JP2020110825A - レーザピーニング装置およびレーザピーニング方法 - Google Patents
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Abstract
Description
従い、施工部に所望の残留応力が付与され、施工品質が確保されていることを確認するためには、例えば逐次研磨を併用したX線応力測定法や穿孔法によって、施工後に残留応力の測定を行う。
(第1の実施形態)
図1A,図1B,図1Cは、第1の実施形態およびその変形例1,2に係るレーザピーニング装置の模式図である。図2は施工対象にレーザを照射した際に発生するプラズマを示す模式図である。図3A,図3B,図3Cは、第1の実施形態およびその変形例1,2に係るレーザピーニング方法のフローチャートである。
光学系12は、レンズ122と施工対象O間の距離を調節可能とするレンズ駆動部123を備える。レンズ122と施工対象O間の距離を調節することで、施工対象O上でのレーザ光Lのスポット径(照射面積)を適宜に変更できる。
ここでは、相対変位部13は、施工対象Oを載置し、XY方向に平面的に移動可能としている。
プラズマPの撮影には、レーザ光Lの波長を含まない波長帯の光を用いることが好ましい。このために、撮影部15が、レーザ光Lの波長の光を遮断するフィルタを備えることができる。
図2に示すように、レーザ光Lを施工対象Oに照射するとプラズマPが発生する。このとき、施工対象Oの表面からプラズマPの先端までの距離(幅)を縦幅W1、施工対象Oの表面上での広がり(幅)を横幅W2とする。
横幅W2に対する縦幅W1の比(W1/W2、以下、アスペクト比)をプラズマPの形状として定義できる。
なお、撮影部15(カメラ)をパーソナルコンピュータに接続し、パーソナルコンピュータによって、画像の処理とプラズマPの形状情報表示を行ってもよい。この場合、パーソナルコンピュータは、画像処理部および表示部として機能する。
まず、レーザ光Lの照射条件を決定し、レーザピーニングの施工を開始する(ステップS11)。次に、施工中のプラズマPの形状を撮影部15により撮影する(ステップS12)。最後に、施工中、あるいは施工後にプラズマPの形状の情報を表示することで、オペレータがプラズマPの形状を評価できる(ステップS13)。
ここで表示する情報は、撮影したプラズマPの画像そのものでも、形状パラメータでもよい。
なお、形状パラメータを表示する場合、形状パラメータを表やグラフ等で経時的に表示することで、オペレータの判断を容易とすることができる。
一般にレーザ強度を高めるほど付与される残留応力も高くなる関係にあるが、あるレーザ強度を超えると、レーザ強度を高めると残留応力は低下する。
次のように、発明者らは、「レーザ強度と付与される残留応力の関係の変化」とプラズマPの形状に相関があることを見出した。
具体的には、レーザ強度を高めるほど付与される残留応力も高くなる関係にあるときは、プラズマPが横幅の大きい形状を呈するが、レーザ強度が「レーザ強度と付与される残留応力の関係が変化する値」を超えると、プラズマPが縦幅の大きい形状を呈するようになる。
図4は、Alloy600にレーザピーニングを施した場合のレーザ強度と残留応力(表面近傍(表面から15μm〜45μm)の残留応力)の関係を表すグラフである。8種類の異なるレーザ強度で施工したデータが示される。
レーザ強度は、この内の最大のレーザ強度を基準に、規格化されている。また、残留応力は、最大のレーザ強度での施工で、表面からの深さ45μmに付与された残留応力を基準に、規格化されている。
この図に示すように、レーザ強度が0.2(基準強度)前後で、レーザ強度と残留応力の関係が変化している。レーザ強度が0.2未満では、圧縮残留応力はレーザ強度の増加に対し単調増加している。一方、レーザ強度が0.2を超えると、圧縮残留応力はレーザ強度の増加に対し単調減少している。
すなわち、レーザ強度の増加に対し圧縮残留応力が単調増加する、レーザ強度0.2未満の条件では,プラズマPは試験片表面に沿うように広がる。これに対し、圧縮残留応力が単調減少し始める、レーザ強度が0.2以上かつ0.2に比較的近い条件では,プラズマPはより球状に近い形状となる。さらに、レーザ強度が1.00程度まで増加すると、プラズマは試料の法線方向に広がる。
なお、レーザの強度と残留応力の関係が逆転する基準強度は、材料、施工条件などによって異なると考えられる。このため、プラズマPの形状と残留応力の関係の方が、レーザの強度と残留応力の関係よりも普遍性を有する。
ここで、記憶部17は、プラズマPの形状のみではなく、形状からの計算値(平均値や中央値)のデータを記憶することが好ましい。レーザピーニング装置が、形状からの計算値(平均値や中央値)を自動計算する機能をさらに具備することで、比較に用いる平均値や中央値のデータを逐次に更新できる。
平均値や中央値を用いる場合、施工開始からの全データを用いてもよいし、直前の所定個数のプラズマPの形状を用いてもよい。より具体的には、例えば撮影したプラズマPの形状と、それ以前のプラズマPの形状とで、比較対象とする形状パラメータ(例えば、アスペクト比、縦幅W1、横幅W2)の変化量について、しきい値判定を行う。
