JP2020054734A - 試適用治具及び試適用治具製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】最終補綴物完成までの時間の短縮及び患者負担の軽減を図ることができ、完成状態をイメージしやすく、インプラント体の埋入位置の確認及び咬合の確認を効率良く行える試適用治具を提供する。【解決手段】本発明の試適用治具はレントゲンに写らない素材からなる歯型形状のクラウン1とインプラント体に装着するレントゲンに写る素材からなるシリンダ2を備えている。クラウンはシリンダを埋設するためのシリンダ埋設部1aを備えている。シリンダはクラウンのシリンダ埋設部に埋設されて、当該クラウンに接着されている。本発明の試適用治具製造方法は、レントゲンに写らない素材でシリンダ埋設部を備えた歯型形状のクラウンを製作し、レントゲンに写る素材でシリンダ埋設部に埋設可能な形状のシリンダを製作し、シリンダをクラウンのシリンダ埋設部に埋設してクラウンに接着することによって試適用治具を製造する方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、インプラント治療に際し、インプラント体の埋入位置や噛合せ等の確認のために口腔内に入れて使用する試適用治具とその製造方法に関するものである。
歯根を失った歯の治療方法としてインプラント治療がある。インプラント治療は、手術を伴う治療である。インプラント治療は、手術を行う回数によって一回法と二回法に分けられる。一回法はインプラント体とアバットメントを一回の手術で装着する方法であり、二回法はインプラント体とアバットメントを二回に分けて装着する方法である。ここでいうインプラント体は、歯肉内の骨に固定させるベースとなる部材であり、アバットメントはインプラント体に取付けてインプラント体と上部構造(最終補綴物)を連結するための部材である。
インプラント治療では、アバットメントに装着する上部構造を製作する。図6に示すように、一般的に、上部構造は、模型製作工程(STEP001)、咬合床製作工程(STEP002A)、咬合採得工程(STEP003A)、位置確認治具製作工程(STEP002B)、位置確認工程(STEP003B)、咬合器装着工程(STEP004)、排列工程(STEP005)、一次試適工程(STEP006)、補綴物製作工程(STEP007)、二次試適工程(STEP008)、補綴物調整工程(STEP009)を経て製作される。
模型製作工程は患者の口腔内を再現する模型を製作する工程、咬合床製作工程は模型上に基礎床及び蝋堤からなる咬合床を製作する工程、位置確認治具製作工程は模型上に再現されたインプラントアナログの位置と実際の口腔内のインプラント体の位置がずれていないかを確認するための治具を製作する工程、咬合採得工程は模型から取外した咬合床を患者の口腔内に入れて咬合を採得する工程、位置確認工程は位置確認治具を患者の口腔内のインプラント体に被せて位置ずれが生じていないかを確認する工程、咬合器装着工程は咬合採得後の咬合床を取り付けた模型を咬合器に装着する工程、排列工程は咬合器に装着された咬合床の蝋堤に、対合歯に合わせて人工歯を排列する工程、一次試適工程は人工歯が排列された咬合床を患者の口腔内に入れて歯の位置や形状、噛合せ等を確認する工程、補綴物製作工程は前記人工歯をベースに仮補綴物を製作する工程、二次試適工程は仮補綴物を患者の口腔内に装着して歯の位置や形状、噛合せ等を確認する工程、補綴物調整工程は二次試適工程後の仮補綴物に対して磨きや色付け、艶出し等を行って最終補綴物を完成させる工程である。前記工程は補綴物を製作する手順の一例であり、これ以外の手順で製作される場合もある。
前記上部構造(最終補綴物)の製作に当たっては、模型に埋入されたインプラントアナログの位置が、実際の口腔内のインプラント体の埋入位置と合致しているかを確認する必要がある。従来、この確認は、例えば次の手順で行われていた。まず、口腔内のインプラント体にテンポラリシリンダを装着した状態で、隣接するテンポラリシリンダ同士を連結部材で連結し、位置確認治具を製作する。その後、当該位置確認治具をインプラント体から取り外し、模型のインプラントアナログに装着する。このとき、テンポラリシリンダが正確にインプラントアナログに嵌合するか否かによって、インプラントアナログの埋入位置がインプラント体の埋入位置と合致しているか否かを確認することができる(特許文献1)。なお、位置確認治具は、模型上のインプラントアナログにテンポラリシリンダを装着し、それらテンポラリシリンダを連結部材で連結して製作する場合もある。この場合、製作した位置確認治具をインプラントアナログから取り外し、口腔内のインプラント体に装着して、位置ずれがないかを確認することができる。
特開2016−049416号公報
従来の最終補綴物の製造工程では、(1)咬合床とは別に位置確認治具を製作する必要があるため時間もコストもかかる、(2)咬合採得に用いる咬合床や位置確認に用いる位置確認治具は実際の歯型形状でないため、歯科医にとっても患者にとっても完成状態をイメージしにくい、(3)インプラント体の埋入位置の確認と咬合が適正であるか否かの確認を別々に行わなければならないため時間も手間もかかる、(4)患者が咬合床の製作や位置確認治具の製作、咬合確認の度に来院しなければならず、患者の負担が大きいという難点があった。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、最終補綴物完成までの時間短縮及び患者の負担軽減を図ることができ、歯科医にとっても患者にとっても完成状態をイメージしやすく、インプラント体の埋入位置の確認及び咬合が適正であるか否かの確認を効率良く行うことができる試適用治具及びその製造方法を提供することにある。
