JP2020046252A - 混合ガス濃度の測定方法、ガスセンサ、潤滑剤劣化状態評価方法 - Google Patents

混合ガス濃度の測定方法、ガスセンサ、潤滑剤劣化状態評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガスセンサで混合ガスから特定のガス状物質を選択的に検出することにより潤滑剤の劣化状態を評価する方法に適用した場合に、潤滑剤劣化状態評価の正確さを改善できる混合ガス濃度の測定方法およびガスセンサを提供する。【解決手段】第一態様は、感応部を有するガスセンサを用いた混合ガス濃度の測定方法であり、測定対象の複数のガスの数(n)と同じ数だけ、複数のガスに対する感度が異なる複数の感応部を、ガスセンサに設け、混合ガスを複数の感応部に接触させて得られる複数の感応検出値(F1〜Fn)と、複数の感応部の測定対象の各ガスに対する感応定数(K11〜Knn)と、から、混合ガスにおける測定対象のガスの濃度を算出する。【選択図】図1

Description

この発明は、混合ガス濃度の測定方法、ガスセンサ、潤滑剤劣化状態評価方法に関する。
例えば、特許文献1には、カルボニル化合物を検出するガスセンサを備えた潤滑剤劣化状態評価装置が記載されている。この装置では、転がり軸受の潤滑剤の劣化状態を高い正確性で判断できるようにするために、潤滑剤に劣化が生じていない場合でも発生する炭化水素ではなく、潤滑剤の劣化の予兆を示す成分であるカルボニル化合物を選択的に検出するガスセンサを備えている。
特許文献1において、カルボニル化合物を検出するガスセンサとしては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により作製されるマイクロガスセンサアレイが例示されている。また、各センサとして水晶振動子を使用する場合は、n−ヘキサナールおよびn−ヘプタナールを選択的に検出するチャンネルでは、振動子表面に例えばポリエチレングリコール2000からなる膜を形成することが記載されている。
WO2017/188314パンフレット
しかしながら、従来のガスセンサでは、混合ガス雰囲気下で扱う際に、混合ガス中の選択的に感知したいガス成分由来の応答に、感知したくないガス成分由来の応答が干渉する場合がある。よって、カルボニル化合物を検出するガスセンサであっても、厳密にカルボニル化合物のみを検出することは難しく、特許文献1に記載の潤滑剤劣化状態評価装置には、潤滑剤劣化状態を正確に評価するという点で改善の余地がある。
この発明の課題は、ガスセンサで混合ガスから特定のガス状物質を選択的に検出することにより潤滑剤の劣化状態を評価する方法に適用した場合に、潤滑剤劣化状態評価の正確さを改善できる混合ガス濃度の測定方法およびガスセンサを提供することである。
上記課題を解決するために、この発明の第一態様は、感応部を有するガスセンサを用いた混合ガス濃度の測定方法であって、測定対象の複数のガスの数(n)と同じ数だけ、測定対象の複数のガスに対する感度が異なる複数の感応部を、ガスセンサに設け、混合ガスを複数の感応部に接触させて得られる複数の感応検出値(F1〜Fn)と、複数の感応部の測定対象の各ガスに対する感応定数(K11〜Knn)と、から、混合ガスにおける測定対象のガスの濃度を算出する混合ガス濃度の測定方法を提供する。
この発明の第二態様は、混合ガスに含まれる複数のガスの濃度を検出するセンサであって、複数の感応部と演算部とを有するガスセンサを提供する。複数の感応部は、測定対象の複数のガスに対する感度が異なる。演算部は、混合ガスを複数の感応部に接触させて得られる複数の感応検出値(F1〜Fn)と、複数の感応部の測定対象の各ガスに対する感応定数(K11〜Knn)と、から、混合ガスにおける測定対象のガスの濃度を算出する。
