次に、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る選別装置1を示す図である。なお、以下の説明では、破砕片の搬送方向の上流及び下流を単に上流及び下流等と称する。
図1に示すように、選別装置1は、供給部11と、第1搬送部12aと、第2搬送部12bと、第3搬送部12cと、カメラ(取得部)13と、上面照明部14aと、2つの側面照明部14bと、下面照明部14cと、選別部15と、制御部16と、を備える。
供給部11は、破砕片を第1搬送部12aへ供給する。破砕片は、鉄合金又はアルミニウム合金等の金属の部材(例えば板状の部材)を破砕機等で処理することで得られる。供給部11は、斜面であってもよいし、ベルトコンベアであってもよい。また、供給部11の上流側の端部は、破砕機等から排出された破砕片を投入する投入部と接続されている。なお、この構成に代えて、供給部11の上流側の端部を破砕機等と接続し、破砕機から排出された破砕片を自動的に供給する構成としてもよい。
第1搬送部12aは、供給部11から供給された破砕片を下流側へ搬送する。破砕片が第1搬送部12aの搬送面(測定面)に載せられて搬送される間に、破砕片における添加金属の含有割合が測定される。第2搬送部12b及び第3搬送部12cは、第1搬送部12aの下流側に配置されている。第1搬送部12aによって搬送された破砕片のうち、添加金属の含有割合が低い破砕片(図1において符号41で示す破砕片41)が第2搬送部12bに送られる。一方、第1搬送部12aによって搬送された破砕片のうち、添加金属の含有割合が高い破砕片(図1において符号42で示す破砕片42)が第3搬送部12cに送られる。
第1搬送部12a〜第3搬送部12cは、本実施形態では何れもプーリでベルトを駆動するベルトコンベアであるが、破砕片を搬送可能であれば別の構成(例えば、振動コンベア又は斜面等)であってもよい。また、上記の構成に代えて、添加金属の含有割合が低い破砕片41が第3搬送部12cに送られ、添加金属の含有割合が高い破砕片42が第2搬送部12bに送られる構成であってもよい。
カメラ13は、第1搬送部12aにより搬送される破砕片を所定の方向から撮像することで、当該破砕片の外観を示す外観画像を取得する。外観画像は、破砕片の表面形状に関する情報を含むもの(2次元画像、写真等)であり、「表面情報」に相当する。本実施形態では、カメラ13は、第1搬送部12aの上側に配置されている。
カメラ13は、第1搬送部12aを上方向から撮像することで、第1搬送部12aの上面の外観画像を取得する。なお、カメラ13は、破砕片の側面を撮像する構成であってもよい。また、第1搬送部12aの一部を透明等して、破砕片の底面をカメラ13により撮像する構成であってもよい。
上面照明部14a及び側面照明部14bは、第1搬送部12aにより搬送される破砕片の表面に光を照射する。言い換えれば、上面照明部14a及び側面照明部14bは、破砕片における、カメラ13が外観画像を取得する箇所を含んだ位置に光を照射する。本実施形態では、カメラ13は破砕片に対してその上側に配置されているため、上面照明部14a及び側面照明部14bは破砕片の上面を含んだ位置に光を照射する。
上面照明部14aは、側面視(図1)において、破砕片の搬送方向の位置がカメラ13と重なるように配置されている。この上面照明部14aは、鉛直方向下向きに光を照射する。2つの側面照明部14bは、カメラ13よりも上流側と下流側とに配置されており、破砕片に向けて斜め下向きに光を照射する。上面照明部14a及び側面照明部14bが照射した光は、カメラ13の下方において重なるようになっている。
本実施形態では、カメラ13よりも上流側と下流側とに側面照明部14bを配置しているが、破砕片の搬送方向下流側を向いて(言い換えれば、下流側を前側としたときにおいて)左側と右側に側面照明部14bを配置してもよい。
上面照明部14a及び側面照明部14bの少なくとも一方を省略してもよい。また、上面照明部14a及び側面照明部14bのそれぞれの個数を、本実施形態と異なる数にしてもよい。また、外部の照明(例えば、選別装置1が配置される工場に設けられた照明)を用いて、破砕片を照らしてもよい。
