以下、充電制御回路の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本例では、一例として、電源装置としてのコンバータとバッテリとを接続する電源ラインに接続されて、コンバータによるバッテリの充電を制御する充電制御回路を例に挙げて説明する。
最初に、充電制御回路としての充電制御回路1Aの構成について図面を参照して説明する。
充電制御回路1Aは、図1に示すように、一対の第1端子2a,2b(特に区別しないときには、「第1端子2」ともいう)、一対の第2端子3a,3b(特に区別しないときには、「第2端子3」ともいう)、逆接保護素子4、電流制御素子5、電流検出部6、および制御部7を備えて、第1端子2に接続されたコンバータ41から出力される直流電圧V1に基づいて、第2端子3に接続されたバッテリ42に充電電流I1を出力(供給)してバッテリ42を充電する充電動作を実行する。
具体的には、第1端子2a,2bのうちの第1端子2aは、コンバータ41の一対の出力端子のうちの一方の出力端子(プラス端子)に接続され、第1端子2bは、コンバータ41の他方の出力端子(マイナス端子)に接続される。第2端子3a,3bのうちの第2端子3aは、バッテリ42の陽極に接続され、第2端子3bは、バッテリ42の陰極に接続される。
逆接保護素子4および電流制御素子5は、コンバータ41とバッテリ42とを接続する電源ライン(本例ではコンバータ41に接続される第1端子2aとバッテリ42に接続される第2端子3aとを接続するプラス側の電源ラインLa)に、直列接続された状態で配設されている。また、本例では、逆接保護素子4は、n型MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor )4aと、これに並列接続されたダイオード4bとの並列回路で構成され、電流制御素子5は、n型MOSFET5aと、これに並列接続されたダイオード5bとの並列回路で構成されている。この場合、各ダイオード4b,5bは、アノード端子が対応するn型MOSFETのソース端子に接続され、かつカソード端子が対応するn型MOSFETのドレイン端子に接続された状態で対応するn型MOSFETに並列接続されている。
また、逆接保護素子4および電流制御素子5は、逆接保護素子4に対して電流制御素子5がバッテリ42側(第2端子3側)に位置する状態で、かつ逆接保護素子4および電流制御素子5の各n型MOSFET4a,5aのソース端子同士が互いに接続された状態(バック・ツー・バック接続された状態)で配設されている。なお、各ダイオード4b,5bは、対応するn型MOSFETのボディダイオードで代用することができ、この場合には、逆接保護素子4および電流制御素子5は、n型MOSFET単体で構成することが可能となる。
また、逆接保護素子4は、充電制御回路1Aの停止状態において(つまり、逆接保護素子4のn型MOSFET4aがオフ状態のとき)に、第2端子3間にバッテリ42が逆極性で接続されたときのバッテリ42の放電を防止する機能を有すると共に、逆接保護素子4がオン状態(逆接保護素子4のn型MOSFET4aがオン状態)のときに、流れる放電電流I2の大きさ(電流値)に応じた電位差Vdsを両端間(ドレイン−ソース端子間)に生じさせる機能(電流検出機能)を有している。
電流検出部6は、一例として図1に示すように、電位差検出部21および比較部22を備えて構成されて、バッテリ42から電源ラインLa,Lbを経由してコンバータ41に向かう放電電流I2の大きさを検出すると共にこの検出の結果(検出結果)に基づいて検出信号S1を生成して制御部7に出力する。
具体的には、電位差検出部21は、不図示の演算増幅器などで構成されて、逆接保護素子4の一端(n型MOSFET4aのドレイン端子)および他端(n型MOSFET4aのソース端子)に一対の検出ラインLs1,Ls2を介して接続されている。また、電位差検出部21は、逆接保護素子4の両端間(n型MOSFET4aのドレイン−ソース端子間)の電位差Vdsを増幅して出力することにより、電位差Vdsに比例して電圧値が変化する電流検出信号Viを出力する。なお、この電位差Vdsは、逆接保護素子4の一端(ドレイン端子)の電位に対して他端(ソース端子)が高電位のときには正(プラス)電圧となり、逆接保護素子4の一端(ドレイン端子)の電位に対して他端(ソース端子)が低電位のときには負(マイナス)電圧となる。
