JP2020082912A - 車両用空調装置 - Google Patents

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萌香 松島
一志 好則
Yoshinori Isshi
好則 一志
剛史 脇阪
Takashi Wakizaka
剛史 脇阪
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【課題】内気温を用いた空調制御の応答性を状況に応じて適切に向上させることのできる車両用空調装置を提供する。【解決手段】車両用空調装置1は、送風機32と、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置10を有しており、送風機32で送風された送風空気を温度調節して車室の内部に送風する。車両用空調装置1は、内気温センサ51によって検出された内気温検出値Trdに相関を有する内気温制御値Trcを用いて、冷凍サイクル装置10及び送風機32等の作動を制御する。内気温制御値Trcは、直前期における内気温制御値Trcに対して、第1補正係数αと変化量ddtを乗算した補正量を加算して求められる。第1補正係数αは、内気温センサ51を取り巻く状況が内気温検出値Trdに与える影響の大きさを1以上の数値で示している。変化量ddtは、直前期における内気温制御値Trcに対する内気温検出値Trdの差を示している。【選択図】図4

Description

本発明は、冷凍サイクル装置を有する車両用空調装置に関する。
従来、車両用空調装置では、内気温センサ等で検出した内気温を用いた空調制御が行われており、この空調制御の応答性を高めることが要望されている。
この点に関して為された技術として、特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1の車両用空調装置では、アスピレータを用いて車室内の空気を吸引することで内気温センサの検出精度を高めて、空調制御の応答性を向上させている。
特開2005−280433号公報
特許文献1の技術では、内気温を用いた空調制御の応答性を向上させる為には、車両にアスピレータを配置する必要性が生じ、部品点数が増大してしまう。又、アスピレータの配置スペースが他の車載機器の配置に影響を与えてしまうことが考えられる。この為、内気温を用いた空調制御の応答性を他の方法で向上させることが望まれている。
本発明は、これらの点に鑑みてなされており、内気温を用いた空調制御の応答性を状況に応じて適切に向上させることのできる車両用空調装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、請求項1に記載の車両用空調装置は、
車室の内部に対して送風空気を送風する送風機(32、72)と、
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)を含み、送風空気の温度を調整する蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10)と、
車室の内部における内気温を検出する内気温検出部(51、80)と、
内気温検出部にて検出された内気温検出値(Trd)に相関を有する物理量である内気温制御値(Trc)を用いて、送風機及び前記圧縮機を含む構成機器の作動を制御する空調制御部(50)と、を有し、
内気温検出部を取り巻く状況が内気温検出値に与える影響の大きさを1以上の数値で示す補正係数(α)を決定する補正係数決定部(50a)と、
予め定められた直前期における内気温制御値に対する内気温検出値の差を示す変化量(ddt)を特定する変化量特定部(50b)と、
直前期における内気温制御値に対して、補正係数と変化量を乗算した補正量を加算して、今回の内気温制御値を決定する制御値決定部(50c)と、を有する。
当該車両用空調装置は、補正係数決定部で決定された補正係数と、変化量特定部で特定された変化量を用いた補正を行うことで、内気温検出値に相関を有する内気温制御値を決定することができる。補正係数は、内気温検出部を取り巻く状況が内気温検出値に与える影響の大きさを1以上の数値で示し、変化量は、予め定められた直前期における内気温制御値に対する内気温検出値の差を示す。
この為、当該車両用空調装置は、制御値決定部にて補正された内気温制御値を、内気温検出部で検出される内気温検出値よりも内気温検出部の状況に即した数値とすることができ、この内気温制御値を用いて、車室内の空調制御を行うことができる。従って、当該車両用空調装置は、内気温を用いた空調制御の応答性を状況に応じて適切に向上させることができる。
尚、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態に係る車両用空調装置の全体構成図である。 第1実施形態に係る車両用空調装置の制御系を示すブロック図である。 第1実施形態に係る車両用空調装置の制御処理のうち、自動空調制御を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る車両用空調装置の制御処理のうち、センサ検出値を補正する為のフローチャートである。 第2実施形態に係る車両用空調装置の全体構成図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。以下の実施形態において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。又、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。
以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
先ず、本発明の第1実施形態について、図1〜図4を参照しつつ説明する。第1実施形態に係る車両用空調装置1は、内燃機関(エンジン)EGおよび走行用電動モータの双方から車両走行用の駆動力を得るハイブリッド車両に適用されている。当該ハイブリッド車両は、プラグインハイブリッド車両であり、車両停車時に外部電源(商用電源)から供給された電力を、車両に搭載されたバッテリ67に充電可能に構成されている。
プラグインハイブリッド車両では、車両走行開始前の車両停車時に外部電源からバッテリ67に充電しておくことができる。その為、バッテリ67の蓄電残量SOCが予め定めた走行用基準残量以上になっているときには、EV走行モードとなる。EV運転モードとは、主に走行用電動モータの駆動力によって走行する運転モードである。
一方、バッテリ67の蓄電残量SOCが走行用基準残量よりも低くなっている場合は、HV走行モードとなる。HV走行モードは、主にエンジンEGの駆動力によって走行する運転モードである。
プラグインハイブリッド車両では、このようにEV走行モードとHV走行モードとを切り替えることによって、車両走行用の駆動力をエンジンEGだけから得る通常の車両よりも燃料消費量を低減させて、車両燃費を向上させることができる。尚、このようなEV走行モードとHV走行モードとの切り替えは、後述する駆動力制御装置65によって制御される。
当該プラグインハイブリッド車両において、エンジンEGから出力される駆動力は、車両走行用として用いられるだけでなく、発電機66を作動させるためにも用いられる。そして、発電機66にて発電された電力及び外部電源から供給された電力は、バッテリ67に蓄えることができる。バッテリ67に蓄えられた電力は、走行用電動モータだけではなく、車両用空調装置1を構成する電動式構成機器等をはじめとする各種車載機器に供給することができる。
次に、第1実施形態に係る車両用空調装置1の具体的構成について、図1、図2を参照しつつ説明する。第1実施形態に係る車両用空調装置1は、冷凍サイクル装置10と、室内空調ユニット30と、図2に示す空調制御装置50等を有している。
先ず、室内空調ユニット30について説明する。室内空調ユニット30は、空調風を車室内へ吹き出すための各種構成機器を一体化(即ち、ユニット化)したものである。室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されている。当該室内空調ユニット30は、その外殻を形成するケーシング31内に、送風機32、蒸発器15、ヒータコア36等を収容している。
ケーシング31は、或る程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。そして、ケーシング31は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成している。ケーシング31における空気通路の内部には、送風機32、蒸発器15、エアミックスドア39、ヒータコア36、PTCヒータ37等が配置されている。
ケーシング31の送風空気流れ最上流側には、内外気切替装置20が配置されている。内外気切替装置20は、送風空気における車室内空気(即ち、内気)の導入量と車室外空気(即ち、外気)の導入量との導入割合を調整する。
内外気切替装置20には、内気導入口21及び外気導入口22が形成されている。内気導入口21は、ケーシング31内に内気を導入させるための開口部である。外気導入口22は、ケーシング31内に外気を導入させるための開口部である。更に、内外気切替装置20の内部には、内外気切替ドア23が配置されている。
内外気切替ドア23は、内気導入口21の開口面積及び外気導入口22の開口面積を連続的に変化させて、吸込口モードを切り替えるドア部材である。内外気切替ドア23は、内外気切替ドア用の電動アクチュエータ62によって駆動される。当該電動アクチュエータ62は、後述する空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
そして、内外気切替ドア23によって切り替えられる吸込口モードとしては、全内気モード、全外気モード、及び内外気混入モードがある。全内気モードでは、内外気切替ドア23は、内気導入口21を全開とすると共に、外気導入口22を全閉とするように制御される。これにより、ケーシング31内の空気通路に対して、内気導入口21から内気が導入される。
全外気モードでは、内外気切替ドア23は、内気導入口21を全閉とすると共に、外気導入口22を全開とするように制御される。この結果、ケーシング31内の空気通路に対して、外気導入口22から外気が導入される。
更に、内外気混入モードでは、内外気切替ドア23は、内気導入口21及び外気導入口22の開口面積を連続的に変化させるように制御される。これにより、ケーシング31内の空気通路へ導入される内気の風量と外気の風量との風量割合が連続的に調整される。
