JP2020066635A - 皮膚におけるコレステロールの代謝経路に影響を与える新物質であるポリフェノール物質及びその新しい用途 - Google Patents

皮膚におけるコレステロールの代謝経路に影響を与える新物質であるポリフェノール物質及びその新しい用途 Download PDF

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Abstract

【課題】皮膚に対する大気中の微粒子物質の悪影響を改善可能な試薬の製造における、1種又は複数種の活性物質の使用を提供する。【解決手段】活性物質は、ポリフェノール物質を含む。本発明でスクリーニングされた活性物質は、微粒子による皮膚への悪影響を顕著に改善することができるため、抗汚染、抗霧霾作用を有するスキンケア製品などの多くの分野に適用可能である。【選択図】図1A

Description

本出願は、中国特許出願第201811259169.3号(出願日:2018年10月26日)及び第201811260668.4号(出願日:2018年10月26日)の優先権を主張し、それらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、皮膚又は毛髪に対する微粒子の影響を評価するためのバイオマーカーに関し、特に、皮膚又は毛髪に対するPM2.5の影響を評価するためのバイオマーカー及び評価方法に属し、皮膚角質層におけるコレステロールの代謝に影響を与える物質又はこの物質の新しい用途にも属する。
以下の背景技術は、読者が本発明を理解するのを助けるものであり、従来技術と見なされるべきではない。
工業のグローバル化に伴い、大気汚染物質は、深刻な人間の健康問題を引き起こしている。世界保健機関は、大気質ガイドラインにおいて、粒子状物質、地上オゾン、二酸化窒素及び二酸化硫黄の4種類の大気汚染物質を確定した。このような物質の中には、PM2.5は、粒子状物質であり、その空気動力学径が2.5μm以下である。PM2.5は、大気汚染物質の主成分として心血管系、呼吸器系及び皮膚に脅威をもたらす恐れがある。さらに、PM2.5は、比較的大きい比表面積を有するため、化学汚染物質及び金属イオンを吸着することができる。研究によると、空気に長期間晒された粒子状物質は、皮膚細胞表面にある芳香族炭化水素受容体(AhR)を活性化させることにより、外層皮膚の老化、皺の発生及び色素沈着が引き起こされる。また、大気汚染物質は、アトピー性皮膚炎等の皮膚病の誘発又は悪化を引き起こす恐れがある。
角質層(SC)は、「レンガ・モルタル」のような構造を有する。「レンガ」とは、ケラチンを多く含む角質細胞をいう。「モルタル」とは、角質細胞の間を満たす脂質成分をいい、遊離脂肪酸、セラミド及びコレステロールを含む。この3種類の脂質成分は、角質細胞が互いに「粘着」されているように、高度に秩序化された三次元構造で積み重ねられることによって、強力な皮膚バリアが形成される。皮膚バリアの機能は、角質層、特に角質層における脂質成分の完全性に依存する。Di Nardo Aらの科学者は、アトピー性皮膚炎患者の皮膚バリアが損傷し、角質層におけるセラミドが減少し、コレステロールが増加することでセラミド/コレステロールの割合が減少することを発見した。
しかし、大気における微粒子、特に直径が2.5μm以下のPM2.5が皮膚角質層に如何なる影響を与えるか、及び皮膚角質層のバリアを如何に改善又は向上させるかは、解決される必要がある問題である。
本発明の第1態様によれば、皮膚に対する微粒子の影響の評価におけるコレステロール代謝経路に関連する物質の使用が提供される。いくつかの実施形態において、これらの物質は、コレステロール代謝に直接影響を与える物質又はコレステロール含有量に間接影響を与える物質であり、コレステロールの合成及び代謝に関与する。
所謂「関与」とは、これらの物質がコレステロールの合成又は代謝に影響を与えることを意味し、これらの物質は具体的な遺伝子に作用することができる。遺伝子転写、翻訳レベル又は遺伝子の発現は、酵素、基質、前駆体物質の量又は活性の変化を引き起こす。これらの変化は、微粒子と皮膚の作用により引き起こされるものである。いくつかの実施形態において、コレステロールの代謝は、全部又は部分的に皮膚の角質層において発生する。
いくつかの実施形態において、これらの物質は、コレステロール代謝経路における各酵素、これらの酵素作用により各段階若しくはステップにおいて合成した直接物質、又はそれらのうちの1種若しくは複数種を含む。これらの直接物質は、コレステロール、スクアレン等の物質を含むが、これらに限定されない。所謂代謝経路の直接物質は、実質的にコレステロール代謝の開始から始め、これらの酵素の作用下で、中間物質の合成の量が変化し、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、アセチルCoA、アセトアセチルCoA、β−ヒドロキシ−β−メチルグルタリルCoA、メバロン酸、メバロン酸5−リン酸、メバロン酸5−ピロリン酸、イソペンテニル二リン酸、イソペンテニルピロリン酸、ファルネシルピロリン酸、2,3−エポキシ化スクアレン、スクアレン、ラノステロール低密度リポタンパク質、低密度リポタンパク質受容体等の直接物質が変化する。これは、角質層と皮膚に対する微粒子の損傷との関係を示している。
他の実施形態において、コレステロール代謝経路に関与する間接物質、例えば、上記各酵素であってもよい。これらの酵素の合成は、上流物質の合成又は含有量に直接影響を与え、ATPクエン酸リアーゼ、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼ、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAシンターゼ1、メバロン酸二硫酸デカルボキシラーゼ、メチルステロールモノオキシゲナーゼ1、ファルネシル−二硫酸ファルネシルトランスフェラーゼ1、スクアレンエポキシダーゼ、ラノステロールシンターゼ、ステアロイルCoAデサチュラーゼ、脂肪酸合成酵素のうちの1種又は複数種であってもよい。
いくつかの実施形態において、直接物質のうちの1種又は複数種、間接物質のうちの1種又は複数種、或いは直接物質と間接物質の組み合わせを用いて皮膚角質層に対する微粒子の影響を評価してもよい。コレステロールの代謝経路は技術常識でさるが、従来技術においては微粒子とコレステロール代謝経路とが関連付けられていない。それに対し、本発明は、コレステロールの代謝経路が微粒子により直接影響されることが発見した。いくつかの実施形態において、コレステロールの代謝経路におけるコレステロール又はスクアレンは、皮膚角質層に対する微粒子物質の影響を評価するために用いられる。
本発明の第2態様によれば、皮膚に対する大気中の微粒子物質(例えば、PM2.5)の作用に対する活性物質の影響を評価する方法、又は皮膚に対する大気中の微粒子物質(例えば、PM2.5)の作用に影響を与える活性物質をスクリーニングする方法が提供される。いくつかの実施形態において、角質層中のコレステロール代謝に対する大気中の微粒子物質(例えば、PM2.5)の影響を評価又はスクリーニングする方法が提供される。ここで、所謂影響とは、通常、大気雰囲気中で有害微粒子が皮膚を損傷するという悪影響を指す。このような不利な損傷は、皮膚角質層中のコレステロール代謝経路に対する微粒子の干渉によるものである。
いくつかの実施形態において、活性物質の評価又はスクリーニングは、皮膚に対する微粒子物質の不利作用に対するこれらの所謂活性物質の影響(例えば、この不利作用を激化、悪化すること、この不利作用に何らの影響を与えないこと、又はこの不利作用を改善、修復すること)に応じて、正常皮膚に向かって発展することである。
いくつかの実施形態において、活性物質は、微粒子による悪影響に対して介入作用を有し、このような介入作用は、皮膚損傷を激化する作用、及び皮膚損傷に対する改善、修復又は治療等の作用をいう。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、測定対象活性物質で皮膚を処理し、皮膚におけるコレステロール代謝経路に関連する物質が変化した場合、変化に応じて皮膚に対する測定対象活性物質の影響を判断することを含む。いくつかの実施形態において、影響は、微粒子物質(例えば、PM2.5)の作用による皮膚損傷の激化又は改善(例えば、損傷減少若しくは損傷修復)を含む。一方、関連する物質の変化は、特定の物質の増加又は特定の物質の減少を含む。いくつかの実施形態において、例えば、コレステロールの増加は、活性物質が皮膚に対する微粒子物質(例えば、PM2.5)の影響に対して改善作用を有しないことを示す一方、コレステロールの減少は、改善作用を有することを示す。また、例えば、スクアレンの増加は、活性物質が皮膚に対する微粒子物質(例えば、PM2.5)の影響に対して改善作用を有することを示すの一方、スクアレンの減少は、改善作用を有せず、つまり、いかなる作用を有しないか、反対作用を有する。このような方法により、コレステロールの代謝経路に対する微粒子物質の影響を逆転できる活性物質をスクリーニングすることができる。別の活性物質がない場合、微粒子は、コレステロールが正常レベルよりも高く増加するように、コレステロールの代謝経路を変化させることができる一方、別の活性物質を投与した場合、コレステロールが正常レベルに回復するように、コレステロールの代謝経路を変化させることができる。このような物質は、有効な活性物質である。皮膚に対する微粒子の作用によりコレステロールの合成経路方向に影響を与えない物質は、無効な活性物質と見なされる。必要に応じて、皮膚に作用することにより、コレステロールが増加するようにコレステロールの合成経路を変化又は影響する有害な活性物質を同定又はスクリーニングすることもできる。
いくつかの実施形態において、微粒子で皮膚(皮膚組織、皮膚細胞、角質層細胞、角質層組織、又は三次元モデル皮膚のうちの1種又は複数種)を処理する前後又は同時に、活性物質で皮膚、皮膚組織、皮膚細胞、角質層細胞、角質層組織、又は三次元モデルを処理した後、コレステロール代謝に関連する物質の変化を検出し、変化に基づいて有効、無効又は有害な活性物質をスクリーニングする。いくつかの実施形態において、最終に有効な活性物質が得られる。これらの物質は、皮膚に対する微粒子の悪影響を改善することができる。いくつかの実施形態において、所謂皮膚組織、皮膚細胞、角質層細胞、角質層組織は、体外の組織又は細胞であってもよいが、非体外の皮膚組織、皮膚細胞、角質層細胞、角質層組織であってもよい。
