JP2020086296A - 拡大観察装置 - Google Patents

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隼人 大庭
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Abstract

【課題】拡大観察装置により取得される観察画像において「もや」を低減すること。【解決手段】拡大観察装置は、第一被写界深度で、かつ、それぞれ異なる複数の合焦位置のそれぞれで観察対象物を撮像することで複数の第一輝度画像を取得しS7、第二被写界深度で、かつ、それぞれ異なる複数の合焦位置のそれぞれで観察対象物を撮像することで複数の第二輝度画像を取得しS10、複数の第一輝度画像と複数の第二輝度画像を合成することでぼけ(もや)を低減した観察画像を生成するS12。【選択図】図11

Description

本発明は拡大観察装置に関する。
一般に顕微鏡は観察対象物を精度よく観察するために高い光学性能を有する光学系が求められてきた。また、観察画像をリアルタイムで表示器に表示する顕微鏡が登場し、観察対象物のありのままの姿をいかにして正確かつ詳細に表示できるかについて、顕微鏡メーカーの間で競争されてきた。
一方で、画像処理チップの性能が向上し、顕微鏡にも採用可能となってきた。また、顕微鏡のユーザも生物等の研究者だけでなく、工場で生産された製品の検査(拡大観察)をする検査者に広がってきた。そのため、従来の光学性能追求志向とは異なる志向の顕微鏡の市場ニーズが生まれた。これは従来の顕微鏡と区別して、拡大観察装置と呼ばれることもある(特許文献1)。
特開2018−013734号公報 特開2017−531201号公報
拡大観察装置は、合焦位置を変えながら複数の輝度画像を生成し、複数の輝度画像を深度合成することで広範囲にピントの合った観察画像を生成することがユーザに望まれている。このような観察画像において、観察対象物の表面に存在する段差の周囲に「もや」が写り込んでしまうことがあった。もやは実際には存在しない偽像である。とりわけ、金属など、反射率の高い物質により形成された上面と、反射率の低い下面とにより段差が形成されている場合に、上面で発生する強い反射光によって、下面側にもやが発生してしまう。このようなもやは高NA(開口数)の光学系を利用したときに顕著に発生するが、低NAの光学系を利用したときには発生しにくい。そこで、本発明は、拡大観察装置により取得される観察画像においてボケ(もや)を低減することを目的とする。
本発明は、たとえば、
対物レンズと結像レンズとを含む光学系と、
前記光学系の被写界深度を調整する調整部と、
前記光学系の視野に載置された観察対象物に対して照明光を照射する照明部と、
前記光学系を介して前記観察対象物からの光を受光して前記観察対象物の輝度画像を生成する撮像部と、
前記光学系の光軸に沿って前記光学系の合焦位置を変化させる変化部と、
前記調整部、前記照明部、前記撮像部および前記変化部を制御する制御部と、
前記観察対象物の画像である観察画像を表示する表示部と
を有し、
前記制御部は、
前記調整部を制御して前記光学系の被写界深度を第一被写界深度に調整し、前記照明部を制御することで前記観察対象物に対して前記照明光を照射し、前記変化部と前記撮像部を制御してそれぞれ異なる複数の合焦位置のそれぞれで前記観察対象物を撮像することで複数の第一輝度画像を取得し、
前記調整部を制御して前記光学系の被写界深度を前記第一被写界深度とは異なる第二被写界深度に調整し、前記照明部を制御することで前記観察対象物に対して前記照明光を照射し、前記変化部と前記撮像部を制御してそれぞれ異なる複数の合焦位置のそれぞれで前記観察対象物を撮像することで複数の第二輝度画像を取得し、
前記複数の第一輝度画像と前記複数の第二輝度画像を用い、前記第一輝度画像の一部の領域に対して、対応する前記第二輝度画像を用いて合成することで観察画像を生成する画像生成部
を有し、
前記表示部は、前記観察画像を表示することを特徴とする拡大観察装置を提供する。
本発明によれば、拡大観察装置により取得される観察画像においてボケ(もや)が低減される。
拡大観察装置100の概要を説明する図 制御部などを説明する図 画像プロセッサを説明する図 光学系を説明する図 対物レンズを説明する図 対物レンズを説明する図 輝度画像と深度合成画像の一例を示す図 もや低減処理を説明する図 ユーザーインタフェースの一例を示す図 撮像制御部を説明する図 もや低減処理を含む深度合成処理を示すフローチャート
<拡大観察装置>
図1は、拡大観察装置100を示している。拡大観察装置100は、例えば微小物体等の試料や電子部品、被加工物等のワーク(以下、これらを観察対象物という。)を拡大して表示する装置である。使用者は拡大観察装置100を使用して観察対象物の外観を検査したり、寸法計測等を行ったりすることができる。拡大観察装置100は、顕微鏡やデジタルマイクロスコープと呼ばれてもよい。観察対象物は、上述した例に限定されるものではなく、各種物体が観察対象物となりうる。
