本開示は、歯科修復処置において使用され得る改善されたコンピュール、ウェッジ、マトリックスバンド、およびウェッジシステムを提供する。
図1A〜図1G、図2A〜図2D、および図3A〜図3Eは、異なる形状およびサイズを有する例示的なコンピュールの様々な設計の様々な図を図示し、コンピュールは、前方歯および後方歯への修復処置において使用され得る。概して、コンピュールは、1つの固体ユニットまたは複数の接続部分であり得る。コンピュールは、様々な金属またはプラスチック材料、あるいはそれらの組み合わせから成り得る。加えて、コンピュールは、任意のハイブリッドまたはナノ複合材料等の、歯科修復処置において使用される複合材料を受容し、かつ保持するように構成されてもよい。本明細書に記載されるようなコンピュールの寸法に関する値およびパラメータは、単なる例であり、代替的な寸法およびパラメータ、または寸法およびパラメータの範囲が想定されるということが理解されるはずである。
図1A〜1Gは、分割されたノズルを有するコンピュール101の様々な図を図示する。図1Aは、コンピュール101の斜視図を図示し、コンピュール101は、主本体部分103から異なる角度で延在する2つの(2)別個の区分を含む、角度付き端部またはアームを含み得る。概して、二次本体部分104は、主本体部分103から第1の角度で延在し得、三次本体部分105は、主本体部分103に対して第2の角度で二次本体部分104から延在し得る。
図1Bは、コンピュール101の上面図を図示し、図1Bは、図1Cに例解されたコンピュール101の断面図に対応する切断線「A」を図示する。図1Cに例解されるように、コンピュール101の主本体部分103は、開口部108から二次本体部分104が主本体部分103に接続する場所の周囲までを通って延在する、主空洞部106を含み得る。主空洞部106は、二次本体部分104および三次本体部分105を通って延在する二次空洞部107に接続し得、二次空洞部107は、主空洞部106から開口部109または三次本体部分105の先端部を通って延在し得る。使用時、複合材料は、開口部108に装填することができ、ここで空洞部106、107は、複合材料が開口部109を通ってコンピュール101から出ることができるように、コンピュール101を通って複合材料を方向付けてもよい。
図1Cは、図1Dに例解されたコンピュール101の先端部102および開口部109の図に対応する切断線「C」を図示する。開口部109は、円形状または楕円形状であってもよく、様々な値:「c」直径および「d」直径を有する2つの寸法を有し得る。いくつかの実施形態に従って、「c」直径は、0.60〜1.40mmの範囲の値を有し得、「d」直径は、0.85〜1.65mmの範囲の値を有してもよい。
図1Eは、コンピュール101の側面図を例解し、主本体部分103および三次本体部分105は、その間に角度「a」を有し得る。一実施形態において、角度「a」は、約110度であり得るが、代替的な角度も、想定される(例えば、90度〜130度の間の任意の角度)。
図1Fは、コンピュール101および空洞部106、107の断面図を例解し、空洞部106は、幅寸法「f」を有し得、空洞部107は、幅寸法「e」を有し得る。一実施形態において、幅寸法「f」は、約4.0mmであり得る、しかしながら、代替的な寸法(例えば、3.0〜5.0mmの間の任意の寸法)も想定される、および幅寸法「e」は、約1.0mmであり得る、しかしながら代替的な寸法(例えば0.5〜2.0mmの間の任意の寸法)も想定される。
図1Gは、コンピュール101の側面図を図示する。図1Gに例解されるように、コンピュール101およびその本体部分103、104、105は、様々な値を有する寸法「g」、「h」、「i」、「j」、「k」、「m」、「n」、「p」、および「q」を有してもよい。特に、寸法「g」は、17.0〜21.0mmの範囲となり得、寸法「h」は、5.5〜7.5mmの範囲となり得、寸法「i」は、10.5〜12.5mmの範囲となり得、寸法「j」は、8.5〜10.5mmの範囲となり得、寸法「k」は、145〜175度の範囲となり得、寸法「m」は、145〜175度の範囲となり得、寸法「n」は、3.0〜5.0mmの範囲となり得、寸法「p」は、22.0〜26.0mmの範囲となり得、および寸法「q」は、110〜140度の範囲となり得る。
図2A〜図2Dは、分割されたノズルを有する、別のコンピュール201の様々な図を図示する。図2Aは、コンピュール201の斜視図を図示し、コンピュール201は、主本体部分203から異なる角度で延在する2つの(2)別個の区分を含む、角度付き端部またはアームを含み得る。概して、二次本体部分204は、本体部分203から第1の角度で延在し得、三次本体部分205は、本体部分203に対して第2の角度で二次本体部分204から延在し得る。
図2Bは、コンピュール201の上面図を図示し、図2Bは、図2Cに例解されたコンピュール201の断面図に対応する切断線「A」を図示する。図2Cに例解されるように、コンピュール201の主本体部分203は、開口部208から二次本体部分204が主本体部分203に接続する場所の周囲までを通って延在する、主空洞部206を含み得る。主空洞部206は、二次本体部分204および三次本体部分205を通って延在する二次空洞部207に接続し得、二次空洞部207は、主空洞部206から開口部209または三次本体部分205の先端部を通って延在し得る。使用時、複合材料は、開口部208に装填することができ、ここで空洞部206、207は、複合材料が開口部209を通ってコンピュール201から出ることができるように、コンピュール201を通って複合材料を方向付けてもよい。
開口部209は、円形状であってもよく、二次空洞部207の幅に対応する直径「a」を有してもよい。実施形態に従って、直径「a」は、0.75〜1.75mmの範囲となり得る。同様に、主空洞部206は、3.0〜5.0mmの範囲となり得る、幅「b」を有してもよい。実施形態において、開口部209は、楕円形状であり得、その場合、開口部209は、2つの異なる直径寸法を有し得る。例えば、第1の直径寸法は、0.75〜1.75mmの範囲となり得、第2の直径寸法は、0.50〜1.50mmの範囲となり得る。
図2Dは、コンピュール201の側面図を図示する。図2Dに例解されるように、コンピュール201およびその本体部分203、204、205は、様々な値を有する寸法「c」および「d」を有してもよい。特に、寸法「c」は、10.0〜13.0mmの範囲となり得、寸法「d」は、22.0〜26.0mmの範囲となり得る。
