JP2020105064A - プラセオジム添加ルテチウム・アルミニウム・ガーネット焼結体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼結助剤であるSiを添加しないことでなし得る、Pr:LuAG単結晶と同等レベルの直線透過率を持つPr:LuAG焼結体であり、かつ、発光量や均一性に優れ、ガンマ線検出用シンチレーター材料に好適なPr:LuAG焼結体およびその製造方法を提供する。【解決手段】いずれも純度99.9重量%以上のLu2O3粉末、Al2O3粉末およびPr6O11粉末と、純水とを混ぜてスラリーを作製する工程と、前記スラリー中に、高温で焼失するバインダを添加し、撹拌し、造粒し、成形し、脱脂し、温度1700℃以上1800℃以下、真空度10-2Pa以下の雰囲気で焼結する工程とを有するSiの含有量が1ppm以下であるPr:LuAG焼結体の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、透明なプラセオジム添加ルテチウム・アルミニウム・ガーネット(Pr:LuAG)焼結体およびその製造方法に関する。
陽電子放射断層撮影(PET)法は、X線コンピュータ断層撮影法(CT)や磁気共鳴映像法(MRI)等の従来の画像診断では困難であった早期ガンの発見やアルツハイマー等の難病の治療に効果が期待されている方法である。以前は、ほとんどのPET装置検出器には、酸化ビスマスゲルマニウム(Bi4Ge3O12、以下「BGO」と表す。)単結晶が用いられていたが、近年の蛍光検出器の分解能の向上に伴い、発光量がより大きい材料や、蛍光の減衰時間がより短い材料が求められている。そのため、これらの特性がBGOより優れているセリウムドープケイ酸ガドリニウム(Ce:GSO)、セリウムドープケイ酸ルテチウム(Ce:LSO)、またはプラセオジムドープルテチウムアルミニウムガーネット(Pr:LuAG)等の単結晶がシンチレーター材料として使用され始めている。これらの材料は、BGOと比較して、発光量・蛍光の減衰時間の面で優れた材料である。これらのうち、特にPr:LuAGは、蛍光の減衰時間に関しては、他のシンチレーター材料よりも短く、PET装置の分解能の向上に寄与することができる。
Pr:LuAG単結晶は、発光量および蛍光寿命について、シンチレーター材料として優れた特性を有している。しかしながら、単結晶育成時において、一般的な単結晶製造方法であるチョクラルスキー法(Cz法)を用いるため、Prが偏析しやすく、単結晶中のPr濃度にバラツキが生じるという課題がある。また、Cz法には、原料を溶融させる工程があり、製造コストや製造時間がかかりやすいという課題がある。
このような中で、単結晶ではなく透明な焼結体、すなわちセラミックスでシンチレーター用のPr:LuAGを作製しようとする試みがされている。特許文献1では、透光性LuAG焼結体として、Siを20重量ppm〜300重量ppmの濃度で含有し、波長300〜800nmの光を厚さ5mmの試験片に入射したときの直線透過率が60%以上であるプラセオジム添加ルテチウムアルミニウムガーネット(Pr:LuAG)多結晶体が記載されている。特許文献2では、潮解性がなく、BGOの2倍以上の高発光量を有する多結晶透明LuAGセラミックスとして、Pr0.003Lu2.997Al5O12〜Pr0.30Lu2.70Al5O12、またはCe0.003Lu2.997Al5O12〜Ce0.30Lu2.70Al5O12を基本構成とし、Si、または、CaおよびMgの少なくとも一種ならびにSiを酸化物換算で100〜10000重量ppm含有し、かつ、焼結助剤を500〜3000重量ppm含有するセラミックスが記載されている。特許文献1および2では、微量のSiを焼結助剤として添加することで、焼結体を透明化し、緻密化している。
しかしながらSiを添加すると、結晶性が低下し異相による透過率低下が起きやすいことが知られている。また、結晶中へのSiの拡散はPrの価数に影響を与えることが報告されており、Pr:LuAGの蛍光の発光量に影響してしまう可能性もある。このため、単結晶の特性に近づけるには、余分な成分であるSiはできるだけ用いないことが望ましい。
