以下、本発明の実施形態について説明する。
〔粘着シート〕
図1に示すように、本実施形態に係る粘着シート1は、2枚の剥離シート12a,12bと、それら2枚の剥離シート12a,12bの剥離面と接するように当該2枚の剥離シート12a,12bに挟持された粘着剤層11とから構成される。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
1.粘着剤層
上記粘着剤層11は、重量平均分子量が20万〜90万であり、重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシル基を有するモノマー(カルボキシル基含有モノマー)を5〜20質量%含有するか、水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)を15〜30質量%含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、活性エネルギー線硬化性成分(B)と、架橋剤(C)とを含有する粘着性組成物(以下「粘着性組成物P」という場合がある。)を熱架橋してなる活性エネルギー線硬化性の粘着剤層である。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。
粘着シート1における粘着剤層11は、粘着性組成物Pを熱架橋してなるものであり、具体的には、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が架橋剤(C)によって架橋された状態となっている。一方、活性エネルギー線硬化性成分(B)は、未だ硬化しておらず、粘着性組成物Pに配合されたままの状態で粘着剤層11中に存在する。この活性エネルギー線硬化性成分(B)は、粘着シート1の使用時(被着体を貼合するとき)に、粘着剤層11に対して活性エネルギー線が照射されたときに重合し硬化する。
(1)(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、粘着性組成物Pにおける粘着主剤である。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシル基含有モノマーを5〜20質量%含有するか、水酸基含有モノマーを15〜30質量%含有する。カルボキシル基含有モノマーまたは水酸基含有モノマーの含有量が上記の範囲にあることで、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)および架橋剤(C)によって形成される架橋構造が良好なものとなり、粘着剤層11が好適な耐久性を有するものとなる。また、カルボキシル基含有モノマーまたは水酸基含有モノマーの含有量が上記の範囲にある(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を含有する粘着性組成物Pから得られた粘着剤層11は、当該粘着剤層11の硬化後において、高温高湿条件(例えば、85℃、85%RHの条件下にて240時間)を施した後、常温常湿に戻したときの白化が抑制され、すなわち、耐湿熱白化性に優れたものとなる。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)がモノマー単位として上記の量でカルボキシル基含有モノマーまたは水酸基含有モノマーを含有すると、得られる粘着剤中に、所定量のカルボキシル基または水酸基が残存することとなる。カルボキシル基および水酸基は親水性基であり、そのような親水性基が所定量粘着剤中に存在すると、粘着剤が高温高湿条件下に置かれた場合でも、その高温高湿条件下で粘着剤に浸入した水分が、常温常湿に戻ったときに粘着剤から抜け易くなるものと推定され、その結果、粘着剤の白化が抑制されることとなる。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)におけるモノマー単位としてのカルボキシル基含有モノマーの含有量が5質量%未満であるか、水酸基含有モノマーの含有量が15質量%未満であると、粘着剤層11が特に耐湿熱白化性に劣るものとなる。一方、カルボキシル基含有モノマーの含有量が20質量%を超えるか、水酸基含有モノマーの含有量が30質量%を超えると、粘着性組成物Pの塗工性が悪化する。
上記の観点から、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシル基含有モノマーを、7〜15質量%、特に8〜12質量%含有するか、水酸基含有モノマーを17〜28質量%、特に20〜25質量%含有することが好ましい。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。中でも、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)におけるカルボキシル基の架橋剤(B)との反応性および他の単量体との共重合性の点から(メタ)アクリル酸が好ましく、特にアクリル酸が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。中でも、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)における水酸基の架橋剤(B)との反応性および他の単量体との共重合性の点から(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することが好ましく、特に主成分として含有することが好ましい。これにより、得られる粘着剤は、好ましい粘着性を発現することができる。
アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。中でも、粘着性をより向上させる観点から、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルおよび(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが特に好ましい。なお、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%以上含有することが好ましく、特に60質量%以上含有することが好ましく、さらには70質量%以上含有することが好ましい。なお、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量の上限は、カルボキシル基含有モノマーおよび水酸基含有モノマーを除いた残部であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、所望により、当該重合体を構成するモノマー単位として、他のモノマーを含有してもよい。他のモノマーとしては、カルボキシル基含有モノマーまたは水酸基含有モノマーの作用を妨げないためにも、反応性を有する官能基を含まないモノマーが好ましい。かかる他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド等の非架橋性のアクリルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量は20万〜90万であり、25万〜70万であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
