以下、本発明による情報処理装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による情報処理装置は、センサ付き金型を用いた成形に応じた学習器と、センサなし金型を用いた試験成形における成形結果が正常となるパラメータとを用いて、試験成形における成形結果が正常となるセンサ値を推定し、そのセンサ値と、実装成形に関連する成形関連情報と、学習器とを用いて実装成形における成形結果が正常となるパラメータを取得するものである。センサ値の推定とは、通常、センサ値の取得である。
図1は、本実施の形態による情報処理装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態による情報処理装置1は、学習器記憶部11と、試験受付部12と、センサ値取得部13と、実装受付部14と、条件記憶部15と、セット生成部16と、パラメータ取得部17と、出力部18とを備える。なお、情報処理装置1は、スタンドアロンの装置であってもよく、または、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバ装置であってもよい。後者の場合には、出力部や受付部は、インターネットやイントラネット、公衆電話回線網などの通信回線を介して情報を受け付けたり、情報を出力したりしてもよい。本実施の形態では、情報処理装置1がサーバ装置である場合について主に説明する。
学習器記憶部11では、学習器が記憶される。その学習器は、成形機への設定対象の1以上のパラメータと、その1以上のパラメータが設定された成形機においてセンサ付き金型を用いて取得された1以上のセンサ値と、そのセンサ付き金型を用いた成形に関連する1以上の成形関連情報とを有する2以上の学習情報を機械学習のアルゴリズムにより学習したものである。なお、学習情報には、成形結果が正常または異常を示す結果情報が含まれていてもよい。学習器は、2以上の学習情報の機械学習の結果の情報であると考えてもよい。なお、学習器が学習器記憶部11で記憶されているとは、例えば、学習器そのもの(例えば、入力に対して値を出力する関数や学習結果のモデル等)が記憶されていることであってもよく、学習器を構成するために必要なパラメータ等の情報が記憶されていることであってもよい。後者の場合であっても、そのパラメータ等の情報を用いて学習器を構成できるため、実質的に学習器が学習器記憶部11で記憶されていると考えることができるからである。本実施の形態では、学習器そのものが学習器記憶部11で記憶されている場合について主に説明する。
成形機は、例えば、射出成形の成形機であってもよい。本実施の形態では、成形機が射出成形の成形機である場合について主に説明する。射出成形の成形機は、例えば、射出装置と、金型と、型締装置と、それらの制御を行う制御器とを有していてもよい。
成形結果が正常であるとは、成形機によって成形される成形品が良品であることであり、成形結果が異常であるとは、成形品が不良品であることである。例えば、成形品にバリ、ショートショット、ヒケ、ウエルドライン、ボイド、フローマーク、偏肉(肉厚ムラ)、ソリなどが存在する場合に、不良品であると判断されてもよい。なお、成形結果の正常、異常は、要求品質に応じて異なることになる。したがって、正常、異常は、要求品質に応じて判断されることが好適である。
1以上のパラメータは、成形機に設定されるものであり、例えば、射出装置や型締装置、制御器等に設定されるものであってもよい。パラメータは、特に限定されるものではないが、例えば、金型温度、シリンダ温度、射出圧力、射出速度、射出切替、保圧、保圧時間、スクリュー回転数、背圧、切替位置、計量、サックバック量、冷却時間、型締力から選ばれる1以上のものであってもよい。また、例えば、ノズル、前部、中前、中後、後部のシリンダ温度などのように、パラメータは、成形機の複数の箇所についてそれぞれ設定されるものであってもよい。
センサは、例えば、流速センサ、変位センサ、圧力センサ、温度センサのいずれかであってもよい。したがって、1以上のセンサ値は、材料の流速、変位、圧力、温度のうちの1以上を含んでいてもよい。また、センサは、例えば、金型において、材料の流れる順に配置されていてもよい。例えば、金型のスプルーブッシュの位置に第1のセンサが配置され、金型のランナーの位置に第2のセンサが配置され、金型のゲートの位置に第3のセンサが配置され、金型の成形品部のゲートに近い位置に第4のセンサが配置され、金型の成形品部のゲートと最終充填部(ゲートから最も遠い箇所)との中間の位置に第5のセンサが配置され、金型の成形品部の最終充填部に第6のセンサが配置されてもよい。なお、金型に配置されるセンサは、金型に関する情報(金型自体の温度等)を取得するものであってもよく、金型を流れる材料や金型によって成形される材料に関する情報(材料の温度等)を取得するものであってもよい。
センサ値は、例えば、時系列に応じた情報であってもよく、または、あらかじめ決められた時点の情報であってもよい。センサ値が時系列に応じた情報である場合には、例えば、1以上のセンサ値に、ある時点を基準とした0秒のセンサ値、5秒のセンサ値、10秒のセンサ値などのように、一定または不定の時間間隔ごとのセンサ値が含まれていてもよい。また、ある時点を基準とした時間(例えば、上記0秒、5秒等)に応じたセンサ値は、射出速度等に応じて異なると考えられるため、その時間は、正規化されてもよい。正規化された時間は、例えば、成形の1サイクルの開始時点から終了時点までを所定の単位(例えば、「1」など)とした開始時点からの時間(例えば、「0.1」など)で示されてもよい。また、センサ値があらかじめ決められた時点の情報である場合には、例えば、ランナーの位置におけるセンサ値は、その位置に樹脂が到達してから5秒後のセンサ値などのように決まっていてもよい。
図7は、センサの装着された金型の一例を示す図である。図7(a)は、2個のギャビティ31bを有する第1の金型部材31を示す平面図であり、図7(b)は、2個のコア32bを有する第2の金型部材32を示す平面図である。この第1及び第2の金型部材31,32によって金型が構成されることになる。第1の金型部材31には4個のガイドブッシュ31aが設けられており、第2の金型部材32には4個のガイドピン32aが設けられている。そして、各ガイドピン32aがそれぞれ対応するガイドブッシュ31aに挿入されることによって、第1及び第2の金型部材31,32の位置決めが行われることになる。
