JP2020054550A - 撮影制御装置及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】被写体の動き量に適した撮影条件を、少ない追加被ばく量で最適化できるようにする。【解決手段】撮影用コンソール2の制御部21によれば、撮影装置1により取得された少なくとも2以上のフレーム画像から被写体の動き量を表す動き量レベルを算出し、算出した動き量レベルに基づいて目標ノイズレベルを算出し、算出した目標ノイズレベルに基づいて、撮影装置1において被写体を撮影する際の撮影条件を決定する。【選択図】図2

Description

本発明は、撮影制御装置及びプログラムに関する。
従来のフィルム/スクリーンや輝尽性蛍光体プレートを用いた被写体の放射線による静止画撮影及び診断に対し、FPD(flat panel detector)等の半導体イメージセンサーを利用して被写体の動態画像を撮影し、診断に応用する試みがなされるようになってきている。具体的には、半導体イメージセンサーの画像データの読取・消去の応答性の速さを利用し、半導体イメージセンサーの読取・消去のタイミングと合わせて放射線源からパルス状の放射線を連続照射し、1秒間に複数回の撮影を行って、被写体の動態を撮影する。動態画像のフレーム画像を順次表示することにより、医師は、被写体の動態、例えば、呼吸運動や心臓の拍動等に伴う胸部の一連の動きを観察することが可能となる。
また、近年、動態画像の画素値の時間変化に基づいて、被写体の動態を解析する各種技術も提案されている。
ところで、解析や医師による診断に適した画質の動態画像を取得するためには、放射線照射量等の撮影条件を最適化する必要がある。
そこで、動態撮影時の撮影条件を自動的に調整するための技術が提案されている。例えば、特許文献1には、動態撮影の本撮影のタイミングを決定するために、本撮影より低い線量で補助撮影画像を撮影する際の放射線照射量を自動的に決定する技術が記載されている。具体的には、基準X線と、それより低い調整X線を交互に照射し、画像から動き量を検出し、基準X線と動き量の算出結果が変わらなくなる調整X線を放射線照射量として決定することが記載されている。あるいは、動き量が不安定になるまでは段階的に調整低X線量を減少させていき、動き量が不安定になってからは、段階的に調整低X線量を増加させていき、その後、動き量が一定範囲内で安定した時の放射線量を補助撮影用の放射線照射量として決定することが記載されている。
特開2009−39360号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、被写体の動き量の算出結果が基準X線量での算出結果と略同等、もしくは、変化しなくなるまでX線量を試行錯誤的に増加させて最適量を探索しており、比較するための基準X線での撮影、及び、最適点までの調整X線量での撮影に時間がかかることから、X線量を最適化するための追加撮影分の被写体の被ばく量が多いという問題があった。
本発明の課題は、被写体の動き量に適した撮影条件を、少ない追加被ばく量で最適化できるようにすることである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
被写体を放射線撮影して、周期的に動作する前記被写体の動態を示す複数のフレーム画像を取得する撮影装置に接続された撮影制御装置であって、
前記撮影装置により取得された少なくとも2以上のフレーム画像から前記被写体の動き量を表す動き量レベルを算出し、算出した前記動き量レベルに基づいて目標ノイズレベルを算出し、算出した前記目標ノイズレベルに基づいて、前記撮影装置において前記被写体を撮影する際の撮影条件を決定する制御手段を備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記制御手段は、前記動き量レベルに基づいて、前記被写体の動きで生じる画素値の時間変化を表す信号が所望のS/N比となるノイズレベルを前記目標ノイズレベルとして算出する。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記制御手段は、前記撮影装置のノイズ特性に基づいて、前記被写体の動きで生じる画素値の時間変化を表す信号に重畳されるノイズレベルが前記目標ノイズレベルとなる画素値を目標画素値レベルとして算出し、算出した前記目標画素値レベルに基づいて前記撮影条件を算出する。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、
前記撮影条件は、前記撮影装置における放射線照射条件及び画像読取条件である。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
被写体の体厚の情報を取得する体厚情報取得手段を備え、
前記制御手段は、さらに、前記被写体の体厚に応じた半価層又は実効エネルギーに基づいて前記放射線照射条件を決定する。
請求項6に記載の発明のプログラムは、
被写体を放射線撮影して、周期的に動作する前記被写体の動態を示す複数のフレーム画像を取得する撮影装置に接続された撮影制御装置に用いられるコンピューターを、
前記撮影装置により取得された前記被写体の動態を示す少なくとも2以上のフレーム画像から前記被写体の動き量を表す動き量レベルを算出し、算出した前記動き量レベルに基づいて目標ノイズレベルを算出し、算出した前記目標ノイズレベルに基づいて、前記撮影装置において前記被写体を撮影する際の撮影条件を決定する制御手段、
として機能させる。
本発明によれば、被写体の動き量に適した撮影条件を、少ない追加被ばく量で最適化することが可能となる。
本発明の実施形態における放射線撮影システムの全体構成を示す図である。 第1の実施形態において図1の撮影用コンソールの制御部により実行される撮影制御処理Aを示すフローチャートである。 第2の実施形態において図1の撮影用コンソールの制御部により実行される撮影制御処理Bを示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
<第1の実施形態>
〔放射線撮影システム100の構成〕
まず、本発明の第1の実施形態の構成を説明する。
図1に、本実施形態における放射線撮影システム100の全体構成を示す。
図1に示すように、放射線撮影システム100は、撮影装置1と、撮影用コンソール2とが通信ケーブル等により接続され、撮影用コンソール2と、診断用コンソール3とがLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNTを介して接続されて構成されている。放射線撮影システム100を構成する各装置は、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、各装置間の通信は、DICOMに則って行われる。
