JP2020056089A - 鉄含有ダストの処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不活性ガスやダストを噴霧するノズルを用いることなく、エージング処理を行わずにダストスラリーを処理できる鉄含有ダストの処理方法を提供する。【解決手段】鉄含有ダストの処理方法であって、製鉄工程で発生する鉄含有ダストを含むスラリーのpHを予め定められた範囲内として前記スラリーを酸化処理する。【選択図】図1

Description

本発明は、製鉄工程で発生する鉄含有ダストの処理方法に関するものである。
製鉄工程では高炉、転炉などからダストが発生する。これらのダストは、鉄や炭素を含むので、焼結原料としてリサイクルし、再び、製鉄工程に戻すことが望ましい。これらダストのうち、金属鉄や酸化第一鉄を多量に含有するダストは強い自然発火性を有するので、比較的低温度で酸化して自然発火、燃焼を始める。このため、製鉄工程に戻す前に、これらダストの自然発火や燃焼を抑制する適切な処理が求められる。
高炉や転炉で発生するダストは粒径が小さく、湿式法によってガスと分離され、スラリーとされる。スラリーは、重力沈降によって固液分離されたのち、脱水機を用いて脱水され脱水ケーキとされる。この脱水ケーキを大気中に放置すると、脱水ケーキの乾燥が進み、急速に酸化、赤熱することがしばしば確認されている。このため、脱水ケーキは、ヤードなどに一定期間熱が籠らないような形で野積み(エージング)して、金属鉄等をある程度酸化させる処理が行われている。
これまで、製鉄所等にはヤード等の用地に余裕があったので、高炉や転炉で発生するダストの多くは、一定期間エージング処理して金属鉄等を酸化させた後にリサイクルされていた。しかしながら、近年、種々の廃棄物処理の高度化や、環境、リサイクル意識の高まりなどから、新たな付帯処理設備等が建設されたり、また、収益改善、合理化といった観点から用地を売却するなどの動きによってヤード等の用地が不足している製鉄所もある。このような製鉄所では十分なエージング用地が確保できないので、エージング処理を行わずにダストを酸化する処理が求められている。
エージング処理を行わずにダストを処理する方法として、特許文献1には、このダストを熱硬化性プラスチックと混合してブリケット化する方法が開示されている。また、特許文献2には、高温の燃焼ガス(不活性ガス)中にダストスラリーを噴霧し、低含水率まで乾燥させることで赤熱を抑制する方法が開示されている。
特開2004−35951号公報 特開平5−9599号公報
特許文献1、2に開示されている技術は、混合時や乾燥時に不活性ガスを使用するので、大規模処理においては不活性ガスの漏洩、酸欠事故等が懸念される、という課題がある。特許文献2に開示されている技術においては、さらに、ダストスラリーを噴霧するノズルが閉塞する、という課題もある。本発明はこのような従来技術の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、不活性ガスやダストを噴霧するノズルを用いることなく、エージング処理を行わずにダストスラリーを処理できる鉄含有ダストの処理方法を提供することである。
本発明の特徴は、以下の通りである。
(1)製鉄工程で発生する鉄含有ダストを含むスラリーのpHを予め定められた範囲内として前記スラリーを酸化処理することを特徴とする、鉄含有ダストの処理方法。
(2)前記スラリーのpHを4以上9以下の範囲内とすることを特徴とする、(1)に記載の鉄含有ダストの処理方法。
(3)前記スラリーに酸化剤を添加して酸化処理することを特徴とする、(1)または(2)に記載の鉄含有ダストの処理方法。
(4)酸素を含有する気体で前記スラリーを曝気して酸化処理することを特徴とする、(1)または(2)に記載の鉄含有ダストの処理方法。
本発明に係る鉄含有ダストの処理方法を実施することで、不活性ガスやダストを噴霧するノズルを用いることなく、エージング処理を行わずに、鉄含有ダストを含むダストを赤熱および自然発火が抑制されたダストに酸化処理できる。
