JP2020075141A - 痛み推定装置及び痛み推定方法並びに痛みの分類 - Google Patents

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Abstract

【課題】推定対象が有する痛みを客観的かつ正確に推定することができる痛み推定装置を提供する。【解決手段】推定対象の脳波に基づいて推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定装置110であって、推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波データまたはその分析データを取得する測定部111と、脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅)及び痛みの関係の線形性に基づいて、複数の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅)から、複数回の脳波測定が行われた際の相対的な痛みの大きさを推定する推定部112と、を備える。また、推定対象が有する痛みを客観的かつ正確に推定し、さらにその質および量を簡易に分類することができる痛み推定方法および装置を提供し、推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類するための疼痛分類値を生成する。【選択図】図9

Description

本発明は、推定対象の脳波に基づいて推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定装置及び痛み推定方法に関する。本発明はまた、推定対象から得られる脳波などの生体信号を、疼痛関数(例えば、変調範囲を線形近似した一次関数、もしくはそれを内包するより包括的なシグモイド関数)に適用し、これにより得られる特性値を用いて痛みの質および量を分類することに関する。より特定すると、本発明は、個人差がある痛みレベル(例えば、弱い痛み、強い痛みなど)を信号値から客観的に示すことに関する。
痛みは、本質的には主観的なものであるが、治療を行う上では客観的に評価されることが望まれる。痛みが過小評価されることにより、患者が不利益を被る場面が多くみられる。そこで、脳波を用いて痛みを客観的に推定する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
しかし、痛みの強さは主観的なものであり、客観的な評価が難しい。特に我慢できない痛みなのか、ある程度許容される痛みなのか、主観的に「痛い」というだけでは表現することができず、個人における表現も多様であるため客観的な評価が困難であるが、治療効果を見る場合は、痛みの分類を行うことが望ましいが、そのような技術は提供されていない。
特表2010−523226号公報
本発明は、複数の痛みの状態における複数の個体の脳波活動を示すデータを参照データとして用いるときに、痛みを正確に推定できない問題を、疼痛関数(例えば、変調範囲を線形近似した一次関数、もしくはそれを内包するより包括的なシグモイド関数)を用いることで解決した。
すなわち、本発明は、推定対象が有する痛みを客観的かつ正確に推定することができる痛み推定装置を提供する。
本発明はまた、推定対象が有する痛みを客観的かつ正確に推定し、さらにその質および量を簡易に分類することができる痛み推定方法および装置を提供する。本発明はまた、そのような痛み分類のための疼痛分類値を生成する技術を提供する。
本発明の一態様に係る痛み推定装置は、推定対象の脳波に基づいて前記推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定装置であって、前記推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)を取得する測定部と、脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅)及び痛みの関係の疼痛関数(ここでは、例えば、疼痛関数パターンとして、線形性のもの、非線形性のものを含み得る。したがって、例えば、線形性に基づくことができる。)に基づいて、前記複数の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)から、前記複数回の脳波測定が行われた際の相対的な痛みの大きさを推定する推定部と、を備える。線形性は、振幅以外でも、脳波特徴量であれば、周波数でも、ウェーブレット処理値でも言え、脳波特徴量ばかりでなく、主観評価でも変調範囲の線形性は見られる。
この構成によれば、脳波またはその分析データ(例えば、振幅を含む)及び痛みの関係の線形性に基づいて、複数の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)から、複数回の脳波測定が行われた際の相対的な痛みの大きさを推定することができる。脳波またはその分析データ(例えば、振幅を含む)及び痛みの間に線形性があることは、本発明者が解明した現象である。この脳波またはその分析データ(例えば、振幅を含む)及び痛みの関係の線形性を利用することで、推定対象から申告された痛みの大きさを用いなくても痛みの大きさを推定することができ、推定対象が有する痛みを客観的かつ正確に推定することが可能となる。さらに、推定対象などから事前に脳波データを収集する必要もないため、より容易に痛みの大きさの推定を行うことができる。
また例えば、前記複数の脳波データは、第1の脳波データと第2の脳波データとを含み、前記推定部は、(i)前記第1の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)が前記第2の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)よりも大きい場合、前記第1の脳波データに対応する第1の痛みが前記第2の脳波データに対応する第2の痛みより大きいと推定し、(ii)前記第1の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)が前記第2の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)よりも小さい場合、前記第1の痛みが前記第2の痛みより小さいと推定してもよい。
この構成によれば、第1の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)と第2の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)とを比較することにより、第1の脳波データまたはその分析データに対応する第1の痛みと第2の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)に対応する第2の痛みとのどちらの痛みが大きいかを推定することができる。したがって、例えば、治療前及び治療後に脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)を測定することで、治療前及び治療後の痛みの大きさを比較することができ、治療の効果を評価することができる。
また例えば、前記複数の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)は、さらに、第3の脳波データまたはその分析データ及び第4の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)を含み、前記推定部は、さらに、前記第1の脳波データのまたはその分析データ(例えば、振幅値を含む)及び前記第2の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅値を含む)の第1の差異値と、前記第3の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅値を含む)及び前記第4の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅値を含む)の第2の差異値とに基づいて、前記第1の痛みから前記第2の痛みへの第1の変化と、前記第3の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)に対応する第3の痛みから前記第4の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)に対応する第4の痛みへの第2の変化との相対的な変化量を推定してもよい。
この構成によれば、2組の脳波データまたはその分析データのペアの振幅等のデータの差異値を比較することにより、相対的な痛みの変化量を推定することができる。したがって、例えば、第1の治療による痛みの変化と、第2の治療による痛みの変化とを比較することができ、第1の治療及び第2の治療の効果を相対的に評価することができる。
本発明の他の一態様に係る痛み推定装置は、推定対象の脳波に基づいて前記推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定装置であって、複数の大きさの刺激が順に与えられた推定対象から脳波測定を行うことにより、各大きさの刺激に対応する脳波データを取得する測定部と、前記脳波データに基づいて、前記推定対象の脳波またはその分析データ(例えば、振幅を含む)の上限値及び下限値を特定する特定部と、を備え、前記測定部は、さらに、前記推定対象から脳波測定を行うことにより、対象脳波データを取得し、前記痛み推定装置は、さらに、前記上限値及び前記下限値に対する前記対象脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)の相対的な大きさに基づいて、前記対象脳波データに対応する痛みの大きさの値を推定する推定部を備える。
この構成によれば、推定対象の脳波またはその分析データ(例えば、振幅を含む)の上限値及び下限値に対する対象脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅値を含む)の相対的な大きさに基づいて、対象脳波データに対応する痛みの大きさの値を推定することができ、痛みの大きさの定量化を図ることができる。また、上限値及び下限値の特定並びに痛みの大きさの値の推定のいずれにも、推定対象から申告された痛みの大きさを用いなくてもよく、推定対象が有する痛みを客観的に推定することが可能となる。
また例えば、前記推定部は、前記上限値と前記下限値との差異値に対する前記対象脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅値を含む)と前記下限値との差異値の比率を前記痛みの大きさの値と推定してもよい。
この構成によれば、上限値と下限値との差異値に対する対象脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅値を含む)と下限値との差異値の比率を用いて、痛みの大きさの値を推定することができる。したがって、より容易に痛みの大きさの値の推定を行うことができる。
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本発明はさらに以下を提供する。
(A1)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定装置であって、
該推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波データまたはその分析データを取得する測定部と、
脳波データまたはその分析データ及び痛みの関係の疼痛関数に基づいて、該複数の脳波データまたはその分析データから、該複数回の脳波測定が行われた際の相対的な痛みの大きさを推定する推定部と、を備える、
痛み推定装置。
(A2)前記複数の脳波データまたはその分析データは、第1の脳波データまたはその分析データと第2の脳波データまたはその分析データとを含み、
前記推定部は、
(i)該第1の脳波データまたはその分析データが該第2の脳波データまたはその分析データよりも大きい場合、該第1の脳波データに対応する第1の痛みが該第2の脳波データに対応する第2の痛みより大きいと推定し、
(ii)該第1の脳波データまたはその分析データが該第2の脳波データまたはその分析データよりも小さい場合、該第1の痛みが該第2の痛みより小さいと推定する、
項目A1に記載の痛み推定装置。
(A3)前記複数の脳波データまたはその分析データは、さらに、第3の脳波データまたはその分析データ及び第4の脳波データまたはその分析データを含み、
前記推定部は、さらに、前記第1の脳波データまたはその分析データ及び前記第2の脳波データまたはその分析データの第1の差異値と、該第3の脳波データまたはその分析データ及び該第4の脳波データまたはその分析データの第2の差異値とに基づいて、前記第1の痛みから前記第2の痛みへの第1の変化と、該第3の脳波データに対応する第3の痛みから該第4の脳波データに対応する第4の痛みへの第2の変化との相対的な変化量を推定する、
項目A1またはA2に記載の痛み推定装置。
(A4) 前記痛みと前記脳波データまたはその分析データとを、疼痛関数にフィッティングさせて該推定対象に特異的な疼痛関数を得、該疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定する、疼痛分類値生成部をさらに備え、
該脳波データまたはその分析データを該疼痛分類値にフィッティングさせ、該推定対象の疼痛レベルを分類する疼痛分類部と
をさらに備える、項目A1〜A3のいずれか一項記載の装置。
(A5)前記脳波データまたはその分析データは脳波の振幅である、項目A1〜A4のいずれか一項に記載の装置。
(A6)前記疼痛関数は、一次関数またはシグモイド関数(例えば、変調範囲を線形近似した一次関数、もしくはそれを内包するより包括的なシグモイド関数)を含む、項目A4またはA5に記載の装置。
(A6A)前記疼痛関数に基づくことは、線形および非線形を含む疼痛関数パターンに基づくことを含み、好ましくは線形性に基づくことを含む、項目A1〜A6のいずれか一項に記載の装置。
(A7)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定方法であって、
該推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波データまたはその分析データを取得する測定ステップと、
脳波データまたはその分析データ及び痛みの関係の疼痛関数に基づいて、該複数の脳波データまたはその分析データから、該複数回の脳波測定が行われた際の相対的な痛みの大きさを推定する推定ステップと、を含む、
痛み推定方法。
(A8)前記脳波データまたはその分析データは脳波の振幅である、項目A7に記載の方法。
(A9)前記推定ステップは、前記脳波データまたはその分析データを所定の疼痛関数にフィッティングさせ、該推定対象の疼痛レベルを分類することを含み、該疼痛分類値は、該推定対象の脳波データまたはその分析データの疼痛関数曲線へのフィッティングによって得られるものである、項目A7またはA8に記載の方法。
(A10)前記疼痛関数は、一次関数またはシグモイド関数(例えば、変調範囲を線形近似した一次関数、もしくはそれを内包するより包括的なシグモイド関数)を含む、項目A9に記載の方法。
(A10A)項目A1〜A6およびA6Aのいずれかまたは複数の特徴をさらに含む、項目A7〜A10のいずれかに記載の方法。
(A11)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定方法をコンピュータに実装するプログラムであって、該方法は
該推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波データまたはその分析データを取得する測定ステップと、
脳波データまたはその分析データ及び痛みの関係の疼痛関数に基づいて、該複数の脳波データまたはその分析データから、該複数回の脳波測定が行われた際の相対的な痛みの大きさを推定する推定ステップと、を含む、
プログラム。
(A11A)項目A1〜A6、A6A、A7〜A10およびA10Aのいずれかまたは複数の特徴をさらに含む、項目A11に記載のプログラム。
(A12) 推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定方法をコンピュータに実装するプログラムを格納した記録媒体であって、該方法は
該推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波データまたはその分析データを取得する測定ステップと、
脳波またはその分析データ及び痛みの関係の疼痛関数に基づいて、該複数の脳波データの振幅から、該複数回の脳波測定が行われた際の相対的な痛みの大きさを推定する推定ステップと、を含む、
記録媒体。
(A12A)項目A1〜A6、A6A、A7〜A10、A10A、A11およびA11Aのいずれかまたは複数の特徴をさらに含む、項目A12に記載の記録媒体。
(A13)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定装置であって、
複数の大きさの刺激が順に与えられた推定対象から脳波測定を行うことにより、各大きさの刺激に対応する脳波データまたはその分析データを取得する測定部と、
該脳波データまたはその分析データに基づいて、該推定対象の脳波データまたはその分析データの上限値及び下限値を特定する特定部と、を備え、
該測定部は、さらに、該推定対象から脳波測定を行うことにより、対象脳波データまたはその分析データを取得し、
該痛み推定装置は、さらに、
該上限値及び前記下限値に対する該対象脳波データまたはその分析データの値の相対的な大きさに基づいて、該対象脳波データまたはその分析データに対応する痛みの大きさの値を推定する推定部を備える、
痛み推定装置。
(A14)前記推定部は、前記上限値と前記下限値との差異値に対する前記対象脳波データまたはその分析データの値と該下限値との差異値の比率を前記痛みの大きさの値と推定する、
項目A13に記載の痛み推定装置。
(A15)前記痛みと前記脳波データまたはその分析データとを、疼痛関数にフィッティングさせて該推定対象に特異的な疼痛関数を得、該疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定する、疼痛分類値生成部をさらに備え、
該脳波データまたはその分析データを該疼痛分類値に基づいて該推定対象の疼痛レベルを分類する疼痛分類部と
をさらに備える、項目A13またはA14に記載の装置。
(A16)前記脳波データまたはその分析データは振幅を含む、項目A13〜A15のいずれか一項に記載の装置。
(A17)前記疼痛関数は、一次関数またはシグモイド関数を含む、項目A13〜16のいずれか一項に記載の装置。
(A17A)項目A1〜A6、A6A、A7〜A10、A10A、A11、A11A、A12およびA12Aのいずれかまたは複数の特徴をさらに含む、項目A13〜A17のいずれか一項に記載の装置。
(A18) 推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定方法であって、
複数の大きさの刺激が順に与えられた推定対象から脳波測定を行うことにより、各大きさの刺激に対応する脳波データまたはその分析データを取得する第1測定ステップと、
該脳波データまたはその分析データに基づいて、該推定対象の脳波データまたはその分析データの上限値及び下限値を特定する特定ステップと、
該推定対象から脳波測定を行うことにより、対象脳波データまたはその分析データを取得する第2測定ステップと、
該上限値及び前記下限値に対する該対象脳波データまたはその分析データの値の相対的な大きさに基づいて、該対象脳波データに対応する痛みの大きさの値を推定する推定ステップと、を含む、
痛み推定方法。
(A19)前記脳波データまたはその分析データは振幅を含む、項目A18に記載の方法。
(A20) 前記推定ステップは、前記脳波データまたはその分析データを所定の疼痛分類値に基づいて、該推定対象の疼痛レベルを分類することを含み、該疼痛分類値は、該推定対象の脳波データまたはその分析データの、疼痛関数へのフィッティングによって得られるものである、項目A18またはA19に記載の方法。
(A21)前記疼痛関数は、一次関数またはシグモイド関数を含む、項目A20に記載の方法。
(A22)前記疼痛関数は変調範囲を線形近似した一次関数、もしくはそれを内包するより包括的なシグモイド関数を含む、項目A20またはA21に記載の方法。
(A22A)項目A1〜A6、A6A、A7〜A10、A10A、A11、A11A、A12、A12A、A13〜A17およびA17Aのいずれかまたは複数の特徴をさらに含む、項目A18〜A22のいずれか一項に記載の方法。
