以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるゴルフダイジェスト作成システムの概要を示す図である。
ゴルフは、プレーヤーが決められた順番に18のゴルフコースをすべてまわり、ティーグラウンドからグリーン上のカップまでのゴルフボールを打ったトータル打数を競うスポーツである。
図1において、ゴルフコース11は18ホールの一つを示しており、プレーヤー13が乗車してコース上を移動するゴルフカート12には、全方位の撮影を行える360度カメラ101と、無指向性の集音マイク102と、GPS受信機103と、無線通信機能を有する移動記録装置104とが搭載されている。特に、360度カメラ101はゴルフカート12のルーフ上方の360度視界が開けた位置に設置されている。
また、この360度カメラ101の解像度は、4K(3,840画素X2,160画素)または8K(7,680画素X4,320画素)である。なお、360度カメラと集音マイク102とからの映像データと音声データは移動記録装置104へ有線または無線で送られる。また、この360度カメラ101は複数台のカメラを用いて360度をカバーするように構成し各映像を合成するようにしたものでもよい。
プレーヤー13が腰などに付ける携帯端末105は、ハイライトシーンが生じたときにプレーヤーが移動記録装置104へその発生を通知するためのものであり、プレーヤーはハイライトシーンとしたい場面が生じたときは所定時間以内に携帯端末105に付けられたボタンを押し下げる。
クラブハウス14には無線通信機能を有するダイジェスト作成装置106が設置されている。ダイジェスト作成装置106は、ゴルフカートに搭載した移動記録装置104から記録された動画データ(以下、「映像データ」と「音声データ」との両方を指す。)を無線通信で受信したり、あるいは移動記録装置104から取り外したメモリカードなどの媒体を装着して読み込み、映像データと音声データを解析するなどしてダイジェストを作成する。
図2は本実施の形態のゴルフダイジェスト作成システムの構成を示す図である。また、図3(a)はゴルフダイジェスト作成システムを構成する移動撮影ユニットのハードウェア構成を示す図であり、(b)は携帯端末のハードウェア構成を示す図であり、図4はダイジェスト作成装置のハードウェア構成を示す図である。
図3(a)において、移動撮影ユニット21は、撮像部211と集音部212とAV記憶部213とコース情報記憶部214とプレーヤー情報記憶部215とGPS受信部216と無線送受信部217と制御部218とからなる。
撮像部211は360度カメラを含み、当該360度カメラからの映像データをAV記憶部213へ送信するが、その際に360度カメラの広角レンズによる歪みを補正して出力する。この歪み補正は公知のアルゴリズムを組み込んだASIC(Application Specific Integrated Circuit)によりリアルタイム処理を実現している。
集音部212は集音マイク102を含み、当該集音マイク102からの音声データをAV記憶部213へ送信する。
GPS受信部216はGPS受信機を含み、衛星からの信号を受信して現在の位置情報と時刻情報とを出力する。
AV記憶部213は大容量のハードディスクや半導体メモリカードを記録媒体とする不揮発性記憶装置であるが、耐衝撃性に優れる半導体メモリカードが好ましい。
コース情報記憶部214も不揮発性記憶装置であり、ゴルフ場の全コースの地理情報と地形情報とが記録されている。
プレーヤー情報記憶部215も同じく不揮発性記憶装置であり、カートに同乗するプレーヤーを識別する情報あるいはプレーヤーが保持する携帯端末の識別情報が記録されている。
無線送受信部217は無線通信(IEEE802.11)を行うもので、数100メートル間の通信が可能である。
制御部218は、移動撮影ユニット21全体を制御するものであり、撮像部211からの映像データや集音部212からの音声データをAV記憶部213に書き込む。この映像データは、20fpsから60fpsのフレームレートで撮影され、各フレームには撮影開始からの経過時刻(タイムコード)を付して記録する。また、音声データにも上記各フレームに同期した時刻情報(タイムコード)を付して記録する。また、制御部218はGPS受信機215から取得した位置情報とコース情報記憶部214に記憶してある各ゴルフコースの地理情報から現在ゴルフカートの停止しているホール番号を求め、映像データにそれら位置情報とホール番号を記録する。さらに、制御部218は携帯端末22からの通知を受信し、その通知と受信時刻情報(タイムコード)を記録する。
以上の移動撮影ユニット21から360度カメラ101や集音マイク102やGPS受信機103を除いたものが前述した移動記録装置104であり、無線通信機とコンピュータ装置により実現されている。このコンピュータ装置は、CPU、メモリ、不揮発性記憶部、入出力インターフェース、および無線通信インタフェースを備えており、それらはバスで接続されている。特に、制御部218は、不揮発性記憶部に記憶してある制御用プログラムをメモリに展開して実行することにより機能を実現している。
次に、携帯端末22のハードウェア構成を説明する。
図3(b)において、携帯端末22は、入力部221とプレーヤー情報記憶部222と無線送受信部223と制御部224とからなる。
入力部221はハイライトシーンとして記録したいシーン、例えば、チップインしたり、OBのようなイベントが生じたときにプレーヤーからの指示を受け付けるボタンを備えている。
プレーヤー情報記憶部222は不揮発性メモリであり、この携帯端末22を保有するプレーヤーを識別する情報(以下、「プレーヤー識別情報」という。)あるいはこの携帯端末の識別情報を記憶している。
無線送受信部223は無線通信(IEEE802.11)を行うもので、数100メートル間の通信が可能である。
制御部224は携帯端末22全体を制御するものである。
以上の携帯端末22は、入力ボタンと無線通信機とコンピュータ装置により実現されている。このコンピュータ装置は、CPU、メモリ、不揮発性記憶部、入出力インターフェース、および無線通信インターフェースを備えており、それらはバスで接続されている。特に、制御部224は、不揮発性記憶部に記憶してある制御用プログラムをメモリに展開して実行することにより機能を実現している。
次に、ダイジェスト作成装置23のハードウェア構成を説明する。
図4において、ダイジェスト作成装置23は、AV記憶部231と動画切出し部232と動作解析部233と音声解析部234とダイジェスト作成部235とダイジェスト記憶部236とDVD書込み部237とキー入力部238と表示部239と無線送受信部241と制御部242とからなる。
AV記憶部231は、移動撮影ユニット21から無線通信により、あるいは移動撮影ユニット21から取り外した半導体メモリなどの媒体から受信した動画データを記憶する記憶装置である。なお、このAV記憶部231が本願発明に係るダイジェスト作成用AV記憶部に該当する。
動画切り出し部232は、映像データから任意の領域を指定して映像を切り出すものであって、動体検出によって人物を検出し、その人物全員が含まれる周辺領域までを切り出す処理を行ったり、人物を特定して切り出す場合は図5(b)に示すように、人物が所定のサイズ以上になるように領域を切り出す処理を行う。なお、特定の人物を切り出す際には、人物追跡処理を行って、当該人物を中心にして切り出す。
