JP2020052375A - 調光シート - Google Patents

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Abstract

【課題】背後の視認性を高めることのできる調光シートを提供する。【解決手段】離間ヘイズは、JIS K 7136:2000に準拠した測光器と積分球とを備える装置60を用い、透明状態の調光シート10を試験片50として測定されるパラメータである。離間ヘイズは、積分球61と試験片50との距離が47mmとなるように積分球61から離間させた試験片50における、平行成分および拡散成分の透過率に対する拡散成分の透過率の百分率である。試験片50に対する入射光Ioの入射方向と試験片50の法線方向とのなす角が入射角αであって、入射角αが0°であるときと60°であるときとの離間ヘイズの差が10以下である。【選択図】図6

Description

本発明は、光透過率の可変な調光シートに関する。
調光シートは、液晶組成物を含む調光層と、調光層を挟む一対の透明電極層とを備えている。一対の透明電極層間の電位差に応じて液晶分子の配向状態が変わることにより、調光シートの光透過率が変わる。すなわち、調光シートが、透明状態と不透明状態とに切り換わる。調光シートが貼り付けられる対象は、住宅窓のような平板ガラスに限られず、車載窓のような曲面ガラスにまで広がっている(例えば、特許文献1参照)。
特許第6245537号公報
調光シートを曲面に貼り付けるためには、調光シートの形状が曲面に追従するように、調光シートや調光シートと曲面との間に設けられる接着層の剛性が低いことが求められる。例えば、上記特許文献1では、調光シートを構成する各層の材料の最適化や、接着層が有する厚みの最適化によって、低剛性化が図られている。
しかしながら、調光シートが透明状態であるときのその透明性の観点において、曲面に貼り付けることに適した特性を有する調光シートは未だ報告されていない。すなわち、曲面を有する透明板に調光シートを貼り付けた場合に、透明状態において調光シートおよび透明板の背後の光景の視認性を高めることが望まれている。
本発明は、調光シートの背後の視認性を高めることのできる調光シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決する調光シートは、液晶組成物を含む調光層と、前記調光層を挟む一対の透明電極層と、前記一対の透明電極層を挟む一対の透明支持層とを備える調光シートである。そして、JISK 7136:2000に準拠した測光器と積分球とを備える装置を用い、透明状態の前記調光シートを試験片として測定されるパラメータであって、前記積分球と前記試験片との距離が47mmとなるように前記積分球から離間させた前記試験片における、平行成分および拡散成分の透過率に対する拡散成分の透過率の百分率が離間ヘイズである。上記調光シートにおいて、前記試験片に対する入射光の入射方向と前記試験片の法線方向とのなす角が入射角であって、当該入射角が0°であるときと60°であるときとの前記離間ヘイズの差が10以下である。
上記構成であれば、観察者の正面領域と比較して、正面領域を囲む周縁領域が不明瞭に見えることが抑えられる。したがって、調光シートの背後の視認性を高めることができる。
上記構成において、前記調光層の厚さが20μm以下であり、前記調光シートの総厚が270μm以下であってもよい。
上記構成によれば、上記離間ヘイズの差が10以下である調光シートが好適に実現される。
上記構成において、前記入射角が0°であるときと60°であるときとの前記離間ヘイズの差が7以下であってもよい。
上記構成によれば、正面領域と比較して周縁領域が不明瞭に見えることがさらに抑えられる。したがって、例えば光が拡散しやすい環境下においても、調光シートの背後の視認性を高めることができる。
上記構成において、前記入射角が30°であるときと60°であるときとの前記離間ヘイズの差が8以下であってもよい。
上記構成によれば、入射角が60°の付近で離間ヘイズが急激に変化することが抑えられる。したがって、正面領域と周縁領域との明瞭さの差が観察者に認知され難くなる。それゆえ、観察者が違和感を覚え難くなる。
上記構成において、前記入射角が30°であるときと60°であるときとの前記離間ヘイズの差が7以下であってもよい。
上記構成によれば、入射角が60°の付近で離間ヘイズが急激に変化することがさらに抑えられる。したがって、例えば光が拡散しやすい環境下においても、正面領域と周縁領域との明瞭さの差が観察者に認知され難くなる。
上記構成において、前記透明支持層は、延伸フィルムから構成され、前記一対の透明支持層における延伸軸の延びる方向は互いに一致し、前記入射角が60°であるときの前記離間ヘイズを、前記透明支持層における延伸が最大の方向が前記入射方向に対して傾くように前記試験片を傾斜させることにより測定したとき、前記離間ヘイズの差が10以下であってもよい。
上記構成によれば、例えば延伸が最大の方向に沿って調光シートが曲がるように調光シートを曲面に貼り付けることで、調光シートの背後の視認性を的確に高めることができる。
上記構成において、前記入射角が60°であるときの前記離間ヘイズを、前記透明支持層における延伸が最小の方向が前記入射方向に対して傾くように前記試験片を傾斜させることにより測定したとき、前記離間ヘイズの差が10以下であってもよい。
上記構成によれば、延伸が最大の方向と最少の方向との双方について、離間ヘイズが小さく抑えられるため、正面領域と比較して周縁領域が不明瞭に見えることがその周方向の広い範囲で抑えられる。したがって、調光シートの背後の視認性をより高めることができる。
