であり、
    前記紙カップ用積層体の最外層が前記熱可塑性樹脂層である、紙カップ用積層体。
  2. 前記熱可塑性樹脂層の低密度ポリエチレンが化石燃料由来の低密度ポリエチレンである、請求項1に記載の紙カップ用積層体。
  3. 前記紙カップ用積層体がさらにバリア層を有する、請求項1または2に記載の紙カップ用積層体。
  4. 前記紙カップ用積層体がさらに印刷層を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の紙カップ用積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の紙カップ用積層体を備える、紙カップ。
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