JP2020077541A - 熱応動素子、ブレーカー、安全回路及び2次電池パック - Google Patents
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Abstract
【課題】通電時のブレーカーの電気抵抗を維持しつつ、小型化を容易に実現できる熱応動素子を提供する。【解決手段】熱応動素子5は、板状に形成され、厚さ方向から視た平面視で、長さ方向D1にのびる長辺51と、長さ方向D1に垂直な幅方向D2にのびる短辺52とを有する長方形状に形成され、長さ方向D1の中央部53に、幅寸法を拡大するための拡幅部54が設けられることにより、中央部53に向って幅寸法が漸増している。【選択図】図4
Description
本発明は、小型のブレーカーに用いて好適な板状に形成された熱応動素子等に関するものである。
従来、各種電気機器の2次電池やモーター等の保護装置(安全回路)としてブレーカーが使用されている。
ブレーカーには、温度変化に応じて作動し、電流を導通又は遮断する熱応動素子が備えられている。特許文献1には、熱応動素子としてバイメタルを適用したブレーカーが示されている。バイメタルとは、熱膨張率の異なる2種類の板状の金属材料が積層されてなり、温度変化に応じて形状を変えること(熱変形)により、接点の導通状態を制御する素子である。同文献に示されたブレーカーは、固定片、可動片、熱応動素子、PTCサーミスター等の部品が、ケースに収納されてなり、固定片及び可動片の端子がケースから突出し、電気機器の電気回路に接続されて使用される。
ブレーカーは、充放電中の2次電池の温度が過度に上昇した場合、又は自動車、家電製品等の機器に装備されるモーター等に過電流が流れた場合等の異常が生じた際に、2次電池やモーター等を保護するために電流を遮断する。このような保護装置として用いられるブレーカーは、機器の安全を確保するために、温度変化に追従して正確に動作する(良好な温度特性を有する)ことと、通電時の抵抗値が安定していることが求められる。
また、ブレーカーが、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型携帯情報端末機器又はスマートフォンと称される薄型の多機能携帯電話機等の電気機器に装備される2次電池等の保護装置として用いられる場合、上述した安全性の確保に加えて、小型化が要求される。特に、近年の携帯情報端末機器にあっては、ユーザーの小型化の志向が強く、各社から新規に発売される機器は、デザイン上の優位性を確保するために、小型に設計される傾向が顕著である。こうした背景の下、携帯情報端末機器を構成する一部品として、2次電池と共に実装されるブレーカーもまた、さらなる小型化が強く要求されている。例えば、ケースの幅寸法(可動片の長手方向に垂直な短手方向の長さ)の小さいブレーカーが要望されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載されているブレーカーにおいて、ケースの幅寸法が小さく設定された場合、熱応動素子の幅寸法も小さくなり、熱変形時に発生する力が抑制される。このため、大きな弾性力によって固定接点と可動接点との間の接触圧力を高める可動片を採用することが困難となり、固定接点と可動接点の間の導通時の電気抵抗が上昇する。
可動片が上記バイメタルによって構成されている形態では、可動片の弾性力を高めた場合、熱変形時に発生する力も同時に高められるので、上記問題は生じにくい。従って、上記問題は、可動片と熱応動素子とが別々の部品により構成されている形態に特有の問題である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、導通時の電気抵抗を維持しつつ、小型化を容易に実現できる熱応動素子及びブレーカー等を提供することを主たる目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の熱応動素子は、板状に形成された熱応動素子であって、厚さ方向から視た平面視で、長さ方向にのびる長辺と、前記長さ方向に垂直な幅方向にのびる短辺とを有する長方形状に形成され、前記長さ方向の中央部に、幅寸法を拡大するための拡幅部が設けられ、前記中央部に向って前記幅寸法が漸増している、ことを特徴とする。
