本開示によれば、カバン物品は、1つの縁に沿って蝶番により連結される2つの対向するシェルを有し、これらのシェルは、閉じた構成において突合し合う周縁リムを有し、この閉じた構成は前記カバン物品の破損傾向に耐性をしめす。前記シェルのうちの一方は、凹部を設けた周縁リムを有していてもよい。他方のシェルは、ケースを閉じたときに概して前記周縁リム同士が突合又は係合し合うように前記凹部内で係合可能な突出フランジを設けた周縁リムを有していてもよい。前記シェルの少なくとも一方は、対向するシェルの周縁リムを超えて突出してその後ろ(即ち、カバン物品の内側寄り)で係合するよう配置される第2の周縁突出フランジを有していてもよい。第2の周縁突出フランジは、前記周縁リムの小部分から、又は前記周縁リムの個別の選ばれた区域に沿って延びるよう限定されてもよい。
図1〜5Bは、本開示の種々の例、実施形態、及び態様による例示的なカバン物品100を示す。カバン物品100は、複数の壁又はパネル(以下、限定を意図せず便宜上「パネル」とする)から形成され、使用者の所持品を入れる内部収納空間104を画定する筐体102を含む。1つの例において、筐体102は、第1及び第2のシェル部分110、120から形成されていてよく、これらは、それぞれ右及び左のシェル部分又は半体であってもよく、互いに同様の寸法であってもよく、又は一方のシェル部分が収納空間104を含むような寸法であってもよい。図示するように、第1のシェル部分110及び第2のシェル部分120(以下、それぞれ第1のシェル又は第2のシェルと呼ぶことがある)はそれぞれ、カバン物品100の1又は複数のパネルにより画定されてもよい。例えば、第1のシェル部分110は、筐体102の前部主要パネル111、及び前部パネル、後部パネル、上部パネル、底部パネルのそれぞれの少なくとも一部112、113、114、115により画定されてもよい。このような例において、第2のシェル部分120は、筐体102の後部主要パネル121、及び前部パネル、後部パネル、上部パネル、底部パネルの残部122、123、124、125により画定されてもよい。
各シェルは継ぎ目200において周縁リム210、250を含んでいてもよい。周縁リム210、250は、カバン物品100を閉じたとき互いに突合してもよい。いくつかの例において、各シェル部分110又は120は、それぞれがその周縁リム210、250を画定する縁取り片200a、200bを含んでいてもよい。縁取り片200a、200bは、カバン物品100に望まれる美的特性及び/又は機能的特性を与えるものでもよい。例えば、以下に説明するように、縁取り片196は、カバン物品100を閉じることを容易にするものでもよい。縁取り片が筐体102の壁と連続していない実施形態において、縫い目及び/又は何らかの欠点を隠し、すっきりとした外観及び/又は第1のシェル部分110と第2のシェル部分120との間にきれいな接触面を提供するために、縁取り片200a、200bで筐体102の壁の周囲の縁を飾るようにしてもよい。
パネルの寸法と形状は、少なくとも図1に示すもののように、カバン物品100の高さが幅より大きく、幅が奥行きより大きくなるようにしてもよい。筐体102は他の寸法と形状であることも想定され、図示し説明する例は、ただ例示を目的として示すものである。カバン物品100は、側面が硬質のカバンケースとして図示しているが、硬質側面素材と軟質側面素材との数多くの組み合わせから形成してもよい。例えば、筐体102は硬質側面素材から型で成形してもよく、又は硬質側面素材と軟質側面素材との組み合わせ(「ハイブリッド」構造として知られる)から形成してもよい。いくつかの例において、筐体102は、本明細書に記載する継ぎ目200を実現できるよう適切に構成されるフレーム構造で支持される軟質側面素材で全体が形成されていてもよい。硬質側面素材は、(自己強化又は繊維強化)熱可塑性素材、ABS、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、PVC、ポリアミド、PTFE、又は二軸延伸ポリプロピレンなどであってもよい。軟質側面素材は、ナイロン、カンバス、ポリエステル、革、PVC、ポリプロピレン、ポリエチレン、及び/又はPTFEなどであってもよい。
