JP2020093533A - 回転ローラ - Google Patents

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Abstract

【課題】トウプリプレグ製造装置に適用され、樹脂量のロスを抑制することができる回転ローラを提供する。【解決手段】強化繊維に樹脂を含浸させてなるトウプリプレグを製造するためのトウプリプレグ製造装置に適用され、樹脂が含浸された強化繊維FPをその周面Sに沿わせながら搬送する円柱状の回転ローラ10Bであって、前記周面Sには、前記樹脂が含浸された強化繊維FPが接触する接触部Cと、前記樹脂が含浸された強化繊維FPが接触しない非接触部NCとが、周方向に複数形成されている。【選択図】図6

Description

本発明は、トウプリプレグ製造装置に適用される回転ローラに関する。
繊維強化樹脂材料からなる成形品は、軽量でありながら強度に優れていることから様々な分野で広く利用されている。こうした成形品は、通常、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させたいわゆるプリプレグと呼ばれるシート状基材を積層し、加圧及び加熱により樹脂を熱硬化させて賦形することにより製造される。プリプレグとしては、複数本の強化繊維束を一方向に並行して配列させたものにマトリックス樹脂を含浸させたシート状のシートプリプレグや、より細幅のトウプリプレグが知られている。
細幅のトウプリプレグを使用して成形品を製造する場合、芯材としてのマンドレルの周囲に、トウプリプレグを互いに編み組みさせながら巻き付けて複数層の組糸層を積層する。組糸層は、マンドレルの軸線に対して左右対称の配向角度を有する2種類の傾斜糸と、0゜の配向角度を有する中央糸とからなる組糸が編み込まれている。そのため、成形品表面にシート状基材の継ぎ目が存在しない上に、組糸の配向角度や本数を適宜に調整することが容易であり、曲げ強度、ねじり強度に優れた成形品を得ることができる。また、湾曲面を有するような複雑な形状の成形品にも適用することができる。
トウプリプレグを製造するためのトウプリプレグ製造装置として、外周面に樹脂が塗布されたオイリングローラに、開繊状態の強化繊維を供給しながら樹脂を含浸させるタイプのものが知られている。特許文献1には、オイリングローラに樹脂を供給するための樹脂タンクを備え、樹脂タンクからの樹脂の供給量が一定となるように制御可能としたトウプリプレグ製造装置に係る発明が記載されている。
図1に示すように、こうしたトウプリプレグ製造装置には、オイリングローラ30の上流側、下流側に、複数の回転ローラ50が図示しない張力調整機構とともに配置されている。オイリングローラ30によって樹脂が含浸された強化繊維(以下、繊維強化樹脂という。)は、張力調整機構によって張力が調整されつつ、オイリングローラ30の下流側に配置された複数の回転ローラ50の周面に沿って搬送される。強化繊維が引っ張られ過ぎたり撓んだりすることが抑制されることで、強化繊維には樹脂が均等に含浸される。樹脂が含浸された強化繊維は巻取りボビン70に均等に巻き取られてトウプリプレグとなる。
特開2017−74699号公報
ところで、オイリングローラ30に塗布された樹脂は液体状態であって粘稠である。そのため、図9に示すように、回転ローラ50における繊維強化樹脂の搬送方向Aの下流側では、繊維強化樹脂が回転ローラ50の周面から離れる際に、繊維強化樹脂中の樹脂の一部が引き剥がされた状態となる場合がある。これは、樹脂の粘性が高いために、搬送方向Aに移動する繊維強化樹脂中の一部の樹脂Pが回転ローラ50の周面に付着し易く、繊維強化樹脂中の樹脂Pと回転ローラ50の周面に付着した樹脂Pとが切れ難いことによる。これにより、繊維強化樹脂と回転ローラ50の周面との間で粘稠な樹脂Pの糸引きが発生する。回転ローラ50がさらに回転していって樹脂Pの糸引きの限界を超えると、糸状の樹脂Pがちぎれて落下したり空中に飛散したりすることになる。その結果、オイリングローラ30から強化繊維に供給された樹脂Pに対して、繊維強化樹脂中の樹脂量が少なくなってしまう。そして、複数の回転ローラ50で同様な樹脂Pの糸引きが発生すると、トウプリプレグを製造するに際しての樹脂量のロスが生じ易くなる。
本発明は、従来のこうした問題を解決するためになされたものであり、その目的は、トウプリプレグ製造装置に適用され、樹脂量のロスを抑制することのできる回転ローラを提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は、強化繊維に樹脂を含浸させてなるトウプリプレグを製造するためのトウプリプレグ製造装置に適用され、樹脂が含浸された強化繊維をその周面に沿わせながら搬送する円柱状の回転ローラであって、前記周面には、前記樹脂が含浸された強化繊維が接触する接触部と、前記樹脂が含浸された強化繊維が接触しない非接触部とが、周方向に複数形成されている。