[試適用治具]
本発明の試適用治具は、口腔内での試適に際して歯肉内の骨に埋入されたレントゲンに写る素材からなるインプラント体に装着するものである。本発明の試適用治具は、レントゲンに写らない素材からなる歯型形状のクラウンと前記インプラント体に装着するレントゲンに写る素材からなるシリンダを備えている。クラウンはシリンダを埋設するためのシリンダ埋設部を備えている。シリンダはクラウンのシリンダ埋設部に埋設されて、当該クラウンと一体化されている。なお、本願において、「レントゲンに写る素材」には、例えば、ジルコニアやチタン、チタン合金、コバルトクロム合金等が含まれ、「レントゲンに写らない素材」には、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等が含まれる。
[試適用治具製造方法]
本発明の試適用治具製造方法は、口腔内での試適に際して歯肉内の骨に埋入されたレントゲンに写る素材からなるインプラント体に装着する試適用治具の製造方法である。本発明の試適用治具製造方法は、レントゲンに写らない素材でシリンダ埋設部を備えた歯型形状のクラウンを製作し、レントゲンに写る素材でシリンダ埋設部に埋設可能な形状のシリンダを製作し、シリンダをクラウンのシリンダ埋設部に埋設してクラウンと一体化することによって試適用治具を製造する方法である。
本発明の試適用治具及び本発明の試適用治具製造方法で製造された試適用治具は、次の効果を奏する。
(1)歯型形状のクラウンと位置確認用のシリンダを備えているため、咬合床と位置確認治具を別々に製作する必要がなく、最終補綴物完成までの時間短縮及び患者の来院負担の軽減を図ることができる。
(2)クラウンが歯型形状であるため、試適時に歯科医が最終補綴物をイメージしながら作業を行うことができる。最終補綴物をイメージしやすいため、患者に対して安心感を与えることができる。
(3)シリンダがレントゲンに写る素材で製作されているため、試適時にレントゲン撮影をすることで、インプラント体とシリンダの適合状態を確認することができる。また、クラウンが歯型形状であるため、インプラント体とシリンダの適合状態の確認と咬合が適正であるか否かの確認を一度に行うことができる。
(a)は本発明の試適用治具の一例を示す正面図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)の底面図。 本発明の試適用治具の一例を示す断面図。 (a)は本発明の試適用治具の他例を示す正面図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)の底面図。 本発明の試適用治具を模型上のインプラントアナログに装着した状態のレントゲン画像。 本発明の試適用治具を用いて最終補綴物を製作する場合の一例を示す工程説明図。 従来の最終補綴物の製作工程説明図。
(試適用治具の実施形態1)
本発明の試適用治具の一例を、図1(a)〜(c)を参照して説明する。本発明の試適用治具は、口腔内での試適に際して歯肉内の骨に埋入されたインプラント体Xに装着して、そのインプラント体Xの埋入位置の確認と、咬合が適正であるか否かの確認をする際に用いるものである。あくまでも、最終補綴物の製作過程において使用される試適用の治具であり、最終補綴物とは位置づけが異なるものである。
一例として図1(a)〜(c)及び図2に示す試適用治具は、クラウン1とシリンダ2を備えている。本願のシリンダ2は、いわゆるテンポラリシリンダである。クラウン1は最終補綴物の形状を模した歯型形状であり、シリンダ2を埋設するための複数(図示する例では四つ)のシリンダ埋設部1aを備えている。この実施形態のクラウン1は八本の歯牙相当部1bを備えている。歯牙相当部1bは八本より多い場合も少ない場合もある。各歯牙相当部1bは咬合面を含めて歯型形状に成形されている。この実施形態のシリンダ埋設部1aは上下方向に貫通する貫通孔である。この実施形態では、クラウン1としてPMMA製のものを用いているが、レントゲンに写らない素材であれば、クラウン1はPMMA製以外であってもよい。
前記クラウン1の歯型形状は種々の方法で決定することができる。例えば、右側に残存歯がある場合には、その残存歯をミラーリングして左側の歯型形状を特定し、その歯型形状に削り出すことができる。ミラーリングとは残存歯に基づいてその対象位置の歯型形状を特定して修復する歯型を特定する方法を言う。また、他の方法として、CAD/CAM装置のデータベースに予め登録された歯型形状から最適な歯型形状を選択し、その歯型形状に削り出すことができる。なお、クラウン1は削り出し以外の方法、例えば、3Dプリンタで素材(材料)を積層する方法によって製作することもできる。
前記シリンダ2はインプラント体Xへの固定に用いる止め具Y(図2)を挿通可能な挿通部2aを備えた筒状の部材である。シリンダ2はクラウン1のシリンダ埋設部1aに埋設され、接着手段で一体化(固定)されている。接着手段には、市販されている既存の接着剤や常温重合レジン等を用いることができる。この実施形態のシリンダ2はレントゲンに写るジルコニアで製作されたものである。シリンダ2は、チタンやチタン合金、コバルトクロム合金等、レントゲンに写る素材であればジルコニア以外の素材からなるものであってもよい。なお、シリンダ2は、図2のようにシリンダ埋設部1aの全長に及ぶ長さとすることも、シリンダ埋設部1aの一部に収まる長さとすることもできる。場合によっては、シリンダ埋設部1aから一部が突出する長さとすることもできる。
