以下、図面に基づいて本発明の一実施の形態のヘルスケアシステムを詳細に説明する。本明細書での用語の定義として、疾患とは、いわゆる病い、病気、疾患、疾病、症候群、障害、その他を含む総称とする。疾患は、名称、種類、程度、段階、推移、及び詳細等を含めて管理される。疾患は、疾患が疑われる状態、現在病気である状態、病気が治癒した状態、等を含めて管理される。疾患は、医師等の診断によるもの、ユーザの自己認識及び主観によるものを含む。疾患は、特に産婦人科及び生殖医療の領域に係わる疾患を含むが、他の診療科の疾患を含んでもよい。
治療とは、医療機関による診療、治療、処置、処方等、並びにユーザにより採用される療法等を含む総称とする。治療は、名称、種類、段階、推移、及び詳細等を含めて管理される。治療の例は、カウンセリング、タイミング法(排卵日に合わせて性交を行う方法)、人工授精、体外受精、顕微授精、卵巣や子宮の手術、薬剤の注射、等がある。
検査とは、医学的な検査であり、テスト等を含む総称とする。検査の例は、血液検査、尿検査、精液検査、超音波や内視鏡による生理機能検査、画像検査等がある。検査は、性感染症等の特定の疾患毎の検査を含み、一般的な健康診断を含む。
症状とは、運動、食事、睡眠、排泄などの実態、気分、体調等を含む総称とし、ストレスを含めてもよい。症状やストレスは、ユーザが主観的に認識する様々な身体及び精神の症状やストレスを含む。行動とは、疾患の改善を目的とした、ユーザが主観的に計画する、運動、食事、睡眠、排泄、性交、その他各種の日常生活上の活動の総称とする。
<実施の形態1>
図1〜図23を用いて、実施の形態1のヘルスケアシステムの構成を説明する。実施の形態1のヘルスケアシステムの構成は、産婦人科及び生殖医療(男性の場合は泌尿器科を含む)の領域を対象として、女性に特有の疾患(女性ホルモンの増加や減少に伴う症状を含む)、妊娠などのイベント(不妊等を含む)における、ユーザのヘルス状態をケアし、ユーザの治療や検査を含む活動のデータ記録及び分析を支援するサービスを提供する。本サービスは、ユーザ個人毎のヘルスデータを管理し、ユーザ個人毎のヘルス状態を分析し、ユーザ個人毎の状態に応じたメッセージ等の情報を提供する。
[システム]
図1は、実施の形態1のヘルスケアシステムの全体的な構成を示す。実施の形態1のヘルスケアシステムの構成は、サービス事業者によるサーバ1と、複数の各ユーザの端末2とが、通信網9を介して接続される。ユーザは、患者等を含む人であり、端末2及び医療機器3を所有する。ユーザの端末2に対し、通信網9を介し、医療機関または検査機関の端末4が接続されてもよい。サーバ1に対し、通信網9を介し、医療機関または検査機関の端末4が接続されてもよい。サーバ1に対し、他の事業者のサーバが接続されてサーバ1との連携でサービスが提供されてもよい。
医療機関は病院等が挙げられる。検査機関は検査会社や医療機関内の検査部門等が挙げられる。他の事業者のサーバは、医療情報や病院情報を提供するWebサイトのサーバ、ユーザ情報管理や決済のサービスを提供する通信キャリアのサーバ等が挙げられる。
サーバ1は、サービス部10及びDB(データベース)50を有する。サービス部10は、サーバコンピュータのサーバプログラムの処理に基づいて、通信網9を介しアクセスしてきたユーザの端末2に対し、DB50の情報を用いながら、ヘルスケアのサービスの画面及び処理を提供する。DB50は、ストレージ等で構成され、サービスのためのデータ及び情報を格納し、セキュアに管理される。サーバ1は、クラウドコンピューティングシステム等でもよい。
ユーザの端末2は、PC、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機、等の各種のコンピュータが可能であり、CPU,ROM,RAM,入力部、出力部、及び通信部等の公知の要素を含む。ユーザの端末2は、アプリ20、体温月経データ入力部21、及び検査結果データ入力部22を有する。
アプリ20は、サーバ1のサービス部10と通信してヘルスケアのサービスを受けるための処理を行うプログラムであり、当該サービスの画面を含むユーザインタフェースを提供する。アプリ20は、体温月経データ入力部21及び検査結果データ入力部22に対応した機能の実装を含む。
体温月経データ入力部21は、ユーザの体温データ及び月経データを入力する。体温データは、基礎体温の計測の日付及び数値等を含む時系列のデータである。月経データは、月経日等の情報を含む時系列のデータである。検査結果データ入力部22は、ユーザの検査結果データを入力する。検査結果データは、検査の日付、検査項目、及び数値等を含む時系列のデータである。検査項目は、女性ホルモン等の内分泌学検査等の検査項目を含む。体温月経データ入力部21や検査結果データ入力部22は、手動入力に加え、自動転送による入力が可能であり、例えば無線通信インタフェースを備え、外部からのデータを無線通信で入力する。
医療機器3は、ユーザが基礎体温の計測に使用する体温計、検査チェッカー等を含む。医療機器3は、センサ機能として、体温等の計測機能を備える。医療機器3は、センサ機能により計測した体温等のデータを記憶し、表示し、外部出力可能である。ユーザの端末2の体温月経データ入力部21は、医療機器3から、体温等のデータを、通信で入力する。
ユーザの端末2や医療機器3は、センサ機能を持つウェアラブル端末でもよい。その場合、ウェアラブル端末は、ユーザのヘルス状態に係わる体温や他の所定の項目の数値を自動的に計測して当該データを記録する。端末2と医療機器3とが1つに統合されてもよい。計測対象項目に応じた複数の医療機器3があってもよい。
医療機関の医師あるいは検査機関の検査者等の人は、端末4を使用する。またユーザが自宅等で端末4を使用してもよい。端末4は、ユーザの端末2と同様に各種のコンピュータの他、専用の医療機器や検査機器、病院システム等でもよく、専用の医薬品や検査チェッカー等でもよい。例えば医師、検査者、またはユーザは、端末4にユーザの治療等の情報(いわゆるカルテ情報)や検査結果情報を手動入力する。また、端末4が医療機器や検査機器、病院システムである場合、データを自動転送する。端末4は、検査結果データ出力機能を備え、ユーザの検査結果データを外部出力可能である。ユーザの端末2は、検査結果データ入力部22により、端末4の検査結果データ出力機能から検査結果データを通信で入力可能である。
サービス部10は、ユーザ属性情報登録部11、医療情報設定部12、ヘルスデータ管理部13、グラフ作成部14、カレンダー入力部15、分析部16、メッセージ出力部17、及び補助部18を有する。各部は、ソフトウェアプログラム処理で実現される。DB50は、ユーザ属性情報51、医療検査情報52、ヘルスデータ53、検査結果データ54、カレンダー入力情報55、分析情報56、出力メッセージ情報57、及び処理定義情報58等を格納する。
サービス部10は、上記以外にユーザの端末2に対して基本サービスを提供する機能を含み、当該処理のための情報をDB50に管理する。サービス部10は、他の事業者のサーバから必要な情報を適宜取得または参照して基本サービスの処理を行う。基本サービスは、最新の医療情報やヘルス情報の提供、医療機関や医薬品(ビタミンや漢方を含む)等の検索、掲示板(コミュニティ等、複数の人が読み書きする媒体)やブログ等の機能がある。
ユーザ属性情報登録部11は、ユーザの端末2に情報登録用の画面を提供し、当該画面でユーザにより入力される当該ユーザの属性の情報を、ユーザ属性情報51として登録する処理、及びユーザ毎の設定情報を設定する処理を行う。
医療情報設定部12は、本システムの管理者による入力に基づいて、医療検査情報52や処理定義情報58を含む本システムの管理情報を設定する処理を行う。医療検査情報52は、医療及び検査に関する管理情報であり、医療機関や検査機関の情報のDBである。処理定義情報58は、分析等の個別の処理論理を定義する情報である。
ヘルスデータ管理部13は、ユーザの端末2のアプリ20を通じてユーザにより入力される各種の要素のデータ、即ち体温、月経、検査結果、行動、症状、及びつぶやき等の情報を、ヘルスデータ(ヘルス情報ともいう)として、DB50に管理する処理を行う。特に、ヘルスデータ管理部13は、端末2の体温月経データ入力部21を通じて入力及び送信される体温データ及び月経データを受信し、ヘルスデータ53として格納する。またヘルスデータ管理部13は、端末2の検査結果データ入力部22を通じて入力及び送信される検査結果データを受信し、検査結果データ54として格納する。
グラフ作成部14は、ヘルスデータ53を用いて体温月経グラフを作成し、ヘルスデータ53の一部として格納し、画面に体温月経グラフを表示する処理を行う。またグラフ作成部14は、検査結果データ54を用いて、検査結果グラフを作成し、検査結果データ54の一部として格納し、画面に検査結果グラフを表示する処理を行う。グラフは、例えば横軸を日数等の時間として縦軸に体温等の数値をプロットしたグラフを含む。体温月経グラフは、体温グラフと月経グラフとを統合したグラフであるが、分けて管理されてもよい。検査結果グラフは内分泌学検査等の検査項目数値のグラフを含む。
カレンダー入力部15は、ヘルスデータ管理部13のヘルスデータの入力及び管理を補助する処理部である。カレンダー入力部15は、ユーザの端末2にカレンダーを含む画面を提供し、当該画面でユーザにより入力される、基礎体温や月経、検査結果、行動、症状、つぶやき、治療、服薬、その他の情報を含むユーザ入力情報を、静的方法、動的方法を問わずに、カレンダー入力情報55として登録する処理を行う。カレンダーの日付毎に時系列でヘルスデータの各種の項目の情報が登録可能であり、各項目の情報は専用の画面や入力欄やカレンダーの少なくとも1つで入力可能である。
分析部16は、ユーザのユーザ属性情報51、医療検査情報52、処理定義情報58を用いつつ、傾向分析及び疾患リスク判断等の気づき情報抽出と、行動抽出とを含む各処理を行う。分析部16は、ユーザのヘルスデータ53、検査結果データ54、カレンダー入力情報55を対象に、各種の傾向分析の処理を行い、その結果情報を、分析情報56内に格納する。分析部16は、ユーザの分析情報56によるヘルス状態、並びにカレンダー入力情報55で登録された行動等のデータを対象に、行動抽出処理を行い、その結果情報を、分析情報56内に格納する。分析部16は、ユーザの分析情報56によるヘルス状態、並びに上記ヘルスデータの要素の組合せを用いて、疾患リスク判断処理を行い、その結果情報を、分析情報56内に格納する。
メッセージ出力部17は、上記分析情報56に基づいて、ユーザの端末2の画面に、当該ユーザ毎のヘルス状態に応じたメッセージを含む情報を出力する処理を行い、当該情報を出力メッセージ情報57として管理する。出力メッセージ情報57は、各メッセージの定義情報や、時系列での履歴情報の管理を含む。
補助部18は、アプリ20と連携しつつ、本サービスの他の機能に対応した処理を行い、そのための情報をDB50に管理する。
[機能及びデータ]
図2A及び図2Bは、実施の形態1のヘルスケアシステムにより提供するサービス及び対応する機能、並びに管理するデータ及び情報の概要を示す。実施の形態1のヘルスケアシステムは、主な機能として、(1)個人ヘルスデータ管理機能201、(2)分析及びメッセージ出力機能202、(3)他の機能203、を含む。
(1) 図2Aで、個人ヘルスデータ管理機能201は、ユーザ属性情報管理機能、医療情報設定機能、ヘルスデータ管理機能、グラフ管理機能、カレンダー管理機能、等を含み、ユーザ属性情報51、医療検査情報52、処理定義情報58、ヘルスデータ53、検査結果データ54、カレンダー入力情報55、等を管理する。個人ヘルスデータ管理機能201は、ユーザ個人毎のヘルス状態に関する体温等を含む各種のデータの登録及び管理の機能を含む。個人ヘルスデータ管理機能は、ユーザにより端末2のアプリ20の画面を通じて日々随時に入力される体温等のユーザ入力情報を、ヘルスデータ53としてDB50に登録する。
(1−1) ユーザ属性情報管理機能は、ユーザ属性情報登録部11を用いて実現され、ユーザ毎のユーザ属性情報51の登録及び管理を含む機能である。ユーザ属性情報51は、項目として、ユーザ名、性別、年齢、利用する医療機関や検査機関、治療や疾患や既往症の状態、生活ポリシー、運動ポリシー、食事ポリシー、等を含む。
(1−2) 医療情報設定機能は、医療情報設定部12を用いて実現され、管理者の操作に基づいて、医療検査情報52、及び処理定義情報58を設定し管理する機能である。
医療検査情報52は、複数の各々の医療機関及び検査機関の情報が設定、管理される。本システムは、医療検査情報52を用い、ユーザ毎の利用する医療機関や検査方法等の違いを管理し、当該違いを考慮した分析等を提供する。医療検査情報52は、医療機関及び検査機関ごとの医学的な基準値範囲と、本システムでの制御用の固有の基準情報との設定及び管理を含む。
処理定義情報58は、分析機能の各種の分析及びチェック等の際に用いる、個別の処理論理の定義情報が設定される。処理定義情報58は、医療検査情報52に基づく、適用する基準の情報の管理を含む。
(1−3) ヘルスデータ管理機能は、ヘルスデータ管理部13を用いて実現され、ユーザ個人毎の各要素のデータの記録及び一元管理の機能を含む。ヘルスデータ管理機能は、基礎体温データ管理、月経データ管理、検査結果データ管理、行動データ管理、症状データ管理、等の機能を含む。
ユーザ入力情報であるヘルスデータ53は、要素として、(a)基礎体温、(b)月経、(c)検査結果、(d)行動、(e)症状、(f)つぶやき、(g)その他、を含む。(c)の検査結果は、複数の種類の内分泌学検査項目数値等を含む。(d)の行動は、運動療法や食事療法、音楽療法等を含む。(e)の症状は、ストレスを含む。(f)のつぶやきは、気持ちやメモ等を表す任意のテキストを含む。(g)のその他の情報は、ヘルス状態に係わる情報として、治療、検査、処方等の情報を含む。処方(服用ともいう)の情報は、医療機関による薬剤の処方、ユーザによる薬剤の服用、及びその履歴の情報を含む。具体例は、「2012年4月1日:薬剤A」等である。なお、ヘルスデータ53のうち、検査結果については検査結果データ54として分けているが、それらは同様の内容の情報である。ヘルスデータ53は、体温等の要素ごとにデータが管理されている。
(1−4) グラフ管理機能は、グラフ作成部14を用いて実現され、ユーザのヘルス状態を表す体温月経グラフや検査結果グラフ等を含むグラフデータに関連する情報を管理する。グラフ管理機能は、各ユーザのグラフとは別に、後述の基準グラフに関連する情報を設定し管理する。
(1−5) カレンダー管理機能は、ユーザ入力情報の登録及び表示のためのカレンダーを含む画面、及びカレンダー入力情報55を管理する。カレンダー管理機能は、ユーザの端末2のアプリ20の画面にカレンダーを表示し、カレンダーの日付に対する基礎体温、月経、検査結果、行動、症状、つぶやき、治療、服薬、その他の情報の登録及び表示を制御する。ユーザ入力情報は、カレンダーの形式で時系列で記録及び一元管理される。カレンダーは、過去の記録情報の振り返り、及び未来の行動等の予定やスケジューリングも可能である。
(2) 図2Bで、分析及びメッセージ出力機能202は、分析機能及びメッセージ出力機能を含む。分析機能は、気づき情報抽出機能、及び行動抽出機能を含み、処理定義情報58に基づいて分析処理を行い、分析情報56を管理する。気づき情報抽出機能は、傾向分析機能、及び疾患リスク警告機能を含む。メッセージ出力機能は、メッセージ出力部17を用いて実現され、出力メッセージ情報57を管理する。分析及びメッセージ出力機能202は、上記(1)の個人ヘルスデータ管理機能201による各データ、即ちユーザ個人毎のヘルスデータ53及びユーザ属性情報51等を用い、ユーザ毎のヘルス状態に関する高度な分析を行う。そして、分析及びメッセージ出力機能202は、当該分析の結果に基づいて、ユーザ毎のヘルス状態に応じた高度なメッセージを出力する。
(2−1) 傾向分析機能は、(2A)体温及び月経の傾向分析、(2B)検査結果の傾向分析、(2C)行動の傾向分析、(2D)症状の傾向分析、等の機能を含む。傾向分析の処理は、ユーザのヘルスデータの体温等の数値及び状態における、絶対的な良し悪し、及び相対的な改善や悪化等の傾向を、所定の数値に基づいて判定する。傾向とは、時系列での数値の変動を含む。
(2A) 体温及び月経の傾向分析の機能は、ユーザ毎のヘルスデータ53等の数値やグラフを用いて、ユーザの体温や月経の傾向を含むヘルス状態を分析する。この機能は、後述の温度差や月経周期等の所定の項目の数値の判定及び算出を含む。
(2B) 検査結果の傾向分析の機能は、ユーザ毎の検査結果データ54等の数値やグラフを用いて、ユーザの検査結果の傾向を含むヘルス状態を分析する。この機能は、検査結果に関する判定及び算出を含む。
体温、月経、検査結果、症状の傾向分析の機能は、ユーザ毎のヘルスデータ53を用いて分析する。傾向は、例えば過去の一定期間のヘルスデータ毎の変化(量や頻度や継続性)を含む。
(2−2) 行動抽出機能は、ユーザ毎の行動データを用いて、ユーザの現在の体温、月経、検査結果、及び症状等のヘルス状態に関連や影響があると推定される過去の行動を含む生活習慣の情報を抽出し、ユーザに提示する。ユーザのヘルス状態は、傾向分析の結果を用いる。行動抽出機能は、行動を含む生活習慣だけでなく、関連する症状等の情報を抽出してもよい。
(2−3) 疾患リスク警告機能は、上記ユーザの体温、月経、検査結果、行動、症状、及びつぶやき等の要素を組合せで用いた総合的な分析により、ユーザの疾患等を含むヘルス状態を推定及びチェックする。そして、疾患リスク警告機能は、その結果に応じたメッセージを、メッセージ出力機能を用いて出力する。疾患リスク警告機能は、結果に応じて、疾患の可能性及びリスクを警告するメッセージを出力する。チェック対象は、女性に特有の各種の疾患等を含む。警告は、言い換えると、可能性の示唆や、注意喚起を促すアラートである。
上記(2)の機能による出力メッセージ情報57の概要として以下を含む。出力メッセージ情報57は、一般的な医学的知識や最新情報、傾向分析結果情報、抽出行動、行動傾向、生活アドバイス、チェック結果による疾患リスク警告情報、治療や検査や病院等に関する受診勧奨、等を含む。傾向分析結果情報は、ユーザのヘルス状態の数値やその良し悪し、改善や悪化等の傾向の状態を伝える情報を含む。出力メッセージ情報57は、本システムの特有の分析によるユーザ個人毎に提供される参考情報である。
(3) 他の機能203は、補助機能であり、補助部18を用いて実現される。他の機能203は、入力補助機能、グラフ補間機能、グラフマッチング機能、関連情報検索機能、等を含む。入力補助機能は、ユーザのデータ入力を補助する機能であり、医療機器連携機能や音声入力機能を含む。グラフ補間機能は、ユーザのグラフの数値を補間して作成する機能を含む。グラフマッチング機能は、ユーザのグラフと基準グラフとを比較する機能を含む。関連情報検索機能は、ユーザ毎のヘルス状態や出力メッセージに対しての関連情報を自動的に検索して提示する機能を含む。
[データ入力]
図1のシステムにおける体温や検査結果等のデータの入力及び登録の際の具体例を以下に示す。まず体温及び月経データの入力は以下である。ユーザは、日々、体温計等の医療機器3で基礎体温を計測する。ユーザは、端末2のアプリ20の画面で、基礎体温を入力し、月経有りの場合は月経日等の情報を入力する。ユーザは、紙の基礎体温表の数値をアプリ20の画面で手入力してもよいし、紙のスキャンや撮影により数値をデータ化して取り込んでもよい。手入力の場合、アプリ20の画面で、体温の入力欄を表示し、日付及び数値を選択入力できる。またアプリ20の画面で、体温のグラフ欄を表示し、日付の箇所での数値のプロットにより入力できる。
