JP2020111054A - ポリオレフィン樹脂層を備える積層体およびそれを備える包装製品 - Google Patents
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Abstract
Description
少なくとも、熱可塑性樹脂層と、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層とをこの順に備える紙カップ用積層体であって、
前記ポリオレフィン樹脂層が、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマス由来の低密度ポリエチレンを含み、
前記ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度が5%以上であり、
前記熱可塑性樹脂層が低密度ポリエチレンであり、
前記紙カップ用積層体の最内層が前記ポリオレフィン樹脂層であり、
前記紙カップ用積層体の最外層が前記熱可塑性樹脂層である、紙カップ用積層体が提供される。
本発明の態様においては、前記熱可塑性樹脂層の低密度ポリエチレンが化石燃料由来の低密度ポリエチレンであることが好ましい。
本発明の態様においては、前記紙カップ用積層体がさらにバリア層を有することが好ましい。
本発明の態様においては、前記紙カップ用積層体がさらに印刷層を有することが好ましい。
本発明の別の態様においては、前記紙カップ用積層体を備える、紙カップが提供される。
本発明による積層体は、紙基材層と、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層とを備えるものである。ポリオレフィン樹脂層は、積層体を用いて包装容器を形成したときに、最内層となる層である。積層体は、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層を備えることで、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、本発明による積層体は、従来の化石燃料から得られる原料から製造されたポリオレフィン樹脂の積層体と比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来のポリオレフィン樹脂の積層体を代替することができる。
図1に示される積層体10は、紙基材層11と、紙基材層11上に形成されたポリオレフィン樹脂層12とを備えるものである。積層体10を備える紙カップの場合、ポリオレフィン樹脂層12が紙カップの内側に位置する。ここで、ポリオレフィン樹脂層12は、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層である。
図2に示される積層体20は、紙基材層11と、紙基材層11の一方の面上に、接着層13と、バリア層14と、ポリオレフィン樹脂層12とをこの順に備えるものである。積層体20を備える紙カップの場合、ポリオレフィン樹脂層12が紙カップの内側に位置する。
図3に示される積層体30は紙基材層11と、紙基材層11の一方の面上に、接着層13と、プラスチックフィルム15と、接着層13と、ポリオレフィン樹脂層12とをこの順に備えるものである。積層体30を備える紙カップの場合、ポリオレフィン樹脂層12が紙カップの内側に位置する。
なお、いずれの積層体においても、紙基材層11の他方の面上に、印刷層または熱可塑性樹脂層を積層してもよい。印刷層および熱可塑性樹脂層を積層する場合、熱可塑性樹脂層が最外面になるように積層してもよい。
以下、積層体を構成する各層について説明する。
本発明において、紙基材層は、ポリオレフィン樹脂層を保持する基材層としての機能を果たすものであり、積層体に包装製品としての強度を付与できるものが好ましい。紙基材層として用いる紙は、100g/m2以上700g/m2以下、好ましくは150g/m2以上600g/m2以下、より好ましくは200g/m2以上500g/m2以下の坪量を有するものである。紙基材層としては、白板紙全般を対象とするが、特に安全性の観点から天然パルプを用いたアイボリー紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙等の使用が好ましい。
本発明において、ポリオレフィン樹脂層は、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリオレフィンを含むものであり、化石燃料由来のポリオレフィンをさらに含んでもよい。ポリオレフィン樹脂層は、ポリオレフィン樹脂層全体に対して、5質量%以上100質量%以下のバイオマスポリオレフィンと0質量%以上95質量%以下の化石燃料由来のポリオレフィンとを含んでもよく、5質量%以上100質量%未満のバイオマスポリオレフィンと0質量%超過95質量%以下の化石燃料由来のポリオレフィンとを含んでもよく、25質量%以上75質量%質量%以下のバイオマスポリオレフィンと25質量%以上75質量%質量%以下の化石燃料由来のポリオレフィンとを含んでもよい。ポリオレフィン樹脂層全体として、下記のバイオマス度を実現できればよい。本発明においては、ポリオレフィン樹脂層がバイオマスポリオレフィンを含むことで、従来に比べて化石燃料由来のポリオレフィンの量を削減し環境負荷を減らすことができる。
Pbio(%)=PC14/105.5×100
本発明において、バイオマスポリオレフィンは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体である。バイオマス由来のエチレンには、後述の製造方法により得られたものを用いることが好ましい。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されてなるポリオレフィンはバイオマス由来となる。なお、ポリオレフィンの原料モノマーは、バイオマス由来のエチレンを100質量%含むものでなくてもよい。
バイオマスポリオレフィンの密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。バイオマスポリオレフィンの密度が0.91g/cm3以上であれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の剛性を高めることができ、包装製品の内層として好適に用いることができる。また、バイオマスポリオレフィンの密度が0.93g/cm3以下であれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の透明性や機械的強度を高めることができ、包装製品の内層として好適に用いることができる。
本発明において、バイオマスポリオレフィンの原料となるバイオマス由来のエチレンの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法により得ることができる。以下、バイオマス由来のエチレンの製造方法の一例を説明する。
