JP2020084928A - 動翼、タービン、および動翼の製造方法 - Google Patents

動翼、タービン、および動翼の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】き裂の進展を抑制し、破断に至るまでの寿命を延ばすことができる、タービン用の動翼を提供する。【解決手段】動翼15は、翼部25と、翼部25の基端26に形成され、かつタービン1のディスク12に埋め込み可能な埋め込み部30とを備えている。埋め込み部30は、埋め込み部30の表面を含む外側埋め込み部31と、外側埋め込み部31の内側に位置する内側埋め込み部39とを備えている。外側埋め込み部31は、Ni基超合金から構成されており、内側埋め込み部39は、TiAl合金から構成されている。【選択図】図4

Description

本発明は、タービンに用いられる動翼、およびそのような動翼を備えたタービンに関する。また、本発明は、動翼の製造方法に関する。
従来から、燃焼ガス等から動力を得るタービンでは、タービンの動翼の破断が問題となっている。動翼が破断に至るまでには、き裂の発生と、き裂の進展という2つの段階がある。き裂の発生の原因は、腐食や、動翼に繰り返し荷重が作用することによって生じるいわゆるフレッティングによる疲労と考えられている。
き裂の進展の原因は、応力集中部における過大な応力であると考えられている。このような応力集中部における応力は、遠心力により生じる。動翼の材料として、耐高温材料であるNi基超合金(例えば、一般的にWaspaloyと称される合金)が広く用いられているが、Ni基超合金の比重は大きく、応力集中部に過大な応力が発生する一因となっている。
特開2006−97042号公報 特開2015−117626号公報
き裂の進展を防ぐ方法として動翼の軽量化などが検討されてきた。動翼を軽量化することにより、応力集中部における応力を低減し、き裂の進展を抑制することで、破断に至るまでの寿命を延ばすことが可能である。その一方で、動翼の機械的強度を確保する必要がある。
そこで、本発明は、機械的強度を十分に確保しつつ軽量化することにより、き裂の進展を抑制し、破断に至るまでの寿命を延ばすことができる、タービン用の動翼、およびそのような動翼を備えたタービンを提供することを目的とする。さらに、本発明は、そのような動翼の製造方法を提供することを目的とする。
一態様では、タービン用の動翼であって、翼部と、前記翼部の基端に形成され、かつ前記タービンのディスクに埋め込み可能な埋め込み部とを備え、前記埋め込み部は、前記埋め込み部の表面を含む外側埋め込み部と、前記外側埋め込み部の内側に位置する内側埋め込み部とを備えており、前記外側埋め込み部は、Ni基超合金から構成されており、前記内側埋め込み部は、TiAl合金から構成されている、動翼が提供される。
一態様では、前記翼部は中空形状を有している。
一態様では、前記翼部の内部空間の断面の重心位置は、前記翼部全体の断面の重心位置に一致しており、かつ前記翼部の内部空間の断面積は、前記翼部全体の断面積より、5%〜20%小さい。
一態様では、前記埋め込み部は、前記翼部の基端に形成されたプラットフォーム部と、先端部と、前記プラットフォーム部と前記先端部との間に形成された中間部から構成されており、前記プラットフォーム部は、前記プラットフォーム部の表面を含む外側プラットフォーム部と、前記外側プラットフォーム部の内側に位置する内側プラットフォーム部とを備えており、前記先端部は、前記先端部の表面を含む外側先端部と、前記外側先端部の内側に位置する内側先端部とを備えており、前記中間部は、前記中間部の表面を含む外側中間部と、前記外側中間部の内側に位置する内側中間部とを備えており、前記内側プラットフォーム部は、その断面の重心位置が、前記プラットフォーム部全体の断面の重心位置に一致するように配置されており、かつ前記内側プラットフォーム部の断面積は、前記プラットフォーム部全体の断面積より、5%〜20%小さく、前記内側先端部は、その断面の重心位置が、前記先端部全体の断面の重心位置に一致するように配置されており、かつ前記内側先端部の断面積は、前記先端部全体の断面積より、5%〜20%小さく、前記内側中間部は、その断面の重心位置が、前記中間部全体の断面の重心位置に一致するように配置されており、かつ前記内側中間部の断面の幅方向の長さは、前記中間部全体の断面の幅方向の長さより、5%〜20%短い。
