JP2020087307A - 自己位置推定装置、自己位置推定方法及び荷役システム - Google Patents
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Abstract
【課題】移動体の自己位置の推定精度を向上させることができる自己位置推定装置、自己位置推定方法及び荷役システムを提供する。【解決手段】自己位置推定装置63は、互いに異なる自己位置推定技術を用いてトレーラー2の自己位置候補をそれぞれ推定する複数の自己位置候補推定部54〜59と、複数の自己位置候補推定部54〜59によりそれぞれ推定された複数の自己位置候補の信頼度を算出する信頼度算出部60と、信頼度算出部60により算出された複数の自己位置候補の信頼度のうち最も高い信頼度に相当する自己位置候補をトレーラー2の自己位置として決定する自己位置決定部61とを備える。【選択図】図5
Description
本発明は、自己位置推定装置、自己位置推定方法及び荷役システムに関する。
従来の自己位置推定装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、レーザレンジファインダで検出した周囲の3次元形状から周囲の3次元地図を作製し、この3次元地図と予め受信した模擬地図とのマッチングによって移動体の自己位置を推定する技術が知られている。
しかしながら、上記従来技術においては、移動体の周囲環境によっては自己位置推定結果にずれが生じることがあるため、移動体の自己位置を高精度に推定することが困難である。
本発明の目的は、移動体の自己位置の推定精度を向上させることができる自己位置推定装置、自己位置推定方法及び荷役システムを提供することである。
本発明の一態様は、移動体の自己位置を推定する自己位置推定装置であって、互いに異なる自己位置推定技術を用いて移動体の自己位置候補をそれぞれ推定する複数の自己位置候補推定部と、複数の自己位置候補推定部によりそれぞれ推定された複数の自己位置候補の信頼度を算出する信頼度算出部と、信頼度算出部により算出された複数の自己位置候補の信頼度のうち最も高い信頼度に相当する自己位置候補を移動体の自己位置として決定する自己位置決定部とを備える。
このような自己位置推定装置においては、まず互いに異なる自己位置推定技術を用いて移動体の自己位置候補が複数推定される。そして、各自己位置候補の信頼度が算出され、各自己位置候補の信頼度のうち最も高い信頼度に相当する自己位置候補が移動体の自己位置として決定される。これにより、移動体の自己位置の推定精度が向上する。
信頼度算出部は、複数の自己位置候補のうち基準となる自己位置候補の期待値と複数の自己位置候補のうち他の自己位置候補の期待値との差と、複数の自己位置候補のばらつきと、基準となる自己位置候補のばらつきの範囲と他の自己位置候補のばらつきの範囲とが重なる面積とを用いて、複数の自己位置候補の信頼度を算出してもよい。このような構成では、単純な計算式を用いて、複数の自己位置候補の信頼度を確実に算出することができる。
複数の自己位置候補推定部の一つは、衛星を利用した自己位置推定技術を用いて移動体の自己位置候補を推定してもよい。このような構成では、移動体が屋外を移動する際に、移動体の自己位置候補を精度良く推定することができる。これにより、移動体の自己位置の推定精度を一層向上させることができる。
本発明の他の態様は、移動体の自己位置を推定する自己位置推定方法であって、互いに異なる自己位置推定技術を用いて移動体の自己位置候補を複数推定し、複数の自己位置候補の信頼度を算出し、複数の自己位置候補の信頼度のうち最も高い信頼度に相当する自己位置候補を移動体の自己位置として決定する。
このような自己位置推定方法においては、まず互いに異なる自己位置推定技術を用いて移動体の自己位置候補が複数推定される。そして、各自己位置候補の信頼度が算出され、各自己位置候補の信頼度のうち最も高い信頼度に相当する自己位置候補が移動体の自己位置として決定される。これにより、移動体の自己位置の推定精度が向上する。
本発明の更に他の態様は、荷物が載置される載置部を有する移動体と、荷物を吊り上げる吊上部を有するクレーンとを使用して、荷物の荷役を行う荷役システムであって、移動体の自己位置を推定する自己位置推定装置と、自己位置推定装置により推定された移動体の自己位置に基づいて、移動体を走行させる走行装置とを備え、自己位置推定装置は、互いに異なる自己位置推定技術を用いて移動体の自己位置候補をそれぞれ推定する複数の自己位置候補推定部と、複数の自己位置候補推定部によりそれぞれ推定された複数の自己位置候補の信頼度を算出する信頼度算出部と、信頼度算出部により算出された複数の自己位置候補の信頼度のうち最も高い信頼度に相当する自己位置候補を移動体の自己位置として決定する自己位置決定部とを有する。
