JP2020050907A - 成膜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】処理部間での反応ガスの混入を抑制できる成膜装置を提供する。【解決手段】内部を真空とすることが可能なチャンバ1と、回転することにより円周の搬送経路Lに沿ってワークWを搬送する搬送部と、少なくとも成膜部4aを含み、ワークWに対して導入された反応ガスGをプラズマ化して所定の処理を行う複数の処理部4と、処理部4に設けられ、チャンバ1の内部の搬送経路Lに向かう開口13aを有するシールド部材Sと、チャンバ1の内部における隣り合うシールド部材Sの間に設けられ、隣り合うシールド部材Sのガス空間を離隔させるバッファ空間BFと、バッファ空間BFを排気する排気部40と、バッファ空間BFに、搬送部の回転の軸方向に突出して設けられることにより容積を低減した部分空間Bfを形成する突出部30とを有する。【選択図】図4

Description

本発明は、成膜装置に関する。
半導体やディスプレイあるいは光ディスクなど各種の製品の製造工程において、例えばウエーハやガラス基板等のワーク上に光学膜等の薄膜を成膜することがある。薄膜は、ワークに対して金属等の膜を形成する成膜と、形成した膜に対してエッチング、酸化又は窒化等の膜処理を繰り返すことによって、作成することができる。
成膜及び膜処理は様々な方法で行うことができるが、その一つとして、プラズマ処理による方法がある。成膜では、ターゲットを配置した真空容器であるチャンバ内にスパッタガスを導入し、ターゲットに直流電圧を印加する。プラズマ化したスパッタガスのイオンをターゲットに衝突させ、ターゲットから叩き出された材料をワークに堆積させて成膜を行う。膜処理では、電極を配置したチャンバ内にプロセスガスを導入し、電極に高周波電圧を印加する。プラズマ化したプロセスガスのイオンをワーク上の膜に衝突させることによって膜処理を行う。
このような成膜と膜処理(以下、両者を含めてプラズマ処理とする)を連続して行えるように、一つのチャンバの内部に回転テーブルを取り付け、チャンバの天井、つまり回転テーブルの上方の周方向に、成膜部と膜処理部を複数配置した成膜装置がある(例えば、特許文献1参照)。これにより、ワークを回転テーブル上に保持して搬送し、成膜部と膜処理部の直下を通過させることによって、光学膜等を形成できる。
特許第4428873号公報
上記のような成膜装置は、チャンバ内に、プラズマ処理を行う空間である処理室を有する。この処理室の一部は、シールド部材によって構成される。シールド部材は、ターゲットからの成膜材料が飛散してチャンバ内壁へ付着したり、導入されるスパッタガスやプロセスガス(以下、両者を含めて反応ガスとする)が各処理室から流出する等を防ぐために設けられる。
シールド部材の縁部は、ワークの通過を許容するために、隙間を空けてワークに近接している。反応ガスの漏れを極力少なくするためには、シールド部材とワークとの隙間はできるだけ小さくすることが好ましい。例えば、シールド部材の縁部と、ワークとの間に、数mm程度の隙間が形成されるように設定されている。
しかしながら、回転テーブル上のワークとシールド部材との間の隙間を小さくしたとしても、隙間は必ず存在する。また、この隙間には、回転する回転テーブルによって搬送されるワークが移動し続けるために、シールド部材の内部と外部との間で、反応ガスの流れが発生する。このため、反応ガスの漏れを完全に防ぐことはできない。
また、単位時間当たりの成膜量である成膜レートを向上させたり、複数種の材料によるプラズマ処理を行うために、複数の処理室を設ける場合もある。このように、処理室が複数存在すると、複数の処理室の間での圧力差が存在する。このため、隣接する処理室のうち、一方の処理室の反応ガスが他方の処理室に流入したり、他方の処理室の反応ガスが一方の処理室に流入したりすることにより、反応ガスの混入が生じる。このような混入が生じると、成膜される膜の材質の面内での均一性が損なわれる場合が生じる。
本発明の目的は、処理部間での反応ガスの混入を抑制できる成膜装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の成膜装置は、内部を真空とすることが可能なチャンバと、前記チャンバ内に設けられ、回転することにより円周の搬送経路に沿ってワークを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される前記ワークに対して、導入された反応ガスをプラズマ化して所定の処理を行う複数の処理部と、前記処理部に設けられ、前記反応ガスが導入されるガス空間の一部を画成し、前記チャンバの内部の前記搬送経路に向かう開口を有するシールド部材と、前記チャンバの内部における隣り合う前記シールド部材の間に設けられ、隣り合う前記シールド部材の前記ガス空間を離隔させるバッファ空間と、前記バッファ空間を排気する排気部と、を有し、少なくとも1つの前記処理部は、前記ワークに、スパッタリングにより成膜材料を堆積させて膜を形成する成膜部を含み、前記バッファ空間に、前記搬送部の回転の軸方向に突出して設けられることにより、前記バッファ空間の容積を低減した部分空間を形成する突出部を有する。
前記突出部は、隣り合う前記シールド部材の一方から他方の間に、前記搬送部の回転方向に延びた部分を有していてもよい。前記突出部は、前記バッファ空間を区切ることにより複数の部分空間を形成する隔壁を含んでいてもよい。前記排気部の排気位置は、前記複数の部分空間にそれぞれ設けられていてもよい。
前記突出部は、前記搬送部の回転の軸方向の長さが、前記搬送部の外周から前記搬送部の回転の軸に向かうに従って短く形成される部分を有していてもよい。前記排気部の排気位置は、前記搬送部の外周よりも前記搬送部の回転の軸に寄った位置に設けられていてもよい。
前記突出部は、前記軸方向の長さが、前記搬送部の回転の軸から前記搬送部の外周に向かうに従って短く形成されていてもよい。前記排気部の排気位置は、前記搬送部の回転の軸よりも前記外周に寄った位置に設けられていてもよい。
本発明によれば、処理部間での反応ガスの混入を抑制できる成膜装置を提供することができる。
