JP2020074712A - 卵巣がんバイオマーカーとしての膣微生物叢の利用 - Google Patents

卵巣がんバイオマーカーとしての膣微生物叢の利用 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、卵巣がんを早期に診断するための方法を解決課題とする。【解決手段】本発明は、閉経前の被験者が卵巣がんに罹患している可能性を診断する方法であって、被験者の膣微生物叢の構成が、卵巣がん患者の膣微生物叢の構成と類似性が高い場合に、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、卵巣がんの診断方法に関する。具体的には、膣微生物叢の叢構造に基づく卵巣がんの診断方法に関する。
卵巣がんは、日本において、年間約1万人程度の女性に見つかっており、その患者数は増加傾向にある。卵巣がんは、その発生する場所によって上皮性、胚細胞性および性索間質性などの種類が存在するが、約9割以上は、上皮性の卵巣がんである。上皮性卵巣癌は主として4つの組織学的なサブグループから構成されている。すなわち、漿液性癌、粘液性癌、類内膜癌および明細胞癌である。なかでも、明細胞癌の割合が比較的多く、日本では、15-25%程度の罹患率である。
卵巣がんは、初期の段階(ステージIまたはステージII)では無痛性でほとんど自覚症状がなく、下腹部のしこりや圧迫感、あるいは膀胱の圧迫による頻尿症状などが出て初めて受診により診断されることが多い。しかし、この状態ではすでにがんが進行していることが多い。進行期(ステージIIIまたはステージIV)の患者は、通常、予後が悪く(非特許文献1および非特許文献2)、早期発見の必要性の高いがんの一つである。
現在、卵巣がんの診断は、超音波診断によって卵巣の腫大が確認された場合、血液検査と画像診断に基づいて行われている。血液検査においては、腫瘍マーカーの確認も行われており、代表的な腫瘍マーカーとしてCA125が用いられている。CA125は、卵巣がんに罹患している者の約8割が陽性を示すが、腹膜や子宮内膜にも発現しており、子宮内膜症などの場合にも陽性を示すため、悪性の卵巣がんに特異的とまでは言えないマーカーである。また、早期のがんや明細胞腺がんにおいては、CA125の上昇が乏しいため、卵巣がんの早期発見のためには、より特異性の高いバイオマーカーが切望されている。
Takanoら, Br J Cancer 94:1369-1374 2006 Mizunoら, J Surg Oncol 94:138-143 2006
上記事情に鑑み、本発明は、卵巣がんを早期に診断するための方法を解決課題とする。
発明者らは、卵巣に漿液性癌または明細胞癌を生じた患者から採取した膣細菌叢検体について、細菌叢解析を行い、卵巣がん患者の膣細菌叢の構成は健常者のものと異なっていることを見いだした。
健常者の膣細菌叢は、閉経前においてはLactobacillus属またはPrevotella属の細菌が過半を占める単純な構造をしているが、閉経を迎えるとPropionibacterium属を筆頭種とする多様性に富んだ細菌叢に遷移することが知られている。
卵巣がん患者の膣細菌叢検体では、その大多数で閉経後健常者と同じ多様性に富んだ細菌叢構造が観察され、これは閉経の有無によらなかった。すなわち、閉経前の女性においては卵巣がんの有無と膣細菌叢構造の間に強い相関があることが初めて見いだされた。さらに、高い多様性という膣細菌叢の特性は初期のステージIの卵巣がん患者でも見いだされた。
従って、膣細菌叢は閉経前の女性において、卵巣がんの早期発見を可能とするバイオマーカーとして機能すると考えられる。
本発明は以上の知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(8)である。
(1)閉経前の被験者が卵巣がんに罹患している可能性を診断する方法であって、被験者の膣微生物叢の構成が、卵巣がん患者の膣微生物叢の構成と類似性が高い場合に、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断する方法。
(2)前記膣微生物叢の構成の評価指標が、多様性指数、微生物の種類数または特定の微生物の存在比率のいずれか1または複数であることを特徴とする上記(1)に記載の方法。
(3)前記評価指標が、多様性指数であって、被験者の膣細菌叢のSimpson指数が0.7以上および/またはShannon指数が2.0以上である場合に、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断する上記(2)に記載の方法。