本発明は、焼結助剤であるSiを添加しなくても、Pr:LuAG単結晶と同等レベルの直線透過率を持つPr:LuAG焼結体であって、発光量や均一性に優れ、ガンマ線検出用シンチレーター材料に好適なPr:LuAG焼結体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のPr:LuAG焼結体は、Siの含有量が1ppm以下であり、波長400nmと波長700nmの光を、厚さ2mmの焼結体に入射したときの直線透過率が80%以上であることを特徴とする。
このような性状を備える本発明のPr:LuAG焼結体は、透明性が高く、多結晶であるにもかかわらず、単結晶と同等レベルの直線透過率を持つ。
このような性状を備える本発明のPr:LuAG焼結体は、透明性が高く、多結晶であるにもかかわらず、単結晶と同等レベルの直線透過率を持つ。
本発明のPr:LuAG焼結体の製造方法は、いずれも純度99.9重量%以上のLu2O3粉末、Al2O3粉末およびPr6O11粉末と、純水とを混ぜてスラリーを作製する工程と、前記スラリー中に、高温で焼失するバインダを添加し、撹拌し、造粒し、成形し、脱脂し、温度1700℃以上1800℃以下、真空度10-2Pa以下の条件下で20時間以上、焼結する工程とを有することを特徴とする。
つまり、従来技術に比べて、焼結時に高真空に減圧し、焼結助剤にSiを添加しなくても、透明な焼結体を作製することができる。
さらに、焼結時の真空度は10-4Pa以下であることが好ましい。
真空焼結後にさらに酸素含有雰囲気中で常圧で熱処理することが好ましい。
つまり、従来技術に比べて、焼結時に高真空に減圧し、焼結助剤にSiを添加しなくても、透明な焼結体を作製することができる。
さらに、焼結時の真空度は10-4Pa以下であることが好ましい。
真空焼結後にさらに酸素含有雰囲気中で常圧で熱処理することが好ましい。
本発明の製造方法を用いることで、焼結助剤を添加しなくても、単結晶と同等レベルの直線透過率を持つ、透明なPr:LuAG焼結体を作製することができる。
前記製造方法は、焼結法であるため、チョクラルスキー法(Cz法)等により作製する単結晶と比較して、ドーパントであるPrの偏析が少なく、発光量や均一性に優れたシンチレーター材料を得ることができる。また、原料の融点より低い温度で製造可能なため、製造コスト面の改善も期待できる。
本発明の透明なPr:LuAG焼結体は、通常の放射線検出用シンチレーター単結晶の代わりに使用できるが、薄い焼結体を複数層重ねることで、近年開発されている、単独で照射源の方向を検知するシンチレータープレートにも応用できる。
前記製造方法は、焼結法であるため、チョクラルスキー法(Cz法)等により作製する単結晶と比較して、ドーパントであるPrの偏析が少なく、発光量や均一性に優れたシンチレーター材料を得ることができる。また、原料の融点より低い温度で製造可能なため、製造コスト面の改善も期待できる。
本発明の透明なPr:LuAG焼結体は、通常の放射線検出用シンチレーター単結晶の代わりに使用できるが、薄い焼結体を複数層重ねることで、近年開発されている、単独で照射源の方向を検知するシンチレータープレートにも応用できる。
本発明のプラセオジム添加ルテチウム・アルミニウム・ガーネット(Pr:LuAG)焼結体は、いずれも純度が99.9重量%以上のLu2O3粉末、Al2O3粉末およびPr6O11粉末と、純水とを混ぜてスラリーを作製し、前記スラリー中に、高温で焼失するバインダを添加し、攪拌し、造粒し、成形し、脱脂し、温度1700℃以上1800℃以下、真空度10-2Pa以下の条件下で20時間以上、焼結することにより製造する。このようなPr:LuAG焼結体は不可避不純物として含まれるSiの量が1ppm以下であり、波長400nmと波長700nmの光を厚さ2mmの焼結体に入射したときの直線透過率が80%以上である。
以下、本発明のPr:LuAG焼結体の製造方法について詳細に説明する。図1は、Pr:LuAG焼結体の製造工程を示すフロー図である。
前記Pr:LuAG焼結体の原料には、純度99.9重量%以上のLu2O3粉末と、純度99.9重量%以上のAl2O3粉末と、純度99.9重量%以上のPr6O11粉末とが用いられる。
前記Pr:LuAG焼結体の原料には、純度99.9重量%以上のLu2O3粉末と、純度99.9重量%以上のAl2O3粉末と、純度99.9重量%以上のPr6O11粉末とが用いられる。
Lu2O3粉末には、市販されている汎用の酸化ルテチウム粉末を用いることができる。平均粒径は2μm以下が好ましい。また、酸化ルテチウムは、高融点であるため、焼結温度1700℃以上1800℃以下は、酸化ルテチウムの融点より大分低温であるが、高真空条件にすることで、焼結に適した原料を調製する必要はなく、市販の汎用品を用いることができる。