図3A〜図3Eは、分割されたノズルを有するコンピュール301の様々な図を図示する。図3Aは、コンピュール301の斜視図を図示し、コンピュール301は、本体部分303からある角度で延在する二次本体部分304を含み得る。
図3Bは、コンピュール301の上面図を図示し、図3Bは、図3Cに例解されたコンピュール301の断面図に対応する切断線「A」を図示する。図3Cに例解されるように、コンピュール301の主本体部分303は、開口部308から二次本体部分304が主本体部分303に接続する場所の周囲までを通って延在する、主空洞部306を含み得る。主空洞部306は、二次本体部分304を通って延在する二次空洞部307に接続し得、二次空洞部307は、主空洞部306から開口部309または二次本体部分304の先端部を通って延在し得る。使用時、複合材料は、開口部308に装填することができ、ここで空洞部306、307は、複合材料が開口部309を通ってコンピュール301から出ることができるように、コンピュール301を通って複合材料を方向付けてもよい。
図3Cは、空洞部307の幅寸法「a」、および空洞部306の幅寸法「b」をさらに示す。一実施形態において、幅寸法「b」は、約4.0mmであり得る、しかしながら、代替的な寸法(例えば、3.0〜5.0mmの間の任意の寸法)も想定される、および幅寸法「a」は、約1.0mmであり得る、しかしながら代替的な寸法(例えば0.5〜2.0mmの間の任意の寸法)も想定される。
図3Dは、コンピュール301の側面図を図示する。図3Dに例解されるように、コンピュール301およびその本体部分303、304は、様々な値を有する寸法「c」、「d」、「e」、「f」、「g」、「h」、「i」、「j」、および「k」を有してもよい。特に、寸法「c」は、2.0〜4.0mmの範囲となり得、寸法「d」は、19.0〜23.0mmの範囲となり得、寸法「e」は、9.5〜13.5mmの範囲となり得、寸法「f」は、0.75〜2.0mmの範囲となり得、寸法「g」は、1.5〜2.5mmの範囲となり得、寸法「h」は、二次本体部分304に関連付けられた角度であり得、5〜20度の範囲となり得、寸法「i」は、主本体部分303と二次本体部分304との間の角度であり得、95〜120度の範囲となり得、寸法「j」は、4.5〜7.5mmの範囲となり得、寸法「k」は、6.0〜10.0mmの範囲となり得る。
図3Eは、コンピュール301の先端部302および開口部309の図を図示する。開口部309は、円形状または楕円形状であってもよく、様々な値:「m」直径および「n」直径を有する2つの寸法を有し得る。いくつかの実施形態に従って、「m」直径は、1.0〜2.0mmの範囲の値を有し得、「n」直径は、0.75〜1.5mmの範囲の値を有してもよい。
図4A〜4Kは、前方歯のための歯科修復処置において使用するために特別に設計されたウェッジ400の一実施例を図示する。より具体的には、ウェッジ400は、修復される前方歯と前方歯に隣接する歯との間の隣接空間内に配設されるように適合されている(隣接する歯もまた前方歯であり得る)。ウェッジ400は、概して、ハンドル部分402と、ハンドル部分402に結合され(例えば、一体的に形成され)かつハンドル部分402から外側に延在する本体部分404と、本体部分404に結合されたマトリックスバンド406と、を含む。以下により詳細に説明されるように、ウェッジ400が隣接空間内に配設されるとき、本体部分404およびマトリックスバンド406は、隣接する歯に実質的に接近しながら、前方歯の空洞部を封止する様式で、修復される前方歯に緊密に接触する。このため、本体部分404およびマトリックスバンド406は、過剰な材料を防止とはいかないまでも、低減させ、それによって仕上げ時間を短縮し、歯科修復処置の失敗率を低減させるだけでなく、所望される前方歯と隣接する歯との間の接点の形成もまた容易にする。
ハンドル部分402は、概して、ウェッジ400を隣接空間内に位置決めする、または隣接空間からウェッジ400を取り外す目的で、歯科医がウェッジ400を握ることを可能にする。ハンドル部分402は、図4A〜図4Fに例解された形状を有してもよく、または他の任意の適切な形状を有してもよい。ハンドル部分402は、ハンドル軸412に沿って第1の端部408から第2の端部410まで延在する。換言すると、ハンドル部分402は、第1の端部408と第2の端部410との間に画定された長さLhを有する。この実施例において、長さLhは、約3.5mmに等しい。しかしながら、他の実施例において、長さLhは、3.5mmより大きく、または3.5mm未満の可能性がある。ハンドル部分402はまた、上面414と下面416との間に画定される(すなわち、ハンドル軸412に対して垂直な)高さHhを有する。この実施例において、高さHhは、約2mmに等しいが、他の実施例において、高さHhは、2mmより大きく、または2mm未満となる可能性がある。
本体部分404は、概して、前方歯と隣接する歯との間の隣接空間を実質的に充填し、かつマトリックスバンド406を所望の位置に位置決めするように構成される。図4Gに最も良く例解されるように、この実施例における本体部分404は、ハンドル部分402に直ぐ隣接して位置決めされた第1の端部420から、ハンドル部分402から離れ、ハンドル軸412に対して平行かつ同軸である体軸423に沿って第2の端部422まで延在する。換言すると、本体部分404は、直線状(または実質的に直線状)である。図4E〜4Fに最も良く例解されるように、この実施例における本体部分404は、実質的に三角形の前面424、前面424の反対側の実質的に三角形の後面426、ならびに前面424および後面426に接続する実質的に三角形の底面427によって画定された実質的に三角形の形状を有する。本体部分404が隣接空間内に配設されるとき、部分的に湾曲し部分的に平坦である前面424は、修復される前方歯に面するはずであり、実質的に平坦である後面426は、隣接する歯に面するはずであるということが理解されるであろう。
本体部分404はまた、その上にマトリックスバンド406を確実に保持する第1および第2の締結要素428A、428Bを含む。この実施例において、締結要素428A、428Bの各々は、前面424から外側に延在する円形突出部の形態をとる。しかしながら、他の実施例において、本体部分404は、1つの締結要素のみを含んでもよく、3つ以上の締結要素を含んでもよく、または全く含んでいなくてもよい(例えば、本体部分404は、マトリックスバンド406を本体部分404に固定するために1つ以上の締結具を受容するようにサイズ決定された1つ以上の開口を代わりに含んでもよい)。