本発明の第3態様によれば、皮膚に対する大気中の微粒子物質の損傷を改善する試薬の製造における活性物質の使用が提供される。いくつかの実施形態において、これらの活性物質は、抗汚染、抗霧霾作用を有するパーソナルケア試薬、例えば、スキンケア製品、クリーニングバス製品又はケア製品に用いられる。
これらの活性物質は、上記方法によりスクリーニングすることにより得られる。これらの活性物質は、ポリフェノール物質を含むが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、これらのポリフェノール物質は、いかなるポリフェノール物質、例えば、植物、動物又は微生物から抽出されたポリフェノール物質であり得る。いくつかの実施形態において、ポリフェノール物質は、コレステロール合成経路中のHMGCS1、LDLR及びFASNをダウンレギュレーションすることにより、最終のコレステロールの含有量を安定化させる。
本発明では、驚くべきことに、ポリフェノール物質に新しい用途があることが発見された。従来技術では、ポリフェノール物質が消炎、抗酸化の作用を有することが発見されたが、皮膚に対する微粒子の影響を改善すること、特にコレステロールの代謝経路に対する影響を変化させいないことが発見されていない。
本発明の第4態様によれば、皮膚に対する微粒子物質の悪影響を改善できる試薬の製造におけるポリフェノール物質の使用が提供される。いくつかの実施形態において、前記ポリフェノール物質は、植物、微生物発酵生成物、哺乳動物に由来する。いくつかの好適実施形態において、前記緑色植物は茶葉である。いくつかの好適実施形態において、前記ポリフェノール物質は茶ポリフェノールである。いくつかの実施形態において、前記大気中の微粒子は例えばPM2.5であってもよい。いくつかの実施形態において、皮膚に対する微粒子物質の悪影響は、皮膚角質層に対する微粒子の影響を含む。いくつかの実施形態において、皮膚角質層に対する前記微粒子の影響は、角質層中のコレステロール代謝に関連する物質に対する微粒子の影響を含む。
いくつかの実施形態において、前記コレステロール代謝に関連する物質は、コレステロール代謝の調節に関与する遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、前記遺伝子は、ACLY、ACSS2、HMGCR、HMGCS1、MVD、MSMD1、FDFT1、SQLE、LSS、LDLR又はSCD、FASN、INSIGLのうちの1つ又は複数の遺伝子を含む。好ましくは、前記遺伝子はHMGCS1、LDLR、FASNである。
いくつかの実施形態において、前記与コレステロール代謝に関連する物質は、コレステロール代謝経路に関与する酵素を含む。いくつかの実施形態において、前記酵素は、ATPクエン酸リアーゼ、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼ、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAシンターゼ1、メバロン酸二硫酸デカルボキシラーゼ、メチルステロールモノオキシゲナーゼ1、ファルネシル−二硫酸ファルネシルトランスフェラーゼ1、スクアレンエポキシダーゼ、ラノステロールシンターゼ、ステアロイルCoAデサチュラーゼ又は脂肪酸合成酵素のうちの1種又は複数種を含む。
いくつかの実施形態において、前記コレステロール代謝に関連する物質は、コレステロール合成の初期段階又は合成ステップにおけるいくつかの基質又は前駆体物質を含む。いくつかの実施形態において、前記基質又は前駆体物質は、酢酸塩、クエン酸塩、アセチルCoA、アセトアセチルCoA、β−ヒドロキシ−β−メチルグルタリルCoA(HMG− CoA)、メバロン酸、メバロン酸5−リン酸、メバロン酸5−ピロリン酸、イソペンテニル二リン酸、イソペンテニルピロリン酸、ファルネシルピロリン酸、2,3−エポキシスクアレン、スクアレン、ラノステロール、低密度リポタンパク質、低密度リポタンパク質受容体のうちの1種又は複数を含む。いくつかの実施形態において、前記コレステロール代謝に関連する物質はコレステロールである。
上記方法によりスクリーニングされた有効物質は、複数の用途を有し、例えば、皮膚の表面に直接塗布され、皮膚に対する微粒子の悪影響を改善することができる。勿論、これらの活性物質は、具体的な形態で化粧品試薬の製造に用いられ、皮膚に対する微粒子の悪影響を改善、防御、逆転することで、バリアを修復し、皮膚を保護し、微粒子による損傷を減軽することができる。いくつかの好適実施形態において、前記試薬は、スキンケア製剤であり、これらのスキンケア試薬は、前記方法によりスクリーニングされた物質、例えば、ポリフェノール物質を含む。スキンケア製剤は、いかなる形態で存在してもよく、例えば、溶液、水剤、懸濁液、マスク、乳液、クリーム剤、ペースト状、ゲル、ドライ粉末、ウェット粉末、スプレー剤のうちの1種である。これらの試薬は、哺乳動物又はヒトのケア製品試薬、例えば、スキンケア、清潔、美容、バス、洗面用品であってもよい。
コレステロール代謝に直接関連する遺伝子に加えて、今まで報道されていないPM2.5に直接又は間接関連する遺伝子は、S100A8、S100A9、Krt6b、TXNRD1、FGFBP1、MT2A、CD9、AREG、ITGB1、LAMB3、LAMA3がある。
本発明の第5態様によれば、S100A8、S100A9、Krt6b、TXNRD1、FGFBP1、MT2A、CD9、AREG、ITGB1、LAMB3又はLAMA3遺伝子は、PM2.5に刺激された角質細胞においてアップレギュレーションされる。即ち、PM2.5の作用下で、これらの遺伝子の発現量は、アップレギュレーションされることで、不利の影響、例えば、後述する遺伝子及びそれらの遺伝子のアップレギュレーションによる悪影響をもたらす。一方、上記のように、活性物質を投与することにより、これらの遺伝子のアップレギュレーションによる悪影響を改善、修復又は逆転することができる。このような物質は、対応する機能を有し、この悪影響は、大気中の微粒子、例えば、PM2.5によって直接引き起こされる。例えば、皮膚、例えば、角質層細胞に特定の物質を投与した結果、S100A8、S100A9遺伝子の発現がアップレギュレーションされず、例えば、ダウンレギュレーションされた後、変化しないことが発見された場合、この物質は、PM2.5に直接起因するアトピー性皮膚炎を改善、修復又は治療することができる。
S100A8、S100A9は、S100タンパク質ファミリーに属し、顆粒層、有棘層、基底層のいずれにも分布され、その主な作用がNADPHオキシダーゼの活性化に関連する宿主防御過程に関与することである。研究によると、前記2種類のS100タンパク質は、表皮創傷修復、分化及びストレス応答において重要な作用を発揮し、正常表皮において極めて低いレベルで発現するが、乾癬患者の皮膚において大量に発現し、また、アトピー性皮膚炎の皮膚においてアップレギュレーションされることが証明された。Krt6bは、ケラチンファミリーに属し、角質細胞の分裂速度を特徴づけ、創傷治癒の典型的なマーカーであり、アトピー性皮膚炎及び魚鱗癬等の皮膚疾患においてこの遺伝子がアップレギュレーションされる。TXNRD1は、チオレドキシン還元酵素をコードし、典型的な抗酸化遺伝子であり、Nrf2転写因子により調節される。FGFBP1は、線維芽細胞成長因子結合タンパク質をコードし、皮膚細胞の分裂の調節に関与し、創傷治癒及び血管形成に関係がある。MT2Aは、金属結合タンパク質であり、細胞増殖を促進することができ、その発現量の変化が皮膚瘢痕の形成に関連していることが発現された。CD9は、細胞表面タンパク質であり、細胞内のシグナル伝達を介して多くの生物学的過程、例えば、創傷治癒に関与する。AREGアンフィレグリンは、炎症性表皮過形成及び皮脂腺肥大の過程において作用を発揮し、また、PM2.5の影響により、ヒト呼吸器上皮細胞での発現量がアップレギュレーションされることが報告されている。LAMラミニンは、創傷治癒及び宿主防御に関与する。ITGインテグリンは、皮膚細胞の接着を媒介し、創傷治癒及び炎症反応のいずれにも密接に関連しており、皮膚が機械的圧力又は外界損傷を受けた条件下で活性化されて皮膚の恒常性を維持する。
(有益な効果)
本発明は、皮膚のコレステロール代謝と微粒子との間に直接な関係があり、空気における微粒子、例えば、PM2.5が角質層におけるコレステロールの含有量に影響を与えることができることを初めて証明した。このような含有量について、遺伝子レベル及び細胞レベルのいずれにおいても直接的な証拠がある。このようなメカニズムにより、皮膚に対する微粒子の悪影響を改善できる活性物質をスクリーニングすることができ、これらの活性物質は、微粒子による悪影響を効果的に防御することができ、遺伝子レベルにより、最終のコレステロール及びスクアレンの含有量が証明され得る。
角質細胞MTT試験の結果図である。同図から分かるように、PM2.5濃度依存性細胞の活力が低下し、細胞には、細胞が縮み、丸くなり、付着細胞が減少するなどの形態学的異常が発生する。図1Aは、細胞活性に対する影響の結果図である。 角質細胞MTT試験の結果図である。同図から分かるように、PM2.5濃度依存性細胞の活力が低下し、細胞には、細胞が縮み、丸くなり、付着細胞が減少するなどの形態学的異常が発生する。図1Bは、細胞形態に対する影響の結果図であり、PM2.5が皮膚細胞を顕著に損傷することを示している。 PM2.5の刺激によりアップレギュレーションされた遺伝子が分類された後の濃縮程度に従うパレート図であり、上位20のGOアイテム及び経路図を示し、そのうち、コレステロール代謝が最も顕著である。 PM2.5の刺激によるコレステロール代謝経路におけるアップレギュレーション遺伝子のアップレギュレーション程度の図であり、ここで、対照処理に対するPM2.5処理のアップレギュレーション遺伝子の転写レベルの比較図である。 PM2.5刺激群によりアップレギュレーションされたコレステロール代謝関連遺伝子、GTE+PM2.5併用群により発現傾向が逆転されてダウンレギュレーションされたコレステロール代謝作用関連遺伝子、及びそのダウンレギュレーション程度を示す図である。 3D皮膚モデルにおいて、P2.5及びPM2.5+GTEを用いる異なる時間での処理の、コレステロール及びスクアレンの含有量に対する影響を示す図である。図5Aは、PM2.5処理下の異なる時間におけるコレステロール及びスクアレン含有量の変化図である。図5Bは、PM2.5+GTE、PM2.5を用いる異なる処理下のコレステロール含有量の変化図である。 コレステロール代謝経路における物質、複数の酵素遺伝子、及びそれぞれの対応する合成ステップの対応図である。