一態様では、シャフトと、前記シャフトに固定されたディスクと、前記ディスクの半径方向外側に延びる、上記記載の動翼と、前記動翼に隣接して配置された静翼と、前記シャフト、前記ディスク、前記動翼、および前記静翼を収容するケーシングとを備えている、タービンが提供される。
一態様では、タービン用の動翼の製造方法であって、翼部を成形し、前記タービンのディスクに埋め込み可能な埋め込み部を、前記翼部の基端に成形し、前記埋め込み部を成形する工程は、Ni基超合金によって、外側埋め込み部を成形する工程と、TiAl合金によって、内側埋め込み部を成形する工程とを含み、前記外側埋め込み部は、前記埋め込み部の表面を含んでおり、前記内側埋め込み部は、前記外側埋め込み部の内側に位置している、製造方法が提供される。
一態様では、前記埋め込み部を成形する工程は、前記外側埋め込み部を構成する前記Ni基超合金を中空状に成形する工程と、前記内側埋め込み部を、前記外側埋め込み部の内部空間に挿入する工程とを含む。
一態様では、前記内側埋め込み部を、前記外側埋め込み部の内部空間に挿入する工程は、前記内側埋め込み部を、前記外側埋め込み部に形成され、かつ前記外側埋め込み部の内部空間に連通する開口を通じて、前記外側埋め込み部の内部空間に挿入する工程を含む。
一態様では、前記埋め込み部を成形する工程は、前記外側埋め込み部を構成する前記Ni基超合金を中空状に成形する工程と、前記内側埋め込み部を構成する溶解されたTiAl合金を、前記外側埋め込み部の内部空間に流し込む工程を含む。
一態様では、前記溶解されたTiAl合金を、前記外側埋め込み部の内部空間に流し込む工程は、前記溶解されたTiAl合金を、前記外側埋め込み部に形成され、かつ前記外側埋め込み部の内部空間に連通する通孔を通じて、前記外側埋め込み部の内部空間に流し込む工程を含む。
一態様では、前記埋め込み部を成形する工程は、三次元造形機によって、前記外側埋め込み部および前記内側埋め込み部を造形する工程を含む。
一態様では、前記埋め込み部を成形する工程は、前記埋め込み部の表面に沿った内面形状を有する鋳型を用意し、前記内側埋め込み部を、前記鋳型の内部空間に配置し、溶解されたNi基超合金を、前記鋳型の内部空間に流し込む工程を含む。
本発明によれば、Ni基超合金から構成された外側埋め込み部の内側に、比重が小さいTiAl合金を配置することで、動翼を軽量化することができる。さらに、タービンのディスクに接触する外側埋め込み部をNi基超合金とすることで、動翼の耐食性やフレッティング耐性を確保することができる。結果として、き裂の進展を抑制し、破断に至るまでの動翼の寿命を延ばすことができる。
本発明の一実施形態に係るタービンを示す模式図である。 動翼の一実施形態を示す斜視図である。 図1のディスクおよび動翼をシャフトの軸方向から見た模式図である。 図3の模式図において、埋め込み部をディスクの半径方向に切断したときの、埋め込み部の断面図である。 動翼の製造方法の一実施形態を説明するフローチャートである。 ステップ1−1の工程を説明する模式図である。 ステップ1−3およびステップ1−4の工程を説明する模式図である。 動翼の製造方法の他の実施形態を説明するフローチャートである。 ステップ2−1およびステップ2−2の工程を説明する模式図である。 動翼の製造方法のさらに他の実施形態を説明するフローチャートである。 動翼の製造方法のさらに他の実施形態を説明するフローチャートである。 鋳型を示す模式図である。 ステップ4−3の工程を説明する模式図である。 ステップ4−4の工程を説明する模式図である。 動翼の他の実施形態を示す斜視図である。 図15に示す翼部の断面図である。 動翼のさらに他の実施形態を示す斜視図である。 動翼の製造方法の他の実施形態を説明するフローチャートである。 動翼のさらに他の実施形態を示す埋め込み部の断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るタービンを示す模式図である。図1に示すタービンは、燃焼ガスから動力を得るガスタービンの一実施形態である。図1に示すように、タービン1は、回転可能に支持されたシャフト11と、シャフト11に固定された複数のディスク12と、ディスク12に固定された動翼列5と、動翼列5に隣接して配置された静翼列6と、シャフト11、ディスク12、動翼列5、および静翼列6を収容するケーシング19とを備えている。