通常、n型MOSFETは、オン状態(飽和領域での動作状態)では、そのオン抵抗は十分に低い一定値であり、また電流の双方向での通過を許容(ドレイン端子からソース端子に向かう方向での通過、およびソース端子からドレイン端子に向かう方向での通過の双方を許容)する状態となっている。このため、このオン状態のときにソース端子からドレイン端子に向けて流れる電流に起因してn型MOSFET4aの両端間(ドレイン−ソース端子間)に発生する電位差Vds(電圧降下)は、ダイオード4bの順方向電圧よりも低い状態で、かつ電流の大きさに比例して変化する正電圧となる。したがって、電位差検出部21は、実質的に、電位差Vdsに基づいて、放電電流I2(充電電流I1とは逆に、バッテリ42からコンバータ41に向けて流れる電流)の大きさを検出すると共に、検出した大きさに比例して電圧値が変化する電流検出信号Vi(放電電流I2の大きさを示す信号)を出力する。
比較部22は、例えば、コンパレータで構成されて、電位差検出部21から出力される電流検出信号Viと、予め規定された電流閾値Vth(予め規定された電流値の放電電流I2がオン状態の逆接保護素子4に流れたときに発生する電位差Vdsに対応する電圧値)とを比較して、電流検出信号Viの大きさがこの電流閾値以上(つまり、放電電流I2の大きさがこの予め規定された電流値以上)であるとの比較結果(検出結果)のときに、この比較結果を示す検出信号S1を制御部7に出力する。
本例では、この電流閾値Vthの一例として、コンバータ41から電源ラインLa,Lbを経由してバッテリ42に充電電流I1が供給される充電状態において、例えば、コンバータ41側(コンバータ41自体またはコンバータ41に電力を供給する外部電力源)に何らかのトラブルが発生することによって直流電圧V1がバッテリ42の充電電圧V2よりも低下した際に発生する放電電流I2を、低い電流値の状態から電流検出部6で検出し得るように、低電圧値(ゼロボルトまたはゼロボルトに近い低電圧値)の電流閾値(低側電流閾値Vth1)が規定されている。
制御部7は、例えば、CPUおよびメモリなどで構成された処理回路と、n型MOSFET4a,5aを駆動するための駆動回路(いずれも図示せず)とを備えて構成されている。本例では一例として、制御部7は、充電制御回路1Aの内部または外部に配設された不図示の入力部(キーボードや操作パネルなど)から入力される動作指示Ssの内容が、充電動作を示すものであるときには、充電制御回路1Aを充電状態で動作させる。
また、制御部7は、この充電状態において、電流検出部6からの検出信号S1の出力を検出したときに、電流の双方向での通過を許容(つまり、充電電流I1および放電電流I2のいずれについても通過を許容)するオン状態に駆動していた逆接保護素子4および電流制御素子5の各n型MOSFET4a,5aのうちの少なくとも電流制御素子5のn型MOSFET5a(本例では、逆接保護素子4および電流制御素子5双方のn型MOSFET4a,5a)を、放電電流I2の通過を阻止するオフ状態に駆動する。
また、制御部7では、駆動回路は、図1に示すように、逆接保護素子4および電流制御素子5を構成する各n型MOSFET4a,5aのソース端子と共通の1本の駆動ラインLd1を介して接続されると共に、各n型MOSFET4a,5aのゲート端子と共通の1本の駆動ラインLd2を介して接続されている。また、駆動回路は、処理回路によって制御されることにより、逆接保護素子4および電流制御素子5を構成する各n型MOSFET4a,5aをオン状態(飽和領域での動作状態)に移行させるときには、ゲート閾値電圧値を超える電圧値の駆動電圧Vdvを駆動ラインLd1,Ld2間に出力し、各n型MOSFET4a,5aをオフ状態に移行させるときには、駆動電圧Vdvの出力を停止する(駆動電圧Vdvの電圧値をゲート閾値電圧値未満にする)。
また、以上のことから、充電制御回路1Aでは、電流検出部6および制御部7のいずれも、電源ラインLaにおける第2端子3aと電流制御素子5を構成するn型MOSFET5aのドレイン端子との間の部位に配線を介して直接接続されない構成となっている。