(A23) 推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定方法をコンピュータに実装するプログラムであって、該方法は
複数の大きさの刺激が順に与えられた推定対象から脳波測定を行うことにより、各大きさの刺激に対応する脳波データまたはその分析データを取得する第1測定ステップと、
該脳波データまたはその分析データに基づいて、該推定対象の脳波データまたはその分析データの上限値及び下限値を特定する特定ステップと、
該推定対象から脳波測定を行うことにより、対象脳波データまたはその分析データを取得する第2測定ステップと、
該上限値及び前記下限値に対する該対象脳波データまたはその分析データの値の相対的な大きさに基づいて、該対象脳波データに対応する痛みの大きさの値を推定する推定ステップと、を含む、
プログラム。
(A23A)項目A1〜A6、A6A、A7〜A10、A10A、A11、A11A、A12、A12A、A13〜A17、A17A、項目A18〜A22およびA22Aのいずれかまたは複数の特徴をさらに含む、項目A23に記載のプログラム。
(A24) 推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定方法をコンピュータに実装するプログラムを格納した記録媒体であって、該方法は
複数の大きさの刺激が順に与えられた推定対象から脳波測定を行うことにより、各大きさの刺激に対応する脳波データまたはその分析データを取得する第1測定ステップと、
該脳波データまたはその分析データに基づいて、該推定対象の脳波データまたはその分析データの上限値及び下限値を特定する特定ステップと、
該推定対象から脳波測定を行うことにより、対象脳波データまたはその分析データを取得する第2測定ステップと、
該上限値及び前記下限値に対する該対象脳波データまたはその分析データの値の相対的な大きさに基づいて、該対象脳波データに対応する痛みの大きさの値を推定する推定ステップと、を含む、
記録媒体。
(A24A)項目A1〜A6、A6A、A7〜A10、A10A、A11、A11A、A12、A12A、A13〜A17、A17A、項目A18〜A22、A22A、A23およびA23Aのいずれかまたは複数の特徴をさらに含む、項目A24に記載の記録媒体。
(A25) 推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類するための疼痛分類値を生成する方法であって
a)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップと
b)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得するステップと、
c)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、疼痛関数にフィッティングさせて該推定対象に特異的な疼痛関数を得るステップと、
d)該特異的な疼痛関数へのフィッティングの回帰係数が所定以上の場合、該特異的な疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値(pain classifier)を特定するステップとを含む、方法。
(A26)前記疼痛レベルの分類が最大限になるように疼痛分類値を較正するステップをさらに包含する、項目A25に記載の方法。
(A27)前記疼痛分類値は疼痛関数の変曲点または中央値に基づいて定められ、必要に応じて、該疼痛レベルの分類が最大限になるように疼痛分類値を較正するステップをさらに包含する、項目A25またはA26に記載の方法。
(A28)前記分類は、前記推定対象の主観に基づき痛いか痛くないかを分類する、項目A25〜A27のいずれか一項に記載の方法。
(A29)前記刺激強度は該推定対象に対する侵襲性が高い強度を少なくとも1つ含む、項目A25〜A28のいずれか一項に記載の方法。
(A30)前記刺激強度は該推定対象に対する侵襲性が高い強度を含まない項目A25〜A29のいずれか一項に記載の方法。
(A31)前記脳波データまたはその分析データは、振幅データ、および周波数特性からなる群より選択される少なくとも1つを含む、項目A25〜A30のいずれか一項に記載の方法。
(A32)前記疼痛関数は、一次関数またはシグモイド関数を含む、項目A25〜A31のいずれか一項に記載の方法。
(A33)前記疼痛関数は、変調範囲を線形近似した一次関数、もしくはそれを内包するより包括的なシグモイド関数を含む、項目A25〜A32のいずれか一項に記載の方法。
(A34)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類するための疼痛分類値を生成する装置であって
A)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激する刺激部と
B)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得する脳波データ取得部と
C)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、疼痛関数にフィッティングさせて該推定対象に特異的な疼痛関数を得、該特異的な疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定する、疼痛分類値生成部と
を含む、装置。
(A35)項目A25〜A33に記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目A34に記載の装置。
(A36)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する方法であって
a)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップと
b)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得するステップと
c)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、疼痛関数にフィッティングさせて該推定対象に特異的な疼痛関数を得るステップと、
d)前記特異的な疼痛関数へのフィッティングの回帰係数が所定以上の場合、該特異的な疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定するステップと
e)該推定対象の脳波データまたはその分析データを得るステップと
f)該脳波データまたはその分析データを該疼痛分類値に基づいて該推定対象の疼痛レベルを分類するステップと
を含む、方法。
(A37)前記脳波データまたはその分析データの前記疼痛分類値に基づく分類は、平均値で行うことを特徴とする、項目A36に記載の方法。
(A38)前記平均値は、約15秒〜120秒の間の平均値で行うことを特徴とする、項目A37に記載の方法。
(A39)前記疼痛関数は、一次関数またはシグモイド関数を含む、項目A36〜38のいずれか一項に記載の方法。
(A39A)項目A25〜A35に記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目A36〜39のいずれか一項に記載の方法。
(A40)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する装置であって
A)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激する刺激部と
B)該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得する脳波データ取得部と
C)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、疼痛関数にフィッティングさせて該推定対象に特異的な疼痛関数を得、該特異的な疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定する、疼痛分類値生成部と
D)該脳波データまたはその分析データを該疼痛分類値に基づいて該推定対象の疼痛レベルを分類する疼痛分類部と
を含む、装置。
(A41)項目A25〜A39に記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目A40に記載の装置。
(A42) 推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する方法であって
e)該推定対象の脳波データまたはその分析データを得るステップと
f)該脳波データまたはその分析データを所定の疼痛分類値にフィッティングさせ、該推定対象の疼痛レベルを分類するステップと
を含む、方法であって、
該疼痛分類値は、該推定対象の脳波データまたはその分析データの疼痛関数へのフィッティングによって得られるものである、
方法。
(A43)前記疼痛関数は一次関数またはシグモイド関数を含む、項目A42に記載の方法。
(A43A)項目A25〜A39、A39A、A40〜A41に記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目A42またはA43に記載の方法。
(A44) 推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する装置であって
X)該推定対象の脳波データまたはその分析データを得る振幅データ取得部と
Y)該脳波データまたはその分析データを該疼痛分類値にフィッティングさせ、該推定対象の疼痛レベルを分類する疼痛分類部であって、該疼痛分類値は、該推定対象の脳波データまたはその分析データの疼痛関数へのフィッティングによって得られるものである、疼痛分類部と
を含む、装置。
(A45)前記疼痛関数は一次関数またはシグモイド関数を含む、項目A44に記載の装置。
(A45A)項目A25〜A39、A39A、A40〜A43およびA43Aに記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目A44またはA45に記載の装置。
(A46) 推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類するための疼痛分類値を生成する方法をコンピュータに実施させるプログラムであって、該方法は
a)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップと
b)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得するステップと、
c)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、疼痛関数にフィッティングさせて該推定対象に特異的な疼痛関数を得るステップと、
d)該特異的な疼痛関数へのフィッティングの回帰係数が所定以上の場合、該特異的な疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値(pain classifier)を特定するステップとを含む、プログラム。
(A47)前記疼痛関数は一次関数またはシグモイド関数を含む、項目A46に記載のプログラム。
(A47A)項目A25〜A39、A39A、A40〜A43、A43A、A44〜A45およびA45Aに記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目A46またはA47に記載のプログラム。
(A48)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類するための疼痛分類値を生成する方法をコンピュータに実施させるプログラムを含む記録媒体であって、該方法は
a)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップと
b)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得するステップと、
c)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、疼痛関数にフィッティングさせて該推定対象に特異的な疼痛関数を得るステップと、
d)該特異的な疼痛関数へのフィッティングの回帰係数が所定以上の場合、該疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値(pain classifier)を特定するステップとを含む、記録媒体。
(A49)前記疼痛関数は一次関数またはシグモイド関数を含む、項目A48に記載の記録媒体。
(A49A)項目A25〜A39、A39A、A40〜A43、A43A、A44〜A45、A45A、A46〜A47およびA47Aに記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目A48またはA49に記載の記録媒体。
(A50)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、該方法は、
a)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップと
b)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得するステップと
c)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、疼痛関数にフィッティングさせて該推定対象に特異的な疼痛関数を得るステップと、
d)前記特異的な疼痛関数へのフィッティングの回帰係数が所定以上の場合、該特異的な疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定するステップと
e)該推定対象の脳波データまたはその分析データを得るステップと
f)該脳波データまたはその分析データを該疼痛分類値に基づいて該推定対象の疼痛レベルを分類するステップと
を含む、プログラム。
(A51)前記疼痛関数は一次関数またはシグモイド関数を含む、項目A50に記載のプログラム。
(A51A)項目A25〜A39、A39A、A40〜A43、A43A、A44〜A45、A45A、A46〜A47、A47A、A48〜A49およびA49Aに記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目A50またはA51に記載のプログラム。
(A52)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する方法をコンピュータに実行させるプログラムを含む記録媒体であって、該方法は、
a)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップと
b)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得するステップと
c)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、疼痛関数にフィッティングさせて該推定対象に特異的な疼痛関数を得るステップと、
d)前記特異的な疼痛関数へのフィッティングの回帰係数が所定以上の場合、該特異的な疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定するステップと
e)該推定対象の脳波データまたはその分析データを得るステップと
f)該脳波データまたはその分析データを該疼痛分類値に基づいて該推定対象の疼痛レベルを分類するステップと
を含む、記録媒体。
(A53)前記疼痛関数は一次関数またはシグモイド関数を含む、項目A52に記載の記録媒体。
(A53A)項目A25〜A39、A39A、A40〜A43、A43A、A44〜A45、A45A、A46〜A47、A47A、A48〜A49、A49A、A50〜A51およびA51Aに記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目A52またはA53に記載の記録媒体。
(A54)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、該方法は、
e)該推定対象の脳波データまたはその分析データを得るステップと
f)該脳波データまたはその分析データを所定の疼痛分類値にフィッティングさせ、該推定対象の疼痛レベルを分類するステップと
を含む、方法であって、
該疼痛分類値は、該推定対象の脳波データまたはその分析データの疼痛関数へのフィッティングによって得られるものである、
プログラム。
(A55)前記疼痛関数は一次関数またはシグモイド関数を含む、項目A54に記載のプログラム。
(A55A)項目A25〜A39、A39A、A40〜A43、A43A、A44〜A45、A45A、A46〜A47、A47A、A48〜A49、A49A、A50〜A51、A51A、A52〜A53およびA53Aに記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目A54またはA55に記載のプログラム。
(A56) 推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する方法をコンピュータに実行させるプログラムを含む記録媒体であって、該方法は、
e)該推定対象の脳波データまたはその分析データを得るステップと
f)該脳波データまたはその分析データを所定の疼痛分類値にフィッティングさせ、該推定対象の疼痛レベルを分類するステップと
を含む、方法であって、
該疼痛分類値は、該推定対象の脳波データまたはその分析データの疼痛関数へのフィッティングによって得られるものである、
記録媒体。
(A57)前記疼痛関数は一次関数またはシグモイド関数を含む、項目A56に記載の記録媒体。
(A57A)項目A25〜A39、A39A、A40〜A43、A43A、A44〜A45、A45A、A46〜A47、A47A、A48〜A49、A49A、A50〜A51、A51A、A52〜A53、A53A、A54〜A55およびA55Aに記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目A56またはA57に記載の記録媒体。
本発明において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
本発明はまた、以下をも提供する。
(B1)推定対象の脳波に基づいて前記推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定装置であって、
前記推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波データを取得する測定部と、
脳波の振幅及び痛みの関係の線形性に基づいて、前記複数の脳波データの振幅から、前記複数回の脳波測定が行われた際の相対的な痛みの大きさを推定する推定部と、を備える、
痛み推定装置。
(B2)前記複数の脳波データは、第1の脳波データと第2の脳波データとを含み、
前記推定部は、
(i)前記第1の脳波データの振幅が前記第2の脳波データの振幅よりも大きい場合、前記第1の脳波データに対応する第1の痛みが前記第2の脳波データに対応する第2の痛みより大きいと推定し、
(ii)前記第1の脳波データの振幅が前記第2の脳波データの振幅よりも小さい場合、前記第1の痛みが前記第2の痛みより小さいと推定する、
項目B1に記載の痛み推定装置。
(B3)前記複数の脳波データは、さらに、第3の脳波データ及び第4の脳波データを含み、
前記推定部は、さらに、前記第1の脳波データの振幅値及び前記第2の脳波データの振幅値の第1の差異値と、前記第3の脳波データの振幅値及び前記第4の脳波データの振幅値の第2の差異値とに基づいて、前記第1の痛みから前記第2の痛みへの第1の変化と、前記第3の脳波データに対応する第3の痛みから前記第4の脳波データに対応する第4の痛みへの第2の変化との相対的な変化量を推定する、
項目B2に記載の痛み推定装置。
(B4)推定対象の脳波に基づいて前記推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定方法であって、
前記推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波データを取得する測定ステップと、
脳波の振幅及び痛みの関係の線形性に基づいて、前記複数の脳波データの振幅から、前記複数回の脳波測定が行われた際の相対的な痛みの大きさを推定する推定ステップと、を含む、
痛み推定方法。