下面照明部(裏面照明部)14cは、第1搬送部12aにより搬送される破砕片の裏面に光を照射する。言い換えれば、下面照明部14cは、カメラ13が外観画像を取得する箇所の反対側を含んだ位置に光を照射する。本実施形態では、カメラ13は破砕片の上側に配置されているため、下面照明部14cは破砕片の下面に光を照射する。
下面照明部14cが照射する光が破砕片に届くように、第1搬送部12aのうち少なくとも下面照明部14cの上方に位置する部分は、透明の部材を設ける、あるいは孔を形成する等して、光透過性を有している。
本実施形態では下面照明部14cは1つであるが、2つ以上であってもよい。また、本実施形態では下面照明部14cはカメラ13の真下に配置されているが、カメラ13の斜め下方に配置されていてもよい。詳細は後述するが、下面照明部14cは省略することもできる。
選別部15は、第1搬送部12aを搬送される破砕片を、第2搬送部12bに送るか、第3搬送部12cに送るかを切換可能に構成されている。本実施形態では、選別部15は圧縮空気を噴射可能に構成されている。選別部15が圧縮空気を噴射した場合、破砕片は圧縮空気により飛ばされて第2搬送部12bへ送られる。一方、選別部15が圧縮空気を噴射しない場合、破砕片は第1搬送部12aから落下して、第3搬送部12cに送られる。
選別部15は、別の構成により破砕片を選別してもよい。例えば、第1搬送部12aの下流側の端部に可動式の案内板を設置し、案内板が第1位置にあるときは破砕片を第2搬送部12bに案内し、案内板が第2位置にあるときは破砕片を第3搬送部12cに案内する構成であってもよい。なお、本実施形態では、上述のように添加金属の含有割合が低い破砕片41が第2搬送部12bに送られる場合は、選別部15において破砕片42が圧縮空気により飛ばされる。後述する選別率に関連して、破砕片41と破砕片42のうち、想定される絶対量が少ない方を選別部15において圧縮空気により飛ばして第2搬送部12bに送る方が好ましい。
制御部16は、FPGA、ASIC、又はCPU等の演算装置により実現される。制御部16は、予め作成されたプログラムを読み出して実行することで、選別装置1に関する様々な処理を実行可能に構成されている。以下の説明では、制御部16が実行する処理のうち一部の処理について説明するが、制御部16はそれ以外の処理についても実行可能である。
制御部16は、搬送制御部21と、カメラ制御部22と、照明制御部23と、画像処理部24と、選別制御部25と、分布取得部26と、選別率設定部27と、閾値算出部28と、を備える。
具体的に説明すると、制御部16はコンピュータとして実現されている。そして、上述したソフトウェアとハードウェアの協働により、制御部16を、搬送制御部21、カメラ制御部22、照明制御部23、画像処理部24、選別制御部25、分布取得部26、選別率設定部27、及び閾値算出部28として機能させることができる。
搬送制御部21は、第1搬送部12a〜第3搬送部12cの駆動を制御する。
カメラ制御部22は、カメラ13の動作(特に撮像するタイミング)を制御する。
照明制御部23は、上面照明部14a、側面照明部14b、及び下面照明部14cの動作(特にON/OFF)を制御する。
画像処理部24は、カメラ13が撮像した外観画像を画像処理して解析する。
選別制御部25は、画像処理部24の解析結果に応じて、選別部15の動作(圧縮空気の噴射の有無)を制御する。
分布取得部26は、画像処理部24の解析結果に応じて、現れる皺の傾向の分布を取得する。
選別率設定部27は、選別の結果として破砕片41と破砕片42がそれぞれどのような割合になるかについて、ユーザの設定を可能とする。
閾値算出部28は、選別制御部25が選別部15の動作を制御する基準となる閾値を算出する。
次に、制御部16が行う詳細な制御について、図2から図5を参照して詳細に説明する。