上記の構成によれば、回転ローラの周面には、繊維強化樹脂が接触する接触部と、繊維強化樹脂が接触しない非接触部が周方向に交互に形成されている。そのため、非接触部では、繊維強化樹脂と回転ローラの周面との間で樹脂の糸引きが抑制される。非接触部の存在により、繊維強化樹脂に供給された樹脂のロスを抑制することができる。
上記の構成において、前記周面には、所定幅で軸方向に延びる凹部が周方向に複数形成され、前記非接触部は前記凹部で構成されているとともに、前記接触部は前記凹部が形成されていない部分で構成されていることが好ましい。
上記の構成において、回転ローラの回転軸を中心とする仮想円の円周方向における前記非接触部の形成範囲は、15゜〜90゜であり、径方向断面における前記凹部内の周面は、曲率半径が2mm以上の一本又は複数本の線分から形成されていることが好ましい。
上記の構成において、回転ローラの回転軸を中心とする仮想円に内接する複数の円柱状体を有し、前記周面は、前記仮想円で構成され、前記接触部は前記円柱状体の外周面で構成されているとともに、前記非接触部は前記仮想円において前記円柱状体の外周面が存在していない部分で構成されていることが好ましい。
上記の構成において、前記周面は、回転ローラの回転軸を中心軸とする円筒体の外周面で構成され、前記円筒体には、周方向に所定幅で軸方向に延びる複数の長孔が形成され、前記非接触部は前記長孔で構成されているとともに、前記接触部は前記外周面において前記長孔が形成されていない部分で構成されていることが好ましい。
本発明によれば、トウプリプレグ製造装置に適用され、樹脂量のロスを抑制することのできる回転ローラが得られる。
トウプリプレグ製造装置の概略模式図。 (a)は第1実施形態の回転ローラの斜視図、(b)は2B‐2B線断面図。 (a)は回転ローラの斜視図、(b)は3B‐3B線断面図。 回転ローラの接触部と非接触部の関係について説明する図。 回転ローラの下流側の樹脂の状態について説明する図。 (a)は第2実施形態の回転ローラの斜視図、(b)は6B‐6B線断面図。 (a)は変更例の回転ローラの斜視図、(b)は断面図。 (a)〜(c)は変更例の回転ローラの断面図。 従来の回転ローラの下流側の樹脂の状態について説明する図。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態の回転ローラ10Aを図1〜図3に従って説明する。
第1実施形態の回転ローラ10Aは、図1に示すようなトウプリプレグ製造装置に適用される。図1に示すトウプリプレグ製造装置は従来公知の構造と同様であり、オイリングローラ30の下流側の複数の回転ローラ50に代えて、第1実施形態の回転ローラ10Aが配置されている。
まず、図1のトウプリプレグ製造装置(以下、装置Tという。)について簡単に説明する。装置Tの上流側の給糸ボビン60から引き出された繊維Fは、複数の回転ローラ50間を搬送されてオイリングローラ30に送られる。繊維Fは、オイリングローラ30に搬送されるまでに、ある程度開繊されて引き揃えられた状態とされている。オイリングローラ30の回転速度は、後に説明する樹脂タンク40からの樹脂Pの供給量を調節するように制御されている。
オイリングローラ30の下部には樹脂タンク40が配置されている。樹脂タンク40はオイリングローラ30の下部に当接する箱状部材であり、内部に加温状態で貯留された樹脂Pをオイリングローラ30の表面に供給可能に構成されている。オイリングローラ30の表面に供給された樹脂Pは、スクレーパー80によって所定厚みに調整される。
オイリングローラ30に送られた繊維Fにはオイリングローラ30上に塗布された樹脂Pが含浸され、オイリングローラ30の下流側に配置された複数(本実施形態では4個)の回転ローラ10A間を搬送されて巻取りボビン70に巻き取られる。以下では、樹脂Pが含浸された強化繊維を繊維FPというものとする。各回転ローラ10Aの回転はフリーの状態となっており、搬送される繊維FPとともに回転する。装置Tでは、給糸ボビン60から巻取りボビン70に至る搬送工程中で、図示しない張力調整機構により繊維F、FPに対する張力が調整されて、繊維F、FPに対する過度の引っ張りや撓みが抑制されている。一連の工程により巻取りボビン70に巻き取られた状態のトウプリプレグTPPが得られる。
繊維Fを構成する強化繊維は従来公知の強化繊維を使用することができ、繊維Fに含浸させる樹脂Pは従来公知の熱硬化性樹脂を使用することができる。第1実施形態では、繊維Fとして炭素繊維を使用し、樹脂Pとしてのエポキシ樹脂を含浸させている。
次に、第1実施形態の回転ローラ10Aについて説明する。