(4)前記評価指標が、微生物の種類数であって、被験者の膣微生物叢の微生物の種類数が、閉経前の健常者の膣微生物叢の微生物の種類数より多い場合に、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断する上記(2)に記載の方法。
(5)前記評価指標が、Lactobacillus属およびPrevotella属以外の属の存在比率であって、被験者の膣微生物叢における当該属の存在比率が、閉経前の健常者由来の膣微生物叢における当該属の存在比率より高い場合に、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断する上記(2)に記載の方法。
(6)前記Lactobacillus属およびPrevotella属以外の属が、Propionibacterium属、Corynebacterium属および/またはStaphylocuccus属であることを特徴とする上記(5)に記載の方法。
(7)前記評価指標が、Lactobacillus属および/またはPrevotella属の存在比率であって、被験者の膣微生物叢における当該属の存在比率が、閉経前の健常者由来の膣微生物叢における当該属の存在比率より低い場合に、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断する上記(2)に記載の方法。
(8)前記評価指標が、Propionibacterium acnes の存在比率であって、被験者の膣微生物叢における当該種の存在比率が、閉経前の健常者由来の膣微生物叢における当該種の存在比率より高い場合に、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断する上記(2)に記載の方法。
本発明の卵巣がんの診断方法は、自覚症状のない初期の段階においても、卵巣がんの罹患の可能性を判断することができる。そのため、本発明の診断方法を用いることで、卵巣がんの早期治療に着手することが可能になる
本発明の1実施形態で用いる細菌叢の測定方法の工程図である。 被験者の膣細菌叢中に存在する解析した細菌のリスト(1)。 被験者の膣細菌叢中に存在する解析した細菌のリスト(2)。 被験者の膣細菌叢中に存在する解析した細菌のリスト(3)。 被験者の膣細菌叢中に存在する解析した細菌のリスト(4)。 被験者の膣細菌叢中に存在する解析した細菌のリスト(5)。 健常者の膣細菌叢の16S rRNA法による解析結果(1)。 健常者の膣細菌叢の16S rRNA法による解析結果(2)。 健常者の膣細菌叢の16S rRNA法による解析結果(3)。 健常者の膣細菌叢の16S rRNA法による解析結果(4)。 健常者の膣細菌叢の16S rRNA法による解析結果(5)。 健常者の膣細菌叢の16S rRNA法による解析結果(6)。 健常者の膣細菌叢の16S rRNA法による解析結果(7)。 がん患者(漿液性卵巣癌患者および明細胞卵巣癌患者)の膣細菌叢の16S rRNA法による解析結果(1)。 がん患者(漿液性卵巣癌患者および明細胞卵巣癌患者)の膣細菌叢の16S rRNA法による解析結果(2)。 がん患者(漿液性卵巣癌患者および明細胞卵巣癌患者)の膣細菌叢の16S rRNA法による解析結果(3)。 がん患者(漿液性卵巣癌患者および明細胞卵巣癌患者)の膣細菌叢の16S rRNA法による解析結果(4)。 がん患者(漿液性卵巣癌患者および明細胞卵巣癌患者)の膣細菌叢の16S rRNA法による解析結果(5)。 がん患者(漿液性卵巣癌患者および明細胞卵巣癌患者)の膣細菌叢の16S rRNA法による解析結果(6)。 がん患者(漿液性卵巣癌患者および明細胞卵巣癌患者)の膣細菌叢の16S rRNA法による解析結果(7)。 健常者、漿液性卵巣癌患者および明細胞卵巣癌患者の膣細菌叢における細菌の属レベルの構成を示すグラフである。グラフに示されているのは、存在比率上位5属である。 閉経前の健常者、漿液性卵巣癌患者および明細胞癌患者の膣細菌叢におけるまた、細菌の属レベルの構成を示すグラフである。グラフに示されているのは、存在比率上位5属である。がんのグレードも併せて示す。 閉経前被験者の膣細菌叢における、Lactobacillus属の相対存在量(A)とLactobacillus属およびPrevotella属の存在量の和(B)を示すグラフである。 閉経前被験者の膣細菌叢における、Propionibacterium属(A)およびPropionibacterium acnes(B)の存在量を示すグラフである。 閉経前被験者の膣細菌叢におけるCorynebacterium属の存在量を示すグラフである。 閉経前被験者の膣細菌叢におけるStaphylococus属の存在量を示すグラフである。 閉経前被験者の膣細菌叢に0.1%以上の相対比率で存在する細菌種の数を示すグラフである。 閉経前被験者の膣細菌叢におけるα多様性指数(Simpson指数(A)およびShannon指数(B))を示すグラフである。 被験者の膣細菌叢の非類似度指数(weighted UniFrac指数)を示す。 膣細菌叢の非類似度指数に基づいた主座標解析の結果を示す。