またユーザは、医療機器3からの体温データ等を、端末2の体温月経データ入力部21を通じて通信で入力してもよい。端末2のアプリ20及びサービス部10の補助部18の処理により、入力補助機能の医療機器連携機能が実現される。例えばユーザが体温計である医療機器3を端末2の体温月経データ入力部21によるインタフェース部にかざす又は接続することで、医療機器3からの体温データが転送され入力される。端末2のアプリ20は、入力された体温及び月経等のデータを、端末2内に保存し、サーバ1に送信して登録する。
アプリ20及びサービス部10により、体温等の入力データは、適宜、本システムで扱う所定の形式のデータに変換される。また医療機器3が体温データを時系列やグラフで保持する場合や、体温の他に、月経、身長、体重、BMI(体格指数)等の情報を一緒に持つ場合、それらのデータを端末2のアプリ20へまとめて入力してもよい。医療機器3は、行動、症状、つぶやき、その他の情報が入力されてもよい。
次に検査結果データの入力は以下である。前提の医療機関や検査機関の利用例と共に説明する。例えば不妊症の治療や検査を受けるユーザは、病院の産婦人科等に行く。医師は、患者であるユーザを診察し、必要に応じて、検査や処方のオーダー、病状の診断、処置等の治療を行う。治療は、タイミング法、不妊原因の疾患の治療、人工授精、等がある。
検査のオーダーを受けた検査機関である検査会社や病院内の検査部門等の検査者は、オーダーされた検査を実施する。検査機関は、例えば血液検査として、検査装置を用いて、検体であるユーザの血液中に含まれる女性ホルモン等の数値を測定し、ユーザの検査結果データを端末4等に記録する。
ユーザは、検査機関等から提供された検査結果の紙または検査結果データを用い、端末2で検査結果データを入力する。端末2のアプリ20は、検査結果データの入力欄を含む画面を表示する。ユーザは、当該画面で、検査の日付、利用した医療機関または検査機関、検査項目、及び数値等を入力できる。また特に、端末4から転送された検査結果データをユーザの端末2でまとめて入力できる。端末2は、検査結果データ入力部22を通じて入力された検査結果データを、端末2内に保存し、サーバ1へ送信し登録する。
なおユーザ、医療機関や検査機関、及び事業者との間では、相互同意に基づいて、医療機関等の端末4から、ユーザの端末2あるいはサーバ1へ、ユーザのデータ及び情報を提供してもよい。提供対象は、医療機関のカルテに記録される治療や病状、診察、検査の情報、医療機関で計測された体温や月経のデータ、検査機関による検査結果データ、等である。この場合、ユーザのデータ登録の手間を削減できる。
またユーザあるいは検査機関等から事業者へ、検査結果の紙またはデータを、郵送または通信網9を介して送信し、事業者が当該紙やデータから検査結果データ54としてデータ化してもよい。またユーザが自分で検査薬等を用いて行う検査の場合、ユーザによる計測の数値を端末2で入力し検査結果データ54として登録してもよい。
入力補助機能の音声入力機能を用いる場合は以下である。音声入力機能を構成する要素として、端末2またはアプリ20またはサービス部10は、公知の音声認識機能を備える。ユーザは、端末2のアプリ20で体温等のデータを入力する際、音声入力機能の使用を選択し、例えば体温の数値を音声で入力する。例えばアプリ20に持つ音声認識機能は、ユーザの入力音声を認識して音声データに変換し、音声データを解析して体温の数値等の情報を抽出する。アプリ20は当該音声データまたは抽出情報をサーバ1へ送信し、サーバ1は当該音声データまたは抽出情報からの体温データを登録する。サーバ1側で解析する場合も同様である。
[処理]
図3は、アプリ20及びサーバ1による主な処理のフローを示す。S1等は処理ステップを示す。
(S1) サーバ1において、管理者及び医療情報設定部12により、予め本システムの管理情報である医療検査情報52(後述図8)や処理定義情報58(後述図20等)が設定される。管理情報の設定内容は、医療や検査の情報の追加や修正等に応じて随時更新される。
(S2) ユーザの操作に基づいて、端末2のアプリ20からサーバ1のサービス部10へアクセスし、端末2にサービスの画面を提供する。画面は、サービス利用開始時または随時に提供される、ユーザ属性情報の登録用の画面等である。当該画面は、ユーザの各属性の項目の入力欄を含み、ユーザは各項目で選択肢や数値やテキスト等で情報を登録可能である。ユーザ属性情報登録部11は、当該画面で入力された情報を、ユーザ属性情報51(後述図4)に登録する。ユーザは治療や検査を受けた場合等に随時、ユーザ属性情報51の内容を更新できる。またユーザは、サービスの画面で、適宜、自分用のユーザ設定情報の設定が可能である。
(S3) 随時、ユーザの端末2のアプリ20からサーバ1のサービス部10へアクセスし、ヘルスデータ管理部13により、体温及び月経データの入力欄を含む画面(後述図10等)を提供する。ユーザは、当該画面で、自分の体温及び月経の情報を、例えば医療機器3からの体温データに基づいて入力する。端末2のアプリ20は、ユーザの体温及び月経データをサーバ1へ送信し、ヘルスデータ管理部13は、ヘルスデータ53として登録する。
(S4) 同様に、随時、ユーザの端末2からサーバ1へアクセスし、ヘルスデータ管理部13により、検査結果データの入力欄を含む画面(図10等)を提供する。ユーザは、当該画面で、自分の検査結果データを、例えば検査機関の端末4からの検査結果データに基づいて入力する。端末2のアプリ20は、ユーザの検査結果データ及び単位を含む情報をサーバ1へ送信し、ヘルスデータ管理部13は、検査結果データ54(後述図5)として登録する。単位は、例えば後述のAMH項目の場合には[ng/mL]か[pM]である。
(S5) 随時、ユーザの端末2のアプリ20からサーバ1のサービス部10へアクセスし、カレンダー入力部15により、カレンダーを含む画面(後述図11等)を提供する。ユーザは、当該カレンダーで、日付に対し、ユーザの体温、月経、検査結果、行動、症状、及びつぶやき等の各種の要素の情報を入力できる。これらの情報は、テキストまたは所定の選択肢やマークの選択等により入力できる。カレンダー入力部15は、ユーザ入力の各種の情報をカレンダー入力情報55(後述図6)に登録する。上記S3〜S5のように、ユーザは、自分の端末2の画面で、日々好きな時に、ヘルスデータ等の各種の情報を入力及び登録できる。
(S6) サーバ1のグラフ作成部14は、S3によるヘルスデータ53を用いて、ユーザ毎の体温月経グラフ(後述図13等)を作成または更新し、ヘルスデータ53の一部として保存する。体温月経グラフは、基礎体温の時系列の数値によるグラフであり、月経日や月経周期等の情報が重ね合わされたグラフである。グラフ作成部14は、作成した体温月経グラフと、関連する情報とを含む画面を、ユーザの端末2へ提供する。
またグラフ作成部14は、S4による検査結果データ54を用いて、ユーザ毎の検査結果グラフ(後述図14等)を作成または更新し、検査結果データ54の一部として保存する。検査結果グラフは、複数の種類の検査項目、例えば血液検査による複数の種類の女性ホルモン、に関する時系列の数値によるグラフである。グラフ作成部14は、作成した検査結果グラフと、関連する情報とを含む画面を、ユーザの端末2へ提供する。
(S7) サーバ1の分析部16は、上記登録されたユーザのヘルスデータ53を含むヘルスデータを用いて、ユーザ毎の体温及び月経の傾向分析処理を行い、その結果を分析情報56に格納する。分析部16は、処理定義情報58に基づいて、ユーザのユーザ属性情報51、体温月経グラフ、カレンダー入力情報55等を用いて、ユーザの体温や月経における良し悪し、改善や悪化等の傾向の状態を判定する。分析部16は、ユーザの温度差、月経周期、予測排卵日等の数値を算出及び記録し、それらの項目の時系列の変化量等を算出して傾向を判定する。また分析部16は、ユーザの数値を基準の数値範囲と比較して状態を判定する。
(S8) サーバ1の分析部16は、上記登録されたユーザの検査結果データ54を含むヘルスデータを用いて、ユーザ毎の検査結果の傾向分析処理を行い、その結果を分析情報56に格納する。分析部16は、処理定義情報58に基づいて、複数の検査項目数値、例えば複数の種類の女性ホルモン数値における良し悪し、改善や悪化等の傾向の状態を判定する。分析部16は、ユーザの複数の検査項目数値の時系列の変化量等を算出して傾向を判定する。また分析部16は、ユーザの数値を基準の数値範囲と比較して状態を判定する。S7やS8の際、分析部16は、医療検査情報52を参照し、ユーザの利用する医療機関及び検査方法等の違いに応じた基準情報を適用し、上記傾向分析を行う。
(S9) 分析部16は、上記登録された行動データを含むヘルスデータを用いて、ユーザ毎の行動抽出や行動傾向分析の処理を行い、その結果を分析情報56に格納する。分析部16は、行動傾向分析処理では、ユーザの過去の期間の行動における傾向を判定する。分析部16は、例えば食事や運動等の行動種類毎に、量や頻度や継続性等を数値で算出し、それらの時系列の変化を判定する。
分析部16は、行動抽出処理では、S7やS8の傾向分析により検出されたユーザの現在のヘルス状態について、関連や影響していると推定される、ユーザの過去の行動の情報を抽出する。分析部16は、ユーザのユーザ属性情報51、体温月経グラフ、検査結果グラフ、カレンダー入力情報55の行動や症状やつぶやき等の登録情報、及びそれらの分析情報56等を用いて、上記抽出する行動を判定する。
上記行動抽出の処理は、ユーザの現在のヘルス状態に関係がありそうな過去の行動等を緩やかに推定する特有の処理であり、抽出した情報を参考情報としてユーザの役に立てる意図である。S9は、行動データの分析及び抽出の処理だけでなく、時系列で関連する症状データ等の分析及び抽出を同様に行ってもよい。分析部16は、症状の分析及び抽出を行う場合、ユーザの症状データを用いて、各種の症状の回数の増減を算出し、その時系列上の変動量を算出し、その変動量と所定の数値との比較に基づいて、症状の改善や悪化の状態を判定する。
(S10) 分析部16は、上記登録されたヘルスデータ等の各種の情報の組合せを用いて、総合的な疾患リスク警告の処理を行い、その結果を分析情報56に格納する。分析部16は、疾患リスク警告処理において、処理定義情報58に基づいて、体温、月経、検査結果、行動、症状、及びつぶやき等の各要素の組合せを用いて、女性に特有の各種の疾患の可能性を緩やかに推定する。S10で、分析部16は、疾患リスク確認のために、症状傾向分析処理を併せて行ってもよい。
(S11) サーバ1の分析部16は、上記S7〜S10の結果を含む分析情報56に基づいて、ユーザ毎のヘルス状態に応じた出力メッセージを決定する。メッセージ出力部17は、当該ユーザの端末2の画面に、当該メッセージを含む情報を表示する。出力メッセージは、画面で、専用の欄に表示してもよいし、対応するグラフの欄に表示してもよい。メッセージ出力部17は、出力メッセージを、出力メッセージ情報57(後述図7)に履歴として格納する。メッセージの出力のタイミングは、ユーザの要求を受けた時点でもよいし、ユーザのデータを分析した時点でもよいし、1日毎や所定日数毎等のユーザ設定に基づく定期的な時点としてもよい。
上記のように、ユーザは、好きな時に、自分の端末2の画面(図10等)で、登録による自分の体温、月経、検査結果、行動、症状、及びつぶやき等の情報を閲覧でき、また各種のグラフや、分析結果の出力メッセージ情報を閲覧できる。ユーザは、画面で、選択した個別の情報の閲覧、複数の種類の情報の一覧及び並列での閲覧、1日単位の情報の閲覧、過去の指定の期間の情報の閲覧、等が可能である。
(S12) サーバ1は、ユーザの端末2のアプリ20からのユーザによる所望のデータの出力の要求に応じて、DB50に保存されている対応するデータを読み出し、端末2へ送信する。DB50は、ユーザ毎の各データが整理して蓄積されている。ユーザの端末2のアプリ20は、サーバ1から受信したデータをメモリに保存し、画面表示や印刷を行う。出力可能なデータは、ユーザのユーザ属性情報51、各グラフ、カレンダー入力情報55、及び分析結果の出力メッセージ等を含む。出力データは、例えば過去の1ヶ月等の指定の期間の単位での履歴情報及び一覧情報のファイルが可能である。ユーザは、医療機関での診療時の確認用や提出用等、出力データの活用ができる。またS12で、検査結果データを出力する際には、サーバ1は、検査項目数値の単位変換を行い、単位変換後のデータを提供する。
[ユーザ属性情報]
図4は、ユーザ属性情報51の主なデータ項目の構成例を示す。ユーザ属性情報51は、本サービス用のユーザの情報を構成し、ユーザの基本情報に加え、ユーザのヘルス状態に係わる各種の属性の情報、即ち属性値を格納する。図4のユーザ属性情報51は、項目として、ユーザID、パスワード、端末アドレス、ユーザ名、性別、年齢、医療機関、治療期間、治療、疾患、既往症、会員種類、等がある。
ユーザID、パスワード、及び端末アドレス等は、サービス制御用のユーザの基本情報である。端末アドレスは、IPアドレス、電話番号、メールアドレス等である。基本情報は、住所等を含んでもよい。「ユーザ名」項目は、ユーザ設定される匿名やニックネームである。「年齢」項目は、年齢や年齢層である。
「医療機関」項目は、ユーザが現在利用ないし通院する病院等の医療機関や検査機関の識別情報を含む。「医療機関」は、転院等の履歴の管理を含み、例えば病院名や通院期間等を含む。具体例は「現在:病院A」「2012年1月〜12月:病院B、2013年1月〜:病院A」等である。なお「病院A」等は説明上の抽象化した識別名を示す。
「治療期間」項目は、治療の開始年月から現在または終了年月までの期間、及びその年数等を示す。この項目でいう治療は全般的な取り組みを指し、個別の治療は下記の項目で管理される。
「治療」項目は、医療機関による治療の状況を示す情報であり、名称や識別情報を登録する。「治療」は、ユーザによる療法の実践を含む。「治療」は、治療の履歴の管理を含む。「治療」は、治療の経過や開始及び終了等の状態、及び治療の詳細の情報の管理を含む。具体例は、「現在:治療X=体外受精」「2011年:タイミング法」「2012年:人工授精」「2013年:体外授精」等である。
「疾患」項目は、上記「治療」項目に係わる、ユーザの現在の主要な疾患ないし病状を示す情報であり、当該疾患の名称や識別情報を登録する。「疾患」は、履歴の管理を含む。「疾患」は、疾患の経過や開始及び終了の状態、及び疾患の詳細の情報の管理を含む。「疾患」は、疾患の可能性有りの状態や健康の状態の管理を含む。「疾患」は、妊娠や不妊や出産に関する状態(例えば妊娠の成功や失敗)の管理を含む。具体例は、「現在:疾患X=不妊症」等である。
「既往症」項目は、上記「疾患」や「治療」の項目の値以外における、ユーザの関連する持病、既往症、手術歴、等の概略の情報を格納する。即ち「既往症」項目は、副次的な疾患や治療の情報を管理する。「既往症」は、産婦人科に限らず他の診療科の疾患や治療を含む。具体例は「2009年:疾患Y,2009年:治療Y」等である。なお「既往症」項目を「疾患」項目等に統合して管理してもよい。
上記「治療」「疾患」「既往症」等の項目は、ユーザによるテキスト入力での登録に限らず、本システムで予め設定された治療や病気の選択肢からの選択による登録も可能である。治療や疾患の名称は、統一化されていないものも含め、本システムで設定される。
本システムは、ユーザ毎の会員種類等の状態に応じて異なるサービス及び機能を提供してもよい。サーバ1は、例えばユーザID等と、会員種類と、サービスや機能との対応付けの情報を管理する。「会員種類」項目は、ユーザの会員種類の情報が登録される。会員種類は、サービスや機能の利用範囲に関係付けられる。会員種類は、例えば下記(a)〜(d)がある。(a)は、体温、月経、及びタイミング法の管理を含む、関連のサービス及び機能を利用する会員種類である。(b)は、(a)に加え更に、人工授精の管理までを含む。(c)は、(b)に加え更に、体外受精及び顕微授精の管理までを含む。(d)は、更に、男性配偶者も利用することを示す。例えば第1ユーザは(a)を利用し、第2ユーザは(b)を利用し、第3ユーザは(c)を利用し、第4ユーザは(d)を利用する。
ユーザ属性情報51は、その他、項目として、身長、体重、等を設けてもよいし、保険、家族、職業、地域、飲酒、喫煙、等を設けてもよい。分析部16は、ユーザ属性情報51の各項目の情報を分析時に用いる。ユーザは、ユーザ属性情報51に、医療機関等から与えられた情報を入力してもよいし、自己判断による情報を入力してもよい。
[検査結果データ]
図5は、ユーザ毎の検査結果データ54の例を示す。ヘルスデータ53及び検査結果データ54は、ユーザ属性情報51や医療検査情報52と関係付けて管理される。図5の検査結果データ54の表は、項目として、ユーザ、医療機関、検査機関、検査方法、検査日時、種別、項目、単位、及び数値がある。「ユーザ」はユーザIDやユーザ名である。「医療機関」はユーザが利用する病院等を示す。「検査機関」はユーザが利用する検査会社等を示す。医療機関と医療機関とが同じ場合は値を省略できる。「検査方法」は、検査機関による検査で採用している検査方法を示す情報である。「検査日時」は、検査が実施された日時である。「種別」は、検査の種別であり、血液検査、超音波検査、精液検査等である。「項目」は、検査項目ないし検査対象であり、例えば特定の女性ホルモンである。複数の種類の内分泌学検査等として、後述のLH,FSH等がある。「単位」は、検査項目数値の単位である。なお単位は、2種類以上の単位が存在する場合もある。「数値」は、検査項目数値である。
例えば第1行では、ユーザAは、病院Aでの治療に係わり、検査会社Aによる検査方法Aでの検査を受けており、例えば7月1日に血液検査が実施され、複数の種類の内分泌学検査の数値として、LH=n1、FSH=n2、等であったことを示す。なおヘルスデータ53の例は、図示しないが、例えばユーザ、日時、体温数値、月経有無等の項目で同様に情報が管理される。
[カレンダー入力情報]
図6は、カレンダー入力情報55の管理例を示す。図6のカレンダー入力情報55の表は、項目として、日時、種別、ユーザ入力情報がある。日時は、カレンダーの日付に対応した、ユーザ入力情報が登録された日時である。種別は、ユーザ入力情報の大まかな種別を示す。種別は、図6の例では、月経、つぶやき、症状、行動、治療、検査、処方等を示す。ユーザ入力情報は、ユーザにより入力されたテキスト、選択された選択肢やマークの識別情報、等を示す。
図6の例では、11月1日は、月経日、即ち月経有りとして登録されている。2日は、気持ち等を表すつぶやきのテキスト“気分が良い”や顔マークAが登録されている。4日は、症状として、腹痛有り、及びその度合いが重いことが登録されている。6日は、行動、特に運動として、運動Aが登録されている。8日は、治療として、治療Aが登録されている。9日は、検査として、検査項目、検査数値、検査A及び検査会社A等が登録されている。10日は、処方ないし服用として、期間、薬剤A、及び量が登録されている。
上記ユーザの症状や行動等は、予め本システムで用意及び設定した選択肢やマーク等による入力もできるし、自由なテキストでの入力もできる。本システムは、選択肢として、よくある行動やよくある症状等を設定してもよい。つぶやきのテキストで例えば感情が登録される場合、“ストレスを感じる”、“がっかりした”等となる。
[出力メッセージ情報]