〔撮影装置1の構成〕
撮影装置1は、例えば、呼吸運動に伴う肺の膨張及び収縮の形態変化、心臓の拍動等の、周期性(サイクル)を持つ被写体(被検者Hの撮影部位)の動態を撮影する撮影手段である。動態撮影とは、被写体に対し、X線等の放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射するか(パルス照射)、もしくは、低放射線量率にして途切れなく継続して照射する(連続照射)ことで、被写体の動態を示す複数の画像を取得することをいう。動態撮影により得られた一連の画像を動態画像と呼ぶ。また、動態画像を構成する複数の画像のそれぞれをフレーム画像と呼ぶ。なお、以下の実施形態では、パルス照射により胸部正面の動態撮影を行う場合を例にとり説明する。
放射線源11は、被写体を挟んで放射線検出部13と対向する位置に配置され、放射線照射制御装置12の制御に従って、被写体に対し放射線(X線)を照射する。
放射線照射制御装置12は、撮影用コンソール2に接続されており、撮影用コンソール2から入力された放射線照射条件に基づいて放射線源11を制御して放射線撮影を行う。撮影用コンソール2から入力される放射線照射条件は、例えば、パルスレート、パルス幅、パルス間隔、1撮影あたりの撮影フレーム数、X線管電流の値、X線管電圧の値、付加フィルターの材質及び厚み、1パルスあたりのmAs値(パルス幅とX線管電流の値の積)等である。パルスレートは、1秒あたりの放射線照射回数であり、後述するフレームレートと一致している。パルス幅は、放射線照射1回当たりの放射線照射時間である。パルス間隔は、1回の放射線照射開始から次の放射線照射開始までの時間であり、後述するフレーム間隔と一致している。
放射線検出部13は、FPD(Flat Panel Detector)等の半導体イメージセンサーに
より構成される。FPDは、例えば、ガラス基板等を有しており、基板上の所定位置に、放射線源11から照射されて少なくとも被写体を透過した放射線をその強度に応じて検出し、検出した放射線を電気信号に変換して蓄積する複数の検出素子(画素)がマトリックス状に配列されている。各画素は、例えばTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング部を備えて構成されている。FPDにはX線をシンチレーターを介して光電変換素子により電気信号に変換する間接変換型、X線を直接的に電気信号に変換する直接変換型があるが、何れを用いてもよい。
また、放射線検出部13は、放射線検出部13の温度を検出する温度計を備え、検出した温度を撮影用コンソール2に送信する。
読取制御装置14は、撮影用コンソール2に接続されている。読取制御装置14は、撮影用コンソール2から入力された画像読取条件に基づいて放射線検出部13の各画素のスイッチング部を制御して、当該各画素に蓄積された電気信号の読み取りをスイッチングしていき、放射線検出部13に蓄積された電気信号を読み取ることにより、画像データを取得する。この画像データがフレーム画像である。画像データ(フレーム画像)の画素値は濃度値であり、放射線検出部13に到達した放射線量が大きいほど大きい値となる。読取制御装置14は、取得したフレーム画像を撮影用コンソール2に出力する。画像読取条件は、例えば、フレームレート、フレーム間隔、読出ブロックサイズ(ビニング数)、画像サイズ(マトリックスサイズ)等である。フレームレートは、1秒あたりに取得するフレーム画像数であり、パルスレートと一致している。フレーム間隔は、1回のフレーム画像の取得動作開始から次のフレーム画像の取得動作開始までの時間であり、パルス間隔と一致している。
ここで、放射線照射制御装置12と読取制御装置14は互いに接続され、互いに同期信号をやりとりして放射線照射動作と画像の読み取りの動作を同調させるようになっている。
〔撮影用コンソール2の構成〕
撮影用コンソール2は、撮影装置1に接続され、撮影装置1による撮影を制御する撮影制御装置である。すなわち、撮影用コンソール2は、撮影条件(放射線照射条件や画像読取条件)を撮影装置1に出力して撮影装置1による放射線撮影及び放射線画像の読み取り動作を制御する。また、撮影用コンソール2は、撮影装置1により取得された動態画像を診断に適した画像であるか否かの確認用に表示したり、診断用コンソール3に送信したりする。
撮影用コンソール2は、図1に示すように、制御部21、記憶部22、操作部23、表示部24、通信部25を備えて構成され、各部はバス26により接続されている。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory
)等により構成される。制御部21のCPUは、操作部23の操作に応じて、記憶部22に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って後述する撮影制御処理Aを始めとする各種処理を実行し、撮影用コンソール2各部の動作や、撮影装置1の放射線照射動作及び読み取り動作を集中制御する。
記憶部22は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部22は、制御部21で実行される各種プログラムやプログラムによる処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。例えば、記憶部22は、図2に示す撮影制御処理Aを実行するためのプログラムや低放射線量撮影用の撮影条件、撮影装置ノイズ特性(詳細後述)等を記憶している。各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部21は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
操作部23は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部21に出力する。また、操作部23は、表示部24の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部21に出力する。
表示部24は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部21から入力される表示信号の指示に従って、操作部23からの入力指示やデータ等を表示する。
通信部25は、LANアダプターやモデムやTA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
サイクル検出部27は、被検者Hの呼吸状態や心拍状態を接触又は非接触で検出して制御部21に出力する。サイクル検出部27としては、例えば、呼吸センサー、スパイロメーター、呼吸モニターベルト等の呼吸計測器等の、呼吸運動を計測する機器、心電計等の、心拍運動を計測する心拍計測器等を用いることができる。
