JP2020051758A - ヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子を用いたアミノ酸の色調変化による選択的検出と不斉識別 - Google Patents

ヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子を用いたアミノ酸の色調変化による選択的検出と不斉識別 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の金ナノ粒子は、アミノ酸の選択的検出と不斉識別ができないという問題があった。【解決手段】本発明は、ヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子を含む、アミノ酸検出剤であって、上記ヒドロキシ酸は、ヒドロキシ酸又はその塩であって、上記ヒドロキシ酸は、不斉炭素中心を有し、上記アミノ酸は、その側鎖にNH3+基又はSH基を有する、アミノ酸検出剤に関するものである。【選択図】図1

Description

本発明は、金ナノ粒子、特にヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子及びそれを用いた色調変化によるアミノ酸の選択的検出及び不斉識別に関する。
金ナノ粒子は、可視光領域における特異な光学特性に基づくバイオセンサやバイオイメージング等への応用が期待されているナノ材料である。これらの中では、金ナノ粒子と一定のバイオ物質との選択的相互作用が鍵となっており、その相互作用に伴った金ナノ粒子界面の物性変化や金ナノ粒子自体の分散―凝集平衡の偏りによって変色や発色等が活用される。
金ナノ粒子が生体分子に対する選択性を獲得するにはナノ粒子界面の有機分子による機能化が必須であるが、この際に機能性分子の煩雑な分子設計や合成、生体適合性の低下、金ナノ粒子界面の乱れによる光学特性の劣化等が惹起される場合が多い。
金ナノ粒子は、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)による特徴的光吸収を有するため赤紫色を呈し、これが様々なプローブとして有効である。従来、金ナノ粒子は柑橘類に含まれるクエン酸の塩を利用して合成されることが一般的である(トゥルケヴィッチ法:非特許文献1)。
Discuss. Faraday Soc. 1951, 11, 55
しかしながら、非特許文献1に開示されるトゥルケヴィッチ法により得られた金ナノ粒子は、キラル炭素を持たないクエン酸塩により製造されるため、バイオ物質のほとんどがキラル分子であることを考慮すると、ライフサイエンス研究でのセンサ材料としては劣る。すなわち、トゥルケヴィッチ法により得られた金ナノ粒子は、キラル物質の塊である生体においてキラル情報を得ることができないという致命的な課題がある。
本発明者達は、クエン酸塩の代わりに、不斉炭素中心を有するヒドロキシ酸塩を用いて製造したヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子がアミノ酸を選択的に検出すること及びアミノ酸の不斉識別が可能であることを発見し、本発明は完成された。
本発明は、
ヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子を含む、アミノ酸検出剤であって、
上記ヒドロキシ酸は、ヒドロキシ酸又はその塩であって、
上記ヒドロキシ酸は、不斉炭素中心を有し、
上記アミノ酸は、その側鎖にNH3 +基又はSH基を有する、アミノ酸検出剤
に関するものである。
また、本発明は、
アミノ酸を検出する方法であって、上記方法は、
上記アミノ酸検出剤を含む溶液の光学的状態を測定する第一測定ステップと、
上記溶液とサンプルとを混合する混合ステップと、
上記サンプルとの混合後の上記溶液の光学的状態を測定する第二測定ステップと
上記サンプルとの混合前後の上記溶液の光学的状態を比較する比較ステップと、を有し、
上記アミノ酸は、その側鎖にNH3 +基又はSH基を有する、方法
に関するものである。
また、本発明は、
アミノ酸の不斉を識別する方法であって、上記方法は、
リファレンス中に含まれる基準アミノ酸の濃度と同じ濃度の上記アミノ酸を含むように試験対象を調整する調整ステップと、
上記アミノ酸検出剤を含む溶液と上記試験対象とを混合する混合ステップと、
上記試験対象との混合後の上記溶液の光学的状態を測定する測定ステップと、
上記試験対象との混合後の上記溶液と上記リファレンスの光学的状態を比較するステップと、を有し、
上記アミノ酸及び基準アミノ酸は、その側鎖にNH3 +基又はSH基を有する、方法
に関するものである。
また、本発明は、
上記アミノ酸検出剤の製造方法であって、上記製造方法は、
テトラクロロ金(III)酸水溶液を80℃から沸騰する温度まで加熱する加熱工程と、
加熱された上記テトラクロロ金(III)酸水溶液とヒドロキシ酸又はその塩とを撹拌しながら混合する混合工程と、を有し、
上記テトラクロロ金(III)酸水溶液は、テトラクロロ金(III)酸と水との水溶液であり、
上記混合工程において、上記ヒドロキシ酸は、1モルのテトラクロロ金(III)酸に対して、1から2モルの割合で混合される、製造方法
に関するものである。
認識対象分子であるアミノ酸は、キラル分子であり、生体内ではタンパク質や酵素のユニットとして生命機能に重要な役割を担っている。アミノ酸の古典的な検出方法にはニンヒドリン反応やキサントプロテイン反応等があるが、危険な薬品を使用や不斉性を識別できないなどの欠点がある。また近代的なアミノ酸検出法では、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を利用する手法があるが、前処理操作が複雑であることに加えて高価な装置が必須である。また、不斉性を識別するには、非常に高額な消耗品のカラムが必要である。本発明では、上記金ナノ粒子コロイド分散液にアミノ酸を混ぜるだけで色調変化によりアミノ酸の選択的検出が可能であり、高額な設備も必要としない。更に、本発明にかかる金ナノ粒子は、不斉炭素中心を有するヒドロキシ酸(例えば、酒石酸)由来の不斉情報が転写されているため、アミノ酸の不斉性にも色調変化により検出が可能である。
