以下では、本発明の実施形態が、添付図面を参照して詳細に説明される。実施形態の以下の説明は、限定的な意味に取られるべきでないと理解されるべきである。本発明の範囲は、以下で説明される実施形態によって又は図面によって限定されることを意図されず、それらは単に例示的なものと受け取られる。
図面は、概略的な表現であるものと見なされるべきであり、図面に示される要素は、必ずしも一定の縮尺で示されていない。むしろ、それらの機能及び汎用的な目的が当業者に明らかとなるように多様な要素が表現されている。機能ブロック、デバイス、コンポーネント、又は図面に示され若しくはここで説明される他の物理的若しくは機能的なユニットの間のいかなる接続又は連結も、間接的な接続又は連結によって実装されてもよい。コンポーネント間の連結は、また、ワイヤレス接続を経て確立されてもよい。機能ブロックは、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせで実装されてもよい。
以下では、複数のビーム形成方向のうちの第2のビーム形成方向での送信に対して、ビームスイープを条件として複数のビーム形成方向のうちの第1のビーム形成方向での送信を優先することによって、ビームスイープを効率的に実装することを可能にする技法が説明される。このような技法は、セルラネットワークへアタッチされるUEによるワイヤレスネットワークのアクセスノードの発見における具体的な応用を見出し得る。
図示される概念において、UEなどのデバイスは、デバイスの少なくとも1つの空間的情報に基づいて、複数のビーム形成方向のアンテナ重みを決定するように構成される。代替的に又は追加的に、第2のビーム形成方向での送信に対する第1のビーム形成方向での送信の優先制御は、例えばワイヤレスネットワークのアクセスノードを基準とする、デバイスの少なくとも1つの空間的情報に依存し得る。
概して、幅広い種類及びタイプの空間的情報が考慮され得る。以下で説明される技法についての対象の1つの具体的な空間的情報は、UEの移動量(movement)、即ち、空間的位置の時間にわたる導関数である。移動量は、UEが進んでいる方向で指定してもよい。移動量は、速度(velocity)によって特徴づけられてもよい。対象の別の種類の空間的情報は、UEの向き(orientation)である。向きに基づいて、好適な空間的方向などの、ある優先制御のパラメータをUEのローカルフレーム又は座標系に変換することが可能である;これは、アンテナ重みの上記決定の一部であってもよい。空間的情報は、それがUEの空間的特性を定義するために、したがって空間的座標と称されることもある。
概して、利用可能な空間的情報全てが、アンテナ重みの決定及び送信の優先制御の双方に使用される必要はない;例えば、複数のシナリオにおいて、アンテナ重みを決定する際にUEの向きが算入され、一方で、送信を優先する際にUEの移動量などの異なる空間的情報を向きに加えて又は代替的に算入することが可能である。
以下で説明される技法は、UEの加速度計からのセンサデータなどのセンサ情報から派生する空間的情報に基づいてもよい。ネットワークによって、及び/又はUEによって、少なくとも1つの空間的情報が決定されてよい。
以下の例は、少なくとも1つの空間的情報が、第2のビーム形成方向での送信に対して第1のビーム形成方向での送信を優先するために使用され得る方法を示す。例えば、都市部などの高密度配備の領域では、いわゆる見通し線特性が共通的であるものと予期され得る。そこで、UEは、UEの移動の順方向に、例えばハンドオーバのための、アクセスノード発見の対象を有することが期待され得る。UEが都市の谷間と呼ばれることもある通路における高層ビルの合間で移動するシナリオでは、これは特に該当し得る。一方、時には反射、遮蔽、又は同等の伝播作用に起因して、UEは、例えば、背面方向など、正面方向以外の他の方向にアクセスノードを発見することに関心を有するかもしれない。
したがって、概して、ビームスイープによってカバーされる探索空間又はスキャニングセクタが、UEの周囲全体をカバーするように設定されてもよい。時には、スキャニングセクタが、UEの周囲のある立体角に制限されてもよい。
優先制御は、指向性ビームが第2のビーム形成方向に沿った指向性ビームの向きよりも第1のビーム形成方法に沿って向けられる可能性を高める確率重みを実装することにより、達成されてもよい;言い換えると、第1のビーム形成方向での送信の発生頻度は、第2のビーム形成方向での発生頻度より高くなされ得る。例えば、そのような重みの度合いがUEの移動速度に依存してもよい。例えば、静止したUE、又は移動速度が微小であるUEは、例えば、水平面内の全ての方向を均等に重み付けし得る;ゆっくり移動するUEは、移動方向に向かう重みにある程度の選好度(preference)を有し得る;一方、高速で移動するUEは、移動の順方向に向かう重みに比較的強い選好度を有し得る。
概して、UEの送信機及び/又は受信機のビーム形成に、上述し及び以下で説明するこのような技法が適用されてよい。ビーム形成された送信機は、送信機ビーム形成としても知られる。例えば、ハンドオーバでの適用において、UEは、典型的には、アクセスノードから受信されるべき信号をリスニングする;これは、受信機ビーム形成に対応する。例えば、アクセスノード発見での適用において、アクセスノードは、UEが送信機ビーム形成を使用してアクセスノードへアタッチすることを可能にする信号を送信してもよい。
したがって、概して、上記から理解されるように、本技法は、アクセスノードなどの対象の送信機を発見するためにビームスイープを実行しているデバイスに適用され得る。上記及び以下で説明される技法によって、少なくとも平均してより短時間で、対象のアクセスノードの発見を容易にすることができ、エネルギー消費を低減することができ、スペクトル上のリソース占有率を低減することができる。さらに、レイテンシを低減することができる。即ち、アクセスノードの成功裏の発見に依存するあるアクションまでの遅延が低減され得る;例えば、これが、より高速のハンドオーバに繋がり得る。
図1に、多様な実施形態によるワイヤレスネットワーク100が示されている。例えば、ワイヤレスネットワーク100は、3GPP(Third Generation Partnership Program)LTE(Long Term Evolution)無線アクセス技術、又は3GPP UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)無線アクセス技術に従って動作するセルラネットワークであってもよい。ワイヤレスネットワーク100は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11技術に従って動作するWi−Fiネットワークであることも可能である。他のセルラ無線技術、例えば、5G(5th Generation cellular radio technology:第5世代セルラ無線技術)、又はPAN(Personal Area Network)技術を活用することもできる。
UE130は、ワイヤレスネットワーク100へアタッチされる。図1のシナリオでは、ワイヤレスネットワーク100の無線インタフェース190を介してUE130との通信に利用可能な3つのアクセスノード121、122、123がある。ここで、環境195に起因して、UE130とアクセスノード122との間の信号送信に支障が生じ得る。アクセスノード123は、中継機能性を提供するさらなるモバイルUEによって実装される;即ち、中継アクセスノード123は、UE130から受信されるデータをそれをアクセスノード120に向けて送信することによってワイヤレスで転送し、及び、アクセスノード122から受信されるデータをUE130に向けて送信することによりさらにワイヤレスで転送する。