引き続き図1〜4を参照すると、カバン物品100は、1又は複数の上部キャリーハンドル140a、サイドキャリーハンドル140b、及び/又は収納可能な引手ハンドル130などの複数のハンドルを含んでいてもよい。例えば、カバン物品100は、筐体102の上部(例えば114又は124)の少なくとも一部分に連結される1又は複数の上部キャリーハンドル140aを含んでいてもよい。上部キャリーハンドル140aが筐体102の上部の少なくとも1つの角に位置していてもよく、筐体102の上部の少なくとも2つの角に位置していてもよい。同様に、カバン物品100は、筐体102の各サイドパネルに連結された1又は複数のサイドキャリーハンドル140bを含んでいてもよい。サイドキャリーハンドル140bが筐体102少なくとも1つの側面に位置していてもよい。以下でさらに充分に説明するように、上部キャリーハンドル140a及びサイドキャリーハンドル140bは、使用者がカバン物品100を運ぶときにより容易に操作できるように配置されてもよい。例えば、上部キャリーハンドル140a及びサイドキャリーハンドル140bは、階段等を上るなど障害物を避けてカバン物品100を運ぶことがより容易になるように配置されてもよい。
カバン物品100に使用者のアイテムが詰められると、前記荷物入れの重さはハンドルからハンドルに近い側壁に伝わる。荷物入れにかかる下向きの引張力及びハンドルにかかる上向きの引張力は、カバン物品100の側壁をカバン物品100の内部から離れてハンドルに向かう方向に引っ張る傾向がある。本明細書において、このカバン物品100の側壁にかかる引張力を破損傾向と称する。伝統的なカバン物品においては、この破損傾向によって、荷物入れの隣接する壁に壁同士を離間させる方向の引張力が働いて、これらの壁の間の係合が失われる。種々の実施形態によれば、カバン物品100は、破損傾向に抗するよう構成される係合可能なリムシステム205を継ぎ目200に含む。
種々の実施形態によれば、係合可能なリムシステム205は、縁取り片200a及び200bをそれぞれ画定する対向する周縁リム(例えば210及び250)を含む。種々の例において、前記リムの一方は凹部を含み、他方のリムは突出フランジを含む。追加的に又は代替的に、リム210又は250の一方は第2の周縁突出フランジ230を含んでいてもよい。第2の周縁突出フランジ230は、対向するシェルの周縁リムを超えて突出してその後ろ(即ち、カバン物品100の内側寄り)で係合するよう配置されてもよい。1つの例によれば、図1〜4Cに示すように、シェル120は周縁リム210を含む。対向するシェル110は周縁リム250を含む。周縁リム210は凹部220を含んでいてもよく、周縁リム250は突出フランジ260を含む。凹部220及び突出フランジ260は、ケースを閉じたときに互いに係合するように互いに対して配置される。凹部220及び突出フランジ260は、カバン物品100が開くと互いに離間するよう構成される。
少なくとも図5A及び5Bを参照すると、突出フランジ260は、周縁リム210などの対向するリム上の対応する要素と係合するよう構成される適切な突起により画定されてもよい。突出フランジ260は、対応する凹部、例えば、凹部220と緊密に係合する突起であってもよい。1つの例において、突出フランジ260は、横方向壁部263から延びる片持ち突起である。突出フランジ260は、全体が実質的に同じ壁厚を有するリム250の連続部分であってもよい。種々の実施形態において、突出フランジは壁厚の少なくとも3倍の長さがある。いくつかの実施形態において、突出フランジはその壁厚の少なくとも5倍の長さがある。突出フランジ260の長さは、周縁リム250の周縁に沿って変化してもよい。例えば、突出フランジ260は、掛金(latch)機構の近くでは短く(図5A参照)、掛金機構のない領域では長く(図5B参照)てもよい。しかしながら、他の例においては、前記突出フランジは、それが延びる起点となっている周縁リム250の部分に沿って実質的に同じ長さであってもよい。
種々の実施形態において突出フランジ260は横方向支持体263から延びる。横方向支持体263は継ぎ目200に面する面266を形成してもよい。いくつかの実施形態において、この面266は、周縁リム250が画定する平面に対し概して平行である。周縁リム250が明確に平面を画定しない実施形態においては、面266は、大面111又は121に対し概して平行であってよい。面266は、対向する周縁リム210上の対向する面237又は対向する要素に接触し又は対向してもよい。追加的に又は代替的に、横方向支持体263は、概してカバン物品の内部104に向かって延びるフランジ又は横方向リブにより画定されてもよい。そのような実施形態においては、横方向支持体263は、片側がリム面266により、反対側が内面264により画定される。リム面266は、内側の縁267で終結する。