図1は、酒石酸還元金ナノ粒子(TAAuNPs)の製造の概要を示している。 図2は、TAAuNPs溶液の吸収スペクトルを示している。 図3は、TAAuNPs溶液の動的光散乱(DLS)の測定の結果を示している。 図4は、TAAuNPsの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示している。 図5は、TAAuNPsの赤外吸収スペクトルを示している。 図6は、20μLの5 mM L-リシン(終濃度100 μM)が添加されたTAAuNPの吸収スペクトルの経時変化を示すグラフである。 図7(A)は、L-リシンを添加する前のTAAuNPs溶液の色(赤紫色)を示す写真である。図7(B)は、L-リシン添加の80分後のTAAuNPs溶液(終濃度100 μM)の色(青紫色)を示す写真である。 図8は、50 μLの5 mM L-リシンを添加した80分後のTAAuNPs溶液(終濃度100 μM)のDLS測定の結果を示している。 図9は、50 μLの5 mM L-リシンを添加した80分後の溶液(終濃度100 μM)中のTAAuNPsのSEM写真を示している。 図10は、20μLの5 mM L-システイン(終濃度100 μM)が添加されたTAAuNPの吸収スペクトルの経時変化を示すグラフである。 図11(A)は、L-システインを添加する前のTAAuNPs溶液の色(赤紫色)を示す写真である。図11(B)は、L-システイン添加の80分後のTAAuNPs溶液(終濃度100 μM)の色(青紫色)を示す写真である。 図12は、50 μLの5 mM L-システインを添加した80分後のTAAuNPs溶液(終濃度100 μM)のDLS測定の結果を示している。 図13は、50 μLの5 mM L-システインを添加した80分後の溶液(終濃度100 μM)中のTAAuNPsのSEM写真を示している。 図14は、20μLの5 mM L-グルタミン酸(終濃度100 μM)が添加されたTAAuNPの吸収スペクトルの経時変化を示すグラフである。 図15(A)は、L-グルタミン酸を添加する前のTAAuNPs溶液の色(赤紫色)を示す写真である。図15(B)は、L-グルタミン酸添加の80分後のTAAuNPs溶液(終濃度100 μM)の色(赤紫色)を示す写真である。 図16は、50 μLの5 mM L-グルタミン酸を添加した80分後のTAAuNPs溶液(終濃度100 μM)のDLS測定の結果を示している。 図17は、50 μLの5 mM L-グルタミン酸を添加した80分後の溶液(終濃度100 μM)中のTAAuNPsのSEM写真を示している。 図18は、20μLの5 mM L-アルギニン(終濃度100 μM)が添加されたTAAuNPの吸収スペクトルの経時変化を示すグラフである。 図19は、20μLの5 mM L-ヒスチジン(終濃度100 μM)が添加されたTAAuNPの吸収スペクトルの経時変化を示すグラフである。 図20は、20μLの5 mM L-アスパラギン酸(終濃度100 μM)が添加されたTAAuNPの吸収スペクトルの経時変化を示すグラフである。 図21は、20μLの5 mM L-フェニルアラニン(終濃度100 μM)が添加されたTAAuNPの吸収スペクトルの経時変化を示すグラフである。 図22は、20μLの5 mM L-トレオニン(終濃度100 μM)が添加されたTAAuNPの吸収スペクトルの経時変化を示すグラフである。 図23は、20μLのミリQが添加されたTAAuNPsの吸収スペクトルの経時変化を示すグラフである。 図24は、アミノ酸(L-リシン、L-システイン、L-グルタミン酸、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-アスパラギン酸、L-フェニルアラニン又はL-トレオニン;終濃度100 μM)が添加されたTAAuNPs溶液とmilliQが添加されたTAAuNPs溶液における533 nmの吸光度差の時間経過のグラフを示している。 図25(A)は、2μLの5 mM L-リシン溶液(終濃度10μM)における吸収スペクトルの変化を示している。図25(B)は、5μLの5 mM L-リシン溶液(終濃度25μM)における吸収スペクトルの変化を示している。図25(C)は、10μLの5 mM L-リシン溶液(終濃度50μM)における吸収スペクトルの変化を示している。 図26(A)は、2μLの5 mM D-リシン溶液(終濃度10μM)における吸収スペクトルの変化を示している。図26(B)は、5μLの5 mM D-リシン溶液(終濃度25μM)における吸収スペクトルの変化を示している。図26(C)は、10μLの5 mM D-リシン溶液(終濃度50μM)における吸収スペクトルの変化を示している。 図27は、L-リシン又はD-リシンを含むTAAuNPs溶液(それぞれ終濃度25μM)における、波長533nmの吸光度差の時間的変化に関するグラフを示している。 図28(A)は、L-リシン又はD-リシンを添加する前のTAAuNPs溶液の色(赤紫色)を示す写真である。図28(B)は、L-リシン添加の80分後のTAAuNPs溶液(終濃度25μM)の色(赤紫色)を示す写真である。図28(C)は、D-リシン添加の80分後のTAAuNPs溶液(終濃度25μM)の色(青紫色)を示す写真である。 図29(A)は、L-リシン添加の80分後のTAAuNPs溶液(終濃度25μM)のDLSの測定の結果を示している。図29(B)は、D-リシン添加の80分後のTAAuNPs溶液(終濃度25μM)のDLSの測定の結果を示している。 図30(A)は、L-リシン添加の80分後の溶液(終濃度25μM)中のTAAuNPsのSEM写真を示している。図30(B)は、D-リシン添加の80分後の溶液(終濃度25μM)中のTAAuNPsのSEM写真を示している。 図31(A)は、2μLの5 mM L-システイン溶液(終濃度0.2μM)における吸収スペクトルの変化を示している。図31(B)は、5μLの5 mM L-システイン溶液(終濃度0.5μM)における吸収スペクトルの変化を示している。図31(C)は、7.6μLの5 mM L-システイン溶液(終濃度0.75μM)における吸収スペクトルの変化を示している。 図32(A)は、2μLの5 mM D-システイン溶液(終濃度0.2μM)における吸収スペクトルの変化を示している。