JP2020085054A - バネ及びその設置方法 - Google Patents

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Shigeto Ito
成人 伊東
吉岡 衛
Mamoru Yoshioka
衛 吉岡
武蔵 鈴木
Takezo Suzuki
武蔵 鈴木
大悟 大藪
Daigo Oyabu
大悟 大藪
正剛 藤嶋
Masatake Fujishima
正剛 藤嶋
誠之 北浦
Masayuki Kitaura
誠之 北浦
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Abstract

【課題】荷重が作用したときに応力を緩和することができる技術を提供する。【解決手段】金属のベローズ部を備えており、前記ベローズ部の内側の密閉空間に圧縮性流体が封入されるバネであって、前記ベローズ部は、その軸方向に積層されている複数の湾曲部材を備えており、複数の前記湾曲部材のそれぞれは、前記ベローズ部の外側端部で湾曲している外側湾曲部と、前記外側湾曲部より内側で前記ベローズ部の内外方向に延びている内側延在部と、備えており、前記ベローズ部の軸方向に隣り合っている前記湾曲部材の前記内側延在部同士が接合されている。【選択図】図1

Description

本明細書に開示する技術は、バネに関する。
特許文献1にはベローズが開示されている。特許文献1のベローズは主にシール材として用いられる。
特開平11−226658号公報
特許文献1のベローズは主にシール材として用いられるので大きな荷重が作用することが想定されていない。本明細書では、荷重が作用したときに応力を緩和することができる技術を提供する。
本明細書に開示するバネは、金属のベローズ部を備えている。前記ベローズ部の内側の密閉空間に圧縮性流体が封入される。前記ベローズ部は、その軸方向に積層されている複数の湾曲部材を備えており、複数の前記湾曲部材のそれぞれは、前記ベローズ部の外側端部で湾曲している外側湾曲部と、前記外側湾曲部より内側で前記ベローズ部の内外方向に延びている内側延在部と、を備えており、前記ベローズ部の軸方向に隣り合っている前記湾曲部材の前記内側延在部同士が接合されている。
この構成によれば、ベローズ部の内側の密閉空間に封入される圧縮性流体が圧縮されたときに生じる圧力によって大きい荷重を支持することができる。また、ベローズ部に荷重が作用したときに、複数の湾曲部材の外側湾曲部と内側延在部によって応力を緩和することができる。ベローズ部の外側端部では、外側湾曲部によって応力を緩和することができる。ベローズ部の軸方向では、隣り合っている内側延在部同士によって軸方向の力が相殺されるので応力を緩和することができる。
前記ベローズ部の軸方向に隣り合っている前記湾曲部材の前記外側湾曲部を除く部分同士が前記ベローズ部の自然長状態で互いに接触していてもよい。
この構成によれば、ベローズ部の軸方向で互いに接触している部分によって軸方向の力が相殺されるので応力を緩和することができる。
前記ベローズ部の軸方向に隣り合って接合されている前記内側延在部同士の少なくとも一方の前記内側延在部が、他方の前記内側延在部側に凸になるように湾曲していてもよい。
この構成によれば、ベローズ部がその軸方向に伸ばされたときに生じる湾曲部材の内部応力と、ベローズ部がその軸方向に縮められたときに生じる湾曲部材の内部応力との応力差を小さくすることができる。ベローズ部が伸ばされた場合であっても縮められた場合であっても、バネが同等の能力を発揮することができる。
前記内側延在部の板厚が前記ベローズ部の内側に向かうにしたがって薄くなっていてもよい。
湾曲部材の内側延在部ではベローズ部の内側に向かうにしたがって内部応力が小さくなる。そのため、ベローズ部の内側に向かうにしたがって板厚が薄くなる構成によって効率的に荷重を支持することができる。また、湾曲部材の材料コストを削減することができる。