本発明に係る前記熱応動素子において、前記長辺は、樽形状に肥大している、ことが望ましい。
本発明に係る前記熱応動素子において、前記長辺と前記短辺とが交差する角部は、丸み付けされている、ことが望ましい。
また、本発明のブレーカーは、前記熱応動素子と、固定接点と、弾性変形する弾性部及び該弾性部の先端部に可動接点を有し、前記可動接点を前記固定接点に押圧して接触させる可動片と、前記可動片及び前記熱応動素子を収容するための凹部を有する第1ケースとを備えたブレーカーであって、前記熱応動素子は、温度変化に伴って変形することにより、前記可動片の状態を前記可動接点が前記固定接点に接触する導通状態から前記可動接点が前記固定接点から離隔する遮断状態に移行可能であり、前記第1ケースは、前記凹部の前記幅方向の外側に側壁を有し、前記側壁の厚さは、前記側壁の前記長さ方向の中央部に向って漸減している、ことを特徴とする。
本発明に係る前記ブレーカーにおいて、前記凹部の少なくとも一部を覆う第2ケースをさらに備え、前記第2ケースは、前記側壁の端面と固着される固着面を有し、前記固着面には、前記端面に向って突出し、前記長さ方向に沿って連続する突出部が設けられ、前記突出部は、前記側壁の内側面よりも前記幅方向の外方に形成されている、ことが望ましい。
本発明に係る前記ブレーカーにおいて、前記突出部の前記長さ方向に垂直な断面積は、前記側壁の前記長さ方向の前記中央部に向って減少している、ことが望ましい。
本発明の電気機器用の安全回路は、前記ブレーカーを備えたことを特徴とする。
本発明の電気機器用の2次電池パックは、前記ブレーカーを備えたことを特徴とする。
一般に、上記熱変形時に熱応動素子が発生する力は、熱応動素子の厚さ寸法に依存する。しかしながら、本願の発明者は、単に厚さ寸法のみが増大された熱応動素子にあっては、安定した温度特性が得られ難いことに気が付いた。そして、上記発明者は、さらに鋭意研究を重ねた結果、長方形状の熱応動素子において、温度特性の安定化には、長さ方向の中央部の幅寸法が有効に作用することを見い出した。
すなわち、本発明の熱応動素子によれば、長さ方向の中央部に、幅寸法を拡大するための拡幅部が設けられ、中央部に向って幅寸法が漸増している。これにより、優れた温度特性を安定的に確保しながら、熱応動素子の厚さ寸法を増大させることが可能となり、上記熱変形時に熱応動素子が発生する力を容易に高めることが可能となる。一方、中央部から短辺に向って、熱応動素子の幅寸法が抑制されるので、平面視での熱応動素子の占有面積が抑制され、熱応動素子の小型化が容易に実現される。
また、本発明のブレーカーによれば、上記熱応動素子を備えているので、大きな弾性力を発生する可動片を採用することにより、導通時の電気抵抗を容易に低減することが可能となる。また、第1ケースの側壁の厚さが、側壁の長さ方向の中央部に向って漸減しているので、上記熱応動素子とあいまって、ブレーカーの小型化が容易に実現される。
本発明の一実施形態によるブレーカーについて図面を参照して説明する。図1乃至図3は、ブレーカー1の構成を示している。ブレーカー1は、電気機器等に実装され、過度な温度上昇又は過電流から電気機器を保護する。
ブレーカー1は、固定接点21を有する固定片2と、先端部に可動接点41を有する可動片4と、温度変化に伴って変形する熱応動素子5と、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスター6と、固定片2、可動片4、熱応動素子5及びPTCサーミスター6を収容するケース10等によって構成されている。ケース10は、ケース本体(第1ケース)7とケース本体7の上面に装着される蓋部材(第2ケース)8等によって構成されている。
固定片2は、例えば、銅等を主成分とする金属板(この他、銅−チタニウム合金、洋白、黄銅などの金属板)をプレス加工することにより形成され、ケース本体7にインサート成形により埋め込まれている。固定片2の一端には外部回路と電気的に接続される端子22が形成され、他端側には、PTCサーミスター6を支持する支持部23が形成されている。PTCサーミスター6は、固定片2の支持部23に3箇所形成された凸状の突起(ダボ)24の上に載置されて、突起24に支持される。固定片2が階段状に曲げられることにより、固定接点21と支持部23とが段違いに配置され、PTCサーミスター6を収納する空間が容易に確保される。