図7は、出力メッセージ情報57の構成例を示す。出力メッセージ情報57は、これから出力する予定の情報、及び過去に出力した情報の履歴を含め、時系列で管理される。図7の出力メッセージ情報57の表は、項目として、日時、出力ID、ユーザ、メッセージ例がある。「日時」は、当該メッセージを出力する日時または出力した日時を示す。「出力ID」は、当該出力の識別情報である。「ユーザ」は、当該メッセージの出力先のユーザID等を示す。「メッセージ例」は、出力メッセージの内容のテキストであり、その識別情報としてもよい。過去の出力メッセージも履歴で管理されているので、ユーザは、画面で過去の出力メッセージ、例えば過去の日付での警告等の内容を、再確認することもできる。出力メッセージ情報57は、メッセージの種別(例えば「傾向分析」「警告」等)の項目が管理されてもよい。
図7の例では、出力ID=001は、11月1日、ユーザAに対する気づきメッセージである傾向分析メッセージとして「温度差が0.3度以上になりました。」を示す。他の例は「温度差が0.3度未満になりました。」である。他の例は「月経周期が1日伸びて30日から31日になりました。」等である。これらは体温及び月経の傾向分析の例であり、体温や月経の状態、変動等の傾向に関するコメントを含む。
002は、気づきメッセージである傾向分析メッセージの出力例「前回の検査結果に比べて今回の検査結果ではLH数値が改善しました。」を示す。他の例は「前の月経周期に比べてFSH数値が悪化しました。」等である。これらは検査結果の傾向分析の例であり、状態や傾向に関するコメントを含む。
003は、気づきメッセージとして、疾患リスク警告及び受診勧奨メッセージの出力例「疾患Aの可能性があります。受診をお奨めします。」を示す。これは、疾患リスク警告処理による疾患の可能性の警告(アラート)、及び受診勧奨の例である。
004は、気づきメッセージとして、データ分析メッセージの出力例「LH数値が改善しました。これに関連がありそうな過去の行動として、行動Aが挙げられます。」を示す。これは、傾向分析結果に応じた行動抽出の例である。他の例は「行動Aの影響によりLH数値が改善した可能性があります。」等である。
005は、気づきメッセージとして、データ分析メッセージの出力例「先月は運動Aが〜日行われています。今月は食事Aが〜日行われています。」を示す。これは、行動傾向分析及び行動抽出の例である。006は、気づきメッセージとして、データ分析メッセージの出力例「先月は症状Aが〜日出ています。今月は症状Bが〜日出ています。」を示す。これは、症状傾向分析及び症状抽出の例である。
他の出力例として、医学的知識に基づく説明やアドバイスの例は、「月経2週間前から生理直前に身体的症状や物理的症状を伴う月経前困難症(PMS)という症状があります。排卵後に分泌される黄体ホルモンが原因とも言われますが、ストレスや、ビタミンB6・マグネシウム不足などが症状を強めるとも言われています。まずは適度な運動やバランスの良い食事等を取り、生活の中で症状を軽くする方法を試してみましょう。」等である。
なお既存の医学的知識から、基礎体温、月経周期、女性ホルモン数値、及び症状等の関係がある程度わかっている。本システムは、医学的知識に基づき、説明やアドバイス等を含むメッセージを設定する。サーバ1は、ユーザの入力情報、傾向分析等の結果のヘルス状態に応じて、適切なタイミングで、上記医学的知識に基づくメッセージを出力する。上記タイミングは、例えばユーザの月経周期中の黄体期等の特定の時点や、内分泌の増減に伴う心身への変化の傾向や特徴、女性ホルモン数値が所定数値になった時点等である。これにより、たとえ公知の知識であっても、ユーザの状態に応じた適切なタイミングでアドバイス等の情報が提供されるので、ユーザにとっては理解がしやすい等の相応の効果が得られる。
出力メッセージは、URL等のリンクを付属させてもよい。その時のURLは、静的なURLだけでなく、動的に収集したURLとしてもよい。例えば疾患の可能性の警告の場合に、当該疾患の説明情報のページへリンクする。例えば、インターネット上に存在するある単語で収集されたURLである。また受診勧奨の場合に、勧奨の対象の治療や検査の情報提供や、医療機関等の検索及び情報へリンクする。
[医療検査情報]
図8は、医療検査情報52の構成例を示す。図8の医療検査情報52の表は、項目として、医療機関、治療方法、実績、検査機関、検査、検査種別、検査項目、検査方法、医学的基準情報、固有基準情報、等がある。医療検査情報52は、医療機関及び検査機関毎に提供している治療や検査の内容の管理を含む。
「医療機関」項目は、医療機関の識別情報及び名称を格納し、例えば“医療機関A(病院A)”である。「治療」項目は、医療機関の採用している1つ以上の医学的な治療の識別情報や名称を格納し、例えば“治療A”である。「治療方法」項目は、治療に係わる治療方法や治療種別等の情報を格納し、例えば“治療方法A”等である。
「実績」項目は、治療件数、手術件数等の情報を格納する。情報は、例えば、タイミング法年間件数、人工授精年間件数、母数、妊娠数、妊娠率、等がある。
「検査機関」項目は、医療機関に関連付けられた、検査主体である検査機関の識別情報や名称を格納し、例えば“検査会社A”である。検査機関と医療機関とが同じ場合は当該情報を省略できる。「検査」項目は、検査機関の採用している1つ以上の医学的な検査の識別情報や名称を格納し、例えば“検査A”である。「検査種別」項目は、血液検査、尿検査、超音波検査、触診等の、検査の種別を示す情報であり、例えば“血液検査”である。「検査項目」項目は、検査の対象の項目であり、例えば“LH(黄体化ホルモンまたは黄体形成ホルモン)”や“FSH(卵胞刺激ホルモン)”である。「検査方法」項目は、検査に関連付けられる検査方法の識別情報や名称を格納し、例えば“検査方法A=EIA法(酵素免疫測定法)”、“検査方法B=CLIA法(化学発光免疫測定法)”等である。
「医学的基準情報」項目は、当該治療や検査における統計的な判定の基準となる数値及び範囲等の情報であり、いわゆる基準値と呼ばれる値である。医学的基準情報の数値範囲や単位は、検査機関に応じて異なる。これは、検査機関によって、検査方法、検査試薬、検体等が異なるためである。当該数値範囲は、例えば“範囲A=数値A1〜数値A2[mol/L]”である。数値A1は下限値、数値A2は上限値である。例えば検査項目数値であるLH数値が範囲A内にある場合には正常ないし良好と判定され、範囲A外にある場合には、異常ないし不良、要注意等と判定される。
上記検査方法や医学的基準情報を含む情報は、医療機関や検査機関により提供や公開される情報を用いて本システムにより設定される。また1つの医療機関や検査機関でも治療や検査が複数存在する場合、それぞれの治療や検査毎に情報が関連付けて管理される。
「固有基準情報」項目は、「医学的基準情報」に基づいて、本システムでの特有の制御用に設定される、本システム固有の基準となる数値範囲の情報である。当該数値範囲は、複数の医学的基準情報の数値範囲を考慮して緩やかに設定される。例えば“範囲C=数値C1〜数値C2[mIU/mL]”等である。数値C1は下限値、数値C2は上限値である。例えば検査項目数値であるLH数値が範囲C内の場合は良好、範囲C外の場合は不良、等と判定される。
各基準情報の数値範囲は、閾値のみの場合や、範囲内の代表の数値を設ける場合もある。数値範囲は、卵胞期では範囲a、排卵期では範囲b、等のように、期間毎に設定される場合もある。数値範囲は、所定の関数で規定される場合もある。また良好/不良等の2値の判定に限らず、複数の数値を用いた複数のレベルの判定の場合もある。
上記検査方法、検査項目、基準情報の数値範囲等は、単位の情報の管理を含む。単位は、例えば[mol/L][ng/mL][mIU/mL]等の各種がある。本システムは、管理情報に基づいて、単位の換算を適宜行う。
図9は、図8の医療検査情報52に関する具体例、及び固有基準情報の設定例を示す。例えば1行目では、病院Aは、検査会社Aによる検査方法Aでの血液検査によるLHの計測を採用していることを示す。検査方法Aに対応した医学的基準の範囲A=A1〜A2[mol/L]であり、LH数値が範囲A内の場合は良好と判定される。同様に、2行目では、病院Bは、検査会社Bによる検査方法Bでの血液検査によるLHの計測を採用していることを示す。検査方法Bに対応した医学的基準の範囲B=B1〜B2[ng/mL]であり、LH数値が範囲B内の場合は良好と判定される。
上記例のように、検査機関A(例えば検査A)での検査方法Aと、検査機関B(例えば検査B)での検査方法Bとが異なり、良好等を判定する基準の数値範囲や単位が異なる。このように検査方法が異なる数値同士は、換算式が医療業界で確定していない場合には、原則的に比較できないが、ユーザはこのような医学的情報の解釈及び理解がしづらいので、誤った比較をしている場合がある。
本システムは、検査期間毎に異なる情報を、上記医療検査情報52に設定して管理する。そして本システムは、医療検査情報52で、「医学的基準情報」に加え「固有基準情報」を関連付けて設定する。本システムは、分析の際、医療検査情報52を参照し、ユーザ毎の利用する医療機関、検査機関、及び検査方法等に応じた、「医学的基準情報」または「固有基準情報」を適用する。
「医学的基準情報」を用いる場合は以下である。本システムは、分析時、ユーザ毎の図5のような検査結果データ54あるいはユーザ属性情報51から、ユーザ毎の利用する医療機関や検査機関等を特定し、それに関連付けられた医学的基準情報を、医療検査情報52から読み出して適用する。そして分析部16は、ユーザの検査項目数値を、医学的な数値範囲と比較し、良好等の状態を判定する。
「固有基準情報」を用いる場合は以下である。本システムは、分析時、同様に、検査結果データ54及び医療検査情報52等を参照し、検査方法や検査項目毎に関連付けられる固有基準情報を読み出して適用し、ユーザの検査項目数値を、固有の数値範囲と比較し、良好等の状態を判定する。なお他の実施の形態のシステムは、上記医学的基準情報と固有基準情報との一方のみの管理及び使用としてもよい。
固有基準情報の設定例は以下である。図9の「単位」列は、「固有基準」列の固有基準情報に関する単位を示す。図9の表の1行目及び2行目は、個別に異なる固有基準情報を設定した例を示す。1行目の検査機関Aの医学的基準情報の範囲A=A1〜A2に対し、固有基準情報の範囲C=C1〜C2[mIU/mL]が設定されている。2行目の検査機関Bの医学的基準情報の範囲B=B1〜B2に対し、固有基準情報の範囲D=D1〜D2[mIU/mL]が設定されている。範囲A,B,C,Dは異なる。
図9の別の例で、下側の行に示すように、異なる複数の検査機関に関して、同じ固有基準情報を設定してもよい。例えば検査機関E及び検査機関Fに関して、同じ固有基準情報として範囲G=G1〜G2[ng/mL]が設定される。この場合、同じに設定される固有の数値範囲は、前提となる複数の医学的基準情報の数値範囲に対して、例えば以下のように緩やかな基準となるように設定される。
本システムは、検査方法Eの医学的基準の範囲E=E1〜E2と、検査方法Fの医学的基準の範囲F=F1〜F2とにおいて、まず単位を換算して揃える。例えば、ある検査項目に関して、単位として[pM]と[ng/mL]とが存在する場合に、[ng/mL]へ統一される。換算後の範囲における数値の大小関係が例えばE1<F1<E2<F2であるとする。本システムは、例えば範囲Eと範囲FとのOR条件により、広い範囲であるE1〜F2をとり、これを範囲G=G1〜G2として設定する。あるいは、本システムは、範囲Eと範囲FとのAND条件により、狭い範囲であるF1〜E2をとり、これを範囲G=G1〜G2として設定してもよい。
また本システムは、医学的基準の数値E1,F1等とは別に、統計値等の手法によって、独自の数値をとり、固有の数値範囲として設定してもよい。例えば数値X1,X2(E1<X1<F1,E2<X2<F2)による範囲X=X1〜X2としてもよい。
上記のように、医学的基準情報及び固有基準情報は、複数のユーザ並びに複数の検査方法について個別的かつ包括的に対応できるように設定される。特に固有基準情報は、本システムで固有の緩やかな基準として設定される。本システムは、異なる検査方法の場合、ユーザの検査結果データ54等について、原則的にユーザ個人毎に閉じたデータとして取り扱う。そして本システムは、ユーザ毎の検査方法に応じた医学的基準情報または固有基準情報を適用し、傾向分析等を行う。
上記、医学的基準情報における課題について補足する。医療機関から委託される検査機関、もしくは医療機関自体が検査をする場合、前述のように検査方法等が異なる場合がある。同じ検査方法であっても、検体、即ち統計に用いるサンプルや、試薬、機器、等が異なることにより、基準の数値範囲が異なることは前述の通りである。その場合、検査項目数値の意味合いが異なり、単純な比較はできない。また医学の発展に伴い、上記考え方、検査方法、及び医学的基準も変化する。例えば生殖医療では、現状、内分泌学検査数値の判断等に関して、1つの標準化された基準は定まっていない。また複数の異なる検査方法等の間での数値を相互に変換する換算式等も提供されていない。多くのユーザは、上記背景を理解しづらい。そこで本システムは、課題の解決手段として、上記背景に対応できるように、医療検査情報52による検査機関等の違いの管理、並びに医学的基準情報及び固有基準情報の設定による機能を提供する。これにより、ユーザ個人に応じた支援ができる。
他の実施の形態のシステムは、検査結果データ54に関し、異なる検査方法の検査項目数値の間での変換を可能とする、生殖医療分野(学会、医師会等)で確立された換算式を使用して、システム固有の変換式を設定する。例えば、ユーザAの検査方法Aの検査項目の数値と、ユーザBの検査方法Bの検査項目の数値とがあり、これらの数値同士で概略的に比較したいとする。本システムは、固有の変換式を用いて、上記異なる検査方法の数値を変換し、変換後の情報を参考情報としてユーザに提供する。この固有の変換は、厳密な変換ではなくとも、概略的な比較に有用である。
[ユーザ毎の情報を含む画面]
図10は、本システムのサービスの画面の一例として、ユーザ毎の情報を「MYカルテ」として表示する画面を示す。このMYカルテは、本サービスの特有の情報として、ユーザ毎のヘルス状態等を示す総合的な情報であり、ユーザ属性情報、グラフ、カレンダー、及び分析結果のメッセージ等の各種の情報を含む。本画面は、ユーザ属性情報の欄101、体温月経グラフの欄102、検査結果グラフの欄103、カレンダーの欄104、分析結果の出力メッセージの欄105、等を有する。
欄101は、登録のユーザ属性情報51に基づくユーザの各属性の情報を表示する。右側は[治療履歴]や[行動]を表示する例である。[治療履歴]は、前述の図4の「治療」項目の情報を用いている。[行動]は、カレンダー入力情報55及び行動抽出機能等に基づいた、ユーザの主な運動や食事等を表示する例を示す。
欄102は、DB50のヘルスデータ53に基づいて、ユーザの体温月経グラフを、後述の図13の例のように表示する。横軸が時間、縦軸が体温の数値である。また欄102は、体温及び月経の傾向分析の結果情報を併せて表示してもよい。また体温登録ボタンにより、体温データの登録用の欄がポップアップ等で表示されるか、別の画面へ遷移される。ユーザは、当該欄で、体温の数値を直接入力、あるいは選択肢から選択して登録できる。またグラフへのプロットにより体温を登録可能としてもよい。同様に、月経登録ボタンにより月経日等の情報を登録できる。各グラフは、ユーザにより、表示する期間、例えば過去1ヶ月等を指定できる。
欄103は、DB50の検査結果データ54に基づいて、ユーザの血液検査結果の女性ホルモン等のグラフを、後述の図14の例のように表示する。横軸が時間、縦軸が検査項目数値である。また欄103は、検査結果の傾向分析の結果情報を併せて表示してもよい。また検査結果登録ボタンにより、検査結果データの登録用の欄が表示される。ユーザは、当該欄で、検査結果の数値等を直接入力、あるいは選択肢から選択して登録できる。また欄103は、複数の種類の検査項目がある場合の選択欄を設け、ユーザにより選択された検査項目に応じたグラフを表示する。
欄104は、カレンダーの日付毎に、基礎体温、月経、行動、症状、及びつぶやき等の各種の情報を入力及び記録でき、カレンダー入力情報55に登録されるそれらの各種の情報を閲覧できる。カレンダーの日付で既に情報が登録済みの箇所は、ユーザにより選択操作された場合、登録情報内容が例えば吹き出しや別の欄等で表示される。欄104は、現在日及び過去の期間を含む情報を表示する。カレンダーは、ユーザにより、表示する期間を指定できる。ユーザは、カレンダーで、基礎体温、月経、行動、症状、及びつぶやき等の各種の情報の確認、振り返りや思い出し等ができ、各種の行動や通院等の予定の記入やスケジューリングもできる。
欄105は、前述の傾向分析、行動抽出、及び疾患リスク警告を含む各種の分析結果に関する最新のメッセージ情報を表示する。メッセージは、欄105だけでなく、グラフやカレンダー等の他の欄や画面の中で表示されてもよい。
上記画面の各欄、各項目は、ユーザ設定により表示の有無や位置やタイミング等を設定できる。例えばある欄は、表示しない時には折り畳まれた状態であり、ユーザが見たい時に選択操作した場合や、特定のタイミングになった場合、自動的に表示に切り替えされる。またグラフ等の各欄の情報は、月日等の時間軸を合わせて並列で表示してもよい。その場合は対応関係が見やすい。各欄の情報は、履歴で管理されているので、ユーザは、過去の情報を指定して閲覧できる。
ユーザは、上記MYカルテの画面で、自分のヘルス状態に関する各情報を一覧でき、また個別の情報を閲覧でき、自分のヘルス状態をわかりやすく認識できる。他の画面や欄として、本システムのサービスのHOMEの画面、ユーザ設定用の画面、体温等の項目毎の画面、登録情報検索用の画面、等がある。
[カレンダーを含む画面]
カレンダーを含む画面例は以下である。カレンダーで登録及び表示する情報の項目として、前述の月経や行動等の各種の項目が設けられる。各項目の情報は、選択肢、数値、テキスト、マーク等で登録可能である。選択肢は、本システムにより設定される選択肢、ユーザ設定される選択肢がある。カレンダー及び情報入力の方式は、以下が挙げられる。
(1) 第1の方式のカレンダーは、図10の104の例のように、横軸に日付、縦軸に複数の情報項目を並べる。ユーザは、入力対象の日付と情報項目とを選択し、当該日付と情報項目との交差部分に情報が入力される。他の方式は、横軸に情報項目、縦軸に日付としてもよい。日付の選択は、デフォルトでは自動的に現在日が選択される。
(2) 第2の方式のカレンダーは、図11の111の例のように、縦横に日付を並べ、1日単位の日付の中に各種の情報の項目を設ける。ユーザは、入力対象の日付を選択し、これにより日付単位の入力欄や画面が表示される。当該1日分の入力欄は、図11の112の例のように、複数の情報の項目を有し、ユーザは項目毎に情報を入力する。ユーザは、任意の1日分の情報をまとめて入力できる。
(3) 第3の方式のカレンダーは、第1の方式や第2の方式のように日付を選択する方式ではなく、ユーザの端末2の画面に自動的に現在日の1日分の情報の欄を大きく表示する。当該1日分の欄の中に、複数の情報の項目を有し、メッセージ等が表示される。1日分の欄から、月単位の欄などに遷移可能である。
[カレンダー画面例(1)]
第1の方式のカレンダーの場合の画面例は以下である。カレンダーの日付に対する情報入力の項目として、例えば治療、処方、基礎体温、月経、行動(運動療養、食事療法等を含む)、症状、及びつぶやき等が設けられる。「月経」項目は、月経日ないし月経有無を登録できる。「治療」の項目は、治療や検査毎に通院日や通院先等を登録できる。「処方」項目は、処方された薬剤、もしくは薬の商品名、服用する日、量、等を登録できる。「行動」項目は、ユーザが行った運動、食事や食品の情報を登録できる。他の種類の行動の項目が設けられてもよい。「症状」の項目は、各種の症状やストレスの有無や度合い等を登録できる。