前記ベローズ部の軸方向の端部に位置している前記湾曲部材の板厚が、他の前記湾曲部材の板厚より薄くてもよい。
ベローズ部の軸方向の端部では、他の部分と比較して負荷が小さい。上記の構成によれば、これに合わせて、ベローズ部の軸方向の端部に位置している湾曲部材の板厚が、他の湾曲部材の板厚より薄いので、湾曲部材の内部応力を効果的に緩和することができる。また、湾曲部材の材料コストを削減することができる。
ベローズ部の軸方向の端部に配置されている湾曲部材の内側端部が、他の湾曲部材の内側端部より内側に位置していてもよい。
この構成によれば、ベローズ部が軸方向に変形するときに、軸方向の端部に配置されている湾曲部材が変形に柔軟に対応することができる。
複数の前記湾曲部材の一部の前記湾曲部材の前記外側湾曲部の曲率半径が、他の前記湾曲部材の前記外側湾曲部の曲率半径より大きくてもよい。
この構成によれば、ベローズ部が軸方向に圧縮されたときに、曲率半径が大きい外側湾曲部を備える湾曲部材によって軸方向の力を吸収することができる。
少なくとも1つの前記湾曲部材が、互いに接合されている複数のセグメントから構成されていてもよい。
湾曲部材を単一の部材から製造することは難しいが、上記の構成によれば、複数のセグメントを接合することによって湾曲部材を容易に製造することができる。
本明細書は、上記のバネを設置するための設置方法を開示する。前記設置方法は、前記ベローズ部が自然長の状態で前記ベローズ部の内側の密閉空間に圧縮性流体を封入する工程を備えている。
上記の構成によれば、金属のベローズ部を備えるバネを容易に設置することができる。
第1実施例に係るバネの断面図である。 第1実施例に係るバネの上面図である(図1のII−II断面図である)。 図1の一部IIIの拡大図である。 第1実施例に係るバネの設置方法を示す図である。 第2実施例に係るバネの図3に相当する図である。 第3実施例に係る湾曲部材の断面図である。 第4実施例に係るバネの図3に相当する図である。 第4実施例の変形例に係るバネの図3に相当する図である。 第5実施例に係るバネの図3に相当する図である。 第6実施例に係るバネの図3に相当する図である。 第7実施例に係る湾曲部材の断面図である。 第7実施例の変形例1に係る湾曲部材の断面図である。 第7実施例の変形例2に係る湾曲部材の断面図である。 第8実施例に係る複数の湾曲部材の断面図である。 他の実施例に係るバネの図2に相当する図である。 比較例1−1に係るバネの図3に相当する図である。 比較例1−2に係るバネの図3に相当する図である。 試験1の試験結果を示す図である。 比較例2に係る複数の湾曲部材の断面図である。 試験2の試験結果を示す図である。
(第1実施例)
第1実施例に係るバネ1について図面を参照して説明する。図1に示すように、第1実施例に係るバネ1は、金属のベローズ部2を備えている。ベローズ部2の上側には上側支持部材11が配置されており、ベローズ部2の下側には下側支持部材12が配置されている。ベローズ部2の内側には密閉空間51が形成されている。上側支持部材11と下側支持部材12の間にベローズ部2が配置されている。
ベローズ部2は、例えば鉄(Fe)を含む合金から形成されている。ベローズ部2の金属は特に限定されるものではない。ベローズ部2は、軸方向(Z方向)に伸縮する。図2に示すように、ベローズ部2は、軸方向(Z方向)に視たときに円環状に構成されている。
図1及び図3に示すように、ベローズ部2は、複数の湾曲部材21を備えている。複数の湾曲部材21は、ベローズ部2の軸方向(Z方向)に積層されている。積層されている複数の湾曲部材21は、例えば溶接によって接合されている。また、積層方向(Z方向)の上端部の湾曲部材21は、上側支持部材11に接合されており、下端部の湾曲部材21は、下側支持部材12に接合されている。各湾曲部材21は、ベローズ部2の軸方向(Z方向)に視たときに円環状に構成されている(図2)。