Al2O3粉末は、不純物による可視光線領域の固有吸収を抑制させる働きがある。Al2O3粉末には、市販の汎用品を用いることができ、平均粒径0.3μm以下のものを用いることが好ましい。
Pr6O11粉末は、焼結助剤としての働きと、淡緑系の着色剤としての働きとを備え、透光性を向上させるとともに、材料に透明性を与えることができる。つまり、Pr6O11粉末を添加すると、主に青色光が吸収され、材料自体が淡緑色を帯びた透明になる。前記Pr6O11粉末には、市販の汎用品を用いることができ、平均粒径10μm以下のものを用いることが好ましい。平均粒径0.5μm以下であれば、均一分散性が高まりより好ましい。
これらの原料粉末の平均粒径は、マイクロトラック法で測定する。原料粉末は小さいほど、焼結性や焼結体の均一性の観点から好ましい。特に、硬いAl2O3は、スラリーにした後にポットミルに投入しても粉砕されにくいので0.1μm以下であることがより好ましい。
Lu2O3粉末、Al2O3粉末およびPr6O11粉末は、混合前にそれぞれ焙焼する(ステップS1)。このような予備処理を施すことで、原料中の不純物や付着水分を除去するとともに、各原料について化学的組成を揃え、最終的に得られる焼結体の純度を上げることができる。
ここで、純度99.9重量%以上とは、Lu2O3、Al2O3およびPr6O11の結晶構造や、これらに混入する不純物濃度などがいずれも0.1重量%未満であることをいう。なお、純度は、Lu2O3、Al2O3またはPr6O11の粉末を酸に溶解させた後、ICP発光分析法により測定対象となる元素(Lu、AlおよびPr)の質量を測定して求める。
焙焼後のLu2O3粉末、Al2O3粉末およびPr6O11粉末をそれぞれ秤量した後、混合する(ステップS2)。前記混合物における、Lu2O3粉末、Al2O3粉末およびPr6O11粉末は、作製しようとするPr:LuAGの原子比と合うような重量比で正確に秤量して混合する。なお、Al2O3粉末の添加量が過大であったり、平均粒径が大きいと、焼成中にAlが焼結したLu2O3の粒界に析出することがあり、得られる焼結体の透光性の低下に繋がることがあるので注意を要する。
次いで、前記混合物に対して、純水を添加してスラリーを作製し、該スラリー中に、高温で焼失するバインダを添加する。
純水には、塩類や有機物などの不純物が少なく純度の高い水が用いられる。純水には、不純物を取り除く方法により、イオン交換樹脂などにより塩類を除去した脱塩水、逆浸透膜を通したRO水、および蒸留水などの精製水があり、いずれを用いてもよい。純水は、スラリーの取り扱いが容易になる程度の量で添加する。
バインダは、後述する脱脂処理で高温で消失するものであればよく、具体的には、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、およびアルコールなどがある。バインダは、スラリーが造粒可能になる程度の量で添加する。
スラリーにバインダを添加した後、ボールミルなどを用いて湿式混合して、均一な組成にしたものを造粒する(ステップS3、S4)。造粒の方法には、攪拌羽根の粉砕作用による攪拌造粒、スプレードライ(噴霧乾燥)、またはスラリーをスクリュー、ピストンもしくはロール等の作用で圧力を加えて、有穴板から押し出して粒状化する押出成形などがある。本発明では、粒形が揃うことやハンドリング容易の観点から、スプレードライを用いることが好ましい(ステップS4)。
粒子はさらに、一軸成形などの金型プレス法や、冷間等方圧加圧法(CIP)を用いて成形体を形成する(ステップS5、S6)。金型プレスで一軸方向から加圧した後、CIPにより等方的に加圧することで、密度の均一な成形体が得られる。
得られた粒子は、大気中で例えば900℃程度の高温下に曝して脱脂処理を施した後(ステップS7)、温度1700℃以上1800℃以下でかつ、真空度10-2Pa以下の条件下で焼結する(ステップS8)。このとき、焼結温度が1700℃未満であると、焼結体を十分に緻密化できないことがある。一方、焼結温度が1800℃を超えると、逆に透明度が低下してしまうことがある。前記焼結温度に加えて、真空度を10-2Pa以下と、できるだけ減圧にする。特に、焼結の最高温度に達したときには、10-4Paよりも高真空になっていることが好ましく、より好ましくは10-5Pa以下である。焼結をこのような高真空条件下に行うことで、気孔を除去する効果が得られる。
