以下、本発明の吸収性物品をその好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。図1〜図4には、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキン1が示されている。ナプキン1は、図1及び図2に示すように、着用者の前後方向に対応し、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向Xと、これに直交する横方向Yとを有するとともに、着用時に着用者の排泄部(膣口等)と対向する部分である排泄部対向部を含む中間部Mと、該中間部Mより縦方向Xの前方すなわち着用者の前側(腹側)に配される前方部Fと、該中間部Mより縦方向Xの後方すなわち着用者の後側(背側)に配される後方部Rとを有する。中間部Mの前記排泄部対向部は、中間部Mの横方向Yの中央部に位置する。
ナプキン1は、主に夜間用の生理用ナプキンとして用いられる。夜間用の生理用ナプキンは、その着用時間が長時間にわたるため、着用中に排泄される経血等の排泄液の量も多くなり、多量の液を吸収し保持する高い吸収力及び保持力が必要とされる。これに対応するため、ナプキン1はある程度の大きさを有していることが好ましく、具体的には、縦方向Xの全長が、好ましくは27cm以上、より好ましくは30cm以上である。
図1に示すように、ナプキン1は、その縦方向Xへの折り畳みによって形成された1本の中央折り畳み線CFLを有し、該中央折り畳み線CFLは中間部Mと後方部Rとの境界をなしている。中央折り畳み線CFLは、表面シート2を内側にして(裏面シート3を外側にして)、ナプキン1を縦方向Xに折り畳むことによって形成されており、横方向Yに延びる直線状をなしている。中央折り畳み線CFLは、ナプキン1の縦方向Xの中央部に形成されていればよく、具体的には、ナプキン1の縦方向Xの中央を基準として、その基準から縦方向Xの前方側及び後方側それぞれにナプキン1の縦方向Xの全長の10%以内の領域である。
また図1に示すように、ナプキン1の後方部Rには、後述する第3領域Cより縦方向Xの後方に、ナプキン1の折り畳みによって形成された後方折り畳み線RFLが1本形成されている。後方折り畳み線RFLも、中央折り畳み線CFLと同様に、表面シート2を内側にしてナプキン1を縦方向Xに折り畳むことによって形成されており、横方向Yに延びる直線状をなしている。後方折り畳み線RFLは、後述する第3領域Cと後方部Rの横溝9との間(内溝23と横溝9との間)を横方向Yに延びている。後方折り畳み線RFLは通常、ナプキン1の縦方向Xの後端から縦方向Xの前方側にナプキン1の縦方向Xの全長の10〜30%離間した位置に形成される。
また図1に示すように、ナプキン1の前方部Fには、ナプキン1の折り畳みによって形成された前方折り畳み線FFLが1本形成されている。前方折り畳み線FFLも、中央折り畳み線CFL及び後方折り畳み線RFLと同様に、表面シート2を内側にしてナプキン1を縦方向Xに折り畳むことによって形成されており、横方向Yに延びる直線状をなしている。前方折り畳み線FFLは、後述する第1領域Aと前方部Fの横溝9との間を横方向Yに延びている。前方折り畳み線FFLは通常、ナプキン1の縦方向Xの前端から縦方向Xの後方側にナプキン1の縦方向Xの全長の10〜30%離間した位置に形成される。
このように、ナプキン1は、縦方向Xの前側から順に、前方折り畳み線FFL、中央折り畳み線CFL、後方折り畳み線RFLの合計3本の折り畳み線を有し、これらの折り畳み線は、ナプキン1が縦方向Xに折り畳まれて個包装される際に使用される。つまり、ナプキン1の個包装形態は、3本の折り畳み線による四つ折り形態である。
ナプキン1は、図1に示すように、縦方向Xに長い形状の吸収性本体10と、吸収性本体10における中間部Mの縦方向Xに沿う両側部それぞれから横方向Yの外方に延出する一対のウイング部10W,10Wとを有している。吸収性本体10は、前方部Fから後方部Rにわたって延在している。吸収性本体10の長手方向すなわちナプキン1の長手方向は、縦方向Xに一致し、該長手方向に直交する吸収性本体10及びナプキン1の幅方向は、横方向Yに一致する。
本発明の吸収性物品における中間部Mは、ナプキン1のように吸収性物品がウイング部を有する場合には、中央折り畳み線CFLとウイング部前端部とで区分される領域であるところ、ここでいう「ウイング部前端部」とは、ナプキン1を例にとれば、一方のウイング部10Wの縦方向Xの前方側の付け根である。つまり中間部Mは、一方のウイング部10Wの前方側の付け根を通って横方向Yに延びる仮想直線を縦方向Xの前端とし、中央折り畳み線CFLを縦方向Xの後端とする、1つの連続した領域である。なお、ナプキン1においては、一対のウイング部10W,10Wは、ナプキン1を横方向Yに二分して縦方向Xに延びる縦中心線CLを基準として左右対称に形成されており、一方のウイング部10Wの前記前方側の付け根と他方のウイング部10Wのそれとは、縦方向Xにおいて同位置に存する。
