JP2020065479A - 細胞画像解析方法、細胞画像解析プログラム、及び細胞画像解析装置 - Google Patents

細胞画像解析方法、細胞画像解析プログラム、及び細胞画像解析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】細菌の種類を同定したり、細菌の薬剤感受性を調べたりするために、細菌の面積変化だけでなく細菌の形状の情報や分布の情報を用いることができる方法の提供。【解決手段】細胞の画像を取得する画像取得過程と、画像取得過程において取得された画像のフラクタル次元を算出する算出過程と、算出過程において算出されたフラクタル次元に基づいて画像に撮像されている細胞の状態を判定する判定過程とを備える方法、細胞画像解析プログラム、及び細胞画像解析装置。【選択図】図4

Description

本発明は、細胞画像解析方法、細胞画像解析プログラム、及び細胞画像解析装置に関する。
細菌の形状や増殖の状態、また薬剤を加えたときに細菌に生じる現象に基づいて、細菌の種類を同定したり、細菌の薬剤感受性を調べたりすることが行われている。例えば、細菌の大きさや形態、凝集体の様子を観察することや、特定の薬剤を加えたときの細菌の増殖の有無に基づいて、細菌の種類を同定することができる。また、薬剤の濃度を様々に変えて細菌の増殖の有無を観察することにより、その薬剤における細菌の感受性度合を調べることもできる。
従来、顕微鏡観察において細菌の増殖の有無を観察するために、顕微鏡画像における細菌の画像の面積の変化を検出する方法が用いられている。また、細菌が撮像されている画像のフラクタル次元を算出することにより、細菌の増殖の様子を捉える方法も提案されている(特許文献1)。しかし、同文献には、面積の変化からわかる情報がフラクタル次元でも捉えられることが記載されているにすぎず、同文献は、面積に代えてフラクタル次元を用いることを提案するものである。
特表2014−504882号公報
しかしながら、面積変化のみに基づいた顕微鏡画像の解析では、細菌が分裂して増殖し細菌の数が増加することにより細菌の画像の面積が増加する場合と、細菌が伸びるなどして細菌の個体毎の面積が増加する場合とを判別することができない。また、同じ面積の場合、細菌が凝集しているのか、分散しているのかも判別できない。細菌はその種類により形態や増殖の様子が異なり、特定の薬剤に対する反応も固有である。そのため、細菌の種類を同定したり、細菌の薬剤感受性を調べたりするために、細菌の面積変化だけでなく細菌の形状の情報や分布の情報を用いることが有益である。また細菌の種類や薬剤感受性の情報は、医療における迅速な病原体の検出や細菌を使った食品などにおける迅速な品質管理において重要であることから、細菌の形状の情報や分布の情報もより高速に求めることが求められている。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、細胞の形状の情報や分布の情報を高速に求めることができる細胞画像解析方法、細胞画像解析プログラム、及び細胞画像解析装置を提供する。
本発明の一実施態様は、細胞の画像を取得する画像取得過程と、前記画像取得過程において取得された前記画像のフラクタル次元を算出する算出過程と、前記算出過程において算出された前記フラクタル次元に基づいて前記画像に撮像されている細胞の状態を判定する判定過程とを備える細胞画像解析方法である。
本発明の一実施態様は、コンピュータに、細胞の画像を取得する画像取得ステップと、細胞が撮像された画像を取得する画像取得ステップと、前記画像取得ステップにおいて取得された前記画像のフラクタル次元を算出する算出ステップと、前記算出ステップにおいて算出された前記フラクタル次元に基づいて前記画像に撮像されている細胞の状態を判定する判定ステップとを実行させるための細胞画像解析プログラムである。
本発明の一実施態様は、細胞の画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部によって取得された前記画像のフラクタル次元を算出するフラクタル次元算出部と、前記フラクタル次元算出部によって算出された前記フラクタル次元に基づいて前記画像に撮像されている細胞の状態を判定する判定部と、を備える細胞画像解析装置である。
本発明の第1の実施形態に係る第1細胞画像の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る第2細胞画像の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る細胞画像解析装置の構成の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る細胞画像解析装置の処理の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るフラクタル次元の算出方法の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るフラクタル次元の算出結果の第1例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るフラクタル次元の算出結果の第2例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るフラクタル次元の時間変化の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るフラクタル次元の算出方法の第2例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る第1の半径をもつ円を用いた相