種々の実施形態において、突出フランジ260は横方向支持体263の中央部分に沿って横方向支持体263から延び、突出フランジ260の両側でリム面266及び255を画定している。横方向支持体263は、周縁リム250上の外壁203から内部に向かって延びてもよい。リム面255は、対向するリムの対向するフランジに面し又はこれを受容するように配置されてもよい。1つの例において、リム面255は、周縁リム250の外壁224とほぼ同じ厚さである。この構成により、リム面255が外壁224を受容して、周縁リム210の外壁224から周縁リム250の外壁203にかけて実質的に滑らかな輪郭を形成するように、シェル110及び120を閉じることができる。
上記に示したように、周縁リム250の輪郭はシェル110の周縁に沿って変化してもよい。例えば、リム面255が図5Aに示すような張り出し壁252を画定することにより締め具(buckle)150を受容するための受け具(catch)158を画定しつつ、周縁リム250の外壁203は、図5Bに示すような実質的に連続的な表面形状を画定するために変化してもよい。このように、周縁リム250は、一方のシェルを他方のシェルと連結するための多様な係合要素を画定することができる。
図5A及び図5Bに示すように、周縁リム250は、上記で説明したように、中に向いたフランジを画定する横方向支持体263を有しているが、これに加え、周縁リム250からカバン物品100の内部104に向かって内側に延びる第2の平行なフランジ268を有していてもよい。第1及び第2の内側に向かって延びる横方向支持体263及びフランジ268は、シェル110の内側に向かって開くC形の溝部(channel)を画定してもよい。この内側に向いたC形溝部は、従来の構成に比べリムの縁をより良く補強する。さらに、C形溝部及び横方向支持体263により、突合するリム面266がより大きく、より強くなる。突合するリム面266がより大きく強くなることで、これに依存する要素及び構造の柔軟性を確保できる。例えば、突出フランジ260をこの面から突出させてもよい。他の実施形態において、凹部220を継ぎ目に近い溝部の面から延びるようにしてもよい。さらに他の実施形態において、第2のフランジを支持体263の端部から延びるようにしてもよい。いくつかの実施形態において、C形溝部は周縁リムの一部分にのみ沿って延びる。例えば、C形溝部は凹部152aから凹部152bに延びる(図3参照)。他の実施形態において、C形溝部は実質的に周縁リム250全体に沿って延びる。C形溝部は、この溝部を横切って延び横方向支持体263とフランジ268との間を支持するリブを含んでいてもよい。
少なくとも図5A及び5Bを参照すると、凹部220は、突出フランジ260を受容するに適した溝部により画定されてもよい。凹部220は、突出フランジ260を緊密に受容する溝部であってもよい。1つの例において、凹部220は、リム面237から概して垂直に延びるスロットである。凹部220は、周縁リム210に連続する部分であってもよい。凹部220は、幅を突出フランジ260の厚みよりもわずかに大きくしてこれら2つの構造要素の間の緊密な嵌合を可能としてもよい。種々の実施形態において、凹部220の幅は突出フランジ260の厚みの3倍未満である。いくつかの実施形態において、凹部220の幅は、突出フランジ260の厚みの2倍未満である。凹部220の深さ又は幅は、突出フランジ260の異なる輪郭、厚み、又は構造に対応するよう周縁リム210の周縁に沿って変化してもよい。
種々の実施形態において、凹部220は横方向支持体232から延び、横方向支持体232はリム面237を画定する。リム面237は継ぎ目200に面していてもよい。いくつかの実施形態において、このリム面237は概して周縁リム210が画定する平面に平行である。周縁リム210が明確に平面を画定しない実施形態においては、リム面237は、大面111又は121に対し概して平行であってよい。リム面237は、対向する周縁リム250上の対向するリム面266又は対向する要素に接触し又は対向してもよい。追加的に又は代替的に、横方向支持体232は、概してカバン物品の内部104に向かって延びる壁、横方向リブ、突起、又はフランジにより画定されてもよい。1つの実施形態において、横方向支持体232は第2のフランジ230として終結してもよい。別の実施形態において、横方向支持体232は内側の縁で終結してもよい。