以下、本発明に係る構造又は本明細書で用いられる用語をさらに説明する。この説明は、例を挙げて本発明の実施形態が如何に実現されるかを説明するものに過ぎず、本発明の構成を制限するものではない。
<検出>
検出は、ある物質又は材料(例えば、化学物質、有機化合物、無機化合物、新陳代謝生成物、薬物若しくは薬物の代謝物、有機組織若くは有機組織の代謝物、核酸、タンパク質、又はポリマーなど)の存在を確認するために試験又は測定することを言う。また、検出は、物質又は材料の数を測定することを言う。
<コレステロール代謝経路と微粒子の関係>
皮膚角質層は、外界環境において重要なバリア機能を発揮し、環境中の汚染物質の構造と直接接触する最初の構造であり、微粒子に吸着された有毒物質が皮膚バリアの正常機能を破壊することがある。皮膚バリアは、角質細胞及び角質細胞間脂質成分から構成され、コレステロール、セラミド、遊離脂肪酸は、主なバリア脂質であり、その割合及びタイプによってバリアの正常機能が決定される。テープの引き裂き又はアセトンによる急性バリア損傷は、角質層中のコレステロールの含有量に影響を与えることが証明された。
本発明者らは、驚くべきことに、大気中の微粒子、例えば、PM2.5がコレステロールの代謝経路に対して直接重要な影響を与え、コレステロール代謝経路に関連するいくつかの遺伝子の発現量が正常状態よりも顕著に高くなるが、いくつかの遺伝子の発現量が顕著に低くなることを発見した。これらの遺伝子は、対応してコレステロール代謝経路における酵素、基質又は中間体の含有量又は活性に直接影響を与える可能性がある。勿論、遺伝子及びこれらの酵素、基質又は中間体は、直接的な対応関係ではなく、間接的な関係であってもよい。例えば、遺伝子は、酵素の合成の数又は活性に直接影響を与え、酵素は、コレステロール代謝の中間物質又は前駆体物質の合成に間接影響を与える。
さらに、驚くべきことに、大気中の微粒子、例えば、PM2.5は、コレステロール代謝経路におけるいくつかのの関連物質に直接影響を与えることで、コレステロール代謝経路における直接物質又はこれらの物質に影響を与える酵素に対応する遺伝子の発現が増加又は減少することによって、コレステロールの量が正常レベルよりも高くなることを発見した。さらに、驚くべきことに、大気中の微粒子、例えば、PM2.5により、表皮中のコレステロールの含有量は高くなるが、合成コレステロールの前駆体物質スクアレンの含有量は低くなることを発見した。
これは、従来技術におけるいくつかの従来の見解と異なっている。脂質成分がバリア完全性の評価に適用できることが証明された研究があるが、大気汚染物質、特に微粒子物質が角質層におけるコレステロール及び関連代謝生成物に影響を与えることについて正確な結論がない。1999年から2014年まで世界中で実施された一連の臨床試験では、深刻な大気汚染のある地域に住んでいる住民は、皮脂の酸化レベルが高く、角質層の完全性が低いことが表明されている一方、メキシコ及び上海での試験では、深刻な汚染のある地域に住んでいる住民は、皮脂のレベルが高く、スクアレン/コレステロール比が比較的低いが、コレステロール自体の含有量レベルには顕著な変化がない結果が得られた。これは、従来の見解のレベルでは、大気中の微粒子物質又は大気汚染により形成された微粒子物質が角質層における脂質成分、特に最終生成物であるコレステロールに対して直接影響を与えないようである。それに対して、本発明では、実施に、大気中の微粒子物質又は大気汚染により形成された微粒子物質は、コレステロールの合成経路の各段階に直接影響を与えることで、最終的にコレステロールの合成が干渉され、角質層におけるコレステロールの相対含有量(正常含有量に対するもの)が高くなることが発見された。
本発明は、大気中の微粒子のうちの代表的な物質であるPM2.5で処理した初代ヒト表皮角化細胞(pHEK)を用い、得られたトランスクリプトーム結果に基づいて皮膚バリアに対するPM2.5の影響を評価する。結果として、多くのアップレギュレーションされた遺伝子はコレステロール代謝に関連していることが発見された。これは、トランスクリプトームの分析結果により、本発明者らがコレステロール代謝に関連する遺伝子発現の変化に着目したためである。これらの遺伝子転写レベルの変化に基づき、体外での三次元表皮組織(3D−ETM)の再構築によりPM2.5処理モデルを構築してさらに実験を行うことによって、コレステロール及びコレステロール前駆体スクアレン含有量に対するPM2.5の影響が実証された。遺伝子発現の変化及びコレステロール代謝経路について相関分析を行なった結果、これらの変化した遺伝子の転写がコレステロール代謝経路に密接に関連することが発見された。これによって、大気中の微粒子が表皮組織におけるコレステロールの代謝経路、又は角質層におけるコレステロールの代謝経路に影響与えることで、最終的に、コレステロールの増加及びコレステロール前駆体スクアレン含有量の減少をもたらすと考えられる。
さらに、特定の遺伝子のアップレギュレーションが発見された。コレステロールの代謝に直接な関係がないが、大気微粒子物質、例えば、PM2.5によって直接引き起こされた現象である。これらの遺伝子も本発明者らによって初めて発現されたものである。
<バイオマーカー>
本発明によれば、皮膚に対する微粒子物質の影響、特に、角質層に対する微粒子物質の影響、具体的には、角質層におけるコレステロールの代謝に対する微粒子物質の影響を評価することができるバイオマーカーが提供される。
いくつかの実施形態において、微粒子物質は、大気中のいかなる地域、いかなる時点での微粒子物質であってもよく、ある具体的な環境における微粒子物であってもよい。いくつかの実施形態において、これらのバイオマーカーは、コレステロール代謝に関連する物質を含む。いくつかの実施形態において、これらのバイオマーカーは、直接又は間接的にコレステロール代謝に関連する物質を含む。いくつかの実施形態において、これらのバイオマーカーは、コレステロール代謝経路における直接関連物質又は/及び間接関連物質を含む。
本発明によれば、皮膚に対する微粒子の影響の評価、特に、角質層に対する微粒子物質の影響の評価、具体的には、角質層におけるコレステロールの合成に対する微粒子物質の影響におけるのコレステロール代謝に関連するバイオマーカーの使用が提供される。
このような使用において、これらのバイオマーカーは、異なる地域又は異なる期間の微粒子、さらに微粒子の具体的な含有量の変化の皮膚に対する影響の程度の評価に適用できる。
ここで、微粒子は、PM2.5又は異なる化学元素若しくは異なる化学物質の混合物で形成された微粒子であってもよい。また、このような直接関連を構築し、皮膚に対する微粒子の悪影響を逆転、改善又は予防する活性物質を評価又はスクリーニングすることができる。理解できるように、これらのマーカーを用いて皮膚に対する微粒子の悪影響に対する活性物質の逆転、改善又は予防の程度を評価又は判断してもよい。理解できるように、これらのマーカーを用いて皮膚に対する微粒子の悪影響に対するいくつかの活性物質の不利作用を評価することで、これらの物質で皮膚を作用しない。詳細は、後述する。
いくつかの実施形態において、これらのバイオマーカーは、分子レベルの遺伝子、又はコレステロール代謝経路における酵素、基質、受容体の核酸又は遺伝子を含んでもよく、コレステロール代謝経路に関与する酵素の量又は活性を含んでもよく、コレステロール合成の初期段階又は合成ステップにおけるいくつかの基質又は前駆体物質を含んでもよい。或いは、それらの遺伝子レベル、酵素レベル又は基質前駆体物質のうちの1種又は複数種の組み合わせであってもよい。他の実施形態において、これらのバイオマーカーは、コレステロール代謝に直接関連する物質ではなく、他の物質、例えば、S100A8、S100A9、Krt6b、TXNRD1、FGFBP1、MT2A、CD9、AREG、ITGB1、LAMB3、LAMA3等の遺伝子物質である。
本明細で用いられる「コレステロール代謝経路」は、コレステロールの合成、分解、輸送などの生理的過程も含み、この代謝過程に関連する物質は、この過程に直接又は間接関与する。
これらの遺伝子の発現又は転写レベルの変化、例えば、向上又は向上の幅、低下又は低下の幅を用いて皮膚に対する微粒子の影響を示す。例えば、特定の遺伝子の転写レベルの低下又は低下の程度で皮膚に対する微粒子の悪影響の悪化程度を示すことができる。逆に、皮膚に対する微粒子の影響の改善、逆転の程度を示す。いくつかの実施形態において、分子レベルの遺伝子マーカーは、ACLY、ACSS2、HMGCR、HMGCS1、MVD、MSMD1、FDFT1、SQLE、LSS、LDLR又はSCD、FASN、INSIGLのうちの1つ又は複数の遺伝子を含む。これらの遺伝子の転写レベルの向上は、皮膚に対する微粒子の悪影響が悪化することを示す一方、これらの遺伝子の転写レベルの低下は、皮膚に対する微粒子の悪影響が改善又は逆転されることを示す。例えば、特定の活性物質で皮膚に作用した結果、いつかの遺伝子の転写レベルがダウンレギュレーション(単独の微粒子の作用と比較)されたことは、これらの活性物質は、悪影響を改善又は逆転する作用を有することを示し、ダウンレギュレーションの程度は、悪影響に対する活性物質の改善又は逆転作用の程度を示す。
いくつかの実施形態において、バイオマーカーは、コレステロール代謝経路の各ステップに直接影響を与えて一連の生物反応を引き起こすことで、コレステロールの含有量(正常の健康状態に対して)に影響を与える酵素を含む。いくつかの実施形態において、これらの酵素は、ATPクエン酸リアーゼ、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼ、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAシンターゼ1、メバロン酸二硫酸デカルボキシラーゼ、メチルステロールモノオキシゲナーゼ1、ファルネシル−二硫酸ファルネシルトランスフェラーゼ1、スクアレンエポキシダーゼ、ラノステロールシンターゼ、ステアロイルCoAデサチュラーゼ又は脂肪酸合成酵素のうちの1種又は複数種を含む。これらの酵素の数若しくは活性により皮膚に対する微粒子の影響、又は皮膚に対する活性物質の干渉若しくは改善作用を評価する。