(B5)推定対象の脳波に基づいて前記推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定装置であって、
複数の大きさの刺激が順に与えられた推定対象から脳波測定を行うことにより、各大きさの刺激に対応する脳波データを取得する測定部と、
前記脳波データに基づいて、前記推定対象の脳波振幅の上限値及び下限値を特定する特定部と、を備え、
前記測定部は、さらに、前記推定対象から脳波測定を行うことにより、対象脳波データを取得し、
前記痛み推定装置は、さらに、
前記上限値及び前記下限値に対する前記対象脳波データの振幅値の相対的な大きさに基づいて、前記対象脳波データに対応する痛みの大きさの値を推定する推定部を備える、
痛み推定装置。
(B6)前記推定部は、前記上限値と前記下限値との差異値に対する前記対象脳波データの振幅値と前記下限値との差異値の比率を前記痛みの大きさの値と推定する、
項目B5に記載の痛み推定装置。
(B7)推定対象の脳波に基づいて前記推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定方法であって、
複数の大きさの刺激が順に与えられた推定対象から脳波測定を行うことにより、各大きさの刺激に対応する脳波データを取得する第1測定ステップと、
前記脳波データに基づいて、前記推定対象の脳波振幅の上限値及び下限値を特定する特定ステップと、
前記推定対象から脳波測定を行うことにより、対象脳波データを取得する第2測定ステップと、
前記上限値及び前記下限値に対する前記対象脳波データの振幅値の相対的な大きさに基づいて、前記対象脳波データに対応する痛みの大きさの値を推定する推定ステップと、を含む、
痛み推定方法。
本発明において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
本発明はさらに以下を提供する。
(C1)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類するための疼痛分類値を生成する方法であって
a)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップと
b)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得するステップと、
c)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、シグモイド関数パターンにフィッティングさせて該推定対象に特異的なシグモイド曲線を得るステップと、
d)該シグモイド関数パターンへのフィッティングの回帰係数が所定以上の場合、該シグモイド曲線に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値(pain classifier)を特定するステップとを含む、方法。
(C2)前記疼痛レベルの分類が最大限になるように疼痛分類値を較正するステップをさらに包含する、項目C1に記載の方法。
(C3)前記疼痛分類値は前記シグモイド曲線の変曲点に基づいて定められ、必要に応じて、該疼痛レベルの分類が最大限になるように疼痛分類値を較正するステップをさらに包含する、項目C1またはC2に記載の方法。
(C4)前記分類は、前記推定対象の主観に基づき痛いか痛くないかを分類する、項目C1〜C3のいずれか一項に記載の方法。
(C5)前記刺激強度は該推定対象に対する侵襲性が高い強度を少なくとも1つ含む項目C1〜C4のいずれか一項に記載の方法。
(C6)前記刺激強度は該推定対象に対する侵襲性が高い強度を含まない項目C1〜C5のいずれか一項に記載の方法。
(C7)前記脳波データまたはその分析データは、振幅データ、および周波数特性からなる群より選択される少なくとも1つを含む、項目C1〜C6のいずれか一項に記載の方法。
(C8)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類するための疼痛分類値を生成する装置であって
A)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激する刺激部と
B)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得する脳波データ取得部と
C)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、シグモイド関数パターンにフィッティングさせて該推定対象に特異的なシグモイド曲線を得、該シグモイド曲線に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定する、疼痛分類値生成部と
を含む、装置。
(C9)項目C2〜C7に記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目C8に記載の装置。
(C10)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する方法であって
a)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップと
b)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得するステップと
c)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、シグモイド関数パターンにフィッティングさせて該推定対象に特異的なシグモイド曲線を得るステップと、
d)前記シグモイド関数パターンへの当てはめの回帰係数が所定以上の場合、該シグモイド曲線に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定するステップと
e)該推定対象の脳波データまたはその分析データを得るステップと
f)該脳波データまたはその分析データを該疼痛分類値に基づいて該推定対象の疼痛レベルを分類するステップと
を含む、方法。
(C11)前記脳波データまたはその分析データの前記疼痛分類値へのフィッティングは、平均値で行うことを特徴とする、項目C10に記載の方法。
(C12)前記平均値は、約15秒〜120秒の間の平均値で行うことを特徴とする、項目C10に記載の方法。
(C13)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する装置であって
A)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激する刺激部と
B)該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得する脳波データ取得部(Cここでは、該刺激強度に対応する脳波データと現実の脳波の振幅データまたはその分析データを得ることができる)と
C)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、シグモイド関数パターンにフィッティングさせて該推定対象に特異的なシグモイド曲線を得、該シグモイド曲線に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定する、疼痛分類値生成部と
D)該脳波データまたはその分析データを該疼痛分類値に基づいて該推定対象の疼痛レベルを分類する疼痛分類部と
を含む、装置。
(C14)項目C11またはC12に記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目C13に記載の装置。
(C14A)項目C2〜C7に記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目C11〜C14のいずれか一項に記載の装置。
(C15)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する方法であって
e)該推定対象の脳波データまたはその分析データを得るステップと
f)該脳波データまたはその分析データを所定の疼痛分類値に基づいて該推定対象の疼痛レベルを分類するステップと
を含む、方法であって、
該疼痛分類値は、該推定対象の脳波データまたはその分析データのシグモイド曲線へのフィッティングによって得られるものである、
方法。
(C15A)項目C2〜C7、C11〜C12に記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目C15に記載の方法。
(C16)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する装置であって
X)該推定対象の脳波データまたはその分析データを得る振幅データ取得部と
Y)該脳波データまたはその分析データを該疼痛分類値に基づいて該推定対象の疼痛レベルを分類する疼痛分類部であって、該疼痛分類値は、該推定対象の脳波データまたはその分析データのシグモイド曲線へのフィッティングによって得られるものである、疼痛分類部と
を含む、装置。
(C16A)項目C2〜C7、C11〜C12に記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目C16に記載の装置。
(C17)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類するための疼痛分類値を生成する方法をコンピュータに実施させるプログラムであって、該方法は
a)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップと
b)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得するステップと、
c)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、シグモイド関数パターンにフィッティングさせて該推定対象に特異的なシグモイド曲線を得るステップと、
d)該シグモイド関数パターンへの当てはめの回帰係数が所定以上の場合、該シグモイド曲線に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値(pain classifier)を特定するステップとを含む、プログラム。
(C17A)項目C2〜C7、C11〜C12に記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目C17に記載のプログラム。
(C18)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類するための疼痛分類値を生成する方法をコンピュータに実施させるプログラムを含む記録媒体であって、該方法は
a)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップと
b)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得するステップと、
c)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、シグモイド関数パターンにフィッティングさせて該推定対象に特異的なシグモイド曲線を得るステップと、
d)該シグモイド関数パターンへの当てはめの回帰係数が所定以上の場合、該シグモイド曲線に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値(pain classifier)を特定するステップとを含む、記録媒体。
(C18A)項目C2〜C7、C11〜C12に記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目C18に記載の記録媒体。
(C19)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、該方法は、
a)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップと
b)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得するステップと
c)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、シグモイド関数パターンにフィッティングさせて該推定対象に特異的なシグモイド曲線を得るステップと、
d)前記シグモイド関数パターンへの当てはめの回帰係数が所定以上の場合、該シグモイド曲線に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定するステップと
e)該推定対象の脳波データまたはその分析データを得るステップと
f)該脳波データまたはその分析データを該疼痛分類値にフィッティングさせ、該推定対象の疼痛レベルを分類するステップと
を含む、プログラム。
(C19A)項目C2〜C7、C11〜C12に記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目C19に記載のプログラム。
(C20)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する方法をコンピュータに実行させるプログラムを含む記録媒体であって、該方法は、
a)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップと
b)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データまたはその分析データを取得するステップと
c)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データまたはその分析データとをプロットして、シグモイド関数パターンにフィッティングさせて該推定対象に特異的なシグモイド曲線を得るステップと、
d)前記シグモイド関数パターンへのフィッティングの回帰係数が所定以上の場合、該シグモイド曲線に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定するステップと
e)該推定対象の脳波データまたはその分析データを得るステップと
f)該脳波データまたはその分析データを該疼痛分類値に基づいて該推定対象の疼痛レベルを分類するステップと
を含む、記録媒体。
(C20A)項目C2〜C7、C11〜C12に記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目C20に記載の記録媒体。
(C21)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、該方法は、
e)該推定対象の脳波データまたはその分析データを得るステップと
f)該脳波データまたはその分析データを所定の疼痛分類値に基づいて該推定対象の疼痛レベルを分類するステップと
を含む、方法であって、
該疼痛分類値は、該推定対象の脳波データまたはその分析データのシグモイド曲線へのフィッティングによって得られるものである、
プログラム。
(C21A)項目C2〜C7、C11〜C12に記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目C21に記載のプログラム。
(C22)推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する方法をコンピュータに実行させるプログラムを含む記録媒体であって、該方法は、
e)該推定対象の脳波データまたはその分析データを得るステップと
f)該脳波データまたはその分析データを所定の疼痛分類値に基づいて該推定対象の疼痛レベルを分類するステップと
を含む、方法であって、
該疼痛分類値は、該推定対象の脳波データまたはその分析データのシグモイド曲線へのフィッティングによって得られるものである、
記録媒体。
(C22A)項目C2〜C7、C11〜C12に記載のいずれかまたは複数の特徴をさらに有する、項目C22に記載の記録媒体。
本発明において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
また、Aシリーズ、BシリーズおよびCシリーズの任意の1つまたは複数の特徴も相互に組み合わせて提供されうることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
一つの局面において、本発明は痛み推定方法および装置を提供する。この装置は、推定対象の脳波に基づいて前記推定対象が有する痛みの大きさを推定し、分類するものである。この装置および方法では、推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波データまたはその分析データを取得し、脳波の振幅や周波数特性及び痛みの関係を疼痛関数にフィッティングさせ、前記複数の脳波データの振幅や周波数特性などから疼痛分類値を生成する。必要に応じて疼痛分類値のキャリブレーションを行った後、この疼痛分類値を用いて相対的な痛みレベルを推定する。
この構成によれば、脳波の振幅及び痛みの関係の相対関係に基づいて、複数の脳波データの振幅や周波数特性またはその分析データから、複数回の脳波測定が行われた際の相対的な痛みの大きさを推定し、疼痛レベルを推定することができる。脳波の振幅や周波数特性及び痛みの間に一定の相対関係があることは、本発明者が解明した現象であり、本発明では、さらにこの相対関係を疼痛関数にフィッティングさせることにより、推定対象から申告された痛みの大きさを用いなくても痛みの大きさおよびレベルを分類することができ、推定対象が有する痛みを客観的かつ正確に分類することが可能となる。さらに、「我慢できない」痛みと「我慢できる」痛みや「痛気持ちいい」など、痛みの質についても分類が可能となり、治療効果をより正確に評価することができる。
また例えば、前記複数の脳波データまたはその分析データは、一次関数、シグモイド曲線などに例示される疼痛関数へのフィッティングを可能とするのに十分な数の脳波データまたはその分析データを含む。このようなフィッティングのためには、例えば、少なくとも3点の刺激強度に対する脳波データまたはその分析データ、好ましくは4点、5点または6点、あるいは7点以上の刺激強度の脳波データまたはその分析データを用いることができる。
本発明においてこのような疼痛関数へのフィッティングが完了したら、必要に応じてフィッティングが妥当であるかどうか回帰係数を評価する。回帰係数は、その閾値として通常0.5以上、好ましくは0.6以上を採用することができ、適切な回帰係数を達成する場合は、フィッティングが適切であり、次の解析に進む。回帰係数の評価が不適切な場合は、脳波データまたはその分析データを追加取得し、すでに得られたデータと合わせて再度疼痛関数へのフィッティングを行うか、あるいは、脳波データまたはその分析データを再度取得しなおし、新たに得られたデータのみで再度疼痛関数へのフィッティングを行うことができる。
フィッティングが完了したら、疼痛関数に基づき疼痛分類値を生成する。疼痛分類値とは、脳波データ(例えば、振幅)またはその分析データの特定の値であって、少なくとも2種類以上のクラスに痛みを分類するための値をいい、例えば、「弱い痛み」と「強い痛み」とを分類するための値であり得、臨床的に「耐えられない、治療を要する痛み」と「耐えられる、治療を要しない痛み」を分類できるのが望ましい。このような疼痛分類値は、変曲点などを参考に、設定することができる。
疼痛分類値は、生成したものをそのまま利用してもよいが、必要に応じてキャリブレーションを行うことができる。キャリブレーションは、例えば、「弱い痛み」と「強い痛み」とを分類する場合、実際に得られた脳波データ(例えば、振幅)またはその分析データに当てはめ、逸脱(すなわち、異なる分類がされること、例えば、弱い痛みであるべきなのに強い痛みと判定されること、あるいはその逆が含まれる。)がより少ない値に変更すること、好ましくは逸脱が最も少ない値に変更することで実現される。
脳波データまたはその分析データについていえば、(i)第1の脳波データ(例えば、振幅)またはその分析データが第1の脳波データまたはその分析データとは異なる第2の脳波データ(例えば、振幅)またはその分析データよりも大きい場合、前記第1の脳波データまたはその分析データに対応する第1の痛みが前記第2の脳波データまたはその分析データに対応する第2の痛みより大きいと推定することができ、(ii)前記第1の脳波データ(例えば、振幅)またはその分析データが前記第2の脳波データまたはその分析データよりも小さい場合、前記第1の痛みが前記第2の痛みより小さいと推定することができ、この場合、疼痛分類値との比較をさらに行い、これらの第1および第2の痛みがどのレベルの痛み(例えば、強い痛み、弱い痛みなど)に該当するのかを分類することもできる。
