JP2020106599A - 眼鏡レンズの設計方法および製造方法 - Google Patents
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Description
累進屈折力レンズである眼鏡レンズの装用者の眼の輻輳時における、単眼視リスティング法則に基づく眼球回旋後の眼球軸と、両眼視リスティング法則に基づく眼球回旋後の眼球軸との間のトーション差角δを用いて眼鏡レンズを設計する、眼鏡レンズの設計方法である。
累進屈折力レンズである片眼用の累進屈折力レンズである眼鏡レンズにおいては、処方値の一つである乱視軸Ax1の値に対して片眼のトーション差角δ1を減じた値を新たな乱視軸Ax1’として使用し、もう一方の片眼用の累進屈折力レンズである眼鏡レンズにおいては、処方値の一つである乱視軸Ax2の値に対してもう一方の片眼のトーション差角δ2を減じた値を新たな乱視軸Ax2’として使用し、一対の眼鏡レンズを設計する設計工程を有する。
トーション差角δを以下の(式1)を用いて得るトーション差角取得工程と、
設計工程と、
を有する。
l、m、n : 眼球の向く方向の単位ベクトル
a*=l×i*+m×j*+n×k* ・・・(式2)
における各係数であり、i*はX方向でのベクトル、
j*はY方向でのベクトル、k*はZ方向でのベクトルであり、
t : 右眼の場合はtanφ、左眼の場合は−tanφ
φ : α/5〜α/3の範囲の一つの値
α : 輻輳角
である。
眼球軸は、角膜頂点と中心窩とを通過する眼軸に対して垂直な軸であって眼球にとって上下方向の上下軸、または、眼軸および上下軸に対して垂直な軸であって眼球にとって左右方向の左右軸である。
累進屈折力レンズである眼鏡レンズの装用者の眼の輻輳時における、単眼視リスティング法則に基づく眼球回旋後の眼球軸と、両眼視リスティング法則に基づく眼球回旋後の眼球軸との間のトーション差角δを用いて眼鏡レンズを設計し、設計に基づき眼鏡レンズを加工する、眼鏡レンズの製造方法である。
また、本明細書においては、ベクトルには*を付す、またはベクトルに該当する記号を数式中にて太字で表現する。
本発明の一態様に係る眼鏡レンズの評価方法は、以下の通りである。
「累進屈折力レンズである眼鏡レンズの装用者の眼の輻輳時における、単眼視リスティング法則に基づく眼球回旋後の眼球軸と、両眼視リスティング法則に基づく眼球回旋後の眼球軸との間のトーション差角(Torsion difference angle)δを用いて眼鏡レンズを設計する、眼鏡レンズの設計方法。」
上下軸とは、眼球が無限遠の物体を見ているときの眼球の最底部から天頂部に至る方向の軸のことである。
左右軸とは、眼球が無限遠の物体を見ているときの眼球の水平方向での最も耳寄り部分から最も鼻寄り部分に至る方向の軸のことである。
以下、説明の便宜上、上下軸を例示するが、左右軸を使用する場合でも(式1)よってトーション差角δを表現可能である。
以下、本発明の一態様の更なる具体例、好適例および変形例について説明する。
累進屈折力レンズが中近レンズの場合、第一の屈折部は中間距離(例:1m程度)に対応する度数を備える中間部、第二の屈折部は該中間距離に比べて近方の距離(例:読書距離40cm)に対応する度数を備える近用部を意味する。
本工程では、トーション差角δを上記の(式1)を用いて得る。以下、(式1)の導出について、図1を用いて説明する。なお、以下の例においては右眼のトーション差角δ1を得る場合を挙げる。
ちなみに、正中面上の物体を見る場合だと、左右眼の方向が対称となる。その場合、左眼のトーション差角δ2は、δ1と絶対値としては同じとなる一方、右眼と左眼とでは、第一眼位から任意方向に向かって回転する際の方向がZ方向において逆なので、δ1の逆の符号が付される。
その一方で、正中面上以外の位置すなわち斜めの位置の物体を見る場合だと、左右眼の方向が非対称となる。その場合、右眼のトーション差角δ1と左眼のトーション差角δ2は絶対値として同じにならない。この場合、各眼のトーション差角δ(すなわちδ1またはδ2)を上記の(式1)を用いて得ることになる。その際、後掲の(式5)のtの値(ひいてはφの値)を各眼ごとに正しく設定する。
本発明の一態様においては、説明の簡略化のために、正中面上の物体を見る場合を仮定する。
第1眼位単位ベクトルをi*としたときの、輻輳時の眼位単位ベクトル
a*=l×i*+m×j*+n×k* ・・・(式2)
における各係数であり、i*はX方向でのベクトル、
j*はY方向でのベクトル、k*はZ方向でのベクトルである。
なお、まっすぐ前方遠くを見るときの第一眼位の場合、l=1,m=0,n=0、つまり、a*=i*である。
φ : 図1のX−Z平面における、Listing‘s planeをY軸周りに回転させてVelocity planeになる際の回転角。α/5〜α/3の範囲の一つの値(本発明の一態様だとα/4)
α : 輻輳角
(式5)を変形させると以下の式となる。
図2は、回転軸Bの単位ベクトルb*を法線とする平面にa*とx*とを投影させた場合の説明図である。
回転角θを求めるために、図2に示すように、b*を法線とする平面にa*とx*とを投影させた場合、以下の式が成り立つ。
図3は、一般式としての例示であって、n*を軸にしてr*がθだけ回転した後のr’*を求める様子を示す説明図である。
図3に示すr’ *を求めるための一般式は以下の導出により(式15)という形で得られる。
