以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。全図を通じて同一の要素には同一の符号を付す。また、前後上下左右の方向を示す用語は、説明のために用いるのであって、本発明を限定する趣旨ではない。
本発明の一実施の形態に係る形状計測システム100は、斜視図である図1に示すように、長さを有する構造物としてのトンネルの壁面を構成する構造物(トンネル構造体)101の形状を計測するためのシステムである。形状計測システム100は、ガイド管102と、第1〜第4Nの撮像対象103と、撮像装置104と、位置計測装置105とを備える。Nは、3以上の整数である。
なお、本実施の形態のトンネル構造体101は、長さを有する構造物の一例であって、長さを有する構造物は、例えば、橋梁、軌条であってもよく、また、トンネル構造体101、橋梁、軌条などに付随して設けられる構造体であってもよい。
ガイド管102は、図2に示すように、撮像装置104を案内するために、トンネル構造体101の長さ方向に沿って配置される管である。図2は、図1にてトンネル構造体101に配置されたガイド管102を示す斜視図である。トンネル構造体101の長さ方向とは、トンネル構造体101が延びる方向であって、典型的にはトンネルを掘る際の掘削方向とも言える。
本実施の形態では、ガイド管102は、トンネル構造体101の最下部に沿って配置されており、これによって、トンネル構造体101の長さ方向に沿って延在する。
本実施の形態に係るガイド管102は、内面及び外面の各々の断面形状が正方形をなす管である。断面形状とは、長さ方向に対して垂直な断面における形状を意味する。従って、ガイド管102は、正方形が長さ方向に延びた中空を形成する。
なお、長さ方向に対して垂直な断面におけるガイド管102の内面及び外面の各々の形状は、正方形に限られず、円形、正多角形などであってもよい。
そして、ガイド管102は、撮像装置104を中空に進入させるための入り口となる開口を一端に有する。なお、ガイド管102の終端(入り口と反対に位置する端部)は、開放していてもよく、閉じていてもよい。
詳細には、ガイド管102は、N個の単位管106と、N個の接続部材107とから構成される。N個の単位管106の各々は、同じ大きさ及び形状を有する管である。単位管106の各々の長さは、例えば1m(メートル)程度である。
接続部材107の各々は、単位管106の間を接続するための部材である。接続部材107の各々は、斜視図である図3(a)及び正面図である図3(b)に示すように、前後両端が開放しており上下左右の壁部で構成されており、単位管106が嵌まる中空を形成する。接続部材107の開放した両端部のそれぞれに2つの単位管106の端部近傍が嵌っており、これにより、接続部材107は2つの単位管106を接続する。
本実施の形態では、ガイド管102の入り口から順に、1番目〜N−1番目の接続部材107の各々には、m番目の単位管の後方の端部近傍及びm+1番目の単位管106の前方の端部近傍が、嵌め込まれている。また、N番目の接続部材107には、N番目の単位管106の後方の端部近傍が、嵌め込まれている。
ここで、mは、1からN−1までの整数である。端部近傍とは、単位管106の端部から単位管106の長さに沿って予め定められた長さまでの部分を意味する。なお、接続部材107と単位管106とは、図示しないネジ、溶接などで相互に固定されてもよい。
ガイド管102には、トンネル構造体101が設けられている位置を長さ方向に沿って計測するための計測箇所が予め定められた間隔で設定される。本実施の形態では、長さ方向に対して垂直な断面において接続部材107の内面が形成する正方形の中心(重心)JCが、計測箇所として採用される。従って、本実施の形態では、撮像装置104が進入するための入り口に近い順に、第1から第NまでのN個の計測箇所が設定され、各計測箇所の間隔は概ね等間隔となる。
なお、計測箇所は、予め定められた間隔、すなわち既知の間隔で設定されていれば、等間隔でなくてもよい。
本実施の形態では、第1及び第2の計測箇所は、形状計測システム100を用いて計測箇所の位置の計測を開始するまでに、適宜の方法で計測されることによって、それぞれの位置が既に知られている計測箇所とする。すなわち、第1及び第2の計測箇所の各々は、初期状態において、既知箇所(位置が既知の計測箇所)である。これに対して、第3〜第Nの計測箇所は、初期状態において、未知箇所(位置が未知の計測箇所)である。第1及び第2の計測箇所の位置は、第3〜第Nの計測箇所の位置を求めるための基準として参照される。
ここで、位置は、予め設定される基準点に対する各測定箇所の位置であり、例えばその位置を特定できる値によって表される。例えば、位置は、第1の計測箇所を基準点として設定される座標系での距離を単位とする各成分の値で表わされる。また例えば、位置は、工事の際に設定される基準点を原点して設定される座標系における距離を単位とする各成分の値で表わされる。さらに例えば、位置は、緯度、経度及び標高の組み合わせで表わされる。
第1〜第4Nの撮像対象103_1〜4Nの各々は、撮像装置104によって撮像される対象となる部材又は部分である。ここで、第1〜第4Nの撮像対象103_1〜4Nは、各々を特に区別しない場合に、「撮像対象103」などとも表記する。
第1〜第4Nの撮像対象103は、それぞれ、第1〜第Nの計測箇所に対応付けて設けられる。本実施の形態では、第1〜第4Nの撮像対象103は、図4に示すように、接続部材107の内面を構成する上下左右の矩形面のいずれか1つの概ね中央に固定されることで、第1〜第Nの計測箇所に対応付けて設けられている。ここで、図4は、図3(b)と同様の接続部材107の正面図であって、本実施の形態において第i番目の接続部材107_iに取り付けられる4つの撮像対象103_i,103_N+i,103_2N+i,103_3N+iの位置関係を示す。iは、1〜Nの整数である。