この実施形態によれば、第1の脳波データ(例えば、振幅)またはその分析データと第2の脳波データ(例えば、振幅)またはその分析データとを比較することにより、第1の脳波データまたはその分析データに対応する第1の痛みと第2の脳波データまたはその分析データに対応する第2の痛みとのどちらの痛みが大きいかを推定することができる。したがって、例えば、治療前及び治療後に脳波データまたはその分析データを測定することで、治療前、治療中および/または治療後の痛みの大きさを比較することができ、治療の効果を評価することができる。
また例えば、前記複数の脳波データまたはその分析データは、さらなる脳波データまたはその分析データを取得してもよい。
本発明の他の一実施形態に係る痛み推定装置および方法は、推定対象の脳波に基づいて前記推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定装置および方法であって、複数の種類の大きさの刺激が与えられた推定対象から脳波測定を行うことにより、各大きさの刺激に対応する脳波データ(振幅や周波数特性など)またはその分析データを取得し(装置においては、測定部がこの取得行為を行う)、前記脳波データまたはその分析データに基づいて、1または複数の大きさの刺激に対応する脳波データ(脳波特性ともいう。振幅、周波数特性等が挙げられる)またはその分析データを疼痛分類値として特定する(装置においては、疼痛分類値生成部がこの行為を行う。)。好ましくは、前記痛み推定装置および方法は、さらに、推定対象から脳波測定を行い、新たに脳波データを取得し、前記疼痛分類値に基づいて新たに取得された脳波データまたはその分析データを分類し、前記対象脳波データに対応する痛みの大きさを分類する。このような分類は装置では、疼痛分類部によって実行される。
この構成によれば、疼痛分類値に基づいて、痛みの大きさを分類することができる。疼痛分類値を利用することで、推定対象から申告された痛みの大きさを用いなくても痛みの大きさを分類することができ、推定対象が有する痛みを客観的かつ正確に表現および分類することが可能となる。さらに、推定対象などから強い痛みに該当する刺激の収集が不要であるかあるいは最低限に抑えることができるため、対象に対して苦痛を与えずに容易に痛みの大きさの推定を行うことができる。また例えば、治療前、治療中および/または治療後に脳波データまたはその分析データを測定することで、治療前、治療中および/または治療後の痛みの大きさを比較しおよび/または分類することができ、治療の効果を評価することができる。
ある実施形態では、推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類するための疼痛分類値を生成する方法および装置が提供される。ここでは、複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激する。刺激強度のレベル(大きさ)の数は、疼痛関数にフィッティングし得るのに十分な種類の数が提供される。疼痛関数にフィッティングするためには、少なくとも2種類、好ましくは少なくとも3種類、好ましくは少なくとも4種類、好ましくは少なくとも5種類、好ましくは少なくとも6種類、あるいはそれより多くの種類のレベル(大きさ)の刺激強度を用いることができる。
なお、本発明のこれらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本発明において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
本発明の一態様に係る痛み推定装置は、推定対象が有する痛みを客観的かつ正確に推定することができる。
本発明は、簡易に疼痛を分類することができる。好ましい実施形態では、強い痛みを対象に与えることなく、あるいは最低限の回数を用いて疼痛分類値が提供され、これを用いることで、強い痛みを与えずに、あるいは最小限度で各種処置を行うことができ、あるいは、治療効果を分類することができる。
図1は、電気刺激と痛みレベル(VAS)との関係を示すグラフである。 図2は、電気刺激と痛みレベル(一対比較)との関係を示すグラフである。 図3は、電気刺激と脳波振幅との関係を示すグラフである。 図4は、脳波波形の一例を示すグラフである。 図5は、電気刺激による痛みレベル(VAS)と脳波振幅との線形関係を示すグラフである。 図6は、電気刺激による痛みレベル(一対比較)と脳波振幅との線形関係を示すグラフである。 図7は、熱刺激による痛みレベル(VAS)と脳波振幅との線形関係を示すグラフである。 図8は、熱刺激による痛みレベル(一対比較)と脳波振幅との線形関係を示すグラフである。 図9は、実施の形態1に係る痛み推定システムの機能構成を示すブロック図である。 図10Aは、実施の形態1に係る痛み推定装置の処理を示すフローチャートである。 図10Bは、実施の形態1に係る痛み推定処理の一例を示すフローチャートである。 図10Cは、実施の形態1に係る痛み推定処理の他の一例を示すフローチャートである。 図11は、実施の形態2に係る痛み推定システムの機能構成を示すブロック図である。 図12は、実施の形態2に係る痛み推定システムにおける特定処理を示すフローチャートである。 図13は、実施の形態2に係る痛み推定システムにおける推定処理を示すフローチャートである。 図14は、実施の形態2における推定処理を説明するためのグラフである。 図15は、低温疼痛刺激における絶対振幅の経時的変化を示す。図15は実施例1において、各レベルについて平均化する直前の6つの強度レベルに関する18エポックの絶対振幅データ(1被験体)を表す。 図16は、低温疼痛刺激における強度−振幅シグモイド関数を示す。図2では、各強度レベル中の3つのエポックを平均した標準化絶対振幅を表す。横軸および縦軸は、刺激強度および標準化振幅をそれぞれ表す。 図17は、低温疼痛パラダイムにおける減少シグモイド関数を示す。図3では、強度レベルと振幅との間の減少シグモイド関数を明確に示し、これは、より低いレベル2およびより高いレベル1が、振幅が統計学的に有意に異なるという統計学的結果によって支持された(t=2.886、p=0.013)。 図18は、シグモイドフィッティング関数に基づいた疼痛分類値を示す。図18では、一人の患者に関する二元疼痛分類値を示す。 図19は、参照電気疼痛パラダイムにおけるシグモイドフィッティング関数および疼痛分類を示す。 図20は、参照疼痛予測に基づいた低温疼痛強度の予測を示す。 図21は、疼痛予測に関する分類閾値の較正を示す。 図22は、強い痛みレベルとその他の痛みレベル間において、脳活動量変化の分岐(シグモイド関数パターン)に関わる他実証例である。 図23は、本発明のフローを示すフローチャートの一例である。 図24は、本発明の機能構成を示すブロック図の一例である。 図25は、本発明の機能構成を示すブロック図の一例である。 図26は、本発明の機能構成を示すブロック図の別の一例である。 図27は、シグモイド関数の線形近似部分の模式図を示す。 図28は、本発明の分析模式図における、シグモイド型の疼痛関数における変調範囲の線形性の多様性を示す。Aは変調範囲の線形関数の傾きの多様性を示し、Bは変調範囲の振幅差の多様性を示す。Cは、対象者1名で、痛み刺激提示方法を変えた場合に観測された変調範囲の線形性変化の例を示す。
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(定義)
最初に本発明において使用される用語および一般的な技術を説明する。
本明細書において、「対象」(英文ではobject)とは、患者(patient)または被検体、被験体、被検者、被験者(subject)と同義に用いられ、疼痛測定および脳波測定などの本開示の技術が対象とする任意の生体または動物をいう。対象としては、好ましくは、ヒトであるがこれに限定されない。本明細書において、痛みの推定を行う場合、「推定対象」とすることがあるが、これは対象などと同じ意味である。
本明細書において「脳波」は当該分野で通常用いられるのと同義であり、頭皮上に1対の電極を置いて脳の神経活動にともなう電位差によって発生する電流をいう。脳波には、電流の時間的変化を導出記録した脳電図(electroencephalogram、EEG)を包含する。安静時には振幅約50μV、周波数10Hz前後の波が主成分をなすとされる。これをα波という。精神活動時にはα波は抑制され、振幅の小さい17〜30Hzの速波が現われるとされ、これはβ波という。浅い睡眠の時期にはα波はしだいに減少して4〜8Hzのθ波が現われるとされる。深い睡眠中は1〜4Hzのδ波が現われるとされる。これらの脳波は特定の振幅および周波数パワーで記述することができ、本発明では、振幅の解析が重要でありうる。
本明細書において「脳波データ」には、脳波に関する任意のデータであり(「脳活動量」、「脳特徴量」等ともいう)、振幅データ(EEG振幅、周波数特性などが含まれる。これらの脳波データを分析した「分析データ」は、脳波データと同様に用いることができることから、本明細書では、「脳波データまたはその分析データ」とまとめて呼ぶことがある。分析データとしては、例えば、脳波データの平均振幅やピーク振幅(例えば、Fz、Cz、C3、C4)、周波数パワー(例えば、Fz(δ)、Fz(θ)、Fz(α)、Fz(β)、Fz(γ)、Cz(δ)、Cz(θ)、Cz(α)、Cz(β)、Cz(γ)、C3(δ)、C3(θ)、C3(α)、C3(β)、C3(γ)、C4(δ)、C4(θ)、C4(α)、C4(β)、C4(γ)など)等を挙げることができる。もちろん、脳波データまたはその分析データとして通常使用される他のデータを排除するものではない。
本明細書において「振幅データ」とは、「脳波データ」の一種であり、脳波の振幅のデータをいう。単に「振幅」ということもあり、「EEG振幅」ともいう。このような振幅データは、脳活動の指標であることから、「脳活動データ」、「脳活動量」などと称されることもある。振幅データは、脳波の電気信号を測定することによって得ることができ、電位(μV等で表示され得る)で表示される。振幅データとしては、平均振幅を使用することができるがこれに限定されない。
本明細書において、「周波数パワー」とは、波形の周波数成分をエネルギーとして表したものであり、パワースペクトルともいう。周波数パワーは、高速フーリエ変換(FFT)(離散フーリエ変換(DFT)を計算機上で高速に計算するアルゴリズム)を利用して、時間領域のノイズの含まれる信号内に埋もれた信号の周波数成分を抽出し、これを計算することで算出することができる。信号のFFTは、例えば、MATLABの関数periodogramを用いて、その出力を正規化してパワースペクトル密度PSD、またはパワーの測定元となるパワースペクトルを算出することができる。PSDは、時間信号のパワーが周波数についてどのように分布しているかを示すもので、単位はワット/Hzである。PSD の各点を、その点が定義された周波数範囲にわたって(つまり、PSDの分解能帯域幅にわたって)積分して、パワースペクトルを計算する。パワースペクトルの単位はワットである。パワーの値は、周波数範囲にわたって積分せずに、直接パワースペクトルから読み取ることができる。PSDもパワースペクトルも実数なので、位相情報は何も含まれていないことになる。このように周波数パワーの計算はMATLABの標準的な機能で算出することができる。
「痛み」および「疼痛」は同義であり、身体部分に傷害・炎症など一般に強い侵害のあるとき、これを刺激として生ずる感覚をいう。ヒトでは、強い不快感情を伴う感覚として一般感覚にも含まれる。加えて、皮膚痛覚などはある程度は外部受容の性格もそなえ、他の皮膚感覚や味覚と協同して、外物の硬さ・鋭さ・熱さ(熱痛)・冷たさ(冷痛)・辛さなどの質の判断に役立つとされる。ヒトの痛覚は皮膚・粘膜以外に身体のほとんどあらゆる部分(例えば、胸膜、腹膜、内臓(内臓痛覚、脳を除く)、歯、眼および耳など)に起こり得、いずれも脳において脳波またはその変動として感知され得る。この他、内臓痛に代表される内部痛覚もまた、痛覚に包含される。内臓痛に対して上述した痛覚は体性痛という。体性痛および内臓痛に加えて、実際に障害されている部位と異なる部位の表面が痛くなるような現象である「関連痛」という痛覚も報告されており、本発明は、これも分類することができる。
痛覚には、感受性(痛閾)に個人差があり、痛刺激の起こり方や受容器部位の相違により、質的相違があり、鈍痛や鋭利痛などの分類があるが、本開示ではいずれの種類の痛覚でも測定、推定および分類することができる。また、速い痛覚(A痛覚)および遅い痛覚(B痛覚)、(速い)局所的痛みおよび(遅い)瀰漫性痛みにも対応可能である。本発明は、痛覚異常過敏などの痛覚の異常症などにも対応し得る。痛みを伝える末梢神経には「Aδ繊維」と「C繊維」の2つの神経繊維が知られており、例えば手をたたくと、始めの痛みはAδ繊維の伝導により、局在が明確な鋭い痛み(一次痛;鋭利痛)が伝わる。その後、C繊維の伝導により、局在が不明確なじんじんとした痛み(二次痛;鈍痛)を感じるとされている。痛みは4−6週間以内持続する「急性疼痛」、と4−6週間以上持続する「慢性疼痛」に分類される。痛みは、脈拍や体温、血圧、呼吸と並ぶ重要なバイタルサインであるが、客観的データとして表示することは難しい。代表的な痛みスケールVAS(Visual Analogue Scale)やfaces pain rating scaleは主観的な評価法であり、患者間の痛みを比較することはできない。他方で、本発明者は、痛みの客観的評価のための指標として、末梢循環系の影響を受けにくい脳波に着目し、その痛み刺激に対する振幅/潜時の変化を観測し、これを疼痛関数の一つであるシグモイド曲線にフィッティングさせれば、どのような種類の疼痛の判別および分類が可能であることが導かれた。瞬間刺激も持続刺激も検出可能であるが、特に、持続刺激の検出が顕著になされることも有利な点の一つである。
本発明では、強度自体よりも「治療が必要な」痛みかどうかということが区別できることが重要な点の一つである。したがって「治療」という概念を軸に「痛み」の類別化を明確にできることも重要である。例えば、「快不快」や「耐えられない」といった痛みの「質的」分類につながるものであるといえる。例えば、「疼痛分類値」の位置づけと、変曲点や分類値の幅やその関係性も定義することができ、n=2の場合の他、n=3以上の場合もあり得ると想定される。また3つ以上の場合は、「痛くない」「痛気持ちいい」「痛い」に分けることができる。例えば、「耐えられない、治療が必要」、「中間」、「痛いけど気にならない」という判別が可能である。本発明のシグモイド関数を用いた判別は、「耐えられない」と「痛いけど耐えられる、治療必要なし」であることが識別できる。
本明細書において「主観的疼痛感覚レベル」とは、対象が有する疼痛感覚のレベルをいい、コンピュータ化された可視化アナログスケール(COVAS)等の慣用技術または他の公知技術、例えば、Support Team Assessment Schedule(STAS−J)、Numerical Rating Scale(NRS)、Faces Pain Scale(FPS)、Abbey pain scale(Abbey)、Checklist ofNonverbal Pain Indicators(CNPI)、Non−communicative Patient’s Pain Assessment Instrument (NOPPAIN)、Doloplus 2などで表現することができる。
本明細書において「疼痛分類値」とは、疼痛の種類を分類するために特定された脳波データ(例えば、振幅)またはその分析の値またはその範囲をいう。本開示では、「疼痛分類値」を生成する(そして、それゆえ疼痛を予測する)部分または装置、機器を「疼痛分類器」または「疼痛予測器」などを称することがある。本開示では、推定対象を刺激し、それから得られる脳波の振幅データ等のデータを、その刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルをプロットして疼痛関数に当てはめてフィッティングさせることによって得られる特異的な疼痛関数(例えば、推定対象に特異的な一次関数やシグモイド曲線ともいう。)に基づいて、例えば、変曲点等を利用して決定することができるがこれに限定されない。疼痛分類値は、いったん生成した後、キャリブレーションを行い改善することができる。疼痛分類値は、pain classifierやpain predictorなどと表記されることもあるが、いずれも同義である。「痛み強レベル内における変動なのか」または「痛み強レベルを逸脱した、痛み低レベルを示す質的変動なのか」は、「疼痛分類値」を用いれば区別できる。痛み強レベル内変動を超えた逸脱反応があると、痛み強レベル内の変動とは、本発明の疼痛分類値を用いれば識別することができる。痛み強レベル内の変動であれば、誤差ではなく、識別することができ、これを超えた場合、逸脱反応として処理されることとなり得る。
本明細書において「疼痛関数」とは、痛みのレベルと刺激のレベルの相互の関係に関して、従属変数(変数Y)と独立変数(変数X)の数式関数で表現したものであり、本発明者が解明した、脳波またはその分析データ(例えば、振幅を含む)及び痛みの間にある「広義の」線形性に基づいてその関係を関数として表現したものである。この関係があるため、(i)第1の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)が第2の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)よりも大きい場合、第1の脳波データに対応する第1の痛みが第2の脳波データに対応する第2の痛みより大きいと推定し、(ii)第1の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)が第2の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)よりも小さい場合、第1の痛みが第2の痛みより小さいと推定することができる。このようなことを表現することができる関数であれば、どのようなものでも疼痛関数の範疇に入ることが理解される。このような疼痛関数の例としては、一次関数またはシグモイド関数を挙げることができ、より具体的な例としては、変調範囲を線形近似した一次関数、もしくはそれを内包するより包括的なシグモイド関数を挙げることができる。線形性は、振幅以外でも、脳波特徴量であれば、周波数でも、ウェーブレット処理値でも言え、脳波特徴量ばかりでなく、主観評価でも変調範囲の線形性は見られることが本発明において見出されている。
本明細書において「刺激」とは、痛覚を生じさせ得る任意の刺激を含む。例えば、電気刺激、冷刺激、熱刺激、物理的刺激、化学的刺激などが含まれる。本発明において、疼痛分類値を生成するために用いられる刺激はどのような刺激であってもよいが、温度刺激(冷刺激または温刺激)、または電気刺激が通常用いられる。刺激のレベルは、3種類以上使用することが通常であり、好ましくは4種類以上、より好ましくは5種類以上、さらに好ましくは6種類以上、あるいはそれより多い種類の刺激を用いることができる。温度であれば、例えば、低温刺激の場合、例えば−15℃〜10℃の範囲で適宜の感覚で減少させることができ、6点取得する場合は5℃ごとに減少させることで、6種類の温度レベルの刺激を生成することができる。刺激の評価は、例えば、コンピュータ化された可視化アナログスケール(COVAS)等の慣用技術または他の公知技術、例えば、Support Team Assessment Schedule(STAS−J)、Numerical Rating Scale(NRS)、Faces Pain Scale(FPS)、Abbey pain scale(Abbey)、Checklist of Nonverbal Pain Indicators(CNPI)、Non−communicative Patient’s Pain Assessment Instrument (NOPPAIN)、Doloplus 2などを用いて、主観的疼痛感覚レベルと対応させることができる。刺激の強度として採用され得る値としては、例えば、侵害受容閾値(nociceptive threshold;侵害受容線維に神経インパルスを生じさせる閾値)、痛覚判別閾値(pain detection threshold;ヒトが痛みとして知覚できる侵害刺激の強度)および痛覚許容限度閾値(pain tolerance threshold;ヒトが実験的に許容できる侵害刺激の中でもっとも強い刺激強度)等を挙げることができる。