ここで、UE130がアクセスノード121を介してワイヤレスネットワーク100へアタッチされる場合のシナリオが、考えられる;即ち、データは、UE130とアクセスノード121との間で、無線インタフェース190を介して送信及び/又は受信される。UEが移動するにつれて、UEは、さらなるアクセスノード122、123のうちの1つを発見(アクセスノード発見)しようとするかもしれない。この場合、UEは、ビームスイープを実行し得る。即ち、複数のビーム形成方向で、逐次的に送信及び/又は受信(送信を実行)してもよい。アクセスノード発見は、UE130が無線インタフェース190上で送信すること及び受信することのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
このことが、図2に示されている。図2において、UE130は、図2のシナリオにおいてUE130の周囲全体をカバーする探索空間250をスキャンするために、ビームスイープを実行する。例示的に、第1のビーム形成方向251を定義する第1の指向性ビーム261が示されている;さらに、第2のビーム形成方向252を定義する第2の指向性ビーム262が、例示的に示されている。例えば、第1のビーム形成方向251は、第1の指向性ビーム261の中心軸に沿って方向付けられ得る。
概して、ビームスイープに活用される指向性ビーム261、262の形状及び形式は、変化し得る;例えば、指向性ビーム261、262の開口角度、対称性、又は他の幾何学的特性が、対応するアンテナ重みを適切に設定することにより多様な実施形態に従って変更されてもよい。アンテナ重みは、アンテナアレイの各個別のアンテナにおいて送信及び/又は受信される信号の大きさ及び/又は位相を定義し得る。例えば、信号を適切に重み付けすることによって、対応する指向性ビームの内側(外側)の角度において送信及び/又は受信される信号に対し強め合う干渉(弱め合う干渉)が達成され得る。典型的には、指向性ビーム251、252は、グローバルな基準フレームにおいて定義されてもよい;その場合、UE130のローカルフレームにおいて指向性ビーム261、262を適切に向けるようにアンテナ重みを決定する際に、UEの向きを考慮することが必要であり得る。ここで、ローカルフレームとグローバルな基準フレームとの間の座標変換が実装されてもよい。
図2から分かるように、UE130は、発見されることとなるアクセスノード122を基準とする、ある向き231を有する。また、アクセスノード122は、ビーム形成方向271に沿って向けられる指向性ビーム281を活用して送信及び/又は受信を行う。UE130がアクセスノード122を成功裏に発見するために、データを受信するためのUE130の送信は、アクセスノード122のビーム形成方向271を補完する第1のビーム形成方向251に沿って向けられるべきである。これを達成するために、第1のビーム形成方向251での送信が、アクセスノード122のビーム形成方向271を補完しない第2のビーム形成方向252での送信に対して優先され得る。以下、(図2において、第1の指向性ビーム261及び第2の指向性ビーム262に関連付けられる矢印によって指し示される)ビームスイープ時のそのような送信の優先制御を効果的に実装することを可能にする技法が、より詳細に説明される。優先制御は、ビームスイープ時に、ビーム形成方向251、252、探索空間250をスキャンするために活用される時間的パターンの進行中に発生してもよい。
概して、ビームスイープ時のそのような送信の優先制御は、以下の2つのスキャン手法のうちの少なくとも1つを活用して、探索空間をカバーすることができる。
スキャン手法1:逐次的スキャン。ここでは、探索空間250内の複数のビーム形成方向の全てが、逐次的にスキャンされる;したがって、時間シーケンスによってスキャンプロセスの開始から明確に時間的パターンが定義され得る。例えば、スキャンは、最も高い優先度に関連付けられると仮定される第1のビーム形成方向251で開始し得る。次いで、2番目に高い優先度を有するビーム形成方向で開始し、高い優先度から低い優先度へとスキャンする時間的シーケンスを実装することが可能である。このようなシナリオでは、探索空間250内の各ビーム形成方向が、均等に何度も、例えば、時間的シーケンスの反復毎に一回、スキャンされる。したがって、スキャン手法1によるそのようなシナリオは、ビーム形成方向251、252を優先度による時間的シーケンスへソートすること、及び最も高い優先度から開始する時間的シーケンスをスキャンすることとして理解され得る。
スキャン手法2:非逐次的スキャン。ここでは、より高い優先度を有するそのようなビーム形成方向は、より低い優先度を有するそのようなビーム形成方向よりも、平均してより高い頻度でスキャンされる。厳密な時間シーケンスは、必要でなくともよい;時間的パターンは、それぞれのスキャンステップから次の、又は、例えば、その先の数スキャンステップについて、決定されてもよい。概して、そのような非逐次的スキャンを実装する多様な技法が考えられる。1つの技法は、各ビーム形成方向に関連付けられる確率重みを算入することによって、過去にスキャンされたいかなるビーム形成方向にも非依存にスキャンが行われるように、次のビーム形成方向を選択することである。それによって、探索空間250内の複数のビーム形成方向251、252での送信のランダムな時間的パターンを得ることができ、その際に、複数のビーム形成方向251、252のうちの各1つでの送信の発生頻度が、複数のビーム形成方向251、252のうちの各1つについて待機を行う尤度又は確率を考慮に入れる選択プロセスによって調整される。
スキャン手法1及びスキャン手法2は、組み合わされてもよい。このような技法は、また、例えば、所与のビーム形成方向251、252を再スキャンする最小時間を実装することによって、スキャンの履歴を考慮してもよい。いくつかの手段によって、重み付けされたビーム形成方向251、252が、随時スキャンされることを保証することも可能である。その意味では、複数のビーム形成方向251、252での送信の時間的パターンは、部分的にランダムであってもよい。このような組み合わされた技法では、概して、時間的シーケンス内の隣り同士の予め定義される変動(variation)が、したがって考慮されてもよい;予め定義される変動とは、隣り同士(すぐ隣り又は1つおきに隣り)のビーム形成方向の向きの最小差に関連し得る。
図3〜図6は、探索空間250内の様々なビーム形成方向の発生頻度300を示す極座標プロットである;図3〜図6は、3次元探索空間250を、例えば水平平面において切断した2次元断面に対応する。図3〜図6では、確率重みが、発生頻度300に従って設定され得る;より高い(より低い)発生頻度300は、より高い(より低い)確率重みに関連付けられ得る。単純化のために、図3〜図6における発生頻度300の単位は、1に正規化されている。