第1及び第2の金型部材31,32には、符号T11〜T13で示される位置に温度センサが設けられており、符号P11〜P17で示される位置に圧力センサが設けられており、符号D11〜D14で示される位置に変位センサが設けられており、符号C11,C12で示される位置に流速センサが設けられていてもよい。なお、図7で示される金型におけるセンサの位置や種類は一例であり、センサ付き金型におけるセンサの配置や種類が図7と異なっていてもよいことは言うまでもない。
成形関連情報は、成形時の環境に関する環境情報、成形対象の材料に関する材料情報、及び成形機の機械情報のうち少なくとも1以上を含んでいてもよい。
環境情報は、例えば、温度、湿度、気圧のうち、少なくともいずれかを含んでいてもよい。温度や湿度、気圧は、例えば、成形機の外部の温度(外気温)や、外部の湿度、外部の気圧であってもよい。すなわち、環境情報は、例えば、成形機が設置されている箇所(例えば、設置部屋等)における環境の情報であってもよい。環境情報は、実際の成形が行われる時点の情報であることが好適である。
材料情報は、成形対象(成形品)の材料の種類を示すものであってもよい。射出成形に関する材料情報は、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等であってもよい。また、材料情報は、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などのように、材料の性質を示すものであってもよい。また、材料情報は、例えば、材料の密度や粘度などのように、材料の属性を示すものであってもよい。
機械情報は、通常、成形機の静的な情報(時間によって変化しない情報)であり、例えば、成形機の仕様等であってもよい。成形機の仕様は、例えば、シリンダ径、射出装置のタイプ(直圧式、トグル式など)、動力のタイプ(電動、油圧など)、成形機の品番などのうち、少なくともいずれかを含んでいてもよい。
機械学習は、学習情報を教師データ(訓練データ)として用いる機械学習であり、例えば、SVM(Support Vector Machine:サポートベクターマシン)やSVR(Support Vector Regression:サポートベクター回帰)の機械学習であってもよく、ニューラルネットワーク(Neural Network)の機械学習であってもよく、その他の機械学習であってもよい。
ここで、正常または異常を示す結果情報が含まれている学習情報を用いて機械学習を行って得られる学習器と、結果情報が含まれていない学習情報を用いて機械学習を行って得られる学習器とについてそれぞれ説明する。
(1)結果情報が含まれている学習情報を用いた学習結果である学習器
この場合には、1つの学習情報(教師データ)は、1以上のパラメータと、その1以上のパラメータの設定された成形機においてセンサ付き金型を用いて取得された1以上のセンサ値と、その成形機での成形に関連する成形関連情報とを含んでいる入力、及びその成形結果が正常か異常かを示す結果情報(出力)を有している。この場合には、正常であることを示す結果情報が正例となり、異常であることを示す結果情報が負例となる。このように、この学習器は正常または異常を示す結果情報を出力する2値の分類器となるため、例えば、SVMやニューラルネットワーク等を用いて機械学習を行ってもよい。また、その機械学習の結果である学習器に、1以上のパラメータと、その1以上のパラメータの設定された成形機においてセンサ付き金型を用いて取得された1以上のセンサ値と、その成形機での成形に関連する成形関連情報とを入力すると、それに対して、分類結果である正常または異常が出力されることになる。また、その分類結果と共に、分類結果のスコア(確信度)が出力されてもよい。なお、本実施の形態では、この(1)の場合について主に説明する。
(2)結果情報が含まれていない学習情報を用いた学習結果である学習器
この場合には、1つの学習情報は、成形結果が正常である成形に関する1以上のパラメータと、その1以上のパラメータの設定された成形機での成形に関連する成形関連情報とを含んでいる入力、及びその成形機においてセンサ付き金型を用いて取得された1以上のセンサ値(出力)を有している。この場合には、成形結果が正常となる成形に関する学習情報のみが機械学習に用いられることになる。この学習器は、出力が2値の分類器ではないため、例えば、SVRやニューラルネットワーク、また、多値分類を行うように構成されたSVM等を用いて機械学習を行ってもよい。また、その機械学習の結果である学習器に、1以上のパラメータと、その1以上のパラメータの設定された成形機での成形に関連する成形関連情報とを入力すると、それに対して、1以上のセンサ値が出力されることになる。また、そのセンサ値と共に、出力されたセンサ値のスコア(確信度)が出力されてもよい。
なお、上記(1)、(2)のそれぞれの場合において、教師データである学習情報を取得するために用いられる成形機は、1個の成形機であってもよく、または、複数の成形機であってもよい。前者の場合には、例えば、金型メーカの成形機のみが用いられたり、成形品の量産メーカの成形機のみが用いられたりしてもよく、後者の場合には、例えば、金型メーカの成形機と量産メーカの成形機とが用いられてもよい。また、量産メーカの成形機は、1個の成形機であってもよく、1または2以上の量産メーカの複数の成形機であってもよい。学習器をより精度の高いものにする観点からは、機械学習において、より多くの成形機(好ましくは、より多くの種類の成形機)で取得された学習情報を用いることが好適である。
また、機械学習における入力の各値の範囲が決められている場合、例えば、各値が−1から1までの範囲や、0から1までの範囲に決められている場合には、学習情報に含まれる各値がその決められた範囲の値となるように前処理を行ってから機械学習を行ってもよく、また、学習器に入力する情報に含まれる各値についても、同様の前処理を行ってから学習器に入力してもよい。
また、機械学習にニューラルネットワークを用いる場合において、そのニューラルネットワークの層数、各層におけるノード数、各層の種類(例えば、全結合層、その他の層など)等については、適宜、選択したものを用いてもよい。なお、入力層と出力層のノード数は、通常、学習情報に含まれる入力と出力とによって決まることになる。
また、学習器記憶部11において、2以上の学習器が記憶されてもよい。例えば、材料情報によって示される材料ごとに学習器が記憶されてもよく、成形関連情報によって示される成形機の品番ごとに学習器が記憶されてもよい。なお、2以上の学習器が学習器記憶部11において記憶されている場合の詳細については後述する。