本発明において、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。重合温度や重合圧力は、重合方法や重合装置に応じて、適宜調節するのがよい。重合装置についても特に限定されず、従来公知の装置を用いることができる。以下、エチレンを含むモノマーの重合方法の一例を説明する。
例えば、重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒等のマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒等のシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合、および高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段または2段以上の多段で行うことが好ましい。
熱可塑性樹脂層は、従来公知の熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。積層体が、熱可塑性樹脂層をさらに備えることで、従来の積層体と同様の耐熱性、耐圧性、耐水性、ヒートシール性、耐ピンホール性、耐突き刺し性、およびその他の物性を付与させることができる。
印刷層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示や美感の付与のために、文字、数字、絵柄、図形、記号、模様などの所望の任意の印刷模様を形成する層である。印刷層は、必要に応じて設けることができ、例えば、紙基材層のポリオレフィン樹脂層とは反対側の面に設けることができる。印刷層は、紙基材層の全面に設けてもよく、あるいは一部に設けてもよい。印刷層は、従来公知の顔料や染料を用いて形成することができ、その形成方法は特に限定されない。
バリア層は、無機物および/または無機酸化物からなるものであり、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜または金属箔からなるものが好ましい。蒸着膜は、従来公知の無機物または無機酸化物を用いて、従来公知の方法により形成することができ、その組成および形成方法は特に限定されない。積層体が、バリア層をさらに有することで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性を、付与ないし向上させることができる。なお、積層体は、バリア層を2層以上有してもよい。バリア層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本発明においては、他の層として各種プラスチックフィルムを用いてもよい。例えば、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロン6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルムまたはポリプロピレン/ エチレン−ビニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム等のいずれか、またはこれらの2以上のフィルムを積層した複合フィルムであってもよい。なお、プラスチックフィルムには、ポリビニルアルコールなどがコーティングされていてもよい。
接着層は、ドライラミネート法により2層を接着する場合に、積層しようとする層の表面に、接着剤を塗布して乾燥させることにより形成される接着剤層とすることができる。
接着剤としては、例えば、1液型あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などの接着剤を用いることができる。上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で積層体を構成する層の塗布面に塗布することができる。塗布量としては、0.1g/m2以上10g/m2以下(乾燥状態)が好ましく、1g/m2以上5g/m2以下(乾燥状態)がより好ましい。
本発明による積層体の製造方法は特に限定されず、ドライラミネート法、溶融押出しラミネート法、サンドラミネート法等の従来公知の方法を用いて製造することができる。本発明においては、溶融押出しラミネート法を用いて、積層しようとする層の表面にポリオレフィン樹脂層を形成することが好ましい。また、ポリオレフィン樹脂層と、他の層とを、共押し出し法により積層してもよい。
本発明による積層体は、紙カップ、液体紙容器、ラベル材料、蓋材等の包装製品に使用することができる。
本発明による積層体は、特に紙コップに好適に使用できる。本発明による積層体を用いて紙カップを形成した場合について説明する。図4は、紙カップの一部を切除した斜視図である。図4に示すように、紙カップ40は、上部にフランジ部41を有し、かつ直径が開口部へ向かって徐々に広がる円筒状の胴部42と、胴部42の下端(一端)に設けられた底部43とを備えている。胴部42は、その上端が外側に丸められたフランジ部41が設けられている。なお、紙カップ40は、内容物を収納した後に、胴部42のフランジ部41に沿って蓋材(図示せず)が貼着されることにより密封されていてもよい。蓋材はガスバリア性を有していることが好ましい。
本発明の別の目的は、従来の化石燃料由来のポリオレフィンからなるポリオレフィン樹脂層を備える積層体と機械的特性等の物性面で遜色ない、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層を備える積層体を提供することである。
本発明の別の態様においては、
少なくとも、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層とを備える積層体であって、
前記ポリオレフィン樹脂層が、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマスポリオレフィンを含み、
前記ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度が5%以上であり、
前記バイオマスポリオレフィンが、0.91g/cm3以上0.93g/cm3以下の密度を有する、積層体が提供される。
本発明の態様においては、前記ポリオレフィン樹脂層が、化石燃料由来のポリオレフィンをさらに含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記ポリオレフィン樹脂層が、前記バイオマスポリオレフィンを5質量%以上100質量%以下、および前記化石燃料由来のポリオレフィンを0質量%以上95質量%以下含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記ポリオレフィン樹脂層が、ポリエチレンを含むことが好ましい。