粘着性組成物Pの主成分である(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量が上記のように比較的小さいことにより、当該粘着性組成物Pを熱架橋して得られる粘着剤層11は、段差追従性に優れたものとなる。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量が90万を超えると、段差追従性に劣るものとなる。一方、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量が20万未満であると、活性エネルギー線照射後の粘着剤層11が耐久性に劣るものとなる。上記観点に加えて、段差追従性・耐久性を考慮すると、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量は30万〜50万であることが特に好ましく、耐ブリスター性を考慮すると、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量は50万〜70万であることが特に好ましい。
なお、粘着性組成物Pにおいて、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(2)活性エネルギー線硬化性成分(B)
粘着性組成物Pが活性エネルギー線硬化性成分(B)を含有することにより、形成される粘着剤層11は、活性エネルギー線硬化性の粘着剤層となる。この粘着剤層11は、活性エネルギー線硬化性成分(B)を含有することにより、段差追従性および耐久性に優れたものとなる。
活性エネルギー線硬化性成分(B)は、本発明の効果を妨げることなく、活性エネルギー線の照射によって硬化する成分であれば特に制限されず、モノマー、オリゴマーまたはポリマーのいずれであってもよいし、それらの混合物であってもよい。中でも、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)等との相溶性に優れる分子量1000未満の多官能アクリレート系モノマーを好ましく挙げることができる。
分子量1000未満の多官能アクリレート系モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート等の2官能型;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能型;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能型;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能型;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能型などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
活性エネルギー線硬化性成分(B)としては、活性エネルギー線硬化型のアクリレート系オリゴマーを用いることもできる。このアクリレート系オリゴマーは重量平均分子量50,000以下のものが好ましい。このようなアクリレート系オリゴマーの例としては、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリブタジエンアクリレート系、シリコーンアクリレート系等が挙げられる。
ここで、ポリエステルアクリレート系オリゴマーは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシアクリレート系オリゴマーは、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシアクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシアクリレートオリゴマーを用いることもできる。ウレタンアクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアナートとの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリオールアクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
上記アクリレート系オリゴマーの重量平均分子量は、50,000以下であることが好ましく、特に500〜50,000であることが好ましく、さらには3,000〜40,000であることが好ましい。これらのアクリレート系オリゴマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、活性エネルギー線硬化性成分(B)としては、(メタ)アクリロイル基を有する基が側鎖に導入されたアダクトアクリレート系ポリマーを用いることもできる。このようなアダクトアクリレート系ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルと、分子内に架橋性官能基を有する単量体との共重合体を用い、当該共重合体の架橋性官能基の一部に、(メタ)アクリロイル基および架橋性官能基と反応する基を有する化合物を反応させることにより得ることができる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記分子内に架橋性官能基を有する単量体は、官能基として水酸基、カルボキシル基、アミノ基およびアミド基から選らばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。