図5(a)は映像データのフレームの画像例を示し、本フレームはゴルフカートの周り360度の画像である。動画切り出し部232は、このフレーム中の人物がすべて含まれるように破線で囲んだ領域を切り出す。
これら人物検出や人物追跡や画像切出し(トリミング)の処理は、OpenCV(Open Source Computer−Vision−Libraryとはインテル社が開発・公開したオープンソースのコンピュータビジョンライブラリーをいう。)で公開されている公知の画像処理プログラムやモーション解析プログラムや物体追跡プログラムやパターン認識プログラムなどを利用したソフトウェア処理を行うことにより行う。
動作解析部233は、映像データを画像認識してプレーヤーがスイングする動作であるか、パッテングする動作であるか、あるいは飛び跳ねたり、手を上にあげる動作であるかを解析する。この解析技術としては、例えば、立体高次局所自己相関(Cubic High order Local Auto Correlation)特徴量を用いて動作を判定する技術が知られている。そして、動作解析部233は判定された各動作種別とその判定時刻情報とからなるハイライトシーン候補リストを作成する。
なお、本実施の形態では超高解像度カメラを使用しており、4Kカメラの場合、録画した動画の画素が3,840画素X2,160画素であり、8Kカメラの場合、7,680画素X4,320画素でフレームは録画されている。このため、切り出し後であっても人物の画素数はHD画質の録画の場合の切り出し後のものに比べ4倍、あるいは8倍となるので、高い精度で動作解析することが可能である。
音声解析部234は、音声データの周波数分析を行いスペクトログラムを求め、予め設定してあるモデルのスペクトログラムとの類否度を求める。さらに、音量の2乗平均値の大きさも加味して、音声情報をショット音、歓声、笑い声、話し声、その他の音声とに分類する。このようにして音声解析部234は、判定した音声種別と時刻情報とからなるハイライトシーン候補リストを作成する。
ダイジェスト作成部235は、時刻情報リストに基づいてAV記憶部231内に記憶されている映像データおよび音声データの中からハイライトシーンを抽出し、それらを結合してダイジェストを作成する。また、動画切り出し部232が切り出したフレームを公知のアップコンバート技術によりフルHD画質に補正する。
ダイジェスト記憶部236は、ダイジェスト作成部235が作成したダイジェストを記憶するものである。
DVD書き込み部237は、ダイジェスト記憶部236に記憶されているダイジェストを読みだしてDVDにフルHD画質で書き込むものである。
制御部242は、ダイジェスト作成装置23全体を制御するもので表示部239にメニュー表示を行い、キー入力部238により選択された処理をダイジェスト作成装置23を構成する各処理部に指示して行うものである。
上記したダイジェスト作成装置23は、ディスプレイとキーボードとDVDレコーダーと無線通信機とコンピュータ装置により実現されている。このコンピュータ装置は、CPU、メモリ、不揮発性記憶部、入出力インターフェース、および無線通信インタフェースを備えており、それらはバスで接続されている。特に、ダイジェスト作成部235や動画切出し部232や動作解析部233や音声解析部234や制御部242は、不揮発性記憶部に記憶してある各種プログラムをメモリに展開して実行することにより機能を実現している。
なお、本発明に係るデータ解析部は動画切出し部232と動作解析部233と音声解析部234とを示す。
以上のように構成されたゴルフダイジェスト作成システムについて、以下に装置毎の動作、作用を説明する。
図6は、移動撮影ユニットの動作フロー図である。
図6において、まず、移動撮影ユニット21の制御部218は、現在位置がスタートホールのティーグラウンドであるか否か判定し(S601)、スタートホールのティーグラウンドであると判定すると、撮像部211と集音部212からの動画データのAV記憶部213への録画・録音を開始する(S602)。そして、記録する動画データを識別するためのゴルフカート番号と動画の録画・録音を開始した時刻を記録する。これ以降、移動撮影ユニット21の制御部218は、録画開始からの経過時間(タイムコード)とゴルフカートの停止しているホール番号と位置情報(緯度・経度情報)とを映像データに付加して記録する。
次に、移動撮影ユニット21の制御部218は、ゴルフカート12がコースを移動している間に、携帯端末22からハイライトシーン発生情報を受信すると(S603)、当該通知に付されていたプレーヤー識別情報がプレーヤー情報記憶部215にあらかじめ登録しているもののいずれかである場合はこれを受け付け、受信時刻情報をハイライトシーン発生情報としてAV記憶部213に記録する(S604)。
次に、移動撮影ユニット21の制御部218は、現在位置がクラブハウスか否か判定し(S605)、クラブハウスでないと判定した場合は動画データの録画・録音を現在記録中であるかを判定する(S606)。現在すでに動画データを録画・録音中である場合はステップS603へ戻る。
他方、録画・録音を停止中であると判定した場合は、動画データの録画・録音を開始する(S607)。
また、ステップS605において、現在位置がクラブハウスである場合は、録画・録音を停止する(S608)。
次に、移動撮影ユニット21の制御部218は、すでに18ホールすべてのプレーを記録済みか否か判定し(ステップS609)、18ホールすべての記録をしていない場合は、ステップS605へ戻り、現在位置を再度チェックする。18ホールすべてを記録していた場合、移動撮影ユニット21の制御部218はラウンド終了と判断し、AV記憶部213に収録中の映像データと音声データの各ファイルをクローズする。そして、これらのファイルと、ハイライトシーン発生時刻情報ファイルを、クラブハウス内に設置してあるダイジェスト作成装置に無線送受信部217を介して送信する(S610)。
以上が移動撮影ユニット21の動作フローである。
次に、携帯端末22の動作フローを図を用いて説明する。
図7は携帯端末22の動作フロー図である。
図7において、携帯端末22の制御部224は、プレーヤーによるボタンの押下げをチェックし(S701)、押し下げを検知しない場合はステップS701へ戻る。
他方、携帯端末22の制御部224がボタンの押下げを検知すると予め設定されているプレーヤー識別情報とハイライトシーン発生情報を無線送受信部223を介して移動撮影ユニット21の制御部218へ送信する(S702)。
なお、上記の例では移動撮影ユニット21が携帯端末22からのハイライトシーン発生情報が撮影対象のプレーヤーからのものであるか否かを確認するために、プレーヤー識別情報を用いたが、携帯端末識別情報を用いることも可能である。
次に、ダイジェスト作成装置23の動作フローを図を用いて説明する。
図8は、ダイジェスト作成装置23の動作フロー図である。
図8において、まず、ダイジェスト作成装置23の制御部242は、移動撮影ユニット21の制御部218から動画データの送信要求があるか否かをチェックし(S801)、送信要求がある場合は送信を許可し、映像データファイルと音声データファイルとハイライトシーン発生時刻情報ファイルの受信を開始する。
そして、AV記憶部231にすべてのファイルの受信が完了すると(S802)、次に、ダイジェスト作成装置23の制御部242は、表示部239のディスプレイに表示されている選択肢の内、ダイジェスト作成の指示がキー入力部238からされたか否かをチェックし(S803)、指示がある場合、ダイジェスト作成装置23の制御部242は、ダイジェスト作成処理を行う(S804)。