本発明の別の態様においては、前記積層体を備える包装製品が提供される。
本発明の別の態様においては、前記積層体を備える紙カップであって、
前記紙カップの最内層が前記ポリオレフィン樹脂層である、紙カップが提供される。
本発明の別の態様による積層体は、少なくとも、紙基材層と、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層とを備えることで、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、本発明の別の態様による積層体は、従来の化石燃料由来のポリオレフィン樹脂の積層体と比べて機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来の化石燃料由来のポリオレフィン樹脂の積層体を代替することができる。
下記の参考例、参考比較例、実施例、および比較例において、バイオマス度とは、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素濃度の値である。
スクリュー径:90mm
スクリュー型式:フルフライト
L/D:28
Tダイ:11S型ストレートマニホールド
Tダイ有効開口長:560mm
<積層体1の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m2)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm3、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、ポリオレフィン樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ40μm)を形成して、紙基材層、ポリオレフィン樹脂層が順に積層された積層体1を得た。
<積層体2の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m2)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、バイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm3、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)70質量部と化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)30質量部とをドライブレンドした混合樹脂を、320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、ポリオレフィン樹脂層(バイオマス度:67%、厚さ40μm)を形成して、紙基材層、ポリオレフィン樹脂層が順に積層された積層体2を得た。
<積層体3の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m2)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ40μm)を形成して、紙基材層、樹脂層が順に積層された積層体3を得た。
<積層体4の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m2)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ20μm)を形成した。次に、紙基材層の熱可塑性樹脂層と反対側の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm3、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)70質量部と化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)30質量部とをドライブレンドした混合樹脂を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、ポリオレフィン樹脂層(バイオマス度:67%、厚さ40μm)を形成して、熱可塑性樹脂層、紙基材層、ポリオレフィン樹脂層が順に積層された積層体4を得た。
<積層体5の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m2)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm3、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ20μm)を形成した。次に、紙基材層の熱可塑性樹脂層と反対側の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm3、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、ポリオレフィン樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ40μm)を形成して、熱可塑性樹脂層、紙基材層、ポリオレフィン樹脂層が順に積層された積層体5を得た。
<積層体6の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m2)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ20μm)を形成した。次に、紙基材層の熱可塑性樹脂層と反対側の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で押出成形して、樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ40μm)を形成して、熱可塑性樹脂層、紙基材層、樹脂層が順に積層された積層体6を得た。