図2(a)に示すように、第1実施形態の回転ローラ10Aは、一対の円柱状の端面部材11と、端面部材11と一体形成された6本の円柱部材12を有している。各円柱部材12は回転ローラ10Aの軸方向に沿って延びており、その外周面は平滑面とされている。図2(b)に示すように、円柱部材12は、端面部材11の外周面に内接する位置よりやや内方であって、回転ローラ10Aの回転軸N1から等距離の位置に等間隔で配置されている。そのため、6本の円柱部材12は、回転軸N1の周囲に60゜間隔で配置されていることになる。端面部材11の直径は約60mmとされ、各円柱部材12の直径は約10mmとされている。また、端面部材11の軸方向の長さはそれぞれ約25mmとされ、円柱部材12の軸方向の長さはそれぞれ約45mmとされている。
一方の端面部材11の内部には、金属製或いは合成樹脂製の軸部材13が端面部材11と相対回転可能に設けられている。回転ローラ10Aは軸部材13で装置Tに固定されて、繊維FPをその周面に沿わせながら回転可能に構成されている。ここで、回転ローラ10Aの回転軸N1を中心とし、6本の円柱部材12に外接する円を仮想円Qとすると、仮想円Qには60゜間隔で円柱部材12の外周面が接することになる。張力が調整された繊維FPは、回転ローラ10Aの回転により仮想円Qにほぼ沿うようにして上流側から下流側に搬送される。つまり、第1実施形態の回転ローラ10Aの周面は仮想円Qで構成されている。
回転ローラ10Aの直径(仮想円Qの直径)、円柱部材12の直径、本数等は適宜変更することができる。図3(a)、図3(b)に示す回転ローラ10Aでは、直径が約60mmの端面部材11の外周面に直径約1mmの円柱部材12が等間隔で12本配置されている。円柱部材12は、端面部材11の外周面に掘られた12本の凹溝内に収容される状態で取り付けられており、回転ローラ10Aの直径(仮想円Qの直径)は、端面部材11の直径より僅かに大きくなる。また、12本の円柱部材12は、端面部材11の周囲に30゜間隔で配置されていることになり、回転ローラ10Aの回転軸N1を中心とする仮想円Qでは、30゜間隔で円柱部材12の外周面が接することになる。
円柱部材12の直径は1.0〜15.0mmの範囲であることが好ましく1.0〜12.0mmの範囲であることがより好ましい。円柱部材12の本数は、4〜20本であることが好ましく、6〜15本であることがより好ましい。円柱部材12の直径及び本数がこうした数値範囲であると、樹脂量のロスを抑制しつつ、強化繊維に対する糸切れ等の影響を抑制することができる。円柱部材12の直径及び本数は、回転ローラ10Aの直径(仮想円Qの直径)との兼ね合いで適宜設定すればよい。また、回転ローラ10Aの直径(仮想円Qの直径)は、30〜80mmの範囲であることが好ましく、40〜70mmの範囲であることがより好ましい。回転ローラ10Aの直径がこうした数値範囲であると、回転ローラ10Aの取り回しがし易く作業性がよい。
回転ローラ10Aの材質は特に限定されず、金属製であっても合成樹脂製であってもよい。金属製の場合、加工性、耐久性に優れる観点から錆び難く、樹脂や溶剤に侵され難い材質のものが好ましい。例えば、ステンレス合金、アルミニウム合金を挙げることができる。合成樹脂製の場合も、加工性、耐久性に優れる観点から樹脂や溶剤に侵され難い材質のものが好ましい。また、樹脂Pが表面に付着し難い観点から表面自由エネルギーが低い材質のものが好ましく、加温された樹脂Pの温度低下を抑制して繊維FPを均質な状態で搬送する観点から比熱の小さい材質のものが好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタールや、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンを挙げることができる。本実施形態の回転ローラ10Aはステンレス合金製である。
次に、回転ローラ10Aの作用について、図4、図5に従って説明する。ここでは、図2に示す回転ローラ10Aの作用を中心に説明する。
給糸ボビン60から引き出された繊維Fは、ある程度開繊されて引き揃えられた状態とされてオイリングローラ30に送られる。オイリングローラ30の表面には、スクレーパー80によって一定膜厚の樹脂膜が形成されているため、繊維Fには一定膜厚で樹脂Pが含浸されて繊維FPとなり、オイリングローラ30の下流側の回転ローラ10Aに向かって移動する。図4に示すように、回転ローラ10Aに到達した繊維FPは、回転ローラ10Aの周面である仮想円Qにほぼ沿うようにして搬送方向Aの下流側に移動する。仮想円Qは、60゜間隔で配置された円柱部材12の外周面を繋ぐ円形状に形成されていることから、繊維FPは、円柱部材12が存在する部分では円柱部材12の外周面(回転ローラ10Aの周面)に接触して移動する。一方、円柱部材12が存在しないところでは回転ローラ10Aの周面と接触せず、隣接する円柱部材12を繋ぐ直線上を移動する。回転ローラ10Aの周面が仮想円Qで構成された本実施形態では、回転ローラ10Aの周面(仮想円Q)のうち、円柱部材12が存在する部分が繊維FPと接触する接触部Cとして機能し、円柱部材12が存在しない部分が繊維FPと接触しない非接触部NCとして機能する。