次いで、充電制御回路1Aの動作について、添付図面を参照して説明する。なお、第1端子2には、コンバータ41が接続され、第2端子3には、バッテリ42が接続されているものとする。また、正常動作時にコンバータ41から出力される直流電圧V1は、満充電状態におけるバッテリ42の充電電圧V2よりも高い電圧に規定されているものとする。
この状態において、充電動作を示す動作指示Ssが入力されたときには、制御部7では、処理回路が、駆動回路に対する制御を実行して、ゲート閾値電圧値を超える電圧値の駆動電圧Vdvを駆動ラインLd1,Ld2間に出力させる。これにより、逆接保護素子4および電流制御素子5(を構成する各n型MOSFET4a,5a)は、共にオン状態(電流の双方向での通過を許容する状態)に移行する。
したがって、コンバータ41が正常動作しているときには、出力される直流電圧V1がバッテリ42の充電電圧V2よりも高い電圧であることから、充電制御回路1Aは、オン状態の逆接保護素子4および電流制御素子5の各n型MOSFET4a,5aを経由して、コンバータ41からバッテリ42に充電電流I1を供給する(バッテリ42に対する充電動作を実行する)。この場合、電流検出部6の電位差検出部21が検出する電位差Vdsは負電圧となり、これにより、電流検出信号Viも、負電圧となる(低側電流閾値Vth1未満となる)。このため、比較部22は、制御部7への検出信号S1の出力を停止した状態となっている。したがって、制御部7は、逆接保護素子4および電流制御素子5のn型MOSFET4a,5aに対する駆動電圧Vdvの出力を継続することから、バッテリ42に対する充電動作が継続される。
また、この充電状態において、コンバータ41側に何らかのトラブルが発生して、直流電圧V1がバッテリ42の充電電圧V2よりも低下した際には、オン状態の逆接保護素子4および電流制御素子5の各n型MOSFET4a,5aには、バッテリ42からコンバータ41に向かう放電電流I2が流れる(発生する)。この場合、電流検出部6の電位差検出部21が検出する電位差Vdsは正電圧となり、これにより、電流検出信号Viも正電圧となる。
本例では、上記したように、この放電電流I2の発生を、低い電流値の状態から電流検出部6で検出し得るように、低電圧値の電流閾値(低側電流閾値Vth1)が規定されている。このため、低い電流値の放電電流I2が発生した時点で、正電圧の電流検出信号Viは低側電流閾値Vth1に達する。これにより、比較部22は、制御部7へ検出信号S1を出力する。また、制御部7は、電流検出部6(の比較部22)からの検出信号S1の出力を検出して、逆接保護素子4および電流制御素子5の各n型MOSFET4a,5aに対する駆動電圧Vdvの出力を停止すると共に、この停止状態を継続させる。したがって、電流の双方向での通過を許容(つまり、充電電流I1および放電電流I2のいずれについても通過を許容)するオン状態に駆動されていた逆接保護素子4および電流制御素子5の各n型MOSFET4a,5aは、電流の双方向での通過を阻止するオフ状態に駆動される。これにより、トラブルの発生下での、バッテリ42からコンバータ41への放電が阻止される。
このように、この充電制御回路1Aによれば、コンバータ41が正常動作していて、出力される直流電圧V1がバッテリ42の充電電圧V2よりも高い電圧であるときには、逆接保護素子4および電流制御素子5をオン状態に駆動して、コンバータ41からバッテリ42に充電電流I1を供給し(バッテリ42に対する充電動作を実行し)、コンバータ41側にトラブルが発生して、出力される直流電圧V1がバッテリ42の充電電圧V2よりも低くなり、放電電流I2が発生したときには、逆接保護素子4および電流制御素子5をオフ状態に駆動して、バッテリ42からコンバータ41への放電を迅速に阻止することができる。また、充電制御回路1Aでは、上記したように、電流検出部6および制御部7のいずれも、プラス側の電源ラインLaにおける第2端子3aと電流制御素子5を構成するn型MOSFET5aのドレイン端子との間の部位に配線を介して直接接続されない構成となっている。したがって、この充電制御回路1Aによれば、逆接保護素子4および電流制御素子5をオフ状態に駆動して、バッテリ42からコンバータ41への放電を阻止している状態において、バッテリ42から充電制御回路1A(具体的には電流検出部6および制御部7)に流れ込む微少な電流(暗電流)の発生を回避できるため、バッテリ42の無駄な放電を完全に防止(阻止)することができる。