図4Fに最も良く例解されるように、本体部分404は、第1の端部420と第2の端部422との間で、かつ本体軸423に沿って、画定された長さLbを有する。この実施例において、長さLbは、約8.5mmに等しく、そのためウェッジ400の全長Lwは、約12mmに等しい。しかしながら、他の実施例において、長さLbは、8.5mmより大きくまたは8.5mm未満となる可能性があり、ウェッジ400の全長Lwは、約12mmより大きくまたは12mm未満となる可能性がある(例えば、全長Lwは、8mm〜14mmの範囲内となる可能性がある)。いずれにせよ、本体部分404は、本体部分404が第1の端部420から第2の端部422まで延在するにつれて、減少し、わずかに増加し、その後さらに減少する、前面424と後面426との間の距離として、本明細書で画定された厚さを有する。この実施例において、第1の端部420における厚さTfeは、約1.25mmに等しく、第1の締結要素428Aにおける厚さTffeは、約1.25mmに等しく、第1の締結要素428Aと第2の締結要素428Bとの間に位置する点432における厚さTpは、約1.01mmに等しく、第2の締結要素428Bにおける厚さTsfeは、約0.84mmに等しい。しかしながら、他の実施例において、これらの厚さの値は、変化し得る。一実施例として、厚さTfeは、約1.25mmより大きいが、約2.5mm未満であり得る。本体部分404はまた、本体部分404が第1の端部420から第2の端部422に延在するにつれて減少または先細になる高さを有し、そのため本体部分404の底部が、水平に対して角度を付けられ(図4F参照)、これはウェッジ400を隣接空間内に位置決めするのに役立ち得る。この実施例において、第1の端部420における高さHfeは、約2mmに等しく、第1の端部420と第1の締結要素428Aとの間の第1の点436における高さHp1は、約1.79mmに等しく、第1の要素428Aと第2の要素428Bとの間の第2の点438における高さHp2は、約1.55mmに等しく、第1の要素428Aと第2の要素428Bとの間の第3の点440における高さHp3は、約1.17mmに等しく、第2の端部422における高さHseは、約0.70mmに等しい。しかしながら、他の実施例において、これらの高さの値は、変化し得る。一実施例として、高さHp1は、約1.25mmより大きく、3.0mm未満の任意の値であり得、高さHp3は、約0.75mmより大きく、約2.0mm未満の任意の値であり得る。
前述の結果として、本体部分404は、局部的曲線を有する、または画定する。別の言い方をすると、本体部分404の一部のみが、湾曲しており、本体部分404の残りの部分は、平坦である。この実施例において、局部的曲線は、第1の締結要素428Aと第2の締結要素428Bとの間に画定され、その結果、湾曲した本体部分404の一部のみが、第1の締結要素428Aと第2の締結要素428Bとの間に位置する。しかしながら、他の実施例において、局部的曲線は、本体部分404に沿った異なる点の間に画定することができる。
図4I〜図4Jに例解されるように、マトリックスバンド406は、前面442、前面442の反対側の後面444、および前面442と後面444との間の厚さTmによって画定される、薄い外形を有する。ウェッジ400が使用されるとき、前面442は、修復される前方歯に面する(そして係合する)ように設けられ、一方で後面444は、修復される前方歯に隣接する歯に面するように設けられる。また図4I〜図4Jに例解されるように、マトリックスバンド406は、概して、高さ軸454に沿って第1の端部450から第2の端部452まで延在し、概して、長さ軸460に沿って第1の側面456から第2の側面458まで延在する。図4Jに最も良く例解されるように、マトリックスバンド406は、高さ軸454に沿って、およびそれから離れて、わずかに、緩やかかつ平滑な凹状の湾曲を有する。図4Kに最も良く例解されるように、マトリックスバンド406は、長さ軸460に沿って、わずかに、緩やかかつ平滑な凹状の湾曲を有する。この実施例において、マトリックスバンド406は、21mmの曲率半径を有し得るが、他の実施例において、曲率半径は、17mm〜25mmの範囲内の任意の値であり得る。このため、第1の側面456と第2の側面458との間のマトリックスバンド406の部分は、長さ軸460からわずかにオフセットすることが理解されるはずである。
マトリックスバンド406は、基部462と、基部462に結合され(例えば、一体的に形成され)、基部462から外側に(図4Iにおいて、上方)に延在するアーム464と、を有する。基部462は、第1の端部450と、基部462をアーム464に接続する肩部466と、第1の端部450および肩部458を接続する第1の側面456ならびに第2の側面458と、によって画定される実質的に長方形の形状を有する。このため、基部462は、第1の端部450と肩部466との間に画定される高さHmb、および第1の側面456と第2の側面458との間に画定される長さLmbを有する。アーム464はまた、第2の端部452、肩部466、ならびに第1の側面456および第2の側面458によって画定された実質的に長方形の形状を有する。このため、アーム464は、第2の端部452と肩部466との間に画定される高さHma、および第1の側面456と第2の側面458との間に画定される長さLmaを有する。図4Iに最も良く例解されるように、基部462の長さLmbが、アーム464の長さLmaよりも大きいので、基部462の長さLmbは、マトリックスバンド406自体の長さLmを画定する。一方で、マトリックスバンド406の高さHmは、基部462の高さHmbとアーム464の高さHmaとの和によって画定される。
マトリックスバンド406の高さHmが、マトリックスバンド406の長さLmより大きいことが図4Iから理解されるはずである。換言すると、マトリックスバンド406は、切歯歯肉寸法と、切歯歯肉寸法よりも小さい頬舌寸法と、を有する。マトリックスバンド406の高さHmは、好ましくは、約7mm〜約12mmの間の範囲内であり、一方で、マトリックスバンド406の長さLmは、好ましくは、約3.5mm〜約5.5mmの間の範囲内である。このため、いくつかの実施例において、マトリックスバンド406の高さHmは、マトリックスバンドの長さLmの少なくとも2倍の大きさであり得る。この実施例において、マトリックスバンド406の高さHmは、9.5mmであり、マトリックスバンド406の長さLmは、5mmである(アーム464の長さLmaは、4mmである)。マトリックスバンド406の厚さTmは、マトリックスバンド406の高さHmおよび長さLmよりかなり小さいこともまた、図4Iおよび図4Jから理解されるであろう。この実施例において、厚さTmは、0.05mmに等しいが、厚さTmは、約0.025mm〜約0.05mmの間で変化する可能性がある。
