JP2020085087A - 定範囲伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成の定範囲伝達装置を提供すること。【解決手段】入力部材6、106に入力端板34、134を設け、入力端板34、134には入力部材6、106の回転軸に対して偏心した偏心軸eo、eo´を中心に回転可能な伝達部材46、146を配置し、伝達部材46、146に係合片58、158を設けると共に出力部材8、108に被係合片68、168を設ける。【選択図】 図1

Description

本発明は、定範囲伝達装置に関する。
定範囲伝達装置は回転可能な入力部材及び出力部材を備え、例えばタイプライターの紙送り機構に使用される。定範囲伝達装置がタイプライターの紙送り機構に使用される場合、入力部材は回転可能な改行レバーに、出力部材は紙と密着してこれを送出するローラーに接続される。そして、使用者がタイプ中に改行をする際には、改行レバーを操作して入力部材を回転させることで出力部材に接続されたローラーが一定量だけ回転し、これにより紙が一定量だけ送出される。
上述した紙送り機構に使用される定範囲伝達装置にあっては、通常、歯車機構等複雑な機構が用いられるため、部品点数が増えると共に製造工程が煩雑となり、製造コストが増大してしまう。
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、簡単な構成の定範囲伝達装置を提供することである。
本発明者等は、鋭意検討の結果、入力部材に入力端板を設け、入力端板には入力部材の回転軸に対して偏心した偏心軸を中心に回転可能な伝達部材を配置し、伝達部材に係合片を設けると共に出力部材に被係合片を設けることによって上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する定範囲伝達装置として、固定されたハウジングの内側には、回転可能な入力部材及び出力部材が設けられ、
前記入力部材に固着された前記入力端板には、前記入力部材の回転軸に対して偏心した偏心軸を中心として回転可能な伝達部材と、前記偏心軸を中心とした前記伝達部材の回転に対して復元力を付与する弾性手段とが設置されており、
前記伝達部材には係合片が設けられていると共に、前記出力部材には被係合片が設けられ、
前記入力部材が一方向に所定角度まで回転すると、前記係合片と前記被係合片との係合によって、前記出力部材も一方向に前記所定角度まで回転するが、前記入力部材が前記所定角度を超えて一方向に回転しようとすると、前記係合片と前記被係合片との係合が解除され、前記出力部材は前記所定角度を超えて一方向に回転しない、ことを特徴とする定範囲伝達装置が提供される。
前記ハウジングには、前記入力部材の回転軸を中心に円弧状の作用壁が固着され、周方向に見て前記作用壁の他方端部には、周方向他側に向かって外径が漸次低減される傾斜部が形成され、前記入力部材の回転軸と前記出力部材の回転軸とは同軸であって、前記係合片は断面円形で軸方向に延在し、前記被係合片は径方向外方に突出しており、前記入力部材が前記所定角度を超えて一方向に回転しようとすると、前記係合片は、前記作用壁の前記傾斜部に沿って移動し、径方向に見て前記作用壁に乗り上げると共に前記被係合片を乗り越えるようにする、ことができる。この場合には、周方向に見て前記作用壁の一方端部は前記他方端部よりも軸方向高さが高く、前記出力部材には径方向外方に突出した突出片が形成されているのがよい。また、前記伝達部材には、断面が円弧状である被支持面を有した主部が備えられていると共に、前記入力端板には、断面が円弧状である支持面を有した支持片が固着されており、前記被支持面と前記支持面とは面接触するのが好ましい。
前記出力部材は出力端板を備え、前記被係合片は前記出力端板から軸方向に延出しており、前記出力部材の回転軸は前記入力部材の回転軸に対して偏心し、前記被係合片と前記出力部材の回転軸との距離は、前記偏心軸と前記入力部材の回転軸との距離よりも長く、前記係合片と前記被係合片との係合によって前記出力部材が一方向に回転する際には、前記被係合片は前記入力部材の回転軸の周りを一方向に回転すると共に前記係合片に対して径方向外方に移動する。ことができる。
前記弾性手段は一対のフック片を備えたコイルばねであって、前記コイルばねは前記入力端板に固着された支持軸によって軸支され、前記一対のフック片の一方が前記入力端板に設けられた突出リブを押圧すると共に、前記一対のフック片の他方が前記伝達部材に設けられた被押圧片を押圧するのが好適である。前記出力部材には、前記出力部材の回転軸を中心に他方向への復元力が付与されているのが好ましい。
本発明の定範囲伝達装置によれば、入力部材と一体的に回転する伝達部材に設けられた係合片と、出力部材に設けられた被係合片との係合及びその解除により入力部材から出力部材への回転の断接が行われるため、装置全体の構成を簡単にすることが可能となる。
本発明に従って構成された定範囲伝達装置の第1実施形態を示す図。 図1に示す定範囲伝達装置のハウジングを単体で示す図。 図1に示す定範囲伝達装置の入力部材を単体で示す図。 図1に示す定範囲伝達装置の伝達部材を単体で示す図。 図1に示す定範囲伝達装置の出力部材を単体で示す図。 図1に示す定範囲伝達装置の作動を説明するための図。 本発明に従って構成された定範囲伝達装置の第2実施形態を示す図。 図7に示す定範囲伝達装置のハウジングを単体で示す図。 図7に示す定範囲伝達装置の入力部材を単体で示す図。 図7に示す定範囲伝達装置の伝達部材を単体で示す図。 図7に示す定範囲伝達装置の出力部材を単体で示す図。 図7に示す定範囲伝達装置の作動を説明するための図。 図7に示す定範囲伝達装置の作動を説明するための図。 図1及び図7に示す定範囲伝達装置における弾性手段の変形例を示す図。 本発明に従って構成された定範囲伝達装置をインターロックとして使用する場合について説明するための図。
以下、本発明に従って構成された定範囲伝達装置の好適実施形態について、添付した図面を参照して、更に詳細に説明する。
図1には、本発明に従って構成された定範囲伝達装置の第1実施形態が示されている。番号2で示される本実施形態の定範囲伝達装置は、固定されたハウジング4を備えており、ハウジング4の内側には、回転可能な入力部材6及び出力部材8が設けられている。図1(及び図6)では、容易に理解できるように、出力部材8には薄墨を付して示している。