図2に示すように、シリンダ2は、インプラント体X又はインプラントアナログPへの固定に用いる止め具Y(例えば、スクリュー)の鍔部Y1を受ける受け部2bを備えたものとすることもできる。受け部2bは挿通部2aの内壁の内側に突出する部分である。シリンダ2の止め具Yの挿入方向と反対側には、インプラント体X又はインプラントアナログPが収まる受け凹部2cを設けることもできる。シリンダ2には、受け凹部2cに代えて、外向きに突出する受け凸部(図示しない)を設けることもできる。なお、ここで説明したシリンダ2の構造は一例であり、所期の目的を達成できる限り、これら以外の構造とすることもできる。
(試適用治具の実施形態2)
本発明の試適用治具の他例を、図3(a)〜(c)を参照して説明する。この実施形態の基本的な構成は前記実施形態1の場合と同様である。異なるのは、クラウン1の咬合面の形状である。前記実施形態1の試適用補綴物は、凹凸な咬合面を備えたものであるが、この実施形態の試適用治具は、図3(a)(c)に示すような平滑な咬合面(平滑咬合部1c)を備えている。平滑咬合部1cは歯牙相当部1bのうち、臼歯に相当する部分(臼歯相当部)に設けられている。平滑咬合部1cには別途凹凸な咬合面が形成される。この咬合面は最終補綴物の成型に先立って形成される。
本発明の試適用治具は、口腔内での試適に際して歯肉内の骨に埋入されたレントゲンに写る素材からなるインプラント体X(例えば、ジルコニアやチタン、チタン合金、コバルトクロム合金等からなるインプラント体X)や、模型に埋入されたインプラントアナログP(例えば、ステンレスやチタン等からなるインプラントアナログP)に装着するものである。本発明の試適用治具をインプラント体X(或いはインプラントアナログP)に装着した状態でレントゲン撮影をすると、インプラント体X(或いはインプラントアナログP)及びシリンダ2がレントゲン画像に写し出される。このレントゲン画像によって、インプラント体Xとシリンダ2の適合状態が適切であるか否かを確認することができる。
図4はステンレス製のインプラントアナログPに本発明の試適用治具を装着した状態のレントゲン画像(写真)である。図4のレントゲン画像には、レントゲンに写る素材からなるインプラントアナログP及びシリンダ2が写し出されている。この画像と同様、本発明の試適用治具を口腔内のインプラント体Xに装着した場合も、インプラント体X及びシリンダ2がレントゲン画像に写し出され、この画像によって、インプラント体Xとシリンダ2の適合状態が適切であるか否かを確認することができる。なお、クラウン1はレントゲンに写らない素材(PMMA)からなるものであるため、レントゲン画像には写し出されない。
(試適用治具製造方法の実施形態)
本発明の試適用治具製造方法の一例を、図面を参照して説明する。この実施形態の試適用治具製造方法は、口腔内での試適に際して歯肉内の骨に埋入されたレントゲンに写る素材(例えば、ジルコニア、チタン、チタン合金又はコバルトクロム合金等)からなるインプラント体Xに装着する試適用治具の製造方法であって、レントゲンに写らない素材(例えば、PMMA)を削り出してシリンダ埋設部1aを備えた歯型形状のクラウン1を製作し、レントゲンに写る素材(例えば、ジルコニア、チタン、チタン合金又はコバルトクロム合金等)を削り出してシリンダ2を製作し、シリンダ2をクラウン1のシリンダ埋設部1aに埋設してクラウン1に一体化(接着)することによって試適用治具を製造する方法である。
より具体的には、以下の(1)〜(6)の手順で製造することができる。なお、ここでは、シリンダ2がジルコニア製であり、クラウン1がPMMA製の場合を一例として説明するが、シリンダ2はレントゲンに写る素材からなるものであればジルコニア製以外であってもよく、クラウン1はレントゲンに写らない素材からなるものであればPMMA製以外であってもよい。
(1)模型の製作
従来と同様の手順で模型を製作する。具体的には、既製トレーでの一次印象採得工程、一次模型の製作工程、個人トレーの製作工程、個人トレーでの二次印象採得工程を経て模型を製作する。模型のうち実際の口腔内におけるインプラント体Xの埋入位置に相当する位置にはインプラントアナログPを埋設しておく。模型製作に際しては、咬合採得を行う場合もある。
(2)第1データの取り込み
前記(1)で製作した模型をスキャンし、そのスキャンデータ(第1データ)をCAD/CAM装置に取り込む。
(3)シリンダの製作
前記(2)で取り込んだ第1データ上でシリンダ2をデザインしたのち、CAD/CAM装置にてジルコニア素材を削り出してシリンダ2を製作する。具体的には、作成したデザインに基づいてジルコニア素材を削り出し、インプラントアナログPに適合する挿通部2aを備えた筒形状(円筒形状や角筒形状)のシリンダ2を製作する。
(4)第2データの取り込み
前記(3)で製作したシリンダ2を模型のインプラントアナログPに装着したうえで、当該シリンダ2が装着された模型をスキャンし、そのスキャンデータ(第2データ)をCAD/CAM装置に取り込む。
(5)クラウンの製作