かかる単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;N−メチロールメタクリルアミド等のアクリルアミド類;(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピル等の(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸などが挙げられる。これらの単量体は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリロイル基および架橋性官能基と反応する基を有する化合物としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリル酸2−(0−[1'−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等が好ましく挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アダクトアクリレート系ポリマーの重量平均分子量は、5万〜90万程度であることが好ましく、10万〜30万程度であることが特に好ましい。
活性エネルギー線硬化性成分(B)は、前述した多官能アクリレート系モノマー、アクリレート系オリゴマーおよびアダクトアクリレート系ポリマーの中から、1種を選んで用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできるし、それら以外の活性エネルギー線硬化性成分と組み合わせて用いることもできる。
粘着性組成物P中における活性エネルギー線硬化性成分(B)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対して、10〜50質量部であることを必要とし、好ましくは15〜45質量部であり、特に好ましくは25〜40質量部である。活性エネルギー線硬化性成分(B)の含有量が10質量部以上であることにより、活性エネルギー線照射後の粘着剤層11は、凝集力が向上して、高温環境下にてプラスチック板からアウトガスが発生したとしても、気泡や浮き・剥がれが生じることが抑制され、耐ブリスター性に優れたものとなる。すなわち、活性エネルギー線硬化性成分(B)の含有量が10質量部未満であると、活性エネルギー線照射後の粘着剤層11の優れた耐ブリスター性が得られない。一方、活性エネルギー線硬化性成分(B)の含有量が50質量部を超えると、活性エネルギー線照射前の粘着剤層11の粘着力が高くなり過ぎて、粘着剤層11から剥離シート12a,12bをスムーズに剥離することが困難となり、剥離シート12a,12bの剥離時に粘着剤層11が破壊するおそれがある。なお、活性エネルギー線照射後の粘着剤層11は、10N/25mm程度以上の粘着力(対ガラス基板)を有することから、硬質板同士の貼り合せ状態を強固に維持することができる。
(3)架橋剤(C)
粘着性組成物Pは、架橋剤(C)を含有することで、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を架橋して三次元網目構造を形成し、得られる粘着剤の凝集力を向上させる。また、活性エネルギー線照射後には、当該粘着剤に耐久性を付与することもできる。
架橋剤(C)としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が有する反応性基(カルボキシル基または水酸基)と反応するものであればよく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。架橋剤(C)は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)がカルボキシル基含有モノマーを含有する場合には、カルボキシル基との反応性に優れたエポキシ系架橋剤およびイソシアネート系架橋剤から選ばれる少なくとも一種を架橋剤(C)として使用することが好ましく、特にエポキシ系架橋剤を使用することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が水酸基含有モノマーを含有する場合には、水酸基との反応性に優れたイソシアネート系架橋剤を使用することが好ましい。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。
粘着性組成物P中における架橋剤(C)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対して、0.01〜5質量部であることが好ましく、特に0.05〜1質量部であることが好ましい。架橋剤(C)の含有量が0.01質量部以上であると、活性エネルギー線照射後の粘着剤に耐久性向上効果を付与することができる。架橋剤(C)の含有量が5質量部を超えると、架橋の度合いが過度になり、得られる粘着剤の段差追従性が低下するおそれがある。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)のカルボキシル基または水酸基が多量に架橋剤(C)と反応して、粘着剤中に残存するカルボキシル基または水酸基の量が少なくなり、前述した耐湿熱白化性が低下するおそれがある。上記観点に加え、耐久性を最も好ましくする観点から、架橋剤(C)の含有量は0.05〜0.4質量部であることが好ましく、耐ブリスター性を最も好ましくする観点から、架橋剤(C)の含有量は0.3〜1質量部であることが好ましい。
(4)光重合開始剤(D)
粘着剤層11に対して照射する活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、粘着性組成物Pは、さらに光重合開始剤(D)を含有することが好ましい。このように光重合開始剤(D)を含有することにより、活性エネルギー線硬化性成分(B)を効率良く硬化させることができ、また重合硬化時間および活性エネルギー線の照射量を少なくすることができる。
このような光重合開始剤(D)としては、例えば、ベンソイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤(D)は、活性エネルギー線硬化性成分(B)100質量部に対して、2〜15質量部、特に4〜12質量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
(5)各種添加剤