図3のシナリオでは、探索空間250は、UE130の周囲360°をカバーし、即ち、UE130の周囲全体をカバーする。例示的に、図3において、第1のビーム形成方向251に対応する第1の指向性ビーム261が示されている;同様に、図3において、第2のビーム形成方向252の第2の指向性ビーム262が示されている。図3から分かるように、第1のビーム形成方向251は、探索空間250内の全てのビーム形成方向のうち最も高い発生頻度300を有する;特に、第2のビーム形成方向252の発生頻度300は、第1のビーム形成方向251の発生頻度300の約0.4にしか及ばない。その結果、平均して、第1のビーム形成方向251は、ビームスイープの期間中に第2のビーム形成方向252の2倍以上の頻度でスキャンされる。第2のビーム形成方向252に対する第1のビーム形成方向251のこのような優先制御は、第1のビーム形成方向251の対応する確率重みを、第2のビーム形成方向252の確率重みよりも大きな、第1のビーム形成方向251での送信及び/又は受信の確率に対応するように設定することによって達成され得る。
図4のシナリオでは、探索空間250は、UE130の周囲180°のみに及ぶ。例えば、探索空間250は、移動するUE130の前方方向の半球体に限定され得る。この場合も、第1のビーム形成方向251は、第2のビーム形成方向252と比較して、より高い発生頻度300を有する。
図3及び図4のシナリオでは、探索空間250内の複数のビーム形成方向251、252での送信の完全にランダムなパターンを活用することが可能である。即ち、各スキャンステップから次へ、対応する確率重みに基づいて、それぞれのビーム形成方向251、252が決定され得る。これは、上述したスキャン手法2に対応する。
上で提示されたスキャン手法1の実装は、図5に示されている。ここで、第2のビーム形成方向252での送信に対する第1のビーム形成方向251の送信の優先制御は、第2のビーム形成方向252の前に第1のビーム形成方向251を配置すること、及び探索空間250内の複数のビーム形成方向の送信の時間シーケンス500によって達成される。図5から分かるように、発生頻度300は、探索空間250内の全ての方向について一様である。したがって、第2のビーム形成方向252に対する第1のビーム形成方向251の優先制御は、第2のビーム形成方向252での送信と比較して第1のビーム形成方向251で、より頻繁に送信及び/又は受信することによって達成されない;それよりもむしろ、優先制御は、第1のビーム形成方向251においてスキャンを開始することによって、達成される(図5において、時間的シーケンス500の順序が矢印で示されている)。
上で提示したスキャン手法1及び2の組み合わせの実装は、図6に示されている。図6のシナリオでは、時間的シーケンス500は、探索空間250をスキャンする前に厳密に事前定義されていない。むしろ、例えば、ビームスイープ時にオンザフライでルールが適用されて、探索空間の複数のビーム形成方向251、252での送信の部分的にランダムな時間的パターンが取得される;ここで、ルールは、時間的シーケンス500内の次の隣り同士の予め定義される変動を保証する。詳細には、図6のシナリオにおいて、上記ルールは、UE130の周囲の異なるセクタ601、602に配置されるビーム形成方向251、252が、交互にスキャンされることを指定する;即ち、次に隣接するビーム形成方向が、互いを基準としてある距離で配置される。言い換えると、図6のシナリオにおいて、垂直軸の左及び右に配置されるビーム形成方向が、交互にスキャンされ得る(図6では、時間シーケンス500の2つの矢印によって指し示される)。したがって、厳密な時間的シーケンス500は、先験的に定義されないが、依然として、探索空間250内のビーム形成方向251、252のスキャンの時間的パターンのある程度の順序付けが、いくらかのランダムな寄与及びいくらかの順序付けでスキャンする間に時間的シーケンス500を構築することによって達成される。
概して、時間的シーケンス500内の隣り同士の様々な予め定義される変動が、考えられ得る。例えば、すぐ隣り又は1つおきに隣りなどでの、ある予め定義される変動が、実装され得る。例えば、ある予め定義される変動は、所与のビーム形成方向があるタイムアウト期間の間に及び/又はさらなるビーム形成方向のある回数のスキャンの反復の間に再スキャンされないことを要件としてもよい;このようなシナリオは、タブー深度(taboo depth)と称され得る。
図3〜図6において、最も高い優先度を有する第1のビーム形成方向251は、上側の縦線に沿って配置されるように示されている;例えば、UE130の移動方向もまた、上側の縦線に沿って配置され得る。概して、複数のビーム形成方向のアンテナ重みを適切に決定するために、UE130の向き231を正確に決定することが必要とされてもよい。次いで、一旦多様なビーム形成方向251、252を基準とするUE130の向きが分かると、対応するアンテナ重みが決定され得る。時間の経過にわたってその位置及び向きを典型的に変化させるUE130をユーザが扱う場合であっても、このような技法は、ビーム形成の動的な適応を可能とし得る。
図3〜図6から分かるように、探索空間250内の多様なビーム形成方向の優先度は、第1のビーム形成方向251から第2のビーム形成方向252へ向けて減少する。例示を簡略化するために、図3〜図6において、いわゆる好適なセクタ310が、(2点鎖線によって)示されている;図3〜図6の例としてのシナリオでは、好適なセクタ310は、スキャニングセクタ250のうち、優先度の高い方から20%を有するビーム形成方向を含む。概して、好適なセクタ310は、対応するビーム形成方向が比較的高い優先度を有する、UE130の周囲のセクタに対応し得る。
上記では、UE130が移動し、及びその向きを変えるときであっても、スキャニングセクタ250におけるビームスイープを効率的に実装するように、UE130の向きに依存してアンテナ重みが適応される、動的ビーム形成の態様が説明されている;例えば、アンテナ重みのそのような動的適応が、スキャンの時間的パターンが固定のままである間になされてもよい。しかしながら、さらに、スキャンの時間的パターンを動的に適応することも可能である;例えば、等方性のスキャニングセクタ250(図3参照)を有するスキャンを開始することが実行可能であるが、スキャンの経過にわたってスキャニングセクタ250を狭めることが望ましい場合があり、その場合に、アクセスノード121〜123がある方向(図4〜図6)において発見される信頼性の水準を向上させる、追加的な情報が利用可能であってもよい。別のシナリオでは、発生頻度300の定量的な依存関係が、時間の進行と共に調整されてもよい。別のシナリオでは、好適なセクタ310の向きが、時間の進行と共に動的に調整され得る。
これ以降、UE130が移動する際に時間の進行と共に好適なセクタ310を調整するそうしたシナリオが、図7に関連して説明される。図7は、環境195により定義される通路に沿ってUE130が移動するシナリオを示している。例えば、通路は、都市の高層ビルによって定義されてもよい。「A」は、無線インタフェース190を介して第1のアクセスノード121(サービングアクセスノード)へアタッチされているUE130の位置を指し示している;UE130の空間的情報195、231、741、742に依存して、好適なセクタ310(図7において2点鎖線で示される)が、調整/決定される。
概して、優先制御の時間的パターン、及びそれによる好適なセクタ310は、UE130、及び/又はワイヤレスネットワーク100のネットワークノード、例えば、サービングアクセスノード121によって決定され得る。例えば、ネットワークノードは、例えば、好適なセクタ310を明確に、又は幾分曖昧に定義する、好適な空間的方向を決定してもよい。好適なセクタ310を定義するために必要なさらなるパラメータは、開口角度、他の幾何学的特性、時間的シーケンス500を定義するルール、及び/又は発生頻度300であってもよい。