なお、この充電制御回路1Aでは、放電電流I2の大きさを、逆接保護素子4の両端間(n型MOSFET4aのドレイン−ソース端子間)に発生する電位差Vds(飽和領域でのオン抵抗と放電電流I2の電流値とで決定される電圧)で検出する構成を採用しているが、MOSFETのオン抵抗は、MOSFETの温度で変化するという温度特性(具体的には、温度係数が正の温度特性)を有している。このため、MOSFETの温度が標準的な温度(例えば、30°〜40°程度)よりも高いときには、オン抵抗がより高くなることから、放電電流I2の検出感度が向上する(より低い電流値の放電電流I2において、電流検出信号Viが低側電流閾値Vth1を上回る)ので問題は生じないが、MOSFETの温度が標準的な温度よりも低いときには、オン抵抗がより低くなることから、放電電流I2の検出感度が低下する(より高い電流値の放電電流I2が発生しなければ、電流検出信号Viが低側電流閾値Vth1を上回らない)ことから問題が生じる。
そこで、この問題の発生を回避するため、図2に示す充電制御回路1Bでは、逆接保護素子4の温度を検出すると共にこの温度を示す温度検出信号Vtpを出力する温度検出部31と、温度検出信号Vtpで示される温度が標準的な温度(予め決められた温度:例えば30°)よりも高いときには、低側電流閾値Vth1を変えずに、温度検出信号Vtpで示される温度が標準的な温度よりも低いときには、標準的な温度からの温度低下分だけ低側電流閾値Vth1を標準的な温度のときの値から低下させる補正部(本例では、制御部7が補正部を兼ねる構成であるが、制御部7と別体とする構成であってもよい)とを備える構成を採用している。なお、図1に示す充電制御回路1Aと同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
この構成の充電制御回路1Bによれば、逆接保護素子4の温度が標準的な温度よりも低くなって、n型MOSFET4aのオン抵抗がより低くなり、標準的な温度のときと同じ電流値の放電電流I2が流れたときの電位差Vdsも低くなる状態では、低側電流閾値Vth1がその分だけ低下させられていることから、逆接保護素子4の温度が標準的な温度よりも低下したときに生じる上記の問題(放電電流I2の検出感度が低下する(より高い電流値の放電電流I2が発生しなければ、電流検出信号Viが低側電流閾値Vth1を上回らない)という問題)の発生を防止することができる。
さらに、この充電制御回路1Bにおいて、温度検出信号Vtpで示される温度が標準的な温度(予め決められた温度:この例では30°)よりも高いときには、補正部が、標準的な温度からの温度上昇分だけ低側電流閾値Vth1を標準的な温度のときの値から上昇させる構成を採用することもできる。この構成の充電制御回路1Bによれば、比較部22が検出信号S1の制御部7への出力を開始する放電電流I2の電流値について、逆接保護素子4の温度変動に伴ってばらつく(放電電流I2の発生の検出感度がばらつく)ことを大幅に低減することができる。
また、上記のコンバータ41が、外部電力源から供給される電力を直流電圧V1に変換してバッテリ42に出力する機能に加えて、バッテリ42の充電電圧V2を直流電圧に変換して不図示の外部機器に出力する機能を有する構成(コンバータ41が双方向コンバータの構成)では、充電制御回路1A,1Bは、コンバータ41からバッテリ42に充電電流I1を供給する充電動作を、バッテリ42からコンバータ41への放電電流I2の発生の有無を検出しつつ実行する上記の構成に加えて、バッテリ42からコンバータ41に放電電流I2を供給する放電動作を、放電電流I2の電流値が予め規定された電流値以上になる事態(放電電流I2が大きくなり過ぎる事態)の発生を検出しつつ実行する新たな構成を備えるのが好ましい。
この2つの構成を備えた充電制御回路1Cについて、図3を参照して説明する。なお、充電制御回路1Cは、一例として、図2に示す充電制御回路1Bをベースとする構成を採用しているが、図示はしないが、図1に示す充電制御回路1Aをベースとする構成を採用することもできる。また、充電制御回路1Bと同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略し、主として異なる構成について説明する。