複数の湾曲部材21のそれぞれは、外側湾曲部41と、内側延在部42と、中間部43とを備えている。外側湾曲部41は、ベローズ部2の外側端部71で湾曲している。外側湾曲部41は、ベローズ部2の外側に突出している。複数の湾曲部材21の外側湾曲部41は、ベローズ部2の軸方向(Z方向)に並んでいる。
内側延在部42は、外側湾曲部41より内側に位置している。内側延在部42は、中間部43を介して外側湾曲部41に接続されている。内側延在部42は、平板状に構成されている。内側延在部42は、ベローズ部2の内外方向(X方向)に延在している。複数の湾曲部材21の内側延在部42は、ベローズ部2の軸方向(Z方向)に並んでいる。ベローズ部2の軸方向(Z方向)に隣り合っている湾曲部材21の内側延在部42同士は互いに接触している。互いに接触している内側延在部42同士は、ベローズ部2の内側端部72で例えば溶接によって接合されている。
中間部43は、外側湾曲部41と内側延在部42の間に位置している。中間部43は、内側延在部42に対して傾斜している。ベローズ部2の軸方向(Z方向)に隣り合っている湾曲部材21の中間部43同士は、ベローズ部2の自然長状態では互いに接触していない。
ベローズ部2の上側に配置されている上側支持部材11は、板状の部材であり、ベローズ部2の上端部に密着した状態で固定されている。また、ベローズ部2の下側に配置されている下側支持部材12は、板状の部材であり、ベローズ部2の下端部に密着した状態で固定されている。上側支持部材11と下側支持部材12は、密閉空間51を密閉している。上側支持部材11と下側支持部材12の間に密閉空間51が形成されている。密閉空間51には圧縮性流体が封入される。密閉空間51に封入される圧縮性流体は、例えば、空気、ガス等の気体である。また、水、オイル等の非圧縮性流体と組み合わせて用いられることもある。
上記のバネ1では、図1に矢印で示すように、上側支持部材11及び下側支持部材12を介してベローズ部2を備えバネ1に荷重Pが作用する。このときに、ベローズ部2の内側の密閉空間51に封入されている圧縮性流体の圧力によって大きい荷重Pを支持することができる。
以上、第1実施例について説明した。上記の説明から明らかなように、第1実施例に係るバネ1は、金属のベローズ部2を備えている。ベローズ部2は、その軸方向(Z方向)に積層されている複数の湾曲部材21を備えている。複数の湾曲部材21のそれぞれは、ベローズ部2の外側端部71で湾曲している外側湾曲部41と、外側湾曲部41より内側でベローズ部2の内外方向(X方向)に延びている内側延在部42と備えている。また、ベローズ部2の軸方向(Z方向)に隣り合っている湾曲部材21の内側延在部42同士が接合されている。
この構成によれば、ベローズ部2に荷重が作用したときに、ベローズ部2の外側端部71では、外側湾曲部41によってベローズ部2の内部応力を緩和することができる。ベローズ部2の軸方向(Z方向)では、隣り合って接合されている内側延在部42同士によって軸方向(Z方向)の力が相殺されるのでベローズ部2の内部応力を緩和することができる。
次に、上記のバネ1の設置方法について説明する。バネ1の設置方法は、封入工程を備えている。封入工程では、バネ1のベローズ部2が自然長状態であるときに、ベローズ部2の内側の密閉空間51に圧縮性流体を封入する。この構成によれば、金属のベローズ部2を備えるバネ1を容易に設置することができる。
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上記の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
(第2実施例)
第2実施例に係るバネ1では、図5に示すように、湾曲部材21が中間部43を備えておらず、湾曲部材21の外側湾曲部41と内側延在部42とが直接的に接続されている。第2実施例に係るバネ1では、ベローズ部2の軸方向(Z方向)に隣り合っている湾曲部材21の外側湾曲部41を除く部分同士がベローズ部2の自然長状態で互いに接触している。軸方向(Z方向)に隣り合っている内側延在部42同士が密着している。この構成によれば、ベローズ部2の軸方向(Z方向)で互いに密着している部分によって軸方向(Z方向)の力が相殺されるのでベローズ部2の内部応力を緩和することができる。