詳細には、第1〜第Nの撮像対象103_1〜Nは、それぞれ、外縁の一部が第1〜第Nの計測箇所を構成する接続部材107の上壁部の内面に接するように固定されて、下方へ突き出している。これにより、第1〜第Nの撮像対象103_1〜Nは、それぞれ、第1〜第Nの計測箇所に対応付けられている。
第N+1〜第2Nの撮像対象103_N+1〜2Nは、それぞれ、外縁の一部が第1〜第Nの計測箇所を構成する接続部材107の右壁部の内面に接するように固定されて、左方へ突き出している。これにより、第N+1〜第2Nの撮像対象103_N+1〜2Nは、それぞれ、第1〜第Nの計測箇所に対応付けられている。
第2N+1〜第3Nの撮像対象103_2N+1〜3Nは、それぞれ、外縁の一部が第1〜第Nの計測箇所を構成する接続部材107の下壁部の内面に接するように固定されて、上方へ突き出している。これにより、第2N+1〜第3Nの撮像対象103_2N+1〜3Nは、それぞれ、第1〜第Nの計測箇所に対応付けられている。
第3N+1〜第4Nの撮像対象103_3N+1〜4Nは、それぞれ、外縁の一部が第1〜第Nの計測箇所を構成する接続部材107の左壁部の内面に接するように固定されて、右方へ突き出している。これにより、第3N+1〜第4Nの撮像対象103_3N+1〜4Nは、それぞれ、第1〜第Nの計測箇所に対応付けられている。
言い換えると、本実施の形態では、同一の計測箇所である第iの計測箇所に、第i,N+i,2N+i,3N+iの撮像対象103という4つの撮像対象104から構成される撮像対象群が対応付けられている。
本実施の形態では、第1〜第4Nの撮像対象103の各々は、同じ大きさの円形をなす反射板であり、この反射板は、光を高い反射率で反射する反射面を含む。第1〜第4Nの撮像対象103の各々は、撮像装置104の入り口となるガイド部102の開口へ反射面を向けて、接続部材107の内面を構成する矩形面のいずれか1つに固定されることによって計測箇所のいずれかに対応付けられている。
なお、第1〜第4Nの撮像対象103の各々は、LED(Light Emitting Diode)、蛍光塗料が一面に塗布された板材などの発光体であってもよい。
本実施の形態では、第i,N+i,2N+i,3N+iの撮像対象103は、互いに異なる色を反射する反射板である。なお、撮像対象103が発光体である場合には、第i,N+i,2N+i,3N+iの撮像対象103は、互いに異なる色を発する発光体であればよい。
また、本実施の形態では、第1〜第4Nの撮像対象103の各々の位置は、第1〜第4Nの撮像対象103の各々の中心の位置により表される。そして、第1〜第Nの撮像対象103の位置と、それぞれに対応付けられた計測箇所の位置とは予め定められた関係であればよい。
本実施の形態では、第1〜第Nの撮像対象103の位置は、対応付けられた第1〜第Nの計測箇所の位置に対して一定の距離Dだけ上方に位置している。すなわち、第1〜第Nの撮像対象は、それぞれが対応付けられた第1〜第Nの計測箇所を構成する接続部材107の前後方向に垂直な断面において概ね同じ位置に配置されている。なお、本実施の形態において、接続部材107の前後方向は、トンネル構造体101の長さ方向に相当する。
第N+1〜第2Nの撮像対象103の位置は、対応付けられた第1〜第Nの計測箇所の位置に対して一定の距離Dだけ右方に位置している。すなわち、第N+1〜第2Nの撮像対象は、それぞれが対応付けられた第1〜第Nの計測箇所を構成する接続部材107の前後方向に垂直な断面において概ね同じ位置に配置されている。
第2N+1〜第3Nの撮像対象103の位置は、対応付けられた第1〜第Nの計測箇所の位置に対して一定の距離Dだけ下方に位置している。すなわち、第2N+1〜第3Nの撮像対象は、それぞれが対応付けられた第1〜第Nの計測箇所を構成する接続部材107の前後方向に垂直な断面において概ね同じ位置に配置されている。
第3N+1〜第4Nの撮像対象103の位置は、対応付けられた第1〜第Nの計測箇所の位置に対して一定の距離Dだけ左方に位置している。すなわち、第3N+1〜第4Nの撮像対象は、それぞれが対応付けられた第1〜第Nの計測箇所を構成する接続部材107の前後方向に垂直な断面において概ね同じ位置に配置されている。
第1〜第4Nの撮像対象103と計測箇所とがこのような位置関係にあることによって、第iの計測箇所の位置は、当該第iの計測箇所に対応付けられた撮像対象群を構成する第i,N+i,2N+i,3N+iの撮像対象103の位置の重心と一致することになる。
撮像装置104は、トンネル構造体101の長さ方向に沿って移動して第1〜第Nの撮像対象103を撮像する装置である。撮像装置104は、ガイド管102の一端の開口である入り口から進入したこの中空を移動経路として移動する。
詳細には、撮像装置104は、図5に示すように、筐体108と、カメラ109と、4つのタイヤ110と、照射部111とを含む。図5(a)は、撮像装置104を後方斜め上から見た斜視図であり、(b)は、撮像装置104の正面図である。
筐体108は、カメラ109、タイヤ110、タイヤ110を駆動するためのモータなどを含む駆動機構(図示せず)、位置計測装置105と通信するための通信インタフェースなどが取り付けられる部位である。
カメラ109は、レンズ、撮像素子などから構成される。本実施の形態では、カメラ109の焦点距離は一定である。なお、カメラ109は、焦点距離を変更できるズーム機能を備えてもよい。
タイヤ110は、ガイド管102の長さ方向の断面において、対角線上に位置する2つの角の各々に2つずつ接触するように設けられている。これにより、撮像装置104は、ガイド管102の内面に沿って安定して移動することができる。
このようにタイヤ110が配置されることで、本実施の形態に係る撮像装置104は、カメラ109のレンズの中心が長さ方向に対して垂直な断面におけるガイド管102の内面の概ね中心(重心)に位置付けられて長さ方向に沿って移動する。そのため、撮像装置104の移動経路は、カメラ109のレンズの中心が移動する経路として規定することができる。
照射部111は、撮像領域に光を照射するための光源であって、例えばカメラ109のレンズ周りに環状に配置された複数のLEDなどから構成される。