図32(B)は、5μLの5 mM D-システイン溶液(終濃度0.5μM)における吸収スペクトルの変化を示している。図32(C)は、10μLの5 mM D-システイン溶液(終濃度0.75μM)における吸収スペクトルの変化を示している。 図33は、L-システイン又はD-システインを含むTAAuNPs溶液(それぞれ終濃度0.5μM)における、波長533nmの吸光度差の時間的変化に関するグラフを示している。 図34(A)は、L-システイン又はD-システインを添加する前のTAAuNPs溶液の色(赤紫色)を示す写真である。図34(B)は、L-システイン添加の80分後のTAAuNPs溶液(終濃度0.5μM)の色(青紫色)を示す写真である。図34(C)は、D-システイン添加の80分後のTAAuNPs溶液(終濃度0.5μM)の色(赤紫色)を示す写真である。 図35(A)は、L-システイン添加の80分後のTAAuNPs溶液(終濃度0.5 μM)のDLSの測定の結果を示している。図35(B)は、D-システイン添加の80分後のTAAuNPs溶液(終濃度0.5 μM)のDLSの測定の結果を示している。 図36(A)は、L-システイン添加の80分後の溶液(終濃度0.5 μM)中のTAAuNPsのSEM写真を示している。図36(B)は、D-システイン添加の80分後の溶液(終濃度0.5 μM)中のTAAuNPsのSEM写真を示している。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、例示であって、本発明の範囲は、以下の実施形態で示すものに限定されない。なお、同様な内容については繰り返しの煩雑をさけるために、摘示説明を省略する。
定義
便宜上、本願で使用される特定の用語は、ここに集めている。別途規定されない限り、本願で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。文脈で別途明記されない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の言及を含む。
本発明で示す数値範囲及びパラメーターは、近似値であるが、特定の実施例に示されている数値は可能な限り正確に記載している。しかしながら、いずれの数値も本質的に、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含んでいる。また、本明細書で使用する「約」という用語は、一般に、所与の値又は範囲の10%、5%、1%又は0.5%以内を意味する。或いは、用語「約」は、当業者が考慮する場合、許容可能な標準誤差内にあることを意味する。
実施形態の詳細な説明
1.ヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子を含むアミノ酸検出剤
本実施形態において、
ヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子を含む、アミノ酸検出剤であって、
上記ヒドロキシ酸は、ヒドロキシ酸又はその塩であって、
上記ヒドロキシ酸は、不斉炭素中心を有し、
上記アミノ酸は、その側鎖にNH3 +基又はSH基を有する、アミノ酸検出剤
が提供される。図1は、本発明にかかる金ナノ粒子(AuNPs)の例示的な製造方法を模式的に表している。図1において、金ナノ粒子(AuNPs)は、沸騰状態のテトラクロロ金(III)酸(HAuCl4)にL-酒石酸(L-酒石酸2ナトリウム)を還元剤として撹拌しながら加えて所定の時間(例えば25分から50分間)沸騰状態を維持することで、HAuCl4がL-酒石酸によって還元されて製造される。還元剤として酒石酸(又はその塩)を用いて製造されたAuNPsは、酒石酸還元型金ナノ粒子(TAAuNPs)と称する。ヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子は、不斉炭素中心を有するヒドロキシ酸(又はその塩)を還元剤として用いて製造されたAuNPsを指す。
図1において、不斉炭素中心を有するヒドロキシ酸(ヒドロキシ酸塩)としてL-酒石酸(L-酒石酸2ナトリウム)を用いて酒石酸還元型金ナノ粒子(TAAuNPs)を製造しているが、上記ヒドロキシ酸はL-酒石酸に限定されるものではない。不斉炭素中心を有するヒドロキシ酸は、例えば、不斉炭素中心を有する脂肪族ヒドロキシ酸である。ある実施形態において、不斉炭素中心を有する脂肪族ヒドロキシ酸は、3から6つの炭素原子を有する。不斉炭素中心を有する脂肪族ヒドロキシ酸は、例えば、乳酸、グリセリン酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸及びパントイン酸を挙げることができるが、これらに限定されるものでない。ある実施形態において、不斉炭素中心を有するヒドロキシ酸は、少なくとも2つのカルボキシ基を有する。別の実施形態において、不斉炭素中心を有するヒドロキシ酸は、酒石酸である。更に別の実施形態において、酒石酸は、L-酒石酸である。
上記ヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子は、それを含む溶液の吸収スペクトル測定において500から600nm(例えば、533nm付近)にピーク吸収帯を有する。上記ヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子の粒径分布を、それを含む溶液の動的光散乱(DLS)測定において測定すると、粒径20nmから30nm(例えば、23nmから28nm)の間にピークが存在する。平均粒径は、27.6±7.6 nmであった。上記ヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子の平均粒径は、例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35nmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。ここで、本発明における平均粒径とは、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径(D50)をいい、上記ヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子の平均粒径とは、DLSで得られた値を意味する。