(第3実施例)
第3実施例に係るバネ1では、図6に示すように、湾曲部材21の内側延在部42の板厚tが、ベローズ部2の内側に向かうにしたがって薄くなっている。内側延在部42の板厚tは、ベローズ部2の内側端部72で最も薄くなっている。内側延在部42の板厚tが連続的に変化している。
湾曲部材21の内側延在部42ではベローズ部2の内側に向かうにしたがって内部応力が小さくなる。そのため、ベローズ部2の内側に向かうにしたがって板厚tが薄くなる構成によって、ベローズ部2に作用する荷重を効率的に支持することができる。また、湾曲部材21の材料コストを削減することができる。
(第4実施例)
第4実施例に係るバネ1では、図7に示すように、ベローズ部2の軸方向(Z方向)の上下両端部に位置している湾曲部材21の板厚t1が、他の湾曲部材21(上端部の湾曲部材21と下端部の湾曲部材21との間の湾曲部材21)の板厚t2より薄い。この構成によれば、湾曲部材21の内部応力を効果的に緩和することができる。また、湾曲部材21の材料コストを削減することができる。
また、図8に示すように、ベローズ部2の軸方向(Z方向)の上端部に位置している湾曲部材21の上側半分の板厚t11が下側半分の板厚t12より薄くてもよい。また、ベローズ部2の軸方向(Z方向)の下端部に位置している湾曲部材21の下側半分の板厚t11が上側半分の板厚t12より薄くてもよい。
(第5実施例)
第5実施例に係るバネ1では、図9に示すように、ベローズ部2の軸方向(Z方向)の上下両端部に配置されている湾曲部材21の内側端部72が、他の湾曲部材21(上端部の湾曲部材21と下端部の湾曲部材21との間の湾曲部材21)の内側端部72より内側に位置している。湾曲部材21が上側支持部材11に接合されている位置721が、湾曲部材21同士が接合されている位置722よりも内側に位置している。同様に、湾曲部材21が下側支持部材12に接合されている位置723が、湾曲部材21同士が接合されている位置722よりも内側に位置している。この構成によれば、ベローズ部2が軸方向(Z方向)に変形するときに、軸方向(Z方向)の端部に配置されている湾曲部材21が変形に柔軟に対応することができる。
(第6実施例)
第6実施例に係るバネ1では、図10に示すように、ベローズ部2の軸方向(Z方向)の下端部の湾曲部材21の外側湾曲部41の曲率半径が、他の湾曲部材21の外側湾曲部41の曲率半径より大きい。下端部の湾曲部材21の軸方向(Z方向)の幅が、他の湾曲部材21の軸方向(Z方向)の幅より大きい。この構成によれば、ベローズ部2が軸方向(Z方向)に圧縮されたときに、曲率半径が大きい外側湾曲部41を備える湾曲部材21によって軸方向(Z方向)の力を吸収することができる。
(第6実施例の変形例)
第6実施例の変形例では、軸方向(Z方向)の上端部の湾曲部材21の外側湾曲部41の曲率半径が、他の湾曲部材21の外側湾曲部41の曲率半径より大きくてもよい。また、軸方向(Z方向)の中央部の湾曲部材21の外側湾曲部41の曲率半径が、他の湾曲部材21の外側湾曲部41の曲率半径より大きくてもよい。すなわち、複数の湾曲部材21のうち、一部の湾曲部材21の外側湾曲部41の曲率半径が、他の湾曲部材21の外側湾曲部41の曲率半径より大きい構成であってもよい。
(第7実施例)
第7実施例に係るバネ1では、図11に示すように、湾曲部材21が、上側セグメント91と、下側セグメント92とを備えている。上側セグメント91は、湾曲部材21の外側湾曲部41の一部と、内側延在部42とを備えている。下側セグメント92も同様の構成である。また、上側セグメント91と下側セグメント92は、それぞれ、接合部81、82を備えている。上側セグメント91と下側セグメント92が接合部81、82で溶接接合されることによって湾曲部材21が構成されている。湾曲部材21を単一の部材から製造することは難しいが、上記の構成によれば、複数のセグメント91、92を接合することによって湾曲部材21を容易に製造することができる。