〔診断用コンソール3の構成〕
診断用コンソール3は、撮影用コンソール2から送信された動態画像に解析処理を施し、取得した動態画像や動態画像の解析結果を表示して医師の診断を支援するための解析装置である。
診断用コンソール3は、図1に示すように、制御部31、記憶部32、操作部33、表示部34、通信部35を備えて構成され、各部はバス36により接続されている。
制御部31は、CPU、RAM等により構成される。制御部31のCPUは、操作部33の操作に応じて、記憶部32に記憶されているシステムプログラムや、各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、診断用コンソール3の各部の動作を集中制御する。
記憶部32は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部32は、制御部31で実行される処理プログラムを始めとする各種プログラムやプログラムによる処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。これらの各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部31は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
また、記憶部32には、撮影された動態画像が患者情報(例えば、患者ID、患者の氏名、身長、体重、年齢、性別等)、検査情報(例えば、検査ID、検査日、撮影部位(ここでは、胸部)、撮影方向(正面、側面)、診断対象の種類(例えば、呼吸、心拍等)等)に対応付けて記憶されている。
操作部33は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザーによるキーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部31に出力する。また、操作部33は、表示部34の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部31に出力する。
表示部34は、LCDやCRT等のモニターにより構成され、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種表示を行う。
通信部35は、LANアダプターやモデムやTA等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
〔放射線撮影システム100の動作〕
次に、本実施形態における放射線撮影システム100の動作について説明する。
図2に、撮影用コンソール2の制御部21において実行される撮影制御処理Aのフローチャートを示す。撮影制御処理Aは、制御部21と記憶部22に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
まず、制御部21は、操作部23による被検者Hの患者情報、検査情報の入力を受け付ける(ステップS1)。なお、撮影実施者は、この入力後、被写体のポジショニング、サイクル検出部27の被検者Hへの装着、呼吸状態(例えば、安静呼吸、深呼吸、息止め等)の指示等を行う。
次いで、制御部21は、低放射線量撮影用の撮影条件を撮影装置1に設定する(ステップS2)。
すなわち、制御部21は、低放射線量撮影用の放射線照射条件を記憶部22から読み出して放射線照射制御装置12に送信して設定するとともに、低放射線量撮影用の画像読取条件を記憶部22から読み出して読取制御装置14に送信して設定する。なお、ここで設定される放射線照射条件は、診断や解析のための被写体の動態画像を取得するための撮影(本撮影という)における撮影条件を決定するための低放射線量撮影用の条件であり、本撮影より低放射線量となる放射線照射条件が設定される。
次いで、制御部21は、操作部23により撮影指示が入力されたか否かが判断される(ステップS3)。
撮影指示が入力されると(ステップS3;YES)、制御部21は、放射線照射制御装置12及び読取制御装置14に撮影指示信号を出力し、低放射線量撮影を行う(ステップS4)。
ステップS4において、制御部21は、例えば、診断対象の種類が呼吸である場合、放射線照射制御装置12及び読取制御装置14を制御して、サイクル検出部27の呼吸計測器により最大吸気位(安静吸気位)が検出されたタイミング及び最大呼気位(安静呼気位)が検出されたタイミングで低放射線量撮影を行わせ、2枚のフレーム画像を取得させる。あるいは、呼吸一周期分のフレーム画像を取得させることとしてもよい。また、診断対象の種類が心拍である場合、放射線照射制御装置12及び読取制御装置14を制御して、サイクル検出部27の心拍計測器により心拡張期が検出されたタイミング及び心収縮期が検出されたタイミングで低放射線量撮影を行わせ、2枚のフレーム画像を取得させる。あるいは、心拍一周期分のフレーム画像を取得させることとしてもよい。
低放射線量撮影により取得されたフレーム画像は読取制御装置14から順次撮影用コンソール2に入力され、フレーム画像が取得されたタイミング(例えば、最大吸気位(安静吸気位)、最大呼気位(安静呼気位)等)や撮影順を示す番号(フレーム番号)と対応付けて記憶部22に記憶される。
低放射線量撮影による一連のフレーム画像が入力されると、制御部21は、入力されたフレーム画像から被写体の動き量を表す動き量レベルLMを算出する(ステップS5)。
診断対象の種類が呼吸の場合、動き量レベルLMは、例えば、以下(1)〜(3)のいずれかを用いることができる。
(1)最大吸気位(安静吸気位)のフレーム画像の肺野内平均画素値/最大呼気位(安静呼気位)のフレーム画像の肺野内平均画素値
(2)最大吸気位(安静吸気位)のフレーム画像の横隔膜位置/最大呼気位(安静呼気位)のフレーム画像の横隔膜位置
(3)最大吸気位(安静吸気位)のフレーム画像の胸郭幅/最大呼気位(安静呼気位)のフレーム画像の胸郭幅
呼吸一周期分のフレーム画像を撮影した場合、制御部21は、各フレーム画像から肺野内平均画素値(又は、横隔膜位置、胸郭幅)を算出し、最大の肺野内平均画素値(又は、横隔膜位置、胸郭幅)を最大吸気位(安静吸気位)のフレーム画像の肺野内平均画素値(又は、横隔膜位置、胸郭幅)、最小の肺野内平均画素値(又は、横隔膜位置、胸郭幅)を最大呼気位(安静呼気位)のフレーム画像の肺野内平均画素値(又は、横隔膜位置、胸郭幅)として、動き量レベルLMを算出する。
ここで、肺野領域は、放射線(X線)の透過量が多いため、その周辺の領域に比べて画素値(濃度値)が高くなる。そこで、例えば、まず、フレーム画像の各画素の画素値から濃度ヒストグラムを作成し、判別分析法等によって閾値を求める。次いで、求められた閾値より高信号の領域を肺野領域の候補として抽出する。次いで、候補領域の境界付近でエッジ検出を行い、境界付近の小領域でエッジが最大となる点を境界に沿って抽出すれば、肺野領域を抽出することができる。