粘着性組成物Pには、所望により、アクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えばシランカップリング剤、帯電防止剤、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、屈折率調整剤などを添加することができる。
特に耐久性を改善する観点から、粘着性組成物Pには、添加剤としてシランカップリング剤が添加されることが好ましい。シランカップリング剤としては、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物であって、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)との相溶性がよいものが好ましい。また、粘着シート1が光学用途の場合には、光透過性を有するシランカップリング剤が好適である。
かかるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有ケイ素化合物、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、あるいはこれらの少なくとも1つと、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有ケイ素化合物との縮合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の添加量は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対して0.01〜1.0質量部であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量部であることが好ましい。
(6)粘着性組成物の製造
粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を製造し、得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、活性エネルギー線硬化性成分(B)と、架橋剤(C)とを混合するとともに、所望により、光重合開始剤(D)および/または添加剤を加えることで製造することができる。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、重合体を構成するモノマーの混合物を通常のラジカル重合法で重合することにより製造することができる。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重合は、所望により重合開始剤を使用して、溶液重合法等により行うことができる。重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。アゾ系化合物としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
なお、上記重合工程において、2−メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を配合することにより、得られる重合体の重量平均分子量を調節することができる。
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が得られたら、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の溶液に、活性エネルギー線硬化性成分(B)、架橋剤(C)、および所望により光重合開始剤(D)、添加剤を添加し、十分に混合することにより、粘着性組成物Pを得る。
(7)粘着剤層の形成
粘着剤層11は、粘着性組成物Pを熱架橋してなるものである。すなわち、粘着性組成物Pの架橋は、加熱処理により行う。なお、この加熱処理は、粘着性組成物Pの塗布後の乾燥処理で兼ねることもできる。
加熱処理の加熱温度は、50〜150℃であることが好ましく、特に70〜120℃であることが好ましい。また、加熱時間は、10秒〜10分であることが好ましく、特に50秒〜2分であることが好ましい。加熱処理後、必要に応じて、常温(例えば、23℃、50%RH)で1〜2週間程度の養生期間を設けてもよい。この養生期間が必要な場合は、養生期間経過後、養生期間が不要な場合には、加熱処理終了後、粘着剤層が形成される。
上記の加熱処理(及び養生)により、架橋剤(C)を介して(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が良好に架橋される。
形成される粘着剤層11の厚さ(JIS K7130に準じて測定した値)は、50〜400μmであり、好ましくは70〜300μmであり、特に好ましくは90〜250μmである。なお、粘着剤層11は単層で形成してもよいし、複数層を積層して形成することもできる。
粘着剤層11の厚さが50μm未満であると、十分な段差追従性が得られず、粘着剤層11の厚さが400μmを超えると、加工性が低下する。
2.剥離シート
剥離シート12a,12bとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
上記剥離シート12a,12bの剥離面(特に粘着剤層11と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。なお、剥離シート12a,12bのうち、一方の剥離シートを剥離力の大きい重剥離型剥離シートとし、他方の剥離シートを剥離力の小さい軽剥離型剥離シートとすることが好ましい。
剥離シート12a,12bの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
3.粘着シートの製造
粘着シート1の一製造例としては、一方の剥離シート12a(または12b)の剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成した後、その塗布層に他方の剥離シート12b(または12a)の剥離面を重ね合わせる。養生期間が必要な場合は養生期間をおくことにより、養生期間が不要な場合はそのまま、上記塗布層が粘着剤層11となる。これにより、上記粘着シート1が得られる。なお、この段階では活性エネルギー線の照射は行わない。