いくつかの実施形態において、これらのバイオマーカーは、コレステロール代謝経路における各基質、前駆体物質であってもよい。これらの物質は、例えば、ATPクエン酸リアーゼ、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼ、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAシンターゼ1、メバロン酸二硫酸デカルボキシラーゼ、メチルステロールモノオキシゲナーゼ1、ファルネシル−二硫酸ファルネシルトランスフェラーゼ1、スクアレンエポキシダーゼ、ラノステロールシンターゼ、ステアロイルCoAデサチュラーゼ、脂肪酸合成酵素又はコレステロールのうちの1種又は複数種を含む。
本明細書で用いられる「影響」とは、微粒子が皮膚に作用した時に発生する良い又は悪い影響をいい、一般には、このような影響は、合成経路における各酵素の活性若しくは含有量、又は酵素に関連する遺伝子の転写レベルを変化せることにより、コレステロールの含有量を正常レベルよりも向上させることで、皮膚角質層脂質の成分の割合が変化し、バリア機能が異常となる。このような影響は、実際的には皮膚に対する損傷影響を指す。活性物質の場合、皮膚に対する影響は、皮膚に対する微粒子の悪影響を逆転又は悪化する影響であり得る。勿論、これらの活性物質は、何らの作用を奏しない可能性もある。これらの活性物質は、分子レベルでは、特定の遺伝子のダウンレギュレーション若しくはアップレギュレーション、又は複数の遺伝子のダウンレギュレーション若しくはアップレギュレーションを引き起こすことで、最終的には異なる作用を発揮する。例えば、有効な活性物質は、悪影響を改善又は逆転することができ、有害な活性物質は、このような悪影響を加速又は悪化することができ、作用がないの活性物質は、皮膚に対する微粒子の悪影響に効果を奏しない。
このような方法により、異なる地域の汚染大気中の微粒子の皮膚に対する損傷又は損傷の程度をより詳しく評価することができる。ここで言う不利、不正常な方向とは、健康の正常標準に対する相対的なものである。また、別の活性物質で皮膚を処理した後、この別の物質が皮膚に対する微粒子の悪影響を改善又は逆転できるか否かを評価してもよい。これらの別の物質は、活性物質、例えば、茶葉の抽出物又は他のポリフェノール物質であってもよい。別の活性物質は、皮膚に対する微粒子物質の悪影響を改善するための物質であってもよい。これらの物質で皮膚を処理することにより、この作用が改善され、皮膚に対する微粒子物質の悪影響が解消され、皮膚に対する微粒子の危害が予防され、或いは、大気中の微粒子の皮膚に対する危害、特に、角質層中のコレステロールの含有量に対する影響が減軽、緩和される。
<微粒子>
ここで言う「微粒子」とは、一般に大気粒子状物質(Atmospheric Particulate Matters)をいう。大気粒子状物質は、大気に存在する種々の固体及び液体の粒子状物質の総称である。様々な粒子状物質が空気中に均一に分散して相対的安定した大きな懸濁システム、即ち、アエロゾールシステムを構成するため、大気粒子状物質は、大気アエロゾール(Atmospheric Aerosols)とも呼ばれ(Hinds,w.C. Aerosol Technology:Properties,Behavior,and Measurement of Airborne Particles[M],Wiley,1999,New York)、微細粒子状物質は、細粒、微細粒子、PM2.5とも呼ばれる。微細粒子状物質とは、環境空气における空気動力学径が2.5μm以下の粒子状物質(PM2.5)を言う。比較的太い大気粒子状物質と比較して、PM2.5は、粒径が小さく、表面積が大きく、活性が強く、有毒有害な物質(例えば、重金属、微生物等)が付着しやすく、且つ大気中での滞在時間が長く、輸送距離が長いので、人間の健康と環境の質により大きな影響を与える。
勿論、大気中の微粒子に加えて、特殊な環境における微粒子、例えば、局所的な地域における微粒子物質(例えば、特定の工場環境中の微粒子物質)も皮膚に影響を与える。
<皮膚又は毛髪>
頭皮は、皮膚と類似する構造を有し、表皮、真皮及び皮下組織から構成される。角質細胞が表皮を形成し、真皮は、コラーゲン繊維で構成される密なネットワークであり、弾性血管、リンパ管、免疫細胞、毛嚢、神経線維及び腺体を有する。健康な頭皮には、1平方センチメートルあたり約300個の汗腺と600本の毛髪があり、各毛嚢には、多くとも5個の皮脂腺がある。研究によると、空気汚染は、毛嚢ではなく、主に頭皮を損傷することで、抜け毛を引き起こすか、又は皮膚バリアを破壊して頭皮を敏感にさせる。
<評価方法>
本発明によれば、バイオマーカーを用いて皮膚に対する微粒子の影響を評価する方法が提供される。いくつかの実施形態において、これらのバイオマーカーのうちの1種又は複数種を用いて角質層に対する微粒子の影響を評価する方法が提供される。いくつかの実施形態において、これらのバイオマーカーのうちの1種又は複数種を用いて角質層におけるコレステロールの代謝経路に対する微粒子の影響を評価する方法が提供される。
いくつかの実施形態において、前記方法は、微粒子で皮膚を処理し、これらのバイオマーカーの量の変化を測定することにより、微粒子とコレステロール代謝経路とを関連付け、皮膚に対する微粒子の影響を評価する。より具体的には、特定のバイオマーカーの含有量の増加又は活性の増強とは、皮膚に対する微粒子の悪影響の増加を示す。特定のバイオマーカーの含有量の減少又は活性の低下は、皮膚に対する微粒子の悪影響の減少を示す。ここで言う皮膚は、皮膚組織、皮膚細胞、角質層細胞、角質層組織、又は三次元モデル皮膚のうちの1種又は複数種であってもよい。いくつかの実施形態において、微粒子物質が皮膚に作用する同時、前後、又は作用する過程において活性物質で皮膚、皮膚組織、皮膚細胞、角質層細胞、角質層組織、又は三次元モデルを処理し、コレステロール代謝に関連する物質の変化を検出し、変化に基づいて有効、無効又は有害活性物質をスクリーニングする。
いくつかの実施形態において、最終には有効な活性物質を得る。これらの物質は、皮膚に対しうる微粒子の悪影響の改善に用いられ得る。いくつかの実施形態において、所謂皮膚組織、皮膚細胞、角質層細胞、角質層組織は、体外の組織又は細胞であってもよいが、非体外の皮膚組織、皮膚細胞、角質層細胞、角質層組織であってもよい。
いくつかの実施形態において、これらのバイオマーカーは、分子レベルの遺伝子又はコレステロール代謝経路における酵素、基質、受容体の核酸又は遺伝子の変化をふくんでもよく、コレステロール代謝経路に関与する酵素の量又は活性を含んでもよく、コレステロールの合成初期段階又は合成ステップにおける特定の基質又は前駆体物質を含んでもよい。或いは、遺伝子レベル、酵素レベル又は基質前駆体物質のうちの1種又は複数種の組み合わせレベルの変化であってもよい。
いくつかの実施形態において、角質層におけるコレステロール含有量の増加又はスクアレン含有量の減少は、皮膚に対する微粒子の悪影響の増加を示す。一方、特定のバイオマーカーの含有量又は活性が変化しない、又は実質的に変化しないことは、微粒子が皮膚に対して悪影響を与えないことを示す。
ここで言う微粒子とは、いかなる地域、いかなる時間、いかなる種類の微粒子をいい、通常有害と考えられる微粒子であってもよく、無害と考えられる微粒子であってもよく、皮膚に対して有害かどうか分からない微粒子又は検出を必要とする微粒子であってもよい。本発明の方法によれば、微粒子が皮膚バリアに対して悪影響を与えるか否かを検出又は評価することができ、コレステロール代謝経路に関連する物質の検出により未知の微粒子の作用を評価することができる。
<スクリーニング方法及び活性物質>
本発明によれば、皮膚に対する微粒子の作用に影響を与える活性物質をスクリーニングする方法が提供される。ここの活性物質は、コレステロール代謝経路における酵素、基質又は前駆体物質と異なり、微粒子物質にも該当せず、皮膚に対する微粒子物質の悪影響を改善、逆転できる物質である。勿論、皮膚に対する微粒子物質の悪影響を促進、悪化する物質であってもよい。いくつかの方法又は使用において、前記バイオマーカーを標識物質としてこのような活性物質をスクリーニングすることにより、皮膚に対する微粒子物質の悪影響を改善、逆転する。いくつかの方法において、微粒子が皮膚に作用する前後、同時、又は皮膚に作用する過程において、測定対象活性物質を投与し、これらのバイオマーカー(コレステロール代謝に関連する物質)の含有量又は活性が変化した場合、それを測定対象活性物質の影響と関連付けることにより、皮膚に対する微粒子物質の悪影響を改善、逆転できる物質、又は皮膚に対する微粒子物質の悪影響を促進、悪化する物質を得ることができる。いくつかの方法において、コレステロールの含有量が増加(正常レベルに対して)した場合、この活性物質が有利な作用を有しないことを示す。一方、コレステロールの含有量が減少するか、又は増加しない場合、この活性物質は、有利な作用、例えば、微粒子による悪影響を改善、逆転する作用を有する。当業者に理解できるように、コレステロール代謝経路におけるバイオマーカーは、いずれもこのような方法により測定することができ、少なくとも活性の変化、含有量の変化、及び活性物質の作用はいずれも容易に得ることができる。ここで言う「関連」とは、活性物質の作用とコレステロール代謝経路関連物質の変化との間に直接的な関係を有することを意味し、このような変化により、有効、無効又は有害な活性物質を得ることができる。例えば、活性物質の投与により、コレステロールの含有量が正常レベルとなった場合、この活性物質は、有効な物質であると考えることができる。このような関係は、正の相関または負の相関であってもよいが、関連性のない場合も含まれる。
ここで言う皮膚は、皮膚組織、皮膚細胞、角質層細胞、角質層組織、又は三次元モデル皮膚のうちの1種又は複数種であってもよい。いくつかの実施形態において、微粒子物質が皮膚に作用する同時、前後、又は作用する過程において、活性物質で皮膚、皮膚組織、皮膚細胞、角質層細胞、角質層組織、又は三次元モデルを処理し、コレステロール代謝に関連する物質の変化を検出し、変化に基づいて有効、無効又は有害な活性物質をスクリーニングする。いくつかの実施形態において、所謂皮膚組織、皮膚細胞、角質層細胞、角質層組織は、体外の組織又は細胞であるが、勿論、非体外の皮膚組織、皮膚細胞、角質層細胞、角質層組織であってもよい。
