JP2020079345A - 亜鉛めっき面用塗料、それを用いた亜鉛めっきが施された鋼材への塗装方法、および塗装鋼材 - Google Patents

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Abstract

【課題】容易且つ簡便に防食塗装を行うことができる、亜鉛めっき処理が施された鋼材用塗料および塗装方法の提供。【解決手段】樹脂成分と顔料とを含む組成物であり、塗膜を形成した場合において、塗膜のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数と膜厚とが、下記条件1または条件2を満たすことを特徴とする。(条件1)線膨張係数が3.4×10−5/℃以下、塗膜が単層膜、または積層膜であり、単層膜の膜厚は、70μmを超え300μm以下、積層膜の膜厚は、70μmを超え、積層膜を形成する単層膜の膜厚は、35μm以上300μm以下である。(条件2)線膨張係数が3.4×10−5/℃を超え4×10−5/℃以下、塗膜が単層膜、または積層膜であり、単層膜の膜厚は、100μm以上300μm以下、積層膜の膜厚は、100μm以上1000μm以下、積層膜を形成する単層膜の膜厚は、50μm以上300μm以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、亜鉛めっき処理が施された鋼材用の塗料、それを用いた塗装方法、および塗装鋼材に関する。
送電用鉄塔等の鋼構造物は、風雨に曝される等、錆の発生しやすい環境にあるため、前記鋼構造物を構成する鉄鋼材等の鋼材の表面には、通常、亜鉛めっき等の防食処理が施される。
前記亜鉛めっき処理としては、例えば、溶融亜鉛めっき処理等がある。前記亜鉛めっき処理によると、前記鉄鋼材の表面に、通常、前記鉄鋼材の鉄素地に近い方から、鉄と亜鉛との合金層であるδ1層およびζ層が順次形成され、その上に、さらに、亜鉛層であるη層が形成され、めっき皮膜の構造となっている。前記亜鉛めっき処理された前記鋼構造物は、従来、メンテナンスフリーと言われ、無塗装で使用されたり、または、航空標識等の識別が必要な場合、周辺環境との調和が必要とされる場合等は、着色塗装され、使用されている。
しかし、近年、酸性雨等の影響により、予想以上に前記η層(亜鉛層)の消耗が速くなり、前記η層が消失して、前記鉄と亜鉛の合金層であるζ層が露出したり、さらには、前記η層および前記ζ層が消失し、前記鉄素地に接する前記合金層であるδ1層が露出することが増えている。このような現象が、例えば、数多くの送電用鉄塔等の鋼構造物で確認されているのが実情である。前記ζ層または前記δ1層が露出した鋼構造物では、徐々に赤錆が発生する。前記赤錆は、前記鋼構造物の外観の悪さだけでなく、前記鋼構造物の強度の低下を招く要因ともなるため、防食塗装が必要となる。
特許文献1(特開2000−140746号公報)は、このような錆が発生した鋼構造物に、防食塗装する方法として、前記鋼構造物の表面をケレン処理し、次いで下塗り塗装を行った後、さらに上塗り塗装等を施す方法を提案している。
前記ケレン処理は、前記鋼構造物の素地の状態に応じて行われる処理であり、一般的に、ディスクサンダー等の動力工具と、スクレーパ、ハンマー等の手工具とを併用し、前記鋼構造物の塗膜に劣化が生じている場合は、その劣化塗膜を除去し、錆部分には、素地の金属面が露出するまで、研ぎ出す処理がなされる。このような素地の処理を十分に行わなければ、その後、下塗り塗装および上塗り塗装を行っても、形成した防食塗膜の付着性や防食性能を低下させる要因となり、前記防食塗膜の寿命を縮めるおそれがある。しかしながら、このような防食塗装方法では、例えば、送電用鉄塔等の場合、作業は、足場のない高所で行われる上、手作業でのケレン処理工程にかなりの時間を要するため、送電停止時間を長引かせたり、作業者にとっても、安全面、身体面での負担が大きいという問題があった。そこで、近年、前記赤錆が発生する前、前記合金層である前記ζ層または前記δ1層が露出した状態のうちに、前記防食塗装が施されるようになってきた。しかし、このような前記合金層の露出面に対しては、通常の下塗り塗料を用いた塗装では、形成される塗膜の十分な付着性が確保できない場合があった。また、この従来の塗装方法は、塗り替え周期10数年程度が限界であった。このような現状では、相当数存在する送電用鉄塔等の鋼構造物の防食について、十分な維持管理が困難であった。
このような問題に対して、特許文献2(特開2001−198521号公報)は、エポキシ樹脂、鱗片状顔料、ケチミン化合物等を含有する一液型エポキシ樹脂塗料を、下塗り塗料として用いた塗装方法を提案している。この塗装方法によれば、前記亜鉛めっき処理が施された鋼構造物の表面に、付着性や防食性に優れた塗膜の形成が可能である。しかしながら、この方法によっても、前記亜鉛めっき皮膜中の前記亜鉛層のη層が消耗し、前記合金層のζ層やδ1層が露出している箇所においては、依然として、付着性が不十分であり、塗り替え周期50年以上という長期防食性を確保することは困難であった。
そこで、このような問題に対して、特許文献3(国際特許公報WO2007/023934号)は、下塗り塗料で形成する特定の収縮応力を示す下塗り層によって、付着性を確保し、前記上塗り塗料で形成する上塗り層によって、遮断性を確保する、新たな塗装方法を提案している。この方法によれば、前述のように、前記鋼構造物の表面において亜鉛めっき皮膜が劣化している場合であっても、付着性を確保し、且つ、防食性も実現することができる。
特開2000−140746号公報 特開2001−198521号公報 国際特許公報WO2007/023934
このような塗装方法によれば、前記下塗り塗料と前記上塗り塗料とを組み合わせて使用することにより、前述のように、付着性と防食性の両方を実現できる。一方、前記鋼鉱物の塗装は、前述のように屋外で行われることが多いため、このような効果を、より簡便な塗装で行えることも、現場における課題である。
そこで、本発明は、亜鉛めっき処理が施された鋼材に対して、容易且つ簡便に防食塗装を行うことができる、新たな塗料および塗装方法を提供する。
前記目的を達成するために、本発明の亜鉛めっき処理が施された鋼材用塗料は、
樹脂成分と顔料とを含む組成物であり、
前記組成物から塗膜を形成した場合において、前記塗膜のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数と膜厚とが、下記条件1または条件2を満たすことを特徴とする。
(条件1)
前記線膨張係数が3.4×10−5/℃以下であり、
前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
前記単層膜の膜厚は、70μmを超え300μm以下であり、
前記積層膜の膜厚は、70μmを超え、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、35μm以上300μm以下である
(条件2)
前記線膨張係数が3.4×10−5/℃を超え4×10−5/℃以下であり、
前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
前記単層膜の膜厚は、100μm以上300μm以下であり、
前記積層膜の膜厚は、100μm以上1000μm以下であり、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、50μm以上300μm以下である
本発明の亜鉛めっき処理が施された鋼材への塗装方法は、
被塗装物に、樹脂成分と顔料とを含む塗料を用いて塗膜を形成する塗装工程を含み、
前記塗装工程において、
前記被塗装物が、亜鉛めっき処理が施された鋼材であり、
ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数と膜厚とが、前記条件1または条件2を満たすように前記塗膜を形成することを特徴とする。
本発明の亜鉛めっき処理が施された鋼材の塗装の補修方法は、
被塗装物の塗膜を補修する補修工程を含み、
前記補修工程において、
前記被塗装物が、亜鉛めっき処理が施された鋼材であり、
前記補修工程の補修方法が、前記本発明の塗装方法により行われることを特徴とする。
本発明の塗装鋼材は、
鋼材と塗膜とを含み、
前記鋼材は、亜鉛めっき処理が施された鋼材であり、
前記鋼材の表面に、前記塗膜を有し、
前記塗膜は、ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数と膜厚とが、前記条件1または条件2を満たすことを特徴とする。
本発明は、前記塗膜の線膨張係数および膜厚を前記条件1または前記条件2とすることによって、例えば、前記塗膜を形成する被塗装物が亜鉛めっき処理された鋼材であっても、優れた付着性で前記鋼材上に形成でき、且つ、前記鋼材に対する遮断性にも優れる。また、本発明によれば、例えば、前述のように、付着性を実現するための下塗り塗料と、遮断性を実現するための上塗り塗料との組み合わせのように、複数の塗料が必須ではなく、1種類の塗料によって、付着性と遮断性の両方を兼ね備える塗膜とすることができる。このため、本発明によれば、例えば、簡便な塗装が可能となる。
図1は、ヒートサイクル剥離試験の#部塗膜欠陥評価基準を示す概略図である。
以下に、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態には限定されない。
<亜鉛めっき鋼材用塗料>
本発明の亜鉛めっき処理が施された鋼材用塗料は、前述のように、樹脂成分と顔料とを含む組成物であり、前記組成物から塗膜を形成した場合において、前記塗膜のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数と膜厚とが、下記条件1または条件2を満たすことを特徴とする。
(条件1)
前記線膨張係数が3.4×10−5/℃以下であり、
前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
前記単層膜の膜厚は、70μmを超え300μm以下であり、
前記積層膜の膜厚は、70μmを超え、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、35μm以上300μm以下である
(条件2)
前記線膨張係数が3.4×10−5/℃を超え4×10−5/℃以下であり、
前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
前記単層膜の膜厚は、100μm以上300μm以下であり、
前記積層膜の膜厚は、100μm以上1000μm以下であり、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、50μm以上300μm以下である
前記塗膜は、後述するように、例えば、鋼材に対して塗布した前記塗料の硬化により形成でき、前記塗膜は、前記塗料の不揮発分で構成される。このため、本発明において、前記塗膜の線膨張係数は、例えば、前記塗料の不揮発分の線膨張係数ともいう。前記塗膜は、例えば、前記塗料の硬化膜ともいう。
本発明において、以下、亜鉛めっきが施された鋼材を、亜鉛めっき鋼材ともいう。本発明の塗料は、前記亜鉛めっき鋼材に対する塗料であり、以下、亜鉛めっき鋼材用塗料ともいう。本発明の亜鉛めっき鋼材用塗料は、前述のように、ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数および膜厚が前記条件1または条件2となる塗膜を形成できる塗料であればよい。本発明において、前記条件1または条件2を満たす塗料を、以下、「塗料t」ともいい、前記条件1または条件2を満たす塗膜を、以下、「塗膜T」ともいう。
まず、条件1について説明する。前記条件1の塗膜Tの線膨張係数は、3.4×10−5/℃以下であり、例えば、3.2×10−5/℃以下、3×10−5/℃以下、2.5×10−5/℃以下である。前記塗膜Tの線膨張係数の下限は、特に制限されず、例えば、1.5×10−5/℃以上である。前記塗膜Tの線膨張係数の範囲は、例えば、1.5×10−5/℃〜3.4×10−5/℃、3×10−5/℃〜3.4×10−5/℃が例示できる。
前記条件1において、前記塗膜Tは、単層膜でもよいし、積層膜でもよい。前記塗膜Tが単層膜の場合、塗膜Tまたは単層膜Tともいい、前記塗膜Tが積層膜の場合、塗膜Tまたは積層膜Tともいう。前記積層膜Tは、2つ以上の単層膜の積層により形成され、前記積層膜Tを形成する単層膜は、単層膜sともいう。前記積層膜Tにおける前記単層膜sの積層数は、特に制限されず、下限は、例えば、2層である。
前記塗膜が単層膜Tの場合、膜厚は、前述のように、70μmを越え300μm以下であればよい。前記条件1の場合、前記亜鉛めっきが施された鋼材に対しては、例えば、前記塗膜Tの厚みが、相対的に厚くなるほど、前記塗膜の付着性および遮断性は、相対的に向上する。前記塗膜Tの膜厚の下限は、例えば、100μm以上が好ましく、より好ましくは200μm以上である。