上記構成において、前記調光シートは、曲面に貼り付けられてもよい。
調光シートが曲面に貼り付けられる場合、平面に貼り付けられる場合と比較して、正面領域を囲む周縁領域にて、調光シートに対する入射光の入射方向と、調光層にて配向された液晶分子の長軸方向との差が大きくなるため、入射光が拡散しやすくなる。したがって、曲面に貼り付けられる場合に上記調光シートの各構成が適用されることによって、調光シートの背後の視認性を高める効果の有益性が高められる。
本発明によれば、調光シートの背後の視認性を高めることができる。
調光シートの一実施形態について、駆動電圧が印加されていない状態でのノーマルタイプの調光シートの構成を示す図。 調光シートの一実施形態について、駆動電圧が印加されている状態でのノーマルタイプの調光シートの構成を示す図。 調光シートの一実施形態について、駆動電圧が印加されていない状態でのリバースタイプの調光シートの構成を示す図。 調光シートの一実施形態について、駆動電圧が印加されている状態でのリバースタイプの調光シートの構成を示す図。 曲面に貼り付けられた調光シートの法線方向と背後の点からの光の入射方向とを示す図。 一実施形態の調光シートにおける離間ヘイズの測定方法を示す図。 試験例1〜試験例3の調光シートにおける離間ヘイズの測定結果を示す図。 (a)は、最大方向に沿った離間ヘイズの測定方法を示す図、(b)は、最小方向に沿った離間ヘイズの測定方法を示す図。 試験例3の調光シートにおける延伸の最大方向と最小方向とに沿った離間ヘイズの測定結果を示す図。 平面に貼り付けられた調光シートの法線方向と背後の点からの光の入射方向とを示す図。
図1〜図10を参照して、調光シートの一実施形態を説明する。
[調光シートの構成]
図1〜図4を参照して、調光シートの層構成を説明する。第1実施形態の調光シート10は、ノーマルタイプおよびリバースタイプのいずれかの構造を有する。図1および図2は、ノーマルタイプの調光シート10Nの断面構造を示す。
図1が示すように、ノーマルタイプの調光シート10Nは、調光層11と、一対の透明電極層である第1透明電極層12Aおよび第2透明電極層12Bと、一対の透明支持層である第1透明支持層13Aおよび第2透明支持層13Bとを備えている。第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとは、調光層11を挟み、第1透明支持層13Aと第2透明支持層13Bとは、調光層11および透明電極層12A,12Bを挟んでいる。第1透明支持層13Aは、第1透明電極層12Aを支持し、第2透明支持層13Bは、第2透明電極層12Bを支持している。
調光層11は、液晶組成物を含む。調光層11は、例えば、高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、カプセル型ネマティック液晶(NCAP:Nematic Curvilinear Aligned Phase)等から構成される。
図1〜図4は、調光層11が高分子ネットワーク型液晶から構成される形態を例示している。高分子ネットワーク型液晶は、3次元の網目状を有した高分子ネットワーク11Pを備え、高分子ネットワーク11Pが有する空隙であるドメイン11Dに液晶分子11Lを保持する。液晶分子11Lは、例えば、誘電率異方性が正であって、液晶分子11Lの長軸方向の誘電率が液晶分子11Lの短軸方向の誘電率よりも大きい。液晶分子11Lは、例えば、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ジオキサン系の液晶分子である。
なお、調光層11は、所定の色を有する色素であって、駆動電圧の大きさに応じた液晶分子11Lの運動を妨げない色素を含んでもよい。こうした構成によれば、所定の色を有する調光シート10Nが実現される。
第1透明電極層12Aおよび第2透明電極層12Bの各々は、導電性を有する透明な層である。透明電極層12A,12Bを構成する材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ(CNT)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を含むポリマー、Ag合金薄膜を含む多層膜等が挙げられる。
第1透明支持層13Aおよび第2透明支持層13Bの各々は、透明な基材である。透明支持層13A,13Bとしては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリサルホン、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース等からなる高分子フィルムが用いられる。なお、高分子フィルム以外にも、液体ガラスや薄板ガラス等のように、ロールトゥロールによる製造方法に適用できる可撓性を有する材料であれば、透明支持層13A,13Bの材料として採用できる。
透明電極層12A,12Bは、配線部を通じて駆動回路20に接続されている。駆動回路20は、電源から受ける電圧を駆動電圧に変換して透明電極層12A,12Bに印加する。なお、調光シート10と駆動回路20とは調光装置を構成する。図1は、透明電極層12A,12Bに駆動電圧が印加されていないときの調光シート10Nを示し、図2は、透明電極層12A,12Bに駆動電圧が印加されているときの調光シート10Nを示す。
図1が示すように、透明電極層12A,12Bに駆動電圧が印加されていないとき、液晶分子11Lの長軸方向の向きは不規則である。そのため、各方向から調光層11に入射した光は散乱し、調光シート10は濁って見える。このとき、正面から見て調光シート10Nは不透明である。