観察部1は、ベース部10、スタンド部20、ヘッド部22、載置台30を有している。ベース部10は、観察部1をぐらつくことなく、机等に置いておくための部分であり、観察部1の略下半部を構成している。ベース部10には、載置台30が設けられている。載置台30は、ベース部10の前後方向中央部近傍から前側の部分に支持されており、該ベース部10から上方へ突出している。載置台30は、観察対象物を載置するための部分であり、この実施形態では、電動載置台で構成されている。すなわち、観察対象物を電動載置台の幅方向(X方向)及び奥行き方向(Y方向)の両方向に移動可能に支持することができるとともに、上下方向(Z方向)及びZ軸回りに回動できるようになっている。スタンド部20はベース部10に対して揺動可能となっている。たとえば、スタンド部20は、観察部1を正面から見て右回りおよび左回りに搖動させるこができる。スタンド部20が搖動することで、ヘッド部22も搖動する。スタンド部20およびヘッド部22は、Z軸方向に移動可能に取り付けられている。ヘッド部22は、対物レンズ、結像レンズ、照明装置および撮像素子などを有する。ヘッド部22は、載置台30に載置された観察対象物に照明光を照射し、該照明光の観察対象物からの反射光又は透過光の受光量を検出して観察対象物の画像を生成する。なお、観察部1の構成と機能の詳細は、本件と同一出願人の特願2018−161347に開示されている、その開示の全ては本明細書の一部として援用(incorporation herein by reference)される。
表示部2は、例えば、液晶表示パネルや有機ELパネル等のようなカラー表示可能な表示画面2aを有しており、外部から電力が供給されるようになっている。表示画面2aにタッチ操作パネル(受付部の一例)を組み込むようにしてもよい。また、この実施形態では、表示部2に制御部60を組み込んだ例で説明しているが、これに限らず、制御部60は観察部1に組み込むようにしてもよいし、コンソール部3に組み込むようにしてもよいし、表示部2、観察部1及びコンソール部3とは別体の外部ユニットとしてもよい。表示部2と、観察部1とはケーブル5によって信号の送受が可能に接続されている。観察部1への電力供給は、ケーブル5によって行ってもよいし、図示しない電源ケーブルによって行ってもよい。
コンソール部3は制御部60に接続されており、一般的なキーボードやマウスとは異なっており、観察部1を操作したり、各種情報の入力や選択操作、画像の選択操作、領域指定、位置指定等を行ったりすることが可能な専用の操作デバイスである。制御部60にはポインティングデバイスとしてマウス4が接続されている。コンソール部3およびマウス4は、拡大観察装置100を操作することができればよいので、例えばタッチパネル式の入力装置、音声入力装置等であってもよい。タッチパネル式の入力装置の場合、表示部2と一体化することができ、表示部2に表示されている表示画面上の任意の位置の検出を可能に構成することができる。コンソール部3およびマウス4は、表示部2に表示された画像上で使用者によって指定された任意の位置の入力を受け付ける受付部である。
拡大観察装置100には、上述した機器や装置以外にも、操作や制御を行うための装置、プリンタ、その他の各種処理を行うためのコンピュータ、記憶装置、周辺機器等を接続することもできる。この場合の接続は、例えば、IEEE1394、RS−232xやRS−422、USB等のシリアル接続、パラレル接続、あるいは10BASE−T、100BASE−TX、1000BASE−T等のネットワークを介して電気的、あるいは磁気的、光学的に接続する方法等を挙げることができる。また、有線接続以外にも、IEEE802.x等の無線LANやBluetooth(登録商標)等の電波、赤外線、光通信等を利用した無線接続等でもよい。さらにデータの交換や各種設定の保存等を行うための記憶装置に用いる記憶媒体としては、例えば、各種メモリカードや磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等を利用することができる。拡大観察装置100は、上記各種ユニットや装置、機器を組み合わせた拡大観察システムということもできる。
<制御部>
図2が示すように、制御部60は、CPU61や画像プロセッサ66、記憶部67などを有している。CPU61は記憶部67のROM領域に記憶されているプログラムを実行することで様々な機能を実現する。撮像制御部62は、ヘッド部22に設けられたレボルバ21を回転させるためにレボルバ駆動部24を制御する。これにより、対物レンズ23の倍率が変更される。つまり、ある倍率の対物レンズ23から他の倍率の対物レンズ23に切り替わる。撮像制御部62は、対物レンズ23と通信することで対物レンズ23を識別する識別部(認識部)を有していてもよい。ヘッド部22は複数の結像レンズ41を有してもよい。撮像制御部62は、結像レンズ駆動部42(例:モータ)を駆動することで、結像レンズ41を切り換える。これにより、対物レンズ23と結像レンズ41とを含む光学系の倍率が変更される。なお、複数の対物レンズ23と複数の結像レンズ41を区別する際には参照符号の末尾に小文字のアルファベットが付与される。電動絞り37はヘッド部22の内部や対物レンズ23の内部に設けられた可変絞りである。電動絞り37も撮像制御部62によって制御される。
撮像制御部62は、対物レンズ23の合焦位置を変更するためにヘッド部22を上下させるZ方向駆動部28を制御する。撮像制御部62は、載置台駆動部29を通じて載置台30をX方向、Y方向、Z方向に移動させたり、載置台30をθ回転させたりする。撮像制御部62は、ヘッド部22に設けられた撮像部25を制御し、撮像部25に観察対象物Wを撮像させ、観察対象物Wの画像を取得する。
表示制御部63は観察対象物Wの画像などを表示部2に表示させる。照明制御部64は、ヘッド部22に設けられたリング照明26や同軸落射照明27の点灯と消灯とを制御する。UI部65は、表示制御部63を通じて表示部2にUI(ユーザーインタフェース)を表示したり、コンソール部3やマウス4から入力されるユーザ指示を受け付けたりする。画像プロセッサ66は、撮像部25により取得された画像信号から様々な画像データを作成する。画像プロセッサ66はCPU61により実現されてもよい。記憶部67はROM領域やRAM領域、メモリカードなどを有する。