前記焼結は、最低でも20時間以上行い、好ましくは30時間程度行う。20時間以上焼結することにより、気孔を取り除き焼結体を緻密にすることができる。
前記焼結は、最低でも20時間以上行い、好ましくは30時間程度行う。20時間以上焼結することにより、気孔を取り除き焼結体を緻密にすることができる。
前記した真空焼結後、さらに酸素含有雰囲気中で常圧で熱処理することが好ましい。真空焼結では、粒成長を伴いながら焼結が進行するため、得られる焼結体中に気孔が残存する。その残存気孔や粒成長は、変色の原因になるなど、焼結体の性質を低下させる要因となる。そのため、真空焼結の後、さらに常圧で熱処理をすることで、粒子の接触部が結合して、より強固な焼結体とすることができる。なお、このときの熱処理温度は1150〜1400℃、熱処理時間は3〜30時間である。
焼結または熱処理後は、酸素含有雰囲気下、具体的には大気中で自然空冷し(ステップS9)、例えば、ダイヤモンド砥石を用いた研磨や、レーザー切断等の通常の加工方法を用いて、所望の形状に成形する(ステップS10)。
本発明の製造方法では、Lu2O3粉末、Al2O3粉末およびPr6O11粉末の混合物を、所定の温度・圧力の条件下に焼結して、これらの原料を構成する金属元素を所定の割合で含む複合酸化物、すなわち、Pr:LuAG焼結体を作製する。前記製造方法では、焼結助剤としてSiを添加しないため、焼結体中に含まれるSiの量は不可避的に含まれるものに限られ、その含有量は1ppm以下である。このように高純度のPr:LuAG焼結体は、透明性および透光性を実現でき、波長400nmから波長800nmの光を厚さ2mmのPr:LuAG焼結体に入射したときの特異吸収以外の直線透過率は80%以上となる。特異吸収とは、Pr:LuAG焼結体を構成するPr、LuまたはAlなどの元素がそれぞれ特定の波長において示す特異的な吸収をいう。直線透過率は、分光光度計を用いて測定する。
本発明のPr:LuAG焼結体は、透明性および透光性に優れるため、ガンマ線などの放射線検出用シンチレーター単結晶の代わりに使用できる。また、薄い焼結体を複数層重ねることで、単独で照射源の方向を検知するシンチレータープレートにも応用できる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、下記実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
まず、純度99.9%で平均粒径1μmのLu2O3粉末と、純度99.9%で平均粒径0.2μmのAl2O3粉末とをそれぞれ焙焼し、これらの原料粉に含まれる不純物や付着水分を取り除いた。その後、純度99.9%で平均粒径6.8μmのPr6O11粉末0.36gと、焙焼後のLu2O3粉末139.99gと、Al2O3粉末59.65gとをそれぞれ正確に量りとり、フィルターろ過により不純物を除いた99.9%エタノールおよびアクリル系バインダを添加し、アルミナボールを用いたボールミルにより19時間混合した。
[実施例1]
まず、純度99.9%で平均粒径1μmのLu2O3粉末と、純度99.9%で平均粒径0.2μmのAl2O3粉末とをそれぞれ焙焼し、これらの原料粉に含まれる不純物や付着水分を取り除いた。その後、純度99.9%で平均粒径6.8μmのPr6O11粉末0.36gと、焙焼後のLu2O3粉末139.99gと、Al2O3粉末59.65gとをそれぞれ正確に量りとり、フィルターろ過により不純物を除いた99.9%エタノールおよびアクリル系バインダを添加し、アルミナボールを用いたボールミルにより19時間混合した。
得られたスラリーから、スプレードライヤを用いて、平均粒径60μmの造粒粉を作製した。この造粒粉を10MPaでの一軸金型成形、さらに、200MPaでのCIPにより、成形体とした後、大気中、900℃で脱脂処理を行った。
得られた脱脂体を、真空雰囲気下(高温時は10-4Pa以下をキープ)、1750℃で30時間焼結した。
なお、真空条件は、焼結開始時は5.2×10-3Paとし、高温時にさらに10-5〜10-4Paの高真空とした。
得られた脱脂体を、真空雰囲気下(高温時は10-4Pa以下をキープ)、1750℃で30時間焼結した。
なお、真空条件は、焼結開始時は5.2×10-3Paとし、高温時にさらに10-5〜10-4Paの高真空とした。
