ところで、無線LANにおいて複数のアクセスポイントを管理する無線LANコントローラは、無線LANに接続された通信機器の実際のスループットを得ることができなかった。
無線LANに接続された通信機器のスループットを得て無線LANを監視する従来の方法は、装置の製品コストや設置費用等のイニシャルコストが高額であったり、通信料金や電気料金等のイニシャルコスト(維持コスト)が高額であったりする、という課題があった。
そこで、本発明は無線LANを安価に監視することのできるネットワーク監視装置、ネットワーク監視システム、ネットワーク監視方法、及びネットワーク監視プログラムを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るネットワーク監視装置は、第1無線通信方式を用いてアクセスポイントを含む無線LANを介するデータ通信を行い、当該データ通信のスループットを測定するスループット測定部と、第1無線通信方式と異なる第2無線通信方式を用いてスループットを送信する送信部と、を備え、第1無線通信方式は相対的に高い通信速度の無線通信方式であり、前記第2無線通信方式は相対的に低い通信速度の無線通信方式である。
この態様によれば、無線LANを介するデータ通信のスループットが測定される。これにより、無線LANにおけるスループットの低下を検知することが可能となる。また、第1無線通信方式と異なる第2無線通信方式を用いてスループットが送信される。これにより、ルーティングの問題が発生しない。さらに、第1無線通信方式は相対的に高い(速い)通信速度であり、第2無線通信方式の無線通信方式は相対的に低い(遅い)通信速度である。例えば、LTE、4G、5G等の移動体通信方式を用いると、高速無線通信が可能となるものの、通信料金は高額になる傾向があるのに対して、低速の無線通信方式を用いると通信料金は低額になる傾向がある。ここで、ネットワーク監視装置が測定するスループットは、データの容量(サイズ)が小さく、低速の通信速度で送信することが可能である。よって、相対的に低い(遅い)通信速度の第2無線通信方式を用いてスループットを送信することで、無線LANを安価に監視することができる。
前述の態様において、第1無線通信方式を用いて無線LANの電波強度を測定する電波強度測定部をさらに備え、送信部は、第2無線通信方式を用いて電波強度を送信してもよい。
この態様によれば、第2無線通信方式を用いて無線LANの電波強度が測定されるこれにより、無線LANにおける電波強度の低下を検知することが可能となる。(請求項2,9)
前述の態様において、第1無線通信方式を用いてアクセスポイントから無線LANに関する無線LAN情報を取得する取得部をさらに備え、送信部は、第2無線通信方式を用いて無線LAN情報を送信してもよい。
この態様によれば、第1無線通信方式を用いてアクセスポイントから無線LAN情報が取得される。これにより、無線LAN情報によって、スループットの低下及び電波強度の低下の原因を特定することが可能となる。(請求項3,10)
前述の態様において、第1無線通信方式はインターネットプロトコルに従う無線通信方式であり、第2無線通信方式はLPWAに関する無線通信方式であってもよい。
この態様によれば、第1無線通信方式はインターネットプロトコルに従う通信方式である。これにより、ネットワーク監視装置は、無線LANを介してインターネットに接続することができる。また、第2無線通信方式はLPWAに関する無線通信方式である。ここで、LPWAの無線通信方式は、通信速度は速くないが、通信料金が安く、最大10から50[km]程度の長距離の通信が可能であり、低消費電力であるという特徴を有する。よって、第2無線通信方式がLPWAに関する無線通信方式であることで、無線LANを監視するランニングコスト(維持コスト)を削減することができる。
前述の態様において、無線LAN情報は、アクセスポイントのMACアドレス、SSID、当該SSIDの電波強度、及び周波数チャネルのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
この態様によれば、無線LAN情報は、アクセスポイントのMACアドレス、SSID、当該SSIDの電波強度、及び周波数チャネルのうちの少なくとも一つを含む。これにより、スループットの低下及び電波強度の低下の原因を容易に特定することできる。
本発明の他の態様に係るネットワーク監視システムは、前述のネットワーク監視装置と、ネットワーク監視装置からスループットを含むネットワーク情報を取得する中央監視装置と、を備える。