実施形態に係る成膜装置の構成を模式的に示す透視平面図である。 図1のA−A断面図である。 図1の実施形態のシールド部材を示す斜視図である。 図1のB−B断面図である。 図1の突出部を示す平面図である。 図5の突出部を示す斜視図である。 異なる長さの隔壁を用いた変形例である。 隔壁の変形例を示す平面図である。 突出部の変形例を示す断面図である。 図9の突出部の階段面を示す斜視図である。
[構成]
本発明の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。以下の説明では、重力に従う方向を下方、これとは逆に重力に抗する方向を上方とする。
[チャンバ]
図1及び図2に示すように、成膜装置100はチャンバ1を有する。チャンバ1は、略円筒形状の有底の容器である。チャンバ1は、内部を真空とすることが可能である。チャンバ1の開口には、開閉可能な蓋体1aが設けられている。蓋体1aは、円形の板状部材であり、チャンバ1の上部を気密に封止する。また、チャンバ1には排気部2が設けられており、チャンバ1の内部を真空に排気可能になっている。すなわち、チャンバ1は真空容器として機能する。排気部2は、図示しない真空源を含む空気圧回路に接続された配管を有する。この空気圧回路の接続箇所が排気位置である。本実施形態では、排気位置は、チャンバ1の底部である。なお、本実施形態では、チャンバ1の蓋体1aは上、底部は下となっているが、蓋体1aが下、底部が上となってもよい。
[回転テーブル]
チャンバ1内には、回転することにより円周の搬送経路Lに沿ってワークWを搬送する搬送部として、回転テーブル3が設けられている。つまり、中空の回転筒3bが、チャンバ1の底部を貫通してチャンバ1の内部に立設し、回転筒3bには、略円形の回転テーブル3が取り付けられている。回転筒3bには不図示の駆動機構が連結される。駆動機構の駆動によって回転テーブル3は回転筒3bを中心に回転する。中空の回転筒3bの内部には、不動の支柱3cが配置されている。支柱3cは、チャンバ1の外部に設けられた不図示の基台に固定され、チャンバ1の底部を貫通してチャンバ1の内部に立設される。回転テーブル3の中心には開口部が設けられている。支柱3cは回転テーブル3の開口部を貫通し、先端は回転テーブル3の上面と、チャンバ1の上面の間に位置する。なお、以下の説明では、回転筒3bの回転軸を、回転テーブル3の回転の軸とする。また、回転テーブル3の回転軸に近い側を内周側、軸から離れる側を外周側とする。
回転テーブル3の開口部と支柱3cとの間にはボールベアリング3dが配置されている。すなわち、回転テーブル3は、ボールベアリング3dを介して支柱3cに回転可能に支持されている。なお、支柱3cの先端は、後述する内周支持部IPを構成している。
回転テーブル3の上面には、ワークWを保持する保持部3aが複数設けられる。複数の保持部3aは、回転テーブル3の周方向に沿って等間隔に設けられる。回転テーブル3が回転することによって、保持部3aに保持されたワークWが回転テーブル3の周方向に移動する。言い替えると、回転テーブル3の面上には、ワークWの円周の移動軌跡である搬送経路Lが形成される。保持部3aは、例えばワークWを載置する窪み、トレイ等とすることができる。保持部3aに、ワークWを把持する静電チャック、メカチャック等のチャック部材を設けてもよい。
本実施形態ではワークWの例として、中央に凸部を有する基板を用いているが、プラズマ処理を行うワークWの種類、形状及び材料は特定のものに限定されない。例えば、平板状の基板を用いてもよいし、凹部あるいは凸部を有する湾曲した基板を用いても良い。また、金属、カーボン等の導電性材料を含むもの、ガラスやゴム等の絶縁物を含むもの、シリコン等の半導体を含むものを用いても良い。
[処理部]
回転テーブル3の保持部3aに対向する位置には、成膜装置100における各工程の処理を行う処理部4が設けられている。各処理部4は、回転テーブル3の面上に形成されるワークWの搬送経路Lに沿って、互いに所定の間隔を空けて隣接するように配置されている。保持部3aに保持されたワークWが各処理部4に対向する位置を通過することで、各工程の処理が行われる。なお、排気部2は、回転テーブル3を挟んで、処理部4と反対側に設けられている。
図1の例では、回転テーブル3上の搬送経路Lに沿って7つの処理部4が配置されている。本実施形態では、ワークWに成膜処理を行う処理部4が、成膜部4aである。成膜部4aによってワークW上に形成された膜に対して処理を行う処理部4が、膜処理部4bである。本実施形態では、成膜部4aは、回転テーブル3により搬送されるワークWに、プラズマを用いたスパッタリングにより、成膜材料を堆積させて成膜する。
また、膜処理部4bは、後酸化を行う処理部4として説明する。後酸化とは、成膜部4aで成膜された金属膜に対して、プラズマにより生成された酸素イオンによって金属膜を酸化させる処理である。なお、膜処理部4bの処理は、これには限定されない。例えば、プラズマにより生成された窒素イオン等によって金属膜を窒化させる後窒化を行ってもよい。また、酸素イオン、窒素イオンによる酸窒化を行ってもよい。成膜部4a、膜処理部4bは、周方向に間隔を空けて、配置されている。本実施形態では、成膜部4aは6つ、膜処理部4bは1つである。但し、複数の処理部4のうち、少なくとも成膜部4aが1つあればよい。
(成膜部)
成膜部4aは、図2に示すように、スパッタ源6を有する。スパッタ源6は、成膜材料の供給源である。スパッタ源6は、ターゲット61、バッキングプレート62、電極63を有する。ターゲット61は、ワークW上に堆積されて膜となる成膜材料で構成された板状の部材である。ターゲット61は、ワークWが成膜部4aに対向する位置を通過する際に、ワークWと対向する位置に設置される。本実施形態のターゲット61は、円形のものが3つ設けられている。2つのターゲット61は、中心が回転テーブル3の半径方向に並んでいる。1つのターゲット61は、その中心が、他の2つのターゲット61の中心と二等辺三角形の頂点を形成する位置に配置されている(図1参照)。
バッキングプレート62は、ターゲット61を保持する部材である。電極63は、チャンバ1の外部からターゲット61に電力を印加するための導電性の部材である。なお、スパッタ源6には、必要に応じてマグネット、冷却機構などが適宜具備されている。