このような荷役システムにおいては、まず互いに異なる自己位置推定技術を用いて移動体の自己位置候補が複数推定される。そして、各自己位置候補の信頼度が算出され、各自己位置候補の信頼度のうち最も高い信頼度に相当する自己位置候補が移動体の自己位置として決定される。これにより、移動体の自己位置の推定精度が向上する。
走行装置は、移動体がクレーンの吊上部の下方で停止するように移動体を走行させ、自己位置候補推定部は、移動体が吊上部の下方に誘導される際に、複数の自己位置候補を推定してもよい。このような構成では、上述したように移動体の自己位置の推定精度が向上するため、移動体をクレーンの吊上部の下方の所望位置に精度良く停止させることができる。
荷役システムは、衛星を利用した自己位置推定技術を用いてクレーンの自己位置を推定し、クレーンの自己位置に基づいて、クレーンを走行させるクレーン運行装置を更に備えてもよい。このような構成では、クレーンが屋外を移動する際に、クレーンの自己位置を精度良く推定することができる。これにより、クレーンを屋外の所定位置に精度良く停止させることができる。
本発明によれば、移動体の自己位置の推定精度を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る荷役システムを示す概略構成図である。図1において、本実施形態の荷役システム1は、例えばコンテナターミナルにおいて、移動体であるトレーラー2と移動式のクレーン3とを使用して、荷物であるコンテナC(図2参照)の荷役を行うシステムである。なお、トレーラー2及びクレーン3の数としては、1台ずつでもよいし、複数台ずつでもよい。
トレーラー2は、図2に示されるように、コンテナCが載置される載置部4を有している。なお、載置部4には、コンテナCの位置ずれを防ぐための拘束爪(図示せず)が設けられている。トレーラー2は、無人で走行可能である。
移動式のクレーン3は、図2に示されるように、走行体5と、この走行体5の上部に配置された支持体6と、この支持体6に支持され、コンテナCを吊り上げる吊上部7とを有している。吊上部7の先端部(下端部)には、コンテナCを把持する把持具8が設けられている。
クレーン3は、コンテナCの荷役作業を行うための作業機械である。具体的には、クレーン3は、トレーラー2の載置部4にコンテナCを積む作業(積荷作業)を行ったり、トレーラー2の載置部4に積まれたコンテナCを降ろす作業(荷卸し作業)を行う。クレーン3の走行及び荷役は、遠隔操作によって行われる。
荷役システム1は、上記のトレーラー2及びクレーン3と、基準局クレーン10と、基準局トレーラー11と、運行管理装置12とを備えている。荷役システム1は、図3に示されるように、トレーラー2及びクレーン3の自己位置を推定し、トレーラー2及びクレーン3を作業位置Xまで移動させ、作業位置Xにおいてクレーン3によりコンテナCの荷役を行う。
基準局クレーン10は、予め定まった位置に設置されている。基準局クレーン10は、複数の衛星13から送信される電波を衛星受信アンテナ14により受信して、各衛星13からの電波の位相を計測し、各衛星13からの電波の位相データを送信アンテナ15によりクレーン3に送信する。
基準局トレーラー11は、予め定まった位置に設置されている。基準局トレーラー11は、例えば図3に示されるように、基準局クレーン10に隣接して設置されている。基準局トレーラー11は、複数の衛星13から送信される電波を衛星受信アンテナ16により受信して、各衛星13からの電波の位相を計測し、各衛星13からの電波の位相データを送信アンテナ17によりトレーラー2に送信する。
図4は、クレーン3の演算・制御系構成を示すブロック図である。図4において、クレーン3は、GNSS受信機20と、データ受信機21と、演算・制御ユニット22と、データ送信機23と、走行ユニット24とを備えている。
GNSS受信機20は、各衛星13からの電波を衛星受信アンテナ25により受信して、クレーン3における各衛星13からの電波の位相を計測する。データ受信機21は、基準局クレーン10における各衛星13からの電波の位相データ及び運行管理装置12からのクレーン指令信号(後述)を受信アンテナ26により受信する。
演算・制御ユニット22は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。演算・制御ユニット22は、クレーン3における各衛星13からの電波の位相及び基準局クレーン10における各衛星13からの電波の位相データを用いて、クレーン3の自己位置を推定すると共に、運行管理装置12からのクレーン指令信号に応じて走行ユニット24を制御する。