制御部7は、不図示の入力部から入力される動作指示Ssの内容が、充電動作を示すものであるときには、充電制御回路1Cを充電状態で動作させる。この際には、制御部7は、比較部22で使用する電流閾値Vthとして、上記の低側電流閾値Vth1を規定する。また、入力される動作指示Ssの内容が、放電動作を示すものであるときには、充電制御回路1Cを放電状態で動作させる。この際には、制御部7は、比較部22で使用する電流閾値Vthとして、上記の低側電流閾値Vth1に代えて、低側電流閾値Vth1よりも高電圧値の電流閾値(高側電流閾値Vth2)を規定する。なお、制御部7には、低側電流閾値Vth1および高側電流閾値Vth2が予め記憶されている。
バッテリ42には、最大放電電流値が製品仕様で規定されている場合があることから、放電電流I2は、この電流値以下に抑える必要がある。このため、この高側電流閾値Vth2については、この電流値の放電電流I2が逆接保護素子4に流れたときに電位差検出部21から出力される電流検出信号Viの電圧値と同じになるように予め規定されている。
次に、この充電制御回路1Cの動作について説明する。
まず、充電制御回路1Cに充電動作させる場合には、充電動作を示す動作指示Ssを制御部7に入力する。この際には、制御部7は、比較部22で使用する電流閾値Vthとして、低側電流閾値Vth1を比較部22に対して規定する。これにより、制御部7は、充電制御回路1Aと同様にして、充電制御回路1Cを充電状態で動作させる。つまり、充電制御回路1Cは、コンバータ41からバッテリ42に充電電流I1を供給する充電動作を、バッテリ42からコンバータ41への放電電流I2の発生の有無を検出しつつ実行する。
次いで、充電制御回路1Cに放電動作させる場合には、放電動作を示す動作指示Ssを制御部7に入力する。この際には、制御部7は、比較部22で使用する電流閾値Vthとして、高側電流閾値Vth2を比較部22に対して規定して、充電制御回路1Cを放電状態で動作させる。つまり、充電制御回路1Cは、バッテリ42からコンバータ41に放電電流I2を供給する放電動作を、放電電流I2がバッテリ42の最大放電電流値に達したか否かを検出しつつ実行する。
この状態において、放電電流I2の電流値がバッテリ42の最大放電電流値未満のときには、電流検出部6の電位差検出部21が検出する電位差Vdsは正電圧であるが、この最大放電電流値の放電電流I2が流れたときの電位差Vdsよりも低いことから、電位差検出部21が出力する電流検出信号Viも高側電流閾値Vth2未満の正電圧となっている。このため、比較部22は、制御部7への検出信号S1の出力を停止した状態となっている。したがって、制御部7は、逆接保護素子4および電流制御素子5の各n型MOSFET4a,5aに対する駆動電圧Vdvの出力を継続することから、バッテリ42からの放電動作が継続される。
この放電動作中に、例えばコンバータ41側に何らかのトラブルが発生することによって放電電流I2が増加してバッテリ42の最大放電電流値に達したときには、電位差検出部21が検出する電位差Vdsは、この最大放電電流値の放電電流I2が流れたときの電位差Vdsに達する。また、電位差検出部21が出力する電流検出信号Viも高側電流閾値Vth2に達する。このため、比較部22は、制御部7への検出信号S1の出力を開始する。したがって、制御部7は、電流検出部6(の比較部22)からの検出信号S1の出力を検出して、逆接保護素子4および電流制御素子5の各n型MOSFET4a,5aに対する駆動電圧Vdvの出力を停止すると共に、この停止状態を継続させる。これにより、トラブルの発生下での、バッテリ42からの放電が停止される。
このように、この充電制御回路1Cによれば、双方向コンバータとしてのコンバータ41が正常動作(バッテリ42側への電流出力動作)している状態において、出力される直流電圧V1がバッテリ42の充電電圧V2よりも高い電圧であるときには、逆接保護素子4および電流制御素子5をオン状態に駆動して、コンバータ41からバッテリ42に充電電流I1を供給し(バッテリ42に対する充電動作を実行し)、コンバータ41側にトラブルが発生して、出力される直流電圧V1がバッテリ42の充電電圧V2よりも低くなり、放電電流I2が発生したときには、逆接保護素子4および電流制御素子5をオフ状態に駆動して、バッテリ42からコンバータ41への放電を迅速に阻止することができる。