例えば、好適なセクタ310は、好適な空間的方向を中心としてもよい;したがって、簡略化のため、以下では好適なセクタ310及び好適な空間的方向は、いずれも参照番号310で示される。好適な空間的方向310は、アクセスノードが発見され得る可能性が高いと期待される方向であり得る。したがって、ワイヤレスネットワーク100は、好適な空間的方向310をUE130にシグナリングしてもよく、UE130は、次いで、好適な空間的方向310に基づいて、スキャンの時間的パターン、及びそれにより好適なセクタ310(図3〜図6を参照)を決定してもよい;ワイヤレスネットワーク100は、時間的パターン全体、及びしたがって、好適なセクタ310をシグナリングすることも可能である−また、そのようなシナリオでは、シグナリングは、対応するビーム形成方向の優先制御を少なくとも非明示的に介して、好適な空間的方向310を指し示す。したがって、好適な空間的方向310は、時間的パターンを指し示すパラメータとして見られてもよい;それは、優先制御の時間的パターンを構築するのに必要な全ての情報を含んでもよく、含まなくてもよい。
上述したように、ロジックの分散に依存して、UE130は、独自に好適な空間的方向310を決定することができ、又は、好適な空間的方向310を明示的又は非明示的に指し示す制御メッセージをワイヤレスネットワーク100から受信してもよい。好適な空間的方向310に基づいて、UE130は、複数のビーム形成方向251、252での送信の時間的シーケンス500、及び/又は複数のビーム形成方向251、252のうちの各1つの送信の発生頻度300を決定してもよい;したがって、UE130は、優先制御をもたらす時間的パターンを決定してもよい。簡略的なシナリオでは、ワイヤレスネットワーク100が、時間的シーケンス500及び/又は発生頻度300を予め決定することも可能である。また、このようなデータが、制御メッセージ内で指し示されてもよい。
上記から分かるように、ビームスイープを制御するためのロジックの分散された部分が、UE130において全体的に又は部分的に存在してもよい;ビームスイープを制御するためのロジックの少なくとも一部は、また、ワイヤレスネットワーク100に存在してもよい。
概して、ビーム形成方向251、252での送信を優先するとき、即ち、好適な空間的方向310及び/又は時間的パターンを決定するときに、UE130の多様な種類及びタイプの空間的情報195、231、741、742が考慮されてよい。例えば、アクセスノード121〜123のうちの1つを基準とするUE130の相対位置741を考慮に入れることができる;代替的に又は追加的に、アクセスノード121〜123のうちの1つを基準とするUE130の相対移動量742(図7において破線で指し示される)を考慮に入れることができる;代替的に又は追加的に、このステップにおいて、アクセスノード121〜123のうちの1つを基準とするUE130の向き231(図7において実線矢印で指し示される)を考慮に入れることも可能である。さらに、図7を参照して上記で説明されたように、空間的情報は、また、UE130の環境195を指し示すこともできる;例えば、空間的情報は、環境195のトポロジを指し示してもよい。環境195から、アクセスノード121〜123のうちの1つとUE130との間で送信及び/又は受信される信号の信号経路が、予測されてもよい。反射、マルチパス送信などを考慮することが可能となる。
UE130の空間的情報195、231、741、742を決定するロジックがUE130内に完全に又は部分的に存在してもよく、及び/又はワイヤレスネットワーク100内に完全に又は部分的に存在してもよい。例えば、UE130のセンサデータが、空間的情報195、231、741、742の少なくとも一部を決定するために活用されることが可能であってもよい。同様に、無線インタフェース190の特性が、ワイヤレスネットワーク100内に存在するロジックによって測定及び評価されることが可能である;このことから、UE130の空間的情報195、231、741、742の少なくとも一部を決定することが可能であってもよい。その場合、空間的情報195、231、741、742の少なくとも一部を指し示す制御情報が、ネットワーク100から送信され、UE130によって受信されることが可能である。
ここで、再び図7を参照すると、位置「A」において、空間的情報195、231、741、742に基づいて、多様なビーム形成方向での送信の優先制御が、UE130の移動量742の順方向に向いている好適なセクタ310が取得されるように設定され、それはアクセスノード122及びアクセスノード123によって送信される信号の考えられる反射経路全てをカバーする。この点において、図7の例示は2次元への投影であること、及び、上記で説明したように、好適なセクタ310はUE130の周囲の3次元立体角を定義し得ることに留意する。
後のある時点に、UE130は位置「B」に到達した。位置「B」において、UE130は、(図7の中央に示される)通路の三叉路に向かって移動してきた。このため、多様なビーム形成方向の優先制御の時間的パターンは、好適なセクタ310が拡張され又は拡大されるように適応される;これは、アクセスノード122及びアクセスノード123によって送信されるハンドオーバシグナリング受信のあり得る全ての角度を考慮するように行われる。
既に位置「B」において、UE130は、アクセスノード123が位置する方向を向くようにその向き231を変化させる。このことから、UE130がアクセスノード123に向かって移動し続ける可能性がより高いため、アクセスノード121からアクセスノード122へのハンドオーバよりも、アクセスノード121からアクセスノード123へのハンドオーバが好ましい可能性がある。このため、位置「C」において、UE130の移動量742に基づいて、UE130がアクセスノード123に向かって移動することが確認され、アクセスノード123によって送信されるハンドオーバ制御シグナリングの受信のあり得る全ての角度を選択的にカバーするように、好適なセクタ310が狭められる。
上記例示においては、移動量742の順方向を中心とする角度でのハンドオーバ制御シグナリングの受信と比較して、移動量742の後方向からの、UE130により受信されるハンドオーバ制御シグナリングの反射の可能性は低いという仮定に基づいて、好適なセクタ310が決定されていることに留意する。必要な場合、2つ以上の、例えば、オーバラップしない好適なセクタ310が定義されるように、スキャニングセクタ250内のビーム形成送信の優先制御を適切に設定することも可能である。
上述したように、複数のビーム形成方向の優先制御を決定するロジックの分散された部分を、UE130とネットワーク100との間で柔軟にシフトすることができる。図8において、複数のビーム形成方向251、252の優先制御がUE130によって実行される、多様な実施形態による方法のフローチャートが、示されている。図8のシナリオでは、受信機のビーム形成方向の優先制御が、ハンドオーバ関連情報を求める探索のために活用される。
801において、ネットワーク100から受信される制御メッセージによって、手続きがトリガされる。この制御メッセージが、例えば、好適な空間的方向310、又はUE130が優先制御のために提供する時間的パターンを決定することを可能にする他のパラメータを指し示す必要はない。