なお、撮像装置104は、自走式の撮像装置104の例を説明したが、撮像装置104の移動方法には、撮像装置104に紐などを固定し、この紐などをローラで巻き取ることで移動する牽引式など適宜の方法が採用されてもよい。この場合例えば、位置計測装置105がローラでの巻取り量を制御することで、撮像装置104の移動量を制御することができる。
位置計測装置105は、撮像装置104の動作を制御するとともに、撮像装置104によって撮像された画像に基づいて測定箇所の位置を求める。
位置計測装置105は、物理的には例えば、コンピュータ、タブレット端末などであって、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、撮像装置104と相互に通信するための通信インタフェース、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力手段(図示せず)、表示部としてのディスプレイ(図示せず)などから構成される。
本実施の形態では位置計測装置105は、図1に示すように、有線の通信回線Lを介して撮像装置104と相互に通信する例を示すが、撮像装置104との間で通信するための回線は、有線の通信回線に限られず、無線の通信回線を含んで構成されてもよい。
位置計測装置105は、機能的には図6に示すように、移動制御部112と、撮像制御部113と、画像記憶部114と、計測部115と、補正用基準記憶部116と、補正部117と、位置記憶部118とを備える。
移動制御部112は、撮像装置104の移動を制御する。詳細には、撮像装置104に含まれるモータを制御することによって、ガイド管102の中における撮像装置104の前進、停止などを制御する。
本実施の形態では、撮像装置104は、予め定められた第1の撮像箇所に設置される。第1の撮像箇所は、ガイド管102の途中であって、第1の撮像対象から予め定められた距離だけ入り口の近くに設定される。移動制御部112は、予め定められた第2〜第Nの撮像箇所の各々にまで撮像装置104を移動させて停止させることを繰り返す。
撮像制御部113は、カメラ109の動作を制御し、カメラ109によって撮像された画像を示す画像情報をカメラ109から取得する。本実施の形態では、撮像制御部113は、撮像装置104が第2〜第Nの撮像箇所の各々で停止すると、カメラ109に前方を撮像させる。
画像記憶部114は、撮像制御部113から画像情報を取得すると、当該取得した画像情報を記憶する。
計測部115は、撮像装置104によって撮像された画像に基づいて、未知箇所である第3〜第Nの測定箇所の各々の位置を求める。
詳細には、計測部115は、第1〜第Nの計測箇所のうち、2つ以上の既知箇所と少なくとも1つの未知箇所とのそれぞれに対応付けて設けられた撮像対象を含む画像に基づいて、当該少なくとも1つの未知箇所の位置を求める。本実施の形態では、計測部115は、第3〜第Nの測定箇所の各々の位置を求めるために、2つ以上の既知箇所と少なくとも1つの未知箇所とのそれぞれに対応付けて設けられた撮像対象を含む複数の画像を参照する。計測部115は、未知箇所の位置を求めると、当該位置が求められた計測箇所を既知箇所として扱う。
本実施の形態では、初期状態において既知箇所である第1及び第2の計測箇所の位置に基づいて、初期状態において未知箇所である第3の計測箇所の位置を求める。これにより、第3の計測箇所は、既知箇所となる。そして、Nが4以上の場合、既知箇所である第2及び第3の計測箇所の位置に基づいて、未知箇所である第4の計測箇所の位置を求める。
Nが5以上の場合、これを順次繰り返すことによって、初期状態において未知箇所であった第3〜第Nの計測箇所の位置を求めることができ、第1〜第Nの計測箇所が既知箇所となる。このようにして求めた各計測箇所の位置に基づいて、第1の計測箇所から第Nの計測箇所に至るまでのガイド管102の形状を求めること(すなわち、計測すること)ができる。
従って例えば、第1の計測箇所と第Nの計測箇所とのそれぞれをガイド管102の入り口近傍と終端近傍に設定することで、ガイド管102全体の形状を求めることができる。
補正用基準記憶部116は、計測部115によって求められた位置の補正値CVを求めるための基準値を示す補正用基準情報を予め記憶している。本実施の形態に係る補正用基準情報は、撮像装置104が撮像位置に正確に停止した場合に撮像される画像において、撮像装置104の最も近くに位置する測定箇所に対応付けられた複数の撮像対象103の間の位置関係を示す情報である。
補正部117は、計測部115によって求められた位置と補正用基準情報が示す位置関係とに基づいて、測定箇所の各々の位置を補正する。
詳細には、補正部117は、補正用基準情報が示す位置関係に基づいて、第3〜第Nの測定箇所の各々について、計測部115によって求められた位置を補正するための補正値CVを求める。そして、補正部117は、計測部115によって求められた第3〜第Nの計測箇所の位置をそれぞれに対応して求めた補正値CVによって補正する。これにより、補正部117は、初期状態において未知箇所であった第3〜第Nの測定箇所の各々の補正後の位置を求める。
位置記憶部118は、第1〜第Nの計測箇所のそれぞれの位置を示す第1〜第Nの位置情報を記憶する。第1及び第2の計測箇所の位置は、初期状態において既知であるため、第1及び第2の位置情報は、位置記憶部118に予め設定される。第3〜第Nの位置情報は、補正部117によって求められて位置記憶部118に記憶される。
なお、補正部117は備えられなくてもよく、この場合、計測部115によって求められた第3〜第Nの計測箇所の位置が、補正されずに、それぞれを含む第3〜第Nの位置情報として位置記憶部118に記憶される。
これまで、本発明の一実施の形態に係る形状計測システム100の構成について説明した。ここから、本実施の形態に係る形状計測システム100の動作について説明する。