関積分の算出の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る第2の半径をもつ円を用いた相関積分の算出の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る第3の半径をもつ円を用いた相関積分の算出の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る第4の半径をもつ円を用いた相関積分の算出の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る第5の半径をもつ円を用いた相関積分の算出の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るフラクタル次元の算出結果の第3例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る細胞画像解析装置の構成を示す概略ブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る細胞画像解析装置の処理の一例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る異なる菌種に対するフラクタル次元の時間変化の一例を示す図である。 従来の方法による細胞の面積の時間変化の一例を示す図である。 従来の方法による異なる菌種に対する面積の時間変化の一例を示す図である。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る第1細胞画像P10の一例を示す図である。第1細胞画像P10とは、位相差顕微鏡により第1細胞がタイムラプス撮影された画像である。第1細胞とは、一例として、アンピシリン(ABPC)が1μg/mLだけ加えられた大腸菌である。第1細胞C1とは、第1細胞が撮像された画像である。
第1拡大細胞画像P11は、第1細胞画像P10の第1領域R1を拡大して得られる画像である。拡大された第1細胞C1から、第1細胞が分裂して増加していることがわかる。
なお、本実施形態において細胞画像とは、撮像された細胞の像が画素の集まりによって表現されたもののことである。
図2は、本実施形態に係る第2細胞画像P20の一例を示す図である。第2細胞画像P20とは、位相差顕微鏡により第2細胞がタイムラプス撮影された画像である。第2細胞とは、一例として、アンピシリン(ABPC)が2μg/mLだけ加えられた大腸菌である。第2細胞C2とは、第2細胞が撮像された画像である。
第2拡大細胞画像P21は、第2細胞画像P20の第2領域R2を拡大して得られる画像である。拡大された第2細胞C2から、第2細胞C2では伸長した細胞が第1細胞C1より多いことがわかる。
図3は、本実施形態に係る細胞画像解析装置2の構成の一例を示す図である。
画像供給部1は、細胞画像解析装置2に細胞画像を供給する。画像供給部1とは、例えば、位相顕微鏡の撮像部である。
細胞画像解析装置2は、画像供給部1が供給する細胞画像のフラクタル次元に基づいて、この細胞画像に撮像されている細胞の成長の状態を判定する。
提示部3は、細胞画像解析装置2が判定した結果を提示する。提示部3とは、例えば、ディスプレイである。
[細胞画像解析装置の構成]
細胞画像解析装置2の具体的な構成について説明する。細胞画像解析装置2は、画像取得部20と、画像処理部21と、フラクタル次元算出部22と、状態判定部23と、判定結果出力部24とを備える。
画像取得部20は、画像供給部1が供給する細胞画像を取得する。画像取得部20は、取得した細胞画像を画像処理部21に供給する。
画像処理部21は、画像取得部20が供給する細胞画像から、二値化処理により二値化された細胞画像を生成する。画像処理部21は、生成した二値化された細胞画像をフラクタル次元算出部22に供給する。
フラクタル次元算出部22は、画像処理部21から取得した二値化された細胞画像のフラクタル次元を算出する。フラクタル次元算出部22がフラクタル次元を算出する具体的な方法については後述する。フラクタル次元算出部22は、算出したフラクタル次元を状態判定部23に供給する。
状態判定部23は、フラクタル次元算出部22から取得したフラクタル次元に基づいて細胞画像に撮像されている細胞の状態を判定する。ここで、細胞の状態とは、例えば、細胞の分裂、細胞の大きさ、細胞の凝集若しくは分散などである。状態判定部23は、例えば、細胞画像に撮像されている細胞が分裂して増加しているのか、伸長しているのかを判定する。
状態判定部23は、判定した結果を判定結果出力部24に供給する。
判定結果出力部24は、状態判定部23が判定した結果を提示部3に供給する。
[細胞の成長の状態の判定処理]
細胞画像解析装置2の処理の詳細について説明する。
図4は、本実施形態に係る細胞画像解析装置2の処理の一例を示す図である。
画像取得部20は、画像供給部1が供給する細胞画像を取得する(ステップS100)。画像取得部20は、取得した細胞画像を画像処理部21に供給する。
画像処理部21は、画像取得部20が供給する細胞画像を取得する。画像処理部21は、取得した細胞画像に対して二値化処理を行う(ステップS101)。画像処理部21は、既知の二値化処理により二値化された細胞画像を生成する。画像処理部21は、生成した二値化された細胞画像をフラクタル次元算出部22に供給する。
フラクタル次元算出部22は、画像処理部21が供給する二値化された細胞画像を取得する。フラクタル次元算出部22は、取得した二値化された細胞画像のフラクタル次元を、画像取得部20が取得した細胞画像のフラクタル次元として算出する(ステップS102)。フラクタル次元算出部22は、細胞画像を構成する複数の部分領域のうち、細胞の画像(第1細胞C1、第2細胞C2)が存在する部分領域の数に基づいてフラクタル次元を算出する。フラクタル次元算出部22は、算出したフラクタル次元を状態判定部23に供給する。