別のシナリオでは、リンク故障によって、即ち、UE130がネットワーク100から明示的な制御メッセージを受信せず、現在のリンクの品質が低下し、又はリンクが失われていることを発見することによって、手続きがトリガされてもよい;その場合、別のアクセスノード122、123へのハンドオーバが、必要とされるか、又は好ましい。
802において、UE130は、空間的情報195、231、741、742を決定する。空間的情報は、UE130の位置741、UE130の向き231、UE130の移動方向742などを含む。概して、多様なシナリオが、空間的情報195、231、741、742の少なくとも一部を決定するように考えられる。例えば、UE130は、内部センサに基づいて、データを収集し、及び/又は必要な測定を実行してもよい;例えば、向き231を決定するためにジャイロスコープを使用できるはずである;例えば、位置741を決定するためにGPS(global positioning system)センサを使用できるはずである。代替的に又は追加的に、UE130は、空間的情報の少なくとも一部を提供するようにセルラネットワーク100へ指示するそれぞれの制御メッセージ(空間的情報リクエスト)を、ネットワーク100へ送信し得る。その場合、UE130は、空間的情報の少なくとも一部を含むそれぞれの制御メッセージ(空間的情報レスポンス)を受信し得る。802において、センサ融合の技法が活用され得る;例えば、より良好な推定を達成するために、多様なソースからの空間的情報195、231、741、742が収集され及び組み合わせられてもよい。ここで、推定の不確実性を低減するために、多様なリファレンス実装に従った測定の組み合わせの技法が実装されてよい。
803において、様々なビーム形成方向の優先制御が実行される。例えば、様々なビーム形成方向の優先制御が、発生頻度300を適切に設定することによって、及び/又は時間的シーケンス500を適切に設定することによって、達成され得る。例えば、803において、関連する確率重みが、様々なビーム形成方向251、252について設定されてもよい。803において、即ち、ビームスイープが実行される前に、具体的な時間的シーケンス500を先験的に設定することを要しない。
804において、例えば、802の一部として、既にそれが行われていない場合、UE130の向き231が決定される。その場合、向き231は、例えば、サービングアクセスノード121を基準とするUE130の上方への方向と回転とを見出すために使用される。より一般的には、804において、有効な基準フレームが見出され、その中で、好適な空間的方向310、スキャニングセクタ250、好適なセクタ310、及び多様なビーム形成方向251、252などの様々な方向が特定され得る。例えば、移動ベクトル又は速度ベクトルが、決定された基準フレームにおいて表されてもよい。このような情報が、相異なる優先度を与えられるビーム形成方向251、252、即ち、好適なセクタ310の絶対的な向きを決定し及び配置するために使用され得る。
必要な場合、UE130の向き231についての最新の情報が、上述のような優先制御の特性をUE130のローカル座標系に変換するために使用されることも可能である。ローカル座標系で、804においてUE130のアンテナアレイの様々なアンテナのアンテナ重みを決定することが可能であってもよい。
805において、スキャニングセクタ250は、複数のビーム形成方向251、252で送信及び/又は受信することによってスキャンされる。例えば、ハンドオーバシナリオでは、UEは、対応するアクセスノード122、123によってブロードキャスト送信で送信され得るハンドオーバ制御シグナリングを受信し得る。概して、複数のビーム形成方向251、252のスキャンが、連続的に、又は少なくとも部分的に並行して、実行されることが可能である;即ち、送信が、少なくとも並行して異なるビーム形成方向251、252で発生することが可能である。
806において、ハンドオーバ制御情報が、805で成功裏に受信されたか否かがチェックされる。ハンドオーバ制御情報が成功裏に受信された場合、UE130は、807においてハンドオーバを開始するための準備アクションを取ってもよい;このようなアクションは、多様なリファレンス実装に従ってもよい。しかしながら、ハンドオーバ制御シグナリングが受信されなかった場合、801が、改めて実行されてもよい。即ち、UE130は、手続きをあらためて初期化するために、ワイヤレスネットワーク100からの新たなトリガを待機してもよい。
概して、例えば、UE130の向きが変化する場合、805におけるビームスイープの期間中に、アンテナ重みが804に従って調整されることが可能である。
図9には、探索空間250内の複数のビーム形成方向での送信の優先制御のためのパラメータの少なくともいくつかがネットワーク100によって決定される、多様な実施形態による方法のフローチャートが、示されている。例えば、サービングアクセスノード121は、UE130の空間的情報195、231、741、742に依存して優先制御のパラメータを決定するように構成され得る;代替的に又は追加的に、異なるネットワークノード、例えば、セルラネットワークであるワイヤレスネットワーク100のコアネットワークに位置するネットワークノードが、対応するタスクを実行してもよい。その場合、対応する情報が、制御メッセージとしてUE130へ送信され得る。簡略的なシナリオでは、好適な空間的方向310が、UE130に明示的に指し示される;その場合、UE130は、例えば、時間的シーケンス500及び/又は発生頻度300を適切に設定することによって、これに基づく時間的パターンを構築してもよい。好適な空間的方向310が、例えば、時間的シーケンス500及び/又は発生頻度300を直接的に指し示すことによって、UE130に非明示的に指し示されることも可能である。
ワイヤレスネットワーク100が、好適な空間的方向310を決定する場合、概して、好適な空間的方向を指し示すために、様々なフォーマットが使用されてよい。簡略的な実施形態では、好適な空間的方向310が、ベクトルによって指定されてもよい;ベクトルは、例えば、方位角及び仰俯角で、様々な座標系において定義されてもよい;UE130の向き231には非依存のグローバルフレームが使用されてもよい。好適な空間的方向310が、好適なセクタ310によって決定される場合に、好適なセクタ310の開口角を特定することが可能であってもよい。したがって、多様な実施形態において、好適な空間的方向310毎に併せて3つの浮動小数点数が特定され得る。より多くの好適な空間的方向310のために、対応するより多くの値が提供されてもよい。圧縮技法のリファレンス実装を活用して、ワイヤレスネットワーク100とUE130との間のシグナリングオーバヘッドをさらに減少させることが可能である;これは、優先制御を決定するためのロジックがワイヤレスネットワーク100に少なくとも部分的に存在する場合のシナリオに、特に当てはまり得る。
ワイヤレスネットワーク100は、グローバルな基準フレームにおいて非明示的に又は明示的に好適な空間的方向310を指し示すことが可能である;その場合、UE130のローカルフレームへの変換が、UE130の向きに基づいて必要とされてもよい。
例えば、優先制御のパラメータの決定が、UE130の位置においてサービスされるUEの位置及び過去の経験に依存することが可能である。その意味では、自己学習の技法が、優先制御を正確に決定するために実装されてもよい。過去のハンドオーバイベントが考慮されてもよい。その場合、ハンドオーバ成功の可能性が上がるように好適な空間的方向310を決定することが可能になってもよい。