学習器記憶部11に学習器が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して学習器が学習器記憶部11で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された学習器が学習器記憶部11で記憶されるようになってもよい。学習器記憶部11での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、または、長期的な記憶でもよい。学習器記憶部11は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスクなど)によって実現されうる。
試験受付部12は、センサなしの金型を用いた試験成形における成形結果が正常となる1以上のパラメータである1以上の正常パラメータと、その試験成形に関連する1以上の成形関連情報とを受け付ける。センサなしの金型は、例えば、学習情報を得るときに用いられるセンサ付き金型と同じ形状を有しているもの、すなわちセンサ付き金型と同じ成形品を成形するものであってもよく、センサ付き金型と異なる形状を有しているもの、すなわちセンサ付き金型と異なる成形品を成形するものであってもよい。試験成形は、正常パラメータを得るために行われる成形である。例えば、ある成形機にセンサなしの金型をセットし、1以上のパラメータを種々の値に変更しながら成形を繰り返すことによって、正常な成形結果が得られた際の1以上のパラメータを取得する。そして、その正常な成形結果が得られた試験成形で用いられた1以上のパラメータと、その試験成形の成形関連情報との組が、試験受付部12で受け付けられてもよい。特に限定されるものではないが、この試験成形は、例えば、金型メーカにおいて行われてもよい。金型メーカにおいて試験成形が行われる場合には、例えば、製造された金型の納品前に、試験成形によって正常パラメータが取得されてもよい。なお、試験受付部12によって受け付けられる正常パラメータと成形関連情報との組は、1個であってもよく、または、2個以上であってもよい。後述するパラメータ取得部17によって、より適切なパラメータの取得が行われる観点からは、より多くの組が受け付けられることが好適である。
試験受付部12は、例えば、入力デバイス(例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなど)から入力された情報を受け付けてもよく、有線または無線の通信回線を介して送信された情報を受信してもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)から読み出された情報を受け付けてもよい。本実施の形態では、試験受付部12が正常パラメータ等を受信する場合について主に説明する。なお、試験受付部12は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、試験受付部12は、ハードウェアによって実現されてもよく、または所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
センサ値取得部13は、試験受付部12によって受け付けられた1以上の正常パラメータと1以上の成形関連情報とを学習器に適用することによって、成形結果が正常となる1以上のセンサ値である1以上の正常センサ値を取得する。このようにして取得された1以上の正常センサ値は、試験成形で用いられたセンサなしの金型において、成形結果が正常となる1以上のセンサ値であると考えることができる。
例えば、上記(2)の学習器が学習器記憶部11で記憶されている場合には、センサ値取得部13は、試験受付部12によって受け付けられた1以上の正常パラメータと1以上の成形関連情報とをその学習器に入力することによって、その学習器の出力である1以上の正常センサ値を取得することができる。
一方、例えば、上記(1)の学習器が学習器記憶部11で記憶されている場合には、センサ値取得部13は、試験受付部12によって受け付けられた1以上の正常パラメータと1以上の成形関連情報と共に、1以上のセンサ値を学習器に入力することになる。そして、その学習器の出力が「正常」であったときに、入力した1以上のセンサ値が、1以上の正常センサ値となる。ここで、センサ値取得部13が学習器に入力する1以上のセンサ値を、正常センサ値候補と呼ぶことにする。通常、正常センサ値候補は、2以上存在することが好適である。その2以上の正常センサ値候補は、例えば、例えば、あらかじめ図示しない記録媒体において記憶されていてもよく、または、センサ値取得部13が生成してもよい。後者の場合には、センサ値取得部13は、例えば、正常センサ値候補に含まれる1以上の各センサ値に関する取り得る値の範囲や候補値を用いて、複数の正常センサ値候補を生成してもよい。具体的には、正常センサ値候補に第1及び第2のセンサ値が含まれており、第1のセンサ値は、1,2,3のいずれかの値を取り、第2のセンサ値は、11,12,13のいずれかの値を取る場合には、センサ値取得部13は、(第1のセンサ値,第2のセンサ値)=(1,11)、(1,12)、(1,13)、(2,11)、(2,12)、(2,13)、(3,11)、(3,12)、(3,13)のように、9個の正常センサ値候補を生成してもよい。その後、センサ値取得部13は、試験受付部12によって受け付けられた1以上の正常パラメータと1以上の成形関連情報と、1個の正常センサ値候補とを学習器に入力することによって、学習器からの出力である成形結果を取得する。また、センサ値取得部13は、同様の処理を、各正常センサ値候補について繰り返して行う。そして、センサ値取得部13は、確信度があらかじめ決められた条件を満たすほど高い出力「正常」に対応する入力に含まれる正常センサ値候補に含まれる1以上のセンサ値を、1以上の正常センサ値として取得してもよい。確信度があらかじめ決められた条件を満たすほど高いとは、確信度が、あらかじめ決められた閾値を超えていることであってもよく、または、複数の正常センサ値候補にそれぞれ対応する複数の出力において、確信度が最も高いことであってもよい。前者の場合には、1以上の正常センサ値を含む集合が複数取得されることもあり得るが、そのときには、複数の集合が後段の処理で用いられてもよく、選択された1個の集合が後段の処理で用いられてもよい。その選択は、例えば、ランダムな選択であってもよく、あらかじめ決められたルールに応じた選択であってもよい。
なお、試験受付部12によって、1以上の正常パラメータと1以上の成形関連情報との2以上の組が受け付けられた場合には、センサ値取得部13は、各組に対応する1以上の正常センサ値を取得してもよい。その場合には、1以上の正常センサ値を含む集合が、複数取得されることになる。