また、ウイング部を有しない吸収性物品(図示せず)における中間部Mは、該吸収性物品が個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向(幅方向、図中のY方向)に横断する2本の折り畳み線について、該吸収性物品の縦方向の前端から数えて第1折り畳み線と第2折り畳み線とに囲まれた領域を意味する。
ナプキン1を構成する吸収性本体10は、図2及び3に示すように、吸水性材料を含む液保持性の吸収体4と、吸収体4の肌対向面側に配された表面シート2と、吸収体4の非肌対向面側に配された裏面シート3とを具備する。吸収体4は、表面シート2と裏面シート3との間に介在配置されている。
本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収体4)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌に近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から遠い側である。なお、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、すなわち当該吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
図1〜3に示すように、表面シート2は、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆している。裏面シート3は、表面シート2よりも更に横方向Yの外方に延出し、後述するサイドシート6とともにサイドフラップ部10Sを形成している。裏面シート3とサイドシート6とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。また、表面シート2及び裏面シート3は、吸収体4の縦方向Xの両端からの延出部において、公知の接合手段によって互いに接合されている。表面シート2及び裏面シート3と吸収体4との間はそれぞれ接着剤によって接合されていてもよい。
吸収性本体10は、図1及び図2に示すように、中間部Mにおける縦方向Xに沿う両側部に、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁4S,4Sから横方向Yの外方に延出する部材(本実施形態では裏面シート3及びサイドシート6)を含んで構成される一対のウイング部10W,10Wを有している。一対のウイング部10W,10Wは、それぞれ、サイドフラップ部10Sの中間部Mに位置する部分が周辺部よりも横方向Yの外方に延出して形成されており、図1及び図2に示す如き平面視において、下底(上底に比して長い辺)が吸収性本体10側に位置する略台形形状を有している。ウイング部10Wは、その非肌対向面に後述する固定部を有している。ナプキン1の使用時において、ウイング部10Wは、ショーツ等の着衣のクロッチ部の非肌対向面すなわち外面側に折り返され、前記固定部を介して該クロッチ部に固定される。
また、吸収性本体10は、図1及び図2に示すように、後方部Rにおける縦方向Xに沿う両側部に、吸収体4の両側縁4S,4Sから横方向Yの外方に延出する部材(本実施形態では裏面シート3及びサイドシート6)を含んで構成される一対の後方フラップ部10H,10Hを有している。一対の後方フラップ部10H,10Hは、それぞれ、サイドフラップ部10Sの後方部Rに位置する部分が周辺部よりも横方向Yの外方に延出して形成されている。後方フラップ部10Hは、後述する固定部を有しており、該後方フラップ部10Hの非肌対向面が広げられた状態、即ち吸収性本体10の側方に延ばされた状態で前記固定部を介してショーツ等の着衣に固定される。
吸収性本体10は、図1に示すように、中間部Mに配された第1領域Aと、後方部Rに配され且つ吸収体4にスリットRSが形成された第3領域Cと、これら両領域A,C間に配され且つ吸収体4にスリットが形成されていない第2領域Bとを有している。即ち、第1、第2及び第3領域A,B,Cは、この順で中間部Mから縦方向Xに沿って並んで配置されている。第1、第2及び第3領域A,B,Cは、図1及び図4に示すように、縦方向Xの各領域A,B,Cが配された位置において、吸収体4の全幅に亘っている。
スリットは、吸収体4に形成された切れ目であり、その形成位置おいて吸収体4の形成材料が切断され又は形成材料が他の部位よりも相互に離れて分離されている。本実施形態の第3領域CにおいてスリットRSは、平面視直線状をなしているが、平面視形状はこれに限定されず波線等でもよい。またスリットは、縦方向Xに延びていることが好ましく、図示の如く縦中心線CLに対して平行であってもよく、平行でなくてもよい。スリットは、平面視において縦中心線CL(縦方向X)に対して傾斜していてもよく、該縦方向Xとのなす角度が好ましくは45度未満、より好ましくは30度未満、さらに好ましくは10度未満、さらに好ましくは0度である。即ち、スリットは縦方向Xに平行に延びることが最も好ましい。
本実施形態の第1領域Aは、吸収体4にスリットMSが形成されているが、第1領域Aは、吸収体4にスリットが形成されていなくともよい。