前記(4)で取り込んだ第2データ上でクラウン1をデザインしたのち、CAD/CAM装置にてPMMAを削り出してクラウン1を製作する。具体的には、作成したデザインに基づいてPMMAを削り出し、シリンダ埋設部1aを備えた歯型形状のクラウン1を製作する。クラウン1の歯型形状は前記試適用治具の実施形態1で説明した種々の方法で決定することができる。なお、クラウン1は、図3(a)(c)に示すような平滑咬合部1cを備えた歯型形状とすることもできる。
(6)クラウンとシリンダの接合
前記(5)で製作したクラウン1のシリンダ埋設部1aに前記(3)で製作したシリンダ2を埋設する。シリンダ埋設部1aに埋設したシリンダ2は接着剤や常温重合レジンなどでクラウン1(具体的には、クラウン埋設部1aの周壁)に接着する。
本発明の試適用治具を用いることで、咬合床と位置確認治具を別々に製作する必要がなくなるため、補綴物完成までの時間短縮を図ることができる。図5は本発明の試適用治具を用いて上部構造を製作する工程の一例を示すものである。
本発明の試適用治具を用いる場合、図5に示すように、上部構造は、模型製作工程(STEP101)、試適用治具製作工程(STEP102)、一次試適工程(STEP103)、補綴物製作工程(STEP104)、二次試適工程(STEP105)、補綴物調整工程(STEP106)を経て製作される。
このように、本発明の試適用治具を用いることで、従来の上部構造の製作工程(図6)に必要であった咬合床製作工程(STEP002A)、位置確認治具製作工程(STEP002B)及び排列工程(STEP005)に相当する工程を一つにまとめることができるため、補綴物完成までの時間短縮及び患者の来院負担の軽減を図ることができる。
患者の来院負担が軽減されることについてより具体的に説明する。患者の残存歯の数やその状態によって異なるが、一例として、従来の製作工程(図6)では、模型製作(印象採得)、咬合採得、位置確認、一次試適、二次試適の各工程において一回ずつ来院し、その後に、最終補綴物の装着のために一回来院する必要があるため、合計六回は来院することになる。これに対し、本発明の試適用治具を用いる方法では、模型製作工程において印象採得と共に咬合採得を行うことで来院回数を一回削減することができ、位置確認及び一次試適を同時に行うことで来院回数をさらに一回削減することができる。結果として、従来よりも来院回数を二回削減することができ、患者の来院負担を低減することができる。
なお、前記試適用治具の実施形態は一例であり、試適用治具これ以外の方法で製造することもできる。
(試適用治具の使用方法1)
本発明の試適用治具の使用方法の一例を説明する。ここでは、前記試適用治具の実施形態1で説明した試適用治具の使用方法について説明する。
(1)歯科医院にて試適用治具を患者の口腔内に装着する。
(2)試適用治具を装着した患者の口腔内のレントゲン撮影を行い、その撮影したレントゲン画像によって、インプラント体Xとシリンダ2の適合状態を確認する。
(3)装着した試適用治具の咬合が適正であるか否かを目視で確認する。
(4)インプラント体Xとシリンダ2の適合状態の確認及び咬合が適正であるか否かの確認後、当該試適用治具に基づいて最終補綴物の製作工程に移行する。
(試適用治具の使用方法2)
本発明の試適用治具の使用方法の他例を説明する。ここでは、前記試適用治具の実施形態2で説明した試適用治具の使用方法について説明する。
(1)歯科医院にて試適用治具を患者の口腔内に装着する。
(2)試適用治具を装着した患者の口腔内のレントゲン撮影を行い、その撮影したレントゲン画像によって、インプラント体Xとシリンダ2の適合状態を確認する。
(3)装着した試適用治具の平滑咬合部1cと患者の残存歯の間にシリコンや蝋、石膏、レジン等を用いて、咬合採得を行う。
(4)インプラント体Xとシリンダ2の適合状態の確認及び咬合採得後、当該試適用治具に基づいて最終補綴物の製作工程に移行する。なお、最終補綴物は前記(3)で採得した咬合に基づいて製作することができるが、歯科医院側より、最終補綴物の製作工程に移行する前に、当該咬合採得に基づく咬合部付きの試適用治具の製作の要望がある場合には、咬合部を備えた試適用治具を製作することもできる。
本発明の試適用治具は、従来の咬合床及び位置確認治具の双方の機能を備えたものであり、上部構造(最終補綴物)を製作するに当たり、従来の咬合床や位置確認治具に代えて用いることができるものである。
1 クラウン
1a シリンダ埋設部
1b 歯牙相当部
1c 平滑咬合部
2 シリンダ
2a 挿通部
2b 受け部
2c 受け凹部
P インプラントアナログ
X インプラント体
Y 止め具
Y1 鍔部
本発明は、インプラント治療に際し、インプラント体の埋入位置や噛合せ等の確認のために口腔内に入れて使用する試適用治具とその製造方法に関するものである。
歯根を失った歯の治療方法としてインプラント治療がある。インプラント治療は、手術を伴う治療である。インプラント治療は、手術を行う回数によって一回法と二回法に分けられる。一回法はインプラント体とアバットメントを一回の手術で装着する方法であり、二回法はインプラント体とアバットメントを二回に分けて装着する方法である。ここでいうインプラント体は、歯肉内の骨に固定させるベースとなる部材であり、アバットメントはインプラント体に取付けてインプラント体と上部構造(最終補綴物)を連結するための部材である。