検知部68は、載置台30の静止と移動を検知したり、レボルバ21により対物レンズ23の倍率が変更されたかどうかを検知したりする。コンソール部3は、載置台30をX方向に移動させたり、Y方向に移動させたりすることを指示するためのジョイスティックを有していてもよい。この場合、検知部68は、コンソール部3のジョイスティックがいずれかの方向に倒されていれば載置台30が移動していると検知し、ジョイスティックが中立位置に静止していれば載置台30が静止していると検知する。また、コンソール部3またはマウス4を通じてレボルバ21の回転、つまり、対物レンズ23の倍率変更が指示され、レボルバ駆動部24がレボルバを回転させると、検知部68は、倍率が変更されたと検知する。倍率変更が指示されていなければ、検知部68は、倍率が変更されていないと検知する。検知部68はユーザによるピント位置の手動調整を検知してもよい。
<画像プロセッサ>
図3が示すように、画像プロセッサ66において、輝度画像生成部31は、撮像制御部62を通じて撮像部25により取得された画像信号から輝度画像を作成する。深度合成部33は、撮像制御部62を通じて撮像部25を制御することで、それぞれ合焦位置の異なる複数のサブ輝度画像を取得し、複数のサブ輝度画像を深度合成することで深度合成画像を生成する。もや低減部34は、それぞれ異なる被写界深度で取得された複数の深度合成画像を用いてもやの低減された観察画像を生成する。
<ヘッド部22の内部構成>
図4はヘッド部22の内部構成を示している。レボルバ21は少なくとも三つのマウント50a、50b、50cを有している。マウント50a、50b、50cにはそれぞれ対物レンズ23a、23b、23cが接続されている。対物レンズ23aは、たとえば、低倍率の対物レンズである。対物レンズ23aの瞳位置には電動絞り37aが設けられている。電動絞り37aはモータなどにより駆動されて絞り量が変化する可変絞りである。この例では、対物レンズ23aが観察光軸A1に配置されている。対物レンズ23aの鏡筒の周囲にはリング照明26が設けられている。対物レンズ23bも電動絞り37bを有しているが、リング照明26を有していない。対物レンズ23cの瞳位置は鏡筒の外部に存在するため、鏡筒内には絞りが設けられていない。電動絞り37cは、対物レンズ23とハーフミラー38との間に配置された絞りである。この例では、電動絞り37cは対物レンズ23cの瞳位置に設けられている。ハーフミラー38は観察光軸A1に配置されており、同軸落射照明27からの照明光を対物レンズ23に導く。ハーフミラー38は、対物レンズ23からの入射光を、結像レンズ41などを介して撮像部25へ導く。同軸落射照明27とハーフミラー38との間には集光レンズ39が配置されている。同軸落射照明27と集光レンズ39との間には電動絞り37dが配置されている。電動絞り37a〜37dはCPU61の撮像制御部62により制御される。
結像レンズ群は、狭視野の結像レンズ41a、広視野の結像レンズ41b、レンズアダプタ43を有している。結像レンズ41aと結像レンズ41bはスライド部材49aに保持されている。結像レンズ41a、結像レンズ41b、レンズアダプタ43の各瞳位置が電動絞り37cの設置位置となるように、結像レンズ41a、結像レンズ41b、レンズアダプタ43は設計されている。スライド部材49aはフレーム40aに対してスライド可能に保持されている。この例ではスライド部材49aは結像レンズ駆動部42により駆動されることで、図4において左右にスライドする。なお、図4における左右は、拡大観察装置100の前後に相当する。フレーム40aの両端には停止部材44a、44bが設けられている。スライド部材49aが停止部材44bに接触して停止することで、結像レンズ41aが観察光軸A1に位置決めされる。スライド部材49aが停止部材44aに接触して停止することで、結像レンズ41bが観察光軸A1に位置決めされる。レンズアダプタ43はスライド部材49bに保持されている。スライド部材49bはフレーム40bに対してスライド可能に保持されている。この例ではスライド部材49bは結像レンズ駆動部42により駆動されることで、図4において左右にスライドする。なお、レンズアダプタ43は結像レンズ41aと組み合わされて使用される。レンズアダプタ43は、たとえば、倍率を二倍等に変更するレンズである。スライド部材49bが停止部材44cに接触して停止することで、レンズアダプタ43が観察光軸A1から離間する。スライド部材49bが停止部材44dに接触して停止することで、レンズアダプタ43が観察光軸A1に位置決めされる。
このように結像レンズ41の切替方式としてスライド方式が説明された。スライド方式では、停止部材44によって結像レンズ41やレンズアダプタ43が位置決めされるため、スライド部材49をスライドさせるためのギア機構のバックラッシュの影響を受けにくい。スライド方式に代えて、レボルバ方式などが採用されてもよい。
レンズアダプタ43は倍率変換アダプタとして機能する。結像レンズ41a、41bの焦点位置が撮像部25のCMOSセンサの受光面に一致するように結像レンズ41a、41bは保持されている。
<対物レンズ>
図5、図6は対物レンズ23とマウント50との関係を示している。対物レンズ23は接続部59を有している。接続部59はマウント50に対して嵌合または螺合することで、対物レンズ23をレボルバ21に固定する。接続部59とマウント50の固定方式としては、たとえば、螺合式とバヨネット式とがある。螺合式では、接続部59に設けられた内ねじと、マウント50に設けられた外ねじとが螺合する。図6が示すように、接続部59はフランジ75を有している。フランジ75のフランジ面は光軸に対して垂直である。これにより、観察光軸A1に対して対物レンズ23の光軸を位置決めしやすくなる。フランジ75は位置決め穴45と電子接点46とを有している。図5が示すように、レボルバ21に設けられた位置決めピン51が位置決め穴45に挿入されることで、対物レンズ23がレボルバ21に対して位置決めされる。電子接点46aはレボルバ21側の電子接点46bと電気的に接続する。電子接点46a、46bは電力供給用の接点や通信用の接点などを含む。制御基板47は、電子接点46a、46bを介してCPU61から制御信号を受信し、制御信号にしたがって電動絞り37aを駆動するモータ48やリング照明26を制御する。制御基板47は、CPU、通信回路、メモリ、光源を駆動する駆動回路、モータ48を駆動する駆動回路などを有していてもよい。制御基板47の通信回路はCPU61から識別情報の要求を受信すると、メモリから識別情報を読み出して、CPU61に送信する。このように、メモリは対物レンズ23の識別情報などを記憶している。電動絞り37aはモータ48と絞り羽とを含む。