固定接点21は、銀、ニッケル、ニッケル−銀合金の他、銅−銀合金、金−銀合金などの導電性の良い材料のクラッド、メッキ又は塗布等により可動接点41に対向する位置に形成され、ケース本体7の内部に形成されている開口73aの一部から露出されている。端子22はケース本体7の端縁から外側に突き出されている。支持部23は、ケース本体7の内部に形成されている開口73dから露出されている。
本出願においては、特に断りのない限り、固定片2において、固定接点21が形成されている側の面(すなわち図1において上側の面)をA面、その反対側の面をB面として説明している。固定接点21から可動接点41に向く方向を第1方向と、第1方向とは反対の方向を第2方向とそれぞれ定義した場合、A面は第1方向を向き、B面は第2方向を向く。他の部品、例えば、可動片4及び熱応動素子5、PTCサーミスター6等についても同様である。
可動片4は、銅等を主成分とする板状の金属材料をプレス加工することにより、長手方向の中心線に対して対称なアーム状に形成されている。
可動片4の長手方向の先端部には、可動接点41が形成されている。可動接点41は、例えば、固定接点21と同等の材料によって形成され、溶接の他、クラッド、かしめ(crimping)等の手法によって可動片4の先端部に接合されている。
可動片4の長手方向の他端部には、外部回路と電気的に接続される端子42が形成されている。可動片4は、可動接点41と端子42の間に、当接部43及び弾性部44を有している。当接部43は、端子42と弾性部44との間でケース本体7及び蓋部材8と当接する。当接部43は、可動片4の短手方向に翼状に突出する突出部43aを有する。突出部43aが設けられていることにより、当接部43が幅広く大きな領域でケース本体7及び蓋部材8によって挟み込まれ、可動片4がケース10に対して強固に固定される。
弾性部44は、当接部43から可動接点41の側に延出されている。可動片4は、弾性部44の基端側の当接部43で、ケース10によって片持ち支持され、その状態で弾性部44が弾性変形することにより、弾性部44の先端部に形成されている可動接点41が固定接点21の側に押圧されて接触し、固定片2と可動片4とが通電可能となる。
可動片4は、弾性部44において、プレス加工により湾曲又は屈曲されている。湾曲又は屈曲の度合いは、熱応動素子5を収納できる限り特に限定はなく、反転動作温度及び正転復帰温度における弾性力、接点の押圧力などを考慮して適宜設定すればよい。また、弾性部44のB面には、熱応動素子5に対向して一対の突起44a,44bが形成されている。突起44aは、基端側で熱応動素子5に向って突出し、遮断状態で熱応動素子5と当接する。突起44bは、突起44aよりも先端側(すなわち可動接点41側)で熱応動素子5に向って突出し、遮断状態で熱応動素子5と当接する。過熱により熱応動素子5が変形すると、熱応動素子5が突起44a及び突起44bと当接し、熱応動素子5の変形が突起44a及び突起44bを介して弾性部44に伝達され、可動片4の先端部が押し上げられる(図3参照)。
熱応動素子5は、可動片4の状態を可動接点41が固定接点21に接触する導通状態から可動接点41が固定接点21から離隔する遮断状態に移行させる。熱応動素子5は、熱膨張率の異なる薄板材を積層することにより板状に形成され、断面が円弧状に湾曲した初期形状をなしている。過熱により動作温度に達すると、熱応動素子5の湾曲形状は、スナップモーションを伴って逆反りし、冷却により復帰温度を下回ると復元する。熱応動素子5の初期形状は、プレス加工により形成することができる。所期の温度で熱応動素子5の逆反り動作により可動片4の弾性部44が押し上げられ、かつ弾性部44の弾性力により元に戻る限り、熱応動素子5の材質及び形状は特に限定されるものでないが、生産性及び逆反り動作の効率性の観点から矩形状が望ましい。