ケーシング19は、上流側ケーシング19aと、下流側ケーシング19bとを含んでいる。ディスク12、動翼列5、および静翼列6は、上流側ケーシング19aの内部に収容されている。シャフト11は、下流側ケーシング19bの内部に収容されている。静翼列6は、上流側ケーシング19aの内周面に固定されている。
複数の動翼列5と複数の静翼列6は、シャフト11の軸CL方向において交互に配置されている。動翼列5は、ディスク12の周方向において一定の間隔で配置された複数の動翼15から構成されている。動翼15は、ディスク12の半径方向外側に延びている。静翼列6は、上流側ケーシング19aの内周方向において一定の間隔で配置された複数の静翼16から構成されている。静翼16は、上流側ケーシング19aの内周の半径方向内側に向かって延びている。
動翼列5と、動翼列5の上流側に配置された静翼列6の組み合わせによって、1つの段が形成されている。本実施形態のタービン1は、動翼列5と静翼列6の組み合わせを複数段備えているが、一実施形態では、動翼列5と静翼列6の組み合わせは1段でもよい。
燃焼ガスは、図1の矢印で示す方向に流れる。タービン1に流入する燃焼ガスの温度は、高温(約600℃)である。燃焼ガスは、放物線状のノーズコーン21に沿ってなめらかに加速され、さらに均一な流速分布となって静翼列6を通過し、動翼列5に導かれる。動翼15は、燃焼ガスを受け、ディスク12およびシャフト11と一体に回転する。最も下流側の動翼列5を通過した燃焼ガスは、排気ノズル22から排気される。
図2は、動翼15の一実施形態を示す斜視図である。動翼15は、燃焼ガスを受ける翼部25と、くさび形状の表面を有する埋め込み部30とを備えている。埋め込み部30は、翼部25の基端26に形成されている。より具体的には、埋め込み部30は、翼部25の基端26から翼部25の長手方向に延びている。
図3は、図1のディスク12および動翼15をシャフト11の軸CL方向から見た模式図である。ディスク12の外周面には、周方向において一定の間隔で複数の凹部12aが形成されている。凹部12aは、くさび形状を有している。埋め込み部30は、ディスク12の凹部12aに埋め込み可能に構成されている。動翼15は、埋め込み部30がディスク12の凹部12aに埋め込まれることによって、ディスク12に固定されている。翼部25が燃焼ガスを受けると、動翼15は、図3の矢印で示す方向に回転する。動翼15の上流側には、複数の静翼16が、上流側ケーシング19aの内周方向において一定の間隔で配置されているため、動翼15が回転したとき、静翼列6を通過した燃焼ガスによって、翼部25に繰り返し荷重が作用し、すべりが発生することでフレッティングが発生する。結果として、埋め込み部30の応力集中部Pに応力が発生する。
図4は、図3の模式図において、埋め込み部30をディスク12の半径方向に切断したときの、埋め込み部30の断面図である。埋め込み部30は、埋め込み部30の表面を含む外側埋め込み部31と、くさび形状を有する内側埋め込み部39とを備えている。外側埋め込み部31の外面は、ディスク12の凹部12aに埋め込み可能に構成されている。内側埋め込み部39は、外側埋め込み部31の内側に配置されている。
翼部25および外側埋め込み部31は、Ni基超合金から構成されている。Ni基超合金の一例として、一般的にWaspaloyと称される合金が挙げられる。内側埋め込み部39は、TiAl合金から構成されている。より具体的には、内側埋め込み部39に使用されるTiAl合金のTiの組成比は、40原子パーセント〜60原子パーセントであり、Alの組成比は、40原子パーセント〜60原子パーセントである。