ターゲット61には、電極63を介して直流電圧を印加するDC電源7が接続されている。また、チャンバ1の底部には、ターゲット61に対向する位置にスパッタガスG1をチャンバ1の内部に導入するために、スパッタガス導入部8が設置されている。スパッタガスG1は、電力の印加によって生じるプラズマにより、発生するイオンをターゲット61に衝突させて、ターゲット61の材料をワークWの表面に堆積させるためのガスである。スパッタガスG1は、例えば、アルゴン等の不活性ガスを用いることができる。
以上のようなスパッタ源6のターゲット61を囲む位置には、シールド部材S1が設けられている。シールド部材S1は、スパッタガスG1が導入されるガス空間の一部を画成し、チャンバ1の内部の搬送経路Lに向かう開口91を有する部材である。ここでいうガス空間は、成膜部4aによる成膜が行われる成膜室Dpである。「ガス空間の一部を画成」とは、ガス空間の一部の境界を形成することをいう。このため、シールド部材S1は、ガス空間の全てを形成するように覆うものではなく、シールド部材S1の回転テーブル3に対向する端面と回転テーブル3との間のガス空間は覆っていない。
シールド部材S1は、カバー部92、側面部93を有する。カバー部92は、成膜室Dpの天井を形成する部材である。カバー部92は、図2及び図3に示すように、回転テーブル3の平面と平行に配置された略扇形の板状体である。ここでいう略扇形とは、扇子の扇面の部分の形を意味する。カバー部92には、成膜室Dp内に各ターゲット61が露出するように、各ターゲット61に対応する位置に、ターゲット61の大きさ及び形状と同じターゲット孔92aが形成されている。また、シールド部材S1の内部には、ターゲット61の近傍までスパッタガス導入部8の先端が延びている。つまり、スパッタガス導入部8は、スパッタガスG1が導入される成膜室Dp内に、スパッタガスG1を供給するガス供給部である。
側面部93は、成膜室Dpの周縁の側面を形成する部材である。側面部93は、外周壁93a、内周壁93b、隔壁93c、93dを有する。外周壁93a及び内周壁93bは、円弧状に湾曲した直方体形状で、回転テーブル3の軸方向に延びた板状体である。外周壁93aの上縁は、カバー部92の外縁に取り付けられている。内周壁93bの上縁は、カバー部92の内縁に取り付けられている。
隔壁93c、93dは、平坦な直方体形状で、回転テーブル3の軸方向に延びた板状体である。隔壁93c、93dの上縁は、それぞれが、カバー部92の一対の半径方向の縁部に取り付けられている。カバー部92と側面部93との接合部は、気密に封止されている。なお、カバー部92と側面部93を、一体的に、つまり共通の材料により連続して形成してもよい。このようなシールド部材S1により、上部及び周縁の側面がカバー部92及び側面部93によって覆われ、ワークWに向かう側が開口した成膜室Dpが形成される。
この成膜室Dpは、成膜の大半が行われる領域であるが、成膜室Dpから外れる領域であっても、成膜室Dpからの成膜材料の漏れはあるため、全く膜の堆積がないわけではない。つまり、成膜部4aにおいて成膜が行われる成膜領域は、シールド部材S1で画される成膜室Dpよりもやや広い領域となる。
シールド部材S1は、平面視で回転テーブル3の半径方向における中心側から外側に向けて拡径する略扇形になっている。シールド部材S1の開口91も、同様に略扇形である。回転テーブル3上に保持されるワークWが開口91に対向する位置を通過する速度は、回転テーブル3の半径方向において中心側に向かうほど遅くなり、外側へ向かうほど速くなる。そのため、開口91が単なる長方形又は正方形であると、半径方向における中心側と外側とでワークWが開口91に対向する位置を通過する時間に差が生じる。開口91を半径方向における中心側から外側に向けて拡径させることで、ワークWが開口91を通過する時間を一定とすることができ、後述するプラズマ処理を均等にできる。ただし、通過する時間の差が製品上問題にならない程度であれば、長方形又は正方形でもよい。シールド部材S1の材質としては、例えば、アルミニウムやSUSを用いることができる。
シールド部材S1は、支持部Pによって支持されている。支持部Pは、チャンバ1に対して不動で且つ蓋体1aから独立した部材である。本実施形態では、支持部Pは、外周支持部OP、内周支持部IPを有する。外周支持部OPは、チャンバ1の底部から立設された複数の柱状の部材であり、回転テーブル3の外側であって、回転テーブル3に搭載されたワークWよりも僅かに高い位置まで延びている。内周支持部IPは、支柱3cの先端に設けられた平坦面である。この内周支持部IPは、回転テーブル3の軸方向の長さ、つまり高さが、外周支持部OPと同等となるように設定されている。
このような外周支持部OPと内周支持部IPの上に、シールド部材S1が搭載されている。これにより、外周支持部OPの上端が、シールド部材S1の外周壁93aを支持し、内周支持部IPが、シールド部材S1の内周壁93bを支持する。隔壁93c、93dと回転テーブル3との間には、回転する回転テーブル3上のワークWが通過可能な間隔が形成されている。つまり、シールド部材S1とワークWとの間に、僅かな隙間が生じるように、支持部Pの高さが設定されている。
(膜処理部)
膜処理部4bは、チャンバ1の蓋体1aに設置され、筒形に形成された電極(以下、「筒形電極」という。)10を備えている。筒形電極10は、プロセスガスG2が導入されるガス空間に、搬送経路Lを通過するワークWをプラズマ処理するためのプラズマを発生させるプラズマ源である。ここでいうガス空間は、膜処理部4bによる膜処理が行われる膜処理室Cpである。
本実施形態の筒形電極10は角筒状であり、一端に開口部11を有し、他端は閉塞されている。筒形電極10はチャンバ1の蓋体1aに設けられた貫通孔を貫通して、開口部11側の端部がチャンバ1の内部に位置し、閉塞された端部がチャンバ1の外部に位置するように配置される。筒形電極10は、絶縁材を介してチャンバ1の貫通孔の周縁に支持されている。筒形電極10の開口部11は、回転テーブル3上に形成された搬送経路Lと向かい合う位置に配置される。すなわち、回転テーブル3は、ワークWを搬送して開口部11に対向する位置を通過させる。そして、開口部11に対向する位置が、ワークWの通過位置となる。