本体部分404およびマトリックスバンド406がそのように寸法決めされた状態で、本体部分404は、マトリックスバンド406と係合し、保持し、そして支持するように構成される。より具体的には、本体部分404の局部的な湾曲は、マトリックスバンド406が一致する湾曲を維持することを可能にする。本体部分404とマトリックスバンド406の両方の局部的な湾曲は、隣接空間に挿入されたとき、ウェッジ400が、修復される前方歯の凸状表面と係合することをさらに可能にする。マトリックスバンド406は、マトリックスバンド406の後面444が、本体部分404の前面424に面し、かつ少なくとも部分的に接触するように本体部分404に結合される。この実施例において、マトリックスバンド406は、第1の締結要素428Aおよび第2の締結要素428Bを介して本体部分404に結合され、これらは、マトリックスバンド406の後面444内に形成された第1および第2の類似形状の開口472、474に、それぞれ受容される。この実施例において、開口472と474間の距離は、マトリックスバンド406のアーム464の長さにほぼ等しいが、そうである必要はない。締結要素428A、428Bは、任意の既知の様式でその中に固定され得る。他の実施例において、マトリックスバンド406は、1つの締結要素、3つ以上の締結要素を介して、または他のいくつかの様式で、本体部分404に結合されてもよい。いずれにせよ、図4A〜図4Dに示されるように、マトリックスバンド406が本体部分404に結合されるとき、高さ軸454は、本体軸423に対して角度が付けられる。一実施例として、高さ軸454は、本体軸423に対して75度〜90度の間の角度に配向され得る。
このように構築されて、ウェッジ400は、前方歯のための歯科修復処置(例えば、充填)において使用するために特別に設計される。このような歯科修復処置を実行することが所望されるとき、図4Lに例解されるように、ウェッジ400は、修復される前方歯482と修復される前方歯482に隣接する前方歯484との間の隣接空間480内に配設される。各歯が、頬舌幅Wtおよび幅Wtよりも大きい臨床歯冠の高さHtを有しているため、歯482、484は、前方歯である。ウェッジ400は、本体部分404の前面424およびマトリックスバンド406の前面442が、修復プロセス中に充填剤を受容するように適合された空洞486を有する、修復される前方歯482に面するように、隣接空間480内に配設される。一方で、本体部分404の後面426およびマトリックスバンド406の後面444は、隣接する前方歯484に面する。
ウェッジ400が、隣接空間480内にそのように配設されるとき、図4Lに例解されるように、本体部分404は、隣接空間480を実質的に充填し、マトリックスバンド406は、前方歯482に接触する。より具体的には、マトリックスバンド406の前面442は、前方歯482と接触し、マトリックスバンド406の実質的に全ての前面442が、前方歯482と接触する。有益には、マトリックスバンド406が凹状の湾曲を有し、そして充填されるべき空洞486が凸状であるので、マトリックスバンド406の前面442は、修復されるべき前方歯482と同一面上でしっかりと噛み合う。マトリックスバンド406の湾曲はまた、輪郭を修復される前方歯の自然な輪郭に近接して一致させるかまたは接近させることによって、修復の輪郭を適切に成形する。さらに、マトリックスバンド406の湾曲は、マトリックスバンド406が前方歯482の空洞486を封止することを可能にし、歯科医が、過剰な材料を、防止とはいかないまでも、低減させながら、空洞486を充填することを可能にし、またウェッジ400を隣接空間480内に固定させ、これによって前方歯482が修復されている間、ウェッジ400がこの位置から移動することを防止する。同時に、ウェッジ400は、その実質的に直線の形状により、隣接空間480を通って線形に延在し、そのためウェッジは、歯科医が、既知の製品および器具の場合のように、空洞486にアクセスするのを制限するような様式で、修復される前方歯482の周りを覆うことはないであろう。代わりに、歯科医は、修復プロセスの間に、空洞486への実質的に360度のアクセスを有するであろう。
ウェッジ400によって提供されるこれらの技術的利益は、既存の製品および機器のいずれか、例えば’343特許内で開示された機器、を使用しても到達可能ではない。第一に、’343特許内で開示される器具は、前方歯上のこの密接した歯とマトリックスバンドの関係を可能にしないであろう。これは、そこに開示された器具の弓形状が、本体部分404およびマトリックスバンド406の局部的な湾曲よりもはるかに大きい半径を有するという事実に起因する。’343特許の器具のより大きい半径は、より大きい半径を有する後方歯によく適している、一方で本体部分404およびマトリックスバンド406のより小さい半径は、ウェッジ400を前方歯のより小さい半径によく適したものにする。加えて、’343特許において、マトリックスバンドは、その高さよりも大きい直径を有し、長い弓状のx軸に取り付けられ、および椀形状であるので、マトリックスバンドは、前方歯の修復にはあまり適していない。さらに、’343特許内で開示された器具は、前方歯領域内の隣接空間内に設置された場合、ウェッジ本体の弓形状のx軸のため、360度アクセスを可能にすることがなく、かつ金属バンドが、歯科医の作業フィールドの視界、ならびに、彼/彼女の空洞486にアクセスする能力に著しく影響するであろう。