インプラント治療では、アバットメントに装着する上部構造を製作する。図6に示すように、一般的に、上部構造は、模型製作工程(STEP001)、咬合床製作工程(STEP002A)、咬合採得工程(STEP003A)、位置確認治具製作工程(STEP002B)、位置確認工程(STEP003B)、咬合器装着工程(STEP004)、排列工程(STEP005)、一次試適工程(STEP006)、補綴物製作工程(STEP007)、二次試適工程(STEP008)、補綴物調整工程(STEP009)を経て製作される。
模型製作工程は患者の口腔内を再現する模型を製作する工程、咬合床製作工程は模型上に基礎床及び蝋堤からなる咬合床を製作する工程、位置確認治具製作工程は模型上に再現されたインプラントアナログの位置と実際の口腔内のインプラント体の位置がずれていないかを確認するための治具を製作する工程、咬合採得工程は模型から取外した咬合床を患者の口腔内に入れて咬合を採得する工程、位置確認工程は位置確認治具を患者の口腔内のインプラント体に被せて位置ずれが生じていないかを確認する工程、咬合器装着工程は咬合採得後の咬合床を取り付けた模型を咬合器に装着する工程、排列工程は咬合器に装着された咬合床の蝋堤に、対合歯に合わせて人工歯を排列する工程、一次試適工程は人工歯が排列された咬合床を患者の口腔内に入れて歯の位置や形状、噛合せ等を確認する工程、補綴物製作工程は前記人工歯をベースに仮補綴物を製作する工程、二次試適工程は仮補綴物を患者の口腔内に装着して歯の位置や形状、噛合せ等を確認する工程、補綴物調整工程は二次試適工程後の仮補綴物に対して磨きや色付け、艶出し等を行って最終補綴物を完成させる工程である。前記工程は補綴物を製作する手順の一例であり、これ以外の手順で製作される場合もある。
前記上部構造(最終補綴物)の製作に当たっては、模型に埋入されたインプラントアナログの位置が、実際の口腔内のインプラント体の埋入位置と合致しているかを確認する必要がある。従来、この確認は、例えば次の手順で行われていた。まず、口腔内のインプラント体にテンポラリシリンダを装着した状態で、隣接するテンポラリシリンダ同士を連結部材で連結し、位置確認治具を製作する。その後、当該位置確認治具をインプラント体から取り外し、模型のインプラントアナログに装着する。このとき、テンポラリシリンダが正確にインプラントアナログに嵌合するか否かによって、インプラントアナログの埋入位置がインプラント体の埋入位置と合致しているか否かを確認することができる(特許文献1)。なお、位置確認治具は、模型上のインプラントアナログにテンポラリシリンダを装着し、それらテンポラリシリンダを連結部材で連結して製作する場合もある。この場合、製作した位置確認治具をインプラントアナログから取り外し、口腔内のインプラント体に装着して、位置ずれがないかを確認することができる。
特開2016−049416号公報
従来の最終補綴物の製造工程では、(1)咬合床とは別に位置確認治具を製作する必要があるため時間もコストもかかる、(2)咬合採得に用いる咬合床や位置確認に用いる位置確認治具は実際の歯型形状でないため、歯科医にとっても患者にとっても完成状態をイメージしにくい、(3)インプラント体の埋入位置の確認と咬合が適正であるか否かの確認を別々に行わなければならないため時間も手間もかかる、(4)患者が咬合床の製作や位置確認治具の製作、咬合確認の度に来院しなければならず、患者の負担が大きいという難点があった。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、最終補綴物完成までの時間短縮及び患者の負担軽減を図ることができ、歯科医にとっても患者にとっても完成状態をイメージしやすく、インプラント体の埋入位置の確認及び咬合が適正であるか否かの確認を効率良く行うことができる試適用治具及びその製造方法を提供することにある。
[試適用治具]
本発明の試適用治具は、口腔内での試適に際して歯肉内の骨に埋入されたレントゲンに写る素材からなるインプラント体に装着するものである。本発明の試適用治具は、レントゲンに写らない素材からなる歯型形状のクラウンと前記インプラント体に装着するレントゲンに写る素材からなるテンポラリシリンダを備えている。テンポラリシリンダはインプラント体への固定に用いる止め具を挿通可能な筒状であり、その内部に前記止め具の鍔部を受ける受け部を備えている。クラウンはテンポラリシリンダを埋設するためのシリンダ埋設部を備えている。シリンダ埋設部は前記クラウンの上下方向に貫通する貫通孔である。テンポラリシリンダはクラウンのシリンダ埋設部に埋設されて、当該クラウンと一体化されている。なお、本願において、「レントゲンに写る素材」には、例えば、ジルコニアやチタン、チタン合金、コバルトクロム合金等が含まれ、「レントゲンに写らない素材」には、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等が含まれる。
[試適用治具製造方法]
本発明の試適用治具製造方法は、口腔内での試適に際して歯肉内の骨に埋入されたレントゲンに写る素材からなるインプラント体に装着する試適用治具の製造方法である。本発明の試適用治具製造方法は、レントゲンに写らない素材で、上下方向に貫通する貫通孔であるシリンダ埋設部を備えた歯型形状のクラウンを製作し、レントゲンに写る素材でシリンダ埋設部に埋設可能な形状であり、且つ、インプラント体への固定に用いる止め具を挿通可能な筒状でその内部に当該止め具の鍔部を受ける受け部を備えたテンポラリシリンダを製作し、テンポラリシリンダをクラウンのシリンダ埋設部に埋設してクラウンと一体化することによって試適用治具を製造する方法である。