本アミノ酸検出剤は、側鎖にNH3 +基又はSH基を有するアミノ酸を検出することができる。用語「アミノ酸検出」又はこれと同義の表現は、上記アミノ酸の存在確認、及び/又はかかるアミノ酸の不斉識別(L体又はD体の識別)を意味する。ある実施形態において、上記アミノ酸検出剤は、上記アミノ酸の存在を確認するために用いられる。別の実施形態において上記アミノ酸検出剤は、上記アミノ酸の不斉を識別するために用いられる。更に別の実施形態において、上記アミノ酸検出剤は、既知の濃度の上記アミノ酸を含む溶液を用いることで、濃度未知の上記アミノ酸を含む溶液のための検量性作成に用いられる。ある実施形態において、側鎖にNH3 +基又はSH基を有するアミノ酸は、L体であってよく、D体であってもよい。別の実施形態において、上記アミノ酸は、リシン又はシステインである。上記リシンは、L-リシンであってもよく、D-リシンであってもよい。上記システインは、L-システインであってもよく、D-システインであってもよい。上記アミノ酸検出剤は、好ましくは液体であり、上記アミノ酸を検出することができるのであれば固体(粉末等)であってもよい。
2.本アミノ酸検出剤を用いたアミノ酸を検出する方法
本実施形態において、
アミノ酸を検出する方法であって、上記方法は、
上記アミノ酸検出剤を含む溶液の光学的状態を測定する第一測定ステップと、
上記溶液とサンプルとを混合する混合ステップと、
上記サンプルとの混合後の上記溶液の光学的状態を測定する第二測定ステップと
上記サンプルとの混合前後の上記溶液の光学的状態を比較する比較ステップと、を有し、
上記アミノ酸は、その側鎖にNH3 +基又はSH基を有する、方法
が提供される。
上記アミノ酸検出剤を含む溶液は、特に限定するものではないが、上記ヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子が製造された際の溶液のままであってもよく、製造後に希釈又は濃縮された溶液であってもよい。
上記サンプルは、側鎖にNH3 +基又はSH基を有するアミノ酸を含むサンプルのほかに、上記アミノ酸が含まれているか不明なサンプルであってもよい。サンプルをネガティブコントロールとして用いる場合は、上記サンプルは、上記アミノ酸が含まれていなくてもよい。上記サンプルは、液体であってもよく、上記アミノ酸検出剤を含む溶液中で溶解するのであれば固体(粉末等)であってもよい。
光学的状態として、例えば、色的状態、光散乱状態、吸光スペクトル的状態及び巨視的状態を挙げることができる。「溶液の色的状態を測定」とは、目視又はコンピューター処理により溶液の色を定性的又は定量的に測定することを含む。「溶液の光散乱状態を測定」とは、光学的機器により溶液の動的光散乱(DLS)を定性的又は定量的に測定することを含む。「溶液の吸光スペクトル的状態を測定」とは、光学的機器により溶液の吸光スペクトル又は赤外吸収スペクトルを定性的又は定量的に測定することを含む。「溶液の巨視的状態を測定」とは、走査型電子顕微鏡により溶液中の金ナノ粒子の状態を定性的又は定量的に測定(例えば、凝集の有無を測定)することを含む。
第一測定ステップと第二測定ステップにおいては、複数の光学的状態を測定してもよいが、それぞれ同一の光学的状態が測定される。例えば、第一測定ステップにおいて上記溶液の色的状態を測定した場合は、第二測定ステップにおいては、上記溶液の色的状態を測定する。
「光学的状態を比較」することは、定性的に比較してもよく、定量的に比較してもよい。
ある実施形態において、上記方法は、上記サンプルとの混合前後において上記溶液の上記光学的状態に変化が見られた場合、上記アミノ酸が検出されたと判断する判断ステップを更に有する。第一測定ステップにおいて観察されるピーク吸収帯(500から600nm(例:533nm付近))が、第二測定ステップにおいてピーク吸収帯が長波長側にシフトした場合、上記アミノ酸が検出されたと判断してもよい。また、第一測定ステップにおいて観察される溶液の色(赤紫色)が、第二測定ステップにおいて変化した場合(例えば、青紫色)、上記アミノ酸が検出されたと判断してもよい。更に、第一測定ステップにおいて観察される溶液中の上記金ナノ粒子の粒径(例えば、平均粒径)が、第二測定ステップにおいて増加した場合、上記アミノ酸が検出されたと判断してもよい。また、第一測定ステップにおいて観察される溶液中の上記金ナノ粒子の状態が、第二測定ステップにおいて変化した(例えば、凝集した)場合、上記アミノ酸が検出されたと判断してもよい。
3.本アミノ酸検出剤を用いたアミノ酸の不斉を識別する方法
本実施形態において、
アミノ酸の不斉を識別する方法であって、上記方法は、
リファレンス中に含まれる基準アミノ酸の濃度と同じ濃度の上記アミノ酸を含むように試験対象を調整する調整ステップと、
上記アミノ酸検出剤を含む溶液と上記試験対象とを混合する混合ステップと、
上記試験対象との混合後の上記溶液の光学的状態を測定する測定ステップと、
上記試験対象との混合後の上記溶液と上記リファレンスの光学的状態を比較するステップと、を有し、
上記アミノ酸及び基準アミノ酸は、その側鎖にNH3 +基又はSH基を有する、方法
が提供される。上記基準アミノ酸は、上記アミノ酸と同一であってもよくエナンチオマーであってもよい。上記リファレンスは、既知の濃度のアミノ酸(基準アミノ酸)を含む溶液である。基準アミノ酸の濃度は、アミノ酸によって異なっていてもよい。例えば、基準アミノ酸がリシンの場合、リファレンス中のリシンの濃度は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140又は150μMであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内(例えば、23から120μM、23から27μM及び80から120μM)であってもよい。また、例えば、基準アミノ酸がシステインの場合、リファレンス中のシステインの濃度は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9又は1.0μMであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内(例えば、0.3から0.7μM)であってもよい。上記リファレンスの光学的状態は、予め測定されていてもよく、本方法中で測定してもよい。例えば、リファレンスの光学的状態は、上記ヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子を含む溶液とリファレンスとを混合する混合ステップと、上記リファレンスとの混合後の上記溶液の光学的状態を測定する測定ステップによって測定してもよい。