第1、第2及び第3領域A,B,Cは、縦方向X又は横方向Yの剛性が異なっている。以下、第1領域Aの縦方向Xの剛性をXA、第2領域Bの縦方向Xの剛性をXB、第3領域Cの縦方向Xの剛性をXCと表す。また、第1領域Aの横方向Yの剛性をYA、第2領域Bの横方向Yの剛性をYB、第3領域Cの横方向Yの剛性をYCと表す。第2領域Bは、第1領域Aに比して横方向Yの剛性が低く、且つ第3領域Cに比して縦方向Xの剛性が高い。即ち、以下の大小関係(1)を満たす。
大小関係(1):YA>YB、且つXC<XB
剛性は、吸収性本体10における各領域A,B,Cの屈曲性を示す指標であり、「剛性が高い」とは、その領域において吸収性本体10が屈曲し難いことを意味し、「剛性が低い」とはその領域において吸収性本体10が屈曲し易いことを意味する。剛性には、縦方向Xの剛性と、横方向Yの剛性とがあり、「縦方向Xの剛性」は、縦方向Xに沿って荷重が加えたられたときの剛性であり、「横方向Yの剛性」は、横方向Yに沿って荷重が加えたられたときの剛性である。剛性は以下の方法により測定される。
〔剛性の測定方法〕
吸収性本体の第1、第2及び第3領域それぞれから、縦方向Xの長さ30mm、横方向Yの長さが吸収体の全幅となるサンプルを切り出す。第1領域は、吸収性本体の中間部の任意の縦方向の位置から切り出す。第3領域は、後方部においてスリットが形成された領域における任意の縦方向の位置から切り出す。第2領域は、第3領域において縦方向の最も前側に位置するスリットの前端から縦方向前側部分を第2領域の後端として特定し、該後端から縦方向前側に30mmの長さであって、吸収体の全幅となる幅のサンプルを切り出す。また、第2領域にはスリットが形成されていないことから、中間部の後端近傍にスリットが形成されている場合、該スリットの後端よりも後方側からサンプルを切り出す。非肌対向面に固定部がある場合は、非肌対向面に市販のティッシュペーパーを貼り付ける。測定には、ハンドロメーター(HOM−200特型、株式会社製大栄科学精器製作所)を用いる。ブレードの長手方向をナプキンの縦方向X又は横方向Yに一致させて、試験台のスリット上にサンプルを肌対向面が上となるように載置し、該サンプルの上からブレードを下降させる。ブレードの下降距離は、試験台面から8mmとし、試験台のスリット幅は20mmとする。ブレードの長手方向をナプキンの縦方向Xに一致させて測定された剛性を縦方向Xの剛性とし、ブレードの長手方向をナプキンの横方向Yに一致させて測定された剛性を横方向Yの剛性とする。
吸収性本体10は、図4に示すように、非肌対向面に該吸収性本体10を着用者の着衣に固定する固定部を有している。吸収性本体10は、固定部として、ウイング部10Wに配されたウイング固定部11、後方フラップ部10Hに配された後方フラップ固定部12、及び吸収体4に配された本体固定部13を有している。本体固定部13は、複数の小固定部13aからなり、該複数の小固定部13aが縦方向Xに沿って並んで配されているこれら固定部11,12,13は、粘着剤等の固定材によって形成されており、その使用前においてはフィルム、不織布、紙等からなる剥離シート(図示せず)によって被覆されている。
第2領域Bは、第1領域A及び第3領域Cに比して固定部を形成する固定材の単位面積当たりの存在量が少ない。本実施形態においては、第1領域Aにウイング固定部11及び複数の小固定部13aを、第3領域Cに後方フラップ固定部12及び複数の小固定部13aをそれぞれ有する一方、第2領域Bに固定部を有していない。第2領域Bには、固定部が配されていてもよいが、その場合、第1及び第3領域A,Cに比して固定部を形成する固定材の単位面積当たりの存在量が少なくなるように、第2領域Bに固定部を配置する。固定材の単位面積当たりの存在量は、以下の方法により測定される。
〔固定材の単位面積当たりの存在量の測定方法〕
吸収性本体10から測定対象となる領域をサンプルとして切り出し、該サンプルの非肌対向面に黒色などの有色のトナー(ブラザー工業株式会社製、商品名「レーザープリンター用 詰め替えトナー粉ボトル 560971」)を散布して、該サンプルにおける固定部を着色する。次いで、サンプルの非肌対向面の画像を取得し、画像処理によって前記画像を2値化処理して、サンプルの非肌対向面全体の面積に対する、着色された部分の面積の割合を算出し、これを固定材の単位面積当たりの存在量とする。
図1及び図3〜図5に示すように、吸収性本体10の縦方向Xに沿う両側部には、ナプキン1の着用時に着用者の肌側に向かって起立する部分を有する一対の防漏カフ5,5が配されている。一対の防漏カフ5,5それぞれは、サイドシート6を主体として構成されており、該サイドシート6において、縦方向Xに沿って弾性部材5aが配されている。
