JP2020099443A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、幅方向両側に起き上がりギャザーを備えた吸収性物品に関するものである。
使い捨ておむつや生理用ナプキン等の一般的な吸収性物品は、股間部と、股間部よりも前側に位置する前部と、股間部よりも後側に位置する後部とを有しており、前部、股間部及び後部にわたり設けられた吸収体と、吸収体の表側を覆う液透過性のトップシートと、吸収体の裏側を覆う液不透過性シートとを含む基本構造を有している。
また、多くの吸収性物品は、いわゆる横漏れを防止するために、表面の幅方向両側から起き上がる起き上がりギャザーを備えることが一般的となっている(例えば特許文献1、2参照)。
起き上がりギャザーには種々の構造のものが存在するが、多くの起き上がりギャザーは次のような基本構造を有する。すなわち、吸収性物品に固定された付根部分と、この付根部分より延び出る本体部分と、本体部分の前端部及び後端部が使い捨ておむつの表面に倒伏状態に固定されて形成された倒伏部分と、本体部分における前後の倒伏部分の間に位置する非固定の起き上がり部分と、起き上がり部分の少なくとも先端部に前後方向に沿って取り付けられたギャザー弾性部材とを有している。
このような従来の起き上がりギャザーは、付根部分及び本体部分は不織布等が積層された薄く柔軟なシート状部分であり、その層間に設けられたギャザー弾性部材の収縮力により起き上がるものである。このため、吸収性物品の表面のうち、装着者の肌からある程度離れる股間部では、起き上がりギャザーが高く起き上がり、前後のウエスト側に向かうにつれて、起き上がりギャザーは低くなり、臀部や腹部に密着する部分では起き上がりギャザーはほぼつぶれた状態となる。
一方、横漏れ防止性能を向上させるために、吸収体及の両側部をトップシートとともに表側に折り返して折り返し部分を形成し、この折り返し部分のうち股間部に位置する部分を対向面に対して固定するとともに、折り返し部分の先端から突出するように起き上がりギャザーを設けたものが提案されている(特許文献3参照)。これにより、非折り返し部分と装着者の身体表面との間に適度な大きさの一時的貯留空間が形成されるだけでなく、吸収体の折り返し部分でせき止めた排泄物を折り返し部分と非折り返し部分の両方で吸収することができるため、横漏れ防止性能を向上させることができる。
しかしながら、吸収体の折り返し部分は剛性が特に高い部分であるため、それが吸収性物品の股間部に設けられていると、股間部が変形しにくくなり、フィット性の低下及び装着感の悪化を招くことになる。吸収性物品の股間部は、装着者の脚の動き等、身体表面の大きな形状変化に対して追従変形することが要求されるため、不必要な剛性の向上は避けなければならない。しかも、股間部におけるフィット性の低下は、横漏れ防止性能の低下にもつながりかねない。
そこで、本発明の主たる課題は、股間部のフィット性を低下させずに横漏れ防止性能を向上させること等にある。
上記課題を解決した吸収性物品は以下のとおりである。
<第1の態様>
股間部と、股間部よりも前側に位置する前部と、股間部よりも後側に位置する後部とを有し、
前記前部、股間部及び後部に設けられた吸収体と、
前記吸収体の少なくとも表側を覆う、一層又は複数層の被覆層と、
前記股間部の両側部を通り前記前部から前記後部にわたり設けられた、表側に起き上がる起き上がりギャザーと、
を備えた吸収性物品において、
前記吸収体を有する領域は、前後方向の中間に位置し、股間部の少なくとも一部を含む第1領域と、前記第1領域の前後少なくとも一方側に位置する第2領域とを有し、
前記第2領域は、前記吸収体の側部及び前記被覆層の側部が一体的に表側に折り返された折り返し部分を有し、
前記第1領域では、前記吸収体の側部が表側に折り返されていない、
ことを特徴とする、吸収性物品。
<第1の態様>
股間部と、股間部よりも前側に位置する前部と、股間部よりも後側に位置する後部とを有し、
前記前部、股間部及び後部に設けられた吸収体と、
前記吸収体の少なくとも表側を覆う、一層又は複数層の被覆層と、
前記股間部の両側部を通り前記前部から前記後部にわたり設けられた、表側に起き上がる起き上がりギャザーと、
を備えた吸収性物品において、
前記吸収体を有する領域は、前後方向の中間に位置し、股間部の少なくとも一部を含む第1領域と、前記第1領域の前後少なくとも一方側に位置する第2領域とを有し、
前記第2領域は、前記吸収体の側部及び前記被覆層の側部が一体的に表側に折り返された折り返し部分を有し、
前記第1領域では、前記吸収体の側部が表側に折り返されていない、
ことを特徴とする、吸収性物品。
(作用効果)
本吸収性物品では、股間部の両側部を通り前部から後部にわたり起き上がりギャザーが延びている構造を基本とする。その上で、吸収体を有する領域の前後方向の中間に、あえて吸収体の側部が折り返されていない第1領域を確保しつつ、その前後いずれか一方側に、吸収体の側部及び被覆層の側部が一体的に表側に折り返された折り返し部分を含む第2領域を設けている。したがって、本吸収性物品の股間部では、吸収体の折り返しによる変形性の低下、並びにそれによるフィット性の低下及び装着感の悪化を防止しつつ、起き上がりギャザーによる横漏れ防止効果が発揮される。一方、股間部の前後少なくとも一方側では、吸収体及び被覆層の折り返し部分により、非折り返し部分と装着者の身体表面との間に適度な大きさの一時的貯留空間が形成されるだけでなく、吸収体の折り返し部分でせき止めた排泄物を折り返し部分と非折り返し部分の両方で吸収することができるため、横漏れ防止性能を向上させることができる。
本吸収性物品では、股間部の両側部を通り前部から後部にわたり起き上がりギャザーが延びている構造を基本とする。その上で、吸収体を有する領域の前後方向の中間に、あえて吸収体の側部が折り返されていない第1領域を確保しつつ、その前後いずれか一方側に、吸収体の側部及び被覆層の側部が一体的に表側に折り返された折り返し部分を含む第2領域を設けている。したがって、本吸収性物品の股間部では、吸収体の折り返しによる変形性の低下、並びにそれによるフィット性の低下及び装着感の悪化を防止しつつ、起き上がりギャザーによる横漏れ防止効果が発揮される。一方、股間部の前後少なくとも一方側では、吸収体及び被覆層の折り返し部分により、非折り返し部分と装着者の身体表面との間に適度な大きさの一時的貯留空間が形成されるだけでなく、吸収体の折り返し部分でせき止めた排泄物を折り返し部分と非折り返し部分の両方で吸収することができるため、横漏れ防止性能を向上させることができる。
<第2の態様>
前記起き上がりギャザーは、前後端部に設けられた、倒伏状態に固定された倒伏部分と、前後の倒伏部分の間に設けられた、非固定の自由部分と、この自由部分の先端部に前後方向に沿って設けられたギャザー弾性部材とを有し、
前記起き上がりギャザーにおける前記第2領域に位置する部分は前記自由部分を含んでおり、
前記第2領域に位置する自由部分は、前記折り返し部分の側面及び上面に近接する近接部分と、前記折り返し部分の上に突出する突出部分とを有している、
第1の態様の吸収性物品。
前記起き上がりギャザーは、前後端部に設けられた、倒伏状態に固定された倒伏部分と、前後の倒伏部分の間に設けられた、非固定の自由部分と、この自由部分の先端部に前後方向に沿って設けられたギャザー弾性部材とを有し、