図5に示すように、繊維FPが接触部Cに位置していると、繊維FP中の樹脂Pの一部が接触部C(円柱部材12の周面)に付着する。回転ローラ10Aの搬送方向Aの下流側では、繊維FPが接触部Cから離れるにつれて繊維FP中から樹脂Pが引き剥がされる状態となる。そのため、繊維FPと回転ローラ10Aの周面との間で粘稠な樹脂Pの糸引きが発生する。一方、非接触部NCに位置している繊維FPは、円柱部材12の周面に接触しないため、樹脂Pが引き剥がされず糸引きが発生しない。回転ローラ10Aが回転方向Bに回転して、接触部Cとの間で発生した樹脂Pの糸引きがその限界を超えると糸状の樹脂Pがちぎれて落下したり空中に飛散したりするが、糸引きの発生が接触部Cに限定されるためその量は少ない。接触部Cと非接触部NCとが交互に形成されていることにより、回転ローラ10Aの周面での樹脂Pの糸引きの発生が抑制される。
ここで、繊維FPが回転ローラ10Aを通過する際の、繊維FPが回転ローラ10Aの周面と接触する割合を接触率Rとすると、円柱部材12の直径が小さい場合や、隣接する円柱部材12の間隔が大きい場合には接触率Rが小さくなり、回転ローラ10Aの周面への樹脂Pの付着、繊維FPからの樹脂Pの引き剥がしによる糸引きの発生が抑制される。一方、隣接する円柱部材12の間隔が大きくなると、繊維FPが隣接する接触部Cの間でバタつくといった挙動を示す場合があり、回転ローラ10Aの周面での繊維FPの挙動が不安定となり易い。繊維FPが接触部Cの間、つまり、非接触部NCでバタつくと、繊維FP中の樹脂Pが飛散する場合があり、結果として樹脂量のロスに繋がることになる。繊維FPからの樹脂Pの引き剥がしの抑制、繊維FPのバタつきの抑制の観点から、回転ローラ10Aの周面に対する繊維FPの接触率(%)は、1.0〜40.0%の範囲であることが好ましく、1.0〜18.0%の範囲であることがより好ましく、2.0〜10.0%の範囲であることがさらに好ましい。接触率Rがこうした数値範囲であると、繊維FPからの樹脂Pの引き剥がし及び繊維FPのバタつきを抑制して樹脂量のロスを抑制することができる。
次に、第1実施形態の回転ローラ10Aの効果について説明する。
(1)第1実施形態の回転ローラ10Aは、回転軸N1の周囲に複数の円柱部材12が配置されており、回転ローラ10Aの周面は円柱部材12に外接する仮想円Qによって構成されている。繊維FPが回転ローラ10Aの周面を搬送されると、円柱部材12の周面である接触部Cでは、繊維FP中の樹脂Pが引き剥がされて樹脂Pの糸引きが発生するが、円柱部材12の周面が存在しない非接触部NCでは樹脂Pの糸引きが発生しない。非接触部NCの存在により樹脂Pの糸引きが抑制される。そのため、全周面が繊維FPと接触するように形成された回転ローラに比べて、樹脂量のロスを抑制することができる。
(2)複数の円柱部材12は、回転ローラ10Aの回転軸N1から等距離、等間隔で配置されている。そのため、回転ローラ10Aの周面を通過する繊維FPの挙動が安定する。
(3)各円柱部材12の外周面は平滑面とされている。そのため、回転ローラ10Aの周面を通過する際に、繊維FPが糸切れし易いといった繊維FPへの影響を抑制することができる。
(4)装置Tには4個の回転ローラ10Aが配置されている。すべての回転ローラ10Aに非接触部NCが形成されたものを適用することにより、樹脂量のロスの抑制効果を大きくすることができる。
(5)回転ローラ10Aの周面の直径、円柱部材12の直径、本数を変更することにより、回転ローラ10Aの周面と繊維FPとの接触率Rを調整することができる。これにより、繊維FPからの樹脂の引き剥がしを抑制しつつ、繊維FPのバタつきを抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の回転ローラ10Bを図6に従って説明する。ここでは、第1実施形態の回転ローラ10Aと異なる点を中心に説明する。第2実施形態の回転ローラ10Bも、図1に示すような装置Tにおいて、オイリングローラ30の下流側に配置されている。
図6(a)に示すように、第2実施形態の回転ローラ10Bは、円柱状の芯部材15と、芯部材15の外周面を芯部材15と同心円状に被覆する被覆部材16を有している。被覆部材16は芯部材15に対して相対回転不能に形成されている。芯部材15の一方の端部には、軸部材13が、芯部材15及び被覆部材16と相対回転可能に設けられている。本実施形態の回転ローラ10Bの被覆部材16は、ポリテトラフルオロエチレン製である。
被覆部材16の周面には、所定幅で軸方向に延びる凹部17が、周方向に複数形成されている。凹部17の幅はいずれも軸方向に一定である。本実施形態の回転ローラ10Bでは、同じ幅の12条の凹部17が等間隔で形成されている。被覆部材16の周面に複数の凹部17が形成されることにより、隣接する凹部17の間には、相対的に凹部17より外方に突出する凸部18が形成されている。