この発明の第三態様は、潤滑剤で潤滑されている転がり軸受内の気体を第二態様のガスセンサに導入し、潤滑剤の化学的な劣化により転がり軸受内の気体中に生じるガス状のカルボニル化合物の量を、第二態様のガスセンサで検出することにより、潤滑剤の劣化状態を評価する潤滑剤劣化状態評価方法を提供する。
第一態様の混合ガス濃度の測定方法によれば、ガスセンサで混合ガスから特定のガス状物質を選択的に検出することにより潤滑剤の劣化状態を評価する方法に適用した場合に、潤滑剤劣化状態評価の正確さの改善が期待できる。
第二態様のガスセンサによれば、ガスセンサで混合ガスから特定のガス状物質を選択的に検出することにより潤滑剤の劣化状態を評価する方法に適用した場合に、潤滑剤劣化状態評価の正確さの改善が期待できる。
第三態様の潤滑剤劣化状態評価方法によれば、第二態様のガスセンサを用いることで潤滑剤劣化状態評価の正確さの改善が期待できる。
実施形態で行う混合ガス濃度の測定方法で使用する装置を示す概略構成図である。 実施形態で行う混合ガス濃度の測定方法の手順を説明するフローチャートである。 実施例で行った測定方法における経過時間と振動数変化量との関係を示すグラフである。
[この発明の第一態様について]
この発明の第一態様は、上述のように、感応部を有するガスセンサを用いた混合ガス濃度の測定方法であって、測定対象の複数のガスの数と同じ数(n)だけ、測定対象の複数のガスに対する感度が異なる複数の感応部を、ガスセンサに設け、混合ガスを複数の感応部に接触させて得られる複数の感応検出値(F1〜Fn)と、複数の感応部の測定対象の各ガスに対する感応定数(K11〜Knn)と、から、混合ガスにおける測定対象のガスの濃度を算出する方法である。
この方法によれば、原理的に、混合ガス中の選択的に感知したいガス成分由来の応答に感知したくないガス成分由来の応答が干渉するという問題が存在しないため、濃度測定の正確性が改善される。また、測定対象の複数のガス毎に単一成分の標準ガスを用意しなくても、混合ガスの定量を行うことが可能となる。
第一態様の方法は、以下に示す追加の構成(a)〜(c)の少なくともいずれかを有することができる。
(a)複数の測定対象のガスを異なる既知の濃度で含む複数(測定対象のガスの数と同じ数)の標準混合ガスを用意し、複数の標準混合ガスを複数の感応部に接触させて、複数の標準混合ガス毎に感応検出値を得、既知の濃度と複数の標準混合ガスの感応検出値とから、複数の感応部の測定対象のガスに対する感応定数を算出する。
(b)複数の感応部は、表面に異なる分子感応膜が形成された水晶振動子であり、感応検出値は水晶振動子の振動数変化量であり、感応定数は、吸着等温式の吸着定数である。これは、ガスセンサがQCM(Quartz Crystal Microblance)センサの場合である。この場合は、後述のn個の式(5)に基づいて、n個のガス濃度が導出できる。
(c)測定対象のガスは酢酸および水であり、酢酸および水に対する感度が異なる二個の感応部をガスセンサに設け、二個の感応検出値(F1,F2)と、二個の感応部の酢酸に対する感応定数(K1a,K2a)および水に対する感応定数(K1w,K2w)と、から、混合ガスにおける酢酸および水の濃度を算出する。
[濃度の算出式について]
第一態様の方法における濃度の算出式について、ガスセンサとしてQCMセンサを使用した場合を例にとって説明する。
QCMセンサの水晶振動子の表面には分子感応膜が形成され、この分子感応膜に付着したガス(分子)の重さで水晶振動子の振動数が変化する。例えば、9.0MHzの固有振動数を有する水晶振動子を用いる場合は、Sauerbreyの式から1Hzの振動数変化は1.07ngの質量吸着として検出される。つまり、(1)式が成立する。
F=m/1.07 …(1)
F:分子感応膜の振動数変化量
m:分子感応膜に吸着するガスの質量(ng)
一方で、或るガス濃度cの雰囲気で分子感応膜に吸着するガスの質量はhenryの式(2)で表すことができる。なお、雰囲気ガス濃度と吸着量との関係式(吸着等温式)はこれ以外の式を用いてもよい。