前記塗膜が積層膜Tの場合、膜厚は、前述のように、70μmを越えればよい。前記条件1の場合、前記亜鉛めっきが施された鋼材に対しては、前記塗膜Tの厚みが、相対的に厚くなるほど、前記塗膜の付着性および遮断性は、相対的に向上する。前記塗膜Tの膜厚の下限は、例えば、100μm以上が好ましく、より好ましくは200μm以上であり、上限は、例えば、1000μm、600μm、300μm以下である。前記積層膜Tを形成する各単層膜sの厚みは、前述のように、35μm以上300μm以下である。
前記塗膜が積層膜Tを形成する単層膜sは、前記条件1を満たしていればよく、例えば、同じ組成の塗料tで形成されてもよいし、異なる組成の塗料tで形成されてもよい。後者の場合、本発明の塗料は、前記条件1を満たす異なる組成の塗料tを二種類以上含む、塗料キットでもよい。本発明の塗料が前記キットの場合、例えば、各塗料は、それぞれ別個の容器に収容されてもよい。
前記条件1の場合、例えば、前記塗膜の線膨張係数を同一と仮定すると、前記塗膜の膜厚を相対的に厚くすることで、前記膜厚の付着性および遮断性を相対的に向上させることができる。一方、前記塗膜の線膨張係数が異なると仮定すると、例えば、前記線膨張係数が相対的に小さい塗膜は、前記線膨張係数が相対的に大きい塗膜よりも、膜厚を相対的に厚くすることで、同等またはそれより向上した付着性および遮断性を実現することもできる。
つぎに、条件2について説明する。前記条件2の前記塗膜の線膨張係数は、3.4×10−5/℃を超え4×10−5/℃以下である。前記塗膜の線膨張係数の下限は、例えば、3.5×10−5/℃以上が好ましい。
前記条件2において、前記塗膜は、単層膜でもよいし、積層膜でもよい。前記条件1と同様に、前記塗膜が単層膜の場合、塗膜Tまたは単層膜Tともいい、前記塗膜が積層膜の場合、塗膜Tまたは積層膜Tともいう。前記積層膜Tは、2つ以上の単層膜の積層により形成され、前記積層膜Tを形成する単層膜は、単層膜sともいう。前記積層膜Tにおける前記単層膜sの積層数は、特に制限されず、下限は、例えば、2層である。
前記塗膜が単層膜Tの場合、膜厚は、前述のように、100μm以上300μm以下であればよい。前記条件2の場合、前記亜鉛めっきが施された鋼材に対しては、例えば、前記膜厚の厚みが、相対的に厚くなるほど、前記塗膜の遮断性は、相対的に向上し、相対的に薄くなるほど、前記塗膜の付着性は、相対的に向上する。前記塗膜Tの膜厚の下限は、例えば、100μm以上が好ましく、より好ましくは200μm以上である。
前記塗膜が積層膜Tの場合、膜厚は、前述のように、100μm以上1000μm以下であればよい。前記条件2の場合、前記亜鉛めっきが施された鋼材に対しては、例えば、前記膜厚の厚みが、相対的に厚くなるほど、前記塗膜の遮断性は、相対的に向上し、相対的に薄くなるほど、前記塗膜の付着性は、相対的に向上する。前記塗膜Tの膜厚の下限は、例えば、200μm以上が好ましく、上限は、例えば、600μm以下、300μm以下である。前記積層膜Tを形成する各単層膜sの厚みは、前述のように、50μm以上300μm以下である。
前記塗膜が積層膜Tを形成する単層膜sは、前記条件(2)を満たしていればよく、例えば、同じ組成の塗料tで形成されてもよいし、異なる組成の塗料tで形成されてもよい。後者の場合、本発明の塗料は、前記条件(2)を満たす異なる組成の塗料tを二種類以上含む、塗料キットでもよい。
前記塗膜の線膨張係数は、下記参考文献を参照して、以下のように測定される。
参考文献1:島津熱機械分析装置TMA−60/60H取扱説明書 島津製作所、2014年5月
参考文献2:島津熱分析ワークステーションTA−60WS取扱説明書 島津製作所、2014年2月
(線膨張係数測定方法)
表面が清浄なブリキ板(厚み0.3mm×75mm×150mm)に、測定する塗料を塗装し、23℃で硬化養生させ、塗膜を作製する。この作業を、乾燥膜厚が約6mm以上になるまで、1日1回繰り返し行う。その際、均一な塗膜を作製するため、塗装する方向は、1回ごとに交差させる。乾燥膜厚が6mm以上に達した塗膜を、前記ブリキ板から剥がし、約6mm×6mm×20mmの角柱になるように紙やすり等を用いて整形した後、その角柱状塗膜の質量を精秤する。その後、前記角柱状塗膜を、150℃の恒温槽で10時間加温養生し、養生後、再び前記角柱状塗膜の質量を精秤する。そして、養生前後の質量減量率を次式により算出する。加温養生前後の質量減少率が1%以内になるまで、同じ条件で加温養生を繰り返す。
Figure 2020079345
前記角柱状塗膜の質量減少率が1%以内に達したら、加温養生した前記角柱状塗膜(約6mm×6mm×20mm)を、紙やすり(#240)を用いて、さらに、4mm×4mm×15mmの角柱に整形し、これを測定用試料とする。この整形の際、ノギス等を用いて大きさを計測しながら研磨作業を行い、前記測定用試料の誤差を、4mm±0.5mm、15mm±1mm以内とする。
前記測定用試料の線膨張係数の測定は、島津製作所製の島津熱機械分析装置TMA−60で行う。−50℃からの測定を行うため、低温炉LTB−60を付属品として使用する。−50℃から+120℃までの前記測定用試料の温度上昇に伴う試料長の変化(線膨張量)を、サンプリング間隔1秒で測定する。測定結果として得られたグラフから、温度上昇と膨張率との間に比例関係が認められる区間において、2点を指定し、その区間の勾配からαおよびαを得る。なお、本明細書に記載するガラス転移温度は、勾配がαである直線領域と、勾配がαである直線領域との交点となる温度をいう。
本発明の亜鉛めっき鋼材用塗料は、前述のように、樹脂成分と顔料とを含む組成物である。本発明の亜鉛めっき鋼材用塗料(塗料t)について、以下に、一例を例示する。
前記塗料tは、前述のように、樹脂成分と顔料とを含む組成物であり、具体的には、前記樹脂成分として、エポキシ樹脂、前記顔料として、鱗片状顔料を含有し、さらに、アミン系硬化剤を含有してもよい。
前記エポキシ樹脂は、例えば、いわゆるピュアエポキシ樹脂でもよいし、化学的に樹脂骨格を変えたエポキシ樹脂でもよい。また、前記組成物において、前記エポキシ樹脂は、例えば、前記エポキシ樹脂以外の樹脂と併用する混合系として使用されてもよい。
前記エポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂である。前記エポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を2個以上有していればよく、前記エポキシ基の個数は、特に制限されない。前記エポキシ樹脂は、例えば、1分子中にエポキシ基を2〜5個有することが好ましい。前記塗料tにおいて、前記エポキシ樹脂は、例えば、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記エポキシ樹脂の分子量は、特に制限されず、具体例として、数平均分子量で示す場合、例えば、350〜3,000、400〜1,500であり、エポキシ当量は、例えば、80〜1,000、150〜700である。
本発明において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて被検樹脂(例えば、前記エポキシ樹脂)の保持時間(保持容量)を測定し、前記測定結果について、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)により、ポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。具体的に、ゲルパーミュエーションクロマトグラフは、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムは、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、および「TSKgel G−2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の4本を使用し、移動相はテトラヒドロフラン、測定温度40℃、流速1mL/min、および検出器RIの条件下で、保持時間(保持容量)を測定し、数平均分子量を求めることができる。
前記エポキシ樹脂は、例えば、多価アルコール、多価フェノール等と、過剰のエピクロルヒドリンまたはアルキレンオキシドとを反応させて、得られるエポキシ樹脂があげられる。前記多価アルコールは、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ソルビトール等があげられる。前記多価フェノールは、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[別名ビスフェノールA]、ハロゲン化ビスフェノールA、4,4−ジヒドロキシフェニルメタン[別名ビスフェノールF]、トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、レゾルシン、テトラヒドロキシフェニルエタン、ノボラック型多価フェノール、クレゾール型多価フェノール等があげられる。
前記エポキシ樹脂は、これらの例には限定されず、例えば、1,2,3−トリス(2,3−エポキシプロポキシ)プロパン、フタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート、トリグリシジルイソシアヌレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、ポリプロピレングリコールグリシジルエーテル等を合成材料として使用し、エピクロルヒドリンまたはアルキレンオキシドと反応させて、得られるエポキシ樹脂等もあげられる。
前記エポキシ樹脂としては、例えば、JER1001、JER1004、JER1007、JER806、JER807、JER1001×75、JER168V70、JER152、JER154、JERW2801、JERW1155R55、JER−W3435R67(三菱ケミカル社製)、エポトートYD―127、エポトートYDPN―638(新日鉄住金化学社製)、EPICLON830、EPICLON840、EPICLON850、EPICLON1050、EPICLON1055、EPICLON HP―7200、EPICLON HP―7200L、EPICLON HP―4770、EPICLON HP―820、EPICLON 5500―60、EPICLON 5900−60、EPICLON N−680、EPICLON N―770 (DIC社製)、アデカレジンEP−4100、アデカレジンEP−4500、アデカグリシロールED−502、アデカグリシロールED−505、アデカレジンEM−101−50(ADEKA社製)、ハリポールEP−450、ハリポールEP−497、ハリポールEP−528(ハリマ化成社製)、エポジール748、エポジール759(エアプロダクツアンドケミカルズ社製)、カードライトNX4764(カードライト社製)、カージュラE10(HEXION Specialty Chemicals社製)、エポルジョンEA1、2、3、7、12、20、55およびHD2(ヘンケルジャパン社製)、ユカレジンKE−002、KE−116、E−1022、KE−301C(吉村油化学社製)、Beckpox EP2381(オルネクス社製)、EPI−REZ6530−WH−53(モメンティブ社製)等が使用できる。これらのエポキシ樹脂は、例えば、強溶剤型エポキシ樹脂ともいう。
前記塗料tは、例えば、旧塗膜の上に塗装した場合にも、前記旧塗膜のリフティングの発生を抑制する点から、脂肪族炭化水素系溶剤および高沸点芳香族炭化水素系溶剤等の弱溶剤にも溶解可能な変性エポキシ樹脂(弱溶剤型エポキシ樹脂)と、硬化剤であるアミン樹脂とを含む弱溶剤系塗料が好ましい。このような弱溶剤に溶解可能な変性エポキシ樹脂としては、例えば、アルキルフェノール変性エポキシ樹脂、脂肪酸変性エポキシ樹脂、アルキルグリシジルエーテル等があげられる。このような変性エポキシ樹脂の市販品名としては、例えば、エピコート168V70(三菱ケミカル社製)、エピクロン5900−60、エピクロンHP−820(DIC社製)、エポジール748、エポジール759(エアプロダクツアンドケミカルズ社製)、カードライトNX4764(カードライト社製)、ハリポールEP−450、ハリポールEP−497(ハリマ化成グループ社製)、カージュラE10(HEXION Specialty Chemicals社製)、アデカグリシロールED−502、アデカグリシロールED−503、アデカグリシロールED−505(ADEKA社製)等があげられる。また、前記塗料tは、例えば、前記旧塗膜の上に塗装した場合にも、前記旧塗膜のリフティングの発生を抑制し、さらにVOC(揮発性有機化合物)等が原因となる環境問題の点から、水性エポキシ樹脂を含む水系塗料が好ましい。前記エポキシ樹脂のうち、水系塗料に適用できる前記水性エポキシ樹脂は、例えば、JERW2801、JERW1155R55、JER−W3435R67、エポルジョンEA1、2、3、7、12、20、55及びHD2、ユカレジンKE−002、KE−116、E−1022、KE−301C、アデカレジンEM−101−50、Beckpox EP2381;EPI−REZ6530−WH−53等があげられる。