図6(b)に示すように、回転ローラ10Bは、軸部材13で装置Tに固定されると、軸部材13に対して芯部材15及び被覆部材16が相対回転し、繊維FPをその周面に沿わせながら搬送する。ここで、回転ローラ10Bの回転軸N2を中心とし、12個の凸部18の先端に外接する円を仮想円Sとすると、仮想円Sには約30゜間隔で凸部18の先端が接することになる。張力が調整された繊維FPは、回転ローラ10Bの回転により仮想円Sにほぼ沿うようにして上流側から下流側に搬送される。つまり、第2実施形態の回転ローラ10Bの周面は仮想円Sで構成されている。仮想円Sの直径は約60mmである。
図6(a)及び(b)に示すように、回転ローラ10Bの凹部17は、その径方向断面の形状が、仮想円Sの一部を所定形状の曲線で切り欠いた形状とされている。そして、凹部17内の周面は、角や段差が存在しない平滑な曲面形状に形成されている。具体的には、凹部17内の周面の径方向断面における形状は、一本の曲線か、連続した複数本の曲線の組み合わせからなっている。そして、これら曲線の曲率半径や、凹部17の幅は、樹脂Pの粘性を考慮して設定されている。
凹部17内の周面の径方向断面における形状を規定する曲線(以下、径方向断面を規定する曲線という。)は、曲率半径が2mm以上の一本又は複数本の線分から形成されていることが好ましく、曲率半径が4mm以上の一本又は複数本の線分から形成されていることがより好ましい。ここで、曲率半径が2mm以上の線分には、曲率半径が無限大となる直線状の線分も含まれるものとする。したがって、径方向断面を規定する曲線は、曲率半径が2mm以上の一本乃至複数本の線分が連続する形状であれば直線が含まれていてもよく、例えば、2つの直線状の線分が一つの曲線状の線分を介して連結されたような形状であってもよい。本実施形態の回転ローラ10Bでは、凹部17内の周面の径方向断面を規定する曲線は、曲率半径が約10mmの円弧に沿う線分で形成されている。
また、回転ローラ10Bの回転軸N2を中心とする仮想円Sの円周方向における凹部17の形成範囲、つまり、凹部17のなす角度θは、15゜〜90゜であることが好ましく、20〜60゜であることがより好ましい。本実施形態の回転ローラ10Bでは、同じ幅の12条の凹部17が等間隔で形成されていることから、一つの凹部17のなす角度θは約30゜である。
径方向断面を規定する曲線の曲率半径、凹部17のなす角度θがこうした数値範囲であると、回転ローラ10Bの周面に樹脂Pが付着したとしても、付着した樹脂Pの拭き取り作業がし易い。
凸部18の先端の周面は、径方向断面における形状が曲率半径1mm以上5mm以下の曲線として形成されていることが好ましく、曲率半径2mm以上4mm以下の曲線として形成されていることがより好ましい。凸部18の先端の周面がこうした形状であると、搬送された繊維FPに対する糸切れ等の影響が抑制される。本実施形態の回転ローラ10Bでは、凸部18の先端の周面の径方向断面における形状は、曲率半径が約1mmの円弧に沿う曲線で形成されている。
このように、本実施形態の回転ローラ10Bでは、仮想円Sは曲率半径が約30mmの円弧であるのに対して、凹部17の径方向断面は、曲率半径が約10mmの円弧に沿う曲線で形成されている。つまり、径方向断面を規定する曲線は、曲率半径が約10mmの一本の線分で構成されている。また、凸部18の径方向断面は、曲率半径が約1mmの円弧に沿う線分で形成されている。そして、回転ローラ10Bの径方向断面における周面は、凹部17を形成する曲率半径が約10mmの曲線と、凸部18を形成する曲率半径が約1mmの曲線とが、連続的に滑らかに連結された形状をなしている。
次に、第2実施形態の回転ローラ10Bの作用について、第1実施形態の回転ローラ10Aと異なる点を中心に説明する。
オイリングローラ30の下流側の回転ローラ10Bでは、搬送された繊維FPは、回転ローラ10Bの周面である仮想円Sにほぼ沿うようにして下流側に移動する。仮想円Sは、30゜間隔で形成された凸部18の先端を繋ぐ円形状に形成されていることから、繊維FPは、凸部18の先端に接触して移動する。一方、繊維FPは、凹部17では回転ローラ10Bの周面と接触することなく、隣接する凸部18の先端を繋ぐ直線上を移動する。回転ローラ10Bの周面が仮想円Sで構成された本実施形態では、回転ローラ10Bの周面(仮想円S)のうち、凸部18の先端が繊維FPと接触する接触部Cとして機能し、凹部17が繊維FPと接触しない非接触部NCとして機能する。図6(b)に示すように、凸部18の間に、非接触部NCとしての凹部17が所定間隔で形成されていることから、繊維FP中の樹脂Pの一部が回転ローラ10Bの周面に付着することによって生じる粘稠な樹脂Pの糸引きの発生が抑制される。