本実施形態において防漏カフ5は、横方向Yの内方側に、図2及び3に示すように、サイドシート6の折り返しにより二層構造となった部分を含んで構成されており、その二層構造を構成するサイドシート6,6間に、弾性部材5aが伸長状態で固定されている。サイドシート6は、二層構造となった部分が、横方向Yの外方側で表面シート2に接合されており、該二層構造となった部分よりも横方向Yの外方側の部分が、縦方向Xの全長にわたって裏面シート3に接合されている。接合は、ホットメルト等の接着剤、熱融着等の公知の接合手段を用いることができる。
弾性部材5aは糸状をなし、その長手方向を縦方向Xに一致させて、伸長状態で固定されている。本実施形態においては、各防漏カフ5に弾性部材5aが1本配されているが、各防漏カフ5における弾性部材5aの数は特に制限されず、1本でも複数本でもよい。
サイドシート6は、吸収性本体10の縦方向Xの略全長にわたって、吸収性本体10の縦方向Xに沿う側部に沿って配されており、吸収性本体10の肌対向面すなわち表面シート2の肌対向面が、サイドシート6によって被覆されている。これにより一対の防漏カフ5,5は、それぞれ、前方部Fから後方部Rにわたって縦方向Xに連続的に配されている。一対の防漏カフ5,5それぞれは、第2領域Bより前方の部位から該第2領域Bより後方の部位に亘って弾性部材5aが配されている。防漏カフ5,5は、縦方向Xにおける第2領域Bが存在する範囲において起立可能となっている。本実施形態の防漏カフ5,5は、弾性部材5aが縦方向Xにおいて前方部Fから中間部Mを介して後方部Rに亘って配されており、該弾性部材5aの収縮力によって、後述する起立阻害部50よりも縦方向Xの内方に位置する部分が起立可能となっている。
前述したように、折り畳み線に起因する折り皺が肌に当接することを抑制して、装着時の違和感を低減する観点から、ナプキン1を縦方向Xに伸ばした状態で着衣に固定して、該ナプキンを使用することがある。ナプキン1は、剛性が上述した大小関係(1)を満たすため、第2領域Bが着用者の臀部の形状に沿って(屈曲)変形し易いとともに、後方部Rが柔軟に屈曲して着用者の臀部の割れ目(臀裂)に追従し易い。しかも、第2領域Bは、第1領域A及び第3領域Cに比して、固定材の単位面積当たりの存在量が少ないため、第2領域Bが、着用者の股間部に容易に追従する。このようにナプキン1は、着用者の身体の形状に沿って変形するが、特に第2領域Bから縦方向Xの後方側が大きく湾曲するため、着用者の身体へのフィット性に優れる。さらに、第2領域より前方の部位から該第2領域より後方の部位に亘って配された弾性部材5aが、前記後方部Rの湾曲によって縦方向Xの内方に収縮するため、防漏カフ5の立ち上がり(起立性)が良好に維持される。これにより、防漏カフは、縦方向Xにおいて第2領域が存在する範囲を含む、起立する部分において、液漏れを効果的に抑制することができる。
前記のフィット性を向上させる観点から、第1、第2及び第3領域A,B,Cの各領域における剛性は大小関係(1)に加えて、以下の大小関係(2)を満たすことが好ましい。
大小関係(2):XA>XB>XC
吸収性本体10の屈曲性を向上させる観点から、第1、第2及び第3領域A,B,Cの各領域における横方向Yの剛性は以下の範囲であることが好ましい。
YAに対するYBは、好ましくは30%以上80%以下である。
YBは、好ましくは30cN以上80cN以下である。
後方部Rをより湾曲させ易くする観点から、第1、第2及び第3領域A,B,Cの各領域における縦方向Xの剛性は以下の範囲であることが好ましい。
XAに対するXBは、好ましくは50%以上90%以下である。
XCに対するXBは、好ましくは110%以上170%以下である。
XBは、好ましくは15cN以上40cN以下である。
本実施形態において、第1領域Aは、縦方向Xにおいて前方部Fの後方部分から中間部Mの後端部まで延びている。このように第1領域Aは、中間部Mに配されていればよく、縦方向Xにおいて中間部Mの全長に亘って配されていることが好ましい。
フィット性を一層向上させる観点から、第2領域Bの縦方向Xの長さL2は、第3領域Cの縦方向Xの長さL3に対して好ましくは30%以上70%以下である。
第2領域Bの縦方向Xの長さL2は、好ましくは10mm以上50mm以下である。
上記と同様の観点から、第3領域Cの縦方向Xの長さL3は、好ましくは40mm以上80mm以下である。
排泄液を吸収させ易くする観点から、第1領域Aの縦方向Xの長さL1は、好ましくは60mm以上120mm以下である。
防漏カフ5の起立性を向上させる観点から、防漏カフ5の縦方向Xの全長は、第2領域Bの縦方向Xの長さL2に対して好ましくは10倍以上14倍以下である。
防漏カフ5の弾性部材5aは、縦方向Xにおいて第2領域より前方の部位から該第2領域より後方の部位に亘って配されているが、上記と同様の観点から、第1領域Aから第3領域Cに亘って配されていることが好ましい。また、弾性部材5aによる伸縮性を有する部分の縦方向Xの全長は、第2領域Bの縦方向Xの長さL2に対して好ましくは7倍以上10倍以下である。
第3領域Cに形成されたスリットRSの数は特に制限されず、該スリットRSの数が1本以上あればよく、好ましくは3本以上10本以下である。第3領域CがスリットRSを複数有している場合、その複数のスリットRSは互いに、平面視形状及び縦中心線CLに対する傾斜角度の何れか一方又は両方が同じでもよく、異なっていてもよい。また、複数のスリットRSが縦方向Xに一列に並ぶパターンよりも、図1に示す如き、横方向Yの位置が異なる2本以上のスリットRSが存するパターンが好ましい。