前記鱗片状顔料は、例えば、フレーク状の顔料ともいう。前記鱗片状顔料の大きさは、特に制限されず、例えば、防食性能をより向上できる点から、平均厚さが、例えば、0.1〜15μm、平均長径が、例えば、0.01〜2mm、粒度分布のピークが、例えば、0.01〜2mmであるものが好ましい。前記鱗片状顔料は、例えば、タルク、マイカ、アルミニウムフレーク、ステンレスフレーク、ガラスフレーク、黒鉛、MIO(鱗片状酸化鉄)等があげられ、中でも、例えば、線膨張係数および絶縁抵抗性の点から、ガラスフレークが好ましい。前記塗料tは、例えば、前記鱗片状顔料として、いずれか一種類を含んでもよいし、二種類以上を含有してもよい。
前記鱗片状顔料の粒子の平均粒径は、例えば、1〜1500μmである。前記平均粒径は、例えば、数値範囲ごとに、以下のように算出でき、また定義できる。すなわち、平均粒径が1〜500μmであるとは、前記鱗片状顔料の粒径をレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて測定し、得られた50%平均粒径(体積基準で累計50%となる粒子径、メジアン径ともいう)が1〜500μmであることを意味し、レーザー回折・散乱法による球相当径で表される。また、平均粒径が500μmを超え1500μm以下であるとは、前記鱗片状顔料を光学顕微鏡で観察し、任意の粒子50個について、それぞれの長径を測定し、前記50個の粒径の平均値が、500μmを超え1500μm以下であることを意味する。前記鱗片状顔料において、「長径」とは、前記鱗片状顔料である粒子を、水平面に置いて光学顕微鏡で観察した際、面方向において前記粒子の最も長い方向における長さであり、「短径」とは、前記面方向において前記粒子の最も短い方向における長さであり、「厚み」とは、前記面方向に対して垂直方向における長さである。
前記鱗片状顔料のアスペクト比は、特に制限されず、例えば、1〜750である。前記鱗片状顔料のアスペクト比は、平均粒径(D)と平均厚み(T)との比(D/T)で表される。前記鱗片状顔料の平均粒径は、前述の通りである。前記鱗片状顔料の平均厚み(T)は、SEM(走査電子顕微鏡)または光学顕微鏡を用いて、前記鱗片状顔料の厚み(長径と短径とに垂直な方向の長さ)を測定し、任意の50個の粒子の厚みの平均値として算出することができる。
前記塗料tにおいて、前記鱗片状顔料の含有量は、特に制限されない。具体例として、前記エポキシ樹脂の固形分100質量部に対して、例えば、5〜250質量部、好ましくは20〜200質量部である。前記エポキシ樹脂の固形分に対する前記鱗片状顔料の含有量が、例えば、5質量部以上であれば、水分等の腐食性因子の透過阻止効果をより維持でき、100質量部以下であれば、塗料の粘性の向上をより抑制し、且つ、形成される塗膜の強度を十分に維持できる。
前記アミン系硬化剤は、前記エポキシ樹脂の硬化剤であり、前記エポキシ樹脂を硬化できるものであればよく、特に制限されず、従来公知のものが使用できる。
前記アミン系硬化剤は、例えば、ポリアミン化合物等が挙げられる。前記ポリアミン化合物は、特に制限されず、例えば、脂肪族系、脂環族系および芳香族系等があげられる。前記ポリアミン化合物は、例えば、前記エポキシ樹脂との硬化反応のため、第1級アミノ基、第2級アミノ基、または両方を有することが好ましい。前記ポリアミン化合物は、その活性水素当量が、例えば、約2,000以下であり、好ましくは約30〜1,000の範囲である。また、前記ポリアミン化合物の分子量は、特に制限されず、数平均分子量で示す場合、例えば、5,000以下、好ましくは約80〜3,000の範囲である。
前記ポリアミン化合物は、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン等の脂肪族ポリアミン類;メタキシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン類;イソホロンジアミン、シクロヘキシルプロピルアミン、ノルボルネンジアミン等の脂環族ポリアミン類;これらポリアミン類のエポキシアダクト物等の変性ポリアミン類;分子末端に少なくとも1個の第1級アミノ基を有するポリアミド類;前記アミン樹脂等があげられる。前記塗料tにおいて、前記ポリアミン化合物は、例えば、いずれか一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記塗料tにおいて、前記アミン系硬化剤の含有量は、特に制限されない。具体例として、前記エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、前記アミン系硬化剤中の活性水素当量が、例えば、0.5〜3当量、好ましくは0.5〜1.5当量程度である。このような含有量が、例えば、形成する塗膜の硬化性、および防食性の点から好ましい。
一方、前記アミン樹脂の市販品名としては、例えば、ラッカマイドWN−405、ラッカマイドWN−620、ラッカマイドWH−614、ラッカマイドF4、ラッカマイドWH−650(DIC社製)、トーマイド215−70X、トーマイド225−X、トーマイドTXS−53−C、トーマイドTXS−674−B、トーマイドTXS−685−A、トーマイドTXS−694、フジキュアーFXI−919、フジキュアーFXH−927、フジキュアーFXH−935、フジキュアー4011、フジキュアー4025、フジキュアー4030(T&K TOKA社製)、バーサミン340 1N、バーサミン551、バーサミン552(BASFジャパン社製)、サンマイド150−65、サンマイドWH―910、アンカミン2280、アンカミン2643、アンカマイド350A、(エアープロダクツアンドケミカルズ社製)、JERキュアXD#639、JERキュアST11、JERキュアST12、JERキュアST13、JERキュアSL11、JERキュアWD11M60(三菱ケミカル社製)、アデカハードナーEH−235R−2、アデカハードナーEH−4163X(商品名、ADEKA社製)、ベジケムグリーンV115、ベジケムグリーンV125、ベジケムグリーンV140、ベジケムグリーンG747(築野食品工業製)、ジェファーミンD−230、ジェファーミンT−403(ハンツマン社製)、ニューマイド511−55、ニューマイド3510(ハリマ化成製)、ダイトクラールI−5986、ダイトクラールI−6020、ダイトクラールX−5663H、ダイトクラールX−6102(大都産業社製)、ベッコポックスEH613W/80WA、ベッコポックスEH623W/80WA(サーフェース・スペシャリティージャパン社製)等があげられる。前記アミン樹脂のうち、前記弱溶剤系塗料に使用できるものとしては、例えば、JERキュアXD#639、アデカハードナーEH−235R−2等がある。また、前記アミン樹脂のうち、前記水系塗料に使用できるものとしては、例えば、トーマイドTXS−53−C、トーマイドTXS−674−B、トーマイドTXS−685−A、トーマイドTXS−694、フジキュアーFXI−919、フジキュアーFXH−927、フジキュアーFXH−935、サンマイドWH―910、JERキュアWD11M60、アデカハードナーEH−4163X、ダイトクラールI−5986、ダイトクラールI−6020、ダイトクラールX−5663H、ダイトクラールX−6102、ベッコポックスEH613W/80WA、ベッコポックスEH623W/80WA等があげられる。
前記塗料tは、前記樹脂成分として、例えば、前記エポキシ樹脂の他に、さらに、必要に応じて、前述のように、それ以外の樹脂を含んでもよい。前記エポキシ樹脂以外の樹脂(以下、併用樹脂ともいう)は、例えば、石油樹脂、クマロン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、ケトン樹脂、フェノール樹脂等があげられる。
前記塗料tにおいて、例えば、前記樹脂成分の含有量は、特に制限されず、前記塗料tにおける、不揮発分中の前記樹脂成分の含有量は、例えば、1〜70質量%、10〜60質量%である。また、前記塗料tにおける、不揮発分中の前記エポキシ樹脂の含有量は、例えば、1〜70質量%、10〜60質量%である。また、前記樹脂成分が、さらに前記併用樹脂を含む場合、前記塗料tにおける前記併用樹脂の含有量は、特に制限されず、例えば、前記エポキシ樹脂(固形分)100質量部を基準として、1〜100質量部、10〜50質量部の範囲等が例示できる。
前記塗料tは、例えば、必要に応じて、前述した前記樹脂成分および前記鱗片状顔料の他に、さらに、シランカップリング剤、増粘剤、消泡剤、可塑剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、沈降防止剤、タレ止め剤、反応性希釈剤等の各種添加剤を含有してもよい。これらの成分の含有量は、特に制限されない。前記塗料tが、前記タレ止め剤を含む場合、前記タレ止め剤の種類および配合量は、特に制限されないが、例えば、以下のような点を考慮して、選択、調整することが好ましい。すなわち、塗料に対して前記タレ止め剤を多く配合するほど、一般的に、1回の塗装による厚膜塗装し易くなる傾向にあり、一方、多く配合し過ぎると、形成された塗膜のレベリング性が低下し、塗装時における、亜鉛メッキ鋼板の表面への塗膜の濡れ性が低下し、付着性、耐食性等を低下させる傾向にある。このため、前記タレ止め剤は、例えば、厚膜性とレベリング性とのバランス取りを、使用する前記樹脂の粘度、顔料配合系、溶剤希釈量等に応じ、適宜設定することが好ましい。
前記塗料tは、前記顔料として、例えば、前記鱗片状顔料の他に、さらに、必要に応じて、前記鱗片状顔料以外の各種他の顔料を含有してもよい。前記他の顔料は、特に限定されず、例えば、塗料業界において通常使用されている顔料を使用できる。具体例としては、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の着色顔料、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料、亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ハイドロカルマイト等の防錆顔料、アルミニウム、ニッケル、クロム、錫、銅、銀、白金、金、ステンレス等の光輝顔料等があげられ、その他にも、例えば、針状、繊維状の顔料等があげられる。
前記塗料tにおいて、前記顔料は、例えば、形成される塗膜の線膨張係数αを低くする顔料が好ましく、例えば、同じ組成の塗料の場合、前記顔料は、その粒径が相対的に大きい顔料の方が、塗膜の線膨張係数αを相対的に低減できることから好ましい。前記塗料tが、前記鱗片顔料と前記その他の顔料とを含む場合、前記その他の顔料は、例えば、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。前記塗料tにおいて、前記顔料は、例えば、防食性の観点から、前記鱗片状顔料、前記防錆顔料が好ましい。このため、本発明の塗料は、例えば、屋外構造物の補修に適応する点から、前記顔料として、前記鱗片状顔料の他に、さらに、前記防錆顔料を含むことが好ましい。
前記防錆顔料は、市販品として、例えば、Heucophos ZPA、Heucophos ZPO、Heucophos ZMP、Heucophos ZAPP、Heucophos SAPP、Heucophos SRPP、Heucophos ZAMplus、Heucophos ZCPplus(Heubach社製)、K−WHITE#82、K−WHITE#84、K−WHITE#84S、K−WHITE#85、K−WHITE#105、K−WHITE#140W、K−WHITEG105、K−WHITE#450H、K−WHITECa650(テイカ社製)、LFボウセイZP−DL、LFボウセイP−WF、LFボウセイZP−50S、LFボウセイZP−SB、LFボウセイZP−HS、LFボウセイCP−Z、LFボウセイMZP−500、LFボウセイPMG、LFボウセイMP−620、LFボウセイZP−600、LFボウセイM−PSN、LFボウセイMC−400WR、LFボウセイPM−300、LFボウセイPM−300C、LFボウセイPM−308(キクチカラー社製)等を使用できる。