ここで、図5〜図7を参照し、フラクタル次元算出部22のフラクタル次元の算出方法の詳細について説明する。
[フラクタル次元の算出方法]
図5は、本実施形態に係るフラクタル次元の算出方法の一例を示す図である。
フラクタル次元算出部22は、一例として、ボックス次元をフラクタル次元として算出する。ここでボックス次元とは、ボックス次元を求める対象である図形を含む空間を所定のサイズをもつ格子に分割するとき、この格子のうち、ボックス次元を求める対象である図形の一部を含む格子の数がいくつになるかを考えるものである。
フラクタル次元算出部22は、一例として、ボックスカウント法を用いてボックス次元を算出する。なお、フラクタル次元算出部22は、後述するように相関次元を用いてフラクタル次元を算出してもよい。つまり、ステップS102の算出過程において、フラクタル次元算出部22は、ボックスカウント法又は相関次元によりフラクタル次元を算出する。
ここでフラクタル次元を算出する際の計算速度は、ボックス次元を算出する場合の方が、その他の方法によって算出する場合に比べて速い。その他の方法とは、例えば、相関次元を算出する方法である。相関次元を算出する方法については後述する。つまり、フラクタル次元を算出する際、ボックス次元は計算速度の点で他の方法に比べて有利である。
画像P51のフラクタル次元を求める場合を例として、ボックスカウント法について説明する。画像P51は1辺の長さが200の正方形の画像であり、二値化された正方形による格子模様が描かれている。
画像P51の1辺の2分の1倍の長さをもつ正方形の部分領域により画像P51を分割し、画像P52を得る。画像P52は4つの正方形の部分領域に分割されている。これらの4つの正方形の部分領域のうち、白の画素が含まれている正方形の部分領域(ボックス)の個数を数える。正方形の部分領域の1辺の長さを長さδとし、白の画素が含まれている正方形の部分領域の個数を個数N(δ)とする。画像P52では、長さδは100、個数N(δ)は4となる。
同様に画像P52の1辺の2分の1倍の長さをもつ正方形の部分領域により画像P52を分割し、画像P53を得る。画像P53では、長さδは50、個数N(δ)は16となる。
同様に画像P53の1辺の2分の1倍の長さをもつ正方形の部分領域により画像P53を分割し、画像P54を得る。画像P54では、長さδは25、個数N(δ)は32となる。
ボックスカウント法では、部分領域の面積が1個の細胞の面積より小さくなるまで以上の操作を繰り返す。以上の操作を繰り返した結果、長さδと個数N(δ)との複数の組が得られる。個数N(δ)の対数を、長さδの対数にマイナス1を乗じた数に対して描いたグラフを、直線により近似する。ボックスカウント法では、この直線の傾きをフラクタル次元(ボックス次元)として求める。
上述したように、ボックスカウント法では、画像を二値化する工程と、二値化された画像を部分領域に分割する工程と、分割された部分領域内の二値化に用いられる二値のうちの一方の値に対応する画素を数える工程と、を含む。ボックスカウント法では、部分領域の面積が一細胞の画像の面積より小さくなるまで、分割する工程と、数える工程とを繰り返す。
フラクタル次元の算出結果の具体例について説明する。
図6は、本実施形態に係るフラクタル次元の算出結果の第1例を示す図である。図6では、ボックスカウント法を用いて画像P61のフラクタル次元を算出した例である。画像P61の1辺の長さは200である。画像P61を部分領域に分割してゆき得られた長さδと個数N(δ)との複数の組から、グラフG61が描かれる。ただし、図6に示す例では、グラフG61が原点を通るように縦軸を調整している。グラフG61を直線L61により近似すると、直線の傾きは1.7857となる。したがって、画像P61のフラクタル次元は、1.7857となる。
図7は、本実施形態に係るフラクタル次元の算出結果の第2例を示す図である。図7では、ボックスカウント法を用いて画像P71のフラクタル次元を算出した例である。画像P71の1辺の長さは200である。画像P71を部分領域に分割してゆき得られた長さδと個数N(δ)との複数の組から、グラフG71が描かれる。ただし、図7に示す例では、グラフG61が原点を通るように縦軸を調整している。グラフG71を直線L71により近似すると、直線の傾きは1.5714となる。したがって、画像P71のフラクタル次元は、1.5714となる。
画像P61(図6)の白い画素が占める面積と画像P71(図7)の白い画素が占める面積とは等しいが、フラクタル次元は異なっている。画像P61(図6)と画像P71(図7)とを比較すると、画像P61(図6)の方が白い画素はより均一に散らばっている。白い画素が均一に散らばっている画像P61(図6)の方が、画像P71(図7)よりもフラクタル次元は大きくなる。
ここで、フラクタル次元算出部22が細胞画像のフラクタル次元を算出した結果について説明する。
図8は、本実施形態に係るフラクタル次元の時間変化の一例を示す図である。
フラクタル次元算出部22は、細胞画像のフラクタル次元を、位相差顕微鏡により第1細胞または第2細胞がタイムラプス撮影されてからの所定時間毎に算出する。図8では、一例として、位相差顕微鏡により細胞画像がタイムラプス撮影されてから360分が経過するまでの細胞画像のフラクタル次元が所定時間毎に示されている。第1グラフG81は第1細胞C1のフラクタル次元を示す。第2グラフG82は第2細胞C2のフラクタル次元を示す。