ナプキン1では、図6に示すように、第3領域Cにおける複数のスリットRSは、平面視形状及び縦中心線CLに対する傾斜角度が互いに同じであり、各スリットRSは縦中心線CLに平行に直線で延びている。複数のスリットRSは縦方向X及び横方向Yの両方向に分散した状態であって、千鳥状に配されている。具体的には、複数(2本)のスリットRSが縦方向Xに間欠配置されたスリット列が形成され、且つ該スリット列を横方向Yに投影したときに、該スリット列を構成するスリットRSの投影像の間に、該スリット列と横方向Yにおいて隣接する他のスリットの投影像が配置されるものである。
スリットRSは、図2に示すように、吸収体4を貫通していることが好ましい。またスリットRSは、図2に示すように、吸収体4の上下に配される表面シート2及び裏面シート3には形成されていないことが好ましい。また、図示していないが、表面シート2と吸収体4との間に別のシート(例えばサブレイヤ)が介在配置されている場合、スリットはその別のシートにも形成されていないことが好ましい。
吸収性本体10は、固定部として、吸収体4に配された本体固定部13を有していることが好ましい。本実施形態において本体固定部13は、固定材が配された小固定部13aが縦方向Xに間欠配置された小固定部列13bを有しこのように、固定材が縦方向Xに間欠配置された、いわゆるストライプ状の配置であると、吸収性本体10の柔軟性が向上し、第2及び第3領域B、Cの屈曲性を向上させることができる。前記の屈曲性の観点から、小固定部列13bにおける小固定部13aどうし間の距離L4は、好ましくは1mm以上5mm以下である。
本実施形態において、本体固定部13は、第1領域Aに形成された2列の小固定部列13bと、第3領域Cに形成された2列の小固定部列13bとを有している。一方、第2領域Bには、本体固定部13が形成されていない。
本実施形態において、小固定部列13bは、相互間に間隔を置いて、吸収性本体10の縦中心線CLの両側それぞれに形成されている。これにより、吸収性本体10の柔軟性を向上させることができる。前記柔軟性の観点から、横方向Yにおける小固定部列13bどうし間の距離L5は、吸収体4の全幅に対して好ましくは15%以上55%以下である。
製品の柔軟性を向上させ、装着時の身体へのフィット性を阻害させない観点から、小固定部列13bを構成する小固定部13aの横方向Yの長さW13は、好ましくは10mm以上40mm以下である。上記と同様の観点から、小固定部列13bを構成する小固定部13aの縦方向Xの長さL13は、好ましくは1mm以上5mm以下である。
本実施形態において第2領域Bには、本体固定部13が形成されていないが、第2領域Bに本体固定部13が形成されていてもよい。この場合、図5に示すように、第2領域Bには、縦中心線CL上に位置する固定部が形成されていることが好ましい。縦中心線CL上に位置する固定部を中央固定部14ともいう。第2領域Bには、1個の中央固定部14が形成されていてもよく〔図5(a)参照〕、中央固定部14として複数の中央小固定部14aが形成されていてもよい〔図5(b)参照〕。
吸収性本体10の肌対向面には、図1に示すように、表面シート2及び吸収体4が裏面シート3側に一体的に凹陥してなる溝として、縦方向Xに延在する縦溝8が、横方向Yに所定間隔を置いて一対形成されているとともに、横方向Yに延在する横溝9が、一対の縦溝8,8それぞれの縦方向Xの後端に連結されている。一対の縦溝8,8は、それぞれ、前方部Fから中間部Mを通って後方部Rにわたって連続している。横溝9は、図1に示す如き平面視において、縦方向Xの外方に向かって凸の凸状をなし、その凸の頂部が縦中心線CL上に位置している。
一対の縦溝8,8は、それぞれ図1に示す如き平面視において、第2領域Bに括れ部80を有している。括れ部80は、一対の縦溝8,8間の距離が、縦方向Xにおける前後の部分に比して部分的に狭くなる部分である。括れ部80を有すると、ナプキン1が非肌対向面側に凸となるように屈曲する際の起点となり、ナプキン1の屈曲性を向上させる。
なお、縦溝8は、括れ部に代えて、あるいは括れ部とともに、分断部を有していてもよい。分断部は、縦溝8の連続性が失われた部分であり、縦溝8を構成する凹陥部が形成されていない部分すなわち非凹陥部(平坦部)からなる。分断部も、括れ部と同様に、ナプキン1が非肌対向面側に凸となるように屈曲する際の起点となり得る部分である。縦溝8が有する分断部の、縦溝8の延びる方向に沿う長さは、好ましくは10mm以上、そして好ましくは70mm以下である。