前記体質顔料のうち、前記タルクの市販品として、例えば、クラウンタルクP、クラウンタルクR、クラウンタルクSC、クラウンタルクC、クラウンタルクZ、クラウンタルクHS、クラウンタルク3S(松村産業社製)、Pタルク、PSタルク、TTKタルク、TTタルク、Tタルク(竹原化学工業社製)KHP−25、KHP−25B、KHP−20、KHP−20B、KHP−125、KHP−125B、KHP−400、KHP−400B(林化成社製)、タルクML110、タルクML112、タルクML115、タルクMG113、タルクMG115、タルクMS410、タルクMS412、タルクRL119、タルクRL217、タルクRG319、タルクRH415、タルクRS415、タルクRS515、タルクRS613(富士タルク工業社製)、タルク85、タルク83、タルクH、タルクD(山陽クレー工業社製)等、前記マイカの市販品として、例えば、100M、300M、1000M(大阪マイカ工業社製)、マイカA−21S、マイカAB−25S、マイカA−41S、マイカYM−21S、マイカYM−31S、マイカSYA−21R、マイカSB−061R(ヤマグチマイカ社製)、Suzoraite350−PO、Suzoraite 325−PO、Suzoraite325−HK、Suzoraite325−S、Suzoraite80−SF、Suzoraite200−PO、Suzoraite200−S、Suzoraite200−HK、Suzoraite150−NY、Suzoraite150−PO、Suzoraite150−S(イメリススペシャリティーズジャパン社製)、MICA WG−160、MICA WG−325、4−K MICA、MICA C−1000、MICA C−3000、MICA C−4000(Kings Mountain Minerals社製)、レプコマイカS−200HG、レプコマイカS−325、レプコマイカS−400、レプコマイカM−200、レプコマイカM−325、レプコマイカM−400(レプコ社製)、ミクロマイカMK−200、ミクロマイカMK−200K、ミクロマイカMK−300、ミクロマイカMK−300K、ミクロマイカKM(片倉コープアグリ社製)等を使用できる。カオリンにEckalite1、EckaliteED(イメリススペシャリティーズジャパン社製)、ASPG90、ASP170、ASP200、ASP400P、ASP600(BASF社製)を使用できる。燐片状酸化鉄にAM−200P、BM−200P(チタン工業社製)、MIOX SG、MIOX Micro50、MIOX Micro40、MIOX Micro30、MIOX Micro20、MIOX Micro15、MIOX Micro10(カントナー社製)、アルミニウムペーストにアルペースト1950M、アルペースト1100M、アルペーストHS−2、アルペースト1100MA、アルペースト1700NL、アルペースト1200M(東洋アルミニウム社製)等を使用できる。
前記炭酸カルシウムは、市販品として、例えば、「スーパーS」、「スーパーSSS」、「ナノコートS−25」、「MCコートS−10」(以上、商品名、丸尾カルシウム社製、)、「ネオライトSS」、「ネオライトSA−200」(以上、商品名、竹原工業社製)等が使用できる。硫酸バリウムは、市販品として、例えば、「硫酸バリウム100」、「バリタBF−1」(以上、商品名、堺化学工業社製)等が使用できる。ガラスフレークは、市販品として、例えば、「RCF−600」、「RCF−160」、「RCF−015」、「RCF−2300」(以上、商品名、日本板硝子社製)、ECR Type Glass flake GF750シリーズ、ECR Type Glass flake GF500シリーズ、ECR Type Glass flake GF300シリーズ、ECR Type Glass flake GF200シリーズ、ECR Type Glass flake GF100シリーズ、ECR Type Glass flake GF300M、ECR Type Glass flake GF750nmシリーズ、ECR Type Glass flake GF500nmシリーズ、ECR Type Glass flake GF350nmシリーズ、ECR Type Glass flake GF100nmシリーズ、Type Glass flake GF750Cシリーズ(GLASS FLAKE社製)等が使用できる。
前記着色顔料は、市販品として、例えば、「A−190」、「A−197」、「R−25」、「R−21」、「R−32」、「R−7E」、「R−5N」、「GTR−100」、「R−62N」、「R−650」、「D−918」、「D−2667」、「D−970」、「R−42」、「R−45M」、「R−38L」(以上、商品名、堺化学工業社製)、「CR−50」、「CR−50−2」、「CR−63」、「CR−57」、「CR−58」、「CR−58−2」、「CR−Super70」、「CR−80」、「CR−90」、「CR−90−2」、「CR−93」、「CR−95」、「CR−97」、「CR−953」、「R−630」、「R−780」、「R−780−2」「R−820」、「R−830」、「R−930」、「R−980」、「UT771」、「PF−736」(以上、商品名、石原産業社製)、「JR−301」、「JR−403」、「JR−405」、「JR−600A」、「JR−605」、「JR−600E」、「JR−603」、「JR−701」(以上、商品名、テイカ社製)、「ベンガラ100ED」、「ベンガラ120ED」、「ベンガラ130ED」、「ベンガラ140ED」、「ベンガラ160ED」、「ベンガラ180ED」、「ベンガラ190ED」、「KN−R」、「KN−V」、「ベンガラ130R」、「ベンガラ515R」、「ベンガラ580R」、「ベンガラTSY−1」、「ベンガラTSY−2」、「ベンガラTSY−3」、「ベンガラTSY−4」、「ベンガラY−50N」、「ベンガラTSY−1H」、「ベンガラKN−370」、「ベンガラHR−390H」(以上、商品名、戸田工業社製)、「#2650」、「#2350」、「#1000」、「#970」、「MA8」、「MA100」、「MA230」、「#25」、「#10」、「#5」、「MA220」(以上商品名、三菱ケミカル社製)等が使用できる。
前記塗料tの形態は、特に制限されず、例えば、有機溶剤型塗料、無溶媒系塗料、水系塗料があげられ、取り扱い性等の点から、さらに、有機溶剤を含む有機溶剤型塗料が好ましい。前記塗料tが有機溶剤型の場合、その固形分含量は、特に制限されず、例えば、50〜90重量%程度である。前記塗料tが有機溶剤型の場合、前記有機溶剤は、例えば、前記樹脂成分の製造時に含まれるものでもよく、また、前記塗料の固形分調整等の目的で適宜添加されてもよい。
前記有機溶剤は、特に制限されず、例えば、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット等の芳香族炭化水素系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤;エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール系溶剤;これらグリコール系溶剤のメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤等の従来公知の溶剤が使用できる。
前記塗料tは、例えば、前記アミン系硬化剤以外の成分を含有する塗料ベース(例えば、前記エポキシ樹脂の原料および前記鱗片状顔料を含む)と、前記アミン系硬化剤を含有する硬化剤との二液型塗料である。前記二液型塗料は、通常、塗装時に、前記塗料ベースと前記硬化剤とを混合して、混合塗料として使用される。混合後の塗料の可使時間は、例えば、20℃において、0.5〜6時間程度である。前記塗料tは、例えば、常温硬化型の塗料である。
本発明の塗料tを用いて、前記鋼材に塗膜を形成する際、本発明の塗料tによる効果に影響を与えない範囲で、例えば、前記鋼材に対する下塗り塗料、本発明の塗料tにより形成された塗膜に対する上塗り塗料等を併用してもよい。この場合、本発明の塗料は、例えば、前記条件1または条件2を満たす塗膜Tを形成する塗料tと、その他の塗料とを含む塗料キットでもよい。前記その他の塗料は、例えば、前記下塗り塗料、前記上塗り塗料等があげられる。具体例として、本発明の塗料キットは、前記塗料tと前記下塗り塗料とを含むキット、前記塗料tと前記上塗り塗料とを含むキット、前記塗料tと前記下塗り塗料と前記上塗り塗料とを含むキット等があげられる。
前記下塗り塗料は、例えば、塗装対象である鋼材の防食の点から使用される。前記下塗り塗料は、例えば、樹脂成分として、樹脂と硬化剤とを含む。前記樹脂は、例えば、エポキシ樹脂と、前記エポキシ樹脂に対する併用樹脂とを含む。
前記エポキシ樹脂は、例えば、前記塗料tで例示した樹脂があげられる。前記併用樹脂は、例えば、ウレタン変性エポキシ樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂、および石油樹脂等があげられ、いずれか一種類でもよいし、二種類以上を含んでもよい。前記ウレタン変性エポキシ樹脂は、例えば、アミン付加エポキシ樹脂に、ポリイソシアネート化合物またはモノイソシアネート化合物を反応させて得られる樹脂等があげられる。前記アミン付加エポキシ樹脂は、例えば、前記エポキシ樹脂にアミン類を反応させて得ることができる。前記ウレタン変性エポキシ樹脂の分子量は、特に制限されず、具体例として、数平均分子量で示す場合、例えば、1,000〜65,000、2,000〜25,000である。前記樹脂が、前記エポキシ樹脂と前記併用樹脂とを含む場合、前記併用樹脂の含有量は、特に制限されず、例えば、前記エポキシ樹脂100質量部を基準として、10〜300質量部、30〜200質量部の範囲が例示できる。前記エポキシ樹脂の質量部は、例えば、前記エポキシ樹脂の不揮発分の質量で表すことができる。
前記硬化剤は、例えば、ポリアミン化合物があげられる。前記ポリアミン化合物は、例えば、前記塗料tで例示した樹脂があげられる。
前記下塗り塗料は、必要に応じて、さらに、例えば、着色顔料、体質顔料、防錆顔料等の顔料類、有機溶剤、添加剤(例えば、シランカップリング剤、増粘剤、消泡剤、可塑剤、タレ止め剤、顔料分散剤等)等の成分を含んでもよい。これらの成分は、例えば、いずれか一種類でもよいし、二種類以上を含んでもよい。
前記下塗り塗料は、例えば、前記樹脂成分の種類、具体的には、前記樹脂の種類および前記硬化剤の種類等に応じて、塗料形態を、1液型としてもよいし、2液型等としてもよい。前記2液型の場合、例えば、使用直前に、両者を混合して、前記下塗り塗料を調製してもよい。
前記上塗り塗料は、例えば、塗装対象の鋼材の耐久性の点から使用される。前記上塗り塗料は、例えば、樹脂成分として、樹脂を含む。前記樹脂は、例えば、アクリル樹脂を含む。
前記アクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリロイル化合物、および必要に応じてその他の重合性不飽和化合物を、共重合成分とする樹脂があげられる。前記共重合成分となる化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキルまたはシクロアルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和化合物;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレートおよびそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基含有重合性不飽和化合物;2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等のリン酸基含有重合性不飽和化合物等の酸基含有重合性不飽和化合物;2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の炭素数2〜8個のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;Nーメチロールアクリルアミド;アリルアルコール;炭素数2〜8個のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性アクリル化合物;ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレンポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族環含有重合性不飽和化合物;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメトキシ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノアルコキシ(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有重合性不飽和化合物;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和化合物;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和化合物;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;等があげられる。これらの重合性不飽和化合物は、いずれか一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記アクリル樹脂は、例えば、水蒸気透過量の点から、水酸基を含有することが好ましい。前記アクリル樹脂が水酸基を含有する場合、前記アクリル樹脂の水酸基価は、例えば、10〜200mgKOH/g、50〜100mgKOH/gの範囲である。