なお、レーザピーニング開始後、数パルス分レーザを照射するまでは判定対象外とすることが好ましい。動作開始直後のプラズマPは多少の不安定性を有することがあるためである。
形状変化判定部18は、施工中に形状変化判定を行い、形状変化の判定が出力された場合に警報を出力する機能や、施工を中止するインターロック機能を有してもよい。
まず、レーザ光Lの照射条件を決定し、レーザピーニング施工を開始する(ステップS11)。次に、施工中のプラズマPを撮影して画像処理を行う(ステップS14)。図3Bの装置構成では、プラズマPの形状パラメータを用いて形状変化を判定するため、画像処理を行う。
前者の場合、形状変化判定部18は、計測したプラズマPの形状を記憶部17に記憶された直前のプラズマPの形状(あるいは、これまでの平均値や中央値など)と比較して、形状が変化したか否かを判断する。後者の場合、形状変化判定部18は、計測したプラズマPの形状を設定と比較して、形状が変化したか否かを判断する。
形状変化判定部18は、プラズマPの形状が変化していると判断すると、形状変化判定を出力する。
ここでは、施工を中止しているが、警報を出力して施工を継続してもよい。また、形状変化判定の出力回数が所定回数未満までは警報を発報して施工を継続し、所定回数に達したら施工を中止してもよい。警報を発報して施工を継続する場合は、次のステップS17へ進む。
これら一連の工程を施工完了まで継続して行う(ステップS18)。
駆動制御部19は、形状変化判定部18と連動し、施工中に形状変化判定が出力された際にプラズマPの形状が改善するように施工条件を変更する。
施工条件には、レーザ光Lのエネルギー、パルス幅、照射面積、パルス密度などがある。
駆動制御部19は、例えば、レーザ発振器11の制御、施工ヘッドの移動制御、光学系12の移動制御(例えば、レンズ駆動部123によるレンズ122の移動)、施工対象物Oの移動制御の少なくともいずれかを行い、施工条件を変更する。
まず、レーザ光Lの照射条件を決定し、レーザピーニング施工を開始する(ステップS11)。次に、施工中のプラズマPの形状を撮影して画像処理を行う(ステップS14)。
これら一連の工程を施工完了まで継続して行う(ステップS23)。
また、プラズマPの形状が基準から外れていた施工分について、施工を自動でやり直してもよい。
さらに、プラズマPの形状が基準を外れた回数に対する許容値を設定しておき、この許容値を超えない場合は施工を継続してもよい。許容値としては、例えば、プラズマPの形状が連続で基準を外れた回数の上限値や、あるレーザパルスの照射回数におけるプラズマPの形状が基準を外れた回数の上限値等である。
図6A,図6Bは、プラズマPの形状の判定基準として、アスペクト比0.5を上限値として閾値判定する例を示している。符号Asはプラズマ形状判定基準を示す。
図6Aは施工が安定している場合のプラズマPの形状の時間変化G1を、図6Bは施工が不安定化した場合のプラズマPの形状の時間変化G2を表す。
プラズマ形状判定基準Asを超えるアスペクト比が検出された場合、形状変化判定部18に具備されるインターロックによる施工中止、警報発報、駆動制御部19による施工条件の変更等が行われる。
例えば、本実施形態ではアスペクト比が低い(すなわち横幅が大きい)施工条件で施工する前提で説明した。しかし、付与したい応力条件によってはアスペクト比が高い施工条件で施工する場合も有り得る。この場合は、アスペクト比の下限値を設定して判定を行う。
また、施工中におけるプラズマ形状の変化やアスペクト比を用いて施工の適否を自動で判定し、施工中または施工後の施工品質評価、施工中における施工中止、適切な施工条件への変更、施工のやり直しを行うことができる。
図7A,図7B、図7Cは、第2の実施形態およびその変形例1,2に係るレーザピーニング装置の模式図である。図8A,図8B,図8Cは、第2の実施形態およびその変形例1,2に係るレーザピーニング方法のフローチャートである。
データベース21は、様々な材料におけるプラズマPの形状と材料表面近傍に生じる残留応力との関係を表すデータを有する。
応力推定部22は、データベース21を参照することで、プラズマPの形状から施工部の表面近傍に付与された残留応力を推定する。
まず、レーザ光Lの照射条件を決定し、レーザピーニング施工を開始する(ステップS11)。次に、施工中のプラズマ形状を撮影して画像処理を行う(ステップS14)。施工中、あるいは施工後に応力推定部22がデータベース21を参照し、施工部の残留応力を推定する(ステップS31,S32)。
警告部23は、応力推定部22が推定した残留応力が予め設定された残留応力条件を満たさない場合に警告を出力する。
警告部23には、インターロック機能を具備することもできる。インターロック機能を有効にすることで、施工部の残留応力が予め設定された残留応力条件を満たさない場合、レーザピーニング施工を即座に中止できる。
まず、施工部に付与する残留応力の条件、レーザ光Lの照射条件を決定し、レーザピーニング施工を開始する(ステップS11a、S11b)。次に、施工中のプラズマPの形状を撮影して画像処理を行う(ステップS14)。