領域R80では、第1グラフG81が示すフラクタル次元と、第2グラフG82が示すフラクタル次元とに有意な差がみられる。領域R80は、位相差顕微鏡によりタイムラプス撮影が開始されてから240分程度が経過した時間から360分程度が経過した時間までの期間に対応する。フラクタル次元を比較すると、第1細胞と第2細胞との間に有意な差がみられる。
ただし、タイムラプス撮影が開始されてから240分程度までは、フラクタル次元の差は、第1細胞C1と、及び第2細胞C2との初期条件の違いの影響を受けていると考えられる。タイムラプス撮影が開始されてから240分程度が経過した時間では、第1細胞C1、及び第2細胞C2への初期条件の違いの影響は無視できると考えられる。つまり、領域R80では、第1細胞の状態と第2細胞の状態との間の違いがフラクタル次元の差として現れていると考えられる。
ここで本実施形態との比較のために、図19を参照し、図1の第1細胞C1の面積と、図2の第2細胞C2の面積とを比較する。
図19は、従来の方法による細胞の面積の時間変化の一例を示す図である。第3グラフG191とは、位相差顕微鏡により第1細胞がタイムラプス撮影されてからの時間毎の第1細胞C1の面積を示すグラフである。第4グラフG192とは、位相差顕微鏡により第2細胞がタイムラプス撮影されてからの時間毎の第2細胞C2の面積を示すグラフである。
領域R19では、第3グラフG191が示す面積と、第4グラフG192が示す面積とに有意な差はみられない。領域R19は、位相差顕微鏡によりタイムラプス撮影が開始されてから240分程度が経過した時間に対応する。
したがって、分裂して増加している第1細胞の画像である第1細胞C1の面積と、伸長している第2細胞の画像である第2細胞C2の面積には有意な差はみられない。面積のみを測定したのでは、細胞が分裂して増加しているのか、伸長しているのかを区別することは難しい。
図4に戻って、細胞画像解析装置2の処理の説明を続ける。
状態判定部23は、フラクタル次元算出部22が算出した細胞画像のフラクタル次元を取得する。状態判定部23は、フラクタル次元算出部22が算出したフラクタル次元に基づいて細胞画像に撮像されている細胞の状態を判定する(ステップS103)。状態判定部23は、例えば、細胞の分裂、細胞の大きさ、細胞の凝集若しくは分散、および/または細胞の薬剤感受性を細胞の状態として判定する。
状態判定部23は、細胞画像のフラクタル次元と、閾値とを比較することにより細胞画像に撮像されている細胞の成長の状態を判定する。ここで、閾値は細胞の種類ごとに予め設定される。状態判定部23は、細胞画像のフラクタル次元が閾値よりも大きい場合、細胞画像に撮像されている細胞が分裂して増加している、もしくは分散していると判定する。一方、状態判定部23は、細胞画像のフラクタル次元が閾値よりも小さい場合、細胞画像に撮像されている細胞が伸長している、もしくは凝集していると判定する。
状態判定部23は、判定結果を判定結果出力部24に供給する。
判定結果出力部24は、状態判定部23から判定結果を取得する。判定結果出力部24は、取得した判定結果を提示部3に供給する。提示部3は、判定結果出力部24から供給される判定結果を出力する(ステップS104)。
なお、ステップS103の判定過程において、状態判定部23は、フラクタル次元に加え、細胞画像における細胞の画像の面積に基づいて細胞の状態を判定してもよい。
[まとめ]
以上に説明したように、本実施形態に係る細胞画像解析装置2の細胞画像解析方法は、画像取得過程(ステップS100)と、算出過程(ステップS102)と、判定過程(ステップS103)とを備える。
画像取得過程(ステップS100)では、細胞の画像を取得する。
算出過程(ステップS102)では、画像取得過程(ステップS100)において取得された細胞画像のフラクタル次元を算出する。
判定過程(ステップS103)では、算出過程(ステップS102)において算出されたフラクタル次元に基づいて細胞画像に撮像されている細胞の状態を判定する。
この構成により、本実施形態に係る細胞画像解析装置2の細胞画像解析方法では、細胞画像のフラクタル次元に基づいて細胞画像に撮像されている細胞の状態を判定することができるため、細胞の形状の情報や分布の情報を高速に求めることができる。このため、本実施形態に係る細胞画像解析装置2の細胞画像解析方法では、菌の薬剤耐性の確認をラべリング処理を行う場合に比べて短時間で行うことができる。本実施形態に係る細胞画像解析装置2の細胞画像解析方法では、菌の薬剤耐性の確認を、例えば6時間程度で行うことができる。
また、本実施形態に係る細胞画像解析装置2の細胞画像解析方法では、判定過程(ステップS103)では、フラクタル次元に加え、細胞の画像(第1細胞画像P10や第2細胞画像P20)における細胞(第1細胞C1や第2細胞C2)の画像の面積に基づいて細胞(第1細胞C1や第2細胞C2)の状態を判定する。
この構成により、本実施形態に係る細胞画像解析装置2の細胞画像解析方法では、細胞の画像における細胞の面積に基づいて細胞の状態を判定できるため、フラクタル次元のみに基づいて細胞の状態を判定する場合に比べて判定の精度を高めることができる。
また、本実施形態に係る細胞画像解析装置2の細胞画像解析方法では、判定過程(ステップS103)において、細胞の分裂、細胞の大きさ、細胞の凝集若しくは分散、および/または細胞の薬剤感受性を細胞の成長の状態として判定する。
この構成により、本実施形態に係る細胞画像解析装置2の細胞画像解析方法では、細胞画像のフラクタル次元に基づいて、細胞画像に撮像されている細胞の分裂、細胞の大きさ、細胞の凝集若しくは分散、および/または細胞の薬剤感受性を判定することができる。