図1と共に図2を参照して説明すると、ハウジング4は、略正方形の端板14と、端板14の周縁から軸方向に延びる筒壁16とを備えたカップ状部材であって、内部には断面円形の収容空間部18が規定されている。端板14の中央には円形の貫通開口20が形成されている。端板14には更に、貫通開口20を囲繞して収容空間部18内を軸方向に延びる円弧状の作用壁22が固着されている。図2右側の平面図において、作用壁22の反時計方向側に位置する一方側部分22aは時計方向側に位置する他方側部分22bよりも軸方向高さが高く、一方側部分22aと他方側部分22bとの間には軸方向に直線状に切り立つ起立面24が形成されている(図2左側のA−A断面図及び斜視図も併せて参照されたい)。つまり、周方向に見た作用壁22の一方端部は他方端部よりも軸方向高さが高い。また、図2右側平面図において、作用壁22の反時計方向端部には、反時計方向に向かって外径が漸次低減される傾斜部26と、傾斜部26から反時計方向端に向かって径方向厚さが一定の径方向厚さ低減部28とが形成されている。このようなハウジング4の開放端面にはシールド板30がボルトの如き適宜の固定具によって固定され、収容空間部18がシールドされる。
図1と共に図3を参照して説明すると、入力部材6は、入力軸部32と、入力軸部32の先端に固着された入力端板34とを備えている。入力端板34は円板形状であって、その外周縁部には支持片36が固着されている。支持片36は断面が円弧状である支持面38を有し、軸方向に直線状に延びている。入力端板34には貫通支持穴40及び支持軸42も形成されている。貫通支持穴40及び支持軸42は共に断面円形であって軸方向に直線状に延びている。そして、図3左上の左側面図に示すとおり、貫通支持穴40は支持面38の内側に隣接して配置されると共に、支持軸42は支持片36から時計方向側に所定程度離隔して配置されている。そして、同図において一点鎖線で示すとおり、支持面38の断面を形成する円の中心と、貫通支持穴40の中心と、支持軸42の中心とは同一円周上に位置している。入力端板34には更に、突出リブ44も固着されている。突出リブ44は断面が扇形状であって軸方向に直線状に延びており、図3左上の左側面図に示すとおり同図において支持軸42よりも時計方向側に配置されている。
入力端板34には、入力部材6の回転軸oに対して偏心した偏心軸eoを中心として回転可能な伝達部材46と、伝達部材46の偏心軸eo回りの回転に対して復元力を付与する弾性手段48とが設置されている。図1と共に図4を参照して説明すると、伝達部材46は断面が略勾玉形状であって軸方向に延出する主部54を備えている。主部54の基端部(つまり、先細りした先端部ではない方の端部)の断面は円弧形状であって、この外周面には被支持面56が形成されている。主部54の先端には断面円形で軸方向に延出する係合片58が固着されている。主部54の基端部における軸方向片端面には、軸方向に延びる伝達軸部60が固着されている。伝達軸部60は断面円形であって、平面視において、主部54の基端部と同心状に位置する。主部54の基端部には更に、略L字形状の被押圧片62が固着されている。被押圧片62は主部54の軸方向他端部(つまり伝達軸部60が固着された側ではない側の端部)において、被支持面56から離隔する方向に延出した後、軸方向に延出している。伝達部材46は、図1の中央縦断面図に示すとおり、伝達軸部60が入力端板34に形成された貫通支持穴40に挿通されると共に、同図のA−A断面図に示すとおり、略L字形状の被押圧片62が主部54の被支持面56との間で支持片36を周方向に挟み込んだ状態で入力部材6に組み合わされる(図4の斜視図も併せて参照されたい)。このとき、伝達部材46の被支持面56は支持片36の支持面38と面接触し、伝達部材46が偏心軸eoを中心に回転すると、被支持面56は支持面38に対して摺動する。
図1に示すとおり、図示の実施形態においては、弾性手段48は一対のフック片64a及び64bを備えたコイルばねであって、これは入力端板34に固着された支持軸42によって軸支される。一方のフック片64aは入力端板34に固着された突出リブ44を押圧すると共に、他方のフック片64bは伝達部材46に設けられた被押圧片62を押圧する。これにより、後述するとおりにして、入力部材6がハウジング4の収容空間部18に収容されると、被押圧片62は筒壁16の内周面に押し付けられ、伝達部材46には、偏心軸eo回りの回転に対して復元力が付与される。
図1と共に図5を参照して説明すると、出力部材8は出力軸部66を備え、出力軸部66の先端部の外周面には、比較的大径の略扇形状である被係合片68と比較的小径の略扇形状である突出片70が固着されている。従って、被係合片68及び突出片70は共に径方向外方に突出している。被係合片68と突出片70とは周方向に隣接し、被係合片68と突出片70との間には周方向に見て不連続となる段部72が設けられている。段部72は突出片70の外周から法線方向ではなく、法線方向よりも図5左図において幾分時計方向側に傾斜して直線状に延びており、段部72と突出片70の外周面とは楔形状をなしている。
続いて、主に図1を参照して上記構成部品の組み合わせについて説明する。入力部材6と出力部材8とはハウジング4内にて相互に対向して配置され、入力部材6の回転軸と出力回転部材8の回転軸とは同軸上に位置する(この回転軸をoとする)。入力部材6及び出力部材8がハウジング4内に収容された状態にあっては、入力軸部32がシールド板30の中央に形成された開口を貫通してこれによって回転可能に軸支されると共に、出力軸部66が端板14の開口20を貫通してこれによって回転可能に軸支される。ここで、入力部材6と出力部材8とが組み合わされる際には、図1のA−A断面図に示すとおり、出力部材8は、突出片70がハウジング4の作用壁22における一方側部分22aの一方向端面に当接するように位置合わせされる。一方、入力部材6は、これに設けられた伝達部材46の係合片58が出力部材8の被係合片68と係合するように、より詳しくは、係合片58が突出片70と被係合片68との間に設けられている段部72に当接するように位置合わせされる。上述したとおりに各構成部品が所要とおりに組み合わされると、図1のB−B断面図に示すとおり、伝達部材46の係合片58は、周方向に見て、ハウジング4の作用壁22の径方向厚さ低減部28から所定程度他側(同図において反時計方向)に離隔して位置することとなる。
