以下、実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
<車載システム>
先ず、図1に基づいて電力変換ユニット520の設けられる車載システム100を説明する。この車載システム100は電気自動車用のシステムを構成している。車載システム100は、バッテリ200、電力変換装置300、および、モータ400を有する。電力変換装置300に電力変換ユニット520が含まれている。
また車載システム100は図示しない複数のECUを有する。これら複数のECUはバス配線を介して相互に信号を送受信している。複数のECUは協調して電気自動車を制御している。複数のECUの制御により、バッテリ200のSOCに応じたモータ400の回生と力行が制御される。SOCはstate of chargeの略である。ECUはelectronic control unitの略である。
バッテリ200は複数の二次電池を有する。これら複数の二次電池は直列接続された電池スタックを構成している。この電池スタックのSOCがバッテリ200のSOCに相当する。二次電池としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、および、有機ラジカル電池などを採用することができる。
電力変換装置300はバッテリ200とモータ400との間の電力変換を行う。電力変換装置300はバッテリ200の直流電力をモータ400の力行に適した電圧レベルの交流電力に変換する。電力変換装置300はモータ400の発電(回生)によって生成された交流電力をバッテリ200の充電に適した電圧レベルの直流電力に変換する。
モータ400は図示しない電気自動車の出力軸に連結されている。モータ400の回転エネルギーは出力軸を介して電気自動車の走行輪に伝達される。逆に、走行輪の回転エネルギーは出力軸を介してモータ400に伝達される。
モータ400は電力変換装置300から供給される交流電力によって力行する。これにより推進力が走行輪に付与される。またモータ400は走行輪から伝達される回転エネルギーによって回生する。この回生によって発生した交流電力は、電力変換装置300によって直流電力に変換されるとともに降圧される。この直流電力がバッテリ200に供給される。また直流電力は電気自動車に搭載された各種電気負荷にも供給される。
<電力変換装置>
次に電力変換装置300を説明する。電力変換装置300はコンバータ500とインバータ600を備えている。コンバータ500はバッテリ200の直流電力をモータ400の力行に適した電圧レベルに昇圧する。インバータ600はこの直流電力を交流電力に変換する。この交流電力がモータ400に供給される。またインバータ600はモータ400で生成された交流電力を直流電力に変換する。コンバータ500はこの直流電力をバッテリ200の充電に適した電圧レベルに降圧する。
図1に示すようにコンバータ500は第1電力ライン301と第2電力ライン302を介してバッテリ200と電気的に接続されている。コンバータ500は第3電力ライン303と第4電力ライン304を介してインバータ600と電気的に接続されている。
第1電力ライン301はバッテリ200の正極に接続されている。第2電力ライン302はバッテリ200の負極に接続されている。これら第1電力ライン301と第2電力ライン302に第1平滑コンデンサ501が接続されている。第1平滑コンデンサ501の有する2つの電極のうちの一方が第1電力ライン301に接続されている。第1平滑コンデンサ501の有する2つの電極のうちの他方が第2電力ライン302に接続されている。第1平滑コンデンサ501はコンバータ500の構成要素の一部である。コンバータ500については後で詳説する。
インバータ600は第3電力ライン303と第4電力ライン304との間で並列接続された3相以上のレグを有する。これら3相以上のレグそれぞれは直列接続された2つのスイッチ素子を有する。これら2つのスイッチ素子の間の中点にバスバが接続されている。このバスバがモータ400のステータコイルと電気的に接続されている。インバータ600の構成についてはその説明と図示を省略する。
<コンバータの回路構成>
図1に示すようにコンバータ500はリアクトル510と電力変換ユニット520を有する。電力変換ユニット520はスイッチモジュール530と第2平滑コンデンサ540を有する。また電力変換ユニット520は図示しない放電抵抗を有する。なお厳密に区別すれば、第2平滑コンデンサ540はインバータ600の構成要素である。
リアクトル510は連結バスバ550を介してスイッチモジュール530と機械的および電気的に接続されている。スイッチモジュール530はPバスバ560とNバスバ570それぞれを介して第2平滑コンデンサ540と機械的および電気的に接続されている。
リアクトル510はA相リアクトル511、B相リアクトル512、C相リアクトル513、および、D相リアクトル514を有する。これに応じてスイッチモジュール530はA相レグ531、B相レグ532、C相レグ533、および、D相レグ534を有する。連結バスバ550はA相連結バスバ551、B相連結バスバ552、C相連結バスバ553、および、D相連結バスバ554を有する。
このように本実施形態のコンバータ500は、A相〜D相の4相のリアクトル、レグ、および、連結バスバを備える。4相のレグは上記のECUおよびゲートドライバによって各相独立して駆動制御される。若しくは、ECUおよびゲートドライバによって4相のレグは同調して駆動制御される。
A相レグ531〜D相レグ534それぞれは、半導体素子として、ハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536、および、ハイサイドダイオード535aとローサイドダイオード536aを有する。これら半導体素子が樹脂封止されてパッケージが構成されている。A相レグ531〜D相レグ534がスイッチに相当する。
スイッチモジュール530は図2および図3に示すようにA相レグ531〜D相レグ534それぞれを保持する冷却器537を有する。この冷却器537の内部に冷媒が流れる。これによりA相レグ531〜D相レグ534それぞれの昇温が抑えられている。冷却器537が保持部に相当する。スイッチモジュール530がスイッチユニットに相当する。