この態様によれば、ネットワーク監視装置からスループットを含むネットワーク情報が取得される。これにより、中央監視装置が無線LANにおけるデータ通信のスループットを分析することが可能となる。また、スループットを含むネットワーク情報を周期的に取得することで、無線LANの経時的変化を検知することが可能となる。
前述の態様において、中央監視装置は、無線LANに含まれるコントローラから無線LANに接続された通信機器に関する接続機器情報を取得してもよい。
この態様によれば、無線LANに含まれるコントローラから接続機器情報が取得される。これにより、無線LANにおけるアクセスポイントの過不足等を判断することが可能となる。
本発明の他の態様に係るネットワーク監視方法は、ネットワーク監視装置のネットワーク監視方法であって、ネットワーク監視装置が、第1無線通信方式を用いてアクセスポイントを含む無線LANを介するデータ通信を行い、当該データ通信のスループットを測定するスループット測定ステップと、ネットワーク監視装置が、第1無線通信方式と異なる第2無線通信方式を用いてスループットを送信する送信ステップと、を含み、第1無線通信方式は相対的に高い通信速度の無線通信方式であり、第2無線通信方式は相対的に低い通信速度の無線通信方式である。
この態様によれば、無線LANを介するデータ通信のスループットが測定される。これにより、無線LANにおけるスループットの低下を検知することが可能となる。また、第1無線通信方式と異なる第2無線通信方式を用いてスループットが送信される。これにより、ルーティングの問題が発生しない。さらに、第1無線通信方式は相対的に高い(速い)通信速度であり、第2無線通信方式の無線通信方式は相対的に低い(遅い)通信速度である。例えば、LTE、4G、5G等の移動体通信方式を用いると、高速無線通信が可能となるものの、通信料金は高額になる傾向があるのに対して、低速の無線通信方式を用いると通信料金は低額になる傾向がある。ここで、ネットワーク監視装置が測定するスループットは、データの容量(サイズ)が小さく、低速の通信速度で送信することが可能である。よって、相対的に低い(遅い)通信速度の第2無線通信方式を用いてスループットを送信することで、無線LANを安価に監視することができる。
前述の態様において、ネットワーク監視装置が、第1無線通信方式を用いて無線LANの電波強度を測定する電波強度測定ステップをさらに含み、送信ステップは、第2無線通信方式を用いて電波強度を送信することを含んでもよい。
この態様によれば、第2無線通信方式を用いて無線LANの電波強度が測定される。これにより、無線LANにおける電波強度の低下を検知することが可能となる。
前述の態様において、ネットワーク監視装置が、第1無線通信方式を用いてアクセスポイントから無線LANに関する無線LAN情報を取得する無線LAN情報取得ステップをさらに含み、送信ステップは、第2無線通信方式を用いて無線LAN情報を送信することを含んでもよい。
この態様によれば、第1無線通信方式を用いてアクセスポイントから無線LAN情報が取得される。これにより、無線LAN情報によって、スループットの低下及び電波強度の低下の原因を特定することが可能となる。
本発明の他の態様に係るネットワーク監視方法は、ネットワーク監視装置と中央監視装置とを備えるネットワーク監視システムのネットワーク監視方法であって、前述のネットワーク監視方法の各ステップと、中央監視装置がネットワーク監視装置からスループットを含むネットワーク情報を取得するネットワーク情報取得ステップと、を含む。
この態様によれば、ネットワーク監視装置からスループットを含むネットワーク情報が取得される。これにより、中央監視装置が無線LANにおけるデータ通信のスループットを分析することが可能となる。また、スループットを含むネットワーク情報を周期的に取得することで、無線LANの経時的変化を検知することが可能となる。
前述の態様において、中央監視装置が、無線LANに含まれるコントローラから無線LANに接続された通信機器に関する接続機器情報を取得する接続機器情報取得ステップをさらに含んでもよい。
この態様によれば、無線LANに含まれるコントローラから接続機器情報が取得される。これにより、無線LANにおけるアクセスポイントの過不足等を判断することが可能となる。
本発明の他の態様に係るネットワーク監視プログラムは、ネットワーク監視装置のコンピュータに実行させるネットワーク監視プログラムであって、第1無線通信方式を用いてアクセスポイントを含む無線LANを介するデータ通信を行い、当該データ通信のスループットを測定するスループット測定ステップと、第1無線通信方式と異なる第2無線通信方式を用いてスループットを送信する送信ステップと、を含み、第1無線通信方式は相対的に高い通信速度の無線通信方式であり、第2無線通信方式は相対的に低い通信速度の無線通信方式である。