繊維FPから引き剥がされた樹脂Pの一部は、回転ローラ10Bの周面に付着して回転ローラ10Bとともに回転する。回転ローラ10Bの被覆部材16は樹脂Pが付着し難いポリテトラフルオロエチレン製であるが、ある程度の樹脂Pの付着は避けられない。また、繊維FPから引き剥がされた樹脂Pの一部は、回転ローラ10Bの回転に伴ってちぎれて落下したり空中に飛散したりする。そして、空中に飛散した樹脂Pの一部は、回転ローラ10Bの周面に付着する。回転ローラ10Bの周面に付着した樹脂Pは、トウプリプレグTPP製造後に拭き取り除去する必要がある。
ここで、例えば、凹部17の径方向断面に曲率半径が2mm未満の部分が存在することにより、凹部17内の周面に小さな溝が形成されているような場合には、粘稠な樹脂Pが溝に入り込んでしまうことが考えられる。こうした場合には、凹部17の周面をふき取っても溝内に入り込んだ樹脂Pを取り除くことが困難である。この点、回転ローラ10Bの周面に形成された凹部17は、曲率半径が約10mmの円弧に沿う曲線で形成された平滑な曲面形状であり、凹部17の周面には角部や段差等が形成されていない。そのため、回転ローラ10Bの周面に付着した粘稠な樹脂Pの拭き取り作業が容易である。
第2実施形態の回転ローラ10Bによれば、第1実施形態の回転ローラ10Aによる上記効果(1)〜(4)に加えて以下の効果を得ることができる。
(6)回転ローラ10Bの回転軸N2を中心とする仮想円Sの円周方向における非接触部NCの形成範囲は、15゜〜90゜であり、径方向断面における凹部17内の周面は、曲率半径が2mm以上の一本又は複数本の線分から形成されている。そのため、凹部17内の周面に粘稠な樹脂Pが入り込むような微細な構造が形成されることが抑制される。凹部17内の周面に樹脂Pが残留することが抑制され、凹部17内の周面に付着した粘稠な樹脂Pの拭き取り作業が容易である。
(7)第2実施形態の回転ローラ10Bの凹部17は、径方向断面を規定する曲線が、曲率半径が約10mmの一本の線分で構成されている。そのため、凹部17内の周面に付着した粘稠な樹脂Pの拭き取り作業が容易である。装置Tのメンテナンスの効率が向上する。
(8)回転ローラ10Bの凸部18の径方向断面は、曲率半径が約1mmの円弧に沿う曲線で形成されている。そのため、繊維FPが回転ローラ10Bの周面を通過する際に、糸切れし易いといった繊維FPへの影響を抑制することができる。
(9)凹部17のなす角度、径方向断面における凸部18の曲率半径を変更することにより、回転ローラ10Bの周面と繊維FPとの接触率Rを調整することができる。これにより、繊維FPからの樹脂の引き剥がしを抑制しつつ、繊維FPのバタつきを抑制することができる。
上記各実施形態は、次のように変更することができる。なお、上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて適用することができる。
・第1実施形態では、回転ローラ10Aとして、複数の円柱部材12が等間隔に配置されたものを使用して接触部Cと非接触部NCを構成した。また、第2実施形態では、回転ローラ10Bとして、複数の凹部17が等間隔に形成されたものを使用して接触部Cと非接触部NCを構成した。接触部C及び非接触部NCの構成はこれらのものに限定されない。例えば、図7(a)に示すように、回転ローラ10Cとして円筒部材の周方向に所定幅で軸方向に延びる複数の長孔21を形成したものであってもよい。この場合、図7(b)に示すように、円筒部材の外周面が回転ローラ10Cの周面を構成し、長孔21が非接触部NCを構成し、長孔21が形成されていない部分が接触部Cを構成する。長孔21の幅、数、隣接する長孔21の間隔を適宜設定することで、接触率Rを調整することができる。
・第1実施形態の回転ローラ10Aでは、同径の円柱部材12を等間隔で配置しているが、円柱部材12は同径でなくてもよい。図8(a)に示すように、異なる径の円柱部材12を等間隔で配置してもよく、図8(b)に示すように、同径の円柱部材12を非等間隔で配置してもよい。また、異なる径の円柱部材12を非等間隔で配置してもよい。
・第1実施形態の回転ローラ10Aは、一対の端面部材11と、端面部材11に一体形成された6本の円柱部材12を有しているが、この形状に限定されない。例えば、図8(a)に示すように、一対の端面部材11との間であって、複数の円柱部材12より内方に、回転軸N1と同軸で回転する中心部材14が一体形成されていてもよい。中心部材14が存在することにより回転ローラ10Aの剛性が向上する。この場合、軸部材13は、中心部材14の内部に設けられていてもよい。
・第2実施形態の回転ローラ10Bでは、被覆部材16の周面に所定幅で軸方向に延びる凹部17が、周方向に複数形成されており、凹部17は、径方向断面を規定する曲線が曲率半径約10mmの一本の線分で構成された曲面形状である。しかし、凹部17の形状はこれに限定されない。例えば、図8(c)に示すように、凹部17の径方向断面が略四角形状であってもよく、略三角形状であってもよい。この場合、凹部17内の周面に角部が形成されることになるが、被覆部材16の材質を表面自由エネルギーの低い合成樹脂製とすることにより、樹脂Pの付着を抑制することができる。なお、回転ローラ10Bの良好な清掃性の観点から言えば、角部において径方向断面を規定する曲線は、曲率半径が約2mm以上であることが好ましい。