縦溝8は、平面視において縦方向Xに延びる線状をなしていればよく、その長手方向と縦方向Xとのなす角度が45度未満であればよい。横溝9は、平面視において横方向Yに延びる線状をなしていればよく、その長手方向と横方向Yとのなす角度が45度未満であればよい。また、両溝8,9ともに、その長手方向に沿って凹陥部(表面シート2及び吸収体4が裏面シート3側に一体的に凹陥した部分)が連続する連続線状の溝でもよく、あるいは、凹陥部と非凹陥部(平坦部)とがその長手方向に交互に配された不連続線状の溝でもよい。不連続線の溝において、その長手方向において隣り合う凹陥部どうしの間隔(非凹陥部の該長手方向の長さ)は、好ましくは5mm以下である。また、縦溝8と横溝9との連結は、両溝8,9それぞれの凹陥部が連続している形態のみならず、縦溝8と横溝9との間に非凹陥部が介在する形態が包含され、後者の形態において、縦溝8と横溝9との間隔(介在する非凹陥部の両溝8,9の長手方向に沿う長さ)は、好ましくは5mm以下である。
本実施形態においては、前方部F及び後方部Rそれぞれに横溝9が形成されている。前方部Fの横溝9は、一対の縦溝8,8それぞれの縦方向Xの前端に連結され、後方部Rの横溝9は、一対の縦溝8,8それぞれの縦方向Xの後端に連結されており、これら両溝8,9の連結体は、平面視において閉じた環状をなしている。縦溝8及び横溝9は、それぞれ、縦中心線CLを基準として左右対称に形成されている。縦溝8及び横溝9に囲まれた領域には、後述する高坪量部43(中間部Mにおける、前方部F及び後方部Rに比して吸水性材料の坪量が高い領域)が存在している。
また、吸収性本体10の肌対向面には、図1に示すように、後方部Rの横溝9よりも縦方向Xの内方に、横方向Yに延在する部分(横溝部)23bを有する内溝23が形成されている。内溝23は、縦方向Xに延びる一対の縦溝部23a,23aと、両縦溝部23a,23aそれぞれの縦方向Xの後端に連結された横溝部23bとを含んで構成され、縦中心線CLを基準として左右対称に形成されている。横溝部23bは、平面視において縦方向Xの外方に向かって凸の凸状をなし、その凸の頂部が縦中心線CL上に位置している。なお、縦溝部23aと横溝部23bとの連結部は内溝23の変曲点に位置しており、したがって、横溝部23bは、内溝23における変曲点よりも縦方向Xの外方に位置する。内溝23についても、前述した溝8,9についての説明が適宜適用される。
前述した溝8,9,23は、いわゆる防漏溝として機能し、吸収体4の平面方向特に横方向Yの液の拡散を抑制するとともに、吸収体4のヨレを防止し得る。溝8,9,23は、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することができる。溝8,9,23においては、表面シート2及び吸収体4が熱融着等により一体化しており、溝8,9,23の底部はそれらの周辺部に比して高密度である。
図1に示すように、前方部F及び後方部Rそれぞれには、防漏カフ5の起立が阻害された起立阻害部50が形成されている。起立阻害部50は、防漏カフ5の縦方向Xの端部側において、横方向Yの内方側の縁部が、表面シート2に固定され、非自由端とされることで形成されている。前記起立阻害部50によって、防漏カフ5における、前方部Fの起立阻害部50と後方部Rの起立阻害部50とに挟まれた部分が、弾性部材5aの収縮力により、図2に示すように、防漏カフ5の横方向Yの内側の縁部を自由端として起立し得る。これにより、ナプキン1の肌対向面に排泄された経血等の排泄液の横漏れが効果的に防止される。
防漏カフ5における起立阻害部50よりも縦方向Xの外方に位置する部分は、図1に示すように、端部接合部53にて他の部材に接合されている。本実施形態においてこの「他の部材」は、表面シート2及び裏面シート3である。本実施形態においては、端部接合部53は、図1に示す如き平面視において波線状ないしジグザグ線状をなし、少なくとも防漏カフ5の横方向Yの内方側縁部及びその近傍を、他の部材に接合している。端部接合部53、及び前述した起立阻害部50は、ホットメルト等の接着剤、熱融着等の公知の接合手段によって形成されている。
ナプキン1における吸収体4は、図2及び図3に示すように、着用時に着用者の排泄部に対向配置される中央吸収性シート41と、平面視において中央吸収性シート41と重なる部分及び中央吸収性シート41の周縁から外方に延出する部分を有する本体吸収性シート42とを含んで構成されており、複数枚のシートの積層構造体である。両吸収性シート41,42は何れも、親水性繊維及び吸水性ポリマーを含有する。
本発明において「吸収性シート」とは、親水性繊維、吸水性ポリマー等の吸水性材料を含むシート状の吸収構造体を意味し、吸水性材料を積繊してなる積繊体とは区別される。一般に、吸収性シートは、吸水性材料の積繊体に比して厚みが薄く低剛性であるため、吸収性シートを備えた吸収性物品は、厚みが薄い薄型であり、柔軟で着用感に優れ、またコンパクトに折り畳めてハンドリング性にも優れる。斯かる吸収性シートの特長をより有効に活用し、液拡散性、液保持性を十分に備え装着感の良好な吸収性物品を得る観点から、吸収性シートの1枚あたりの5cN/cm2の荷重下での厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、そして、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。吸収性シートとしては例えば、特許第2963647号公報、特許第2955223号公報に記載のものを利用することができる。吸収性シートとして好ましいものを例示すると、湿潤状態の吸水性ポリマーに生じる粘着力や別に添加した接着剤や接着性繊維等のバインダーを介して、構成繊維間や構成繊維と吸水性ポリマーとの間を結合させてシート状としたものが挙げられる。