前記樹脂成分は、例えば、前記樹脂の他に、さらに、硬化剤を含んでもよい。前記樹脂が、前記水酸基を含有するアクリル樹脂の場合、前記硬化剤は、例えば、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
前記ポリイソシアネート化合物は、特に制限されず、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物が好ましい。前記ポリイソシアネート化合物は、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ポリトリレンポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート、ポリフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等があげられる。また、前記硬化剤としては、例えば、これらのポリイソシアネート化合物の他に、例えば、前記ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体、ウレタンポリマー(例えば、ポリオールと過剰のポリイソシアネートとの反応生成物であり、且つ、イソシアネート基を分子末端に持つもの)、ビュウレット体等の類似の化合物があげられる。前記硬化剤は、例えば、いずれか一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記上塗り塗料は、例えば、前記樹脂成分の種類、具体的には、前記樹脂の種類および前記硬化剤の種類等に応じて、塗料形態を、1液型としてもよいし、2液型等としてもよい。前記2液型の場合、例えば、使用直前に、両者を混合して、前記上塗り塗料を調製してもよい。前記上塗り塗料は、例えば、市販品が使用でき、具体例として、硬化剤としてウレタンポリマーを含むウレタン系上塗り塗料等が使用できる。
本発明の亜鉛めっき鋼材用塗料は、例えば、本発明の塗装方法および補修方法に使用できる。
<塗装方法および補修方法>
本発明の亜鉛めっき鋼材への塗装方法は、前述のように、被塗装物に、樹脂成分と顔料とを含む塗料を用いて塗膜を形成する塗装工程を含み、前記塗装工程において、前記被塗装物が、亜鉛めっき処理が施された鋼材であり、ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数と膜厚とが、前記条件1または前記条件2を満たすように前記塗膜を形成する
ことを特徴とする。本発明において、前記塗装工程は、例えば、塗膜工程ともいい、前記塗装工程で形成される塗膜は、前述のように、前記塗料の硬化膜ともいう。
本発明は、前記亜鉛めっき鋼材に、前記条件1または前記条件2を満たすように前記塗膜を形成することが特徴であり、その他の工程および条件は、何ら制限されない。本発明において、前記条件1または条件2を満たす塗膜Tを形成する前記塗料としては、例えば、前記本発明の亜鉛めっき鋼材用塗料が使用できる。
本発明の塗装方法によれば、次のような顕著な効果が奏される。本発明によれば、前述のように、下塗り塗料と上塗り塗料とを必須とすることなく、付着性と遮断性とを実現することができる。すなわち、本発明によれば、前記線膨張係数と前記膜厚とが前記条件1または条件2を満たす塗膜Tを形成するのみで、付着性と遮断性とを実現できる。このため、本発明によれば、例えば、前述のように、複数の塗料でなく、1種類の塗料を用いて、前記塗膜Tを形成することによっても、付着性と遮断性の両方を実現できる。したがって、本発明によれば、例えば、前記塗装工程において、前記塗料を一回塗布して硬化することにより単層膜の塗膜Tを形成するのみで、十分な効果を得ることができる。
また、本発明によれば、例えば、亜鉛めっき処理が施された送電用鉄塔等の鋼構造物に対して、亜鉛めっき皮膜中の亜鉛層である前記η層が残存している素地表面はもちろんのこと、前記η層が消失して鉄と亜鉛の合金層である前記ζ層が露出した素地表面や、前記η層および前記ζ層が消失して、鉄素地に接する前記合金層である前記δ1層が露出した素地表面に対しても、前記線膨張係数を満たす塗膜を形成することで、収縮応力の緩和と防食性の向上を図ることができる。これにより、本発明によれば、例えば、前記表面との付着性に優れ、且つ、長期の防食性を実現する塗装を行うことができる。
従って、本発明の塗装方法によれば、例えば、前記塗装工程において、わずか一回の前記塗料の塗布と硬化により単層膜の塗膜を形成するだけでも、20年以上という長期にわたる防食性能の維持が可能となり、塗り替え周期を、さらに長期間とすることができる。このため、相当数存在する送電用鉄塔等の鋼構造物に対して、十分な防食維持管理を行なうことができる。
なお、本発明の塗装方法は、例えば、前記被塗装物に対して前記単層膜の塗膜Tを形成するのみでもよいが、前記塗膜は、前記単層膜に制限されるものではない。本発明の塗装方法において、例えば、前記被塗装物に対して、前記塗料の塗布と硬化とを二回以上繰り返し行い、前記条件1または条件2を満たす、単層膜sが積層された積層膜Tの塗膜を形成してもよい。
また、本発明の塗装方法によって前記塗膜Tを形成して、前記塗膜Tによる長期間(例えば、20年以上)の防食を行った後、さらなる長期間の防食のため、前記塗膜の上に、さらに、本発明の塗装方法によって、新たな前記塗膜Tを形成してもよい。この場合、前記鋼材上に、本発明の塗装方法によって、異なる時期に形成された各塗膜Tが積み重ねられることになるが、この場合、全体として、前記条件1または条件2における前記積層膜の条件を満たすことが好ましい。このように、前記鋼材上の塗膜が、異なる時期に形成された単層膜Tまたは積層膜Tの積み重ねの場合も、全体として、前記条件1または条件2における前記積層膜の条件を満たすことで、前述のように、付着性と遮断性の両方を実現できる。
本発明は、前記塗膜の線膨張係数と膜厚との関係を、前記条件1または条件2とすることがポイントであるが、前記塗膜の線膨張係数および膜厚を前記条件に調整する方法自体は、何ら制限されない。前記条件1および条件2については、例えば、前記本発明の塗料における説明を援用できる。
本発明において、塗装とは、被塗装物の表面を、塗料の皮膜で覆う表面処理のことを意味する。本発明の塗装方法は、前記被塗装物の補修方法ともいい、以下、本発明の塗装方法は、本発明の補修方法との読み替えが可能である。
本発明塗装方法において、塗装対象である被塗装物は、前述のように、溶融亜鉛めっき処理等の亜鉛めっき処理が施された鋼材である。前記鋼材は、その表面に、亜鉛めっき処理が施された鋼材であればよく、鋼材自体は、特に制限されない。前記被塗装物は、例えば、前記鋼材を含む鋼構造物である。前記鋼構造物は、特に制限されず、例えば、送電用鉄塔、通信用鉄塔、橋脚、橋梁、ガードレール、プラント、タンク、港湾施設等の屋外に建設された鋼構造物等があげられる。本発明において、鋼材とは、鋼材を含む鋼構造物の意味も含む。
前記鋼材は、例えば、無塗装のものでも、航空標識色等の塗装による旧塗膜があるものでもよい。また、前記亜鉛めっき鋼材の表面は、例えば、前記亜鉛層であるη層が残存する面、前記η層が消失し、鉄と亜鉛との合金層である前記ζ層が露出した面、さらに前記η層および前記ζ層が消失して前記δ1層が露出した面のいずれでもよい。特に、本発明方法は、例えば、鉄と亜鉛の合金層である前記ζ層の露出面、前記δ1層の露出面、およびこれらの両方の露出面に対する防食塗装方法として、有効である。
前記塗装工程は、例えば、前記被塗装物に形成されている塗膜が残存した状態で、前記塗膜を形成してもよい。また、本発明の塗装方法によれば、前述のように、長期の防食が可能であるが、長期経過後、本発明における塗装工程により形成された塗膜に対して、さらに、本発明の塗装方法により、塗膜を形成して、補修を行ってもよい。
なお、本発明の塗装方法は、例えば、前記鋼材からの錆の除去や、前記旧塗膜の除去等を行う形態を、除外するものではない。すなわち、本発明の塗装方法は、例えば、前記塗装工程に先立って、例えば、前記鋼材に対する下地処理を行う下地処理工程を含んでもよい。前記下地処理工程は、例えば、前記鋼材から錆を除去する工程、または、前記鋼材から前記旧塗膜を除去する工程等があげられる。前記鋼材の塗装部位に錆が発生している場合、前記鋼材からの錆の除去は、例えば、ブラスト処理、動力工具による処理、ワイヤーブラシ等による手ケレン等があげられる。前記旧塗膜が劣化している場合、例えば、前記鋼材からの前記旧塗膜の除去は、前記錆の除去と同様の方法が使用できる。また、前記旧塗膜が劣化していない場合、例えば、前記旧塗膜には、前記下地処理に代えて、目粗し処理を行うのが好ましい。
前記塗装工程において、前記塗膜の形成方法は、特に制限されず、前述のように、線膨張係数および膜厚が前記条件1または条件2となるように、前記塗膜を形成すればよい。前記塗膜の形成方法としては、例えば、前記本発明の亜鉛めっき鋼材用塗料を使用し、前記鋼材の表面に、前記本発明の亜鉛めっき鋼材用塗料を塗布して、前記塗膜を形成することができる。
前記鋼材への前記塗料の塗布方法は、特に制限されず、例えば、具体例として、刷毛塗り、ローラー塗装、スプレー塗装等の一般的な塗装方法を採用できる。前記鋼材への前記塗料の塗布量は、特に制限されず、塗布後に硬化した塗膜の膜厚で表した場合、例えば、前記条件1で例示した単層膜または積層膜の厚みとなる塗布量であり、また、前記条件2で例示した単層膜または積層膜の厚みとなる塗布量である。前記硬化した塗膜の膜厚を、これらの範囲とすれば、例えば、防食性および付着性を十分に維持できる。
本発明の塗装方法により形成する塗膜Tは、前述のように、単層膜Tでも積層膜Tでもよい。前者の場合は、前記鋼材に対して、前記塗装工程において前記塗料の塗布と硬化とを一回施すことによって、単層膜の塗膜を形成できる。この際、形成される塗膜は、前記条件1または前記条件2における単層膜単独の条件を満たすように形成されればよい。また、後者の場合は、前記鋼材に対して、前記塗装工程において前記塗料の塗布と硬化とを繰り返し施すことによって、単層膜が積み重ねられた積層膜の塗膜を形成できる。この際、形成される塗膜は、前記条件1または前記条件2における積層膜の条件、および、前記積層膜を構成する単層膜の条件を満たすように形成されればよい。
さらに、本発明の塗装方法によって前記鋼材に対して防錆のための前記塗膜を形成し、長期間を経た後、さらなる補修のために、本発明の塗装方法により、前に形成された塗膜(旧塗膜)の上に、新たな塗膜を形成し、補修塗装を繰り返し行うことも可能である。この場合、前記鋼材上に形成された塗膜は、例えば、全体として前記旧塗膜と前記新たな塗膜とを含むが、それら全体として、前記条件1または前記条件2における積層膜の条件を満たすことが好ましい。
前記塗装工程において、前記鋼材に塗布した前記塗料は、例えば、乾燥により硬化させて塗膜とすることが好ましい。前記乾燥条件は、特に制限されず、例えば、前記塗料を塗布した後、前記塗料中に含まれる前記揮発成分が消失(揮発)する条件であればよい。前記乾燥条件は、例えば、常温乾燥であり、具体例として、温度5〜35℃、湿度20〜85%、日数1〜7日があげられる。なお、前記乾燥条件は、例示であって、本発明は、これには制限されず、前記鋼材が、屋外に設置された鋼構造物の場合、前記乾燥は屋外で行われるため、例えば、屋外温度および屋外湿度に応じて、乾燥日数を調整すればよい。
本発明の塗装方法は、前記亜鉛めっき鋼材に対して、前記塗装工程により前記条件1または条件2を満たす塗膜Tを形成するのみでもよいが、例えば、前記塗装工程により形成した前記塗膜Tの表面に、必要に応じて、上塗り層を形成してもよい。前記上塗り層の形成に使用する塗料は、例えば、前述した上塗り塗料が使用でき、具体的に、ウレタン樹脂系上塗り塗料、フッ素樹脂系上塗り塗料等の公知の上塗り塗料等が使用できる。また、前記上塗り塗料を用いて、本発明における前記条件1または2を満たす前記塗膜T上に、例えば、航空標識や周辺環境との調和のための着色塗装をしてもよい。
前記上塗り層の膜厚は、特に制限されず、例えば、その下限は、例えば、10μm以上、25μm以上であり、その上限は、例えば、100μm以下、60μm、50μm以下、30μm以下である。前記上塗り層が前記条件1または条件2を満たさない場合でも、前記上塗り層の膜厚を、このような薄さに制限することによって、例えば、下に形成されている前記塗膜Tへの影響も十分に抑制でき、さらに、新たな塗膜Tを前記上塗り層の上に形成する場合にも、新たな塗膜Tへの影響を十分に抑制できる。
本発明の塗装方法は、例えば、前記塗装工程により前記塗膜Tを形成する前に、前記亜鉛めっき鋼材の表面に、必要に応じて、下塗り層を形成してもよい。前記下塗り層の形成に使用する塗料は、例えば、前述した下塗り塗料が使用できる。