上記で説明したように、周縁リム210は外壁224を有していてもよい。凹部220は、外壁224から中に向かって延びる壁236により画定されてもよい。そのような実施形態においては、壁236は凹部220の底部を画定することができる。この壁は、さらに凹部内壁234を画定しつつ前記継ぎ目に向かって延びる。この凹部内壁234は、突出フランジを支持するために厚みを増してもよく、又は支持力を高めるために、交差する内部リブを有していてもよい。凹部内壁234は、さらに内側に向かって方向を変えて横方向支持体232を画定してもよい。上記のように、いくつかの実施形態において、第2のフランジ230は、横方向支持体232から延びてもよい。外壁224は、対向するリム面255に面し又は係合するに適切な端部225を含んでいてもよい。端部225は、対向面255と係合するに適切な、壁224の厚みを増した部分を形成してもよい。上記のとおり、この構成により、リム面255が外壁224を受容して、周縁リム210の外壁224から周縁リム250の外壁203にかけて実質的に滑らかな輪郭を形成して、シェル110及び120を閉じることができる。
いくつかの実施形態において、周縁リム210はさらに、封止具(seal)290を含む。1つの例において、凹部220は、その底部236に沿って封止具290を受容してよい。このようにして、カバン物品100が閉じて凹部220が突出フランジ260を受容するときに、突出フランジ260が封止具290と係合しシェル110とシェル120との間に封止された係合を形成する。上記のとおり、凹部220は突出フランジ260の厚みの3倍未満又は2倍未満のスロットであってよい。好ましくは、前記凹部220のスロットの幅は、突出フランジ260を容易に受容できるようにしつつ公差を許容するために、突出フランジ260の幅よりわずかに広い。封止具290は任意の適切な寸法であってよい。例えば、前記封止具は、突出フランジ260と厚みが同じかそれより大きく、前記凹部220のスロットの幅と同じかそれより小さくなるような寸法であってもよい。前記封止具は任意の適切な素材であってもよい。例えば、前記封止具はシリコーン、ゴム、ポリマー、又は複合材料であってもよい。
図5A及び図5Bに示すように、周縁リム210は、上記で説明した、内側に向いたフランジを画定する横方向支持体232に加え、周縁リム210からカバン物品100の内部104に向かって延びる第2の平行なフランジ222を有していてもよい。内部に向かって延びる横方向支持体232(第1のフランジ)及び第2のフランジ及び222は、シェル110の内部に向かって開く溝部を画定してもよい。いくつかの実施形態において、前記溝部は前記リムの一部分にのみ沿って延びる。例えば、前記溝部は凹部154aから凹部154bに延びる(図2参照)。他の実施形態において、前記溝部は実質的に周縁リム210全体に沿って延びる。前記溝部は、この溝部を横切って延び横方向支持体232とフランジ222との間を支持するリブを含んでいてもよい。
図5A及び図5Bに示すように、第2の突出フランジ230は、対向するリムの内側の部分と係合するか、さもなければ係合するよう構成される適切な突起により画定されてもよい。例えば、対向するリムが周縁リム210であるときは、突出フランジ230は横方向支持体232の内端を超えて延び、これと係合するよう構成されてもよい。図5A及び5Bに示すように、対向するリムが周縁リム250のときは、突出フランジ230は、リム面266の内端267を超えて延び、これと係合するよう構成されてもよい。本明細書において、突出フランジ230は凹部を有するリムから延びていても、別のフランジを有するリムから延びていてもよいことが説明され理解されている一方、以下の説明においては、凹部を有するリムから延びている突出フランジ230に言及するが、これは単なる一例であり、例及び実施形態のそれぞれは、断りなき場合、いずれの構成にも適用可能であると理解される。
種々の実施形態によれば、第2の突出フランジ230は、対向するシェル(図5Bに示すリム250、及び、具体的には、同じく図示する端部267)に近く、これに突合する外向きの面231を画定する。望ましくは、第2の突出フランジ230は、いずれかの周縁リムの(カバン物品100及びその内部104に対し)最も内側の部分を形成する。具体的には、第2の突出フランジ230は内部104自体に向かって片持ちにされてもよい。例えば、第2の突出フランジ230は、別の凹部、スロット、溝(groove)、又は他の構造と係合しないように自由であってもよい。第2の突出フランジ230を最も内側のフランジとして配置することにより、第2の突出フランジ230を対向するリム全体の構造と係合させることができる。これは、第2の突出フランジ230が、破損を引き起こす力を対向するリムの縁全体に伝え、前記力の分散を促し破損傾向を減少させることができるため、カバン物品の破損傾向に抗する上で有益である。