TiAl合金は、Ni基超合金よりも比重が小さいため、内側埋め込み部39をTiAl合金とすることで、機械的強度を十分に確保しつつ、動翼15を軽量化することができる。さらに、ディスク12に接触する外側埋め込み部31をNi基超合金とすることで、動翼15の耐食性やフレッティング耐性を確保することができる。
また、Ni基超合金の一例であるWaspaloyの線膨張係数は、12.2×10−6/℃であり、TiAl合金の線膨張係数は、12.1×10−6/℃である。Ni基超合金の線膨張係数と、TiAl合金の線膨張係数は、近い値であるため、高温環境下において、埋め込み部30の熱膨張によって、外側埋め込み部31の内面と内側埋め込み部39の外面との間に隙間が発生しにくく、外側埋め込み部31と内側埋め込み部39同士の圧迫も少ない。
本実施形態によれば、応力集中部Pに発生する応力を小さくすることができ、き裂の進展を抑制し、破断に至るまでの動翼15の寿命を延ばすことができる。さらに本実施形態によれば、応力集中部Pに発生する応力が小さくなることにより、動翼15が固定されたディスク12は、高速で回転することができる。
以下、動翼15の製造方法の一実施形態について、図5に示すフローチャートに沿って説明する。図6は、ステップ1−1の工程を説明する模式図である。ステップ1−1では、翼部25、および外側埋め込み部31の一部を構成する外側埋め込み部本体32を成形する。外側埋め込み部31は、外側埋め込み部本体32と、後述する蓋34とから構成されている。翼部25および外側埋め込み部本体32は、Ni基超合金によって成形される。
具体的には、外側埋め込み部本体32は、翼部25の基端26に成形される。外側埋め込み部本体32は、外側埋め込み部31を構成するNi基超合金を中空状に成形することによって成形される。これにより、内部空間31aが形成される。翼部25および外側埋め込み部本体32の成形方法の例として、鋳造や、三次元造形機による造形等が挙げられる。三次元造形機の一例として、公知の3Dプリンタが挙げられる。3Dプリンタによる製造方法の公知例として、金属粉材料にレーザビームを照射して、金属材料を溶融、凝固させて積層造形する方法(例えば、レーザー粉体肉盛溶接)や金属粉材料に電子ビームを照射して、金属材料を溶融、凝固させて積層造形する方法などが挙げられる。
ステップ1−2では、内側埋め込み部39を成形する。内側埋め込み部39は、TiAl合金によって成形される。具体的には、内側埋め込み部39は、TiAl合金をくさび状に成形することによって、成形される。内側埋め込み部39の成形方法の例として、鋳造や、三次元造形機による造形等が挙げられる。
図7は、ステップ1−3およびステップ1−4の工程を説明する模式図である。ステップ1−3では、内側埋め込み部39を、外側埋め込み部31の内部空間31aに挿入する。具体的には、外側埋め込み部本体32に形成され、かつ外側埋め込み部31の内部空間31aに連通する開口31bを通じて、内側埋め込み部39を、外側埋め込み部31の内部空間31aに挿入する。内部空間31aは、くさび形状を有している。
ステップ1−4では、蓋34を外側埋め込み部本体32の端面36に固定することによって、開口31bを閉じる。蓋34は、Ni基超合金によって成形される。蓋34の成型方法の例として、鋳造や、三次元造形機による造形等が挙げられる。蓋34は、外側埋め込み部31の一部を構成する。一実施形態では、ステップ1−4を実施しなくてもよい。ステップ1−4を実施しない場合、外側埋め込み部31は、外側埋め込み部本体32のみから構成される。上記ステップ1−1〜1−4により、埋め込み部30が翼部25の基端26に成形される。
次に、動翼15の製造方法の他の実施形態について、図8に示すフローチャートに沿って説明する。図9は、ステップ2−1およびステップ2−2の工程を説明する模式図である。ステップ2−1では、図5を参照して説明したステップ1−1と同様の方法で、翼部25および外側埋め込み部31を成形する。具体的には、外側埋め込み部31は、翼部25の基端26に成形される。外側埋め込み部31は、外側埋め込み部31を構成するNi基超合金を中空状に成形することによって成形される。ステップ2−1では、さらに、外側埋め込み部31の先端に、外側埋め込み部31の内部空間31aに連通する複数の通孔31cが形成される。内部空間31aは、くさび形状を有している。