破砕片に含まれる添加金属の含有割合によって、当該破砕片のリサイクル用途は異なる。しかし、破砕片に含まれる添加金属の含有割合を求めることは容易ではない。ここで、添加金属は、鉄合金又はアルミニウム等の金属(例えば金属板)の強度を向上させるために添加される。従って、添加金属の含有割合が高い破砕片は、相対的に強度が高く、金属が破砕機により処理される際に変形しにくい。逆に、添加金属の含有割合が低い破砕片は、相対的に強度が低く、金属が破砕機により処理される際に変形し易い。
例えば、添加金属の含有割合が低い鋼板であるほど、破砕機に投入されたときに丸みを帯びるように折り曲げられ易くなり、これにより鋼板の端部が破砕片の表面に皺となって現れ易くなる。選別装置1は、この特徴を用いて破砕片を選別するものである。以下、具体的に説明する。
図2は、破砕片の選別時に制御部16が行う処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、1つの破砕片を選別する処理を示している。なお、このフローチャートは、一例であり、処理の順序を変更したり、他の処理を追加したり、一部の処理を省略することができる。選別装置1には、連続的に破砕片が供給されるので、それぞれの破砕片に対して図2の処理が行われる。
初めに、制御部16(照明制御部23)は、下面照明部14cをONにして光を照射させ、更に上面照明部14a及び側面照明部14bをOFFにして光を照射させない状態にする(ステップS101)。この状態で、制御部16(カメラ制御部22)は、カメラ13に破砕片の外観画像を取得させる(ステップS101)。ステップS101で取得した外観画像を第1画像と称する。図3の左側の画像に示すように、第1画像は、破砕片の裏側から光を照射しているため逆光となる。従って、第1画像において破砕片が存在する部分は、破砕片の形状に関係なく黒くなり易い。一方、第1画像において破砕片が存在しない部分は、下面照明部14cが照射した光により白くなり易い。なお、下面照明部14cを省略する場合は、ステップS101が省略され、後述のステップS102で得られた第2画像を用いて、ステップS103及びS104の処理が行われる。
次に、制御部16(照明制御部23)は、下面照明部14cをOFFにして光を照射させず、更に上面照明部14a及び側面照明部14bをONにして光を照射させる状態にする(ステップS102)。この状態で、制御部16(カメラ制御部22)は、カメラ13に破砕片の外観画像を取得させる(ステップS102)。ステップS102で取得した外観画像を第2画像と称する。図4に示すように、第2画像は、破砕片の表面に光を照射しているため、全体的に明るい(白っぽい)画像が得られるが、皺が生じている部分とそうでない部分を区別可能である。
第1画像と第2画像は、同じアングルかつ同じ縮尺にすることが好ましい。従って、制御部16は、ステップS101とステップS102を短時間の間に行うことが好ましい。あるいは、制御部16(搬送制御部21)は、ステップS101を行ってからステップS102を行うまで第1搬送部12aを停止させてもよい。
次に、制御部16(画像処理部24)は、ステップS101で取得した第1画像に基づいて演算領域を算出する(ステップS103)。ここで、演算領域とは、破砕片の皺の割合を求める領域(即ち、演算を行う領域)である。具体的には、制御部16は、第1画像に画像処理を行い、画像の明るさが所定の閾値以下の画素を特定する。これにより、第1画像における破砕片の全体の領域が求められる(図3の右側の画像を参照)。なお、制御部16は、破砕片から離れた箇所においてノイズ等により明るさが低い画素が特定されないように、例えば大きさが所定以下の暗い領域を無視する。次に、制御部16は、破砕片の全体の領域から所定の画素数だけ内側の領域を演算領域として算出する(図3の右側の画像を参照)。
次に、制御部16(画像処理部24)は、第2画像における演算領域についてエッジ処理を行う(ステップS104)。エッジ処理とは、1枚の第2画像について、画像の明るさの変化量が所定以上となる領域であるエッジ領域を特定する処理である。画像の明るさの変化量が所定以上となる領域か否かの判定は、画素毎に行う。なお、画像の明るさの変化量が所定以上となる画素だけでなく、その周囲の数画素をエッジ領域に含めてもよい。あるいは、所定数の画素を1単位領域として当該1単位領域に属する画素の明るさの平均値等を求め、その明るさの平均値等(1単位領域の明るさ)を隣接する他の単位領域の明るさと比較してもよい。