ある実施形態において、上記方法は、上記試験対象との混合後の上記溶液と上記リファレンスの光学的状態に差異が見られた場合、上記リファレンス中の基準アミノ酸と試験対象中のアミノ酸は、互いにエナンチオマーであると判断する判断ステップを更に有する。別の実施形態において、上記方法は、上記試験対象との混合後の上記溶液と上記リファレンスの光学的状態に差異が見られない場合、上記リファレンス中の基準アミノ酸と試験対象中のアミノ酸は、互いに同一のアミノ酸であると判断する判断ステップを更に有する。
4.本アミノ酸検出剤の製造方法
本実施形態において、
上記アミノ酸検出剤の製造方法であって、上記製造方法は、
テトラクロロ金(III)酸水溶液を80℃から沸騰する温度まで加熱する加熱工程と、
加熱された上記テトラクロロ金(III)酸水溶液とヒドロキシ酸又はその塩とを撹拌しながら混合する混合工程と、を有し、
上記テトラクロロ金(III)酸水溶液は、テトラクロロ金(III)酸と水との水溶液であり、
上記混合工程において、上記ヒドロキシ酸は、1モルのテトラクロロ金(III)酸に対して、1から2モルの割合で混合される、製造方法
が提供される。
テトラクロロ金(III)酸(HAuCl4)は、市販品を用いてもよく、塩化金(III)を塩酸に溶かして製造してもよい。加熱工程は、テトラクロロ金(III)酸水溶液を含む容器(例えば、ガラス製フラスコ)をガスバーナー、オイルバス又はウォーターバスで加熱することによって実施しても良い。HAuCl4を水に加えて製造することができる。混合工程は、加熱工程と同じ温度で実施されても良い。混合工程は、テトラクロロ金(III)酸水溶液とヒドロキシ酸又はその塩と均一に混合されてヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子を含むアミノ酸検出剤が製造できるのであれば、任意の時間実施することができる。ある実施形態において、混合工程は、少なくとも20分間実施され、少なくとも20分間混合工程が実施されば、それ以上長く混合してもよい。別の実施形態において、混合工程は、20から50分間実施され、20、25、30、35、40、45及び50分間の何れか2つの間の範囲内であってもよい。混合工程において、上記ヒドロキシ酸は、1モルのテトラクロロ金(III)酸に対して、1から2モルの割合で混合されてもよく、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9及び2.0モルの何れか2つの間の範囲内であってもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.酒石酸還元型金ナノ粒子(TAAuNPs)の製造
図1は、TAAuNPsの製造の概要を示している。HAuCl4・4H2O(160.31 mg, 0.389 mmol)を77.8 mLの精製水に溶解し、5 mM HAuCl4・4H2O水溶液を作製した。20 mLの精製水を1 mLの5 mM HAuCl4・4H2O水溶液に加え、0.24 mM HAuCl4・4H2O水溶液を作製した。
L-酒石酸2ナトリウム(7.82 mg, 0.034 mmol)を1 mLの精製水に溶解し、34 mM L-酒石酸2ナトリウム水溶液を作製した。
10 mLの0.24 mM HAuCl4・4H2O水溶液(2.4×10-3 mmol)とマグネスチックスターラーを20 mL容の二口ナスフラスコに入れて、オイルバスで加熱した。オイルバスの温度は130℃に設定した。上記0.24 mM HAuCl4・4H2O水溶液が激しく沸騰したら、0.1 mLの34 mM L-酒石酸2ナトリウム水溶液(3.4×10-3 mmol)を上記水溶液に600 rpmで攪拌させながら加え、30分間加熱し続けた。これによってTAAuNPs溶液が得られた。
2.TAAuNPs溶液の吸収スペクトル
TAAuNPs溶液の吸収スペクトルを測定した。吸収スペクトル測定では光路長1 cmの2面透過ポリメタクリル酸メチル樹脂製のセル(以下、PMMAセル)を使用した。測定の結果、533nmに吸収スペクトルのピークが示された(図2)。
3.TAAuNPs溶液の動的光散乱(DLS)
TAAuNPs溶液のDLS測定を行った。DLS測定では光路長1 cmの4面透過PMMAセルを使用した。DLS測定から、図3に示すTAAuNPsの粒径分布が示された。TAAuNPs溶液において、粒径23nmから28nmのTAAuNPsが最も多く、TAAuNPの平均粒径は、27.6±7.6 nmであった。
4.TAAuNPsの走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope : SEM)写真
TAAuNPsのSEM写真を取得した(図4)。TAAuNPの平均直径をSEM写真から測定した結果、球状様の形状であった。
5.TAAuNPの赤外吸収スペクトル
10.1 mLのTAAuNPs溶液を15 mL容プラスチック製遠心管に入れて、これを遠心分離 (2800rpm [736×g], 30 min, 25℃)し、この後、上清を除き、残った少量の液体で沈殿物を懸濁し、それをセレン化亜鉛プリズムに滴下し、風乾させたのち、赤外吸収スペクトルを測定した(図5)。
6.TAAuNPs溶液を用いたアミノ酸認識の評価
以下の8種のアミノ酸溶液をTAAuNPs溶液にそれぞれ添加し、吸収スペクトル測定、DLS測定、SEM観察を行った。溶液調製には、精製水(室温)を使用した。
・5 mM L-リシン溶液(L-リシン(1.46 mg, 0.01 mmol)を2 mLの精製水に溶解して調製)
・5 mM L-ヒスチジン溶液(L-ヒスチジン(1.55 mg, 0.01 mmol)を2 mLの精製水に溶解して調製)
・5 mM L-アルギニン溶液(L-アルギニン(1.74 mg, 0.01 mmol)を2 mLの精製水に溶解して調製)