横隔膜の位置情報は、例えば、フレーム画像の肺野領域下部の輪郭を横隔膜として認識し、認識した横隔膜の所定のx座標の位置におけるy座標を横隔膜の位置情報として取得することができる。
胸郭の幅は、フレーム画像の肺野領域(右肺、左肺を含む)の所定のy座標の位置における幅(x方向の長さ)を胸郭の幅として取得することができる。
なお、座標の原点は、ここでは画像左上であることとし、右方向に行くほどx座標の値が大きくなり、下方向に行くほどy座標の値は大きくなることとする。
診断対象の種類が心拍の場合、動き量レベルLMは、例えば、以下(4)〜(6)のいずれかを用いることができる。
(4)心収縮期のフレーム画像の心陰影領域平均画素値/心拡張期のフレーム画像の心陰影領域(心臓領域)平均画素値
(5)心拡張期のフレーム画像の心壁位置/心収縮期のフレーム画像の心壁位置
(6)息止め状態で撮影した心拡張期のフレーム画像の肺野内平均画素値/息止め状態で撮影した心収縮期のフレーム画像の肺野内平均画素値
心拍一周期分のフレーム画像を撮影した場合、各フレーム画像から心陰影領域平均画素値を算出し、最小の心陰影領域平均画素値を心拡張期のフレーム画像の心陰影領域平均画素値、最大の心陰影領域平均画素値を心収縮期のフレーム画像の心陰影領域平均画素値として、動き量レベルLMを算出する。または、各フレーム画像から心壁位置を算出し、最も外側に拡がっている(値の大きい)心壁位置を心拡張期のフレーム画像の心壁位置、最も内側に狭まっている(値の小さい)心壁位置をフレーム画像を心収縮期のフレーム画像の心壁位置として、動き量レベルLMを算出する。または、息止め状態で撮影した各フレーム画像から肺野内平均画素値を算出し、最大の肺野内平均画素値を心拡張期のフレーム画像の肺野内平均画素値、最小の肺野内平均画素値を心収縮期のフレーム画像の肺野内画素値として、動き量レベルLMを算出する。
ここで、心陰影領域は、例えば、特許第2796381号公報に記載の心臓輪郭決定方法等の公知の手法を用いて抽出することができる。
心壁位置は、例えば、フレーム画像から心陰影領域を抽出し、抽出した心陰影領域の輪郭の所定のy座標の位置における外側のx座標を心壁の位置情報として取得することができる。
次いで、制御部21は、算出した動き量レベルLMに基づいて、目標ノイズレベルLNを算出する(ステップS6)。
目標ノイズレベルLNは、被写体の動きで生じる画素値時間変化の信号が所望の質(所望S/Nレベル(S/N比)LS/N)となるときのノイズレベルである。所望S/NレベルLS/Nは、撮影部位、画素値時間変化の解析手法等によって異なるものである。
目標ノイズレベルLNは、例えば、以下の(式1)により求めることができる。
LN=α×β×γ×LM/LS/N・・・(式1)
ここで、α:動き量調整係数(0<α≦1)、β:線質違いコントラスト調整係数(β≠0)、γ:動き量画素値変化量変換係数である。
αは、マージンをもたせるための係数であり、予め設定されている。線質違いコントラスト調整係数βは、線質に係る放射線照射条件を調整する場合に付与される係数である。本実施形態では、特に線質に係る放射線照射条件(管電圧や付加フィルター)を調整しないため1である。動き量画素値変化量変換係数γは、算出された動き量レベルLMが、画素値変化量(画素値時間変化量)ではなく、横隔膜位置の変化量、心壁位置の変化量、胸郭幅の変化量(時間変化量)である場合において、位置や幅の変化量から、画素値の変化量の推定値を求めるための変換係数であり、予め記憶部22に記憶されている。動き量レベルLMが画素値変化量(肺野内平均画素値や心陰影領域平均画素値の変化量(時間変化量))なら1である。
次いで、制御部21は、目標ノイズレベルLNに対応する目標画素値レベルLG0を算出する(ステップS7)。
ここで、記憶部22には、撮影装置ノイズ特性が予め記憶されている。撮影装置ノイズ特性は、被写体なしで所定の放射線照射量で放射線検出部13に放射線を照射して得られた複数のフレーム画像に基づいて求められた、放射線検出部13の画素値とノイズとの対応関係を示したものであり、放射線検出部13の画像読取条件毎の特性が記憶されている。
具体的に、撮影装置ノイズ特性は、画素値、読出ブロックサイズ、フレームレート、検出器温度(放射線検出部13の温度)を入力パラメーターとし、放射線検出部13が入力パラメーターの温度、読出ブロックサイズ、フレームレートで画像の読み出しを行ったときに、入力パラメーターの画素値が得られた場合における、複数フレーム画像での同一画素(画素ブロック)の画素値時間変化のばらつき度合(標準偏差)を出力パラメーターとした対応関係(関係式、対応テーブル)をもとに生成されたものである。この対応関係を変換し、画素値時間変化のばらつき度合(標準偏差)をノイズレベルとみなし、ノイズレベル、読出ブロックサイズ、フレームレート、検出器温度を入力パラメーターとし、画素値を出力パラメーターとした対応関係(関係式、対応テーブル)が撮影装置ノイズ特性である。撮影装置ノイズ特性は、実験により得られたものであり、例えば工場出荷時等に、記憶部22に予め記憶させたものである。
ステップS7において、制御部21は、記憶部22に記憶されている撮影装置ノイズ特性を参照し、低放射線量撮影時の画像読取条件での目標ノイズレベルLNに対応する画素値(すなわち、低放射線量撮影時の画像読取条件での撮影において、被写体の動きで生じる画素値時間変化を表す信号に重畳されるノイズレベルが目標ノイズレベルLNとなる画素値)を目標画素値レベルLG0として算出する。
次いで、制御部21は、算出した目標画素値レベルLG0に基づいて線量倍率Mを算出する(ステップS8)。
ステップS8において、制御部21は、まず、低放射線量撮影で得られた動態画像の関心領域における画素値レベル(現画素値レベルLG1と呼ぶ)を算出する。
ここで、関心領域は、診断において注目する領域であり、ユーザーが操作部23の操作により設定してもよいが、ユーザーの手間を省力化するために、予め設定された所定の位置に画像処理で認識して設定することが好ましい。例えば、本撮影により取得した動態画像を用いて肺野内の呼吸周期もしくは心拍周期の濃度の解析(肺野内の換気解析もしくは血流解析)を行う場合、肺尖の頂点から横隔膜の水平方向の中点における位置(高さ)までの長さの中点をY座標とし、このY座標における肺野横幅の中点をX座標とし、このX座標、Y座標を中心とした所定サイズの矩形もしくは楕円領域を、関心領域として設定する。また、例えば、本撮影により取得した動態画像を用いて心臓の心拍周期等の解析を行う場合、例えば、左肺野内の心陰影として、左第4弓、横隔膜、胸椎を境界とした略三角形の領域において、左辺と底辺がそれぞれ胸椎、横隔膜の境界に対して所定距離だけ左、上に離れた矩形領域を関心領域として設定する。