データ送信機23は、演算・制御ユニット22により推定されたクレーン3の自己位置データを送信アンテナ27により運行管理装置12に送信する。走行ユニット24は、例えば走行モータ及び操舵ユニット等を有し、クレーン3を自動で走行させる。
演算・制御ユニット22は、自己位置推定部28と、走行制御部29とを有している。自己位置推定部28は、RTK−GNSS(realtime kinematic-globalnavigation satellite system)測位法を用いて、クレーン3の自己位置を推定する。RTK−GNSS測位法は、衛星を利用して自己位置推定を行う自己位置推定技術である。RTK−GNSS測位法は、屋外での推定精度が屋内での推定精度よりも高い自己位置推定技術である。自己位置推定部28は、クレーン3の自己位置としてクレーン3の二次元位置及び姿勢を推定する。
具体的には、自己位置推定部28は、GNSS受信機20により計測されたクレーン3における各衛星13からの電波の位相とデータ受信機21より受信された基準局クレーン10における各衛星13からの電波の位相との位相差を算出し、その位相差を用いて最小二乗計算を行うことにより、クレーン3の自己位置を推定する。そして、自己位置推定部28は、そのクレーン3の自己位置データをデータ送信機23を介して運行管理装置12に送信する。
走行制御部29は、運行管理装置12から送られてきたクレーン指令信号に応じて走行ユニット24を制御することにより、クレーン3の走行を制御する。
以上において、GNSS受信機20、データ受信機21、自己位置推定部28、走行制御部29、データ送信機23及び走行ユニット24は、衛星13を利用した自己位置推定技術を用いてクレーン3の自己位置を推定し、クレーン3の自己位置に基づいてクレーン3を走行させるクレーン運行装置40を構成している。
図5は、トレーラー2の演算・制御系構成を示すブロック図である。図5において、トレーラー2は、GNSS受信機41と、データ受信機42と、エンコーダ43と、慣性計測ユニット44と、ARマーカ用カメラ45と、レーザセンサ46と、SLAM用カメラ47と、演算・制御ユニット48と、データ送信機49と、走行ユニット50とを備えている。
GNSS受信機41は、各衛星13からの電波を衛星受信アンテナ51により受信して、トレーラー2における各衛星13からの電波の位相を計測する。データ受信機42は、基準局トレーラー11における各衛星13からの電波の位相データ及び運行管理装置12からのトレーラー指令信号(後述)を受信アンテナ52により受信する。
エンコーダ43は、トレーラー2の車輪の回転角度を検出する。慣性計測ユニット44は、IMU(inertial measurement unit)と称され、トレーラー2の角速度及び加速度を検出する。ARマーカ用カメラ45は、コンテナターミナルに設置された専用のAR(augmentedreality)マーカを撮像する。レーザセンサ46は、トレーラー2の前方にレーザを照射し、レーザの反射光を受光する。SLAM用カメラ47は、トレーラー2の前方を撮像する。
演算・制御ユニット48は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。演算・制御ユニット48は、トレーラー2における各衛星13からの電波の位相及び基準局トレーラー11における各衛星13からの電波の位相データを用いて、トレーラー2の自己位置を推定すると共に、運行管理装置12からのトレーラー指令信号に応じて走行ユニット50を制御する。
データ送信機49は、演算・制御ユニット48により推定されたトレーラー2の自己位置データを送信アンテナ53により運行管理装置12に送信する。走行ユニット50は、例えば走行モータ及び操舵ユニット等を有し、トレーラー2を自動で走行させる。
演算・制御ユニット48は、第1自己位置候補推定部54と、第2自己位置候補推定部55と、第3自己位置候補推定部56と、第4自己位置候補推定部57と、第5自己位置候補推定部58と、第6自己位置候補推定部59と、信頼度算出部60と、自己位置決定部61と、走行制御部62とを有している。
第1自己位置候補推定部54は、エンコーダ43により検出された車輪の回転角度に基づいてトレーラー2の移動量を求め、その結果からトレーラー2の自己位置候補を推定する。つまり、第1自己位置候補推定部54は、オドメトリ手法という自己位置推定技術を用いて、トレーラー2の自己位置候補を推定する。
第2自己位置候補推定部55は、慣性計測ユニット44により検出されたトレーラー2の角速度及び加速度に基づいて、トレーラー2の自己位置候補を推定する。つまり、第2自己位置候補推定部55は、慣性計測ユニット(IMU)手法という自己位置推定技術を用いて、トレーラー2の自己位置候補を推定する。