また、この充電制御回路1Cによれば、双方向コンバータとしてのコンバータ41が正常動作(バッテリ42からの電流入力動作)している状態においては、逆接保護素子4および電流制御素子5をオン状態に駆動して、バッテリ42からコンバータ41に放電電流I2を供給し(バッテリ42に対する放電動作を実行し)、コンバータ41側にトラブルが発生して、放電電流I2がバッテリ42の最大放電電流値に達したときには、逆接保護素子4および電流制御素子5をオフ状態に駆動して、バッテリ42からコンバータ41への放電を停止することができる。
また、充電制御回路1Cにおいても、電流検出部6および制御部7のいずれも、プラス側の電源ラインLaにおける第2端子3aと電流制御素子5を構成するn型MOSFET5aのドレイン端子との間の部位に配線を介して直接接続されない構成となっている。したがって、この充電制御回路1Cによっても、逆接保護素子4および電流制御素子5をオフ状態に駆動して、バッテリ42からコンバータ41への放電を停止している状態において、バッテリ42から充電制御回路1C(具体的には電流検出部6および制御部7)に流れ込む微少な電流(暗電流)の発生を回避できるため、バッテリ42の無駄な放電を完全に防止することができる。
また、この充電制御回路1Cにおいても、充電制御回路1Bと同等の構成(温度検出部31と補正部とを備えた構成)であることから、上記した充電制御回路1Bの効果と同等の効果を奏することができる。
また、上記の充電制御回路1A,1B,1Cでは、コンバータ41の一方の出力端子(プラス端子)に接続される第1端子2aと、バッテリ42の陽極に接続される第2端子3aとを接続するプラス側の電源ラインLaに、逆接保護素子4および電流制御素子5を直列接続した状態で配設する構成を採用しているが、この構成に限定されるものではない。例えば、図4に示す充電制御回路1Dのように、逆接保護素子4については、コンバータ41の他方の出力端子(マイナス端子)に接続される第1端子2bと、バッテリ42の陰極に接続される第2端子3bとを接続するマイナス側の電源ラインLbに配設する構成を採用することもできる。
この充電制御回路1Dについて、図4を参照して説明する。なお、充電制御回路1Dは、一例として、図1に示す充電制御回路1Aをベースとする構成を採用しているが、図示はしないが、図2,3に示す充電制御回路1B,1Cをベースとする構成を採用することもできる。また、充電制御回路1Aと同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略し、主として異なる構成について説明する。
充電制御回路1Dは、一対の第1端子2a,2b、一対の第2端子3a,3b、逆接保護素子4、電流制御素子5、電流検出部6、および制御部7Aを備えて、第1端子2に接続されたコンバータ41から出力される直流電圧V1に基づいて、第2端子3に接続されたバッテリ42に充電電流I1を出力(供給)してバッテリ42を充電する充電動作を実行する。
逆接保護素子4は、電源ラインLbに配設され、電流制御素子5は、電源ラインLaに配設されている。また、本例では、逆接保護素子4は、n型MOSFET4aと、これに並列接続されたダイオード4bとの並列回路で構成されて、n型MOSFET4aのドレイン端子が電源ラインLbを介して第2端子3bに接続され、ソース端子が電源ラインLbを介して第1端子1bに接続された状態で、電源ラインLbに配設されている。また、電流制御素子5は、n型MOSFET5aと、これに並列接続されたダイオード5bとの並列回路で構成されて、n型MOSFET5aのドレイン端子が電源ラインLaを介して第2端子3aに接続され、ソース端子が電源ラインLaを介して第1端子1aに接続された状態で、電源ラインLaに配設されている。