一方、図2が示すように、第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとの間に駆動電圧が印加されると、液晶分子11Lが配向され、液晶分子11Lの長軸方向が透明電極層12A,12B間の電界方向に沿った向きとなる。配向された液晶分子11Lの長軸方向は、調光シート10の最外面の法線方向DNに一致すると見做せる。これにより、主として法線方向DNに沿って調光層11に入射する光が調光層11を透過しやすくなる。このとき、正面から見て調光シート10Nは透明となる。
図3は、リバースタイプの調光シート10Rの断面構造を示す。リバースタイプの調光シート10Rは、調光層11、透明電極層12A,12B、透明支持層13A,13Bに加えて、調光層11を挟む一対の配向層である第1配向層14Aおよび第2配向層14Bを備えている。第1配向層14Aは、調光層11と第1透明電極層12Aとの間に位置し、第2配向層14Bは、調光層11と第2透明電極層12Bとの間に位置する。
配向層14A,14Bは、透明な垂直配向膜である。配向層14A,14Bを構成する材料としては、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレートが挙げられる。配向層14A,14Bを形成するための配向処理は、例えば、ラビング処理、偏光照射処理、微細加工処理である。
図3は、透明電極層12A,12Bに駆動電圧が印加されていないときの調光シート10Rを示し、図4は、透明電極層12A,12Bに駆動電圧が印加されているときの調光シート10Rを示す。
図3が示すように、配向層14A,14Bは、第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとが等電位であるときに、液晶分子11Lの長軸方向を、配向層14A,14Bの法線方向、すなわち、調光シート10の最外面の法線方向DNに沿わせるように、液晶分子11Lを配向する。したがって、リバースタイプにおいては、透明電極層12A,12Bに駆動電圧が印加されていないとき、正面から見て調光シート10Rは透明となる。
一方、図4が示すように、配向層14A,14Bは、透明電極層12A,12B間に電位差が生じているときに、液晶分子11Lの長軸方向を、法線方向DN以外の方向に変更可能にする。したがって、リバースタイプにおいては、透明電極層12A,12Bに駆動電圧が印加されているとき、正面から見て調光シート10Rは不透明になる。
ノーマルタイプ、および、リバースタイプのいずれにおいても、透明電極層12A,12Bに印加される駆動電圧の制御によって、調光シート10の法線方向DNに沿った光透過率は、透明と不透明とを構成する2段階に制御されてもよいし、3段階以上に制御されてもよい。本実施形態において、法線方向DNから調光シート10に入射する光についての可視光線透過率が最も高い状態が、調光シート10の透明状態である。
なお、調光シート10は、調光層11、透明電極層12A,12B、透明支持層13A,13B、配向層14A,14Bに加えて、他の層を備えていてもよい。他の層は、例えば、紫外線バリア機能を有する層等のように、調光層11や透明電極層12A,12Bを保護するための層や、調光シート10における光の透過性の制御に寄与する層や、調光シート10の強度や耐熱性等の特性を高める層等が挙げられる。
[曲面貼付時の視認性]
図5を参照して、調光シート10が曲面に取り付けられた状態での、調光シート10を介した光景の視認性について説明する。
図5が示すように、調光シート10は、曲面30Rを有する透明板30に取り付けられる。具体的には、調光シート10の最外面が、透明粘着層を介して、曲面30Rに貼り付けられる。曲面30Rは、可展面であってもよいし、三次元曲面であってもよい。
透明板30は、ガラスや樹脂等からなる透明な板状の部材である。透明板30は、単層構造を有していてもよいし、複層構造を有していてもよい。透明板30は、例えば、窓ガラスやガラス壁等の建材であってもよいし、自動車の窓ガラス等の車両用部材であってもよい。
以下では、観察者Obに対して凸となる曲率を有する曲面30Rに調光シート10が貼り付けられ、かつ、調光シート10が透明状態である場合を対象として、調光シート10を介した光景の視認性について説明する。例えば、車両の窓ガラスである透明板30に調光シート10が貼り付けられている場合に、観察者Obが、車両の外側から、窓を介して車両内を見る場合が想定される。なお、調光シート10は、透明板30に対して観察者Obの位置する側に位置してもよいし、透明板30に対して観察者Obとは反対側に位置していてもよい。
観察者Obが、調光シート10および透明板30を介して、これらの背後の点である注視点Pnを見る場合を想定する。注視点Pnから観察者Obの目に向かう方向が、光線方向DLである。そして、注視点Pnから光線方向DLに沿って直進した場合に調光シート10と交わる点が入射点Piであり、入射点Piにおける光線方向DLと法線方向DNとのなす角が光線角度θ(0°≦θ<90°)である。法線方向DNは、調光シート10の最外面を構成する曲面における入射点Piでの法線方向、すなわち、上記曲面に対する入射点Piでの接平面に直交する方向となる。
注視点Pnが、観察者Obの正面に位置する注視点Pn1であるとき、光線角度θは0°である。すなわち、光線方向DLと法線方向DNとが一致する。このとき、注視点Pn1から観察者Obに向けて進む光、すなわち、光線方向DLに沿って進む光は、配向された液晶分子の長軸方向に沿って進むことになるため、調光層11を透過しやすい。したがって、観察者Obには、調光シート10のなかで注視点Pn1に重なる部分が透明に見える。