粘着シート1の他の製造例としては、一方の剥離シート12aの剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成して、塗布層付きの剥離シート12aを得る。また、他方の剥離シート12bの剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成して、塗布層付きの剥離シート12bを得る。そして、塗布層付きの剥離シート12aと塗布層付きの剥離シート12bとを、両塗布層が互いに接触するように貼り合わせる。養生期間が必要な場合は養生期間をおくことにより、養生期間が不要な場合はそのまま、上記の積層された塗布層が粘着剤層11となる。これにより、上記粘着シート1が得られる。この製造例によれば、粘着剤層11が厚い場合であっても、安定して製造することが可能となる。
上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を利用することができる。
4.物性
粘着剤層11に対し活性エネルギー線を照射する前の23℃における貯蔵弾性率に対する、粘着剤層11に対し活性エネルギー線を照射した後の23℃における貯蔵弾性率の比(活性エネルギー線照射後の貯蔵弾性率/活性エネルギー線照射前の貯蔵弾性率)は、1.1〜10であることが好ましく、特に1.2〜7であることが好ましい。なお、本明細書における貯蔵弾性率は、JIS K7244−6に準拠して、測定周波数1Hzにてねじりせん断法により測定した値とする。
上記のように、活性エネルギー線照射後(硬化後)に粘着剤層11の23℃における貯蔵弾性率が上昇することにより、硬化した粘着剤層11は、耐久性と段差追従性の両立に優れたものとなる。さらに、上記観点に加え、耐ブリスター性を考慮すると、上記貯蔵弾性率の比は、3〜7であることが特に好ましい。
また、粘着剤層11に対し活性エネルギー線を照射する前の85℃における貯蔵弾性率に対する、粘着剤層11に対し活性エネルギー線を照射した後の85℃における貯蔵弾性率の比(活性エネルギー線照射後の貯蔵弾性率/活性エネルギー線照射前の貯蔵弾性率)は、1.1〜10であることが好ましく、特に1.3〜7であることが好ましい。さらに、上記観点に加え、耐ブリスター性を考慮すると、上記貯蔵弾性率の比は、3〜7であることが特に好ましい。
上記のように、活性エネルギー線照射後(硬化後)に粘着剤層11の85℃における貯蔵弾性率が上昇することにより、硬化した粘着剤層11は、高温下においても耐久性に優れたものとなる。
23℃または85℃における上記貯蔵弾性率の比が1.1未満であると、上記のような耐久性向上効果が得られない場合がある。一方、23℃または80℃における貯蔵弾性率の比が10を超えると、硬化した粘着剤層11の粘着力が低下して、十分な耐久性が得られないおそれがある。
活性エネルギー線照射前における粘着剤層11の23℃における貯蔵弾性率は、0.01〜0.2MPaであることが好ましく、特に0.04〜0.15MPaであることが好ましく、さらには0.07〜0.1MPaであることが好ましい。また、活性エネルギー線照射前における粘着剤層11の85℃における貯蔵弾性率は、0.01〜0.1MPaであることが好ましく、特に0.01〜0.06MPaであることが好ましく、さらには0.02〜0.04MPaであることが好ましい。活性エネルギー線照射前における粘着剤層11は、上記のような貯蔵弾性率を有することにより、段差追従性に優れる。
活性エネルギー線照射後における粘着剤層11の23℃における貯蔵弾性率は、0.02〜2MPaであることが好ましく、特に0.05〜1MPaであることが好ましく、さらには0.1〜0.6MPaであることが好ましい。また、活性エネルギー線照射後における粘着剤層11の85℃における貯蔵弾性率は、0.02〜0.5MPaであることが好ましく、特に0.02〜0.2MPaであることが好ましく、さらには0.03〜0.1MPaであることが好ましい。活性エネルギー線照射後における粘着剤層11は、上記のような貯蔵弾性率を有することにより、耐久性および耐ブリスター性に優れたものとなる。
以上の粘着シート1においては、活性エネルギー線照射前の粘着剤層11が段差追従性に優れるため、被着体に段差がある場合でも、当該段差と粘着剤層11との間に空隙または気泡ができ難く、粘着剤層11が当該段差を埋めることができる。また、粘着剤層11は、活性エネルギー線の照射により硬化することで、耐湿熱白化性、耐久性および耐ブリスター性に優れたものとなる。
本実施形態に係る粘着シート1の粘着剤層11は、後述するように、2枚の硬質板を互いに貼合するのに使用することが好ましい。
〔積層体〕
図2に示すように、本実施形態に係る積層体2は、第1の硬質板21と、第2の硬質板22と、それらの間に位置し、第1の硬質板21および第2の硬質板22に挟持される粘着剤層11とから構成される。また、本実施形態に係る積層体2では、第1の硬質板21は、粘着剤層11側の面に段差を有しており、具体的には、印刷層3の有無による段差を有している。
第1の硬質板21および第2の硬質板22は、粘着剤層11が接着できるものであれば、特に限定されるものではない。また、第1の硬質板21および第2の硬質板22は、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
第1の硬質板21および第2の硬質板22としては、例えば、ガラス板、プラスチック板、金属板、半導体板等の他、それらの積層体、あるいは表示体モジュール、太陽電池モジュール等の板状の硬質製品などが挙げられる。本実施形態における粘着剤層11は、耐ブリスター性に優れるものであるため、第1の硬質板21および第2の硬質板22の少なくとも1つは、プラスチック板を含むことが好ましい。
上記ガラス板としては、特に限定されることなく、例えば、化学強化ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ソーダライムガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、アルミノケイ酸ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス等が挙げられる。ガラス板の厚さは、特に限定されないが、通常は0.1〜5mmであり、好ましくは0.2〜2mmである。
上記プラスチック板としては、特に限定されることなく、例えば、アクリル板、ポリカーボネート板等が挙げられる。プラスチック板の厚さは、特に限定されないが、通常は0.2〜5mmであり、好ましくは0.4〜3mmである。
なお、上記ガラス板やプラスチック板の片面または両面には、各種の機能層(透明導電膜、金属層、シリカ層、ハードコート層、防眩層等)が設けられていてもよいし、金属配線が形成されていてもよいし、光学部材が積層されていてもよい。