<もやの低減>
図7は観察対象物Wの上面にピントが合った輝度画像I1、観察対象物Wの下面にピントが合った輝度画像In、および深度合成画像Iaなどを示している。深度合成部33は、輝度画像I1と輝度画像Inとを含む三枚以上の輝度画像Ii(iは1からnまでの整数)を深度合成することで深度合成画像Iaを生成する。深度合成画像Iaは全焦点画像と呼ばれることもある。深度合成画像Ia'は深度合成画像Iaの一部を拡大した画像である。破線で囲まれた部分にもやが発生している。もやは観察対象物Wには存在しない画像であるため、低減されることが望ましい。
図8はもやの低減処理の一例を示す図である。深度合成画像Ia1は低NAの光学系で取得された画像である。つまり、深度合成画像Ia1は、深い被写界深度で取得された複数の輝度画像を合成することで得られる。低NAであるため分解能(解像度)は低下してしまうが、もやはほぼ存在しない。一方、深度合成画像Ia2は高NAの光学系で取得された画像である。深度合成画像Ia2は浅い被写界深度で取得された輝度画像を合成することで生成される。高NAであるため分解能(解像度)は高いが、もやが発生してしまう。
そこで、もや低減部34は、低NAの光学系で取得された深度合成画像Ia1と高NAの光学系で取得された深度合成画像Ia2とを合成することで、もやの低減された観察画像Ibを生成する。
ここで、もやを低減するための合成手法としてはいくつかの手法が考えられる。たとえば、もや低減部34は、深度合成画像Ia1と深度合成画像Ia2とのそれぞれについて同一の注目領域の合焦度を求め、より合焦度が高いほうの注目領域を観察画像Ibの注目領域の画像として採用してもよい。合焦度とは合焦度合いを示す指標であり、フォーカス値と呼ばれてもよい。
別の手法では、もや低減部34が深度合成画像Ia2におけるもやの発生領域を特定し、もやの発生領域の画像を、深度合成画像Ia1の画像に置換してもよい。深度合成部33は、それぞれ合焦位置の異なるn個の輝度画像を深度合成する。深度合成部33は、n個の輝度画像のそれぞれについて注目領域のフォーカス値を求めて比較し、最も高いフォーカス値の注目領域を有する輝度画像を特定し、特定された輝度画像の注目領域の画像を、深度合成画像における注目領域の画像として採用する。ここで、特定された輝度画像はそれぞれ特定の合焦位置で取得された輝度画像であるため、光学系と対象物との間の距離に関連付けられる。つまり、合焦位置から対象物の高さが判明する。したがって、深度合成画像における各画素は高さの情報を有している。もや低減部34は、注目領域(例:上面)を構成する複数の画素の高さと、隣接した領域(例:底面)を構成する複数の画素の高さとから段差を示す距離Lを算出する。ここで、光学系の開口角をθとすると、もやの発生範囲はL・tanθとして算出される。つまり、段差発生位置からL・tanθの距離内にある領域にもやが発生しうる。もや低減部34は、深度合成画像Ia2におけるもやの発生領域に含まれる複数の画素を、深度合成画像Ia1における対応する画素に置換することで、もやを低減してもよい。このように、もや低減部34は、もやの発生領域を推定してもよい。
もや低減部34は、深度合成画像Ia2における段差および輝度値の差などから、画像中のもやの発生領域を算出してもよい。算出されたもや発生領域における画素値を深度合成画像Ia1の画素値に置換することで、もやが低減されてもよい。
なお、輝度画像の取得処理の高速化を図るために、第二輝度画像の画像サイズが小さくされてもよい。この場合、深度合成画像Ia1のサイズと深度合成画像Ia2のサイズとが異なる。そこで、画像プロセッサ66は、深度合成画像Ia2のサイズと深度合成画像Ia1のサイズとが一致するように、深度合成画像Ia1をリサイズ(拡大/縮小)してもよい。
ここでは、深度合成画像Ia1と深度合成画像Ia2とが使用されて観察画像Ibが生成されているが、複数の低NAの輝度画像と複数の高NAの輝度画像とから観察画像Ibが生成されてもよい。たとえば、もや低減部34は、複数の低NAの輝度画像と複数の高NAの輝度画像とのすべてを対象として注目領域のフォーカス値を求め、最良のフォーカス値が得られた注目領域を有する輝度画像から、当該注目領域の画像を切り出して、観察画像Ibにおける注目領域の画像に採用してもよい。
<ユーザーインタフェース>
図9はUI部65が表示部2に表示するユーザーインタフェース70を示している。画像表示領域71は、画像プロセッサ66から表示制御部63を通じて出力される画像を表示する。この画像は、観察対象物Wのライブ画像や深度合成画像などである。載置台30が移動していたり、対物レンズ23の切り替えが指示されたりしたことを検知部68が検知すると、UI部65は、観察対象物Wのライブ画像を画像表示領域71に表示する。観察倍率の変更が完了し、かつ、載置台30が静止したことを検知部68が検知すると、UI部65は、深度合成画像を画像表示領域71に表示する。深度合成画像が表示されているときに載置台30が移動することが検知されると、UI部65は、ライブ画像を画像表示領域71に表示する。倍率選択部73は、ユーザが観察倍率を選択するためのプルダウンリストである。