ウェッジ400の予想外の利点は、ウェッジ400が、マトリックスバンド406と実質的に同様または同一のマトリックスバンド490と接続して利用されて、例えば、図4Mに例解されるように、歯科医が、両方が修復される必要のある、2つの隣接する前方歯に対して、実質的に同時に(すなわち、ウェッジ400を再度位置決めすることなく)歯科修復処置を実行することを可能にすることができるということである。歯科医が2つの隣接する前方歯の各々、例えば、図4Lに例解された歯482、484、に対して歯科修復処置を実行することを所望するとき、マトリックスバンド490は、最初に隣接空間(例えば、隣接空間480)内に配設され、そのためマトリックスバンド490の前向き表面492は、修復される歯のうちの1つ(この実施例において、歯482)と接触する。次に、ウェッジ400は、ウェッジ400のマトリックスバンド406が修復されるべき他の歯(この実施例において、歯482)と接触するように、隣接空間内に配設することができる。そのようにすることは、マトリックスバンド406を適切な位置に位置決めするだけでなく、マトリックスバンド490をその適切な位置に案内し(既に存在していない場合)、次いでマトリックスバンド490を適切な位置に確実に保持する。修復される歯のうちの一方に対してマトリックスバンド406が適切な位置にあり、修復される歯のうちの他方に対してマトリックスバンド490が適切な位置にある場合、歯科医は、両方の隣接する歯に対して、実質的に同時に修復処置を行うことができる。
ウェッジ400は、1つ以上の適切な材料から作製することができるということが理解されるであろう。多くの実施例において、ハンドル部分402および本体部分404は、第1の材料(例えば、木材、ポリプロピレン等の熱可塑性ポリマー)から作製され、マトリックスバンド406は、第1の材料とは異なる、第2の材料(例えば、ステンレス鋼、プラスチック等の金属)から作製されるであろう。しかしながら、他の実施例において、ハンドル部分402、本体部分404、およびマトリックスバンド406は、同じ材料(例えば、プラスチック)から作製されてもよい。
さらに、各前方歯は、右側および左側を有し、このことはウェッジバンド関係もまた、それぞれ右側構造および左側構造を有することを必要とするということが理解されるであろう。図4A〜図4Kに例解されたウェッジ400は、ヒト患者の口内の前方歯のそれぞれの右側を修復するための右手ウェッジとして特別に設計される。図5A〜図5Cは、ウェッジ400の鏡像であるウェッジ500の別の実施例を例解し、そのためウェッジ500は、ヒト患者の口内の前方歯のそれぞれの左側を修復するための左手ウェッジとして使用するように特別に設計される。
図6A〜図6Qは、後方歯の歯科修復処置において使用するために特別に設計されたウェッジシステム600の一実施例を図示する。この実施例におけるウェッジシステム600は、一対のウェッジ、すなわち第1のウェッジ602および第1のウェッジ602と協働する第2のウェッジ604を含む。しかしながら、ウェッジシステム600は、他の実施例において、第1のウェッジ602のみを含み得ることが理解されるであろう。換言すると、ウェッジシステム600は、第2のウェッジ604を含む必要はない。
第1のウェッジ602は、修復される後方歯と修復される後方歯に隣接する歯(隣接する歯もまた後方歯であり得る)との間の隣接空間内に配設されるように適合され、一方で第2のウェッジ604は、第1のウェッジ602の適切な位置決めを容易にするために、第1のウェッジ602の部分の間に配設されるように適合されている。第1のウェッジ602は、概して、ハンドル部分606と、ハンドル部分606に結合された基部要素607と、基部要素607に結合され(例えば、一体的に形成され)かつ基部要素607から外側に延在する一対のアーム608A、608Bと、アーム608Aに結合されたマトリックスバンド610と、を含む。一方で、第2のウェッジ604は、ハンドル部分612と、ハンドル部分612に結合され(例えば、一体的に形成され)かつハンドル部分612から外側に延在する本体部分614と、を含む。以下により詳細に説明されるように、第1のウェッジ600が隣接空間内に配設されるとき、アーム608Aおよびマトリックスバンド610は、修復される後方歯に近接して位置決めされ、アーム608Bは、隣接する歯に近接して位置決めされる。第2のウェッジ604の本体部分614が第1のウェッジ602の部分(この場合、アーム608A、608B)の間に配設されるとき、アーム608A、608Bは、互いに離れて、外側に付勢される。アーム608A、およびそれに結合されたマトリックスバンド610は、修復される後方歯と密接に接触するように強制され、そのため修復される後方歯の空洞は、隣接する歯に実質的に接近しながら封止される。アーム608Bは、隣接する歯と密接に接触するように強制され、それによって第1のウェッジ602を隣接空間内に確実に保持する。さらに、第2のウェッジ604を第1のウェッジ602に挿入することによって生じるこの双方向の力により、修復される歯が隣接する歯からわずかに分離されることを可能にする。修復処置後にシステム600全体が除去された後で、修復された歯と隣接する歯との間に適切な近位接触を生じさせるためには、この制御されたわずかな分離が不可欠である。このため、ウェッジシステム600は、過剰な材料を防止とはいかないまでも、低減させ、それによって仕上げ時間を短縮し、歯科修復処置の失敗率を低減させるだけでなく、所望される後方歯と隣接する歯との間の接点の形成もまた容易にする。
第1のウェッジ602のハンドル部分606は、概して、ウェッジ602を隣接空間内に位置決めする、または隣接空間からウェッジ602を取り外す目的で、歯科医が第1のウェッジ602を握ることを可能にする。ハンドル部分606は、図6A〜図6Hに例解される形状を有してもよく、または他の任意の適切な形状を有してもよい。ハンドル部分606は、ハンドル軸622に沿って第1の端部618から第2の端部620に延在する。換言すると、ハンドル部分606は、第1の端部618と第2の端部620との間に画定された長さLh2を有する。この実施例において、長さLh2は、約3.5mmに等しい。しかしながら、他の実施例において、長さLh2は、3.5mmより大きく、または3.5mm未満の可能性がある。ハンドル部分606はまた、上面624と下面626との間に画定される(すなわち、ハンドル軸622に対して垂直な)高さHh2を有する。この実施例において、高さHh2は、約2mmに等しいが、他の実施例において、高さHh2は、2mmより大きく、または2mm未満となる可能性がある。