本実施形態に係る鉄含有ダストの処理方法を模式的に示す模式図である。 pHと炭素鋼の腐食速度との関係を示すグラフである。 微酸性領域における鉄第一イオンの酸化速度のpH依存性を示すグラフである。 中性領域における酸化速度のpH依存性を示すグラフである。 鉄の電位−pH図である。 酸化処理前後の鉄の形態分析結果を示すグラフである。 酸化処理前後のダストスラリーのEPMA測定結果である。 過酸化水素の添加量と酸化処理後に回収される鉄量との関係を示すグラフである。 酸化処理前後の鉄の形態分析結果を示すグラフである。 赤熱した模擬脱水ケーキの温度プロフィールである。 赤熱しなかった模擬脱水ケーキの温度プロフィールである。 模擬脱水ケーキの赤熱確率を示すグラフである。
本発明者らは、pHが特定の範囲とされた鉄含有ダストを含むダストスラリー(以後、「ダストスラリー」と記載する)を酸化処理することでダストを部分的に酸化させ、これにより、ダストの赤熱あるいは自然発火現象を抑制させることを考えた。本発明はかかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。以下、本発明の実施形態を通じて本発明を説明する。
図1は、本実施形態に係る鉄含有ダストの処理方法を模式的に示す模式図である。本製鉄工程で発生する鉄含有ダストとして、鉄含有率が高く赤熱および自然発火の危険性が高い転炉ダストを処理した例を用いて本実施形態を説明するが、転炉ダストに限らず、高炉、焼結機、原料処理工程あるいは溶銑予備処理工程で発生した鉄含有ダストであっても転炉ダストと同様に処理できる。
転炉ダスト10に含まれる鉄の形態としては、金属Fe(M−Fe、0価)、FeO(2価)、Fe(3価)があるが、このうち赤熱、自然発火に関与するのはM−FeとFeOである。空気中では、M−FeおよびFeOの酸化反応が非常に早く進むので発熱量が大きくなる。また、空気の熱伝導率は水と比べると低いので転炉ダスト10の温度が上昇する。この転炉ダスト10温度の上昇によりさらに酸化反応が促進され、これにより、赤熱、自己発火に至る。
空気中におけるM−FeおよびFeOは、以下に示す(1)式および(2)式の通りに反応して発熱する。なお、以下の説明において、ΔHが−である反応は発熱反応であり、ΔHが+である反応は吸熱反応である。
2Fe+1.5O→Fe ΔH:−824KJ・・(1)
2FeO+0.5O→Fe ΔH:−292KJ・・・(2)
一方、水中では、転炉ダスト10に含まれる鉄の腐食、酸化等が段階的かつ緩慢に生じるので、瞬間的な発熱は抑制される。また、周囲の水への熱移動があるので局所的な温度上昇も抑えられる。この結果、水中のM−FeおよびFeOの酸化速度は空気中の酸化速度と比較して極めて遅くなる。水中におけるM−Feは、下記(3)〜(6)式の通りに反応する。この(3)〜(6)式から、上記(1)と同じ下記(7)式が導かれる。
2Fe+4H+O→2Fe2++2HO ΔH:−750KJ・・・(3)
2Fe +4HO→2Fe(OH)+4H ΔH:+184KJ・・・(4)
2Fe(OH)+0.5O→2FeOOH+HO(l) ΔH:−266kJ・・・(5)
2FeOOH→Fe+HO(l) ΔH:+8kJ・・・(6)
2Fe+1.5O→Fe ΔH:−824KJ・・・(7)
また、水中におけるFeOは、下記(4)〜(6)、(8)式の通りに反応する。この(4)〜(6)、(8)式から上記(2)と同じ下記(9)式が導かれる。
2FeO+4H→2Fe2++2HO ΔH:−217KJ・・・(8)
2Fe2++4HO→2Fe(OH)+4H ΔH:+184KJ・・・(4)
2Fe(OH)+0.5O→2FeOOH+HO(l) ΔH:−266kJ・・・(5)
2FeOOH→Fe+HO(l) ΔH:+8kJ・・・(6)
2FeO+0.5O→Fe ΔH:−291KJ・・・(9)
本実施形態に係る鉄含有ダストの処理方法では、転炉ダスト10を含むダストスラリーのpHを、Feの腐食(Fe2+の生成)反応を示す(3)式およびFeOの腐食(Fe2+の生成)反応である(8)式と、Fe2+の沈殿を示す(4)式とがほぼ同時に進行するpHに調整する。(4)式で示す反応は吸熱反応なので、(3)式および(8)式によって生じる発熱はある程度相殺される。また、Fe(OH)からFeOOHが生じる(5)式の反応は、ゆっくり進行するので発熱量が多くならない。このように、水中での反応は、空気中の反応よりも発熱量が少なくなり、また、周囲の水への熱移動により局所的な温度の上昇も抑制されるので、酸化反応によって赤熱、自己発火が生じないと考えられる。このように転炉ダスト10をスラリーの状態で酸化することで、脱水ケーキの状態で野積みされたとしても赤熱、自己発火が抑制されたダストにできる。