次に、図6を参照して定範囲伝達装置2の作動について説明する。図6(a)に示す状態(これは図1と同じ状態で、上述したとおりに各構成部品が組み合わされた状態であり、これを初期状態とする)から矢印に示すとおり、入力部材6を同図の中央縦断面の右方から見て反時計方向(一方向)に回転させると、入力部材6に設けられた伝達部材46の係合片58が出力部材8の被係合片68と係合していることから、伝達部材46を介して入力部材6と出力部材8とは一体となって反時計方向に回転する。このとき、伝達部材46は、その被支持面56が支持面38によって支持されながら回転軸oの周りを回転するため、伝達部材46の倒れ防止となる。そして、図6(a)に示す状態から所定角度まで回転すると、伝達部材46の係合片58はハウジング4の作用壁22の径方向厚さ低減部28を介して傾斜部26に沿って移動し、径方向に見て作用壁22に乗り上げ、図6(b)に示す状態となる(図6(a)及び(b)のB−B断面図を比較参照されたい)。係合片58が径方向に見て作用壁22に乗り上げたことで、伝達部材46は偏心軸eoの周りを時計方向に回転させられる。これにより、伝達部材46の姿勢が変更され、係合片58は径方向に見て段部72を乗り超え、係合片58と被係合片68との係合が解除される(図6(a)及び(b)のA−A断面図を比較参照されたい)。従って、入力部材6をこれ以上反時計方向に回転させても、入力部材6から出力部材8へ回転が伝達されることはない。つまり、入力部材6から出力部材8への回転の伝達が切断される。
入力部材6から出力部材8への回転の伝達が切断された後、つまり図6(b)に示す状態になった後は、出力部材8及び入力部材6を時計方向に回転して、図6(a)に示す初期状態に戻す。この際、伝達部材46には弾性手段48によって偏心軸eoの周りに復元力が付与されていることから、入力部材6及び出力部材8を時計方向に回転させると、伝達部材46の係合片58は、被係合片68の外周面から径方向に見て突出片70の外周面に降下し、再び係合片58が被係合片68と係合した状態となる。
続いて、図7乃至図12を参照して、本発明に従って構成された定量伝達機構の第2実施形態について説明する。
図7には、本発明に従って構成された定量伝達機構の第2実施形態が示されている。番号102で示される本実施形態の定範囲伝達装置は、固定されたハウジング104を備えており、ハウジング104の内側には、回転可能な入力部材106及び出力部材108が設けられている。図7(及び図12)では、容易に理解できるように、出力部材8には薄墨を付して示している。
図7と共に図8を参照して説明すると、ハウジング104は、略正方形の端板114と、端板114の周縁から軸方向に延びる筒壁116とを備えたカップ状部材であって、内部には断面円形の収容空間部118が規定されている。端板114にはその中央から偏心した位置に円形の貫通開口120が形成されている。このようなハウジング104の開放端面にはシールド板130がボルトの如き適宜の固定具によって固定され、収容空間部118がシールドされる。
図7と共に図9を参照して説明すると、入力部材106は、入力軸部132と、入力軸部132の先端に固着された入力端板134とを備えている。入力端板134は円板形状部材の端面の一部を外周縁に沿って略扇状に肉薄にせしめた形状であって、かかる肉薄にせしめられた部分(これを番号135として示す)には、軸方向に延びる第一の支持軸140及び第二の支持軸142が設けられている。部分135には更に、軸方向に延びる支持片136及び突出リブ144も設けられている。図示の実施形態においては、部分135の内周縁には、平面視において円弧形状である残留部145が存在している。支持片136及び突出リブ144は共に残留部145の外周面から径方向外方に突出しており、断面は共に扇形状である。
入力端板134には、入力部材106の回転軸o1に対して偏心した偏心軸eo´を中心として回転可能な伝達部材146と、伝達部材146の偏心軸eo´回りの回転に対して復元力を付与する弾性手段148とが設置されている。図7と共に図10を参照して説明すると、伝達部材146は全体的にくの字形状であって、その変曲点近傍の内側には貫通支持穴160が形成されている。そして、伝達部材146が備える一対の自由端部の一方には係合片158が規定されると共に、他方には被押圧片162が規定される。伝達部材146は、貫通支持穴160が入力端板134に形成された第一の支持軸140に挿通されることで入力部材106と組み合わされる。
図7に示すとおり、図示の実施形態においては、弾性手段148は一対のフック片164a及び164bを備えたコイルばねであって、これは入力端板134に固着された第二の支持軸142によって軸支されている。一方のフック片164aは入力端板134に固着された突出リブ144を押圧すると共に、他方のフック片164bは伝達部材146に設けられた被押圧片162を押圧してこれを入力端板134に固着された支持片136に押し付ける。これにより、伝達部材146には、偏心軸eo´回りの回転に対して復元力が付与される。
図7と共に図11を参照して説明すると、出力部材108は、出力軸部166と、出力軸部166の先端に固着された出力端板167とを備えている。出力端板167は所定程度の厚みを備えた略滴形状であって、基端部(つまり、先細りした先端部でない方の端部)が出力軸部166に固着されている。図11に示すとおり、出力端板167の先端には軸方向に突出した被係合片168が固着されている。被係合片168の断面は外方に向かって広がる扇形状である。ここで、被係合片168と出力部材108の回転軸o2´との距離をd1、偏心軸eo´と入力部材106の回転軸o1´との距離をd2とすると(図9を参照されたい)、距離d1は距離d2よりも長くなるように設定される。