また、本実施形態に係る細胞画像解析装置2の細胞画像解析方法では、算出過程(ステップS102)において、ボックスカウント法又は相関次元によりフラクタル次元を算出する。
この構成により、本実施形態に係る細胞画像解析装置2の細胞画像解析方法では、ボックスカウント法又は相関次元を用いない場合に比べてフラクタル次元の計算速度を速くできる。
また、本実施形態に係る細胞画像解析装置2の細胞画像解析方法では、ボックスカウント法は、画像(第1細胞画像P10や第2細胞画像P20)を二値化する工程と、二値化された画像(第1細胞画像P10や第2細胞画像P20)を領域(部分領域)に分割する工程と、分割された領域(部分領域)内の二値化に用いられる二値のうちの一方の値に対応する画素を数える工程と、を含み、領域(部分領域)の面積が一細胞の画像の面積より小さくなるまで、分割する工程と、数える工程とを繰り返す。
この構成により、本実施形態に係る細胞画像解析装置2の細胞画像解析方法では、領域(部分領域)の面積が一細胞の画像の面積より小さくなるまで繰り返さない場合に比べて、ボックス次元の算出の精度を高くできる。
[変形例]
なお、本実施形態では、フラクタル次元算出部22がボックスカウント法を用いて細胞画像のフラクタル次元を算出する場合について説明したが、フラクタル次元算出部22は、ボックスカウント法以外の方法を用いて細胞画像のフラクタル次元を算出してもよい。
フラクタル次元算出部22は、例えば、フラクタル次元として相関次元を算出してもよい。相関次元は相関次元法によって算出することができる。
ここでフラクタル次元を算出する際の計算速度は、相関次元を算出する場合の方が、上述したボックス次元を除けばその他の方法によって算出する場合に比べて速い。つまり、フラクタル次元を算出する際、相関次元は計算速度の点でボックス次元を除けば他の方法に比べて有利である。
相関次元法では、まず、式(1)を用いて、任意の点における半径rの超球に対して相関積分C(r)の値を計算する。
ここで、整数Mは、フラクタル次元を求める対象となる図形(図形Aと呼ぶ)を構成する点の数である。位置ベクトルP、及び位置ベクトルPは、図形Aを構成する点の位置を示す位置ベクトルである。式(1)では、図形Aを構成する任意の点を中心とする半径rの超球内に含まれる、図形Aを構成する点の数を数えている。式(1)では、この操作を、図形Aを構成する全ての点について、半径rの超球の中心となる点として選んでゆき、繰り返したときの和を規格化した値を算出している。本実施形態においては、半径rの超球は半径rの円である。
半径rの対数に対する相関積分C(r)の対数をグラフにしたときのグラフを直線により近似した場合の傾きが相関次元となる。ここで、図9を参照し、フラクタル次元として相関次元を算出する場合について説明する。
図9は、本実施形態に係るフラクタル次元の算出方法の第2例を示す図である。本実施形態に係るフラクタル次元では、細胞画像を二値化しラべリング処理した画像を用いて相関次元を算出する。ここでラべリング処理とは、細胞画像に撮像されている細胞の像を、細胞の個体に対応する領域に分ける処理である。分けられた各領域にはラベルが対応づけられる。ラベルが対応づけられた各領域について、代表点を決定する。ここで代表点は、例えばラベルが対応づけられた領域の重心である。
図9では、代表点PT1〜代表点PT5に対する相関積分を、円CR1〜円CR5を用いて算出する。円CR1の半径rの値は1である。円CR2の半径rの値は2である。円CR3の半径rの値は3である。円CR4の半径rの値は4である。円CR5の半径rの値は5である。
図10〜図14を参照し、図9の代表点PT1〜代表点PT5に対する相関積分の算出について説明する。
図10は、第1の半径をもつ円CR1を用いた相関積分の算出の一例を示す図である。着目点RP1を中心とする円CR1には、代表点が含まれていない。着目点RP2を中心とする円CR1には、代表点PT3が含まれている。着目点RP3を中心とする円CR1には、代表点PT2が含まれている。着目点RP4を中心とする円CR1には、代表点が含まれていない。着目点RP5を中心とする円CR1には、代表点が含まれていない。
従って、円CR1に含まれる代表点の数は2である。円CR1を用いた相関積分の値は0.08となる。
図11は、第2の半径をもつ円CR2を用いた相関積分の算出の一例を示す図である。着目点RP1を中心とする円CR2には、代表点が含まれていない。着目点RP2を中心とする円CR2には、代表点PT3が含まれている。着目点RP3を中心とする円CR2には、代表点PT2が含まれている。着目点RP4を中心とする円CR2には、代表点PT5が含まれている。着目点RP5を中心とする円CR2には、代表点PT4が含まれている。
従って、円CR2に含まれる代表点の数は4である。円CR2を用いた相関積分の値は0.16となる。
図12は、第3の半径をもつ円CR3を用いた相関積分の算出の一例を示す図である。着目点RP1を中心とする円CR3には、代表点PT4が含まれている。着目点RP2を中心とする円CR3には、代表点PT3が含まれている。着目点RP3を中心とする円CR3には、代表点PT2が含まれている。着目点RP4を中心とする円CR3には、代表点PT1と、代表点PT5とが含まれている。着目点RP5を中心とする円CR3には、代表点PT4が含まれている。
従って、円CR3に含まれる代表点の数は6である。円CR3を用いた相関積分の値は0.24となる。
図13は、第4の半径をもつ円CR4を用いた相関積分の算出の一例を示す図である。着目点RP1を中心とする円CR4には、代表点PT4が含まれている。着目点RP2を中心とする円CR4には、代表点PT3が含まれている。着目点RP3を中心とする円CR4には、代表点PT2と、代表点PT4とが含まれている。着目点RP4を中心とする円CR4には、代表点PT1と、代表点PT3と、代表点PT5とが含まれている。着目点RP5を中心とする円CR4には、代表点PT4が含まれている。