図1及び図2に示すように、筒形電極10及びその開口部11は、シールド部材S1と同様に、上から見ると回転テーブル3の半径方向における中心側から外側に向けて拡径する略扇形になっている。略扇形としている理由は、シールド部材S1と同様であり、通過する時間の差が製品上問題にならない程度であれば、長方形又は正方形でもよい。
筒形電極10は、シールド部材S2の内部に収容されている。シールド部材S2は、プロセスガスG2が導入されるガス空間の一部を画成し、チャンバ1の内部の搬送経路Lに向かう開口13aを有するシールド部材Sとして捉えることができる。「ガス空間の一部を画成」とは、ガス空間の一部の境界を形成することをいう。このため、シールド部材S2は、ガス空間の全てを形成するように覆うものではなく、シールド部材S2の回転テーブル3に対向する端面と回転テーブル3との間のガス空間は覆っていない。なお、以下の説明では、シールド部材S1、S2を区別しない場合には、シールド部材Sと呼ぶ場合がある。
プロセスガスG2は、高周波の印加により生じるプラズマにより発生する活性種を、ワークWの表面に堆積された膜に浸透させて、化合物膜を形成するためのガスである。プロセスガスG2は、処理の目的によって適宜変更可能である。例えば、膜の酸化を行う場合には酸素、膜の窒化を行う場合には窒素、膜の酸窒化を行う場合には、酸素と窒素の混合ガスを用いる。さらに、エッチングを行う場合は、エッチングガスとしてアルゴン等の不活性ガスを用いることができる。なお、以下の説明では、スパッタガスG1、プロセスガスG2を区別しない場合には、反応ガスGと呼ぶ場合がある。
シールド部材S2は、外部シールド12、内部シールド13を有する。上述したように、筒形電極10はチャンバ1の貫通孔を貫通し、一部がチャンバ1の外部に露出している。この筒形電極10におけるチャンバ1の外部に露出した部分が、図2に示すように、外部シールド12に覆われている。外部シールド12によってチャンバ1の内部の空間が気密に保たれる。筒形電極10のチャンバ1の内部に位置する部分の周囲は、内部シールド13によって覆われている。
内部シールド13は、筒形電極10と相似形の角筒状であり、チャンバ1の内部の蓋体1aに支持されている。内部シールド13の筒の各側面は、筒形電極10の各側面と略平行に設けられる。内部シールド13の回転テーブル3に対向する端面は筒形電極10の開口部11と高さ方向において同じ位置であるが、内部シールド13の端面は、開口13aとなっている。この開口13aには、回転テーブル3の平面と平行に延びたフランジ14が設けられている。このフランジ14によって、筒形電極10の内部で発生したプラズマが内部シールド13の外部に流出することが抑制される。回転テーブル3によって搬送されるワークWは、回転テーブル3と開口13aの間の隙間を通って筒形電極10の開口部11に対向する位置に搬入され、再び回転テーブル3と開口13aの間の隙間を通って筒形電極10の開口部11の対向する位置から搬出される。
筒形電極10には、高周波電圧を印加するためのRF電源15が接続されている。RF電源15の出力側には整合回路であるマッチングボックス21が直列に接続されている。RF電源15はチャンバ1にも接続されている。筒形電極10がアノード、チャンバ1から立設する回転テーブル3がカソードとして作用する。マッチングボックス21は、入力側及び出力側のインピーダンスを整合させることで、プラズマの放電を安定化させる。なお、チャンバ1や回転テーブル3は接地されている。フランジ14を有する内部シールド13も接地される。
また、筒形電極10にはプロセスガス導入部16が接続されており、プロセスガス導入部16を介して外部のプロセスガス供給源から、シールド部材S2の内部の筒形電極10の内部に、プロセスガスG2が導入される。プロセスガス導入部16は、膜処理室Cp内に、プロセスガスG2を供給するガス供給部である。RF電源15及びプロセスガス導入部16はともに、外部シールド12に設けられた貫通孔を介して筒形電極10に接続される。
[ロードロック部]
いずれかの一組の処理部4の間には、チャンバ1内の真空を維持した状態で、外部から未処理のワークWをチャンバ1の内部に搬入し、処理済みのワークWをチャンバ1の外部へ搬出するロードロック部5が設けられている。なお、本実施形態では、ワークWの搬送方向を、平面視で時計回りとする。もちろん、これは一例であり、搬送方向、処理部4の種類、並び順及び数は特定のものに限定されず、適宜決定することができる。
[バッファ空間]
バッファ空間BFは、図1及び図4の二点鎖線に示すように、チャンバ1の内部における隣り合うシールド部材Sのガス空間を離隔させる空間である。本実施形態においては、バッファ空間BFは、図1に示すように平面視で略扇形、図4に示すように側面視で長方形状の空間である。ここでいうシールド部材Sは、シールド部材S1及びシールド部材S2も含む。つまり、バッファ空間BFは、隣り合う成膜部4aの間、隣り合う成膜部4aと膜処理部4bの間の空間である。
[突出部]
突出部30は、図4に示すように、バッファ空間BFに、回転テーブル3の回転の軸方向に突出して設けられることにより、バッファ空間BFの容積を低減した部分空間Bfを形成する部材である。また、突出部30は、図1及び図4に示すように、隣り合うシールド部材Sの一方から他方の間に、回転テーブル3の回転方向に延びた部分を有する。回転方向とは、回転テーブル3と同心円の円周に沿う方向又は円周の接線方向である。但し、回転方向に延びた部分を有していればよく、隣り合うシールド部材Sに接していても、接していなくてもよい。本実施形態では、後述するように、隔壁311a〜311dが、回転方向に連続した部分を構成している。