第2の突出フランジ230はカバン物品100の破損傾向を減少させるのに役立つが、第2の突出フランジ230は、前記周縁リムの小部分から、又は前記周縁リムの個別の選ばれた区域に沿って延びるよう限定されてもよい。例えば、第2の突出フランジ230は、ハンドルが位置する領域に近い周縁リム面又は支持フランジ(例えば横方向支持体232)から延びていてもよい。1つの例において、第2の突出フランジ230は、ハンドル140a及び140bに近い横方向支持体232から延び、これらの領域に追加的な硬さと支持力を与え、突合する2つのシェル110、120が継ぎ目で破損して開くことを防ぐ。これらの位置ではハンドルに負荷がかかっており、そのため破損を引き起こす力がこれらの領域に集中する傾向がある。第2の突出フランジ230をこれらの領域近くに配置することにより、これらの力を分散させるとともに、カバン物品を閉じたり使ったりする機能に対する追加的なフランジの存在又は影響を最小にできる。周縁リムのうちハンドルから離れた位置には第2の突出フランジ230はなくてもよい。第2の突出フランジ230は、リフト(lift)ハンドル(例えば140a、140b)を有するシェルと関連する周縁リムに配置されてもよい。こうして、ハンドルからの力が同じシェルと周縁リムを通じてその一部を形成するフランジに加わる。例えば、図2に示すように、シェル120はリフトハンドル140a、140b及び第2の突出フランジ230を含む。しかしながら、他の実施形態においては、第2の突出フランジ230はリムのうちハンドルに近い位置以外の位置にある部分に沿って配置されてもよいことが理解される。例えば、第2の突出フランジ230は周縁リム全体に沿って延びていてもよい。別の例において、第2の突出フランジ230は、上部面、底部面、側面の長さに沿って延びていてもよい。種々の例において、第2の突出フランジ230は、周縁リムの個別に選ばれた複数の区域に沿って配置されてもよい。
第2の突出フランジ230が第2の周縁リム250に配置される実施形態においては、前記第2の突出フランジ230は横方向支持体232から概して垂直に突出する。第2の突出フランジ230は、破損傾向を増大させる外向きの力に対して、突出フランジ230が周縁リム210の内側部分と係合、さもなければ干渉するように、横方向支持体232からリム210の内側に向かって延びてもよい。
第2の突出フランジ230が周縁リム210に配置される実施形態においては、第1及び第2の突出フランジ230、260は横方向支持体263から概して垂直に延びる。第2の突出フランジ230は、破損傾向を増大させる外向きの力に対して、第2の突出フランジ230が周縁リム250の内側部分と係合、さもなければ干渉するように、横方向支持体263から周縁リム250の内側に向かって延びてもよい。
いくつかの実施形態において、第2の突出フランジ230は周縁リムの長辺の中点の領域の一部分に沿って突出する。追加的に又は代替的に、第2の突出フランジ230は周縁リムの短辺の中点の領域の一部分に沿って突出する。いくつかの実施形態において、これらはハンドルの位置であり得るが、これらは力による歪が最大となって破損が引き起こされる可能性のある位置でもある。したがって、ハンドルの有無にかかわらず、これらの位置では、第2の突出フランジ230により追加的な支持力を与えることが有益である。
図4A〜4Cに示すように、周縁リムの一方又は両方は、そこから延びる1又は複数の個別の突起240を有していてもよい。追加的に、対向する周縁リムは、個別の突起240を受容するような寸法でそのような位置にある凹部270を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、突起240は第2の突出フランジ230の個別の区域として画定される。他の実施形態において、突起240は、第2の突出フランジ230の(例えば構造的に厚みがより大きな)一部を形成してもよい。他の実施形態において、突起240は、第2の突出フランジ230とは別個の独立した要素である。突起240は、第1の突出フランジ260の壁厚又は凹部220の幅より厚い、外側部分241から部分242の厚みを画定する構造を含んでいてもよい。例えば、突起240の厚みは、突起240のリムに沿った長さの1/10から突起240のリムに沿った長さと同じ厚みであってよい。しかし、本明細書中において、より大きな厚み又は小さな厚みが想定されることが理解されねばならない。別の例において、突起240の厚みは第2の突出フランジ230の厚みより大きくてもよい。