第3自己位置候補推定部56は、上記のRTK−GNSS測位法を用いて、トレーラー2の自己位置候補を推定する。具体的には、第3自己位置候補推定部56は、GNSS受信機41により計測されたトレーラー2における各衛星13からの電波の位相とデータ受信機42より受信された基準局トレーラー11における各衛星13からの電波の位相との位相差を算出し、その位相差を用いて最小二乗計算を行うことにより、トレーラー2の自己位置候補を推定する。
第4自己位置候補推定部57は、ARマーカ用カメラ45によるARマーカの撮像画像を画像処理し、その結果からトレーラー2の自己位置候補を推定する。つまり、第4自己位置候補推定部57は、ARマーカ手法という自己位置推定技術を用いて、トレーラー2の自己位置候補を推定する。
第5自己位置候補推定部58は、レーザセンサ46の検出結果を利用したLIDAR(laser imaging detection andranging) SLAM(simultaneous localization andmapping)手法を用いて、トレーラー2の自己位置候補を推定する。SLAMは、センサデータ及び地図データを使って自己位置推定を行う自己位置推定技術である。LIDAR SLAMは、レーザレンジスキャナー等を利用して、自己位置推定と環境地図の作成とを同時に行う。
第6自己位置候補推定部59は、SLAM用カメラ47の撮像画像を利用したVisual SLAM手法を用いて、トレーラー2の自己位置候補を推定する。Visual SLAMは、カメラの撮像画像を利用して、自己位置推定と環境地図の作成とを同時に行う。
信頼度算出部60は、第1自己位置候補推定部54、第2自己位置候補推定部55、第3自己位置候補推定部56、第4自己位置候補推定部57、第5自己位置候補推定部58及び第6自己位置候補推定部59によりそれぞれ推定された各トレーラー2の自己位置候補の信頼度を算出する。
図6は、信頼度算出部60により実行される信頼度算出処理手順の詳細を示すフローチャートである。なお、各トレーラー2の自己位置候補の信頼度αi(i=1…N)は、所定時間周期で算出される。ここでは、N=6である。また、自己位置候補は、2次元座標(X,Y座標)で表される(図7参照)。
図6において、信頼度算出部60は、まず第1自己位置候補推定部54、第2自己位置候補推定部55、第3自己位置候補推定部56、第4自己位置候補推定部57、第5自己位置候補推定部58及び第6自己位置候補推定部59によりそれぞれ推定された各自己位置候補データを取得する(手順S101)。
続いて、信頼度算出部60は、複数の自己位置候補のうち基準となる自己位置候補の期待値と複数の自己位置候補のうち他の自己位置候補の期待値との差の二乗和Aiを算出する(手順S102)。期待値とは、ある試行を行ったときに、その結果として得られる数値の平均値のことである。
例えば図7に示されるように、基準となる自己位置候補をPとし、他の自己位置候補をQ,Rとした場合、自己位置候補Pの期待値Paveと自己位置候補Qの期待値Qaveとの差の二乗はm2となり、自己位置候補Pの期待値Paveと自己位置候補Rの期待値Raveとの差の二乗はn2となる。従って、二乗和Aiは下記式で表される。なお、図7に示される例では、自己位置候補の数を便宜上3つとしている。
Ai=m2+n2
Ai=m2+n2
続いて、信頼度算出部60は、各自己位置候補のばらつき(2σ)の二乗Siを算出する(手順S103)。図7に示される例では、自己位置候補Pのばらつき(2σ)はP2σであり、自己位置候補Qのばらつき(2σ)はQ2σであり、自己位置候補Rのばらつき(2σ)はR2σである。自己位置候補のばらつき(2σ)の二乗Siは、下記式で表される。
Si=(2σ)2
Si=(2σ)2
続いて、信頼度算出部60は、基準となる自己位置候補のばらつき(2σ)の範囲と他の自己位置候補のばらつき(2σ)の範囲とが重なる面積の和Σiを算出する(手順S104)。ここでは、自己位置候補のばらつき(2σ)の範囲は、自己位置候補の期待値を中心とし、自己位置候補のばらつき(2σ)を直径とした円で表される。
図7に示される例では、基準となる自己位置候補Pのばらつき(2σ)の範囲と他の自己位置候補Qのばらつき(2σ)の範囲とが重なる面積はZであり、基準となる自己位置候補Pのばらつき(2σ)の範囲と他の自己位置候補Rのばらつき(2σ)の範囲とが重なる面積は0である。従って、基準となる自己位置候補のばらつき(2σ)の範囲と他の自己位置候補のばらつき(2σ)の範囲とが重なる面積の和Σiは、Zとなる。