図7A及び7Bは、本実施の形態に係る形状計測方法のフローチャートである。形状計測方法は、撮像対象103を含む画像に基づいてトンネル構造体101の形状を計測するための方法であって、本実施の形態では形状計測システム100により実行される。
形状計測方法を開始する前に、例えば、第1〜第4Nの撮像対象103を含むガイド管102がトンネル構造体101に沿って設置される。そして、撮像装置104は、カメラ109を移動方向の前方に向けてガイド管102の入り口から挿入され、ガイド管102の内部の予め定められた初期位置である第1の撮像位置に配置される。
その後、予め定められた操作に基づく開始指示が位置計測装置105に与えられると、形状計測方法が開始される。この開始指示を受けた場合に、本実施の形態に係る形状計測方法で使用されるパラメータp及びqの各々には、初期値として1が設定される。p,qの各々は1以上の整数であり、pの値を示す情報とqの値を示す情報とは、それぞれ、例えば撮像制御部113と計測部115とによって保持される。
位置計測装置105は、ステップS102〜S105の処理を、pの値がN−2になるまでN−2回繰り返して実行する(ループA;ステップS101)。
撮像装置104は、撮像制御部113の制御の下で撮像することによって、第p〜第p+2の計測箇所に対応付けられた撮像対象103を含む第pの画像を撮像する(ステップS102)。
初回のステップS102の処理、すなわちpが1の場合のステップS102の処理で撮像される第1の画像の例を図8に示す。同図に示す第1の画像は、第1〜第5の計測箇所に対応付けられた撮像対象103を含んでいる。第1〜第5の計測箇所のうち、第1及び第2の計測箇所は、既知箇所である。第3〜第5の計測箇所は、未知箇所である。
本実施の形態では詳細後述するように、第1及び第2の計測箇所の位置に基づいて第3の計測箇所の位置が求められるので、第1の画像には、少なくとも、第3の計測箇所の撮像対象103が含まれればよい。
また、図1から分かるように、ガイド管102の湾曲などによって、第1〜第3の計測箇所に対応付けられたすべての撮像対象103を撮像できないことがある。そのため、第1〜第3の計測箇所に対応付けられた撮像対象103のすべてが第1の画像に含まれている必要はない。すなわち、第1画像が第1〜第3の計測箇所に対応付けられた撮像対象103を含むことは、第1画像が第1〜第3の計測箇所の各々について少なくとも1つの撮像対象103を含むことを意味する。
ステップS102にて撮像される第1の画像についてここで説明したことを第pの画像について適用すると以下のようになる。
第p,第p+1の計測箇所は、既知箇所である。第p+2の計測箇所は、未知箇所である。第pの画像には、第pの計測箇所に対応付けられた少なくとも1つの撮像対象103と、第p+1の計測箇所に対応付けられた少なくとも1つの撮像対象103と、第p+2の計測箇所に対応付けられた少なくとも1つの撮像対象103とが含まれる。
本実施の形態では、第pの計測箇所には第p,第N+p,第2N+p,第3N+pの撮像対象103が対応付けられており、これらの撮像対象103のうちの少なくとも1つが第pの画像に含まれればよい。
第p+1,第p+2の計測箇所についても同様である。すなわち、第p+1,第N+p+1,第2N+p+1,第3N+p+1の撮像対象103のうちの少なくとも1つと、第p+2,第N+p+2,第2N+p+2,第3N+p+2の撮像対象103のうちの少なくとも1つとが、第pの画像に含まれればよい。
トンネル構造体101の曲がり具合に応じて撮像位置、計測箇所の間隔などを設定することによって、第p〜第p+2の計測箇所に対応付けられた撮像対象103を第pの画像に含めることができる。例えば、トンネル構造体101が曲率が大きい部分を含む場合には、計測箇所の間隔を短くし、さらに必要に応じて、第pの画像を撮像するための撮像位置を第pの計測箇所の近くに設定するとよい。
本実施の形態では、各測定箇所に4つの撮像対象103が対応付けており、同一の測定箇所に対応付けられた4つの撮像対象103は、移動経路に対して垂直な断面において回転対称な位置に設けられている。そのため、トンネル構造体101が上下左右のあらゆる方向に湾曲していても、同一の測定箇所に対応付けられた撮像対象103が1〜3個の場合よりも確実に第p〜第p+2の計測箇所に対応付けられた撮像対象103を第pの画像に含めることができる。
撮像制御部113は、ステップS102にて撮像された第p画像を示す第pの画像情報を撮像装置104から取得し、当該取得した第pの画像情報を画像記憶部114へ出力する。これにより、画像記憶部114は、第pの画像情報を撮像制御部113から取得して記憶する(ステップS103)。
移動制御部112は、予め定められた次の撮像位置、すなわち第p+1の撮像位置まで撮像装置104を移動させる(ステップS104)。本実施の形態では、第p+1の撮像位置は、第p+1の計測箇所から、撮像装置104の移動方向とは逆の方向に予め定められた距離離れた箇所に設定される。本実施の形態では、計測箇所が概ね一定の間隔で設定されているので、撮像位置も概ね一定の間隔となる。
撮像制御部113は、pに1を加算する(ステップS105)。撮像制御部113は、ステップS104を行うことによって得られたpの値を保持する。そして、ステップS105によって得られたpの値がN−2以下である場合、ステップS102〜S105の処理が繰り返し行われる。
位置計測装置105は、図7Bに示すように、ステップS107〜S113の処理を、qの値がN−2になるまでN−2回繰り返して実行する(ループB;ステップS106)。
計測部115は、画像記憶部114から第qの画像情報を取得する(ステップS107)。
計測部115は、ステップS107にて取得した第qの画像情報と箇所特定情報とに基づいて、第q〜第q+2の計測箇所のそれぞれに対応する対象部分TPを特定する(ステップS108)。対象部分TPとは、撮像された画像において、撮像対象103が撮像された部分である。