本明細書において「シグモイド関数」(sigmoid function)または「シグモイド曲線」とは、シグモイドの形状を示す実関数をいい、「シグモイド関数」ともいう。本発明では、正規化(normalized)された主観疼痛強度と、正規化されたEEG振幅とを用いてシグモイド曲線を生成することができ、実際に実証されている。
標準的には
σ(x)=1/(1+e−ax)=(tanh(ax+2)+1)/2
で表される。減少シグモイド関数を示す場合は、1または基準値からの減算を行うことができる。(−∞、∞)→(0、1)の単調増加連続関数の場合では、1つの変曲点を持つ。y=0およびy=1に漸近線を持つ。この場合、変曲点は、(0、1/2)となる。漸近線の設定は、測定され(必要に応じて正規化され)た振幅データ(EEG振幅)によっては、0または1に漸近性を持たないかもしれないが、そのような場合でも、最大値および最小値を漸近線として用いることができる。
本明細書において一次関数またはシグモイド関数等への「フィッティング」は、ある測定値やそこから得られた曲線について、疼痛関数(例えば、一次関数または非線形関数)に近似させるようにあてはめる技術をいい、任意の手法に基づいて実施することができる。例えば、公知のシグモイド関数を用いることができる。そのようなフィッティング例としては、最小二乗フィッティングや非線形回帰フィッティング(MATLAB nlinfit関数など)などを挙げることができる。フィッティングを行った後、近似させたシグモイド曲線については、回帰係数を算出して、そのシグモイド曲線が本発明において使用し得るかどうか、好ましいかどうかを判断することができる。回帰係数としては、回帰式モデルが有意であり、調整済み決定係数(R)が0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.85以上、0.9以上など、数値が「1」に近いほど望ましく、高い数値ほど信用性が高い。または、特定の閾値を用いて、推定値と実測値をカテゴリ化し、両者を照合によりフィッティングの精度を検証することもできる(本発明でいう解析で判別精度というのはこのことをいう)。
本明細書において「キャリブレーション」または「較正」とは、疼痛分類値についていうとき、疼痛関数へのフィッティングで生成した疼痛分類値またはその修正値を、より測定対象の分類に即して修正をする任意のステップをいう。このようなキャリブレーションとしては、疼痛レベルの分類が最大限になるよう値を増減させる手法などを挙げることができる。この他、特定の基準刺激を、特定の時間間隔で与え、その脳活動量の変化から、係数などを用いて重み付けして、個人内の痛み変化の判別を補正する方法の手法も用いることができるがこれらに限定されない。
本明細書において痛みの「分類」は、種々の観点で行うことができる。代表的な例としては、推定対象が「痛い」か「痛くない」かを分類することを含むが、これ以外に、痛みを感ずるが、強い痛みと弱い痛みの量的区別を含むが、これに限定されず、質的区別(「我慢できる」痛みと「我慢できない」痛み)も含まれる。
(好ましい実施形態)
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本発明の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(線形性)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した特許文献1の技術に関し、以下の問題が生じることを見出した。
特許文献1では、複数の個体の脳波活動を示す参照データ集合を、いくつかの痛みの状態の参照データに分類し、分類された各参照データから抽出される特徴と、脳波データから抽出される特徴とを比較することで、当該脳波データから痛みを推定している。ここで、参照データの分類に用いる痛みの状態は、被検者から申告された痛みに基づく。したがって、申告された痛みが正確でなければ参照データを適切に分類することは難しい。
被検者からの痛みの申告は、視覚的評価スケール(VAS:Visual Analog Scale)により行われることが多い。VASとは、現在の痛みレベルが、0〜100までの痛みレベルを表す10cmの直線上のどの位置にあるかを指し示すことにより、被検者が痛みレベルを申告する方法である。しかしながら、VASでは、申告される痛みレベルは、被検者の痛みに対する過去の経験に依存し、痛みを客観的に評価することが難しい。
したがって、被検者から申告された痛みレベルを用いて分類された参照データを用いて被検者の痛みを推定する引用文献1の技術では、被検者の痛みを客観的かつ正確に推定することが難しい。
そこで、本発明者は、複数種類の痛みを複数の方法で評価することにより、痛みと脳波との関係を解明した。以下に、本発明者が解明した痛みと脳波との関係について、図面を参照しながら説明する。
まず、電気刺激による痛みと脳波との関係について説明する。以下に示すデータは、複数の被検者のうちの代表的な一の被検者のデータを示す。
図1は、電気刺激と痛みレベル(VAS)との関係を示すグラフである。図2は、電気刺激と痛みレベル(一対比較)との関係を示すグラフである。図3は、電気刺激と脳波振幅との関係を示すグラフである。図4は、脳波波形の一例を示すグラフである。
図1、図2及び図3の横軸は、電気刺激の電流値を示す。図1の縦軸は、VASにより被検者から申告された痛みレベルを示す。また、図2の縦軸は、一対比較により被検者から申告された痛みレベルを示す。図3の縦軸は、脳波の振幅値を示す。図4において、横軸は時間を示し、縦軸は、信号レベルを示す。
一対比較は、2つの大きさの電気刺激を一組として、複数組の電気刺激の各々に対して、どちらの電気刺激の方がどれだけ痛いかを被検者が数値により申告する方法である。この場合、2つの痛みの比較により痛みレベルが申告されるので、痛みレベルに対する、被検者の過去の経験の影響を軽減することができる。
図1及び図2に示すように、VAS及び一対比較のどちらの方法であっても、電気刺激の電流値(つまり、刺激の強さ)と痛みレベルとの関係は、電気刺激強度の中間域で線形性を強く示す。この中間域の線形性は、より包括的なシグモイド(S字)曲線の一部に含まれることがあり、その形状(例えば、上限値及び下限値など)は、被検者によって異なる。
また、図3に示すように、電気刺激の電流値と脳波の振幅値との関係も、電気刺激強度の中間域で線形性を強く示す。ここでは、脳波の振幅値は、最大ピーク値と最小ピーク値との差異値(つまり、ピークピーク値(peak−to−peak value))が用いられている。例えば、図4では、3つの差異値(N1−P1、N2−P2、N1−P2)のうち最大の差異値(N1−P1)が振幅値として用いられる。
このように、電気刺激の強さ及び痛みレベルの関係と、電気刺激の強さ及び脳波の振幅値の関係とのいずれもが中間域の線形性を有している。つまり、痛みレベル及び脳波の振幅は、ともに、電気刺激に対して上限及び下限を有し、電気刺激の強さに対して同様の変化を示す。そこで、脳波の振幅値と痛みレベルとの関係を分析したところ、脳波の振幅値と痛みレベルとの関係は、図5及び図6のように表された。
図5は、電気刺激による痛みレベル(VAS)と脳波振幅との関係を示すグラフである。図6は、電気刺激による痛みレベル(一対比較)と脳波振幅との関係を示すグラフである。図5及び図6において、縦軸は、脳波の振幅を示し、横軸は、痛みレベルを示す。
図5及び図6に示すように、VAS及び一対比較のいずれの場合であっても、電気刺激による痛みレベルと脳波の振幅値とは線形性を有する。つまり、脳波の振幅値は、痛みレベルに対して比例する。
なお、本開示において、線形性とは、厳密な線形性に加えて、より包括的な非線形関数に部分的に含まれ、焦点化されたような線形性も含む。つまり、線形性は、データ全体、もしくは所定の範囲内で、所定の誤差の範囲で線形関数に近似可能な関係を含む。所定の誤差の範囲は、例えば、回帰分析における決定係数Rによって定義される。決定係数Rは、残差の二乗和(Residual Sum of Squares)を平均値からの観察値の差の二乗和(Total Sum of Squares)で除算した結果を1から減算した値である。所定の誤差の範囲は、例えば、Rが0.5以上となる範囲である。
熱刺激による痛みと脳波との関係についても、電気刺激の場合と同様に、痛みレベルと脳波振幅とは線形性を有する。
図7は、熱刺激による痛みレベル(VAS)と脳波振幅との関係を示すグラフである。図8は、熱刺激による痛みレベル(一対比較)と脳波振幅との関係を示すグラフである。図7及び図8において、縦軸は、脳波の振幅を示し、横軸は、痛みレベルを示す。
図7及び図8に示すように、VAS及び一対比較のいずれの場合であっても、熱刺激による痛みレベルと脳波の振幅値とは線形性を有する。また、被検者によって脳波の振幅値の上限値及び下限値にはばらつきがあるが、発明者の実験により、振幅値の上限値は約60μVを超えないことがわかった。
以上のように、発明者は、複数種類の痛みを複数の方法で評価した痛みレベルと脳波の振幅値との関係を分析した結果、脳波の振幅と痛みとは線形性を有することを解明した。
(線形性による痛みの推定)
そこで、本発明は、脳波の振幅及び痛みの関係の線形性に基づいて痛みの大きさを推定する。以下、実施の形態に基づいて、図面を参照しながら具体的に本発明を説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(線形性による推定の実施の形態1)
実施の形態1では、脳波の振幅と痛みとは線形性を有するという特徴を利用して、複数回の脳波測定時における相対的な痛みの大きさを推定する。以下に、図9〜図10Cを参照しながら実施の形態1について説明する。
[痛み推定システムの構成]
図9は、実施の形態1に係る痛み推定システム100の機能構成を示すブロック図である。痛み推定システム100は、痛み推定装置110と、脳波計120とを備える。
痛み推定装置110は、測定部111と、推定部112とを備える。痛み推定装置110は、例えば、プロセッサ及びメモリを備えるコンピュータによって実現される。この場合、痛み推定装置110は、メモリに格納されたプログラムがプロセッサによって実行されたときに、プロセッサを測定部111及び推定部112として機能させる。また、痛み推定装置110は、例えば、専用電子回路によって実現されてもよい。専用電子回路は、1つの集積回路であってもよいし、複数の電子回路であってもよい。
測定部111は、脳波計120を介して推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波データを取得する。推定対象とは、痛みによって脳波に変化が生じる生体であり、人に限定される必要はない。
推定部112は、脳波の振幅及び痛みの関係の線形性に基づいて、複数の脳波データの振幅から、複数回の脳波測定が行われた際の相対的な痛みの大きさを推定する。つまり、推定部112は、脳波の振幅が大きいほど痛みが大きいという特性に基づいて、複数の脳波データに対応する相対的な痛みの大きさを推定する。
例えば、測定部111によって2回の脳波測定が行われた場合、推定部112は、以下のように、第1の脳波データに対応する第1の痛みと第2の脳波データに対応する第2の痛みとの相対的な大きさを推定することができる。まず、第1の脳波データの振幅が第2の脳波データの振幅よりも大きい場合に、推定部112は、第1の痛みが第2の痛みより大きいと推定する。一方、第1の脳波データの振幅が第2の脳波データの振幅よりも小さい場合に、推定部112は、第1の痛みが第2の痛みより小さいと推定する。また、第1の脳波データの振幅が第2の脳波データの振幅と同じときに、推定部112は、第1の痛みが第2の痛みと同じと推定する。
また例えば、測定部111によって4回以上の脳波測定が行われた場合、推定部112は、以下のように、さらに相対的な痛みの変化量を推定することもできる。まず、推定部112は、第1の脳波データの振幅値と第2の脳波データの振幅値との間の第1の差異値を算出する。さらに、推定部112は、第3の脳波データの振幅値と第4の脳波データの振幅値との間の第2の差異値を算出する。そして、推定部112は、第1の差異値と第2の差異値とに基づいて、第1の脳波データに対応する第1の痛みから第2の脳波データに対応する第2の痛みへの第1の変化と、第3の脳波データに対応する第3の痛みから第4の脳波データに対応する第4の痛みへの第2の変化との相対的な変化量を推定する。
具体的には、推定部112は、第1の差異値が第2の差異値より大きい場合に、第1の変化の量が第2の変化の量よりも大きいと推定する。一方、第1の差異値が第2の差異値より小さい場合に、推定部112は、第1の変化の量が第2の変化の量よりも小さいと推定する。また、第1の差異値が第2の差異値と同じ場合に、推定部112は、第1の変化の量が第2の変化の量と同じと推定する。
脳波計120は、推定対象の脳内で発生する電気活動を頭皮上の電極で計測する。そして、脳波計120は、計測結果である脳波データを出力する。
[痛み推定システムの処理]
次に、以上のように構成された痛み推定システム100の処理について説明する。図10Aは、実施の形態1に係る痛み推定システム100の処理を示すフローチャートである。図10Bは、実施の形態1に係る痛み推定処理の一例を示すフローチャートである。図10Cは、実施の形態1に係る痛み推定処理の他の一例を示すフローチャートである。具体的には、図10B及び図10Cは、図10AにおけるステップS112の処理の詳細を示す。
まず、測定部111は、脳波計120を介して推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波データを取得する(S111)。つまり、測定部111は、複数の時刻に脳波測定を行う。
次に、推定部112は、脳波の振幅及び痛みの関係の線形性に基づいて、複数の脳波データの振幅から、複数回の脳波測定が行われた際の相対的な痛みの大きさを推定する(S112)。つまり、推定部112は、複数の時刻における相対的な痛みの大きさを推定する。
例えば、推定部112は、1回目の脳波測定によって得られた第1の脳波データと2回目の脳波測定によって得られた第2の脳波データとを用いて、1回目の脳波測定時における第1の痛みと2回目の脳波測定時における第2の痛みとの相対的な大きさを推定することができる。具体的には、図10Bに示すように、推定部112は、第1の脳波データの第1の振幅と第2の脳波データの第2の振幅とを比較する(S121)。ここで、第1の振幅が第2の振幅よりも大きい場合に、推定部112は、第1の痛みが第2の痛みより大きいと推定する(S122)。第1の振幅が第2の振幅と同じ場合に、推定部112は、第1の痛みが第2の痛みと同じと推定する(S123)。第1の脳波データの振幅が第2の脳波データの振幅よりも小さい場合に、推定部112は、第1の痛みが第2の痛みより小さいと推定する(S124)。
また例えば、推定部112は、1回目の脳波測定時における第1の痛みから2回目の脳波測定時における第2の痛みへの第1の変化と、3回目の脳波測定時における第3の痛みから4回目の脳波測定時における第4の痛みへの第2の変化との相対的な変化量を推定することもできる。具体的には、図10Cに示すように、まず、推定部112は、第1の脳波データの振幅値と第2の脳波データの振幅値との間の第1の差異値を算出する(S131)。さらに、推定部112は、第3の脳波データの振幅値と第4の脳波データの振幅値との間の第2の差異値を算出する(S132)。そして、推定部112は、第1の差異値と第2の差異値とを比較する(S133)。ここで、第1の差異値が第2の差異値よりも大きい場合に、推定部112は、第1の変化量が第2の変化量より大きいと推定する(S134)。第1の差異値が第2の差異値と同じ場合に、推定部112は、第1の変化量が第2の変化量と同じと推定する(S135)。第1の脳波データの差異値が第2の脳波データの差異値よりも小さい場合に、推定部112は、第1の変化量が第2の変化量より小さいと推定する(S136)。
[効果]
以上のように、本実施の形態に係る痛み推定装置110によれば、脳波の振幅及び痛みの関係の線形性に基づいて、複数の脳波データの振幅から、複数回の脳波測定が行われた際の相対的な痛みの大きさを推定することができる。脳波の振幅及び痛みの間に線形性があることは、本発明者が解明した現象である。この脳波の振幅及び痛みの関係の線形性を利用することで、推定対象から申告された痛みの大きさを用いなくても痛みの大きさを推定することができ、推定対象が有する痛みを客観的かつ正確に推定することが可能となる。さらに、推定対象などから事前に脳波データを収集する必要もないため、より容易に痛みの大きさの推定を行うことができる。
また、本実施の形態に係る痛み推定装置110によれば、第1の脳波データの振幅と第2の脳波データの振幅とを比較することにより、第1の脳波データに対応する第1の痛みと第2の脳波データに対応する第2の痛みとのどちらの痛みが大きいかを推定することができる。したがって、例えば、治療前及び治療後に脳波データを測定することで、治療前及び治療後の痛みの大きさを比較することができ、治療の効果を評価することができる。
また、本実施の形態に係る痛み推定装置110によれば、2組の脳波データペアの振幅の差異値を比較することにより、相対的な痛みの変化量を推定することができる。したがって、例えば、第1の治療による痛みの変化と、第2の治療による痛みの変化とを比較することができ、第1の治療及び第2の治療の効果を相対的に評価することができる。
(線形性による推定の実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、刺激が与えられた際の推定対象の脳波の振幅の上限値及び下限値を用いて、対象脳波データに対応する痛みの大きさを推定する。以下に、実施の形態1と異なる点を中心に、図11〜図14を参照しながら実施の形態2について説明する。
[痛み推定システムの構成]
図11は、実施の形態2に係る痛み推定システム200の機能構成を示すブロック図である。図11において、図9と類似の機能ブロックについては、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施の形態に係る痛み推定システム200は、痛み推定装置210と、脳波計120と、刺激装置230と、を備える。
痛み推定装置210は、測定部211と、推定部212と、特定部213とを備える。痛み推定装置210は、例えば、プロセッサ及びメモリを備えるコンピュータによって実現される。この場合、痛み推定装置210は、メモリに格納されたプログラムがプロセッサによって実行されたときに、プロセッサを測定部211、推定部212及び特定部213として機能させる。また、痛み推定装置210は、例えば、専用電子回路によって実現されてもよい。専用電子回路は、1つの集積回路であってもよいし、複数の電子回路であってもよい。
測定部211は、脳波計120を介して、複数の大きさの刺激が順に与えられた推定対象99から脳波測定を行うことにより、各大きさの刺激に対応する脳波データを取得する。この脳波データは、後述する脳波振幅の上限値及び下限値の特定処理に用いられる。
さらに、測定部211は、推定対象99から脳波測定を行うことにより、対象脳波データを取得する。この対象脳波データは、痛みの推定処理に用いられる。つまり、痛み推定装置210は、対象脳波データの脳波測定が行われたときに推定対象99が有する痛みの大きさの値を推定する。
推定部212は、特定部213によって特定される推定対象99の脳波振幅の上限値及び下限値に対する対象脳波データの振幅値の相対的な大きさに基づいて、対象脳波データに対応する痛みの大きさの値を推定する。具体的には、推定部212は、脳波振幅の上限値と下限値との差異値に対する、対象脳波データの振幅値と脳波振幅の下限値との差異値の比率を用いて、対象脳波データに対応する痛みの大きさの値を推定する。
特定部213は、測定部211によって取得された脳波データに基づいて、推定対象99の脳波振幅の上限値及び下限値を特定する。例えば、特定部213は、複数の大きさの刺激に対応する複数の脳波データの振幅の最大値及び最小値を上限値及び下限値として特定する。また例えば、特定部213は、複数の脳波データを分析することにより、脳波振幅の上限値及び下限値を特定してもよい。具体的には、特定部213は、複数の刺激の大きさに対する複数の脳波データの振幅をシグモイド曲線にあてはめることにより、脳波振幅の上限値及び下限値を特定してもよい。
刺激装置230は、複数の大きさの刺激を個別に推定対象99に与える。具体的には、刺激装置230は、例えば、刺激量を変えながら複数の刺激を順に推定対象99に与える。刺激は、例えば、電気刺激及び熱刺激等である。
[痛み推定システムの処理]
次に、以上のように構成された痛み推定システム200の処理について説明する。痛み推定システム200の処理は、脳波振幅の上限値及び下限値を特定する特定処理と、特定された上限値及び下限値を用いて、対象脳波データに対応する痛みの大きさを推定する推定処理とを含む。まず、特定処理について説明する。