「つぶやき」項目は、気持ち、感情、症状、行動、メモ等を表す任意のつぶやきのテキストを登録できる。ユーザは、例えば日付の選択後、入力フォームに、つぶやきのテキストを入力し、登録ボタンにより登録できる。また上記入力の際、「#1201#」のように所定の書式で日付(例:12月1日)の指定を可能としてもよい。また「#3665#」のように所定の書式で基礎体温(例:36.65度)等の登録を可能としてもよい。
[カレンダー画面例(2)]
図11は、第2の方式のカレンダーの場合の画面例及び1日単位の入力例を示す。111のカレンダーは、縦横に週区切りの例である。ユーザは、カレンダーから所望の日付、例えば今日の日付を選択する。選択された1日の入力欄がポップアップ等で表示される。1日の入力欄は、112のように、各種の情報の項目、例えば月経、体温、タイミング(タイミング法)、治療、検査、処方、行動(運動療法、食事療法、音楽療法等)、症状、気持ち、つぶやき等を含み、各項目で第1の方式の場合と同様に選択肢やテキスト等で情報を入力できる。
[個別の項目の入力欄]
本システムは、上記月経等の複数の情報の要素の項目における個別の項目毎の欄や画面を別に設けてもよい。ユーザは、個別の項目毎の欄や画面で、詳細情報を確認でき、リストボックス等による選択肢や、テキスト等により、詳細情報を入力できる。個別の項目の入力欄の表示及び入力例は以下である。
図11の111のカレンダーの欄や112の1日の入力欄から、ユーザの選択操作に応じて、113のように、個別の情報の項目の入力欄へ遷移できる。例えば「月経」項目が選択された場合、「月経」項目の入力欄がポップアップ等で表示される。
「月経」項目の入力欄では、月経日ないし月経期間を日付範囲の指定で入力できる。この欄は、登録の月経データ及び分析結果に基づき、前回月経日、前回月経期間、今回月経周期、予測排卵日、等の情報を表示してもよい。また当該表示情報のリンクから該当のグラフの画面へ遷移してもよい。この欄は、月経の分泌物の量や質等の情報を選択入力する項目や、月経に関するつぶやきのテキストを入力する項目を設けてもよい。
また例えば「運動療法」項目の入力欄の場合、運動の名称や種類、日付、任意のテキスト等を入力できる。この欄は、複数の運動の選択肢を提示し、それらの中からユーザにより選択された選択肢の運動を登録できる。本システムは、よくある行動の選択肢を設定する。またこの欄は、ユーザがよく行う運動をユーザ設定可能である。例えば運動Aの設定としてテキストで“ウォーキング 30分”等と設定できる。これによりユーザは日々の運動の情報の登録の際、選択肢として運動A等が提示されるので簡単に登録できる。「食事療法」項目の場合の入力欄では、同様に、食事や食品等の名称や種類、日付、任意のテキスト等が入力でき、よく採る食事をユーザ設定可能である。
「治療」項目の入力欄では、治療の名称や種類や詳細、日付、任意のテキストを入力できる。例えば治療が「人工授精」である場合、LHの陽性/陰性、卵胞の大きさ、子宮内膜厚、等の情報を入力できる。治療が「体外受精」である場合、体外受精の方法、採卵方法、採卵日、採卵数、卵胞の大きさ、グレード、子宮内膜厚、等の情報を入力できる。また男性ユーザの精子の採精の場合、日付、量、濃度、運動率、等の情報を入力できる。
「検査」項目の入力欄では、検査の日付、通院先の医療機関、検査を受けた検査機関、検査方法、検査項目、数値等を、選択肢やテキストで入力でき、前述の検査結果データ54に登録される。またこの欄は、排卵テストや妊娠テスト等の所定のテストの結果の情報を入力可能としてもよい。排卵テストや妊娠テストは、ユーザ自身による市販の検査薬や医療機器等を用いたテストでもよいし、医療機関や検査機関による所定の検査でもよい。
図12は、今日1日分の「症状及びストレス」の項目の入力欄の画面例を示す。この入力欄は、症状の傾向分析や疾患リスク警告の機能に係わる、各種の症状及びストレス等の種類、有無、度合い等を選択入力できる。入力フォームでは、症状やストレスや気分等に関するテキストを自由に入力できる。
症状の例として、頭痛、腹痛、腰痛、乳房の痛み、めまい、うつ、イライラ、無気力、等である。入力例は、頭痛が有り(「はい」)で度合いが「軽い」、うつが有り(「はい」)で度合いが「重い」である。またストレスが有り(「はい」)で度合いが「高い」である。症状等の度合いは、例えばレベル1(軽い、日常生活に支障無し),レベル2(中程度、日常生活に影響有り),レベル3(重い、日常生活に支障有り)等である。
サーバ1の分析部16は、上記画面での症状やストレス等のユーザ入力情報、及びつぶやきのテキストの入力及び解析結果を用いて、疾患リスク警告等の処理の際に、ユーザ毎のヘルス状態を判定する。つぶやきのテキストの解析は、つぶやきのテキスト中に含まれる症状やストレスや気持ち等に関するワードを抽出し分析することを指す。例えば“気分が悪い”等のワード及びその数等から、ユーザのヘルス状態の良好/不良等を判断できる。
図12の入力欄は、複数の疾患に関する汎用的なチェックのために、各種の症状を網羅的に入力可能とする例である。これに限らず、特定の疾患毎のチェック用の画面、特定の症状毎の入力欄等を提供してもよい。また当該入力欄は、本システムにより自動的に表示のタイミングを判断し表示してもよい。サーバ1は、ユーザのヘルス状態が特定の状態の時、例えば黄体期に該当する時、特定の疾患、現象、症状等(例えばPMS)のチェック用の入力欄を自動的に表示し、ユーザに入力を促す。ユーザは、その都度表示された入力欄に情報を入力すればよい。
[体温月経グラフ]
次に図13は、体温月経グラフの例を示す。横軸が日数、縦軸が基礎体温の数値である。a1は、月経日(いわゆる生理日)及びその期間である月経期を示す。a2は、月経周期を示し、前の月経日から次の月経日までの日数である。a3は、予測排卵日を示す。t1は、基礎体温が相対的に低い低温相ないし低温期を示す。t2は、基礎体温が相対的に高い高温相ないし高温期を示す。a4は、低温相t1と高温相t2との温度差ΔTを示す。温度差ΔTは、例えば高温相t2の最高体温と低温相t1の最低体温との差分を用いて本システム固有に算出される値である。
月経周期a2において、卵胞期t3、排卵期t4、黄体期t5の各期を示す。排卵期t4及び予側排卵日a3付近は、妊娠しやすい時期である。なお、体温月経グラフの表示の際には、各期における女性ホルモン等の内分泌に関する情報や、心身への影響等の情報を表示してもよい。
[検査結果グラフ]
図14は、検査結果グラフの例として、健康な人における血液検査の検査項目である女性ホルモンにおけるLH及びFSHの場合のグラフを示す。横軸は日数、縦軸は女性ホルモン数値である。なお図13のt3〜t5の各期との関係も示す。例えば血液検査項目のうち、妊娠等に係わりが深いものとして、LH,FSH,E2,P4,AMH等が挙げられる。本システムは、これら複数の種類の検査結果を個別的及び包括的に取り扱う。
LH(黄体化ホルモンまたは黄体形成ホルモン)は、排卵や黄体形成を促すホルモンであり、そのため、排卵予測に使用可能である。141はLH数値の折れ線であり、LHは、図14のように、排卵期t4の付近で、一時的にピーク、即ち最大値が発生する。LHのピーク日の付近は排卵期t4に対応する。
FSH(卵胞刺激ホルモン)は、卵胞の発育を促すホルモンである。年齢が高くなるとFSHの値は高くなっていく傾向がある。そのため、FSHは、例えば体外受精の継続の判断材料となり得る。142はFSH数値の折れ線である。FSHは、LHピークの付近で同様にピークが発生する。LH及びFSHの単位は例えば[mIU/mL]である。
図15は、同様に、女性ホルモンにおけるE2及びP4の場合の検査結果グラフを示す。E2(エストラジオール)は、エストロゲン(卵胞ホルモン)の一種であり、生殖機能維持や卵胞の成熟、排卵促進、子宮内膜の増殖、等の働きがある。卵胞が育ってくると、E2の数値が上がり、ある値になると、下垂体に作用してLH数値が上がる。そのため、E2は、妊娠支援にとっては、LHの観測より早期に排卵の傾向を把握できるため、排卵予測に有用である。151はE2数値の折れ線である。E2は、排卵期t4のLHピークの手前付近、及び黄体期t5に高くなる。E2の単位は例えば[ng/mL]である。
P4(プロゲステロン)は、黄体ホルモンとも呼ばれる。P4は、卵胞発育の抑制、子宮内膜を厚くしたり、妊娠持続作用がある。152はP4数値の折れ線である。P4は、黄体期t5に高くなる。P4の単位は例えば[ng/mL]である。
AMH(抗ミューラー管ホルモン)は、卵胞から分泌される女性ホルモンであり、AMH数値から卵巣の機能が推定できるといわれる。AMHについても同様にグラフが作成される。女性ホルモンは、上記5種類に限らず、その他の各種の女性ホルモン、例えばプロラクチン(PRL)、テストステロン等についても同様に適用可能である。検査結果は、上記女性ホルモンに限らず、他の化学物質や指標値についても同様に適用可能である。
上記体温、月経、及び女性ホルモン等の数値及びその変動の状態、並びにヘルス状態は、医学的に関連している。本システムは、医学的知識に基づいて、上記体温、月経、及び女性ホルモンを含む複数の要素の数値に関する医学的基準情報や固有基準情報を設定し、これらを用いて、各要素の関連や傾向を含むヘルス状態を分析する。ユーザは、画面で、上記グラフの例のように、自分の体温、月経、及び検査結果の女性ホルモン等の状態を、分析結果のメッセージと共に閲覧できる。
[傾向分析]
次に傾向分析の処理の詳細について、図1、図8、図13等を用いながら説明する。図1の分析部16は、図8の医療検査情報52及び図1の処理定義情報58を参照しつつ、ユーザ毎の体温、月経、検査結果、行動、及び症状等に関する傾向分析処理を行う。分析部16は、傾向分析として、ユーザの図13のグラフ等のデータの数値と、例えば図8の固有基準情報の数値範囲または後述の基準グラフとを比較し、絶対値での良し悪しの状態、時系列での相対的な数値の変動の傾向、例えば改善や悪化や維持等の状態を、判定及び検出する。そして分析部16は、当該ユーザの状態に応じた出力メッセージを決定する。
分析部16は、前述の図13の月経周期a2や体温差ΔT等の所定の項目の数値を算出し、当該項目毎の数値の時系列での変動量を算出し、それらを図1の分析情報56に記録する。分析部16は、連続する期間における、複数の月経周期a2及び体温差ΔT等の項目の数値における、前後の月経周期a2での差分を、変動量として算出する。分析部16は、上記所定の項目の数値の時系列での変動量と、処理定義情報58に基づく当該変動に関する所定の数値とを比較しながら、改善や悪化や維持等の傾向の状態を判定する。
分析部16は、上記ユーザのデータの時系列の数値及びその変動における周期的な安定性を判定する。分析部16は、例えばユーザの過去の期間の月経周期a2等の項目の変動をみて、当該変動が小さい場合は周期的な安定性が高く良好な状態であり、当該変動が大きい場合は周期的な安定性が低く不良な状態であると判定する。
分析部16は、例えば上記ユーザのデータの時系列の数値から、グラフパターンを判断及び判定する。分析部16は、図13〜図15のような体温及び月経や女性ホルモン等の検査数値のグラフにおける周期的な特定のグラフパターンを検出してもよい。分析部16は、例えばユーザのグラフの数値と、固有基準情報の数値範囲または後述の基準グラフとを比較し、上記グラフパターン等に該当するかを判定し検出する。
分析部16は、上記ユーザの数値と、上記固有基準情報の数値範囲とを比較し、それらの差分等から、ユーザの数値と基準の数値との近さや類似度を算出及び判定してもよい。分析部16は、同様にユーザのグラフと基準グラフとの近さや類似度を算出及び判定してもよい。
また分析部16は、上記ユーザの時系列の複数の月経周期a2等の項目の数値における平均値等の統計値を算出し記録してもよい。また分析部16は、傾向分析として、ユーザの月経周期a2等の項目の数値と、同じユーザの同じ項目の過去の上記統計値とを比較し、傾向を判定してもよい。
本システムは、上記傾向分析の結果による、改善や悪化や維持等の傾向、変動の大小、改善等の度合い、周期的な安定性、パターン、統計値、基準との近さや類似度、等の情報を、ユーザに対して提供する。なお体温や月経の数値は個人差があり、同一の人でもストレス等に応じて変動する。本システムは、上記のようにユーザ個人毎の体温や月経等の状態を時系列の変動の傾向を含めて記録及び判定する高度な分析を行う。
[体温及び月経の傾向分析]
図16を用いて、体温及び月経の傾向分析の例を説明する。図16の(a)は、あるユーザXの過去の体温月経グラフの月経周期の1回分を示す。(b)は、同じユーザXの現在の体温月経グラフの月経周期の1回分を示す。なおグラフの数値は説明上の例である。
図1の分析部16は、ユーザXのヘルスデータ53から、グラフ作成部14を用いて図13のような体温月経グラフを作成し、月経期a1、月経周期a2、予測排卵日a3、低温期t1、高温期t2、卵胞期t3、排卵期t4、黄体期t5、温度差ΔT、体温の最大値や最小値、等の各項目の値を取得または計算する。分析部16は、体温月経グラフの時系列の数値における過去から現在への変化の傾向を分析する。分析部16は、例えば(b)の現在日tbの直近の月経周期Gbの体温と、(a)の過去日taの直近の月経周期Gaの体温とを参照する。
分析部16は、傾向分析の対象期間とする、過去の情報の参照の仕方としては、例えば現在日tbから、所定の日数等で遡り、過去日taを参照する。そして分析部16は、過去日taから現在日tbまでの期間、あるいは、過去日taの直近の月経周期Gaと現在日tbの直近の月経周期Gbとによる期間等を、対象期間とする。遡る日数等は、処理定義情報58で個別の処理に応じて設定され、例えば3日前、1週前、1ヶ月前、3ヶ月前、1年前、1月経周期前、3月経周期前等が可能である。また対象期間の設定は、黄体期t5等の特定の期にすることも可能である。
分析部16は、時系列上の例えば前後の月経周期Ga,Gbの期間における体温の数値の変化を判定する。分析部16は、ユーザの温度差ΔTの数値と、図1の処理定義情報58でのΔTの基準の数値である0.3度とを比較し、ΔT≧0.3度である場合、良好の状態と判定する。図16の例では、温度差ΔTに関し、(a)の温度差ΔTaは、ΔTa<0.3度であり、(b)の温度差ΔTbは、ΔTb≧0.3度である。即ち体温及び温度差ΔTは、(a)のΔTaはあまり良好でない状態であったが、(b)のΔTbは良好な状態に改善しており、いわゆる2相パターンの状態に該当する、と判定できる。上記体温及び温度差ΔTの良好及び改善の状態を検出した場合、出力例は、前述の図7の出力ID=001のようになる。他の例は「温度差ΔTは、前回の月経周期では〜度、今回の月経周期では〜度であり、〜度増加し、0.3度以上の良好な状態に改善しました。」である。
また分析部16は、現在の温度差ΔTbがΔTb<0.3度の状態であっても、過去から現在への所定の期間でのΔTの変動量(ΔTb−ΔTa)をみて、ある程度の量(ΔTx)以上で、相対的にΔT≧0.3度の状態に近付いた場合、改善と判定してもよい。上記ΔTxは、処理定義情報58での設定値である。即ち、ΔTa<0.3度、ΔTb<0.3度、(ΔTb−ΔTa)≧ΔTxの場合、改善と判定される。出力例は「温度差ΔTが良好な状態(2相パターン)に近付きました。」等である。
分析部16は、上記同様に、体温や月経や検査結果の数値、月経周期a2等の所定の項目の算出値について、それぞれ基準の設定値との比較で、絶対値の良し悪し、相対的な改善や悪化や維持等の傾向を判定及び検出する。連続する3回以上の月経周期a2を含む期間での傾向の判定も同様に可能である。出力例は「過去の〜ヶ月の期間で、体温、月経、及び女性ホルモンの数値が改善されています。」「体調及びリズムが良好で安定しています。」等である。
[検査結果の傾向分析]
図16、図18等を用いて、検査結果の傾向分析の例を説明する。分析部16は、検査結果の傾向分析として、検査結果データ54の検査項目の例えば複数の種類の女性ホルモンであるLH,FSH,E2,P4,AMHの時系列の数値について、図8の医療検査情報52の基準情報等を参照しつつ、個別に良し悪しや改善等の傾向を判定する。この個別の処理は基本的に体温及び月経の傾向分析と同様に可能である。分析部16は、図14や図15のような各種の女性ホルモンの最大値や最小値、及びそれらに該当する日や期間等を判定する。また分析部16は、連続する複数の月経周期a2等を含む対象期間における各女性ホルモン数値の上昇や下降、変動量、周期的な安定性、パターン、等を判定する。
前述の医学的基準情報または固有基準情報で、LH等の検査項目毎に、及び黄体期t5等の期毎に、基準の数値範囲が設定されている。分析部16は、例えばLHの数値が基準の範囲内の場合はLHが良好と判断し、範囲外の場合はLHが良好でないと判断する。FSH等についても同様に判断される。また分析部16は、LH等の数値または増加量をみて所定の数値を超える場合はピーク日に該当と判定する。また分析部16は、LH等の数値の最大値や最小値の日、当該数値が所定の数値を超える状態が続く日数や所定の日数を下回る状態が続く日数等を算出する。分析部16は、上記のように一定期間ごとに良好/良好でない等の判断結果を算出し、それらの比較によって、改善等の傾向を判断する。
また分析部16は、例えば複数の女性ホルモンにおける各女性ホルモン数値と固有基準情報の比較の結果を判定する。例えば、分析部16は、第1の検査項目の数値が第1の数値範囲の内であり、かつ第2の検査項目の数値が第2の数値範囲の内である場合は、良好の状態と判定し、第1の検査項目の数値の変動で第1の数値範囲に近付き、かつ第2の検査項目の数値の変動で第2の数値範囲に近付いた場合は、改善の状態と判定する。
また分析部16は、複数の検査項目、体温、その他のBMI等の観察項目の大小関係、体温や検査項目のピーク日ないし最大値の日の関係(順序や間隔等を含む)を判定する。分析部16は、それらを時系列で比較して、総合的に傾向分析して判定する。分析部16は、例えば、過去ではLHとFSHの数値は固有基準情報の範囲外であるが、現在では固有基準情報の範囲内である、疾患リスクがあったが改善傾向にある、といった状態をみる。
分析部16は、この状態から、ユーザのヘルス状態を判定する。例えば月経周期a2中の卵胞期t3及び排卵期t4では各女性ホルモンが良好の状態、黄体期t5では一部の女性ホルモンが良好ではない状態、かつ温度差ΔT<0.3度の状態に変化した、等と判定される。
分析部16は、上記各種の状態の判定を含む結果から、総合的にユーザのヘルス状態を判定し、出力メッセージを決定する。出力例は「LHとFSHの数値は良好です。黄体期のE2とP4の数値はやや不良ですが、温度差ΔTは少し改善しています。」等である。
[行動抽出(1)]
次に図17,図18等を用いて、行動抽出機能の処理について説明する。図17は、分析部16による行動抽出に係わる処理のフローを示す。
(S21) 分析部16は、ユーザの現在直近の体温、月経、検査結果等のデータに基づいて、数値の改善及び良好の状態、あるいは悪化及び不良等の状態を検出する。
(S22) 分析部16は、上記検出結果に基づいて、カレンダー入力情報55の行動データや症状データ等を参照及び検索し、当該ユーザの過去の期間における主な行動及び症状等の情報を抽出する。S22の際の参照の対象期間、現在から過去へ遡る日数等は、前述と同様に、処理定義情報58の設定値を用いる。