・5 mM L-アスパラギン酸溶液(L-アスパラギン酸(1.33 mg, 0.01 mmol)を2 mLの精製水に溶解して調製)
・5 mM L-グルタミン酸溶液(L-グルタミン酸(1.47 mg, 0.01 mmol)を2 mLの精製水に溶解して調製)
・5 mM L-フェニルアラニン溶液(L-フェニルアラニン(1.65 mg, 0.01 mmol)を2 mLの精製水に溶解して調製)
・5 mM L-トレオニン溶液(L-トレオニン(1.19 mg, 0.01 mmol)を2 mLの精製水に溶解して調製)
・5 mM L-システイン溶液(L-システイン(1.21 mg, 0.01 mmol)を2 mLの精製水に溶解して調製)
7.TAAuNPs溶液とL-リシンとの相互作用
5 mM L-リシンをTAAuNPs溶液に添加し、吸収スペクトル測定、DLS測定、SEM観察を行った。
1 mLのTAAuNPs溶液を光路長1 cmの2面透過PMMAセルに入れて、吸収スペクトルを測定した。その後、20 μLの5 mM L-リシン溶液(1.0×10-4 mmol)をセルに添加し、その混合液の吸収スペクトルを測定した(終濃度100 μM)。温度は25℃に設定した。上記リシン溶液の添加により、533nm付近に見られたピーク吸収帯が長波長側にシフトした(図6)。
L-リシンを添加する前のTAAuNPs溶液は、赤紫色を示した(図7(A))。L-リシン添加の80分後のTAAuNPs溶液(終濃度100 μM)は、青紫色を示した(図7(B))。
TAAuNPs溶液2.5 mLを光路長1 cmの4面透過PMMAセルに入れて、5 mM L-リシン溶液50 μLを上記セルに添加した(終濃度100 μM)。このセルを25℃に設定したインキュベーター内で80分間静置した。その後、TAAuNPs溶液のDLS測定し、その溶液のSEM観察も行った。DLS測定の結果から、L-リシンをTAAuNPs溶液に添加すると、TAAuNPsの粒径が増加することが明らかになった(図8)。また、SEM観察から、L-リシンをTAAuNPs溶液に添加すると、TAAuNPsが凝集することも明らかになった(図9)。
8.TAAuNPs溶液とL-システインとの相互作用
5 mM L-システインをTAAuNPs溶液に添加し、吸収スペクトル測定、DLS測定、SEM観察を行った。
1 mLのTAAuNPs溶液を光路長1 cmの2面透過PMMAセルに入れて、吸収スペクトルを測定した。その後、20 μLの5 mM L-システイン溶液(1.0×10-4 mmol)をセルに添加し、その混合液の吸収スペクトルを測定した(終濃度100 μM)。温度は25℃に設定した。上記システイン溶液の添加により、533nm付近に見られたピーク吸収帯が長波長側にシフトした(図10)。
L-システインを添加する前のTAAuNPs溶液は、赤紫色を示した(図11(A))。L-システインの80分後のTAAuNPs溶液(終濃度100 μM)は、青紫色を示した(図11(B))。
TAAuNPs溶液2.5 mLを光路長1 cmの4面透過PMMAセルに入れて、5 mM L-システイン溶液50 μLを上記セルに添加した。このセルを25℃に設定したインキュベーター内で80分間静置した(終濃度100 μM)。その後、TAAuNPs溶液のDLS測定し、その溶液のSEM観察も行った。DLS測定の結果から、L-システインをTAAuNPs溶液に添加すると、TAAuNPsの粒径が増加することが明らかになった(図12)。また、SEM観察から、L-システインをTAAuNPs溶液に添加すると、TAAuNPsが凝集することも明らかになった(図13)。
9.TAAuNPs溶液とL-アルギニン、L-ヒスチジン、L-グルタミン酸、L-アスパラギン酸、L-フェニルアラニン又はL-トレオニンとの相互作用
5 mMのL-アルギニン、L-ヒスチジン、L-グルタミン酸、L-アスパラギン酸、L-フェニルアラニン又はL-トレオニン溶液を添加したTAAuNPs溶液の吸収スペクトル測定、DLS測定、SEM観察を行い、変化を観察した。
9-1.L-グルタミン酸溶液
1 mLのTAAuNPs溶液を光路長1 cmの2面透過PMMAセルに入れて、吸収スペクトルを測定した。その後、20 μLの5 mM L-グルタミン酸溶液をセルに添加し、その混合液の吸収スペクトルを測定した(終濃度100 μM)。温度は25℃に設定した。上記グルタミン酸溶液の添加により、533nm付近に見られたピーク吸収帯が長波長側にシフトしなかった(図14)。
L-グルタミン酸を添加する前と後(80分後)で、TAAuNPs溶液の色に変化は見られなかった(図15(A)及び(B))。
TAAuNPs溶液2.5 mLを光路長1 cmの4面透過PMMAセルに入れて、5 mM L-グルタミン酸溶液50 μLを上記セルに添加した(終濃度100 μM)。このセルを25℃に設定したインキュベーター内で80分間静置した。その後、TAAuNPs溶液のDLS測定し、その溶液のSEM観察も行った。DLS測定の結果から、L-グルタミン酸をTAAuNPs溶液に添加しても、TAAuNPsの粒径が増加しないことが明らかになった(図16)。また、SEM観察から、L-グルタミン酸をTAAuNPs溶液に添加しても、TAAuNPsが凝集しないことも明らかになった(図17)。
9-2.L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-アスパラギン酸、L-フェニルアラニン及びL-トレオニン溶液
上述のグルタミン酸での実験と同じ条件の下、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-アスパラギン酸、L-フェニルアラニン及びL-トレオニン溶液についても吸収スペクトル測定を行った(いずれも終濃度100 μM)。結果を図18から23に示している。いずれのアミノ酸においても533nm付近に見られるピーク吸収帯が長波長側にシフトしなかった。
10.各アミノ酸を含むTAAuNPs溶液における吸光度差の時間的変化
上記アミノ酸を含むTAAuNPs溶液(終濃度100 μM)及び精製水を含むTAAuNPs溶液における、波長533nmの吸光度差(アミノ酸又は精製水の添加後の吸光度−添加後前の吸光度=吸光度差)の時間的変化を測定した。結果を図24に示す。L-リシン及びL-システインは、吸光度差に変化を示す一方で、その他のアミノ酸及び精製水は吸光度差に変化が見られなかった。
