JP2020051333A - インテークマニホールド - Google Patents

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松井 良輔
Ryosuke Matsui
良輔 松井
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【課題】インテークマニホールドとシリンダヘッドとの間のシール性を確保しつつも、軽量化されたインテークマニホールドを提供する。【解決手段】インテークマニホールドは、樹脂製の複数のピースで構成されている。複数のピースのうち、第1ピース11は、シリンダヘッドの吸気ポートとの接続部分である接続フランジ35を構成している。ピースの体積中において気泡率が占める体積の割合を気泡率としたとき、前記複数のピースのうち、吸気ポートに接続される接続部分である接続フランジ35を含む第1ピース11の樹脂の気泡率は、接続フランジ35を含まない他のピースの樹脂の気泡率よりも小さい。【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関のインテークマニホールドに関する。
特許文献1に記載の内燃機関のシリンダヘッドには、燃焼室と連通する吸気ポートが区画されている。複数の吸気ポートは、シリンダヘッドの側面に開口している。シリンダヘッドの側面には、インテークマニホールドが固定されている。このインテークマニホールドは、車両外部からの吸気が流通する集合通路と、吸気ポートの数に対応した数の分岐通路とを備えている。そして、各分岐通路は、各吸気ポートに接続されている。特許文献1に記載のインテークマニホールドは、複数のピースを互いに溶着して一体化したものである。また、各ピースの材質は、発泡樹脂である。
特開2018−003695号公報
特許文献1に記載のインテークマニホールドでは、当該インテークマニホールド(ピース)を構成する発泡樹脂の気泡率が大きいほど、インテークマニホールドの体積に占める気泡の割合が増えるため、軽量化の効果は大きくなる。一方で、インテークマニホールドを構成する発泡樹脂の気泡率が大きいほど、表面に気泡が現れやすく、インテークマニホールドの表面が粗くなる。インテークマニホールドの表面が過度に粗い場合、インテークマニホールドとシリンダヘッドとの接合箇所において隙間が生じやすく、両者の間のシール性を確保しにくくなる。したがって、インテークマニホールドとシリンダヘッドとの間のシール性を確保しつつも、インテークマニホールドを構成する発泡樹脂の気泡率を高めることのできる技術が求められる。
上記課題を解決するため、本発明は、シリンダヘッドの吸気ポートに接続され、当該吸気ポート内に吸気を導くインテークマニホールドであって、樹脂製の複数のピースを一体的に溶着することにより構成されており、前記ピースの体積中において気泡が占める体積の割合を気泡率としたとき、前記複数のピースのうち、前記吸気ポートに接続される接続部分を含むピースの樹脂の気泡率は、前記接続部分を含まない他のピースの樹脂の気泡率よりも小さい。
上記の構成によれば、シリンダヘッドの吸気ポートに接続される接続部分を含むピースは、当該接続部分を含まないピースよりも気泡率が小さい。そのため、接続部分を含むピースの表面は、比較的に気泡が少なく滑らかである。したがって、このピースをシリンダヘッドの吸気ポートに接続したときに、両者の間に隙間が生じにくく、十分なシール性が確保される。その一方で、接続部分を含まないピースの気泡率を大きくできるため、インテークマニホールド全体としては、相応の気泡率が実現でき、インテークマニホールドの軽量化に寄与できる。
インテークマニホールドを一体化した状態の側面図。 インテークマニホールドを各ピースに分解した状態の側面図。 第1ピースの斜視図。
以下、内燃機関のインテークマニホールドの一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図1及び図2における上下方向を、インテークマニホールド10の上下方向とする。
図1に示すように、インテークマニホールド10は、車両外部から吸気するための吸入部31を備えている。吸入部31は、インテークマニホールド10の上下方向に略直交する方向に延びる略円筒状となっている。