本実施形態では、ハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536としてnチャネル型のIGBTを採用している。これらハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536それぞれのコレクタ電極、エミッタ電極、および、ゲート電極それぞれに接続された端子の先端が上記のパッケージの外に露出されている。
図1に示すようにハイサイドスイッチ535のコレクタ電極はPバスバ560に接続されている。ハイサイドスイッチ535のエミッタ電極とローサイドスイッチ536のコレクタ電極とが接続されている。ローサイドスイッチ536のエミッタ電極がNバスバ570に接続されている。これによりハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536はPバスバ560からNバスバ570へ向かって順に直列接続されている。Nバスバ570が導電部に相当する。
また、ハイサイドスイッチ535のコレクタ電極にハイサイドダイオード535aのカソード電極が接続されている。ハイサイドスイッチ535のエミッタ電極にハイサイドダイオード535aのアノード電極が接続されている。これによりハイサイドスイッチ535にハイサイドダイオード535aが逆並列接続されている。
同様にして、ローサイドスイッチ536のコレクタ電極にローサイドダイオード536aのカソード電極が接続されている。ローサイドスイッチ536のエミッタ電極にローサイドダイオード536aのアノード電極が接続されている。これによりローサイドスイッチ536にローサイドダイオード536aが逆並列接続されている。
なお、これらハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536としては、IGBTではなくMOSFETを採用することもできる。採用するスイッチの種類としては特に限定されない。ただし、これらスイッチとしてMOSFETを採用する場合、上記のダイオードはなくともよい。
また、コンバータ500を構成する半導体素子は、Siなどの半導体、および、SiCなどのワイドギャップ半導体によって製造することができる。半導体素子の構成材料としては特に限定されない。
更に言えば、A相レグ531〜D相レグ534それぞれの有するスイッチ素子の種類と構成材料は異なっていてもよい。例えば、A相レグ531の備えるスイッチ素子がSiCから構成されるMOSFET、B相レグ532〜D相レグ534それぞれの備えるスイッチ素子がSiから構成されるIGBTであってもよい。
図1に示すように、A相リアクトル511の一端は第1電力ライン301に接続される。A相リアクトル511の他端はA相連結バスバ551を介してA相レグ531のハイサイドスイッチ535のエミッタ電極とローサイドスイッチ536のコレクタ電極に接続される。以上により、A相リアクトル511はバッテリ200の正極と、A相レグ531のハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536との間の中点とに接続されている。
同様にして、B相リアクトル512の一端は第1電力ライン301に接続される。B相リアクトル512の他端はB相連結バスバ552を介してB相レグ532のハイサイドスイッチ535のエミッタ電極とローサイドスイッチ536のコレクタ電極に接続される。以上により、B相リアクトル512はバッテリ200の正極と、B相レグ532のハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536との間の中点とに接続されている。
C相リアクトル513の一端は第1電力ライン301に接続される。C相リアクトル513の他端はC相連結バスバ553を介してC相レグ533のハイサイドスイッチ535のエミッタ電極とローサイドスイッチ536のコレクタ電極に接続される。以上により、C相リアクトル513はバッテリ200の正極と、C相レグ533のハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536との間の中点とに接続されている。
D相リアクトル514の一端は第1電力ライン301に接続される。D相リアクトル514の他端はD相連結バスバ554を介してD相レグ534のハイサイドスイッチ535のエミッタ電極とローサイドスイッチ536のコレクタ電極に接続される。以上により、D相リアクトル514はバッテリ200の正極と、D相レグ534のハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536との間の中点とに接続されている。
A相レグ531〜D相レグ534それぞれの備えるハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536は上記のECUとゲートドライバによって開閉制御される。ECUは制御信号を生成し、それをゲートドライバに出力する。ゲートドライバは制御信号を増幅し、それをスイッチのゲート電極に出力する。これによりECUはハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536を開閉制御して、コンバータ500に入力される直流電力の電圧レベルを昇降圧する。
ECUは制御信号としてパルス信号を生成している。ECUはこのパルス信号のオンデューティ比と周波数を調整することで直流電力の昇降圧レベルを調整している。またECUはA相レグ531〜D相レグ534のうちの駆動対象とするレグの数を選択することで昇降圧レベルを調整している。この昇降圧レベルはモータ400の目標トルクとバッテリ200のSOCに応じて決定される。
バッテリ200の直流電力を昇圧する場合、ECUはハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536それぞれを交互に開閉する。これとは反対にインバータ600から供給された直流電力を降圧する場合、ECUはローサイドスイッチ536に出力する制御信号をローレベルに固定する。それとともにECUはハイサイドスイッチ535に出力する制御信号をハイレベルとローレベルに順次切り換える。