図6F〜図6Hに最も良く例解されるように、基部要素607は、実質的に長方形の形状を有し、アーム608A、608Bは、各々が、ハンドル軸622に対して角度θaで配向された、アーム軸628A、628Bに沿ってそれぞれ基部要素607から外側に延在する。この実施例において、角度θaは、約13度に等しく、このため異なる方向において外側に延在するアーム608A、608Bは、互いに約26度離れる。しかしながら、他の実施例において、この角度θaは、約10度〜約15度の間の異なる値である可能性がある。より具体的には、アーム608Aは、基部要素607に直ぐ隣接して位置決めされた第1の端部630から、アーム軸628Aに沿って、基部要素607から離れた第2の端部632まで延在し、一方でアーム608Bは、基部要素607およびアーム608Aの第1の端部630に直ぐ隣接して位置決めされた第1の端部634から、アーム軸628Bに沿って、基部要素607から離れた第2の端部636まで延在する。アーム608A、608Bの間の距離は、アーム608A、608Bが、それらのそれぞれの第1の端部630、634からそれらのそれぞれの第2の端部632、636まで延在するにつれて、増加することが理解されるであろう。
図6F〜図6Iに最も良く例解されるように、アーム608A、608Bは、形状およびサイズが同一である。アーム608A、608Bの各々は、三角形の前面638、前面638の反対側の実質的に三角形の後面640、ならびに前面638および後面640と接続する上面642および底面644によって画定される、実質的に三角形の二形状を有する。第1のウェッジ602が隣接空間内に配設されるとき、アーム608A、608Bの前面638は、修復される後方歯に面するはずであり、アーム608A、608Bの後面640が後方歯に面するはずであるということが理解されるであろう。
第1のウェッジ602はまた、その上にマトリックスバンド610を確実に保持するために、アーム608A、608Bのうちの一方(この場合、アーム608A)の上に設けられた第1の締結要素648A、および第2の締結要素648Bを含む。この実施例において、締結要素648A、648Bの各々は、アーム608Aの前面638から外側に延在する円形突出部の形態をとる。しかしながら、他の実施例において、第1のウェッジ602は、1つの締結要素のみを含んでもよく、3つ以上の締結要素を含んでもよく、代わりにアーム608B上に1つ以上の締結要素を含んでもよく、または全く含んでいなくてもよい(例えば、アーム608A、608Bのうちの1つは、マトリックスバンド610をアーム608A、608Bのうちの1つに固定するための1つ以上の締結具を受容するようにサイズ決定された1つ以上の開口を代わりに含んでもよい)。
図6Hに最も良く例解されるように、アーム608Aは、第1の端部630と第2の端部632との間で、かつ本体軸628Aに沿って、画定された長さLaを有する。長さLaは、好ましくは約7.5mm〜約13mmの範囲内にあり、第1のウェッジ602の全長Lw1は、約12mm〜約18mmの範囲内である。この実施例において、長さLaは、約11.5mmに等しく、基部要素607は、約1mmに等しい長さLbeを有し、このため第1のウェッジ602の全長Lw1は、約16mmに等しい。しかしながら、他の実施例において、長さLaは、11.5mmより大きく、または11.5mm未満となる可能性があり、ウェッジ602の全長Lw1は、約16mmより大きくまたは16mm未満である。いずれにせよ、この実施例におけるアーム608Aは、図6Gで例解されるように、アーム608Aが第1の端部630から第2の端部632に延在するにつれてわずかに減少する、前面638と後面640との間の距離として本明細書において画定された、厚さを有する。しかしながら、他の実施例において、アーム608Aは、一定の厚さを有してもよく、または図6Hに示されているものよりも大きい程度で先細になってもよい。
また図6Hに最も良く例解されるように、アーム608Aは、アーム608Aが第1の端部630から第2の端部632まで延在するにつれて、減少または先細になる、上面642と底面644との間の距離として本明細書で画定された、高さを有する。図6Hはまた、アーム608Aが第1の端部630から第2の端部632まで延在するにつれて、アーム608Aが再び上方に湾曲する前に下方に湾曲することを例解する。この実施例において、アーム608Aは、第2の端部632の中心点が第1の端部630の中心点よりもさらに上方に位置決めされるように、下方に湾曲するよりもより大きい程度で上方に湾曲している。加えて、切欠き648が、上面642に沿ってアーム608A内に形成される。この実施例において、切欠き648は、円形の切欠きであり、3mmに等しい長さLcutを有する。しかしながら、他の実施例において、切り欠きは、異なる形状および/またはサイズを有することができる。一実施例として、長さLcutは、3mmより大きくまたは3mm未満となる可能性がある。
簡潔にするために、前述の2段落は、アーム608Aの特徴のみを考察する。しかしながら、アーム608Bがアーム608Bと形状およびサイズが同一であるので、アーム608Bは同じ特徴を有することが理解されるであろう。換言すると、アーム608Bは、アーム608Bと同一の長さ、高さ、および湾曲を有する。
図6G〜図6Iに例解されるように、第1のウェッジ602はまた、アーム608A、608Bを互いに所望の距離に保つのを助けるために、基部要素607とアーム608A、608Bとの間に設けられたウィング650を含む。ウィング650は、アーム608A、608Bの湾曲とほぼ一致する湾曲を有する。より具体的には、ウィング650は、図6Fおよび図6Iに最も良く例解されるように、基部要素607からアーム608A、608Bの各々の上面642の一部に沿って下方に延在する。このように、アーム608A、608Bと同様に、この実施例におけるウィング650もまた、実質的に三角形の形状を有する。しかしながら、他の実施例において、ウィング650は、異なる形状および/またはサイズを有することができる。
加えて、第1のウェッジ602は、アーム608A、608Bと、少なくともこの実施例において、ウィング650との間に形成、または画定される間隙652を含む。間隙652は、以下でより詳細に考察されるように、概して、第2のウェッジ604、特に第2のウェッジ604の本体部分614を受容するようにサイズ決定される。アーム608A、608Bが、それらのそれぞれの第1の端部630、634からそれらのそれぞれの第2の端部632、636まで延在するにつれて、アーム608A、608Bの間の距離が増加するので、間隙652のサイズもまた、アーム608A、608Bがそれらのそれぞれの第1の端部630、634からそれらのそれぞれの第2の端部632、636まで延在するにつれて増加する。