続いて、信頼度算出部60は、各自己位置候補の信頼度αiを算出する(手順S105)。各自己位置候補の信頼度αiは、基準となる自己位置候補のばらつき(2σ)の範囲と他の自己位置候補のばらつき(2σ)の範囲とが重なる面積の和Σiを、基準となる自己位置候補の期待値と他の自己位置候補の期待値との差の二乗和Aiと、各自己位置候補のばらつき(2σ)の二乗Siとの加算値で除した値である。つまり、各自己位置候補の信頼度αiは、下記式で表される。
αi=Σi/(Ai+Si)
αi=Σi/(Ai+Si)
図5に戻り、自己位置決定部61は、信頼度算出部60により算出された各自己位置候補の信頼度αiのうち最も高い信頼度αiに相当する自己位置候補をトレーラー2の自己位置として決定する。そして、自己位置決定部61は、トレーラー2の自己位置データをデータ送信機49を介して運行管理装置12に送信する。
走行制御部62は、運行管理装置12から送られてきたトレーラー指令信号に応じて走行ユニット50を制御することにより、トレーラー2の走行を制御する。
以上において、GNSS受信機41、データ受信機42、エンコーダ43、慣性計測ユニット44、ARマーカ用カメラ45、レーザセンサ46、SLAM用カメラ47、第1自己位置候補推定部54、第2自己位置候補推定部55、第3自己位置候補推定部56、第4自己位置候補推定部57、第5自己位置候補推定部58、第6自己位置候補推定部59、信頼度算出部60、自己位置決定部61及びデータ送信機49は、トレーラー2の自己位置を推定する自己位置推定装置63を構成している。
データ受信機42、走行制御部62及び走行ユニット50は、自己位置推定装置63により推定されたトレーラー2の自己位置に基づいて、トレーラー2を走行させる走行装置64を構成している。
図8は、運行管理装置12の制御系構成を示すブロック図である。図8において、運行管理装置12は、受信機70と、制御ユニット71と、送信機72とを備えている。
受信機70は、クレーン運行装置40の自己位置推定部28で推定されたクレーン3の自己位置データと自己位置推定装置63の自己位置決定部61で決定されたトレーラー2の自己位置データとを受信アンテナ73により受信する。
制御ユニット71は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。制御ユニット71は、クレーン3の自己位置データに基づいて、クレーン3を走行または停止させるためのクレーン指令信号を生成すると共に、トレーラー2の自己位置データに基づいて、トレーラー2を走行または停止させるためのトレーラー指令信号を生成する。
送信機72は、制御ユニット71により生成されたクレーン指令信号及びトレーラー指令信号を送信アンテナ74により送信する。
図9は、制御ユニット71により実行される第1走行パターンによる走行制御処理手順の詳細を示すフローチャートである。図9において、制御ユニット71は、まずホストコンピュータ(図示せず)からの荷役開始信号または作業者による手動スイッチの入力操作によって荷役作業が指示されたかどうかを判断する(手順S111)。
制御ユニット71は、荷役作業が指示されたと判断したときは、クレーン3を作業位置X(図2及び図3参照)まで移動させるためのクレーン移動指令信号を出力する(手順S112)。作業位置情報は、例えばホストコンピュータから送られてくる。これにより、クレーン移動指令信号が送信機72を介してクレーン運行装置40の走行制御部29に送られ、走行ユニット24がクレーン移動指令信号に応じて制御されるため、クレーン3が作業位置Xに向けて移動する。
続いて、制御ユニット71は、受信機70により受信されたクレーン3の自己位置データを取得する(手順S113)。そして、制御ユニット71は、クレーン3の自己位置データに基づいて、クレーン3が作業位置Xに達したかどうかを判断する(手順S114)。制御ユニット71は、クレーン3が作業位置Xに達していないと判断したときは、手順S113,S114を再度実行する。
制御ユニット71は、クレーン3が作業位置Xに達したと判断したときは、クレーン3を停止させるためのクレーン停止指令信号を出力する(手順S115)。これにより、クレーン停止指令信号が送信機72を介してクレーン運行装置40の走行制御部29に送られ、走行ユニット24がクレーン停止指令信号に応じて制御されるため、クレーン3が作業位置Xで停止する。
続いて、制御ユニット71は、トレーラー2を作業位置Xまで移動させるためのトレーラー移動指令信号を出力する(手順S116)。これにより、トレーラー移動指令信号が送信機72を介して走行装置64の走行制御部62に送られ、走行ユニット50がトレーラー移動指令信号に応じて制御されるため、トレーラー2が作業位置Xに向けて移動する。