<電力変換ユニットの構成>
次に、電力変換ユニット520の構成を説明する。それに当たって、以下においては互いに直交の関係にある3方向をx方向、y方向、および、z方向とする。x方向が並び方向に相当する。z方向が交差方向に相当する。
図2および図3に示すように電力変換ユニット520は、これまでに説明したスイッチモジュール530、第2平滑コンデンサ540、連結バスバ550、Pバスバ560、および、Nバスバ570の他に、これらを支持(収納)するケース580を有する。ケース580が筐体に相当する。
ケース580は環状の枠部581と、枠部581に一体的に連結された支持部582と、を有する。枠部581はx方向で互いに離間して対向する第1側壁581aと第2側壁581b、および、y方向で互いに離間して対向する第3側壁581cと第4側壁581dを有する。
第1側壁581aと第2側壁581bはy方向に延びている。第3側壁581cと第4側壁581dはx方向に延びている。第1側壁581a、第3側壁581c、第2側壁581b、および、第4側壁581dはz方向まわりの周方向で順に環状に連結されている。これにより枠部581はz方向に開口する環状を成している。
なお第2側壁581bには後述の供給管537aと排出管537bを設けるための2つの溝部が形成されている。これら2つの溝部はケース580の下面側から上面側に向かって局所的に凹んでいる。
支持部582は枠部581の中空に位置している。支持部582は枠部581の内壁面に連結されている。支持部582によって枠部581の上面側の開口の一部が閉塞されている。
細分化して説明すると支持部582は、第3側壁581cの内壁面に連結されてx方向に延びる第1支持部582aと、第4側壁581dの内壁面に連結されてx方向に延びる第2支持部582bと、を有する。
第1支持部582aと第2支持部582bはy方向で離間している。第1支持部582aと第2支持部582bとの間の空隙が枠部581の開口とz方向で連通している。これら第1支持部582aと第2支持部582bとに冷却器537と後述のバネ部538が設けられる。
支持部582は第1支持部582aと第2支持部582bの他に第3支持部582cを有する。第3支持部582cはx方向で第1側壁581aから離間している。第3支持部582cはy方向において第1支持部582aと第2支持部582bとの間に位置している。第3支持部582cは第1支持部582a、第2支持部582b、および、第2側壁581bそれぞれに連結されている。図3では第3支持部582cと第2支持部582bとの境に破線を付与している。
第3支持部582cにはz方向に沿ってケース580の下面側から上面側に向かって局所的に凹んだ凹部582dが形成されている。この凹部582dに第2平滑コンデンサ540が設けられる。
凹部582dの一部を区画する底壁にはz方向に開口する貫通孔が形成されている。この貫通孔を介して、第2平滑コンデンサ540の有する2つの電極と電気的に接続された2つの電極端子に、後述の第1延長バスバ541と第2延長バスバ542が接続可能になっている。なお第1支持部582aと第2支持部582bそれぞれはこの凹部582dの一部を区画する底壁に連結されている。
上記したようにスイッチモジュール530はパッケージを構成するA相レグ531〜D相レグ534と、これらを保持する冷却器537と、を有する。図3に示すように冷却器537は供給管537a、排出管537b、および、複数の中継管537cを有する。供給管537aと排出管537bは複数の中継管537cを介して連結されている。これら3つの管の中を冷媒が流れる。供給管537aから排出管537bへと複数の中継管537cを介して冷媒が流れる。
供給管537aと排出管537bはそれぞれx方向に延びている。供給管537aと排出管537bはy方向で離間している。複数の中継管537cそれぞれは供給管537aから排出管537bへと向かってy方向に沿って延びている。
複数の中継管537cはx方向で離間して並んでいる。隣り合う2つの中継管537cの間に空隙が構成されている。冷却器537には計4個の空隙が構成されている。これら4個の空隙それぞれにパッケージを構成するA相レグ531〜D相レグ534が個別に設けられる。これによりA相レグ531〜D相レグ534はx方向で離間して並んでいる。
A相レグ531〜D相レグ534それぞれはx方向で中継管537cと接触している。これにより4相のレグで発生した熱が中継管537cを介して冷媒に放熱可能になっている。
図3に示すように冷却器537(スイッチモジュール530)は第1支持部582aと第2支持部582bに設けられる。供給管537aが第2支持部582bに設けられる。排出管537bが第1支持部582aに設けられる。複数の中継管537cと4相のレグは、枠部581の中空における第1支持部582aと第2支持部582bとの間の空隙とz方向で連通する領域に設けられる。
4相のレグそれぞれが備えるハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536のコレクタ電極、エミッタ電極、および、ゲート電極に接続された端子の先端は、z方向に沿って枠部581の開口の外に突出している。コレクタ電極とエミッタ電極それぞれに接続された端子の先端は、枠部581におけるケース580の上面側の開口の外に突出している。ゲート電極に接続された端子の先端は、枠部581におけるケース580の下面側の開口の外に突出している。
冷却器537が第1支持部582aと第2支持部582bに設けられた状態で、複数の中継管537cと4相のレグは第3支持部582cとx方向で並んでいる。そのために複数の中継管537cと4相のレグは第3支持部582cの凹部582dに設けられた第2平滑コンデンサ540とx方向で並んでいる。また、供給管537aと排出管537bとの間に第2平滑コンデンサ540が位置している。そのために第2平滑コンデンサ540は、冷媒の流れる供給管537a、排出管537b、および、中継管537cそれぞれによって周りを囲まれている。