上記方法により、本発明者らは、PM2.5誘発皮膚損傷に対するいくつかの活性成分(例えば、植物由来)の介入作用を検討した。いくつかの実施形態において、茶(Camellia Sinensis)は、伝統的な経済植物であり、異なる程度の発酵により加工することができる。緑茶は、新鮮な茶葉で作製され、精細な乾燥工程により、フェノール類可能物の酸化及び重合が回避される。Epigallocatechingallate(EGCG)は、単量体フラバノールであり、緑茶における主なポリフェノールであると発見された。
茶ポリフェノールは、体外及び体内において、強い抗炎症及び抗酸化の作用を有することが知られている。研究によると、緑茶抽出物は、紫外線による皮膚浮腫、紅斑を減少すること、及びDNAを紫外線から保護することができる。本研究において、発明者らは、ポリフェノールが多く含まれる緑茶抽出物がトランスクリプトームレベルでの作用が、皮膚遺伝子の発現に対するPM2.5の影響傾向を逆転することであることを発見し、液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)により3D−ETMにおける主要な脂質バイオマーカーの変化を確認した。
本発明の別の重要な発見は、ポリフェノール物質がPM2.5の皮膚遺伝子発現に対する影響の傾向を逆転することにより、角質層が微粒子物質の影響下であっても、コレステロールの合成が正常レベルにある、又はその前駆体物質スクアレンも正常レベルにあることができることである。つまり、これらのポリフェノール物質は、角質層に対する微粒子物質の悪影響を修復すること(例えば、角質層におけるコレステロールの含有量を減少すること)により、角質層におけるコレステロールを正常レベルに維持することができる。一方、これらのポリフェノール物質は、角質層に対する微粒子物質の悪影響を予防又は治療すること(例えば、角質層におけるコレステロールの正常含有量を維持すること)により、外部大気汚染中の微粒子の影響を受けず、角質層におけるコレステロールを正常レベルに維持することができる。これによって、ポリフェノール物質は、角質層におけるコレステロールの悪影響を逆転、修復、予防することでコレステロールを正常レベルに維持することができる。例えば、コレステロールが増加した場合、その含有量を低減するか、又はコレステロールが増加する可能性を予防することができる。また、本発明は、メカニズムでは、茶ポリフェノールがコレステロール代謝経路におけるHMGCS1、LDLR及びFASN遺伝子(これらの遺伝子がPM2.5の作用下でアップレギュレーションされる)の転写レベルをダウンレギュレーションすることにより、最終にはコレステロールを角質層において相対的正常なレベルに維持することを証明した。ポリフェノール物質は、実際には混合物の総称であり、由来が異なるポリフェノールは、具体的な含有量に違いがあるが、作用メカニズムには、実質的な違いがない。従って、当業者であれば、本明細書を読んだら、いかなるポリフェノールは、本発明の茶ポリフェノールと類似する機能を有することを容易に理解することができる。
本明細書に記載のポリフェノールは、植物に由来のポリフェノール、動物に由来のポリフェノール、及び微生物発行生成物に由来のポリフェノールであってもよい。
いくつかの好適実施形態において、本明細書に記載のポリフェノールは、茶葉におけるポリフェノールに加えて、他の植物に由来のポリフェノールであってもよい。他の実施形態において、ポリフェノール物質は、緑色植物の抽出物に由来し、例えば、植物ポリフェノール(plant polyphenol)である。植物ポリフェノールは、幅広く植物体内に存在するポリフェノール構造を有する二次代謝産物であり、主に植物の皮、根、葉、実に存在する。狭義には、植物ポリフェノールはタンニン(tannins)であり、その分子量が500〜3000である。広義には、小分子のフェノール類化合物、例えば、アントシアニン、カテキン、ケルセチン、没食子酸、エラグ酸、アルブチン等の天然フェノールをさらに含む。茶ポリフェノール((Tea Ployphenols,TP)は、茶タンニンとも呼ばれ、茶葉に含まれるポリヒドロキシル化合物の総称であり、茶葉の乾燥重量の約20%を占め、その主成分は、カテキン類(Catechines)であり、その総量の約80%を占める。それ以外、フラバノール(Flavanols)、フラバノン(Flavanones)、フェノール酸(Phenolicacids)、アントシアニン及びそのアグリコンを含む。様々な茶葉の中で、緑茶の茶ポリフェノールの含有量が最も高く、茶葉の乾燥重量の15%〜25%を占め、ウーロン茶、紅茶が続く。茶ポリフェノール以外に、他の物質ポリフェノール、リンゴポリフェノール、葡萄及び葡萄酒におけるポリフェノール類物質、ビールにおけるポリフェノール類物質、植物ポリフェノール、野菜におけるポリフェノール類物質であってもよい。
リンゴポリフェノールは、リンゴにおけるポリフェノール類物質の総称であり、アントシアニン類、フラバノール、フェノール酸類及びカテキン等を含む。醸造に用いられるリンゴの品種における含有量は、7g/kg(新鮮重量)に達し、普通の新鮮品種における含有量は、0.5〜2g/kgである[3]。オランダや米国などの栄養士による調査によると、リンゴは、茶及びアニオンに次いで3番目の食物源である。
葡萄には豊富なポリフェノール類化合物を含む。主に果実の茎、皮、核に分布され、特に核における含有量が3%〜7%であり、最も高い[4]。葡萄酒に検出された1000種以上の物質の中に、アントシアニン類、フラボノイド、フェノール酸類及びレスベラトロール等を含む複数のポリフェノール類物質がある。過マンガン酸カリウム法により葡萄酒におけるポリフェノールの含有量を測定した結果、平均1〜3g/Lに達する。さらに、赤葡萄酒の渋味及び苦味は、主にポリフェノール類物質に起因し、そのルビー色もポリフェノールの含有量に密接に関連する。
ビールにおけるポリフェノールの種類が多く、フラバノール、フラボノール類、アントシアニン類及びフェノール酸等[5]を含み、そのうち、プロアントシアニジンのみから50種類以上検出された。ビールにおけるポリフェノールの約80%は、大麦に由来し、約20%は、ホップに由来する。モルトにおける含有量は約0.1%〜0.3%であり、主に殻及びアリューロン層に存在し、少量が胚乳に存在する。ホップにおいて、ポリフェノール物質は、主にホップの前葉及びホップ腺に存在し、乾燥重量の2%〜4%を占める。ポリフェノール類物質は、ビールの質と密接に関連し、その含有量は、ビールの非生物安定性、味、泡沫、色艶等に対して大きな影響を有する。
植物ポリフェノールは、例えば、人々がよく食べるカンゾウ、ホウレンソウ、レンコン、紫キャベツ、赤ネギ、紫大根等の野菜に幅広く分布されている。南ヨーロッパの伝統的な野菜アーティチョークにも豊富なシナリン、フラボノイド等のポリフェノール類化合物が含まれる。
当業者に理解できるように、いかなるポリフェノール物質は、いずれも本発明の作用を有し、皮膚に対する微粒子の悪影響を改善することができる。これは、本発明で発見されたポリフェノール物質の新用途である。
本発明は、例を挙げて本発明の実現方法を説明し、これらの例は、本発明の趣旨の範囲内での限定列挙に過ぎず、本発明を制限するものではない。
〔実施例1〕
PM2.5サンプルの採取及び分析。
本実験で用いられるPM2.5サンプルは、中国科学院地球環境研究所(西安)によって提供され、2009年3月から4月に空気流速が1200L/minの条件下で西安ハイテクゾーンから採取されたものである。PM2.5粒子は、石英繊維フィルターに吸着され、毎日このフィルターを回収した後、40mLのMilli−Qで濾過した超純水を用いて15分間超音波処理し、3回繰り返す。その後、真空凍結乾燥機を用いて懸濁液を乾燥させ、4℃で保存する。使用前に、PM2.5を細胞培地に懸濁させ、30分間超音波処理30し、用ガラス繊維フィルターで懸濁液を濾過して破片を除去し、最終濃度が50μg/mLのPM2.5細胞培養液を調製する。
エネルギー分散型蛍光X線(ED−XRF)を用いて12種類の元素(即ち、S、Ti、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、As、Br、Mo、Pb)の組成を測定する。有機炭素分析装置(DRI Model 2001 Carbon Analyzer)を用いてサンプルにおける有機炭素(OC)及び元素炭素(EC)の量を分析する。具体的な分析結果を表1に示す。
(結果分析)
異なる地域からのPM2.5の組成及び出所はいずれも異なる。本実験では、中国西安から採取したPM2.5サンプルを化学分析した。PM2.5には、複雑な成分、例えば、金属イオン、有毒な有機物及び無機物質が含まれる。元素成分の分析から分かるように、S、Zn及びFeは、実験で用いられるPM2.5に含まれる最も多い3つの元素成分であり、Zn及びFeは、最も豊富な地殻の元素であるので、粉塵排出はこのサンプルの主要な由来源であることを示している。また、高濃度のS、NO 及びSO 2−は、石炭燃焼は、別の主要な由来源であることを示している。硫酸塩及び硝酸塩は、主にSO及びNOの酸化に由来し、主に地元での石炭燃焼によって産生されると考えられている。また、研究によると、石炭燃焼により排出されるOC/ECは、2.5−10.5であり、本実験では、OC/ECが5.25であるので、石炭燃焼が主な由来源であることが実証された。したがって、本実験で用いられるPM2.5サンプルは、典型的な石炭燃焼及び粉塵に由来するものである。
上記の分析から分かるように、地元の自然環境の影響により、微粒子の成分が複雑であり、異なる具体的な地域において微粒子に含まれる成分及び有害物質の含有量が異なるが、有害物質の種類は類似しており、例えば、粉塵は、ほぼ全ての微粒子の重要な由来源であり、主に地殻の元素から構成され、これらの元素が人体に有害ではないが、微粒子を形成すると、人体に極めて危害を有するようになる。危害の一つは、皮膚バリアに対する微粒子の損傷作用である。
本発明において、人に対する危害とは、皮膚に対するこれらの微粒子の影響を言い、具体的には、皮膚角質層に対する悪影響を言う。いくつかの実施形態において、皮膚角質層におけるコレステロールの代謝経路に対する微粒子の直接影響、例えば、微粒子による角質層のコレステロールの含有量の増加である。