あらためて言うと、位置741、移動量742、及び環境195などの多様な空間的情報195、231、741、742が活用されてよい。このような空間的情報195、231、741、742に基づいて、時間的シーケンス500及び/又は発生頻度300が決定され得る;代替的に又は追加的に、ワイヤレスネットワーク100が、好適な方向を決定し、そのようなパラメータを指し示す対応する制御メッセージをUE130へ送信するだけであってもよく、それによって、UEは、時間的シーケンス500及び/又は発生頻度300を決定することができる。いかなるケースでも、UE130は、その向き231に基づいて、そのようなパラメータをグローバルな基準フレームからローカルフレームに変換してよい。このような技法の詳細は、図9を参照して以下で説明される;ここで、単に簡略化のため、及び例示の目的のために、対応する機能性が、UE130にサービスするアクセスノード121によって実装される。
901において、アクセスノード121は、UE130の空間的情報195、231、741、742を決定する。例えば、アクセスノード121は、ネットワーク測位測定に基づいて空間的情報195、231、741、742を決定し得る;例えば、移動量742は、位置741の時間にわたる導関数として決定されてもよい。代替的に又は追加的に、アクセスノード121は、また、空間的情報195、231、741、742を少なくとも部分的に指し示す状態レポートをUE130から受信してもよい。
902において、アクセスノード121は、UE130の空間的情報に依存して好適な空間的方向310を決定する。追加的に、902において、アクセスノード121は、また、多様なビーム形成方向251、252の具体的な優先制御を決定することが可能である;例えば、アクセスノード121は、発生頻度300及び/又は時間的シーケンス500を決定することが可能である。
例えば、902において、例えば基準座標系で表されるUE130の位置741が、ローカルで利用可能な環境195の3次元マップと共に使用されて、UE130によるハンドオーバ制御情報の受信が最も発生する見込みの大きいUE130の周囲の方向が推定され得る。これは、例えば、反射する壁が、例えばブロードキャスト送信において、近傍のアクセスノード122、123によって送信されるハンドオーバ制御情報を反射する可能性があるか否かを判断することを可能にする。このような情報から、アクセスノード121は、UE130がハンドオーバ制御シグナリングを受信する可能性がより高いものから、1つ又は複数の好適な空間的方向310を構成する。
追加的に又は代替的に、902において、アクセスノード121は、UEの位置についての履歴情報及び/又は現在位置でのUEについてのハンドオーバの成功率などのUEのハンドオーバの振る舞いについての統計値を考慮してもよい。したがって、このような情報は、過去のハンドオーバイベントに関連していてもよい。具体的には、UE130の現在位置に近い位置で発生した過去のハンドオーバイベントを考慮することが可能であってもよい。
追加的に又は代替的に、902において、アクセスノード121は、所与のアクセスノード122、123へのハンドオーバが望ましい/成功する可能性に基づいて、利用可能な候補ハンドオーバノードから利用可能なハンドオーバアクセスノード122、123のうちの1つ又は複数を選択してもよい。例えば、UE130の向き231及び/又は移動(履歴パス/経路、速度、及び現在の移動方向)742に基づいて、UEが、近い将来位置することとなる場所を予測することが可能である。これは、より離れた、又はUE130の推定される近い将来の位置に不適切な候補ハンドオーバアクセスノード122、123のうちのいくつかを破棄することを可能にしてもよい。
追加的に又は代替的に、902において、好適なセクタ310の開口錐体(opening cone)は、UE130の移動量742の速度に依存してもよい。例えば、UE130の移動量742の速度が速い(遅い)ほど、好適なセクタ310のより小さい(大きい)開口錐体が選択されてもよい。
上記で説明される技法のうちの1つ又は複数から理解されるように、1つ又は複数の好適な空間的方向310が決定され得る。
次に、903において、複数のビーム形成方向251、252での送信を成功裏に実行するようにUE130に指示する制御メッセージが、アクセスノード121によって送信される。制御メッセージは、好適な空間的方向310を指し示し得る;多様なビーム形成方向251、252の優先制御が、902においてより詳細に決定されている場合、それぞれの情報が、制御メッセージに含まれてもよい。そのような情報は、好適な空間的方向310を非明示的に指し示してもよい。
904において、例えば、内部センサデータに基づいて、UE130は、その向き231を決定する。これは、903において制御メッセージの一部として受信された情報をローカルフレームに変換することを可能にする。例えば、904において、UE130は、その向き231に依存して、好適な空間的方向310をローカル座標系に変換してもよい。ローカル座標系では、904においてUE130のアンテナアレイの様々なアンテナのアンテナ重みを決定することが可能であってもよい。
905〜907は、805〜807に対応する。
このようなシナリオにおいて、環境195についての情報がアクセスノード121によって考慮されてもよい;特に、優先制御を決定するそれぞれのロジックがUE130内に存在する場合のシナリオと比較すると、UE130において環境195についての複雑なデータを対応する形で提供することを要しなくてよい。したがって、比較的大きな計算リソースがUE130において提供される必要がないであろう。
図10に移ると、805におけるUE130の周囲のスキャンが、より詳細に示されている。概して、上述したように、ビームスイープは、上述のようなスキャン手法1及び/又はスキャン手法2を活用してよい;即ち、ビームスイープは、確率重みを実装することによって、時間的シーケンス500及び/又は変動する発生頻度300を活用してもよい。
1001において、スキャニングセクタ250内に存在するその時点のビーム形成方向が選択される。ここで、その選択は、時間的シーケンス500及び/又は確率重みを基礎とすることができる。
1002において、UE130は、それぞれのアンテナ重みを活用して、最新の方向で信号を送信し及び/又は受信する;即ち、1002において、最新のビーム形成方向を定義する指向性ビームが活用される。
1003において、1002における信号の送信及び/又は受信によって、サービングアクセスノード121以外のアクセスノード122、123が発見されたか否かがチェックされる;発見された場合、ループは中断され、ハンドオーバのための準備アクションが取られ得る。そうでない場合、1004において、スキャンされるべきさらなるビーム形成方向が利用可能か否かがチェックされる。利用可能である場合、スキャンされるべきさらなるビーム形成方向が、1001において最新のビーム形成方向として選択される。
そうでない場合、即ち、探索空間250全体がスキャンされた場合、1005において、スキャンのさらなる反復が実行されるべきか否かがチェックされる。例えば、パラメータによって1005において反復が何回実行されるべきかが指定されてもよい。さらなる反復が必要な場合、探索空間250は改めてスキャンされる。