続いて、主に図7を参照して上記構成部品の組み合わせについて説明する。入力部材106と出力部材108とはハウジング104内にて相互に対向して配置され、入力部材106の回転軸o1´と出力回転部材108の回転軸o2´とは偏心して位置する。入力部材106及び出力部材108がハウジング104内に収容された状態にあっては、入力軸部132がシールド板130の中央に形成された開口を貫通してこれによって回転可能に軸支されると共に、出力軸部166が端板114の開口120を貫通してこれによって回転可能に軸支される。ここで、入力部材106と出力部材108とが組み合わされる際には、図7のA−A断面図に示すとおり、入力部材106は、これに配設された伝達部材146の係合片158が出力部材108の被係合片168よりも周方向他側(同図において時計方向側)に幾分離隔して位置するようにする。
次に、図12を参照して定範囲伝達装置102の作動について説明する。図12(a)に示す状態(これは上述したとおりに各構成部品が組み合わされた状態であり、これを初期状態とする)から矢印に示すとおり、入力部材106を同図の中央縦断面図の右方から見て反時計方向(一方向)に回転させると、入力部材106と伝達部材146とが一体となって回転し、伝達部材146の係合片158が出力部材108の被係合片168と係合する。係合片158が被係合片168と係合した後更に入力部材106を反時計方向に回転させると、伝達部材146を介して出力部材108と入力部材106とは一体となって反時計方向に回転する。このとき、被押圧片162が支持片136によって支持されることで、伝達部材146が被係合片168によって相対的に押されて偏心軸eo´の周りを時計方向に回転することが防止される。出力部材108の回転軸o2´は入力部材106の回転軸o1´に対して偏心し、被係合片168と出力部材108の回転軸o2´との距離d1は、偏心軸eo´と入力部材106の回転軸o1´との距離d2(図9を参照されたい)よりも長いため、係合片158と被係合片168との係合によって出力部材108が一方向に回転する際には、被係合片168は入力部材106´の回転軸o1´の周りを一方向に回転すると共に係合片158に対して径方向外方に移動する。そして、図12(a)に示す状態から所定角度まで回転すると、被係合片168は係合片158から離隔し、係合片158と被係合片168との係合が解除され、図12(b)に示す状態となる(図12(a)及び(b)のA−A断面図を比較参照されたい)。従って、入力部材106をこれ以上反時計方向に回転させても、入力部材106から出力部材108へ回転が伝達されることはない。つまり、入力部材106から出力部材108への回転の伝達が切断される。
入力部材106から出力部材108への回転の伝達が切断された後、つまり図12(b)に示す状態の後は、出力部材108及び入力部材106を時計方向に回転して、図12(a)に示す初期状態に戻す。この際、伝達部材146には弾性手段148によって偏心軸eo´の周りに復元力が付与されていることから、図12(c)に示すとおり、係合片158よりも先に被係合片168が時計方向に移動しており、同図において係合片158が周方向に見て被係合片168を時計方向に乗り越える必要がある場合であっても、係合片158は被係合片168によって相対的に偏心軸eo´の周りを反時計方向に押されて一時的に姿勢が変更されるものの、弾性手段148によって付与される復元力によって被係合片168を時計方向に乗り越えると図12(a)に示す姿勢に復元され、係合片158は再び被係合片168と係合可能な状態となる。
本発明の定範囲伝達装置によれば、入力部材と一体的に回転する伝達部材に設けられた係合片と、出力部材に設けられた被係合片との係合及びその解除により入力部材から出力部材への回転の断接が行われるため、装置全体の構成を簡単にすることが可能となる。
以上、添付した図面を参照して本発明の定範囲伝達装置について詳述したが、本発明の定範囲伝達装置は図示の実施形態に限定されるものでなく、本発明の範囲内において種々の変形例が考えられる。出力部材には、出力部材の回転軸を中心に他方への復元力が付与されており、入力部材から出力部材への回転の伝達が切断されると同時に、出力部材はかかる復元力によって自動的に他方向へ回転して初期状態に戻るようにしてもよい。また、上述した実施形態においては、弾性手段は何れもコイルばねであったが、弾性手段は伝達部材に対して弾性的に復元力を付与する形態のものであればどのような形態であってもよい。例えば、第1実施形態においては、図13(a)に示すとおり、弾性手段48´を、入力端板に固着されて軸方向に延出する支持軸42´と、これの外周面から延出する薄肉状のフラップ片64b´とから構成し、支持軸42´に対するフラップ片64b´の塑性変形に伴う弾性力を利用して伝達部材46に復元力を付与するようにしてもよい。第2実施形態においても、図13(b)に示すとおり、弾性手段148´´を、入力端板に固着されて軸方向に延出する支持軸142´´と、これの外周面から延出する薄肉状のフラップ片164b´´とから構成し、支持軸42´´に対するフラップ片164b´の塑性変形に伴う弾性力を利用して伝達部材146に復元力を付与するようにしてもよい。
また、本発明の定範囲伝達装置は、上述したタイプライターの紙送り機構だけでなく、様々な機械装置等に応用することが可能である。例えば、本発明の定範囲伝達装置は、刃物を備えた工作機械等に組み込まれる所謂インターロックとしても使用することができる。定範囲伝達装置を、刃物を備えた工作機械に組み込まれるインターロックとして使用する場合について図14を参照して説明すると、入力部材2、102は工作機械の始動スイッチ74に接続され、出力部材8、108は刃物を駆動させるための図示しない駆動源の作動/停止を切り替える制御装置76に接続される。このとき、出力部材8、108には、出力部材8、108の回転軸を中心に他方向への復元力が付与されるようにする。入力部材2、102には更に、緊急停止スイッチ78も接続される。作業者が工作機械を作動させる際には、始動スイッチ74を押す。始動スイッチ74が押されると、入力部材6、106が出力部材8、108と共に上述した所定角度よりも小さい角度位置まで一方向に回転し、かかる角度位置にて入力部材6、106が保持され、復元力が付与された出力部材8、108も保持される。これにより、制御装置76から図示しない駆動源へ電気信号が発せられ、工作機械は作動する。工作機械が作動している間に、何らかの非常事態が発生し、工作機械を緊急停止させる必要が生じた場合には、作業者は緊急停止スイッチ78を押す。緊急停止スイッチ78が押されると、入力部材6、106は上記角度位置から更に一方向に回転されて上述した所定角度を超え、第1の実施形態にあっては図6(b)、第2の実施形態にあっては図12−1(b)に示す状態となる。かくすると、入力部材6、106から出力部材8、108への回転の伝達は遮断され、出力部材8、108は、上述した復元力によって他方向に回転せしめられる。これにより、制御装置76から図示しない駆動源への電気信号が遮断され、工作機械の駆動源が停止する。所望ならば、入力部材6、106が上述した所定角度を超えて回転したことを図示しないセンサが検知し、工作機械の駆動源が停止するのと同時に、工作機械に備え付けられた刃物を図示しないブレーキ装置で停止させてもよい。