ステップ2−2では、内側埋め込み部39を構成する溶解されたTiAl合金を、外側埋め込み部31の内部空間31aに流し込む。具体的には、溶解されたTiAl合金を、通孔31cを通じて、内部空間31aに流し込む。
ステップ2−3では、TiAl合金が流し込まれた動翼15を冷却し、TiAl合金を凝固させる。TiAl合金を凝固させることによって、内部空間31aの形状に沿って内側埋め込み部39が成形される。上記ステップ2−1〜2−3により、埋め込み部30が翼部25の基端26に成形される。
一実施形態では、図5を参照して説明した製造方法のステップ1−2およびステップ1−3の工程において、内側埋め込み部39を外側埋め込み部31の内部空間31aに挿入する代わりに、溶解されたTiAl合金を、図7に示す開口31bを通じて外側埋め込み部31の内部空間31aに流し込むことによって、内側埋め込み部39を成形してもよい。
次に、動翼15の製造方法のさらに他の実施形態について、図10に示すフローチャートに沿って説明する。本実施形態では、三次元造形機(図示せず)によって、外側埋め込み部31および内側埋め込み部39を含む動翼15全体が造形される。具体的には、ステップ3−1では、Ni基超合金とTiAl合金の金属粉材料を用意する。ステップ3−2では、ステップ3−1で用意した金属粉材料にレーザビームまたは電子ビームを照射して、金属粉材料を溶融、凝固させて、外側埋め込み部31および内側埋め込み部39を含む動翼15全体を積層造形することによって、動翼15全体を造形する。このような積層造形方法は公知の方法であり、三次元造形機の一例として、公知の3Dプリンタが挙げられる。
ステップ3−2では、翼部25および外側埋め込み部31は、Ni基超合金によって成形される。内側埋め込み部39は、TiAl合金によって成形される。埋め込み部30は、翼部25の基端26に成形される。
次に、動翼15の製造方法のさらに他の実施形態について、図11に示すフローチャートに沿って説明する。ステップ4−1では、図5を参照して説明したステップ1−2と同様の方法で、内側埋め込み部39を成形する。ステップ4−2では、図12に示すように、埋め込み部30および翼部25の表面に沿った内面形状を有する鋳型90を用意する。ステップ4−3では、図13に示すように、内側埋め込み部39を、鋳型90の内部空間90aに配置する。図13は、内側埋め込み部39を内側埋め込み部39の長手方向から見た模式図である。
ステップ4−4では、図14に示すように、外側埋め込み部31および翼部25を構成する溶解されたNi基超合金を、鋳型90の内部空間90aに流し込む。具体的には、溶解されたNi基超合金を、鋳型90に形成された流入口90bを通じて、内部空間90aに流し込む。
ステップ4−5では、Ni基超合金が流し込まれた鋳型90を冷却し、Ni基超合金を凝固させる。TiAl合金を凝固させることによって、内側埋め込み部39および鋳型90の内面形状に沿って外側埋め込み部31が成形される。さらに、鋳型90の内面形状に沿って翼部25が成形される。上記ステップ4−1〜4−5により、埋め込み部30が翼部25の基端26に成形される。
図15は、動翼15の他の実施形態を示す斜視図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図2乃至図4を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態の翼部25は、中空形状を有している。より具体的には、翼部25は、内部空間25aを有している。
図16は、図15に示す翼部25の断面図である。図16の切断方向は、図3の模式図におけるディスク12の周方向である。翼部25の内部空間25aの断面25cの重心位置Xは、内部空間25aを含む翼部25全体の断面25dの重心位置Yに一致している。本明細書では、断面を薄い板状の物体と考えたときの重心の位置を、断面の重心位置と定義する。さらに、断面25cの断面積は、断面25dの断面積より、5%〜20%小さい。