転炉ダスト10の酸化処理は、転炉ダスト10に含まれるFeおよびFeOの全てを酸化する必要はなく、部分的に酸化すれば十分に赤熱、自己発火を抑制できる。酸化の方法としては、スラリー状態の転炉ダスト10に酸化剤を添加してもよく、ダストスラリーを曝気してもよい。ダストスラリーに添加する酸化剤としては、鉄を酸化できる酸化剤であればよい。ダストスラリーを曝気する場合には酸素を含む気体を用いてよい。酸素を含む気体としては、例えば、空気を用いてもよく、酸素濃度を空気より高めた酸素富化ガスを用いてよい。添加する酸化剤の量や曝気量、曝気時間等の酸化処理条件は、後述する模擬実験等を通じて、赤熱、自己発火が抑制される条件に定めてよい。
酸化処理は、ダストスラリーのpHを4以上9以下として行うことが好ましい。ダストスラリーのpHを4以上9以下にすることで、ダストスラリーに含有されるFeおよびFeOの腐食と酸化(Fe2+の沈殿)を同時に進行させることができ、ダストスラリーの酸化処理速度が向上する。
図2は、pHと炭素鋼の腐食速度との関係を示すグラフである。図3は、微酸性領域における鉄第一イオンの酸化速度のpH依存性を示すグラフである。図4は、中性領域における酸化速度のpH依存性を示すグラフである。図2〜4を用いて、ダストスラリーのpHを4以上9以下の範囲内として酸化処理を行うことが好ましい理由を説明する。
図2に示すように、pH3〜4未満の低pH領域では炭素鋼の腐食速度は速くなる。しかしながら、低pH領域では鉄はイオンとして溶解したままになり、溶液中に留まってしまう。一方、pHが10を超えるような高pH領域では炭素鋼の腐食速度は低下し、全体の反応の律速となってしまうので好ましくない。
一方、図3、図4に示すように、pHが高い方が第一鉄イオンの酸化速度は速くなる。これらのグラフから、炭素鋼を腐食させ、腐食により生じた第一鉄イオンの酸化を速やかに進行させるには、弱酸性から弱アルカリ性となるpHの範囲内とし、腐食と酸化反応とをバランスよく進行させることが重要であることがわかる。このため、転炉ダスト10の酸化処理は、ダストスラリーのpHを4以上9以下の範囲内として行うことが好ましく、ダストスラリーのpHを7以上8以下の範囲内として行うことがより好ましく、ダストスラリーのpHを7として行うことがさらに好ましい。上述したpHの範囲内として酸化処理を行うことで腐食と酸化がバランスよく進行し、この結果、短時間で転炉ダスト10を赤熱、自己発火が抑制されたダストに酸化処理できる。
また、一般的に製鉄所で発生するダストの多くにはCaOが含まれるので、当該ダストを含むスラリーはアルカリ性になっていることが多い。このため、当該ダストを含むスラリーのpHを調整するのに酸を用いることが多くなる。ダストスラリーのpHを調整するのに使用する酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の一般的な薬剤が使用できる。アルカリを用いてダストスラリーのpHを調整する場合も、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等、pHの調整に用いられている薬剤を使用できる。また、ダストスラリーの酸化反応の進行度合いは、酸化還元電位(ORP)を測定することで把握できる。
図5は、鉄の電位−pH図である。図5を用いて、酸化還元電位(ORP)を測定することでダストスラリーの酸化反応の進行度合いを把握する方法について説明する。図5の灰色領域が、鉄が酸化、沈澱する領域と考えられる。図1で説明したように、本処理によって一時的に溶解する鉄は微量なので、図5中の線においては、Fe濃度10−6M〜10−4Mあたりの線(図5中「−6」および「−4」と記載された線付近)を参照すればよい。従って、pHが4以上9以下の範囲内では、沈殿、溶解の境界ORPはおよそ1.0〜−0.2V程度、好ましいpH7付近ではORPが0.3V程度となる。したがって、ダストスラリーの酸化還元電位が、このORP以上であれば、酸化反応が進行していることがわかる。また、図5から、Fe濃度が10−6M程度の場合、pHが4未満では鉄がほとんど沈殿しないことがわかる。このことから、ダストスラリーのpHを4以上として酸化処理することが好ましく、これにより、酸化した鉄を沈殿物として回収できる。