図9はダイジェスト作成処理を説明する動作フローである。
図9において、ダイジェスト作成装置23の制御部242は、ダイジェスト作成の指示に際して付されていたゴルフカート番号に基づいて、当該ゴルフカート番号の付された映像データファイルをAV記憶部231から読み出す(S901)。そして、制御部242は動画切り出し部232に動画切り出し処理を要求する。動画切り出し部232は、この要求を受けて、人物検知処理を行い人物と認識した部分を含む領域を切り出す(S902)。
次に、ダイジェスト作成装置23の制御部242は、動作解析部233に切り出された動画について動作解析処理を要求する。動作解析部233はこれを受けて動作解析処理を行い(S903)、動作種別とその発生時刻情報とのハイライトシーン候補リスト1を作成する(S904)。なお、高解像度の映像データであっても動作解析は一部を切り出した映像データを用いて行うので、解析時間を短くおさえることができる。
次に、制御部242が、音声解析部234にAV記憶部231から読み出した音声データについて音声解析処理を要求する。音声解析処理部234は音声解析処理を行い(S905)、音声種別とその判定時刻情報とのハイライトシーン候補リスト2を作成する(S906)。
次に、ダイジェスト作成装置23の制御部242は、動作解析部233と音声解析部234が作成したリストとプレー中に携帯端末22から通知されたハイライトシーン発生の時刻情報とからハイライトシーンとして抽出すべきシーンを決定する(S907)。
図10は、ハイライトシーンの決定処理を説明する動作フロー図である。
図10において、まず、ハイライトシーン候補リスト1とハイライトシーン候補リスト2とを時系列順に統合した候補リストを作成し(S1001)、各動作種別と音声種別に評価値を付与する(S1002)。
図11は動作種別と音声種別に評価値を付与する処理を説明する図である。
評価値の付与基準としては、たとえば、動作種別がスイングやパッティングである場合は評価値6、飛び跳ね動作や手をあげる動作の場合には評価値4を付与する。また、音声種別がショット音である場合には評価値6、歓声である場合には評価値4、笑い声である場合には評価値3とする。特に、音声が話し声と判定された際は、公知の音声認識処理により認識した音声が「ナイスショット」や「グッドショット」である場合は、ハイライトシーンの有力候補であるので評価値6とし、その他の音声種別の場合には評価値0とする。
制御部242は、まず、図11(a)に示すように各動作種別と音声種別にこれらの付与基準に従い評価値を付与する。
次に、図11(b)に示すようにプレーヤーから通知されたハイライトシーン発生通知に基づき、その通知時刻から所定時間、たとえば15秒前までの範囲にある動作種別と音声種別に評価値4を加点する。これにより、プレーヤーの希望するシーンをハイライトシーンとしてダイジェストに含めることが可能になる。
さらに、通知があったときに生じていた動作種別や音声種別については、以降通知がなくても加点するといった学習機能を備えることも有効である。たとえば、飛び跳ね動作を行った後に通知される状況が2回発生した場合は、以降通知がなくても飛び跳ね動作を判定したときは加点するようにする。これにより、プレーヤーの好みのシーンを含めることがより可能になる。
次に、ゴルフカートの位置との関係で評価値を加算する。たとえば、スイング動作とショット音がティーグラウンドにいるときのものである場合には、それぞれ評価値4を加点する。また、図11(c)に示すように、グリーン上にいる場合のパッティング動作には評価点4を加点する。これにより、ティーショットとカップインするパッティングの動作をハイライトシーンから漏れることを防止できる。
また、この評価値付与の段階で、動作種別の判定対象とされた映像中の人物を後の再動画切り出し処理において特定できるように当該人物の映像中の位置情報(たとえばゴルフカートからの方角情報や人物の並び順)を記録する。
次に、制御部242は、図11に示すように一つの動作種別や音声種別の前後の所定時間を1区間として設定し、区間毎の評価値の合計を区間評価値として求める(S1004)。たとえば、スイングやパッティングの動作種別は前後各5秒を1区間とし、歓声や飛び跳ね動作や手の上げ動作は前5秒、後1秒を1区間とする。また、区間がオーバーラップする場合は、区間を延長し、一つの区間として扱う。たとえば、図11(a)は、動作種別スイングから動作種別飛び跳ねまでを1区間とする。また、図11(b)は、動作種別スイング前5秒から音声種別ショット音の後5秒までを1区間とする。同様に、図11(c)は、動作種別パッティングの前5秒から動作種別手の上げの後1秒までを1区間とする。
これにより、1ブロック内に動作解析と音声解析の両方でイベントを検出している場合はブロック評価値が高くなり、ハイライトシーンとして抽出する確率が高くなるので、ハイライトシーン選定の妥当性が高まる。
次に、制御部242は、区間評価値が所定の点数以上のものをハイライトシーンとして選出区間を決定する。あるいは、所定時間内になるように区間評価値の高い順から決定する。後者の方法はダイジェストの長さを所定時間以内に収める場合に有効である。
以上が、ハイライトシーンの決定処理(S907)である。
次に、ダイジェスト作成装置23の制御部242は、AV記憶部231に記憶されている、動画切り出し処理をする前の動画データから、選出された区間の動画データを抽出し(S908)、その映像データに再度動画切り出し処理を行う(S909)。すなわち、動画切り出し部232は、制御部242からの要求を受けて、ハイライトシーンとして選出された区間の映像データから切り出しを行うが、このとき動画切り出し部232は、選出された区間に特定すべき人物位置情報が記録されている場合は図5(b)で示すようなこの人物を中心とした切り出し処理を行う。また、選出された区間の時間内に当該人物が移動している場合は、動画切り出し部232は当該人物を追尾してフレームから外れることがないように切り出し処理を行う(S909)。
次に、ダイジェスト作成装置23の制御部242は、ダイジェスト作成部235にダイジェストの作成を要求する。ダイジェスト作成部235はこれを受けて、切り出された動画データをアップコンバート技術によりフルHD画質に補正しながら時系列順に結合してダイジェスト記憶部236に順次書き込み、ダイジェストを作成する(S910)。このとき、制御部242は、時刻情報とともに記録されているホール番号を参照して、ティーショットの動画の前に予め用意しているホール番号を示す画像を挿入する。またさらに、制御部242は、時刻情報とともに記録されたカートの位置情報を予め用意したコース地図上にマーキングしたものを当該動画データの一部分に合成する。これにより、ハイライトシーンの発生したおおよその場所を示すことができる。
上記したステップS901からステップS910までは、ダイジェスト作成装置23の制御部242がダイジェスト作成の指示を受けた場合のダイジェスト作成処理(S804)であり、その後ステップS805へ移行する。