(第7実施例の変形例1)
第7実施例の変形例1では、図12に示すように、上側セグメント91の接合部81が板状に構成されている。接合部81は、外側湾曲部41から外側に突出している。下側セグメント92の接合部82も同様の構成である。
(第7実施例の変形例2)
第7実施例の変形例2では、図13に示すように、湾曲部材21が、外側セグメント93と、複数の内側セグメント94とを備えている。外側セグメント93は、外側湾曲部41を構成している。内側セグメント94は、内側延在部42を構成している。外側セグメント93と内側セグメント94は、それぞれ、接合部83、84を備えている。外側セグメント93と内側セグメント94が接合部83、84で溶接接合されることによって湾曲部材21が構成されている。
(第8実施例)
第8実施例に係るバネ1では、図14に示すように、湾曲部材21の内側延在部42が湾曲している。湾曲部材21の内側延在部42は、図14に仮想線Sで示すような直線形状ではない。内側延在部42は、湾曲部材21の外側湾曲部41側から内側に向かって順に、第1湾曲部421と、第2湾曲部422と、第3湾曲部423とを備えている。内側延在部42の第1湾曲部421が外側湾曲部41に接続されている。第1湾曲部421、第2湾曲部422及び第3湾曲部423の曲率半径は互いに相違している。第1湾曲部421の曲率半径は、第2湾曲部422の曲率半径より小さい。第2湾曲部422の曲率半径は、第3湾曲部423の曲率半径より小さい。第1湾曲部421、第2湾曲部422及び第3湾曲部423は、ベローズ部2の内側の密閉空間51側とは反対側に凸になるように湾曲している。ベローズ部2の軸方向(Z方向)に隣り合って接合されている内側延在部42同士は、互いに接近する側に凸になるように湾曲している。すなわち、軸方向(Z方向)に隣り合って接合されている内側延在部42同士では、一方(例えば上側)の内側延在部42が、他方(例えば下側)の内側延在部42側に凸になるように湾曲している。
この構成によれば、ベローズ部2が軸方向(Z方向)に伸ばされたときに生じる湾曲部材21の内部応力と、ベローズ部2が軸方向(Z方向)に縮められたときに生じる湾曲部材21の内部応力との応力差を少なくすることができる。上記のバネ1は、例えば全固体電池を支持するために用いられることがある(図示省略)。全固体電池は充電時に体積が膨張し、放電時に体積が収縮する性質がある。そのため、上記のバネ1が全固体電池を支持するために用いられると、バネ1の設置状態によって、全固体電池の充電時にバネ1が軸方向に縮められることや、全固体電池の放電時にバネ1が軸方向に伸ばされることが考えられる。上記の構成を備えるバネ1であれば、全固体電池の充電時と放電時で湾曲部材21の内部応力の応力差を少なくすることができる。なお、上記の第8実施例では、内側延在部42が第1湾曲部421と第2湾曲部422と第3湾曲部423とを備えることによって内側延在部42の曲率半径が段階的に変化していたが、他の実施例では、内側延在部42の曲率半径が無段階的に変化していてもよい。
(その他の実施例)
上記の実施例では、ベローズ部2が軸方向(Z方向)に視たときに円環状に構成されていたが(図2参照)、他の実施例では、図15に示すように、ベローズ部2が軸方向(Z方向)に視たときにトラック形状に構成されていてもよい。トラック形状は、長円の環状、楕円の環状、又は角が丸くされた四角形の環状等の形状を含む概念である。