上記光学部材としては、例えば、偏光板(偏光フィルム)、偏光子、位相差板(位相差フィルム)、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、コントラスト向上フィルム、液晶ポリマーフィルム、拡散フィルム、ハードコートフィルム、半透過反射フィルム等が挙げられる。
また、上記表示体モジュールとしては、例えば、液晶(LCD)モジュール、発光ダイオード(LED)モジュール、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)モジュール、電子ペーパー等が挙げられる。なお、これらの表示体モジュールには、通常、上述したガラス板、プラスチック板、光学部材等が積層されている。例えば、LCDモジュールには偏光板が積層されており、その偏光板がLCDモジュールの一方の表面を形成する。
本実施形態に係る積層体2において、第1の硬質板21および第2の硬質板22の少なくとも一方は、偏光板を有するものであることが好ましい。また、本実施形態に係る積層体2における第2の硬質板22は、表示体モジュールまたはその一部(例えば、偏光板等の光学部材)であり、第1の硬質板21は、プラスチック板等からなる保護板であることが好ましい。この場合、印刷層3は、第1の硬質板21における粘着剤層11側に、額縁状に形成されることが一般的である。
印刷層3を構成する材料は特に限定されることなく、印刷用の公知の材料が使用される。印刷層3の厚さ、すなわち段差の高さは、3〜45μmであることが好ましく、5〜35μmであることがより好ましく、7〜25μmであることが特に好ましく、7〜15μmであることがさらに好ましい。
また、印刷層3の厚さ(段差の高さ)は、粘着剤層11の厚さの3〜30%であることが好ましく、特に3.2〜20%であることが好ましく、さらには3.5〜15%であることが好ましい。これにより、粘着剤層11は、印刷層3による段差に確実に追従し、段差近傍に浮きや気泡等が発生しない。
本実施形態に係る積層体2の粘着剤層11は、前述した粘着シート1における粘着剤層11を活性エネルギー線の照射により硬化させたものである。ここで、活性エネルギー線とは、電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものをいい、具体的には、紫外線や電子線などが挙げられる。活性エネルギー線の中でも、取扱いが容易な紫外線が特に好ましい。
紫外線の照射は、高圧水銀ランプ、フュージョンHランプ、キセノンランプ等によって行うことができ、紫外線の照射量は、照度が50〜1000mW/cm2程度であることが好ましい。また、光量は、50〜10000mJ/cm2であることが好ましく、80〜5000mJ/cm2であることがより好ましく、200〜2000mJ/cm2であることが特に好ましい。一方、電子線の照射は、電子線加速器等によって行うことができ、電子線の照射量は、10〜1000krad程度が好ましい。
粘着シート1における粘着剤層11に対し活性エネルギー線を照射すると、活性エネルギー線硬化性成分(B)が重合し硬化する。活性エネルギー線の照射により硬化した粘着剤層11は、耐久性、耐湿熱白化性および耐ブリスター性に優れたものとなる。
上記積層体2を製造するには、一例として、まず、粘着シート1の一方の剥離シート12a(または12b)を剥離して、粘着シート1の露出した粘着剤層11と第1の硬質板21(または第2の硬質板22)とを貼合する。次いで、粘着シート1の粘着剤層11から他方の剥離シート12b(または12a)を剥離して、粘着シート1の露出した粘着剤層11と第2の硬質板22(または第1の硬質板21)とを貼合する。
上記工程において粘着剤層11と第1の硬質板21とを貼合するとき、粘着剤層11は段差追従性に優れるため、印刷層3による段差と粘着剤層11との間に空隙ができ難く、粘着剤層11が当該段差を埋めることができる。
その後、第1の硬質板21または第2の硬質板22のいずれかの側から、粘着剤層11に対して活性エネルギー線を照射して、粘着剤層11を硬化させる。このとき、活性エネルギー線を照射する側の硬質板は、活性エネルギー線透過性である必要がある。
以上の積層体2においては、活性エネルギー線照射前の粘着剤層11が段差追従性に優れるため、印刷層3による段差と粘着剤層11との間に空隙または気泡ができ難い。また、活性エネルギー線の照射により硬化した粘着剤層11は、高温高湿条件を施した後、常温に戻したときの白化が抑制され、耐湿熱白化性に優れる。さらに、活性エネルギー線を照射した当該粘着剤層11は、高温高湿条件を施した場合でも、段差近傍に気泡等が発生することが防止されており、耐久性に優れる。さらにまた、第1の硬質板21および第2の硬質板22の少なくとも1つがプラスチック板を含む場合において、高温条件下で当該プラスチック板からアウトガスが発生したとしても、活性エネルギー線を照射した当該粘着剤層11は、耐ブリスター性に優れるため、気泡や浮き・剥がれが生じることが抑制される。
活性エネルギー線の照射により硬化した粘着剤層11の優れた耐湿熱白化性については、以下のように評価することができる。例えば、粘着剤層11の両面を2枚の厚さ1.1mmの無アルカリガラスで挟み、当該無アルカリガラス越しに、少なくとも一方の側から、前述の照度及び光量の活性エネルギー線を照射することにより積層体を得る。当該積層体を、85℃、85%RHの条件(湿熱条件)下にて240時間保管し、その後23℃、50%RHの常温常湿下に取り出す。このときに、上記粘着剤層11の白化の程度が小さいことを確認する。
上記の白化の程度は、ヘイズ値により定量的に評価することもできる。具体的には、上記積層体における湿熱条件後のヘイズ値(%)(JIS K7136:2000に準じて測定した値。以下同じ)から湿熱条件前のヘイズ値(%)を差し引いた値(湿熱条件後のヘイズ値上昇)により評価することができる。湿熱条件後のヘイズ値上昇は、5.0ポイント未満であることが好ましく、1.0ポイント未満であることが特に好ましい。なお、上記評価においては、上記無アルカリガラスとして、ヘイズ値が略0%のものを用いることが好ましい。また、上記湿熱条件後の粘着剤層のヘイズ値は、1.0%以下であることが好ましく、特に0.9%以下であることが好ましく、さらには0.8%以下であることが好ましい。