続いて、制御ユニット71は、受信機70により受信されたトレーラー2の自己位置データを取得する(手順S117)。そして、制御ユニット71は、トレーラー2の自己位置データに基づいて、トレーラー2が作業位置Xに達したかどうかを判断する(手順S118)。制御ユニット71は、トレーラー2が作業位置Xに達していないと判断したときは、手順S117,S118を再度実行する。
制御ユニット71は、トレーラー2が作業位置Xに達したと判断したときは、トレーラー2を停止させるためのトレーラー停止指令信号を出力する(手順S119)。これにより、トレーラー停止指令信号が送信機72を介して走行装置64の走行制御部62に送られ、走行ユニット50がトレーラー停止指令信号に応じて制御されるため、トレーラー2が作業位置Xで停止する。
以上のような第1走行パターンでは、まずクレーン3が先に作業位置Xで停止する。その後、トレーラー2が作業位置Xで停止する。このとき、トレーラー2は、クレーン3の吊上部7の下方位置で停止するように誘導される。トレーラー2がクレーン3の吊上部7の下方位置に誘導される際には、複数の自己位置候補の信頼度のうち最も高い信頼度に相当する自己位置候補がトレーラー2の自己位置として決定され、そのトレーラー2の自己位置に基づいてトレーラー2が誘導される。
図10は、制御ユニット71により実行される第2走行パターンによる走行制御処理手順の詳細を示すフローチャートである。図10において、制御ユニット71は、まず図9の手順S111と同様に、荷役作業が指示されたかどうかを判断する(手順S121)。
制御ユニット71は、荷役作業が指示されたと判断したときは、クレーン移動指令信号及びトレーラー移動指令信号を出力する(手順S122)。これにより、クレーン3及びトレーラー2が作業位置Xに向けて移動する。
続いて、制御ユニット71は、受信機70により受信されたクレーン3及びトレーラー2の自己位置データを取得する(手順S123)。そして、制御ユニット71は、クレーン3の自己位置データに基づいて、クレーン3が作業位置Xに達したかどうかを判断する(手順S124)。制御ユニット71は、クレーン3が作業位置Xに達したと判断したときは、クレーン停止指令信号を出力する(手順S125)。これにより、クレーン3が作業位置Xで停止する。
制御ユニット71は、クレーン3が作業位置Xに達していないと判断したときは、トレーラー2が作業位置Xの手前の所定位置に達したかどうかを判断する(手順S126)。制御ユニット71は、トレーラー2が作業位置Xの手前の所定位置に達していないと判断したときは、手順S123,S124,S126を再度実行する。
制御ユニット71は、トレーラー2が作業位置Xの手前の所定位置に達したと判断したときは、トレーラー停止指令信号を出力する(手順S127)。これにより、トレーラー2が作業位置Xの手前の所定位置で停止する。
続いて、制御ユニット71は、受信機70により受信されたクレーン3の自己位置データを取得する(手順S128)。そして、制御ユニット71は、クレーン3の自己位置データに基づいて、クレーン3が作業位置Xに達したかどうかを判断する(手順S129)。制御ユニット71は、クレーン3が作業位置Xに達していないと判断したときは、手順S128,129を再度実行する。制御ユニット71は、クレーン3が作業位置Xに達したと判断したときは、クレーン停止指令信号を出力する(手順S125)。これにより、クレーン3が作業位置で停止する。
制御ユニット71は、手順S125が実行された後、トレーラー移動指令信号を出力する(手順S130)。これにより、トレーラー2が作業位置Xに向けて移動する。続いて、制御ユニット71は、受信機70により受信されたトレーラー2の自己位置データを取得する(手順S131)。そして、制御ユニット71は、トレーラー2の自己位置データに基づいて、トレーラー2が作業位置Xに達したかどうかを判断する(手順S132)。
制御ユニット71は、トレーラー2が作業位置Xに達していないと判断したときは、手順S131,S132を再度実行する。制御ユニット71は、トレーラー2が作業位置Xに達したと判断したときは、トレーラー停止指令信号を出力する(手順S133)。これにより、トレーラー2が作業位置Xで停止する。
以上のような第2走行パターンでは、クレーン3及びトレーラー2が同時に走行を開始する。トレーラー2がクレーン3よりも先に作業位置Xに到達しそうなときは、トレーラー2が作業位置Xの手前で一旦停止する。そして、クレーン3が作業位置Xで停止した後、トレーラー2が走行を再開し、作業位置Xで停止する。このとき、トレーラー2は、クレーン3の吊上部7の下方位置で停止するように誘導される。トレーラー2がクレーン3の吊上部7の下方位置に誘導される際には、上記の第1走行パターンと同様に、複数の自己位置候補の信頼度のうち最も高い信頼度に相当する自己位置候補がトレーラー2の自己位置として決定され、そのトレーラー2の自己位置に基づいてトレーラー2が誘導される。