突起240は、他方の周縁シェルにある対応する凹部270と、各シェル上のロック機構又はハンドルの少なくとも一方がある領域で、係合するよう構成されていてもよい。そうして、凹部270は、突起240を堅く受容する形状と寸法を含んでいてもよい。種々の実施形態において、これらの突起はロック機構又はハンドルの近くに配置されていてもよい。この構造は、シェルを嵌め合わせたときにロック機構又はハンドルの領域でシェルをさらにかみ合わせ、衝撃耐性及び破損耐性を向上させる。
いくつかの実施形態において、図4Cに示すように、突起240は第2の突出フランジ230と連続し、その一部分を形成し得る。そのような実施形態においては、突起240は対向する凹部270と係合し、第2の突出フランジ230は対向する周縁リムの内部に留まってもよい。そのような構造は、図示するように、同じ位置に掛金を含むハンドル位置に適したものであり得る。しかしながら、図4A及び図4Bに示すものなど他の位置において、掛金があるがハンドルはない位置などにおいて、前記突起は第2の突出フランジ230なしで存在してもよい。
図1に示すカバン物品100は直立型可動式車輪付き(spinner)ハードケースであるが、継ぎ目200を有し閉じることのできる対向する側面を有し継ぎ目200に沿って前記閉じることのできる側面に係合リムのある、可動式車輪付きソフトケース、コンテナ、又は他の適切な品を含むいかなるタイプのカバン物品であってもよい。継ぎ目200は、第1のシェル部分110と第2のシェル部分120との間に延び、カバン物品100の各シェルの上部面、底部面、前面、後面を横切って延びてもよい。1つの例において、継ぎ目200は、主パネル111及び121に実質的に平行な直線状に延びる。他の例において、継ぎ目200は、対向するシェルを閉じるために、任意の1又は複数の面上を異なる様式で、任意の適切な様式で延びていてもよい。さらなる例において、継ぎ目200は、(1度又は複数回)曲がっても、急に向きを変えても、鋸形を形成しても、又は、カバン物品100の継ぎ目200が通っていない面に対して一定の角度で延びていてもよい。
少なくとも図1〜3を参照すると、カバン物品100は閉じた構成(図1、図4A、及び図4C参照)と開いた構成の間で動かすことができる。閉じた構成において、第1及び第2のシェル部分120は、互いに隣接して配置され継ぎ目200を形成してもよく、1つの例において、継ぎ目200の各周縁リム210、250が係合し、カバン物品100の内部収納空間104内に使用者の所持品を収容する。1つの例において、各周縁リム210、250はそれぞれ、周縁の少なくとも一部に沿って、他方に対応する形状を有し、嵌まり合って、対応する重なり構造又はかみ合わせ構造を形成してもよい。前記対応する形状は、周縁リム210、250の長さ全体に沿って、若しくは各リム210、250の一部分に沿って延びてもよく、又は、リム210、250の複数の部分に沿って形状、寸法、若しくは他の特徴を変えてもよい。
図2に示すように、蝶番160は、第1のシェル部分110と第2のシェル部分120との間、例えば第1及び第2のシェル部分110、120の後部パネル112、122上などに、少なくとも継ぎ目200の一部分に沿って画定されてもよい。蝶番160は、選択による配置を可能にするよう考えられた多種の構成を含んでいてもよく、これは例えば1つの例において、第1のシェル部分110を第2のシェル部分120に対して完全に閉じた状態から完全に開いた状態まで蝶番160の軸回りに回転させることによる。例えば、蝶番160は、後部側面113、123の対向する縁により、それぞれの長さに沿って、又はそれぞれの長さの一部分に沿って画定されてもよい。蝶番160は第1のシェル部分110の周縁リム210に連結されてもよく、他方の蝶番160は第2のシェル部分120の周縁リム250に連結されてもよい。蝶番160は、各周縁リム210、250に、直接的に、又は1又は複数の中間要素を介して間接的に連結されてもよい。いくつかの例において、特定の応用に応じて、蝶番160は、任意の数又は任意の組み合わせの布地片、ゴム片、ピアノヒンジ、一体蝶番、間隔をおいて配置した個別の蝶番、ファスナー構造、エラストマー素材の関節継手(articulating joint)、又は第1のシェル部分110と第2のシェル部分120との間の相対運動を可能にする他の適切な構造を含んでいてもよい。そのような相対運動は、固定式旋回軸回りの単純な回転を含んでいてもよく、又は並進運動若しくは他の相対運動と組み合わせた旋回軸回りの回転を含んでいてもよい。