図6J〜図6Mに例解されるように、第1のウェッジ602のマトリックスバンド610は、前面654、前面654の反対側の後面656、および前面654と後面656との間の厚さTm1によって画定される、薄い、実質的に台形の外形を有する。第1のウェッジ602が使用されるとき、前面654は、修復される後方歯に面する(および係合する)ように設けられ、一方で後面656は、修復される後方歯に隣接する歯に面するように設けられる。また図6J〜図6Mに例解されるように、マトリックスバンド610は、概して、高さ軸662に沿って第1の端部658から第2の端部660まで延在し、概して、長さ軸668に沿って第1の側面664から第2の側面666まで延在する。図6Lに最も良く例解されるように、マトリックスバンド610は、高さ軸662に沿って、およびそれから離れて、わずかに、緩やかかつ平滑な凹状の湾曲を有する。図6Mに最も良く例解されるように、マトリックスバンド610は、長さ軸668に沿って、わずかに、緩やかかつ平滑な凹状の湾曲を有する。この実施例において、マトリックスバンド610は、40mmの曲率半径Rを有するが、他の実施例において、曲率半径Rは、32mm〜48mmの範囲内の任意の値であり得る。いずれにせよ、第1の側面664と第2の側面666との間のマトリックスバンド610の部分は、長さ軸668からわずかにオフセットすることが理解されるはずである。
マトリックスバンド610は、高さHm2および高さHm2よりも大きい長さLm2を有するということが、図6Jおよび図6Kから理解されるであろう。換言すると、マトリックスバンド610は、切歯歯肉寸法と、切歯歯肉寸法よりも大きい頬舌寸法と、を有する。マトリックスバンド610の高さHm2は、好ましくは約3mm〜約6.5mmの範囲内であり、マトリックスバンド610の長さLm2は、好ましくは約4.5mm〜約11mmの範囲内である。このため、いくつかの実施例において、マトリックスバンド610の長さLm2は、マトリックスバンド610の高さHm2の少なくとも2倍の大きさであり得る。この実施例において、マトリックスバンド610の高さHmは、5mmであり、マトリックスバンド610の長さLmは、9mmである。マトリックスバンド610の厚さTm2が、マトリックスバンド610の高さHm2および長さLm2よりかなり小さいこともまた、図6Kおよび図6Lから理解されるであろう。この実施例において、厚さTm2は、0.05mmに等しいが、厚さTm2は、約0.025mm〜約0.05mmの間で変化する可能性がある。
アーム608A、608B、およびマトリックスバンド610がそのように寸法決めされた状態で、アーム608Aは、マトリックスバンド610と係合し、保持し、そして支持するように構成される。より具体的には、アーム608Aの湾曲は、マトリックスバンド610が一致する湾曲を維持することを可能にする。アーム608Aとマトリックスバンド610の両方のこの湾曲は、隣接空間に挿入され、かつ第2のウェッジ604を伴い利用されるとき、第1のウェッジ602が修復される後方歯の凸状表面と係合することをさらに可能にする。マトリックスバンド610は、マトリックスバンド610の後面658が、アーム608Aの前面638に面し、かつ少なくとも部分的に接触するようにアーム608Aに結合される。この実施例において、マトリックスバンド610は、第1の締結要素648Aおよび第2の締結要素648Bを介してアーム608Aに結合され、これらは、マトリックスバンド610の後面658内に形成された第1および第2の類似形状の開口670、672に、それぞれ受容される。この実施例において、開口670、672間の距離Daは、約7.5mmであるが、この距離は変化する可能性がある。締結要素648A、648Bは、任意の既知の様式でその中に固定され得る。他の実施例において、マトリックスバンド610は、1つの締結要素、3つ以上の締結要素を介して、または他のいくつかの様式で、アーム608Aに結合されてもよい。いずれにせよ、図6A〜図6Eに示されるように、マトリックスバンド610がアーム608Aに結合されるとき、高さ軸454は、ハンドル軸622およびアーム軸628Aの両方に対して角度が付けられる。
ここで図6N〜図6Qを参照すると、第2のウェッジ604に関するさらなる詳細が、説明される。最初に、ウェッジ604はハンドル部分702および本体部分704を含むが、ウェッジ604は、マトリックスバンドを含まないという点で、第2のウェッジ604は、ウェッジ400と実質的に同様であるということが理解されるであろう。ハンドル部分702は、上述のハンドル部分402と同一である。このため、簡潔さのために、ハンドル部分702が、さらに詳細に考察されることはない。本体部分704は、以下に考察される違いを除いて、上記の本体部分404と同様である。
第一に、表面424、426、および427によって画定された実質的に三角形の形状を有する本体部分404とは異なり、本体部分704は、実質的に三角形の前面724、前面724の反対側の実質的に三角形の後面726、ならびに前面724および後面726と接続する実質的に三角形の上面728によって画定された、実質的に三角形の形状を有する。本体部分704はまた、図6Qに最も良く例解されるように、表面724、726、および728の間に画定、または形成された中空のV字形状エリア730を有する。アーム608A、608Bを外側に、所望の位置に向かって付勢することによって、第2のウェッジ604が第1のウェッジ602内に配設されるとき、V字形状エリア730により、第2のウェッジ604が偏倚要素(例えば、ばね)として効果的に作用することを可能にするということが理解されるであろう。
第二に、本体部分704の寸法は、本体部分404の寸法とは異なる。図6Oに最も良く例解されるように、本体部分404は、第1の端部720と第2の端部722との間で、かつ本体軸723に沿って画定された長さLb2を有する。この実施例において、長さLb2は、約8.5mmに等しく、そのため第2のウェッジ604の全長Lw2は、約12mmに等しい。しかしながら、他の実施例において、長さLb2は、8.5mmより大きくまたは8.5mm未満となる可能性があり、ウェッジ604の全長Lw2は、約12mmより大きくまたは12mm未満となる可能性がある(例えば、全長Lw2は、10mm〜15mmの範囲内となる可能性がある)。いずれにせよ、本体部分704は、本体部分704が第1の端部720から第2の端部722まで延在するにつれて、減少する、前面724と後面726との間の距離として、本明細書で画定された厚さを有する。この実施例において、第1の端部720における厚さTfe2は、約1.25mmに等しく、第1の端部720と第2の端部722との間に位置する点732における厚さT2p1は、約1.15mmに等しく、第1の端部720と第2の端部722との間に位置する別の点733における厚さT2p2は、約0.90mmに等しく、第2の端部722における厚さTse2は、約0.40mmに等しい。