図4の右側には、エッジ処理を行った後の画像が示されている(白い部分がエッジ領域に相当する)。図4に示すように、破砕片の表面の皺が生じている領域は、エッジ処理を行うことでエッジ領域として特定される。このように、本実施形態では、1枚の2次元画像における明るさの分布に基づいてエッジ領域を特定する。
次に、制御部16(画像処理部24)は、エッジ割合(エッジ領域/演算領域)を算出する(ステップS105)。具体的には、制御部16は、ステップS104で算出したエッジ領域の面積を、ステップS103で算出した演算領域の面積で除することによって、エッジ割合を求める。エッジ割合とは、破砕片の表面全体における、皺が生じている領域の割合である。図5では、エッジ領域が白色で示されており、皺の割合が多いほどエッジ割合が高くなることが示されている。
ここで、ステップS103においては、破砕片の全体の領域ではなく、破砕片の全体の領域から所定の画素数だけ内側の領域を演算領域とした。これは、破砕片の端部(輪郭)は必ずエッジ領域となるため、仮に破砕片の全体を演算領域とした場合、実際よりもエッジ領域が多くなると判定されるためである。なお、演算処理を簡単にするために、破砕片の全体の領域を演算領域としてもよい。
次に、制御部16(画像処理部24)は、算出されたエッジ割合に応じて皺割合を算出する(ステップS106)。前述のとおり、基本的には、破砕片に含まれている添加金属の含有割合が少ないほど、破砕片の強度が相対的に低くなる。そのため、皺が生じ易くなり、皺割合(エッジ割合)が高くなる。なお、皺割合は、本実施形態では皺割合自体としているが、この皺割合自体に基づく値としてもよい。
次に、制御部16(選別制御部25)は、皺割合が所定の皺割合閾値以上か否かを判定する(ステップS107)。皺割合閾値は、選別の基準となる皺割合であり、詳細は後述する。制御部16(選別制御部25)は、皺割合が所定の皺割合閾値以上である場合、選別部15を動作させて(ステップS108)、破砕片を第2搬送部12bへ送る。一方、制御部16(選別制御部25)は、皺割合が所定の皺割合閾値より小さい場合、選別部15を動作させずに(ステップS109)、破砕片を第3搬送部12cへ送る。これにより、添加金属の含有割合に応じて破砕片を選別できる。従って、添加金属の含有割合に応じて皺割合閾値を変更することで、全体の破砕片から、添加金属の含有割合が所定以下の破砕片を得ることができる。本実施形態では、破砕片を2つに選別するが、3つ以上に選別する構成であってもよい。なお、上述の構成とは異なり、添加金属の含有割合が高い破砕片42が第2搬送部12bに送られる場合は、ステップS108とステップS109の処理が逆になる。
次に、皺割合閾値について、図7を参照して詳細に説明する。図7は、破砕片の皺割合と破砕片の個数との関係を示すヒストグラムである。
皺割合閾値は、選別部15の選別率が所定値(予め設定された目標値)となることを期待して設定される。皺割合閾値は、前述の所定値を実現できるように、自動的に随時変更され得る。本実施形態では、皺割合閾値の設定のために、図1に示す分布取得部26、選別率設定部27及び閾値算出部28が用いられる。
分布取得部26は、皺割合を所定の幅で区切った階級毎に、当該皺割合を有する破砕片の個数を積算により求める。
分布取得部26は、1つの破砕片の皺割合が画像処理部24から入力されると、当該皺割合がどの階級に分類されるかを判断し、分類された階級の度数を1増加させる。この処理を、第1搬送部12aにおいて搬送される破砕片毎に反復することにより、分布取得部26においてヒストグラムを生成することができる。このヒストグラムは、皺割合と破砕片の個数(度数)との関係を示す。ヒストグラムの例が、例えば図7に示されている。