例えば、ステップS4において一周期分のフレーム画像を取得した場合には、取得した各フレーム画像の関心領域における平均画素値の平均値又は最小値を現画素値レベルLG1として算出する。ステップS4においてタイミングを指定してフレーム画像を取得した場合は、所定タイミング(例えば呼吸なら最大呼気位(安静呼気位)、心拍なら心拡張期)の関心領域における画素値平均値を現画素値レベルLG1として算出する。
そして、制御部21は、算出した目標画素値レベルLG0、現画素値レベルLG1に基づいて、例えば以下の(式2)により、線量倍数Mを計算する
線量倍数M=目標画素値レベルLG0/現画素値レベルLG1・・・(式2)
次いで、制御部21は、算出した線量倍数Mと、低放射線量撮影時の放射線照射条件に基づいて、本撮影時の放射線照射条件を算出する(ステップS9)。
例えば、低放射線量撮影時の1フレームあたりのmAs値(すなわち1パルスあたりのmAs値)の設定に、線量倍数Mを乗じて放射線照射条件(1フレームあたりのmAs値)を算出する。
次いで、制御部21は、算出した放射線照射条件が撮影装置1の設定可能範囲の上限又は下限を超えているか、又は算出した放射線照射条件から推定した被検者の被ばく量が予め設定された上限を超えているかを判断する(ステップS10)。
算出した放射線照射条件が撮影装置1の設定可能範囲の上限又は下限を超えている、又は算出した放射線照射条件から推定した被検者の被ばく量が予め設定された上限を超えていると判断した場合(ステップS10;YES)、制御部21は、画像読取条件を変更し(ステップS11)、ステップS7に戻り、変更した画像読取条件で目標画素値レベルLG0を算出しなおしてステップS7〜ステップS10の処理を実行する。
ステップS11において、制御部21は、例えば、目標画素値レベルLG0が下がるように、読出ブロックサイズ、フレームレート、及び/又は検出器温度を変更する。例えば、読出ブロックサイズを大きくするか、もしくは、検出器温度を下げることによって、目標ノイズレベルLNに対応する目標画素値レベルLG0を下げることができる。また、フレームレートを小さくすることでも、1フレーム分の読出間隔が長くなることで増加するノイズに比べ、相対的に、各ラインの読出に要する時間を長くすることで低減するノイズ量の方が大きいことから、同様に、目標ノイズレベルLNに対応する目標画素値レベルLG0を下げることができる。また、総撮影時間を変えずに、フレームレートを小さくした場合は、フレームレートを小さくした比率に応じて、放射線照射回数が減ることとなるため、放射線照射回数の観点でも被ばく量を減らすことができる。このようにすることで、放射線照射条件だけでは制御しきれない等の場合は、画像読取条件も変更して、被検者の被ばく量を抑えることができる。検出器温度を変える場合は、例えば、放射線検出部13の温度計が所定の温度に達するまで、放射線照射制御装置12にインターロックをかけ、撮影を停止する等の制御を行うことで実現できる。
算出した放射線照射条件が撮影装置1の設定可能範囲の上限又は下限を超えておらず、算出した放射線照射条件から推定した被検者の被ばく量も予め設定された上限を超えていないと判断した場合(ステップS10;NO)、制御部21は、ステップS9で算出した放射線照射条件及び最終的な目標画素値レベルLG0を算出したときの画像読取条件に本撮影用の撮影条件を決定する(ステップS12)。
そして、制御部21は、決定した撮影条件のうち放射線照射条件を放射線照射制御装置12に送信して設定し、画像読取条件を読取制御装置14に送信して設定し(ステップS13)、設定した撮影条件で本撮影(動態撮影)を行わせ(ステップS14)、撮影制御処理Aを終了する。
本撮影により得られた一連のフレーム画像が入力されると、制御部21は、本撮影で取得された一連のフレーム画像のそれぞれに動態画像を識別するための識別IDや、患者情報、検査情報、放射線照射条件、画像読取条件、撮影順を示す番号(フレーム番号)等の情報を付帯させ(例えば、DICOM形式で画像データのヘッダ領域に書き込まれ)、通信部25を介して診断用コンソール3に送信する。
診断用コンソール3においては、撮影用コンソール2から動態画像の一連のフレーム画像が受信されると、受信した動態画像が患者情報や検査情報と対応付けて記憶部32に記憶される。そして、操作部33により動態画像が選択され、表示が指示されると、制御部31により、選択された動態画像が記憶部32から読み出されて表示部34に表示される。また、操作部33により動態画像が選択され、解析が指示されると、制御部31により、選択された動態画像が記憶部32から読み出されて解析処理が施され、解析結果が表示部34に表示される。胸部動態画像の解析としては、例えば、特開2012−110451号公報に記載の換気解析や血流解析等を挙げることができる。
このように、撮影制御処理Aにおいては、得られる動態画像の動き量が最適になるまで照射する放射線照射量等の撮影条件を試行錯誤的に調整しながら撮影条件を最適化する必要がないため、被写体の動き量に適した撮影条件を、少ない追加被ばく量で最適化することができ、被検者の被ばく量を抑えることができる。
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、放射線照射条件として、照射する放射線の量に関係するmAs値を調整する場合を例にとり説明したが、第2の実施形態では、被写体の体厚を考慮して、照射する放射線の量のみならず、照射する放射線の質に関係する管電圧や付加フィルターについても変更する場合について説明する。
第2の実施形態において、撮影用コンソール2は、被検者Hの体厚の情報を取得する体厚情報取得手段(図示せず)を備えている。体厚情報取得手段は、例えば、撮影装置1の放射線源11付近に設けられた超音波センサー等により構成され、被写体の体厚を検出する体厚検出手段から送信された体厚情報を取得する。または、放射線照射条件、撮影部位、SID(放射線検出部13と放射線源11の管球の焦点との間の距離)、及び関心領域の画素値平均値と、体厚情報との対応関係を示すテーブル(又は関係式)を記憶部22に記憶しておき、制御部21が低放射線量撮影時の放射線照射条件、撮影部位、SID及び関心領域の画素値平均値に基づいて、体厚の推定値を算出して取得することとしてもよい。
また、撮影装置1は、放射線源11の照射口に、図示しない放射線の照射野を絞るための絞り部を備え、この絞り部に複数種類の材質及び厚みの付加フィルターが内臓され、絞り部は、撮影用コンソール2からの入力に応じて、内臓された複数種類の付加フィルターの中からいずれか一つの付加フィルターを選択し、放射線源11から照射された放射線が選択した付加フィルターを透過して被写体に照射されるように、放射線の照射経路中に選択した付加フィルターを挿入する機構を有する。ここで、撮影コンソール2から放射線照射条件として付加フィルター無しが入力された場合は、放射線の照射経路中にはいずれの付加フィルターも挿入されないように動作する。