たとえば、UI部65は、レボルバ21に取り付けられた複数の対物レンズ23のそれぞれの焦点距離を対物レンズ23の識別情報から取得するとともに、結像レンズ41a、41bおよびレンズアダプタ43の各焦点距離を記憶部67から読み出し、これらのレンズの組み合わせにより実現可能なすべての観察倍率を決定し、決定された複数の観察倍率をリストアップしたプルダウンリストを作成する。ユーザがポインタ74を操作していずれかの観察倍率を選択すると、UI部65は選択された観察倍率を撮像制御部62に通知する。撮像制御部62は、選択された観察倍率を実現する対物レンズ23と結像レンズ41との組み合わせを決定する。結像レンズ41a、41bおよびレンズアダプタ43は総称して結像レンズ41と呼ばれる。撮像制御部62はこの組み合わせを形成する対物レンズ23をレボルバ駆動部24に通知する。レボルバ駆動部24は、通知された対物レンズ23が観察光軸A1に位置するようにレボルバ21を回転させる。レボルバ駆動部24は回転が終了すると、回転終了信号をCPU61に出力する。同様に、撮像制御部62はこの組み合わせを形成する結像レンズ41を結像レンズ駆動部42に通知する。結像レンズ駆動部42は、通知された結像レンズ41が観察光軸A1上に位置するようにスライド部材49a、49bをスライドさせる。結像レンズ駆動部42はスライドが終了すると、回転終了信号をCPU61に出力する。検知部68は、レボルバ駆動部24と結像レンズ駆動部42とから回転終了信号を受信すると、倍率変更が完了したと判定する。通常、倍率変更が完了すると、視野範囲内で観察部位の位置を調整することが必要となる。ユーザは、載置台30が移動することで、視野範囲内の所望の位置に観察部位を位置づける。載置台30が静止すると、UI部65は、画像プロセッサ66に画像の生成を指示する。UI部65は、ライブ画像に代えて深度合成画像を画像表示領域71に表示する。
なお、深度合成画像の表示と、ライブ画像の表示とを明示的に切り換えるための切替ボタンがユーザーインタフェース70に設けられてもよい。これによりユーザは、深度合成画像が完成した後に、深度合成画像とライブ画像とを切り換えて表示することで両者を対比してもよい。
図9においてもや低減指定部76は、もや低減処理を有効にするか無効にするかを指定するためのチェックボックスである。モード選択部78は、画質優先モードと速度優先モードとのどちらかを選択するために使用される。低NAの深度合成画像を求めるために必要となる輝度画像の枚数は、高NAの深度合成画像を求めるために必要となる輝度画像の枚数よりも少なくてもよい。被写界深度が深いため深度合成に使用される画像の数を増やしても、深度合成画像の解像度の向上は少ない。あるいは、解像度が低いため、画素数を増やしても、深度合成画像の解像度の向上は少ない。そこで、速度優先モードでは、低NAの深度合成画像を求めるために使用される低NAの輝度画像の数を、高NAの深度合成画像を求めるために使用される高NAの輝度画像の数よりも少なくする。これにより観察画像Ibがより短時間で作成可能となる。画質優先モードでは、低NAの深度合成画像を求めるために使用される低NAの輝度画像の数は、高NAの深度合成画像を求めるために使用される高NAの輝度画像の数と同じである。
<撮像制御部>
図10は撮像制御部62を説明する図である。対物レンズ認識部81は、対物レンズ23と通信することで対物レンズ23の識別情報を取得し、識別情報に基づき対物レンズ23を認識する。UI部65は、倍率選択部73を通じて観察倍率Mを受け付けたり、もや低減処理の有効化を受け付けたり、処理モード(画質優先モード/速度優先)の種類を受け付けたりする。
結像レンズ決定部82はUI部65を通じて入力された観察倍率Mと、対物レンズ認識部81により認識された対物レンズ23の焦点距離foとに基づき、結像レンズ41の焦点距離ftを求める。結像レンズ決定部82は、対物レンズ23の識別情報に対応する焦点距離foを、記憶部67に記憶されている対物レンズ情報85を参照して決定してもよい。さらに、結像レンズ決定部82は、求められた焦点距離ftの結像レンズ41が観察光軸A1に位置するように結像レンズ駆動部42を制御する。なお、結像レンズ決定部82は、記憶部67に記憶されている結像レンズ情報86を参照することで、結像レンズ41a、41b、レンズアダプタ43の各焦点距離ftを取得する。絞り決定部83は、UI部65で受け付けられた観察倍率Mに基づき絞り量φを決定する。たとえば、絞り決定部83は、記憶部67に保持されているテーブル84を参照し、入力された観察倍率Mに対応する低NAと高NAを決定し、さらに、低NAと結像レンズ41の焦点距離ftとから絞り量φLを決定し、高NAと結像レンズ41の焦点距離ftとから絞り量φHを決定する。なお、φL<φHである。絞り決定部83は、対物レンズ認識部81により認識された対物レンズ23に対応する電動絞り37を、対物レンズ23から取得した識別情報および対物レンズ情報85に基づき特定する。
<もや低減処理のフローチャート>
図11はもや低減処理を含む深度合成画像の生成処理を示すフローチャートである。
S1でCPU61(UI部65)は倍率選択部73を通じて観察倍率Mを受け付ける。
S2でCPU61(対物レンズ認識部81)は観察光軸A1に配置されている対物レンズ23と通信し、対物レンズ23を認識する。たとえば、対物レンズ認識部81は、対物レンズ23の制御基板47から対物レンズ23の識別情報を取得する。
S3でCPU61(結像レンズ決定部82)は、観察倍率Mと認識された対物レンズ23とに対応した結像レンズ41を決定する。これにより、結像レンズ41a、結像レンズ41bまたは結像レンズ41aとレンズアダプタ43の組み合わせのいずれかが選択される。
S4でCPU61(絞り決定部83)は、認識された対物レンズ23に対応した電動絞り37を決定する。対物レンズ23aには電動絞り37aが対応している。対物レンズ23bには電動絞り37bが対応している。対物レンズ23cには電動絞り37cが対応している。