ケーシング31内の内外気切替装置20の空気流れ下流側には、送風機32が配置されている。送風機32は、内外気切替装置20を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する。送風機32は、遠心多翼ファンを電動モータにて駆動する電動送風機により構成されている。送風機32は、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(即ち、送風能力)が制御される。
図1に示すように、送風機32の空気流れ下流側には、蒸発器15が配置されている。蒸発器15は、冷凍サイクル装置10において、その内部を流通する低圧冷媒と送風機32から送風された送風空気とを熱交換させて送風空気を冷却する。即ち、蒸発器15は、送風空気を冷却する為の冷却用熱交換器である。そして、蒸発器15は、圧縮機11、凝縮器12、レシーバ13及び膨張弁14等と共に、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置10を構成している。
ここで、第1実施形態に係る冷凍サイクル装置10の主要な構成について説明する。図1に示すように、冷凍サイクル装置10は、圧縮機11、凝縮器12、レシーバ13、膨張弁14、蒸発器15を、冷媒配管を介して環状に接続して構成されている。
圧縮機11は、エンジンルーム内に配置されており、冷凍サイクル装置10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。当該圧縮機11は、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構11aを電動モータ11bにて駆動する電動圧縮機として構成されている。
電動モータ11bは、インバータ61から出力される交流電圧によって、その回転数が制御される交流モータである。又、インバータ61は、空調制御装置50から出力される制御信号に応じた周波数の交流電圧を出力する。これにより、電動モータ11bの回転数が制御されて、圧縮機11の冷媒吐出能力が調整される。
圧縮機11の吐出口には、凝縮器12の冷媒入口側が接続されている。凝縮器12は、エンジンルーム内の車両前方側に配置されている。凝縮器12は、高圧冷媒と送風ファン12aから送風された外気とを熱交換させ、高圧冷媒を放熱させて凝縮させる放熱用熱交換器である。送風ファン12aは、電動式送風機であり、室外送風機として機能する。送風ファン12aの回転数(即ち、送風能力)は、空調制御装置50から出力される制御電圧によって制御される。
そして、凝縮器12の冷媒出口には、レシーバ13の入口側が接続されている。レシーバ13は、凝縮器12にて凝縮された冷媒の気液を分離して、サイクルの余剰冷媒を蓄えると共に、分離された液相冷媒を下流側に流出させる気液分離器である。
レシーバ13の液相冷媒出口には、膨張弁14の入口側が接続されている。膨張弁14は、エンジンルーム内に配置されている。膨張弁14は、レシーバ13から流出した液相冷媒を減圧膨張させる減圧部である。第1実施形態では、膨張弁14として、蒸発器15出口側冷媒の過熱度が予め定めた基準過熱度に近づくように冷媒流量を調整する温度式膨張弁を採用している。そして、膨張弁14の出口には、蒸発器15の冷媒入口側が接続されている。蒸発器15の冷媒出口には、圧縮機11の冷媒吸入口側が接続されている。
これにより、圧縮機11の吐出口→凝縮器12→レシーバ13→膨張弁14→蒸発器15→圧縮機11の吸入口の順に冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成されている。以上が第1実施形態に係る冷凍サイクル装置10の主要構成の説明である。以下、室内空調ユニット30の説明に戻る。
ケーシング31における蒸発器15の空気流れ下流側には、冷風加熱用通路33及び冷風バイパス通路34が、送風空気流れに対して互いに並列的に形成されている。冷風加熱用通路33は、蒸発器15を通過した送風空気を加熱する為の空気通路である。冷風バイパス通路34は、蒸発器15を通過した送風空気の流れに関して、冷風加熱用通路33をバイパスさせる為の空気通路である。
更に、冷風加熱用通路33及び冷風バイパス通路34の空気流れ下流側には、混合空間35が形成されている。混合空間35は、冷風加熱用通路33から流出した送風空気と、冷風バイパス通路34から流出した送風空気とを混合させる空間である。
冷風加熱用通路33には、蒸発器15を通過した後の空気を加熱する為のヒータコア36及びPTCヒータ37が、送風空気の流れ方向に向かって、この順に配置されている。ヒータコア36及びPTCヒータ37は、蒸発器15通過後の空気を加熱する加熱部として機能する。
ヒータコア36は、エンジンEGを冷却するエンジン冷却水(以下、冷却水という。)と冷風加熱用通路33に流入した送風空気とを熱交換させて、送風空気を加熱する加熱用熱交換器である。
具体的には、ヒータコア36とエンジンEGは、冷却水配管41によって接続されており、冷却水回路40を構成している。冷却水回路40においては、ヒータコア36とエンジンEGとの間を冷却水が循環する。
更に、冷却水回路40には、冷却水を循環させる為の冷却水ポンプ40aが配置されている。冷却水ポンプ40aは、電動式の水ポンプであり、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(すなわち、水圧送能力)が制御される。
PTCヒータ37は、PTC素子(即ち、正特性サーミスタ)を有する電気ヒータである。PTCヒータ37は、空調制御装置50からPTC素子に電力が供給されることで発熱し、ヒータコア36通過後の空気を加熱する補助加熱部である。
そして、PTCヒータ37は、複数(例えば、3本)のPTC素子を有している。この為、空調制御装置50が、電力を供給するPTC素子の本数を変更することによって、PTCヒータ37全体としての加熱能力を変化させることができる。
従って、冷風バイパス通路34は、蒸発器15通過後の空気を、ヒータコア36及びPTCヒータ37を通過させることなく、混合空間35に導くための空気通路と言うことができる。又、混合空間35にて混合された送風空気の温度は、冷風加熱用通路33を流通する送風空気(即ち、温風)の風量と冷風バイパス通路34を流通する送風空気(即ち、冷風)の風量との風量割合によって変化させることができる。
そこで、蒸発器15の空気流れ下流側であって、冷風加熱用通路33及び冷風バイパス通路34の入口側には、エアミックスドア39が配置されている。エアミックスドア39は、冷風加熱用通路33の入口の開口面積及び冷風バイパス通路34の入口の開口面積を連続的に変化させる。従って、エアミックスドア39の開度を変化させることで、混合空間35にて混合される送風空気の温度を調整することができる。
そして、エアミックスドア39は、エアミックスドア用の電動アクチュエータ63によって駆動される。この電動アクチュエータ63は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
ケーシング31の送風空気流れ最下流部には、複数の吹出口が形成されている。これらの吹出口は、温度調整された送風空気を混合空間35から車室内側へ流出させる為の開口部である。具体的に、複数の吹出口としては、フェイス吹出口24、フット吹出口25、デフロスタ吹出口26が設けられている。
フェイス吹出口24は、前席(即ち、運転席Sd及び助手席Sp)側に着座した乗員の上半身に向けて空調風を吹き出す為の吹出口である。フット吹出口25は、前席側に着座した乗員の足下に向けて空調風を吹き出す為の吹出口である。デフロスタ吹出口26は、車両前面に配置された窓ガラスWの内側面に向けて空調風を吹き出す為の吹出口である。
又、フェイス吹出口24、フット吹出口25及びデフロスタ吹出口26の空気流れ上流側には、それぞれ、フェイスドア24a、フットドア25a及びデフロスタドア26aが配置されている。フェイスドア24aは、フェイス吹出口24の開口面積を調整する。フットドア25aは、フット吹出口25の開口面積を調整する。そして、デフロスタドア26aは、デフロスタ吹出口26の開口面積を調整する。
フェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26aは、吹出口モードを切り替える吹出口モードドアを構成しており、それぞれの吹出口の開口面積を調整することによって吹出口モードを切り替える吹出口切替部として機能する。
そして、フェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26aは、図示しないリンク機構を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータ64に連結されて連動して回転操作される。尚、電動アクチュエータ64も、空調制御装置50から出力される制御信号によってその作動が制御される。
当該車両用空調装置1は、フェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26aによって、複数の吹出口モードに切り替えることができる。複数の吹出口モードとしては、フェイスモード(FACE)、バイレベルモード(B/L)、フットモード(FOOT)、フットデフロスタモード(F/D)、デフロスタモード(DEF)がある。
フェイスモードは、フェイス吹出口24を全開してフェイス吹出口24から乗員の上半身に向けて空調風を吹き出す吹出口モードである。バイレベルモードは、フェイス吹出口24およびフット吹出口25の双方を開口して乗員の上半身及び足下の双方へ向けて空調風を吹き出す吹出口モードである。フットモードは、フット吹出口25を全開すると共にデフロスタ吹出口26を小開度だけ開口して、フット吹出口25から主に空調風を吹き出す吹出口モードである。
そして、フットデフロスタモードは、フット吹出口25及びデフロスタ吹出口26を同程度開口して、フット吹出口25及びデフロスタ吹出口26の双方から空調風を吹き出す吹出口モードである。デフロスタモードは、デフロスタ吹出口26を全開してデフロスタ吹出口26から車両前面に配置された窓ガラスWの内面に向けて空気を吹き出す吹出口モードである。