この焼結体を、1250℃で6時間、常圧で熱処理し、酸素欠陥による変色を除去した。常圧焼結後の焼結体を直径15mmおよび厚さ2mmの両面光学研磨品に加工し、分光光度計を用いて、波長200〜1000nmにおける直線透過率を測定した。図2に示すとおり、Pr:LuAGの蛍光波長のピークである310nmで70.32%、375nmで80.68%、400nmで81.13%、700nmで82.55%であった。
また、常圧焼結後の焼結体の元素分析の結果を図3に示す。図3より、シリコンが含まれていないことが確認できた。
また、常圧焼結後の焼結体の元素分析の結果を図3に示す。図3より、シリコンが含まれていないことが確認できた。
また、この焼結体と同条件で作製し厚さ5mmに研磨加工した試験片について、波長633nmの透過率を測定したところ、透過率は80%以上であった。
焼結方法を変更することで、従来は焼結助剤を用いなければできなかった、透明なPr;LuAGの焼結体を得ることができた。
焼結方法を変更することで、従来は焼結助剤を用いなければできなかった、透明なPr;LuAGの焼結体を得ることができた。
[参考例1]
脱脂体の1750℃での焼結時間を30時間から10時間に変更したこと以外は、実施例1と同じ条件で、Pr:LuAG焼結体を製造した。
実施例1と同様にして、直径15mmおよび厚さ2mmの両面光学研磨品を作製し、分光光度計を用いて、波長200〜1000nmにおける直線透過率を測定した。
Pr:LuAGの蛍光波長のピークである310nmで54.99%、375nmで68.38%、400nmで67.25%、700nmで72.3%であった。
脱脂体の1750℃での焼結時間を30時間から10時間に変更したこと以外は、実施例1と同じ条件で、Pr:LuAG焼結体を製造した。
実施例1と同様にして、直径15mmおよび厚さ2mmの両面光学研磨品を作製し、分光光度計を用いて、波長200〜1000nmにおける直線透過率を測定した。
Pr:LuAGの蛍光波長のピークである310nmで54.99%、375nmで68.38%、400nmで67.25%、700nmで72.3%であった。
[参考例2]
脱脂体の焼結温度を1750℃から1800℃に変更し、焼結時間を30時間から10時間に変更したこと以外は、実施例1と同じ条件で、Pr:LuAG焼結体を製造した。
実施例1と同様に、直径15mmおよび厚さ2mmの両面光学研磨品を作製し、分光光度計を用いて、波長200〜1000nmにおける直線透過率を測定した。
Pr:LuAGの蛍光波長のピークである310nmで58.78%、375nmで68.87%、400nmで69.8%、700nmで73.58%であった。
脱脂体の焼結温度を1750℃から1800℃に変更し、焼結時間を30時間から10時間に変更したこと以外は、実施例1と同じ条件で、Pr:LuAG焼結体を製造した。
実施例1と同様に、直径15mmおよび厚さ2mmの両面光学研磨品を作製し、分光光度計を用いて、波長200〜1000nmにおける直線透過率を測定した。
Pr:LuAGの蛍光波長のピークである310nmで58.78%、375nmで68.87%、400nmで69.8%、700nmで73.58%であった。
[参考例3]
焼結体の常圧での焼結温度を1250℃から1400℃に変更したこと以外は、実施例1と同じ条件でPr:LuAG焼結体を製造した。
実施例1と同様に、直径15mmおよび厚さ2mmの両面光学研磨品を作製し、分光光度計を用いて、波長200〜1000nmにおける直線透過率を測定した。
Pr:LuAGの蛍光波長のピークである310nmで62.22%、375nmで68.38%、400nmで68.13%、700nmで69.14%であった。つまり、不可避的不純物以外にSiを含まない参考例1から3の場合であっても、実施例1のPr:LuAG焼結体に比べて、波長375nmと700nmにおける直線透過率は、65%は超えるものの80%未満であり、低かった。
焼結体の常圧での焼結温度を1250℃から1400℃に変更したこと以外は、実施例1と同じ条件でPr:LuAG焼結体を製造した。
実施例1と同様に、直径15mmおよび厚さ2mmの両面光学研磨品を作製し、分光光度計を用いて、波長200〜1000nmにおける直線透過率を測定した。
Pr:LuAGの蛍光波長のピークである310nmで62.22%、375nmで68.38%、400nmで68.13%、700nmで69.14%であった。つまり、不可避的不純物以外にSiを含まない参考例1から3の場合であっても、実施例1のPr:LuAG焼結体に比べて、波長375nmと700nmにおける直線透過率は、65%は超えるものの80%未満であり、低かった。