前記起き上がりギャザーにおける前記第2領域に位置する部分は前記自由部分を含んでおり、
前記第2領域に位置する自由部分は、前記折り返し部分の側面及び上面に近接する近接部分と、前記折り返し部分の上に突出する突出部分とを有している、
第1の態様の吸収性物品。
(作用効果)
本吸収性物品では、折り返し部分が幅方向外側に開かないように、起き上がりギャザーの近接部分により支えられるとともに、折り返し部分の上に突出する突出部分がギャザー弾性部材により起き上がるため、第2領域においても起き上がりギャザーがしっかりと機能する。
本吸収性物品では、折り返し部分が幅方向外側に開かないように、起き上がりギャザーの近接部分により支えられるとともに、折り返し部分の上に突出する突出部分がギャザー弾性部材により起き上がるため、第2領域においても起き上がりギャザーがしっかりと機能する。
<第3の態様>
前記折り返し部分のうち少なくとも前記第1領域側の一部は、対向面に固定されておらず、
前記近接部分は、前記折り返し部分の先端部まで延びており、
前記突出部分は、前記折り返し部分の先端から突出しており、
前記折り返し部分の少なくとも先端部の上面と、前記近接部分とが接合された接合部を有し、
前記近接部分における前記折り返し部分の先端部と対応する部分にも、ギャザー弾性部材が設けられている、
第2の態様の吸収性物品。
前記折り返し部分のうち少なくとも前記第1領域側の一部は、対向面に固定されておらず、
前記近接部分は、前記折り返し部分の先端部まで延びており、
前記突出部分は、前記折り返し部分の先端から突出しており、
前記折り返し部分の少なくとも先端部の上面と、前記近接部分とが接合された接合部を有し、
前記近接部分における前記折り返し部分の先端部と対応する部分にも、ギャザー弾性部材が設けられている、
第2の態様の吸収性物品。
(作用効果)
本吸収性物品では、折り返し部分の先端部が、近接部分のギャザー弾性部材の収縮力により、近接部分とともに起き上がる。この結果、第2領域において、吸収体及び被覆層の折り返し部分も、起き上がりギャザーとともに起き上がりギャザーの内側に起き上がり、横漏れ防止機能が補強される。
本吸収性物品では、折り返し部分の先端部が、近接部分のギャザー弾性部材の収縮力により、近接部分とともに起き上がる。この結果、第2領域において、吸収体及び被覆層の折り返し部分も、起き上がりギャザーとともに起き上がりギャザーの内側に起き上がり、横漏れ防止機能が補強される。
<第4の態様>
前記起き上がりギャザーの前記倒伏部分は、前記第2領域に位置する部分と、前記第2領域よりもウエスト側に位置する部分を含んでおり、
前記折り返し部分における前記倒伏部分と重なる部分のうち、少なくとも前記自由部分側の一部が対向面に固定されていない、
第3の態様の吸収性物品。
前記起き上がりギャザーの前記倒伏部分は、前記第2領域に位置する部分と、前記第2領域よりもウエスト側に位置する部分を含んでおり、
前記折り返し部分における前記倒伏部分と重なる部分のうち、少なくとも前記自由部分側の一部が対向面に固定されていない、
第3の態様の吸収性物品。
(作用効果)
本吸収性物品では、起き上がりギャザーが倒伏しはじめる部分に、吸収体及び被覆層の折り返し部分が固定されておらず、起き上がり可能な部分を設けることにより、起き上がりギャザーの倒伏部分における漏れ防止性を補うことができる。
本吸収性物品では、起き上がりギャザーが倒伏しはじめる部分に、吸収体及び被覆層の折り返し部分が固定されておらず、起き上がり可能な部分を設けることにより、起き上がりギャザーの倒伏部分における漏れ防止性を補うことができる。
<第5の態様>
前記接合部は、少なくとも前後方向に間隔を空けて複数設けられている、
第3又は4の態様の吸収性物品。
前記接合部は、少なくとも前後方向に間隔を空けて複数設けられている、
第3又は4の態様の吸収性物品。
(作用効果)
折り返し部分と起き上がりギャザーの近接部分との接合部は、起き上がりギャザーの起き上がり力を折り返し部分に伝えるために必要であるが、前後方向に連続していると、吸収体及び被覆層がギャザー弾性部材により不必要に収縮するだけでなく、ギャザー弾性部材の収縮が吸収体により阻害される。よって、接合部は上述のように前後方向に間隔を空けて設けられていると好ましい。
折り返し部分と起き上がりギャザーの近接部分との接合部は、起き上がりギャザーの起き上がり力を折り返し部分に伝えるために必要であるが、前後方向に連続していると、吸収体及び被覆層がギャザー弾性部材により不必要に収縮するだけでなく、ギャザー弾性部材の収縮が吸収体により阻害される。よって、接合部は上述のように前後方向に間隔を空けて設けられていると好ましい。
<第6の態様>
前記第1領域の後側にのみ前記第2領域を有し、
前記第1領域の前側は、前記吸収体の側部が表側に折り返されていない第3領域である、
第1〜5のいずれか1つの態様の吸収性物品。
前記第1領域の後側にのみ前記第2領域を有し、
前記第1領域の前側は、前記吸収体の側部が表側に折り返されていない第3領域である、
第1〜5のいずれか1つの態様の吸収性物品。
(作用効果)
吸収性物品においては、前側は食事による腹部の膨らみの変化に追従して変形するため、折り返し部分があると食後に装着感が悪化するおそれがたかい。一方、吸収性物品の後側にはこのような問題がなく、睡眠時に漏れが発生しやすいことを考慮すると一時的貯留空間が形成されている方が望ましい。よって、折り返し部分を有する第2領域は、本態様のように第1領域の後側にのみ設けることが望ましい。
吸収性物品においては、前側は食事による腹部の膨らみの変化に追従して変形するため、折り返し部分があると食後に装着感が悪化するおそれがたかい。一方、吸収性物品の後側にはこのような問題がなく、睡眠時に漏れが発生しやすいことを考慮すると一時的貯留空間が形成されている方が望ましい。よって、折り返し部分を有する第2領域は、本態様のように第1領域の後側にのみ設けることが望ましい。
以上のとおり、本発明によれば、股間部のフィット性を低下させずに横漏れ防止性能を向上させることができる、等の利点がもたらされる。
以下、吸収性物品の例について、添付図面を参照しつつ詳説する。断面図における点模様部分は各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示している。ホットメルト接着剤は、スロット塗布、連続線状又は点線状のビード塗布、スパイラル状、Z状等のスプレー塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)等、公知の手法により塗布することができる。これに代えて又はこれとともに、弾性部材の固定部分では、ホットメルト接着剤を弾性部材の外周面に塗布し、弾性部材を隣接部材に固定することができる。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