翼部25を中空化することにより、動翼15をさらに軽量化することができる。しかし、内部空間25aを大きくしすぎると機械的強度が保てなくなる。断面25cの断面積を、断面25dの断面積より、5%〜20%小さくすることによって、翼部25の機械的強度を保ちつつ、効率的に動翼15を軽量化することができる。本実施形態の動翼15は、図5、図8、図10、図11を参照して説明した製造方法と同様の方法で製造することができる。一実施形態では、翼部25の内部空間25aは、TiAl合金で満たされていてもよい。
図17は、動翼15のさらに他の実施形態を示す斜視図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図15および図16を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態の翼部25は、翼部本体27と蓋28から構成されており、外側埋め込み部31には、外側埋め込み部31の内部空間31aに連通する通孔31dが形成されている。内部空間25aと内部空間31aは、通孔31dを通じて連通している。
本実施形態の動翼15は、図5、図8、図10、図11を参照して説明した製造方法と同様の方法で製造することができる。次に、本実施形態の動翼15の製造方法の他の実施形態について、図18に示すフローチャートに沿って説明する。
ステップ5−1では、図5を参照して説明したステップ1−1と同様の方法で、翼部本体27および外側埋め込み部31を成形する。外側埋め込み部31は、外側埋め込み部31を構成するNi基超合金を中空状に成形することによって成形される。翼部本体27は、翼部25を構成するNi基超合金を中空状に成形することによって成形される。
ステップ5−2では、内側埋め込み部39を構成する溶解されたTiAl合金を、外側埋め込み部31の内部空間31aに流し込む。具体的には、溶解されたTiAl合金を、内部空間25aおよび通孔31dを通じて、内部空間31aに流し込む。
ステップ5−3では、TiAl合金が流し込まれた動翼15を冷却し、TiAl合金を凝固させる。TiAl合金を凝固させることによって、内部空間31aの形状に沿って内側埋め込み部39が成形される。上記ステップ5−1〜5−3により、埋め込み部30が翼部25の基端26に成形される。
ステップ5−4では、蓋28を翼部本体27の端面27bに固定する。蓋28は、Ni基超合金によって成形される。蓋28の成型方法の例として、鋳造や、三次元造形機による造形等が挙げられる。一実施形態では、ステップ5−4を実施しなくてもよい。ステップ5−4を実施しない場合、翼部25は、翼部本体27のみから構成される。
図19は、動翼15のさらに他の実施形態を示す埋め込み部30の断面図である。図19の切断方向は、図3の模式図におけるディスク12の半径方向である。特に説明しない本実施形態の構成は、図2乃至図4を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態の埋め込み部30は、翼部25の基端26に形成されたプラットフォーム部40と、先端部50と、プラットフォーム部40と先端部50との間に形成された中間部60から構成されている。
プラットフォーム部40は、プラットフォーム部40の表面を含む外側プラットフォーム部41と、外側プラットフォーム部41の内側に位置する内側プラットフォーム部49とを備えている。先端部50は、先端部50の表面を含む外側先端部51と、外側先端部51の内側に位置する内側先端部59とを備えている。中間部60は、中間部60の表面を含む外側中間部61と、外側中間部61の内側に位置する内側中間部69とを備えている。
内側プラットフォーム部49と、内側中間部69とは第1接続部79によって接続されており、内側中間部69と内側先端部59とは第2接続部89によって接続されている。言い換えれば、外側埋め込み部31は、外側プラットフォーム部41と、外側先端部51と、外側中間部61から一体に構成されており、内側埋め込み部39は、内側プラットフォーム部49と、内側先端部59と、内側中間部69と、第1接続部79と、第2接続部89から一体に構成されている。