この態様によれば、無線LANを介するデータ通信のスループットが測定される。これにより、無線LANにおけるスループットの低下を検知することが可能となる。また、第1無線通信方式と異なる第2無線通信方式を用いてスループットが送信される。これにより、ルーティングの問題が発生しない。さらに、第1無線通信方式は相対的に高い(速い)通信速度であり、第2無線通信方式の無線通信方式は相対的に低い(遅い)通信速度である。例えば、LTE、4G、5G等の移動体通信方式を用いると、高速無線通信が可能となるものの、通信料金は高額になる傾向があるのに対して、低速の無線通信方式を用いると通信料金は低額になる傾向がある。ここで、ネットワーク監視装置が測定するスループットは、データの容量(サイズ)が小さく、低速の通信速度で送信することが可能である。よって、相対的に低い(遅い)通信速度の第2無線通信方式を用いてスループットを送信することで、無線LANを安価に監視することができる。
本発明によれば、本発明は無線LANを安価に監視することのできるネットワーク監視装置、ネットワーク監視システム、ネットワーク監視方法、及びネットワーク監視プログラムを提供することができる。
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。さらに、本発明の技術的範囲は、当該実施形態に限定して解するべきではない。
図1から図5は、本発明の一実施形態に係るネットワーク監視装置、ネットワーク監視システム、ネットワーク監視方法、及びネットワーク監視プログラムを示すためのものである。まず、図1を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るネットワーク監視システムの概略構成について説明する。同図は、本発明の一実施形態に係るネットワーク監視システム100の構成を概略的に示す構成図である。
図1に示すように、ネットワーク監視システム100は、無線LAN(Local Area Network)101を監視するためのものである。無線LAN101は、例えば、物理的、地理的に離れた複数の店舗、オフィス、事業所等のそれぞれに構築されるものであり、イントラネット等のプライベートネットワークである。無線LAN101は、インフラストラクチャモードで動作し、無線LANコントローラWCと、アクセスポイントAP1,AP2と、を含んで構成される。
本実施形態では、図1において、無線LAN101が2つのアクセスポイントAP1,AP2を含む例を示したが、これに限定されるものではない。無線LAN101は、少なくとも1つのアクセスポイントを含んでいればよく、例えば3つ以上のアクセスポイントを含んでいてもよい。
通信機器CD1〜CD4は、それぞれ、アクセスポイントAP1及びアクセスポイントAP2のいずれか一方に接続され、無線LAN101を介するデータ通信を行うように構成されている。各通信機器CD1〜CD4は、例えば、スマートフォン、携帯電話機、個人情報端末(PDA)、タブレット端末、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤ、ウェアラブル端末、PC(Personal Computer)、ネットワークプリンタ、デジタル複合機等の情報通信機器である。
また、無線LAN101は、バックボーンネットワークBNに接続されている。バックボーンネットワークBNは、例えばインターネットである。各通信機器CD1〜CD4は、無線LAN101及びバックボーンネットワークBNを介して、バックボーンネットワークBNに接続される装置、例えば後述する速度測定用サーバSVとの間で通信(送受信)することができる。
ネットワーク監視システム100は、ネットワーク監視装置10と、中央監視装置90と、を備える。
ネットワーク監視装置10は、アクセスポイントAP1及びアクセスポイントAP2のいずれか一方に接続され、無線LAN101を介して通信(送受信)するように構成されている。また、ネットワーク監視装置10は、無線LAN101を介するデータ通信の無線通信方式とは異なる通信方式を用い、受信装置REとの間で通信(送受信)するように構成されている。
中央監視装置の概要