11.TAAuNPs溶液を用いたL-リシン及びD-リシンの不斉認識の評価
TAAuNPs溶液にL-リシン溶液とD-リシン溶液をそれぞれ添加し、吸収スペクトル測定、DLS測定、SEM像の変化を観察した。
・5 mM L-リシン溶液
L-リシン(1.46 mg, 0.01 mmol)を2 mLの精製水に溶解した。
・5 mM D-リシン溶液
D-リシン(1.46 mg, 0.01 mmol)を2 mLの精製水に溶解した。
11-1.L-リシン
1 mLのTAAuNPs溶液を光路長1 cmの2面透過PMMAセルに入れて、吸収スペクトルを測定した。その後、2、5及び10 μLの5 mM L-リシン溶液(1.0×10-5, 2.5×10-5, 5.0×10-5 mmol)をTAAuNPs溶液にそれぞれ添加し、80分間、吸収スペクトルを測定した。温度は25℃に設定した。2μLの5 mM L-リシン溶液(終濃度10μM)においては、533nm付近に見られるピーク吸収帯が長波長側にシフトしなかった(図25(A))。5μLの5 mM L-リシン溶液(終濃度25μM)においても、533nm付近に見られるピーク吸収帯が長波長側にシフトしなかった(図25(B))。10μLの5 mM L-リシン溶液(終濃度50μM)においては、533nm付近に見られるピーク吸収帯が長波長側にシフトした(図25(C))。
11-2.D-リシン
1 mLのTAAuNPs溶液を光路長1 cmの2面透過PMMAセルに入れて、吸収スペクトルを測定した。その後、2、5及び10 μLの5 mM D-リシン溶液(1.0×10-5, 2.5×10-5, 5.0×10-5 mmol)をそれぞれ添加し、80分間、5分ごとに吸収スペクトルを測定した(図3-1-4~6)。温度は25℃に設定した。2μLの5 mM D-リシン溶液(終濃度10μM)においては、533nm付近に見られるピーク吸収帯が長波長側にシフトしなかった(図26(A))。5μLの5 mM D-リシン溶液(終濃度25μM)においては、533nm付近に見られるピーク吸収帯が長波長側にシフトした(図26(B))。10μLの5 mM D-リシン溶液(終濃度50μM)においては、533nm付近に見られるピーク吸収帯が長波長側にシフトした(図26(C))。
12.L-リシン又はD-リシンを含むTAAuNPs溶液における吸光度差の時間的変化
L-リシン又はD-リシンを含むTAAuNPs溶液(それぞれ終濃度25μM)における、波長533nmの吸光度差(アミノ酸の添加後の吸光度−添加後前の吸光度=吸光度差)の時間的変化を測定した。結果を図27に示す。D-リシンは、吸光度差に顕著な変化を示す一方で、L-リシンは吸光度差に変化が見られなかった。
L-リシンを添加する前と後(80分後)で、TAAuNPs溶液の色に変化は見られず、いずれも赤紫色であった(図28(A)及び(B))。D-リシン添加の80分後のTAAuNPs溶液は、青紫色を示した(図28(C))。
2.5 mLのTAAuNPs溶液を光路長1 cmの4面透過PMMAセルに入れて、5 mM L-リシン溶液を12.5 μL添加し(終濃度25μM)、25℃に設定したインキュベーター内に80分間静置し、DLS測定(図29(A))とSEM観察行った(図30(A))。5 mM D-リシン溶液についてもL-リシンと同じ条件で、DLS測定(図29(B))とSEM観察(図30(B))を行った。L-リシンは、L-リシンを添加する前と後(80分後)で、平均粒径(DLS測定)に変化はなく、SEM観察においても金ナノ粒子の凝集が見られなかった。D-リシンは、D-リシンを添加する前と後(80分後)で、平均粒径(DLS測定)が増加し、SEM観察においても金ナノ粒子の凝集が見られた。
13.TAAuNPs溶液を用いたL-システイン及びD-システインの不斉認識の評価
TAAuNPs溶液にL-システイン溶液とD-システイン溶液を添加し、吸収スペクトル測定、DLS測定、SEM像の変化を観察した。
・0.1 mM L-システイン溶液
L-システイン(1.21 mg, 0.01 mmol)を2 mLの精製水に溶解し、5 mM L-システイン溶液を作製した。100 μLの5 mM L-システイン溶液に精製水を900 μL加え、0.5 mM L-システイン溶液を作製した。100 μLの0.5 mM L-システイン溶液に精製水を400 μL加え、0.1 mM L-システイン溶液を作製した。
・0.1 mM D-システイン溶液
D-システイン(1.21 mg, 0.01 mmol)を2 mLの精製水に溶解し、5 mM D-システイン溶液を作製した。100 μLの5 mM D-システイン溶液に精製水を900 μL加え、0.5 mM D-システイン溶液を作製した。100 μLの0.5 mM D-システイン溶液に精製水を400 μL加え、0.1 mM L-システイン溶液を作製した。
13-1.L-システイン
1 mLのTAAuNPs溶液を光路長1 cmの2面透過PMMAセルに入れて、吸収スペクトルを測定した。その後、2、5及び7.6 μLの5 mM L-システイン溶液(2.0×10-7, 5×10-7, 7.6×10-7 mmol)をTAAuNPs溶液にそれぞれ添加し、80分間、吸収スペクトルを測定した。温度は25℃に設定した。2 μLの5 mM L-システイン溶液(終濃度0.2 μM)においては、533nm付近に見られるピーク吸収帯が長波長側にシフトしなかった(図31(A))。5 μLの5 mM L-システイン溶液(終濃度0.5 μM)においても、533nm付近に見られるピーク吸収帯が長波長側にシフトしなかった(図31(B))。7.6 μLの5 mM L-システイン溶液(終濃度0.75μM)においては、533nm付近に見られるピーク吸収帯が長波長側にシフトした(図25(C))。
13-2.D-システイン