本発明は、閉経前の被験者が卵巣がんに罹患しているかどうか、または、罹患している可能性があるかどうかを診断する方法に関するものである。また、本方法は、卵巣がんであることの確定診断の補助としての利用性も高い。
本発明にかかる卵巣がん罹患の有無、または罹患の可能性の有無を診断する方法(以下「本発明の診断方法」とも記載する)は、卵巣がん患者の膣微生物叢(例えば、膣細菌叢など)の微生物の構成が、健常者の膣微生物叢の構成とは異なり、より多様であることに基づいている。なお、膣細菌叢と子宮頸部細菌叢の構成は酷似していることが知られており、本明細書の記載においては、子宮頸部由来の微生物叢(特に、細菌叢)と膣由来の微生物叢(特に細菌叢)は同等であるものとする。
本発明の実施形態は、閉経前の被験者が卵巣がんに罹患している可能性を診断する方法であって、被験者の膣微生物叢の構成が、卵巣がん患者の膣微生物叢の構成と類似性が高い場合に、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断する方法である。
ここで、膣微生物叢の「構成」とは、微生物叢の組成のことで、微生物叢の要素である微生物の数、微生物の種類の多寡、微生物の存在比率などによって特徴づけられる微生物叢の状態のことで、特に限定はしないが、例えば、微生物の数、微生物の種類数、微生物叢の多様性および各微生物の存在比率などによって評価することができる。発明者らは、細菌叢に着目して解析を進めた結果、卵巣がん患者の膣微生物叢の構成は、閉経前の健常者の膣微生物叢の構成と比較して、多様性が高く、存在する微生物の種類が豊富であり、また、各微生物の存在比率が両者で異なることを明らかにした。
本発明の実施形態において、「微生物」の種類は特に限定されず、例えば、細菌や真菌などのことで、特に細菌が好ましく、解析対象の微生物叢が細菌叢であってもよい。また、微生物叢の構成について言及する場合、微生物の「種類」とは、門、綱、目、科、属および種のいずれに関するものであってもよい。
また、微生物叢の構成は、上述したように、例えば、存在する微生物の数、微生物の種類、微生物の存在比率および微生物叢の多様性指数(例えば、Simpson指数やShannon指数など)などを指標にして評価することができるが、これらの評価指標に限定されるものではない。
膣微生物叢の構成を調べるには、微生物叢に存在する微生物の種類および各微生物の数などを測定し、得られた値に基づいて実施することができる。微生物の同定は、いかなる方法を用いて行ってもよく、例えば、微生物のゲノムDNA解析(例えば、16S rRNAまたは16S rRNA以外のゲノム領域の配列解読、特定の微生物に特異的なプライマーを用いたPCRにより解析など)、微生物特異的なタンパク質や代謝産物を検出するメタボローム解析、微生物の形態に基づく判別、培地上での増殖に必要な条件に基づく判別、微生物が示す生化学的性質(糖発酵性やカタラーゼ活性など)に基づく判別などにより実施することができる。詳細は、例えば、Microbiology, 8th ed. (著者Jacquelyn G. Black、出版John Wiley & Sons Singapore Pte. Ltd.)などを参照のこと。
被験者(または、卵巣がん患者および健常者)の膣微生物叢検体は、被験者の膣や子宮頸部等から、脱脂綿やブラシなどでこすり取る方法(細胞診等)などにより採取することができる。膣微生物叢検体中の微生物叢の構成を調べるために、例えば、上述のDNA解析を行う場合、検体からのDNAの抽出は、当業者において周知な方法、例えば、溶菌酵素法などにより実施することができる。この場合、膣微生物叢検体に含まれるDNAを可能な限りすべて抽出することが望ましい。微生物叢に存在するDNAを網羅的に抽出した後、DNAの塩基配列を、例えば、次世代型超高速シークエンサー装置等で解析して、当該微生物叢に存在するすべての微生物のDNA配列情報を取得する。そして、得られた微生物のDNA配列情報に基づいて微生物叢の構成を明らかにすることができる。
細菌叢の解析においては、特に、16S rRNA法がよく用いられており、取得した16S rRNA配列情報に基づいて細菌叢に含まれる細菌の種類や量を知ることができる。得られた結果をさらに主座標分析(Principal Coordinates Analysis:PCoA)やクラスタリング解析などで解析することにより細菌叢の構成の検体間での比較を行うことができる。
細菌叢の16S rRNA法による解析は、企業等(例えば、富士フイルム和光純薬株式会社、Takara Incなど)に委託して実施してもよい。