<積層体7の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m2)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にアンカーコート剤(マツモトファインケミカル社製、WS−700)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。続いて、アンカーコート層上にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm3、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)70質量部と化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)30質量部とをドライブレンドした混合樹脂を、320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:67%、厚さ20μm)を形成した。次に、紙基材層の熱可塑性樹脂層と反対側の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、コロナ処理を施した化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、T4100、厚さ12μm)のコロナ処理面を貼り合わせた。続いて、該ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT−RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm3、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)70質量部と化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)30質量部とをドライブレンドした混合樹脂を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、ポリオレフィン樹脂層(バイオマス度:67%、厚さ40μm)を形成して、熱可塑性樹脂層、アンカーコート層、紙基材層、接着樹脂層、プラスチックフィルム、アンカーコート層、ポリオレフィン樹脂層が順に積層された積層体7を得た。
<積層体8の作製>
紙基材層として耐酸コートカップ(中越パルプ工業株式会社製、坪量270g/m2)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面にアンカーコート剤(マツモトファインケミカル社製、WS−700)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。続いて、アンカーコート層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、熱可塑性樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ20μm)を形成した。次に、紙基材層の熱可塑性樹脂層と反対側の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、コロナ処理を施した化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、T4100、厚さ12μm)のコロナ処理面を貼り合わせた。続いて、該ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT−RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ40μm)を形成して、熱可塑性樹脂層、アンカーコート層、紙基材層、接着樹脂層、プラスチックフィルム、アンカーコート層、樹脂層が順に積層された積層体8を得た。
<積層体9の作製>
紙基材層としてコップ原紙(日本製紙社製、坪量280g/m2)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC600A、密度:0.919g/cm3、MFR:7.0g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、コロナ処理を施した化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、T4100、厚さ12μm)のコロナ処理面を貼り合わせた。続いて、該ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT−RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm3、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、ポリオレフィン樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ40μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、プラスチックフィルム、アンカーコート層、ポリオレフィン樹脂層が順に積層された積層体9を得た。
<積層体10の作製>
紙基材層としてコップ原紙(日本製紙社製、坪量280g/m2)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC600A、密度:0.919g/cm3、MFR:7.0g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、コロナ処理を施した化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、T4100、厚さ12μm)のコロナ処理面を貼り合わせた。続いて、該ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT−RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上に上記と同様の化石燃料由来の低密度ポリエチレンを320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ40μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、プラスチックフィルム、アンカーコート層、樹脂層が順に積層された積層体10を得た。
<積層体11の作製>
化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、T4100、厚さ12μm)を使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、次いで、下記に示す条件で、上記のポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成して、酸化珪素蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム1を得た。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
導入ガス量;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:3:3(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度;2〜6×10−6mBar