図3に示すように、x方向に並ぶ複数の中継管537cにおける最も第3支持部582c側に位置する中継管537cは、第3支持部582cとx方向で対向する態様で互いに接触している。そしてx方向に並ぶ複数の中継管537cにおける最も第1側壁581a側に位置する中継管537cは、第1側壁581aとx方向で離間している。この中継管537cと第1側壁581aとの間の空隙にバネ部538が圧入される。
この空隙へのバネ部538の圧入により、複数の中継管537cはバネ部538と第3支持部582cとの間でx方向に圧縮される。複数の中継管537cそれぞれの離間間隔が狭まる態様で、複数の中継管537cがx方向に弾性変形する。この結果、複数の中継管537cの間に設けられた4相のレグそれぞれと中継管537cとの接触面積が増大している。レグと中継管537cとの間の熱抵抗の増大が抑制されている。
以上に示したように、スイッチモジュール530はx方向に離間して並ぶ複数の中継管537cと、これら複数の中継管537cの間に空隙に設けられる4相のレグと、を有する。そのためにスイッチモジュール530は概してx方向に長い形状となっている。このスイッチモジュール530のx方向の長さは、スイッチモジュール530の備えるレグの数が増大するにしたがって長くなる。
また、スイッチモジュール530の中継管537cと第1側壁581aとの間にバネ部538が設けられる。そのためにケース580は概してx方向に長い形状となっている。このケース580のx方向の長さも、スイッチモジュール530の備えるレグの数が増大するにしたがって長くなる。
図1に基づいて説明したように、A相連結バスバ551〜D相連結バスバ554は、A相レグ531〜D相レグ534のうちの対応するレグの備えるハイサイドスイッチ535のエミッタ電極とローサイドスイッチ536のコレクタ電極に電気的に接続される。
上記したようにハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536それぞれのコレクタ電極とエミッタ電極に接続された端子の先端は、枠部581の上面側の開口の外に突出している。これら端子に接続されるべく、図2に示すようにA相連結バスバ551〜D相連結バスバ554それぞれは枠部581の上面側に位置している。これらA相連結バスバ551〜D相連結バスバ554はx方向で離間して並んでいる。
A相連結バスバ551は、A相レグ531の備えるハイサイドスイッチ535のエミッタ電極に接続された端子の先端とローサイドスイッチ536のコレクタ電極に接続された端子の先端それぞれに接続される。A相連結バスバ551は、これら端子との接続部位から離間する態様でy方向に沿って延びている。A相連結バスバ551の先端には、A相リアクトル511とボルト止めするためのA相ボルト孔551aが形成されている。
同様にして、B相連結バスバ552は、B相レグ532の備えるハイサイドスイッチ535のエミッタ電極に接続された端子の先端とローサイドスイッチ536のコレクタ電極に接続された端子の先端それぞれに接続される。B相連結バスバ552は、これら端子との接続部位から離間する態様でy方向に沿って延びている。B相連結バスバ552の先端には、B相リアクトル512とボルト止めするためのB相ボルト孔552aが形成されている。
C相連結バスバ553は、C相レグ533の備えるハイサイドスイッチ535のエミッタ電極に接続された端子の先端とローサイドスイッチ536のコレクタ電極に接続された端子の先端それぞれに接続される。C相連結バスバ553は、これら端子との接続部位から離間する態様でy方向に沿って延びている。C相連結バスバ553の先端には、C相リアクトル513とボルト止めするためのC相ボルト孔553aが形成されている。
D相連結バスバ554は、D相レグ534の備えるハイサイドスイッチ535のエミッタ電極に接続された端子の先端とローサイドスイッチ536のコレクタ電極に接続された端子の先端それぞれに接続される。D相連結バスバ554は、これら端子との接続部位から離間する態様でy方向に沿って延びている。D相連結バスバ554の先端には、D相リアクトル514とボルト止めするためのD相ボルト孔554aが形成されている。以上に示した連結バスバのボルト孔は図1において白丸で示している。
図1に基づいて説明したように、A相レグ531〜D相レグ534それぞれの有するハイサイドスイッチ535のエミッタ電極と第2平滑コンデンサ540の有する2つの電極のうちの一方とがPバスバ560に電気的に接続される。A相レグ531〜D相レグ534それぞれの有するローサイドスイッチ536のコレクタ電極と第2平滑コンデンサ540の有する2つの電極のうちの他方とがNバスバ570に電気的に接続される。
図2に示すように第2平滑コンデンサ540の有する2つの電極端子のうちの一方に第1延長バスバ541が接続されている。この第1延長バスバ541にPバスバ560がボルト止めされる。第1延長バスバ541には第3電力ライン303をボルト止めするためのPボルト孔541aが形成されている。
第2平滑コンデンサ540の有する2つの電極端子のうちの他方に第2延長バスバ542が接続されている。この第2延長バスバ542にNバスバ570がボルト止めされる。第2延長バスバ542には第4電力ライン304をボルト止めするためのNボルト孔542aが形成されている。以上に示した延長バスバのボルト孔は図1において白丸で示している。
図2に示すようにPバスバ560とNバスバ570はz方向で重なってケース580の上面側に設けられる。Pバスバ560とNバスバ570との間には図示しない絶縁性の固定板が設けられている。
Pバスバ560とNバスバ570それぞれは固定板に図示しないボルトによって固定される。固定板は図示しないボルトによってケース580に固定されている。このようにPバスバ560とNバスバ570は固定板を介してケース580に固定されている。またNバスバ570は後述の端子台590を介してケース580に固定されている。
Pバスバ560はx方向に延びる本体部561と、本体部561からy方向に沿って延びた複数の接続端部562と、を有する。本体部561は第1延長バスバ541にボルト止めされている。複数の接続端部562は4相のレグそれぞれのハイサイドスイッチ535のコレクタ電極に接続された端子の先端に溶接接合されている。次に、Nバスバ570を詳説する。