推定される残留応力が予め設定した残留応力条件を満たす場合は施工を継続する(ステップS33,S34)。一方、残留応力条件を満たさない場合、警告部23が警告を出力する(ステップS35)。
警告部23のインターロック機能が有効である場合、レーザピーニング施工を即座に中止させる(ステップS36,S37)。
このような一連の工程を施工完了まで繰り返す(ステップS34)。
このように構成された本実施の形態において、レーザピーニング施工中のプラズマPの形状から施工部に所定の残留応力が生じていることを保証できる。
駆動制御部24は、応力推定部22が推定した残留応力が予め設定された残留応力条件を満たさない場合に、レーザピーニングの施工条件を変更する。
駆動制御部24はデータベース21、応力推定部22と連動し、生じる残留応力が所定の条件を満たすようにレーザ光Lのエネルギー、照射面積、パルス幅などレーザピーニング施工条件を変更する。
まず、施工部に付与する残留応力の条件、レーザ光Lの照射条件を決定し、レーザピーニング施工を開始する(ステップS11a、S11b)。次に、施工中のプラズマPの形状を撮影して画像処理を行う(ステップS14)。
データベース21を参照し推定される残留応力が設定した残留応力条件を満たさない場合、駆動制御部24がレーザ光Lのエネルギー、照射面積、パルス幅などレーザピーニング施工条件を変更する(ステップS38)。
これらの一連の工程を施工完了まで行う(ステップS34)。
図9A,図9Bは、残留応力の判定基準として用いる閾値である残留応力判定基準Tsを上限値−800MPaとした場合の例である。
図9Aは施工が安定している場合のプラズマPの形状の時間変化G1とその際に表面近傍に生じる残留応力の推定値T1を表す。図9Bは施工が不安定化した場合のプラズマPの形状の時間変化G2とその際に表面近傍に生じる残留応力の推定値T2を表す。
しかし、図9Bに示すように施工が不安定化した場合、予め設定した残留応力判定基準Tsを超える残留応力の推定値Tpを示す。残留応力判定基準Tsを超える残留応力の推定値Tpが検出された場合、警告部23に具備されるインターロックによる施工の中止や、駆動制御部24による施工条件の変更が行われる。
Claims (10)
- 施工対象にレーザ光を照射して圧縮残留応力を付与するレーザピーニング装置であって、
レーザ光を発生するレーザ発振器と、
前記レーザ発振器からのレーザ光を伝送して施工対象に照射する光学系と、
前記レーザ光によって施工対象上に発生したプラズマの形状を撮影する撮影部と、を具備するレーザピーニング装置。 - 前記撮影部による撮影に基づいて得られた前記プラズマの形状の情報を表示する表示部、
をさらに具備する請求項1記載のレーザピーニング装置。 - 前記撮影部が撮影した画像に基づいて、前記プラズマの形状に関する形状パラメータを求める画像処理部、
をさらに具備する請求項1または2に記載のレーザピーニング装置。 - 前記形状パラメータを基準値と比較して、プラズマの形状変化を判定する形状変化判定部、
をさらに具備する請求項3記載のレーザピーニング装置。 - 前記形状パラメータを記憶する記憶部をさらに具備し、
前記形状変化判定部が、前記記憶部に記憶され、かつ判定対象とするプラズマより前に発生したプラズマの形状パラメータを前記基準値として、前記プラズマの形状変化を判定する、
請求項4記載のレーザピーニング装置。 - 前記形状変化判定部が前記プラズマの形状が変化したと判定したときに、レーザピーニングの施工条件を変更する駆動制御部
をさらに具備する請求項4または5に記載のレーザピーニング装置。 - 前記形状パラメータと残留応力との関係を表すデータベースと、
前記撮影されたプラズマの形状と前記データベースに基づいて、前記施工対象に付与される残留応力を推定する応力推定部と、
をさらに具備する請求項3に記載のレーザピーニング装置。 - 前記応力推定部が推定した残留応力が設定された残留応力条件を満たすかを判定し、前記残留応力条件を満たさない場合に、レーザピーニングの施工条件を変更する駆動制御部
をさらに具備する請求項7に記載のレーザピーニング装置。 - 前記形状パラメータが、前記プラズマの縦幅、横幅、および縦幅と横幅の比であるアスペクト比、の少なくとも何れかを含む
請求項3乃至請求項8のいずれか1項に記載のレーザピーニング装置。 - 施工対象にレーザ光を照射して圧縮残留応力を付与するレーザピーニング方法であって、
レーザ光を発生する工程と、
前記レーザ光を伝送して施工対象に照射する工程と、
前記レーザ光によって施工対象上に発生したプラズマの形状を撮影する工程と、
前記撮影に基づいて得られた前記プラズマの形状の情報を表示する工程と、
を具備するレーザピーニング方法。
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CN112981090B (zh) * | 2021-02-04 | 2022-04-26 | 中国科学院力学研究所 | 基于激光驱动微颗粒冲击的表面强化装置及方法 |
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