また、第2の実施形態において、撮影用コンソール2の記憶部22には、図3に示す撮影制御処理Bを実行するためのプログラムが記憶されている。
また、記憶部22には、体厚情報、撮影部位、及び動き量レベルLMを入力パラメーターとし、半価層(又は実効エネルギー)、線質違いコントラスト調整係数βを出力パラメーターとする対応関係(関係式、対応テーブル)が体厚線質変換特性として予め記憶されている。体厚線質変換特性では、入力された体厚情報が小さければ、撮影に最適な放射線照射条件として、透過力が弱いがコントラストが大きくなる小さい半価層(又は実効エネルギー)が、体厚情報が大きければ透過力が強いがコントラストが小さくなる大きい半価層(又は実効エネルギー)の値が出力されるように対応付けされている。ここで、線質違いコントラスト調整係数βは、体厚線質変換特性において体厚情報に対応付けされた半価層(又は実効エネルギー)となる放射線照射条件でその体厚相当の被写体を撮影した場合に、動き量レベルLMが、その体厚相当の被写体を低放射線量撮影時の放射線照射条件で撮影した場合と比べてどの程度の倍率だけ変化するかを表す係数である。
また、記憶部22には、各半価層(又は実効エネルギー)の値に対して、透過力と画像コントラストのバランスが最適となる管電圧と付加フィルターの組み合わせが1対1で対応付けされた同一線質放射線照射条件リストが記憶されている。同一線質放射線照射条件リストは、実験により得られたものであり、例えば工場出荷時等に、記憶部22に予め記憶させたものである。
また、記憶部22には、各管電圧と付加フィルターの組み合わせ毎の撮影装置ノイズ特性が予め記憶されている。撮影装置ノイズ特性は、上述のように、被写体なしで一定の放射線照射量で放射線検出部13に放射線を照射して得られた複数のフレーム画像に基づいて求められた、放射線検出部13の画像読取条件(読出ブロックサイズ、フレームレート、検出器温度)毎の放射線検出部13の画素値とノイズとの対応関係を示したものである。具体的に、撮影装置ノイズ特性は、第1の実施形態で説明したように、画素値、読出ブロックサイズ、フレームレート、検出器温度を入力パラメーターとし、放射線検出部13が入力パラメーターの温度、読出ブロックサイズ、フレームレートで画像の読み出しを行ったときに、入力パラメーターの画素値が得られた場合における、複数フレーム画像での同一画素(画素ブロック)の画素値時間変化のばらつき度合(標準偏差)を出力パラメーターとした対応関係(関係式、対応テーブル)をもとに生成されたものである。この対応関係を変換し、画素値時間変化のばらつき度合(標準偏差)をノイズレベルとみなし、ノイズレベル、読出ブロックサイズ、フレームレート、検出器温度を入力パラメーターとし、画素値を出力パラメーターとした対応関係(関係式、対応テーブル)が撮影装置ノイズ特性である。撮影装置ノイズ特性は、実験により得られたものであり、例えば工場出荷時等に、記憶部22に予め記憶させたものである。
また、記憶部22には、各管電圧と付加フィルターの組み合わせ毎に、体厚情報、撮影部位、画像読取条件(読出ブロックサイズ、フレームレート、検出器温度)を入力パラメーターとし、その体厚相当の被写体を同一のmAs値を設定して撮影した場合の関心領域に相当する領域の画素値(同一mAs値の画素値と呼ぶ)を出力パラメーターとした対応関係を示す画素値テーブルが記憶されている。画素値テーブルにおいては、管電圧が高く付加フィルターの放射線減衰量が小さいほど(減衰量が小さい材質もしくは厚みが小さいほど)、同一mAs値の画素値として大きい画素値が対応付けられている。また、管電圧が低く付加フィルターの放射線減衰量が大きいほど(減衰量が大きい材質もしくは厚みが大きいほど)、同一mAs値の画素値として小さい画素値が対応付けられている。画素値テーブルは、体厚の異なる被写体を模擬したファントム等を撮影した実験により得られたものであり、例えば工場出荷時等に、記憶部22に予め記憶させたものである。
その他の第2の実施形態の構成は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を省略し、以下、第2の実施形態の動作について説明する。
図3に、第2の実施形態において撮影用コンソール2の制御部21において実行される撮影制御処理Bのフローチャートを示す。撮影制御処理Bは、制御部21と記憶部22に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
まず、制御部21は、操作部23による被検者Hの患者情報、検査情報の入力を受け付ける(ステップS21)。
次いで、制御部21は、低放射線量撮影用の撮影条件を設定する。すなわち、低放射線量撮影時の放射線照射条件を記憶部22から読み出して放射線照射制御装置12に設定するとともに、画像読取条件を記憶部22から読み出して読取制御装置14に設定する(ステップS22)。
次いで、制御部21は、操作部23により撮影指示が入力されたか否かが判断される(ステップS23)。
撮影指示が入力されると(ステップS23;YES)、制御部21は、放射線照射制御装置12及び読取制御装置14に撮影指示信号を出力し、低放射線量撮影を行う(ステップS24)。
低放射線量撮影による一連のフレーム画像が入力されると、制御部21は、入力されたフレーム画像から被写体の動き量を表す動き量レベルLMを算出する(ステップS25)。
ステップS21〜ステップS25の処理は、図2のステップS1〜S5と同様であるので説明を援用する。
次いで、制御部21は、被写体の体厚の情報を取得し(ステップS26)、取得した体厚情報及び算出した動き量レベルLMに基づいて、記憶部22に記憶されている体厚線質変換特性を用いて、被写体の体厚に対して最適な半価層(又は実効エネルギー)、線質違いコントラスト調整係数βを取得する(ステップS27)。
次いで、制御部21は、算出した動き量レベルLM、線質違いコントラスト調整係数βに基づいて、目標ノイズレベルLNを算出する(ステップS28)。
目標ノイズレベルLNは、上述の(式1)により求めることができる。ステップS28の処理は、図2のステップS6と同様であるので説明を援用する。
次いで、制御部21は、記憶部22に記憶されている同一線質放射線照射条件リストを参照して、ステップS27で取得された体厚情報に応じた半価層(又は実効エネルギー)において、透過力と画像コントラストのバランスが最適となる管電圧と付加フィルターの組み合わせを本撮影時の管電圧及び付加フィルターとして決定する(ステップS29)。
次いで、制御部21は、目標ノイズレベルLNに対応する目標画素値レベルLG0を算出する(ステップS30)。