吸入部31における一端部の外周面からは、フランジ32が張り出している。フランジ32においては、複数のボルト孔33が貫通している。このボルト孔33に、ボルトが挿通されることにより、インテークマニホールド10に、吸気量を調整するためのスロットルバルブを備えた筒状のスロットルボディが固定される。すなわち、車両外部からの吸気は、スロットルボディを通り、吸入部31を介してインテークマニホールド10の内部へと流れる。
吸入部31の他端部には、吸気脈動を抑制するためのサージタンク30が接続されている。サージタンク30は、概ね吸入部31の軸線方向(図1における紙面厚み方向)に長い略直方体箱状になっている。
サージタンク30には、4つの分岐通路34が接続されている。各分岐通路34は、吸入部31の軸線方向に並列されている。各分岐通路34は、サージタンク30を囲うように、サージタンク30の短手方向一方側の側面から、サージタンク30の下側、短手方向他方側の側面を経て、サージタンク30の上側まで湾曲して延びている。
各分岐通路34におけるサージタンク30とは反対側の端部には、接続フランジ35が設けられている。図3に示すように、接続フランジ35は、4つの分岐通路34の間を連結している。そして、各分岐通路34は、接続フランジ35の端面において開口している。接続フランジ35の端面においては、各分岐通路34の開口を囲うようにガスケット溝53が窪んでいる。インテークマニホールド10がシリンダヘッドの吸気ポートに接続される際には、このガスケット溝53にシール性を確保するための図示しないガスケットがはめ込まれる。また、接続フランジ35においては、複数のボルト孔54が接続フランジ35の厚み方向に貫通している。ボルト孔54は、接続フランジ35の長手方向(分岐通路34の並設方向)における両端部、各分岐通路34の開口の間に位置している。
また、図1に示すように、インテークマニホールド10においては、各分岐通路34に内燃機関における燃焼後の排気を再循環させて供給するためのEGR供給通路36が区画されている。この実施形態では、EGR供給通路36の外部側の開口は、各分岐通路34の開口とは反対側を向いている。図示は省略するが、EGR供給通路36は、インテークマニホールド10の内部において4つに分岐しており、分岐した各通路が各分岐通路34の内部と連通している。
図2に示すように、インテークマニホールド10は、樹脂製の複数のピースで構成されている。具体的には、インテークマニホールド10は、第1ピース11、第2ピース12、第3ピース13及び第4ピース14が溶着によって一体化されることにより構成されている。
図2及び図3に示すように、第1ピース11は、フランジ32の全体、吸入部31の一部、サージタンク30の一部、各分岐通路34の一部、及び接続フランジ35の全体を構成している。具体的には、第1ピース11は、吸入部31のうちの周方向の略半分、すなわち半円筒状の部分を構成している。また、第1ピース11は、サージタンク30のうち、インテークマニホールド10の中心側の壁部を構成している。さらに、第1ピース11は、分岐通路34のうちの湾曲の内側の壁部を構成している。
図2に示すように、第2ピース12は、吸入部31の一部、サージタンク30の一部、各分岐通路34の一部を構成している。具体的には、第2ピース12は、吸入部31のうちの、第1ピース11で構成されていない半円筒状の部分を構成している。また、第2ピース12は、サージタンク30のうちのインテークマニホールド10の外側の壁部を構成している。さらに、第2ピース12は、分岐通路34の上流側部分のうちの湾曲の外側の壁部を構成している。したがって、第2ピース12が第1ピース11に溶着されることにより、吸入部31、サージタンク30、各分岐通路34の上流側の一部が形成される。
第3ピース13は、各分岐通路34の下流側部分のうちの湾曲の外側の壁部を構成している。したがって、第3ピース13が第1ピース11に溶着されることにより、各分岐通路34の下流側の一部が形成される。また、第3ピース13が第1ピース11に溶着されることにより、各分岐通路34の上流側の一部と下流側の一部とが繋がって、各分岐通路34の全体が形成される。