中央監視装置90は、バックボーンネットワークBNに接続されており、受信装置RE及びバックボーンネットワークBNを介して、ネットワーク監視装置10との間で通信可能に構成されている。また、中央監視装置90は、バックボーンネットワークBN及び無線LAN101を介して、当該無線LAN101の無線LANコントローラWCとの間で通信可能に構成されている。
本実施形態では、図1において、ネットワーク監視システム100が1つの無線LAN101を監視する例を示したが、これに限定されるものではない。ネットワーク監視システム100は、前述したように店舗ごとに無線LANが構築される場合に、その全てを監視するようにしてもよい。この例において、ネットワーク監視システム100は、各無線LANに対して少なくとも1つのネットワーク監視装置10を備え、全ての無線LANに対して少なくとも1つの中央監視装置90を備える。
次に、図2を参照しつつ、本発明の一実施形態に従うネットワーク監視装置の概略構成について説明する。同図は、図1に示したネットワーク監視装置10の構成を概略的に示すブロック図である。
ネットワーク監視装置10は、例えばコンピュータ等の情報処理装置である。具体的には、ネットワーク監視装置10は、ラズベリーパイ(Rasberry Pi)等のシングルボードコンピュータである。シングルボードコンピュータは、通常のコンピュータと比較して、簡素な構成であるとともに、有線及び無線の通信機能を備えており、製品コスト、設置費用等のイニシャルコストが安価であり、かつ、低消費電力のコンピュータである。そのため、シングルボードコンピュータは、ネットワーク監視装置10のようなIoT(Internet Of Things)機器に適している。
図2に示すように、ネットワーク監視装置10は、無線LAN通信部20と、LPWA(Low Power Wide Area)通信部30と、記憶部40と、制御部50と、を備える。また、ネットワーク監視装置10は、ネットワーク監視装置10の各部の間で信号やデータを伝送するように構成されたバス11をさらに備える。
無線LAN通信部20は、アンテナ21に接続されている。アンテナ21は、例えば5[GHz]帯、2.4[GHz]帯等の周波数帯で、電波(電磁波)を放射(輻射)及び受波できるように構成されている。無線LAN通信部20は、アンテナ21を用いて、例えばWi−Fi(Wireless Fidelity)等の規格に従う無線LANの無線通信方式に基づいて、通信を行うように構成されている。より具体的には、無線LAN通信部20の無線通信方式は、インターネットプロトコル(IP:Internet Protocol)に従う無線通信方式である。これにより、ネットワーク監視装置10は、無線LAN101を介してインターネットに接続することができる。
無線LAN通信部20の無線通信方式の通信速度は、IEEE802.11bの規格に従う場合、最大で11[Mbps]であり、IEEE802.11acの規格に従う場合、最大で6.9[Mbps]である。
LPWA通信部30は、アンテナ31に接続されている。アンテナ31は、例えばISM(Industry Science Medical)バンド、具体的には2.4[GHz]帯、920[MHz]帯、915[MHz]帯、866[MHz]帯、280[MHz]帯等の周波数帯で、電波(電磁波)を放射(輻射)及び受波できるように構成されている。LPWA通信部30は、アンテナ31を用いて、無線LAN通信部20の無線通信方式とは異なる無線通信方式、例えば、RoLa(又はRoLaWAN)、NB−IoT、EnOcean等のLPWAの無線通信方式に基づいて、通信を行うように構成されている。ここで、LPWAの無線通信方式は、通信速度は速くないが、通信料金が安く、最大10から50[km]程度の長距離の通信が可能であり、低消費電力であるという特徴を有する。よって、LPWA通信部30の無線通信方式がLPWAに関する無線通信方式であることで、無線LAN101を監視するランニングコスト(維持コスト)を削減することができる。
LPWA通信部30の無線通信方式の通信速度は、例えばNB−IoTの規格に従う場合、約100[bps]であり、RoLa(又はRoLaWAN)の規格に従う場合、約250[bps]である。
記憶部40は、プログラムやデータ等を記憶するように構成されている。記憶部40は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等を含んで構成される。記憶部40は、制御部50が実行する各種プログラムやプログラムの実行に必要なデータ等をあらかじめ記憶している。