前記下塗り層の膜厚は、特に制限されず、例えば、前記条件1または条件2を満たす塗膜Tに影響を与えない範囲であればよく、その下限は、例えば、5μm以上、30μm以上であり、その上限は、例えば、200μm以下、100μm以下、90μm以下、60μm以下である。前記下塗り層が前記条件1または条件2を満たさない場合でも、前記下塗り層の膜厚を、このような薄さに制限することによって、例えば、上に形成される前記塗膜Tへの影響も十分に抑制でき、さらに、前記旧塗膜の上に新たな塗膜Tを形成する際、新たな塗膜Tの形成前に前記下塗り層を形成しても、新たな塗膜Tへの影響を十分に抑制できる。
本発明の塗装方法においては、このように、前記塗膜Tの形成前に前記下塗り層を形成してもよく、また、前記塗膜Tの形成後に前記上塗り層を形成してもよい。この場合、前記亜鉛めっき鋼材の表面には、例えば、任意の前記下塗り層、必須の前記塗膜T、および任意の前記上塗り層が存在することになるが、前記塗膜Tが、前記条件1または前記条件2を満たしていればよい。前記下塗り層および前記上塗り層が、例えば、前記条件1および条件2を満たさない場合でも、例えば、これらの膜厚を前述のような範囲とすることで、前記塗膜Tへの影響は、十分に抑制でき、前記塗膜Tの付着性および防食性は、十分に維持できる。
本発明の補修方法は、前述のように、亜鉛めっき処理が施された鋼材の塗装の補修方法であり、被塗装物の塗膜を補修する補修工程を含み、前記補修工程において、前記被塗装物が、亜鉛めっき処理が施された鋼材であり、前記補修工程の補修方法が、前記本発明の塗装方法により行われることを特徴とする。本発明の補修方法は、前記本発明の塗装方法の記載を援用できる。
<塗装鋼材>
本発明の塗装鋼材は、前述のように、鋼材と塗膜とを含み、前記鋼材は、亜鉛めっき処理が施された鋼材であり、前記鋼材の表面に、前記塗膜を有し、前記塗膜は、ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数と膜厚とが、前記条件1または条件2を満たすことを特徴とする。
本発明の塗装鋼材は、例えば、前記鋼材に前記本発明の塗装方法を施すことによって得られる。すなわち、本発明の塗装鋼材は、例えば、前記本発明の塗装方法で前記鋼材を塗装することにより製造される塗装鋼材ということもできる。前記塗膜が形成される鋼材、前記塗膜を形成する塗料、および塗装方法は、例えば、前記本発明の塗料および前記本発明の塗装方法の記載を援用できる。
本発明の塗装鋼材において、前記塗膜は、例えば、前記鋼材に塗布された前記塗料から、有機溶媒等の揮発成分が揮発することによって形成された膜である。前記塗膜Tは、前述のように、前記単層膜Tでもよいし、前記積層膜Tでもよい。前記積層膜は、例えば、前記旧塗膜Tの上に、数年、十数年、20年経過後、さらに新たな塗膜Tを形成することで形成された積層膜でもよい。また、前記鋼材上の塗膜は、前述のように、前記塗膜Tの他に、例えば、前記上塗り層および前記下塗り層の少なくとも一方を含んでもよい。
以下、実施例および比較例をあげて、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、これらによって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、それぞれ、「質量部」および「質量%」を示す。
(1)塗料
以下の方法により、各種塗料を調製した。まず、主剤は、下記表1および表2の配合比率にしたがって、ガラスフレークを除く各成分を混合した後、ガラスビーズを充填し、これらの成分を卓上サンドミルを用いて十分に分散させた。十分に分散させたベースに対して、前記表1および表2の配合比率にしたがって、前記ガラスフレークを添加し、さらに、ディスパー分散機により均一に攪拌混合し、これを主剤とした。硬化剤は、下記表1および表2の配合比率にしたがって各成分を配合し、ディスパー分散機により均一に攪拌混合して、製造した。
Figure 2020079345
Figure 2020079345
注1)ビスフェノールF型エポキシ樹脂液
注2)石油樹脂II液
注3)シランカップリング剤
注4)タレ止め剤
注5)RCF−160:商品名、日本板硝子社製、ガラスフレーク顔料、粒径中(平均粒径:160μm)
注6)RCF−600:商品名、日本板硝子社製、ガラスフレーク顔料、粒径大(平均粒径:600μm)
注7)RCF−015:商品名、日本板硝子社製、ガラスフレーク顔料、粒径小(平均粒径:15μm)
注8)変性ポリアミドポリアミン液
注9)ビスフェノールA型エポキシ樹脂液: 固形分75%、当該エポキシの数平均分子量900、エポキシ当量475
注10)縮合リン酸アルミニウム: 平均粒径3.5μm、商品名「K−WHITE#82」テイカ社製
注11)ポリエチレンワックス系分散剤: 商品名「ディスパロン4200−20」 楠本化成社製
注12)非シリコン系消泡剤: 商品名「ディスパロンOX−66」楠本化成社製
注13)変性脂肪族ポリアミドアミン: 固形分65%、アミン価62mg KOH/g
(2)試験板の製造
市販の溶融亜鉛めっき鋼板(厚み3.2mm×70mm×150mm)を、海浜地区で曝露し、鉄と亜鉛の合金層であるζ層が露出した表面になるまで放置した。そして、前記ζ層が露出した表面をサンドペーパー(#240)で研磨して、試験板(i)とした。
また、別途、暴露していない前記溶融亜鉛めっき鋼板を、ISO Sa1.0の素地調整グレードになるまでグリッドブラスト処理したものを、試験板(ii)とした。試験板(ii)の表面は、η層と確認できた。
(3)各種試験
下記表3に示す塗料を用いて、下記表3に示す厚みの塗膜を形成し、前記塗膜について、冷熱サイクル試験X、耐湿性試験、塩水噴霧試験、冷熱サイクル試験Yを行った。前記塗膜の形成方法は、各試験において記載する。
Figure 2020079345
(3−1)冷熱サイクル試験X
前記表1および表2に示す前記主剤と前記硬化剤とを、前記表1および表2の混合比にしたがって混合し、各配合の塗料を調製した。そして、各実施例、各比較例、および各参考例として、前記表3に示す試験板上に、それぞれ前記塗膜を形成した。具体的には、前記塗膜が単層膜の場合は、前記試験板上に、刷毛塗りにより前記塗料を塗布した後、23℃で7日間乾燥し、さらに、50℃で3日間の加温養生を行うことによって前記塗料を硬化させることで、前記単層膜の塗膜を形成した。前記塗膜が積層膜の場合(実施例13、14および16、参考例1および2)は、2層の積層膜であるため、前記塗料の塗布、乾燥、および加温養生の一連の工程を二回行った。すなわち、前記塗料を塗布した後、前述の乾燥と加温養生とを行って単層膜を形成し、さらに、その上に、同じ塗料を用いて同様にして単層膜を形成することで、積層膜の塗膜とした。前記塗料の一回当たりの塗布量は、硬化後の単層膜の厚みが前記表3の膜厚となる量とした。前記塗布量は、後述する(3−5)に示す式で求めた理論塗布量とした。
そして、前記塗膜が形成された試験板(以下、塗装試験板という)に対して、「−30℃、3時間→放冷3時間→70℃、90%RH、3時間→放冷3時間」を1サイクルとして、500サイクルの冷熱サイクル試験を実施し、下記評価基準により防食性を評価した。AまたはBであれば、合格品質と判断できる。
評価基準
A:塗膜のワレ、膨れまたは錆の発生なし
B:500〜400サイクルで塗膜のワレ、膨れまたは錆が発生した
C:400〜300サイクルで塗膜のワレ、膨れまたは錆が発生した
D:300〜200サイクルで塗膜のワレ、膨れまたは錆が発生した
E:200サイクル以下で塗膜のワレ、膨れまたは錆が発生した
(3−2)耐湿性試験
前記(3−1)の冷熱サイクル試験Xで調製した前記塗装試験板について、JIS K5600−7−2に規定された耐湿性試験(連続結露法)にしたがって、1,200時間の試験を実施した後、さらに、60℃の熱水への浸漬試験を1,000時間実施した。そして、前記塗装試験板における塗膜のフクレの有無により、下記評価基準により防食性を評価した。AまたはBであれば、合格品質と判断できる。
評価基準
A:耐湿性試験および熱水浸漬試験ともに塗膜のフクレ無し
B:耐湿性試験1,200時間まで塗膜のフクレ無し、その後の熱水浸漬試験でフクレが発生した
C:耐湿性試験900時間まで塗膜のフクレ無し、900〜1,200時間の間でフクレが発生した
D:耐湿性試験600時間まで塗膜のフクレ無し、600〜900時間の間でフクレが発生した
E:耐湿性試験300時間以下で塗膜のフクレが発生した
(3−3)耐中性塩水噴霧試験
前記冷熱サイクル試験Xで調製した前記塗装試験板について、JIS K5600−7−1の耐中性塩水噴霧試験にしたがって、2,000時間の試験を実施し、前記塗装試験板における塗膜のフクレまたは赤錆の発生である欠陥の幅を測定し、下記評価基準により防食性を評価した。AまたはBであれば、合格品質と判断できる。
評価基準
A:欠陥幅0〜5mm未満
B:欠陥幅5〜10mm未満
C:欠陥幅10〜15mm未満
D:欠陥幅15〜20mm未満
E:欠陥幅20mm以上
前記実施例、前記比較例、および前記参考例で使用した前記表1および表2に示す各塗料について、以下の試験を行った。
(3−4)線膨張係数(α・α)の測定
前記塗料から形成される塗膜の線膨張係数(α・α)の測定は、前記「線膨張係数測定方法」に記載した方法で行った。
(3−5)冷熱サイクル剥離試験Y
冷熱サイクル剥離(付着)試験は、下記の方法で行った。表面を溶剤脱脂した磨き鋼板(JIS G 3141 (SPCC−SD)冷間圧延鋼板 3.2mm×70mm×150mm]に、クリヤー塗料液を、塗付量95g/mで1回目の刷毛塗りを行い、23℃で3時間養生し、次いで、塗付量143g/mで2回目の刷毛塗りを行い、23℃で1昼夜養生し、表面に塩化ビニル膜を形成した。前記クリヤー塗料液は、メチルイソブチルケトン77質量部に塩化ビニル樹脂粉末(ソルバインC:塩ビ/酢ビ=87/13(質量比)の共重合物、日信化学工業社製)23質量部を溶解して調製した。
使用する塗料中の溶剤で塗装した前記塩化ビニル膜が影響を受けないように、組成中の溶剤が弱溶剤である弱溶剤系変性エポキシ樹脂塗料下塗(エポオールスマイル:大日本塗料社製)を、前記鋼板の塩化ビニル塗膜の上に、塗付量130g/mで1回刷毛塗りした。端部からの溶剤の影響を防止するよう、前記塩化ビニル塗膜の端部も塗装した。そして、前記鋼板を23℃で1昼夜養生した後、50℃で15時間加温養生し、23℃にて放冷した。
前記(3−1)と同様にして、前記表1および表2にしたがって、各配合の塗料を調製した。前記放冷した鋼板の塗装表面側に、前記塗料を、前記表3に示した膜厚になるように塗装した。1回の塗装で、前記表3に示した規定膜厚に達しない場合には、23℃で1昼夜養生してから、重ね塗りを行った。前記塗料の塗布は、刷毛で行い、前記規定膜厚に必要な塗付量は、下記式で求めた理論塗付量を用いた。
Figure 2020079345
前記鋼板上に、前記塗料を用いて規定の膜厚の塗膜(試験片)を形成した後、23℃で2日間養生を行った。養生後、前記鋼板上の前記試験片の中央部の上下2箇所に、Pカッターを用いて、素地(鋼板面)に達する#型(一辺20mm、中心部10mm×10mmの正方形)の切傷を入れた。その後、23℃で、さらに3日間養生を行った。前記鋼板上への前記塗料の塗装により形成され且つ養生が終了した前記試験片を、その状態のまま冷熱サイクル剥離試験に供した。
まず、前記試験片を、50℃に設定した恒温槽に入れ、2時間保持した。その後、前記恒温槽から前記試験片を取り出して、23℃で1時間放置し、−30℃の低温槽に2時間保持した。その後、前記低温槽から取り出し、前記試験片を23℃で1時間放置した。この温度サイクルを1サイクルとし、繰り返し実施した。なお、夜間および休日は、−30℃の条件で保持した。
冷熱サイクル剥離試験の評価は、前記試験片(塗膜)における#型に切傷を入れた部位からの、われ、はがれ、およびふくれ(これらを総称して、塗膜の欠陥という)を観察し、図1を基準にして、以下に示す評価点をつけた。前記試験片(塗膜)の欠陥が、図1の基準図の間にある状態は、例えば「4〜3」の様に、評価点をつけた。各評価点について、切傷からの塗膜の欠陥の程度は、下記の通りである。前記ヒートサイクル試験を50サイクル行った後の評価点が、3以上であれば、耐久性を備える品質と判断できる。
評価点5:まったく変化が無い。
評価点4:#型切傷からの塗膜のわれ、はがれ、ふくれの幅が1mm未満
評価点3:#型切傷からの塗膜のわれ、はがれ、ふくれの幅が2mm未満
評価点2:#型切傷からの塗膜のわれ、はがれ、ふくれの幅が4mm未満
評価点1:#型切傷からの塗膜のわれ、はがれ、ふくれの幅が10mm未満
評価点0:#型切傷からの塗膜のわれ、はがれ、ふくれの幅が10mm以上
これらの結果を、前記表3にあわせて示す。まず、実施例1〜12は、前記冷熱サイクル試験X、前記耐湿試験、前記塩水噴霧試験、および前記冷熱サイクル剥離試験Yにより評価した防食性および付着性のいずれについても、全般的に優れた結果が得られた。すなわち、実施例はいずれも、前記冷熱サイクル試験Xの評価がAまたはB、前記耐湿試験の評価が、AまたはB、前記塩水噴霧試験の評価がAまたはB、前記冷熱サイクル剥離試験Yの評価が、評価点3以上であった。これに対して、比較例1〜6は、前記冷熱サイクル試験X、前記耐湿試験、前記塩水噴霧試験のいずれかの評価がCまたはDである、または、前記冷熱サイクル剥離試験Yの評価が2以下であり、全般において優れた結果は得られなかった。