図1〜4を参照すると、カバン物品100は、支持面(例えば地面)に対してカバン物品100を支持する1又は複数の支持部材170を含んでいてもよい。支持部材170は、脚、固定式車輪アセンブリ、可動式車輪アセンブリ、又はこれらの任意の組み合わせであってよく、筐体102の任意の適切なパネルと関連付けられていてよく、例えば、少なくとも1つの例において底部側面115、125に連結されている。図示するように、カバン物品100は、4つの支持部材170を含んでいてもよい。そのような例においては、カバン物品100は第1のシェル部分110及び第2のシェル部分120に2つずつ連結される支持部材170を含んでいてもよい。カバン物品100は、支持面上を移動させる際に、使用者が支持部材170のうちの2つに重みをかけて傾けるものであってもよい。
図1及び図2を参照すると、引手ハンドル130は、引き込み位置(図2)と伸展位置との間で可動であってもよい。図2に示すように、引き込み位置においては、引手ハンドル130の把手は筐体102の近くに又は隣接して配置されてもよく、例えば筐体102の中に又はその方向に、少なくとも部分的に引き込まれる。引き込み位置への引手ハンドル130の引き込みにより、カバン物品100全体の外形寸法を小さくできる。例えば、引手ハンドル130を引き込み位置に移動することにより、カバン物品100全体の寸法が小さくなり、カバン物品100の比較的小さなスペースへの保管及び/又は配置が容易になる。引手ハンドル130を伸展位置に伸ばすことにより、使用者はカバン物品100を望むように支持面を移動させることができる。例えば、使用者は、引手ハンドル130を操作することにより、カバン物品100を支持面上で押したり、引いたり、回転させたり、傾けたり、又はその他の方法で操作できる。
図1〜4Cを参照すると、カバン物品100は、第1のシェル部分110と第2のシェル部分120とを選択により締め合わせる閉鎖機構150を含んでいてもよい。閉鎖機構150は、第1のシェル部分110、第2のシェル部分120のそれぞれと係合して選択によりカバン物品100の開け閉めを可能とするように、第1のシェル部分110と第2のシェル部分120との間の継ぎ目200に沿って又は隣接して配置されてもよい。閉鎖機構150は、掛金150a若しくは150bなどの個別の機構であってよく、又はファスナーなど、継ぎ目200の長さの少なくとも一部分に沿って配置される連続的な閉鎖機構であってもよい。
開いた構成において、閉鎖機構150は、第1のシェル部分110及び第2のシェル部分120が、部分開放から完全開放までの任意の量で互いに対して旋回できるように、継ぎ目200の長さに沿って係合を解く。閉鎖機構がファスナーである1つの例において、閉鎖機構は、前部側面112、122、上部側面114、124、底部側面115、125の全体に沿って係合を解く。これにより、第1及び第2のシェル部分110、120が蝶番160回りに互いに動くことが可能になる。閉じた構成において、閉鎖機構150は、継ぎ目200の長さの少なくとも一部分に沿って係合し、第1のシェル部分110及び第2のシェル部分182の相対運動を制限する。
種々の例によれば、1又は複数の掛金150a又は150bは継ぎ目200に沿って間隔を開けて配置されてもよい。図2に示すように、閉鎖機構150は、シェル120の前部側面122に位置する個別で単独の掛金150bを含んでいてもよい。このようにして、閉鎖機構150は蝶番160の反対側の大面に配置されてもよい。追加的に又は代替的に、種々の例において、閉鎖機構150は、シェル120の上部側面124に位置する個別で単独の掛金150aを含んでいてもよい。このようにして、閉鎖機構150は追加的に又は代替的に、蝶番160の反対側の面以外の大面に配置されてもよい。