実装受付部14は、センサなしの金型を用いた実装成形に関連する1以上の成形関連情報を受け付ける。センサなしの金型は、通常、試験成形で用いられたセンサなしの金型と同じ金型であるが、試験成形で用いられたセンサなしの金型と同じ形状を有している別の金型であってもよい。実装成形は、成形品を製造するために行われる成形である。特に限定されるものではないが、この実装成形は、成形品の量産メーカにおいて行われてもよい。量産メーカにおいて実装成形が行われる場合には、例えば、成形品を製造する前に、実装成形に関する1以上の成形関連情報が取得されてもよい。また、実装成形に関連する1以上の成形関連情報に環境情報が含まれる場合には、その環境情報は、実装成形の直前に測定された実測値であってもよく、実装成形の時点の予測値であってもよい。
実装受付部14は、例えば、入力デバイス(例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなど)から入力された情報を受け付けてもよく、有線または無線の通信回線を介して送信された情報を受信してもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)から読み出された情報を受け付けてもよい。本実施の形態では、実装受付部14が成形関連情報を受信する場合について主に説明する。なお、実装受付部14は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、実装受付部14は、ハードウェアによって実現されてもよく、または所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
条件記憶部15は、1以上の各パラメータの条件が記憶される。この条件は、1以上の各パラメータに関する取り得る値の範囲や候補値を示す条件であってもよい。条件記憶部15に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が条件記憶部15で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報が条件記憶部15で記憶されるようになってもよく、または、入力デバイスを介して入力された情報が条件記憶部15で記憶されるようになってもよい。条件記憶部15での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、または、長期的な記憶でもよい。条件記憶部15は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスクなど)によって実現されうる。
セット生成部16は、条件記憶部15で記憶されている1以上の各パラメータの条件を用いて、1以上のパラメータを含むセットを2以上生成する。具体的には、2個のパラメータ、すなわち第1及び第2のパラメータが設定対象となっており、第1のパラメータは、1,2,3のいずれかの値を取り、第2のパラメータは、11,12,13のいずれかの値を取る場合には、セット生成部16は、(第1のパラメータ,第2のパラメータ)=(1,11)、(1,12)、(1,13)、(2,11)、(2,12)、(2,13)、(3,11)、(3,12)、(3,13)のように、9個のセットを生成してもよい。生成されたセットは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
パラメータ取得部17は、実装受付部14によって受け付けられた1以上の成形関連情報と、センサ値取得部13によって取得された1以上の正常センサ値とを学習器に適用することによって、実装成形における成形結果が正常となる1以上のパラメータを取得する。通常、金型におけるセンサ値と成形品の良否とは密接に関わっていると考えられる。そのため、実装成形において、成形結果が正常となる1以上のパラメータを試行錯誤によって取得しなくても、実装成形における1以上のセンサ値が、試験成形における1以上の正常センサ値となるように実装成形で用いられる1以上のパラメータを設定することによって、成形結果が正常になると考えられる。したがって、パラメータ取得部17は、そのような1以上のパラメータを取得するものである。
本実施の形態では、図2で示されるように、パラメータ取得部17が、スコア取得手段21と、パラメータ取得手段22とを備えるものとする。
スコア取得手段21は、セット生成部16によって生成された2以上のセットを学習器にそれぞれ適用し、セットごとに成形結果が正常であるスコアを取得する。例えば、上記(1)の学習器が学習器記憶部11で記憶されている場合には、スコア取得手段21は、実装受付部14によって受け付けられた1以上の成形関連情報と、センサ値取得部13によって取得された1以上の正常センサ値と、1個のセットに含まれる1以上のパラメータとを学習器に入力し、その学習器の出力が「正常」であったときに、学習器から出力されるスコア(確信度)を取得する。そして、その処理を、セット生成部16によって生成された各セットについて行うことになる。また、センサ値取得部13が1以上の正常センサ値を含む集合をN個取得している場合には、各集合をそれぞれ入力に用いることにより、N倍の個数の出力が取得されることになる(ただし、Nは2以上の整数である)。このように、スコア取得手段21によって、セットと、成形結果が正常であるスコアとの対応関係が取得されることになる。
また、例えば、上記(2)の学習器が学習器記憶部11で記憶されている場合には、スコア取得手段21は、スコア取得手段21は、実装受付部14によって受け付けられた1以上の成形関連情報と、1個のセットに含まれる1以上のパラメータとを学習器に入力し、その学習器の出力である1以上のセンサ値が、センサ値取得部13によって取得された1以上の正常センサ値と一致するときに、学習器から出力されるスコアを取得する。そして、その処理を、セット生成部16によって生成された各セットについて行うことになる。なお、出力である1以上のセンサ値と、1以上の正常センサ値とが一致するとは、例えば、両者が完全に一致することであってもよく、または、両者の差異があらかじめ決められた閾値よりも小さいことであってもよい。後者の場合には、両者があらかじめ決められた基準よりも類似しているときに、両者が一致すると判断されることになる。また、センサ値取得部13が1以上の正常センサ値を含む集合をN個取得している場合には、出力である1以上のセンサ値が、N個の集合のいずれかと一致するときに、学習器から出力されるスコアを取得することになる(ただし、Nは2以上の整数である)。このように、スコア取得手段21によって、セットと、成形結果が正常であるスコアとの対応関係が取得されることになる。なお、上記(2)の学習器の場合には、1以上の正常センサ値は、学習器の出力と比較するために用いられることになる。したがって、1以上の正常センサ値が学習器に適用されるとは、このように、学習器の出力との比較で用いられる場合も含むものとする。