また、上記粘着剤層11は、全光線透過率(JIS K7361−1:1997に準拠して測定した値)が80%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましく、さらには99%以上であることが好ましい。全光線透過率が80%以上であると、透明性が高く、光学用途として好適なものとなる。なお、粘着剤層11の全光線透過率は、通常、活性エネルギー線照射の前後でほとんど変化しない。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、粘着シート1における剥離シート12a,12bのいずれか一方は省略されてもよい。また、第1の硬質板21は、印刷層3以外の段差を有するものであってもよいし、段差を有していなくてもよい。さらには、第1の硬質板21のみならず、第2の硬質板22も粘着剤層11側に段差を有するものであってもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
1.(メタ)アクリル酸エステル共重合体の調製
アクリル酸2−エチルヘキシル60質量部、メタクリル酸メチル20質量部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル20質量部を共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量60万であった。
2.粘着性組成物の調製
上記工程(1)で得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、活性エネルギー線硬化性成分(B)としてのポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製,製品名「NKエステルA−400」)25質量部と、イソシナネート系の架橋剤(C)としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン社製,製品名「コロネートL」)0.23質量部と、シランカップリング剤としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製,製品名「KBM−403」)0.2質量部と、光重合開始剤(D)としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)0.5質量部とを混合し、十分に撹拌して、メチルエチルケトンで希釈することにより、固形分濃度33質量%の粘着性組成物の塗布溶液を得た。
ここで、当該粘着性組成物の配合を表1に示す。なお、表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
[(メタ)アクリル酸エステル共重合体]
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
BA:アクリル酸n−ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル
AA:アクリル酸
[活性エネルギー線硬化性成分]
A400:ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学社製,製品名「NKエステルA−400」)
A9300−1CL:ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート(新中村化学社製,製品名「A−9300−1CL」)
[架橋剤]
TDI:トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン社製,製品名「コロネートL」)
エポキシ:1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製,製品名「TETRAD−C」)
3.粘着シートの製造
得られた粘着性組成物の塗布溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した重剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET752150」)の剥離処理面に、乾燥後の厚さが100μmになるようにナイフコーターで塗布したのち、100℃で4分間加熱処理して塗布層を形成した。同様に、得られた粘着性組成物の塗布溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した軽剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET382120」)の剥離処理面に、乾燥後の厚さが100μmになるようにナイフコーターで塗布したのち、100℃で4分間加熱処理して塗布層を形成した。
次いで、上記で得られた塗布層付きの重剥離型剥離シートと、上記で得られた塗布層付きの軽剥離型剥離シートとを、両塗布層が互いに接触するように貼合し、23℃、50%RHの条件下で7日間養生することにより、重剥離型剥離シート/粘着剤層(厚さ:200μm)/軽剥離型剥離シートの構成からなる粘着シートを作製した。なお、粘着剤層の厚さは、JIS K7130に準拠し、定圧厚さ測定器(テクロック社製,製品名「PG−02」)を使用して測定した値である。
〔実施例2〜4,比較例1〜3〕
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を構成する各モノマーの割合、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量、活性エネルギー線硬化性成分(B)の種類および配合量、架橋剤(C)の種類および配合量、光重合開始剤(D)の配合量、シランカップリング剤の配合量、ならびに粘着剤層の厚さを表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にして粘着シートを製造した。
ここで、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC−8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
〔試験例1〕(貯蔵弾性率の測定)
実施例または比較例で得られた粘着シートから軽剥離型剥離シートおよび重剥離型剥離シートを剥がし、粘着剤層を厚さ0.6mmになるように複数層積層した。得られた粘着剤層の積層体から、直径8mmの円柱体(高さ0.6mm)を打ち抜き、これをサンプル(紫外線照射前のサンプル)とした。
上記サンプルについて、JIS K7244−6に準拠し、粘弾性測定装置(Physica社製,MCR300)を用いてねじりせん断法により、以下の条件で貯蔵弾性率(MPa)を測定した。
測定周波数:1Hz
測定温度:23℃,85℃