以上のように本実施形態にあっては、まず互いに異なる自己位置推定技術を用いてトレーラー2の自己位置候補が複数推定される。そして、各自己位置候補の信頼度が算出され、各自己位置候補の信頼度のうち最も高い信頼度に相当する自己位置候補がトレーラー2の自己位置として決定される。これにより、トレーラー2の自己位置の推定精度が向上する。
また、本実施形態では、複数の自己位置候補のうち基準となる自己位置候補の期待値と複数の自己位置候補のうち他の自己位置候補の期待値との差と、複数の自己位置候補のばらつきと、基準となる自己位置候補のばらつきの範囲と他の自己位置候補のばらつきの範囲とが重なる面積とを用いて、複数の自己位置候補の信頼度が算出される。従って、単純な計算式を用いて、複数の自己位置候補の信頼度を確実に算出することができる。
また、本実施形態では、自己位置推定技術の一つとして衛星を利用した自己位置推定技術を用いてトレーラー2の自己位置候補を推定するので、トレーラー2が屋外を移動する際に、トレーラー2の自己位置候補を精度良く推定することができる。これにより、トレーラー2の自己位置の推定精度を一層向上させることができる。
ところで、クレーン3及びトレーラー2を作業位置Xで停止させる際、クレーン3の位置をトレーラー2の位置に対して調整するよりも、トレーラー2の位置をクレーン3の位置に対して調整するほうが容易である。このため、上記の第1走行パターン及び第2走行パターンのように、クレーン3をトレーラー2よりも先に作業位置Xに停止させている。しかし、RTK−GNSS測位法のみを用いてトレーラー2の自己位置を推定する場合には、クレーン3をトレーラー2よりも先に作業位置Xに停止させると、トレーラー2がクレーン3の吊上部7の下方位置に誘導される際に、衛星受信アンテナ51の視野がクレーン3の支持体6及び吊上部7によって制限されるため、トレーラー2の自己位置の推定精度が悪化しやすくなる。従って、トレーラー2をクレーン3の吊上部7の下方の所望位置に精度良く停止させることができず、トレーラー2またはクレーン3の位置調整が必要となり、結果的に荷役効率の悪化につながる。
それに対し実施形態では、上述したようにトレーラー2の自己位置の推定精度が向上するため、トレーラー2をクレーン3の吊上部7の下方の所望位置に精度良く停止させることができる。これにより、トレーラー2またはクレーン3の位置調整が不要となり、荷役効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、衛星を利用した自己位置推定技術を用いてクレーン3の自己位置を推定するので、クレーン3が屋外を移動する際に、クレーン3の自己位置を精度良く推定することができる。これにより、クレーン3を屋外の作業位置Xに精度良く停止させることができる。
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、RTK−GNSS測位法を含む6種類の自己位置推定技術を用いて、トレーラー2の自己位置候補を6つ推定しているが、特にその形態には限られず、互いに異なる複数種類の自己位置推定技術を用いて、トレーラー2の自己位置候補を複数推定すればよい。
このとき、上記の6種類の自己位置推定技術から、作業環境に適した自己位置推定技術を必要な数だけ選択してもよい。例えば、屋内では、RTK−GNSS測位法以外の自己位置推定技術を選択したり、降雨時には、LIDAR SLAM以外の自己位置推定技術を選択してもよい。この場合には、必要最小限の自己位置推定技術のみを使用するため、システムコストを低減することができる。また、複数の自己位置候補の信頼度を算出する際に、作業環境に応じてパラメータに重みを付けてもよい。この場合には、複数の自己位置候補の信頼度を最適化することができる。
また、上記実施形態では、自己位置推定技術の一つとしてRTK−GNSS測位法を用いているが、衛星を利用して自己位置推定を行う自己位置推定技術としては、RTK−GNSS測位法の代わりに、単独測位法または相対測位法等を用いてもよい。この場合には、基準局クレーン10及び基準局トレーラー11が不要となる。
また、上記実施形態では、トレーラー2の自己位置を推定するときは、常に複数の自己位置候補を推定し、複数の自己位置候補の信頼度を算出して、トレーラー2の自己位置を推定しているが、特にその形態には限られない。例えば、トレーラー2がクレーン3の吊上部7の下方位置に誘導される前までは、衛星を利用した自己位置推定技術等を用いてトレーラー2の自己位置を推定し、トレーラー2がクレーン3の吊上部7の下方位置に誘導される際に、複数の自己位置候補を推定し、複数の自己位置候補の信頼度を算出して、トレーラー2の自己位置を推定してもよい。