また、実施例、比較例、参考例の比較から、以下のようなことがわかった。前記表3に示す結果の一部を、表4に改めて示す。なお、各表において、実施例は「実」、比較例は「比」、参考例は「参」とした。
Figure 2020079345
Figure 2020079345
(1) 前記表4Aにおいて、試験板iに対する実施例および比較例から、条件1を確認した。同じ塗料を使用した線膨張係数が3.4×10−5/℃であるグループ1Aにおいて、厚みが70μmであり前記条件1を満たさない比較例3のみが、冷熱サイクル試験X、前記耐湿試験、および前記塩水噴霧試験について不合格の評価であった。また、同じ塗料を使用した線膨張係数が3.4×10−5/℃であるグループ1Bの実施例11と比較例4および比較例6との間でも、同様の結果であった。さらに、グループ1Cにおいて、線膨張係数が3.4×10−5/℃からさらに下がっても、同じ膜厚200μmの実施例1、2および12、同じ膜厚300μmの実施例17、18、8は、それぞれ、全ての試験が合格の評価であった。これらの結果から、前記塗膜が条件1を満たすことによって、前述のような効果が得られることが裏付けられた。
また、塗膜の全体膜厚を100μmとした場合、単層膜(実施例7)であっても積層膜(実施例13)であっても、同等の効果が得られることがわかった。
また、比較例6は、単層膜であって、その膜厚が400μmであるため、条件1を満たさず、前記耐湿性試験および前記塩水噴霧試験不合格の評価であった。これに対して、実施例14は、全体の膜厚は400μmであるが、積層膜であり且つそれを構成する単層膜の膜厚が200μmであり、条件1を満たすことによって、いずれの試験も合格の評価であった。これらの結果から、前記塗膜が積層体の場合に、前記条件1を満たすことによって、前述のような効果が得られることが裏付けられた。
(2) つぎに、前記表4Bにおいて、試験板iに対する実施例および比較例から、条件2を確認した。同じ塗料を使用した線膨張係数が3.6×10−5/℃であるグループ2Aにおいて、厚みが300μmにまで増加しても、実施例9、4、10のいずれも、全ての試験が合格の評価であった。一方、厚みが300μmを超える比較例7は、前記冷熱サイクル試験Yが不合格の評価であった。また、グループ2Bにおいて、線膨張係数3.5×10−5/℃、厚み200μmの実施例15、線膨張係数4×10−5/℃、厚み200μmの実施例5も、同様に、全ての試験が合格の評価であった。これに対して、線膨張係数は4×10−5/℃であるが、厚みが300μmを超える比較例5、厚みは300μm以下であるが、線膨張係数が4×10−5/℃を超える比較例1は、いずれも冷熱サイクル試験Yが不合格の評価であった。これらの結果から、前記塗膜が条件2を満たすことによって、前述のような効果が得られることが裏付けられた。
また、塗膜の全体膜厚を300μmとした場合、単層膜(実施例10)であっても積層膜(実施例16)であっても、同等の効果が得られることがわかった。
(3) 膜厚が同じ200μmである実施例1〜5を比較した結果、膜厚が同じ場合は、塗膜の線膨張係数α1が相対的に小さい程(特に、3.6×10−5/℃以下)、前記冷熱サイクル試験X、前記冷熱サイクル試験Yのいずれもが、相対的に向上する傾向にあることがわかった。α1が小さいと、剥離し難くなるため、カット部の膨れ幅が小さくなる傾向があるためと考えられる。
(4)膜厚が同じ200μmである実施例1〜5を比較した結果、α1が3.4×10−5/℃(条件1の実施例3)および3.6×10−5/℃(条件2の実施例4)の時に、前記耐湿性試験が最も良くなった。この結果では、実施例3〜4の間、すなわちαが3.4〜3.6×10−5/℃の間で耐湿性試験が良くなるピークがある様な結果に読み取られるが、実施例1〜5は、ガラスフレークの含有量を、実施例1〜5にかけて傾斜的に単に増量した塗料で行ったため、このような結果が出たと考えられ、αが3.4〜3.6×10−5/℃の条件が最適値という訳ではないと思われる。というのは、実施例1および2では、αを小さくするために、比較的大きなサイズのガラスフレーク(ガラスフレーク中)をより多く配合したことから、実施例3および4より粘度が上がり、塗料のレベリング性も低下する方向になったため、耐湿性試験が若干低下する傾向になったが、樹脂粘度やレベリング性を配慮した塗料配合設計を適宜行う事により、実施例1および2と同じαが3.0×10−5/℃や3.2×10−5/℃であっても、耐湿性試験結果を、実施例3および4の結果以上に向上させることは可能である。
(5)試験板iに対する実施例3と試験板iiに対する実施例6と比較した。実施例3と実施例6とは、前記試験板の種類が異なるのみで、同じ塗料(α1が3.4×10−5/℃)を用いた結果である。前記表3に示すように、両者において結果に大差はなかった。一方、比較例1と比較例2とを比較したところ、同じ塗料(α1が4.2×10−5/℃)を用いた結果であるが、試験板iiに対して、前記冷熱サイクル試験Xの評価が、さらに低下する結果になった(比較例2)。このことから、塗膜の線膨張係数と膜厚とが前述の条件を満たす本発明によれば、例えば、処理する試験板にかかわらず、優れた効果が得られることがわかった。なお、前記条件1および条件2のいずれをも満たさない比較例1、2において、試験板iiに対して、試験板iよりも、さらに結果が低下した理由は、以下のように推測できる。すなわち、前記冷熱サイクル試験Xは、塗膜の付着性のみならず、塗膜の遮断性も影響するため、冷熱サイクルで発生する応力による剥離し易さを評価している冷熱サイクル試験Yと必ずしも一致しない。実施例3と6(α1が3.4×10−5/℃)より塗膜の遮断性が悪い比較例1と2(α1が4.2×10−5/℃)では、水蒸気の塗膜下への侵入が進みやすく、より水に対して活性である試験板iiの亜鉛めっき面で、水との反応が起こり、付着性の低下が著しかったためと考えられる。
(6)α1が同じ3.4×10−5/℃である実施例3と7と8とを比較した。これらは、同じ塗料を用いて、塗料の1回塗りにより得られる塗膜の膜厚を、100、200、300μmに変化させた例である。前記表4のグループ1Aに示すように、α1が3.4×10−5/℃と小さい前記条件1を満たすこれらの実施例においては、膜厚を相対的に厚くする程、冷熱サイクル試験Yの結果が向上した。一方、α1が同じ3.6×10−5/℃である実施例9と4と10とを比較した。これらは、同じ塗料を用いて、1回塗りにより得られる塗膜の膜厚を、100μm、200μm、300μmに変化させた例である。前記表4のグループ2Aに示すように、α1が3.6×10−5/℃と大きい条件2を満たすこれらの実施例においては、膜厚を相対的に厚くする程、冷熱サイクル試験Yの結果は、逆に若干低下したものの、合格レベルを維持でき、冷熱サイクル試験X、耐湿性試験、塩水噴霧試験の結果は、さらに向上した。このことから、前記条件1、つまりα1が3.4×10−5/℃以下の場合、塗膜の膜厚を相対的に厚くする程、塗膜剥離がさらに生じ難くなり、α1を小さくするメリットがさらに大きく得られることがわかった。なお、α1が4.0×10−5/℃とさらに大きい実施例5(膜厚200μm)と比較例5(膜厚350μm)の場合、膜厚が300μm超える比較例5は、冷熱サイクル試験Yの結果が、実施例5よりも低下し、不合格の評価となっている。
(7)実施例3と比較例6とを比較した。1回塗りによる塗膜(単層膜)の膜厚を、実施例3の200μmに対して、2倍の400μmとした例である。このために、比較例6で使用した塗料には、実施例3に使用した塗料と比較して、タレ止め剤を3倍量と多く配合し、塗装しても塗料がタレないように、チクソ性を向上させた塗料とした。しかし、1回塗りで形成できる塗膜を、あまりに厚く塗装できるように、塗料のチクソ性を上げると、塗膜のレベリング性が悪くなり、その結果、亜鉛めっき表面への濡れ性が低下したため、耐湿性試験や塩水噴霧試験の結果が悪くなったと考えられる。
(8)α1が同じ3.4×10−5/℃である実施例3および7と、比較例3および4とを比較した。これらの実施例と比較例は、いずれもα1が3.4×10−5/℃であるが、比較例3および4は、膜厚が70μmと薄く条件1を満たさないため、耐湿試験、塩水噴霧試験が著しく低下した。
(9)比較例3と4は、α1が同じ3.4×10−5/℃であり、膜厚も70μmであるが、使用した塗料においてガラスフレークのサイズを、比較例3よりも、比較例4の方を大きく設定した。その結果、膜厚が70μmと薄い比較例4では、同じ膜厚の比較例3よりも、さらに、耐湿性試験、塩水噴霧試験の結果が低下した。この結果から、大きいサイズのガラスフレークを使用すると、ガラスフレーク欠陥が現れやすく、耐湿性試験、塩水噴霧試験の結果が悪くなる傾向があると考えられる。一方、α1が同じ3.4×10−5/℃であり、膜厚が200μmである実施例3と実施例11も、同様に、実施例3よりも実施例11の方に、大きいサイズのガラスフレークを配合した。しかしながら、実施例11は、耐湿性試験、塩水噴霧試験の評価について、実施例3と比較して低下は見られなかった。このことから、70μm以上の膜厚を有する条件1を満たす塗膜であれば、大きいサイズのガラスフレークを適正量配合しても、比較例のような影響を受けることなく、耐湿性試験および塩水噴霧試験のいずれも、十分な評価を維持できることがわかった。
(10)実施例3と11と12は、α1が3.4×10−5/℃であるが、塗料に含まれるガラスフレークのサイズが異なる例である。これらを比較すると、α2の値が、ガラスフレークのサイズに依存すること、すなわち、ガラスフレークサイズの大きいものほど、α2が小さくなることがわかった。そして、冷熱サイクル試験Yの結果は、α2が小さい程、良くなる傾向にあることがわかった。
(11)膜厚300μmの実施例17、18および8と、膜厚200μmの実施例1、2および12とは、それぞれ、同じ塗料(配−1、配−2、配−3)を使用しており、いずれの塗料も、大きなサイズの鱗片状顔料(ガラスフレーク(中))が多く入っている。膜厚300μmの前者と、膜厚200μmの後者とを比較した場合、後者よりも、前者の方が、より耐湿性に優れる結果となった。これは以下のような理由と推測できる。前記塗料のように、前記ガラスフレーク(中)の量が多い場合、膜厚を十分な厚さ(例えば、300μm程度)とすることによって、例えば、前記ガラスフレークの縦方向の配位を十分に抑制(配位する可能性を低く)できる。このように、膜厚方向に前記ガラスフレークが立つことを抑制することによって、例えば、前記塗膜表面から素地までの貫通欠陥の発生も効果的に抑制でき、結果的に、耐湿性をより向上できる。
(12)参考例は、一般に鋼構造物に塗装されている変性エポキシ塗料(SS下)の例であり、参考例11が70μmの塗装を2回塗りして膜厚を140μmとした塗膜の例であり、参考例2は3回塗りして210μmとした塗膜の例である。従来の変性エポキシ塗料は、α1が5.5×10−5/℃と大きいため、厚く塗装すれば、耐湿性試験、塩水噴霧試験は合格レベルとなるが、冷熱サイクル試験X、冷熱サイクル試験Yの評価が、本発明の実施例より著しく劣っていた。これらの対比から、実施例が、遮断性を高度に保ちつつ、亜鉛メッキ面との付着性を高度に維持した、従来には見られない効果を示す塗料であることが判る。
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載しうるが、以下に限定されない。
(付記1)
樹脂成分と顔料とを含む組成物であり、
前記組成物から塗膜を形成した場合において、前記塗膜のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数と膜厚とが、下記条件1または条件2を満たすことを特徴とする亜鉛めっき処理が施された鋼材用塗料。
(条件1)
前記線膨張係数が3.4×10−5/℃以下であり、
前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
前記単層膜の膜厚は、70μmを超え300μm以下であり、
前記積層膜の膜厚は、70μmを超え、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、35μm以上300μm以下である
(条件2)
前記線膨張係数が3.4×10−5/℃を超え4×10−5/℃以下であり、
前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
前記単層膜の膜厚は、100μm以上300μm以下であり、
前記積層膜の膜厚は、100μm以上1000μm以下であり、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、50μm以上300μm以下である