一方、観察者Obが斜めの方向を見る場合のように、注視点Pnが、観察者Obの正面からずれた位置にある注視点Pn2であるとき、光線角度θは0°よりも大きくなる。すなわち、光線方向DLと法線方向DNとは互いに異なる。このとき、注視点Pn2から観察者Obに向けて進む光、すなわち、光線方向DLに沿って進む光は、配向された液晶分子の長軸方向とは異なる方向に沿って調光層11内を進むことになるため、長軸方向に沿って進むときと比較して、光が拡散しやすい。そのため、観察者Obには、調光シート10のなかで注視点Pn2に重なる部分が、注視点Pn1の場合と比較して、濁って見えやすい。
それゆえ、観察者Obの正面の注視点Pn1は鮮明に見える一方で、正面からずれた注視点Pn2は注視点Pn1よりも不鮮明に見える傾向がある。例えば、観察者Obの正面領域では、調光シート10および透明板30の背後の光景が明瞭に見える一方で、正面領域を囲む周縁領域では、当該光景がぼやけて見える。
ここで、光線角度θが大きいほど、注視点Pnに対応する部分での調光シート10の濁りは大きくなる。そして、調光シート10が、観察者Obに向かって突出するように反る曲面30Rに貼り付けられている場合、平面に貼り付けられている場合と比較して、同一の光線方向DLに対する光線角度θが大きくなる。それゆえ、観察者Obの視野内において上記周縁領域が不明瞭に見えやすく、結果として、調光シート10の背後の視認性が低くなりやすい。したがって、調光シート10が上記曲面30Rに貼り付けられている場合において、上記視認性を高めることは、重要な課題である。
本願の発明者は、透明状態の調光シート10について、光の入射角を異ならせた場合における光の拡散度合いを評価し、調光シート10を介した光景の視認性が良好となる上記拡散度合いの差の範囲を見出した。
[離間ヘイズの測定方法]
本実施形態では、上記拡散度合いを評価するパラメータとして、離間ヘイズHAを用いる。図6を参照して、離間ヘイズHAの測定方法を説明する。
図6が示すように、離間ヘイズHAは、積分球式の光線透過率測定装置である測定装置60を用い、調光シート10である試験片50を対象として測定されるパラメータであって、平行成分および拡散成分の透過率に対する拡散成分の透過率の百分率である。入射光Ioの入射方向に対する試験片50の傾斜角度を変更することによって、試験片50に対する入射光Ioの入射角αを変更して、離間ヘイズHAの測定を行う。
ここで、JIS K7136:2000には、積分球式の光線透過率測定装置を用いた曇り度の測定方法が規定されている。JISK 7136:2000では、積分球61における入口開口62を塞ぐように、試験片50を積分球61に接触させて配置する。これに対し、本実施形態の離間ヘイズHAの測定に際しては、試験片50を傾斜させる空間の確保のために、試験片50を積分球61から離間させて配置する。したがって、試験片50を透過する光線のうちの平行成分および拡散成分の透過率として測定される第1透過率Taは、JISK 7136:2000に従って測定される全光線透過率とは異なる。また、試験片50を透過する光線のうちの拡散成分の透過率として測定される第2透過率Tbは、JISK 7136:2000に従って測定される拡散透過率とは異なる。そして、離間ヘイズHAは、JISK 7136:2000に従って測定される曇り度とは異なる。
以下、離間ヘイズHAの測定方法を詳細に説明する。測定装置60としては、JISK 7136:2000に準拠した測光器と積分球とを備えるヘーズメーターが用いられる。光源67と積分球61とは、光源67から射出される入射光Ioが、積分球61の入口開口62に向けて直進するように配置される。光源67と積分球61の入口開口62との間に、平板状の試験片50が配置される。冶具の利用により、入射光Ioの入射方向に対する試験片50の傾斜角度が変更可能とされている。具体的には、試験片50は、光源67と入口開口62とを結ぶ直線である基準線A1と直交する回転軸を中心として、回転可能に配置されている。上記回転軸は、試験片50における厚さ方向の中央部に位置して試験片50に沿って延びる。図6は、紙面に垂直な方向を回転軸の延びる方向とした場合の試験片50の傾斜状態を示す。なお、基準線A1は、光源67から入口開口62に向けて直進する入射光Ioの経路上に位置する仮想線である。
基準線A1上において、試験片50と積分球61との間の離間距離Lは、47mmである。離間距離Lの始点は、試験片50における厚さ方向の中央部、すなわち、回転軸上の点である。離間距離Lの終点は、入口開口62を区画する積分球61の縁部を通り基準線A1と直交する平面と、基準線A1との交点である。
入射光Ioの入射方向、すなわち、基準線A1の延びる方向と、試験片50の法線方向とのなす角度が、入射角αである。入射角αで入射光Ioが試験片50に入射する状態は、先の図5において光線角度θ=αとなる注視点Pnからの光が調光シート10に入射する状態に相当する。
試験片50と積分球61とが離間していること以外は、離間ヘイズHAは、JISK 7136:2000に規定される曇り度の測定方法および計算式に従って求められる。すなわち、試験片50と積分球61とが離間していること以外は、第1透過率Taは、JISK 7136:2000に規定される全光線透過率の測定方法に従って測定され、第2透過率Tbは、JISK 7136:2000に規定される拡散透過率の測定方法に従って測定される。第1透過率Taは、入口開口62と対向する出口開口63を参照白板65で塞ぎ、入口開口62と出口開口63との間に位置する補償開口64に光トラップを配置して、図示しない受光器開口に設置された受光器によって測定した光束に基づき算出される。第2透過率Tbは、出口開口63に光トラップを配置し、補償開口64を参照白板65で塞いで、上記受光器によって測定した光束に基づき算出される。そして、第1透過率Taに対する第2透過率Tbの比を、測定装置60での拡散成分を考慮して補正した値の百分率が、離間ヘイズHAである。