本実施形態の突出部30は、回転テーブル3に対向する側が開口した箱状の部材を有する。突出部30の外形は、図1、図4及び図5に示すように、バッファ空間BFと略同一の形状であり、平面視でシールド部材Sとシールド部材Sとの間を埋める略扇形で、側面視でシールド部材Sの高さと同等の長方形である。また、突出部30は、バッファ空間BFを複数の部分空間Bf1〜Bf3に区切る隔壁311a、311b、311c、311dを含む。隔壁311a〜311dは、内周側から外周側へ、回転テーブル3と半径が異なる同心円上に配置されている。回転テーブル3の軸に最も近い隔壁311aは、隣り合うシールド部材Sの内周側に配置される。隔壁311aは、略円弧状の部材であり、隔壁311aを境としてバッファ空間BFを内周側の空間と外周側の空間とに区切る。これにより、隔壁311aは、バッファ空間BFの容積を低減する。回転テーブル3の軸に最も遠い隔壁311dは、隣り合うシールド部材Sの外周側に配置される。隔壁311dは、略円弧状の部材であり、隔壁311dを境としてバッファ空間BFを内周側の空間と外周側の空間とに区切る。これにより、隔壁311dは、バッファ空間BFの容積を低減する。
隔壁311b、隔壁311cは、隣り合うシールド部材Sに亘る位置に配置され、隔壁311aと隔壁311dの間の空間を区切る。隔壁311b、311cは、バッファ空間BFの容積を低減する。このような隔壁311a〜311dによって、バッファ空間BFが、3つの部分空間Bf1〜Bf3に区切られる。各部分空間Bf1〜Bf3は、容積が異なっている。本実施形態の部分空間Bfは、回転テーブル3の軸に最も近い部分空間Bf1が最も容積が小さく、回転テーブル3の軸に最も遠い部分空間Bf3が最も容積が大きくなっている。
また、突出部30は、図5及び図6に示すように、接続板312、313a、313bを有する。接続板312は、平面視で略扇形の板状部材であり、隣り合うシールド部材Sの間に連続するようにバッファ空間BFに介在している。接続板312は、蓋体1aと平行に配置され、隔壁311a〜311dの蓋体1a側の端部に接続している。これにより、接続板312は、バッファ空間BFの容積を、蓋体1aと接続板312との間にある空間と回転テーブル3と接続板312との間にある空間とに区切る。つまり、接続板312は、回転テーブル3と接続板312との間にある空間の高さを制限する。
接続板313a、313bは、シールド部材Sの側面と略同一の形状の板状の部材である。接続板313a、313bは、それぞれシールド部材Sの側面に沿って設けられ、隔壁311a〜311dの側縁に接続されている。これにより、接続板313a、313bは、バッファ空間BFの容積を、シールド部材Sと接続板313aとの間にある空間と、接続板313aと接続板313bとの間にある空間と、接続板313bとシールド部材Sとの間にある空間とに区切る。つまり、接続板313a、313bは、接続板313aと接続板313bとの間にある空間における回転方向の幅を制限する。本実施形態では、接続板313a、313bがシールド部材Sと接することにより、反応ガスGが流入する隙間を極力排除している。このようにすることで、シールド部材Sと回転テーブル3との間に形成されたワークWが通過可能な間隔は、接続板313a、313bの板厚分だけ回転テーブル3の回転方向に長くなる。このため、反応ガスGが成膜室Dpあるいは膜処理室Cpから漏れる量を抑えることができる。
なお、本実施形態においては、隔壁311a、接続板313a、隔壁311d、接続板313bが連続して形成されることにより、回転テーブル3の軸に直交する断面が、略扇形である角筒形状の枠315を構成している。この枠315の回転テーブル3に対向する側は、突出部30の開口315aとなっている。開口315aには、図4及び図5に示すように、縁部に沿って帯状に内側に突出した折込部315bが設けられている。折込部315bを設けることで、シールド部材Sと回転テーブル3との間に形成されたワークWが通過可能な間隔は、折込部315bの突出した分だけ回転テーブル3の回転方向に長くなる。このため、反応ガスGが成膜室Dpあるいは膜処理室Cpから漏れる量を抑えることができる。
突出部30は、図4及び図6に示すように、シールド部材S1と同様の支持部Pによって支持されている。本実施形態においては、枠315の開口315aの端面が外周支持部OP、内周支持部IPによって支持されている。つまり、突出部30は、回転テーブル3の軸に最も遠い位置が、外周支持部ОPによって支持され、回転テーブル3の軸に最も近い位置が、内周支持部IPによって支持されている。これにより、突出部30は、ワークWが通過可能な間隔を空けて支持される。
[排気部]
排気部40は、図4に示すように、バッファ空間BFを排気する装置である。本実施形態の排気部40は、真空ポンプである。排気部40は、複数の部分空間Bf1〜Bf3にそれぞれ設けられている。つまり、蓋体1a、接続板312には、部分空間Bf1〜Bf3に対応してそれぞれ貫通孔H1〜H3、h1〜h3が形成され、貫通孔H1〜H3、h1〜h3に排気部40が接続されている。なお、排気部40は、真空ポンプを含む空気圧回路によって構成してもよい。この場合、各貫通孔H1〜H3に空気圧回路の配管の端部が接続される。このように排気部40が接続された箇所が、排気位置である。このように、バッファ空間BF内に形成される複数の部分空間Bfは、バッファ空間BF内の圧力を調整する圧力調整室として機能する。なお、図4では、B−B断面では表れないチャンバ1の排気部2を点線で示している。この排気部2による排気箇所も、バッファ空間BFからの排気位置として機能する。
[制御部]
成膜装置100は、さらに制御部20を備えている。制御部20はPLCやCPUなどを含むプロセッサと呼ばれる演算処理装置から構成される。制御部20は、チャンバ1へのスパッタガスG1およびプロセスガスG2の導入および排気に関する制御、DC電源7及びRF電源15の制御、および、回転テーブル3の回転速度の制御、排気部40の排気の制御などの制御を行う。
[動作]
本実施形態の成膜装置100の動作を説明する。蓋体1aによって封止されたチャンバ1の内部は、図2の黒塗りの矢印に示すように、排気部2によって排気されて真空状態にされる。チャンバ1内の真空状態を維持しつつ、ロードロック部5から、未処理のワークWをチャンバ1内に搬入する。搬入されたワークWは、ロードロック部5に順次位置決めされる回転テーブル3の保持部3aによって保持される。さらに、回転テーブル3を連続して回転させることにより、ワークWを搬送経路Lに沿って回転搬送して、各処理部4に対向する位置を通過させる。