図12は、実施の形態2に係る痛み推定システム200における特定処理を示すフローチャートである。
まず、刺激装置230において複数の刺激量の中から未選択の1つの刺激量が選択される(S211)。例えば、20μA、40μA、60μA、80μA及び100μAの電気刺激量の中から未選択の1つの刺激量が選択される。
次に、刺激装置230は、選択された刺激量の刺激を推定対象99に与える(S212)。ステップS212において刺激が与えられたときに、脳波計120は、推定対象99から脳波測定を行い、測定部211は、脳波データを取得する(S213)。
複数の刺激量のすべてがすでに選択された場合(S214のYes)、特定部213は、各刺激量に対応する脳波データに基づいて、推定対象99の脳波振幅の上限値及び下限値を特定する(S215)。一方、複数の刺激量のいずれかがまだ選択されていない場合(S214のNo)、ステップS211に戻る。
以上のように、複数の刺激量の刺激が順に与えられた推定対象99から脳波測定が行われ、複数の刺激量に対応する脳波データに基づいて、推定対象99における脳波振幅の上限値及び下限値が特定される。
次に、推定処理について説明する。図13は、実施の形態2に係る痛み推定システム200における推定処理を示すフローチャートである。図14は、実施の形態2における推定処理を説明するためのグラフである。図14において、縦軸は、痛みの大きさを示し、横軸は、脳波振幅の大きさを示す。
図13に示すように、まず、脳波計120は、推定対象99から脳波測定を行い、測定部211は、対象脳波データを取得する(S221)。つまり、推定対象99の痛みを推定したいときに脳波測定が行われる。
次に、推定部212は、対象脳波データに基づいて推定対象99における痛みの大きさを推定する(S222)。具体的には、推定部212は、図12のステップS215において特定された推定対象99の脳波振幅の上限値及び下限値に対する対象脳波データの振幅値の相対的な大きさに基づいて、対象脳波データに対応する痛みの大きさを推定する。
例えば、図14に示すように、対象脳波データの振幅値がAxであり、脳波振幅の上限値及び下限値がAmax及びAminである場合に、推定部212は、痛みの大きさの値Pxを以下の式で推定する。
Px=(Ax−Amin)/(Amax−Amin)
つまり、推定部212は、推定対象99における脳波振幅の上限値と下限値との差異値に対する、対象脳波データの振幅値と脳波振幅の下限値との差異値の比率を用いて、対象脳波データに対応する痛みの大きさを推定する。
[効果]
以上のように、本実施の形態に係る痛み推定装置210によれば、推定対象の脳波振幅の上限値及び下限値に対する対象脳波データの振幅値の相対的な大きさに基づいて、対象脳波データに対応する痛みの大きさの値を推定することができ、痛みの大きさの定量化を図ることができる。また、上限値及び下限値の特定並びに痛みの大きさの値の推定のいずれにも、推定対象から申告された痛みの大きさを用いなくてもよく、推定対象が有する痛みを客観的に推定することが可能となる。
また、本実施の形態に係る痛み推定装置210によれば、上限値と下限値との差異値に対する対象脳波データの振幅値と下限値との差異値の比率を用いて、痛みの大きさの値を推定することができる。したがって、より容易に痛みの大きさの値の推定を行うことができる。
(他の実施の形態)
以上、本発明の1つまたは複数の態様に係る痛み推定装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。なお、線形性は、振幅以外でも、脳波特徴量であれば、周波数でも、ウェーブレット処理値でも言え、脳波特徴量ばかりでなく、主観評価でも変調範囲の線形性は見られる。したがって、本明細書において振幅を例として説明した箇所は、他の脳波特徴量(例えば、脳波特徴量である周波数、あるいはその分析値であるウェーブレット処理値等)であっても、同様に適用され得ることが理解される。
例えば、上記各実施の形態において、脳波データの振幅値として、ピークピーク値が用いられていたが、これに限定されない。例えば、振幅値として、単なるピーク値が用いられてもよい。
なお、上記実施の形態2では、脳波振幅の上限値Amaxに対応する痛みの大きさの値Pmaxが1となり、脳波振幅の上限値Amimに対応する痛みの大きさの値Pminが0となるように、痛みの大きさの値の範囲を設定したが、これに限定されない。例えば、0〜100で痛みの大きさが表されてもよい。この場合、推定部212は、痛みの大きさの値Pxを以下の式で推定すればよい。
Px=Pmax×(Ax−Amin)/(Amax−Amin)
また、上記実施の形態2では、複数の脳波データを分析することにより脳波振幅の上限値及び下限値を特定する例として、曲線あてはめ(curve fitting)を説明したが、これに限定されない。例えば、小さな刺激に対応する脳波振幅から大きな刺激に対する脳波振幅を推定するための学習モデルを用いて、脳波振幅の上限値が特定されてもよい。この場合、推定対象に対して大きな刺激を与えなくてもよいので、推定対象の身体的な負担を軽減することができる。また、脳波振幅の上限値は、予め定められた値が用いられてもよい。例えば、予め定められた値は、例えば50μVであり、実験的又は経験的に定められればよい。
また、刺激装置230が推定対象99に与える刺激は、電気刺激及び熱刺激に限定されない。刺激の大きさに応じて推定対象99が感じる痛みの大きさが変わるのであれば、どのような種類の刺激が与えられてもよい。
また、上記各実施の形態における痛み推定装置が備える構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。例えば、痛み推定装置110は、測定部111と推定部112とを有するシステムLSIから構成されてもよい。
システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
なお、ここでは、システムLSIとしたが、集積度の違いにより、IC、LSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいはLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
また、本発明の一態様は、このような痛み推定装置だけではなく、痛み推定装置に含まれる特徴的な構成部をステップとする痛み推定方法であってもよい。また、本発明の一態様は、痛み推定方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。また、本発明の一態様は、そのようなコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の痛み推定装置などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、推定対象の脳波に基づいて痛みの大きさを推定する痛み推定方法であって、前記推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波を取得する測定ステップと、脳波の振幅及び痛みの関係の線形性に基づいて、前記複数の脳波の振幅から、前記複数回の脳波測定が行われた際の相対的な痛みの大きさを推定する推定ステップと、を含む、痛み推定方法を実行させる。
また、このプログラムは、コンピュータに、推定対象の脳波に基づいて前記推定対象が有する痛みの大きさを推定する痛み推定方法であって、複数の大きさの刺激が順に与えられた推定対象から脳波測定を行うことにより、各刺激の大きさに対応する脳波データを取得する第1測定ステップと、前記脳波データに基づいて、前記推定対象の脳波振幅の上限値及び下限値を特定する特定ステップと、前記推定対象から脳波測定を行うことにより、対象脳波データを取得する第2測定ステップと、前記上限値及び前記下限値に対する前記対象脳波データの振幅値の相対的な大きさに基づいて、前記対象脳波データに対応する痛みの大きさを推定する推定ステップと、を含む、痛み推定方法を実行させてもよい。
以上のように、本発明者は、複数種類の痛みを複数の方法で評価した痛みレベルと脳波データまたはその分析データ(例えば振幅値)との関係を分析した結果、脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅)と痛みとが特定の関係を有することを解明し、種々の実施形態を設計することができることを説明した。加えて、本発明者は、脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅)及び痛みの特定の関係に基づいて、疼痛関数にフィッティングさせて痛みの大きさを推定する疼痛分類値を算出できることを見出した。
(疼痛分類値生成)
1つの局面において、本発明は、推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類するための疼痛分類値を生成する方法を提供する。この方法はa)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップとb)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データ(脳活動データ、脳活動量などともいう。例えば、脳波の振幅データ(「EEG振幅」)、周波数特性など)を取得するステップとc)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データとをプロットして、変調範囲を線形近似した一次関数、もしくはそれを内包するより包括的なシグモイド関数パターンなどの疼痛関数に当てはめて(フィッティングさせて)該推定対象に特異的な疼痛関数を得るステップと、d)前記特異的な疼痛関数への当てはめの回帰係数が所定以上の場合、該特異的な疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上(強中弱なども可能である。)に分けるための疼痛分類値を特定するステップとを包含する。
あるいは、本発明は、推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類するための疼痛分類値を生成する装置を提供する。この装置は、A)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激する刺激部と、B)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データ(例えば、振幅データ)を取得する脳波データ取得部と、C)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データとをプロットして、変調範囲を線形近似した一次関数、もしくはそれを内包するより包括的なシグモイド関数パターンなどの疼痛関数に当てはめて該推定対象に特異的な疼痛関数を得、該特異的な疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定する、疼痛分類値生成部とを含む。代表的には、A)刺激部では、ステップa)が実施され、B)脳波データ取得部では、ステップb)が実施され、C)疼痛分類値生成部では、ステップc)およびステップd)が実施される。
本発明では、痛みを「分類」することで、「推定」または「判別」を行うことができる。「痛み分類」を行うことで、強い・弱いがわかると、強い刺激を与えないように施術することができたり、鎮痛剤などの治療効果が客観的に分かったりする作用効果が得られることが理解される。「弱い刺激」から「強い刺激」を推定することができ、「弱くない痛みを感じているかどうか」は、弱い痛みに関わる脳活動特徴量の変動範囲が特定できれば、「逸脱した特徴量の出現頻度の増大=痛みが強くなっている」と推定することができる。実際の場面では、患者がどの程度痛みを強く感じているかのラベルはないため、リファレンス刺激を、弱い痛みから、変調点の中程度ぐらいまで呈示し、脳活動の変化パターンを特定することが好ましい。それに基づいて、患者の脳活動から痛みを推定し、痛みの状態を判別することができる。「弱い痛みにかかわる脳活動特徴量の変動範囲」が分かれば、その範囲から逸脱する頻度が上がれば、「弱くない痛みを感じている」と推測することができる。
以下スキーム図を用いて疼痛分類値生成の手法を説明する(図23)。
ステップa)である複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップ(S100)では、推定対象が複数のレベル(強さまたは大きさ)の刺激(例えば、冷温刺激、電気刺激など)で刺激される。刺激強度の種類の数は疼痛関数へのフィッティングに必要である数であり得、例えば、通常少なくとも3種類必要である。1種類または2種類であっても、前もって入手された情報と組み合わせることにより、疼痛関数へのフィッティングが可能であることもあるから、必ずしもこの種類数必要というわけではない。他方で、新たにフィッティングを行う場合は、通常少なくとも3種類、好ましくは4種類、5種類、6種類またはそれより多い種類のレベルの刺激で刺激することが有利であり得る。ここで、推定対象への負担を極力少なくするべきであることから、刺激強度は該推定対象に対する侵襲性が高い(別の言葉でいえば、被験者が我慢できない強度)の数は最低限またはゼロであることが好ましい。他方で、推定対象に対する侵襲性が高い刺激はより正確なフィッティングのために必要であり得ることから、目的に応じて最低限の数を入れることができる。例えば、そのようなに対する侵襲性が高いレベルの種類の数は、少なくとも1種類、少なくとも2種類または少なくとも3種類であってもよく、推定対象が許容し得る場合4種類以上であってもよい。
ステップb)は、該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データ(脳活動データ、脳活動量などともいう。例えば、振幅データ(「EEG振幅」)、周波数特性などを含む)を取得するステップであり(S200)、このような脳波データは、当該分野で周知の任意の手法を用いて取得することができる。脳波データは、脳波の電気信号を測定することによって得ることができ、振幅データなどとして電位(μV等で表示され得る)で表示される。周波数特性はパワースペクトル密度などで表示される。
好ましい実施形態では、本発明を実施するために、脳波データは、1)できるだけ少ない電極(2つ程度)で、2)毛髪のある頭皮を極力避け、3)寝ている状態でも記録できるような簡便な方法で実施することが好ましいが、必要に応じて電極の数は増加させてもよい(例えば、3つ、4つ、5つなどでもよい)。
ステップc)は、該刺激強度と該脳波データとをプロットして、疼痛関数(一次関数やシグモイド曲線)に当てはめて(フィッティングさせて)該推定対象に特異的な疼痛関数を得るステップである(S300)。このステップでは、ステップaで使用した刺激強度およびステップb)で得られた脳波データを用いてプロット図を作成し、疼痛関数に当てはめ(フィッティングさせ)る。疼痛関数へのあてはめ(フィッティング)は、当該分野で公知の任意の手法を用いて行うことができる。このような具体的なフィッティング関数としては、一次関数の他、ボルツマン関数、二重ボルツマン関数、Hill関数、ロジスティック用量応答、シグモイドリチャード関数、シグモイドワイブル関数などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、標準ロジスティック関数は、シグモイド関数と呼ばれ、標準関数、もしくは変形が一般的であり、好ましい。
ステップd)は、必要に応じて該疼痛関数への当てはめの回帰係数が所定以上の場合、該疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上(あるいは、疼痛レベルを量的・質的に2ないし3段階以上に)に分けるための疼痛分類値を特定するステップである(S400)。疼痛分類値の特定は、疼痛関数の変曲点(中央値など)に基づいて定めることができるがそれに限定されない。必要に応じて、疼痛レベルの分類が最大限になるように疼痛分類値を較正しても(キャリブレーションを行っても)よい。例えば、疼痛分類値は疼痛関数の変曲点に対応する脳波データを暫定的に疼痛分類値と定めることができる。この疼痛分類値をもとの脳波データとそれに対応する刺激強度またはその刺激強度に対応する対象の主観的疼痛感覚レベルを実際に評価し、外れ値が少なくなるように、好ましくは最小限になるように、較正することができる。このような疼痛分類値は、疼痛レベルの算出または分類へと応用することができ、治療の効果の判定に利用することができる。
同一の被験者が対象者になる場合、以前の分類値データを用いて、分類値を継承、もしくは更新するようなステップを含んでいてもよい。
本発明の疼痛分類値生成のための装置において、A)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激する刺激部は、ステップa)が実施されるように構成される。すなわち、刺激強度を複数種類提供することができる手段や機能を有する。そして、そのような刺激を、対象に対して付与することができるように構成される。
B)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データ(例えば、振幅データ)またはその分析データを取得する脳波データ取得部では、推定対象の脳波データまたはその分析データを取得するように構成される。脳波データ取得部は、ステップb)を実施するほか、他の機能を有していてもよい(例えば、分類装置におけるステップe))。
C)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データとをプロットして、変調範囲を線形近似した一次関数、もしくはそれを内包するより包括的なシグモイド関数パターンなどの疼痛関数に当てはめて該推定対象に特異的な疼痛関数を得、該特異的な疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定する、疼痛分類値生成部では、算出された特異的な疼痛関数のフィッティングおよび疼痛分類値の生成を行う機能を有し得る。通常、C)疼痛分類値生成部では、ステップc)およびステップd)が実施されることとなる。この2つの機能は、別々の装置、デバイス、CPUまたは端末などで実現されてもよく、1つの部分として実現されてもよい。通常は、1つのCPUまたは計算装置において、これらの計算を実現するプログラムが組み込まれたか組み込まれ得る構成となっている。
図24には、本発明の装置の模式図が記載される。このうちこの実施形態は疼痛分類値測定装置であるので、1000〜3000が関与する。刺激部1000はA)に該当し、これは、刺激の値が脳波データ取得部2000および疼痛分類値生成部3000に連絡される。脳波データ取得部2000では、リファレンス刺激部から対象(1500)に発出された刺激から脳波データまたはその分析データを得られるように、対象(1500)に連結されたかされ得る脳波計を備えるか脳波計に連結されるように構成される(2500)。
図25は、1つの実施形態の痛み推定または痛み分類あるいは疼痛分類値生成システム5100の機能構成を示すブロック図である(なお、この構成図のいくつかは任意の構成部分であり省略され得ることに留意されたい)。システム5100は、脳波測定部5200を備え、この脳波測定部は脳波記録センサー5250および必要に応じて脳波増幅部5270を内部に備えるか、外部で接続し、疼痛判別/推定装置部5300にて痛みの信号処理および判別/推定が行われる。疼痛判別/推定装置部5300では、脳波信号処理部5400で脳波信号を処理し、(必要な場合は、脳波特徴量抽出部5500で脳波特徴量を抽出し、)疼痛判別/推定部5600で痛みを推定/判別し、(必要に応じて)疼痛レベル可視化部5800で痛みを可視化する。また、内部、もしくは外部に、刺激装置部5900を備え、この刺激装置部5900は、リファレンス刺激呈示装置部(端子)5920を備え、患者の疼痛分類器作成のために寄与する。刺激装置部は、リファレンス刺激発生部5940も含む、必要に応じてリファレンス刺激レベル可視化部5960を備えていてもよい。