制御部50は、無線LAN通信部20、LPWA通信部30、及び記憶部40等、ネットワーク監視装置10の各部の動作を制御するように構成されている。また、制御部50は、記憶部40に記憶されたプログラムを実行する等によって、後述する各機能を実現するように構成されている。制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ、及びバッファ等の緩衝記憶装置を含んで構成される。制御部50は、その機能構成として、例えば、スループット測定部51と、電波強度測定部52と、無線LAN情報取得部53と、送信部54と、を備える。
スループット測定部51は、第1無線通信方式、つまり、無線LAN通信部20の無線通信方式を用いて無線LAN101を介するデータ通信を行い、当該データ通信のスループットを測定するように構成されている。詳細には、スループット測定部51は、速度測定用サーバSVのIPアドレスを含み、所定の容量(サイズ)、例えば8MBの指定ファイルのダウンロードを要求するダウンロード要求を生成する。生成されたダウンロード要求は、無線LAN通信部20によって、無線LAN101及びバックボーンネットワークBNを介して速度測定用サーバSVに送信される。ダウンロード要求を受信した速度測定用サーバSVは、当該ダウンロード要求に応答し、バックボーンネットワークBN及び無線LAN101を介して指定ファイルをネットワーク監視装置10に送信する。スループット測定部51は、無線LAN通信部20を用いて指定ファイルを受信するとともに、ダウンロード要求の送信から指定ファイルを受信までの時間を測定する。そして、スループット測定部51は、測定した時間と指定ファイルの容量(サイズ)とに基づいて、無線LAN101を介するデータ通信のスループットを求める。このように、無線LAN101を介するデータ通信のスループットを測定することにより、無線LAN101におけるスループットの低下を検知することが可能となる。
電波強度測定部52は、無線LAN通信部20の無線通信方式を用いて無線LAN101の電波強度を測定するように構成されている。詳細には、電波強度測定部52は、ネットワーク監視装置10の周辺における無線LAN通信部20の周波数帯の電波を受信し、その電波強度(受信レベル)を測定する。測定した電波強度は、例えば[dBm]で表される。このように、無線LAN通信部20の無線通信方式を用いて無線LAN101の電波強度を測定することにより、無線LAN101における電波強度の低下を検知することが可能となる。
無線LAN情報取得部53は、無線LAN通信部20の無線通信方式を用いてアクセスポイントAP1,AP2から無線LAN101に関する無線LAN情報を取得するように構成されている。詳細には、無線LAN情報取得部53は、無線LAN情報の収集を要求する情報収集要求を生成し、生成した情報収集要求を無線LAN通信部20によって無線LAN101のアクセスポイントAP1,AP2に送信する。情報収集要求を受信した各アクセスポイントAP1,AP2は、当該情報収集要求に応答し、自己が保有する無線LAN情報をネットワーク監視装置10に送信する。無線LAN情報取得部53は、無線LAN通信部20を用いてそれぞれの無線LAN情報を受信する。これにより、アクセスポイントAP1,AP2から無線LAN情報が取得される。このように、無線LAN通信部20の無線通信方式を用いてアクセスポイントAP1,AP2から無線LAN情報を取得することにより、無線LAN情報によって、スループットの低下及び電波強度の低下の原因を特定することが可能となる。
無線LAN情報取得部53が取得する無線LAN情報は、例えば、各アクセスポイントAP1,AP2のMAC(Media Access Control)アドレス、SSID(Service Set IDentifier)、当該SSIDの電波強度、及び周波数チャネルのうちの少なくとも一つを含んでいる。これにより、スループットの低下及び電波強度の低下の原因を容易に特定することできる。
送信部54は、第2無線通信方式、つまり、LPWA通信部30の無線通信方式を用いてスループット測定部51によって測定されたスループットを送信するように構成されている。
ここで、スループット測定部51によって測定されたスループットを、無線LAN通信部20の無線通信方式、つまり、第1無線通信方式を用いて送信する場合、ルーティングの問題が発生する。すなわち、スループット測定部51によって測定されたスループットを、例えば第1無線通信方式と同じインターネットプロトコルを用いて移動体通信網を介して送信しようとすると、ネットワーク監視装置は測定用と送信用との2つIPアドレスを有することになる。そのため、測定時のIPパケットのルーティングと送信時のIPパケットのルーティングとをそれぞれ指定する必要があり、また、IPパケットの宛先が変わるたびにルーティングを変更する必要がある。