次に、第1実施形態に係る車両用空調装置1の制御系について、図2を参照しつつ説明する。第1実施形態に係るプラグインハイブリッド車両には、空調制御装置50、駆動力制御装置65等の複数の制御装置(制御部)が搭載されている。これらの空調制御装置50、駆動力制御装置65は、CPU、ROM及びRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。空調制御装置50、駆動力制御装置65は、ROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種機器の作動を制御する。
駆動力制御装置65は、エンジンEGを構成する各種エンジン制御機器、走行用電動モータへ交流電流を供給する走行用インバータ等の作動を制御する駆動力制御部である。駆動力制御装置65は、乗員が車両システムの起動スイッチ(以下、IGスイッチという)を投入した際に、バッテリ67から電力が供給されて起動する。そして、入力側に接続された駆動力制御用のセンサ群の検出信号等に基づいて、各種エンジン制御機器、走行用インバータ等の作動を制御する。
ここで、車両システムとは、走行用の駆動力に関係するエンジンEG、走行用電動モータ、及び駆動力制御装置65等に限定されるものではなく、車両用空調装置1等を含む車両に搭載された制御対象システム全体を意味している。
空調制御装置50は、車両用空調装置1を構成する各種空調制御機器の作動を制御する空調制御部である。空調制御装置50は、乗員がIGスイッチを投入(ON)した際に、バッテリ67から電力が供給されて起動する。
空調制御装置50の出力側には、送風機32、圧縮機11の電動モータ11b用のインバータ61、送風ファン12a、PTCヒータ37、冷却水ポンプ40a、各種の電動アクチュエータ等が接続されている。各種電動アクチュエータには、電動アクチュエータ62、電動アクチュエータ63、電動アクチュエータ64が含まれている。
空調制御装置50の入力側には、種々の空調制御用のセンサ群が接続されている。空調制御用のセンサ群は、内気温センサ51、外気温センサ52、日射センサ53、吐出温度センサ54、吐出圧力センサ55、蒸発器温度センサ56、冷却水温度センサ57、窓表面湿度センサ58、外気湿度センサ59等を含んでいる。
ここで、内気温センサ51は、車室内温度(即ち、内気温Tr)を検出する内気温検出部である。当該内気温センサ51は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)における車室内側に配置されており、前席に着座した乗員の膝元周辺に位置している。
又、外気温センサ52は、車室外温度(即ち、外気温Tam)を検出する外気温検出部である。日射センサ53は、車室内の日射量Tsを検出する日射量検出部である。吐出温度センサ54は、圧縮機11の吐出冷媒温度Tdを検出する吐出温度検出部である。吐出圧力センサ55は、圧縮機11の吐出冷媒圧力Pdを検出する吐出圧力検出部である。
そして、蒸発器温度センサ56は、蒸発器15から吹き出される吹出空気温度TE(実質的には、蒸発器温度)を検出する蒸発器温度検出部である。蒸発器温度センサ56は蒸発器15の熱交換フィン温度を検出している。尚、蒸発器温度センサ56として、蒸発器15のその他の部位の温度を検出する温度センサを採用してもよいし、蒸発器15を流通する冷媒自体の温度を直接検出する温度センサを採用してもよい。
冷却水温度センサ57は、エンジンEGから流出した冷却水の冷却水温度TWを検出する冷却水温度検出部である。窓表面湿度センサ58は、車両前面の窓ガラスWの車室内側表面における相対湿度である窓表面相対湿度RHWを検出する窓表面湿度検出部である。
窓表面湿度センサ58は、窓近傍湿度センサ、窓ガラス近傍空気温度センサ、及び窓ガラス表面温度センサで構成されている。窓近傍湿度センサは、車両前面の窓ガラスWの近傍の車室内空気の相対湿度(以下、窓近傍相対湿度と言う。)を検出する。窓ガラス近傍空気温度センサは、車両前面の窓ガラスWの近傍の車室内空気の温度を検出する。窓ガラス表面温度センサは、車両前面の窓ガラスWの表面温度を検出する。
空調制御装置50は、窓近傍湿度センサ、窓ガラス近傍空気温度センサ、及び窓ガラス表面温度センサの検出値に基づいて、窓表面相対湿度RHWを算出する。窓表面相対湿度RHWは、窓ガラスが曇る可能性を表す指標である。具体的には、窓表面相対湿度RHWの値が大きい程、窓ガラスが曇る可能性が高いことを意味する。そして、外気湿度センサ59は、内外気切替装置20からケーシング31内へ導入される外気の湿度である外気湿度RHOを検出する外気湿度検出部である。
更に、空調制御装置50の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル60が接続されている。空調制御装置50には、操作パネル60に設けられた各種スイッチの操作信号が入力される。
操作パネル60に設けられた操作スイッチとしては、具体的に、エアコンスイッチ、オートスイッチ、吸込口モードの切替スイッチ、吹出口モードの切替スイッチ、風量設定スイッチ、温度設定スイッチ、エコノミースイッチ等がある。
エアコンスイッチは、乗員の操作によって圧縮機11の作動或いは停止を切り替える圧縮機作動設定部である。オートスイッチは、乗員の操作によって車両用空調装置1の自動空調制御を設定或いは解除する自動制御設定部である。吸込口モードの切替スイッチは、乗員の操作によって吸込口モードを切り替える吸込口モード設定部である。吹出口モードの切替スイッチは、乗員の操作によって吹出口モードを切り替える吹出口モード設定部である。
風量設定スイッチは、送風機32の送風量を手動設定する為の風量設定部である。温度設定スイッチは、車室内設定温度Tsetを設定する際に、乗員によって操作される操作スイッチである。エコノミースイッチは、乗員の操作によって車室内の空調の為に消費されるエネルギの低減を要求する省エネルギ化要求設定部である。
又、空調制御装置50は、駆動力制御装置65に対して、互いに電気的に通信可能に接続されている。これにより、一方の制御装置に入力された検出信号或いは操作信号に基づいて、他方の制御装置が出力側に接続された各種機器の作動を制御することもできる。
例えば、空調制御装置50が駆動力制御装置65へエンジンEGの作動要求信号を出力することによって、エンジンEGを作動させること、或いは、エンジンEGの回転数を変化させることができる。
ここで、第1実施形態の空調制御装置50は、その出力側に接続された各種の制御対象機器の作動を制御する制御手段が一体に構成されたものである。更に、空調制御装置50のうち、各制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェア及びソフトウェア)が各制御対象機器の制御手段を構成している。
例えば、空調制御装置50のうち、車両用空調装置1の空調運転の状態に従って、内気温センサ51で検出された内気温検出値Trdを補正する為の補正係数を決定する構成が補正係数決定部50aを構成している。又、空調制御装置50のうち、予め定められた直前期(例えば、現時点から4秒前の期間)における内気温の変化量である変化量ddtを特定する構成が変化量特定部50bを構成している。
そして、空調制御装置50のうち、補正係数及び変化量ddt等を用いた補正を行い、空調制御に用いる為の内気温制御値Trcを決定する構成が制御値決定部50cを構成している。又、空調制御装置50のうち、車室内設定温度Tsetと内気温検出値Trdとの差を示す差分値dtを特定する構成が差分値特定部50dを構成している。
更に、空調制御装置50のうち、空調運転が定常状態であるか否かを判定する構成が定常判定部50eを構成している。又、空調制御装置50のうち、吹出口モードが特定の吹出口モードであるか否かを判定する構成がモード判定部50fを構成している。
続いて、上記構成における第1実施形態の車両用空調装置1の作動について、図3、図4を参照しつつ説明する。図3は、第1実施形態の車両用空調装置1のメインルーチンとしての制御処理を示すフローチャートである。
この制御処理は、車両用空調装置1を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器にバッテリ67や外部電源等から電力が供給された状態で、車両用空調装置1の作動スイッチが投入されるとスタートする。これにより、車両用空調装置1の自動空調制御が開始される。尚、図3、図4中の各制御ステップは、空調制御装置50が有する各種の機能実現部を構成している。
先ず、ステップS1においては、フラグ、タイマ等の初期化、および上述した電動アクチュエータを構成するステッピングモータの初期位置合わせ等のイニシャライズが行われる。尚、このイニシャライズでは、フラグや演算値のうち、前回の車両用空調装置1の作動終了時に記憶された値は維持される。
次に、ステップS2では、操作パネル60の操作信号等を読み込んでステップS3へ進む。具体的な操作信号としては、車室内温度設定スイッチによって設定される車室内設定温度Tset、吸込口モードスイッチの設定信号等がある。
次のステップS3では、空調制御に用いられる車両環境状態の信号が読み込まれる。車両環境状態の信号には、内気温センサ51〜外気湿度センサ59の各種センサ群の検出信号や、外部電源からの電力の供給状態を示す電力状態信号等が含まれている。
尚、電力状態信号が外部電源から車両に電力を供給可能な状態(プラグイン状態)を示す場合には、外部電源フラグがオンされ、外部電源から車両に電力を供給できない状態(プラグアウト状態)を示す場合には、外部電源フラグがオフされる。
又、このステップS3では、駆動力制御装置65の入力側に接続されたセンサ群の検出信号、及び駆動力制御装置65から出力される制御信号等の一部も、駆動力制御装置65から読み込まれる。
ステップS4では、空調制御用のセンサ群による検出値を、車両用空調装置1による空調運転の状態に応じて補正する。具体的には、内気温センサ51を取り巻く環境(即ち、内気温センサ51の周囲における空調運転、送風量、風向き等)に応じて、内気温検出値Trdを適切に補正する。これにより、当該車両用空調装置1は、空調制御に際して内気温センサ51で検出された内気温Trを用いる為、適切に補正することで空調制御の応答性を向上させることができる。
尚、以下の説明において、符号の後に記載した(n)とは、今回のステップS4にて検出又は算出された値を示しており、(n−1)とは、直前期(例えば、4秒前の時点)にて検出又は算出された値を示している。
従って、Trd(n)は、今回(即ち、現時点)において内気温センサ51で検出された内気温検出値Trdを示し、Trc(n)は、今回の処理で算出される内気温制御値Trcを意味する。
そして、Trd(n−1)は、直前期(例えば、4秒前の時点)において内気温センサ51で検出された内気温検出値Trdを示し、Trc(n−1)は、直前期の処理で算出された内気温制御値Trcを意味する。