<Nバスバの寸法バラツキ>
これにまでに説明したように、Nバスバ570はスイッチモジュール530の有するA相レグ531〜D相レグ534それぞれと、第2平滑コンデンサ540とに接続される。これらNバスバ570の接続対象であるスイッチモジュール530と第2平滑コンデンサ540はx方向に並んでいる。スイッチモジュール530はx方向に長い形状となっている。
またNバスバ570は固定板と後述の端子台590を介してケース580に固定される。このケース580は、バネ部538、スイッチモジュール530、および、第2平滑コンデンサ540のx方向の並びのために、x方向に長い形状となっている。
ケース580には端子台590を介して第2電力ライン302が機械的に接続される。Nバスバ570は第2電力ライン302と機械的および電気的に接続される。ケース580における第2電力ライン302の固定位置は第1側壁581aを介してバネ部538とx方向で離間して並んでいる。この固定位置とNバスバ570における第2電力ライン302との接続位置は一致している。
以上に示した構成のため、Nバスバ570はx方向に長い形状になっている。x方向への延長のためにNバスバ570のx方向の長さの寸法バラツキが増大する虞がある。これによりNバスバ570と第2電力ライン302とを接続することが困難になる虞がある。このような課題を解決するべく、Nバスバ570は複数に分割されている。
<Nバスバの構成>
本実施形態のNバスバ570は第1分割バスバ571と第2分割バスバ572の2つに分割されている。第1分割バスバ571と第2分割バスバ572はそれぞれ金属板をプレス加工することで製造されている。第1分割バスバ571と第2分割バスバ572はx方向に延びる態様で互いに連結されている。第1分割バスバ571と第2分割バスバ572は連結ボルト573を介して互いに機械的および電気的に接続されている。
<第1分割バスバ>
細分化して説明すると第1分割バスバ571は、本体部571a、第1接続端部571b、第2接続端部571c、および、複数の第3接続端部571dを有する。本体部571aは第1接続端部571b〜第3接続端部571dそれぞれよりも自身の延びる方向(延長方向)の長さが長くなっている。本体部571aは上記した固定板上において第2側壁581bから第1側壁581aに向かってx方向に延びている。
第1接続端部571bは本体部571aの有する2つの端部のうちの第2側壁581b側の端部から第3側壁581c側に向かってy方向に延びている。第1接続端部571bは第2延長バスバ542にボルト止めされている。
第2接続端部571cは本体部571aの有する2つの端部のうちの第1側壁581a側の端部から第3側壁581c側に向かってy方向に延びている。第2接続端部571cは第2分割バスバ572にボルト止めされている。
図2に示すように第1接続端部571bと第2接続端部571cはx方向で離間して並んでいる。第1接続端部571bと第2接続端部571cとの間に複数の中継管537cと4相のレグが位置している。
複数の第3接続端部571dは本体部571aの中央部から第3側壁581c側に向かってy方向に延びている。本実施形態ではレグの数と同数の4つの第3接続端部571dが本体部571aに一体的に連結されている。これら4つの第3接続端部571dは第1接続端部571bと第2接続端部571cとの間でx方向に離間して並んでいる。4つの第3接続端部571dは4相のレグそれぞれのローサイドスイッチ536のエミッタ電極に接続された端子の先端と溶接接合されている。
<第2分割バスバと端子台>
上記したように第2分割バスバ572は端子台590に固定される。そのために以下においてはこれら第2分割バスバ572と端子台590を図4〜図6に基づいて一緒に説明する。なお図5では後述の第1ボルト孔574c、第2ボルト孔576c、および、支持ボルト孔592cそれぞれを破線で示している。図6では第2分割バスバ572と端子台590の他に、後述の連結ボルト573、固定ボルト578、接続ボルト579、第2接続端部571c、および、第2電力ライン302の金属端子302aを図示している。
第2分割バスバ572は第2接続端部571cから離間する態様でx方向に延びている。第2分割バスバ572はケース580の第1側壁581aに端子台590を介して連結される。第2分割バスバ572は第1側壁581a側に位置する下面とその反対側の上面を有する。
図4に示すように第2分割バスバ572は複数個所で屈曲している。そのために第2分割バスバ572の上面と下面は場所によって面する方向が異なっている。屈曲部位を境として細分化して説明すると、第2分割バスバ572は、連結部574、延長部575、固定部576、および、接続部577を有する。
連結部574はx方向に延びている。連結部574の上面と下面はz方向に面している。連結部574は上面と下面との間のz方向の厚さの薄い平板形状を成している。
延長部575はz方向に延びている。延長部575の上面と下面はx方向に面している。延長部575は上面と下面との間のx方向の厚さの薄い平板形状を成している。
固定部576はx方向に延びている。固定部576の上面と下面はz方向に面している。固定部576は上面と下面との間のz方向の厚さの薄い平板形状を成している。
接続部577はz方向に延びている。接続部577の上面と下面はx方向に面している。接続部577は上面と下面との間のx方向の厚さの薄い平板形状を成している。
連結部574と延長部575とが一体的に連結されている。連結部574の上面と延長部575の上面それぞれの沿面方向が直交している。連結部574の下面と延長部575の下面それぞれの沿面方向が直交している。連結部574の上面と延長部575の上面との間の角度が270°になっている。連結部574の下面と延長部575の下面との間の角度が90°になっている。
延長部575と固定部576とが一体的に連結されている。延長部575の上面と固定部576の上面それぞれの沿面方向が直交している。延長部575の下面と固定部576の下面それぞれの沿面方向が直交している。延長部575の上面と固定部576の上面との間の角度が90°になっている。延長部575の下面と固定部576の下面との間の角度が270°になっている。