皺割合の記憶は一定時間の間にわたって繰り返し行われて、制御部16に蓄積される。分布取得部26は、ヒストグラムを例えば10分毎に求め、直近の1時間分のヒストグラム(6つのヒストグラム)を制御部16に記憶するように構成することができる。最新の10分のヒストグラムが作成されると、最も古いヒストグラムは破棄され、最新のヒストグラムが記憶される。
また、1つの破砕片の皺割合(採取データ)を例えば選別装置1の起動時から累積してヒストグラムを求め、起動時からの長時間のデータ状態に基づく当該ヒストグラムを元に選別をしてもよい。この場合、制御部16の記憶可能な容量まで採取データを蓄積し、その平均データで選別を行う。これにより選別後の状態が平均化され、得られる選別品の量が安定する。記憶容量が一杯になれば、古いデータから消去していく。
図1の選別率設定部27は、ユーザが希望する選別率を設定可能である。この設定は、ユーザが、例えばキーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置を操作することにより行うことができる。
閾値算出部28は、分布取得部26が取得した皺割合の分布と、選別率設定部27において設定された選別率と、に基づいて、当該選別率を実現する皺割合閾値を設定する。
本実施形態では、閾値算出部28は、分布取得部26が生成して制御部16に記憶される6つのヒストグラムを加算して、直近の1時間に相当するヒストグラムを求める。そして、閾値算出部28は、得られたヒストグラムと同様の皺割合の分布が今後得られると仮定した場合に、皺割合閾値の大きさをどのようにすれば選別率が所定の値(例えば、40%)となるかを、当該ヒストグラムから計算する。上記の例でいえば、当該条件を満たす皺割合閾値は、最上位の階級から度数を累積していき、累積度数が全体の40%に到達する階級の階級値として求めることができる。
閾値算出部28は、10分毎に上記の処理を反復することで、皺割合閾値を更新する。閾値算出部28は、新しい皺割合閾値を選別制御部25に対して設定する。
このようにして、選別制御部25における皺割合閾値は、選別装置1による破砕片の選別が行われている間、自動で更新される。これにより、皺割合の直近の傾向を活用して、指定された選別率に近い選別率を実現することができる。
以下、制御部16が皺割合閾値に関して行う処理を具体的に説明する。図6は、皺割合閾値の更新に関する処理を示すフローチャートである。
図6の処理がスタートすると、分布取得部26は、破砕片1つにつき画像処理部24から入力される皺割合を、階級毎にカウントする(ステップS201)。
その後、ヒストグラムの集計時間(例えば、10分)が経過したかが判定される(ステップS202)。集計時間が経過していない場合は、処理はステップS201に戻る。
ステップS202の判断で、集計時間が経過している場合、閾値算出部28は、新しいヒストグラムを用いて、新しい皺割合閾値を算出する(ステップS203)。その後、処理はステップS201に戻り、新規のヒストグラムの生成が開始される。
以上の処理により、皺割合の収集、分布の取得及び皺割合閾値の更新を、継続反復的に行うことができる。従って、様々な破砕物が供給される場合であっても、選別率設定部27で指定された選別率を安定して実現することができる。
従来の構成では、皺割合に関する閾値を柔軟に変更することができなかったため、選別に関する状況の変動等により、ユーザが希望する選別率から大きく乖離した選別率となってしまうおそれがあった。これを防止するために、選別中に破砕片を目視で確認しながら皺割合に関する閾値を皺の状態に応じて変更することが考えられるが、監視負担が増大してしまうとともに、閾値をどのように変更すべきか判断することが難しく、意図した選別率を達成するにはオペレータの熟練が必要になる。また、このような閾値の変更は選別装置(及びリサイクルシステムにおける他の装置)の一時停止等が必要となるので、手間が掛かるとともに、稼動効率の低下を招いていた。この点、本実施形態によれば、時間的な連続性を利用して、現在の皺割合の分布が直近の皺割合の分布と概ね等しくなることを前提に、希望する選別率となるように、選別の基準となる皺割合の閾値を変更することができる。この結果、意図した選別率に近い選別率を容易に実現することができる。