パラメータ取得手段22は、スコア取得手段21によって取得されたスコアがあらかじめ決められた条件を満たすほど高いセットを構成する1以上のパラメータを取得する。すなわち、パラメータ取得手段22は、スコア取得手段21によって取得されたスコアのうち、あらかじめ決められた条件を満たすほど高いスコアを特定し、その特定したスコアに対応するセットを構成する1以上のパラメータを取得することになる。なお、スコアがあらかじめ決められた条件を満たすほど高いとは、スコアが、あらかじめ決められた閾値を超えていることであってもよく、または、スコアが最も高いことであってもよい。前者の場合であって、複数のスコアがあらかじめ決められた閾値を超えている場合には、パラメータ取得部17は、あらかじめ決められた閾値を超えているスコアのうち、いずれかのスコアを選択し、その選択したスコアに対応するセットを構成する1以上のパラメータを取得してもよい。その選択は、例えば、ランダムな選択であってもよく、あらかじめ決められたルールに応じた選択であってもよい。また、あらかじめ決められた閾値を超えている複数のスコアにそれぞれ対応する1以上のパラメータを含む複数の集合がパラメータ取得手段22によって取得されてもよい。
出力部18は、パラメータ取得部17によって取得された1以上のパラメータを出力する。その出力に応じて、実装成形を行う成形機に、出力された1以上のパラメータが設定されてもよい。また、出力部18は、パラメータ取得部17によって取得された1以上のパラメータを成形機に設定してもよい。そのパラメータの設定対象となる成形機は、実装成形を行う成形機である。また、パラメータ取得部17によって、1以上のパラメータを含む集合が複数取得された場合には、出力部18は、その複数の集合を出力してもよい。
ここで、この出力は、例えば、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよく、成形機へのパラメータの設定であってもよい。なお、出力部18は、出力を行うデバイス(例えば、通信デバイスなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、出力部18は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
なお、学習器記憶部11と条件記憶部15とは、同一の記録媒体によって実現されてもよく、または、別々の記録媒体によって実現されてもよい。前者の場合には、学習器を記憶している領域が学習器記憶部11となり、条件を記憶している領域が条件記憶部15となってもよい。
次に、情報処理装置1の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)試験受付部12は、試験成形に関する1以上の正常パラメータと1以上の成形関連情報とを受け付けたかどうか判断する。そして、試験成形に関する1以上の正常パラメータと1以上の成形関連情報とを受け付けた場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、ステップS103に進む。なお、試験受付部12によって受け付けられた1以上の正常パラメータと1以上の成形関連情報は、センサなしの金型を用いた試験成形における成形結果が正常となる1以上の正常パラメータ、及び1以上の成形関連情報である。
(ステップS102)センサ値取得部13は、学習器記憶部11で記憶されている学習器に、試験受付部12によって受け付けられた1以上の正常パラメータと1以上の成形関連情報とを適用することによって、成形結果が正常となる1以上の正常センサ値を取得する。この1以上の正常センサ値は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。そして、ステップS101に戻る。
(ステップS103)実装受付部14は、実装成形に関する1以上の成形関連情報を受け付けたかどうか判断する。そして、実装成形に関する1以上の成形関連情報を受け付けた場合には、ステップS104に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。なお、実装受付部14によって受け付けられた1以上の成形関連情報は、センサなしの金型を用いた実装成形に関連する1以上の成形関連情報である。
(ステップS104)パラメータ取得部17は、学習器記憶部11で記憶されている学習器に、実装受付部14によって受け付けられた1以上の成形関連情報と、センサ値取得部13によって取得された1以上の正常センサ値とを適用することによって、実装成形における成形結果が正常となる1以上のパラメータを取得する。この処理の詳細については、後述する。
(ステップS105)出力部18は、パラメータ取得部17によって取得された1以上のパラメータを出力する。そして、その1以上のパラメータの設定された成形機における実装成形によって、成形品が製造されることになる。
なお、図3のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。また、図3のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
図4は、図3のフローチャートにおける学習器を用いたパラメータの取得の処理(ステップS104)の詳細の一例を示すフローチャートである。図4のフローチャートでは、上記(1)の学習器が用いられるものとする。
(ステップS201)セット生成部16は、条件記憶部15で記憶されている条件を用いて、1以上のパラメータを含む複数のセットを生成する。生成された複数のセットは、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS202)スコア取得手段21は、カウンタiを1に設定する。