第4ピース14は、EGR供給通路36を構成している。したがって、第4ピース14を、第3ピース13に溶着することにより、EGR供給通路36が各分岐通路34の内部に連通される。
図3に示すように、第1ピース11において、サージタンク30のうち、各分岐通路34が接続されている側とは反対側の壁部は、サージタンク30における他の壁部よりも厚みの大きい第1厚肉部51になっている。この実施形態においては、第1厚肉部51は、第2ピース12における各分岐通路34の壁部を構成する部分、第3ピース13における各分岐通路34の壁部を構成する部分のいずれよりも厚みが大きくなっている。また、第1ピース11において、各分岐通路34の壁部を構成している部分のうち、各分岐通路34の下流端から一定範囲内の壁部は、各分岐通路34における他の壁部よりも厚みの大きい第2厚肉部52になっている。すなわち、第1ピース11の第2厚肉部52は、第2ピース12における各分岐通路34の壁部を構成する部分、第3ピース13における各分岐通路34の壁部を構成する部分のいずれよりも厚みが大きくなっている。なお、図3では、第1厚肉部51及び第2厚肉部52の壁面にドットを付して図示している。
上記第1ピース11、第2ピース12、第3ピース13及び第4ピース14の材質は合成樹脂である。そして、ピースの体積中において気泡が占める体積の割合を気泡率としたとき、第2ピース12、第3ピース13及び第4ピース14の気泡率は15%である。一方、第1ピース11の気泡率は0%であり、第1ピース11は、いわゆるソリッド成形で成形されたものである。よって、第1ピース11の気泡率は、第2ピース12、第3ピース13及び第4ピース14の気泡率に対して、小さくなっている。
次に、上記インテークマニホールド10の作用及び効果について説明する。
(1)本実施形態において、インテークマニホールド10がシリンダヘッドの吸気ポートに接続される際、接続フランジ35が、吸気ポートとの接続部分となる。接続部分である接続フランジ35を含む第1ピース11は、気泡率0%である。そのため、第1ピース11の表面には気泡が現れてなく滑らかである。したがって、第1ピース11をシリンダヘッドの吸気ポートに接続したときに、接続フランジ35とガスケットやシリンダヘッドとが密着して、十分なシール性が確保される。さらに、本実施形態において、インテークマニホールド10にスロットルボディが接続される際、フランジ32が、スロットルボディとの接続部分となる。フランジ32は、第1ピース11に含まれているため、フランジ32の表面には気泡が現れてなく滑らかである。したがって、第1ピース11をスロットルボディに接続したときに、フランジ32とスロットルボディとが密着して、十分なシール性が確保される。
その一方で、第2ピース12、第3ピース13及び第4ピース14の気泡率は15%である。そのため、これらのピースを含むインテークマニホールド10全体としては、相応の気泡率が実現でき、インテークマニホールド10が軽量化できる。なお、第2ピース12、第3ピース13及び第4ピース14は、インテークマニホールド10の外部には接続されないので、これらのピースの表面において多少の気泡が現れていても、インテークマニホールド10の気密性に影響を与えることはない。具体的には、第2ピース12、第3ピース13及び第4ピース14は、互いに溶着によって一体化されている。溶着の際に、溶着面が溶けている。そして、各ピースの溶着面同士が互いに密着することで、仮に気泡が表面に現れていても押しつぶされて消失し、各ピースの溶着面同士が密着する。これにより、インテークマニホールド10の気密性が確保される。
(2)本実施形態において、第1厚肉部51及び第2厚肉部52は、第1ピース11に含まれている。第1ピース11は、気泡率0%である。よって、第1厚肉部51には気泡がないため、第1厚肉部51の剛性をより向上でき、吸気脈動を抑制しやすい。また、インテークマニホールド10を内燃機関に取り付けた際に、燃焼室の比較的に近くに第2厚肉部52が配置される。そして、第2厚肉部52において、第2厚肉部52には気泡がないため、第2厚肉部52の強度をより向上でき、高温にも耐えやすい。このように、気泡率を小さく設定したい箇所は、第1ピース11に集約されている。よって、複数のピースのうち、気泡率が小さいピースを少なくできる。したがって、インテークマニホールド10全体としては気泡率が小さいピースが少なくなることで、インテークマニホールド10が軽量化できる。