膣微生物叢の構成の評価指標として多様性指数を用いる場合、被験者の膣微生物叢の多様性指数が、卵巣がん患者の多様性指数に近い場合に、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断することができる。具体的には、膣細菌叢の多様性を評価する場合、卵巣がん患者の膣細菌叢の多様性を、例えば、Simpson指数で表すと、多くの場合0.7以上の値を示し、Shannon指数で表すと、多くの場合2.0以上の値を示す。従って、閉経前の被験者由来の膣細菌叢のSimpson指数が0.7以上のとき、または、Shannon指数が2.0以上のときに、被験者由来の膣細菌叢の構成は、卵巣がん患者由来の膣細菌叢の構成と類似性が高く、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断することができる。
膣微生物叢の構成の評価指標として、微生物の種類数を用いてもよい。卵巣がん患者の膣細菌叢に存在する細菌の種類数を、種および属レベルで閉経前の健常者の膣細菌叢に存在する細菌の種類数を比較すると、卵巣がん患者の方が多い。従って、閉経前の被験者の膣細菌物叢の細菌の種類数が、閉経前の健常者の膣細菌叢の微生物の種類数より有意に多い場合に、当該被験者由来の膣細菌叢の構成は、卵巣がん患者由来の膣細菌叢の構成と類似性が高く、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断することができる。
微生物の種類数は、例えば、16S rRNA法で取得したデータより容易に算定することができる。
また、膣微生物叢の構成の評価指標として、特定の微生物の存在比率を用いてもよい。卵巣がん患者の膣細菌叢に存在する細菌の種類とその存在比率を解析すると、いくつかの種類の存在比率が、閉経前の健常者の膣細菌叢における存在比率と異なることが明らかになった。すなわち、膣細菌叢に存在する特定の細菌の存在比率を比較すると、卵巣がん患者の膣細菌叢における存在比率が、閉経前の健常者の膣細菌叢における存在比率よりも有意に高い、または、低いことが分かった。従って、閉経前の健常者の膣細菌叢と比較して、卵巣がん患者の膣細菌叢における存在比率が高い、または、低い細菌を選択し、被験者の膣細菌叢における当該細菌の存在比率を測定し、閉経前の健常者の膣細菌叢における存在比率よりも高い、または、低い場合には、当該被験者由来の膣細菌叢の構成は、卵巣がん患者由来の膣細菌叢の構成と類似性が高く、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断することができる。
なお、卵巣がん患者と閉経前の健常者の膣細菌叢を解析し、そこに存在する細菌等の存在比率を測定し、例えば、図2〜図10に示す解析結果を得ることは、当業者であれば容易である。
例えば、卵巣がん患者由来の膣細菌叢検体中におけるLactobacillus属およびPrevotella属以外の属、例えば、Propionibacterium属、Staphylococcus属、Corynebacterium属などの存在比率は、閉経前の健常者の膣細菌叢における存在比率よりも有意に高い傾向にあった。また、卵巣がん患者由来の膣細菌叢におけるLactobacillus属および/またはPrevotella属の存在比率が閉経前の健常者の膣細菌叢における存在比率よりも有意に低い傾向にあった。
従って、閉経前の被験者の膣細菌叢におけるLactobacillus属およびPrevotella属以外の属、例えば、Propionibacterium属、Staphylococcus属、Corynebacterium属などの存在比率が、閉経前の健常者の膣細菌叢における存在比率よりも有意に高い場合、当該被験者由来の膣細菌叢の構成は、卵巣がん患者由来の膣細菌叢の構成と類似性が高く、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断することができる。あるいは、閉経前の被験者の膣細菌叢におけるLactobacillus属および/またはPrevotella属の存在比率が、閉経前の健常者の膣細菌叢における存在比率よりも有意に低い場合、当該被験者由来の膣細菌叢の構成は、卵巣がん患者由来の膣細菌叢の構成と類似性が高く、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断することができる。
また、種レベルで同様の解析を行うと、例えば、卵巣がん患者由来の膣細菌叢検体中におけるPropionibacterium acnes の存在比率は、閉経前の健常者の膣細菌叢における存在比率よりも有意に高い傾向にあった。