以下、ステップS4における処理内容について、図4を参照しつつ詳細に説明する。先ず、ステップS41では、今回の内気温検出値Trd(n)に対する車室内設定温度Tsetの差に基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、車室内の空調運転の状況を示す運転係数α1を決定する。
運転係数α1は、車両用空調装置1の空調運転の態様(即ち、暖房運転であるか冷房運転であるか)が内気温センサ51による内気温検出値Trdに与える影響の大きさを示す指標である。
図4のステップS41に示す制御マップにおいて、−3≦Trd(n)−Tset≦3の範囲では、運転係数α1は1.00となる。ここで、Trd(n)−Tsetは、今回の内気温検出値Trdに対する車室内設定温度Tsetの差である為、−3より大きい状態は、車両用空調装置1の空調運転モードが暖房モードであることを意味する。
この暖房モードにおいて、Trd(n)−Tset≦−10であれば、運転係数α1は1.05となる。−10<Trd(n)−Tset<−3であれば、運転係数α1は、Trd(n)−Tsetが小さい程、1.00〜1.05の範囲で大きな値となる。
一方、Trd(n)−Tsetが3より大きな状態は、車両用空調装置1の空調運転モードが冷房モードであることを意味する。当該冷房モードにおいて、10≦Trd(n)−Tsetであれば、運転係数α1は1.40となる。そして、3<Trd(n)−Tset<10であれば、運転係数α1は、Trd(n)−Tsetが大きい程、1.00〜1.40の範囲で大きな値となる。
ここで、内気温センサ51は、計器盤(インストルメントパネル)における車室内側にて、前席に着座した乗員の膝元周辺に位置している。この為、内気温センサ51の内気温検出値Trdは、暖房モード時に選択されやすいフット吹出口25から吹き出される送風空気の影響を、冷房モードにて選択されやすい他の吹出口よりも強く受けることが想定される。
この為、ステップS41にて示す例のように、暖房運転時における運転係数α1を、冷房運転時よりも小さく定めることで、内気温検出値Trdを必要以上に補正して空調制御が不安定になることを防止している。
次に、ステップS42では、送風機32によるブロワ風量、現在の吹出口モードに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、車室内に送風される送風空気の状況を示す送風係数α2を決定する。送風係数α2は、車両用空調装置1の空調運転による送風空気の流れや風量が内気温センサ51による内気温検出値Trdに与える影響の大きさを示す指標である。
図4のステップS42に示す制御マップでは、ブロワ風量が少ないときは送風係数α2を大きくし、ブロワ風量が多いときは送風係数α2を小さくするように構成されている。そして、当該制御マップにおいては、送風係数α2とブロワ風量の関係が、吹出口モード毎に定められている。
具体的には、当該制御マップでは、フェイスモード、バイレベルモードのグループと、フットモード、フットデフロスタモード、デフロスタモードのグループに分けて、送風係数α2とブロワ風量の関係が対応付けられている。
先ず、フェイスモード、バイレベルモードに関しては、ブロワ風量≦0(m/h)であれば、送風係数α2は1.2となり、500(m/h)≦ブロワ風量であれば、送風係数α2は1.0となる。そして、0(m/h)<ブロワ風量<500(m/h)であれば、ブロワ風量が多い程、送風係数α2は1.0〜1.2の範囲で小さくなる。
そして、フットモード、フットデフロスタモード、デフロスタモードに関しては、ブロワ風量≦0(m/h)であれば、送風係数α2は1.5となり、500(m/h)≦ブロワ風量であれば、送風係数α2は1.0となる。そして、0(m/h)<ブロワ風量<500(m/h)であれば、ブロワ風量が多い程、送風係数α2は1.0〜1.5の範囲で小さくなる。
ここで、ブロワ風量が大きい程、送風空気の影響を受けやすく、車両用空調装置1の空調制御に関する応答性が高くなることが想定される。この為、ブロワ風量が多い程、送風係数α2を小さくすることで、内気温検出値Trdを必要以上に補正して空調制御が不安定になることを防止している。
又、内気温センサ51の配置との関係で、フェイスモード、バイレベルモードのグループは、フットモード、フットデフロスタモード、デフロスタモードのグループよりも、送風空気が内気温センサ51に当たりやすい吹出口モードということができる。内気温センサ51に対する送風空気の当たりやすさは、車両用空調装置1の空調制御に関する応答性に影響を与えることが想定される。
この為、送風空気が内気温センサ51に当たりやすい吹出口モード(例えば、フェイスモード)の送風係数α2を、他の吹出口モード(例えば、フットモード)よりも小さくしている。これにより、車両用空調装置1は、内気温検出値Trdを必要以上に補正して空調制御が不安定になることを防止している。
次に、ステップS43では、内気温センサ51を取り巻く状況が内気温検出値Trdに与える影響の大きさを示す第1補正係数αを、運転係数α1及び送風係数α2を用いて算出する。具体的には、第1補正係数αは、ステップS41で決定された運転係数α1と、ステップS42で決定された送風係数α2を乗算して算出される。
これにより、第1補正係数αは、車両用空調装置1による空調運転の態様、送風機32によるブロワ風量、吹出口モードによる送風空気の送風方向が内気温センサ51の内気温検出値Trdに与える影響を加味した補正係数となる。
続くステップS44においては、車室内設定温度Tsetから現在の内気温検出値Trd(n)を減算して、今回の差分値dt(n)を算出する。この差分値dt(n)は、後述するように、内気温制御値Trc(n)を求める際に用いられる。
次に、ステップS45では、直前期における内気温制御値Trc(n−1)から現在の内気温検出値Trd(n)を減算して、今回の変化量ddt(n)を算出する。即ち、変化量ddt(n)は、直前期における内気温制御値Trc(n−1)に対する内気温検出値Trd(n)の差を示す。変化量ddt(n)は、内気温制御値Trc(n)を求める際や、車両用空調装置1による空調制御の状態を判定する際に用いられる。
ステップS46では、現時点が空調開始時であるか否かが判定される。即ち、車両用空調装置1による空調運転の開始から、ステップS4の処理を初めて実行するか否かが判定される。現時点が空調開始時である場合には、ステップS47に進み、そうでない場合には、ステップS48に進む。
尚、ステップS46の判定処理は、操作パネル60からの操作信号に基づいて判定しても良いし、空調制御装置50のRAM等の記憶内容(例えば、内気温制御値Trcが記憶されていないか否か)に基づいて判定しても良い。
ステップS47では、車両用空調装置1の空調開始時に移行する為、今回の内気温制御値Trc(n)を、現時点(即ち、空調開始時)における内気温検出値Trd(n)に決定する。これにより、内気温制御値Trcの初期値として、内気温検出値Trdが採用される為、以後の内気温制御値Trcは、内気温検出値Trdに相関を有する物理量に相当する。その後、空調開始時における内気温制御値Trc(n)を空調制御装置50のRAMに記憶した後、ステップS4を終了してメインルーチンにおけるステップS5に移行する。
ステップS48においては、ステップS45で算出された変化量ddt(n)の絶対値が予め定められた基準値(即ち、0.05)よりも大きいか否かが判定される。即ち、ステップS48では、内気温Trの変化が少ない定常期であるか、内気温Trの変化が大きな過渡期であるかが判定されている。
定常期と過渡期では、空調制御の応答性に関する重要度が異なり、定常期であれば、それほど高い応答性を必要とすることがない。この為、定常期と過渡期に際して、適切な補正を行うべく、ステップS48の判定処理を行っている。
変化量ddt(n)の絶対値が基準値よりも大きい場合、過渡期であると判定して、ステップS49に進む。一方、変化量ddt(n)以下である場合、定常期であると判定して、ステップS50に進む。
ステップS49においては、過渡期における内気温制御値Trc(n)が算出される。この場合の内気温制御値Trc(n)は、直前期における内気温制御値Trc(n−1)に対して過渡期における補正量を加算することで算出される。
過渡期における補正量は、ステップS43で算出した第1補正係数αに対して、ステップS45で算出した変化量ddt(n)を乗算して求められる。ステップS41、ステップS42からわかるように、第1補正係数αは、1以上の数値を示す為、過渡期における補正量は、実際の内気温検出値Trdの変化量よりも大きな値となる。その後、過渡期における内気温制御値Trc(n)を空調制御装置50のRAMに記憶した後、ステップS4を終了してメインルーチンにおけるステップS5に移行する。
ステップS50では、定常期における内気温制御値Trc(n)が算出される。この場合の内気温制御値Trc(n)は、直前期における内気温制御値Trc(n−1)から定常期における補正量(以下、定常補正量という)を減算することで算出される。
この定常補正量は、予め定められた第2補正係数βに対して、ステップS44で算出した差分値dt(n)を乗算して求められる。第2補正係数βは、実験値により定められる定数であり、例えば、0.01を示す。第2補正係数βは、直前期の内気温制御値Trc及び差分値dt(n)による補正後の値を用いた場合に、内気温検出値Trdと同様の変化をするように実験によって求められる。
ここで、第1補正係数αは1以上の数値を示す一方で、第2補正係数βは0.01を示す為、定常補正量は、過渡期における補正量よりも小さくなる。又、定常補正量は、差分値dtが小さいほど小さな値を示す。その後、定常期における内気温制御値Trc(n)を空調制御装置50のRAMに記憶した後、ステップS4を終了してメインルーチンにおけるステップS5に移行する。
当該車両用空調装置1において、ステップS4で定められた内気温制御値Trc(n)は、後述する目標吹出温度TAOの算出や各種機器の制御状態を決定に際して、内気温Trとして用いられる。従って、車両用空調装置1は、内気温検出値Trdに対する補正内容を、空調制御の内容に反映させることができ、車室内の状況に対する自動空調制御の応答性を向上させることができる。
再び図3を参照しつつ、第1実施形態の車両用空調装置1のメインルーチンのステップS5以後の処理について説明する。