電流検出部6の電位差検出部21は、逆接保護素子4の一端(n型MOSFET4aのドレイン端子)および他端(n型MOSFET4aのソース端子)に一対の検出ラインLs1,Ls2を介して接続されている。また、電位差検出部21は、逆接保護素子4の両端間(n型MOSFET4aのドレイン−ソース端子間)の電位差Vdsを増幅して出力することにより、電位差Vdsに比例して電圧値が変化する電流検出信号Viを出力する。この電位差Vdsは、逆接保護素子4の一端(ドレイン端子)の電位に対して他端(ソース端子)が高電位のときには正(プラス)電圧となり、逆接保護素子4の一端(ドレイン端子)の電位に対して他端(ソース端子)が低電位のときには負(マイナス)電圧となる。これにより、電位差検出部21は、この電位差Vdsに基づいて、放電電流I2の大きさを検出すると共に、検出した大きさに比例して電圧値が変化する電流検出信号Vi(放電電流I2の大きさを示す信号)を出力する。
比較部22は、この電流検出信号Viと上記の電流閾値Vthとを比較して、電流検出信号Viの大きさがこの電流閾値以上(つまり、放電電流I2の大きさがこの予め規定された電流値以上)であるとの比較結果(検出結果)のときに、この比較結果を示す検出信号S1を制御部7Aに出力する。
制御部7Aは、例えば、CPUおよびメモリなどで構成された処理回路51と、n型MOSFET4aを駆動するための第1駆動回路52と、n型MOSFET5aを駆動するための第2駆動回路53とを備えて構成されている。本例では一例として、制御部7Aは、充電制御回路1Dの内部または外部に配設された不図示の入力部から入力される動作指示Ssの内容が、充電動作を示すものであるときには、充電制御回路1Dを充電状態で動作させる。
また、制御部7Aは、この充電状態において、電流検出部6からの検出信号S1の出力を検出したときに、電流の双方向での通過を許容(つまり、充電電流I1および放電電流I2のいずれについても通過を許容)するオン状態に駆動していた逆接保護素子4および電流制御素子5の各n型MOSFET4a,5aのうちの少なくとも電流制御素子5のn型MOSFET5a(本例では、逆接保護素子4および電流制御素子5双方のn型MOSFET4a,5a)を、放電電流I2の通過を阻止するオフ状態に駆動する。
また、制御部7Aでは、第1駆動回路52は、逆接保護素子4を構成するn型MOSFET4aのソース端子と1本の駆動ラインLd1を介して接続されると共に、ゲート端子と1本の駆動ラインLd2を介して接続されている。また、第1駆動回路52は、処理回路51によって制御されることにより、逆接保護素子4を構成するn型MOSFET4aをオン状態(飽和領域での動作状態)に移行させるときには、ゲート閾値電圧値を超える電圧値の駆動電圧Vdv1を駆動ラインLd1,Ld2間に出力し、n型MOSFET4aをオフ状態に移行させるときには、駆動電圧Vdv1の出力を停止する(駆動電圧Vdv1の電圧値をゲート閾値電圧値未満にする)。
また、第2駆動回路53は、電流制御素子5を構成するn型MOSFET5aのソース端子と1本の駆動ラインLd3を介して接続されると共に、ゲート端子と1本の駆動ラインLd4を介して接続されている。また、第2駆動回路53は、処理回路51によって制御されることにより、電流制御素子5を構成するn型MOSFET5aをオン状態(飽和領域での動作状態)に移行させるときには、ゲート閾値電圧値を超える電圧値の駆動電圧Vdv2を駆動ラインLd3,Ld4間に出力し、n型MOSFET5aをオフ状態に移行させるときには、駆動電圧Vdv2の出力を停止する(駆動電圧Vdv2の電圧値をゲート閾値電圧値未満にする)。
また、以上のことから、充電制御回路1Dでは、電流検出部6および制御部7Aのいずれも、プラス側の電源ラインLaにおける第2端子3aと電流制御素子5を構成するn型MOSFET5aのドレイン端子との間の部位に配線を介して直接接続されない構成となっている。
次に、充電制御回路1Dの動作について、図4を参照して説明する。なお、第1端子2には、コンバータ41が接続され、第2端子3には、バッテリ42が接続されているものとする。また、正常動作時にコンバータ41から出力される直流電圧V1は、満充電状態におけるバッテリ42の充電電圧V2よりも高い電圧に規定されているものとする。
この状態において、充電動作を示す動作指示Ssが入力されたときには、制御部7Aでは、処理回路51が、第1駆動回路52に対する制御を実行して、ゲート閾値電圧値を超える電圧値の駆動電圧Vdv1を駆動ラインLd1,Ld2間に出力させると共に、第2駆動回路53に対する制御を実行して、ゲート閾値電圧値を超える電圧値の駆動電圧Vdv1を駆動ラインLd3,Ld4間に出力させる。これにより、逆接保護素子4および電流制御素子5を構成する各n型MOSFET4a,5aは、共にオン状態(電流の双方向での通過を許容する状態)に移行する。