従って、円CR4に含まれる代表点の数は8である。円CR4を用いた相関積分の値は0.32となる。
図14は、第5の半径をもつ円CR5を用いた相関積分の算出の一例を示す図である。着目点RP1を中心とする円CR5には、代表点PT2と、代表点PT3と、代表点PT4と、代表点PT5とが含まれている。着目点RP2を中心とする円CR5には、代表点PT1と、代表点PT3と、代表点PT4とが含まれている。着目点RP3を中心とする円CR5には、代表点PT1と、代表点PT2と、代表点PT4とが含まれている。着目点RP4を中心とする円CR5には、代表点PT1と、代表点PT2と、代表点PT3と、代表点PT5とが含まれている。着目点RP5を中心とする円CR5には、代表点PT1と、代表点PT4とが含まれている。
従って、円CR5に含まれる代表点の数は16である。円CR5を用いた相関積分の値は0.64となる。
図15は、本実施形態に係るフラクタル次元の算出結果の第3例を示す図である。図10〜図14において説明した相関積分C(r)の算出結果を用いて、半径rの対数に対する相関積分C(r)の対数をグラフにするとグラフG151が得られる。グラフG151を直線L151により近似した場合、直線L151の傾きは1.1897である。代表点PT1〜代表点PT5を細胞の像が含んでいる細胞画像の相関次元は、1.1897となる。
なお、本実施形態においてフラクタル次元として相関次元を算出する場合においては、ラべリング処理を行う場合について説明をしたが、ラべリング処理を行わなくてもよい。ラべリング処理を行わない場合、相関次元は、例えば、細胞の画像に含まれる画素から所定の数だけ画素を選択し、選択された画素のうち細胞画像の部分領域に含まれる画素の数を数える。ここで所定の数は、例えば、部分領域の大きさの2乗に反比例する割合に基づいて決められる。
なお、本実施形態においては、細胞画像がタイムラプス撮影により生成される場合について説明したが、細胞の増殖が十分に進んでいれば、細胞画像はタイムラプス撮影によって生成されていなくてもよい。
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
上記第1の実施形態では、細胞画像解析装置は、フラクタル次元に基づいて細胞画像に撮像されている細胞の成長の状態を判定する場合について説明をした。本実施形態では、細胞画像解析装置が、フラクタル次元に基づいて細胞の種類を判定する場合について説明をする。本実施形態に係る細胞画像解析装置では、6時間程度の時間で薬剤感受性や細菌の種類の判定を行うことができる。
本発明者らは、分裂した細菌の連なりの仕方が菌種によって異なることに気がつき、細菌の積分面積が同一である場合であっても、分裂した細菌の連なりの仕方を定量的に表現できるフラクタル次元解析を適用することによって菌種同定が可能であることを見出した。
本実施形態に係る細胞画像解析装置を細胞画像解析装置2aという。本実施形態においては、細胞とは細菌のことである。
図16は、本実施形態に係る細胞画像解析装置2aの構成を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る細胞画像解析装置2a(図16)と第1の実施形態に係る細胞画像解析装置2(図3)とを比較すると、画像処理部21aと、菌種判定部23a、判定結果出力部24a、特徴量算出部25、及び記憶部26が異なる。しかし、他の構成要素(画像取得部20、フラクタル次元算出部22)が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略し、第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
細胞画像解析装置2aは、画像取得部20と、画像処理部21aと、フラクタル次元算出部22と、菌種判定部23aと、判定結果出力部24aと、特徴量算出部25と、記憶部26とを備える。
画像処理部21aは、生成した二値化された細胞画像を、フラクタル次元算出部22、及び特徴量算出部25に供給する。
特徴量算出部25は、画像処理部21aから取得した二値化された細胞画像から細胞画像に撮像されている細胞の特徴量を算出する。ここで、細胞の特徴量とは、例えば、面積、面積比、中心座標、縦の長さ、横の長さ、縦横比、周囲長、及び方位などである。特徴量算出部25は、算出した特徴量を菌種判定部23aに供給する。
記憶部26には、フラクタル次元情報と、特徴量情報とが記憶される。ここでフラクタル次元情報とは、細菌の種類ごとに、細胞画像のフラクタル次元が取り得る値の範囲を示す情報である。また、特徴量情報とは、細菌の種類ごとに、細胞画像に含まれる細胞の特徴量の値の範囲を示す情報である。特徴量情報は、例えば、面積、面積比、中心座標、縦の長さ、横の長さ、縦横比、周囲長、及び方位などが取り得る値の範囲を、細菌の種類ごとに示す。ただし、これらの細胞画像とは、所定の濃度の薬剤を加えて所定の時間が経過した後に撮像された細胞画像である。
菌種判定部23aは、フラクタル次元算出部22が算出したフラクタル次元と、記憶部26に記憶されたとフラクタル次元情報と、特徴量算出部25が算出した細胞の特徴量と、記憶部26に記憶された特徴量情報とに基づいて、細胞画像に撮像されている細菌の種類を判定する。菌種判定部23aは、判定した結果を判定結果出力部24aに供給する。
判定結果出力部24aは、菌種判定部23aが判定した結果を提示部3に供給する。