熱応動素子5の材料としては、洋白、黄銅、ステンレス鋼等の各種の合金からなる熱膨張率の異なる2種類の材料を積層したものが、所要条件に応じて組み合わせて使用される。例えば、安定した作動温度及び復帰温度が得られる熱応動素子5の材料としては、高膨脹側に銅−ニッケル−マンガン合金、低膨脹側に鉄−ニッケル合金を組み合わせたものが望ましい。また、化学的安定性の観点からさらに望ましい材料として、高膨脹側に鉄−ニッケル−クロム合金、低膨脹側に鉄−ニッケル合金を組み合わせたものが挙げられる。さらにまた、化学的安定性及び加工性の観点からさらに望ましい材料として、高膨脹側に鉄−ニッケル−クロム合金、低膨脹側に鉄−ニッケル−コバルト合金を組み合わせたものが挙げられる。
PTCサーミスター6は、可動片4が遮断状態にあるとき、固定片2と可動片4とを導通させる。PTCサーミスター6は、固定片2と熱応動素子5との間に配設されている。すなわち、PTCサーミスター6を挟んで、固定片2の支持部23は熱応動素子5の直下に位置している。熱応動素子5の逆反り動作により固定片2と可動片4との通電が遮断されたとき、PTCサーミスター6に流れる電流が増大する。PTCサーミスター6は、温度上昇と共に抵抗値が増大して電流を制限する正特性サーミスターであれば、作動電流、作動電圧、作動温度、復帰温度などの必要に応じて種類を選択でき、その材料及び形状はこれらの諸特性を損なわない限り特に限定されるものではない。本実施形態では、チタニウム酸バリウム、チタニウム酸ストロンチウム又はチタニウム酸カルシウムを含むセラミック焼結体が用いられる。セラミック焼結体の他、ポリマーにカーボン等の導電性粒子を含有させたいわゆるポリマーPTCを用いてもよい。
ケース10を構成するケース本体7及び蓋部材8は、難燃性のポリアミド、耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの熱可塑性樹脂により成形されている。上述した樹脂と同等以上の特性が得られるのであれば、樹脂以外の材料を適用してもよい。
ケース本体7には、可動片4、熱応動素子5及びPTCサーミスター6などを収容するための内部空間である凹部73が形成されている。凹部73は、可動片4を収容するための開口73a,73b、可動片4及び熱応動素子5を収容するための開口73c、並びに、PTCサーミスター6を収容するための開口73d等を有している。なお、ケース本体7に組み込まれた可動片4、熱応動素子5の端縁は、凹部73を構成する枠によってそれぞれ当接され、熱応動素子5の逆反り時に案内される。
蓋部材8は、凹部73を覆うように構成されている。蓋部材8は、凹部73の少なくとも一部を覆う形態であってもよい。蓋部材8には、銅等を主成分とする金属板又はステンレス鋼等の金属板がインサート成形によって埋め込まれていてもよい。金属板は、可動片4のA面と適宜当接し、可動片4の動きを規制すると共に、蓋部材8のひいては筐体としてのケース10の剛性・強度を高めつつブレーカー1の小型化に貢献する。
図1が示すように、固定片2、可動片4、熱応動素子5及びPTCサーミスター6等を収容したケース本体7の開口73a、73b、73c等を塞ぐように、蓋部材8が、ケース本体7に装着される。ケース本体7と蓋部材8とは、例えば超音波溶着によって接合される。
図2及び3は、ブレーカー1の動作の概略を示している。図2は、通常の充電又は放電状態におけるブレーカー1の動作を示している。通常の充電又は放電状態においては、熱応動素子5は逆反り前の初期形状を維持している。弾性部44によって可動接点41が固定接点21の側に押圧されることにより、可動接点41と固定接点21とが接触し、ブレーカー1の固定片2と可動片4とが導通可能な状態とされる。
図2に示されるように、熱応動素子5は、導通状態の可動片4の突起44a及び突起44bと離隔していてもよい。これにより、可動接点41と固定接点21との接触圧力が高められ、両者間の接触抵抗が低減される。