S5でCPU61(絞り決定部83)は、低NAの輝度画像を取得するために電動絞り37の絞り量φLと、高NAの輝度画像を取得するために電動絞り37の絞り量φHとを決定する。絞り量φL、φHはそれぞれ被写界深度を決定するパラメータとなる。
S6でCPU61(絞り決定部83)は、光学系を低NAに設定する。光学系の被写界深度が相対的に深くなる。たとえば、絞り決定部83は、絞り量φLを電動絞り37に設定する。電動絞り37は、設定された絞り量φLが実現されるようモータにより絞り羽を開け/閉めする。
S7でCPU61(撮像制御部62)は、合焦位置を変えながらn個の輝度画像を取得する。撮像制御部62は、Z方向駆動部28を駆動させてZ方向に上昇させることで、合焦位置を一定ステップずつ変更する。撮像制御部62は、合焦位置が変更されるたびに撮像部25に観察対象物Wを撮像させる。輝度画像生成部31は撮像部25からの画像信号に基づき輝度画像を生成する。これによりn個の低NAの輝度画像が生成され、記憶部67に格納される。
S8でCPU61(深度合成部33)は、n個の低NAの輝度画像を深度合成して低NAの深度合成画像を生成し、表示部2に表示する。上昇した後に低NAの深度合成画像を表示しているので、ユーザは途中の状態も確認することができる。これと並行して、CPU61はn個の低NAの輝度画像を解析する。たとえば、高NAでの撮影をスキップするために、CPU61は画像中に合焦箇所が無いZ位置を探す。また、より高速な処理を行うために、CPU61は低NAの光学系で撮影する画像のサイズを小さくしてもよい。そのため、光学系毎に必ずしも画像サイズを統一することは必要ない。
S9でCPU61(絞り決定部83)は、光学系を高NAに設定する。つまり、光学系の被写界深度が相対的に浅くなる。たとえば、絞り決定部83は、絞り量φHを電動絞り37に設定する。電動絞り37は、設定された絞り量φHが実現されるようモータにより絞り羽を開け/閉めする。
S10でCPU61(撮像制御部62)は、合焦位置を変えながらm個の輝度画像を取得する。たとえば、撮像制御部62は、Z方向駆動部28を駆動することで、合焦位置を一定ステップずつ変更する。ここで、高NAの光学系を用いて深度合成画像を生成するために必要な一定ステップは、低NAの光学系を用いて深度合成画像を生成するために必要な一定ステップよりも小さい。そのため、高NAの光学系で深度合成画像を生成する方が時間がかかる。
S8では低NAの輝度画像が解析されており、必要なZ位置でのみ高解像度の画像が取得されてもよい。不要な部分の撮像は高NAでの撮像の際にスキップすることで画像取得に必要な時間が短縮される。低NAを用いて画像を取得しつつ合焦位置を上昇し、画像を分析して必要なZ位置が決定される。必要なZ位置でのみ高NAで画像を取得しつつ合焦位置を下降していく。これにより、もや低減をしつつNAを変えて深度合成画像を2回取得することによる撮像時間の増加が抑制されてもよい。
撮像制御部62は、合焦位置が変更されるたびに撮像部25に観察対象物Wを撮像させる。輝度画像生成部31は撮像部25からの画像信号に基づき輝度画像を生成する。これによりm個の高NAの輝度画像が生成され、記憶部67に格納される。
S11でCPU61(深度合成部33)は、m個の高NAの輝度画像を深度合成して高NAの深度合成画像を生成し、表示部2に表示する。
S12でCPU61(もや低減部34)は、低NAの深度合成画像と高NAの深度合成画像とから、もやの低減された観察画像を生成し、表示部2に表示する。もやの具体的な低減手法としては、上述されたいずれの手法が採用されてもよい。
ここで低NAの輝度画像を生成する際におけるヘッド部22(載置台30)の移動方向と、高NAの輝度画像を生成する際におけるヘッド部22(載置台30)の移動方向とは逆であってもよい。たとえば、観察対象物Wと対物レンズ23との距離を徐々に削減することで、n個の低NAの輝度画像が生成された場合、観察対象物Wと対物レンズ23との距離を徐々に拡大することで、m個の高NAの輝度画像が生成される。これにより、短時間で必要な輝度画像を作成可能となる。
<まとめ>
ヘッド部22は対物レンズ23と結像レンズ41とを含む光学系である。電動絞り37は光学系の被写界深度を調整する調整部として機能する。リング照明26や同軸落射照明27は光学系の視野に載置された観察対象物Wに対して照明光を照射する照明部として機能する。撮像部25や画像プロセッサ66は光学系を介して観察対象物Wからの光を受光して観察対象物Wの輝度画像を生成する撮像部として機能する。Z方向駆動部28が光学系の光軸に沿って光学系の合焦位置を変化させる変化部として機能する。CPU61は調整部、照明部、撮像部および変化部を制御する制御部として機能する、表示部2は観察対象物Wの画像である観察画像を表示する表示部として機能する。
CPU61および画像プロセッサ66は調整部を制御して光学系の被写界深度を第一開口数(例:高NA)に対応した第一被写界深度(例:浅い)に調整し、照明部を制御することで観察対象物Wに対して照明光を観察対象物に対して照射し、変化部と撮像部を制御してそれぞれ異なる複数の合焦位置のそれぞれで観察対象物Wを撮像することで複数の第一輝度画像を取得する。CPU61および画像プロセッサ66は画像生成部として機能する。CPU61および画像プロセッサ66は調整部を制御して光学系の被写界深度を第一開口数よりも小さな第二開口数(低NA)に対応した第二被写界深度(例:深い)に調整し、照明部を制御することで観察対象物に対して照明光を照射し、変化部と撮像部を制御してそれぞれ異なる複数の合焦位置のそれぞれで観察対象物を撮像することで複数の第二輝度画像を取得する。第一被写界深度と第二被写界深度とは異なっている。CPU61および画像プロセッサ66は複数の第一輝度画像と複数の第二輝度画像を用い、第一輝度画像の一部の領域に対して、対応する第二輝度画像を用いて合成することで観察画像を生成してもよい。たとえば、CPU61および画像プロセッサ66は複数の第一輝度画像を合成することでボケの少ない第一合焦画像(例:深度合成画像Ia2)を生成し、複数の第二輝度画像を合成することでボケの少ない第二合焦画像(例:深度合成画像Ia1)を生成し、第一合焦画像と第二合焦画像とを合成することで、第一合焦画像に残っているボケ(例:もや)を低減した観察画像を生成してもよい。表示部2は、観察画像Wを表示する。これにより、拡大観察装置100により取得される観察画像においてもやが低減される。