詳細には例えば、計測部115は、第qの画像を構成する画素のうち、輝度が予め定められる輝度閾値以上の画素を対象部分TPとして抽出する。計測部115は、撮像された画像から第q〜第q+2の計測箇所の各々に対応する対象部分TPを特定するための箇所特定情報を予め保持する。本実施の形態では、計測部115は、上述の輝度閾値を示す情報と、第q〜第q+2の計測箇所のそれぞれに対応する対象部分TPの大きさを示す情報とを含む箇所特定情報を予め保持する。
本実施の形態では、撮像対象103は、大きさが概ね同じであり、かつ、概ね等間隔で設定された計測箇所に対応付けられている。このような撮像対象103の場合、撮像時に撮像装置104に最も近い撮像対象103からの距離を一定にすれば、撮像された画像において、同一の計測箇所に対応する対象部分TPの大きさは、概ね一定の範囲に収まる。ここで、対象部分TPの大きさは、抽出部分を代表する長さ、抽出部分の面積などにより表される。
本実施の形態では撮像対象103が、図3(b)に示すように円形であるので、対象部分TPは、概ね円形又は楕円形である。本実施の形態では対象部分TPの大きさは、円の直径又は楕円の長軸方向の長さである対象部分TPの最大幅とする。
本実施の形態に係る箇所特定情報は、第qの計測箇所にR1〜R2が対応付けられ、第qの計測箇所にR3〜R4が対応付けられ、第qの計測箇所にR5〜R6が対応付けられた情報である。R1〜R6は、予め定められた画素数である。撮像された画像における対象部分TPの大きさは、撮像時に撮像装置104から撮像対象103までの距離が遠くなるほど小さくなるので、R1〜R6は、R5<R6R3<R4<R1<R2の関係にある。
本実施の形態では、計測部115は、抽出した対象部分TPのうち、最大幅がR1〜R2であるものを、第qの計測箇所に対応する対象部TP分として特定する。計測部115は、抽出した対象部分TPのうち、最大幅がR3〜R4であるものを、第q+1の計測箇所に対応する対象部分TPとして特定する。計測部115は、抽出した対象部分TPのうち、最大幅がR5〜R6であるものを、第q+2の計測箇所に対応する対象部分TPとして特定する。
計測部115は、第qの画像に含まれる第q及び第q+1の計測箇所のそれぞれの位置を示す第q及び第q+1の位置情報を位置記憶部118から取得する(ステップS109)。
計測部115は、ステップS107及びS109のそれぞれで取得した第qの画像情報と第q及び第q+1の位置情報とに基づいて、長さ方向に対して垂直な断面における第q+2の計測箇所の位置を求める。そして、計測部115は、第q+1〜第q+2の計測箇所の間隔と長さ方向に対して垂直な断面における第q+2の計測箇所の位置とに基づいて、第q+2の計測箇所の位置を求める(ステップS110)。
このとき、本実施の形態では、画像において同一の計測箇所に対応する4つの対象部分TPの中心(重心)TPGの位置が、画像における対象部分TPの位置とされる。また、計測箇所の各々に対応付けられた4つの撮像対象103の中心(重心)の位置が計測箇所の各々の位置とされる。
そして、第q+2の計測箇所の位置は、例えば第q〜第q+2の計測箇所が直線上に並んでいた場合に第qの画像において第q+2の対象部分TPが撮像されるべき位置と、実際に撮像された第qの画像における第q+2の対象部分TPの位置との位置ズレ(画像上の位置ズレ)を、第q〜第q+2の計測箇所が直線上に並んでいた場合の第q+2の位置と実際の第q+2の撮像対象103との位置ズレ(対象の位置ズレ)に変換することによって求められる。画像上の位置ズレは、上下方向と左右方向との成分を含んでいるため、(Δx,Δy)により表すことができる。対象の位置ズレも同様に、上下方向と左右方向との成分を含んでいるため、(ΔX,ΔY)により表すことができる。
このとき、計測部115は、カメラ109のレンズの焦点距離、当該レンズの中心から第q〜第q+2の計測箇所の各々までの距離、カメラ109に搭載された撮像素子が有する撮像領域IAの縦横の寸法、当該撮像領域IAにおける縦横の画素数を参照する。
本実施の形態では、カメラ109のレンズの焦点距離はf[mm](ミリメートル)であり、レンズの中心から第qの計測箇所までの距離はa[mm]であり、第q及び第q+1の計測箇所の間隔と、第q+1及び第q+2の計測箇所の間隔とはいずれもL[mm]であるとする。カメラ109に搭載された撮像素子が有する撮像領域IAの寸法は、縦がH[mm]、横がW[mm]であるとする。また、カメラ109に搭載された撮像素子が有する撮像領域IAの画素数は、図8に示すように、縦がPh[pixel]、横がPw[pixel]であるとする。
上下方向のズレΔYは、図9を参照すると分かるように、三角形の相似比を利用して求めることができる。本実施の形態では、ΔY=Δy×(H/Ph)×(D+2L)/fの式により求められる。
左右方向のズレΔXについても同様に、ΔX=Δx×(H/Ph)×(D+2L)/fの式により求められる。
第q〜第q+2の計測箇所が直線上に並んでいた場合の第q+2の計測箇所の位置が、例えば、第q〜第q+2の計測箇所が一定の間隔であることを利用して、ステップS109で取得された第q及び第q+1の位置から算出される。そして、この算出された第q〜第q+2の計測箇所が直線上に並んでいた場合の第q+2の位置と変換によって得られたズレとを加算することで、第q+2の計測箇所の位置が求められる。このように、ステップS110にて位置が求められると、第q+2の計測箇所は、位置が既知となるので、これ以降の処理では既知箇所として扱われる。
補正部117は、ステップ110にて求められた第q+2の計測箇所の位置を補正する(ステップS111)。
詳細には例えば、補正部117は、ステップS107にて取得された第qの画像情報と補正用基準記憶部116に記憶された補正用基準情報とに基づいて、第qの画像情報によって示される第qの画像に適用する補正値CVを求める。