以上、説明したように、本実施形態に係る鉄含有ダストの処理方法では、鉄含有ダストを含むスラリーのpHを予め定められた範囲内として、当該鉄含有ダストを含むスラリーを酸化処理する。このように、スラリー状態で鉄含有ダストを酸化処理することで、空気中の反応よりも発熱量が少なくなり、周囲の水への熱移動により局所的な温度の上昇も抑制されるので、酸化反応によって赤熱、自己発火が生じることはない。また、腐食反応と酸化反応とをバランスよく進行させるpHを予め定め、当該pHの範囲内として酸化処理を行うことで、エージング処理を行わずに鉄含有ダストを含むスラリーを酸化処理できる。これにより、不活性ガスやダストを噴霧するノズルを用いることなく、鉄含有ダストを赤熱および自然発火が抑制されたダストに酸化処理できる。
以下、本実施形態に係る鉄含有ダストの処理方法を用いて、製鉄所で発生した転炉ダスト10を含むスラリーを酸化処理した実施例を説明する。本実施例に用いた転炉ダスト10に含まれる鉄の形態別分析結果を下記表1に示す。
この転炉ダスト10のダストスラリーのSS(スラリー中に懸濁している固形物の割合)を予め測定し、固形物濃度が10質量%になるように調整した。固形物濃度が調整されたダストスラリー500mLをビーカーに採取し、pHを6、7、8、9に制御しながら撹拌した。撹拌開始後、各ダストスラリーに酸化剤として35質量%Hを5mL添加(10mL/L)し、1時間撹拌して酸化処理した。酸化処理後、各ダストスラリーを回収して鉄の形態分析を行い、酸化処理前と比較した。
図6は、酸化処理前後の鉄の形態分析結果を示すグラフである。図6の縦軸は、Fe固形物量(g/100sSS)であり、横軸は各ダストスラリーのpHである。pHを調整していないダストスラリーのpHは、約12であった。
図6に示すように、pHを6および7としたダストスラリーを酸化処理することで、赤熱、自己発火に関与するM−FeとFe(II)の含有量を酸化処理前より大きく低減させることができた。pHを6としたダストスラリーでは、固形物として回収された鉄の量が酸化処理前よりも減少した。この鉄の減少は、鉄の一部が水に溶解したものと考えられる。一方、pHを7としたダストスラリーでは、pHを6としたダストスラリーよりも鉄の減少量が少なくなった。鉄が水中に溶解したまま沈殿せずに留まると、鉄のロスになるだけでなく、脱水後の水処理の負担も増加するので好ましくない。これらの結果から、ダストスラリーのpHを7以上として酸化処理することが好ましいことがわかる。
次に、電子線マイクロアナライザーを用いた評価結果を説明する。酸化処理前のダストスラリー、pHを6とし過酸化水素を添加して酸化処理したダストスラリーおよびpHを調整せずに過酸化水素を添加して酸化処理したダストスラリーの3サンプルについて、電子線マイクロアナライザー(EPMA)測定を行った。図7は、酸化処理前後のダストスラリーのEPMA測定結果である。なお、図7中のドットハッチング部は、酸化されていない金属鉄を示す。
図7に示すように、酸化処理前のダストスラリーおよびpHを調整せずに酸化処理したダストスラリーでは、酸化されていない金属鉄の存在が確認された。一方、pHを6とし過酸化水素を添加して酸化処理したダストスラリーでは、酸化されていない金属鉄は存在せず、全ての鉄が酸化されていた。
次に、酸化剤である過酸化水素の添加量について説明する。ダストスラリーのpHを7とし、30質量%過酸化水素を2.5mL/L添加して酸化処理したダストスラリーを作成した。同様に、過酸化水素の添加量を5.0mL/L、10.0mL/L、15.0mL/Lに変えて酸化処理したダストスラリーを作成した。このように過酸化水素の添加量を変えて酸化処理したダストスラリーの鉄の形態分析を行い、酸化処理前後の数価と比較した。
図8は、過酸化水素の添加量と酸化処理後に回収される鉄の固形物量との関係を示すグラフである。図8の縦軸は、Fe固形物量(g/100sSS)であり、横軸はダストスラリーに添加した過酸化水素の添加量(mL/L)である。図8に示すように、過酸化水素の添加量を0〜5.0mL/Lの範囲として酸化処理したダストスラリーでは、鉄の固形物の回収量が少なくなった。これは、pHを7とするために添加した酸と鉄とが反応して溶解し、そのまま溶液中に留まったと考えられる。一方、過酸化水素の添加量を10.0mL/Lとして酸化処理したダストスラリーでは、ほぼ全量の鉄が固形物として回収された。この結果から、固形物濃度が10質量%の転炉ダストスラリーに対する好ましい過酸化水素の添加量は、10.0mL/L以上であることがわかる。