内側プラットフォーム部49は、内側プラットフォーム部49の断面49aの重心位置Rが、内側プラットフォーム部49を含むプラットフォーム部40全体の断面40aの重心位置Sに一致するように配置されている。さらに、断面49aの断面積は、断面40aの断面積より、5%〜20%小さい。
内側先端部59は、内側先端部59の断面59aの重心位置Tが、内側先端部59を含む先端部50全体の断面50aの重心位置Uに一致するように配置されている。さらに、断面59aの断面積は、断面50aの断面積より、5%〜20%小さい。
内側中間部69は、内側中間部69の断面69aの重心位置Vが、内側中間部69を含む中間部60全体の断面60aの重心位置Wに一致するように配置されている。さらに、断面69aの幅方向の長さL1は、断面60aの幅方向の長さL2より、5%〜20%短い。
本実施形態では、埋め込み部30を上述の構成とすることによって、動翼15の機械的強度を保ちつつ、効率的に動翼15を軽量化することができる。本実施形態の埋め込み部30は、図15乃至図17を参照して説明した動翼15にも適用することができる。図19と、図15、図17のいずれかとの組み合わせは、埋め込み部30の応力集中部Pに発生する応力を25%程度低下させることができる。結果として、動翼15が固定されたディスク12は、より高速で回転することができる。図19を参照して説明した動翼15は、図5、図8、図10、図11を参照して説明した製造方法と同様の方法で製造することができる。
上述した各実施形態の動翼15の構成は、回転機械全般に適用することができる。一例として、原動機により発生したトルクを羽根車に伝達し、羽根車を回転させることで液体を移送するポンプ装置の羽根車の構造に適用してもよい。
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
1 タービン
5 動翼列
6 静翼列
11 シャフト
12 ディスク
12a 凹部
15 動翼
16 静翼
19 ケーシング
19a 上流側ケーシング
19b 下流側ケーシング
21 ノーズコーン
22 排気ノズル
25 翼部
25a 内部空間
25c 断面
25d 断面
26 基端
27 翼部本体
27b 端面
28 蓋
30 埋め込み部
31 外側埋め込み部
31a 内部空間
31b 開口
31c 通孔
31d 通孔
32 外側埋め込み部本体
34 蓋
36 端面
39 内側埋め込み部
40 プラットフォーム部
40a 断面
41 外側プラットフォーム部
49 内側プラットフォーム部
49a 断面
50 先端部
50a 断面
51 外側先端部
59 内側先端部
59a 断面
60 中間部
60a 断面
61 外側中間部
69 内側中間部
69a 断面
79 第1接続部
89 第2接続部
90 鋳型
90a 内部空間
90b 流入口

Claims (12)

  1. タービン用の動翼であって、
    翼部と、
    前記翼部の基端に形成され、かつ前記タービンのディスクに埋め込み可能な埋め込み部とを備え、
    前記埋め込み部は、
    前記埋め込み部の表面を含む外側埋め込み部と、
    前記外側埋め込み部の内側に位置する内側埋め込み部とを備えており、
    前記外側埋め込み部は、Ni基超合金から構成されており、
    前記内側埋め込み部は、TiAl合金から構成されている、動翼。
  2. 前記翼部は中空形状を有している、請求項1に記載の動翼。
  3. 前記翼部の内部空間の断面の重心位置は、前記翼部全体の断面の重心位置に一致しており、かつ前記翼部の内部空間の断面積は、前記翼部全体の断面積より、5%〜20%小さい、請求項2に記載の動翼。
  4. 前記埋め込み部は、前記翼部の基端に形成されたプラットフォーム部と、先端部と、前記プラットフォーム部と前記先端部との間に形成された中間部から構成されており、
    前記プラットフォーム部は、前記プラットフォーム部の表面を含む外側プラットフォーム部と、前記外側プラットフォーム部の内側に位置する内側プラットフォーム部とを備えており、