(S23) S23で、分析部16は、行動の傾向分析処理を行う。分析部16は、行動の傾向分析処理で、時系列上の対象期間におけるユーザの行動の種類毎における量、頻度、継続性、及びそれらの増減等の変化を判断する。分析部16は、例えば各種の行動の量を、登録された日数で算出する。
分析部16は、医学的に関連すると推定される行動を含む生活習慣と、過去の期間で頻度が高い行動を含む生活習慣との少なくとも一方を含む情報を抽出する。
(S24) S24で、分析部16は、省略可能であるが、上記S21〜S23の結果を用いて、ユーザの過去の行動と現在の数値の状態との関連及び影響についての推定を行ってもよい。推定の例は、過去から現在への期間で、温度差等に関する改善が検出され、同じ期間で特定の運動Aの量がある程度の量以上で維持または増加している場合、当該行動が現在の改善の状態に影響していると推定される。別の例は、対象期間で特定の運動Aから運動Bへ変化している場合、当該行動が影響していると推定される。もしくは、運動Aの量を変化させている場合、当該行動の量が影響していると推定される。
別の推定の例は、行動に症状等を加味して判断してもよい。例えば対象期間でのストレス等の症状Aの度合いの減少や、特定のストレス等の症状Aから、リラックスや積極的な気分等の症状Bへの変化等がある場合、上記過去の行動による現在のヘルス状態の改善への関連や影響がより深いと判断される。
(S25) 分析部16は、S24までの結果に基づいて、出力メッセージ情報を決定し、メッセージ出力部17により画面に表示させる。出力メッセージは、S22による過去の抽出行動、S23による行動の傾向、S24による過去の行動と現在の状態との関連や影響の推定の結果、等の情報である。
(S26) 分析部16は、S25までの結果情報を、DB50内の分析情報56の一部として保存する。これにより、分析部16は、ユーザにとって改善等の効果がありそうな行動や、逆に改善等の効果が無さそうな行動の情報を蓄積する。
(S27) その後、分析部16は、ある程度以上の期間で、上記行動抽出等の処理を同様に継続し、上記改善等の効果がありそうな行動等の蓄積情報を更新する。ユーザのヘルス状態に応じて蓄積情報の内容は修正される。分析部16は、例えば改善の効果がありそうな行動Aが登録されていたが、最新のヘルス状態の分析結果では改善等がみられない場合、行動Aは改善の効果が無さそうであると推定し、蓄積情報を更新する。蓄積情報は履歴データとして保有される。
(S28) 分析部16は、上記抽出行動に関する蓄積情報を用いて、ユーザの画面に、随時、例えば改善の効果がありそうな行動等の情報をメッセージとして表示する。また分析部16は、改善等の状態の検出時だけでなく、定期的に上記行動抽出等の処理を実行してもよい。例えば分析部16は、1ヶ月毎に過去1ヶ月の行動のまとめの情報を生成し、出力してもよい。
その他、分析部16は、ユーザのヘルス状態に応じた、お奨めの行動に関するメッセージを出力してもよい。これは、処理定義情報58等で、体温や月経や症状等の状態に応じた、お奨めの候補の行動を関連付けて設定しておくこと等で可能である。例えば症状の種類や度合いに応じて、入浴、ビタミンの摂取、等の各種の行動がお奨めされる。
[行動抽出(2)]
図18は、上記行動抽出の処理例を示す。図18では検査結果グラフの女性ホルモン(LH,FSH,E2,P4)の例で説明する。図18の(a)は、ユーザXの過去の検査結果の月経周期の1回分を示す。(b)は、ユーザXの現在の検査結果の月経周期の1回分を示す。分析部16は、(b)の現在日tbの直近の月経周期Gbの検査結果の数値と、(a)の過去日taの直近の月経周期Gaの検査結果の数値とを参照する。
分析部16は、(a)から(b)への検査結果の数値の変化、例えばLH数値の良好及び改善等の状態を検出する。(a)は基準に比べて良好でない値であったが、(b)は基準の範囲内の良好な値に改善されたとする。分析部16は、上記改善の検出のタイミングで、ユーザXの現在の状態に関連すると推定される、過去の期間の行動や症状等の情報を参照及び抽出する。分析部16は例えば現在日tbから1ヶ月前等の過去日taへ遡り、現在の月経期間Gb及び過去の月経周期Gaを含む対象期間における行動及び症状のデータを参照する。例えば(a)の過去の月経周期GaにおけるユーザXの行動として運動A、食事A等が登録されており、症状として症状A等が登録されている。また(b)の現在の月経周期GbにおけるユーザXの行動として運動B、食事B等が登録されており、症状として症状B等が登録されている。
よって、分析部16は、上記LHの数値の改善の状態に関連及び影響していると推定される過去の行動及び症状として、上記月経周期Gaの運動A、食事A、症状A、月経周期Gbの運動B、食事B、症状B等を抽出する。分析部16は、当該抽出した行動及び症状の情報を出力させる。出力例は、前述の図7の出力ID=004等である。
分析部16は、上記抽出前の行動や症状に対する傾向分析を行って出力の抽出情報を決定してもよいし、上記抽出後の行動や症状に対する傾向分析を行って出力の抽出情報を決定してもよい。例えば、分析部16は、一旦抽出した行動や症状の中から、傾向分析により、量が多い運動や食事、重い症状、等を特に抽出する。また分析部16は、過去の月経周期Gaの行動から現在の月経周期Gbの行動への変化を判定し、特定の変化の行動を抽出してもよい。
上記行動抽出及び推定の例は、改善の場合であるが、悪化の場合も同様に可能である。また分析部16は、体温、月経、検査結果、行動、症状、ストレス、気持ち等の要素の組合せで、上記行動抽出及び推定の処理を同様に行ってもよい。
上記行動抽出の機能により、ユーザは、画面で自分の過去の行動等の抽出情報や、その分析結果のメッセージを見ることができ、自分の今後の行動等に参考にできる。ユーザは、自分の過去の行動等による現在の状態への関連や影響を認識しやすい。よって、例えば良い行動による改善等の良い結果を認識し、今後の行動の励みになる。また良くない行動による悪化等の結果を認識し、今後の行動の注意になる。ユーザは、自分にあった運動や食事等も探し易い。
[疾患リスク警告]
次に分析部16による疾患リスク警告機能の処理、及び関連する症状の傾向分析処理等について説明する。分析部16は、前述のユーザの体温、月経、検査結果、行動、症状、及びつぶやき等の要素の組合せにおける傾向分析等の結果と併せつつ、女性に特有の各種の疾患の可能性等を緩やかに推定しチェックする。処理定義情報58は、当該チェック対象の疾患等に応じた処理論理や基準が設定される。なお本分析は、あくまで固有の緩やかな推定であり、医療機関による医学的な診断ではなく、出力は参考情報である。この旨はユーザに通知される。
以下、特定の疾患リスク警告の例として、疾患A=PMS(月経前症候群)とした例で説明する。なおPMSは、黄体期(排卵から生理までの期間)頃に顕著になる、身体及び精神の様々な不調の症状(例えば図12)が起こる症候群である。PMSは、ストレスや疲労、運動や食事、等の様々な原因によるとされる。例えばビタミン等の栄養素の欠乏、過食、運動不足、激しい運動、等が挙げられる。PMSは、特定の女性ホルモンの分泌の状態と、特定の症状の状態とが関連するとされる。PMSは、一般的な改善行動や一般的な悪化行動が知られており、生活の中で症状を軽くする方法を試してみる事が可能である。またPMSは、個人差があるため、試行と観察が有用である。
分析部16は、ユーザのユーザ属性情報51の「疾患」や「既往症」の値を参照し、現在または過去の「PMS」等の状態の該当を確認し、また「PMS」に関連する他の疾患の状態の該当を確認する。また分析部16は、カレンダーや図12の画面等で登録されたユーザの症状データを参照し、各種の症状の回数の増減の判断を含む、症状の傾向分析に基づいて、症状の良し悪し、改善や悪化等の傾向を判定及び検出する。また分析部16は、「PMS」に関連すると考えられる体温や月経や女性ホルモン等のデータを参照し、同様に傾向分析を行う。そして分析部16は、疾患A=PMSのチェックに関する処理定義情報58を参照しつつ、当該ユーザの症状の傾向を含むヘルス状態に基づいて、疾患Aに関する可能性を緩やかに推定する。
分析部16は、例えばユーザXのヘルスデータにおける、月経日、月経周期、運動、食事、症状、ストレス、及びつぶやき中の気持ち等の情報を入力する。分析部16は、これら入力情報を用いて、処理定義情報58の固有基準情報等の設定値に基づいて、ユーザが疾患Aに該当する可能性に関する判断を行う。処理定義情報58は、特定の疾患Aとの関連が推定される特定の症状や行動の設定値、疾患Aの場合の体温や月経や女性ホルモンの数値の設定値を含む。
分析部16は、処理定義情報58の設定値に基づく対象期間、例えば月経の2週間前からの期間や過去1ヶ月等において、症状及びストレスのデータを参照し、ある程度以上の度合いで出ている特定の症状及びストレスを抽出する。例えば図12の軽い頭痛有りの症状a、重いうつ有りの症状b、及び高いストレス有り、等が抽出される。同様に、分析部16は、対象期間の関連する行動等を抽出してもよい。例えば、運動a、食事a等が抽出される。
分析部16は、上記特定の症状や行動を、処理定義情報58の医学的または固有の基準情報に照らし、疾患Aの可能性の有無、あるいは率(%)等を判定する。例えば分析部16は、上記抽出した特定の症状の数が所定の閾値であるN個を超える場合、あるいは、特定の症状の度合いが所定の度合いの値を超える場合、疾患Aの可能性有りと判定する。また、分析部16は、複数の特定の症状の度合いの合計値が所定の値を超える場合、疾患Aの可能性有りと判定してもよい。また、分析部16は、症状の値の計算や複数の閾値を用いて、疾患Aの可能性のレベルや率を判定してもよい。
分析部16は、上記のようなチェックの処理を、各種の疾患B,C,D等について同様に行う。また分析部16は、妊娠や不妊の可能性についても、体温、月経、及び検査結果等のデータを併せて用いつつ、上記疾患リスク警告処理と同様に行うことができる。
分析部16は、上記疾患リスク警告処理の結果に基づいて、出力メッセージを決定する。例えば疾患Aの可能性有りの場合、出力例は、前述の図7の出力ID=003等になる。出力情報は、疾患Aの可能性有りの警告、疾患Aの説明情報、疾患Aへの対処として有効と考えられる特定の治療や検査や医療機関等の受診勧奨等である。また出力情報は、疾患Aへの対処として有効と考えられる特定の行動のお奨め情報や、特定の商品のお奨め情報である。お奨めの行動は、医学的知識に基づく行動のアドバイスとしてもよいし、当該ユーザの行動抽出の結果に基づく運動や食事等の行動としてもよい。なお警告とは、緩やかなアラートである。
[総合的判断]
疾患リスク警告に係わる他の処理例として、分析部16は、ユーザの前述の体温、月経、検査結果、症状、及び行動を含む各要素の値の組合せで、ユーザのヘルス状態を総合的に判断し、当該ヘルス状態に応じた出力を決定する。メッセージ出力部17は、当該ヘルス状態の説明や解釈、当該ヘルス状態に応じたアドバイス等のメッセージを表示する。
分析部16は、傾向分析等の結果に基づいて、時系列での月経周期a2毎に、温度差ΔT、各種の女性ホルモンの数値の変動、それに伴うストレスや症状の変動を把握する。分析部16は、それらの体温、月経、女性ホルモン、及び症状を含む要素の状態を、処理定義情報58に基づく設定値と比較しつつ、総合的にヘルス状態を判断する。
例えば、図13のユーザXの前後の月経周期a2の黄体期t5において、特定の女性ホルモンであるP4の数値が所定の閾値以上になる変動、かつ、重い症状aから軽い症状bへの変動、が検出されたとする。この場合、出力例は「ユーザXさんは、前回の月経周期に比べ、今回の月経周期では、黄体期でのP4の数値が上昇し、改善の傾向がみられます。またそれに伴い、前回から今回の月経周期への期間では、重い症状aから軽い症状bへ変化し、症状が改善しています。」「症状aや症状bは、黄体期に出やすいPMSの症状です。気になる場合は、検査a等の受診や、行動a等をお奨めします。」等となる。
上記のように、本システムは、一般的な医学的知識やアドバイスだけでなく、ユーザ毎の時系列での複数の要素の組合せでの傾向を含むヘルス状態を総合的に判定した結果から、ユーザの判断や分析を支援するための補助的なメッセージを提供する。
[基準グラフ]
次に前述の基準グラフに関する機能及び処理について説明する。本システムは、予め、基準グラフとして、医学的基準情報または固有基準情報の数値範囲に対応した体温や検査結果等のグラフを設定する。基準グラフは、例えば代表的な数値による曲線や折れ線、あるいは、基準の数値範囲による幅を持った曲線や折れ線の領域、等でもよい。基準グラフは、ユーザのための参考や目安の情報である。
サーバ1は、ユーザの端末2の画面に、ユーザのグラフとの比較用に、基準グラフを表示してもよい。例えば基準グラフとユーザのグラフとを並列あるいは重ね合わせで表示してもよい。これにより、ユーザは、基準グラフの形との比較で自分の体温や女性ホルモン等のグラフの形を見ることができ、基準に近いかどうか等がわかりやすい。
基準グラフは、健康及び正常な場合のパターン、疾患や異常の可能性がある場合のパターン等、複数の種類が設定されてもよい。ユーザのグラフと疾患等の場合の基準グラフとを比較することにより、ユーザの疾患の可能性等を推定及び検出しやすい。
[グラフ補間機能及びグラフマッチング機能]
図19は、サーバ1のグラフ補間機能及びグラフマッチング機能を用いた処理例について、検査結果の女性ホルモンのグラフの例で示す。グラフ補間機能によるグラフ補間処理は、ユーザのグラフの形及びデータの補間の処理である。グラフマッチング機能によるグラフマッチング処理は、ユーザのグラフの形と基準グラフの形とのマッチングの処理である。
図19の(a)は、あるユーザXの特定の検査項目の検査結果グラフの例を月経周期の1回分で示す。点は検査項目数値を示す。このグラフは、入力の検査結果データ54において、検査及び登録の日付にある程度以上の間隔があり、数値が間欠的である。ここでは説明上、1週間に1回の検査の数値のみ登録されているとする。この登録の間隔は、実際は同じではなく長短があり得る。
グラフ補間機能は、(a)のグラフのデータに対し、非登録の日付の数値を補間する処理を行う。図19の(b)は、(a)のグラフからの補間後のグラフを示す。例えば(a)の各検査日の間に、破線で示すように補間の日付をとり、当該補間の日付で、登録済みの検査日の数値の間を結ぶように、補間数値をとる。この補間数値は、ユーザのグラフが補間前よりも滑らかな曲線に近付くようにとる。(b)の補間後のグラフは(a)の補間前のグラフよりも滑らかになり見やすくなる。(b)の例は折れ線であるが曲線にしてもよい。上記補間処理は、ベジェ曲線等の公知技術を用いることができる。
複数の月経周期を含む期間の補間グラフの場合や体温等のグラフの場合も同様に可能である。また補間処理は、基準グラフを参考に用いて行ってもよい。また補間数値は、あくまで表示の補助用であり、推定値であり、実際の検査結果の数値とは分けて扱われる。
上記グラフ補間機能により、ユーザは、毎日あるいは定期的なデータ記録ができなくても、間欠的な記録に応じた相応の補間グラフを見ることができ、登録データが少なくてもグラフの形が見やすい。補間グラフは、登録データが多い場合のグラフを推定したグラフとも言える。
図19の(c)は、(a)の特定の検査項目の検査結果グラフに関する基準グラフの例を示す。(c)の基準グラフは、滑らかな曲線で構成されている。
図19の(d)は、グラフマッチング機能により、(c)の基準グラフと、(b)の補間後のユーザのグラフとで重ね合わせてグラフの形を比較判定する例を示す。グラフマッチング機能は、(b)のようなユーザのグラフの形と、(c)のような対応する種類の基準グラフの形とを重ね合わせ、形及び数値を比較し、両グラフの形がどの程度近いかを数値で判定し、その結果を出力する。上記グラフの形の近さを表す指標値を、類似度とする。
サーバ1は、上記ユーザのグラフのデータ及び月経周期等の情報に基づいて、比較対象の期間のグラフ部分のデータ、例えば現在直近の月経周期の1回分の時系列の数値、例えば(a)または(b)のデータを取り出す。ここでは(b)の補間後のグラフのデータを用いる。サーバ1は、上記ユーザのグラフに対応する種類の基準グラフのデータ、例えば(c)の基準グラフのデータを取り出す。サーバ1は、(d)のように、対象期間のユーザのグラフと、対応する基準グラフとを重ね合わせる。この際、両グラフの月経周期等の期間が異なる場合は当該期間を同じに揃えるように調整してもよい。
サーバ1は、両グラフの時系列で対応する時点の数値同士を比較する。サーバ1は、下記のようにユーザのグラフと基準グラフとの類似度を算出及び判定する。サーバ1は、例えば(d)の矢印で示すように、時点ごとの差分値をとる。サーバ1は、類似度として、対象期間の各時点の差分値の総和をとる。サーバ1は、この類似度である総和値を、類似度に関する所定の閾値と比較する。当該閾値は図1の処理定義情報58の設定値等である。サーバ1は、例えば類似度である総和値が閾値以下の場合は類似度が高いと判定し、閾値よりも大きい場合は類似度が低いと判定する。
サーバ1は、上記グラフのマッチング及び判定の結果に基づく情報、即ちユーザのグラフの形と基準グラフの形との近さを示す情報等を、ユーザの端末2の画面に表示する。出力例は「あなたの検査結果の女性ホルモンのグラフは、基準グラフに形が近く、比較的良好であると推定されます。」等である。
サーバ1は、上記処理の際、グラフの全体で比較してもよいし、グラフの一部、例えば特定の期の数値群で比較してもよい。また月経周期の1回分のグラフの比較に限らず、複数の月経周期分のグラフの比較とし、グラフの形の変動を含む判定としてもよい。またサーバ1は、複数の種類の女性ホルモンのグラフの比較をしてもよい。例えばLH,FSH,E2,P4のうち、特定の女性ホルモンのグラフは基準グラフの形に近く、別の女性ホルモンのグラフは基準グラフの形から遠い、等の判定をしてもよい。
上記グラフマッチング機能により、ユーザは、自分のグラフを基準グラフと比較した場合の形の近さやきれいさ等がわかり、自分のヘルス状態を認識しやすい。またデータ記録が多いほど、グラフの形がきれいになり、分析結果が充実するので、ユーザのデータ記録の意欲も高めることができる。
[処理定義情報(1)]
次に図20〜図23を用いて、前述の傾向分析、行動抽出、及び疾患リスク警告等の各処理に係わる処理定義情報58の例を説明する。主に女性の生殖能力に係わる分析の例である。以下では、固有基準情報を適用する例とするが、医学的基準情報を用いる場合も同様に可能である。
図20は、体温及び月経の傾向分析や疾患リスク警告に係わる処理定義情報58の例を表で示す。図20の処理定義情報58は、項目として、#で示す行番号と、種別、入力、処理、及び出力を有する。各行は、個別の処理論理を示し、適用する基準情報も含む。種別の列は、説明上の大まかな種別や分類を示す。入力の列は、処理のために入力する要素の情報を示す。処理の列は、処理論理の内容を示す。出力の列は、出力メッセージの規定及び概要を示す。
(#1) 第1行は、月経の傾向分析で月経周期等の状態をみる処理例を示す。入力は、ユーザ入力の月経データの月経期(図13のa1)である。処理は、前回の月経期a1の開始日と今回の月経期a1の開始日との差分である[a1差分値]から月経周期a2を算出し、「出力1」とする。「出力1」は、前回及び今回の月経周期a2、等である。