本明細書に開示するバネ1は、ベローズ部2の内側の密閉空間51に封入される圧縮性流体の圧力を調整することにより、限られたスペースにおいて小さい荷重から大きい荷重まで任意に発生する荷重を支持することができる。そのため、例えば、二次電池の拘束構造、その中でも特に電池の性能確保のために高い拘束力が求められる全固体電池の拘束構造において好適に用いられる。本明細書に開示するバネ1が全固体電池の拘束構造に用いられる場合は、例えば、積層された複数の電池セルの積層方向の一方側にバネ1を配置することができる。
(試験1)
試験1では、試験例1のバネ1と、比較例1−1のバネ101と、比較例1−2のバネ102とを比較する解析試験を行った。
試験例1のバネ1は、図5(第2実施例)に示すように、ベローズ部2の軸方向(Z方向)に隣り合っている湾曲部材21の外側湾曲部41を除く部分同士が、ベローズ部2の自然長状態で互いに接触している構成とした。
これに対して、比較例1−1のバネ101と比較例1−2のバネ102は、図16と図17に示すように、ベローズ部2の軸方向(Z方向)に隣り合っている湾曲部材21の外側湾曲部41を除く部分同士が、ベローズ部2の自然長状態で互いに離間している構成とした。比較例1のバネ101では、湾曲部材21の外側湾曲部41を除く部分同士の離間距離をL1とした。また、比較例2のバネ102では、湾曲部材21の外側湾曲部41を除く部分同士の離間距離をL2とした。離間距離L2を離間距離L1より長くした。離間距離L1、L2は、外側湾曲部41の内側端部の位置で測定した。
また、試験例1のバネ1、比較例1−1のバネ101、及び比較例1−2のバネ102のそれぞれを所定の隙間(スペース)に配置した状態で、各バネ1、101、102の各密閉空間51に圧縮性流体を封入した。各バネ1、101、102において、圧縮性流体が封入された状態では、ベローズ部2の軸方向(Z方向)に隣り合っている湾曲部材21の外側湾曲部41を除く部分同士が互いに接触する状態になる。
その後、試験例1のバネ1、比較例1−1のバネ101、及び比較例1−2のバネ102のそれぞれに対してベローズ部2の軸方向(Z方向)に荷重をかけた。そして、湾曲部材21の外側湾曲部41の内部応力を測定した。試験1の試験結果を図18に示す。図18に示すように、荷重が大きくなると、試験例1のバネ1における外側湾曲部41の内部応力が、比較例1−1のバネ101における外側湾曲部41の内部応力、及び、比較例1−2のバネ102における外側湾曲部41の内部応力より小さくなった。試験例1のバネ1の構成によれば、外側湾曲部41の内部応力を緩和することができる。また、試験例1のバネ1が全固体電池を支持するために用いられる場合には、例えば全固体電池の体積が充電時に膨張することでバネ1に荷重が作用したときに、外側湾曲部41の内部応力を緩和することができる。また、全固体電池の蓄電量が多くて体積が大きくなっているときにも、荷重が作用するバネ1の外側湾曲部41の内部応力を緩和することができる。
(試験2)
試験2では、試験例2のバネ1と、比較例2のバネ201とを比較する解析試験を行った。
試験例2のバネ1は、図14(第8実施例)に示すように、ベローズ部2の軸方向(Z方向)に隣り合って接合されている内側延在部42同士の一方(例えば軸方向の上側)の内側延在部42が、他方(例えば軸方向の下側)の内側延在部42側に凸になるように湾曲している構成とした。
これに対して、比較例2のバネ201は、図19に示すように、ベローズ部2の軸方向(Z方向)に隣り合って接合されている内側延在部42同士が直線形状の構成とした。すなわち、内側延在部42が湾曲していない構成とした。