ステップS5では、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOを算出する。目標吹出温度TAOは、以下の数式F1により算出される。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(F1)
ここで、Tsetは温度設定スイッチによって設定された車室内設定温度である、Trは内気温センサ51によって検出された内気温である。Tsは日射センサ53によって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
この目標吹出温度TAOは、車室内を所望の温度に保つために車両用空調装置1が生じさせる必要のある熱量に相関する値である。従って、目標吹出温度TAOは、車両用空調装置1に要求される空調負荷(換言すると、空調熱負荷)を示す指標として用いることができる。
尚、数式F1における内気温Trは、上述したステップS4にて決定された内気温制御値Trcが採用されている。
続くステップS6〜S14では、空調制御装置50に接続された各種機器の制御状態が決定される。
先ず、ステップS6では、エアミックスドア39の目標開度であるエアミックス開度SWを決定する。具体的には、ステップS6では、以下の数式F2によりエアミックス開度SWを算定する。
SW=(TAO−TE)/(TW−TE)×100(%)…(F2)
ここで、TEは、蒸発器温度センサ56によって検出された吹出空気温度である。TWは、冷却水温度センサ57によって検出された冷却水温度である。
又、エアミックス開度SW=0%では、エアミックスドア39が最大冷房位置に変位する。つまり、エアミックスドア39は、冷風バイパス通路34を全開とし、冷風加熱用通路33を全閉とする位置に変位する。エアミックス開度SW=100%では、エアミックスドア39が最大暖房位置に変位する。つまり、エアミックスドア39は、冷風バイパス通路34を全閉とし、冷風加熱用通路33を全開とする位置に変位する。
尚、ステップS5にて説明したように、目標吹出温度TAOの算出に、内気温制御値Trcが用いられている為、当該車両用空調装置1は、エアミックス開度SWの応答性を向上させることができる。
次に、ステップS7では、送風機32の送風能力を決定する。より具体的には、ステップS6では、送風機32の電動モータに印加するブロワ電圧を決定する。車両用空調装置1における自動空調制御が設定されていない場合、操作パネル60の風量設定スイッチによって設定された乗員の所望の風量となるブロワ電圧が決定される。
具体的には、風量設定スイッチでは、Lo→M1→M2→M3→Hiの5段階の風量を設定することができる。この為、ブロワ電圧は、それぞれ4V→6V→8V→10V→12Vの順に高くなるように決定される。
一方、車両用空調装置1の自動空調制御が設定されている場合、次の数式F3により自動空調制御のブロワ電圧が決定される。
ブロワ電圧=MIN(f(TAO),f(TW))…(F3)
尚、数式F3のMIN(f(TAO),f(TW))とは、第1仮ブロワ電圧f(TAO)及び第2仮ブロワ電圧f(TW)のうち小さい方の値を意味している。
第1仮ブロワ電圧f(TAO)は、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定される。第1仮ブロワ電圧f(TAO)の制御マップでは、目標吹出温度TAOに対する第1仮ブロワ電圧f(TAO)の値がバスタブ状の曲線を描くように構成されている。
つまり、第1仮ブロワ電圧f(TAO)では、車両用空調装置1に、高い冷房能力や暖房能力が要求される際に、送風機32の送風能力を増加させるようにブロワ電圧を決定している。
第2仮ブロワ電圧f(TW)は、エンジンEGの暖機時(冷却水温度TWが低温の時)におけるブロワ電圧の上限値である。第2仮ブロワ電圧f(TW)は、冷却水温度センサ57が検出した冷却水温度TWに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定される。第2仮ブロワ電圧f(TW)では、エンジンEGの暖機時に、送風機32の風量を減少させるようにブロワ電圧を決定している。
上述したように、目標吹出温度TAOの算出に、内気温制御値Trcが用いられている為、当該車両用空調装置1は、ブロワ電圧(即ち、送風機32による送風量制御)の応答性を向上させることができる。
次に、ステップS8では、吸込口モード(即ち、内外気切替装置20の切替状態)を決定する。車両用空調装置1の自動空調制御が解除されている場合、マニュアル操作にて決定された吸込口モードに応じた外気導入率が決定される。外気導入率は、内外気切替装置20からケーシング31内に導入される導入空気(外気及び内気)のうち外気が占める比率である。
例えば、マニュアル吸込口モードが全内気モード(RECモード)の場合、外気導入率は0%に決定され、全外気モード(FRSモード)の場合、外気導入率は100%に決定される。
車両用空調装置1の自動空調制御にて暖房運転が設定されている場合、窓表面相対湿度RHWに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、外気導入率が決定される。例えば、目標吹出温度TAOが25℃より高くなっている場合は、暖房運転と判定される。
具体的には、窓表面相対湿度RHWが低い場合、外気導入率は小さく、窓表面相対湿度RHWが高い場合、外気導入率は大きく決定される。これにより、窓ガラスWが曇る可能性が高いほど、内気よりも湿度の低い外気の導入率を高くして車室内空間の湿度を低下させ、窓の曇りを抑制することができる。
一方、車両用空調装置1の自動空調制御にて冷房運転が設定されている場合、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して、外気導入率が決定される。例えば、目標吹出温度TAOが25℃より高くなっていない場合には、冷房運転と判定される。
具体的には、目標吹出温度TAOが低い場合、外気導入率は小さく、目標吹出温度TAOが高い場合、外気導入率は大きく決定される。これにより、目標吹出温度TAOが低くなるに伴って(即ち、冷房負荷が高くなるに伴って)、内気の導入率を高くすることができ、冷房効率を向上させることができる。
次に、ステップS9では、吹出口モード(即ち、フェイスドア24a、フットドア25a、デフロスタドア26a等の切替状態)を決定する。車両用空調装置1の自動空調制御が設定されていない場合、操作パネル60の吹出口モードの切替スイッチによって設定された吹出口モードに決定される。
一方、車両用空調装置1の自動空調制御が設定されている場合、吹出口モードは、ステップS4で算出した目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定される。
具体的には、吹出口モードは、目標吹出温度TAOが低温域から高温域へと上昇するにつれて、フェイスモード→バイレベルモード→フットモードへと順次切り替えて設定される。従って、夏季は主にフェイスモード、春秋季は主にバイレベルモード、そして冬季は主にフットモードが選択され易くなる。この制御マップでは、制御ハンチング防止のためのヒステリシス幅が設定されている。
次に、ステップS10では、蒸発器15における冷媒蒸発温度の目標値である目標蒸発器温度TEOを決定する。目標蒸発器温度TEOは、次の数式F4により決定される。
目標蒸発器温度TEO=MIN(TEO1,TEO2)…(F4)
尚、数式F4のMIN(TEO1,TEO2)とは、第1仮目標蒸発器温度TEO1及び第2仮目標蒸発器温度TEO2のうち小さい方の値を意味している。
第1仮目標蒸発器温度TEO1は、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定される。この制御マップは、目標吹出温度TAOが上昇するに伴って、第1仮目標蒸発器温度TEO1を上昇させるように定められている。
そして、第2仮目標蒸発器温度TEO2は、窓表面相対湿度RHWに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定される。この制御マップは、窓表面相対湿度RHWが上昇するに伴って、第2仮目標蒸発器温度TEO2を低下させるように定められている。
これにより、窓表面相対湿度RHWが上昇するに伴って、目標蒸発器温度TEOを低下させて送風空気の除湿を行うことができる。従って、車両における窓ガラスの曇りを効果的に抑制することができる。
次のステップS11では、圧縮機11の冷媒吐出能力(即ち、圧縮機11の回転数)を決定する。尚、ステップS11における圧縮機回転数の決定は、メインルーチンが繰り返される制御周期τ毎に行われるものではなく、所定の制御間隔(例えば、1秒)毎に行われる。
ここで、圧縮機11の基本的な回転数の決定手法を説明する。先ず、前回の圧縮機回転数fn−1に対する回転数変化量Δfが求められる。具体的に説明すると、初めに、目標蒸発器温度TEOから吹出空気温度TEを減算して、目標蒸発器温度TEOと吹出空気温度TEの偏差Enが算出される。次に、今回算出された偏差Enから前回算出された偏差En−1を減算して、偏差変化率Edotを算出する。
こうして算出された偏差Enと偏差変化率Edotとを用いて、予め空調制御装置50に記憶されたメンバシップ関数とルールとに基づいたファジー推論に基づいて、前回の圧縮機回転数fn−1に対する回転数変化量Δfが求められる。
そして、今回の圧縮機回転数が次の数式F5によって算出される。
今回の圧縮機回転数=MIN{(前回の圧縮機回転数+Δf),MAX回転数}…(F5)
尚、数式F5のMIN{(前回の圧縮機回転数+Δf),MAX回転数}とは、前回の圧縮機回転数+Δf及びMAX回転数のうち小さい方の値を意味している。又、第1実施形態では、MAX回転数を10000rpmとしている。
次に、ステップS12では、PTCヒータ37の作動状態を決定する。PTCヒータ37の作動状態とは、電力を供給するPTC素子の本数を意味する。具体的に、PTCヒータ37におけるPTC素子の通電本数は、エアミックス開度SW、目標吹出温度TAO、吹出空気温度TE、内気温Tr、及び外気温Tamに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定される。
例えば、エアミックス開度SWが100%以上である場合には、PTC素子の通電本数は最大本数(即ち、3本)に決定される。エアミックス開度SWが100(%)よりも低くなっている場合には、目標吹出温度TAO−吹出空気温度TEの上昇に伴って、PTC素子の通電本数を増加させている。又、この場合において、内気温Tr−外気温Tamの低下に伴って、PTC素子の通電本数を増加させている。