第qの画像を撮像する時に、撮像装置104は予め定められた撮像位置に停止するので、第qの画像に含まれる各計測箇所とカメラ109(より詳細には、カメラ109に含まれる撮像用のレンズの中心)との距離は、概ね既知の値である。そして、予め定められた撮像位置に正確に停止して撮像された場合、同一の計測箇所(例えば、撮像装置104に最も近い第qの計測箇所)に対応付けられた撮像対象103の第qの画像における位置関係(例えば、撮像対象103の間の距離)は、理論上或いは実験により得られる所定の関係となる。
しかし、実際には第qの画像を撮像する際の撮像装置104が、予め定められた撮像位置からズレて停止する可能性がある。ステップS107では、第qの画像に含まれる特定の計測箇所に対応付けられた撮像対象103の位置関係が、所定の関係からズレている場合に、当該位置関係を所定の関係に補正するための補正値CVを求める。
より詳細には例えば、補正用基準記憶部116は、撮像時に撮像装置104に最も近い計測箇所に対応付けられた撮像対象103のうちの予め定められた1組の撮像対象103の間の画像における距離D1を示す補正用基準情報を予め記憶している。
すなわち、補正用基準情報は、第qの画像の場合、第qの計測箇所に対応付けられた4つの撮像対象103のうちの予め定められた1組の撮像対象103の間の画像における理論上の距離D1を示す。補正用基準情報は、例えば、上下の撮像対象103(第qの画像の場合、第q及び第2N+qの撮像対象103)の組みの上下方向の間隔を示す。
なお、予め定められた1組の撮像対象103は、上右の撮像対象103(第qの画像の場合、第q及び第N+qの撮像対象103)の組みなどであってもよく、ここで例示した複数の組み合わせが採用されてもよい。
また、補正用基準情報により示される距離D1は、例えば、画素数で表されるとよい。撮像装置104が、最も近い計測箇所から一定の距離で各画像を撮像する場合、補正用基準情報は、一定の値を示すことになる。
補正部117は、ステップS107にて取得された第qの画像情報に基づいて、実際に撮像された第qの画像において第qの計測箇所に対応付けられた上下の撮像対象103の画像における距離D2(単位は、例えば画素(pixel)である)を求める(図8参照)。そして、補正部117は、距離D1に対する距離D2の比を補正値CV(=D2/D1)として求める。
補正部117は、ステップS110にて求められた位置の各成分に補正値CVを掛けることによって、ステップS110にて求められた位置を補正する。これによって、撮像時に撮像装置104が予め定められた撮像位置からズレた位置に停止して画像を撮像した場合であっても、停止した位置のズレに伴って生じ得る計測箇所の位置のズレを補正することができる。従って、計測箇所の位置をより正確に求めることが可能になる。
補正部117は、補正後の位置を含む位置情報を第q+2の計測箇所の位置情報として位置記憶部118へ出力する。
位置記憶部118は、ステップS111にて補正された位置を示す第q+2の計測箇所の位置情報を記憶する(ステップS112)。
計測部115は、qに1を加算する(ステップS113)。計測部115は、ステップS113を行うことによって得られたqの値を保持する。そして、ステップS113によって得られたqの値がN−2以下である場合、ステップS107〜S113の処理が繰り返し行われる。そして、ステップS113によって得られたqの値がN−2より大きくなると、計測部115は、形状計測方法を終了する。
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
本実施の形態によれば、トンネル構造体101の長さ方向に沿って移動する装置であってカメラ109を含む撮像装置104によって第1〜第N−2の画像が撮像される。第pの画像の各々は、第p〜第p+2の計測箇所に対応付けられた撮像対象103を含む。そして、計測部115は、2つの既知箇所である第p及び第p+1の計測箇所の各々に対応付けられた撮像対象103と、未知箇所である第p+2の計測箇所に対応付けられた撮像対象103とを含む画像に基づいて、未知箇所の位置を求める。これを繰り返すことによって、第3〜第Nの計測箇所の位置が求められる。
第3〜第Nの計測箇所は、トンネル構造体101の長さ方向に沿って設定されるので、第3〜第Nの計測箇所のそれぞれの位置に基づいてトンネル構造体101についてその長さ方向の形状を計測することができる。すなわち、トンネル構造体101の長さ方向に沿って移動する撮像装置104で画像を撮像するだけで、その画像に基づいてトンネル構造体101についてその長さ方向の形状を計測することができる。従って、長さを有する構造物についてその長さ方向の形状を容易に計測することが可能になる。
また、本実施の形態では、2つ以上の既知箇所と1つ以上の未知箇所とを含む画像が参照されて、当該1つ以上の未知箇所の位置が、2つの既知箇所の位置に基づいて求められる。そのため、1つだけの既知箇所の位置に基づいて未知箇所の位置を求めるよりも、未知箇所の位置を正確に求めることができる。従って、長さを有する構造物についてその長さ方向の形状を容易かつ正確に計測することが可能になる。
本実施の形態では、撮像対象103の各々は反射板又は発光体である。これにより、撮像対象103を撮像した場合、撮像対象103の輝度が大きくなるので、撮像された画像の全体から対象部分TPを確実かつ正確に抽出することができる。計測箇所の位置は、撮像された画像における対象部分TPの位置に基づいて求められるので、対象部分TPを確実かつ正確に抽出することは、計測箇所の位置の精度向上に寄与する。従って、長さを有する構造物についてその長さ方向の形状を容易にかつ正確に計測することが可能になる。
本実施の形態では、同一の計測箇所に対応付けられた撮像対象群は、互いに異なる色を反射する反射板により構成される。これにより、撮像された画像から、撮像対象103が上下左右のいずれに固定された撮像対象103であるか(すなわち、第1〜第Nの撮像対象からなる撮像対象群、第N+1〜第2Nの撮像対象からなる撮像対象群、第2N+1〜第3Nの撮像対象からなる撮像対象群、第3N+1〜第4Nの撮像対象からなる撮像対象群のうちの、いずれの撮像対象群に含まれる撮像対象103であるか)を容易に判別することができる。これにより、撮像された画像の全体から補正に利用する撮像部分を確実かつ正確に抽出して、計測部115によって求められた第3〜第Nの計測箇所の位置を補正することができる。従って、長さを有する構造物についてその長さ方向の形状を容易にかつ正確に計測することが可能になる。