成膜部4aでは、スパッタガス導入部8からスパッタガスG1を導入し、DC電源7からスパッタ源6に直流電圧を印加する。直流電圧の印加によってスパッタガスG1がプラズマ化され、イオンが発生する。発生したイオンがターゲット61に衝突すると、ターゲット61の材料が飛び出す。飛び出した材料が成膜部4aに対向する位置を通過するワークWに堆積することで、ワークW上に薄膜が形成される。ただし、必ずしもすべての成膜部4aで成膜する必要はない。一例として、ここでは、1つの成膜部4aを用いてワークWに対してSi等の金属膜をDCスパッタリングにより成膜する。
成膜部4aで成膜が行われたワークWは、引き続き搬送経路L上を回転テーブル3によって搬送され、膜処理部4bにおいて、筒形電極10の開口部11に対向する位置、すなわち膜処理位置を通過する。本実施形態では、膜処理部4bにおいて後酸化を行う例を説明する。膜処理部4bでは、プロセスガス導入部16から筒形電極10内にプロセスガスG2である酸素ガスを導入し、RF電源15から筒形電極10に高周波電圧を印加する。高周波電圧の印加によって酸素ガスがプラズマ化され、電子、イオン及びラジカル等が発生する。プラズマはアノードである筒形電極10の開口部11から、カソードである回転テーブル3へ流れる。プラズマ中のイオンが開口部11の下を通過するワークW上の薄膜に衝突することで、薄膜が後酸化される。
以上のような処理の過程において、バッファ空間BFは、部分空間Bf1〜Bf3毎に排気部40によって減圧され、図4の白塗りの矢印に示すように、処理部4から流出した反応ガスGが排気される。つまり、成膜部4aのシールド部材S1から流出したスパッタガスG1、膜処理部4bのシールド部材S2から流出したプロセスガスG2は、バッファ空間BFに流入するが、排気部40によって排出される。このため、隣り合う処理部4の相互間で、スパッタガスG1とプロセスガスG2又はスパッタガスG1同士が干渉し合って、膜質の面内の均一性が損なわれることが防止される。なお、排気部2によっても、反応ガスGが排気される。
[作用効果]
(1)本実施形態の成膜装置100は、内部を真空とすることが可能なチャンバ1と、チャンバ1内に設けられ、回転することにより円周の搬送経路Lに沿ってワークWを搬送する搬送部である回転テーブル3と、回転テーブル3により搬送されるワークWに対して、導入された反応ガスGをプラズマ化して所定の処理を行う複数の処理部4と、処理部4に設けられ、反応ガスGが導入されるガス空間の一部を画成し、チャンバ1の内部の搬送経路Lに向かう開口13aを有するシールド部材Sと、チャンバ1の内部における隣り合うシールド部材Sの間に設けられ、隣り合うシールド部材Sのガス空間を離隔させるバッファ空間BFと、バッファ空間BFを排気する排気部40と、を有する。
そして、少なくとも1つの処理部4は、ワークWに、スパッタリングにより成膜材料を堆積させて膜を形成する成膜部4aを含み、バッファ空間BFに、回転テーブル3の回転の軸方向に突出して設けられることにより、バッファ空間BFの容積を低減した部分空間Bfを形成する突出部30を有する。
ここで、排気の効率を高めるためには、回転テーブル3の周方向に隣り合うシールド部材S間の間隔を狭めて、バッファ空間BFの容積を小さくすることが考えられる。しかし、隣り合うシールド部材S間の間隔を周方向に狭めると、隣り合うシールド部材Sから排出された反応ガスGが干渉しやすくなる。本実施形態では、突出部30によって、バッファ空間BFの容積が、回転テーブル3の回転の軸方向に突出することにより低減される。このため、回転テーブル3の周方向に距離を狭めることなく、バッファ空間BFの容積を低減して排気効率を高めることができ、処理部4間で互いに反応ガスGが流入することによる混入を抑制できる。
(2)突出部30は、隣り合うシールド部材Sの一方から他方の間に、回転テーブル3の回転方向に延びた部分を有する。このため、シールド部材S1から流入する反応ガスGが、回転テーブル3の周方向に流れ、反応ガスGの排出が促進される。
(3)突出部30は、バッファ空間BFを区切る隔壁311a〜311dを含む。このため、バッファ空間BFのうち、反応ガスGの流入が多い箇所に対応するいずれかの部分空間Bf1〜Bf3について、容積が細分化されるため、反応ガスGの排出を高速化できる。蓋体1aの回転テーブル3の回転軸と対向する部分にチャンバ1全体を排気する排気部2を設けた場合、バッファ空間BFおよびロードロック部5は、真空排気されやすい。しかし、成膜室Dpおよび膜処理室Cpは、シールド部材Sによって囲まれており、特にシールド部材S1の内周壁93bは、支柱3cに保持されているため、内周側からの排気は望めない。すると、成膜室Dpおよび膜処理室Cpの排気は、シールド部材Sの端部と回転テーブル3との間の隙間からのみとなる。この場合、チャンバ1内を大気圧と同等の圧力にしてからメンテナンスを行った後、チャンバ1内を再び減圧する際に、成膜室Dpおよび膜処理室Cpの排気に時間がかかってしまう。また、蓋体1aの回転テーブル3の回転軸と対向する部分以外に排気部2を設ける場合も考えられる。しかし、蓋体1aには複数の処理部4を設ける必要がある。そして、チャンバ1全体を排気できる排気能力が高い真空ポンプは、大型となる。隣り合う処理部4間に排気部2である大型の真空ポンプを設置しようとすると、排気部2を設置するスペースを確保しなければならない。結果的に、蓋体1aに設けられる処理部4の数に制限がかかる。このため、排気部2は、回転テーブル3を挟んで、複数の処理部4と反対側に設けられている。すると、チャンバ1の排気部2によって排気しても、バッファ空間BFの外周側からは排気され易いが、内周側からは排気され難く反応ガスGが回転方向に拡散し易い。また、バッファ空間BFの内周側は、外周側と比べると、隣接するシールド部材S間の距離が短い。このため、シールド部材Sの内周側で処理部4の一方から他方へと反応ガスGがより流入してしまう。
本実施形態では、回転テーブル3の回転軸近傍に容積が小さな部分空間Bf1が設けられ、この部分空間Bfを排気部40で排気する。このため、最も排気し難く反応ガスGが混入しやすい箇所の排気が高速化され、反応ガスGの干渉を抑制できる。また、排気する容積を小さくしたことで、部分空間Bf1を排気するための排気部40は、小型のポンプを用いることができる。このため、複数の処理部4が設けられた蓋体1aに排気部40を配置することができる。