中央吸収性シート41は、中間部M、あるいは中間部M及び前方部Fの中間部M寄りの部分において、ナプキン1又は吸収性本体10の横方向Yの中央部に配されている。また中央吸収性シート41は、図3に示すように、該シート41を折り畳んでなる多層構造をなしている。この中央吸収性シート41の折り畳み多層構造は、1枚の平面視略矩形形状の該シート41が、該シート41を横方向Yに略三等分する位置を通って縦方向Xに延びる2本の折り曲げ線にて同一面側(肌対向面側)に折り曲げられて、いわゆる巻き三つ折り状態に形成されたものであり、該シート41の3層構造を有している。
また、本体吸収性シート42も、図2に示すように、該シート42を折り畳んでなる多層構造をなしている。この本体吸収性シート42の折り畳み多層構造は、1枚の平面視略矩形形状の該シート42が、縦方向Xに延びる2本の折り曲げ線にて同一面側(非肌対向面側)に折り曲げられ、且つ該シート41の縦方向Xに沿う両端縁どうしが横方向Yの中央部で重ね合わされて形成されたものであり、その両端縁の重ね合わせ部は該シート42の3層構造、該重ね合わせ部以外の部分は該シート42の2層構造を有している。本体吸収性シート42の折り畳み多層構造は、吸収体4の外形を形成している。
このように、ナプキン1における吸収体4は、1枚の本体吸収性シート42の折り畳み構造の内部に、1枚の中央吸収性シート41の折り畳み構造が内包された構成を有しているところ、中間部Mの横方向Yの中央部は、この中央吸収性シート41の折り畳み構造が配されていることによって、周辺部に比して厚みが大きく且つ肌対向面側に隆起している。一方、吸収体4においてこの隆起した部分以外の部位は、中央吸収性シート41の折り畳み構造が無く、本体吸収性シート42の折り畳み構造を含んで構成されており、該隆起した部分に比して厚みの小さい部分となっている。前記隆起した部分を高坪量部43、該高坪量部43に比して厚みの小さい部分を標準吸収部44ともいう。本実施形態の吸収体4は、中間部Mに高坪量部43を有し、前方部F及び後方部Rに標準吸収部44を有している。
高坪量部43は、図1に示すように、平面視において長方形形状をなし、その長手方向を縦方向Xに一致させて、中間部Mの横方向Yの中央部に配されている。但し、高坪量部43の平面視形状は任意に選択可能であり、長方形形状に限定されない。高坪量部43の縦方向Xの長さは、好ましくは60mm以上、より好ましくは80mm以上、そして、好ましくは150mm以下、より好ましくは120mm以下である。また、高坪量部43の横方向Yの長さは、好ましくは25mm以上、より好ましくは30mm以上、そして、好ましくは55mm以下、より好ましくは50mm以下である。
良好な装着感と高い吸収性能とを得る観点から、吸収体4における高坪量部43の厚みは、好ましくは0.7mm以上、より好ましくは1mm以上、そして、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下である。吸収性能とフィット性とを向上させる観点から、吸収体4における標準吸収部44の厚みは、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、そして、好ましくは3mm以下、より好ましくは2.5mm以下である。
<吸収性シート及び吸収体の厚みの測定方法>
測定対象物である吸収性シート又は吸収体を水平な場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、5cN/cm2の荷重下での厚みを測定する。本発明における厚みの測定には、厚み計PEACOCK DIAL UPRIGHT GAUGES R5-C(OZAKI MFG.CO.LTD.製)を用いた。このとき、厚み計の先端部と測定対象物における測定部分との間に、平面視円形状又は正方形状のプレート(厚さ5mm程度のアクリル板)を配置して、荷重が5cN/cm2となるようにプレートの大きさを調整する。
前記の屈曲性の観点から、第3領域Cに形成されたスリットは、以下の寸法を有していることが好ましい。
スリットRSの縦方向Xの長さa(図6参照)は、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上、そして、好ましくは35mm以下、より好ましくは25mm以下である。
後方スリットR1の横方向Yの長さすなわち幅b(図6参照)は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、そして、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.8mm以下である。