なお、本実施形態においては菌種判定部23aがフラクタル次元と、フラクタル次元情報と、細胞の特徴量と、特徴量情報とに基づいて細胞画像に撮像されている細菌の種類を判定する場合について説明しているが、菌種判定部23aはフラクタル次元と、フラクタル次元情報とに基づいて細菌の種類を判定してもよい。その場合、細胞画像解析装置2aは、特徴量算出部25を備えていなくてもよく、特徴量情報は記憶部26に記憶されていなくてもよい。
[菌種の判定処理]
細胞画像解析装置2aの処理の詳細について説明する。
図17は、本実施形態に係る細胞画像解析装置2aの処理の一例を示す図である。なお、ステップS200、ステップS201、及びステップS202の各処理は、図4におけるステップS100、ステップS101、及びステップS103の各処理と同様であるため、説明を省略する。
特徴量算出部25は、画像処理部21aが生成する二値化された細胞画像を取得する。特徴量算出部25は、取得した二値化された細胞画像から細胞画像に撮像されている細胞の特徴量を算出する(ステップS203)。特徴量算出部25は、例えば、面積、面積比、中心座標、縦の長さ、横の長さ、縦横比、周囲長、及び方位などの特徴量のうち1つ以上の特徴量を算出する。特徴量算出部25は、算出した特徴量を菌種判定部23aに供給する。
菌種判定部23aは、フラクタル次元算出部22が算出したフラクタル次元を取得する。菌種判定部23aは、特徴量算出部25が算出した特徴量を取得する。菌種判定部23aは、記憶部26からフラクタル次元情報を取得する。菌種判定部23aは、記憶部26から特徴量情報を取得する。菌種判定部23aは、取得したフラクタル次元と、取得したフラクタル次元情報と、取得した特徴量と、取得した特徴量情報とに基づいて、細胞画像に撮像されている細菌の種類を判定する(ステップS204)。
つまり、菌種判定部23aは、細菌の種類を細胞の状態として判定する。ここで菌種判定部23aは、判定部の一例である。
ここで、図18を参照し細胞画像のフラクタル次元が細菌の種類ごとに異なることについて説明する。
図18は、本実施形態に係る異なる菌種に対するフラクタル次元の時間変化の一例を示す図である。図18では、異なる菌種として、セレウス菌(Bacillus cereus:bc)と大腸菌(Escherichia coli:ec)とを扱っている。
グラフB1〜グラフB6は、bcが撮像された細胞画像のフラクタル次元を、タイムラプス観察の開始から経過した時間に対して示すグラフである。グラフB1〜グラフB6は、各々異なるウェルにおけるbcに対応する。
グラフA1〜グラフA6は、ecが撮像された細胞画像のフラクタル次元を、タイムラプス観察の開始から経過した時間に対して示すグラフである。グラフA1〜グラフA6は、各々異なるウェルにおけるecに対応する。
領域R18において、第1グループGAと、第2グループGBとが形成されている。領域R18は、タイムラプス観察の開始から約330分が経過した時間に対応する。グラフB1〜グラフB6は、第2グループGBを形成する。領域R18において、グラフA1〜グラフA6は、第1グループGAを形成する。
図18に示すように、bcが撮像された細胞画像のフラクタル次元を示すグラフB1〜グラフB6と、ecが撮像された細胞画像のフラクタル次元を示すグラフA1〜グラフA6とは、領域R18において異なる値を示す。つまり、bcとecとを比較した場合、所定の時間(例えば、330分)が経過した後の細胞画像のフラクタル次元は、細菌の種類ごとに異なる。したがって、細胞画像解析装置2aの細胞画像解析方法によれば、例えば6時間程度の時間で薬剤感受性や細菌の種類の判定を行うことができる。
ここで本実施形態との比較のために、図20を参照し、異なる菌種に対する面積の時間変化を比較する。
図20は、従来の方法による異なる菌種に対する面積の時間変化の一例を示す図である。
グラフB7〜グラフB12は、bcが撮像された細胞画像のフラクタル次元を、タイムラプス観察の開始から経過した時間に対して示すグラフである。グラフB7〜グラフB12は、各々異なるウェルにおけるbcに対応する。
グラフA7〜グラフA12は、ecが撮像された細胞画像のフラクタル次元を、タイムラプス観察の開始から経過した時間に対して示すグラフである。グラフA7〜グラフA12は、各々異なるウェルにおけるecに対応する。
第2グラフ領域R20において、グラフB7〜グラフB12の各々が示す面積の値と、グラフA7〜グラフA12の各々が示す面積の値とは、範囲が重なっている。そのため、グラフB7〜グラフB12の各々が示す面積の値と、グラフA7〜グラフA12の各々が示す面積の値とを判別することは難しい。つまり、bcが撮像された細胞画像の面積と、ecが撮像された細胞画像の面積とを判別することは難しい。このように、図18において示したようにフラクタル次元が細菌の種類ごとに異なる場合であっても、面積は細菌の種類ごとに異ならない場合がある。
図17に戻って、細胞画像解析装置2aの処理の説明を続ける。
菌種判定部23aは、フラクタル次元算出部22から取得したフラクタル次元と、フラクタル次元情報が示す細菌の種類ごとの細胞画像のフラクタル次元が取り得る値の範囲とを照合し、細菌の種類を判定する。菌種判定部23aは、判定した細菌の種類を示す情報を判定結果として判定結果出力部24に供給する。なお、菌種判定部23aは、判定された細菌の種類がない場合、判定された細菌の種類がないことを示す情報を判定結果として判定結果出力部24に供給する。
菌種判定部23aは、判定した細菌の種類が複数ある場合、フラクタル次元に基づいて判定した細菌の種類の中から、特徴量に基づいて細菌の種類を判定する。菌種判定部23aは、特徴量算出部25から取得した特徴量と、特徴量情報が示す細菌の種類ごとの細胞画像の特徴量が取り得る値の範囲とを照合し、細菌の種類を判定する。菌種判定部23aは、特徴量の中から1つ以上の特徴量に基づいて判定を行う。