(付記2)
前記条件1において、前記塗膜の線膨張係数が3×10−5/℃以下である、付記1に記載の鋼材用塗料。
(付記3)
前記条件1において、前記積層膜の膜厚は、100μm以上である、付記1または2に記載の鋼材用塗料。
(付記4)
前記条件1において、前記塗膜の線膨張係数が1.5×10−5/℃以上である、付記1から3のいずれかに記載の鋼材用塗料。
(付記5)
前記条件2において、前記積層膜の膜厚は、600μm以下である、付記1に記載の鋼材用塗料。
(付記6)
前記条件2において、前記積層膜の膜厚は、300μm以下である、付記5に記載の鋼材用塗料。
(付記7)
前記条件2において、前記塗膜の線膨張係数が3.5×10−5/℃以上である、付記1、5および6のいずれかに記載の鋼材用塗料。
(付記8)
亜鉛めっき処理が施された鋼材に対する補修用塗料である、付記1から7のいずれかに記載の鋼材用塗料。
(付記9)
前記樹脂成分が、エポキシ樹脂を含む、付記1から8のいずれかに記載の鋼材用塗料。
(付記10)
前記エポキシ樹脂が、強溶剤型エポキシ樹脂を含む、付記9に記載の鋼材用塗料。
(付記11)
被塗装物に、樹脂成分と顔料とを含む塗料を用いて塗膜を形成する塗装工程を含み、
前記塗装工程において、
前記被塗装物が、亜鉛めっき処理が施された鋼材であり、
ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数と膜厚とが、下記条件1または条件2を満たすように前記塗膜を形成する
ことを特徴とする亜鉛めっき処理が施された鋼材への塗装方法。
(条件1)
前記線膨張係数が3.4×10−5/℃以下であり、
前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
前記単層膜の膜厚は、70μmを超え300μm以下であり、
前記積層膜の膜厚は、70μmを超え、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、35μm以上300μm以下である
(条件2)
前記線膨張係数が3.4×10−5/℃を超え4×10−5/℃以下であり、
前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
前記単層膜の膜厚は、100μm以上300μm以下であり、
前記積層膜の膜厚は、100μm以上1000μm以下であり、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、50μm以上300μm以下である
(付記12)
前記条件1において、前記塗膜の線膨張係数が3×10−5/℃以下である、付記11に記載の塗装方法。
(付記13)
前記条件1において、前記積層膜の膜厚は、100μm以上である、付記11または12に記載の塗装方法。
(付記14)
前記条件1において、前記塗膜の線膨張係数が1.5×10−5/℃以上である、付記11から13のいずれかに記載の塗装方法。
(付記15)
前記条件2において、前記積層膜の膜厚は、600μm以下である、付記11に記載の塗装方法。
(付記16)
前記条件2において、前記積層膜の膜厚は、300μm以下である、付記11または15に記載の塗装方法。
(付記17)
前記条件2において、前記塗膜の線膨張係数が3.5×10−5/℃以上である、付記11、15および16のいずれかに記載の塗装方法。
(付記18)
前記樹脂成分が、エポキシ樹脂を含む、付記11から17のいずれかに記載の塗装方法。
(付記19)
前記エポキシ樹脂が、強溶剤型エポキシ樹脂を含む、付記18に記載の塗装方法。
(付記20)
前記塗装工程において、前記被塗装物に形成されている塗膜が残存した状態で、前記塗膜を形成する、付記11から19のいずれかに記載の塗装方法。
(付記21)
前記被塗装物に形成されている塗膜が、前記塗装工程により形成された塗膜である、付記20に記載の塗装方法。
(付記22)
被塗装物の塗膜を補修する補修工程を含み、
前記補修工程において、
前記被塗装物が、亜鉛めっき処理が施された鋼材であり、
前記補修工程の補修方法が、付記11から21のいずれかに記載の塗装方法により行われることを特徴とする
亜鉛めっき処理が施された鋼材の塗装の補修方法。
(付記23)
鋼材と塗膜とを含み、
前記鋼材は、亜鉛めっき処理が施された鋼材であり、
前記鋼材の表面に、前記塗膜を有し、
前記塗膜は、ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数と膜厚とが、下記条件1または条件2を満たすことを特徴とする塗装鋼材。
(条件1)
前記線膨張係数が3.4×10−5/℃以下であり、
前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
前記単層膜の膜厚は、70μmを超え300μm以下であり、
前記積層膜の膜厚は、70μmを超え、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、35μm以上300μm以下である
(条件2)
前記線膨張係数が3.4×10−5/℃を超え4×10−5/℃以下であり、
前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
前記単層膜の膜厚は、100μm以上300μm以下であり、
前記積層膜の膜厚は、100μm以上1000μm以下であり、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、50μm以上300μm以下である
(付記24)
前記条件1において、前記塗膜の線膨張係数が3×10−5/℃以下である、付記23に記載の塗装鋼材。
(付記25)
前記条件1において、前記積層膜の膜厚は、100μm以上である、付記23または24に記載の塗装鋼材。
(付記26)
前記条件1において、前記塗膜の線膨張係数が1.5×10−5/℃以上である、付記23から25のいずれかに記載の塗装鋼材。
(付記27)
前記条件2において、前記積層膜の膜厚は、600μm以下である、付記23に記載の塗装鋼材。
(付記28)
前記条件2において、前記積層膜の膜厚は、300μm以下である、付記27に記載の塗装鋼材。
(付記29)
前記条件2において、前記塗膜の線膨張係数が3.5×10−5/℃以上である、付記23、27および28のいずれかに記載の塗装鋼材。
(付記30)
前記樹脂成分が、エポキシ樹脂を含む、付記23から29のいずれかに記載の塗装鋼材。
(付記31)
前記エポキシ樹脂が、強溶剤型エポキシ樹脂を含む、付記30に記載の塗装鋼材。
以上、実施形態および実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、前記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
本発明によれば、塗膜の前記線膨張係数および膜厚を前記条件1または条件2とすることによって、例えば、前記塗膜を形成する被塗装物が亜鉛めっき処理された鋼材であっても、優れた付着性で前記鋼材上に形成でき、且つ、前記鋼材に対する遮断性にも優れる。また、本発明によれば、例えば、前述のように、付着性を実現するための下塗り塗料と、遮断性を実現するための上塗り塗料との組み合わせのように、複数の塗料が必須ではなく、1種類の塗料によって、付着性と遮断性の両方を兼ね備える塗膜とすることができる。このため、本発明によれば、例えば、簡便な塗装が可能となる。

Claims (11)

  1. 樹脂成分と顔料とを含む組成物であり、
    前記組成物から塗膜を形成した場合において、前記塗膜のガラス転移温度以下の温度における線膨張係数と膜厚とが、下記条件1または条件2を満たすことを特徴とする亜鉛めっき処理が施された鋼材用塗料。
    (条件1)
    前記線膨張係数が3.4×10−5/℃以下であり、
    前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
    前記単層膜の膜厚は、70μmを超え300μm以下であり、
    前記積層膜の膜厚は、70μmを超え、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、35μm以上300μm以下である
    (条件2)
    前記線膨張係数が3.4×10−5/℃を超え4×10−5/℃以下であり、
    前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
    前記単層膜の膜厚は、100μm以上300μm以下であり、
    前記積層膜の膜厚は、100μm以上1000μm以下であり、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、50μm以上300μm以下である
  2. 前記条件1において、前記塗膜の線膨張係数が3×10−5/℃以下である、請求項1に記載の鋼材用塗料。
  3. 前記条件1において、前記塗膜の線膨張係数が1.5×10−5/℃以上である、請求項1または2に記載の鋼材用塗料。
  4. 前記樹脂成分が、エポキシ樹脂を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の鋼材用塗料。
  5. 被塗装物に、樹脂成分と顔料とを含む塗料を用いて塗膜を形成する塗装工程を含み、
    前記塗装工程において、
    前記被塗装物が、亜鉛めっき処理が施された鋼材であり、
    ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数と膜厚とが、下記条件1または条件2を満たすように前記塗膜を形成する
    ことを特徴とする亜鉛めっき処理が施された鋼材への塗装方法。
    (条件1)
    前記線膨張係数が3.4×10−5/℃以下であり、
    前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
    前記単層膜の膜厚は、70μmを超え300μm以下であり、
    前記積層膜の膜厚は、70μmを超え、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、35μm以上300μm以下である
    (条件2)
    前記線膨張係数が3.4×10−5/℃を超え4×10−5/℃以下であり、
    前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
    前記単層膜の膜厚は、100μm以上300μm以下であり、
    前記積層膜の膜厚は、100μm以上1000μm以下であり、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、50μm以上300μm以下である
  6. 前記条件1において、前記塗膜の線膨張係数が3×10−5/℃以下である、請求項5に記載の塗装方法。
  7. 前記条件1において、前記塗膜の線膨張係数が1.5×10−5/℃以上である、請求項5または6に記載の塗装方法。
  8. 前記条件2において、前記積層膜の膜厚は、600μm以下である、請求項5に記載の塗装方法。
  9. 前記樹脂成分が、エポキシ樹脂を含む、請求項5から8のいずれか一項に記載の塗装方法。
  10. 被塗装物の塗膜を補修する補修工程を含み、
    前記補修工程において、
    前記被塗装物が、亜鉛めっき処理が施された鋼材であり、
    前記補修工程の補修方法が、請求項5から9のいずれか一項に記載の塗装方法により行われることを特徴とする
    亜鉛めっき処理が施された鋼材の塗装の補修方法。
  11. 鋼材と塗膜とを含み、
    前記鋼材は、亜鉛めっき処理が施された鋼材であり、
    前記鋼材の表面に、前記塗膜を有し、
    前記塗膜は、ガラス転移温度以下の温度における線膨張係数と膜厚とが、下記条件1または条件2を満たすことを特徴とする塗装鋼材。
    (条件1)
    前記線膨張係数が3.4×10−5/℃以下であり、
    前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
    前記単層膜の膜厚は、70μmを超え300μm以下であり、
    前記積層膜の膜厚は、70μmを超え、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、35μm以上300μm以下である
    (条件2)
    前記線膨張係数が3.4×10−5/℃を超え4×10−5/℃以下であり、
    前記塗膜が、単層膜、または積層膜であり、
    前記単層膜の膜厚は、100μm以上300μm以下であり、
    前記積層膜の膜厚は、100μm以上1000μm以下であり、前記積層膜を形成する単層膜の膜厚は、50μm以上300μm以下である


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