[比較例1]
実施例1において、ボールミル工程において、スラリーにさらにテトラエトキシシラン(TEOS)を0.5wt%を添加したこと以外は、実施例1と同じ条件で、焼結体を作製した。
実施例1と同様にして、直径15mmおよび厚さ2mmの両面光学研磨品を作製し、分光光度計を用いて、波長200〜1000nmにおける直線透過率を測定した。
Pr:LuAGの蛍光波長のピークである310nmで44.28%、375nmで50.77%、400nmで51.46%、700nmで59.35%であった。つまり、不可避的不純物以外にSiを含まない実施例1のPr:LuAG焼結体に比べて、比較例1の焼結体では、波長375nmと700nmにおける直線透過率は、60%未満であり、低かった。
実施例1において、ボールミル工程において、スラリーにさらにテトラエトキシシラン(TEOS)を0.5wt%を添加したこと以外は、実施例1と同じ条件で、焼結体を作製した。
実施例1と同様にして、直径15mmおよび厚さ2mmの両面光学研磨品を作製し、分光光度計を用いて、波長200〜1000nmにおける直線透過率を測定した。
Pr:LuAGの蛍光波長のピークである310nmで44.28%、375nmで50.77%、400nmで51.46%、700nmで59.35%であった。つまり、不可避的不純物以外にSiを含まない実施例1のPr:LuAG焼結体に比べて、比較例1の焼結体では、波長375nmと700nmにおける直線透過率は、60%未満であり、低かった。
実施例1、参考例1〜3および比較例1の透過率について表1にまとめた。
本発明のプラセオジム添加ルテチウム・アルミニウム・ガーネット焼結体は、ガンマ線検出用シンチレーター材料として、ポジトロン断層法(PET)装置などに用いられる。
Claims (4)
- Siの含有量が1ppm以下であり、波長400nmと波長700nmの光を、厚さ2mmの焼結体に入射したときの直線透過率が80%以上であることを特徴とするPr:LuAG焼結体。
- いずれも純度99.9重量%以上のLu2O3粉末、Al2O3粉末およびPr6O11粉末と、純水とを混ぜてスラリーを作製する工程と、
前記スラリー中に、高温で焼失するバインダを添加し、撹拌し、造粒し、成形し、脱脂し、温度1700℃以上1800℃以下、真空度10-2Pa以下の条件下で20時間以上、焼結する工程とを有することを特徴とする、Pr:LuAG焼結体の製造方法。 - 焼結時の真空度が10-4Pa以下であることを特徴とする、請求項2に記載のPr:LuAG焼結体の製造方法。
- 真空焼結後にさらに酸素含有雰囲気中で常圧で熱処理焼結することを特徴とする請求項2または3に記載のPr:LuAG焼結体の製造方法。
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JP2018241531 | 2018-12-25 | ||
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---|---|---|---|---|
CN113683420A (zh) * | 2021-07-27 | 2021-11-23 | 中国科学院金属研究所 | 一种大尺寸Al2O3/LuAG定向凝固共晶陶瓷及其光悬浮区熔制备方法 |
JP2021194441A (ja) * | 2020-06-18 | 2021-12-27 | 京楽産業.株式会社 | 遊技機 |
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2019
- 2019-11-08 JP JP2019202848A patent/JP2020105064A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021194441A (ja) * | 2020-06-18 | 2021-12-27 | 京楽産業.株式会社 | 遊技機 |
CN113683420A (zh) * | 2021-07-27 | 2021-11-23 | 中国科学院金属研究所 | 一种大尺寸Al2O3/LuAG定向凝固共晶陶瓷及其光悬浮区熔制备方法 |
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