このように疼痛分類値生成システム5100は、脳波測定部5200と、疼痛判別/推定装置部推定部5300とを備え、必要に応じて刺激装置部5900(リファレンス刺激部を含みうる)を備える。疼痛判別/推定装置部5300は、例えば、プロセッサ及びメモリを備えるコンピュータによって実現される。この場合、疼痛判別/推定装置部推定部5300は、メモリに格納されたプログラムがプロセッサによって実行されたときに、プロセッサを、必要に応じて脳波増幅部5270、脳波信号処理部5400、(必要に応じて)疼痛判別/推定部5600、(必要に応じて)疼痛レベル可視化部5800などとして機能させる。必要に応じてリファレンス刺激発生および可視化もさせる。また、本発明のシステム5100または装置部5300は、例えば、専用電子回路によって実現されてもよい。専用電子回路は、1つの集積回路であってもよいし、複数の電子回路であってもよい。脳波データ取得部および疼痛分類値生成部は、この疼痛推定装置と同様の構成をとっていてもよい。
脳波測定部5200は、脳波計(脳波記録センサー5250)を介して推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波データを取得する。推定対象とは、痛みによって脳波に変化が生じる生体であり、人に限定される必要はない。
疼痛判別/推定部5600は、疼痛分類値を生成する。疼痛分類値は、複数の脳波データの振幅から、痛みの大きさを推定または分類するためのものである。つまり、疼痛判別/推定部5600は、脳波データから対象の疼痛を推定または分類するための疼痛分類値を生成することができる。
脳波記録センサー5250は、推定対象の脳内で発生する電気活動を頭皮上の電極で計測する。そして、脳波記録センサー5250は、計測結果である脳波データを出力する。脳波データは必要に応じて増幅することができる。
次に、以上のように構成された装置の処理または方法について説明する。図23は、一連の処理を示すフローチャートである。この局面では、S100〜S400までが関与する。S400で疼痛分類値(疼痛分類器/疼痛予測器ともいう)が生成される。
リファレンス刺激部1000を通じて、対象に対して複数のレベル(大きさ)の刺激強度の刺激を付与する(S100)。
次に、脳波データ(振幅データなどの脳波振幅基準データ)を取得する(S200)。脳波データの取得は、図24でいうと、脳波データ取得部2000により行われる。図25に即していうと、脳波測定部5200により、脳波計(脳波記録センサー5250)を介して推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波データを取得し、脳波データ(例えば、振幅データ)とする。脳波測定部5200は、複数の時刻に脳波測定を行ってもよい。
疼痛分類値生成部3000(図24参照)において、疼痛関数フィッティングを行う(S300)。疼痛関数フィッティングを行って、必要に応じて回帰係数が適切な値と判断される場合に、この疼痛関数を用いて疼痛分類値(疼痛分類器/疼痛予測器)を生成することができる(S400)。疼痛分類値の生成後、必要に応じて、較正(キャリブレーション)を行うことができる。
(疼痛分類・推定)
別の局面では、本発明は、推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する方法を提供する。この方法は、e)該推定対象の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅データ)を得るステップとf)該脳波データまたはその分析データを所定の疼痛分類値に当てはめ、該推定対象の疼痛レベルを分類するステップとを含み、該疼痛分類値は、該推定対象の脳波の脳波データまたはその分析データの疼痛関数へのあてはめによって得られるものである。このような疼痛分類値は、(疼痛分類値生成)の節に記載されるような任意の手法で算出することができるが、別途の手法で生成したかあるいは予め生成していたものでもよい(図23、S450)。
別の局面では、本発明は、推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する装置を提供する。この装置は、X)該推定対象の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅データ)を得る脳波データ取得部とY)該脳波データまたはその分析データを該疼痛分類値に当てはめ、あるいは疼痛分類値に基づいて該推定対象の疼痛レベルを分類する疼痛分類部であって、該疼痛分類値は、該推定対象の脳波データの疼痛関数へのフィッティングによって得られるものである、疼痛分類部とを含む。通常、X)脳波データ取得部が、e)ステップを行い、Y)疼痛分類部が、f)ステップを行うがこれに限定されない。
ステップe)は、該推定対象の脳波データ(例えば振幅データ)を得るステップである(S500)。このステップは、何らかの刺激を受けているあるいは処置されているかどうかにかかわらず、測定を意図する対象から、脳波データを得るステップであり、脳波データを取得できる手法であれば、どのような手法であってもよい。b)ステップで使用される脳波データ取得と同じ手法を用いることができ、通常は同一の手法を用いる。
ステップf)は、該脳波データを所定の疼痛分類値に基づいて該推定対象の疼痛レベルを分類するステップである(S600)。所定の疼痛分類値は、推定対象の疼痛レベルと紐づけられて「痛み分類器」、もしくは「痛み予測器」と呼ばれる。例えば、痛みに関わる脳振幅が減少パターンを示し、痛みの疼痛分類値が「強い痛み」と「弱い痛み」とを分類する場合、その値より低い脳波データ(例えば、振幅データ)が検出された場合は、「強い痛み」と分類され、大きな脳波データ(例えば、振幅データ)が検出された場合は「弱い痛み」と分類される。例えば、痛み分類器の値が、標準化された脳波絶対振幅「0.7」を示す場合、オンラインで記録される脳波振幅データを既存データをもとに絶対値化、ならびに標準化した後、「0.8」の場合は「弱い痛み」を感じていると分類され、また「0.2」の場合は、「強い痛み」を感じていると分類される。
1つの実施形態では、脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅データ)の前記疼痛分類値への当てはめは、平均値で行うことができる。このような平均値は、15秒〜200秒、さらに数時間にわたるデータ記録の場合、200秒を超える(例えば、300秒、500秒、600秒、900秒、1200秒など)平均値であってもよい。
図24に基づいてこの局面を説明する。図24では、疼痛分類部4000の他、脳波データ取得部2000が参照される。点線は判別モデル作成の手順を示し、実践は、実際の疼痛レベルの判別/推定を行う手順を示す。この場合、(疼痛分類値生成)の節で説明したように、脳波データは、対象から脳波計を介して取得することができる。すなわち、脳波データ取得部2000は、対象1500に連結され得るように構成され、脳波データ取得部2000では、対象(1500)から得られる脳波データまたはその分析データを取得するように、対象(1500)に連結されたかされ得る脳波計を備えるか脳波計に連結されるように構成される(2500)。疼痛分類部4000では、予め疼痛分類値が格納されているか、別途生成したデータを受容するように構成され、必要に応じて参照することができるように構成される。そのような連結の構成は、有線であっても無線であってもよい。あらかじめ格納される疼痛分類値は、疼痛分類値生成部3000において、特徴量の疼痛関数へのフィッティングに基づき生成される。
図25は、1つの実施形態の痛み推定または痛み分類あるいは疼痛分類値生成システム5100の機能構成を示すブロック図である。システム5100は、脳波測定部5200を備え、この脳波測定部は脳波記録センサー5250および必要に応じて脳波増幅部5270を内部に備えるか、外部で接続し、疼痛判別/推定装置部5300にて痛みの信号処理および判別/推定が行われる。疼痛判別/推定装置部5300では、脳波信号処理部5400で脳波信号を処理し、(必要に応じて)疼痛判別/推定部5600で痛みを推定/判別し、(必要に応じて)疼痛レベル可視化部5800で痛みを可視化する。また、内部、もしくは外部に、刺激装置部5900を備え、この刺激装置部5900は、リファレンス刺激呈示装置部(端子)5920を備え、患者の痛み分類器作成のために寄与する。刺激装置部は、(必要に応じて)リファレンス刺激発生部5940を備える。
このように疼痛分類値生成システム5100は、脳波測定部5200と、疼痛判別/推定装置部5300とを備える。疼痛判別/推定装置部5300は、例えば、プロセッサ及びメモリを備えるコンピュータによって実現される。この場合、疼痛判別/推定装置部5300は、メモリに格納されたプログラムがプロセッサによって実行されたときに、プロセッサを必要に応じて脳波増幅部5270、脳波信号処理部5400、(必要に応じて)疼痛判別/推定部5600、(必要に応じて)疼痛レベル可視化部5800などとして機能させる。必要に応じてリファレンス刺激発生および可視化もさせることができる。また、本発明のシステム5100または装置部5300は、例えば、専用電子回路によって実現されてもよい。専用電子回路は、1つの集積回路であってもよいし、複数の電子回路であってもよい。脳波データ測定部および疼痛分類値生成部3000(図24参照)は、この疼痛推定装置と同様の構成をとっていてもよいし、外部に構成されてもよい。
脳波測定部5200は、脳波計(脳波記録センサー5250)を介して推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波データを取得する。推定対象とは、痛みによって脳波に変化が生じる生体(例えば、霊長類等の哺乳類等の動物)であり、ヒトに限定される必要はない。
疼痛判別/推定部5600は、疼痛分類値生成部3000(図24参照)により作成された疼痛分類値に基づいて、複数の脳波データの振幅から、痛みの大きさを推定または分類する。つまり、疼痛判別/推定部5600は、疼痛分類値に基づいて、脳波データから対象の疼痛を推定または分類する。
脳波記録センサー5250は、推定対象の脳内で発生する電気活動を頭皮上の電極で計測する。そして脳波記録センサー5250は、計測結果である脳波データを出力する。脳波データは必要に応じて増幅することができる。
次に、以上のように構成された装置の処理または方法について説明する。図23は、一連の処理を示すフローチャートである。この局面では、S400〜S600までが関与しうる。S400で疼痛分類値(疼痛分類器/疼痛予測器ともいう)が生成された後のステップである。あるいは、別途疼痛分類値が入手可能な場合(以前に取得して格納してある場合など)であり、その場合は、S450から始まる。
この疼痛分類値は、作成後、疼痛分類部4000に予め格納されていてもよく、また、値データを受容できるように疼痛分類部4000が構成されていてもよい。あるいは疼痛分類値生成部3000が付属する場合は、その生成部に格納されもよく、別途記録媒体が配置されていてもよい。通信でこの値を受容することもできる。
次に、対象から脳波データを取得する(S500)。この脳波データの取得はS200で説明したものと同様の技術を用いることができ、同様の実施形態を採用することができるが、S200と同じ装置またはデバイスを用いる必要はなく、異なっていても同じであってもよい。
次に、S500で得られた脳波データ(例えば、振幅データ)を、疼痛分類値に当てはめて、その脳波データに対応する疼痛分類を行う(S600)。このような疼痛分類は、予め所定の値が出た場合に特定の文言(強い痛み、弱い痛み等)を表示するあるいは発声するように構成されてもよく、実際の値と疼痛分類値とを並列して表示させユーザー(臨床医)が検討できるようにしてもよい。
(疼痛分類値生成および分類/推定)
別の局面では、本発明は、疼痛分類値生成(判別モデル作成)および分類/推定(モデル適用)の両法を行う方法および装置に関する。
したがって、この局面では、本発明は、推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類/推定する方法を提供する。この方法は、a)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップと、b)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データ(例えば、振幅データ)を取得するステップと、c)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データとをプロットして、変調範囲を線形近似した一次関数、もしくはそれを内包するより包括的なシグモイド関数などの疼痛関数に当てはめて該推定対象に特異的な疼痛関数を得るステップと、d)前記特異的な疼痛関数への当てはめの回帰係数が所定以上の場合、該特異的な疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定するステップと、e)該推定対象の脳波データ(例えば、振幅データ)を得るステップと、f)該脳波データを該疼痛分類値に当てはめ、該推定対象の疼痛レベルを分類するステップとを含む。各ステップは、(疼痛分類値生成)および(疼痛分類・推定)の節において説明されており、これらの記載事項の任意の実施形態およびその組み合わせによって実施することができる。
別の局面では、本発明は、推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する装置を提供する。この装置は、A)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激する刺激部と、B)該推定対象の脳波データ(例えば、振幅データ)を取得する脳波データ取得部(該刺激強度に対応する脳波データと現実の脳波データを得る)と、C)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データとをプロットして、疼痛関数にフィッティングさせて該推定対象に特異的な疼痛関数を得、該特異的な疼痛関数(一次関数やシグモイド曲線)に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定する、疼痛分類値生成部と、D)該脳波データを該疼痛分類値に当てはめ、または該疼痛分類値に基づいて該推定対象の疼痛レベルを分類する疼痛分類部とを含む。
各構成部は、(疼痛分類値生成)および(疼痛分類・推定)の節において説明されており、これらの記載事項の任意の実施形態およびその組み合わせによって実施することができる。
1つの例示的な実施形態を、図26に基づいて説明する。
図26は、本発明のシステム5150の機能構成を示すブロック図である。図26において、図25と類似の機能ブロックについては、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
本局面のシステム5150は、疼痛判別/推定装置部5300と、測定部5200における脳波計5220(脳波記録センサー5250と異なり、センサーと増幅部を合わせた部門である。)と、刺激装置部5900(リファレンス刺激部を含みうる)と、を備える。この刺激部は、上記刺激部1000と同様の機能を有し得、疼痛判別/推定装置部5300と別個の装置であり得、あるいはその中の一部として組み入れられ得る。疼痛分類値生成部3000は、刺激装置部5900(リファレンス刺激部を含みうる)からの痛みレベル情報と特徴量抽出部5500から脳波特徴量を得て、疼痛関数の一形態であるシグモイド関数フィッティングを行い、疼痛分類値を生成する部であり、推定部5600に分類値を送る。
疼痛判別/推定装置部5300は、必要に応じて組み入れられた測定部5200と、推定部5600と、特定部5650と、必要に応じて可視化部5800を備える。疼痛判別/推定装置部5300は、例えば、プロセッサ及びメモリを備えるコンピュータによって実現される。この場合、疼痛判別/推定装置部5300は、メモリに格納されたプログラムがプロセッサによって実行されたときに、プロセッサを必要に応じて測定部5200と、推定部5600と、可視化部5800と、内部に搭載する場合、分類値生成部3000の少なくとも1つ、2つ、3つまたはすべてとして機能させる。また、疼痛判別/推定装置部5300は、例えば、専用電子回路によって実現されてもよい。専用電子回路は、1つの集積回路であってもよいし、複数の電子回路であってもよい。
測定部5200は、脳波計5220を介して、複数の大きさの刺激が順に与えられた推定対象5099から脳波測定を行うことにより、各大きさの刺激に対応する脳波データを取得する。この脳波データは、疼痛関数の一形態であるシグモイド関数へのフィッティングおよび疼痛分類値の特定処理に用いられる。
さらに、測定部5200は、推定対象5099から脳波測定を行うことにより、対象脳波データを取得する。この対象脳波データは、痛みの分類値作成、ならびに疼痛レベルの推定処理に用いられる。つまり、疼痛判別/推定装置部5300は、対象脳波データの脳波測定が行われたときに、疼痛分類値に基づいて、推定対象5099が有する痛みの大きさの値を推定または分類する。
判別/推定部5600は、分類値生成部3000によって特定される推定対象5099の対象脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅値)に基づいて、疼痛分類値に基づいて、対象脳波データに対応する痛みの大きさの値を推定または分類する。分類値生成部では本発明の疼痛関数(ここでは、シグモイド関数が例示される)フィッテイングで得られた分類値が導入される。
分類値生成部3000は、測定部5200によって取得された脳波データに基づいて、推定対象5099の疼痛分類値を特定する。例えば、特定部5650は、複数の大きさの刺激に対応する複数の脳波データの振幅を特定する。また例えば、分類値生成部3000は、複数の脳波データまたはその分析データを分析することにより、疼痛分類値に基づいて推定および分類してもよい。具体的には、分類値生成部3000は、複数の刺激の大きさに対する複数の脳波データの振幅を疼痛関数(ここでは、シグモイド関数が例示される)にフィッティングさせることにより、疼痛分類値を特定してもよい。可視化部5800は、判別/推定部5600で得られた疼痛レベルを時間連続的に、もしくは、点数で表示し、痛みのモニタリングのために、液晶ディスプレイなどで表示する。
刺激装置部5900(リファレンス刺激部を含みうる)は、複数の大きさの刺激を個別に推定対象5099に与える。具体的には、刺激装置部5900は、例えば、刺激量を変えながら複数の刺激を順に推定対象5099に与える。刺激は、例えば、電気刺激及び熱刺激等である。また、刺激装置部5900(リファレンス刺激部を含みうる)は、疼痛分類値生成部3000に、痛みレベルの情報を提供する。
次に、以上のように構成された疼痛推定・分類システム5150の処理について説明する。システム5150の処理は、刺激に基づいて脳波の振幅を特定する特定処理と、疼痛分類値の生成のために、疼痛関数(ここではシグモイド関数が例示される)へのフィッティングを行う処理と、疼痛分類値を生成する処理と、疼痛分類値に基づいて、受信した脳波データから痛みを推定または分類する処理とを含む。まず、特定処理について説明する。ここでは、図23を参照する。
刺激部1000を通じて、対象に対して複数のレベル(大きさ)の刺激強度の刺激を付与する(S100)。
次に、脳波データを取得する(S200)。脳波データの取得は、脳波データ取得部2000により行われる。図25に即していうと、測定部5200により、脳波計(記録センサーと増幅部の総称)5220を介して推定対象から複数回の脳波測定を行うことにより複数の脳波データまたはその分析データを取得し、分析を行う脳波データとする。測定部5200は、複数の時刻に脳波測定を行ってもよい。
疼痛分類値生成部3000において、疼痛関数フィッティングを行う(S300)。疼痛関数フィッティングを行って、必要に応じて回帰係数が適切な値と判断される場合に、この疼痛関数を用いて疼痛分類値を生成することができる(S400)。疼痛分類値の生成後、必要に応じて、較正(キャリブレーション)を行い、分類値の補正を行うことができる。
この疼痛分類値は、疼痛分類部4000に格納されていてもよく、疼痛分類値生成部3000に格納されていてもよく、別途記録媒体が配置されていてもよい。通信でこの値を送受信することもできる。
次に、対象から脳波データを取得する(S500)。この脳波データの取得はS200で説明したものと同様の技術を用いることができ、同様の実施形態を採用することができるが、S200と同じ装置またはデバイスを用いる必要はなく、異なっていても同じであってもよい。
次に、S500で得られた脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅データ)を、疼痛分類値に基づいて、その脳波データまたはその分析データに対応する疼痛分類を行う(S600)。このような疼痛分類は、予め所定の値が出た場合に特定の文言(強い痛み、弱い痛み等)を表示するあるいは発声するように構成されてもよく、実際の値と疼痛分類値とを並列して表示させユーザー(臨床医)が検討できるようにしてもよい。