また処理として月経周期a2に関する疾患をチェックする。「疾患1a」=「頻発月経」、「疾患1b」=「稀発月経」とする。処理は、月経周期a2と、固有の基準の範囲K1であるx日〜y日とを比較する。処理は、a2<x日の場合、「出力1a」とし、a2>y日の場合、「出力1b」とし、x日≦a2≦y日の場合、「出力1c」とする。「出力1a」は、「疾患1a」の可能性、及び警告等である。「出力1b」は、「疾患1b」の可能性、及び警告等である。「出力1c」は、「月経周期a2の良好」等である。
また処理は、過去の複数の月経周期a2での変動をみて、所定の数値と比較し、改善や悪化等の傾向を判定し、結果を出力する。処理の例は、前回のa2の数値と、a2に関する基準の数値k1(例えば28日)との差分値(|前回a2−k1|)をとり、今回のa2の数値と、数値k1との差分値(|今回a2−k1|)をとり、それらを比較し、後者の方が小さい場合(|前回a2−k1|>|今回a2−k1|)、「出力1d」とする。「出力1d」は、「月経周期a2の改善」等である。出力メッセージ例は「前回の月経周期が〜日、今回が〜日であり、〜日長くなり、基準(k1)に近付きました。」等である。
悪化の場合の判定も上記処理と同様に可能である。月経期間a1の長さの変動やその疾患に関しても上記処理と同様に可能である。また上記基準の数値は、全ユーザで同じ一定値に限らず、ユーザ毎の過去の月経周期a2の統計値等を用いて、ユーザの個人差を反映してもよい。
(#2) 第2行は、月経周期の変動に係わる疾患リスク警告処理例を示す。「疾患2」=「不整周期月経」である。入力は、a2である。処理は、例えば今回と前回の月経周期a2の差分値、及び前回と前々回の月経周期a2の差分値をとり、この[a2差分値]を、基準の数値であるX日と比較する。[a2差分値]≧X日の場合、「出力2」とする。「出力2」は、a2、[a2差分値]、「疾患2」の可能性等である。他の処理例は、連続する複数の月経周期a2での変動量(例えば複数の[a2差分値])をみて、月経周期a2の周期的な安定性を評価してもよい。
(#3) 第3行は、月経周期の変動に係わる疾患リスク警告例を示す。「疾患3」=「無月経」である。入力は、a1である。処理は、[前回a1の開始日と現在日との差分日数]≧Y日の場合、「出力3」とする。「出力3」は、[前回a1の開始日と現在日との差分日数]、「疾患3」の可能性、受診勧奨等である。
図示しないが、次回の月経日の予測の場合は以下である。入力は、前回の月経期a1、前回の月経周期a2である。処理は、[次回の予測月経日]=[前回の月経期a1]+[前回の月経周期a2]である。出力は、[次回の予測月経日]である。
図示しないが、次回の排卵日の予測の場合は以下である。入力は、体温データである。処理は、[次回の予測排卵日a3]=[最低体温日]OR[体温陥落日]OR[……]である。ORは論理和であり、[最低体温日]等のいずれかであればよい。[最低体温日]等は、医学的な定義に基づく日であり、例えば体温数値が最小値である日を指す。出力は、[次回の予測排卵日a3]である。
(#4) 第4行は、体温の傾向分析、特に温度差ΔT(図13のa4)に関する例である。入力は、体温データの温度差ΔTである。なお、温度差ΔTは、例えば以下のように算出される。現在直近の月経周期a2において、[温度差ΔT]=[最高体温]−[最低体温]である。他の処理例は、現在直近の月経周期a2において、ΔT=[高温相t2の体温の平均値]−[低温相t1の体温の平均値]である。
本処理は、上記温度差ΔTの状態から、2相パターンの該当有無、「疾患4」の可能性を判定し、その結果を出力する。「疾患4」=「黄体機能不全」である。処理は、現在直近の月経周期a2において、ΔT≧0.3度の場合、「出力4a」として「ΔT≧0.3度なので良好」(2相パターン)等とする。ΔT<0.3度の場合、「出力4b」として、「ΔT<0.3度なので良好ではない」、「疾患4」の可能性有り、警告等とする。0.3度(℃)は、基準の数値である。
(#5) 第5行は、高温期t2の日数に関する「疾患4」のチェック例である。入力は、直近の月経最終日から発生する体温である。処理は、例えば、変数b5=[高温期t2の日数]=[(最低体温+0.3度)以上の体温の日数]を算出する。処理は、変数b5を基準のZ日と比較し、b5>Z日の場合、「出力5a」とし、b5、「良好」等である。b5≦Z日の場合、「出力5b」とし、b5、「疾患5」の可能性等である。
更に処理は、図示しないが、前述のように、温度差ΔTの時系列での変動をみて、所定の数値との比較で、改善や悪化の傾向を判定し、その結果、「ΔT改善」や「ΔT悪化」等を出力する。また処理は、上記月経、体温、及び検査結果の傾向分析の結果の組合せで判定する。処理例は、上記月経周期a2の状態、及び体温差ΔTの状態を検出し、a2が基準の範囲内、かつΔT<0.3度である場合は、出力を要注意等とする。あるいは、a2が基準の範囲外、かつΔT≧0.3度である場合は、出力を要注意等とする。また処理例は、a2が基準の範囲内、ΔT≧0.3度、かつ特定の女性ホルモンAの数値が基準の範囲外の場合、出力を要注意、「女性ホルモンAの分泌の異常の可能性があります。」等とする。
[処理定義情報(2)]
図21及び図22は、検査結果の傾向分析及び疾患リスク警告に係わる処理定義情報58の例を同様に示す。検査項目が前述の複数の種類の女性ホルモンである例で説明する。個別の処理論理は、前述の医療検査情報52の検査方法等の違いに応じて定義されており、当該違いに応じた固有基準情報が適用される。検査結果が医療機関において採取される場合であっても、医療機関が変更されることもある。そのため、検査結果を、ユーザにとっての観察項目とする。これにより、ユーザの理解を深める意義を持つ。
(#11) 第11行は、LH、FSH、及び「疾患11」のチェックに関する例を示す。「疾患11」=「視床下部機能障害または汎下垂体機能低下」である。入力は、第1の女性ホルモンとしてLHの検査項目数値であり、第2の女性ホルモンとしてFSHの検査項目数値である。これらは血液検査の結果の数値である。処理は、特定の検査方法A等に応じた固有基準情報である範囲H1=h1〜h2を用いて、[LH<h1]AND[FSH<h2]の場合、即ちLH及びFSHの両方が基準数値未満の場合、「出力11」とする。「出力11」は、「疾患11」の可能性、警告等である。本処理は、2種の女性ホルモン数値の状態の組合せで特定の疾患の可能性を推定して、原因となる日常生活に関する確認を促す。
(#12) 第12行は、同様に「疾患12」のチェック例を示す。「疾患12」=「PCOS」である。入力は、LH、FSH、BMIである。またLHやFSHの数値の単位が[mIU/mL]等と規定されている。処理は、基準の数値h3,h4を用いて、BMI<h3の場合において、[LH≧h4]AND[LH≧FSH]の場合、「出力12」とし、BMI≧h3の場合において、[LH≧h4]AND[LH<FSH]の場合、同じく「出力12」とする。「出力12」は、「疾患12」の可能性、警告等である。
(#13) 第13行は、同様に「疾患13」のチェック例を示す。「疾患13」=「性腺形成異常症または続発性性腺機能低下症」である。入力は、LH、FSHである。処理は、基準の数値h5,h6を用いて、[LH>h5]AND[FSH>h6]の場合、即ちLH及びFSHの両方が基準数値越えの場合、「出力13」とする。「出力13」は、「疾患13」の可能性、警告等である。
(#14) 第14行は、同様に「疾患14」のチェック例を示す。「疾患14」=「卵巣予備機能低下」である。入力は、a2、FSH、及び薬剤Aの服用に関するユーザ入力情報である。処理は、基準の数値h7,h8,b141,b142,b143を用いて、[月経周期a2中のb141日目のFSH数値がFSH≧h7]の場合、「出力14」とする。また処理は、[対象期間で薬剤Aの100mgをb142日間服用していること]AND[月経周期a2中のb143日目でのFSH数値がFSH≧h8]の場合、同じく「出力14」とする。b141等は日数の値である。「出力14」は、「疾患14」の可能性、警告等である。本処理のように、女性ホルモン数値に加えて薬剤の服用の情報を加味して判断してもよい。
(#15) 第15行は、同様に「疾患15」のチェック例を示す。「疾患15」=「卵巣性無月経」である。入力は、a1、a2、FSHである。処理は、基準の数値h9,b151,b152を用いて、[過去のb151の期間に月経有り]AND[1回目のFSH数値がFSH≧h9]AND[b152日以上あけた2回目のFSH数値がFSH≧h9]の場合、「出力15」とする。b151等は日数の値である。「出力15」は、「疾患15」の可能性、警告等である。
(#16) 第16行は、E2、「疾患16」のチェック例を示す。「疾患16」=「エストロゲン産生腫瘍」である。入力は、第3の女性ホルモンとしてE2の数値である。E2の単位が[mol/L]等と規定されている。検査結果の記録単位が異なる場合、単位は変換されている。処理は、基準の数値h11,h12を用いて、[E2>h11]の場合、「出力16a」とし、[E2>h12]の場合、「出力16b」とする。「出力16a」は、「疾患16」の可能性、警告等である。「出力16b」は、「良好」(卵巣機能有り)等である。
(#17) 第17行は、「疾患17」のチェック例を示す。「疾患17」=「更年期障害」である。入力は、ユーザ属性情報51の年齢、及びE2である。処理は、基準の数値であるh13,b171、及び変数b172を用いて、[年齢≧b171歳]AND[b172>h13]の場合、「出力17」とする。b171は年齢の値である。変数b172は、[現在直近のE2数値と所定の過去のE2数値との差分であるE2変化量]である。「出力17」は、「疾患17」の可能性、警告等である。本疾患は、個人の履歴で判断する事が必要であり、ユーザが転院していた可能性もあるため、自己記録の分析が必要である。本処理のように、ユーザの属性値を加味して判断してもよい。
(#18) 図22で、第18行は、P4、「疾患18」のチェック例を示す。「疾患18」=「黄体機能不全」である。入力は、第4の女性ホルモンとしてP4の数値である。P4の単位が[ng/mL]等と規定されている。また入力は、変数b18として、子宮の内膜厚(単位[mm])の情報を用いる。内膜厚は、超音波検査等の所定の検査の結果から得られ、ユーザの検査結果データ54等に含まれる。処理は、基準の数値h14,h15を用いて、[P4<h14]AND[当該状態が2周期連続]の場合、「出力18a」とし、[P4<h15]AND[当該状態が3周期連続]の場合、「出力18b」とする。また[b18<h16]の場合、「出力18c」とする。
「出力18a」は、「疾患18」の可能性有り、かつ可能性は低い、等である。「出力18b」は、「疾患18」の可能性有り、かつ可能性は中、等である。「出力18c」は、「疾患18」の可能性有り、等である。本処理では、疾患の可能性を、高い/中/低い等の度合いやレベルで、緩やかに推定し、警告等を出力する。
(#19) 第19行は、AMH、「疾患19」のチェック例を示す。「疾患19」=「卵子老化」である。入力は、第5の女性ホルモンとしてAMHの数値である。処理は、基準の数値h17,h18を用いて、[AMH≦h17]の場合、「出力19a」とし、[h17<AMH≦h18]の場合、「出力19b」とする。「出力19a」は、「疾患19」の可能性有り、かつ可能性は高い、等である。「出力19b」は、「疾患19」の可能性有り、かつ可能性は中、及び警告等である。
(#20) 第20行は、特定の検査、及び「疾患20」のチェック例を示す。「疾患20」=「CT感染症」である。特定の検査として、検査A=「CT感染症検査」である。入力は、ユーザ入力に基づく、検査Aの有無の情報である。処理は、当該ユーザが検査Aを受診したことが無しの場合、「出力20」とする。「出力20」は、疾患20の説明、及び検査Aの受診勧奨である。その他、ユーザ属性情報51の年齢や、過去に検査を受けた年月等の情報を加味して判定してもよい。
(#21) 第21行は、男性ユーザの場合の精液検査の結果のチェック例を示し、特に男性の生殖能力を分析する例である。「疾患21」として、「男性の生殖能力に関する疾患」とする。入力は、精液検査の結果に基づく精子情報であり、例えば変数b21として濃度、変数b22として運動率、等である。処理は、基準の数値h21,h22等を用いて、[濃度b21≦h21]の場合、「出力21a」とする。「出力21a」は、「疾患21a」(例えば「乏精子症」)の可能性である。また処理は、[運動率b22<h22]の場合、「出力21b」とする。「出力21b」は、「疾患21b」の可能性である。同様に、処理は、他の精子情報の変数を用いて、関連する各種の疾患の可能性及び警告等を出力する。出力は、判定結果に応じた、男性不妊の病院のリスト表示や、人工授精等の治療の提案やその説明情報を含めてもよい。
(#22) 第22行は、複数の種類の女性ホルモン数値の総合的な判断の例を示す。入力は、a2、LH,FSH,E2,P4等の数値である。処理は、固有基準情報として、検査方法等に応じた、各女性ホルモンの良好の数値範囲等を用いる。例えばLHに関する範囲F1=f11〜f12、FSHに関する範囲F2=f21〜f22、E2に関する範囲F3=f31〜f32、P4に関する範囲F4=f41〜f42、等である。当該基準の数値範囲は、前述のように、月経周期a2中の各期(例えばt3〜t5)に応じた数値範囲でもよいし、基準グラフを用いてもよい。
処理は、対象期間の月経周期a2の各女性ホルモンの数値を参照し、対応する種類の基準の範囲と比較し、状態を判定する。例えば全女性ホルモンが範囲内である場合は「出力22a」とする。LHのみが範囲外である場合は「出力22b」とし、FSHのみが範囲外の場合は「出力22c」とする。LH及びFSHの2つが範囲外である場合は「出力22d」とする。所定の3つが範囲外である場合は「出力22e」とする。全女性ホルモンが範囲外の場合は「出力22f」とする。上記のように複数の女性ホルモンの状態の組合せでユーザのヘルス状態が判定され、それぞれ異なる出力が決定される。
[処理定義情報(3)]
図23は、体温や検査結果に因果関係がある可能性のある、行動や行動傾向の分析補助に関する処理定義情報58の例を示す。
(#31) 第31行は、基礎体温の改善悪化判定と、結果に寄与したと推定される行動の抽出である。抽出される行動は、最近3カ月の行動と過去も含めて結果に一番寄与すると判定された行動である。入力は、図13の温度差a4等の情報、及び図2のユーザ入力情報における生活ポリシー、行動、症状、つぶやき等である。生活ポリシーは、図2のユーザ属性情報51に格納されており、ユーザが生活の中で運動や食事等で特に重点的に実施しようと登録した事柄である。
温度差a4の改善の要因を検出する場合の処理例は以下である。処理として、前回の月経周期での温度差a4が0.3℃未満だったのが、直近の月経周期の温度差a4では0.3℃以上になった場合、「出力31」、「出力31a」、及び「出力31b」とする。直近の月経周期は、2か月以内のものとし、前回の月経周期は、直近周期の前回のものとする。
「出力31」は、改善や悪化の判定情報を含み、例えばa4の改善である。「出力31a」は、今回の判定情報に寄与したと推定される要因である、直近3カ月内の生活ポリシーの情報を含む。「出力31a」は、例えば、抽出行動として運動A,運動B等になる。「出力31b」は、過去も含めて改善や悪化に寄与したと判定された回数が最も多い生活ポリシーの名称、及びその生活ポリシーの判定の累積件数の情報を含む。「出力31b」は、c1、c2を含む。c1は、運動や食事等の生活ポリシー毎の、要因推定ポリシーの名称である。要因推定ポリシーは、改善や悪化に寄与した要因であると推定及び判定された生活ポリシーである。c2は、c1の累積件数である。「出力31b」で、c2は最大値のみ、c1はc2の最大値の名称のみである。「出力31b」は、例えば、a4の改善の要因として運動CがN回、といった情報になる。
(#32) 第32行は、症状抽出及び症状傾向分析を行う場合の例である。入力は、例えば検査結果の傾向分析結果のFSHの情報、ユーザ入力の症状データによる症状やストレスの情報、及びつぶやきのテキスト情報、等である。処理は、FSHの悪化(数値上昇)の検出の場合は以下である。処理は、過去の対象期間の行動及び症状の情報を抽出する。例えば症状A、ストレス有り等が抽出されたとする。症状Aは例えば頭痛やうつ等である。「出力32」は、当該抽出された症状等の情報を含む。
また処理のための変数として、対象期間で、c3=特定の症状Aの有りが登録された日数、c4=ストレス有りが登録された日数、c5=つぶやきのテキストでネガティブワードが登録された日数、等とする。これらの変数は処理論理毎に定義される。これらの変数の値は、前述の図12等によるユーザ入力情報に基づいて算出できる。これら変数に関する固有基準情報としてe3〜e5等を用いる。
c5については、処理例として、ユーザの気持ちや症状等を示す「気分が悪い」「痛い」等の特定のワードを、テキストマイニングで解析して抽出することにより算出できる。c5は、登録日数に限らず、出現総数等を用いてもよい。
処理は、例えば[c3≧e3日]の場合、「出力32a」とし、[c4≧e4日]の場合、「出力32b」とし、[c5≧e5日]の場合、「出力32c」とする。「出力32a」は、c3、「FSHの数値上昇に関連する症状A」等である。「出力32b」は、c4、「FSHの数値上昇に関連するストレス有り」等である。「出力32c」は、c5、「FSHの数値上昇に関連するネガティブワード有り」等である。メッセージ例は、「前回周期に受けた強いストレス有りの日数は〜日でした。」「前回周期に受けたネガティブなつぶやきの数は〜回でした。」等である。
上記処理は、ユーザの良好でないヘルス状態を判断する例であるが、同様にユーザの良好なヘルス状態を判断する処理も可能である。他にも、症状の重い/軽い等の度合いや、ストレスの高い/低い等の度合いの情報を用いた処理も同様に可能である。
(#33) 第33行は、特定の疾患として疾患A=「PMS」をチェックする例である。入力は、前述のa1、a2、行動、症状、ストレス、つぶやき等の情報を含む。疾患Aに応じて特定の情報項目{症状a,症状b,……,行動a,行動b,……}がチェック項目として設定される。当該チェック項目は、疾患A=PMSに関係すると医学的に考えられている各種の症状や行動等である。例えば症状a=頭痛、行動a=過食、等である。またチェック項目の情報を参照するための対象期間(例えば黄体期、月経日から3〜10日前、等)も設定される。
処理は、対象期間でのユーザの症状や行動等の情報を参照し、チェック項目の症状や行動に該当する数を指標値として算出し、指標値がN個以上の場合、「出力33」とする。指標値は、例えば症状a及び行動aに該当の場合は2である。N個は、処理論理毎の設定値である。「出力33」は、疾患Aの可能性有り及び警告、疾患Aの説明情報、疾患Aに応じた日常生活の行動のアドバイス、等である。出力例は「PMSの可能性があります。PMSは、黄体期のP4等が影響しています。症状aに対しては、運動b、食事b等をお奨めします。」等である。
上記チェック項目の指標値及び基準の設定値は、各症状や行動の該当の日数、症状の度合い、行動の量、等を反映した定義としてもよい。例えば症状aが登録された日数が3日、行動aが登録された日数が2日の場合、指標値は5である。例えば症状aの度合いがレベル3(重い)の場合、1日でも指標値を3とする。
上記処理は、各症状や行動の傾向分析の結果を用いてもよい。例えば行動aの頻度や継続性が高い場合、指標値が高くなる。また上記処理で、疾患Aの可能性の判定は、N以上か否かに応じて可能性有無の2値で判定しているが、3値以上で段階的に判定してもよい。更に上記処理は、上記症状や行動の判断に加え、前述の体温、月経、及び検査結果等の分析結果の情報を加味して判断してもよい。例えば同じ対象期間で月経周期の悪化や女性ホルモン数値の悪化がみられる場合、疾患Aの可能性がより高いと推定できる。