CPU61および画像プロセッサ66は第一合焦画像を解析し、ボケが発生している領域の画素を推定してもよい。画像プロセッサ66は、第一合焦画像のうちボケのあ領域の画素を、第二合焦画像における対応する領域の画素と置換することで観察画像を生成してもよい。
電動絞り37は光学系に設けられた絞りの一例である。撮像制御部62は、電動絞り37を調整することで、光学系の被写界深度を調整してもよい。
対物レンズ23a、23bは、第一対物レンズの一例である。電動絞り37a、37bは、第一対物レンズの鏡筒内であって第一対物レンズの瞳位置に設けられた第一絞りとして機能する。
対物レンズ23cは第二対物レンズの一例である。電動絞り37cは、第二対物レンズと結像レンズとの間であって第二対物レンズの瞳位置に配置された第二絞りとして機能する。
ハーフミラー38は結像レンズと対物レンズとの間に設けられたハーフミラーの一例である。照明部は、ハーフミラーおよび対物レンズを通じて照明光を観察対象物に照射する光源(例:同軸落射照明27)を有してもよい。電動絞り37dは、ハーフミラーと光源との間に配置された第三絞りとして機能する。射出瞳径の小さい対物レンズ23を使用するケースや、広視野観察および深度優先観察のために対物レンズ23の電動絞りを絞るケースでは、同軸落射照明27で照明を行うことがある。この場合、同軸落射照明27は瞳径の外部に照明光を照射することになるため、対物レンズ23の電動絞りなどで反射した光により不必要な迷光が発生する。このような迷光は画像のコントラストを低下させる。そこで、図4が示すように、同軸落射照明27の開口絞りとして電動絞り37dが設けられてもよい。撮像制御部62は、電動絞り37dを制御することで、同軸落射照明27の光束径を、現在の観察状態の射出瞳径と略同一に制御する。これにより同軸落射照明27に起因した迷光が生じにくくなり、画像のコントラスが向上する。現在の観察状態の射出瞳径は、観察光軸A1に配置された対物レンズ23の射出瞳系である。電動絞り37a、37b、37cの絞り量など、観察光軸A1に配置された対物レンズ23の絞り量に応じて電動絞り37dの絞り量が決定される。
複数の第二輝度画像の数は複数の第一輝度画像の数よりも小さい。これにより、輝度画像の枚数が削減されるため、もや低減処理に要する処理時間が削減可能となる。
画像プロセッサ66は、複数の第二輝度画像の取得を、複数の第一輝度画像の取得に先行して実行することで、第二合焦画像を第一合焦画像に先行して生成してもよい。表示部2は、第一合焦画像の生成および観察画像の生成が完了するまでは、第二合焦画像を表示してもよい。複数の第二輝度画像が複数の第一輝度画像よりも少ない場合、第二合焦画像の生成に必要となる時間は第一合焦画像の生成に必要となる時間よりも短い。よって、合焦画像を目にするまでのユーザの待ち時間が削減される。
CPU61および画像プロセッサ66は、変化部に光学系と観察対象物との距離を減少または増加させることで光学系の合焦位置を変化させ、複数の第二輝度画像を取得し、変化部に光学系と観察対象物との距離を増加または減少させることで光学系の合焦位置を変化させ、複数の第一輝度画像を取得してもよい。これによりヘッド部22または載置台30の移動距離が削減されるため、ユーザの待ち時間が減少する。
もや低減部34は速度優先モードと画質優先モードとを有してもよい。画質優先モードでは、第二輝度画像を構成する画素数と、第一輝度画像を構成する画素数とが同一であってもよい。速度優先モードでは第二輝度画像を構成する画素数が、第一輝度画像を構成する画素数よりも少なくてもよい。モード選択部78は、速度優先モードまたは画質優先モードを選定する選定部として機能する。一般に、画像を構成する画素数が少なければ少ないほど、深度合成等の画像処理に要する時間が短縮される。解像度が低いため、低NA輝度画像の画素数は高NA輝度画像の画素数よりも少なくてもよい。ただし、画素数の異なる複数の画像を合成するためには、画素数を揃えるためのリサイズが必要となる。一般に、画像の枚数が少なければ少ないほど、深度合成等の画像処理に要する時間が短縮される。被写界深度が深いため、低NA輝度画像の枚数は高NA輝度画像の枚数よりも少なくてもよい。
画像生成部は、変化部に光学系と観察対象物との距離を増加させることで光学系の合焦位置を変化させ、複数の第二輝度画像を取得し、複数の第二輝度画像を解析し、第一輝度画像を取得しなくてよい相対位置を求める。さらに、画像生成部は、変化部に光学系と観察対象物との距離を減少させることで光学系の合焦位置を変化させ、求められた相対位置での第一輝度画像の取得をスキップしつつ、複数の第一輝度画像を取得してもよい。

Claims (13)

  1. 対物レンズと結像レンズとを含む光学系と、
    前記光学系の被写界深度を調整する調整部と、
    前記光学系の視野に載置された観察対象物に対して照明光を照射する照明部と、
    前記光学系を介して前記観察対象物からの光を受光して前記観察対象物の輝度画像を生成する撮像部と、
    前記光学系の光軸に沿って前記光学系の合焦位置を変化させる変化部と、