また、以下の説明における不織布としては、部位や目的に応じて公知の不織布を適宜使用することができる。不織布の構成繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布の柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とするのは好ましい。また、不織布の構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となったものを含む)であっても、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となった撥水性繊維を含む)であってもよい。また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(同一又は類似の不織布層が積層されたSSS不織布等の他、異なる不織布層が積層された、スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS不織布、SMMS不織布等)等に分類されるが、これらのどの不織布も用いることができる。
図1〜図10は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例を示している。本パンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃Fの少なくとも胴周り部を構成する前側外装体12F及び後身頃Bの少なくとも胴周り部を構成する後側外装体12Bと、前側外装体12Fから股間部を経て後側外装体12Bまで延在するように外装体12F,12Bの内側に設けられた内装体200とを備えている。前側外装体12Fの両側部と後側外装体12Bの両側部とが接合されてサイドシール部12Aが形成されており、外装体12F,12Bの前後端部により形成される開口が装着者の胴を通すウエスト開口WOとなり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口LOとなっている。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12F,12Bは着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。また、符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁から後身頃Bのウエスト開口WOの縁までの前後方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
本パンツタイプ使い捨ておむつは、サイドシール部12Aを有する前後方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る前後方向範囲)として定まる胴周り領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する前後方向領域との間)として定まる中間領域Lとを有する。胴周り領域Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成する「ウエスト部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、胴周り領域T内に幅方向WDの伸縮応力が変化する境界(例えば弾性部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなる。これらの前後方向長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト部Wは15〜40mm、ウエスト下方部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間領域Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うようにコ字状又は曲線状に括れており、ここが装着者の脚を入れる部位となる。この結果、展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつは、全体として略砂時計形状をなしている。
(外装体)
図示例の外装体12F,12Bは、前身頃Fを構成する部分である前側外装体12Fと、後身頃Bを構成する部分である後側外装体12Bとからなり、前側外装体12F及び後側外装体12Bは股間側で連続しておらず、前後方向LDに離間されている(外装二分割タイプ)。この離間距離12dは例えば150〜250mm程度とすることができる。また、図示しないが、外装体12が、前身頃Fから後身頃Bにかけて股間を通り連続する一体的なものとすることもできる(外装一体タイプ)。
図示例の外装体12F,12Bは、前身頃Fを構成する部分である前側外装体12Fと、後身頃Bを構成する部分である後側外装体12Bとからなり、前側外装体12F及び後側外装体12Bは股間側で連続しておらず、前後方向LDに離間されている(外装二分割タイプ)。この離間距離12dは例えば150〜250mm程度とすることができる。また、図示しないが、外装体12が、前身頃Fから後身頃Bにかけて股間を通り連続する一体的なものとすることもできる(外装一体タイプ)。
外装体12F,12Bは、胴周り領域Tと対応する前後方向範囲である胴周り部を有する。また、本形態では、前側外装体12Fよりも後側外装体12Bの方が前後方向寸法が長くなっており、前側外装体12Fには中間領域Lと対応する部分を有していないが、後側外装体12Bは胴周り領域Tから中間領域L側に延び出た臀部カバー部Cを有している。図示しないが、前側外装体12Fにも胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けたり、鼠径カバー部は設けるものの臀部カバー部は設けない形態としたり、前側外装体12F及び後側外装体12Bの両方に中間領域Lと対応する部分を設けなくても良い。また、図示形態では、臀部カバー部Cの下縁は、前側外装体12Fの下縁と同様、幅方向WDに沿う直線状に形成しているが、幅方向外側に向かうにつれてウエスト開口側に位置するようになる曲線とすることもできる。
外装体12F,12Bは、図4及び図5に示されるように、後述する弾性部材15〜19の外側及び内側にそれぞれ位置する外側シート層12S及び内側シート層12Hがホットメルト接着剤や溶着等の接合手段により接合されたものである。外側シート層12Sを形成するシート材及び内側シート層12Hを形成するシート材は、共通の一枚のシート材とする他、個別のシート材とすることもできる。すなわち、前者の場合、外装体の一部又は全部において、ウエスト開口WOの縁(股間側の縁としても良い)で折り返された一枚のシート材の内側の部分及び外側の部分により内側シート層12H及び外側シート層12Sがそれぞれ形成される。なお、前者の形態では、シート材の資材数が少ないという利点があり、後者の形態では内側シート層12H及び外側シート層12Sを貼り合わせる際に位置ずれしにくいという利点がある。図示形態は後者に相当するものであり、内側シート層12Hを形成するシート材はウエスト開口WOの縁までしか延在していないが、外側シート層12Sを形成するシート材は、内側シート層12Hのシート材のウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側の端部上までを被覆するように延在されている。
外側シート層12S及び内側シート層12Hに用いるシート材としては、特に限定無く使用できるが不織布が好ましい。不織布を用いる場合、その目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。
(伸縮領域・非伸縮領域)