また上記処理で、ユーザの食事における特定の食品の摂取を考慮してユーザの疾患等のヘルス状態を判定してもよい。図1の分析部16は、例えば過去の対象期間における特定の食品やビタミン等の栄養素の摂取の日数等を指標値として算出する。そして分析部16は、指標値を基準の数値と比較し、疾患A等の可能性を判断する。
また上記処理で、ユーザの睡眠の量、飲酒や喫煙等の状態を考慮してユーザのヘルス状態を判定してもよい。ユーザ入力の情報項目として睡眠等を設ける。図1の分析部16は、例えば対象期間の睡眠時間の情報を参照して睡眠量を算出し、基準の数値と比較し、この結果を用いてユーザのヘルス状態を判定する。
[関連情報検索機能]
次にサーバ1による関連情報検索機能の処理について説明する。まずサーバ1は、前述の傾向分析や疾患リスク警告等の機能により、ユーザのヘルス状態の傾向や疾患の可能性等を判定及び検出する。サーバ1は、当該検出直後のタイミングで、上記傾向分析等の処理論理の中で記述されているキーワードや、分析結果の出力メッセージの中に含まれるキーワードを元に、インターネット上の関連情報を自動的に検索する。サーバ1は、当該キーワードを検索条件とした検索結果情報を取得する。検索結果は、当該キーワードに関連が深い、Webサイトの公開情報、例えば医療関連情報や闘病記等の情報が取得される。
サーバ1は、検索結果情報であるURL等のインデックス情報あるいは公開情報自体を、関連検索情報としてDB50に記憶する。サーバ1は、関連検索情報を、ユーザの端末2の画面に表示する。表示の仕方は、例えばユーザの「MYカルテ」の画面のうちの一部のエリアにスクロール付き等で表示する。ユーザは、画面内の当該エリアでスクロールしながら当該情報を閲覧できる。当該情報がURLの場合は関連検索情報のWebページへ遷移できる。また別の表示の仕方は、ユーザへの出力メッセージ中のワードからのリンクで関連検索情報へ遷移させてもよい。
例えばユーザのヘルス状態の分析結果に含まれるキーワードとして‘PMS’や‘不妊症’がある場合、当該キーワードの関連検索情報が表示される。関連情報検索機能により、ユーザは、自分のヘルス状態や分析結果に係わる関連情報を容易に閲覧することができ、治療や行動等の参考にすることができる。
[効果等]
以上説明したように、実施の形態1のヘルスケアシステムによれば、ユーザの体温や検査結果を含むヘルス状態や医療情報に関する解釈や取得の支援、ユーザのヘルス状態や医療情報に関するアドバイス等の提供情報の充実及び高度化、ユーザのデータ入力の手間の削減並びに動機及び意欲の確保、等を実現できる。これらにより総合的にユーザのヘルス状態のケア及び治療や検査の支援ができる。女性ユーザに限らず男性ユーザについても同様に適用できる。
本システムは、特に不妊症治療等に関し、機能的に高度化したサービスを提供する。これにより、ユーザは、自分の生殖能力を含むヘルス状態をわかりやすく認識でき、自分のヘルス状態について気付きが得られる。よって、ユーザは、ヘルス状態の改善や病状の解消等のために、治療や検査、運動や食事等の行動に取り組みやすくなる。ユーザは、個人ヘルスデータ管理により、個人差による他人の数値、特定の基準値、等にあまり捕らわれずに、自分のヘルス状態を冷静に認識しやすい。
本システムは、特有の情報処理により、ユーザ個人毎のヘルスデータ管理、行動や症状等の登録、高度な傾向分析によるメッセージ出力を含むサービスを提供する。これにより、一般的なアドバイスに限らず、ユーザ毎のヘルス状態等の状況に即した、詳しい有用な情報を提供し、ユーザの治療等に関する判断を支援する。例えばユーザ毎の症状や行動に関連した、受診勧奨やお奨めの行動等を参考情報として提供する。ユーザは、治療や検査の結果を含む自分のヘルス状態をわかりやすく認識でき、気付きが得られやすい。
一般にユーザの体温や検査結果等の数値や状態は、個人差及びズレがあり、同一の人でも時間軸上の変動が大きい。本システムは、当該個人差や変動を考慮した、各情報の時系列及び履歴による個人ヘルスデータ管理、並びに当該変動の傾向の分析及びメッセージ出力を提供する。ユーザは、自分のヘルス状態や行動等の傾向を見ることができ、気付きが得られやすい。傾向分析の結果から、たとえ少しの改善であっても励まし等になり、悪化の場合も今後の行動等の注意になる。
本システムは、ユーザのヘルス状態に関する、体温等のグラフのデータ、疾患の可能性の警告、病院等の受診勧奨、及び行動アドバイス、等のメッセージ情報を提供する。ユーザは、好きな時に各データ及び情報を閲覧でき、出力データを活用できる。ユーザは出力データを用いて例えば診療時に医師に自分の状態に関する確認や質問がしやすく、確認漏れ等を防止できる。
ユーザは、出力メッセージから、医療機関の治療や検査機関の検査の結果について、より良く理解しやすい。ユーザは、検査結果の数値が不安な場合も、出力情報を参考に判断しやすい。ユーザは、どのような治療や検査、運動や食事等の行動をとれば良いか、判断しやすく、実際の受診や行動につなげやすい。ユーザは、自分の疾患や不妊の可能性を意識し、早めの対応を図りやすい。
本システムは、特に女性ホルモン等の検査結果についての記録や分析を新たに提供する。ユーザは、検査結果の傾向分析のメッセージにより、女性ホルモン等の状態を理解しやすい。ユーザは、体温及び月経等と合わせた形で、自分のヘルス状態をより詳しく把握でき、治療等に活用できる。
本システムは、医学的知識情報を出力する際も、全ユーザに一律同様に出力するのではなく、ユーザ毎の体温や女性ホルモン等のヘルス状態との関連で適切なタイミングで提供する。よって、ユーザは、医学的知識情報についても理解がしやすい。
本システムは、行動抽出及び行動傾向の情報を提供する。ユーザは、当該情報から、自分の行動の良し悪しやヘルス状態への影響、時系列での傾向、効果がありそうな行動等を把握しやすい。ユーザは、自分の運動や食事等の影響や結果を認識しやすく、自分のヘルス状態の改善のための行動に取り組む意欲を持ちやすい。
本システムは、単に体温等の数値のデータの入力に限らず、行動や症状や気持ちのつぶやき等の各種の情報を併せて関連付けて登録可能である。これらの登録情報は、随時ユーザの画面や分析及び出力に反映され、履歴として蓄積され、後でも閲覧可能である。本システムは、医療機関から与えられる情報だけでなく、ユーザの主観的な症状や気持ち等の情報を登録可能とし、当該情報からユーザの主観的な状態を分析し、当該状態に応じたメッセージを提供できる。
本システムは、体温、月経、検査結果、症状、及び行動等の複数の要素の組合せを用いた総合的な分析、疾患リスク警告等を提供する。例えば体温、月経、検査結果、及び症状等のすべてを考慮してヘルス状態が判定される。PMS等の個人差が大きい病状に関しても効果的に対策支援できる。従来の体温等の単一種類のデータを用いて分析する技術に比べ、高度な分析及びメッセージ出力ができる。
本システムは、ユーザの端末2からサーバ1への各データの入力手段、前述の入力補助機能を含め、データ入力の負担を低減し容易にする仕組みを提供する。よって、ユーザは、各データの入力の手間が少なくて済み、データを継続的に登録する意欲も持ちやすい。
月経管理や不妊治療の場合、時系列で継続的に正確に体温等のデータを入力及び記録することが有効である。ユーザ入力によるデータが多く正確であるほど、本システムによる分析の質が高くなり、メッセージが充実し、ユーザのヘルス状態をより正確に把握できる。例えば疾患等の可能性の推定における精度が高くなる。これによりユーザは、日々の継続的なデータ入力の意欲を持ちやすい。
本システムは、産婦人科を含む診療科におけるユーザの治療及び検査等の活動の最中やその前後にわたって、継続的にユーザを支援し、ユーザの不安や苦痛を和らげる。妊娠や不妊に関して未経験や未治療である20代〜30代の人の場合、体調が少し気になる程度のユーザでも、本サービスの利用により、啓発につながり、想定外の疾患のリスク等を認識でき、生活習慣や体質や意識の改善に役立ち、将来的な妊娠や出産の活動へ向け準備できる。不妊治療等の経験有りを含む30代〜40代の人の場合、本サービスの利用により、疾患や不妊の原因の推定、及び具体的な対処や治療のアドバイスを含め、積極的に支援できる。検査結果データに関する機能により、治療に深く取り組みたいユーザも支援できる。個人の病状に不安を抱くユーザに対しても、個別のメッセージを提供し支援できる。
本システムは、医療機関及び検査方法等の違いを管理し、ユーザ毎の治療や検査に合わせた支援を提供する。異なる検査方法の数値同士の比較等の誤りや混乱も削減できる。本システムは、固有基準情報を用い、複数の医療機関や複数のユーザを包括した特有の緩やかな分析を提供し、特定の医療の考え方や検査方法のみへの対応ではなく、広くユーザ及び医療を支援できる。本システムは、不妊治療及び血液検査の例のように、医療の考え方や検査方法、基準値、等が医学的に標準化されていない領域について有効に適用可能である。本システムは、母集団データ、即ち多数の人の検体のデータの存在を前提とせずに適用可能である。
<実施の形態2>
次に図24〜図29を用いて、実施の形態2のヘルスケアシステムを説明する。以下主に、実施の形態2における実施の形態1に対して追加される異なる構成を説明する。実施の形態2は、まず実施の形態1と同様に、産婦人科及び生殖医療を含む領域を対象として、ユーザ毎に各種のヘルスデータを記録でき、グラフやメッセージを閲覧でき、ユーザのヘルス状態をケアし、気付きを与えることができる。
更に、実施の形態2は、女性の自然妊娠及び出産等を支援するサービスを提供する。主な対象ユーザは、16〜49歳の妊娠及び出産のイベントに備える人である。このサービスは、特に、女性ユーザと男性ユーザとのパートナーの関係を管理し、両者の連携での妊娠活動を支援する機能を提供する。実施の形態2は、ユーザ入力データに基づいて、男女のパートナーに対し、ユーザ個人毎の状態に直結した、妊娠活動に関するコーチングやお奨めの行動等を含むメッセージを提供する。これにより、男女のパートナーの妊娠活動を促し、妊娠の成功率を高める。
[システム]
図24は、実施の形態2のヘルスケアシステムの構成概要を示す。サーバ1に対し、端末2として、女性ユーザAの端末2Aと、男性ユーザBの端末2Bとが接続される。男性ユーザBは、女性ユーザAに対する夫や恋人等のパートナーP2であり、逆に、女性ユーザAは、男性ユーザBからみたパートナーP1である。
実施の形態2は、サーバ1及びアプリ20において、パートナー管理機能及び妊娠支援機能を有する。サーバ1のサービス部10は、パートナー管理部61、及び妊娠支援部62を備える。パートナー管理部61は、パートナー管理機能を構成し、DB50にパートナー管理情報71を管理する。妊娠支援部62は、妊娠支援機能を構成し、DB50にコーチング管理情報72等を管理する。
端末2A及び端末2Bは、それぞれ実施の形態1と同様にアプリ20を備える。アプリ20は、サービス部10のパートナー管理部61及び妊娠支援部62と連携する、パートナー管理機能及び妊娠支援機能の一部を実装する。端末2A及び端末2Bは、それぞれアプリ20からサーバ1のサービス部10にアクセスし各機能を利用する。端末2Aと端末2Bとは、パートナー管理機能を用いて、必要に応じて通信し、相互の情報の参照等を行ってもよい。
[パートナー管理機能]
パートナー管理機能について説明する。パートナー管理機能は、男女のパートナー間での情報の共有や連携を管理する機能を含む。パートナー管理部61は、より詳しい機能及び処理部として、(a)パートナー登録、(b)パートナー情報閲覧、(c)パートナー情報通知を含む。
(a) パートナー登録の機能は、女性ユーザAまたは男性ユーザBにより、パートナーないしカップルを登録することができる。例えば女性ユーザAは、男性ユーザBをパートナーP2とし、自分をパートナーP1とし、両者をカップルとして登録できる。サーバ1は、女性ユーザAの端末2Aまたは男性ユーザBの端末2Bからのアプリ20を通じたユーザ設定操作に基づいて、上記パートナーの登録の要求を受ける。パートナー管理部61は、当該要求を受けると、パートナー管理情報71に、女性ユーザAをパートナーP1、男性ユーザBをパートナーP2として設定する。
パートナー管理情報71の例として、ユーザ属性情報51に「パートナー」項目を設け、当該項目に例えばパートナーのユーザID等の情報を格納してもよい。サーバ1は、パートナーのユーザIDにより、当該パートナーのユーザの各データ及び情報を識別及び関連付ける。
(b) パートナー情報閲覧の機能は、女性ユーザAが自分の端末2Aの画面で自分のパートナーP2である男性ユーザBの各種の情報を閲覧することができるように制御する処理を行う。同様に当該機能により、男性ユーザBが自分の端末2Bの画面でパートナーP1である女性ユーザAの各種の情報を閲覧することができる。各ユーザは、自分の情報とパートナーの情報とを切り替えて閲覧でき、両者の情報の並列の閲覧もできる。
パートナー登録に基づいて、女性ユーザAは、自分の端末2Aの画面で、自分のヘルスデータ等の各情報を入力及び閲覧できると共に、パートナーP2である男性ユーザBのヘルスデータ等の各情報を入力及び閲覧できる。同様に、パートナーP2である男性ユーザBは、自分の端末2Bの画面で、自分の各情報を入力及び閲覧できると共に、パートナーP1である女性ユーザAの各情報を入力及び閲覧できる。例えば男性ユーザBのユーザ属性情報51、検査結果データ54、及びカレンダー入力情報55等が登録でき、各グラフやメッセージ等が閲覧できる。
パートナー管理部61は、パートナーのユーザ間での互いの情報の閲覧や入力等の権限を設定可能としてもよい。例えば男性ユーザBには女性ユーザAの情報の閲覧のみ許可する権限としてもよい。またグラフやカレンダーや所定の情報項目等の単位での閲覧や入力等の権限を設定可能としてもよい。これにより、ある項目は女性ユーザAが入力し、ある項目は男性ユーザBが入力し、ある項目は両者で入力する等の分担や整理ができる。
(c) パートナー情報通知の機能は、一方のパートナーのユーザの所定の項目の情報を、他方のパートナーのユーザの端末2へ自動的に通知して表示させる処理を行う。パートナー情報通知の機能は、後述の見守りの機能を含む。通知及び見守りの項目は、ユーザ設定可能である。例えば男性ユーザBは、パートナーP1である女性ユーザAの登録の情報のうちの特定の項目を、通知及び見守りの項目としてユーザ設定する。これにより、サーバ1は、設定された特定の項目の情報を、男性ユーザBの端末2Bへ自動的に通知する。男性ユーザBは、自分の端末2Bのアプリ20の画面で、通知されたパートナーの項目の情報をいつもすぐに閲覧できる。
[妊娠支援機能]
妊娠支援機能について説明する。妊娠支援部62は、より詳しい機能及び処理部として、(a)妊娠チェック、(b)妊娠活動のコーチング、等を含む。(a)の妊娠チェックの機能は、排卵日推定等の機能を含む。妊娠支援機能は、女性の妊娠及び妊娠活動を支援する。妊娠支援機能は、女性ユーザ個人の支援だけでなく、女性ユーザAと男性ユーザBとのパートナーの連携での妊娠活動を支援する。妊娠支援機能は、男性ユーザBの活動に関与して支援し、男性ユーザBに女性ユーザAとの妊娠活動を促すように働きかける。
女性の妊娠及び不妊等の状態や結果は、女性の生殖能力を含むヘルス状態や活動性だけでなく、パートナーの男性の生殖能力を含むヘルス状態や活動性とも関連する。そこで、実施の形態2は、パートナー管理機能及び妊娠支援機能により、男女のパートナーのヘルス状態をケアし、両者の治療や行動を含む妊娠活動を支援する。これにより、男女のパートナーのヘルス状態が良好で生殖能力や活動性が高い状態となるようにし、妊娠の成立の可能性を高くする。
[妊娠及び不妊]
前提の知識である妊娠や不妊について簡単に確認する。健康な女性の場合、図13の月経期a1の後の卵胞期t3や低温相t1では卵胞が成長し、排卵期t4では女性ホルモンによる刺激に基づいて排卵が起こる。黄体期t5や高温相t2では卵管で卵子が精子を待つ。卵子の寿命は約1日、精子の寿命は約5日といわれる。精子は子宮内で卵管へ進む。卵子と精子とが受精した場合、卵子は子宮内膜で着床し、妊娠が成立する。妊娠の成立の場合、次の月経が無く、高温期t2が続く場合が多い。上記月経及び排卵等の生理及び生殖能力に係わる状態は、体温及び女性ホルモン等の状態と相関している。
自然妊娠を望み妊娠活動を行う場合、妊娠しやすいように、日常生活の行動等を含め、男女のヘルス状態を維持や改善する必要がある。本システムは、パートナーの男女の両方のヘルス状態をケアし、妊娠活動をコーチングし、妊娠の可能性を総合的に高める。
また不妊症は、例えば排卵日付近で性交しているが妊娠しない状態が所定年月以上続く場合に不妊症と診断される。不妊の原因は男女の双方にあり得る。本システムは、男女のパートナーの双方について不妊等の原因を分析し、アドバイスし、妊娠の可能性を総合的に高める。
なお関連して人工授精(AIH)の例は以下である。人工授精は、排卵日の付近の日に行われる。男性の精子が採取及び精選され、女性の子宮内に注入される。これにより自然妊娠の受精がサポートされる。その後、検査等によって妊娠の成立が判定される。体外授精(IVF−ET)の例は以下である。体外授精は、排卵誘発剤に基づいて女性の卵巣から取り出した卵子と男性から採取した精子とを培養器の中で受精及び培養させ、受精卵(胚)が女性の子宮内に移植される。その後、薬剤の処方等によって着床がサポートされる。その後、検査等によって妊娠の成立が判定される。
[妊娠チェック(1)]
妊娠支援機能の(a)の妊娠チェックの機能の処理例を説明する。妊娠支援部62は、ユーザ入力データを用いて、処理定義情報58に基づいて、妊娠の成立に大きく関係する排卵日の推測処理を行う。なおこの推測の排卵日は、前述の予測排卵日a3とは別であり、より詳しく総合的な推測による排卵日である。
サーバ1は、まずユーザ入力データ等から、下記(a)〜(h)のような要素の情報を取得または算出する。(a)排卵テストの結果である排卵有無等の情報。これは、ユーザ自身により行われた排卵チェッカー等を用いた排卵テストの結果の情報、あるいは医療機関や検査機関で行われた所定の検査の結果の情報である。排卵チェッカーは、例えば尿または血液中に含まれるLHの濃度等を検出する検査薬であり、排卵日の直前に高い値、即ち陽性となる。
(b)予測排卵日a3。これは、前述の月経期a1と月経周期a2とから予測される排卵日である。(c)排卵日の付近の日におけるタイミング法での性交の有無の情報。(d)ユーザ入力による、月経や頚管粘液の状態の情報等。(a),(c),(d)の情報は、後述の図27のような画面での入力値を用いることができる。
(e)ユーザ属性情報51による年齢やBMI等の情報。(f)ストレスの度合いまたは特定の症状の度合いの情報。(g)特定の運動の量等の情報。(h)特定の食事の量等の情報。(f)〜(h)は、ユーザ入力の症状データや行動データ及びその分析結果から得られる。
サーバ1は、上記(a)〜(h)のような要素の情報を用いて、排卵日を推測する。この推測の計算の仕方は、1つに限らず可能である。まず単純には、(a)の排卵テストによる排卵日をそのまま用いてもよいし、(b)の予測排卵日a3をそのまま用いてもよい。またサーバ1は、(d)〜(h)の情報を加味して次の排卵日を推測してもよい。またサーバ1は、ユーザの時系列上での排卵日の推測の結果の情報を蓄積し、推測の排卵日と排卵テストの結果の排卵日とのズレを算出及び考慮し、次回以降の推測へ反映及びフィードバックしてもよい。またサーバ1は、推測の結果及び精度を考慮し、管理者の設定や自動修正により、上記推測の計算式を更新してもよい。サーバ1は、各種の女性ホルモンの数値を加味して上記排卵日を推定してもよい。