一方、ステップS803においてこの指示が入力されていない場合、ダイジェスト作成装置23の制御部242は、表示部239のディスプレイに表示されている選択肢の内、ダイジェストのDVD作成の指示をキー入力部238から受け付けたか否かをチェックし(S805)、DVD作成指示を受けていた場合は、ダイジェスト書き込みの指示の際に付されていたゴルフカート番号を基にダイジェスト記憶部236からダイジェストファイルを読み出す。そして、制御部242はDVD書き込み部237に対して、当該ダイジェストファイルのDVDへの書き込みを要求し、DVD書き込み部237は当該ダイジェストのDVDをフルHD(1920画素X1080画素)画質で作成する(S806)。
一方、ステップS805においてキー入力部238からDVD作成の指示がなかった場合、ダイジェスト作成装置23の制御部242は、表示部239のディスプレイに表示されている選択肢の内、ダイジェストファイルの消去指示があるか否かを判定し(S807)、消去指示があった場合、制御部242はダイジェスト記憶部236から消去指示に付されていたカート番号のダイジェストファイルを消去する(S808)。その後、ステップS801へ戻る。
また、ステップS807において、ダイジェストファイルの消去指示を受けていなかった場合はそのまま何も処理することなしにステップS801へ戻る。
なお、本実施の形態では、ゴルフカートのルーフや車体のフレームに支柱を立てることで360度視界の開けた位置にカメラを設置したが、これに限らず、キャディやプレーヤーがゴルフバッグを持ち運ぶための手押し車などに支柱などを取り付けて360度カメラを設置することも可能である。本発明の目的は、プレーヤーとともに360度カメラを移動して撮影を行うことにあり、360度カメラを取り付けられる移動体であれば、それらに本発明を適用することができる。
また、本実施の形態においては、携帯端末105にハイライトシーンを特定するタイミングを指定するためのボタンを設けたがこれに限らず、携帯端末に加速度センサを設けておくことにより、携帯端末を振るなどの動作により移動撮影ユニット21へ通知するタイミングを加速度センサにより検知することも可能である。
さらに、携帯端末105に集音マイクを備え、音声データを無線通信部224を介してリアルタイムで移動撮影ユニット21へ送信し、移動撮影ユニット21の制御部218が集音部212で集音した音声データとは別の音声データとしてイベントの検出を行うことも可能である。
また、本実施の形態では、ハイビジョンのダイジェストを作成することを前提に動画切り出しのサイズを決定したが、これに限らず、SD画質(720画素X480画素)でDVDを作成することを前提にして動画切り出しのサイズを決定してもよい。また、本実施の形態では、クラブハウスに戻った時点でダイジェスト作成装置23へ動画データを送信したが、これに限らず無線中継部をゴルフ場の数カ所に設け、プレー中に無線中継部を介してダイジェスト作成装置23へ送信することも可能である。これにより、プレーヤーがプレー後にダイジェストを受け取れるまでの時間を短縮することができる。
以上のように、本実施の形態においては、ゴルフダイジェスト自動作成システムは、ゴルフカート上部の360度視界が開けた位置に設置した超高解像度の360度カメラと、このゴルフカートに設置した集音マイクとを備え、これらからの動画データと音声データとをゴルフのラウンド中、AV記憶部にすべて記憶するので、ラウンド終了後、記憶した超高解像度の動画データと音声データとを画像解析および音声解析して予め設定した基準により判定したハイライトシーンを抽出し、ゴルフコース上の如何なる所でのハイライトシーンも逃すことなく集めたダイジェストを作成することができる。
また、本実施の形態では、カメラの解像度が4Kあるいは8Kであり、解像度が高いのでダイジェスト作成において人物の写っている部分のみを切り出しても動画の高画質を保つことができる。
また、本実施の形態では、プレーヤーがハイライトシーンとして記録したいと思う場面を指示可能なので、プレーヤーの希望を満たしたダイジェストを作成することができる。
また、本実施の形態では、動画データの収録開始と終了は、移動撮影ユニット21が現在位置を検出して自動で行われるので、収録忘れや漏れを防ぐことができる。
なお、本実施の形態では、図11に示したように動作種別と音声種別の両方でハイライトシーン区間の判定を行ったが、これに限らず、動作種別のみ、あるいは音声種別のみを用いてハイライトシーン区間の判定を行うことも可能である。上記のように、動作種別と音声種別の両種別を用いることはハイライトシーン判定の信頼度を増すことができ好ましいが、音声種別のみ用いることは映像データを用いた動作解析処理を行わない分、ダイジェスト作成装置の負荷が軽くなりダイジェスト作成の時間を短縮することが可能になる。
また、本実施の形態では、動画のダイジェストのみを作成したが、これに限らず、さらに動画の中からプレーヤーが任意に画像を選択して静止画をDVDに記録したスナップ写真集を作成することも可能である。これは、ライブラリソフトウェアOpenCVを用いた公知の技術により実現することができる。
また、本実施の形態では、ダイジェストをDVDに書き込み、プレーヤーに提供しているが、これに限らず、ダイジェストファイルをインターネット経由でプレーヤーのパーソナルコンピューターへダウンロードしたり、ファイル転送することも可能である。
なお、本実施の形態では、移動撮影ユニット21とダイジェスト作成装置23とを別の装置としているが、これに限らず、ダイジェストの作成を行うダイジェスト作成部235や動画切出し部232や動作解析部233や音声解析部234やダイジェスト記憶部236を移動撮影ユニット21に含ませた構成にすることも可能である。これはマルチCPUの構成にすることなどにより録画・録音処理とハイライトシーン候補の抽出処理を並列に行うことが可能となり、ラウンド終了後のダイジェスト作成に要する時間を短縮することができる。
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2におけるゴルフダイジェスト自動作成システムの構成を示す図であり、実施の形態1と異なる点は固定撮影ユニット25がある点である。以下にその相違点について説明する。
図12において、固定撮影ユニット25はティーグラウンドやグリーンの付近あるいは、ゴルフカートが入れない区域に設置されており、移動撮影ユニット21の撮影のみではカバーしきれない区域に設けられるものである。そして、移動撮影ユニット21が固定撮影ユニット25の付近に来た時に移動撮影ユニット21から固定撮影ユニット25に撮影の開始が指示され、また、移動撮影ユニット21が固定撮影ユニット25付近から移動したときに撮影の終了を指示する。
図13は、本発明の実施の形態2における固定撮影ユニット25のハードウェア構成を示す図である。
図13に示すように、本実施の形態の固定撮影ユニット25は、カメラを含む撮像部251と音声マイクを含む集音部252と動画データを記録するAV記憶部253と無線送信部254と制御部255とからなる。なお、カメラは撮影対象範囲が限定されているので、フルHD画質(1920画素X1080画素)で、30fpsレートで撮影する。また、その際にカメラの広角レンズによる歪みを補正して出力する。
この固定撮影ユニット25は、カメラと集音マイクと無線通信機とコンピュータ装置により実現されている。このコンピュータ装置は、CPU、メモリ、不揮発性記憶部、入出力インターフェース、および無線通信インタフェースを備えており、それらはバスで接続されている。特に、制御部255は、不揮発性記憶部に記憶してある制御用プログラムをメモリに展開して実行することにより機能を実現している。