図3は、過充電状態又は異常時などにおけるブレーカー1の動作を示している。過充電又は異常により高温状態となると、動作温度に達した熱応動素子5は逆反りして可動片4の弾性部44と接触し、弾性部44が押し上げられて固定接点21と可動接点41とが離隔する。このとき、固定接点21と可動接点41の間を流れていた電流は遮断される。一方、熱応動素子5は、可動片4と接触して、僅かな漏れ電流が熱応動素子5及びPTCサーミスター6を通して流れることとなる。すなわち、PTCサーミスター6は、可動片4を遮断状態に移行させている熱応動素子5を介して、固定片2と可動片4とを導通させる。PTCサーミスター6は、このような漏れ電流の流れる限り発熱を続け、熱応動素子5を逆反り状態に維持させつつ抵抗値を激増させるので、電流は固定接点21と可動接点41の間の経路を流れず、上述の僅かな漏れ電流のみが存在する(自己保持回路を構成する)。この漏れ電流は安全装置の他の機能に充てることができる。
過充電状態を解除し、又は異常状態を解消すると、PTCサーミスター6の発熱も収まり、熱応動素子5は復帰温度に戻り、元の初期形状に復元する。そして、可動片4の弾性部44の弾性力によって可動接点41と固定接点21とは再び接触し、回路は遮断状態を解かれ、図2に示す導通状態に復帰する。
図4は、熱応動素子5をその厚さ方向から視た平面視である。熱応動素子5は、長さ方向(長手方向)D1にのびる長辺51と、長さ方向に垂直な幅方向(短手方向)D2にのびる短辺52とを有する長方形状に形成されている。本実施形態のブレーカー1では、可動片4の弾性部44は、熱応動素子5の長さ方向D1にのびている。熱応動素子5の長さ方向D1の中央部53には、幅寸法を拡大するための拡幅部54が設けられる。図4において、拡幅部54は、ハッチングが施された領域で表される(以下、図5等においても同様)。
既に述べたように、熱変形時に熱応動素子5が発生する力は、熱応動素子5の厚さ寸法に依存するが、単に厚さ寸法のみが増大された熱応動素子にあっては、安定した温度特性が得られ難い場合がある。そうしたところ、特に長方形状の熱応動素子5においては、温度特性の安定化には中央部53の幅寸法W1が有効に作用することが本願発明者によって見い出された。
本発明の熱応動素子5では、中央部53に拡幅部54が設けられていることにより、中央部53の幅寸法W1は、長さ方向D1の端縁部の幅寸法(短辺52の長さ)W2よりも大きい。これにより、優れた温度特性を安定的に確保しながら、熱応動素子5の厚さ寸法を増大させることが可能となり、上記熱変形時に熱応動素子5が発生する力を容易に高めることが可能となる。
さらに、本発明の熱応動素子5では、短辺52から中央部53に向って幅寸法が漸増していることにより、熱応動素子5の長さ方向D1での応力分布が平滑化され、長さ方向D1の温度特性がより一層安定する。
一方、熱応動素子5の中央部53から短辺52に向って、熱応動素子5の幅寸法が抑制されるので、平面視での熱応動素子5の占有面積が抑制され、熱応動素子5の小型化が容易に実現される。
なお、熱応動素子5の中央部53とは、熱応動素子5の熱変形時において、大きな応力を発生する領域であって、例えば、熱応動素子5の長さ方向D1の中心からW2/4以下の領域である。
本実施形態では、熱応動素子5の長辺51は、樽形状に肥大して形成されている。換言すると、熱応動素子5は、幅方向D2の端縁において、中央部53が肥大する円弧状の輪郭56を有する。ここで「円弧」とは、真円の円周の一部のみならず楕円の円周の一部を含む概念である。このような熱応動素子5により、中央部53から短辺52に向って熱応動素子5の幅寸法を抑制しつつ、熱変形時に中央部53にて効率よく応力を発生させることが可能となる。
図5は、熱応動素子5の変形例である熱応動素子5Aを示している。熱応動素子5Aは、長辺51が直線によって構成されている点で、上記長辺51が幅方向D2の外側に向って凸な曲線状に形成されている熱応動素子5と相違する。熱応動素子5Aでは、長さ方向D1に対して傾斜する一対の直線と長さ方向D1に平行な直線によって長辺51が構成されているが、熱応動素子5Aでは、中央部53の長さ方向D1に平行な直線が省かれていてもよい。熱応動素子5Aにおいても、中央部53に拡幅部54が設けられることにより、優れた温度特性を安定的に確保しながら、熱応動素子5Aの厚さ寸法を増大させることが可能である点は、熱応動素子5と同様である。
図6は、熱応動素子5の別の変形例である熱応動素子5Bを示している。熱応動素子5Bは、長辺51が幅方向D2の内側に向って凸な曲線状に形成されている点で、熱応動素子5と相違する。熱応動素子5Bにおいても、中央部53に拡幅部54が設けられることにより、優れた温度特性を安定的に確保しながら、熱応動素子5Bの厚さ寸法を増大させることが可能である点は、熱応動素子5と同様である。