外装体12F,12Bには、装着者の胴周りに対するフィット性を高めるために、外側シート層12S及び内側シート層12H間に弾性部材15〜19が設けられ、弾性部材の伸縮を伴って幅方向WDに弾性伸縮する伸縮領域A2が形成されている。この伸縮領域A2では、自然長の状態では外側シート層12S及び内側シート層12Hが弾性部材の収縮に伴って収縮し、皺又は襞が形成されており、弾性部材の長手方向に伸長すると、外側シート層12S及び内側シート層12Hが皺なく伸び切る所定の伸長率まで伸長が可能である。弾性部材15〜19としては、糸ゴム等の細長状の弾性部材(図示例)のほか、帯状、網状、フィルム状等、公知の弾性部材を特に限定なく用いることができる。弾性部材15〜19としては合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。
外装体12F,12Bには、装着者の胴周りに対するフィット性を高めるために、外側シート層12S及び内側シート層12H間に弾性部材15〜19が設けられ、弾性部材の伸縮を伴って幅方向WDに弾性伸縮する伸縮領域A2が形成されている。この伸縮領域A2では、自然長の状態では外側シート層12S及び内側シート層12Hが弾性部材の収縮に伴って収縮し、皺又は襞が形成されており、弾性部材の長手方向に伸長すると、外側シート層12S及び内側シート層12Hが皺なく伸び切る所定の伸長率まで伸長が可能である。弾性部材15〜19としては、糸ゴム等の細長状の弾性部材(図示例)のほか、帯状、網状、フィルム状等、公知の弾性部材を特に限定なく用いることができる。弾性部材15〜19としては合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。
外装体12F,12Bにおける外側シート層12S及び内側シート層12Hの貼り合わせや、その間に挟まれる弾性部材15〜19の固定には、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。外装体12F,12B全面を強固に固定すると柔軟性を損ねるため、弾性部材15〜19の接着部以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。図示形態では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により弾性部材15〜19の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布して両シート層12S,12H間に挟むことにより、当該弾性部材15〜19の外周面に塗布したホットメルト接着剤のみで、両シート層12S,12Hへの弾性部材15〜19の固定と、両シート層12S,12H間の固定とを行う構造となっている。弾性部材15〜19は伸縮領域における伸縮方向の両端部のみ、外側シート層12S及び内側シート層12Hに固定することができる。
図示形態の弾性部材15〜19についてより詳細に説明すると、外装体12F,12Bのウエスト部Wにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、幅方向WDの全体にわたり連続するように、複数のウエスト部弾性部材17が前後方向に間隔を空けて取り付けられている。また、ウエスト部弾性部材17のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本又は複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト部弾性部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト部Wの幅方向WDの伸長率は150〜400%、特に220〜320%程度であるのが好ましい。また、ウエスト部Wは、その前後方向LDの全てに同じ太さのウエスト部弾性部材17を用いたり、同じ伸長率にしたりする必要はなく、例えばウエスト部Wの上部と下部で弾性部材17の太さや伸長率が異なるようにしてもよい。
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、細長状の弾性部材からなるウエスト下方部弾性部材15,19が複数本、前後方向に間隔を空けて取り付けられている。
ウエスト下方部弾性部材15,19としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト下方部Uの幅方向WDの伸長率は200〜350%、特に240〜300%程度であるのが好ましい。
また、後側外装体12Bの臀部カバー部Cにおける外側シート層12S及び内側シート層12H間には、細長状の弾性部材からなるカバー部弾性部材16が取り付けられている。
カバー部弾性部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm2、特に0.1〜1.0mm2程度)の糸ゴムを、1本、又は前後方向に間隔を空けて複数本設けるのが好ましく、これによる臀部カバー部Cの幅方向WDの伸長率は150〜300%、特に180〜260%であるのが好ましい。
前側外装体12Fに鼠径カバー部を設ける場合には同様にカバー部弾性部材を設けることができる。
図示形態のウエスト下方部Uや臀部カバー部Cのように、吸収体56を有する前後方向範囲に弾性部材15,16,19を設ける場合には、その一部又は全部において吸収体56の幅方向WDの収縮を防止するために、吸収体56と幅方向WDに重なる部分の一部又は全部を含む幅方向中間(好ましくは内外接合部201,202の全体を含む)が非伸縮領域A1とされ、その幅方向両側が伸縮領域A2とされる。ウエスト部Wは幅方向WDの全体にわたり伸縮領域A2とされるのが好ましいが、ウエスト下方部Uと同様に、幅方向中間に非伸縮領域A1を設けても良い。
このような伸縮領域A2及び非伸縮領域A1は、内側シート層12Hと、外側シート層12Sとの間に、弾性部材15〜17,19を供給し、弾性部材15,16,19を伸縮領域A2における少なくとも伸縮方向の両端部でホットメルト接着剤を介して固定し、非伸縮領域A1となる領域では固定せず、非伸縮領域A1となる領域において、弾性部材15,16,19を幅方向中間の1か所で加圧及び加熱により切断するか、又は弾性部材15,16,19のほぼ全体を加圧及び加熱により細かく切断し、伸縮領域A2に伸縮性を残しつつ非伸縮領域A1では伸縮性を殺すことにより構築することができる。前者の場合、図4に示すように、非伸縮領域A1には、伸縮領域A2の弾性部材15,16,19から連続する切断残部が不要弾性部材18として単独で自然長まで収縮した状態で、外側シート層12S及び内側シート層12H間に残ることとなり、後者の場合、図示しないが、伸縮領域A2の弾性部材15,16,19から連続する切断残部、及び両方の伸縮領域A2の弾性部材15,16,19と連続しない弾性部材の切断片が不要弾性部材として単独で自然長まで収縮した状態で、外側シート層12S及び内側シート層12H間に残ることになる。
(カバー不織布)
外装二分割タイプのパンツタイプ使い捨ておむつでは、前側外装体12F及び後側外装体12Bとの間に内装体200が露出するため、内装体200の裏面に液不透過性シート11が露出しないように、前側外装体12Fと内装体200との間から、後側外装体12Bと内装体200との間にかけて、内装体200の裏面を覆うカバー不織布13を備えていると好ましい。