以上のように構成された固定撮影ユニット25について、以下にその動作、作用を説明する。
図14は、固定撮影ユニット25の動作フロー図である。
図14において、まず、固定撮影ユニット25の制御部255は、移動撮影ユニット21からの撮影開始要求を待ち(S1401)、要求があった場合、制御部255は、撮像部251と集音部252からの動画データのAV記憶部253への録画・録音を開始する(S1402)。このとき、制御部255は、記録する動画データを識別するために撮影開始指示と共に通知されたゴルフカート番号と動画の録画・録音を開始した時刻を記録する。
次に、制御部254は移動撮影ユニット21からの撮影終了要求を待ち(S1403)、要求があった場合、AV記憶部253への録画・録音を終了する(S1404)。
次に、固定撮影ユニット25の制御部255は、収録した映像データファイル、音声データファイル、およびゴルフカート番号と撮影開始時刻情報と撮影位置とが記載された属性情報ファイルをダイジェスト作成装置23へ無線送信する(S1405)。
そして、固定撮影ユニット25の制御部255は、次の組のためにステップS1401の処理へ戻る。
なお、本実施の形態では、映像データや音声データを一旦AV記憶部251に記録した後にダイジェスト作成装置23に送信しているが、これに限らず、固定撮影ユニット25とダイジェスト作成装置23間の伝送速度次第ではハードディスクなどに一旦記憶することなしにリアルタイムで伝送することも可能である。
あるいは、これらのファイルをダイジェスト作成装置23にではなく、移動撮影ユニット21に送信し、移動撮影ユニット21がラウンド終了後に、自己の撮影した動画ファイルと共にこれらのファイルをダイジェスト作成装置23へ送信するようにしてもよい。
次に、本実施の形態における移動撮影ユニット21の動作、作用を説明するが、実施の形態1に記載した移動撮影ユニット21のものとは固定撮影ユニット25への収録開始、終了指示がある点のみが異なる。
図15は、本実施の形態の移動撮影ユニット21の動作フロー図である。
図15において、移動撮影ユニット21の制御部218は、GPS受信部216が検出する現在位置が固定撮影ユニット25の設置されている所定区域にあるか否かをチェックする(S1501)。そして、所定区域に入った時点で当該区域の固定撮影ユニット25へ撮影の開始をゴルフカート番号と共に指示する(S1502)。そして、移動撮影ユニット21の制御部218は、AV記憶部213への収録を停止する(S1503)。
次に、移動撮影ユニット21の制御部218は、現在位置が所定区域にあるか否かをチェックし(S1504)、所定区域から出た時点で当該区域の固定撮影ユニット25へ撮影の終了をゴルフカート番号と共に指示する(S1505)。そして、移動撮影ユニット21の制御部218は、AV記憶部213への収録を開始する(S1506)。
移動撮影ユニット21のその他の動作は、実施の形態1と同じである。
また、携帯端末22の動作も、実施の形態1と同じである。
次に、本実施の形態におけるダイジェスト作成装置23の動作、作用を説明する。
図16はダイジェスト作成装置23の行うダイジェスト作成処理の動作フロー図である。
図16において、まず、ダイジェスト作成装置23の制御部242は、ダイジェスト作成の指示を受けると、通知されたゴルフカート番号の付与された動画ファイルをAV記憶部231から読み出し(S1601)、移動撮影ユニット21の撮影した動画ファイルに対しては、実施の形態1と同じように、動画切出し処理(S1602)からハイライトシーンシーン候補リスト2の作成(S1606)までを行う。
次に、制御部242は、固定撮影ユニット25で撮影した動画ファイルに対しては、映像データの読出し後(S1607)、動画の切り出し処理を行うことなしに実施の形態1と同じ動作解析処理(S1608)からハイライトシーン候補リスト2の作成(S1611)までを行う。これは、固定カメラによる撮影は限られた空間のみを撮影したものだからである。
次に、制御部242は、すべてのハイライトシーン候補リストを時系列順に結合し(S1612)、実施の形態1と同じハイライトシーンの決定処理(S1613)からダイジェスト作成(S1616)までを行う。このダイジェストは、移動撮影ユニット21で撮影した動画も固定撮影ユニット25で撮影した動画もアップコンバート技術によりすべてフルHD画質であるので、実施の形態1と同様に高画質のダイジェストを作成することができる。
なお、本実施の形態においても、携帯端末22からのハイライトシーン発生通知をゴルフカートに搭載された無線送受信部217は受信できるので、ハイライトシーン発生情報ファイルは実施の形態1と同じくダイジェスト作成装置23の制御部242が、固定撮影ユニット25の収録した映像データに対しても評価値の加点をし、ハイライトシーンが固定撮影ユニット25の設置された区間においても欠落することはない。
以上のように、本実施の形態においては、ゴルフカートが入れない区域に固定撮影ユニットを設置しているので、移動撮影ユニット21の撮影のみではカバーしきれない区域のハイライトシーンも逃すことなく集めたダイジェストを作成することができる。
なお、本実施の形態では、固定撮影ユニットの設置区域は移動撮影ユニット21が入れない区域としたが、これに限らず、移動撮影ユニット21が入れる区域であるが、より撮影に適するアングルからの撮影のために固定撮影ユニットを設置することも可能である。このような場合は、固定撮影ユニットによる撮影とともに移動撮影ユニット21による撮影も同時に行い、両撮影の動画からハイライトシーンを選出することも可能である。
また、本実施の形態では、撮影カメラの解像度をフルHD画質(1920画素X1080画素)として30fpsレートで撮影するとしたが、これに限らず、より高解像度の画質であったり、フレームレートを高いものにすることも可能である。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3におけるゴルフダイジェスト自動作成システムは実施の形態1と同じく、移動撮影ユニットと携帯端末とダイジェスト作成装置とからなるが、撮影カメラが360度カメラではなく、ズーム駆動機能付きカメラである点と、集音マイクが指向性マイクである点と、これらカメラとマイクが360度回転可能な電動雲台の上に設置されている点と、携帯端末22にGPS受信部を有する点が異なる。なお、撮影カメラはフルHD画質の撮影が可能である。
図17(a)は、本実施の形態における移動撮影ユニットのハードウェア構成を示す図である。
図17(a)において、撮像部211の撮影カメラは上記の通り光学式のズームレンズとそれを駆動するモーターとを有するズーム駆動機能付きカメラであり、集音部212の集音マイクは指向性マイクである。そして、カメラ駆動部219は電動雲台とそれを駆動するモーター駆動回路とズームレンズを駆動するモーター駆動回路とからなる。その他は実施の形態1のハードウェアと同じである。
図17(b)は、本実施の形態における携帯端末22のハードウェア構成を示す図であるが、携帯端末22はGPS受信部225を備える点が実施の形態1と異なる。
なお、ダイジェスト作成装置23は実施の形態1と同じである。
以上のように構成されたゴルフダイジェスト自動作成システムの動作、作用について、以下に実施の形態1と相違する点を説明する。