[離間ヘイズの評価結果]
図7は、3種類の試験例について、上述の方法で測定した離間ヘイズHAと入射角αとの関係を近似曲線と共に示す。離間ヘイズHAの測定には、日本電色工業社製のヘーズメーター(NDH 7000SP)を用いた。
試験例1〜3は、いずれもノーマルタイプの調光シート10Nであって、高分子ネットワーク型液晶から構成された調光層11と、ITOから構成された透明電極層12A,12Bと、ポリエチレンテレフタレートフィルムである透明支持層13A,13Bとを備えている。試験例1〜3においては、調光シート10Nの構成層の厚さが互いに異なる。表1は、試験例1〜3における調光層11の厚さと調光シート10N全体の厚さである総厚とを示す。
表1が示すように、試験例1と比較して、試験例2,3は、調光層11が薄く、総厚も薄い。また、試験例2と試験例3とを比較すると、調光層11の厚さは同じであるが、総厚は試験例3の方が薄い。これは、試験例2よりも試験例3の方が、透明支持層13A,13Bが薄いことに起因する。
図7が示すように、いずれの試験例においても、入射角αが大きいほど、離間ヘイズHAが大きくなる傾向が認められる。これは、入射角αが大きいほど、入射光Ioの入射方向と、調光層11における配向された液晶分子の長軸方向との差が大きくなることに起因して、試験片50を透過する光線のうちの拡散成分が増加するためである。
なお、人間の水平視野のうち、両眼で見ることができる範囲は、正面から左右の各々に約60°の中心角を有する範囲とされる。また、人間の垂直視野は、正面から上方向に約60°、正面から下方向に約70°の中心角を有する範囲とされる。そこで、本実施形態では、入射角αが0°以上60°以下である場合について、離間ヘイズHAを測定している。
調光シート10を通常に使用する状態において、調光シート10における透明と不透明との差異を使用者が明確に識別できる、換言すれば、調光シート10の機能が発揮されていることを使用者が認識できる範囲は、使用者の正面から上下左右の各々に約60°の中心角を有する範囲が限度である。当該中心角が60°を超える領域における調光シート10の背後の空間の視認性は、調光シート10自体の透明性以外の光学作用、例えば、調光シート10の表裏や透明板30の表裏における反射等の影響を強く受けるようになってくる。したがって、調光シート10を空間の仕切りとして用いる場合には、上記中心角が60°以内の範囲で、透明状態における調光シート10の背後の視認性が良好であれば、実用上において求められる調光シート10の透明性が十分に確保できると言える。
本願の発明者は、各試験例について、入射角αが0°であるときと60°であるときとの離間ヘイズHAの差を算出するとともに、各試験例に対応する調光シート10を介した光景の視認性を評価した。入射角αが0°であることは、先の図5において観察者Obの正面の注視点Pn1からの光が調光シート10に入射する状態に相当する。表2に、算出した離間ヘイズHAの差および視認性の評価結果を示す。なお、離間ヘイズHAの差は百分率の差分で表している。
視認性の評価は、各試験例に対応する調光シート10を曲面に貼り付け、屋内の白色照明下と、屋外の太陽光下との各々において、観察者の正面領域を囲む周縁領域にて調光シート10の背後に見える光景の明瞭さを官能評価することにより行った。上記曲面は、観察者に向けて凸となる曲面である。周縁領域は、光線角度θが約60°となる領域である。表2においては、屋内および屋外のいずれにおいても周縁領域が明瞭である場合を「◎」、屋内において周縁領域が明瞭であって、屋外において屋内よりも周縁領域が不明瞭である場合を「〇」、屋内および屋外のいずれにおいても周縁領域が不明瞭である場合を「×」とした。
表2が示すように、0°と60°との離間ヘイズHAの差が10以下である試験例2および試験例3は、調光シート10を介した光景の視認性が良好であった。具体的には、屋内の白色照明下において、周縁領域での調光シート10の濁りは気にならず、周縁領域における調光シート10の背後の光景は、正面領域と同等に明瞭に見えた。
一方、0°と60°との離間ヘイズHAの差が10を大きく超える試験例1は、調光シート10を介した光景の視認性が不良であった。具体的には、屋内の白色照明下において、周縁領域での調光シート10の濁りが観察され、周縁領域における調光シート10の背後の光景は、正面領域と比較して顕著に不明瞭に見えた。
また、試験例2と試験例3とを比較すると、屋外の太陽光下、すなわち、入射光の光量多く光の散乱量が多くなりやすい環境下において、以下の差異が認められた。すなわち、試験例3においては、周縁領域での調光シート10の濁りは気にならず、周縁領域における調光シート10の背後の光景は、正面領域と同等に明瞭に見えた。一方、試験例2においては、周縁領域での調光シート10の濁りがやや認められ、周縁領域における調光シート10の背後の光景は、正面領域よりもやや不明瞭に見えた。なお、屋外の太陽光下において、試験例1では、周縁領域での調光シート10の濁りが試験例2よりも強く観察され、周縁領域における調光シート10の背後の光景は、正面領域と比較して顕著に不明瞭に見えた。