(ステップS203)スコア取得手段21は、i番目のセットに含まれる1以上のパラメータと、実装受付部14によって受け付けられた1以上の成形関連情報と、センサ値取得部13によって取得された1以上の正常センサ値とを入力した学習器から正常であることを示す成形結果が出力されるかどうか判断する。そして、正常であることを示す成形結果が出力された場合には、ステップS204に進み、そうでない場合には、ステップS205に進む。
(ステップS204)スコア取得手段21は、正常であることを示す成形結果の出力に応じたスコア(確信度)を取得する。なお、i番目のセットと、スコアとの対応関係は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
(ステップS205)スコア取得手段21は、カウンタiを1だけインクリメントする。
(ステップS206)スコア取得手段21は、i番目のセットが存在するかどうか判断する。そして、i番目のセットが存在する場合には、ステップS203に戻り、そうでない場合には、ステップS207に進む。
(ステップS207)パラメータ取得手段22は、スコアがあらかじめ決められた条件を満たすほど高いセットに含まれる1以上のパラメータを取得する。そして、図3のフローチャートに戻る。
図5は、図3のフローチャートにおける学習器を用いたパラメータの取得の処理(ステップS104)の詳細の一例を示すフローチャートである。図5のフローチャートでは、上記(2)の学習器が用いられるものとする。また、図5のフローチャートにおいて、ステップS301〜S303以外の処理は、図4のフローチャートと同じであり、その詳細な説明を省略する。なお、ステップS206においてYesの場合には、ステップS301に戻るものとする。
(ステップS301)スコア取得手段21は、i番目のセットに含まれる1以上のパラメータと、実装受付部14によって受け付けられた1以上の成形関連情報とを学習器に入力することによって、1以上のセンサ値の出力を取得する。
(ステップS302)スコア取得手段21は、学習器から取得した1以上のセンサ値が、センサ値取得部13によって取得された1以上の正常センサ値と一致するかどうか判断する。そして、一致する場合には、ステップS303に進み、一致しない場合には、ステップS205に進む。なお、学習器から取得した1以上のセンサ値と、1以上の正常センサ値とが一致するかどうかの判断は、上記のように、両者があらかじめ決められた基準よりも類似しているかどうかの判断であってもよい。
(ステップS303)スコア取得手段21は、1以上のセンサ値の出力に応じたスコア(確信度)を取得する。なお、i番目のセットと、スコアとの対応関係は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。そして、ステップS205に進む。
次に、本実施の形態による情報処理装置1の動作について、具体例を用いて説明する。なお、情報処理装置1が本具体例に限定されないことは言うまでもない。本具体例では、学習器が上記(1)のものである場合について説明する。図6は、本具体例における各情報について説明するための模式図である。
まず、金型メーカの担当者は、金型メーカが所有している成形機にセンサ付き金型を装着し、所定のパラメータを成形機に設定して成形品の成形を行う。そして、その成形品の良否を示す結果情報と、設定した1以上のパラメータと、その成形時に得られた1以上のセンサ値と、その成形に関連する成形関連情報(環境情報や材料情報、機械情報など)とを取得する。このようにして、1個の学習情報が取得されることになる。また、金型メーカの担当者は、1以上のパラメータとして、種々の値を設定することによって、別の学習情報も取得する。この学習情報はできるだけ多いことが好適である。また、正常であることを示す結果情報を含む学習情報と、異常であることを示す結果情報を含む学習情報とのそれぞれが取得されることが好適である。金型メーカにおいて取得された学習情報を学習情報A1とする。
出荷先工場の担当者も、金型メーカと同様にして、学習情報A2を取得する。その学習情報A2の取得において、センサ付き金型の装着された成形機が用いられることになる。このセンサ付き金型は、学習情報A1を取得する際に用いられたセンサ付き金型と同じ金型であってもよく、または、異なる金型であってもよい。後者の場合であっても、出荷先工場で用いられるセンサ付き金型は、金型メーカで用いられたセンサ付き金型と同じ構成の金型(すなわち、同じ成形品を製造することができ、センサの装着箇所も同じである金型)であることが好適である。
その後、学習情報A1,A2を用いて機械学習が行われ、学習器L1が構成される。その機械学習では、学習情報A1,A2に含まれるパラメータと、センサ値と、成形関連情報とが入力として用いられ、結果情報が出力として用いられる。その学習器L1は、情報処理装置1の学習器記憶部11に蓄積される。
次に、金型メーカの担当者は、金型メーカが所有している成形機にセンサなしの金型を装着し、所定のパラメータを成形機に設定して成形品の試験成形を行う。センサなしの金型は、金型メーカが製造し、出荷先工場に出荷する対象となる金型である。その成形品が良品であれば、担当者は、その成形品の成形において設定した1以上の正常パラメータB1と、その成形に関連する1以上の成形関連情報B2とを取得する。なお、その成形品が不良品である場合には、成形品が良品となるまで、パラメータの調整が行われることになる。そして、担当者は、パソコン等を操作することによって、1以上の正常パラメータB1と、1以上の成形関連情報B2とを情報処理装置1に送信する。
金型メーカから送信された1以上の正常パラメータB1と1以上の成形関連情報B2とは、情報処理装置1の試験受付部12によって受信され、センサ値取得部13に渡される(ステップS101)。センサ値取得部13は、1以上の正常パラメータB1と1以上の成形関連情報B2とを受け取ると、2以上の正常センサ値候補F1,F2,…,FKを生成し(Kは2以上の整数である)、1以上の正常パラメータB1と、1以上の成形関連情報B2と、正常センサ値候補F1とを学習器L1に入力することによって、正常または異常を示す出力を取得する。センサ値取得部13は、その処理を、正常センサ値候補F2〜FKのそれぞれについても同様に行う。そして、センサ値取得部13は、成形結果が「正常」であるスコア(確信度)を取得し、そのスコアが最も高い正常センサ値候補に含まれる1以上のセンサ値である1以上の正常センサ値C1を取得してパラメータ取得部17に渡す(ステップS102)。
その後、金型メーカから出荷先工場にセンサなしの金型が出荷される。出荷先工場の担当者は、納品されたセンサなしの金型を出荷先工場が所有している成形機に装着する。そして、担当者は、成形品の量産を行うための実装成形に関連する1以上の成形関連情報D1を取得して、パソコン等を操作することによって、1以上の成形関連情報D1を情報処理装置1に送信する。