スリット列内におけるスリットRS,RSの縦方向Xの間隔d3(図6参照)は、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上、そして、好ましくは35mm以下、より好ましくは25mm以下である。
本実施形態において、第3領域Cには、縦中心線CLに対して線対称となるように複数のスリットRSが形成されている。図6示すように、複数のスリットからなり、縦中心線CLに対して互いに線対称となる一対のスリット領域RSr,RSlが横方向Yに間隔を空けて配置されていることにより、吸収性本体10の屈曲性を向上させることができる。これら一対のスリット領域RSr,RSl間の最短離間距離d1は、好ましくは10mm以上、より好ましくは20mm以上、そして、好ましくは40mm以下、より好ましくは30mm以下である。
本実施形態では、第1領域Aにおいて、第3領域Cと同じ寸法を有する複数のスリットMSが縦方向X及び横方向Yの両方向に分散した状態で配され、より具体的には千鳥状に配されている(図6参照)。第1領域Aには、縦方向Xに並ぶ複数のスリットMSからなるスリット列が横方向Yに複数列並んで配置されている。スリット列間、即ちスリットMS,MSの横方向Yの間隔d6(図6参照)は、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上、そして、好ましくは25mm以下、より好ましくは20mm以下である。
ナプキン1の各構成部材の形成材料について説明する。表面シート2、裏面シート3としては、生理用ナプキン等の吸収性物品に従来使用されている各種のものを特に制限なく用いることができる。表面シート2としては液透過性シートが好ましく、具体的には例えば、公知の各種製法により製造された単層又は多層構造の不織布、開孔フィルム等が挙げられる。裏面シート3としては液不透過性シートが好ましく、具体的には例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布とのラミネートシート等が挙げられ、該樹脂フィルムは透湿性でもよい。なお、裏面シート3に関し、液不透過性とは、液を全く通さない性質と、少量ではあるが液を通す性質(液難透過性)との両方を含む概念である。裏面シート3は撥水性を有していてもよい。サイドシート6としては液不透過性シートが好ましく、例えば、裏面シート3として使用可能なものを用いることができる。
吸収体4に含まれる吸水性材料としては、この種の吸収性物品の吸収体において使用可能なものを特に制限なく用いることができ、例えば、親水性繊維及び吸水性ポリマーが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。親水性繊維としては、本来的に親水性の繊維でもよく、あるいは疎水性繊維を親水化処理した繊維でもよいが、前者の繊維が特に好ましい。本来的に親水性の繊維としては、天然系の繊維、セルロース系の再生繊維又は半合成繊維が好ましい例として挙げられ、好ましいものとして、パルプ、レーヨンを例示できる。パルプには、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプなどの木材パルプの他に、木綿パルプ、藁パルプなどの非木材パルプなどがあるが、特に制限されない。また、セルロース繊維の分子内及び/又は分子間を架橋させた架橋セルロース繊維、木材パルプをマーセル化処理して得られるような嵩高性のセルロース繊維を用いてもよい。吸水性ポリマーとしては、一般に粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでもよい。粒子状の吸水性ポリマーの形状は特に限定されず、例えば、球状、塊状、俵状、不定形状であり得る。吸水性ポリマーは、典型的には、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を主体とする。
以上、本発明について説明したが、本発明は前記実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、前記実施形態においては、吸収体が吸収性シートのみから構成されていたが、吸水性材料を積繊してなる積繊体のみから構成されていてもよく、両者を含んで構成されていてもよい。また、吸収体における吸収性シートの多層構造は、前記実施形態のように、1枚の吸収性シートが折り重ねられて形成された構成でもよく、あるいは複数枚の吸収性シートを折り畳まずに積層した構成でもよく、あるいは両構成を複合した構成でもよい。前述した複数の実施形態において互いに異なる構成を、適宜変更し、置換し、あるいは組み合わせた形態とすることもできる。
本発明は、経血、尿、便、汗などの体液の吸収に用いられる物品全般に適用することができるが、特に、生理用ナプキンなどの女性用吸収性物品、とりわけ、夜間に着用される夜間用の女性用吸収性物品に好適である。女性用吸収性物品としては、前記実施形態の如き生理用ナプキンの他に、例えば、パンティライナ、失禁パッド等が挙げられる。