2、102:定範囲伝達装置
4、104:ハウジング
6、106:入力部材
8、108:出力部材
34、134:入力端板
46、146:伝達部材
48、148:弾性手段
58、158:係合片
68、168:被係合片
本発明は、入力部材の回転量にかかわらず、出力部材を所定の量だけ回転させる定範囲伝達装置に関する。
上記のような定範囲伝達装置は、回転可能な入力部材及び出力部材を備え、例えばタイプライターの紙送り機構に使用される。定範囲伝達装置がタイプライターの紙送り機構に使用される場合、入力部材は回転可能な改行レバーに、出力部材は紙と密着してこれを送出するローラーに接続される。そして、使用者がタイプ中に改行をする際には、改行レバーを操作して入力部材を回転させることで出力部材に接続されたローラーが一定量だけ回転し、これにより紙が一定量だけ送出される。
上述した紙送り機構に使用される定範囲伝達装置にあっては、通常、歯車機構等複雑な機構が用いられるため、部品点数が増えると共に製造工程が煩雑となり、製造コストが増大してしまう。
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、簡単な構成の定範囲伝達装置を提供することである。
本発明は、鋭意検討の結果、入力部材に入力端板を設け、入力端板には入力部材の回転軸に対して偏心した偏心軸を中心に搖動可能な伝達部材を配置し、伝達部材に係合片を設けると共に出力部材に被係合片を設け、入力部材が所定角度回転した際には係合片と被係合片との係合を解除することによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成し、さらに、入力部材からの出力部材への確実な回転伝達等の面で作動を改善させた定範囲伝達装置として、
共通の回転軸を有する入力部材及び出力部材と、内側に収容空間を有する固定のハウジングとを備え、
前記入力部材には、前記収容空間に収容される円板状の入力端板が固着され、
記入力端板には、前記共通の回転軸に対して偏心した偏心軸を中心として搖動可能な伝達部材が取り付けられ、かつ、前記伝達部材の一端を径方向内方に付勢する弾性手段が取り付けられ、
前記伝達部材の一端には係合片が設けられると共に、前記出力部材には、径方向外方に突出し前記収容空間に収容される被係合片が設けられ、
前記ハウジングには、前記共通の回転軸を中心とする円弧状の作用壁が前記係合片に当接するように固着され、前記作用壁には、その外周の径方向距離が変化する傾斜部が形成され、さらに、
前記伝達部材の外面には、前記偏心軸を中心とする円弧状の被支持面が形成されると共に、前記入力端板には、前記被支持面が摺動する円弧状の支持面を形成した支持片が固着されており、
前記入力部材が一方向に転すると、前記係合片と前記被係合片との係合によって記出力部材も同一方向に回転し、前記入力部材が所定角度回転したときは、前記係合片が前記作用壁の傾斜部により径方向の外方に移動して前記被係合片との係合が解除され、前記出力部材の回転が停止する
ことを特徴とする定範囲伝達装置が提供される。
前記伝達部材を取り付ける方法としては、「前記入力端板には、前記偏心軸を中心とする円形の貫通支持穴が設けられると共に、前記伝達部材の軸方向の側面には、前記貫通支持穴に挿通される伝達軸部が設けられる」構造とすることができる。また、「前記伝達部材の軸方向の両側面は夫々平面をなし、一方の側面が前記入力端板に当接すると共に、他方の側面が、前記ハウジングの収容空間の端面に当接する」構造とすることができる。
前記出力部材と前記作用壁の構造としては、「前記出力部材には、前記被係合片よりも径方向外方の突出量の少ない突出片が形成されると共に、前記作用壁には、前記突出片が当接する周方向端面が形成されている」構造とすることが好ましい。
また、前記弾性手段としては、「前記弾性手段は一対のフック片を備えたコイルばねであって、前記コイルばねは、その中心部が前記入力端板に固着された支持軸によって軸支され、前記一対のフック片の一方が前記入力端板に設けられた突出リブを押圧すると共に、他方が前記伝達部材に設けられた被押圧片を押圧する」構造とすることができる。
本発明の定範囲伝達装置においては、入力部材と共に回転しながら搖動する伝達部材が設置され、この伝達部材に設けた係合片と出力部材に設けた被係合片との係合及びその解除を、伝達部材を搖動させて切り換える。これにより、入力部材から出力部材への回転の伝達と遮断を行い、回転の伝達が遮断されると、入力部材が回転しても出力部材はそれ以上回転せず、一定量の回転位置に停止する。本発明の定範囲伝達装置は、歯車等を使用するものではなく、装置全体の構成を簡単にすることが可能となる。
伝達部材の搖動は、固定のハウジングに設けた作用壁に係合片を当接させ、この作用壁の傾斜部にいわば乗り上げさせることにより行われる。つまり、作用壁はカムと同様な作用を有するものであり、この形状を変更することにより、出力部材の停止する回転位置を自由に設定することができる。
また、本発明の定範囲伝達装置においては、伝達部材の取り付けられた入力端板に支持片を固着し、これに形成した円弧状の支持面が、伝達部材の外面に円弧状に形成した被支持面を摺動するようにしている。
伝達部材を利用する定範囲伝達装置では、入力部材から出力部材への回転伝達は伝達部材を介して行われる。この際に伝達部材は出力部材から反力を受けるため、伝達部材の搖動軸が傾いて搖動運動が不円滑となる恐れがあるが、本発明では、出力部材から反力を入力端板に固着した支持片により受けることができるので、伝達部材の傾きが防止されて円滑な搖動が可能となる。