    前記先端部は、前記先端部の表面を含む外側先端部と、前記外側先端部の内側に位置する内側先端部とを備えており、
    前記中間部は、前記中間部の表面を含む外側中間部と、前記外側中間部の内側に位置する内側中間部とを備えており、
    前記内側プラットフォーム部は、その断面の重心位置が、前記プラットフォーム部全体の断面の重心位置に一致するように配置されており、かつ前記内側プラットフォーム部の断面積は、前記プラットフォーム部全体の断面積より、5%〜20%小さく、
    前記内側先端部は、その断面の重心位置が、前記先端部全体の断面の重心位置に一致するように配置されており、かつ前記内側先端部の断面積は、前記先端部全体の断面積より、5%〜20%小さく、
    前記内側中間部は、その断面の重心位置が、前記中間部全体の断面の重心位置に一致するように配置されており、かつ前記内側中間部の断面の幅方向の長さは、前記中間部全体の断面の幅方向の長さより、5%〜20%短い、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の動翼。
  5. シャフトと、
    前記シャフトに固定されたディスクと、
    前記ディスクの半径方向外側に延びる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の動翼と、
    前記動翼に隣接して配置された静翼と、
    前記シャフト、前記ディスク、前記動翼、および前記静翼を収容するケーシングとを備えている、タービン。
  6. タービン用の動翼の製造方法であって、
    翼部を成形し、
    前記タービンのディスクに埋め込み可能な埋め込み部を、前記翼部の基端に成形し、
    前記埋め込み部を成形する工程は、Ni基超合金によって、外側埋め込み部を成形する工程と、TiAl合金によって、内側埋め込み部を成形する工程とを含み、
    前記外側埋め込み部は、前記埋め込み部の表面を含んでおり、
    前記内側埋め込み部は、前記外側埋め込み部の内側に位置している、製造方法。
  7. 前記埋め込み部を成形する工程は、前記外側埋め込み部を構成する前記Ni基超合金を中空状に成形する工程と、前記内側埋め込み部を、前記外側埋め込み部の内部空間に挿入する工程とを含む、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記内側埋め込み部を、前記外側埋め込み部の内部空間に挿入する工程は、前記内側埋め込み部を、前記外側埋め込み部に形成され、かつ前記外側埋め込み部の内部空間に連通する開口を通じて、前記外側埋め込み部の内部空間に挿入する工程を含む、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記埋め込み部を成形する工程は、前記外側埋め込み部を構成する前記Ni基超合金を中空状に成形する工程と、前記内側埋め込み部を構成する溶解されたTiAl合金を、前記外側埋め込み部の内部空間に流し込む工程を含む、請求項6に記載の製造方法。
  10. 前記溶解されたTiAl合金を、前記外側埋め込み部の内部空間に流し込む工程は、前記溶解されたTiAl合金を、前記外側埋め込み部に形成され、かつ前記外側埋め込み部の内部空間に連通する通孔を通じて、前記外側埋め込み部の内部空間に流し込む工程を含む、請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記埋め込み部を成形する工程は、
    三次元造形機によって、前記外側埋め込み部および前記内側埋め込み部を造形する工程を含む、請求項6に記載の製造方法。
  12. 前記埋め込み部を成形する工程は、
    前記埋め込み部の表面に沿った内面形状を有する鋳型を用意し、
    前記内側埋め込み部を、前記鋳型の内部空間に配置し、
    溶解されたNi基超合金を、前記鋳型の内部空間に流し込む工程を含む、請求項6に記載の製造方法。
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