尚、このステップS12における内気温Trとしては、上述したステップS4で決定された内気温制御値Trcが採用される。
次に、ステップS13では、空調制御装置50から駆動力制御装置65へ出力される要求信号を決定する。この要求信号には、停止しているエンジンEGを作動させる作動要求信号や、EV走行モードとHV走行モードとの切替を要求する切替要求信号等が含まれている。
ここで、プラグインハイブリッド車両では、車両走行用の駆動力をエンジンEGだけでなく、走行用電動モータからも得ることができる。この為、エンジンEGの作動を停止させ、走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得ることがある。この場合、車両用空調装置1にて車室内の暖房を行う際に、冷却水の温度が暖房用の熱源として充分な温度にまで上昇していない場合が想定される。
そこで、車両用空調装置1は、走行用の駆動力を出力させるためにエンジンEGを作動させる必要がない走行条件であっても、所定条件を満たした場合には、エンジンEGの作動を要求する要求信号(作動要求信号)を、駆動力制御装置65に対して出力する。
これにより、駆動力制御装置65によって、エンジンEGが作動することになる為、冷却水回路40の冷却水温度TWを、暖房用の熱源として充分な温度となるまで上昇させることができる。
次に、ステップS14では、冷却水ポンプ40aを作動させるか否かを決定する。上述したように、冷却水ポンプ40aは、冷却水回路40にてヒータコア36とエンジンEGとの間で冷却水を循環させる装置である。
冷却水ポンプ40aを作動させるか否かは、冷却水回路40における冷却水温度TW、蒸発器15における吹出空気温度TE、送風機32の作動状態に応じて決定される。具体的には、冷却水温度TWが吹出空気温度TEよりも高く、送風機32が作動している場合は、冷却水ポンプ40aを作動させるように決定される。その他の場合には、冷却水ポンプ40aを停止するように決定される。
これにより、冷却水ポンプ40aが作動して、冷却水が冷却水回路40内を循環するので、ヒータコア36を流れる冷却水とヒータコア36を通過する空気とを熱交換させて送風空気を加熱することができる。
次に、ステップS15においては、上述のステップS6〜S14で決定された制御状態が得られるように、空調制御装置50より各種機器に対して制御信号及び制御電圧が出力される。各種機器には、送風ファン12aと、送風機32と、PTCヒータ37と、冷却水ポンプ40aと、インバータ61と、電動アクチュエータ62と、電動アクチュエータ63と、電動アクチュエータ64が含まれる。更に、空調制御装置50から駆動力制御装置65に対して、ステップS13にて決定された要求信号が送信される。
次に、ステップS16では、制御周期τの間待機し、制御周期τの経過を判定するとステップS2に戻るようになっている。尚、当該車両用空調装置1では、制御周期τを250msとしている。これは、車室内の空調制御は、エンジン制御等と比較して遅い制御周期であってもその制御性に悪影響を与えないからである。
これにより、車両内における空調制御の為の通信量を減少させて、エンジン制御等のように高速制御を行う必要のある制御系の通信量を十分に確保することができる。
第1実施形態の車両用空調装置1は、以上の如く作動するので、過渡期の内気温制御値Trc(n)は、直前期における内気温制御値Trc(n−1)に対して、第1補正係数αと今回の変化量ddt(n)を乗算した補正量を加算して算出される。
ここで、第1補正係数αは1以上の数値に決定される為、この場合の内気温制御値Trc(n)には、実際の内気温検出値Trdにおける変化量以上の変化が反映される。車両用空調装置1によれば、内気温制御値Trcを用いて目標吹出温度TAOや各種機器の制御状態が決定される為、内気温検出値Trd以上の変化を空調制御に反映させることができ、過渡期における空調制御の応答性を適切に向上させることができる。
又、第1補正係数αは、運転係数α1に送風係数α2を乗算して算出される。運転係数α1は、空調運転の態様に応じて定められ、送風係数α2は、送風機32によるブロワ風量及び吹出口モードに応じて定められている。即ち、第1補正係数αは、内気温センサ51を取り巻く環境が内気温検出値Trdに与える影響の大きさを示す。
従って、過渡期における内気温制御値Trc(n)には、内気温センサ51を取り巻く環境に関する指標が反映されている為、より適切な補正を施すことができ、空調制御の応答性を向上させることができる。
又、内気温Trの変動が小さな定常期の内気温制御値Trc(n)は、直前期における内気温制御値Trc(n−1)から、第2補正係数βに差分値dtを乗算した定常補正量を減算して算出される。
この場合の第2補正係数βは実験により定められた0.01である為、車室内の内気温が定常期を継続する程、この場合の定常補正量は小さく定められる。上述したように、定常期では、空調運転に関する応答性を高くする必要はない為、ステップS50の補正を繰り返すことで定常補正量を小さくすることができ、予期しない制御変動や空調バランス点のズレを抑制することができる。
そして、定常補正量は、差分値dt(n)が小さいほど小さな値となるので、差分値dt(n)が小さい程、内気温制御値Trc(n)の変化を小さくできる。これにより、内気温制御値Trc(n)が車室内設定温度Tsetに対してオーバーシュートすることを防止することができ、過渡期から定常期への移行について、制御変動を少なく行うことができる。
そして、空調初期における内気温制御値Trc(n)は、初期値として、内気温検出値Trd(n)を採用する。これにより、空調開始時には、従前に行われた補正がリセットされることになる為、内気温制御値Trcとして従前の補正が不必要に累積して、空調制御が不安定になることを防止することができる。
尚、ステップS41〜ステップS43を実行する際の空調制御装置50は補正係数決定部50aとして機能している。又、ステップS45を実行する際の空調制御装置50は変化量特定部50bとして機能している。そして、ステップS47、ステップS49、ステップS50を実行する際の空調制御装置50は制御値決定部50cとして機能している。
又、ステップS44を実行する際の空調制御装置50は差分値特定部50dとして機能している。ステップS48を実行する際の空調制御装置50は定常判定部50eとして機能している。ステップS42を実行する際の空調制御装置50はモード判定部50fとして機能している。
以上説明したように、第1実施形態に係る車両用空調装置1は、内気温センサ51で検出された内気温検出値Trdに相関を有する内気温制御値Trc(n)を用いて、圧縮機11や送風機32を含む構成機器による空調制御を行う。
内気温制御値Trc(n)は、ステップS43で決定された第1補正係数αと、ステップS45で算出された変化量ddt(n)を用いた補正を行うことで決定される。第1補正係数αは、内気温センサ51を取り巻く状況が内気温検出値Trdに与える影響の大きさを示し、変化量ddt(n)は、予め定められた直前期における内気温制御値Trc(n−1)に対する内気温検出値Trd(n)の差を示す。
この為、当該車両用空調装置1は、内気温制御値Trc(n)を、内気温センサ51で検出される内気温検出値Trdよりも内気温センサ51検出部の状況に即した数値とすることができる。そして、この内気温制御値Trc(n)を用いて、車室内の空調制御を行うことで、空調制御の応答性を状況に応じて適切に向上させることができる。
又、当該車両用空調装置1において、内気温Trの変動が小さな定常期の内気温制御値Trc(n)は、直前期における内気温制御値Trc(n−1)から、第2補正係数βに差分値dtを乗算した定常補正量を減算して算出される。
この場合の第2補正係数βは実験により定められた0.01である為、車室内の内気温が定常期を継続する程、この場合における定常補正量は小さく定められる。上述したように、定常期では、空調運転に関する応答性を高くする必要はない為、ステップS50の補正を繰り返すことで定常補正量を小さくすることができ、予期しない制御変動や空調バランス点のズレを抑制することができる。
そして、定常補正量は、差分値dt(n)が小さいほど小さな値となるので、差分値dt(n)が小さい程、内気温制御値Trc(n)の変化を小さくできる。これにより、内気温制御値Trc(n)が車室内設定温度Tsetに対してオーバーシュートすることを防止することができ、過渡期から定常期への移行について、制御変動を少なく行うことができる。
当該車両用空調装置1において、第1補正係数αは、運転係数α1に送風係数α2を乗算して算出される。ここで、運転係数α1は、図4のステップS41に示すように、車両用空調装置1の空調運転が暖房運転であるか冷房運転であるかによって異なっており、暖房運転における運転係数α1は、冷房運転における運転係数α1に比べて小さな値に定められる。そして、内気温センサ51はその配置から、暖房運転時の方が冷房運転時よりも送風空気の影響を強く受けることが想定される。
この為、当該車両用空調装置1は、暖房モードにおける運転係数α1を、冷房モードよりも小さく定めることで、内気温検出値Trdを必要以上に補正して空調制御が不安定になることを防止している。
図4のステップS42に示すように、送風係数α2は、送風機32のブロワ風量が多い程、小さな値となるように定められている。ここで、ブロワ風量が多い程、送風空気の影響を受けやすい為、車両用空調装置1の空調制御に関する応答性が高くなることが想定される。
この為、当該車両用空調装置1は、送風機32のブロワ風量が多い程、小さな値に定めることで、内気温検出値Trdを必要以上に補正して空調制御が不安定になることを防止することができる。
そして、送風係数α2は、フェイスモード、バイレベルモードのグループと、フットモード、フットデフロスタモード、デフロスタモードのグループに分けて、ブロワ風量に対して対応付けられている。
ここで、内気温センサ51の配置との関係から、フェイスモード、バイレベルモードのグループは、フットモード、フットデフロスタモード、デフロスタモードのグループよりも、送風空気が内気温センサ51に当たりやすい吹出口モードということができる。内気温センサ51に対する送風空気の当たりやすさは、車両用空調装置1の空調制御に関する応答性に影響を与えることが想定される。
この為、当該車両用空調装置1は、送風空気が内気温センサ51に当たりやすい吹出口モードの送風係数α2を、他の吹出口モードよりも小さくすることで、内気温検出値Trdを必要以上に補正して空調制御が不安定になることを防止することができる。