(4)排気部40は、複数の部分空間Bf1〜Bf3にそれぞれ設けられている。このため、バッファ空間BFの全体からの排気を高速化できる。
[変形例]
本発明の実施形態は、上記の態様に限定されるものではなく、以下のような変形例も含む。
(1)突出部30は、回転テーブル3の回転の軸方向の長さが異なる部分を有していてもよい。例えば、突出部30の回転テーブル3の回転の軸方向の長さが、回転テーブル3の外周から軸に向かうに従って短く形成されていてもよい。つまり、図7に示すように、突出部30の隔壁311c、311bを、回転テーブル3の回転の軸に向かうに従って短く形成する。この場合、排気部40の排気位置を、回転テーブル3の外周側よりも軸側に寄った位置、例えば、部分空間Bf1にのみ設けてもよい。これにより、外周側から内周側への反応ガスGの流れが生じやすくなるとともに、反応ガスGが滞留し易い軸側が最も排気が促進される。
また、部分空間Bf2内の圧力を部分空間Bf1内の圧力よりも低い圧力としてもよい。こうすることで、差圧により部分空間Bf1内の反応ガスGの一部が部分空間Bf2へと流入し、部分空間Bf2から排気される。部分空間Bf1での反応ガスGが処理部4の一方から他方へと流入することをより防ぐことができる。
(2)隔壁311a〜311dは、円弧状でなくてもよい。例えば、回転テーブル3の同心円の接線方向に延びた直線状であってもよい。また、同心円に沿った円弧状、接線方向に延びた直線状でなくてもよい。バッファ空間BFを部分空間Bf1〜Bf3に区切るためには、最低限、隔壁311b、311cを有していればよい。つまり、内周側の隔壁311aと外周側の隔壁311dは、これに代替されるものがあれば、省略してもよい。例えば、隔壁311aについては、支柱3cが蓋体1aと接していれば省略できる。隔壁311dについては、チャンバ1の内周がシールド部材Sの外周に接していれば省略できる。また、接続板312、接続板313a及び接続板313bも省略してもよい。この場合、支持部Pによる支持ができないので、隔壁311b、311cを、蓋体1aに取り付けるとよい。あるいは、隣り合うシールド部材Sに接続してもよい。なお、隔壁311a〜311dのいずれかに、貫通孔を形成して、反応ガスGの流れを生じやすくしてもよい。また、外周側の反応ガスGの流入量が膜質分布に影響を与えない程度であったなら、隔壁311bのみとしてもよい。つまり、隔壁は複数であっても1つであってもよい。この場合、部分空間Bf1のみ排気する排気部40を設ければよい。
さらに、図8に示すように、隔壁311eを回転テーブル3の半径方向に設けてもよい。この場合、バッファ空間BFを、一方のシールド部材S側の部分空間Bf4と他方のシールド部材S側の部分空間Bf5に分けることができ、それぞれに排気部40を設けることができる。これにより、それぞれのシールド部材Sから流出した反応ガスGが混合する前に、排気することができる。また、部分空間Bf4の圧力と部分空間Bf5の圧力に差を設けてもよい。例えば、一方のシールド部材Sで形成されるガス空間Gs4(以下、単にガス空間Gs4と称する。)の圧力が他方のシールド部材Sで形成されるガス空間Gs5(以下、単にガス空間Gs5と称する。)の圧力よりも低い場合、ガス空間Gs5からガス空間Gs4へと反応ガスGが流入しやすい。ここで、ガス空間Gs4で使用される反応ガスGがガス空間Gs5に流入したとしても膜質に影響を与えない場合がある。この場合、部分空間Bf4の圧力を部分空間Bf5の圧力よりも高くすることによっても、ガス空間Gs5から流出した反応ガスGがガス空間Gs4へと流入することを防ぐことができる。
(3)突出部30は、回転テーブル3の回転の軸方向に突出して設けられることにより、複数の部分空間Bfを形成する構成であればよい。このため、突出部30は、隔壁311a〜311dのような板状の部材を有する場合には限定されない。
例えば、図9、図10に示すように、突出部30が段差を有する突出部材316を有していてもよい。この突出部材316は、隣り合うシールド部材Sの一方から他方の間に、回転テーブル3の周方向に連続して設けられている。突出部材316は、回転テーブル3の軸側から外周側に向かって、軸方向の長さが短くなることにより、階段状の面を形成する階段面316aを有している。この例では、段数は3段となっている。
突出部材316は、枠315内のバッファ空間BFに突出するように固定された中実の扇形のブロック状部材であり、その階段面316aが回転テーブル3に対向している。これにより、回転テーブル3の軸側から外周側に向かって容積が大きくなるように、複数の部分空間Bf1〜Bf3が形成される。この部分空間Bf1〜Bf3は、反応ガスGが流通可能となるように連通している。この場合、排気部2からの排気によって、内周側から外周側への気流が生じて、反応ガスGの排気が促進される。さらに、チャンバ1の外周側の側面に、開口H4を形成し、排気部40を配設することにより、反応ガスGをより高速に排気できる。
なお、突出部材316は、回転テーブル3の外周側から軸側に向かって、軸方向の長さが短くなることにより、階段状の面が形成されていてもよい。これにより、容積が異なるバッファ空間BFを形成してもよい。この場合、軸方向の長さによっては、バッファ空間BFの容積が、回転テーブル3の外周側が大きくなる、内周側が大きくなる、均等になる等、種々の態様が考えられる。この場合には、排気部40の排気位置を、回転テーブル3の外周側よりも軸側に寄った位置、例えば、図7に示した位置としてもよい。これにより、外周側から内周側への反応ガスGの流れが生じやすくなるとともに、反応ガスGが滞留し易い軸側が最も排気が促進される。
(4)部分空間の数は、3つには限定されない。2つであっても、4つ以上であってもよく、これに応じて隔壁の数を設ける。突出部材316に階段面316aを設ける場合、その段数は3段には限定されない。2段であっても、4段以上であってもよい。さらに、突出部材316は、全体として段差を有しない傾斜面によって、回転テーブル3の回転の軸方向の長さが異なる形状としてもよい。この場合、部分空間Bfは、バッファ空間BFの容積が低減された単一の空間となる。但し、階段面316aを有する方が、段数によって圧力を調整しやすい。