蒸着チャンバー内の真空度;2〜5×10−3mBar
冷却・電極ドラム供給電力;10kW
ライン速度;100m/分
<積層体12の作製>
紙基材層としてコップ原紙(日本製紙社製、坪量260g/m2)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、上記の酸化珪素蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム1の蒸着面を貼り合わせた。続いて、該ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアンカーコート剤(東洋モートン社製、EL540/CAT−RT32)を塗布乾燥し、アンカーコート層を形成した。その後、アンカーコート層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ25μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、バリア層、プラスチックフィルム、アンカーコート層、樹脂層が順に積層された積層体12を得た。
<積層体13の作製>
紙基材層として片面コート紙(三菱製紙株式会社製、DMSC、坪量260g/m2)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ15μm)を介して、アルミニウム箔(厚さ7μm)を貼り合わせた。続いて、該アルミニウム箔上に、化石燃料由来のエチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製、ニュクレルN0908C)を溶融押出しラミネートして、樹脂層(厚さ12μm)を形成した。さらに、この樹脂層上にバイオマス由来の低密度ポリエチレン(Braskem社製、SBC818、密度:0.918g/cm3、MFR:8.1g/10分、バイオマス度:95%)70質量部と化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)30質量部とをドライブレンドした混合樹脂を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、ポリオレフィン樹脂層(バイオマス度:95%、厚さ28μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、バリア層、樹脂層、ポリオレフィン樹脂層が順に積層された積層体13を得た。
<積層体14の作製>
紙基材層として片面コート紙(三菱製紙株式会社製、DMSC、坪量260g/m2)を用意し、一方の面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に、サンドラミネート法を用いて、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を押出しながら、この接着樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ15μm)を介して、アルミニウム箔(厚さ7μm)を貼り合わせた。続いて、該アルミニウム箔上に、化石燃料由来のエチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンポリケミカル社製、ニュクレルN0908C)を溶融押出しラミネートして、樹脂層(厚さ12μm)を形成した。さらに、この樹脂層上に化石燃料由来の低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、LC520、密度:0.923g/cm3、MFR:3.6g/10分、バイオマス度:0%)を320℃の樹脂温度、ライン速度100m/分で溶融押出しラミネートして、樹脂層(バイオマス度:0%、厚さ28μm)を形成して、紙基材層、接着樹脂層、バリア層、樹脂層、樹脂層が順に積層された積層体14を得た。
<紙カップの作製>
下記表1に記載の胴部材用積層体と底部材用積層体を組み合わせて、以下の工程にて紙カップを製造した。まず、胴部材用積層体から紙カップの胴部を作る円錐台形のブランク板を打ち抜き加工した。次に、上記のブランク板を筒状に巻いて、その両端部を部分的に重ね合わせ、その重合部分にホットエアー処理を行い、上記の重合部分に存在する低密度ポリエチレン樹脂層を加熱溶融した。続いて、熱板等によって押圧して胴貼りを行って胴シール部を形成して、紙カップを構成する筒状のカップ胴部を製造した。
製造した紙カップについて以下の性能評価試験を行った。
製造した紙カップを破壊検査し、接着状態を下記の評価基準にて目視で評価した。評価結果を表1に示した。
(評価基準)
○:紙剥けの現象が確認されるかあるいは材料が破壊され、接着状態は問題無かった。
×:シール異常が有り、接着状態は不良であった。
製造した紙カップを各40個用意し、各紙カップに中性洗剤(0.3%溶液)を添加し、10分間静置した後、下記の評価基準にて目視で評価した。評価結果を表1に示した。
(評価基準)
○:液漏れが無く、紙カップとしての性能が良好であった。
×:液漏れが有り、紙カップとしての性能が不良であった。
11 紙基材層
12 ポリオレフィン樹脂層
13 接着層
14 バリア層
15 プラスチックフィルム
40 紙カップ
41 フランジ部
42 胴部
43 底部
44 外装体
45 凸部
46 間隙
Claims (5)
- 少なくとも、熱可塑性樹脂層と、紙基材層と、ポリオレフィン樹脂層とをこの順に備える紙カップ用積層体であって、
前記ポリオレフィン樹脂層が、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合体であるバイオマス由来の低密度ポリエチレンを含み、
前記ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度が5%以上であり、
前記熱可塑性樹脂層が低密度ポリエチレンであり、
前記紙カップ用積層体の最内層が前記ポリオレフィン樹脂層であり、
前記紙カップ用積層体の最外層が前記熱可塑性樹脂層である、紙カップ用積層体。 - 前記熱可塑性樹脂層の低密度ポリエチレンが化石燃料由来の低密度ポリエチレンである、請求項1に記載の紙カップ用積層体。
- 前記紙カップ用積層体がさらにバリア層を有する、請求項1または2に記載の紙カップ用積層体。
- 前記紙カップ用積層体がさらに印刷層を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の紙カップ用積層体。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の紙カップ用積層体を備える、紙カップ。
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