又、ステップS47において、空調初期における内気温制御値Trc(n)は、初期値として、内気温センサ51で検出された内気温検出値Trd(n)を採用する。これにより、空調開始時には、従前に行われた補正がリセットされることになる為、当該車両用空調装置1は、内気温制御値Trcに対する従前の補正の累積によって、空調制御が不安定になることを防止することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る車両用空調装置1について、図5を参照しつつ説明する。第2実施形態に係る車両用空調装置1は、上述した第1実施形態に対して、主に、後席を対象とした空調を行う為の後席用空調ユニット70を追加したものである。
具体的には、第2実施形態では、室内空調ユニット30の一部構成が相違すると共に、後席用空調ユニット70を有する点が第1実施形態と相違している。従って、その他の構成については、上述した実施形態と同様である為、その説明を省略する。
図5に示すように、第2実施形態に係る車両用空調装置1は、車両前方側に配置された室内空調ユニット30に加えて、後席用空調ユニット70を有している。第2実施形態に係る室内空調ユニット30は、車室前方側の空調ゾーンの空調状態を調整するためのものである。車室前方側の空調ゾーンには、運転席Sdと助手席Spが含まれている。
後席用空調ユニット70は、車室Cの最後方に配置されており、車両後方側の空調ゾーンの空調状態を独立して調整するためのものである。車室後方側の空調ゾーンには、後席Srが含まれている。尚、空調状態とは、例えば、吹出空気の温度、風量、吹出口モードの切替等を示す。
第2実施形態における室内空調ユニット30は、基本的に、第1実施形態と同様に構成されているが、空気通路等の構成が相違している。従って、これらの相違点について説明する。車両前方側の室内空調ユニット30の内部のうち、蒸発器15の送風空気流れ方向下流側には、仕切板が配置されており、ケーシング31内の空気通路を、車両左右両側の2つの通路に仕切っている。
従って、冷風加熱用通路33は、車両右側に配置された冷風加熱用通路33Rと、車両左側に配置された冷風加熱用通路33Lに仕切られている。そして、冷風バイパス通路34は、車両右側に配置された冷風バイパス通路34Rと、車両左側に配置された冷風バイパス通路34Lに仕切られている。
冷風バイパス通路34Rは、車両右側の空気通路において、蒸発器15により冷却された冷風をヒータコア36に対してバイパスさせる。又、冷風バイパス通路34Lは、車両左側の空気通路において、蒸発器15により冷却された冷風をヒータコア36に対してバイパスさせる。
車両右側の空気通路において、ヒータコア36の送風空気流れ上流側には、エアミックスドア39Rが操作可能に配置されている。エアミックスドア39Rは、車両右側を通過する冷風のうち、ヒータコア36等を通過する量(温風量)と、冷風バイパス通路34Rを通過する量(冷風量)との比を、その開度によって調整する。
又、車両左側の空気通路において、ヒータコア36の送風空気流れ上流側には、エアミックスドア39Lが操作可能に配置されている。エアミックスドア39Lは、車両左側を通過する冷風のうち、ヒータコア36等を通過する量(温風量)と、冷風バイパス通路34Rを通過する量(冷風量)との比を、その開度によって調整する。
第2実施形態に係る車両用空調装置1において、フェイス吹出口24は、車両右側に配置されたフェイス吹出口24Rと、車両左側に配置されたフェイス吹出口24Lとを有している。フェイス吹出口24Rは、車両右側の空気通路から運転席Sdに着座する運転者の上半身に向けて空気を吹き出す吹出口である。フェイス吹出口24Lは、車両左側の空気通路から助手席Spに着座する乗員の上半身に向けて空気を吹き出す吹出口である。
そして、フェイス吹出口24Rに対する送風空気流れ上流側には、フェイス吹出口24Rを開閉するフェイスドア24arが配置されている。フェイス吹出口24Lに対する送風空気流れ上流側には、フェイス吹出口24Lを開閉するフェイスドア24alが配置されている。フェイスドア24ar、フェイスドア24alは、第1実施形態におけるフェイスドア24aと同様に吹出口切替部として機能する。
後席用空調ユニット70は、車室C内の後席側に空気を送風するための後席用ケーシング71を備えている。この後席用ケーシング71内の最上流部には、車室C内から内気導入口71aを通して内気が導入される内気導入ダクト71bが接続される。
内気導入ダクト71bの空気下流側には、車室C内に向けて吹き出される空気流を発生させる後席用送風機72が設けられている。後席用送風機72は、遠心式羽根車及びこの羽根車を回転させるブロワモータを有する遠心式送風機により構成されている。尚、図2では図示の簡略化のために、送風機32及び後席用送風機72の羽根車として軸流式羽根車を図示しているが、実際は、遠心式羽根車が使用されることは勿論である。
更に、後席用ケーシング71内において後席用送風機72の空気下流側には、後席用蒸発器73が設けられている。後席用蒸発器73は、後席用空調ユニット70から吹き出される送風空気を冷却する為の冷却用熱交換器である。当該後席用蒸発器73は、例えば、上述した冷凍サイクル装置10において、前席側の蒸発器15に対して並列的に接続されており、冷媒の蒸発潜熱によって送風空気を冷却する。
後席用蒸発器73の空気下流側には、後席用ヒータコア74が設けられている。後席用ヒータコア74は、後席用空調ユニット70から吹き出される送風空気を加熱する為の加熱用熱交換器である。後席用ヒータコア74は、例えば、エンジンEGからのエンジン冷却水を熱源としており、冷却水回路40において前席側のヒータコア36に対し並列的に接続されている。
そして、後席用ケーシング71内のうち後席用蒸発器73の下流部分には、仕切板75が設けられている。後席用ケーシング71内の後席用空気通路は、この仕切板75によって、車両左右両側の2つの通路に仕切られている。車両右側における後席用空気通路は、後席側冷風加熱用通路76Rと、後席側バイパス通路77Rによって構成されている。そして、車両左側における後席用空気通路は、後席側冷風加熱用通路76Lと、後席側バイパス通路77Lによって構成されている。
後席側冷風加熱用通路76Rは、車両右側の後席用空気通路において、後席用蒸発器73通過後の送風空気を後席用ヒータコア74にて加熱する為の空気通路である。後席側バイパス通路77Rは、車両右側の後席用空気通路において、後席用ヒータコア74の側方に形成されており、後席用蒸発器73により冷却された冷風を後席用ヒータコア74に対してバイパスさせる。
そして、後席側冷風加熱用通路76Lは、車両左側の後席用空気通路において、後席用蒸発器73通過後の送風空気を後席用ヒータコア74にて加熱する為の空気通路である。後席側バイパス通路77Lは、車両左側の後席用空気通路において、後席用ヒータコア74の側方に形成されており、後席用蒸発器73により冷却された冷風を後席用ヒータコア74に対してバイパスさせる。
車両右側の後席用空気通路には、後席用ヒータコア74の送風空気流れ上流側に、後席用エアミックスドア78Rが開度調整可能に配置されている。後席用エアミックスドア78Rは、その開度により、車両右側の後席用空気通路を通過する冷風のうち後席用ヒータコア74を通る量(温風量)と後席側バイパス通路77Rを通る量(冷風量)の比を調整する。この結果、車両用空調装置1は、後席Srの右側への吹出空気温度を調整できる。
又、車両左側の後席用空気通路において、後席用ヒータコア74の送風空気流れ上流側には、後席用エアミックスドア78Lが開度調整可能に配置されている。後席用エアミックスドア78Lは、その開度により、車両左側の後席用空気通路を通過する冷風のうち後席用ヒータコア74を通る量(温風量)と、後席側バイパス通路77Lを通る量(冷風量)との比を調整する。従って、車両用空調装置1は、後席Srの左側への吹出空気温度を調整できる。
後席用エアミックスドア78R及び後席用エアミックスドア78Lは、図示しない電動アクチュエータによってその開度を変更する。各電動アクチュエータは、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
車両右側の後席用空気通路において、後席用ヒータコア74に対する送風空気流れの最下流部には、後席用フェイス吹出口79Rが配置されている。後席用フェイス吹出口79Rは、車両右側の後席用空気通路から後席Srの右側に着座する乗員の上半身に向かって送風空気を吹き出す。
又、車両左側の後席用空気通路に関して、後席用ヒータコア74に対する送風空気流れの最下流部には、後席用フェイス吹出口79Lが配置されている。後席用フェイス吹出口79Lは、車両左側の後席用空気通路から後席Srの左側に着座する乗員の上半身に向かって送風空気を吹き出す。
後席用フェイス吹出口79Rに対する送風空気流れ上流部には、後席用フェイスドア79arが開閉可能に配置されている。そして、後席用フェイス吹出口79Lに対する送風空気流れ上流部には、後席用フェイスドア79alが配置されている。
後席用フェイスドア79ar及び後席用フェイスドア79alは、それぞれ、図示しない電動アクチュエータによって開閉駆動される。各電動アクチュエータは、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。従って、後席用フェイスドア79ar及び後席用フェイスドア79alは、吹出口切替部として機能する。
尚、図示は省略するが、車両右側の後席用空気通路における最下流部には、後席用フェイス吹出口79Rの他に、後席用フット吹出口が配置されている。当該後席用フット吹出口は、車両右側の後席用空気通路から後席Srの右側に着座した乗員の下半身に向けて送風空気を吹き出す。
又、車両左側の後席用空気通路における最下流部には、後席用フェイス吹出口79Lに加え、後席用フット吹出口が配置されている。後席用フット吹出口は、車両左側の後席用空気通路から後席Srの左側に着座した乗員の下半身に向かって送風空気を吹き出す。
第2実施形態に係る車両用空調装置1は、第1実施形態と同様に、空調制御装置50を有している。空調制御装置50の出力側には、更に、後席用空調ユニット70の作動制御を行う為に、後席用送風機72や各種の電動アクチュエータが接続されている。
各種の電動アクチュエータには、後席用フェイスドア79ar及び後席用フェイスドア79al用の電動アクチュエータと、後席用エアミックスドア78R及び後席用エアミックスドア78L用の電動アクチュエータが含まれる。