外装二分割タイプのパンツタイプ使い捨ておむつでは、前側外装体12F及び後側外装体12Bとの間に内装体200が露出するため、内装体200の裏面に液不透過性シート11が露出しないように、前側外装体12Fと内装体200との間から、後側外装体12Bと内装体200との間にかけて、内装体200の裏面を覆うカバー不織布13を備えていると好ましい。
(内外接合部)
内装体200の外装体12F,12Bに対する固定は、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により行うことができる。図示形態では、内装体200の裏面、つまりこの場合は液不透過性シート11の裏面及び起き上がりギャザー60の付根部分65に塗布されたホットメルト接着剤を介して外装体12F,12Bの内面に対して固定されている。この内装体200と外装体12F,12Bとを固定する内外接合部201,202は、両者が重なる領域のほぼ全体に設けることができ、例えば内装体200の幅方向両端部を除いた部分に設けることもできる。
内装体200の外装体12F,12Bに対する固定は、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により行うことができる。図示形態では、内装体200の裏面、つまりこの場合は液不透過性シート11の裏面及び起き上がりギャザー60の付根部分65に塗布されたホットメルト接着剤を介して外装体12F,12Bの内面に対して固定されている。この内装体200と外装体12F,12Bとを固定する内外接合部201,202は、両者が重なる領域のほぼ全体に設けることができ、例えば内装体200の幅方向両端部を除いた部分に設けることもできる。
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側部から装着者の脚周りに接するように延び出た起き上がりギャザー60を示している。
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、図3〜図5に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側部から装着者の脚周りに接するように延び出た起き上がりギャザー60を示している。
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
トップシート30の両側部は、吸収要素50の側縁で裏側に折り返しても良く、また折り返さずに吸収要素50の側縁より側方にはみ出させても良い。
トップシート30は、裏側の部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示形態では、トップシート30はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により中間シート40の表面及び包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(セカンドシートとも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高め、吸収した液の吸収体からの逆戻り現象を防止するためのものである。中間シート40は省略することもできる。
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(セカンドシートとも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高め、吸収した液の吸収体からの逆戻り現象を防止するためのものである。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド不織布又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは17〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の前後方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
中間シート40は、裏側の部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示形態では、中間シート40はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。この他にも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂又は疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができるが、後述するカバー不織布13とのホットメルト接着剤を介した接着時に十分な接着強度を得るため、樹脂フィルムを用いるのが望ましい。
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。この他にも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂又は疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができるが、後述するカバー不織布13とのホットメルト接着剤を介した接着時に十分な接着強度を得るため、樹脂フィルムを用いるのが望ましい。
液不透過性シート11は、図示のように吸収要素50の裏側に収まる幅とする他、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させることもできる。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、2.54cm当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いることができる。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、2.54cm当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いることができる。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図1及び図7等にも示すように、前後方向中間に、その前後両側よりも幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状をなしていると、吸収体56自体と起き上がりギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体56の寸法は股間部の前後にわたる限り適宜定めることができるが、前後方向LD及び幅方向WDにおいて、内装体200の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の全幅を示している。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子としては、この種の使い捨ておむつに使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子としては、この種の使い捨ておむつに使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