ステップS30では、ステップS29で取得した管電圧と付加フィルターの組み合わせにおける撮影装置ノイズ特性を参照して、目標ノイズレベルLNに対応する目標画素値レベルLG0を算出する。
次いで、制御部21は、目標画素値レベルLG0に基づいて線量倍率Mを算出する(ステップS31)。
ステップS31において、制御部21は、まず、低放射線量撮影で得られた動態画像の関心領域における画素値レベル(現画素値レベルLG1と呼ぶ)を算出する。現画素値レベルLG1の算出は、図2のステップS8で説明したものと同様であるので説明を援用する。
次いで、制御部21は、記憶部22に記憶されている画素値テーブルを参照し、低放射線量撮影時の放射線照射条件(管電圧と付加フィルターの組み合わせ)で撮影したときの画素値レベル(L1とする)と、体厚情報取得手段で取得された体厚情報に対応付けされた半価層(又は実効エネルギー)から求めた放射線照射条件(管電圧と付加フィルターの組み合わせ)で撮影したときの画素値レベル(L2とする)を取得し、L2/L1により線質違い画素値調整係数δを算出する。線質違い画素値調整係数δは、体厚情報に対応付けされた半価層(又は実効エネルギー)となる放射線照射条件でその体厚相当の被写体が撮影された場合に、画素値レベルが、その体厚相当の被写体を低放射線量撮影時の放射線照射条件で撮影したときと比べてどの程度の倍率だけ変化するかを表す係数である。
そして、制御部21は、算出した目標画素値レベルLG0、現画素値レベルLG1、線質違い画素値調整係数δに基づいて、例えば以下の(式3)により、線量倍数Mを計算する
線量倍数M=目標画素値レベルLG0/(現画素値レベルLG1×線質違い画素値調整係数δ)・・・(式3)
上述のように、画素値テーブルにおいては、管電圧が高く付加フィルターの放射線減衰量が小さいほど(減衰量が小さい材質もしくは厚みが小さいほど)、同一mAs値の画素値は大きい値が対応付けられているため、線質違い画素値調整係数δが大きくなり、(式3)より、線量倍率Mは小さくなる。管電圧が低く付加フィルターの放射線減衰量が大きいほど(減衰量が大きい材質もしくは厚みが大きいほど)、同一mAs値の画素値は小さい値が対応付けられているため、線質違い画素値調整係数δが小さくなり、線量倍率Mは大きくなる。
次いで、制御部21は、算出した線量倍数Mと、低放射線量撮影時の放射線照射条件に基づいて、本撮影用の1フレーム当たりのmAs値を算出する(ステップS32)。
例えば、低放射線量撮影時の1フレームあたりのmAs値設定に、線量倍数Mを乗じて本撮影用のmAs値を算出する。
次いで、制御部21は、算出した1フレーム当たりのmAs値が撮影装置1の設定可能範囲の上限又は下限を超えているか、又は算出したmAs値から推定した被検者の被ばく量が予め設定された上限を超えているかを判断する(ステップS33)。
算出したmAs値が撮影装置1の設定可能範囲の上限又は下限を超えている、又は算出したmAs値から推定した被検者の被ばく量が予め設定された上限を超えていると判断した場合(ステップS33;YES)、制御部21は、画像読取条件を変更し(ステップS34)、ステップS30に戻り、変更した画像読取条件で目標画素値レベルLG0を算出しなおしてステップS30〜ステップS33の処理を実行する。ステップS34の処理は図2のステップS11と同様であるので説明を援用する。
算出したmAs値が撮影装置1の設定可能範囲の上限又は下限を超えておらず、算出したmAs値から推定した被検者の被ばく量も予め設定された上限を超えていないと判断した場合(ステップS33;NO)、制御部21は、ステップS29で取得した管電圧及び付加フィルターの値、ステップS32で算出したmAs値、及び目標画素値レベルLG0を算出したときの画像読取条件を本撮影用の撮影条件に決定する(ステップS35)。
そして、制御部21は、決定した撮影条件のうち放射線照射条件を放射線照射制御装置12に送信して設定し、画像読取条件を読取制御装置14に送信して設定し(ステップS36)、設定した撮影条件で本撮影(動態撮影)を行わせ(ステップS37)、撮影制御処理Bを終了する。
本撮影により得られた一連のフレーム画像が入力されると、制御部21は、本撮影で取得された一連のフレーム画像のそれぞれに動態画像を識別するための識別IDや、患者情報、検査情報、放射線照射条件、画像読取条件、撮影順を示す番号(フレーム番号)等の情報を付帯させ(例えば、DICOM形式で画像データのヘッダ領域に書き込まれ)、通信部25を介して診断用コンソール3に送信する。
診断用コンソール3においては、撮影用コンソール2から動態画像の一連のフレーム画像が受信されると、受信した動態画像が患者情報や検査情報と対応付けて記憶部32に記憶される。そして、操作部33により動態画像が選択され、表示が指示されると、制御部31により、選択された動態画像が記憶部32から読み出されて表示部34に表示される。また、操作部33により動態画像が選択され、解析が指示されると、制御部31により、選択された動態画像が記憶部32から読み出されて解析処理が施され、解析結果が表示部34に表示される。胸部動態画像の解析としては、例えば、特開2012−110451号公報に記載の換気解析や血流解析等を挙げることができる。
このように、撮影制御処理Bにおいては、得られる画像の動き量が最適になるまで照射する放射線照射量等の撮影条件を試行錯誤的に調整しながら撮影条件を最適化する必要がないため、被写体の動き量に適した撮影条件を、少ない追加被ばく量で最適化することができ、被検者の被ばく量を抑えることができる。さらに、被写体の体厚に対して、透過力と画像コントラストのバランスが最適となる放射線照射条件を自動的に設定し、動態撮影を行うことが可能となる。
<第2の実施形態の変形例>
第2の実施形態においては、各半価層(又は実効エネルギー)の値に対して、透過力と画像コントラストのバランスが最適となる管電圧と付加フィルターの組み合わせが1対1で対応付けされた同一線質放射線照射条件リストが記憶されていることとしたが、各半価層(又は実効エネルギー)の値に対して、透過力と画像コントラストのバランスが適した管電圧と付加フィルターの組み合わせが1対多の関係で複数(少なくとも2以上)対応付けされていてもよい。
ここで、上述のように、図3のステップS31において、管電圧が高く付加フィルターの放射線減衰量が小さいほど(減衰量が小さい材質もしくは厚みが小さいほど)、線質違い画素値調整係数δは大きくなり、線量倍数Mは小さくなる。すなわち、管電圧が高く付加フィルターの放射線減衰量が小さいほど(減衰量が小さい材質もしくは厚みが小さいほど)、設定される放射線照射条件の1フレームあたりのmAs値は小さくなり、管球寿命を重視した放射線照射条件となる。また、管電圧が低く付加フィルターの放射線減衰量が大きいほど(減衰量が大きい材質もしくは厚みが大きいほど)、線質違い画素値調整係数δは小さくなり、線量倍数Mは大きくなる。すなわち、管電圧が低く付加フィルターの放射線減衰量が大きいほど(減衰量が大きい材質もしくは厚みが大きいほど)、設定される放射線照射条件のmAs値は大きくなり、パルス放射線安定出力を重視した放射線照射条件となる(パルス放射線の場合、ある程度mAs値が大きい方が、より矩形波に近いパルスの放射線が出力されるとともに放射線の出力が安定する)。