本実施の形態によれば、トンネル構造体101の長さ方向に沿って設けられており、撮像装置104が内部を移動するガイド管102が設けられ、撮像装置104は、撮像領域に光を照射するための照射部111を含む。これにより、トンネル構造体101の長さ方向に沿って撮像装置104を確実に移動させることができるとともに、撮像対象103を容易に撮像することができる。従って、長さを有する構造物についてその長さ方向の形状を容易にかつ正確に計測することが可能になる。
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本実施の形態は次のように変形されてもよい。
(変形例1)
実施の形態1では、2つ以上の既知箇所と1つ以上の未知箇所とを含む画像が参照されて、当該1つ以上の未知箇所の位置が、2つの既知箇所の位置に基づいて求められる例を説明した。しかし、画像には、少なくとも1つの既知箇所と少なくとも1つの未知箇所が含まれればよい。この場合、各画像に含まれる1つ以上の未知箇所の位置は、当該各画像に含まれる1つ以上の既知箇所の位置に基づいて求められるとよい。
変形例1では、1つ以上の既知箇所と1つ以上の未知箇所とを含む画像が参照されて、1つの未知箇所の位置が、1つの既知箇所の位置に基づいて求められる例を説明する。本変形例では、実施の形態1と同様の第1〜第Nの計測箇所のうち、第1の計測箇所が初期状態において既知箇所であり、第2〜第Nの計測箇所が初期状態において未知箇所であるとする。
本変形例に係る形状計測システムは、第2の計測箇所が既知箇所ではなく未知箇所であること、未知箇所の位置を求めるために参照される既知箇所の数が1つであることに関連する構成を除いて、実施の形態1に係る形状計測システム100と概ね同様に構成されればよい。
例えば、本変形例に係る計測部115は、撮像装置104によって撮像された画像に基づいて、未知箇所である第2〜第Nの測定箇所の各々の位置を求める。詳細には、計測部115は、第1〜第Nの計測箇所のうち、少なくとも1つの既知箇所と少なくとも1つの未知箇所とのそれぞれに対応付けて設けられた撮像対象を含む画像に基づいて、当該少なくとも1つの未知箇所の位置を求める。すなわち、未知箇所の位置を求めるために参照する既知箇所の数が異なる点を除いて、計測部115は、本変形例においても実施の形態1と同様に構成されるとよい。
また例えば、本変形例に係る補正部117は、初期状態において未知箇所であった第2〜第Nの測定箇所の各々の補正後の位置を求める。
これまで、本発明の変形例1に係る形状計測システムの構成について説明した。ここから、本変形例に係る形状計測システムの動作について説明する。
図10A及び10Bは、本変形例に係る形状計測方法のフローチャートである。本変形例に係る形状計測方法は、実施の形態1に係るステップS101〜S102,S106,S108〜S110,S112のそれぞれに代えて、ステップS201〜S202,S206,S208〜S210,S212を含む。これらの点を除いて、本変形例に係る形状計測方法は、実施の形態に係る形状計測方法と概ね同様である。ここでは、説明を簡明にするため、実施の形態とは異なる工程について説明する。
図10Aに示すように、位置計測装置105は、ステップS202,S103〜S105の処理を、pの値がN−1になるまでN−1回繰り返して実行する(ループC;ステップS201)。
撮像装置104は、撮像制御部113の制御の下で撮像することによって、第p〜第p+1の計測箇所に対応付けられた撮像対象103を含む第pの画像を撮像する(ステップS202)。
その後、撮像制御部113、移動制御部112は、実施の形態と同様にステップS103〜S105を実行する。そして、ステップS105を実行することによって得られたpの値がN−1以下である場合、ステップS201〜S202及びS103〜S105の処理が繰り返し行われる。
位置計測装置105は、図10Bに示すように、ステップS107,S208〜S210,S111,S212,S113の処理を、qの値がN−1になるまでN−1回繰り返して実行する(ループD;ステップS206)。
計測部115は、実施の形態と同様のステップS107を実行し、これによって取得した第qの画像情報と箇所特定情報とに基づいて、第q〜第q+1の計測箇所のそれぞれに対応する対象部分TPを特定する(ステップS208)。対象部分TPを特定する方法は、実施の形態と同様でよい。
計測部115は、第qの画像に含まれる第qの計測箇所の位置を示す第qの位置情報を位置記憶部118から取得する(ステップS209)。
計測部115は、ステップS107及びS209のそれぞれで取得した第qの画像情報と第qの位置情報とに基づいて、長さ方向に対して垂直な断面における第q+1の計測箇所の位置を求める。そして、計測部115は、第q〜第q+1の計測箇所の間隔と長さ方向に対して垂直な断面における第q+1の計測箇所の位置とに基づいて、第q+1の計測箇所の位置を求める(ステップS210)。
このとき、対象部分TPの位置及び計測箇所の位置は、実施の形態と同様に、規定されるとよい。
そして、第q+1の計測箇所の位置は、例えば第q〜第q+1の計測箇所が撮像方向に沿って直線上に並んでいた場合に第qの画像において第q+1の対象部分TPが撮像されるべき位置と、実際に撮像された第qの画像における第q+1の対象部分TPの位置との位置ズレ(画像上の位置ズレ)を、第q〜第q+1の計測箇所が撮像方向に沿って直線上に並んでいた場合の第q+1の位置と実際の第q+1の撮像対象103との位置ズレ(対象の位置ズレ)に変換することによって求められる。