これに対し、無線LAN通信部20の無線通信方式と異なるLPWA通信部30の無線通信方式を用いてスループットを送信するにより、前述したルーティングの問題が発生しない。
また、無線LAN通信部20の無線通信方式は相対的に高い(速い)通信速度であり、LPWA通信部30の無線通信方式は相対的に低い(遅い)通信速度である。例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の移動体通信方式を用いると、高速無線通信が可能となるものの、通信料金は高額になる傾向があるのに対して、低速の無線通信方式を用いると通信料金は低額になる傾向がある。ここで、ネットワーク監視装置10が測定するスループットは、データの容量(サイズ)が小さく、低速の通信速度で送信することが可能である。よって、相対的に低い(遅い)通信速度のLPWA通信部30の無線通信方式を用いてスループットを送信することで、無線LAN101を安価に監視することができる。
また、送信部54は、電波強度測定部52によって測定された電波強度と、無線LAN情報取得部53によって取得された無線LAN情報についても、LPWA通信部30の無線通信方式を用いて送信するように構成されている。送信部54が送信した、スループット、電波強度、及び無線LAN情報は、受信装置REによって受信される。
送信部54は、スループット、電波強度、及び無線LAN情報をまとめて(一緒に)送信してもよいし、それぞれ送信してもよい。また、送信部54は、スループット、電波強度、及び無線LAN情報をそれぞれ送信する場合に、例えばスループット測定部51による測定後すぐにスループットを送信してよいし、スループット測定部51による測定後、所定時間経過後にスループットを送信してよい。
制御部50の各機能は、コンピュータ(マイクロプロセッサ)で実行されるプログラムによって実現することが可能である。したがって、制御部50が備える各機能は、ハードウェア、ソフトウェア、若しくはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実現可能であり、いずれかの場合に限定されるものではない。
また、制御部50の各機能が、ソフトウェア、若しくはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実現される場合、その処理は、マルチタスク、マルチスレッド、若しくはマルチタスク及びマルチスレッドの両方で実行可能であり、いずれかの場合に限定されるものではない。
次に、図3を参照しつつ、本発明の一実施形態に従う中央監視装置の概略構成について説明する。同図は、図1に示した中央監視装置90の構成を概略的に示すブロック図である。
中央監視装置90は、例えばコンピュータ等の情報処理装置である。図3に示すように、中央監視装置90は、通信部91と、記憶部92と、制御部95と、を備える。また、中央監視装置90は、中央監視装置90の各部の間で信号やデータを伝送するように構成されたバス99をさらに備える。
通信部91は、データを通信(送受信)するためのものである。通信部91は、1つ又は複数の所定の無線通信方式に基づいて、バックボーンネットワークBNを介して受信装置RE及び無線LANコントローラWCと通信可能に構成されている。バックボーンネットワークBNがインターネットである場合、通信部91の無線通信方式のうちの少なくとも1つは、インターネットプロトコルに従う無線通信方式である。
記憶部92は、プログラムやデータ等を記憶するように構成されている。記憶部92は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等を含んで構成される。記憶部92は、制御部95が実行する各種プログラムやプログラムの実行に必要なデータ等をあらかじめ記憶している。
また、記憶部92は、スループットログ92aと、電波強度ログ92bと、無線LAN情報ログ92cと、接続機器情報ログ92dと、を記憶している。なお、スループットログ92a、電波強度ログ92b、無線LAN情報ログ92c、及び接続機器情報ログ92dは、それぞれ、ファイルであってもよいし、データベースであってもよい。スループットログ92a、電波強度ログ92b、無線LAN情報ログ92c、及び接続機器情報ログ92dの少なくとも一部がデータベースである場合に、正規化を行い、データのグループ単位を細分化してもよい。