出荷先工場から送信された1以上の成形関連情報D1は、情報処理装置1の実装受付部14で受信され、パラメータ取得部17に渡される(ステップS103)。そして、パラメータ取得部17は、受信された1以上の成形関連情報D1を用いたパラメータの取得を行う(ステップS104)。具体的には、まず、セット生成部16は、条件記憶部15で記憶されている条件を用いることによって、1以上のパラメータを含む2以上のセットを生成する(ステップS201)。次に、パラメータ取得部17のスコア取得手段21は、1番目のセットに含まれる1以上のパラメータと、センサ値取得部13によって取得された1以上の正常センサ値C1と、実装受付部14によって受信された1以上の成形関連情報D1とを学習器L1に入力することによって、正常または異常を示す出力とを取得する。そして、その出力が「正常」である場合に、スコア取得手段21は、その出力「正常」に対応するスコア(確信度)を取得する(ステップS202〜S204)。スコア取得手段21は、その処理を、他のセットについても同様に行う(ステップS205,S206,S203,S204)。
その後、パラメータ取得手段22は、スコア取得手段21によって取得されたスコアが最も高いセットに含まれる1以上のパラメータE1を取得して、出力部18に渡す(ステップS207)。
出力部18は、1以上のパラメータE1を出荷先工場に送信する(ステップS105)。その結果、1以上のパラメータE1が出荷先工場の成形機に設定され、実装成形が行われることによって、成形品が量産されることになる。なお、1以上のパラメータE1は、結果情報が正常になるように学習器を用いて取得されたものであるため、1以上のパラメータE1を用いて実装成形を行うことによって、良品が製造されることになる。したがって、出荷先工場の担当者は、良品を製造するためのパラメータを試行錯誤によって見つける必要がなくなり、担当者の負担が軽減されることになる。
以上のように、本実施の形態による情報処理装置1によれば、センサなしの金型を用いた実装成形において用いられる適切なパラメータを自動的に取得することができるようになる。その結果、成形機への設定対象の1以上のパラメータを試行錯誤によって見つけなくてもよいことになり、そのパラメータの設定のための労力が軽減されることになる。また、種々の成形機で取得されたより多くの学習情報を用いて学習された学習器が用いられることによって、実装成形で用いられる1以上のパラメータをより精度高く取得することができる。その結果、情報処理装置1によって取得された1以上のパラメータを用いて実装成形において製造された成形品が不良品となる可能性を低減することができるようになる。また、試行錯誤によって正常パラメータを取得する処理は負担が大きいものであるが、情報処理装置1では、1以上の正常パラメータが1セットだけ存在する場合であっても、パラメータの取得を行うことができ、正常パラメータを取得する負担も軽減することが可能である。
なお、本実施の形態では、セット生成部16が複数のセットを生成する場合について説明したが、そうでなくてもよい。あらかじめ生成された2以上のセットが、図示しない記録媒体で記憶されており、パラメータ取得部17は、その2以上のセットを用いて、パラメータの取得を行ってもよい。その場合には、情報処理装置1は、条件記憶部15やセット生成部16を備えていなくてもよい。
また、本実施の形態では、学習器記憶部11において1個の学習器が記憶されている場合について主に説明したが、2個以上の学習器が記憶されていてもよい。その場合には、学習器記憶部11において、例えば、2以上の材料情報ごとにそれぞれ学習器が記憶されていてもよい。その材料情報は、材料を示す情報であってもよい。具体的には、成形材料「ポリエチレン」に対応する学習器、成形材料「ポリ塩化ビニル」に対応する学習器などのように、複数の学習器が成形材料ごとに学習器記憶部11で記憶されていてもよい。また、学習器記憶部11において、例えば、成形機の2以上の品番ごとにそれぞれ学習器が記憶されていてもよい。具体的には、成形機の品番「A123」に対応する学習器、成形機の品番「A987」に対応する学習器などのように、複数の学習器が品番ごとに学習器記憶部11で記憶されていてもよい。なお、成形機の品番は、成形機の種類を識別するための情報であり、成形関連情報に含まれる機械情報に含まれていてもよい。
このように、複数の学習器が学習器記憶部11で記憶されている場合には、パラメータ取得部17は、実装受付部14によって受け付けられた1以上の成形関連情報に含まれる情報を用いて学習器を選択し、その選択した学習器を用いて成形結果が正常となる1以上のパラメータを取得してもよい。このように、実装受付部14によって受け付けられた1以上の成形関連情報と、1以上の正常センサ値とを学習器に適用することによって1以上のパラメータを取得する処理には、1以上の成形関連情報に含まれる情報を用いた学習器の選択の処理が含まれていてもよい。
より具体的には、パラメータ取得部17は、実装受付部14によって受け付けられた1以上の成形関連情報に含まれる材料情報に対応する学習器を選択し、その選択した学習器を用いて成形結果が正常となる1以上のパラメータを取得してもよい。この場合には、成形関連情報に、材料情報が少なくとも含まれていることが好適である。また、成形関連情報に、さらに環境情報及び/または機械情報が含まれていてもよい。また、パラメータ取得部17は、実装受付部14によって受け付けられた1以上の成形関連情報に含まれる機械情報の示す品番に対応する学習器を選択し、その選択した学習器を用いて成形結果が正常となる1以上のパラメータを取得してもよい。この場合には、成形関連情報に、機械情報が少なくとも含まれていることが好適である。また、成形関連情報に、さらに環境情報及び/または材料情報が含まれていてもよい。
また、本実施の形態では、センサ値取得部13において、上記(1)の学習器を用いて1以上の正常センサ値を取得する際に、スコア(確信度)を用いる場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。センサ値取得部13は、1以上の正常パラメータと、1以上の成形関連情報と、1個の正常センサ値候補とを学習器に入力することによって得られた学習器からの出力が「正常」である場合には、その正常センサ値候補に含まれる1以上のセンサ値を、1以上の正常センサ値として取得してもよい。したがって、センサ値取得部13は、1以上の正常パラメータ等を学習器に適用する処理を、「正常」の出力が得られるまで異なる正常センサ値候補に対して繰り返して実行し、「正常」の出力が得られた時点で終了してもよい。