従って、閉経前の被験者の膣細菌叢におけるPropionibacterium acnesなどの存在比率が閉経前の健常者の膣細菌叢における存在比率よりも有意に高い場合、当該被験者由来の膣細菌叢の構成は、卵巣がん患者由来のー膣細菌叢の構成と類似性が高く、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断することができる。
図7〜20に、健常者(図7〜図13)および卵巣がん患者(図14〜図20)について、種レベルでの各細菌種の存在比率をまとめた。図2〜図6には解析した細菌種のリストを挙げる。図2〜図6のリストには、種および属以外のレベル、すなわち門、綱、目、科の各レベルも記載してある。そのため、図7〜図20に示したデータと図2〜図6のリストを照らし合わせることで、種および属以外のレベルの存在比率を算出し、膣細菌叢の構成の評価指標として使用することもできる。なお、本文中に例示した以外の種や属の存在比率に関し、図2〜図6および図7〜図20を参照して膣細菌叢の構成の評価指標として使用することができることは言うまでもない。
本明細書が英語に翻訳されて、単数形の「a」、「an」および「the」の単語が含まれる場合、文脈から明らかにそうでないことが示されていない限り、単数のみならず複数のものも含むものとする。
以下に実施例を示してさらに本発明の説明を行うが、本実施例は、あくまでも本発明の実施形態の例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
1.方法
1−2.細菌叢の解析
細菌叢の解析のための検体は、子宮頸部細胞診用の検体を用いた。具体的には、子宮頸部の細胞を cytobrushで採取し、採取物は固定液の中に保存した。採取した検体には子宮頸部の細菌群が含まれている。細菌を含む固定液の一部を用いて細菌DNAの抽出を行なった。抽出にはDNA抽出キットQIAamp DNA mini kit(QIAgen社製)を使用した。抽出されたDNAを、細菌叢の解析に用いた(図1、S1〜S3)。
なお、子宮頸部の細菌叢は、膣内細菌叢と酷似していることが示されていることから(Chenら, Nat. Commun. (2017) 8:875)、上記のように調製したDNAサンプルを膣細菌叢由来のDNAとして用いた。
1−2.ゲノム解析工程
上記のようにして得られたDNA溶液を用い、溶液内に含まれる16SリボゾームRNA遺伝子を、PCR法を用いて増幅した後、シークエンサー(NGS)(Illumina社製、商品名:Miseq)を用いてDNA解析を行った。
以上のようにして得られた解析結果を、パイプライン解析ツールQiimeを用いて解析した。そして、種レベルないし属レベルでの菌種同定結果に基づいて、作図および統計解析を行った。作図および統計解析には、統計解析プログラムRを使用した。主座標解析に用いるWeighted UniFrac指数の算出もQiimeで行った。
2.結果
2−1.膣細菌叢に存在する細菌の存在比率に関する検討
健常者(図7〜図13)、漿液性卵巣癌患者および明細胞卵巣癌患者(図14〜図20)由来の検体の細菌叢を解析し、存在比率の上位5属についてまとめた結果を図21に示す。図7〜図20に示す各データに対応する種については、図2〜図6を参照のこと。この結果から、卵巣がん患者の膣細菌叢の構成が多様化していることがわかかる。この多様化は、グレード(1-4)の違いによらず認められた。次に、閉経前の被験者に絞った結果を図22に示す。 図22から、閉経前の健常者の膣細菌叢は、Lactobacillus属またはPrevotella属の細菌が過半を占める単純な構造をしているのに対し、卵巣がん患者由来の膣細菌叢は、Propionibacterium属、Staphylococcus属、Corynebacterium属などの存在比率が増加していることがわかった。
上記結果を踏まえて、膣細菌叢に存在する上位5属の細菌の存在比率について、閉経前の健常者および卵巣がん患者について、さらに検討を加えた。
閉経前の健常者に膣細菌叢では、Lactobacillus属単独(図23A)またはLactobacillus属およびPrevotella属の合計(図23B)の存在比率が約80%以上を占めるのに対し、卵巣がん患者では、Lactobacillus属単独の比率は約20%以下(図23A)、Lactobacillus属およびPrevotella属の合計の存在比率についても、約50%以下(図23B)と低い存在率を示すことがわかった。
また、Propionibacterium属についても同様の比較を行ったところ、Propionibacterium属(属レベルの比較)およびPropionibacterium acnes(種レベルの比較)いずれにおいても、卵巣がん患者の膣細菌叢における存在比率が有意に高いことがわかった(図24AおよびB)。さらに、Corynebacterium属(図25)およびStaphylococcus属(図26)についても、卵巣がん患者の膣細菌叢における存在比率が有意に高かった。