[妊娠チェック(2)]
妊娠支援機能の(a)の妊娠チェックの機能の他の処理例は以下である。妊娠支援部62は、処理定義情報58、及び実施の形態1の傾向分析等の結果に基づいて、自然妊娠のしやすさの状態、妊娠の成立の可能性、不妊症の可能性、等を推定してもよい。
まず既存の妊娠テスト及び所定の検査により妊娠の成立の有無や可能性等を判定できるので、サーバ1は、妊娠テストの結果の情報がユーザ入力されている場合、それらの情報を利用する。妊娠テストは、ユーザあるいは医療機関等により行われた、妊娠検査薬等によるテストないし検査である。妊娠検査薬は、例えば尿または血液中に含まれる女性ホルモンであるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の濃度等を検出する。妊娠テストの結果の陽性は、妊娠の成立またはその可能性が高いことを示す。
サーバ1は、ユーザ入力の体温、月経、LH等の女性ホルモン数値を用いて、妊娠の成立の可能性の高さを推定してもよい。処理は、例えば、月経無しの状態、[ΔT≧0.3度]の状態、かつ、LH等の女性ホルモン数値が固有の数値範囲に該当する状態が所定日数以上続いている場合、妊娠の成立の可能性が高いと推定する。
不妊症の可能性を判定する場合の処理例は以下である。サーバ1は、時系列のユーザ入力データにおける、各期の体温、温度差ΔT、月経期a1、月経周期a2、予測排卵日a3、各期の日数、LH等の女性ホルモン数値、等の傾向を含むヘルス状態を判断する。サーバ1は、排卵日付近での性交有無を確認し、排卵テストや妊娠テストの結果を確認する。サーバ1は、所定の期間以上で、排卵日の付近での性交有りにも係わらず、妊娠が成功していない場合、「不妊症」の可能性有りと判定し、対応するメッセージを出力する。出力例は、「月経及び女性ホルモンの数値から、不妊症の可能性が推定されますので、気になる場合は受診をお奨めします。例えば医療機関A等は、不妊症に関する治療Aや検査Aを提供しています。」等である。なお実施の形態1及び2は、不妊症に限らず、他の診療科の疾患を含め、妊娠の可能性を低める各種の疾患の可能性をチェックし、対処を促してもよい。これにより妊娠の可能性を高めることができる。
[妊娠チェック(3)]
妊娠チェックの1つとして、自然妊娠のしやすさの状態を判定する処理例は以下である。パートナー管理機能及び妊娠支援機能は、妊娠のしやすさに影響する、男女の各ユーザの行動や症状等の傾向を含む状態を、実施の形態1のように分析し把握する。妊娠支援機能は、男女のユーザのヘルス状態の把握に基づいて、妊娠のしやすさの状態を表す指標値、あるいは生殖能力を表す指標値を算出する。当該指標値は目安の参考情報である。妊娠支援機能は、上記男女のユーザの状態や指標値を含むメッセージを提供し、また当該男女がより妊娠しやすい状態となるように、お奨めの行動等のメッセージを提供する。
妊娠支援機能は、下記行動や症状の状態を加味して、上記指標値を算出してもよい。例えば、女性ユーザAの行動の傾向として、過度の運動、運動不足、過食、ダイエット、不規則な食事、偏った食品、等が把握される。また女性ユーザAにおける高いストレスや特定の症状等が把握される。これらの状態は、体温や月経や女性ホルモン等の状態に影響し、子宮や卵巣等の生殖能力に係わる状態に影響し、即ち妊娠のしやすさに影響する。同様に、男性ユーザBにおける行動や生殖能力に係わる状態が把握される。妊娠支援機能は、上記行動や症状の状態が良くない場合、その分上記指標値が低い値となるように計算する。
また妊娠支援機能は、ユーザの時系列の登録データにおける対象期間での例えば月経周期a2等の周期的な安定性を判断し、当該安定性が高い場合、上記指標値を高い値としてもよい。また妊娠支援機能は、ユーザ属性情報51の年齢、疾患、既往症等の値を加味して、上記指標値を算出してもよい。例えば年齢が高い場合、その分、生殖能力の指標値が低くなるように計算される。
また妊娠支援機能は、上記男女のパートナーのヘルス状態の組合せから、妊娠のしやすさ等を判定し、判定結果のメッセージを男女のユーザへ提供してもよい。例えば、女性ユーザAのヘルス状態の数値と、男性ユーザBのヘルス状態の数値との乗算等により、当該カップルの単位での指標値が算出される。例えば女性ユーザAの生殖能力が高い状態であっても、男性ユーザBの生殖能力が相対的に低い状態である場合、当該男女のカップルの単位での妊娠のしやすさが低いと判定される。そして出力メッセージは、その旨の情報や指標値が通知される。特に男性ユーザBへ行動や治療のお奨め等で働きかける。男女のユーザは、上記情報を見ることで、自分たちの妊娠活動の活動性や妊娠のしやすさを意識することができる。
[コーチング]
妊娠支援機能の(b)のコーチングの機能の処理例は以下である。妊娠支援部62は、男性ユーザBに対する出力メッセージ情報として、女性ユーザAとの妊娠活動を活性化するためのコーチング、アドバイス、お奨め等の情報を参考情報として提供する。コーチングは、言い換えると、妊娠の成功の目標を実現するための、あるいは妊娠の可能性を少しでも高めるための、支援や提案である。コーチングの機能は、パートナーの女性ユーザAと男性ユーザBとの間でのコミュニケーション等を含む係わり合いや行動を活性化するためのコーチング情報を含むメッセージを提供する。これにより、男女の妊娠活動を促し、妊娠の可能性を高める。コーチングの例は以下で示す。
実施の形態2でのユーザの端末2の画面例として、実施の形態1のMYカルテの画面、カレンダーの画面、1日単位の入力欄、情報項目毎の入力欄、等を同様に提供する。他の画面例は以下である。
[女性ユーザ画面]
図25は、女性ユーザAの端末2Aの第1の画面例を示す。端末2Aは、スマートフォン等の場合である。図25の画面は、女性ユーザAの自分用の情報を表示する画面として、カレンダーの今日1日分の単位で各種の情報を表示する。この画面は、「To Do」欄251、「NEW」欄252、メニュー253等を有する。
「To Do」欄251は、女性ユーザAの今日1日分の「To Do」、即ちすべきことのリスト情報を表示する。女性ユーザAは、別の画面、例えば前述のカレンダーの画面で、日付を選択し、「To Do」情報をテキストや選択肢で登録できる。これにより登録された情報が「To Do」欄251に表示される。「To Do」情報の例は、例えば検査薬の購入、通院や検査の予定、運動や食事等の行動の予定等、自由に可能である。
「NEW」欄252は、ユーザのヘルス状態に応じた最新の出力メッセージ情報を表示する。出力メッセージは、前述の傾向分析や行動抽出や疾患リスク警告や妊娠チェック等の結果を含む。
メニュー253は、機能の選択操作のためのメニューボタンを示す。メニュー253で、例えば「HOME」、「グラフ」、「カレンダー」、「パートナー」、「設定」等がある。「HOME」ボタンからはサービスのHOMEの画面、あるいは前述の「MYカルテ」のような画面へ遷移できる。「グラフ」ボタンからは、体温月経グラフ等のグラフを表示する画面へ遷移できる。「カレンダー」ボタンからは、カレンダーの画面へ遷移できる。「パートナー」ボタンからは、パートナー情報を表示する画面へ遷移できる。「設定」ボタンからは、パートナー登録等のユーザ設定用の画面へ遷移できる。
ユーザは、「パートナー」ボタンにより、自分の情報とパートナー情報との表示を切り替えできる。例えば女性ユーザAは、「パートナー(夫)」ボタンから、パートナーP2である男性ユーザBの情報を表示する画面へ遷移できる。パートナー情報の画面は、パートナーのユーザが閲覧する内容と同様の情報を表示する。また女性ユーザAは、パートナー情報の画面から自分の情報の画面へ戻る場合、再度「パートナー(自分)」ボタンを押せばよい。「(夫)」「(自分)」はパートナーの区別の情報を示す。
「パートナー」ボタンの押下の場合、アプリ20は、サーバ1へ、パートナー情報の閲覧を要求する。サーバ1は、女性ユーザAの端末2Aから要求を受けた場合、要求されたパートナーP2の男性ユーザBの情報をDB50から読み出し、女性ユーザAの端末2Aへ送信する。これにより、女性ユーザAは、パートナー情報の画面でパートナーP2である男性ユーザBの情報を閲覧できる。男女が逆の場合も同様の処理である。なお女性ユーザAは、当該画面で、パートナーの男性ユーザBの代わりに男性ユーザBの情報を入力でき、その逆も同様に可能である。
図26は、女性ユーザAの端末2Aでの第2の画面例として、パートナーの男性ユーザBの情報を閲覧する場合、及びユーザ設定例を示す。この画面は、「パートナー情報」欄261、「設定」欄262等を有する。
「パートナー情報」欄261は、図25の「パートナー」ボタンからの遷移に応じて、パートナーP2である男性ユーザBの前述のMYカルテの情報として、ユーザ属性情報、グラフ、カレンダー、及び分析結果の出力メッセージ等の各種の情報のすべて、あるいは指定された1つの情報を表示する。
「設定」欄262は、パートナー登録のユーザ設定情報を表示する例を併せて示す。通常、端末2の画面全体に「パートナー情報」欄261の情報を表示し、「設定」欄262の情報は図25の「設定」ボタンに応じて別途表示される。「設定」欄262は、パートナーとして登録するユーザの設定や、閲覧や入力の対象とする所定の項目や、権限の設定が可能である。
図27は、女性ユーザAの端末2Aでの第3の画面例として、自分用のデータ記録の画面例を示す。この画面は、今日1日の入力の情報項目として、基礎体温、月経有り、排卵テスト、妊娠テスト、タイミング法(性交)、分泌物の量、ストレスや症状、つぶやき等がある。排卵テスト項目は、排卵テストの結果の陽性/陰性を入力できる。妊娠テスト項目は、妊娠テストの結果の陽性/陰性を入力できる。タイミング法(性交)の項目は、性交有無を入力できる。ストレスや症状の項目は、ストレスや症状の有無や度合い等を入力できる。つぶやき項目は、気持ちやメモ等を示す任意のテキストを入力でき、気持ち等を顔マークで選択入力できる。
[男性ユーザ画面]
図28は、女性ユーザAに対するパートナーP2である男性ユーザBの端末2Bでの画面例を示す。この画面は、男性ユーザBが主に自分用の情報を閲覧する画面例であり、その中にパートナー情報を表示する部分を含んでいる。この画面は、「To Do」欄291、「見守り」欄292、「forパートナー」の欄293、メニュー294、等を含む。
「To Do」欄291は、男性ユーザBの自分用の「To Do」情報を女性ユーザAの場合と同様に表示する。男性ユーザBは、「To Do」欄291で自分の「To Do」情報を確認できる。「To Do」情報により、各ユーザは、妊娠活動、治療及び検査等の活動を効率化できる。なお「To Do」欄291に、パートナーP1である女性ユーザAの「To Do」欄251の情報と同様の内容を自動的に表示するようにしてもよい。またパートナーP1の女性ユーザAの「To Do」欄251の情報を表示する項目を別に設けてもよい。
「見守り」欄292は、パートナーP1の女性ユーザAの情報のうち、特に見守り項目としてユーザ設定される所定の項目の情報を表示する。パートナー情報通知の機能により、当該見守り項目の情報を表示する。例えば女性ユーザAまたは男性ユーザBにより、女性ユーザAの月経周期、予測排卵日等が、見守り項目としてユーザ設定される。その場合、「見守り」欄292に、女性ユーザAの最新の月経周期a3、予測排卵日a3等の数値が自動的に表示される。「見守り」欄292の情報により、男性ユーザBは、自分の端末2Bで、パートナーP1の女性ユーザAに関する見守り項目の情報をいつもすぐに確認できる。即ちパートナーのヘルス状態等を確認しやすい。各ユーザは、自分が気になる情報の項目を見守り項目として設定できる。女性ユーザAの画面に見守り項目を設ける場合も同様である。
「forパートナー」の欄293は、男性ユーザBに対する出力メッセージ情報を表示する欄であり、特に、パートナーP1の女性ユーザAのための情報の表示を含む。パートナー管理部61及び妊娠支援部62は、この欄293に表示するためのコーチング情報を含むメッセージを生成する。なお図25の女性ユーザAの画面にも同様に「forパートナー」欄を設けて、女性ユーザAに対するコーチング情報等を表示してもよい。上記「見守り」や「forパートナー」の欄を統合してもよいし、「コーチング」の欄を別に設けてもよい。
欄293の出力メッセージは、パートナーP1の女性ユーザAのヘルス状態の傾向分析、行動抽出、疾患リスク警告、等の結果のメッセージを含む。例えば、女性ユーザAのヘルス状態として、過去の症状の抽出や分析の結果から、先月や前回月経周期でのストレス有りの日数が多かったとする。妊娠支援機能は、女性ユーザAのヘルス状態を伝えるメッセージを、この欄293内に表示する。メッセージ例は「ユーザAさんは先月ストレス有りが〜日でした。」等である。他の例は、女性ユーザAの登録のつぶやきのテキストの解析結果のメッセージを表示する。例えばポジティブワードやネガティブワード、及びその登録日数や出現回数等を伝えるメッセージである。
また欄293の出力メッセージは、特に295に例示するように、パートナーの女性ユーザAとの妊娠活動に係わるコーチング情報の表示を含む。295は、コーチング情報として、男性ユーザBから女性ユーザAへ働きかけるための行動のアドバイスやお奨め等のメッセージの例である。
コーチングの機能は、コーチング管理情報72を用いて、女性ユーザAの登録及び分析結果等のデータに基づいて、妊娠活動の活性化のためのコーチング情報を生成及び決定する。コーチング管理情報72は、上記コーチング情報の生成及び提供のための処理内容や具体的な行動等の情報が設定される。例えば女性ユーザのヘルス状態と、出力のコーチング情報の候補である行動のアドバイス等の情報とが関連付けて設定される。
妊娠支援機能は、上記女性ユーザAのヘルス状態、例えば、特定の症状、ストレスの高さ、ネガティブワードの多さ、等の状態を判定する。また妊娠支援機能は、当該症状等の判定の状態から、更にユーザのヘルス状態の良好や安定の度合いの状態を判定してもよい。例えば「安定な状態」「やや不安定な状態」「不安定な状態」等である。そして、コーチングの機能は、上記女性ユーザAのヘルス状態を踏まえ、当該状態に応じた、男性ユーザBによる女性ユーザAへの働きかけの行動のアドバイスやお奨め等のコーチング情報を、コーチング管理情報72に基づいて決定する。コーチングの情報は、例えば、気遣う、確認する、話しかける、手を握る、等の具体的な働きかけの行動の提案を含む。またコーチングの情報は、提案する理由である女性ユーザAの状態、例えば「高いストレス」「やや不安定な状態」等を含めてもよい。
他のコーチングは、前述のように、ユーザのヘルス状態に応じた治療や検査等の受診勧奨を含んでもよい。他のコーチングは、ユーザの生殖能力を含むヘルス状態に応じて、行動のアドバイス等を提供してもよい。例えば検査結果から卵巣や精子の状態が良好でない場合に、改善のために有効と考えられる運動や食事等のアドバイスを提供してもよいし、ユーザの登録の行動のうちで抑制すべき行動を提案してもよい。他のコーチングは、男女で一緒にできる行動、例えば娯楽やイベント等のお奨めの情報を含んでもよい。これによりパートナー間のコミュニケーション等を促す。
またコーチングの機能は、パートナーの男女のヘルス状態を見比べて、コーチング情報を決定する。例えば男女の一方が良好な状態、他方が良好でない状態の場合、良好な状態のユーザに対して良好でない状態のユーザを気遣うような内容のコーチング情報を出力する。また男女の両者が良好な状態の場合、男女の両者が良好でない状態の場合等の各場合に応じた情報が出力される。
図29は、男性ユーザBの端末2Bでの第2の画面例として、データ記録における前述の検査結果の情報を入力する例を示す。自然妊娠を目的とする場合で、一定期間を自助努力する場合は、男性の生殖能力が問題無い事が前提となる。そのため、男性の生殖能力に関する検査は、一度は実施される事が望ましく、その事が実施の形態2を使用する前提となる。検査結果の情報は、男性の生殖機能に大きく係わる情報である。この画面は、項目として、検査日、精液量、総精子量、濃度、運動率、生存率、正常形態率、つぶやき等がある。その他、男性ユーザの画面は、女性ユーザの画面と同様に、ヘルス状態に係わる各種の症状やストレス等の入力欄を設けてもよい。また、検査項目は、グラフで履歴を時系列で参照する事が可能である。
[効果等]
実施の形態2による効果として以下が挙げられる。男女のパートナーの各ユーザは、まず実施の形態1の機能により、グラフやメッセージを参考に自分のヘルス状態を認識でき、自分の行動等の記録や予定ができる。そして、実施の形態2の機能により、パートナーとして登録される男女の各ユーザは、パートナー間で互いに情報を共有し閲覧や入力が容易にできる。パートナー同士は、互いのヘルス状態や行動や気持ち等を参照や確認しあうことができる。男女の各ユーザは、カレンダーや「To Do」、パートナー情報を見て、パートナーとの行動等の予定やスケジュールの共有ができる。男女のユーザは、意思やスケジュール等を合わせながら、連携及び協調して妊娠活動に取り組むことができる。仕事等と両立した妊娠活動もしやすい。パートナー情報を見ることで、男女の相互理解やコミュニケーションが進み、互いの気持ちを理解しやすい。
本システムは、傾向分析等に基づいて下記のような関連性を含めて男女のヘルス状態を把握し、妊娠活動のアドバイス等を提供するので、妊娠の可能性を高くできる。医学的に、ユーザの生活習慣等の行動と、体温、月経、精子、女性ホルモン等の要素の状態と、症状やストレスの状態と、男女の生殖能力、妊娠のしやすさの状態、妊娠や不妊の可能性、及び疾患の可能性等の状態とは関連がある。特に、行動の傾向や、各要素の時系列の数値における周期的な安定性を含む変動の傾向の状態は、生殖能力や妊娠や疾患の可能性と関連が大きいと言われる。
例えば女性ユーザAにおける不適切な運動や食事等の行動、仕事のストレスやパートナーとの関係でのストレス等から、体温差や月経周期や女性ホルモン等の乱れ、不安定につながり、いわゆる生理不順や生理痛、うつ等の症状や気持ちの乱れ等に表れる。更に程度によっては特定の疾患のリスクも高まる。男性ユーザBの場合も同様に、行動やストレス等の不良の状態は、検査結果の精子や男性ホルモンの減少等の状態に影響し、即ち乏精子症等の疾患、生殖能力の低下、不妊の原因につながる。
従来、妊娠に関する男性用のサービスは無く、また、男女のパートナーの妊娠活動を支援するサービスは無かった。本システムは、特に女性だけでなく男性に対しても関与して支援やコーチングを行う。パートナーの妊娠活動の支援により、女性単独での妊娠活動の場合に比べ、自然妊娠等の成功率を高めることができる。また不妊治療の場合も、パートナーの連携での活動を支援できる。不妊症治療の不安な気持ちも、男女で共有し和らげることができる。妊娠前だけでなく、妊娠中や出産後の段階においても、上記同様にヘルス状態をケアすることができる。
本発明は、上記実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。他の実施の形態として以下が挙げられる。本システムは、ユーザの端末2のアプリ20でのユーザ入力によるデータ量やデータ入力された日数等をカウントして指標値として管理する。サーバ1は、上記指標値を記憶し、アプリ20の画面に表示する。本システムは、上記指標値に応じて、ユーザにサービス上の特典等を与えてもよい。これによりユーザは、いっそうデータ入力の意欲が持ちやすい。