固定部576と接続部577とが一体的に連結されている。固定部576の上面と接続部577の上面それぞれの沿面方向が直交している。固定部576の下面と接続部577の下面それぞれの沿面方向が直交している。固定部576の上面と接続部577の上面との間の角度が270°になっている。固定部576の下面と接続部577の下面との間の角度が90°になっている。
以上に示したように第2分割バスバ572はx方向に延びるとともにz方向に延びている。図6に分解して示すように、連結部574に第1分割バスバ571の第2接続端部571cが連結される。固定部576が端子台590に固定される。接続部577に第2電力ライン302の金属端子302aが接続される。第2電力ライン302が外部接続部に相当する。
図6に示すように連結部574にはz方向に開口する第1ボルト孔574cが形成されている。第1ボルト孔574cは連結部574の上面と下面とに開口している。
そして連結部574の下面には連結ナット574dが連結されている。連結ナット574dはz方向に開口する筒形状を成している。連結ナット574dにはねじ溝が形成されている。連結ナット574dの中空と第1ボルト孔574cの中空とがz方向で連通している。
第1分割バスバ571の第2接続端部571cにはz方向に貫通する連結ボルト孔571eが形成されている。第2分割バスバ572の連結部574の上面に第1分割バスバ571の第2接続端部571cが重ねられる。この際、連結ボルト孔571eと第1ボルト孔574cとがz方向で連通される。
このように第2接続端部571cと連結部574とがz方向で重なった状態で、連結ボルト573の軸部の先端が連結ボルト孔571eと第1ボルト孔574cそれぞれの中空に通される。これらボルト孔の中空を通った連結ボルト573の軸部の先端が連結ナット574dの中空に通される。連結ボルト573の軸部の先端が連結ナット574dのねじ溝に締結される。第2接続端部571cと連結部574とが連結ボルト573の頭部と連結ナット574dとの間で挟持される。これにより第1分割バスバ571と第2分割バスバ572とが機械的および電気的に接続されている。
なおもちろんではあるが、この連結ボルト573と連結ナット574dの締結具合が外力などの作用によってゆるむと、第1分割バスバ571と第2分割バスバ572との機械的および電気的な接続に不良が生じる虞がある。
固定部576にはz方向に開口する第2ボルト孔576cが形成されている。第2ボルト孔576cは固定部576の上面と下面とに開口している。
固定部576(第2分割バスバ572)は絶縁性の樹脂材料から成る端子台590に固定される。端子台590は1つの開口を備える箱部591を有する。
箱部591はz方向の厚さの薄い扁平形状の底部593と、底部593の内底面593aの縁部からz方向に延びた側部594と、を有する。側部594はz方向まわりの周方向で環状を成している。この側部594の先端によって箱部591の開口が区画されている。
底部593には内底面593aとその裏側の外底面593bとに開口する固定ボルト孔593cが形成されている。そして底部593の内底面593aにはz方向に開口する筒形状の固定ナット593dが連結されている。固定ナット593dにはねじ溝が形成されている。固定ナット593dの中空と固定ボルト孔593cの中空とがz方向で連通している。
固定部576の下面が底部593の外底面593bに対向する態様で、固定部576は端子台590に設けられる。この際、第2ボルト孔576cの中空と固定ボルト孔593cの中空とがz方向で連通される。
このように固定部576が端子台590に設けられた状態で、固定ボルト578の軸部の先端が第2ボルト孔576cと固定ボルト孔593cそれぞれの中空に通される。これらボルト孔の中空を通った固定ボルト578の軸部の先端が固定ナット593dの中空に通される。固定ボルト578の軸部の先端が固定ナット593dのねじ溝に締結される。固定部576は固定ボルト578の頭部と底部593との間で挟持される。これにより固定部576(第2分割バスバ572)が端子台590に固定される。
端子台590は上記の箱部591の他に、図4および図5に示すように箱部591の側部594に一体的に連結された2つのフランジ部592を有する。これら2つのフランジ部592は箱部591の中空から互いに離間する態様で、側部594からy方向に延びている。
2つのフランジ部592はそれぞれz方向に面する2つの主面を有する。図5において破線で示すように2つのフランジ部592それぞれには2つの主面それぞれに開口する支持ボルト孔592cが形成されている。2つの支持ボルト孔592cの間に固定ボルト孔593cが位置している。そのために端子台590に第2分割バスバ572が固定された状態において、2つの支持ボルト孔592cの間に固定ボルト578が位置している。2つの支持ボルト孔592cはx方向において第1ボルト孔574cと後述の第3ボルト孔577cとの間に位置している。
図示しないが、ケース580の第1側壁581aにおける端子台590の載置面にはz方向に開口するボルト孔が2つ形成されている。これら2つのボルト孔それぞれにねじ溝が形成されている。これら2つのボルト孔はy方向に離間して並んでいる。これら2つのボルト孔のy方向の離間間隔は、2つのフランジ部592それぞれに形成された支持ボルト孔592cのy方向の離間間隔と同等になっている。
端子台590は、支持ボルト孔592cと第1側壁581aに形成されたボルト孔とがz方向で連通される態様で、第1側壁581aに載置される。この載置状態で、2つの支持ボルト孔592cそれぞれに支持ボルト592dの軸部が通される。この支持ボルト孔592cを通った支持ボルト592dの軸部の先端が第1側壁581aに形成されたボルト孔に通される。支持ボルト592dの軸部の先端がボルト孔に締結される。端子台590は支持ボルト592dの頭部と第1側壁581aとの間で挟持される。これにより端子台590がケース580に固定される。この結果、Nバスバ570が端子台590を介してケース580に固定される。