本発明に従って構成された定範囲伝達装置の施形態を示す図。 図1に示す定範囲伝達装置のハウジングを単体で示す図。 図1に示す定範囲伝達装置の入力部材を単体で示す図。 図1に示す定範囲伝達装置の伝達部材を単体で示す図。 図1に示す定範囲伝達装置の出力部材を単体で示す図。 図1に示す定範囲伝達装置の作動を説明するための図。 本発明の変形例を示す図。
以下、本発明に従って構成された定範囲伝達装置の好適実施形態について、添付した図面を参照して、更に詳細に説明する
図1には、本発明に従って構成された定範囲伝達装置の施形態が示されている。番号2で示される本実施形態の定範囲伝達装置は、固定されたハウジング4を備えており、ハウジング4の内側には、回転可能な入力部材6及び出力部材8の主要部分が設けられている。図1(及び図6)では、容易に理解できるように、出力部材8には薄墨を付して示している。
図1と共に図2を参照して説明すると、ハウジング4は、略正方形の端板14と、端板14の周縁から軸方向に延びる筒壁16とを備えたカップ状部材であって、内部には断面円形の収容空間部18が規定されている。端板14の中央には円形の貫通開口20が形成されている。
板14には更に、貫通開口20を囲繞して収容空間部18内を軸方向に延びる円弧状の作用壁22が固着されている。図2右側のにおいて、作用壁22の右方側に位置する一方側部分22aは左方側に位置する他方側部分22bよりも軸方向の長さが長く、一方側部分22aと他方側部分22bとの間には軸方向に直線状に切り立つ起立面24が形成されている(図2左側のA−A断面図及び斜視図も併せて参照されたい)。また、図2右側の図において、作用壁22の周方向の先端部には、時計方向に向かって外径が漸次低減される傾斜部26と、径方向厚さが一定の径方向厚さ低減部28とが形成されている。このようなハウジング4の開放端面にはシールド板30がボルトの如き適宜の固定具によって固定され、収容空間部18がシールドされる。
図1と共に図3を参照して説明すると、入力部材6は、入力軸部32と、入力軸部32の先端に固着された入力端板34とを備えている。入力端板34は円板形状であって、その外周縁部には支持片36が固着されている。支持片36は断面が円弧状である支持面38を有し、軸方向に直線状に延びている。
力端板34には貫通支持穴40及び支持軸42も形成されている。貫通支持穴40及び支持軸42は共に断面円形であって軸方向に直線状に延びている。そして、図3左上の左側面図に示すとおり、貫通支持穴40は支持面38の内側に隣接して配置されると共に、支持軸42は支持片36から時計方向側に所定程度離隔して配置されている。そして、同図において一点鎖線で示すとおり、支持面38の断面を形成する円の中心と、貫通支持穴40の中心と、支持軸42の中心とは同一円周上に位置している。
力端板34には更に、突出リブ44も固着されている。突出リブ44は断面が扇形状であって軸方向に直線状に延びており、図3左上の左側面図に示すとおり同図において支持軸42よりも時計方向側に配置されている。
入力端板34には、図1に示すとおり、入力部材6の回転軸oに対して偏心した偏心軸eoを中心として搖動可能な伝達部材46と、伝達部材46の一端を径方向内方に付勢する弾性手段48とが設置されている。伝達部材46は、断面がいわば勾玉形状であって軸方向に延出する主部54を備え(図4も参照)、この主部54には、入力端板34に取り付けるための伝達軸部60が固着され、断面が先細りとなった一端に係合片58が固着されると共に、弾性手段48に押圧される被押圧片62が固着されている。
図1と共に図4を参照して更に説明すると、主部54の断面の基端部(つまり、先細りした先端部ではない方の端部)の断面は円弧形状であって、この外周面には被支持面56が形成されている。主部54の先端には、断面円形で軸方向に延出する係合片58が固着されている。
図4に示すとおり、伝達部材46における主部54の軸方向の両側端面は平面をなしており、主部54の基端部における軸方向片端面には、軸方向に延びる伝達軸部60が固着されている。伝達軸部60は断面円形であって、部54の基端部と同心状に位置する。主部54の基端部には更に、略L字形状の被押圧片62が固着されている。被押圧片62は主部54の軸方向他端部(つまり伝達軸部60が固着された側ではない側の端部)において、被支持面56から離隔する方向に延出した後、軸方向に延出している。
伝達部材46は、図1の中央縦断面図に示すとおり、伝達軸部60が入力端板34に形成された貫通支持穴40に挿通されると共に、同図のA−A断面図に示すとおり、略L字形状の被押圧片62が主部54の被支持面56との間で支持片36を周方向に挟み込んだ状態で入力部材6に組み合わされる(図4の斜視図も併せて参照されたい)。このとき、伝達部材46の被支持面56は支持片36の支持面38と面接触し、伝達部材46が偏心軸eoを中心に搖動すると、被支持面56は支持面38に対して摺動する。
図1に示すとおり、図示の実施形態においては、弾性手段48は一対のフック片64a及び64bを備えたコイルばね(いわゆる捩りコイルばね)であって、これは、その中心が入力端板34に固着された支持軸42によって軸支される。一方のフック片64aは入力端板34に固着された突出リブ44を押圧すると共に、他方のフック片64bは伝達部材46に設けられた被押圧片62を押圧する。これにより、後述するとお、入力部材6の入力端板34がハウジング4の収容空間部18に収容されると、被押圧片62は筒壁16の内周面に押し付けられ、偏心軸eo回りに搖動する伝達部材46は、その一端の係合片58が径方向の内方に向かうように付勢される。
図1と共に図5を参照して説明すると、出力部材8は出力軸部66を備え、出力軸部66の先端部の外周面には、比較的大径の略扇形状である被係合片68と比較的小径の略扇形状である突出片70が固着されている。従って、被係合片68及び突出片70は共に径方向外方に突出している。被係合片68と突出片70とは周方向に隣接し、被係合片68と突出片70との間には周方向に見て不連続となる段部72が設けられている。段部72は突出片70の外周から法線方向ではなく、法線方向よりも図5左図において幾分時計方向側に傾斜して直線状に延びており、段部72と突出片70の外周面とは楔形状をなしている。