〔実施例2〕
体外細胞に対するPM2.5の影響
(2.1 細胞培養)
KcGrowth培地(PY1011,Biocell,Guangdong,China)を用いて初代ヒト表皮角化細胞(PC2011,Biocell,Guangdong,China)を培養し、初代ヒト角質細胞を37℃、CO5%の細胞インキュベーター中で培養した。
EDTA−トリプシン溶液で融合したケラチノサイトを平板から分離した。遠心分離した後、KcGrowth培地を用いて10細胞/mlの濃度で細胞を再懸濁し、その後、2×10/ウェルの密度で6ウェルプレートに接種した。
24時間後に、培地を取り除き、次いで培養プレートに緑茶抽出物(GTE)を含むか、又は含まないPM2.5懸濁液(実施例1のPM2.5微粒子、50μg/mLのPM2.5細胞培養液)を加え、各条件について3回繰り返した(各ウェルに懸濁液2mLを加え、PM2.5で細胞を24時間処理した)。緑茶抽出物(GTE)を20%の1,3−ブタンジオール水溶液(乾燥重量0.2%)を用いてFolin&Ciocalteu法により測定したポリフェノールの含有量は750μg/mlであった。(用いられたGTE原液ポリフェノールの含有量は750μg/mlであり、培養液に0.6%のGTE原液(質量%)+PM2.5懸濁液(実施例1)を加えた。)ここで、KcGrowth培地をブランク対照として用いた。
(2.2 細胞の活力の測定)
2.1のEDTA−トリプシン溶液で融合したケラチノサイトを平板から分離した。遠心分離した後、KcGrowth培地を用いて10細胞/mlの濃度で細胞を再懸濁した。1×10個/ウェルの密度で96ウェル培養プレートに接種し、一晩培養した。
次いで、異なる濃度のPM2.5で細胞を24時間処理した(図1に示される濃度及び時間)。PBSで培地を取り除き、さらに各ウェルに20μLMTT(ホルマザン)試薬を加え、培養プレートを暗所に置き、37℃で4時間インキュベートした。最後に、培地を取り除き、150μのLDMSOを加えてホルマザン結晶を溶解した。ELISA Microplate Reader(BioTeK,USA)を用いて490nmでの吸光度を測定することで異なる培養条件での細胞活力を定量した。
(2.3 細胞形態)
倒立光学顕微鏡(Olympus Corporation,Japan)を用いて細胞形態を観察した。24ウェルプレートで培養したケラチノサイトをPM2.5とともにインキュベートしたか、又はGTE溶液とともに24時間処理した(図1)。角質細胞の形態学的変化を観察し、各実験条件について2回繰り返した。
(実験結果)
培養した後の細胞の一部をMTT試験により形態又は活力の変化を検出した。実験結果から分かるように(図1A及び図1Bを参照)、異なる濃度のPM2.5培養液で細胞を24時間培養した後、細胞の活力がPM2.5濃度の上昇について顕著に低下し、PM2.5の濃度が50μg/mLを超えた時に、大量の細胞破片が出たことが観察された(図1B)。細胞の形態では、C(PM2.5)>50μg/mLで24時間処理した後、細胞の生存率は、用量依存性的に徐々に減少した(図1B)。PM2.5の用量が50μg/mLに増加された時に、細胞には、顕著な形態学的変化が発生し、いくつかの細胞破片が現れ始め、細胞が縮んだが、付着細胞の数は顕著に変化しなかった。比較的高い濃度のPM2.5の場合、細胞が収縮し、丸くなり、浮き上がり、付着細胞の数が顕著に減少した。このため、次の実験では、本発明者らが選択したPM2.5の最大安全用量は50μg/mLとされた。このような濃度では、細胞が損傷される場合があるが、細胞の活力は顕著に影響を受けないので、後続の実験に有利である。しかし、いずれにしても、図1Aから分かるように、PM2.5の濃度の徐々な増加につれて、細胞の活力には低下する傾向があり、濃度が高ければ高いほど、低下の速度が顕著になる。これは、PM2.5が細胞に対して顕著な影響を有することを示している。また、細胞は、生体の最小単位であり、角質層の重要な組成でもあ流ので、角質層に対する影響が生体の細胞に対する影響に起因し、最終的には、皮膚バリア機能が低下又は消失することになる。
〔実施例3〕
ケラチノサイトにおけるmRNAの発現(転写レベル)に対するPM2.5の影響
実施例2においてPM2.5でケラチノサイト(50μg/mL PM2.5)を24時間処理すると同時に、ブランク対照(PM2.5無し)で24時間処理した後、TRIzol Reagent(Invitrogen,USA)を用いて製造業者の説明書に従って総RNAを抽出した。
1%アガロースゲルによりRNA分解及び汚染の状況を確認し、分光光度計(NanoPhotometer,IMPLEN,CA,USA)を用いてRNAの純度を測定した。Qubit 2.0 Flurometer(Life Technologies,CA,USA)のQubit RNA Assay Kitを用いてRNAの濃度を測定し、Bioanalyzer 2100システムのRNA Nano 6000 Assay Kit(Agilent Technologies,CA,USA)を用いてRNAの完全性を評価した。Illumina検出に専用のNEBNext Ultra RNAライブラリー作製用キット(NEB,USA)を用いてcDNAライブラリーを作製した。その後、AMPure XPシステム(Beckman Coulter,Beverly,USA)を用いてcDNA濃度を測定した結果、所定の要求を満たし、Paired−End法によりIlluminaHiSeq 4000(Illumina,USA)でRNAシークエンシングを行った。
表2から分かるように、OD260/280及びOD260/230は核酸純度の指示値であり、純粋なRNAのOD260/280値は2.0であり、且つOD260/230>2である。結果から分かるように、OD260/280及びOD260/230の値は約2.0であり、タンパク質及びDNAによる汚染がなく、有機溶媒による汚染がなく、RNA純度が良好であった。このように、実験の結果はより正確である。OD260/230、28S/18Sは、抽出したRNAの完全性を評価する指標であり、28s/18sが約2.0である場合、抽出されたRNAの完全性が良好であることを示す。結果から分かるように、28s/18s値が2.0より大きく、且つ5sRNAバンドがないため、RNAが分解しなかったことを示している。RIN値が0から10である場合、値が大きければ大きいほど、完全性がより良いので、結果から分かるように、RINはいずれも10であるので、RNAの質が良好である。RNAは、DNAの転写レベルを示し、RNAの純度及び完全性は、後続の実験結果に対してより信頼的な保障を提供し、逆転写の実行(cDNA)が含まれる。
HiSeq PE150をシーケンシング戦略として用いて得られた配列の総量は6Gであった。オリジナル断片からリボソームRNA配列及び非コード配列を取り除いてエンコード可能な配列を得た。HISAT 2.0.4を用いて遺伝子を確定し、HTSeq v0.6.1を用いてmRNA発現を定量し、DEGSeq 1.12.0及びDESeq 1.10.1を用いて遺伝子発現の違いを分析した。
(結果及び分析)
Illuminaシーケンシング技術によりケラチノサイトについて全面的な遺伝子発現プロファイル分析を行い、rRNA配列及び低発現配列を取り除いた後、PM2.5がヒトケラチノサイトにおいて引き起こした変化を研究した。対照群(PM2.5及びGTEで処理しない群)と比較して、PM2.5処理群の発現の有意差Padj(補正後のp値)<0.001であった。表3から分かるように、対照群に対して、56個の遺伝子が顕著にアップレギュレーションされ、20個の遺伝子が顕著にダウンレギュレーションされた。
表3(表3−1〜表3−4)には、文献に報告されたPM2.5の作用により顕著にアップレギュレーションされる遺伝子(例えば、CXCL1、CYP1A1、IL1RN等)が列挙されたが、本発明では、開示されていない遺伝子の転写レベルの向上、例えば、ACLY、ACSS2、HMGCR、HMGCS1、MVD、MSMD1、FDFT1、SQLE、LSS、LDLR、SCD、FASN、INSIGL等の遺伝子レベルのアップレギュレーションが発見された(表3)。これらの遺伝子は、コレステロールの代謝経路に直接関連しており、これは、微粒子(例えば、PM2.5)コレステロールの合成経路にも関連することを示している。これについて実施例4にてさらに分析する。
コレステロール代謝に直接関連する遺伝子に加えて、今まで報道されていないPM2.5に関係がある遺伝子は、S100A8、S100A9、Krt6b、TXNRD1、FGFBP1、MT2A、CD9、AREG、ITGB1、LAMB3、LAMA3がある(表3)。S100A8、S100A9は、S100タンパク質ファミリーに属し、顆粒層、有棘層、基底層のいずれにも分布され、その主な作用がNADPHオキシダーゼの活性化に関連する宿主防御過程に関与することである。研究によると、前記2種類のS100タンパク質は、表皮創傷修復、分化及びストレス応答において重要な作用を発揮し、正常表皮において極めて低いレベルで発現するが、乾癬患者の皮膚において大量に発現し、また、アトピー性皮膚炎の皮膚においてアップレギュレーションされることが証明された。Krt6bは、ケラチンファミリーに属し、角質細胞の分裂速度を特徴づけ、創傷治癒の典型的なマーカーであり、アトピー性皮膚炎及び魚鱗癬等の皮膚疾患においてこの遺伝子がアップレギュレーションされる。TXNRD1は、チオレドキシン還元酵素をコードし、典型的な抗酸化遺伝子であり、Nrf2転写因子により調節される。FGFBP1は、線維芽細胞成長因子結合タンパク質をコードし、皮膚細胞の分裂の調節に関与し、創傷治癒及び血管形成に関係がある。MT2Aは、金属結合タンパク質であり、細胞増殖を促進することができ、その発現量の変化が皮膚瘢痕の形成に関連していることが発現された。CD9は、細胞表面タンパク質であり、細胞内のシグナル伝達を介して多くの生物学的過程、例えば、創傷治癒に関与する。AREGアンフィレグリンは、炎症性表皮過形成及び皮脂腺肥大の過程において作用を発揮し、また、PM2.5の影響により、ヒト呼吸器上皮細胞での発現量がアップレギュレーションされることが報告されている。LAMラミニンは、創傷治癒及び宿主防御に関与する。ITGインテグリンは、皮膚細胞の接着を媒介し、創傷治癒及び炎症反応のいずれにも密接に関連しており、皮膚が機械的圧力又は外界損傷を受けた条件下で活性化されて皮膚の恒常性を維持する。本発明者らは、S100A8、S100A9、Krt6b、TXNRD1、FGFBP1、MT2A、CD9、AREG、ITGB1、LAMB3、LAMA3がPM2.5に刺激された角質細胞においてアップレギュレーションされることを初めて発見した。