(5)上記の態様では、搬送部を回転テーブル3としているが、搬送部は回転テーブル3には限定されない。回転中心から放射状に延びたアームにトレイやワークを保持して回転する態様であってもよい。また、処理部4がチャンバ1の底部側にあり、処理部4と回転テーブル3との上下関係が逆となっていてもよい。この場合、保持部3aが配設される回転テーブル3の表面は、回転テーブル3が水平方向である場合に下方を向く面、つまり下面となる。シールド部材Sの開口91、13a、突出部30の開口315aは上方を向く。
成膜装置100の設置面は、床面であっても、天井であっても、側壁面であってもよい。上記の態様では、水平に配置した回転テーブル3の上面に保持部3aを設け、この回転テーブル3を水平面内で回転させ、この回転テーブル3の上方に処理部4、突出部30を配置するものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、回転テーブル3の配置は、水平に限らず垂直の配置でも傾斜した配置でもよい。また、保持部3aを、回転テーブル3の相反する面に設けるようにしてもよい。つまり、本発明は、搬送部の回転平面の方向はどのような方向であってもよく、保持部3aの位置、処理部4の位置は、保持部3aに保持されたワークWに処理部4が対向する位置であればよい。これに応じて、処理部4の間にバッファ空間BF及び突出部30を設ければよい。
(6)処理部4において、プラズマを発生させる装置は、上記の態様には限定されない。反応ガスGを用いたプラズマ処理により成膜、膜処理を行うことができる装置であればよい。
(7)シールド部材S、突出部30の軸に直交する方向の断面は、略扇形には限定されない。断面が長方形状となる角筒形状であってもよいし、断面が角丸長方形状となる円筒形状であってもよい。但し、シールド部材Sの断面を略扇形とする方が、半径方向の速度差による処理量の相違を周長差によって補うことができる。また、突出部30の断面を略扇形とする方が、シールド部材Sとの隙間を低減して、余分な隙間に反応ガスGが流入することを防止できる。
(8)以上、本発明の実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。各請求項の発明をどのように組み合わせた態様とするかは自由である。
1 チャンバ
1a 蓋体
2 排気部
3 回転テーブル
3a 保持部
3b 回転筒
3c 支柱
3d ボールベアリング
4 処理部
4a 成膜部
4b 膜処理部
5 ロードロック部
6 スパッタ源
7 DC電源
8 スパッタガス導入部
10 筒形電極
11 開口部
12 外部シールド
13 内部シールド
13a 開口
14 フランジ
15 RF電源
16 プロセスガス導入部
20 制御部
21 マッチングボックス
30 突出部
40 排気部
61 ターゲット
62 バッキングプレート
63 電極
91 開口
92 カバー部
92a ターゲット孔
93 側面部
93a 外周壁
93b 内周壁
93c 隔壁
93d 隔壁
316 突出部材
311a〜311e 隔壁
312、313a、313b :接続板
315a 開口
315b 折込部
315 枠
316a 階段面
BF バッファ空間
Bf1〜Bf5 部分空間
Cp 膜処理室
100 成膜装置
Dp 成膜室
G 反応ガス
G1 スパッタガス
G2 プロセスガス
H1、H2、H3 貫通孔
IP 内周支持部
L 搬送経路
OP 外周支持部
P 支持部
S、S1、S2 シールド部材
W ワーク

Claims (8)

  1. 内部を真空とすることが可能なチャンバと、
    前記チャンバ内に設けられ、回転することにより円周の搬送経路に沿ってワークを搬送する搬送部と、
    前記搬送部により搬送される前記ワークに対して、導入された反応ガスをプラズマ化して所定の処理を行う複数の処理部と、
    前記処理部に設けられ、前記反応ガスが導入されるガス空間の一部を画成し、前記チャンバの内部の前記搬送経路に向かう開口を有するシールド部材と、
    前記チャンバの内部における隣り合う前記シールド部材の間に設けられ、隣り合う前記シールド部材の前記ガス空間を離隔させるバッファ空間と、
    前記バッファ空間を排気する排気部と、
    を有し、
    少なくとも1つの前記処理部は、前記ワークに、スパッタリングにより成膜材料を堆積させて膜を形成する成膜部を含み、
    前記バッファ空間に、前記搬送部の回転の軸方向に突出して設けられることにより、前記バッファ空間の容積を低減した部分空間を形成する突出部を有することを特徴とする成膜装置。
  2. 前記突出部は、隣り合う前記シールド部材の一方から他方の間に、前記搬送部の回転方向に延びた部分を有することを特徴とすることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
  3. 前記突出部は、前記バッファ空間を区切ることにより複数の部分空間を形成する隔壁を含むことを特徴とする請求項2記載の成膜装置。
  4. 前記排気部の排気位置は、前記複数の部分空間にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項3記載の成膜装置。
  5. 前記突出部は、前記搬送部の回転の軸方向の長さが、前記搬送部の外周から前記搬送部の回転の軸に向かうに従って短く形成される部分を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の成膜装置。
  6. 前記排気部の排気位置は、前記搬送部の外周よりも前記搬送部の回転の軸に寄った位置に設けられていることを特徴とする請求項5記載の成膜装置。
  7. 前記突出部は、前記軸方向の長さが、前記搬送部の回転の軸から前記搬送部の外周に向かうに従って短く形成された部分を有することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の成膜装置。
  8. 前記排気部の排気位置は、前記搬送部の回転の軸よりも前記外周に寄った位置に設けられていることを特徴とする請求項7記載の成膜装置。
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