上述したように、ある発生頻度300が、確率重みによって実装されてもよい。図11に移ると、ある実施形態が示されており、そこでは、比較的広い好適なセクタ310についての複数の確率重み1100が例示されている。図11は、様々な離散化された角度についての確率重み1100を示している。様々な角度が、インデックス(j,k)によって列挙されていると考えると、確率重み1100は、以下の式によって得られ得る。
(J,K)は、例えばその方向についての方位角及び仰俯角によって、UE130が移動している角度を特定し、vは、静止したUE130については1であり、速度と共に増加する速度係数である。式1から分かるように、静止したUEの場合、発生頻度300、それぞれの確率重み1100は、UEの周囲の全ての方向について等しい。図11は、5×5角度格子の例であり、ここで、式1は、速度係数v=2で適用される。図12は、v=4での対応する例である。ここで、確率重み1100=1,0を有する中心(j,k)=(3,3)は、UE130の移動量742の方向に平行な向きの好適な空間的方向である。図11及び図12では、列は、好適な方向を基準とする水平角度を指し示す;行は、好適な方向を基準とする垂直角度を指し示す。図11及び図12の比較から分かるように、速度係数2の場合(図11)、好適な方向310の隣りの方向は、0.5の係数で重み付けされる。即ち、対応するビーム形成方向の発生頻度300は、好適な方向310に沿った向きのビーム形成方向の発生頻度300の半分の大きさである。
上述したように、様々なシナリオにおいて様々なやり方で確率重み1100が活用されてよい。あるシナリオでは、次のビーム形成方向の選択がランダム選択プロセスによる確率重み1100を基礎とし、そのプロセスにおいて、特定のビーム形成方向を選択する可能性はその確率重み1100に比例する。さらなるシナリオでは、タブー深度Mが導入される;即ち、あるビーム形成方向は、それが過去に選択され、それ以来M個のさらなるビーム形成方向が選択されていない場合、送信のために選択されることができない;例えば、M=3である場合の以下のシナリオを考える:ビーム選択(j,k)=(3,3)、(2,3)、(4,4)、(3,3)は認められない。それらは、(j,k)=(3,3)が再選択される前に、少なくともM=3個の別のビーム形成方向での送信がある必要があるからである。理解されるように、このようなシナリオでは、ビーム形成方向での送信の時間的パターンは、送信の履歴に依存する。このような技法は、探索空間250全体を均一にかつ高速でスキャンすることを可能にする;アクセスノード122、123の高速発見が、促進され得る。
図13において、多様な実施形態によるシグナリング図が示されている。図13のシナリオでは、UE130は、サービングアクセスノード121へアタッチされる。サービングアクセスノード121からアクセスノード122へのハンドオーバが準備される。この場合、アクセスノード122は、同期信号A1、A5、A6をブロードキャスト送信で随時送信する。
A2において、トリガメッセージが、アクセスノード121からUE130へ送信される。トリガメッセージは、アクセスノード122を発見するために、複数のビーム形成方向で逐次的に受信を行うようにUE130に指示する。
UE130とアクセスノード121との間のロジックの分散に依存して、アクセスノード121とUE130との間で交換されるトリガメッセージが、アクセスノード発見を開始する指示とは別の情報を含むことが可能である。例えば、トリガメッセージは、好適な空間的方向310をさらに指し示すことが可能である。好適な空間方向310に基づいて、UE130は、第2のビーム形成方向252での送信に対して、好適な空間方向310に一致する第1のビーム形成方向251での送信を優先してもよい。多様なシナリオにおいて、多様なビーム形成方向での送信の優先制御に関するさらなる情報が、トリガメッセージに含まれることも可能である。例えば、トリガメッセージは、時間的シーケンス500及び/又は多様なビーム形成方向の発生頻度300をさらに含むことが可能である。例えば、トリガメッセージは、代替的に又は追加的に、時間的シーケンス500を確立するための予め定義されたルール;確率重み1100;好適なセクタ310の開口角度などのようなパラメータを含んでもよい。このような情報は、好適な空間的方向310を少なくとも非明示的に指し示す。
具体的には、優先制御のための決定ロジックの有意な部分がUE130内にあるシナリオでは、アクセスノード121とUE130との間で交換されるトリガメッセージが、UE130の空間的情報195、231、741、742の少なくとも一部の標識を含むことが望ましい場合がある。例えば、この点に関して、アクセスノード121は、例えば、三角法などに基づくネットワーク測位の機能性からUE130の位置741及び/又はUE130の移動量741を決定し得る。さらに、アクセスノード121は、UE130の環境195についての情報を含むデータベースにアクセスしてもよい。ここで、環境195のジオメトリ/トポロジは、2次元又は3次元方式で記憶されてもよい。
A3において、UE130は、その向き231を決定し、向き231に基づいてアンテナ重みをさらに決定する。第1のビーム形成方向251での送信が、第2のビーム形成方向252での送信に対して優先されるように、複数のビーム形成方向についてアンテナ重みが決定される。
次いで、スキャニングレンジ250内の多様なビーム形成方向のスキャン、それぞれのビームスイープ1300が、開始される。ビームスイープ1300の期間中に、UE130が、A4によって指し示されるようにデータをアクセスノード121へ送信し続けることが可能であると理解されるべきである。また、ビームスイープ1300の期間中にアンテナ重みが調整されてもよい。
見て取れるように、A5において上記スキャン1300の期間中に、アクセスノード122によって同期信号がブロードキャストされる。しかしながら、アクセスノード120が同期信号A5を送信する時点において、UE113は異なるビーム形成方向で受信を行う;その結果、同期信号A5は、UE130によって受信されない。
一方、同期信号A6は、UE130によって成功裏に受信される;スキャン1300はそのときに中止され、ハンドオーバの準備が開始される。これは、UE130がハンドオーバリクエストA7をサービングアクセスノード121へ送信することを含み得る。サービングアクセスノード121は、次いで、ハンドオーバコマンドA8をアクセスノード122及びUE130へ送信する。次いで、ハンドオーバが実行され、データA9が、UE130から送信されてアクセスノード122によって受信される。
図14において、UE130がより詳細に示される。概して、UEは、端末の機能性及び/又は中継の機能性を実装してもよい。
UE130は、不揮発性メモリ130−3及びインタフェース130−2に連結されるプロセッサ130−1を備える。図14から分かるように、インタフェース130−2は、アンテナアレイ130−2aの4つのアンテナを備える。より多くの又はより少ないアンテナを伴うアンテナアレイ130−2aが提供されてもよい。さらに、UE130は、UE130の空間的情報195、231、741、742の少なくとも一部を指し示すセンサデータを提供するように構成されるセンサ130−4を備える。例えば、センサ130−4は、GPSセンサ、ジャイロスコープ、加速度計、カメラなどであってもよい。UE130は、ヒューマンマシンインタフェース(HMI:human machine interface)130−5をさらに備える。HMI130−5は、キーボード、マウス、タッチ感知スクリーン、音声入力、音声出力、1つ又は複数のボタン、ノブなどを含んでもよい。