〔実施例4〕
PM2.5で処理したケラチノサイトの機能注釈及び細胞経路分析。
Metascape(http://metascape.org/gp/index.html#/main/step1)は、バイオインフォマティクス分析に用いられ、遺伝子転写レベルの生データを要約して可視化することができる。PM2.5の刺激に応答する独特な経路及びタンパク質ネットワークをより深く理解するために、本発明者らは、オンラインデータベースMetascapeにより遺伝子を顕著にアップレギュレーション及びダウンレギュレーションする遺伝子本体(GO)分子アイテム(生物学的プロセス、分子機能及び細胞内局在)及びKEGG経路を分析した(http://metascape.org/gp/index.html#/main/step1)。
バイオインフォマティクス分析により、遺伝子変化に係る生化学経路、遺伝子発現最終生成物の細胞内局在及び特定の疾患の関連性などの情報を得ることができる。この分析に用いられるデータは、PM2.5で処理した後、対照群と比較して顕著にアップレギュレーションされた遺伝子(padj<0.001)である。結果を図2(上位20のGOアイテム及び経路)に示す。最も濃縮したGOアイテムは、コレステロールの生合成過程(GO:0006695)であり、PM2.5が皮膚におけるコレステロールの生合成に影響を与える可能性が極めて高いか、又はPM2.5がコレステロールの代謝と直接関連することを示している。また、リポタンパク質粒子(GO:0055094)に対する反応も最も豊富なアイテムの一つであり、さらに、PM2.5と細胞におけるコレステロールの代謝との間の密接な関係を示している。また、炎症関連経路、例えば、IL−17シグナル伝達経路(hsa04657)、インターロイキン−10シグナル伝達(R−HSA−6783783)も高度に濃縮した。さらに、創傷治癒の反応(GO:0009611)、創傷治癒の調節(GO:0061041)も上位20にあり、皮膚炎症反応の励起を示している。アポトーシスプロセスのポジティブ調整(GO:0043065)及び細胞酸化剤解毒(GO:0098869)経路は、PM2.5が細胞アポトーシス及び細胞内酸化クリアランスを防御反応として誘導できることを示している。
要するに、機能注釈分析により、コレステロール生合成経路、炎症、酸化ストレス経路及び密接に関連するアポトーシス経路は、PM2.5で処理したケラチノサイトにおいて最も顕著に活性化される経路であり、PM2.5に直接関連する(図2)。GO分析は、PM2.5で処理した角質細胞のコレステロール代謝が異常であることを示している。これは、脂質が細胞膜の主成分であり、角質層の重要な組成部分でもあり、皮膚バリアの正常機能の維持にとって非常に重要であるためである。これは、PM2.5がコレステロールの代謝経路を変化させ、コレステロールの正常代謝に影響を与え、角質層の変化をもたらし、皮膚のバリア機能を破壊する可能性があることを示している。
トランスクリプトミクス結果によると、「コレステロールの生合成過程」及び「応答性リポタンパク質粒子」は、GO分析において最も顕著に多いアイテムにある。このアイテムに係る変化遺伝子をさらに詳しく分析した。コレステロール代謝に関連する遺伝子を表4に示し、PM2.5の刺激下で対照と比べた発現レベルの変化を図3に示す。コレステロールの生合成経路を図6に示す。図3、表4及び図6に示すように、PM2.5は、コレステロール代謝経路における直接物質の含有量を顕著に変化させ、コレステロール代謝経路における主要酵素の変化に間接影響を与えることにより、経路全体の変化を引き起こし、最終的には、コレステロールの含有量をアップレギュレーションする(処理なしの対照正常角質層細胞に対して)。これは、PM2.5が角質層におけるコレステロールの代謝と直接に関連することをより証明し、本発明の新しい発見である。
一般には、図6に示すように、コレステロールの代謝過程は、3つの段階に分けられる。まず、アセチルCoAがメバロン酸を形成する。次いで、2種類のメバロン酸をイソプレンに縮合した後、スクアレンを形成する。最後に、スクアレンがコレステロールに変換する。コレステロール及び脂肪酸の合成は、同じ前駆体アセチルCoAから始まり、アセチルCoAは、糖、タンパク質及び脂質の分解代謝に由来する。
PM2.5が誘導した遺伝子の中で、13個の遺伝子が顕著にアップレギュレーションされ、表4、図3及び図6に示すように、ACLY、ACSS2はアセチルCoAの生成に関与する。HMGCS1、HMGCRは、コレステロール代謝の第1段階に関与する。MVD、FDFT1は、コレステロール代謝の第2段階に関与する。LSS及びSQLEは、コレステロール代謝の第3段階でスクアレンからのラノステロールの合成に関与する。LDLRコーディング及びコレステロール−低密度リポタンパク質(LDL)のキャリアに結合したタンパク質受容体は、コレステロールが細胞に入ることに対して極めて重要である。従って、PM2.5の刺激により、これらの遺伝子のアップレギュレーションは、コレステロール代謝の増加を引き起こす可能性がある。図3から分かるように、13個の遺伝子が顕著にアップレギュレーションされ、コレステロールの合成経路に影響を与え、最終的にはコレステロールが正常よりも高くなった。さらに、INSIG1は、皮膚においてコレステロールの代謝を調節する重要な作用を発揮し、転写因子SREBP/SCAP(コレステロール及び脂肪酸合成の調節因子)及びHMG−CoAレダクターゼ(コレステロール代謝律速酵素)の転写を調節することにより、皮膚におけるコレステロールの定常状態を維持する。FASNは、他のバリア脂質脂肪酸の合成律速酵素として、コレステロールの合成に密切な関係があることが証明されており、FASN活性のアップレギュレーションは、アセチルCoAを調節することによりコレステロールの産生を促進することができる。これは、遺伝子レベル、酵素レベル及び基質レベルのいずれにおいても、PM2.5は、遺伝子レベルの発現、酵素の活性若しくは数、又は基質の数を変化させることにより,最終的には、コレステロールの含有量は対照に対して増加することをさらに証明しており、これによって、皮膚バリアの損害は、PM2.5と直接関連することを証明した。別の観点から、外部の活性物質は、13個のアップレギュレーション遺伝子のうちのいくつかを逆転、例えば、ダウンレギュレーションすること、酵素の活性を低下させること、又は前駆体物質若しくは基質を減少若しくは増加させることができる場合、これらの変化により、最終的にコレステロールのレベルが正常状態となることができ、これらの活性物質は、有効な物質である。
〔実施例5〕
PM2.5の刺激によるケラチノサイトにおけるmRNA発現(転写レベル)に対する緑茶抽出物の影響
GTE(0.6%)+PM2.5(50μg/mL)でケラチノサイトを24時間処理した後、実施例3の方法によりRNAを抽出し、シーケンシングした。
PM2.5及びGTE緑茶抽出物(茶ポリフェノール)を用いて細胞を処理した結果、PM2.5のケラチノサイト転写レベルに対する影響を効果的に逆転することができる。具体的な結果を表5(表5−1〜表5−4)に示し、PM2.5による細胞処理と比較して、GTEの添加により22個の遺伝子が顕著にアップレギュレーションされ、52個の遺伝子が顕著にダウンレギュレーションされ、これらの遺伝子の変化は、多くの代謝過程の変化に関与する。
緑茶抽出物(茶ポリフェノール)は、複数の炎症反応に密接に関連する経路に影響を与え、係る顕著にダウンレギュレーションされた遺伝子の中で、IL−1aは、周知の炎症のマーカーとしてニキビの発生に密接に関連している。matrix metalloproteinases−1(MMP−1)は、コラーゲン分解バイオマーカーとして熱条件又は紫外線、圧力の条件下で誘導する。多くの熱ショックタンパク質ファミリー(HSP)は、heat shock protein 90 alpha family class A member 1 (HSP90AA1)、heat shock protein family A (HSP70) member 8 (HSPA8)を含み、その発現は、異なる圧力又は外部刺激の影響下で活性化され、皮膚に対して保護作用を奏する。S100A9 (calgranulin B or MRP−14)は、損傷に密接に関連するモデル分子であり、多くの炎症性皮膚疾患においてアップレギュレーションされる。従って、緑茶抽出物(茶ポリフェノール)は、主にPM2.5に起因する炎症反応を緩和する。
緑茶抽出物は、上記遺伝子に対する調節作用は、従来技術に記載されている。しかし、本発明者らは、PM2.5で細胞を処理した条件下で緑茶抽出物(茶ポリフェノール)を投与することでコレステロール代謝経路におけるHMGCS1、LDLR及びFASNの発現を顕著にダウンレギュレーションできることを初めて発見した(図4)。これらの遺伝子は、PM2.5で処理した条件下のみで顕著にアップレギュレーションされる(表3)。これは、緑茶抽出物(茶ポリフェノール)の細胞に対する保護作用もPM2.5のケラチノサイトコレステロール代謝に対する悪影響を逆転することで、コレステロール代謝を安定した状態に維持することである。また、茶ポリフェノールは皮膚角質層におけるコレステロールの合成に対する微粒子の影響も証明され得る。これについて後述する。また、本発明者らは他の由来源に由来のポリフェノール物質(植物(茶葉、リンゴ等)抽出物、微生物発酵、動物由来)を用いて類似する実験を行った結果、表3に記載のPM2.5刺激条件下での特定の遺伝子の発現レベルを逆転することができ、そのうち、主にHMGCS1、LDLR及びFASNの発現に対してダウンレギュレーション作用を有することを発見した(具体的な実験データを省略)。これも、図3に示される遺伝子の発現レベルをダウンレギュレーションすることができる物質は、いずれも皮膚に対するPM2.5の悪影響を逆転することができることを証明しており、コレステロールを正常レベルに維持することに有利である。また、別の側面から、コレステロールの合成代謝経路に関連する物質が変化すると、少なくともこのような変化は皮膚に対する微粒子の悪影響に起因することが証明することができ、皮膚に対する微粒子の悪影響の新しい証拠になれる。これは、コレステロールの代謝経路に関与する物質が多くあり、影響因子も極めて複雑であり、角質層のコレステロールの代謝を分析する際に、少なくともPM2.5の影響を可能性の一つとすることができるためである。これによって、皮膚に対するPM2.5の悪影響を対抗する活性物質を開発又はスクリーニングすることができ、このような活性物質を用いて微粒子物質、例えば、PM2.5による皮膚の損傷を改善又は修復する。