画像上の位置ズレを対象の位置ズレに変換する方法は、実施の形態にて図9を参照して説明した方法と同様の方法で求めることができる。すなわち、カメラ109のレンズの焦点距離、レンズの中心から第qの計測箇所までの距離、第q及び第q+1の計測箇所の間隔、カメラ109に搭載された撮像素子の撮像領域IAの寸法及び画素数などに基づいて、三角形の相似比を利用して画像上の位置ズレを対象の位置ズレに変換することができる。
また、撮像方向は、例えば、既知箇所である第q−1の計測箇所から既知箇所である第qの計測箇所へ向かう方向により求められるとよい。ここで、第2の計測箇所の位置を求める際には、第q−1の計測箇所に相当する計測箇所が存在しない。そのため、第1の撮像位置におけるカメラ109に含まれるレンズの光軸と第1の規則箇所の位置とが同軸になるように配置されるとよい。そして、第2の計測箇所の位置を求める際には、第1の撮像位置を含むガイド管102の設置方向、第1の撮像位置における撮像装置104の向きに対応する方向がカメラ109の撮像方向として採用されるとよい。
そして、第q〜第q+1の計測箇所が撮像方向に沿って直線上に並んでいた場合の第q+1の計測箇所の位置が、例えば、第q〜第q+1の計測箇所が一定の間隔であることを利用して、ステップS209で取得された第qの位置から算出される。そして、この算出された第q+1の計測箇所が直線上に並んでいた場合の第q+1の位置と変換によって得られたズレとを加算することで、第q+1の計測箇所の位置が求められる。このように、ステップS210にて位置が求められると、第q+1の計測箇所は、位置が既知となるので、これ以降の処理では既知箇所として扱われる。
計測部115は、実施の形態と同様のステップS113を実行する。ステップS113を実行することによって得られたqの値がN−1以下である場合、ステップS107,S208〜S210,S111,S212,S113の処理が繰り返し行われる。そして、ステップS113によって得られたqの値がN−1より大きくなると、計測部115は、形状計測方法を終了する。
以上、変形例1について説明した。
本変形例によれば、トンネル構造体101の長さ方向に沿って移動する装置であってカメラ109を含む撮像装置104によって第1〜第N−1の画像が撮像される。第pの画像の各々は、第p〜第p+1の計測箇所に対応付けられた撮像対象103を含む。そして、計測部115は、1つの既知箇所である第pの計測箇所の各々に対応付けられた撮像対象103と、未知箇所である第p+1の計測箇所に対応付けられた撮像対象103とを含む画像に基づいて、未知箇所の位置を求める。これを繰り返すことによって、第1〜第Nの計測箇所の位置が求められる。
第2〜第Nの計測箇所は、トンネル構造体101の長さ方向に沿って設定されるので、第2〜第Nの計測箇所のそれぞれの位置に基づいてトンネル構造体101についてその長さ方向の形状を計測することができる。すなわち、トンネル構造体101の長さ方向に沿って移動する撮像装置104で画像を撮像するだけで、その画像に基づいてトンネル構造体101についてその長さ方向の形状を計測することができる。従って、長さを有する構造物についてその長さ方向の形状を容易に計測することが可能になる。
(その他の変形例)
また例えば、実施の形態では、各測定箇所に4つの撮像対象103が対応付けて設けられる例を説明した。しかし、撮像対象103は、各測定箇所に少なくとも1つ設けられればよい。
計測箇所の各々に1つの撮像対象103(例えば、第1〜第Nの撮像対象103)のみが対応付けられている場合であっても、例えばトンネル構造体101があまり湾曲していない場合やトンネル構造体101が概ね一方向に湾曲している場合などには、撮像される各画像に3つの測定箇所に対応付けられた撮像対象103を含めることができる。これにより、撮像された画像と位置が既知である2つの測定箇所の位置とに基づいて、位置が未知である測定箇所の位置を求めることができる。
また、計測箇所の各々に、長さ方向に垂直な断面において異なる位置に予め定められた位置関係で複数の撮像対象103を設けることによって、トンネル構造体101が長さ方向に沿って湾曲している場合であっても、撮像される各画像に3つの測定箇所に対応付けられた撮像対象103を含めることが容易になる。トンネル構造体101が長さ方向に沿ってどのように湾曲しているかに応じて、例えば、計測箇所の各々に2つ又は3つの撮像対象103が、カメラの移動経路に関して点対称な位置や回転対称な位置に設けられるとよい。
さらに例えば、実施の形態では、第1〜第N−2の画像がすべて撮像された後に、第3〜第Nの計測箇所の位置を求める例を説明した。しかし、第3〜第Nの計測箇所の位置は、それぞれ、第1〜第N−2の画像が撮像されて、その次の画像が撮像される前に求められてもよい。これにより、撮像しながら、第3〜第Nの計測箇所の位置を順次知ることができる。
さらに例えば、実施の形態では、補正用基準情報に基づいて補正値CVを求めて、第3〜第Nの計測箇所の位置を補正する例を説明した。
しかし、移動制御部112が、補正用基準情報に基づいて撮像位置を調整してもよい。この場合、第p+1の撮像位置に撮像装置104を停止させる際に、移動制御部112は、撮像装置104によって撮像された画像と、補正用基準情報が示す撮像対象103の位置関係とを参照する。そして、移動制御部112は、画像に含まれる同一の計測箇所(例えば第p+1の計測箇所)に対応付けられた2つ以上の撮像対象103が、補正用基準情報が示す撮像対象103の位置関係と合致するように、第p+1の撮像位置を決定し、当該決定した第p+1の撮像位置に撮像装置104を停止させるとよい。
これによれば、補正処理(ステップS111)を行わなくても、第1〜N−2の画像に基づいて第3〜第Nの計測箇所の補正後の位置を求めることができる。従って、長さを有する構造物についてその長さ方向の形状を容易にかつ正確に計測することが可能になる。
以上、本発明の実施の形態及び変形例について説明したが、本発明は、これらに限られるものではない。例えば、本発明は、これまで説明した実施の形態及び変形例の一部又は全部を適宜組み合わせた形態、その形態に適宜変更を加えた形態をも含む。