以上より、0°と60°との離間ヘイズHAの差が10以下であれば、周縁領域が不明瞭に見えることが抑えられるため、曲面への貼付時において調光シート10の背後の視認性を高めることができる。さらに、0°と60°との離間ヘイズHAの差が7以下であれば、光が拡散しやすい環境下であっても、周縁領域が不明瞭に見えることが抑えられるため、調光シート10の背後の視認性をより高めることができる。
図7に示したように、離間ヘイズHAは、入射角αが0°以上60°以下の範囲においては、入射角αが大きくなるに連れて大きくなる傾向を有する。それゆえ、入射角αが0°の場合と60°の場合との離間ヘイズHAの差が10以下であれば、光線角度θが0°以上60°以下である範囲の全般において、調光シート10の背後の光景が不明瞭に見えることが抑えられる。また、図7の試験例2および試験例3の結果から、入射角αが0°の場合と60°の場合との離間ヘイズHAの差が10以下であれば、入射角αが60°を超える場合に離間ヘイズHAが増大するとしてもその増大は緩やかであることが推測される。したがって、上記離間ヘイズHAの差が10以下であれば、観察者Obの視野内の広い領域において、調光シート10の背後の光景が不明瞭に見えることが抑えられることが示唆される。
試験例1〜3における上記離間ヘイズHAの差の違いは、調光層11の厚さおよび調光シート10の総厚に起因する。調光層11が薄いほど、調光シート10への入射光が調光層11内にて通る経路が短くなり、入射光の経路に存在する液晶分子の数が少なくなるため、入射角αが大きい場合でも光の拡散が抑えられる。
また、調光層11の厚さが一定であったとしても、調光シート10の総厚が薄いほど、入射光が調光シート10にて通る経路が短くなり、調光層11以外の層内での光の散乱が抑えられる。この場合、入射角αによらず調光シート10における光の拡散が抑えられ、結果として、上記離間ヘイズHAの差も小さくなる。
そして、試験例2および試験例3から、調光層11の厚さが20μm以下であり、調光シート10の総厚が270μm以下であれば、上記離間ヘイズHAの差が10以下になることが示された。
また、本願の発明者は、各試験例について、入射角αが30°であるときと60°であるときとの離間ヘイズHAの差を算出した。表3に、算出した離間ヘイズHAの差とともに、表2と同じ視認性の評価を示す。なお、離間ヘイズHAの差は百分率の差分で表している。
30°と60°との離間ヘイズHAの差が小さいほど、入射角αが0°から60°に向けて大きくなるに連れて、離間ヘイズHAが緩やかに上昇することを意味する。言い換えれば、入射角αが60°の付近で離間ヘイズHAが急激に上昇することが抑えられている。したがって、調光シート10の濁りが、周縁領域にて急激に大きくなることが抑えられるため、周縁領域にて調光シート10の濁りが認知されることが抑えられる。それゆえ、正面領域と周縁領域とにおける調光シート10の背後の光景の明瞭さの差異が、観察者に認知され難くなる。
こうした観点から、30°と60°との離間ヘイズHAの差は、8以下であることが好ましく、7以下であることがさらに好ましい。表3が示すように、30°と60°との離間ヘイズHAの差が7以下である試験例3では、屋内および屋外のいずれにおいても正面領域と周縁領域との明瞭さの差異が認知されていない。また、30°と60°との離間ヘイズHAの差が7を超え8以下である試験例2では、屋内においては、正面領域と周縁領域との明瞭さの差異が認知されていない。
また、調光シート10を介した光景の視認性が不良である試験例1では、試験例2および試験例3と比較して、入射角αが30°以上となる領域で離間ヘイズHAが顕著に増大している。したがって、入射角αが30°である場合と60°である場合との双方で離間ヘイズHAが小さく抑えられていれば、調光シート10を介した光景の視認性が良好になると言える。
[離間ヘイズと延伸方向との関係]
図8および図9を参照して、離間ヘイズHAと高分子フィルムである透明支持層13A,13Bの延伸方向との関係について説明する。以下では、第1透明支持層13Aおよび第2透明支持層13Bとして、一軸延伸フィルムまたは2軸延伸フィルムが用いられる場合について説明する。一軸延伸フィルムが用いられる場合、第1透明支持層13Aと第2透明支持層13Bとは、延伸軸の延びる方向が互いに一致するように積層されて、調光シート10を構成している。二軸延伸フィルムが用いられる場合、第1透明支持層13Aと第2透明支持層13Bとは、縦延伸軸の延びる方向が互いに一致し、横延伸軸の延びる方向が互いに一致するように積層されて、調光シート10を構成している。
延伸フィルムには、延伸が最大である最大方向Mxと、延伸が最小である最小方向Mnとが規定される。一軸延伸フィルムの場合、最大方向Mxは延伸軸に沿った方向であり、最小方向Mnは延伸軸と直交する方向である。二軸延伸フィルムの場合、縦延伸軸に沿った延伸の程度と、横延伸軸の延伸の程度とに応じて、最大方向Mxと最小方向Mnとが決まる。
本願の発明者は、最大方向Mxに沿って離間ヘイズHAを測定した場合と、最小方向Mnに沿って離間ヘイズHAを測定した場合とで、離間ヘイズHAに差が生じるかを検証した。
具体的には、図8(a)が示すように、最大方向Mxに沿った離間ヘイズHAとして、上記試験例3に対応する試験片50を用い、最大方向Mxが入射光Ioの入射方向に対して傾くように試験片50を傾斜させて、離間ヘイズHAを測定した。すなわち、試験片50に沿った平面内において最大方向Mxに直交する方向を軸方向として試験片50を回転させることにより、入射方向に対する試験片50の傾斜角度を変更して、離間ヘイズHAを測定した。このように測定された離間ヘイズHAは、先の図5において、光線角度θを、入射点Piが最大方向Mxに沿って並ぶように変化させた場合の離間ヘイズHAに相当する。