図7は、熱応動素子5のさらに別の変形例である熱応動素子5Cを示している。熱応動素子5Cは、拡幅部54が中央部53のみに形成されている点で、拡幅部54が中央部53から短辺52にわたって形成されている熱応動素子5と相違する。熱応動素子5Cにおいても、中央部53に拡幅部54が設けられることにより、優れた温度特性を安定的に確保しながら、熱応動素子5Cの厚さ寸法を増大させることが可能である点は、熱応動素子5と同様である。
図8は、熱応動素子5のさらに別の変形例である熱応動素子5Dを示している。熱応動素子5Dは、長辺51と短辺52とが交差する角部55が丸み付けされている点で、熱応動素子5と相違する。熱応動素子5A乃至5Cにおいて、角部55が丸み付けされていてもよい。また、角部55は、直線状に面取りされていてもよい。角部55が丸み付け等されることにより、熱応動素子5Dがケース本体7の凹部73に収容される際、角部55の引っ掛かりが抑制され、熱応動素子5Dが円滑に収容される。
図1に示される本発明のブレーカー1によれば、上記熱応動素子5乃至5Dのいずれかを備えているので、大きな弾性力を発生する可動片4を採用することにより、導通時の電気抵抗を容易に低減することが可能となる。
図9は、固定片2がインサート成形されたケース本体7を示している。ケース本体7は、凹部73の幅方向D2の外側に側壁76を有している。側壁76は、熱応動素子5の長さ方向D1に沿ってのびている。側壁76の厚さTは、側壁76の長さ方向D1の中央部77に向って漸減している。これにより、熱応動素子5をブレーカー1に適用することに伴い、側壁76の中央部77が幅方向D2に肥大することが抑制され、ブレーカー1の小型化が容易に実現される。
ケース本体71は、蓋部材8と固着される固着面75を有している。固着面75は、凹部73の周囲を取り囲むように形成されている。側壁76の端面78は、蓋部材8と固着され、固着面75の一部を構成する。
図10は、蓋部材8のB面を示している。蓋部材8は、ケース本体7の固着面75と固着される固着面81を有している。固着面81は、少なくとも、固着面75に対向する領域に形成されている。固着面81は、側壁76の端面78と対向する領域82で端面78と固着される。固着面81の領域82には、端面78に向って突出する突出部83が設けられている。図10では、突出部83の一部が破断されている。
固着面81に突出部83が設けられることにより、ケース本体7に蓋部材8が装着されたとき、最初に突出部83の頂部が固着面75に当接する。これにより、超音波溶着の際に突出部83の頂部に作用する圧力が高まり、突出部83の頂部と固着面75との間で発生する摩擦熱が増加する。その結果、突出部83の樹脂が容易に溶融し、固着面75と固着面81との固着が良好となる。
突出部83は、側壁76に沿って長さ方向D1に連続してのびている。これにより、側壁76の端面78と固着面81との固着が良好となる。さらに、突出部83は、側壁76の内側面79(図9参照)よりも幅方向D2の外方に形成されている。これにより、溶融した突出部83の樹脂が凹部73に侵入し、熱応動素子5と干渉することが抑制される。
突出部83の長さ方向D1に垂直な断面積Sは、側壁76の長さ方向D1の中央部77に向って減少しているのが望ましい。これにより、溶融した突出部83の樹脂が、ばりとなって凹部73に侵入し、熱応動素子5と干渉することがより一層抑制される。また、溶融した突出部83の樹脂が、ばりとなってケース10の外側面からはみ出すことが抑制される。
本実施形態では、突出部83の内端縁は、側壁76の内側面79に沿って形成され、突出部83の外端縁は、蓋部材8の外縁に沿って平行に形成されている。これにより、突出部83の幅寸法W3は、中央部77に向って減少し、上述した断面積Sの分布が容易に実現される。
本発明のブレーカー1は、上記実施形態の構成に限られることなく、種々の態様に変更して実施されうる。すなわち、熱応動素子5等は、少なくとも、板状に形成され、厚さ方向から視た平面視で、長さ方向D1にのびる長辺51と、長さ方向D1に垂直な幅方向D2にのびる短辺52とを有する長方形状に形成され、長さ方向D1の中央部53に、幅寸法を拡大するための拡幅部54が設けられることにより、中央部53に向って幅寸法が漸増していればよい。