(3)一般に、樹脂成形物を発泡成形した際、板厚が大きい部分では、十分な冷却時間を確保しないと後膨れが起きやすい。この点、第1厚肉部51及び第2厚肉部52を含む第1ピース11の気泡率は0%であり、冷却時間が短くても発泡成形による後膨れが起きない。したがって、第1ピース11を成形する際、後膨れを抑制するために長い冷却時間を確保しなくてもよく、第1ピース11の成形に要する時間を短時間化できる。すなわち、本実施形態の第1ピース11は生産性の高いものである。
上記実施形態は以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・インテークマニホールド10を構成するピースの数は、上記実施形態の数(4つ)に限られない。ピースの数は、2つや3つ、5つ以上であってもよい。この場合、少なくとも接続部分である接続フランジ35を含むピースは、接続フランジ35を含まないピースよりも気泡率が小さければよい。
・第1ピース11の気泡率は、接続部分を含まないピースの気泡率未満であれば、0%でなくてもよい。例えば、第2ピース12、第3ピース13及び第4ピース14の気泡率が15%であれば、第1ピース11の気泡率は、15%未満であればよい。これにより、少なくとも、第1ピース11の表面には、接続部分を含まないピースの表面よりも、気泡は現れにくくなる。よって、第1ピース11をシリンダヘッドの吸気ポートに接続したときに、両者の間に隙間が生じにくく、十分なシール性が確保される。
・第2ピース12、第3ピース13及び第4ピース14の気泡率は15%でなくてもよい。例えば、第2ピース12、第3ピース13及び第4ピース14の気泡率は25%であってもよい。気泡率を大きく設定した方が、インテークマニホールド10全体の軽量化を図りやすい。
・第2ピース12、第3ピース13及び第4ピース14の気泡率は同一でなくてもよい。例えば、第2ピース12の気泡率は10%、第3ピース13の気泡率は15%、第4ピース14の気泡率は20%であってもよい。成形時の制約等により、気泡率の設定上限が各ピースによって異なるとき、気泡率を大きく設定できるピースは大きく設定した方が、インテークマニホールド10全体の軽量化を図りやすい。
・第1ピース11において、厚みの大きい第1厚肉部51及び第2厚肉部52が存在することは必須ではない。また、第1ピース11に代えて、又は加えて、第2ピース12に、当該第2ピース12における他の箇所よりも厚みの大きい厚肉部が設けられていてもよい。この場合、第2ピース12の気泡率は、第3ピース13及び第4ピース14の気泡率よりも小さいことが好ましいが、第1ピース11の気泡率と同一である必要はない。
・分岐通路34の分岐数は、4つに限られない。インテークマニホールド10を取り付ける内燃機関の気筒数に併せて、3つ以下でもよいし、5つ以上でもよい。
・インテークマニホールド10の形状は、本実施形態の形状に限られない。例えば、分岐通路34は、吸入部31の開口部と同じ方向に開口していてもよいし、分岐通路34は、湾曲せずに直線状であってもよい。
10…インテークマニホールド、11…第1ピース、12…第2ピース、13…第3ピース、14…第4ピース、30…サージタンク、31…吸入部、32…フランジ、33…ボルト孔、34…分岐通路、35…接続フランジ、36…EGR供給通路、51…第1厚肉部、52…第2厚肉部、53…ガスケット溝、54…ボルト孔。

Claims (1)

  1. シリンダヘッドの吸気ポートに接続され、当該吸気ポート内に吸気を導くインテークマニホールドであって、
    樹脂製の複数のピースを一体的に溶着することにより構成されており、
    前記ピースの体積中において気泡が占める体積の割合を気泡率としたとき、
    前記複数のピースのうち、前記吸気ポートに接続される接続部分を含むピースの樹脂の気泡率は、前記接続部分を含まない他のピースの樹脂の気泡率よりも小さい
    インテークマニホールド。
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