また、上記実施形態では、クレーン3をトレーラー2よりも先に作業位置Xで停止させているが、特にその形態には限られず、トレーラー2をクレーン3よりも先に作業位置Xで停止させてもよい。
また、上記実施形態では、移動式のクレーン3を使用しているが、特にその形態には限られず、固定式のクレーンを使用してもよい。また、上記実施形態では、トレーラー2を使用しているが、コンテナCが載置される移動体としては、特にトレーラー2には限られず、台車等であってもよい。
さらに、上記実施形態は、コンテナCの荷役を行う荷役システム1であるが、本発明は、コンテナ以外の荷物の荷役を行う荷役システムにも適用可能である。また、本発明は、移動体の自己位置を推定するのであれば、荷役システム以外のシステムにも適用可能である。
1…荷役システム、2…トレーラー(移動体)、3…クレーン、4…載置部、7…吊上部、40…クレーン運行装置、54…第1自己位置候補推定部(自己位置候補推定部)、55…第2自己位置候補推定部(自己位置候補推定部)、56…第3自己位置候補推定部(自己位置候補推定部)、57…第4自己位置候補推定部(自己位置候補推定部)、58…第5自己位置候補推定部(自己位置候補推定部)、59…第6自己位置候補推定部(自己位置候補推定部)、60…信頼度算出部、61…自己位置決定部、63…自己位置推定装置、64…走行装置、C…コンテナ(荷物)、X…作業位置。
Claims (7)
- 移動体の自己位置を推定する自己位置推定装置であって、
互いに異なる自己位置推定技術を用いて前記移動体の自己位置候補をそれぞれ推定する複数の自己位置候補推定部と、
前記複数の自己位置候補推定部によりそれぞれ推定された複数の自己位置候補の信頼度を算出する信頼度算出部と、
前記信頼度算出部により算出された前記複数の自己位置候補の信頼度のうち最も高い信頼度に相当する自己位置候補を前記移動体の自己位置として決定する自己位置決定部とを備える自己位置推定装置。 - 前記信頼度算出部は、前記複数の自己位置候補のうち基準となる自己位置候補の期待値と前記複数の自己位置候補のうち他の自己位置候補の期待値との差と、前記複数の自己位置候補のばらつきと、前記基準となる自己位置候補のばらつきの範囲と前記他の自己位置候補のばらつきの範囲とが重なる面積とを用いて、前記複数の自己位置候補の信頼度を算出する請求項1記載の自己位置推定装置。
- 前記複数の自己位置候補推定部の一つは、衛星を利用した自己位置推定技術を用いて前記移動体の自己位置候補を推定する請求項1または2記載の自己位置推定装置。
- 移動体の自己位置を推定する自己位置推定方法であって、
互いに異なる自己位置推定技術を用いて前記移動体の自己位置候補を複数推定し、
複数の自己位置候補の信頼度を算出し、
前記複数の自己位置候補の信頼度のうち最も高い信頼度に相当する自己位置候補を前記移動体の自己位置として決定する自己位置推定方法。 - 荷物が載置される載置部を有する移動体と、前記荷物を吊り上げる吊上部を有するクレーンとを使用して、前記荷物の荷役を行う荷役システムであって、
前記移動体の自己位置を推定する自己位置推定装置と、
前記自己位置推定装置により推定された前記移動体の自己位置に基づいて、前記移動体を走行させる走行装置とを備え、
前記自己位置推定装置は、
互いに異なる自己位置推定技術を用いて前記移動体の自己位置候補をそれぞれ推定する複数の自己位置候補推定部と、
前記複数の自己位置候補推定部によりそれぞれ推定された複数の自己位置候補の信頼度を算出する信頼度算出部と、
前記信頼度算出部により算出された前記複数の自己位置候補の信頼度のうち最も高い信頼度に相当する自己位置候補を前記移動体の自己位置として決定する自己位置決定部とを有する荷役システム。 - 前記走行装置は、前記移動体が前記クレーンの前記吊上部の下方で停止するように前記移動体を走行させ、
前記自己位置候補推定部は、前記移動体が前記吊上部の下方に誘導される際に、前記複数の自己位置候補を推定する請求項5記載の荷役システム。 - 衛星を利用した自己位置推定技術を用いて前記クレーンの自己位置を推定し、前記クレーンの自己位置に基づいて、前記クレーンを走行させるクレーン運行装置を更に備える請求項5または6記載の荷役システム。
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- 2018-11-30 JP JP2018225356A patent/JP2020087307A/ja active Pending
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