制御部95は、LPWA通信部91及び記憶部92等、中央監視装置90の各部の動作を制御するように構成されている。また、制御部95は、記憶部92に記憶されたプログラムを実行する等によって、後述する各機能を実現するように構成されている。制御部95は、例えば、CPU等のプロセッサ、ROM、RAM等のメモリ、及びバッファ等の緩衝記憶装置を含んで構成される。制御部95は、その機能構成として、例えば、ネットワーク情報取得部95aと、接続機器情報取得部95bと、を備える。
ネットワーク情報取得部95aは、ネットワーク監視装置10からスループットを含むネットワーク情報を取得するように構成されている。詳細には、ネットワーク情報取得部95aは、受信装置REからバックボーンネットワークBNを介して送信されるネットワーク情報を、通信部91によって受信する。ネットワーク情報は、前述したスループットに加え、例えばネットワーク監視装置10が測定した電波強度と、ネットワーク監視装置10が取得した無線LAN情報と、を含んでいる。これにより、スループットを含むネットワーク情報がネットワーク監視装置10から受信装置REを介して取得される。このように、ネットワーク監視装置10からスループットを含むネットワーク情報を取得することにより、中央監視装置90が無線LAN101におけるデータ通信のスループットを分析することが可能となる。また、スループットを含むネットワーク情報を周期的に取得することで、無線LAN101の経時的変化を検知することが可能となる。
本実施形態では、受信装置REからネットワーク情報が送信され、ネットワーク情報取得部95aは受動的にネットワーク情報を取得する例を説明したが、これに限定されるものではない。ネットワーク情報取得部95aは、能動的に受信装置REからネットワーク情報を取得するようにしてもよい。また、ネットワーク情報取得部95aは、ネットワーク監視装置10から受信装置REを介してネットワーク情報を取得する場合に限定されず、ネットワーク監視装置10からネットワーク情報を直接取得してもよい。この場合、通信部91のうちの少なくとも1つは、例えば、RoLa(又はRoLaWAN)、NB−IoT、EnOcean等のLPWAの無線通信方式である。
ネットワーク情報取得部95aは、取得したネットワーク情報のうち、スループットをスループットログ92aに、電波強度を電波強度ログ92bに、無線LAN情報を無線LAN情報ログ92cに、それぞれ格納する。
接続機器情報取得部95bは、無線LAN101に含まれる無線LANコントローラWCから、無線LAN101に接続された通信機器CD1〜CD4に関する接続機器情報を取得するように構成されている。詳細には、接続機器情報取得部95bは、接続機器情報の収集を要求する情報収集要求を生成し、生成した情報収集要求を通信部91によってバックボーンネットワークBNを介して無線LAN101の無線LANコントローラWCに送信する。情報収集要求を受信した無線LANコントローラWCは、当該情報収集要求に応答し、バックボーンネットワークBNを介して自己が保有する接続機器情報を中央監視装置90に送信する。接続機器情報取得部95bは、通信部20によって接続機器情報を受信する。これにより、無線LANコントローラWCから接続機器情報が取得される。このように、無線LANコントローラWCから接続機器情報を取得することにより、無線LAN101におけるアクセスポイントAP1,AP2の過不足等を判断することが可能となる。
接続機器情報取得部95bが取得する接続機器情報は、例えば、無線LAN101に接続された通信機器CD1〜CD4の接続数、無線LAN101に接続された各通信機器CD1〜CD4のIPアドレス、及び無線LAN101に接続された各通信機器CD1〜CD4のIPアドレスのうちの少なくとも一つを含んでいる。
接続機器情報取得部95bは、取得した接続機器情報を接続機器情報ログ92dに格納する。
制御部95の各機能は、コンピュータ(マイクロプロセッサ)で実行されるプログラムによって実現することが可能である。したがって、制御部95が備える各機能は、ハードウェア、ソフトウェア、若しくはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実現可能であり、いずれかの場合に限定されるものではない。
また、制御部95の各機能が、ソフトウェア、若しくはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実現される場合、その処理は、マルチタスク、マルチスレッド、若しくはマルチタスク及びマルチスレッドの両方で実行可能であり、いずれかの場合に限定されるものではない。