試験例2のバネ1、及び比較例2のバネ201に対してベローズ部2の軸方向(Z方向)に荷重をかけた。試験2では、ベローズ部2が軸方向(Z方向)に伸ばされる荷重と、ベローズ部2が軸方向(Z方向)に縮められる荷重とをバネ1、201にかけた。そして、湾曲部材21の外側湾曲部41の内部応力を測定した。試験2の試験結果を図20に示す。図20に示すように、試験例2のバネ1では、比較例2のバネ201と比較して、ベローズ部2が軸方向(Z方向)に伸ばされたときの内部応力と、ベローズ部2が軸方向(Z方向)に縮められたときの内部応力との応力差が小さくなった。試験例2のバネ1によれば、ベローズ部2が伸ばされた場合と縮められた場合で内部応力の応力差を小さくすることができる。また、試験例2のバネ1が全固体電池を支持するために用いられる場合には、バネ1の設置状態によって、全固体電池の放電時にバネ1のベローズ部2が伸ばされ、全固体電池の充電時にバネ1のベローズ部2が縮められることが考えられる。試験例2のバネ1によれば、全固体電池の放電時と充電時で内部応力の応力差を小さくすることができる。したがって、全固体電池の充電状況にかかわらず安定した性能を発揮することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
1:バネ、2:ベローズ部、11:上側支持部材、12:下側支持部材、21:湾曲部材、41:外側湾曲部、42:内側延在部、43:中間部、51:密閉空間、71:外側端部、72:内側端部、91:上側セグメント、92:下側セグメント、93:外側セグメント、94:内側セグメント

Claims (9)

  1. 金属のベローズ部を備えており、
    前記ベローズ部の内側の密閉空間に圧縮性流体が封入されるバネであって、
    前記ベローズ部は、その軸方向に積層されている複数の湾曲部材を備えており、
    複数の前記湾曲部材のそれぞれは、前記ベローズ部の外側端部で湾曲している外側湾曲部と、前記外側湾曲部より内側で前記ベローズ部の内外方向に延びている内側延在部と、を備えており、
    前記ベローズ部の軸方向に隣り合っている前記湾曲部材の前記内側延在部同士が接合されている、バネ。
  2. 請求項1に記載のバネであって、
    前記ベローズ部の軸方向に隣り合っている前記湾曲部材の前記外側湾曲部を除く部分同士が前記ベローズ部の自然長状態で互いに接触している、バネ。
  3. 請求項1に記載のバネであって、
    前記ベローズ部の軸方向に隣り合って接合されている前記内側延在部同士の一方の前記内側延在部が、他方の前記内側延在部側に凸になるように湾曲している、バネ。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のバネであって、
    前記内側延在部の板厚が前記ベローズ部の内側に向かうにしたがって薄くなっている、バネ。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載のバネであって、
    前記ベローズ部の軸方向の端部に位置している前記湾曲部材の板厚が、他の前記湾曲部材の板厚より薄い、バネ。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載のバネであって、
    前記ベローズ部の軸方向の端部に配置されている前記湾曲部材の内側端部が、他の前記湾曲部材の内側端部より内側に位置している、バネ。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のバネであって、
    複数の前記湾曲部材の一部の前記湾曲部材の前記外側湾曲部の曲率半径が、他の前記湾曲部材の前記外側湾曲部の曲率半径より大きい、バネ。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載のバネであって、
    少なくとも1つの前記湾曲部材が、互いに接合されている複数のセグメントから構成されている、バネ。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載のバネを設置するための設置方法であって、
    前記設置方法は、前記ベローズ部が自然長の状態で前記ベローズ部の内側の密閉空間に圧縮性流体を封入する工程を備えている、設置方法。
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