また、図8(b)が示すように、最小方向Mnに沿った離間ヘイズHAとして、上記試験例3に対応する試験片50を用い、最小方向Mnが入射光Ioの入射方向に対して傾くように、試験片50を傾斜させて、離間ヘイズHAを測定した。すなわち、試験片50に沿った平面内において最小方向Mnに直交する方向を軸方向として試験片50を回転させることにより、入射方向に対する試験片50の傾斜角度を変更して、離間ヘイズHAを測定した。このように測定された離間ヘイズHAは、先の図5において、光線角度θを、入射点Piが最小方向Mnに沿って並ぶように変化させた場合の離間ヘイズHAに相当する。なお、試験例3は、透明支持層13A、13Bとして一軸延伸フィルムを用いている。
図9は、最大方向Mxに沿った離間ヘイズHAの測定結果と、最小方向Mnに沿った離間ヘイズHAの測定結果とを近似曲線と共に示す。また、最大方向Mxに沿った場合と最小方向Mnに沿った場合との各々について、入射角αが0°であるときと60°であるときとの離間ヘイズHAの差を算出した。この算出結果を表4に示す。
図9が示すように、最大方向Mxに沿った場合と最小方向Mnに沿った場合とで、各入射角αでの離間ヘイズHAには有意な差は認められない。また、表4が示すように、最大方向Mxに沿った場合と最小方向Mnに沿った場合とで、0°と60°との離間ヘイズHAの差に有意な違いは認められない。すなわち、調光シート10を介した光景の視認性が特に良好であった試験例3においては、最大方向Mxに沿った場合と最小方向Mnに沿った場合とのいずれについても、0°と60°との離間ヘイズHAの差は7以下である。
なお、一軸延伸フィルムを用いた場合において最大方向Mxと最小方向Mnとで離間ヘイズHAに差が認められないことから、二軸延伸フィルムを用いた場合についても、方向による離間ヘイズHAには差が認められないことが示唆される。
以上の結果より、調光シート10の最外面に沿ったいずれの方向についても、離間ヘイズHAは同様に変化することが示唆される。すなわち、調光シート10を介した光景の視認性が良好である場合、調光シート10の最外面に沿ったいずれの方向についても、入射角αが0°と60°との離間ヘイズHAの差は10以下、好ましくは7以下であり、入射角αが30°と60°との離間ヘイズHAの差は8以下、好ましくは7以下であることが示唆される。
こうした構成によれば、三次元曲面のように、複数の方向に沿って曲がる曲面に調光シート10を取り付けた場合に、方向によって調光シート10の背後の光景の明瞭さに違いが生じることが抑えられる。すなわち、周縁領域における周方向の全体で、調光シート10の背後の光景が不明瞭に見えることが抑えられることから、視認性の的確な向上が可能である。
また、曲面への調光シート10の取り付けに際して、透明支持層13A,13Bの延伸方向と曲面が曲がる方向との関係を考慮せずとも、良好な視認性を確保可能であるため、調光シート10の取り付けに際しての制約も小さくなる。
以上説明したように、本実施形態の調光シートによれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)入射角αが0°であるときと60°であるときとの離間ヘイズHAの差が10以下であるため、観察者Obの正面領域と比較して周縁領域が不明瞭に見えることが抑えられる。したがって、調光シート10の背後の視認性を高めることができる。また、上記離間ヘイズの差が7以下であれば、正面領域と比較して周縁領域が不明瞭に見えることがさらに抑えられる。したがって、例えば光が拡散しやすい環境下においても、調光シート10の背後の視認性を高めることができる。
(2)調光層11の厚さが20μm以下であり、調光シート10の総厚が270μm以下であれば、上記離間ヘイズHAの差が10以下である調光シート10が好適に実現される。
(3)入射角αが30°であるときと60°であるときとの離間ヘイズHAの差が8以下であれば、入射角αが60°の付近で離間ヘイズHAが急激に変化することが抑えられる。したがって、正面領域と周縁領域との明瞭さの差が観察者Obに認知され難くなる。それゆえ、観察者Obが違和感を覚え難くなる。また、上記離間ヘイズの差が7以下であれば、例えば光が拡散しやすい環境下においても、正面領域と周縁領域との明瞭さの差が観察者Obに認知され難くなる。
(4)最大方向Mxおよび最小方向Mnの各々に沿って、入射角αが0°であるときと60°であるときとの離間ヘイズHAの差が10以下であるため、正面領域と比較して周縁領域が不明瞭に見えることがその周方向の広い範囲で抑えられる。したがって、調光シート10の背後の視認性をより高めることができる。
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。また、以下の各変形例は、組み合わせて実施してもよい。
・上記実施形態では、調光シート10が曲面30Rに取り付けられる場合を対象としたが、調光シート10は平面に取り付けられてもよい。
調光シートが曲面に貼り付けられる場合であれ、平面に貼り付けられる場合であれ、透明状態において調光シートおよび透明板の背後の光景の視認性を高めることが望まれることは共通する。
図10が示すように、調光シート15が、透明板31が有する平面31Sに貼り付けられる場合、曲面に貼り付けられる場合と比較して、同一の光線方向DLに対する光線角度θは小さくなる。しかしながら、観察者Obの正面からずれた注視点Pn2において光線角度θが0°より大きくなることは変わらず、正面の注視点Pn1よりも注視点Pn2は不鮮明に見え得る。特に、調光シートが大面積を有する場合や、調光シートに近接した位置からその背後を見る場合のように、観察者Obの視野の大部分に調光シートが位置する場合には、視野の縁部において、調光シートの背後の光景が不明瞭に見えやすい。