したがって、コンバータ41が正常動作しているときには、出力される直流電圧V1がバッテリ42の充電電圧V2よりも高い電圧であることから、充電制御回路1Dは、オン状態の逆接保護素子4および電流制御素子5の各n型MOSFET4a,5aを経由して、コンバータ41からバッテリ42に充電電流I1を供給する(バッテリ42に対する充電動作を実行する)。この場合、電流検出部6の電位差検出部21が検出する電位差Vdsは負電圧となり、これにより、電流検出信号Viも、負電圧となる(低側電流閾値Vth1未満となる)。このため、比較部22は、制御部7Aへの検出信号S1の出力を停止した状態となっている。したがって、制御部7Aでは、処理回路51が、逆接保護素子4および電流制御素子5のn型MOSFET4a,5aに対する駆動電圧Vdv1,Vdv2の出力を継続させる制御を各駆動回路52,53に対して実行する。これにより、バッテリ42に対する充電動作が継続される。
また、この充電状態において、コンバータ41側に何らかのトラブルが発生して、直流電圧V1がバッテリ42の充電電圧V2よりも低下した際には、オン状態の逆接保護素子4および電流制御素子5の各n型MOSFET4a,5aには、バッテリ42からコンバータ41に向かう放電電流I2が流れる(発生する)。この場合、電流検出部6の電位差検出部21が検出する電位差Vdsは正電圧となり、これにより、電流検出信号Viも正電圧となる。
本例では、上記したように、この放電電流I2の発生を、低い電流値の状態から電流検出部6で検出し得るように、低電圧値の電流閾値(低側電流閾値Vth1)が規定されている。このため、低い電流値の放電電流I2が発生した時点で、正電圧の電流検出信号Viは低側電流閾値Vth1に達する。これにより、比較部22は、制御部7Aへ検出信号S1を出力する。また、制御部7Aでは、処理回路51が、電流検出部6(の比較部22)からの検出信号S1の出力を検出して、逆接保護素子4および電流制御素子5の各n型MOSFET4a,5aに対する駆動電圧Vdvの出力を停止させる制御を各駆動回路52,53に対して実行すると共に、この各駆動回路52,53に対する制御を継続する。したがって、電流の双方向での通過を許容(つまり、充電電流I1および放電電流I2のいずれについても通過を許容)するオン状態に駆動されていた逆接保護素子4および電流制御素子5の各n型MOSFET4a,5aは、電流の双方向での通過を阻止するオフ状態に駆動される。これにより、トラブルの発生下でのバッテリ42からコンバータ41への放電が阻止される。
このように、この充電制御回路1Dによれば、コンバータ41が正常動作していて、出力される直流電圧V1がバッテリ42の充電電圧V2よりも高い電圧であるときには、逆接保護素子4および電流制御素子5をオン状態に駆動して、コンバータ41からバッテリ42に充電電流I1を供給し(バッテリ42に対する充電動作を実行し)、コンバータ41側にトラブルが発生して、出力される直流電圧V1がバッテリ42の充電電圧V2よりも低くなり、放電電流I2が発生したときには、逆接保護素子4および電流制御素子5をオフ状態に駆動して、バッテリ42からコンバータ41への放電を迅速に阻止することができる。また、充電制御回路1Dでは、上記したように、電流検出部6および制御部7Aのいずれも、プラス側の電源ラインLaにおける第2端子3aと電流制御素子5を構成するn型MOSFET5aのドレイン端子との間の部位に配線を介して直接接続されない構成となっている。したがって、この充電制御回路1Dによれば、逆接保護素子4および電流制御素子5をオフ状態に駆動して、バッテリ42からコンバータ41への放電を阻止している状態において、バッテリ42から充電制御回路1D(具体的には電流検出部6および制御部7A)に流れ込む微少な電流(暗電流)の発生を回避できるため、バッテリ42の無駄な放電を完全に防止(阻止)することができる。
なお、電源装置の一例としてコンバータ41を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、電源装置はスイッチング電源装置や他のバッテリであってもよい。