〔実施例6〕
PM2.5で処理した表皮組織モデルからのコレステロール及びスクアレンの抽出
皮膚におけるコレステロールの合成に対する微粒子の影響を検討するために、本発明は、3D表皮組織モデル(Epikutis PM1011,Biocell,Guangdong,China)を用いてEpiGrowth培地(PY1021,Biocell,Guangdong,China)中で37℃、5%COの条件下で合成に対する影響を研究した。
3D表皮組織を4日発育させた後、それをPM2.5(50μg/mL)又はGTE(0.6%)+PM2.5(50μg/mL)を含む培地中でそれぞれ2、4、6日培養した。処理なしの群を対照群とする。培地の総体積は0.9mL/孔であり、培地を毎日交換した。
異なる時点(2、4、6日目)に3D−ETMサンプルを回収し、培地を捨て、表皮組織表面から余分な培地を慎重に擦り除いた後、−20℃で保存し、各条件について3回繰り返した。ブレードを用いて培養ウェルの側面から3D−ETSを慎重に分離し、そしてサンプルを100μLプロテアーゼK(Ambion)により55℃で30分間消化した。同じ条件下で培養したサンプルを合わせ、氷水浴中で有機溶媒(クロロホルム:メタノール=2:1)で超音波処理することで脂質成分を抽出した。次いで、サンプルを窒素ガスの雰囲気で乾燥させ、−80℃で保存し、LC−MSにより脂質含有量を分析した。
LC−MSにおいて、液体クロマトグラフィーにはC18、1.8μM、100x2.1mmのグラムを備え、脂質サンプルを移動相に再溶解し、注入量を1μLとした。このシステムにおいて、1100バイナリポンプを:A.アセトニトリル:イソプロパノール=1:9v/v、0.1%ギ酸及びB.水:アセトニトリル=4:6v/v、0.1%ギ酸の2つの移動相に接続し、流速を0.5ml/minとした。移動相の連続手順は次のとおりである。Bは、線形勾配(99%から50%)で7分間持続し、Bは、線形勾配(50%から1%)で3分間持続し、Bは、アイソクラティック溶出(1%)で3分間持続し、最後に、Bは、アイソクラティック溶出(99%)で3分間持続することにより、グラムを平衡させる。Orbitrap MSのパラメータは、陽性モード、スプレー電圧=4000V、ガス圧力1=30psi、ガス圧力2=10psi、走査範囲=150−1000m/zである。Progenesis QIを用いて分析した。
結果を図5A及び図5Bに示す。3D皮膚モデルを用いてトランスクリプトミクス結果を検討し、PM2.5の刺激下でヒト皮膚の変化をシミュレートし、異なる処理時点で皮膚におけるコレステロール及び中間生成物スクアレンの含有量を検出した。図5Aに示すように、PM2.5で2日刺激した後、皮膚におけるコレステロールの含有量は、最高値に達し、対照群に対して約2.3倍高くなったが、その後、コレステロールの含有量は、減少し始め、6日目に対照群に近い値になった。コレステロールの前駆体物質については、時間の経過とともに下降傾向にある。これは、コレステロールの代謝経路において一部の遺伝子の発現が顕著にアップレギュレーションされることで、コレステロールの代謝経路が影響され、最終的にコレステロール含有量の増加が引き起こされることをさらに証明した。
また、PM2.5で3D皮膚モデルを処理すると同時にGTEを加えることにより、コレステロール含有量の増加を顕著に抑制することができる。例えば、図5Bに示すように、ブランク対照では、コレステロールの含有量は基本的に変化しなかったが、PM2.5の作用下でいずれも対照処理よりも高くなり、2日目に含有量の増加幅が最も大きくなり、続いて少し落ちたのに対して、PM2.5及びGTEで同時に処理することにより、コレステロールの含有量は正常レベル(少なくとも対照処理の正常レベルに近い)まで顕著に抑制された。これは、コレステロールの含有量を指標とする場合、ポリフェノール物質が皮膚に対するPM2.5の悪影響を効果的に逆転及び改善できることを証明している。
上記実験結果から分かるように、PM2.5が皮膚に接触した後、コレステロール代謝過程の誘導に関連する酵素が大量に発現し、2日目に皮膚におけるコレステロールの含有量が顕著に増加し、GTEはこの傾向を顕著に抑制することができ、また、処理後の2日目又は6日目にも関わらず、GTE処理群の皮膚組織におけるコレステロールの含有量はいずれも大きな変動が発生しなかった。これは、コレステロールの合成経路に対するPM2.5の悪影響下であっても、ポリフェノール物質がコレステロールの含有量を正常レベルに維持できることを示しており、ポリフェノール物質は、皮膚角質層に対する微粒子物質の悪影響を顕著に改善又は逆転する作用を有することを証明した。当業者は、ポリフェノール物質が皮膚角質層をPM2.5から保護することができることを容易に想到することができる。
また、スクアレンは、コレステロール代謝過程における重要な中間生成物として、皮膚において環境汚染レベルを示す重要なマーカーであることが証明された。このため、本発明者らは、3D皮膚モデルを用いてPM2.5処理下でのスクアレンの含有量についても検出した。図5Aの結果から分かるように、PM2.5の刺激下で、スクアレンの変化傾向はコレステロールと反対し、対照群に対して含有量が減少した。これは、コレステロールがスクアレンを直接前駆体物質とするため、コレステロールの含有量が増加すると、スクアレンの含有量が減少すると考えられる。
本明細書に説明された本発明は、本明細書に具体的に開示された要素および制限のいずれもなしで実施することができる。本明細書で用いられる用語及び表現は、説明のためのものであり、制限するものではなく、これらの用語および表現の使用において、図示および説明された特徴の同等物、またはその同等物を使用することを意図するものではなく、本発明の範囲内で様々な修正が可能であることを理解されたい。したがって、本発明は、本発明の様々な実施形態および特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に記載された概念の修正および変更は、当業者によって採用され得、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあることが意図される。
本明細書に記載または引用されている記事、特許、特許出願、および他のすべての文書および電子的に入手可能な情報の内容は、個々の出版物が参照用に具体的かつ個別に示されているように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。出願人は、このような記事、特許、特許出願、またはその他の文書からのすべての資料および情報をこの出願に組み込む権利を留保する。

Claims (18)

  1. 皮膚に対する微粒子物質の悪影響を改善可能な試薬の製造におけるポリフェノール物質の使用。
  2. 前記ポリフェノール物質は、植物、微生物発酵生成物、哺乳動物に由来する、請求項1に記載の使用。
  3. 前記植物は、茶葉である、請求項2に記載の使用。
  4. 前記ポリフェノール物質は、茶ポリフェノールである、請求項3に記載の使用。
  5. 前記微粒子は、PM2.5である、請求項1に記載の使用。
  6. 前記皮膚に対する微粒子物質の悪影響は、皮膚角質層に対する微粒子の影響を含む、請求項1に記載の使用。
  7. 前記皮膚角質層に対する微粒子の影響は、角質層におけるコレステロール代謝関連物質に対する微粒子の影響を含む、請求項6に記載の使用。
  8. 前記コレステロール代謝関連物質は、コレステロール代謝調節に関与する遺伝子を含む、請求項7に記載の使用。
  9. 前記コレステロール代謝関連物質は、コレステロール代謝経路に関与する酵素を含む、請求項8に記載の使用。
  10. 前記コレステロール代謝関連物質は、コレステロールの合成初期段階又は合成ステップにおけるいくつかの基質又は前駆体物質を含む、請求項8に記載の使用。
  11. 前記遺伝子は、ACLY、ACSS2、HMGCR、HMGCS1、MVD、MSMD1、FDFT1、SQLE、LSS、LDLR、SCD、FASN、INSIGLのうちの1つ又は複数の遺伝子を含む、請求項8に記載の使用。
  12. 前記遺伝子は、HMGCS1、LDLR又はFASNである、請求項11に記載の使用。
  13. 前記酵素は、ATPクエン酸リアーゼ、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼ、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAシンターゼ1、メバロン酸二硫酸デカルボキシラーゼ、メチルステロールモノオキシゲナーゼ1、ファルネシル−二硫酸ファルネシルトランスフェラーゼ1、スクアレンエポキシダーゼ、ラノステロールシンターゼ、ステアロイルCoAデサチュラーゼ又は脂肪酸合成酵素のうちの1種又は複数種を含む、請求項9に記載の使用。
  14. 前記基質又は前駆体物質は、酢酸塩、クエン酸塩、アセチルCoA、アセトアセチルCoA、β−ヒドロキシ−β−メチルグルタリルCoA(HMG−CoA)、メバロン酸、メバロン酸5−リン酸、メバロン酸5−ピロリン酸、イソペンテニル二リン酸、イソペンテニルピロリン酸、ファルネシルピロリン酸、2,3−エポキシ化スクアレン、スクアレン、ラノステロール、低密度リポタンパク質、低密度リポタンパク質受容体のうちの1種又は複数種を含む、請求項10に記載の使用。
  15. 前記コレステロール代謝関連物質は、コレステロールである、請求項8に記載の使用。
  16. 前記試薬は、パーソナルケア製品試薬である、請求項1に記載の使用。
  17. 前記微粒子は、大気中の微粒子である、請求項1に記載の使用。
  18. 前記パーソナルケア製品試薬は、スキンケア製品、化粧品、清潔用品を含む、請求項16に記載の使用。
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