図18は携帯端末22の動作フロー図であり、現在の位置情報とプレーヤー識別情報とを所定時間、たとえば2秒毎に移動撮影ユニット21に送信する点が実施の形態1のものと異なる。
すなわち、まず、携帯端末22の制御部224は、GPS受信部225から検出した現在位置を移動撮影ユニット21へ送信し(S1801)、2秒経過したか否かをチェックする(S1802)。2秒経過していなければ、制御部224はボタンの押下げをチェックし(S1803)、押下げを検知すると予め設定されているプレーヤー識別情報と現在時刻を付したハイライトシーン発生情報を無線送受信部223を介して移動撮影ユニット21へ送信する(S1804)。その後、制御部224の処理はステップS1802へ戻り、2秒経過したか否かをチェックする。一方、制御部224がボタンの押下げを検知しなかったときは、ステップS1802へ戻り、2秒経過していれば、ステップS1801へ移行し、GPS受信部216から現在位置を検出し、移動撮影ユニット21に通知する(S1801)。
このように、携帯端末22は所定時間毎に現在位置を移動撮影ユニット21に通知するとともに、ボタンが押されたときにはハイライトシーン発生情報を移動撮影ユニット21に通知する。
次に、本実施の形態の移動撮影ユニット21の動作・作用について説明するが、実施の形態1と異なる点は、制御部218が被写体を捉えるためにカメラのズームレンズや電動雲台の駆動制御を行うことである。
すなわち、移動撮影ユニット21の制御部218は、携帯端末22から位置情報を受信すると、プレーヤー識別情報があらかじめ登録されたもののいずれかであるかをチェックし、登録されたものであれば、送信元の携帯端末22の方角と距離を算出し、その他の携帯端末22からの位置情報も含めて人物の配置位置を認識する。そして、制御部218は、人物すべてが撮影範囲に入るように電動雲台を回転させると共に人物を所定のサイズ以上で録画できるようにズーム駆動する。これにより、移動撮影ユニット21はプレーヤーが移動してもそれを追尾し続けることができる。その他の動作については実施の形態1と同じである。
また、ダイジェスト作成装置23の動作・作用については、移動撮影ユニット21が録画した動画データがすでにプレーヤ―を中心に撮影されているので、動画切出し処理(S902)を行う必要がないのでこれを行わない。この点が実施の形態1と異なり、その他の動作は実施の形態1と同じである。
以上のように、本実施の形態においては、カメラが超高解像度でないため移動撮影ユニット21のAV記憶部213に記憶されるデータ量は実施の形態1に比べて大幅に少なくて済む。また、それにより、移動撮影ユニット21からダイジェスト作成装置23への動画データの送信時間も短くなる。また、ダイジェスト作成装置23が行う画像処理時間も動画切出し処理(S902)がないため、実施の形態1で要した時間に比べ短時間で終了するという利点がある。
また、指向性マイクがカメラと共に人物のいる方角へ向くため、プレーヤーの発する音声をより感度よく取得できるという利点がある。
なお、本実施の形態では、光学式ズームを用いたがこれに限らず、高解像度CCD付カメラを用いて電子式ズームをすることにより画質劣化を起こすことなくズーム機能を実現することも可能である。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4におけるゴルフダイジェスト自動作成システムは移動撮影ユニットと携帯端末とダイジェスト作成装置とダイジェスト配信サーバとゴルフ場端末とからなり、ダイジェスト作成装置とダイジェスト配信サーバとがインターネット上に存在し、ゴルフ場に存する移動撮影ユニットとゴルフ場端末とがそれらとデータ通信するものである。なお、携帯端末は実施の形態1のものと同じである。
図19は、本実施の形態におけるゴルフダイジェスト作成システムの構成を示す図である。
図19において、移動撮影ユニット21は実施の形態1のものと同じく携帯端末22との間で双方向の無線通信を行うが、さらにインターネット27上に存在するダイジェスト作成装置23との間で第5世代移動通信(5G)を行う。この第5世代移動通信(5G)システムは、UE(ユーザー装置)と5Gアクセス・ネットワーク(5G−AN)29と5Gコア・ネットワーク(5GCN)28とで構成される。5Gアクセス・ネットワーク(5G−AN)29は、ユーザ装置と直接電波をやり取りする第五世代の無線ネットワーク部分であって、5Gコア・ネットワーク28は、全体として接続処理やユーザ・データのルーティング処理をする第5世代の無線ネットワーク部分である。この5Gアクセス・ネットワーク(5G−AN)29と5Gコア・ネットワーク(5GCN)28については、たとえば文献「5G教科書(LTE/IoTから5Gまで)」(発行所:株式会社インプレス)の218頁から241頁に記載されている通りである。
本実施の形態における移動撮影ユニット21は、上記のUEに該当し、第5世代無線基地局との間で新無線インタフェース(以下、NRと記す。)で双方向通信が可能な5G無線送受信部を備えている。上記のNRについては、前記の文献「5G教科書(LTE/IoTから5Gまで)」の108頁から117頁に記載されている通りである。なお、このNRは下りリンク最大20Gbps、上りリンク最大10Gbpsのデータレートを実現する通信能力を有するものである。
ゴルフ場端末24はダイジェスト作成装置23との間で有線での双方向通信を行い、実施の形態1におけるダイジェスト作成装置23の表示部239とキー入力部238と制御部242の一部の機能を実施するものである。
ダイジェスト配信サーバ26はダイジェスト作成装置23からダイジェストを受信し、個別のIDあるいはURLを付与して記憶・蓄積する。また、外部からIDあるいはURLで指定されたダイジェストのファイルを要求元の端末(スマートフォンやパーソナルコンピュータ)へ転送したり、ストリーミング配信するものである。
以下実施の形態1と異なる点のみを説明する。
図20は、本実施の形態における移動撮影ユニット21のハードウェア構成を示す図である。
図20において、移動撮影ユニット21は、5G無線送受信部251を新たに備える。
5G無線送受信部251は、上記したように第5世代無線基地局と高速無線通信を行うものである。
制御部218は、実施の形態1と同様に移動撮影ユニット21全体を制御するものであるが、AV記憶部213に書き込まれた映像データや音声データなどをカートが移動中にダイジェスト作成装置23に5G無線送受信部251を介して送信する点が実施の形態1と異なる。
次に、本実施の形態におけるダイジェスト作成装置23のハードウェア構成を図21を用いて説明する。
図21において、ダイジェスト作成装置23は、ネットワークi/fを無線送受信部241に代わって備え、インターネットに接続して外部とデータの送受信が可能である点と、表示部239とキー入力部238とを備えない点が実施の形態1と異なる。なお、AV記憶部231は本願発明に係るダイジェスト作成用AV記憶部に該当する。
その他にゴルフ場端末24とダイジェスト配信サーバ26を本実施の形態のゴルフダイジェスト作成システムは有するが、ゴルフ場端末24はDVD書込み機能とネットワークi/fを備える一般的なパーソナルコンピュータであり、ダイジェスト提供サービスプログラムが内蔵記憶装置に記憶されている。このアプリケーションプログラムを内蔵記憶装置からメモリに展開してCPUが実行することによりダイジェスト提供サービスが実施される。