本工程においては、トーション差角取得工程にて得られたトーション差角δを基に眼鏡レンズを設計する。
本来、眼鏡レンズの装用者が任意の第三眼位(輻輳後眼位)へ眼を回旋させた、光軸である主光線と眼鏡レンズの交点の近辺では、眼の屈折異常の度数及び乱視成分を完全に矯正するように設計されることが理想である。しかしながら、実際には眼の屈折異常の度数及び乱視成分を部分的にしか矯正できない場合がある。矯正しきれなかった屈折異常成分を残存収差と呼ぶ。そしてこの残存収差は、残存非点収差と平均度数誤差の二つの収差量で表される。本発明の一態様においては、残存非点収差について取り扱う。
PDは左右眼ともに32mmとする。
この場合、各パラメータは以下の通りとなる。
輻輳角α=2×arcsin(32/300)=12.25度
φ=α/4=3.06度
右眼:t=tanφ=0.053486、方向余弦はl=0.861085、m=0.497147、n=0.106667。
左眼:t=−tanφ=−0.053486、方向余弦はl=0.861085、m=0.497147、n=−0.106667。
これらのパラメータを(式1)に代入して計算すると、
右眼のトーション差角δ1=−1.632°
左眼のトーション差角δ2=+1.632°
という値が得られる。
この場合、
右眼用の眼鏡レンズの乱視軸Ax1を90−δ1=91.632°
とし、
左眼用の眼鏡レンズの乱視軸Ax2を90−δ2=88.368°
として眼鏡レンズの設計を行うことにより、残存非点収差を解消することができる。
また、到達眼位が近方視に限定されないと述べたが、眼の輻輳角が大きくなる、近方視での輻輳時だと改善効果が大きい。
以下、トーション差角δの数学的な求め方を適用したうえでの、トーション差角取得工程および設計工程における一連の作業例を記載する。本発明の一態様での該作業例では光線追跡法を使用する。
「累進屈折力レンズである眼鏡レンズの装用者の眼の輻輳時における、単眼視リスティング法則に基づく眼球回旋後の眼球軸と、両眼視リスティング法則に基づく眼球回旋後の眼球軸との間のトーション差角δを用いて眼鏡レンズを設計し、設計に基づき眼鏡レンズを加工する、眼鏡レンズの製造方法。」
以下、本開示の「眼鏡レンズの設計方法および製造方法」について総括する。
本開示の一実施例は以下の通りである。
累進屈折力レンズである眼鏡レンズの装用者の眼の輻輳時における、単眼視リスティング法則に基づく眼球回旋後の眼球軸と、両眼視リスティング法則に基づく眼球回旋後の眼球軸との間のトーション差角δを用いて眼鏡レンズを設計する、眼鏡レンズの設計方法。
Claims (5)
- 累進屈折力レンズである眼鏡レンズの装用者の眼の輻輳時における、単眼視リスティング法則に基づく眼球回旋後の眼球軸と、両眼視リスティング法則に基づく眼球回旋後の眼球軸との間のトーション差角δを用いて眼鏡レンズを設計する、眼鏡レンズの設計方法。
- 累進屈折力レンズである片眼用の累進屈折力レンズである眼鏡レンズにおいては、処方値の一つである乱視軸Ax1の値に対して前記片眼のトーション差角δ1を減じた値を新たな乱視軸Ax1’として使用し、もう一方の片眼用の累進屈折力レンズである眼鏡レンズにおいては、処方値の一つである乱視軸Ax2の値に対して前記もう一方の片眼のトーション差角δ2を減じた値を新たな乱視軸Ax2’として使用し、一対の眼鏡レンズを設計する設計工程を有する、請求項2に記載の眼鏡レンズの設計方法。
- 前記トーション差角δを以下の(式1)を用いて得るトーション差角取得工程と、
前記設計工程と、
を有する、請求項2に記載の眼鏡レンズの設計方法。
l、m、n : 眼球の向く方向の単位ベクトル
a*=l×i*+m×j*+n×k* ・・・(式2)
における各係数であり、i*はX方向でのベクトル、
j*はY方向でのベクトル、k*はZ方向でのベクトルであり、
t : 右眼の場合はtanφ、左眼の場合は−tanφ
φ : α/5〜α/3の範囲の一つの値
α : 輻輳角
である。 - 前記眼球軸は、角膜頂点と中心窩とを通過する眼軸に対して垂直な軸であって眼球にとって上下方向の上下軸、または、前記眼軸および前記上下軸に対して垂直な軸であって眼球にとって左右方向の左右軸である、請求項1〜3のいずれかに記載の眼鏡レンズの設計方法。
- 累進屈折力レンズである眼鏡レンズの装用者の眼の輻輳時における、単眼視リスティング法則に基づく眼球回旋後の眼球軸と、両眼視リスティング法則に基づく眼球回旋後の眼球軸との間のトーション差角δを用いて眼鏡レンズを設計し、前記設計に基づき眼鏡レンズを加工する、眼鏡レンズの製造方法。
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JP2011508271A (ja) * | 2007-12-28 | 2011-03-10 | ローデンストック.ゲゼルシャフト.ミット.ベシュレンクテル.ハフツング | 両眼特性を考慮して眼鏡レンズ対を計算して最適化するための方法 |
JP2012066002A (ja) * | 2010-09-27 | 2012-04-05 | Hoya Corp | 眼鏡の視野画像表示装置 |
JP2012508895A (ja) * | 2008-11-13 | 2012-04-12 | ローデンストック.ゲゼルシャフト.ミット.ベシュレンクテル.ハフツング | 乱視屈折を補正するための眼鏡レンズの最適化及び形成 |
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