続いて、主に図1を参照して上記構成部品の組み合わせについて説明する。入力部材6と出力部材8とは、その入力端板34と被係合片68とがハウジング4内にて相互に対向して配置され、入力部材6の回転軸と出力回転部材8の回転軸とは同軸上に位置する(この回転軸をoとする)。入力部材6の入力端板34及び出力部材8の被係合片68がハウジング4内に収容された状態にあっては、入力軸部32がシールド板30の中央に形成された開口を貫通してこれによって回転可能に軸支されると共に、出力軸部66が端板14の開口20を貫通してこれによって回転可能に軸支される。
こで、入力部材6と出力部材8とが組み合わされる際には、図1のA−A断面図に示すとおり、出力部材8は、突出片70がハウジング4の作用壁22における一方側部分22aの一方向端面に当接するように位置合わせされる。一方、入力部材6は、これに設けられた伝達部材46の係合片58が出力部材8の被係合片68と係合するように、より詳しくは、係合片58が突出片70と被係合片68との間に設けられている段部72に当接するように位置合わせされる。構成部品が所要とおりに組み合わされると、図1のB−B断面図に示すとおり、伝達部材46の係合片58は、周方向に見て、ハウジング4の作用壁22の径方向厚さ低減部28から所定程離隔して位置することとなる。
次に、図6を参照して定範囲伝達装置2の作動について説明する。
6(a)に示す状態(これは図1と同じ状態で、上述したとおりに各構成部品が組み合わされた状態であり、これを初期状態とする)から矢印に示すとおり、入力部材6を同図の中央縦断面の右方から見て反時計方向(一方向)に回転させると、入力部材6に設けられた伝達部材46の係合片58が出力部材8の被係合片68と係合していることから、出力部材8は、伝達部材46を介して入力部材6と一体となって反時計方向に回転する。このとき、伝達部材46は、出力軸6からの反力を受けてその伝達軸部60が傾く恐れがあり、伝達軸部60が傾いたときは搖動運動等が円滑に行われないこととなる。本発明では、伝達部材46は、その被支持面56が支持片36の支持面38によって支持されながら回転軸oの周りを回転し、支持片36が伝達部材46の倒れ防止となり、伝達部材46の円滑な作動が確保される。また、伝達部材46の軸方向の両方の平面が、入力端板34とハウジング4の収容空間18の端面とに当接しているので、伝達部材46の傾きは、より確実に防止されることとなる。
そして、入力部材6が図6(a)に示す状態からある角度回転すると、伝達部材46の係合片58は、ハウジング4の作用壁22の径方向厚さ低減部28に達し、さらに回転すると、傾斜部26に沿って径方向の外方に移動して、最終的には、作用壁22の外周(最大径部)に乗り上げ、図6(b)に示す状態となる。これにより、伝達部材46が搖動し、係合片58が作用壁22の外周に乗り上げた時点で、係合片58は出力部材8の段部72を乗り超え、係合片58と被係合片68との係合が解除される。その後は、入力部材6が回転しても出力部材8が回転することはない。
つまり、ハウジング4に形成された作用壁22は、伝達部材46を搖動させるカムとして機能する。作用壁22や傾斜部26の形状を変更することにより、係合片58と被係合片68との係合が解除される回転位置を調整し、出力部材8が回転する回転量を自由に設定することができる。
入力部材6から出力部材8への回転の伝達が切断された後、つまり図6(b)に示す状態になった後は、出力部材8及び入力部材6を方向に回転して、図6(a)に示す初期状態に戻す。この際、伝達部材46には弾性手段48によって偏心軸eoの周りに復元する方向の力が付与されていることから、入力部材6及び出力部材8を方向に回転させると、伝達部材46の係合片58は、被係合片68の外周面から径方向内方の突出片70の外周面に降下し、再び係合片58が被係合片68と係合した状態となる。
以上、添付した図面を参照して本発明の定範囲伝達装置について詳述したが、本発明の定範囲伝達装置は図示の実施形態に限定されるものでなく、本発明の範囲内において種々の変形例が考えられる。例えば、出力部材の回転に対して復元力を付与する戻しばねを設置し、入力部材から出力部材への回転の伝達が切断されると同時に、出力部材が自動的に初期状態に戻るようにしてもよい。また、図7の変形例に示すとおり、伝達部材46を付勢する弾性手段48´を、入力端板に固着されて軸方向に延出する支持軸42´と、これの外周面から延出する薄肉状のフラップ片64b´とから構成し、フラップ片64b´の弾性力を利用して、伝達部材46の一端を径方向内方に付勢することができる。
:定範囲伝達装置
:ハウジング
:入力部材
:出力部材
:入力端板
:伝達部材
:弾性手段
:係合片
:被係合片
本発明は、範囲伝達装置に関する。
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する定範囲伝達装置として、
「共通の回転軸を有する入力部材及び出力部材と、内側に収容空間を有する固定のハウジングとを備え、
前記入力部材には、前記収容空間に収容される円板状の入力端板が固着され、
前記入力端板には、前記共通の回転軸に対して偏心した偏心軸を中心として搖動可能な伝達部材が取り付けられ、かつ、前記伝達部材の一端を径方向内方に付勢する弾性手段が取り付けられ、
前記伝達部材の一端には係合片が設けられると共に、前記出力部材には、径方向外方に突出し前記収容空間に収容される被係合片が設けられ、
前記ハウジングには、前記共通の回転軸を中心とする円弧状の作用壁が前記係合片に当接するように固着され、前記作用壁には、その外周の径方向距離が変化する傾斜部が形成され、さらに、
前記伝達部材の外面には、前記偏心軸を中心とする円弧状の被支持面が形成されると共に、前記入力端板には、前記被支持面が摺動する円弧状の支持面を形成した支持片が固着されており、
前記入力部材が一方向に回転すると、前記係合片と前記被係合片との係合によって前記出力部材も同一方向に回転し、前記入力部材が所定角度回転したときは、前記係合片が前記作用壁の傾斜部により径方向の外方に移動して前記被係合片との係合が解除され、前記出力部材の回転が停止する」
ことを特徴とする定範囲伝達装置が提供される。