そして、空調制御装置50の入力側には、後席用空調ユニット70に関する空調制御用のセンサ群が接続されている。この空調制御用のセンサ群には、後席側内気温センサ80と、後席側蒸発器温度センサとが含まれている。
後席側内気温センサ80は、車室Cの後方側における空調ゾーンの空気温度を検出する為の内気温検出部である。後席側内気温センサ80としては、例えば、当該空気に接触して空気温度を検出するサーミスタが用いられている。後席側内気温センサ80は、車室C内に後方の空調ゾーンにおいて、車室Cの下側部分に配置されている。そして、後席側蒸発器温度センサは、後席用蒸発器73から吹き出される吹出空気温度(蒸発器温度)を検出する蒸発器温度検出部である。
尚、空調制御装置50の入力側には、乗員により操作可能な複数の操作パネル60が接続されている。各操作パネル60は、車室C内に設定された空調ゾーンのそれぞれに対応して配置されており、空調ゾーン毎に設定温度を設定することができる。
第2実施形態に係る車両用空調装置1では、前席側の空調ゾーンに対する空調制御として、室内空調ユニット30の制御が実行され、後席側の空調ゾーンに対する空調制御として、後席用空調ユニット70の制御が実行される。
ここで、第2実施形態における前席側の空調ゾーンに対する空調制御は、第1実施形態と同様の制御処理が行われる。当該車両用空調装置1は、前席側の空調制御に際して、第1実施形態と同様に、内気温センサ51で検出される内気温Trを適切に補正して、前席側における空調制御の応答性を向上させることができる。
第2実施形態における後席側の空調ゾーンに対する空調制御は、空調制御装置50によって図3、図4に示す制御内容を実行することで実現される。この場合におけるステップS4では、後席側内気温センサ80の内気温検出値Trdを対象とした内気温制御値Trcが決定される。
そして、この場合のステップS4では、後席側の空調ゾーンに係る設定値や制御マップ等が用いられる。例えば、車室内設定温度Tsetは、後席側の空調ゾーンに対して設定された値であり、ブロワ風量は、後席用送風機72のブロワ風量を意味する。後席側内気温センサ80に係る内気温制御値Trc(n)の決定に関しては、上述した点を除いて、第1実施形態と同様である為、その説明を省略する。
従って、第2実施形態に係る車両用空調装置1によれば、後席側内気温センサ80による内気温検出値Trd(n)に関し、後席側の空調ゾーンの空調運転、ブロワ風量、吹出口モード等に応じた適切な補正を行い、内気温制御値Trcを決定することができる。これにより、第2実施形態に係る車両用空調装置1は、後席側の空調ゾーンに対する空調制御についても、その応答性を向上させることができる。
以上説明したように、第2実施形態に係る車両用空調装置1によれば、第1実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、第1実施形態と同様に得ることができる。即ち、後席用空調ユニット70及び後席側内気温センサ80を車室Cの後方側の空調用に配置した構成であっても、後席側内気温センサ80による内気温検出値Trdを補正することで、後席側における空調制御の応答性を向上させることができる。
(他の実施形態)
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上述した各実施形態を適宜組み合わせても良いし、上述した実施形態を種々変形することも可能である。
(1)上述した実施形態では、ヒータコア36は、エンジン冷却水を熱源として蒸発器15通過後の送風空気を加熱する構成であったがこの態様に限定されるものではない。例えば、冷凍サイクル装置10を、外気から熱を汲み上げるヒートポンプ装置として構成して、ヒータコア36にて、冷凍サイクル装置10が外気から汲み上げた熱を利用して蒸発器15通過後の送風空気を加熱してもよい。
又、送風空気を加熱する為の構成は、ヒータコア36とPTCヒータ37に限定されるものではなく、他の加熱装置を採用することができる。この加熱装置の熱源として、当該車両の車載機器の廃熱を利用しても良い。
(2)又、室内空調ユニット30のケーシング31の構成は、上述した実施形態に記載した構成に限定されるものではない。例えば、ケーシング31の内部に相互に並列な第1空気通路及び第2空気通路を形成し、内外気混入モードと内外気二層流モードとを切り替え可能なケーシング31とすることも可能である。
(3)上述した実施形態では、ハイブリッド車両の車両走行用の駆動力について詳細を述べていないが、パラレル型のハイブリッド車両に車両用空調装置1を適用してもよい。パラレル型のハイブリッド車両とは、エンジンEG及び走行用電動モータの双方から直接駆動力を得て走行可能なハイブリッド車両を意味する。
又、シリアル型のハイブリッド車両に車両用空調装置1を適用してもよい。シリアル型のハイブリッド車両とは、エンジンEGを発電機66の駆動源として用い、発電された電力をバッテリ67に蓄え、バッテリ67に蓄えられた電力が供給されることで作動する走行用電動モータから駆動力を得て走行するハイブリッド車両を意味する。
(4)上述した実施形態においては、運転係数α1の決定に際して、今回の内気温検出値Trd(n)−車室内設定温度Tsetの差を用いて、空調運転状態が暖房運転であるか冷房運転であるかを判定していたが、この構成に限定されるものではない。この冷房と暖房の判定に関しては、外気温センサ52で検出される外気温Tamを用いて判定しても良い。
(5)そして、上述した実施形態においては、直前期の内気温制御値Trc(n−1)として、4秒前における内気温制御値Trcを用いているが、この態様に限定されるものではない。例えば、4秒前ではなく、予め定められた期間であれば、直前期に相当する時期を適宜変更することができる。
(6)又、直前期の内気温制御値Trc(n−1)は、4秒前の時点における内気温制御値Trcのように、特定の時点における数値に限定されるものではない。直前期に相当する特定の期間に得られた数値群から定められる値を採用しても良い。例えば、直前期にあたる所定期間における内気温制御値Trcの母集団から統計学的に求められる数値(平均値、最大値、最小値、最頻値等)を用いるように構成しても良い。
1 車両用空調装置
10 冷凍サイクル装置
11 圧縮機
32 送風機
51 内気温センサ
50 空調制御装置
50a 補正係数決定部
50b 変化量特定部
50c 制御値決定部

Claims (7)

  1. 車室の内部に対して送風空気を送風する送風機(32、72)と、
    冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)を含み、前記送風空気の温度を調整する蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10)と、
    前記車室の内部における内気温を検出する内気温検出部(51、80)と、
    前記内気温検出部にて検出された内気温検出値(Trd)に相関を有する物理量である内気温制御値(Trc)を用いて、前記送風機及び前記圧縮機を含む構成機器の作動を制御する空調制御部(50)と、を有し、
    前記内気温検出部を取り巻く状況が前記内気温検出値に与える影響の大きさを1以上の数値で示す補正係数(α)を決定する補正係数決定部(50a)と、
    予め定められた直前期における前記内気温制御値に対する前記内気温検出値の差を示す変化量(ddt)を特定する変化量特定部(50b)と、
    前記直前期における前記内気温制御値に対して、前記補正係数と前記変化量を乗算した補正量を加算して、今回の前記内気温制御値を決定する制御値決定部(50c)と、を有する車両用空調装置。
  2. 前記変化量が予め定められた値よりも小さい定常状態であるか否かを判定する定常判定部(50e)を有し、
    前記制御値決定部は、前記定常判定部にて定常状態と判定された場合に、前記直前期における前記内気温制御値から定常補正量を減算して、今回の前記内気温制御値を決定し、
    前記定常補正量は、当該定常状態における前記内気温制御値を決定する毎に小さくなるように定められている請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記定常補正量は、前記車室の内部に関する設定温度(Tset)と前記内気温検出部で検出された前記内気温検出値の差を示す差分値(dt)に基づいて定められ、前記差分値が小さい程に小さく定められる請求項2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記車室に対する空調運転モードが暖房モードであるか冷房モードであるかを判定するモード判定部(50f)を有し、
    前記補正係数決定部は、前記モード判定部にて前記暖房モードであると判定された場合には、当該暖房モードにおける前記補正係数を、前記冷房モードにおける前記補正係数に比べて小さな値に決定する請求項1ないし3の何れか1つに記載の車両用空調装置。
  5. 前記補正係数決定部は、前記送風機による前記送風空気の風量が多い程に、前記補正係数を小さな値に決定する請求項1ないし4の何れか1つに記載の車両用空調装置。
  6. 前記車室における異なる位置に配置され、前記車室の内部へ前記送風空気が吹き出される複数の吹出口(24、25、26、79L、79R)と、
    前記複数の吹出口のうち、前記送風空気が吹き出される吹出口を示す吹出口モードを切り替える吹出口切替部(24a、25a、26a、79al、79ar)と、を有し、
    前記補正係数決定部は、前記吹出口切替部による吹出口モードに応じて、前記内気温検出部へ前記送風空気が送風される吹出口モードである場合には、他の吹出口モードよりも前記補正係数を小さな値に決定する請求項1ないし5の何れか1つに記載の車両用空調装置。
  7. 前記制御値決定部は、前記構成機器の作動による前記車室の空調を開始した時点では、前記内気温検出部にて検出された前記内気温検出値を、今回の前記内気温制御値に決定する請求項1ないし6の何れか1つに記載の車両用空調装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113928076A (zh) * 2020-06-29 2022-01-14 广州汽车集团股份有限公司 低温环境的汽车空调控制方法和汽车
WO2023070606A1 (zh) * 2021-10-29 2023-05-04 浙江吉利控股集团有限公司 除湿模式的控制方法、装置、设备、介质及程序产品

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