上記のようにして達成される選別率は、破砕片の個数を基準にした選別率である。一方、選別装置1のユーザにとっては、重量の観点での選別率が重要であることも多い。この点、個数の選別率と重量の選別率には相関があるので、両者の関係を(例えば、経験的に)予め求めておくことで、重量の観点での選別率も容易に実現することができる。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。図8は、本発明の本変形例に係る選別装置1を示す図である。
本変形例の選別装置1においては、分布取得部26が、画像処理部24が算出した皺割合毎に破砕片の重量を積算する。即ち、上記実施形態では、皺割合閾値を設定するために、破砕片の数量に関する値として破砕片の個数を利用する。これに対し、本変形例は、皺割合閾値を設定するために、破砕片の数量に関する値として重量を利用する。
図8に示すように、本変形例の選別装置1には、重量計測部51が備えられる。重量計測部51は、破砕片の重量を計測する。重量計測部51の動作(特に計測タイミング)は、制御部16に備えられた重量計測制御部54により制御される。破砕片の重量は、破砕片が第1搬送部12aにより搬送されるときに計測される。重量計測部51は、例えばコンベアスケールから構成され、ベルトコンベアである第1搬送部12aに設けられる。
なお、破砕片の重量は、重量計測部51を用いて計測することに代えて、破砕片の情報に基づいて推定する構成としてもよい。例えば、カメラ13としてステレオカメラを用いることで、破砕片を塊として捉えた概ねの容積(大きさ)を計算により取得することができる。また、破砕片の単位容積当たりの重量は、皺割合に基づいて推定することができる。以上により、破砕片の重量を推定することができる。
本変形例において、分布取得部26が10分毎に作成するヒストグラムでは、度数に代えて、重量積算値が用いられる。言い換えれば、分布取得部26は、皺割合と破砕片の重量の関係を示す分布を取得する。従って、選別制御部25が計算する皺割合閾値は、重量の観点からの所定の選別率を実現する閾値として求められる。
以上に説明したように、上記実施形態及びその変形例の選別装置1は、金属の破砕片に含まれる添加金属の含有割合に応じて当該破砕片を選別する。この選別装置1は、カメラ13と、画像処理部24と、分布取得部26と、閾値算出部28と、選別制御部25と、選別部15と、を備える。カメラ13は、破砕片の表面形状に関する情報である表面情報を取得する。画像処理部24は、カメラ13が取得した表面情報に基づいて、破砕片の表面のうち皺が生じている部分の割合である皺割合を算出し、算出された割合に応じて皺判定割合を算出する。分布取得部26は、画像処理部24が算出した皺割合の分布を取得する。閾値算出部28は、分布取得部26が取得した分布に基づいて、破砕片の選別率が所定値となるように皺割合閾値を算出する。選別制御部25は、閾値算出部28が算出した皺割合閾値と画像処理部24が算出した皺割合とを比較する。選別部15は、選別制御部25が比較した結果に基づいて、当該破砕片を選別する。
これにより、破砕片の皺の状態に基づいて当該破砕片の選別を行う際に、予め定めた選別率を実現するように、皺割合閾値を柔軟に変更することができる。従って、破砕片の選別を添加金属の含有割合に応じて安定的に行うとともに、予め設定した選別率に近い選別率を得ることができる。
また、本実施形態の選別装置1は、選別率を設定可能な選別率設定部27を備える。
これにより、ユーザの希望等に応じて異なる選別率を柔軟に実現することができる。
また、上記実施形態の選別装置1において、分布取得部26は、皺割合と破砕片の個数の関係を示す分布を取得する。
これにより、簡単な制御を実現することができる。
また、上記変形例の選別装置1において、分布取得部26は、皺割合と破砕片の重量の関係を示す分布を取得する。
これにより、重量の観点で、意図した選別率に近い選別率を得ることができる。
また、上記変形例の選別装置1は、重量計測部51を備える。重量計測部51は、破砕片の重量を計測する。