(折り返し部分)
図1、図9及び図10に示されるように、本パンツタイプ使い捨ておむつの吸収体を有する領域Q0は、前後方向LDの中間に位置し、かつ股間部の少なくとも一部を含む第1領域Q1と、第1領域Q1の前後少なくとも一方側に位置する第2領域Q2とを有しており、図10にも示されるように、第2領域Q2には、吸収体56の側部56s、トップシート30及び包装シート58の側部が一体的に表側に折り返された折り返し部分70が設けられ、第1領域Q1では、吸収体56の側部56sが表側に折り返されていない。
図1、図9及び図10に示されるように、本パンツタイプ使い捨ておむつの吸収体を有する領域Q0は、前後方向LDの中間に位置し、かつ股間部の少なくとも一部を含む第1領域Q1と、第1領域Q1の前後少なくとも一方側に位置する第2領域Q2とを有しており、図10にも示されるように、第2領域Q2には、吸収体56の側部56s、トップシート30及び包装シート58の側部が一体的に表側に折り返された折り返し部分70が設けられ、第1領域Q1では、吸収体56の側部56sが表側に折り返されていない。
第1領域Q1の範囲は、吸収体を有する領域Q0の前後方向LDの中間に位置し、かつ股間部の少なくとも一部を含む限り特に限定されないが、股間部の全体を含むことが望ましい。特に吸収体56が括れ部56Nを有する場合、第1領域Q1はこの括れ部56Nを有する前後方向LDの範囲とすることができる。
第2領域Q2の範囲は、第1領域Q1の前後少なくとも一方側に位置する限り、ウエスト側の境界は、吸収体を有する領域Q0のウエスト側の端に位置していても、吸収体を有する領域Q0のウエスト側の端から第1領域Q1側に離れていてもよい。また、第2領域Q2、つまり折り返し部分70は、第1領域Q1の前後いずれか一方側にのみ設け、他方側は、吸収体56の側部が表側に折り返されていない第3領域Q3としてもよい。特に、使い捨ておむつにおいては、前側は食事による腹部の膨らみの変化に追従して変形するため、折り返し部分70があると食後に装着感が悪化するおそれがたかい。一方、使い捨ておむつの後側にはこのような問題がなく、睡眠時に漏れが発生しやすいことを考慮すると一時的貯留空間が形成されている方が望ましい。よって、図11に示すように、折り返し部分70を有する第2領域Q2は第1領域Q1の後側にのみ設けることが望ましい。
第2領域Q2の折り返し部分70は、図示例の場合、吸収体56を包装シート58で包装した吸収要素50の上面に中間シート40及びトップシート30を貼り付けるとともに、トップシート30の側部を吸収要素50の側縁で吸収要素50の裏側に折り返して貼り付けた状態で、その両側部を所定の折り返し位置で表側に折り返すことにより形成することができる。この場合、図7に示すように、折り返し前の吸収体56は、第1領域Q1に位置する部分の側縁が折り返し位置FLより幅方向中央側に位置し、第2領域Q2に位置する部分の側縁は折り返し位置FLより幅方向中央側に位置する必要がある。この製造方法では、図9及び図10に示すように、第1領域Q1では吸収体56が折り返されないのに対して、トップシート30及び包装シート58は第1領域Q1及び第2領域Q2に位置する部分が全体として折り返されることとなるが、トップシート30及び包装シート58の第1領域Q1に位置する部分の側部を予め切断することにより、折り返されないようにしてもよい。
折り返し部分70の幅方向の寸法70Wは特に限定されるものではないが、通常の場合10〜40mm程度、特に15〜30mm程度とすることができる。
図示例の場合、吸収体56の少なくとも表側を覆う被覆層として、トップシート30、中間シート40及び包装シート58を有しているが、折り返し部分70の幅と、中間シート40の幅との関係上、折り返し部分70には中間シート40の側部が含まれていない。このように、被覆層の全てが折り返し部分70に含まれる必要はない。また、図示例では包装シート58を有する都合上、包装シート58が折り返し部分70に含まれているが、包装シート58を備えない吸収性物品では当然に折り返し部分70に包装シート58を含まない。
(起き上がりギャザー)
起き上がりギャザー60は、装着者の脚周りに接して横漏れを防止するために設けられるものである。図示例のパンツタイプ使い捨ておむつでは、内装体200の両側部に沿って内装体200の前後方向LDの全体にわたり延びている。つまり、本パンツタイプ使い捨ておむつは、股間部の両側部を通り前部から後部にわたり起き上がりギャザー60が延びている構造を基本とする。その上で、吸収体を有する領域Q0の前後方向LDの中間に、あえて吸収体56の側部が折り返されていない第1領域Q1を確保しつつ、その前後いずれか一方側に、吸収体56の側部56s及びその表側を覆う部分を有するトップシート30及び包装シート58が一体的に表側に折り返された折り返し部分70を含む第2領域Q2を設けている。したがって、図9及び図10からもわかるように、本パンツタイプ使い捨ておむつの股間部では、吸収体56の折り返しによる変形性の低下、並びにそれによるフィット性の低下及び装着感の悪化を防止しつつ、起き上がりギャザー60による横漏れ防止効果が発揮される。一方、股間部の前後少なくとも一方側では、吸収体56及び被覆層の折り返し部分70により、非折り返し部分72と装着者の身体表面との間に適度な大きさの一時的貯留空間が形成されるだけでなく、吸収体56の折り返し部分70でせき止めた排泄物を折り返し部分70と非折り返し部分72の両方で吸収することができるため、横漏れ防止性能を向上させることができる。
起き上がりギャザー60は、装着者の脚周りに接して横漏れを防止するために設けられるものである。図示例のパンツタイプ使い捨ておむつでは、内装体200の両側部に沿って内装体200の前後方向LDの全体にわたり延びている。つまり、本パンツタイプ使い捨ておむつは、股間部の両側部を通り前部から後部にわたり起き上がりギャザー60が延びている構造を基本とする。その上で、吸収体を有する領域Q0の前後方向LDの中間に、あえて吸収体56の側部が折り返されていない第1領域Q1を確保しつつ、その前後いずれか一方側に、吸収体56の側部56s及びその表側を覆う部分を有するトップシート30及び包装シート58が一体的に表側に折り返された折り返し部分70を含む第2領域Q2を設けている。したがって、図9及び図10からもわかるように、本パンツタイプ使い捨ておむつの股間部では、吸収体56の折り返しによる変形性の低下、並びにそれによるフィット性の低下及び装着感の悪化を防止しつつ、起き上がりギャザー60による横漏れ防止効果が発揮される。一方、股間部の前後少なくとも一方側では、吸収体56及び被覆層の折り返し部分70により、非折り返し部分72と装着者の身体表面との間に適度な大きさの一時的貯留空間が形成されるだけでなく、吸収体56の折り返し部分70でせき止めた排泄物を折り返し部分70と非折り返し部分72の両方で吸収することができるため、横漏れ防止性能を向上させることができる。
図10に示される例の起き上がりギャザー60は、ほぼ全体にわたり、付け根側部分60Bが内装体200の側部から幅方向中央側に向かって斜めに起き上がり、中間部より先端側部分60Aが幅方向外側に向かって斜めに起き上がる面接触タイプのものであるが、表側に起き上がる限り、これに限定されるものではない。図12に示される例の起き上がりギャザー60のように、全体として幅方向中央側に起立する線接触タイプのものとする等、適宜の変更が可能である。