また、本実施の形態では、パラメータ取得部17において、スコア(確信度)を用いて1以上のパラメータを取得する場合について説明したが、そうでなくてもよい。以下の説明のように、スコアを用いないでパラメータの取得を行う場合には、パラメータ取得部17は、スコア取得手段21とパラメータ取得手段22とを備えていなくてもよい。
上記(1)の学習器を用いる場合には、パラメータ取得部17は、1以上の成形関連情報と、1以上の正常センサ値と、1個のセットに含まれる1以上のパラメータとを学習器に入力することによって得られた学習器からの出力が「正常」であるときに、そのセットに含まれる1以上のパラメータを出力対象の1以上のパラメータとして取得してもよい。したがって、パラメータ取得部17は、1以上の成形関連情報等を学習器に適用する処理を、「正常」の出力が得られるまで異なるセットに対して繰り返して実行し、「正常」の出力が得られた時点で終了してもよい。
また、上記(2)の学習器を用いる場合には、パラメータ取得部17は、1以上の成形関連情報と、1個のセットに含まれる1以上のパラメータとを学習器に入力することによって得られた1以上のセンサ値が、1以上の正常センサ値と一致するときに、そのセットに含まれる1以上のパラメータを出力対象の1以上のパラメータとして取得してもよい。したがって、パラメータ取得部17は、1以上の成形関連情報等を学習器に適用する処理を、1以上の正常センサ値と一致する1以上のセンサ値の出力が得られるまで異なるセットに対して繰り返して実行し、1以上の正常センサ値と一致する出力が得られた時点で終了してもよい。
また、セット生成部16が1以上のパラメータを含むセットを生成する場合において、セットに含まれる1以上のパラメータは、実装成形において設定の対象となる1以上のパラメータであることが好適である。そのため、例えば、実装受付部14によって、1以上の成形関連情報と共に、実装成形で設定される1以上のパラメータの種類を示す情報が受け付けられ、その受け付けられた情報によって示される種類の1以上のパラメータを含むセットが、セット生成部16によって生成されてもよい。
また、本実施の形態では、成形機が射出成形の成形機である場合について主に説明したが、成形機は、他の成形機であってもよい。成形機は、例えば、プレス成形の成形機や、ブロー成形の成形機などであってもよい。
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
また、上記実施の形態において、情報処理装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。なお、上記実施の形態における情報処理装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、成形機への設定対象の1以上のパラメータと、1以上のパラメータが設定された成形機においてセンサ付き金型を用いて取得された1以上のセンサ値と、センサ付き金型を用いた成形に関連する1以上の成形関連情報とを有する2以上の学習情報を機械学習のアルゴリズムにより学習した学習器が記憶される学習器記憶部にアクセス可能なコンピュータを、センサなしの金型を用いた試験成形における成形結果が正常となる1以上のパラメータである1以上の正常パラメータと、試験成形に関連する1以上の成形関連情報とを受け付ける試験受付部、試験受付部によって受け付けられた1以上の正常パラメータと1以上の成形関連情報とを学習器に適用することによって、成形結果が正常となる1以上のセンサ値である1以上の正常センサ値を取得するセンサ値取得部、センサなしの金型を用いた実装成形に関連する1以上の成形関連情報を受け付ける実装受付部、実装受付部によって受け付けられた1以上の成形関連情報と、センサ値取得部によって取得された1以上の正常センサ値とを学習器に適用することによって、実装成形における成形結果が正常となる1以上のパラメータを取得するパラメータ取得部、パラメータ取得部によって取得された1以上のパラメータを出力する出力部として機能させるためのプログラムである。
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。例えば、情報を受け付ける受付部や、情報を出力する出力部などにおけるモデムやインターフェースカードなどのハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には少なくとも含まれない。
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
図8は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による情報処理装置1を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
図8において、コンピュータシステム900は、CD−ROMドライブ905を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
図9は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図9において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANやWAN等への接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による情報処理装置1の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921に記憶されて、CD−ROMドライブ905に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。また、CD−ROM921に代えて他の記録媒体(例えば、DVD等)を介して、プログラムがコンピュータシステム900に読み込まれてもよい。
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による情報処理装置1の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能やモジュールを呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。