接続部577にはx方向に開口する第3ボルト孔577cが形成されている。第3ボルト孔577cは接続部577の上面と下面とに開口している。
図5に示すように、第1ボルト孔574c、第2ボルト孔576c、および、第3ボルト孔577cそれぞれは、第2分割バスバ572を構成する連結部574、延長部575、固定部576、接続部577それぞれの中心を通る中心線CL上に位置している。第1ボルト孔574c、第2ボルト孔576c、および、第3ボルト孔577cそれぞれは、x方向で並ぶとともに、z方向で並んでいる。
これまでに説明したように第2分割バスバ572の固定部576は端子台590の底部593に固定される。この固定状態において、図6に示すように接続部577は端子台590の側部594とx方向で対向している。
この側部594における接続部577との対向部には、x方向に開口する接続ボルト孔594cが形成されている。接続ボルト孔594cは側部594の内側面594aと外側面594bとに開口している。そして側部594の内側面594aにはx方向に開口する筒形状の接続ナット594dが設けられている。接続ナット594dにねじ溝が形成されている。接続ナット594dの中空と接続ボルト孔594cの中空とがx方向で連通している。
接続部577の下面と側部594の外側面594bとがx方向で対向した状態で、第3ボルト孔577c、接続ボルト孔594c、および、接続ナット594dそれぞれの中空がx方向で連通されている。第3ボルト孔577c、接続ボルト孔594c、および、接続ナット594dそれぞれによって1つのボルト孔が構成されている。
第2電力ライン302の金属端子302aにはこの第3ボルト孔577c、接続ボルト孔594c、および、接続ナット594dそれぞれによって構成される1つのボルト孔に対応するボルト孔302bが形成されている。これら2つのボルト孔がx方向に並ばせられた状態で、これら2つのボルト孔に接続ボルト579の軸部が通される。そして接続ボルト579の軸部の先端が接続ナット594dに締結される。これにより接続ボルト579の頭部と端子台590の側部594との間で、第2電力ライン302の金属端子302aと接続部577とが挟持される。この結果、第2電力ライン302とNバスバ570とが機械的および電気的に接続される。電力変換ユニット520と第2電力ライン302とが機械的および電気的に接続される。
なお、端子台590の接続ボルト孔594cと接続ナット594dが上記したケース580における第2電力ライン302の固定位置に相当する。接続部577の第3ボルト孔577cが上記したNバスバ570における第2電力ライン302との接続位置に相当する。
<作用効果>
これまでに説明したように、Nバスバ570の第3ボルト孔577c、端子台590の接続ボルト孔594cと接続ナット594dそれぞれがx方向に並び、それぞれの中空がx方向で連通することで1つのボルト孔が構成されている。このボルト孔が電力変換ユニット520における第2電力ライン302との機械的および電気的な接続部位になっている。
しかしながらNバスバ570のx方向の延長によって、Nバスバ570のx方向の長さの寸法バラツキが大きくなると、Nバスバ570の第3ボルト孔577cと端子台590の接続ボルト孔594cとがx方向で離間する虞がある。これにより第3ボルト孔577cと接続ボルト孔594cのx方向の連通具合に変動が生じる虞がある。第2電力ライン302とNバスバ570とを接続することが困難になる虞がある。
これに対して本実施形態のNバスバ570は、第1分割バスバ571と第2分割バスバ572の2つに分割されている。これにより第1分割バスバ571と第2分割バスバ572それぞれの延長が抑制されている。第1分割バスバ571と第2分割バスバ572それぞれの製造誤差に起因する長さの寸法バラツキの増大が抑制されている。この結果、Nバスバ570と第2電力ライン302との接続が困難となることが抑制されている。
第2分割バスバ572(Nバスバ570)は端子台590を介してケース580に固定されている。
これによれば、ケース580が外力によって振動した際に、第1分割バスバ571と第2分割バスバ572それぞれがケース580と同相で振動しやすくなる。そのために第1分割バスバ571と第2分割バスバ572とを機械的および電気的に接続する連結ボルト573の締結具合がゆるむことが抑制される。この結果、第1分割バスバ571と第2分割バスバ572とに機械的および電気的な接続不良が生じることが抑制される。
第2分割バスバ572は連結部574、延長部575、固定部576、および、接続部577が順に一体的に連結されている。これにより第2分割バスバ572はx方向とz方向に延びている。
そして連結部574には第1分割バスバ571と連結するための連結ボルト573の挿入される第1ボルト孔574cが形成されている。固定部576には端子台590に固定するための固定ボルト578の挿入される第2ボルト孔576cが形成されている。接続部577には第2電力ライン302の金属端子302aと接続するための接続ボルト579の挿入される第3ボルト孔577cが形成されている。
以上に示した構成により、第1ボルト孔574c、第2ボルト孔576c、および、第3ボルト孔577cそれぞれがx方向に並んでいる。x方向において、第1ボルト孔574cと第3ボルト孔577cとの間に第2ボルト孔576cが位置している。
これによれば、第3ボルト孔577cの形成された接続部577に外力が印加された場合、その外力は、第1ボルト孔574cに挿入される連結ボルト573ではなく、第2ボルト孔576cに挿入される固定ボルト578に作用されやすくなる。これにより連結ボルト573への応力の作用が抑制される。そのために第1分割バスバ571と第2分割バスバ572とで機械的および電気的な接続不良が生じることが抑制される。
なお、上記した接続部577に印加される外力としては、例えば第3ボルト孔577cに挿入される接続ボルト579の接続ナット594dへの締結時の応力や、車両の振動に起因する応力などがある。