・第2実施形態の回転ローラ10Bの凹部17は、曲率半径が約10mmの一本の線分で構成された平滑な曲面形状であるが、例えば、凹部17内に凸部18より小さい凸条が形成されていてもよい。この場合も、凸状の径方向断面の形状が曲率半径2mm以上の線分で形成されていればよい。
・第2実施形態の回転ローラ10Bでは、凸部18の径方向断面の形状が曲率半径約1mmの円弧で形成されているが、凸部18の形状はこれに限定されない。例えば、図8(c)に示すように、凸部18の径方向断面が略四角形状であってもよい。この場合、繊維FPの糸切れを抑制する観点から言えば、凸部18の角部の径方向断面の形状が曲率半径1mm以上の曲線で形成されていることが好ましい。
・第2実施形態の回転ローラ10Bは、円柱状の芯部材15と、芯部材15の外周面を芯部材15と同心円状に被覆する被覆部材16を有しているが、芯部材15を省略することもできる。また、図8(c)に示すように、回転ローラ10B全体が被覆部材16のみで中実状に形成されていてもよい。
・第2実施形態の回転ローラ10Bでは、同じ幅の12条の凹部17が等間隔で形成されているが、これに限定されない。異なる幅の凹部17が複数形成されていてもよく、異なる間隔で凹部17が形成されていてもよい。また、凹部17は12条より少なくても多くてもよい。さらに、凹部17内の周面の径方向断面を規定する曲線の形状が、複数の凹部17でそれぞれ異なっていてもよい。凹部17のなす角度θが15゜〜90゜の範囲であれば、樹脂量のロスを抑制し、繊維FPからの樹脂Pの引き剥がしを抑制し、繊維FPのバタつきを抑制し、付着した樹脂Pの拭き取り作業を容易に行うことができる。
・装置Tの4個の回転ローラのうち、少なくとも1個が回転ローラ10A、10B、10Cであればよい。
・装置Tは図1の構造のものでなくてもよい。回転ローラ10A、10B、10Cは、種々のトウプリプレグ製造装置におけるオイリングローラの下流側に適用することができる。
・回転ローラ10A、10B、10Cの直径、長さは適宜変更することができる。第1、第2実施形態では、回転ローラ10A、10Bの直径は約60mm、長さは約95mmとしたが、これより小さくても大きくてもよい。
上記実施形態及び変更例から導き出せる技術思想を以下に追記する。
(イ)強化繊維に樹脂を含浸させてなるトウプリプレグを製造するためのトウプリプレグ製造装置であって、樹脂が含浸された強化繊維をその周面に沿わせながら搬送する円柱状の回転ローラを備え、前記回転ローラの周面には、前記樹脂が含浸された強化繊維が接触する接触部と、前記樹脂が含浸された強化繊維が接触しない非接触部とが、周方向に複数形成されている。
本発明の回転ローラについて、以下の試験例に基づいてさらに詳細に説明する。
<試験例1>
図1に示す装置Tのオイリングローラ30の下流側に位置するすべての回転ローラとして、回転軸N1の周囲に直径1mmの円柱部材12が12本等間隔で配置され、円柱部材12に外接する仮想円Q(回転ローラ10Aの周面)の直径が60mmの回転ローラ10Aを取り付けた。給糸ボビン60に巻回された炭素繊維を開繊した状態でオイリングローラ30に搬送して、樹脂タンク40内に貯留されたエポキシ樹脂を炭素繊維に含浸させた。こうして得られた繊維FPを回転ローラ10Aに搬送して、各回転ローラ10Aの周面に沿わせるようにして移動させた。繊維FPの搬送速度は120mm/minに調整した。回転ローラ10Aの全周面における全接触部Cの割合を接触率R(%)として算出した。接触率R(%)を表1に示す。表1では、試験例1の回転ローラ10Aを「大径、細軸12本」と記載している。
接触率R(%)は、以下の式から求めることができる。ここで、円柱部材12の直径がL(mm)、円柱部材12の本数がM(本)、円柱部材12の中心軸を結ぶ仮想円の直径がN(mm)であり、接触部Cの長さの合計をX(mm)、非接触部NCの長さの合計をY(mm)とする。
すべての回転ローラ10Aの最下流での繊維FP中の樹脂含有量Rc(%)を測定するとともに、すべての回転ローラ10Aに代えて直径60mmの円筒形状の回転ローラを取り付けた場合の回転ローラ最下流での繊維FPの樹脂含有量Rc(%)に対する増加分をRc増加量(%)として算出した。その結果を表1に示す。
また、装置Tの下部に敷紙を敷き、繊維FPの搬送前後での敷紙の重量から樹脂の飛散重(g)を測定するとともに、すべての回転ローラ10Aに代えて直径60mmの円筒形状の回転ローラを取り付けた場合の搬送前後での敷紙の重量からブランクの樹脂の飛散重(g)を測定し、ブランクの樹脂の飛散量(g)に対する回転ローラ10Aでの樹脂の飛散量(g)の割合を飛散樹脂抑制率(%)として算出した。その結果を表1に示す。