ダイジェスト配信サーバ26はHTTP Live Streaming(以下HLSと記載する。)で要求されたダイジェストのストリーミング配信を行う公知のストリーミングサーバやHTTPプロトコルで配信を行う公知のウェブサーバ、あるいはFTPプロトコルでファイル転送を行う公知のファイルサーバである。
以上のように構成されたゴルフダイジェスト作成システムの装置毎の動作、作用について、実施の形態1と異なる点のみ以下に説明する。なお、携帯端末22の動作・作用は実施の形態1と同じである。
図22は、移動撮影ユニット21の動作フロー図である。
図22において、移動撮影ユニット21の制御部218は、まず、実施の形態1の動作フローと同じくステップS2201からステップS2204までを行う。これは図6で示した実施の形態1の動作フローであるステップS601からステップS604までと同じである。
次に、移動撮影ユニット21の制御部218は、カートが移動中であるか否かを判定する(S2205)。カートが移動中であるか否かは、GPS受信部216が出力する位置情報が変化しているか否かにより判定する。カートが移動中であると判定した場合、移動撮影ユニット21の制御部218は動画データの録画・録音を停止し、動画データファイルをクローズする。そして、5G無線送受信部251を介してインターネット上のダイジェスト作成装置23へ当該動画データファイルをFTPプロトコルで転送する(S2206)。この動画データファイルにはゴルフ場番号とプレー年月日とカート番号と送信するたびに付される連番とからなる動画IDがファイル名として付けられている。
そして、この動画データファイルをダイジェスト作成装置23へ送信後、ステップS2203の処理を行う。
一方、ステップS2205でカートが移動中でないと判定した場合、移動撮影ユニット21の制御部218は、動画の録画・録音が開始されていなければ録画・録音を開始し、すでに開始していればそのまま継続する(S2207)。
次に、移動撮影ユニット21の制御部218は、現在位置がクラブハウスか否か判定し(S2208)、クラブハウスでないと判定した場合はステップS2203へ戻る。
他方、現在位置がクラブハウスである場合は、録画・録音を停止する(S2209)。
次に、移動撮影ユニット21の制御部218は、すでに18ホールすべてのプレーを記録済みか否か判定し(ステップS2210)、18ホールすべての記録をしていない場合は、ステップS2208へ戻り、現在位置を再度チェックする。18ホールすべてを記録していた場合、移動撮影ユニット21の制御部218はラウンド終了と判断し動作を終了する。
以上が本実施の形態4における移動撮影ユニット21の動作フローであるが、実施の形態1と同じく4Kあるいは8Kの解像度で撮影した映像データであっても、5G移動通信ネットワークシステムによりダイジェスト作成装置へ大量の映像データや音声データをカート移動のわずかな時間で送信することを可能にしている。
次に、ダイジェスト作成装置23の動作フローについて実施の形態1と異なる点のみ説明する。
図23は、ダイジェスト作成装置23の動作フロー図である。
図23において、まず、ダイジェスト作成装置23の制御部242は、移動撮影ユニット21から動画データの受信要求があるか否かを判定し(S2301)、要求がある場合は送信を許可し、それぞれに動画IDの付された映像データファイルと音声データファイルとハイライトシーン発生時刻情報ファイルをFTPプロトコルで受信する。
そして、AV記憶部231に映像データファイルや音声データファイルを受信すると(S2302)、それまでに受信していた同一動画IDのそれぞれのファイルと結合する(S2303)。
なお、この映像データファイル等の受信とそれぞれのファイル結合は18ホールのラウンドが完了するまでカートが移動するたびに行われることになる。
次に、ダイジェスト作成装置23の制御部242は、ゴルフ場端末24からダイジェスト作成指示を受信すると(S2304)、ダイジェスト作成処理を行う(S2305)。このダイジェスト作成処理は実施の形態1のものと同じである。
そして、ダイジェスト作成処理が終了すると、作成されたダイジェストにダイジェストIDを付してダイジェスト配信サーバ26に転送する(S2306)。このダイジェストIDはゴルフ場の識別番号であるゴルフ場IDとプレー年月日とカート番号からなる。
次に、ダイジェスト作成装置23の制御部242は、ダイジェスト配信サーバ26からダイジェストファイルの格納完了通知とその格納場所のURLを受信すると(S2307)、当該格納場所のURLとダイジェストIDとを関連付けてをゴルフ場端末24へ通知する(S2308)。
その後、ダイジェスト作成装置23の制御部はステップS2301の処理へ戻る。
以上が本実施の形態4におけるダイジェスト作成装置23の動作フローである。
次に、ダイジェスト配信サーバ26の動作フローについて説明する。
図24は、ダイジェスト配信サーバ26の動作フロー図である。
前述の通りダイジェスト配信サーバ26はインターネット上で自己の管理するダイジェスト(動画ファイル)のファイル転送やストリーミング配信を行うウェブサーバである。
まず、ダイジェスト配信サーバ26はダイジェスト作成装置23からの格納要求を受けると(S2401)、ダイジェストIDをファイル名とするダイジェストファイルを受信し、記憶装置に格納する(S2402)。そして、ダイジェスト作成装置23にダイジェストファイルの格納場所のURLを返信する(S2403)。このときダイジェスト配信サーバ26は受信したファイルのファイル名であるダイジェストIDと格納場所のURLとを関連付けて管理する。
次に、ダイジェスト配信サーバ26はプレーヤー等の携帯端末やゴルフ場端末24からURLにより指定されたダイジェストファイルの転送要求あるいはストリーミング配信要求を受信すると(S2404)、指定されたダイジェストファイルを記憶装置から読み出し、要求元の端末にFTPプロトコルによるファイル転送あるいはHLSプロトコルによるストリーミング配信を行う(S2405)。
次に、ダイジェスト配信サーバ26は、プレーヤー等の携帯端末やゴルフ場端末24からURLにより指定されたダイジェストファイルの消去指示を受信すると(S2406)、記憶装置から指定されたダイジェストファイルを消去するとともに、送信元のプレーヤー端末やゴルフ場端末24へダイジェストファイルの消去完了を通知する(S2407)。
以上がダイジェスト配信サーバの動作フローである。
次に、ゴルフ場端末24の動作について説明する。
図25は、ゴルフ場端末24の動作フロー図である。
前述の通りゴルフ場端末24はインターネット接続可能な一般的なパーソナルコンピュータであるが、ダイジェスト提供サービスプログラムが実行される。すなわち、まず、ディスプレイ上にダイジェスト作成要求とDVD作成要求とダイジェスト消去要求のメニューを表示する。
そして、ゴルフ場端末24はキーボードなどからゴルフカート番号が入力された後にダイジェスト作成要求を受け付けると(S2501)、ゴルフ場IDとプレーの年月日とカート番号とを付してダイジェスト作成装置23へ該当する映像データ等のファイルからダイジェストを作成するように要求する(S2502)。この要求はゴルフ場端末が備えるネットワークi/fを介してインターネット上のダイジェスト作成装置23へ送信される。