本発明の試適用治具及び本発明の試適用治具製造方法で製造された試適用治具は、次の効果を奏する。
(1)歯型形状のクラウンと位置確認用のテンポラリシリンダを備えているため、咬合床と位置確認治具を別々に製作する必要がなく、最終補綴物完成までの時間短縮及び患者の来院負担の軽減を図ることができる。
(2)クラウンが歯型形状であるため、試適時に歯科医が最終補綴物をイメージしながら作業を行うことができる。最終補綴物をイメージしやすいため、患者に対して安心感を与えることができる。
(3)テンポラリシリンダがレントゲンに写る素材で製作されているため、試適時にレントゲン撮影をすることで、インプラント体とテンポラリシリンダの適合状態を確認することができる。また、クラウンが歯型形状であるため、インプラント体とテンポラリシリンダの適合状態の確認と咬合が適正であるか否かの確認を一度に行うことができる。
(a)は本発明の試適用治具の一例を示す正面図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)の底面図。 本発明の試適用治具の一例を示す断面図。 (a)は本発明の試適用治具の他例を示す正面図、(b)は(a)の平面図、(c)は(a)の底面図。 本発明の試適用治具を模型上のインプラントアナログに装着した状態のレントゲン画像。 本発明の試適用治具を用いて最終補綴物を製作する場合の一例を示す工程説明図。 従来の最終補綴物の製作工程説明図。
(試適用治具の実施形態1)
本発明の試適用治具の一例を、図1(a)〜(c)を参照して説明する。本発明の試適用治具は、口腔内での試適に際して歯肉内の骨に埋入されたインプラント体Xに装着して、そのインプラント体Xの埋入位置の確認と、咬合が適正であるか否かの確認をする際に用いるものである。あくまでも、最終補綴物の製作過程において使用される試適用の治具であり、最終補綴物とは位置づけが異なるものである。
一例として図1(a)〜(c)及び図2に示す試適用治具は、クラウン1とシリンダ2を備えている。本願のシリンダ2は、いわゆるテンポラリシリンダである。クラウン1は最終補綴物の形状を模した歯型形状であり、シリンダ2を埋設するための複数(図示する例では四つ)のシリンダ埋設部1aを備えている。この実施形態のクラウン1は八本の歯牙相当部1bを備えている。歯牙相当部1bは八本より多い場合も少ない場合もある。各歯牙相当部1bは咬合面を含めて歯型形状に成形されている。この実施形態のシリンダ埋設部1aは上下方向に貫通する貫通孔である。この実施形態では、クラウン1としてPMMA製のものを用いているが、レントゲンに写らない素材であれば、クラウン1はPMMA製以外であってもよい。
前記クラウン1の歯型形状は種々の方法で決定することができる。例えば、右側に残存歯がある場合には、その残存歯をミラーリングして左側の歯型形状を特定し、その歯型形状に削り出すことができる。ミラーリングとは残存歯に基づいてその対象位置の歯型形状を特定して修復する歯型を特定する方法を言う。また、他の方法として、CAD/CAM装置のデータベースに予め登録された歯型形状から最適な歯型形状を選択し、その歯型形状に削り出すことができる。なお、クラウン1は削り出し以外の方法、例えば、3Dプリンタで素材(材料)を積層する方法によって製作することもできる。
前記シリンダ2はインプラント体Xへの固定に用いる止め具Y(図2)を挿通可能な挿通部2aを備えた筒状の部材である。シリンダ2はクラウン1のシリンダ埋設部1aに埋設され、接着手段で一体化(固定)されている。接着手段には、市販されている既存の接着剤や常温重合レジン等を用いることができる。この実施形態のシリンダ2はレントゲンに写るジルコニアで製作されたものである。シリンダ2は、チタンやチタン合金、コバルトクロム合金等、レントゲンに写る素材であればジルコニア以外の素材からなるものであってもよい。なお、シリンダ2は、図2のようにシリンダ埋設部1aの全長に及ぶ長さとすることも、シリンダ埋設部1aの一部に収まる長さとすることもできる。場合によっては、シリンダ埋設部1aから一部が突出する長さとすることもできる。
図2に示すように、シリンダ2は、インプラント体X又はインプラントアナログPへの固定に用いる止め具Y(例えば、スクリュー)の鍔部Y1を受ける受け部2bを備えたものとすることもできる。受け部2bは挿通部2aの内壁の内側に突出する部分である。シリンダ2の止め具Yの挿入方向と反対側には、インプラント体X又はインプラントアナログPが収まる受け凹部2cを設けることもできる。シリンダ2には、受け凹部2cに代えて、外向きに突出する受け凸部(図示しない)を設けることもできる。なお、ここで説明したシリンダ2の構造は一例であり、所期の目的を達成できる限り、これら以外の構造とすることもできる。
(試適用治具の実施形態2)
本発明の試適用治具の他例を、図3(a)〜(c)を参照して説明する。この実施形態の基本的な構成は前記実施形態1の場合と同様である。異なるのは、クラウン1の咬合面の形状である。前記実施形態1の試適用補綴物は、凹凸な咬合面を備えたものであるが、この実施形態の試適用治具は、図3(a)(c)に示すような平滑な咬合面(平滑咬合部1c)を備えている。平滑咬合部1cは歯牙相当部1bのうち、臼歯に相当する部分(臼歯相当部)に設けられている。平滑咬合部1cには別途凹凸な咬合面が形成される。この咬合面は最終補綴物の成型に先立って形成される。