例えば、ケース本体7と蓋部材8との接合手法は、超音波溶着に限られることなく、両者が強固に接合される手法であれば、適宜適用することができる。例えば、液状又はゲル状の接着剤を塗布・充填し、硬化させることにより、両者が接着されてもよい。また、ケース10は、ケース本体7と蓋部材8等によって構成される形態に限られることなく、2個以上の部品によって構成されていればよい。
また、本発明は、例えば、特開2016−35822号公報に示されるような、可動片と端子片とが別々に成形され、溶接等によって電気的に接続される形態にも適用することができる。また、本発明は、端子22及び42がケース本体7のB面から露出している形態にも適用することができる。
また、蓋部材8には、開口が設けられていてもよい。開口は、蓋部材8を厚さ方向に貫通する。開口が設けられることにより、遮断状態での可動片4の先端部が蓋部材8に干渉することが抑制され、固定接点21と可動接点41との距離(接点ギャップ)の拡大に寄与する。
さらにまた、本発明は、ケース10から蓋部材8が省かれる形態、すなわち、ケース本体7の凹部73が開放され、可動片4等が露出する形態にも適用可能である。このような形態では、可動片4が遮断状態にあるときの固定接点21と可動接点41との距離がより一層容易に拡大されうる。なお、かかる形態では、上記特開2016−35822号公報に示されように、端子片は、ケース本体7にインサート成形され、可動片4は、その基端側で端子片に溶接等されることにより、固定されていてもよい。
本実施形態では、PTCサーミスター6による自己保持回路を有しているが、このような構成を省いた形態であっても適用可能である。
また、本発明のブレーカー1は、2次電池パック、電気機器用の安全回路等にも広く適用できる。図11は2次電池パック500を示す。2次電池パック500は、2次電池501と、2次電池501の出力回路中に設けたブレーカー1とを備える。図12は電気機器用の安全回路502を示す。安全回路502は2次電池501の出力回路中に直列にブレーカー1を備えている。ブレーカー1を備えた2次電池パック500又は安全回路502によれば、導通時の電気抵抗を維持しつつ、小型化を容易に実現できる2次電池パック500又は安全回路502を製造できる。
1 :ブレーカー
2 :固定片
4 :可動片
5 :熱応動素子
7 :ケース本体(第1ケース)
8 :蓋部材(第2ケース)
21 :固定接点
41 :可動接点
44 :弾性部
51 :長辺
52 :短辺
53 :中央部
54 :拡幅部
55 :角部
73 :凹部
76 :側壁
77 :中央部
78 :端面
79 :内側面
81 :固着面
83 :突出部
501 :2次電池
502 :安全回路
D1 :長さ方向
D2 :幅方向
W :幅寸法
2 :固定片
4 :可動片
5 :熱応動素子
7 :ケース本体(第1ケース)
8 :蓋部材(第2ケース)
21 :固定接点
41 :可動接点
44 :弾性部
51 :長辺
52 :短辺
53 :中央部
54 :拡幅部
55 :角部
73 :凹部
76 :側壁
77 :中央部
78 :端面
79 :内側面
81 :固着面
83 :突出部
501 :2次電池
502 :安全回路
D1 :長さ方向
D2 :幅方向
W :幅寸法
Claims (8)
- 板状に形成された熱応動素子であって、
厚さ方向から視た平面視で、
長さ方向にのびる長辺と、前記長さ方向に垂直な幅方向にのびる短辺とを有する長方形状に形成され、
前記長さ方向の中央部に、幅寸法を拡大するための拡幅部が設けられ、
前記中央部に向って前記幅寸法が漸増している、
ことを特徴とする熱応動素子。 - 前記長辺は、樽形状に肥大している、請求項1記載の熱応動素子。
- 前記長辺と前記短辺とが交差する角部は、丸み付けされている、請求項1又は2に記載の熱応動素子。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の熱応動素子と、
固定接点と、
弾性変形する弾性部及び該弾性部の先端部に可動接点を有し、前記可動接点を前記固定接点に押圧して接触させる可動片と、