これにより、破砕片の重量を直接計測できるので、重量の観点での選別率を精度良く達成することが容易になる。
また、上記変形例の選別装置1において、重量計測部51に代えて、重量推定部を備えてもよい。この重量推定部は、破砕片の大きさと、破砕片の皺割合と、に基づいて、破砕片の重量を推定する。
これにより、破砕片の重量を簡易に取得することができる。
本実施形態の選別装置1において、分布取得部26は、皺割合の分布を所定時間毎に取得する。閾値算出部28は、分布取得部26が取得した所定時間毎の分布に応じて皺割合閾値を更新する。
これにより、直近の状況を考慮して、皺割合閾値を更新することができる。
また、上記実施形態及びその変形例の選別装置1において、カメラ13は、破砕片を所定の方向から撮像することで当該破砕片の外観を示す外観画像を表面情報として取得する。画像処理部24は、カメラ13が取得した外観画像内における明るさの分布に基づいて、皺割合を検出する。
これにより、簡単な構成で、皺割合、即ち上述のエッジ割合を算出することができる。従って、皺割合を容易に取得することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
ヒストグラムを用いる代わりに、破砕片の皺割合を1つごとに蓄積した単純な分布を用いてもよい。この場合、蓄積された皺割合をソートして、例えば最大から数えて40%に相当する皺割合を求めることで、選別率が40%となることが期待される皺割合閾値を得ることができる。ただし、階級毎の分布(ヒストグラム)を用いると、記憶するデータ量を小さくできるので好ましい。
選別率は、ユーザが変更不能に構成してもよい。
皺割合の分布を集計する時間は、任意に設定することができる。当該時間を、ユーザが変更可能に構成することもできる。時間に限らず、破砕物の所定個数毎の分布、又は、所定総重量毎の分布を取得することもできる。
皺割合閾値は、ある程度の時間差をおいて更新されてもよい。しかし、選別装置1に供給される破砕片の材質等が安定しない場合は、短い時間差で(あるいは、実質的にリアルタイムで)更新されることが好ましい。
選別装置1が定期的に稼動/停止を繰り返す場合は、その1回の稼動毎に分布(例えば、ヒストグラム)を作成し、当該分布に基づく皺割合閾値で次回の稼動が行われてもよい。このように、皺割合閾値は、選別装置1の稼動中に変更されなくてもよい。
上記では、エッジ処理により破砕片の表面の皺割合を検出したが、外観画像の明るさの分布を利用する処理であれば、別の処理(例えば、明るさが所定以下の画素が示す領域の形状に基づいて皺か否かを判断する方法等)を用いて、皺割合を検出してもよい。
破砕片を搬送する第1搬送部12aに代えて、破砕片を一時的に置いておくための載置台を設けてもよい。この構成では、載置台に置かれた破砕片について、皺割合を検出する処理が行われる。そのため、カメラ13及び上面照明部14a等を載置台に沿って移動可能にするか、あるいは、カメラ13を比較的上方に配置して載置台に載せられた全ての破砕片の外観画像を取得可能にすることが好ましい。また、この構成における選別部は、載置台に載せられた破砕片のうち、皺割合に応じて選別されたものを、載置台から落下させるアーム等を有していることが好ましい。
上記では、取得部を1台のカメラ13とし、これで第1画像と第2画像を取得する構成であるが、取得部を2台のカメラとし、各々のカメラで第1画像と第2画像を取得する構成であってもよい。
第2搬送部12b及び第3搬送部12cのそれぞれに重量計測部を設け、第2搬送部12b上を通過した重量積算結果と、第3搬送部12cを通過した重量積算結果から、重量の観点での実際の選別率を求めることもできる。この構成では分布を用いないことになるが、実際の選別率が求める選別率に近づくように皺割合閾値を随時変更しても良い。
選別装置は、レーザ光を用いて取得部に上記表面情報を取得させるものとしてもよい。この構成では、選別装置1に、取得部としての3次元カメラが備えられるとともに、レーザ装置が備えられる。そして、3次元カメラが、レーザ装置のレーザ光を用いて上記表面情報を取得可能に構成される。