次に、図4及び図5を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るネットワーク監視装置及びネットワーク監視システムの概略動作について説明する。図4は、図1に示したネットワーク監視装置10の概略動作を示すフローチャートである。図5は、図1に示した中央監視装置90の概略動作を示すフローチャートである。
<ネットワーク監視処理>
ネットワーク監視装置10の制御部50は、例えば電源が入れられて起動すると、図4に示すネットワーク監視処理S200を実行する。
最初に、スループット測定部51は、無線LAN通信部20の無線通信方式を用いて無線LAN101を介するデータ通信を行い、当該データ通信のスループットを測定する(S201)。
次に、電波強度測定部52は、無線LAN通信部20の無線通信方式を用いて無線LAN101の電波強度を測定する(S202)。
次に、無線LAN情報取得部53は、無線LAN通信部20の無線通信方式を用いてアクセスポイントAP1,AP2から無線LAN101に関する無線LAN情報を取得する(S203)。
次に、送信部54は、ステップS201で測定されたスループットと、ステップS202で測定された電波強度と、ステップ203で取得した無線LAN情報とを、LPWA通信部30の無線通信方式を用いて送信する(S204)。
次に、制御部50は、ステップS204の後、所定時間を経過したか否かを判定し(205)、所定時間を経過するまでステップS205の判定を繰り返す。
ステップS205の判定の結果、所定時間を経過した場合、ステップS201に戻り、例えば電源が切断されて停止するまで、制御部50は、ステップS201からステップ205を繰り返す。これにより、所定時間ごとに、LPWA通信部30の無線通信方式を用いてスループット、電波強度、及び無線LAN情報が送信される。
<中央監視処理>
中央監視装置90の制御部95は、例えば受信装置REからバックボーンネットワークBNを介してネットワーク情報が送信されると、図5に示す中央監視処理S300を実行する。
最初に、ネットワーク情報取得部95aは、通信部91によってネットワーク情報を受信し、ネットワーク監視装置10からスループットを含むネットワーク情報を取得する(S301)。
次に、ネットワーク情報取得部95aは、ステップS301で取得されたネットワーク情報のうち、スループットをスループットログ92aに、電波強度を電波強度ログ92bに、無線LAN情報を無線LAN情報ログ92cに、それぞれ格納する(S302)。
次に、接続機器情報取得部95bは、通信部91を用いて無線LANコントローラWCから接続機器情報を取得する(S303)。
次に、接続機器情報取得部95bは、ステップS301で取得された接続機器情報を接続機器情報ログ92dに格納する(S304)。
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。本発明の一実施形態に係るネットワーク監視装置10、ネットワーク監視システム100、ネットワーク監視方法、及びネットワーク監視プログラムによれば、無線LAN101を介するデータ通信のスループットが測定される。これにより、無線LAN101におけるスループットの低下を検知することが可能となる。また、無線LAN通信部20の無線通信方式と異なるLPWA通信部30の無線通信方式を用いてスループットが送信される。これにより、前述したルーティングの問題が発生しない。さらに、無線LAN通信部20の無線通信方式は相対的に高い(速い)通信速度であり、LPWA通信部30の無線通信方式は相対的に低い(遅い)通信速度である。例えば、LTE、4G、5G等の移動体通信方式を用いると、高速無線通信が可能となるものの、通信料金は高額になる傾向があるのに対して、低速の無線通信方式を用いると通信料金は低額になる傾向がある。ここで、ネットワーク監視装置10が測定するスループットは、データの容量(サイズ)が小さく、低速の通信速度で送信することが可能である。よって、相対的に低い(遅い)通信速度のLPWA通信部30の無線通信方式を用いてスループットを送信することで、無線LAN101を安価に監視することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。各実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。