第3ボルト孔577cはx方向に開口して、x方向に延びている。第1ボルト孔574cと第2ボルト孔576cそれぞれはz方向に開口して、z方向に延びている。そのために第3ボルト孔577cに挿入される接続ボルト579の軸部はx方向に延びている。第1ボルト孔574cに挿入される連結ボルト573と第2ボルト孔576cに挿入される固定ボルト578それぞれの軸部はz方向に延びている。
これによれば、接続ボルト579が第3ボルト孔577cを介して接続ナット594dへ締結される際、x方向まわりの回転モーメントが接続ナット594dに作用する。これに応じて端子台590はx方向まわりに回転しようとする。しかしながらこのx方向まわりの回転は、端子台590と第2分割バスバ572とを連結する固定ボルト578によって抑制される。これにより第1分割バスバ571と第2分割バスバ572とを接続する連結ボルト573に応力が作用することが抑制される。第1分割バスバ571と第2分割バスバ572とで機械的および電気的な接続不良が生じることが抑制される。
端子台590には、支持ボルト592dによって端子台590をケース580に固定するための支持ボルト孔592cが2つ形成されている。2つの支持ボルト孔592cはx方向において第1ボルト孔574cと第3ボルト孔577cとの間に位置している。
これによれば、外力が接続部577に印加された場合、その外力の連結ボルト573への作用が、固定ボルト578だけではなく、支持ボルト孔592cに挿入される支持ボルト592dによっても抑制される。そのために第1分割バスバ571と第2分割バスバ572とで機械的および電気的な接続不良が生じることがより効果的に抑制される。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は上記した実施形態になんら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
(第1の変形例)
本実施形態では特に第1ボルト孔574cと第2ボルト孔576cとの離間距離や、第2ボルト孔576cと第3ボルト孔577cとの離間距離について言及していなかった。しかしながら例えば図6に示すように、第1ボルト孔574cと第2ボルト孔576cとの離間距離L1よりも、第2ボルト孔576cと第3ボルト孔577cとの離間距離L2の方が短い構成が好ましい。
これによれば接続ボルト579の接続ナット594dへの締結時に発生するx方向まわりの回転モーメントの連結ボルト573への作用が、離間距離L1よりも離間距離L2が長い構成と比べて、固定ボルト578によってより効果的に抑制される。
なお上記の作用効果は、離間距離L1,L2の長短関係ではなく、単に離間距離L2が短くなれば短くなるほどに高まる。図6において離間距離L1は、連結部574のx方向の長さの半分と、延長部575のx方向の厚みと、固定部576のx方向の長さの半分それぞれの和になっている。離間距離L2は固定部576のx方向の長さと半分と、接続部577のx方向の厚みの半分の和になっている。
(第2の変形例)
本実施形態では、Nバスバ570が第2平滑コンデンサ540とスイッチモジュール530それぞれに接続される第1分割バスバ571と、第2電力ライン302に接続される第2分割バスバ572と、を有する例を示した。
しかしながらNバスバ570は、これら第1分割バスバ571と第2分割バスバ572の他に、少なくとも1つの第3分割バスバを備えてもよい。この場合、Nバスバ570は少なくとも3つの分割バスバに分割された構成となる。
(第3の変形例)
本実施形態では図6に示すように底部593に固定ボルト孔593cが形成され、底部593の内底面593aに固定ナット593dが連結される例を示した。しかしながら例えば図7に示すように固定ナット593dが底部593の外底面593bに開口する態様で、固定ナット593dが底部593に一体的に連結された構成を採用することもできる。
(第4の変形例)
本実施形態では図6に示すように側部594における接続部577との対向部に接続ボルト孔594cが形成され、側部594の内側面594aに接続ナット594dが連結される例を示した。しかしながら例えば図7に示すように接続ナット594dが側部594の外側面594bに開口する態様で、接続ナット594dが側部594に一体的に連結された構成を採用することもできる。
この変形例の場合、接続ナット594dの中空の一部が接続ボルト孔594cを構成する。接続部577の下面と側部594の外側面594bとがx方向で対向した状態で、第3ボルト孔577cと接続ナット594dそれぞれの中空がx方向で連通される。第3ボルト孔577cと接続ナット594dそれぞれによって1つのボルト孔が構成される。
(第5の変形例)
本実施形態ではA相レグ531〜D相レグ534それぞれの備えるハイサイドスイッチ535とローサイドスイッチ536、および、ハイサイドダイオード535aとローサイドダイオード536aが樹脂封止されて1つのパッケージが構成される例を示した。1相のレグの備える2つのスイッチと2つのダイオードが樹脂封止されて1つのパッケージが構成される例を示した。
しかしながらこれとは異なり、例えばハイサイドスイッチ535とハイサイドダイオード535aが樹脂封止されて1つのパッケージが構成されてもよい。ローサイドスイッチ536とローサイドダイオード536aが樹脂封止されて1つのパッケージが構成されてもよい。パッケージの構成形態としては特に限定されない。
(その他の変形例)
本実施形態では電力変換ユニット520にコンバータ500の構成要素の一部が含まれる例を示した。しかしながら電力変換ユニット520にコンバータ500の構成要素の全てが含まれる構成を採用することもできる。また、電力変換ユニット520にインバータ600の構成要素の少なくとも一部が含まれる構成を採用することもできる。
本実施形態では電力変換ユニット520が電気自動車用の車載システム100に含まれる例を示した。しかしながら電力変換ユニット520の適用としては特に上記例に限定されない。例えばモータと内燃機関を備えるハイブリッドシステムに電力変換ユニット520が含まれる構成を採用することもできる。
本実施形態では電力変換装置300が1つのモータ400に接続される構成を示した。しかしながら電力変換装置300が2つのモータ400に接続される構成を採用することもできる。この場合、電力変換装置300はインバータ600を2つ備える。