判定結果出力部24aは、菌種判定部23aから、細菌の種類を示す情報を判定結果として取得する。判定結果出力部24aは、取得した細菌の種類を示す情報を判定結果として提示部3に供給する。提示部3は、判定結果出力部24aから供給される細菌の種類を示す情報を出力する(ステップS205)。
なお、本実施形態では、位相差顕微鏡を用いて撮像された細菌画像を扱ったが、細菌画像は、位相差顕微鏡以外の顕微鏡を用いて撮像された細菌画像であってもよい。細菌画像が位相差顕微鏡以外の顕微鏡を用いて撮像された細菌画像である場合、特徴量として、上述した特徴量の他に、高輝度、低輝度、平均輝度、中央輝度、輝度の標準偏差、及び輝度合計などを特徴量に含めて、細菌の種類の判定を行ってもよい。
[まとめ]
以上に説明したように、本実施形態に係る細胞画像解析装置2aの細胞画像解析方法によれば、細菌の種類の判定をラべリング処理を行う場合に比べて短時間で行うことができる。本実施形態に係る細胞画像解析装置2aの細胞画像解析方法によれば、例えば6時間程度の時間で薬剤感受性や細菌の種類の判定を行うことができる。
本実施形態に係る細胞画像解析装置2aの細胞画像解析方法は、分布が異なる細菌同士を判定する場合に用いられることが好ましい。ここで分布とは、例えば、細菌の広がり方であり、例えば、面状に広がる広がり方や、線状に広がる広がり方などがある。
なお、上述した実施形態における細胞画像解析装置2、及び細胞画像解析装置2aの一部、例えば、画像取得部20、画像処理部21、画像処理部21a、フラクタル次元算出部22、状態判定部23、菌種判定部23a、判定結果出力部24、判定結果出力部24a、及び特徴量算出部25をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、細胞画像解析装置2、または細胞画像解析装置2aに内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上述した実施形態における細胞画像解析装置2、及び細胞画像解析装置2aの一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。細胞画像解析装置2、及び細胞画像解析装置2aの各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
P10…第1細胞画像、P11…第1拡大細胞画像、C1…第1細胞、R1…第1領域、P20…第2細胞画像、P21…第2拡大細胞画像、C2…第2細胞、R2…第2領域、1…画像供給部、2、2a…細胞画像解析装置、20…画像取得部、21、21a…画像処理部、22…フラクタル次元算出部、23…状態判定部、23a…菌種判定部、24、24a…判定結果出力部、25…特徴量算出部、26…記憶部、3…提示部、P51、P52、P53、P54、P61、P71…画像、CR1、CR2、CR3、CR4、CR5…円、PT1、PT2、PT3、PT4、PT5…代表点

Claims (9)

  1. 細胞の画像を取得する画像取得過程と、
    前記画像取得過程において取得された前記画像のフラクタル次元を算出する算出過程と、
    前記算出過程において算出された前記フラクタル次元に基づいて前記画像に撮像されている細胞の状態を判定する判定過程と
    を備える細胞画像解析方法。
  2. 前記判定過程において、前記フラクタル次元に加え、前記画像における細胞の画像の面積に基づいて細胞の状態を判定する、請求項1に記載の細胞画像解析方法。
  3. 前記判定過程において、前記細胞の分裂、前記細胞の大きさ、前記細胞の凝集若しくは分散、前記細胞の薬剤感受性、および/または前記細胞の種類を前記細胞の状態として判定する、請求項1又は2に記載の細胞画像解析方法。
  4. 前記算出過程において、ボックスカウント法又は相関次元により前記フラクタル次元を算出する、請求項1から3のいずれか一項に記載の細胞画像解析方法。
  5. 前記ボックスカウント法は、前記画像を二値化する工程と、二値化された前記画像を領域に分割する工程と、分割された前記領域内の二値化に用いられる二値のうちの一方の値に対応する画素を数える工程と、を含み、
    前記領域の面積が一細胞の画像の面積より小さくなるまで、前記分割する工程と、前記数える工程とを繰り返す、請求項4に記載の細胞画像解析方法。
  6. コンピュータに、
    細胞の画像を取得する画像取得ステップと、
    前記画像取得ステップにおいて取得された前記画像のフラクタル次元を算出する算出ステップと、
    前記算出ステップにおいて算出された前記フラクタル次元に基づいて前記画像に撮像されている細胞の状態を判定する判定ステップと
    を実行させるための細胞画像解析プログラム。
  7. 前記判定ステップにおいて、前記フラクタル次元に加え、前記画像における細胞の画像の面積に基づいて細胞の状態を判定する、請求項6に記載の細胞画像解析プログラム。
  8. 細胞の画像を取得する画像取得部と、
    前記画像取得部によって取得された前記画像のフラクタル次元を算出するフラクタル次元算出部と、
    前記フラクタル次元算出部によって算出された前記フラクタル次元に基づいて前記画像に撮像されている細胞の状態を判定する判定部と、を備える細胞画像解析装置。
  9. 前記判定部は、前記フラクタル次元に加え、前記画像における細胞の画像の面積に基づいて細胞の状態を判定する、請求項8に記載の細胞画像解析装置。
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