例えば、プロセッサ130−1による実行時に、上記で説明されたように、UE130の向き231を決定し、ビーム形成し、ビームスイープし、好適な空間的方向/好適なセクタ310を決定し、スイープ期間中にあるビーム形成方向での送信を優先し、アンテナ重みを決定し、時間的シーケンス500を決定し、及び/又は可能な限り確率重みに基づいて発生頻度300を決定するという技法をプロセッサ130−1に実行させる制御命令が、メモリ130−3に記憶されてもよい。
例えば、プロセッサ130−1による実行時に、中継する技法をプロセッサ130−1に実行させる制御命令が、メモリ130−3に記憶されてもよい。このようなシナリオでは、UE130は、中継の機能性を実装する、即ち、データを別のUEからアクセスノード121〜123のうちの1つへ、及びアクセスノード121〜123のうちの1つから別のUEへ転送することが可能である。ここで、UE130は、プロキシの役割をしてもよい。ワイヤレスネットワーク100のカバレッジエリアがこのように拡張されてもよい。
図15には、アクセスノード121〜123が示されている。アクセスノード121〜123は、プロセッサ121−1、インタフェース121−2、不揮発性メモリ121−3、及びHMI121−5を備える。
例えば、UE130のインタフェース130−2(図14参照)は、ワイヤレスネットワーク100の無線インタフェース190上でデータをアクセスノード121〜123のインタフェース121−2へ送信するように構成され得る。このような送信方向は、典型的にはアップリンク送信と称される。さらに、UE130のインタフェース130−2は、ワイヤレスネットワーク100の無線インタフェース190上でデータをアクセスノード121〜123のインタフェース121−2から受信するように構成され得る。このような送信方向は、典型的にはダウンリンク送信と称される。また、デバイスツーデバイス(D2D:device-to-device)通信が実装されてもよく、D2D通信では、インタフェース130−2が、データをさらなるUEへ送信するように構成され、及び/又はデータをさらなるUEから受信するように構成される。
ここで、再び図15を参照すると、メモリ121−3は、プロセッサ121−1による実行時に、上記で説明されたように、UE130の空間的情報195、231、741、742の少なくとも一部を決定し、好適な空間的方向/好適なセクタ310を決定し、UE130によるビームスイープ期間中の送信の優先制御を決定し、時間的シーケンス500を決定し、及び/又は可能な限り確率重みに基づいて発生頻度300を決定するという技法をプロセッサ121−1に実行させる、制御命令を記憶し得る。
例えば、プロセッサ130−1による実行時に、図16のフローチャートによって示されるような方法をUE130のプロセッサ130−1に実行させる制御命令が、メモリ130−3に記憶されてもよい。オプションとして、第1に、UE130の向き231が、例えば、ジャイロスコープ(図16に示されない)からのセンサデータに基づいて決定される。代替的に又は追加的に、空間的情報は、ネットワーク100からの制御メッセージの一部として受信される。次いで、1601において、空間的情報に基づいて、アンテナ重みが決定される。例えば、ビーム形成方向毎に、アンテナアレイの全てのアンテナについてのアンテナ重みのセットが決定されてもよい。ここで、UE130によって決定され、及び/又はワイヤレスネットワーク100から受信され得る、好適な空間的方向310などのさらなる情報が、考慮され得る。1602において、アンテナアレイ130−2aが制御されて、逐次的に送信及び/又は受信が行われ、即ち逐次的に複数のビーム形成方向で送信が実行される;好適な空間的方向310に一致し又は好適な空間的方向310付近に位置し得る第1のビーム形成方向251での送信が、別のビーム形成方向での送信に対して優先されてもよい。
ネットワークノード121〜123のメモリ121−3は、プロセッサ121−1による実行時に、図17のフローチャートによって示されるような方法をプロセッサ121−1に実行させる制御命令を記憶し得る。1701において、例えば、無線リンク190の特性から派生する情報、例えば、信号強度、位相シフトなどを含むネットワーク機能性に基づいて、UE130の空間的情報195、231、741、742が決定される。三角法の技法が活用されてもよい。さらに、空間的情報195、231、741、742の少なくとも一部を指し示すUE130の状態レポートが、考慮されてもよい。次に、1702において、好適な空間的方向310が決定される。例えば、好適な空間的方向310は、UE130の位置から、ハンドオーバが望ましい可能性がある、さらなるアクセスノード122、123の位置の方に向けられてもよい。1702において、1つ又は複数のさらなるアクセスノード122、123が、決定された空間的情報195、231、741、742に基づいて複数の候補アクセスノードから選択されることが可能である。例えば、近い将来におけるUE130の推定される移動の近傍にある可能性の高いそのようなさらなるアクセスノード122、123が選択されてもよい。
オプションとして、1702において、例えば、探索空間250、発生頻度300の量若しくは定量的な特性、及び/又は時間的シーケンス500などの、多様なビーム形成方向での送信の優先制御のさらなる特性が、ネットワークノードによって決定され得る。このような特性の全てが好適な空間的方向310に基づいて決定され、したがって、好適な空間的方向310を少なくとも非明示的に指し示す。
1703において、好適な空間的方向310を非明示的又は明示的に指し示す、対応する制御メッセージが、UE130へ送信される。
上記から理解されるように、UEのビーム形成を実行可能にする技法が示されている。ビーム形成は、信号の送信及び/又は受信に適用され得る。ビーム形成は、成功裏の送信の可能性が高いと期待される方向に基づいて最適化されてもよい。例えば、そのような好適な方向は、複数の方向に対して優先される。発生頻度の引き上げに基づいて、及び/又は多様なビーム形成方向の時間的シーケンスの特定の配置によって、優先制御がなされ得る。オプションとして、多様なビーム形成方向に関する送信の優先制御の際に、UEのビーム形成の履歴上の性能が考慮される。
このような技法が、多様な効果を達成することを可能にする:例えば、アクセスノードが見つかりそうなビーム形成方向を他のビーム形成方向に対して優先することによって、アクセスノードを迅速に発見することが可能であり得る。さらに、アクセスノードが優先されたビーム形成方向に配置されていない場合であっても、探索空間を適切に調整することによって、アクセスノードの十分に小さい発見確率をもたらすことが可能であり得る。さらに、ビームスイープ期間中のスキャンが構造化されたやり方でなされてもよく、それによって探索空間全体の高速なスキャンが保証される。
このような技法は、概して、例えば、いわゆるMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)概念における、多様な応用を見出してもよい。ここで、データ送信のロバスト性及び/又は比較的高いデータレートが達成され得る。
ある好適な実施形態を基準として本発明が示され及び説明されているが、本明細書を読み及び理解すれば、他の当業者にとって均等物及び修正例が生じるであろう。本発明は、全てのそうした均等物及び修正例を含み、添付される特許請求の範囲のみによって限定される。