次に、曝気(空気酸化)による酸化処理について説明する。固形物濃度が10質量%に調整されたダストスラリー500mLをビーカーに採取し、pHを6または7に制御しながら空気を用いて1時間撹拌、曝気して酸化処理した。曝気量は350mL/min(0.7vvm)である。酸化処理後、各ダストスラリーを回収して鉄の形態分析を行い、酸化処理前と比較した。
図9は、酸化処理前後の鉄の形態分析結果を示すグラフである。図9の縦軸は、Fe固形物量(g/100sSS)であり、横軸は各ダストスラリーのpHである。
図9に示すように、pHを6および7に制御してダストスラリーを曝気することで、赤熱、自己発火に関与するM−FeとFe(II)の含有量を酸化処理前より大きく低減させることができた。この結果から、酸化剤の添加による酸化処理と同様に、曝気による酸化処理によっても転炉ダスト10を処理できることが確認された。また、pHを6としたダストスラリーでは鉄の固形物の回収量が少なくなったが、pH7としたダストスラリーでは固形物としてほぼ全量の鉄が固形物として回収された。この結果から、曝気による酸化処理においても、ダストスラリーのpHを7以上として酸化処理することが好ましいことがわかる。
次に、酸化処理したダストを用いた赤熱模擬実験の結果について説明する。固形物濃度を10質量%に調整した転炉ダストスラリー500mLをpH7とし、過酸化水素を10mL/L添加して酸化処理した。酸化処理したダストスラリーを遠心分離機で固液分離し、固形物を得た。得られた固形物を模擬脱水ケーキとした。
この模擬脱水ケーキ200gをるつぼに入れ、マッフル炉で加熱して、野積みされ脱水ケーキ内に熱が籠る状態を模擬した。この状態で、るつぼの上から3L/minの空気を送風して酸素供給を促進させながら赤熱模擬実験を行った。模擬脱水ケーキの温度プロフィールは、模擬脱水ケーキに挿入された3本の熱電対を用いて、マッフル炉の温度(雰囲気温度)を種々変更しながら測定した。
図10は、赤熱した模擬脱水ケーキの温度プロフィールである。図11は、赤熱しなかった模擬脱水ケーキの温度プロフィールである。図10、図11の縦軸は温度(℃)であり、横軸は時間(sec)である。図10、図11に示すように、模擬脱水ケーキが赤熱すると模擬脱水ケーキ内の温度が雰囲気温度を超えて著しく高温になるのに対し、赤熱しない場合には、模擬脱水ケーキ内の温度は雰囲気温度と同じになる。このように、赤熱する場合と赤熱しない場合とで、模擬脱水ケーキ内の温度プロフィールに明確な差が生じるので、温度プロフィールを測定することで模擬脱水ケーキの赤熱の有無が判断できる。
図12は、模擬脱水ケーキの赤熱確率を示すグラフである。図12の縦軸は赤熱確率(%)であり、横軸は、雰囲気温度(℃)である。赤熱確率は、各温度条件で10回ずつ試験を行い、赤熱が発生した回数を試験回数(10回)で除し、100を乗ずることで算出した。
図12に示すように、雰囲気温度160℃を境界とし、酸化処理してないダストスラリーでは赤熱確率が100%であった。一方、酸化処理したダストスラリーでは、雰囲気温度を300℃にしても赤熱確率は0%であった。これらの結果から、転炉ダスト10をスラリー状態にして酸化処理することで、脱水ケーキの状態で野積みされたとしても赤熱、自己発火が抑制されたダストにできることが確認された。また、従来、鉄含有ダストの酸化処理に概ね2週間から1ヶ月程度の期間のエージング処理をしていたところ、本実施形態に係る鉄含有ダストの処理方法を用いると数時間で鉄含有ダストを自己発火が抑制されたダストに酸化処理できることが確認された。
10 転炉ダスト

Claims (4)

  1. 製鉄工程で発生する鉄含有ダストを含むスラリーのpHを予め定められた範囲内として前記スラリーを酸化処理することを特徴とする、鉄含有ダストの処理方法。
  2. 前記スラリーのpHを4以上9以下の範囲内とすることを特徴とする、請求項1に記載の鉄含有ダストの処理方法。
  3. 前記スラリーに酸化剤を添加して酸化処理することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の鉄含有ダストの処理方法。
  4. 酸素を含有する気体で前記スラリーを曝気して酸化処理することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の鉄含有ダストの処理方法。
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