いくつかの例において、閉鎖機構150は、筐体102の前部側面112、122に画定される1又は複数の凹部152、154に配置されてもよい。より具体的には、第1及び第2のシェル部分110、120が連結されるときに凹み部分152、154が1つになって凹部156を画定するように、凹み部分152は、継ぎ目200に沿って第1及び第2のシェル部分110、120の両方に画定されてもよい。カバン物品100が閉じているときは、掛金150は、第1及び第2のシェル部分110、120の凹み部分152、154の中に配置されてもよい。カバン物品100が開いているときは、掛金150は係合を解き、少なくとも部分的に第1及び第2のシェル部分110、120の一方の凹み部分152、154の中に配置される。そのような例においては、カバン物品100が閉じているときには、掛金150は、第1及び第2のシェル部分110、120を締め合わせるため第1及び第2のシェル部分110、120の他方の凹み部分152、154の中に延びてもよい。いくつかの例において、カバン物品100が開いているときは、掛金150の複数の部分は離間し、掛金150の少なくとも1つの部分が第1のシェル部分110の凹み部分152の中に位置し、掛金150の少なくとも1つの別の部分が第2のシェル部分120の凹み部分154の中に位置していてもよい。カバン物品100が閉じているときには、掛金150の複数の部分が組み合わさって第1及び第2のシェル部分110、120をロックしてもよい。いくつかの例において、凹部156は、カバン物品100が閉じた構成に配置されるとき、掛金150が筐体102の外面と概して同一平面上になるように、その下になるように、又はわずかにその上になるよう構成されてもよい。これにより、掛金150が出荷時に何かに挟まったり引っ掛かったりするリスクが軽減される。掛金150の締め具部分を、図示するシェル120などの一方のシェルに連結し、掛金150の受け具部分を図示するシェル110などの他方のシェルと一体に成形してもよい。受け具を凹み部分152に配置する形で締め具と受け具の両方を凹部156の中に配置してもよい。
カバン物品100は多様な素材と手段で形成してもよい。例えば、筐体102は、(自己強化又は繊維強化)熱可塑性素材、ABS、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、PVC、ポリアミド、二軸延伸ポリプロピレン、及び/又はPTFEなどで形成してもよい。いくつかの例において、引手ハンドル232は、アルミニウム又は他の類似の金属で押出成形してもよい。さらに、筐体102は繊維強化エポキシ、樹脂、又は他の類似の素材から形成してもよい。カバン物品は、プラグ成形、ブロー成形、射出成形、押出成形、流し込みなど任意の適切な方法で、形成し又は型で成形してもよい。上記のとおり、カバン物品は軟質の側面素材及び/又は硬質の側面素材で形成してもよい。例示的な素材は上記に示されている。
すべての相対的言及及び方向に関する言及(上、下、上向き、下向き、左、右、左向き、右向き、上部、底部、側部、上に、下に、前、中、後ろ、垂直な、水平な、等を含む)は、本明細書中に説明した特定の例についての読み手の理解を助けるための例示としてなされている。これらは、特許請求の範囲に具体的に記載されない限り、特に、位置、方向、又は使用についての、要件又は限定として理解すべきでない。連結についての言及(例えば、取付けられる、結合される、連結される、接合される、等)は、広く解釈されねばならず、連結される要素同士の間に中間部材がある場合や要素間に相対運動がある場合が含まれる。そのため、連結への言及があっても、特許請求の範囲に具体的に記載されない限り、必ずしも2つの要素が直接連結され互いに固定的関係にあることを含意しない。本明細書中に説明した種々の構造を形成するには、任意の適切な形態の製造法を用いることができる。例えば、フランジ、スロット、又は他の要素を含む周縁リム構造の各々は、すべて(シェル又はフレームの一部として)一体成形することができる。射出成形によるカバン物品は好ましい実施形態であり得るが、他の適切な、カバン物品の製造、成形、構成の方法も用い得ることに留意すべきである。例えば、カバン物品はプレス成形されたケースでも、フレームがあって分かれるケース、側面が軟質のケース、等であってもよい。
当業者は現下に開示された例は、限定ではなく例示により教示するものであることを理解するであろう。したがって、上記の説明に含まれ、又は添付の図面に示される事項は、例示的に解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されてはならない。特許請求の範囲は、本明細書中に記載するすべての包括的要素及び具体的要素、並びにすべての本方法及びシステムの範囲の言明を包摂することを意図している。なお、方法及びシステムは、言葉の問題としてはその中間に属する場合もある。