本発明の試適用治具は、口腔内での試適に際して歯肉内の骨に埋入されたレントゲンに写る素材からなるインプラント体X(例えば、ジルコニアやチタン、チタン合金、コバルトクロム合金等からなるインプラント体X)や、模型に埋入されたインプラントアナログP(例えば、ステンレスやチタン等からなるインプラントアナログP)に装着するものである。本発明の試適用治具をインプラント体X(或いはインプラントアナログP)に装着した状態でレントゲン撮影をすると、インプラント体X(或いはインプラントアナログP)及びシリンダ2がレントゲン画像に写し出される。このレントゲン画像によって、インプラント体Xとシリンダ2の適合状態が適切であるか否かを確認することができる。
図4はステンレス製のインプラントアナログPに本発明の試適用治具を装着した状態のレントゲン画像(写真)である。図4のレントゲン画像には、レントゲンに写る素材からなるインプラントアナログP及びシリンダ2が写し出されている。この画像と同様、本発明の試適用治具を口腔内のインプラント体Xに装着した場合も、インプラント体X及びシリンダ2がレントゲン画像に写し出され、この画像によって、インプラント体Xとシリンダ2の適合状態が適切であるか否かを確認することができる。なお、クラウン1はレントゲンに写らない素材(PMMA)からなるものであるため、レントゲン画像には写し出されない。
(試適用治具製造方法の実施形態)
本発明の試適用治具製造方法の一例を、図面を参照して説明する。この実施形態の試適用治具製造方法は、口腔内での試適に際して歯肉内の骨に埋入されたレントゲンに写る素材(例えば、ジルコニア、チタン、チタン合金又はコバルトクロム合金等)からなるインプラント体Xに装着する試適用治具の製造方法であって、レントゲンに写らない素材(例えば、PMMA)を削り出してシリンダ埋設部1aを備えた歯型形状のクラウン1を製作し、レントゲンに写る素材(例えば、ジルコニア、チタン、チタン合金又はコバルトクロム合金等)を削り出してシリンダ2を製作し、シリンダ2をクラウン1のシリンダ埋設部1aに埋設してクラウン1に一体化(接着)することによって試適用治具を製造する方法である。
より具体的には、以下の(1)〜(6)の手順で製造することができる。なお、ここでは、シリンダ2がジルコニア製であり、クラウン1がPMMA製の場合を一例として説明するが、シリンダ2はレントゲンに写る素材からなるものであればジルコニア製以外であってもよく、クラウン1はレントゲンに写らない素材からなるものであればPMMA製以外であってもよい。
(1)模型の製作
従来と同様の手順で模型を製作する。具体的には、既製トレーでの一次印象採得工程、一次模型の製作工程、個人トレーの製作工程、個人トレーでの二次印象採得工程を経て模型を製作する。模型のうち実際の口腔内におけるインプラント体Xの埋入位置に相当する位置にはインプラントアナログPを埋設しておく。模型製作に際しては、咬合採得を行う場合もある。
(2)第1データの取り込み
前記(1)で製作した模型をスキャンし、そのスキャンデータ(第1データ)をCAD/CAM装置に取り込む。
(3)シリンダの製作
前記(2)で取り込んだ第1データ上でシリンダ2をデザインしたのち、CAD/CAM装置にてジルコニア素材を削り出してシリンダ2を製作する。具体的には、作成したデザインに基づいてジルコニア素材を削り出し、インプラントアナログPに適合する挿通部2aを備えた筒形状(円筒形状や角筒形状)のシリンダ2を製作する。
(4)第2データの取り込み
前記(3)で製作したシリンダ2を模型のインプラントアナログPに装着したうえで、当該シリンダ2が装着された模型をスキャンし、そのスキャンデータ(第2データ)をCAD/CAM装置に取り込む。
(5)クラウンの製作
前記(4)で取り込んだ第2データ上でクラウン1をデザインしたのち、CAD/CAM装置にてPMMAを削り出してクラウン1を製作する。具体的には、作成したデザインに基づいてPMMAを削り出し、シリンダ埋設部1aを備えた歯型形状のクラウン1を製作する。クラウン1の歯型形状は前記試適用治具の実施形態1で説明した種々の方法で決定することができる。なお、クラウン1は、図3(a)(c)に示すような平滑咬合部1cを備えた歯型形状とすることもできる。
(6)クラウンとシリンダの接合
前記(5)で製作したクラウン1のシリンダ埋設部1aに前記(3)で製作したシリンダ2を埋設する。シリンダ埋設部1aに埋設したシリンダ2は接着剤や常温重合レジンなどでクラウン1(具体的には、クラウン埋設部1aの周壁)に接着する。
本発明の試適用治具を用いることで、咬合床と位置確認治具を別々に製作する必要がなくなるため、補綴物完成までの時間短縮を図ることができる。図5は本発明の試適用治具を用いて上部構造を製作する工程の一例を示すものである。
本発明の試適用治具を用いる場合、図5に示すように、上部構造は、模型製作工程(STEP101)、試適用治具製作工程(STEP102)、一次試適工程(STEP103)、補綴物製作工程(STEP104)、二次試適工程(STEP105)、補綴物調整工程(STEP106)を経て製作される。
このように、本発明の試適用治具を用いることで、従来の上部構造の製作工程(図6)に必要であった咬合床製作工程(STEP002A)、位置確認治具製作工程(STEP002B)及び排列工程(STEP005)に相当する工程を一つにまとめることができるため、補綴物完成までの時間短縮及び患者の来院負担の軽減を図ることができる。