ダイジェスト作成装置23はこの要求を受けて、AV記憶部231から該当する映像データ等のファイルを読み出し、ダイジェストを作成し、ダイジェスト配信サーバ26へ転送する。
ゴルフ場端末24はその後、ダイジェスト作成装置23からダイジェストIDとそのダイジェストの格納場所であるURLを受信し、このURLとダイジェストIDとを関連付けて記憶する。
そして、ゴルフ場端末24は、それを受けて当該ダイジェストIDが示すカート番号でプレーしたプレーヤーへメールなどでそのURLを通知する(S2504)。
このメールを受信したプレーヤーは自己の端末から当該URLへアクセスし、ダイジェストの転送要求を行うと、ダイジェスト配信サーバ26が要求元の端末へダイジェストを転送したり、あるいはストリーミング配信をすることで、プレーヤーは当該ダイジェストを視聴することが可能になる。
また、ゴルフ場端末24がプレーヤーからDVD作成の要求を受けると(S2505)、ゴルフ場端末24は指定されたカート番号を用いてURLとダイジェストIDとの関連情報からURLを求める。そして、該当URLへアクセスし、ダイジェスト配信サーバ26からダイジェストファイルをダウンロードし(S2506)、DVDに書き込む(S2507)。
次に、ゴルフ場端末24が表示メニューからカート番号とダイジェスト消去指示を受けると(S2508)、ゴルフ場端末24は同様に該当するURLを求め、ダイジェスト配信サーバ26へダイジェストファイルの削除要求を送信する(S2509)。
ダイジェスト配信サーバ26はこれを受けて、指定されたURLをアドレスとするダイジェストファイルを削除する。
以上のように、本実施の形態によれば、実施の形態1に示した作用効果の他に、ダイジェスト作成装置23をゴルフ場で備える必要がなくなり、ゴルフ場でのゴルフダイジェスト作成システムの導入が容易になる。また、ダイジェスト作成装置23とダイジェスト配信サーバ26とをサービス提供会社などが運営し、複数のゴルフ場からのダイジェスト作成および配信要求を受け付けることにより、ゴルフダイジェスト作成システムを効率よく運用することが可能になる。
なお、本実施の形態では、ダイジェスト作成装置23とダイジェスト配信サーバ26とを別の装置としたが、これに限らず、ダイジェスト配信機能をダイジェスト作成装置に含ませてひとつの装置とすることも可能である。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5におけるゴルフダイジェスト自動作成システムは、図26で示すように、移動撮影ユニット21とゴルフ場端末24とが無線通信で接続されて、ゴルフ場端末24を介して動画データをダイジェスト作成装置23に転送する点が実施の形態4のゴルフダイジェスト自動作成システムと異なる。
以下、実施の形態4と異なる点のみを説明する。
まず、移動撮影ユニット21の構成は実施の形態1に記載のものと同じであるが、その動作フローは、実施の形態1では映像データ等をダイジェスト作成装置へ無線通信で送信していたが(図6ステップS610)、本実施の形態においては、クラブハウス14内に設置してあるゴルフ場端末24へ送信する点が異なる。
次に、ダイジェスト作成装置23の構成は、実施の形態4に記載のものと同じであるが、映像データ等を移動撮影ユニット21から受信するのではなく、ゴルフ場端末24から映像データ等を受信する点が異なる。また、受信する映像データ等は18ホール分がすべて結合されたファイルであるので各ファイルの結合処理(図23ステップS2303)を行わない。
次に、ゴルフ場端末24について説明する。
図27は、本実施の形態におけるゴルフ場端末24の構成を示す図である。
図27において、ゴルフ場端末24は、AV記憶部306とダイジェスト記憶部305とDVD書込み部304とキー入力部302と表示部301とネットワークi/f308と無線送受信部307と制御部303とからなる。
AV記憶部306は、移動撮影ユニット21から無線送受信部307が行う無線通信により受信した動画データを記憶する記憶装置である。
ダイジェスト記憶部305はダイジェスト配信サーバ26から受信したダイジェストファイルを記憶するものである。
DVD書き込み部304は、ダイジェスト記憶部236に記憶されているダイジェストを読みだしてDVDにフルHD画質で書き込むものである。
制御部303は、ゴルフ場端末24全体を制御して、ダイジェスト提供サービスを実行するものであって、表示部301にメニュー表示を行い、キー入力部302により選択された処理をゴルフ場端末24を構成する各処理部に指示して行う。
上記したゴルフ場端末24は、ディスプレイとキーボードとマウスとDVDレコーダーとネットワーク・インターフェース・カードと無線通信機とコンピュータ装置により実現されている。このコンピュータ装置は、CPU、メモリ、不揮発性記憶部、入出力インターフェース、および無線通信インタフェースを備えており、それらはバスで接続されている。特に、制御部242は、不揮発性記憶部に記憶してある各種プログラムをメモリに展開して実行することにより機能を実現している。なお、ゴルフ場端末24は実施の形態4と同じく、これらのハードウェア資源を備えるパーソナルコンピュータにより実現することが可能である。
図28は、ゴルフ場端末24の動作フロー図である。
図28において、ゴルフ場端末24の制御部303は、まず、移動撮影ユニット21から動画データの受信要求があるか否かをチェックし(S2801)、受信要求がある場合は送信を許可し、映像データファイルと音声データファイルとハイライトシーン発生時刻情報ファイルの受信を開始する。
そして、AV記憶部306にすべてのファイルの受信が完了すると(S2802)、制御部303は、ダイジェスト作成装置23へこれらファイルの受信を要求する。
ダイジェスト作成装置23が受信要求を許可した場合、ゴルフ場端末24は先に受信したすべてのファイル、すなわち、動画IDの付された映像データファイルと音声データファイルとハイライトシーン発生時刻情報ファイルをダイジェスト作成装置23へFTPプロトコルで送信する。
次に、ゴルフ場端末24の制御部303は、表示部301のディスプレイに表示されている選択肢のチェックを行う。
これ以降のステップS2803からステップS2811までの処理は、実施の形態4のステップS2501からステップS2509までの処理と同一である。
以上のように、本実施の形態によれば、実施形態4と同様に、実施の形態1に示した作用効果の他に、ダイジェスト作成装置23をゴルフ場で備える必要がなくなり、ゴルフダイジェスト作成システムの導入が容易になる。また、ダイジェスト作成装置23とダイジェスト配信サーバ26とをサービス提供会社などが運営し、複数のゴルフ場からのダイジェスト作成および配信要求を受け付けることにより、ゴルフダイジェスト作成システムを効率よく運用することが可能になる。
さらに、第5世代無線通信システムを用いなくてもインターネット上のダイジェスト作成装置23とダイジェスト配信サーバ26をゴルフ場が利用することが可能になる。
なお、本実施の形態におけるゴルフ場端末24のAV記憶部306は、移動撮影ユニット21から動画データなどを無線通信により受信するとしたが、これに限らず、移動撮影ユニット21のAV記憶部213である半導体メモリカードを当該移動撮影ユニット21から取り外し、それをゴルフ場端末が備える専用アダプターに装着し、この専用アダプターを介して動画データを取得する、あるいは、装着した半導体メモリ自身がAV記憶部306となる構成にすることも可能である。