より詳細に説明すると、図示例の起き上がりギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザー不織布62を、先端となる部分で幅方向WDに折り返して二つに折り重ねるとともに、先端部分(折り返し部分)等の層間に、細長状のギャザー弾性部材63を長手方向に沿って伸長した状態で、幅方向WDに間隔を空けて複数本固定してなるものである。起き上がりギャザー60のうち先端部と反対側に位置する基端部(幅方向WDにおいてシート折り返し部分と反対側の端部)は、内装体200における液不透過性シート11より裏側の側部に固定された付根部分65とされ、この付根部分65以外の部分は付根部分65から延び出る本体部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、図10に示される例では、本体部分66のうち前後方向両端部が、幅方向中央側に延びる付け根側部分60Bと、この付け根側部分60Bの先端で折り返され、幅方向外側に延びる先端側部分60Aとを有するように折り畳まれた倒伏状態で、トップシート30の側部表面に対して固定された倒伏部分67となっている。一方、図12に示される例では、本体部分66のうち前後方向両端部が、幅方向中央側にのみ延びるように折り畳まれた倒伏状態で、トップシート30の側部表面に対して固定された倒伏部分67となっている。そして、いずれの例においても、前後の倒伏部分67の間に位置する中間部は非固定の自由部分68とされ、この自由部分68の少なくとも先端部に前後方向LDに沿うギャザー弾性部材63が伸長状態で固定されている。
以上のように構成された起き上がりギャザー60では、ギャザー弾性部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、本体部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分68とされているため、自由部分68のみが図10及び図12にそれぞれ示すように身体表面に当接するように起立する。特に、付根部分65が内装体200の裏側、つまり吸収体56の裏側に位置しているのは一つの好ましい構造であるが、吸収体56よりも側方に延びるサイドフラップ部を有する場合(テープタイプ使い捨ておむつやパッドタイプ使い捨ておむつではこのようなサイドフラップ部を有するものも多い)には、サイドフラップ部に付根部分65を取り付けることができる(図示略)。
図10に示される例の倒伏部分67では、先端側部分60Aと付け根側部分60Bとが倒伏状態で接合されるとともに、付け根側部分60Bが倒伏状態でトップシート30に接合される。図12に示される例の倒伏部分67では、本体部分66の少なくとも先端部がトップシート30に接合される。これらの倒伏部分67における対向面の接合には、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段の少なくとも一方を用いることができる。この場合において、付け根側部分60B及びトップシート30の接合と、先端側部分60A及び付け根側部分60Bの接合とを同じ手段により行っても、また異なる手段により行っても良い。例えば、付け根側部分60B及びトップシート30の接合をホットメルト接着剤により行い、先端側部分60A及び付け根側部分60Bの接合を素材溶着により行うことができる。
ギャザー不織布62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコーンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。また、図示のように、二つに折り重ねたギャザー不織布62の間に防水フィルム64を介在させることもできる。
ギャザー弾性部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。ギャザー弾性部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。ギャザー弾性部材63の配置間隔60dは3〜10mmが適当である。
起き上がりギャザー60の自由部分68では、ギャザー不織布62の内側層及び外側層の貼り合わせや、その間に挟まれるギャザー弾性部材63の固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。ギャザー不織布62の内側層及び外側層の全面を貼り合わせると柔軟性を損ねるため、ギャザー弾性部材63の接着部以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。図示形態では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段によりギャザー弾性部材63の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布してギャザー不織布62の内側層及び外側層間に挟むことにより、当該ギャザー弾性部材63の外周面に塗布したホットメルト接着剤のみで、ギャザー不織布62の内側層及び外側層へのギャザー弾性部材63の固定と、ギャザー不織布62の内側層及び外側層間の固定とを行う構造となっている。
同様に、起き上がりギャザー60に組み込まれる防水フィルム64とギャザー不織布62との固定や、倒伏部分67の固定についても、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段の少なくとも一方を用いることができる。
起き上がりギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、例えば図3に示すように、起き上がりギャザー60の起立高さ(展開状態における本体部分66の幅方向長さ)W2は折り返し部分の幅の1.5〜2.5倍であるのが好ましい。
起き上がりギャザー60は、折り返し部分70の側方に離間していてもよいし、折り返し部分70の上に延びる部分を有していなくてもよいが、図示例のように、起き上がりギャザー60における第2領域Q2に位置する部分は自由部分68を含んでおり、第2領域Q2に位置する自由部分68は、折り返し部分70の側面及び上面に近接する近接部分69Bと、折り返し部分70の上に突出する突出部分69Aとを有していると好ましい。これにより、折り返し部分70が幅方向外側に開かないように、起き上がりギャザー60の近接部分69Bにより支えられるとともに、折り返し部分70の上に突出する突出部分69Aがギャザー弾性部材63により起き上がるため、第2領域Q2においても起き上がりギャザー60がしっかりと機能する。
折り返し部分70の一部又は全部は対向面に固定されていても、非固定であってもよい。ただし、図示例のように、起き上がりギャザー60が近接部分69Bを有している場合、折り返し部分70のうち少なくとも第1領域Q1側の一部は、対向面に固定されておらず(図10(b)、図12(b)参照)、近接部分69Bは、折り返し部分70の先端部まで延びており、突出部分69Aは、折り返し部分70の先端から突出しており、折り返し部分70の少なくとも先端部の上面と、近接部分69Bとが接合された接合部60Cを有し、近接部分69Bにおける折り返し部分70の先端部と対応する部分にも、ギャザー弾性部材63が設けられているのは好ましい。これにより、折り返し部分70の先端部が、近接部分69Bのギャザー弾性部材63の収縮力により、近接部分69Bとともに起き上がる。この結果、第2領域Q2において、吸収体56及び被覆層の折り返し部分70も、起き上がりギャザー60とともに起き上がりギャザー60の内側に起き上がり、横漏れ防止機能が補強される。なお、図中の符号AFは、接合部60C及び倒伏部分67を形成するためのホットメルト接着剤を示しているが、ホットメルト接着剤以外の手段を用いてもよい。