    前記調整部、前記照明部、前記撮像部および前記変化部を制御する制御部と、
    前記観察対象物の画像である観察画像を表示する表示部と
    を有し、
    前記制御部は、
    前記調整部を制御して前記光学系の被写界深度を第一被写界深度に調整し、前記照明部を制御することで前記観察対象物に対して前記照明光を照射し、前記変化部と前記撮像部を制御してそれぞれ異なる複数の合焦位置のそれぞれで前記観察対象物を撮像することで複数の第一輝度画像を取得し、
    前記調整部を制御して前記光学系の被写界深度を前記第一被写界深度とは異なる第二被写界深度に調整し、前記照明部を制御することで前記観察対象物に対して前記照明光を照射し、前記変化部と前記撮像部を制御してそれぞれ異なる複数の合焦位置のそれぞれで前記観察対象物を撮像することで複数の第二輝度画像を取得し、
    前記複数の第一輝度画像と前記複数の第二輝度画像を用い、前記第一輝度画像の一部の領域に対して、対応する前記第二輝度画像を用いて合成することで観察画像を生成する画像生成部
    を有し、
    前記表示部は、前記観察画像を表示することを特徴とする拡大観察装置。
  2. 前記画像生成部は、前記複数の第一輝度画像を合成することでボケの少ない第一合焦画像を生成し、前記複数の第二輝度画像を合成することでボケの少ない第二合焦画像を生成し、前記第一合焦画像と前記第二合焦画像とを合成することで、前記第一合焦画像に残っているボケを低減した前記観察画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の拡大観察装置。
  3. 前記制御部は、前記第一合焦画像を解析し、ボケが発生している領域の画素を推定し、
    前記画像生成部は、前記第一合焦画像のうちボケのある領域の画素を、前記第二合焦画像における対応する領域の画素と置換することで前記観察画像を生成することを特徴とする請求項2に記載の拡大観察装置。
  4. 前記光学系に設けられた絞りをさらに有し、
    前記調整部は、前記絞りを調整することで、前記光学系の被写界深度を調整することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の拡大観察装置。
  5. 前記対物レンズは、第一対物レンズを含み、
    前記絞りは、前記第一対物レンズの鏡筒内であって前記第一対物レンズの瞳位置に設けられた第一絞りを含むことを特徴とする請求項4に記載の拡大観察装置。
  6. 前記対物レンズは、第二対物レンズを含み、
    前記絞りは、前記第二対物レンズと前記結像レンズとの間であって前記第二対物レンズの瞳位置に配置された第二絞りを有することを特徴とする請求項4または5に記載の拡大観察装置。
  7. 前記結像レンズと前記対物レンズとの間に設けられたハーフミラーをさらに有し、
    前記照明部は、前記ハーフミラーおよび前記対物レンズを通じて前記照明光を前記観察対象物に照射する光源を有し、
    前記絞りは、前記ハーフミラーと前記光源との間に配置された第三絞りを有することを特徴とする請求項4ないし6のいずれか一項に記載の拡大観察装置。
  8. 前記複数の第二輝度画像の数は前記複数の第一輝度画像の数よりも小さく、
    前記画像生成部は、前記複数の第二輝度画像の取得を前記複数の第一輝度画像の取得に先行して実行することで、前記第二合焦画像を前記第一合焦画像に先行して生成することを特徴とする請求項2に記載の拡大観察装置。
  9. 前記表示部は、前記第一合焦画像の生成および前記観察画像の生成が完了するまでは、前記第二合焦画像を表示することを特徴とする請求項2または8に記載の拡大観察装置。
  10. 前記画像生成部は、前記変化部に前記光学系と前記観察対象物との距離を減少または増加させることで前記光学系の合焦位置を変化させ、前記複数の第二輝度画像を取得し、前記変化部に前記光学系と前記観察対象物との距離を増加または減少させることで前記光学系の合焦位置を変化させ、前記複数の第一輝度画像を取得することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の拡大観察装置。
  11. 前記複数の第二輝度画像の数が前記複数の第一輝度画像の数よりも小さい速度優先モードと、
    前記複数の第二輝度画像の数が前記複数の第一輝度画像の数と等しい画質優先モードと、
    前記速度優先モードまたは前記画質優先モードを選定する選定部と
    をさらに有することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の拡大観察装置。
  12. 前記第二被写界深度は前記第一被写界深度よりも深いことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の拡大観察装置。
  13. 前記画像生成部は、前記変化部に前記光学系と前記観察対象物との距離を増加させることで前記光学系の合焦位置を変化させ、前記複数の第二輝度画像を取得し、
    前記複数の第二輝度画像を解析し、前記第一輝度画像を取得しなくてよい相対位置を求め、
    前記変化部に前記光学系と前記観察対象物との距離を減少させることで前記光学系の合焦位置を変化させ、前記求められた相対位置での前記第一輝度画像の取得をスキップしつつ、前記複数の第一輝度画像を取得する請求項1ないし12のいずれか一項に記載の拡大観察装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113188474A (zh) * 2021-05-06 2021-07-30 山西大学 一种用于高反光材质复杂物体成像的图像序列采集系统及其三维形貌重建方法

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