そこで、制御部21は、図3に示す撮影制御処理Bにおいて、所定のタイミングでユーザーに操作部23を介して管球寿命重視か、放射線安定出力重視かを選択させ、図3のステップS29において管電圧と付加フィルターの組み合わせを決定する際に、同一線質放射線照射条件リストの複数の候補の中から、ユーザーが選択した特性をもつ管電圧と付加フィルターの組み合わせを取得することとしてもよい。
このようにすれば、撮影用コンソール2は、被検者Hの被ばく量は同一で、管球寿命を重視し、撮影装置1のメンテナンスのコストを抑えることを優先した放射線照射条件か、放射線安定出力を重視し高画質を優先した放射線照射条件のいずれかをユーザーの好みに応じて撮影装置1に設定し、当該放射線照射条件で撮影を行うことが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、胸部の動態画像の撮影時における撮影条件を決定する場合を例にとり説明したが、胸部の動態画像に限らず、例えば、他の部位、例えば、手指の関節等の動きを示す動態画像の撮影時に本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態においては、本発明の撮影制御装置が撮影用コンソール2に備えられた場合を例にとり説明したが、撮影用コンソール2とは別体の単体の装置としてもよいし、放射線照射制御装置12に備えられる構成としてもよい。
また、第2の実施形態において、撮影用コンソール2が備えた体厚情報取得手段が、放射線を照射せず、超音波センサー等を用いて被写体の体厚を検出し、体厚情報を取得する場合は、低放射線量撮影時の放射線照射条件(管電圧と付加フィルターの組み合わせ)を、取得した体厚情報に対応付けされた半価層(又は実効エネルギー)にもとづいて決定し、撮影することとしてもよい。これにより、低放射線量撮影時においても、被写体の体厚に対して、透過力と画像コントラストのバランスが最適となる放射線照射条件を自動的に設定するため、低放射線量撮影時における被検者の被ばく量を低減することができる。
また、被写体を透過して放射線検出部13に入射する放射線の線質は、放射線源11から照射され、被写体を透過する前の放射線の線質とは異なるため、放射線検出部13の画素値とノイズとの対応関係である撮影装置ノイズ特性は、被写体を透過する前後の放射線で異なる。そこで、撮影装置ノイズ特性においては、各管電圧と付加フィルターの組み合わせにおける撮影装置ノイズ特性に対し、ノイズレベル、読出ブロックサイズ、フレームレート、検出器温度の他に、体厚情報、撮影部位も入力パラメーターとして持たせ、その体厚相当の被写体を透過する前後の放射線の線質の関係性も予め記憶させておき、その体厚相当の被写体を透過した後の放射線の線質に対する画素値を出力パラメーターとした対応関係(関係式、対応テーブル)として記憶させておくことがより好ましい。所定体厚相当の被写体を透過する前後における放射線の線質の関係は、体厚の異なる被写体を模擬したファントム等を各線質で撮影した実験により得られたものであり、例えば工場出荷時等に、記憶部22に予め記憶させたものである。これにより、所望のノイズレベルとなる画素値をより精度よく求めることができ、撮影条件をより精度よく最適化することが可能となる。
また、例えば、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
その他、放射線撮影システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
100 放射線撮影システム
1 撮影装置
11 放射線源
12 放射線照射制御装置
13 放射線検出部
14 読取制御装置
2 撮影用コンソール
21 制御部
22 記憶部
23 操作部
24 表示部
25 通信部
26 バス
27 サイクル検出部
3 診断用コンソール
31 制御部
32 記憶部
33 操作部
34 表示部
35 通信部
36 バス

Claims (6)

  1. 被写体を放射線撮影して、周期的に動作する前記被写体の動態を示す複数のフレーム画像を取得する撮影装置に接続された撮影制御装置であって、
    前記撮影装置により取得された少なくとも2以上のフレーム画像から前記被写体の動き量を表す動き量レベルを算出し、算出した前記動き量レベルに基づいて目標ノイズレベルを算出し、算出した前記目標ノイズレベルに基づいて、前記撮影装置において前記被写体を撮影する際の撮影条件を決定する制御手段を備える撮影制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記動き量レベルに基づいて、前記被写体の動きで生じる画素値の時間変化を表す信号が所望のS/N比となるノイズレベルを前記目標ノイズレベルとして算出する請求項1に記載の撮影制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記撮影装置のノイズ特性に基づいて、前記被写体の動きで生じる画素値の時間変化を表す信号に重畳されるノイズレベルが前記目標ノイズレベルとなる画素値を目標画素値レベルとして算出し、算出した前記目標画素値レベルに基づいて前記撮影条件を算出する請求項1又は2に記載の撮影制御装置。
  4. 前記撮影条件は、前記撮影装置における放射線照射条件及び画像読取条件である請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮影制御装置。
  5. 被写体の体厚の情報を取得する体厚情報取得手段を備え、
    前記制御手段は、さらに、前記被写体の体厚に応じた半価層又は実効エネルギーに基づいて前記放射線照射条件を決定する請求項4に記載の撮影制御装置。
  6. 被写体を放射線撮影して、周期的に動作する前記被写体の動態を示す複数のフレーム画像を取得する撮影装置に接続された撮影制御装置に用いられるコンピューターを、
    前記撮影装置により取得された前記被写体の動態を示す少なくとも2以上のフレーム画像から前記被写体の動き量を表す動き量レベルを算出し、算出した前記動き量レベルに基づいて目標ノイズレベルを算出し、算出した前記目標ノイズレベルに基づいて、前記撮影装置において前記被写体を撮影する際の撮影条件を決定する制御手段、
    として機能させるためのプログラム。
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