倒伏部分67は、起き上がりギャザー60が倒伏していれば、折り返し部分70における倒伏部分67と重なる部分の全部が対向面に固定されていても、非固定であってもよい。ただし、図示例のように、起き上がりギャザー60の倒伏部分67が、第2領域Q2に位置する部分67Aと、それよりもウエスト側に位置する部分とを有し、折り返し部分70における倒伏部分67と重なる部分のうち、少なくとも自由部分68側の一部が対向面に固定されていないと、起き上がりギャザー60が倒伏しはじめる部分に、折り返し部分70が起き上がり可能な部分が存在するため、起き上がりギャザー60の倒伏部分67における漏れ防止性を補うことができる。なお、図中の符号BFは、折り返し部分70を対向面に固定するためのホットメルト接着剤を示しているが、ホットメルト接着剤以外の手段を用いてもよい。
折り返し部分70と起き上がりギャザー60の近接部分69Bとの接合部60Cは、起き上がりギャザー60の起き上がり力を折り返し部分70に伝えるために必要であるが、図13に示すように、この接合部60C(図中点模様の部分)が前後方向LDに連続していると、吸収体56、トップシート及び包装シート58がギャザー弾性部材63により不必要に収縮するだけでなく、ギャザー弾性部材63の収縮が吸収体56により阻害される。よって、図14に示すように、折り返し部分70と起き上がりギャザー60の近接部分69Bとの接合部60C(図中点模様の部分)は、5〜15mm程度の短い前後方向LDの寸法で、前後方向LDに間隔を空けて複数設けられていると好ましい。
製造容易性等の観点から、起き上がりギャザー60における第1領域Q1に位置する部分68Aは、第2領域Q2に位置する部分68B,67Aから続く断面構造を有することが望ましい。よって、図示例の第1領域Q1のようにトップシート30及び包装シート58の折り返し部分71が形成される場合、図10(a)及び図12(a)に示すように、自由部分68のうち第1領域Q1に位置する部分68Aも、トップシート30及び包装シート58の折り返し部分71の側面及び上面に近接する近接部分69Bと、トップシート30及び包装シート58の折り返し部分70の上に突出する突出部分69Aとを有していることが望ましい。また、図10(a)及び図12(a)に示すように、第1領域Q1に位置する部分68Aのうち、突出部分69Aは、トップシート30及び包装シート58の折り返し部分71の先端から突出しており、トップシート30及び包装シート58の折り返し部分71の少なくとも先端部の上面と、近接部分69Bとが接合された接合部60Cを有し、近接部分69Bにおけるトップシート30及び包装シート58の折り返し部分70の先端部と対応する部分にも、ギャザー弾性部材63が設けられているのが好ましい。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後方向」とは図中に符号LDで示す方向(縦方向)を意味し、「幅方向」とは図中にWDで示す方向(左右方向)を意味し、前後方向と幅方向とは直交するものである。
・「表側」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌に近い方を意味し、「裏側」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌から遠い方を意味する。
・「表面」とは部材の、パンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌に近い方の面を意味し、「裏面」とはパンツタイプ使い捨ておむつを着用した際に着用者の肌から遠い方の面を意味する。
・「面積率」とは単位面積に占める対象部分の割合を意味し、対象領域(例えばカバー不織布)における対象部分(例えば孔)の総和面積を当該対象領域の面積で除して百分率で表すものである。対象部分が間隔を空けて多数設けられる形態では、対象部分が10個以上含まれるような大きさに対象領域を設定して、面積率を求めることが望ましい。例えば、孔の面積率は、例えばKEYENCE社の商品名VHX−1000を使用し、測定条件を20倍として、以下の手順で測定することができる。
(1)20倍のレンズにセットし、ピントを調節する。穴が4×6入るように不織布の位置を調整する。
(2)孔の領域の明るさを指定し、孔の面積を計測する。
(3)「計測・コメント」の「面積計測」の色抽出をクリックする。孔の部分をクリックする。
(4)「一括計測」をクリックし、「計測結果ウィンドを表示」にチェックを入れ、CSVデータで保存をする。
(1)20倍のレンズにセットし、ピントを調節する。穴が4×6入るように不織布の位置を調整する。
(2)孔の領域の明るさを指定し、孔の面積を計測する。
(3)「計測・コメント」の「面積計測」の色抽出をクリックする。孔の部分をクリックする。
(4)「一括計測」をクリックし、「計測結果ウィンドを表示」にチェックを入れ、CSVデータで保存をする。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%を混合したもの)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・吸水量は、JIS K7223−1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・吸水速度は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
本発明は、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつの他、テープタイプ使い捨ておむつやパッドタイプ使い捨ておむつ等、使い捨ておむつ全般に適用できるものであり、また、生理用ナプキン等の他の吸収性物品にも適用できるものである。
A1…非伸縮領域、A2…伸縮領域、FL…折り返し位置、L…中間領域、LD…前後方向、Q0…吸収体を有する領域、Q1…第1領域、Q2…第2領域、Q3…第3領域、T…胴周り領域、U…ウエスト下方部、W…ウエスト部、WO…ウエスト開口、 11…液不透過性シート、12B…後側外装体、12F…前側外装体、12H…内側シート層、12S…外側シート層、13…カバー不織布、17…ウエスト部弾性部材、18…不要弾性部材、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、56N…括れ部、58…包装シート、60…起き上がりギャザー、60A…先端側部分、60B…付け根側部分、60C…接合部、62…ギャザー不織布、63…ギャザー弾性部材、67…倒伏部分、68…自由部分、69A…突出部分、69B…近接部分、70…折り返し部分、72…非折り返し部分、200…内装体、201,202…内外接合部。
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