Rc増加量(%)及び飛散樹脂抑制率(g)はそれぞれ2回測定した。
回転ローラ10Aの周面での繊維FPの挙動について目視にて観察してバタつきとして評価した。評価は以下の基準で行った。その結果を表1に示す。
◎;非接触部NCでの繊維FPのバタつきはほとんど観察されない。
○;非接触部NCでの繊維FPのバタつきが少し観察される。
△;非接触部NCでの繊維FPのバタつきが観察される。
<試験例2>
回転ローラ10Aとして、回転軸N1の周囲に直径10mmの円柱部材12が6本等間隔で配置され、円柱部材12に外接する仮想円Q(回転ローラ10Aの周面)の直径が60mmのものを装置Tに取り付けた。それ以外は、試験例1と同様に行った。表1では、試験例2の回転ローラ10Aを「大径、太軸6本」と記載している。
<試験例3>
回転ローラ10Aとして、回転軸N1の周囲に直径1mmの円柱部材12が12本等間隔で配置され、円柱部材12に外接する仮想円Q(回転ローラ10Aの周面)の直径が40mmのものを装置Tに取り付けた。それ以外は、試験例1と同様に行った。表1では、試験例3の回転ローラ10Aを「小径、細軸12本」と記載している。
<試験例4>
回転ローラ10Aとして、回転軸N1の周囲に直径1mmの円柱部材12が6本等間隔で配置され、円柱部材12に外接する仮想円Q(回転ローラ10Aの周面)の直径が40mmのものを装置Tに取り付けた。それ以外は、試験例1と同様に行った。表1では、試験例4の回転ローラ10Aを「小径、細軸6本」と記載している。
<試験例5>
回転ローラとして、図7に示す形状の回転ローラ10Cを装置Tに取り付けた。回転ローラ10Cは、直径40mmの円筒部材の周方向に軸方向に延びる複数の長孔21が形成されている。長孔21の幅は6.46mm、隣接する長孔21の間隔は4.00mmである。装置Tのオイリングローラ30下流側の回転ローラのうち最下流のもののみ、直径40mmの円筒形状の回転ローラ10Cを取り付けた。それ以外は、試験例1と同様に行った。表1では、試験例5の回転ローラ10Cを「小径、長孔」と記載している。なお、試験例5についてのみ、表1中、「仮想円Qの直径」の欄は円筒部材の直径を記載し、「接触長さ」の欄は隣接する長孔21の間隔1つ分のみの値を記載し、「非接触長さ」の欄は長孔21の幅1つ分のみの値を記載している。
表1の結果より、すべての試験例で繊維FP中の樹脂含有量Rc(%)が増加して樹脂量のロスが抑制された。これは、回転ローラ10A、10C下部に敷いた敷紙上の樹脂量(樹脂飛散量)が抑制されたことによっても確認された。中でも、円柱部材12として直径1mmの細軸を12本配置した回転ローラ10Aでは、繊維FPのバタつきがより抑制されており、繊維FPのバタつきによる樹脂量のロスも抑制されていると考えられる。
C…接触部、F、FP…繊維(強化繊維)、NC…非接触部、P…樹脂、TPP…トウプリプレグ、Q、S…仮想円(回転ローラの周面)、10A、10B、10C…回転ローラ、17…凹部。

Claims (5)

  1. 強化繊維に樹脂を含浸させてなるトウプリプレグを製造するためのトウプリプレグ製造装置に適用され、樹脂が含浸された強化繊維をその周面に沿わせながら搬送する円柱状の回転ローラであって、
    前記周面には、前記樹脂が含浸された強化繊維が接触する接触部と、前記樹脂が含浸された強化繊維が接触しない非接触部とが、周方向に複数形成されていることを特徴とする回転ローラ。
  2. 前記周面には、所定幅で軸方向に延びる凹部が周方向に複数形成され、
    前記非接触部は前記凹部で構成されているとともに、前記接触部は前記凹部が形成されていない部分で構成されている請求項1に記載の回転ローラ。
  3. 回転ローラの回転軸を中心とする仮想円の円周方向における前記非接触部の形成範囲は、15゜〜90゜であり、
    径方向断面における前記凹部内の周面は、曲率半径が2mm以上の一本又は複数本の線分から形成されている請求項2に記載の回転ローラ。
  4. 回転ローラの回転軸を中心とする仮想円に内接する複数の円柱状体を有し、
    前記周面は、前記仮想円で構成され、
    前記接触部は前記円柱状体の外周面で構成されているとともに、前記非接触部は前記仮想円において前記円柱状体の外周面が存在していない部分で構成されている請求項1に記載の回転ローラ。
  5. 前記周面は、回転ローラの回転軸を中心軸とする円筒体の外周面で構成され、
    前記円筒体には、周方向に所定幅で軸方向に延びる複数の長孔が形成され、
    前記非接触部は前記長孔で構成されているとともに、前記接触部は前記外周面において前記長孔が形成されていない部分で構成されている請求項1に記載の回転ローラ。
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