しかしながら、他の実施例において、これらの厚さの値は、変化し得る。一実施例として、厚さTfe2は、約1.25mmより大きいが、2.0mm未満であり得、厚さT2p1は、約1.15mmより大きいが、1.9mm未満であり得、厚さT2p2は、約0.90mmより大きいが、1.65mm未満であり得る。本体部分704はまた、本体部分704が第1の端部720から第2の端部722に延在するにつれて、減少または先細になる高さを有し、そのため本体部分704の底部が、水平に対して角度を付けられ(図6O参照)、これはウェッジ604を隣接空間内に位置決めするのに役立ち得る。この実施例において、第1の端部720における高さHfe2は、約2mmに等しく、第1の端部720と第2の端部722との間の第1の点736における高さH2p1は、約1.72mmに等しく、また第1の端部720と第2の端部722との間の第2の点738における高さH2p2は、約1.48mmに等しい。しかしながら、他の実施例において、これらの高さの値は、変化し得る。
このように構築されて、ウェッジシステム600は、後方歯のための歯科修復処置(例えば、充填)において使用するために特別に設計される。このような歯科修復処置を実行することが所望されるとき、図6Rおよび図6Sに例解されるように、第1のウェッジ602は、修復される後方歯782と修復される後方歯782に隣接する後方歯784との間の隣接空間内に配設される。各歯が、頬舌幅Wtおよび幅Wt以下である臨床歯冠の高さHtを有しているため、歯782、784は、後方歯である。第1のウェッジ602は、アーム608Aの前面638およびマトリックスバンド610の前面654が修復プロセス中に充填剤を受容するように適合された空洞786を有する、修復される後方歯782に面するように、隣接空間内に配設される。一方で、アーム608Aの後面640およびマトリックスバンド610の後面656は、隣接する後方歯784に面する。
第1のウェッジ602が隣接空間内に位置決めされる前、後、または同時に、第2のウェッジ604が、隣接空間内に位置決めされる。第1のウェッジ602および第2のウェッジ604は、第2のウェッジ604が間隙652内に配設されるように位置決めされる。より具体的には、図6Rに最も良く例解されるように、第2のウェッジ604の本体部分704は、間隙652内、アーム608Aと608Bの間、およびウィング650の下に配設される。第2のウェッジ604がそのように位置決めされるとき、アーム608A、608Bは、本体部分704(特に表面724、726)によって互いから離れるように外側に付勢される。アーム608Aおよびマトリックスバンド610は、修復される後方歯782と密接に接触するように付勢され、一方アーム608Bは、隣接する歯784と密接に接触するように付勢される。より具体的には、マトリックスバンド610の前面654は、修復される後方歯782と接触し、マトリックスバンド610の実質的に全ての前面654が、後方歯782と接触する。
有利には、図6Rおよび図6Sに例解されるように、マトリックスバンド610が凹状の湾曲を有し、充填される空洞786が凸状であるので、マトリックスバンド610の前面654は、修復される後方歯782と同一面上でしっかりと噛み合う。マトリックスバンド610の湾曲はまた、輪郭を修復される後方歯の自然な輪郭に近接して一致させるかまたは接近させることによって、修復の輪郭を適切に成形する。さらに、マトリックスバンド610の湾曲は、マトリックスバンド610が後方歯782の空洞786を封止することを可能にし、歯科医が、過剰な材料を、防止とはいかないまでも、低減させながら、空洞786を充填することを可能にし、またウェッジ602を隣接空間内に固定させ、これによって後方歯782が修復されている間、ウェッジ602がこの位置から移動することを防止する。これはまた、第2のウェッジ604が、第1のウェッジ602の間隙652内に配設されているという事実によっても助けられる。
さらに、各前方歯は、右側および左側を有し、このことはウェッジバンド関係もまた、それぞれ右側構造および左側構造を有することを必要とするということが理解されるであろう。図6A〜図6Pに例解されたウェッジシステム600は、ヒト患者の口内の後方歯のそれぞれの右側を修復するための右手ウェッジとして特別に設計される。例解されていないが、ウェッジシステム600は、ヒト患者の口内の後方歯のそれぞれの左側を修復するための左手ウェッジとして使用するために特別に設計されるように反転させることができるということが理解されよう。
例示的な構成における別個の構成要素として提示された明細書、構造、および機能は、組み合わされた構造または構成要素として実装されてもよい。同様に、単一構成要素として提示された構造および機能は、別個の構成要素として実装されてもよい。これらのおよび他の変形、修正、追加、および改善は、本明細書の主題の範囲内にある。
本明細書において使用される際、「一実施形態」または「実施形態」に対する任意の参照は、実施形態と併せて説明された特定の要素、特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含められ得ることを意味する。本明細書の様々な場所の「一実施形態において」という語句の出現は、必ずしも全てが同一の実施形態を参照しているとは限らない。
本明細書に使用される際、「備える(comprises)、「備える(comprising)」、「含み得る(may include)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を網羅することを意図される。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されていないか、またはかかるプロセス、方法、物品もしくは装置に固有の他の要素を含み得る。さらに、正反対に明示的に述べられない限り、「または」は、排他的なまたはではなく、包括的なまたはであることを意味する。例えば、条件AまたはBは、Aが真(または存在)かつBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)かつBが真(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)のうちのいずれか1つによって満たされる。