(疼痛関数の応用)
本発明で用いられる疼痛関数は、広義の線形性の関係、換言すれば一対一の関係、すなわち、(i)第1の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)が第2の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)よりも大きい場合、第1の脳波データに対応する第1の痛みが第2の脳波データに対応する第2の痛みより大きいと推定し、(ii)第1の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)が第2の脳波データまたはその分析データ(例えば、振幅を含む)よりも小さい場合、第1の痛みが第2の痛みより小さいと推定することができる。このようなことを表現することができる関数であれば、どのようなものでもよいことを説明し、その応用例として、一次関数およびシグモイド関数が挙げられることを説明してきた。シグモイド関数についてみると、最小値の漸近線の終了時点から、最大値の漸近線開始時点を部分的に取り出し、一次関数で近似することができるため、本発明の疼痛関数として、広義の線形性を有すると解することができ、疼痛関数として利用することができることが理解される。この場合、シグモイド関数の変調範囲は「線形性」を持つといえる(図27を参照)。図27には、シグモイド関数の線形近似部分の模式図を示す。この線形性は、単なる関数パターンの形式的な話にとどまらず、この変調範囲の幅、ならびに変調の振幅の違いから由来する個人の「痛み感度特性」を反映するという意味でも、意義があるといえる。例えば、ある人は、徐々に変調が起こるゆるやかな連続性を示す可能性を有し、別の人は、一気に変調する、ステップ関数パターンを示す可能性を有する。こういう意味で、この変調の疼痛関数(例えば、一次関数の傾き)を特定することは、痛み判別において意味があると考えられる。
図27に示されるシグモイド関数の線形近似部分をさらに説明すると、ここで示されるように、個人内でも、刺激強度により不快度のシグモイド関数の線形近似部分は変化し得る。この特性から、個人の痛み特徴量の変化パターンを予測することもできる。例えば、傾きがゆるやかな対象は、痛みの特徴量の変化が開始しても、しばらく放置できるが、傾きが急な人は、すぐに臨床対応が必要など、が想定される(図28を参照)。
(他の実施の形態)
以上、本発明の1つまたは複数の態様に係る痛み分類値生成技術について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
例えば、上記各実施の形態において、脳波データの振幅値として、ピークピーク値が用いられていたが、これに限定されない。例えば、振幅値として、単なるピーク値が用いられてもよい。
なお、上記実施疼痛分類値生成の発明についての形態では、脳波振幅の上限値Amaxに対応する痛みの大きさの値Pmaxが1となり、脳波振幅の上限値Amimに対応する痛みの大きさの値Pminが0となるように、痛みの大きさの値の範囲を設定したが、これに限定されない。例えば、0〜100で痛みの大きさが表されてもよい。この場合、判別/推定部5600は、痛みの大きさの値Pxを以下の式で推定すればよい。
Px=Pmax×(Ax−Amin)/(Amax−Amin)
また、上記では、複数の脳波データを分析することにより疼痛分類値の生成例として、曲線あてはめ(curve fitting)を説明したが、これに限定されない。例えば、小さな刺激に対応する脳波振幅から大きな刺激に対する脳波振幅を推定するための学習モデルを用いて、大きな刺激に対応する値が特定されてもよい。この場合、推定対象に対して大きな刺激を与えなくてもよいので、推定対象の身体的な負担を軽減することができる。また、脳波振幅の上限値は、予め定められた値が用いられてもよい。例えば、予め定められた値は、例えば50μV〜100μVであり、実験的又は経験的に定められればよい。このように通常の解析では、アーチファクト除去方法として、プラスマイナス50μVから100μVぐらいのデータを排除するが、このようなアーチファクト除去は疼痛分類値生成において必要に応じて本発明でも実施してもよい。
また、刺激装置部5900(リファレンス刺激部を含みうる)が推定対象5099に与える刺激は、電気刺激及び熱刺激に限定されない。刺激の大きさに応じて推定対象5099が感じる痛みの大きさが変わるのであれば、どのような種類の刺激が与えられてもよい。
また、上記各実施の形態における痛み推定装置が備える構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。例えば、判別/推定装置部5300は、必要に応じて測定部5200と必要に応じて刺激装置部5900(リファレンス刺激部を含みうる)とを有するシステムLSIから構成されてもよい。
システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
なお、ここでは、システムLSIとしたが、集積度の違いにより、IC、LSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいはLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
また、本発明の一態様は、このような疼痛分類値生成、痛み判別・分類装置だけではなく、痛み推定装置に含まれる特徴的な構成部をステップとする疼痛分類値生成、痛み判別・分類方法であってもよい。また、本発明の一態様は、疼痛分類値生成、痛み判別・分類方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。また、本発明の一態様は、そのようなコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の痛み推定装置などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。

すなわち、このプログラムは、コンピュータに、推定対象の脳波に基づいて痛みの大きさを推定する痛み判別方法であって、a)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップとb)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データ(例えば、振幅データ)を取得するステップとc)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データとをプロットして、変調範囲を線形近似した一次関数、もしくはそれを内包するより包括的なシグモイド関数などの疼痛関数に当てはめて該推定対象に特異的な疼痛関数を得るステップとd)該特異的な疼痛関数への当てはめの回帰係数が所定以上の場合、該特異的な疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値を特定するステップとe)該推定対象の脳波データ(例えば、振幅データ)を得るステップとf)該脳波データを該疼痛分類値に当てはめ、該推定対象の疼痛レベルを分類するステップと、必要に応じて適当な痛み指標に変換し可視化するステップとを含む、方法を実行させる。
また、このプログラムは、コンピュータに、推定対象の脳波に基づいて疼痛分類値を生成する方法であって、a)複数のレベルの刺激強度で該推定対象を刺激するステップとb)該刺激強度に対応する該推定対象の脳波データ(脳活動データ、脳活動量などとも言う。振幅データ(EEG振幅)、周波数特性など)を取得するステップとc)該刺激強度または該刺激強度に対応する主観的疼痛感覚レベルと該脳波データとをプロットして、変調範囲を線形近似した一次関数、もしくはそれを内包するより包括的なシグモイド関数などの疼痛関数に当てはめて(フィッティングさせて)該推定対象に特異的な疼痛関数を得るステップとd)該特異的な疼痛関数への当てはめの回帰係数が所定以上の場合、該特異的な疼痛関数に基づいて、疼痛レベルを少なくとも2つ以上に分けるための疼痛分類値(pain classifier)を特定するステップと、を含む、方法を実行させてもよい。あるいは、推定対象の脳波に基づいて該推定対象が有する痛みを分類する方法であってe)該推定対象の脳波データを得るステップとf)該脳波データを所定の疼痛分類値に当てはめ、該推定対象の疼痛レベルを分類するステップとを含む、方法を実行させてもよい。
本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値の範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下に実施例を記載する。必要な場合、以下の実施例で用いる対象の取り扱いは、必要な場合、大阪大学において規定される基準を遵守し、臨床研究が関係する場合はヘルシンキ宣言およびICH−GCPに準拠して行った。試薬類は具体的には実施例中に記載した製品を使用したが、他メーカーの同等品でも代用可能である。
(実施例1:疼痛分類値の生成)
本実施例では、疼痛関数としてシグモイド関数を用い、疼痛分類値を生成した。以下に材料および方法を示す。
(材料および方法)
(参加者)
20代から70代の72人の健常な成人患者が、本実施例に参加した。参加者らは、臨床試験前にインフォームドコンセントに同意した。全参加者は、神経性および/もしくは精神性の病気、または臨床薬物治療条件下における急性および/もしくは慢性疼痛を経験していないことを自己報告した。本実施例は、ヘルシンキ宣言を遵守し、大阪大学医学部付属病院倫理委員会の承認下で実施した。
(実施手順)
温度刺激システム(Pathway; Medoc Co., Ltd., Ramat Yishai, Israel)を使用して、冷刺激を参加者の前腕腹側に与えた。試験は、6レベルの温度強度を包含した。低温疼痛条件において、6つの温度レベルを、−15℃から10℃の範囲で、5度ごとに直線的に減少させた。各レベルは、5秒のISI(inter−stimulus interval:刺激間間隔)を伴う3回の刺激からなり、各刺激は、5秒の上昇および仮性の待機時間を伴う15秒間のプラトーを保った。ブロック間の間隔を100秒に固定した。参加者は、コンピュータ化された可視化アナログスケール(COVAS)上で、0から100の範囲(0:「無痛」;100:「耐えられない疼痛」)で疼痛強度を連続的に評価した。COVASデータを刺激強度の変更と同時に記録した。
(脳電図(EEG)データ記録)
市販されているBio−Amplifier (EEG1200; Nihon Koden)を使用して、4つの頭皮Ag/AgCl頭皮電極(Fz、Cz、C3、C4)からEEGを記録した。最も前部の電極であるFp1をEOG活性を記録するために使用した。参照電極を両方の耳たぶに付着させ、外側電極を額に置いた。サンプリングレートは、0.3〜120Hzの範囲のバンドパスフィルタを用いて、1,000Hzだった。全部の電極についてのインピーダンスは15kΩ未満であった。
(脳電図(EEG)分析)
連続的なEEGデータを、低温疼痛条件における6つの温度レベル中の3つのエポックを包含する18のエポックデータに変換した。各エポックは、刺激開始後30秒の持続期間を有する。EOGアーティファクトを、以下の回帰フィルターに基づいて減少させた。
[数1]
生EEG=β×EOG+C
推定EEG=生EEG−β×EOG
β:回帰係数
C:切片
推定EEG:推定されたEEG
Fp1は、左眼に最も近接しており、眼球運動に重度に影響されるため、Fp1データをEOGデータとして使用した。VEOGの減衰後、各強度レベルに対して、ベースライン補正を別々に適用した。すなわち、刺激開始5秒前から刺激開始までの第一のエポック基準値を使用して、各エポックを補正した。基準値で補正した振幅を絶対値に変換し、各強度レベルについて平均した。
(結果)
刺激強度とEEG活性との間のシグモイド関数を示すことを目的として、代表的対象者データの一つを直下に示す。
図15は、各レベルについて平均化する直前の6つの強度レベルに関する18エポックの絶対振幅データ(1被験体)を表す。横軸および縦軸は、時間および標準化絶対振幅をそれぞれ示す。視察によると、3つのより低い強度レベル(レベル1〜3)における振幅の変化は、より高い強度レベル(レベル4〜6)における振幅の変化より大きい。
図16は、各強度レベル中の3つのエポックを平均した絶対振幅を表す。振幅は、最大値で標準化している。横軸および縦軸は、刺激強度および標準化振幅をそれぞれ表す。図16(4つのプロットに電極位置情報が示される)において観察され得るように、平均振幅は、より低い強度レベル(レベル1〜3)がより高い強度レベル(レベル4〜6)より大きなEEG振幅を示したことをより明確に示す。この強度−振幅関数は、負の直線関数ではなく、減少シグモイド関数である。
14人の参加者は、厳格に減少シグモイド関数を示した。振幅の開始レベルの減少が参加者間および個々の参加者中の電極間で変動するため、本発明者らは、適切なチャネルを選択し、変化の開始直前のより高い振幅レベルおよび変化後のより低い振幅レベルをカバーする4つのチャネルを特定した。4レベル中の振幅を全体平均化させ、対応のあるt検定によって近接する対応レベル間で統計学的に検定した。図17は、強度レベルと振幅との間の減少シグモイド関数を明確に示し、これは、痛み低レベル2および痛み高レベル1が、振幅が統計学的に有意に異なるという統計学的結果によって支持された(t=2.886、p=0.013)。フィッティング分析は、この関数が以下の等式と有意にフィットしていることを示した。
シグモイド関数=0.9987-0.2211/(1+10^((3.2722-x)×39.7591))
x:最大値によって標準化されたEEGデータ
シグモイドフィッティング関数を使用して、本発明者らは、図18に示すような、一人の患者に関する疼痛分類値を生成した。第一に、本発明者らは、最大値で標準化された、平均主観疼痛評価値(x軸)および平均EEG振幅(Fz:y軸)を計算した。第二に、本発明者らは、これらの値間のシグモイドフィッティング関数を推定し、疼痛分類値または中心値を生成した。すなわち、疼痛分類の閾値を超える標準化EEG活性(>0.8559)を「より弱い疼痛強度」と標識し、疼痛分類の閾値を下回る標準化されたEEG振幅を「より強い疼痛強度」と標識した。
シグモイド関数に基づいた疼痛分類値は、他の疼痛のために疼痛予測値としても使用できる。第一に、弱い参照電気刺激3レベルおよび強い参照電気刺激3レベルの刺激を参加者の1人にそれぞれ3回与えた。各刺激に対する平均絶対振幅を刺激後の5秒の持続期間にわたって計算し、6レベルのデータサンプル中の最大振幅によって標準化した。6レベルのデータを直線的に並べ、図19に示すようにシグモイド関数にフィットさせた。このフィッティング関数に基づき、本発明者らは、0.9126の閾値を有する疼痛分類値を得た。この疼痛分類値を使用し、図16Aの異なるタイプの低温刺激データを用いて、同一参加者に関する低温疼痛強度レベルを予測した。各刺激を独立して30秒の持続期間にわたって平均し、標準化した後、18個の平均値データを得た。それらのデータを最弱レベル(レベル1)から最強レベル(レベル6)まで直線的に並べ、閾値が0.9126の疼痛分類値によって分類した。より高い3つのレベルを、参照疼痛分類または予測値に基づいて、正確に予測可能であった(図20)。しかしながら、低い3つの低温疼痛レベルにおいて、比較的大きな誤差が観察された。実際、この疼痛予測器を使用すると60%の分類誤差が生じ、これは分類閾値の較正が必要であることを示唆した。そこで、以下の方法で分類閾値を補正した。強い疼痛試験に関する標準化EEG振幅最大値を明確にし、0.661まで閾値を低下させた(図21)。この直線較正法は分類誤差を60%から44%に改善した。
従って、較正を行うことにより、疼痛分類値はより正確に疼痛を分類および推定することができることが示された。
(実施例2)
本実施例2では、異なる解析方法を用いて、脳活動の変化が疼痛レベルの変化に応じて、変調点を介してシグモイド関数型を示すことを実証した。
本実施例では、次のような解析を行った。サンプルは14名で行った。
各種刺激は、実施例1に記載されるものに順じ、以下の点を特に修正して行った。
・レベル1の刺激呈示後30秒間のEEG振幅絶対値(3試行分)の平均、ならびに標準誤差をもとめ、レベル1の閾値(平均―標準誤差×2)を求めた。痛みレベルの増加により単調減少パターンを示すことが実施例1から明らかになっているので、レベル1閾値より小さい場合、痛みレベルが上昇するという基準を設定した。
・レベル2から6の各レベルごとに、EEG振幅絶対値が、レベル1閾値より小さい頻度(時間ポイント数)を算出した。
・レベル2と他のレベルにおける、レベル1閾値下ポイント数の頻度を個人ごとに算出し、平均値をt-検定で比較した。
すなわち、レベル1閾値から逸脱頻度が高いほど、痛みレベルが強いことを示しており、逸脱度が高いほど、閾値が疼痛分類値として有効であることを示す。
(結果)
全対象者において、レベルがあがれば、常に頻度が高くなるということではないが、図22に示すように、痛みレベル2と最高レベル6では、統計的にも有意差があることが証明された。これは、本発明により、「耐えられないほど痛い」レベル6と他の「痛くない」、もしくは「痛みがより弱い」レベルでは、変調点を介した違い、すなわちギャップがあることの実証データと言える。
(実施例3:シグモイド型の疼痛関数における変調範囲の線形性の多様性)
本実施例3では、シグモイド型の疼痛関数の線形域(変調範囲)が、痛み刺激のパターンにより、個人内でどのように変化するかを調べることを目的とした。特に、図28Aにおけるような傾きの変化、図28Bにおけるような変調域の振幅の変化に焦点を当てた。
(方法)健常男性1名に、1)0.25mAの3連発、もしくは10連発の電気刺激を与えた場合(連発数の変化)、2)0.25mAと0,75mAの10連発の電気刺激を与えた。与えた後に、対象者に、1から10段階で刺激の不快度を主観的に評価してもらった。
(結果)図28Cで示したとおり、0.25mAの電気刺激の連発数が変化した場合、不快度の最大値への到達点が刺激提示回数の12回から10回に早まり、不快度の最大値も高くなり、傾きが変化した。一方、電気刺激強度を変えた場合は、変調開始時点の不快度のスコアが2倍大きくなり、傾きがややゆるやかになった。つまり、痛み強度が高い状況が最初から生じている場合は、痛み感度の変化が弱く、察知するのが難しくなることを示している。シグモイド型の疼痛関数における、変調域の線形性が個人の痛み感度の特定に有効であることを示す実例である。
(応用例)
上記の実施例に示したように、対象者で、痛み刺激提示方法(すなわち、刺激装置部5900から提示されるリファレンス刺激呈示方法)を変え、シグモイド関数の変調範囲の線形性変化パターンを特定することにより、個人の痛み感度を特定し、疼痛判別/推定装置部5300に塔載される判別アルゴリズムの作成および補正を行うことができる。
(注釈)
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。本願は日本国特許庁に2016年8月22日に出願された特願2016−162195および日本国特許庁に2017年7月7日に出願された特願2017−133424に対して優先権主張を伴うものであり、これらの出願のその内容全体が本願において参考として援用される。
推定対象の脳波に基づいて痛みの大きさを推定する痛み推定装置として利用できる。本発明はまた、痛みを精確に分類することができ、強い痛みを与えないでも痛みを推定することができ、痛みに関する診断、治療をよりきめ細やかに行うことができる。
99:推定対象
100、200:痛み推定システム
110、210:痛み推定装置
111、211::測定部
112、212:推定部
120:脳波計
213:特定部
230:刺激装置
1000:リファレンス刺激部
1500:対象
2000:脳波データ取得部
2500:脳波計
3000:疼痛分類値生成部
4000:疼痛分類部
5099:対象
5100:疼痛分類値生成システム
5150:疼痛推定・分類システム
5200:脳波測定部
5220:脳波計
5250:脳波記録センサー
5270:脳波増幅部
5300:疼痛判別/推定装置部
5400:脳波信号処理部
5500:脳波特徴量抽出部
5600:疼痛判別/推定部
5700:疼痛判別補正部
5800:疼痛レベル可視化部
5900:刺激装置部
5920:リファレンス刺激呈示端子
5940:リファレンス刺激発生部
5960:リファレンス刺激レベル可視化部

Claims (1)

  1. 明細書に記載の発明。
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