1 mLのTAAuNPs溶液を光路長1 cmの2面透過PMMAセルに入れて、吸収スペクトルを測定した。その後、2、5及び7.6 μLの5 mM D-システイン溶液(2.0×10-7, 5×10-7, 7.6×10-7 mmol)をTAAuNPs溶液にそれぞれ添加し、80分間、吸収スペクトルを測定した。温度は25℃に設定した。2 μLの5 mM D-システイン溶液(終濃度0.2 μM)においては、533nm付近に見られるピーク吸収帯が長波長側にシフトしなかった(図32(A))。5 μLの5 mM D-システイン溶液(終濃度0.5 μM)においても、533nm付近に見られるピーク吸収帯が長波長側にシフトしなかった(図32(B))。7.6 μLの5 mM D-システイン溶液(終濃度0.75μM)においては、533nm付近に見られるピーク吸収帯が長波長側にシフトした(図32(C))。
14.L-システイン又はD-システインを含むTAAuNPs溶液における吸光度差の時間的変化
L-システイン又はD-システインを含むTAAuNPs溶液(それぞれ終濃度0.5 μM)における、波長533nmの吸光度差(アミノ酸の添加後の吸光度−添加後前の吸光度=吸光度差)の時間的変化を測定した。結果を図33に示す。L-システインは、吸光度差に顕著な変化を示す一方で、D-システインは吸光度差に変化が見られなかった。
D-システインを添加する前と後(80分後)で、TAAuNPs溶液の色に変化は見られず、いずれも赤紫色であった(図34(A)及び(C))。L-システイン添加の80分後のTAAuNPs溶液は、青紫色を示した(図34(B))。
2.5 mLのTAAuNPs溶液を光路長1 cmの4面透過PMMAセルに入れて、0.1 mM L-システイン溶液を12.5 μL添加し、25℃に設定したインキュベーター内に80分間静置し、DLS測定(図35(A))とSEM観察行った(図36(A))。5 mM D-システイン溶液についてもL-システインと同じ条件で、DLS測定(図35(B))とSEM観察(図36(B))を行った。L-システインは、L-システインを添加する前と後(80分後)で、平均粒径(DLS測定)が増加し、SEM観察においても金ナノ粒子の凝集が見られた。D-リシンは、D-リシンを添加する前と後(80分後)で、平均粒径(DLS測定)が変化せず、SEM観察においても金ナノ粒子の凝集が見られなかった。

Claims (17)

  1. ヒドロキシ酸還元型金ナノ粒子を含む、アミノ酸検出剤であって、
    前記ヒドロキシ酸は、ヒドロキシ酸又はその塩であって、
    前記ヒドロキシ酸は、不斉炭素中心を有し、
    前記アミノ酸は、その側鎖にNH3 +基又はSH基を有する、アミノ酸検出剤。
  2. 前記ヒドロキシ酸は、不斉炭素中心を有する脂肪族ヒドロキシ酸である、請求項1に記載のアミノ酸検出剤。
  3. 前記脂肪族ヒドロキシ酸は、3から6つの炭素原子を有する、請求項2に記載のアミノ酸検出剤。
  4. 前記ヒドロキシ酸は、少なくとも2つのカルボキシ基を有する、請求項1から3のいずれかに記載のアミノ酸検出剤。
  5. 前記ヒドロキシ酸は、酒石酸である、請求項1から4のいずれかに記載のアミノ酸検出剤。
  6. 前記アミノ酸は、リシン又はシステインである、請求項1から5のいずれかに記載のアミノ酸検出剤。
  7. 前記アミノ酸の不斉を識別するために用いられる、請求項1から6のいずれかに記載のアミノ酸検出剤。
  8. アミノ酸を検出する方法であって、前記方法は、
    請求項1から6のいずれかに記載のアミノ酸検出剤を含む溶液の光学的状態を測定する第一測定ステップと、
    前記溶液とサンプルとを混合する混合ステップと、
    前記サンプルとの混合後の前記溶液の光学的状態を測定する第二測定ステップと
    前記サンプルとの混合前後の前記溶液の光学的状態を比較する比較ステップと、を有し、
    前記アミノ酸は、その側鎖にNH3 +基又はSH基を有する、方法。
  9. 前記アミノ酸は、リシン又はシステインである、請求項8に記載の方法。
  10. アミノ酸の不斉を識別する方法であって、前記方法は、
    リファレンス中に含まれる基準アミノ酸の濃度と同じ濃度の前記アミノ酸を含むように試験対象を調整する調整ステップと、
    請求項1から7のいずれかに記載のアミノ酸検出剤を含む溶液と前記試験対象とを混合する混合ステップと、
    前記試験対象との混合後の前記溶液の光学的状態を測定する測定ステップと、
    前記試験対象との混合後の前記溶液と前記リファレンスの光学的状態を比較するステップと、を有し、
    前記アミノ酸及び基準アミノ酸は、その側鎖にNH3 +基又はSH基を有する、方法
  11. 前記アミノ酸は、リシン又はシステインである、請求項10に記載の方法。
  12. 請求項1から7に記載のアミノ酸検出剤の製造方法であって、前記製造方法は、
    テトラクロロ金(III)酸水溶液を80℃から沸騰する温度まで加熱する加熱工程と、
    加熱された前記テトラクロロ金(III)酸水溶液とヒドロキシ酸又はその塩とを撹拌しながら混合する混合工程と、を有し、
    前記テトラクロロ金(III)酸水溶液は、テトラクロロ金(III)酸と水との水溶液であり、
    前記混合工程において、前記ヒドロキシ酸は、1モルのテトラクロロ金(III)酸に対して、1から2モルの割合で混合される、製造方法。
  13. 前記混合工程は、少なくとも20分間実施される、請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記ヒドロキシ酸は、不斉炭素中心を有する脂肪族ヒドロキシ酸である、請求項12又は13に記載の製造方法。
  15. 前記脂肪族ヒドロキシ酸は、3から6つの炭素原子を有する、請求項12から14のいずれかに記載の製造方法。
  16. 前記ヒドロキシ酸は、少なくとも2つのカルボキシ基を有する、請求項12から15のいずれかに記載の製造方法。
  17. 前記ヒドロキシ酸は、酒石酸である、請求項12から16のいずれかに記載の製造方法。
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新森英之: "酒石酸を用いた金ナノ粒子の合成とアミノ酸の色調変化によるキラル識別", 国立研究開発法人 科学技術振興機構 山梨大学 新技術説明会 発表資料, JPN6022028315, 19 December 2019 (2019-12-19), ISSN: 0004955288 *

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