本発明の定範囲伝達装置においては、入力部材と共に回転しながら搖動する伝達部材が設置され、この伝達部材に設けた係合片と出力部材に設けた被係合片との係合及びその解除を、伝達部材を搖動させて切り換える。これにより、入力部材から出力部材への回転の伝達と遮断を行い、回転の伝達が遮断されると、入力部材が回転しても出力部材はそれ以上回転せず、一定量の回転位置に停止する。本発明の定範囲伝達装置は、歯車等を使用するものではなく、装置全体の構成を簡単にすることが可能となる。
伝達部材の搖動は、固定のハウジングに設けた作用壁に係合片を当接させ、この作用壁の傾斜部にいわば乗り上げさせることにより行われる。つまり、作用壁はカムと同様な作用を有するものであ
また、本発明の定範囲伝達装置においては、伝達部材の取り付けられた入力端板に支持片を固着し、これに形成した円弧状の支持面が、伝達部材の外面に円弧状に形成した被支持面を摺動するようにしている。
伝達部材を利用する定範囲伝達装置では、入力部材から出力部材への回転伝達は伝達部材を介して行われる
次に、図6を参照して定範囲伝達装置2の作動について説明する。
図6(a)に示す状態(これは図1と同じ状態で、上述したとおりに各構成部品が組み合わされた状態であり、これを初期状態とする)から矢印に示すとおり、入力部材6を同図の中央縦断面の右方から見て反時計方向(一方向)に回転させると、入力部材6に設けられた伝達部材46の係合片58が出力部材8の被係合片68と係合していることから、出力部材8は、伝達部材46を介して入力部材6と一体となって反時計方向に回転する。このとき、発明では、伝達部材46は、その被支持面56が支持片36の支持面38によって支持されながら回転軸oの周りを回転し、支持片36が伝達部材46の倒れ防止となる。
そして、入力部材6が図6(a)に示す状態からある角度回転すると、伝達部材46の係合片58は、ハウジング4の作用壁22の径方向厚さ低減部28に達し、さらに回転すると、傾斜部26に沿って径方向の外方に移動して、最終的には、作用壁22の外周(最大径部)に乗り上げ、図6(b)に示す状態となる。これにより、伝達部材46が搖動し、係合片58が作用壁22の外周に乗り上げた時点で、係合片58は出力部材8の段部72を乗り超え、係合片58と被係合片68との係合が解除される。その後は、入力部材6が回転しても出力部材8が回転することはない。
つまり、ハウジング4に形成された作用壁22は、伝達部材46を搖動させるカムとして機能する
以上、添付した図面を参照して本発明の定範囲伝達装置について詳述したが、本発明の定範囲伝達装置は図示の実施形態に限定されるものでなく、本発明の範囲内において種々の変形例が考えられる。出力部材には、出力部材の回転軸を中心に他方への復元力が付与されており、入力部材から出力部材への回転の伝達が切断されると同時に、出力部材が自動的に初期状態に戻るようにしてもよい。また、図7の変形例に示すとおり、伝達部材46を付勢する弾性手段48´を、入力端板に固着されて軸方向に延出する支持軸42´と、これの外周面から延出する薄肉状のフラップ片64b´とから構成し、フラップ片64b´の弾性力を利用して、伝達部材46の一端を径方向内方に付勢することができる。

Claims (7)

  1. 固定されたハウジングの内側には、回転可能な入力部材及び出力部材が設けられ、
    前記入力部材に固着された前記入力端板には、前記入力部材の回転軸に対して偏心した偏心軸を中心として回転可能な伝達部材と、前記偏心軸を中心とした前記伝達部材の回転に対して復元力を付与する弾性手段とが設置されており、
    前記伝達部材には係合片が設けられていると共に、前記出力部材には被係合片が設けられ、
    前記入力部材が一方向に所定角度まで回転すると、前記係合片と前記被係合片との係合によって、前記出力部材も一方向に前記所定角度まで回転するが、前記入力部材が前記所定角度を超えて一方向に回転しようとすると、前記係合片と前記被係合片との係合が解除され、前記出力部材は前記所定角度を超えて一方向に回転しない、ことを特徴とする定範囲伝達装置。
  2. 前記ハウジングには、前記入力部材の回転軸を中心に円弧状の作用壁が固着され、周方向に見て前記作用壁の他方端部には、周方向他側に向かって外径が漸次低減される傾斜部が形成され、
    前記入力部材の回転軸と前記出力部材の回転軸とは同軸であって、
    前記係合片は断面円形で軸方向に延在し、前記被係合片は径方向外方に突出しており、
    前記入力部材が前記所定角度を超えて一方向に回転しようとすると、前記係合片は、前記作用壁の前記傾斜部に沿って移動し、径方向に見て前記作用壁に乗り上げると共に前記被係合片を乗り越える、請求項1に記載の定範囲伝達装置。
  3. 周方向に見て前記作用壁の一方端部は前記他方端部よりも軸方向高さが高く、前記出力部材には径方向外方に突出した突出片が形成されている、請求項1又は2に記載の定範囲伝達装置。
  4. 前記伝達部材には、断面が円弧状である被支持面を有した主部が備えられていると共に、前記入力端板には、断面が円弧状である支持面を有した支持片が固着されており、前記被支持面と前記支持面とは面接触する、請求項1乃至3のいずれかに記載の定範囲伝達装置。
  5. 前記出力部材は出力端板を備え、前記被係合片は前記出力端板から軸方向に延出しており、前記出力部材の回転軸は前記入力部材の回転軸に対して偏心し、前記被係合片と前記出力部材の回転軸との距離は、前記偏心軸と前記入力部材の回転軸との距離よりも長く、
    前記係合片と前記被係合片との係合によって前記出力部材が一方向に回転する際には、前記被係合片は前記入力部材の回転軸の周りを一方向に回転すると共に前記係合片に対して径方向外方に移動する、請求項1に記載の定範囲伝達装置。
  6. 前記弾性手段は一対のフック片を備えたコイルばねであって、
    前記コイルばねは前記入力端板に固着された支持軸によって軸支され、前記一対のフック片の一方が前記入力端板に設けられた突出リブを押圧すると共に、前記一対のフック片の他方が前記伝達部材に設けられた被押圧片を押圧する、請求項1乃至5のいずれかに記載の定範囲伝達装置。
  7. 前記出力部材には、前記出力部材の回転軸を中心に他方向への復元力が付与されている、請求項1乃至6のいずれかに記載の定範囲伝達装置。
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