したがって、上記実施形態の調光シート10の構成を調光シート15に適用することで、調光シート15が平面に取り付けられる場合に、周縁領域が不明瞭に見えることが抑えられるため、調光シート15の背後の視認性を高めることができる。
上述のように、人間の水平視野のうち、両眼で見ることができる範囲は、正面から左右の各々に約60°の中心角を有する範囲とされる。また、人間の垂直視野は、正面から上方向に約60°、正面から下方向に約70°の中心角を有する範囲とされる。図10が示すように、調光シート15が平面に取り付けられる場合、観察者Obの正面方向と光線方向DLとのなす角である視野角βは、光線角度θに一致する。
したがって、入射角αが0°の場合と60°の場合との離間ヘイズHAの差が10以下であれば、視野角βが60°以下の範囲の全体において、調光シート15の背後の光景が不明瞭に見えることが抑えられる。すなわち、観察者Obが正面を向いている場合に、両目で視認することにより立体的に光景を把握できる範囲のほぼ全域において、調光シート15の背後の光景が不明瞭に見えることが抑えられる。それゆえ、調光シート15の背後の視認性を的確な範囲で高めることができる。
・離間ヘイズHAと透明支持層13A,13Bの延伸方向との関係は、上記実施形態とは異なっていてもよい。例えば、特定の方向に沿って測定された離間ヘイズHAについて、入射角αが0°の場合と60°の場合との離間ヘイズHAの差が10以下であるとき、上記特定の方向に沿って曲がるように調光シート10を曲面に貼り付けることで、調光シート10の背後の視認性を的確に高めることができる。
・上記実施形態における離間ヘイズHAの評価は、高分子ネットワーク型液晶から構成される調光層11を備える調光シート10を対象として行ったが、高分子ネットワーク型液晶とは異なる構成の調光層11を備える調光シートにも、上記実施形態の構成は適用可能である。液晶組成物を含む調光層11を利用する調光シートにおいては、液晶の種類によらず、液晶分子の長軸方向を調光シートの法線方向に沿わせるように配向させることで透明状態を作り出しているため、図5および図10を用いて説明した原理と同様の原理で、周縁領域が不明瞭になりやすいという課題が生じる。離間ヘイズHAは、調光層11の液晶の構成や調光シートの層構成に関わりなく、調光シートにおける光の拡散度合いを評価するために用いることができる指標である。
DL…光線方向、DN…法線方向、HA…離間ヘイズ、Ob…観察者、Mx…最大方向、Mn…最小方向、Io…入射光、θ…光線角度、α…入射角、10,10N,10R,15…調光シート、11…調光層、12A,12B…透明電極層、13A,13b…透明支持層、14A,14B…配向層、20…駆動回路、30,31…透明板、30R…曲面、30S…平面、50…試験片、60…測定装置、61…積分球。

Claims (8)

  1. 液晶組成物を含む調光層と、前記調光層を挟む一対の透明電極層と、前記一対の透明電極層を挟む一対の透明支持層とを備える調光シートであって、
    JIS K7136:2000に準拠した測光器と積分球とを備える装置を用い、透明状態の前記調光シートを試験片として測定されるパラメータであって、前記積分球と前記試験片との距離が47mmとなるように前記積分球から離間させた前記試験片における、平行成分および拡散成分の透過率に対する拡散成分の透過率の百分率が離間ヘイズであり、
    前記試験片に対する入射光の入射方向と前記試験片の法線方向とのなす角が入射角であって、当該入射角が0°であるときと60°であるときとの前記離間ヘイズの差が10以下である
    調光シート。
  2. 前記調光層の厚さが20μm以下であり、
    前記調光シートの総厚が270μm以下である
    請求項1に記載の調光シート。
  3. 前記入射角が0°であるときと60°であるときとの前記離間ヘイズの差が7以下である
    請求項1または2に記載の調光シート。
  4. 前記入射角が30°であるときと60°であるときとの前記離間ヘイズの差が8以下である
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の調光シート。
  5. 前記入射角が30°であるときと60°であるときとの前記離間ヘイズの差が7以下である
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の調光シート。
  6. 前記透明支持層は、延伸フィルムから構成され、
    前記一対の透明支持層における延伸軸の延びる方向は互いに一致し、
    前記入射角が60°であるときの前記離間ヘイズを、前記透明支持層における延伸が最大の方向が前記入射方向に対して傾くように前記試験片を傾斜させることにより測定したとき、前記離間ヘイズの差が10以下である
    請求項1に記載の調光シート。
  7. 前記入射角が60°であるときの前記離間ヘイズを、前記透明支持層における延伸が最小の方向が前記入射方向に対して傾くように前記試験片を傾斜させることにより測定したとき、前記離間ヘイズの差が10以下である
    請求項6に記載の調光シート。
  8. 前記調光シートは、曲面に貼り付けられる
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の調光シート。
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