2−2.膣細菌叢に存在する細菌種の数に関する検討
閉経前の健常者および卵巣がん患者に由来する膣細菌叢に0.1%以上存在する細菌種の数を比較した。その結果、閉経前健常者においては、5種程度であるのに対し、卵巣がん患者においては、40種程度と顕著に多いことが分かった(図27)。
2−3.膣細菌叢に存在する細菌の多様性に関する検討
閉経前の健常者および卵巣がん患者に由来する膣細菌叢の多様性を比較した。健常者および卵巣がん患者各々のSimpson指数を算出し、グラフ化したところ健常者では0.6以下であったのに対し、卵巣がん患者では、0.7以上であった(図28A)。また、健常者および卵巣がん患者各々のShannon指数を算出し、グラフ化したところ健常者では1.0以下であったのに対し、卵巣がん患者では、2.2以上であった(図28B)。以上のように、卵巣がん患者の膣細菌叢の方が、多様性が高く、両者の膣細菌叢の構成が大きく異なることがわかった。
2−4.膣細菌叢の組成類似性解析
非類似度指数 weighted UniFrac (図29)に基づく主座標解析を行った。閉経前卵巣がん患者の膣細菌叢は閉経前健常者のそれとは異なる場所に固まってプロットされ、細菌叢の構造が異なっていることが可視化された。従って、この主座標解析からも、閉経前の健常者(図30○)と卵巣がん患者(図30●)とでは、その膣細菌叢の構成が大きく異なることが明らかとなった。
本発明は、閉経前の被験者が卵巣がんに罹患しているかどうかまたは罹患している可能性を診断する方法を提供する。本発明の診断方法は、初期のステージの卵巣がんの診断にも使用することが十分に可能であり、卵巣がんの予防医学等の分野における利用が期待できる。

Claims (8)

  1. 閉経前の被験者が卵巣がんに罹患している可能性を診断する方法であって、被験者の膣微生物叢の構成が、卵巣がん患者の膣微生物叢の構成と類似性が高い場合に、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断する方法。
  2. 前記膣微生物叢の構成の評価指標が、多様性指数、微生物の種類数または特定の微生物の存在比率のいずれか1または複数であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記評価指標が、多様性指数であって、被験者の膣細菌叢のSimpson指数が0.7以上および/またはShannon指数が2.0以上である場合に、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断する請求項2に記載の方法。
  4. 前記評価指標が、微生物の種類数であって、被験者の膣微生物叢の微生物の種類数が、閉経前の健常者の膣微生物叢の微生物の種類数より多い場合に、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断する請求項2に記載の方法。
  5. 前記評価指標が、Lactobacillus属およびPrevotella属以外の属の存在比率であって、被験者の膣微生物叢における当該属の存在比率が、閉経前の健常者由来の膣微生物叢における当該属の存在比率より高い場合に、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断する請求項2に記載の方法。
  6. 前記Lactobacillus属およびPrevotella属以外の属が、Propionibacterium属、Corynebacterium属および/またはStaphylocuccus属であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記評価指標が、Lactobacillus属および/またはPrevotella属の存在比率であって、被験者の膣微生物叢における当該属の存在比率が、閉経前の健常者由来の膣微生物叢における当該属の存在比率より低い場合に、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断する請求項2に記載の方法。
  8. 前記評価指標が、Propionibacterium acnes の存在比率であって、被験者の膣微生物叢における当該種の存在比率が、閉経前の健常者由来の膣微生物叢における当該種の存在比率より高い場合に、当該被験者は卵巣がんに罹患している可能性があると診断する請求項2に記載の方法。
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