前記可動片及び前記熱応動素子を収容するための凹部を有する第1ケースとを備えたブレーカーであって、
前記熱応動素子は、温度変化に伴って変形することにより、前記可動片の状態を前記可動接点が前記固定接点に接触する導通状態から前記可動接点が前記固定接点から離隔する遮断状態に移行可能であり、
前記第1ケースは、前記凹部の前記幅方向の外側に側壁を有し、
前記側壁の厚さは、前記側壁の前記長さ方向の中央部に向って漸減している、
ことを特徴とするブレーカー。 - 前記凹部の少なくとも一部を覆う第2ケースをさらに備え、
前記第2ケースは、前記側壁の端面と固着される固着面を有し、
前記固着面には、前記端面に向って突出し、前記長さ方向に沿って連続する突出部が設けられ、
前記突出部は、前記側壁の内側面よりも前記幅方向の外方に形成されている、請求項4記載のブレーカー。 - 前記突出部の前記長さ方向に垂直な断面積は、前記側壁の前記長さ方向の前記中央部に向って減少している、請求項5記載のブレーカー。
- 請求項4乃至6のいずれかに記載のブレーカーを備えたことを特徴とする電気機器用の安全回路。
- 請求項4乃至6のいずれかに記載のブレーカーを備えたことを特徴とする2次電池パック。
Priority Applications (2)
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JP2018210564A JP2020077541A (ja) | 2018-11-08 | 2018-11-08 | 熱応動素子、ブレーカー、安全回路及び2次電池パック |
PCT/JP2019/041654 WO2020095694A1 (ja) | 2018-11-08 | 2019-10-24 | 熱応動素子、ブレーカー、安全回路及び2次電池パック |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018210564A JP2020077541A (ja) | 2018-11-08 | 2018-11-08 | 熱応動素子、ブレーカー、安全回路及び2次電池パック |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2020077541A true JP2020077541A (ja) | 2020-05-21 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2018210564A Pending JP2020077541A (ja) | 2018-11-08 | 2018-11-08 | 熱応動素子、ブレーカー、安全回路及び2次電池パック |
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JP (1) | JP2020077541A (ja) |
WO (1) | WO2020095694A1 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH0315444U (ja) * | 1989-06-28 | 1991-02-15 | ||
JP5578922B2 (ja) * | 2010-04-27 | 2014-08-27 | エヌイーシー ショット コンポーネンツ株式会社 | 温度保護素子 |
JP6393119B2 (ja) * | 2014-08-29 | 2018-09-19 | ボーンズ株式会社 | ブレーカー及びそれを備えた安全回路並びに2次電池回路。 |
-
2018
- 2018-11-08 JP JP2018210564A patent/JP2020077541A/ja active Pending
-
2019
- 2019-10-24 WO PCT/JP2019/041654 patent/WO2020095694A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2020095694A1 (ja) | 2020-05-14 |
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