患者の来院負担が軽減されることについてより具体的に説明する。患者の残存歯の数やその状態によって異なるが、一例として、従来の製作工程(図6)では、模型製作(印象採得)、咬合採得、位置確認、一次試適、二次試適の各工程において一回ずつ来院し、その後に、最終補綴物の装着のために一回来院する必要があるため、合計六回は来院することになる。これに対し、本発明の試適用治具を用いる方法では、模型製作工程において印象採得と共に咬合採得を行うことで来院回数を一回削減することができ、位置確認及び一次試適を同時に行うことで来院回数をさらに一回削減することができる。結果として、従来よりも来院回数を二回削減することができ、患者の来院負担を低減することができる。
なお、前記試適用治具の実施形態は一例であり、試適用治具これ以外の方法で製造することもできる。
(試適用治具の使用方法1)
本発明の試適用治具の使用方法の一例を説明する。ここでは、前記試適用治具の実施形態1で説明した試適用治具の使用方法について説明する。
(1)歯科医院にて試適用治具を患者の口腔内に装着する。
(2)試適用治具を装着した患者の口腔内のレントゲン撮影を行い、その撮影したレントゲン画像によって、インプラント体Xとシリンダ2の適合状態を確認する。
(3)装着した試適用治具の咬合が適正であるか否かを目視で確認する。
(4)インプラント体Xとシリンダ2の適合状態の確認及び咬合が適正であるか否かの確認後、当該試適用治具に基づいて最終補綴物の製作工程に移行する。
(試適用治具の使用方法2)
本発明の試適用治具の使用方法の他例を説明する。ここでは、前記試適用治具の実施形態2で説明した試適用治具の使用方法について説明する。
(1)歯科医院にて試適用治具を患者の口腔内に装着する。
(2)試適用治具を装着した患者の口腔内のレントゲン撮影を行い、その撮影したレントゲン画像によって、インプラント体Xとシリンダ2の適合状態を確認する。
(3)装着した試適用治具の平滑咬合部1cと患者の残存歯の間にシリコンや蝋、石膏、レジン等を用いて、咬合採得を行う。
(4)インプラント体Xとシリンダ2の適合状態の確認及び咬合採得後、当該試適用治具に基づいて最終補綴物の製作工程に移行する。なお、最終補綴物は前記(3)で採得した咬合に基づいて製作することができるが、歯科医院側より、最終補綴物の製作工程に移行する前に、当該咬合採得に基づく咬合部付きの試適用治具の製作の要望がある場合には、咬合部を備えた試適用治具を製作することもできる。
本発明の試適用治具は、従来の咬合床及び位置確認治具の双方の機能を備えたものであり、上部構造(最終補綴物)を製作するに当たり、従来の咬合床や位置確認治具に代えて用いることができるものである。
1 クラウン
1a シリンダ埋設部
1b 歯牙相当部
1c 平滑咬合部
2 シリンダ
2a 挿通部
2b 受け部
2c 受け凹部
P インプラントアナログ
X インプラント体
Y 止め具
Y1 鍔部

Claims (8)

  1. 口腔内での試適に際して歯肉内の骨に埋入されたレントゲンに写る素材からなるインプラント体に装着する試適用治具であって、
    前記試適用治具はレントゲンに写らない素材からなる歯型形状のクラウンと前記インプラント体に装着するレントゲンに写る素材からなるシリンダを備え、
    前記クラウンは前記シリンダを埋設するためのシリンダ埋設部を備え、
    前記シリンダは前記クラウンのシリンダ埋設部に埋設されて、当該クラウンに接着された、
    ことを特徴とする試適用治具。
  2. 請求項1記載の試適用治具において、
    シリンダはジルコニア製、チタン製、チタン合金製又はコバルトクロム合金製である、
    ことを特徴とする試適用治具。
  3. 請求項1又は請求項2記載の試適用治具において、
    クラウンはPMMA製である、
    ことを特徴とする試適用治具。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の試適用治具において、
    インプラント体はジルコニア製、チタン製、チタン合金製又はコバルトクロム合金製である、
    ことを特徴とする試適用治具。
  5. 口腔内での試適に際して歯肉内の骨に埋入されたレントゲンに写る素材からなるインプラント体に装着する試適用治具の製造方法であって、
    レントゲンに写らない素材でシリンダ埋設部を備えた歯型形状のクラウンを製作し、
    レントゲンに写る素材で前記シリンダ埋設部に埋設可能な形状のシリンダを製作し、
    前記シリンダを前記クラウンのシリンダ埋設部に埋設してクラウンに接着する、
    ことを特徴とする試適用治具製造方法。
  6. 請求項5記載の試適用治具製造方法において、
    ジルコニア、チタン、チタン合金又はコバルトクロム合金を削り出してシリンダを製作する、
    ことを特徴とする試適用治具製造方法。
  7. 請求項5又は請求項6記載の試適用治具製造方法において、
    PMMAを削り出してクラウンを製作する、
    ことを特徴とする試適用治具製造方法。
  8. 請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の試適用治具製造方法において、
    シリンダ及びクラウンをCAD/CAM装置で製作する、
    ことを特徴とする試適用治具製造方法。
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