また、上記と同様のサンプルに対し、紫外線照射装置(アイグラフィックス社製,製品名「アイグランテージECS−401GX型」)により下記の条件で紫外線を照射して、粘着剤層を硬化させることにより、紫外線照射後のサンプルを得た。得られた紫外線照射後のサンプルについて、紫外線照射前のサンプルと同様にして、貯蔵弾性率(MPa)を測定した。
[紫外線照射条件]
・光源:高圧水銀灯
・光量:1000mJ/cm2
・照度:200mW/cm2
上記の測定結果から、23℃および85℃のそれぞれにおける紫外線照射前の貯蔵弾性率に対する、紫外線照射後の貯蔵弾性率の比(紫外線照射後の貯蔵弾性率/紫外線照射前の貯蔵弾性率)を算出した。それらの測定結果および算出結果を表2に示す。
〔試験例2〕(加工性評価)
実施例または比較例で得られた粘着シートから軽剥離型剥離シートを剥離し、このときの軽剥離型剥離シートの剥離状況を加工性として評価した。軽剥離型剥離シートが粘着剤層からスムーズに剥離できたものを加工性良好(○)、軽剥離型剥離シートの剥離に伴って粘着剤層が破壊されたものを加工性不良(×)と評価した。結果を表2に示す。
〔試験例3〕(耐湿熱白化評価)
実施例または比較例で得られた粘着シートの粘着剤層を、2枚の厚さ1.1mmの無アルカリガラスで挟み、一方のガラス越しに試験例1の紫外線照射条件で紫外線を照射することにより、積層体を得た。その積層体について、ヘイズメーター(日本電色工業社製,製品名「NDH2000」)を用いて、JIS K7136:2000に準じてヘイズ値(%)を測定した。
次に、上記積層体を、85℃、85%RHの湿熱条件下にて240時間保管した。その後、23℃、50%RHの常温常湿に戻し、当該積層体について、ヘイズメーター(日本電色工業社製,製品名「NDH2000」)を用いて、JIS K7136:2000に準じてヘイズ値(%)を測定した。なお、当該ヘイズ値は、積層体を常温常湿に戻してから30分以内に測定した。
上記の結果に基づき、湿熱条件後のヘイズ値から湿熱条件前のヘイズ値を差し引いて、湿熱条件後のヘイズ値上昇(ポイント)を算出した。湿熱条件後のヘイズ値上昇が1.0ポイント未満のものを耐湿熱白化性良好(○)、湿熱条件後のヘイズ値上昇が1.0ポイント以上5.0ポイント未満のものを耐湿熱白化性適性値内(△)、湿熱条件後のヘイズ値上昇が5.0ポイント以上のものを耐湿熱白化性不良(×)と評価した。結果を表2に示す。
〔試験例4〕(段差追従性・耐久性試験)
(a)評価用サンプルの作製
ガラス板(NSGプレシジョン社製,製品名「コーニングガラス イーグルXG」,縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の表面に、紫外線硬化型インク(帝国インキ社製,製品名「POS−911墨」)を塗布厚が8μm及び15μmとなるように額縁状(外形:縦90mm×横50mm,幅5mm)にスクリーン印刷した。次いで、紫外線を照射(80W/cm2,メタルハライドランプ2灯,ランプ高さ15cm,ベルトスピード10〜15m/分)して、印刷した上記紫外線硬化型インクを硬化させ、印刷による段差(段差の高さ:8μm及び15μm)を有する段差付ガラス板を作製した。
実施例または比較例で得られた粘着シートを、縦90mm×横50mmの形状に裁断し、軽剥離型剥離シートを取り除いて、粘着剤層を表出させた。そして、ラミネーター(フジプラ社製,製品名「LPD3214」)を用いて、粘着剤層が額縁状の印刷全面を覆うように粘着シートを段差付ガラス板にラミネートした。
上記ラミネート後に重剥離型剥離シートを剥離し、表出した粘着剤層面にガラス板(NSGプレシジョン社製,製品名「コーニングガラス イーグルXG」,縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)を上記ラミネーターでラミネートして、評価用サンプルを作製した。
(b)段差追従性(初期)の評価
得られた評価用サンプルを、栗原製作所社製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、30分加圧した。その後、粘着剤層(特に印刷層による段差の近傍)に気泡がないか否か、目視により確認した。その結果、気泡が全くなかったものを◎、気泡が殆どなかったものを○、気泡があったものを×と評価した(初期の段差追従性の評価)。結果を表2に示す。
(c)耐久性(耐久後の段差追従性)の評価
次に、上記評価用サンプル(1)及び(2)を、85℃、85%RHの湿熱条件下にて240時間保管した。その後、粘着剤層(特に印刷層による段差の近傍)に気泡がないか否か、目視により確認した。その結果、気泡が全くなかったものを◎、気泡が殆どなかったものを○、気泡があったものを×と評価した(耐久性(耐久後の段差追従性)の評価)。結果を表2に示す。
〔試験例5〕(全光線透過率測定)
実施例または比較例で得られた粘着シートの粘着剤層をガラスに貼合して、これを測定用サンプルとした。ガラスでバックグラウンド測定を行った上で、上記測定用サンプルについて、JIS K7361−1:1997に準じて、ヘイズメーター(日本電色工業社製,NDH−2000)を用いて全光線透過率(%)を測定した。結果を表2に示す。
〔試験例6〕(耐ブリスター性評価)
スパッタにより、一方の面にスズドープ酸化インジウム(ITO)からなる透明導電膜が設けられた厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(尾池工業社製,ITOフィルム)を用意した。
実施例または比較例で得られた粘着シートの粘着剤層を、上記ITOフィルムの透明導電膜と、厚さ1mmのポリカーボネート板(三菱ガス化学社製,製品名「ユーピロン・シート MR58」)とで挟み、ポリカーボネート板越しに試験例1の紫外線照射条件で紫外線を照射することにより、積層体を得た。
得られた積層体を、50℃、0.5MPaの条件下で30分間オートクレーブ処理した後、15時間放置した。次いで、85℃、85%RHの耐久条件下にて72時間保管した。その後、粘着剤層に気泡や浮き・剥がれがないか否か、目視により確認した。その結果、気泡や浮き・剥がれが全くなかったものを◎、気泡や浮き・剥がれが殆どなかったものを○、気泡や浮き・剥がれが発生したものを×と評価した(耐ブリスター性の評価)。結果を表2に示す。
表2から分かるように、実施例で得られた粘着シートは、加工性に優れるものであった。また、実施例で得られた粘着剤層は、紫外線照射前は段差追従性に優れ、紫外線照射後には耐湿熱白化性、耐久性および耐ブリスター性にも優れていた。