m=k*c …(2)
k:吸着定数(分子感応膜の固有値)
c:或るガス濃度
式(1)のmに式(2)の右辺を代入すると、式(3)となる。
F=k*c/1.07=(k/1.07)*c …(3)
式(3)のkは分子感応膜の固有値であり、1.07は固有振動数が9.0MHzの水晶振動子の固有値である。そこで、「k/1.07」を感応定数Kと定義すると、式(4)が得られる。
F=K*c …(4)
第一態様の方法では、測定対象ガスとしてn個のガスを含む混合ガスの濃度測定のために、n個の感応部を有するセンサを用いる。n個の感応部は、各測定対象ガスに対する感度が異なる分子感応膜をそれぞれ有する。そして、混合ガスがn番目の感応部nに接触した際の振動数変化量(感応検出値)Fnは、n個のガスによる振動数変化量の合算であるため、式(4)より式(5)として表せる。
n=Kn1*c1+Kn2*c2・・+Knn*cn …(5)
n:感応部nの分子感応膜の振動数変化量(測定値)[Hz]
n1:感応部nの第一ガスに対する感応定数(感応部nの分子感応膜の固有値)
n2:感応部nの第二ガスに対する感応定数(感応部nの分子感応膜の固有値)
nn:感応部nの第nガスに対する感応定数(感応部nの分子感応膜の固有値)
1:測定対象混合ガスに含まれる第一ガスの濃度[ppm]
2:測定対象混合ガスに含まれる第二ガスの濃度[ppm]
n:測定対象混合ガスに含まれる第nガスの濃度[ppm]
ガスセンサは感度の異なるn個の感応部を有するため、n個の感応検出値(F1〜Fn)が得られる。つまり、(5)式がn個存在するため、n個の式から測定対象混合ガスに含まれるn個のガスの濃度c1〜cnが導出できる。
<測定対象のガスの数が二個の場合>
次に、二種類のガスで構成された混合ガスの各ガスの濃度を測定する方法を例にとって、第一態様の方法における濃度の算出式を得る方法を、より具体的に説明する。
サンプルガスとして水と酢酸の混合ガスを想定し、水の濃度をcw[ppm]、酢酸の濃度をca[ppm]とする。測定対象のガスの数が二個であるため、ガスセンサに感度の異なる二個の感応部を設ける。ここでは、第一の分子感応膜を備えた第一の感応部と、第二の分子感応膜(第一の分子感応膜とは異なる膜)を備えた第二の感応部を設ける。
サンプルガスによる第一の感応部の振動数変化量(感応検出値)F1は、水による振動数変化量と酢酸による振動数変化量の合算であるため、式(4)より式(51)として表せる。
1=K1w*cw+K1a*ca …(51)
1:第一の感応部の分子感応膜の振動数変化量(測定値)[Hz]
1w:第一の感応部の水に対する感応定数(第一の分子感応膜の固有値)
1a:第一の感応部の酢酸に対する感応定数(第一の分子感応膜の固有値)
w:サンプルガスの水濃度[ppm]
a:サンプルガスの酢酸濃度[ppm]
サンプルガスによる第二の感応部の振動数変化量(感応検出値)F2も、水による振動数変化量と酢酸による振動数変化量の合算であるため、式(4)より式(52)として表せる。
2=K2w*cw+K2a*ca …(52)
2:第二の感応部の分子感応膜の振動数変化量(測定値)[Hz]
2w:第二の感応部の水に対する感応定数(第二の分子感応膜の固有値)
2a:第二の感応部の酢酸に対する感応定数(第二の分子感応膜の固有値)
w:サンプルガスの水濃度[ppm]
a:サンプルガスの酢酸濃度[ppm]
式(51)と式(52)式から、サンプルガスの水濃度cwと酢酸濃度caが、下記の式(61)および式(62)として導出できる。
w=(F1*K2a−F2*K1a)/(K1w*K2a−K1a*K2w) …(61)
a=(F2*K1w−F1*K2w)/(K1w*K2a−K1a*K2w) …(62)
感応定数K1w、K1a、K2w、K2aが分かっているセンサを用いれば、その値を使用すればよいが、分からない場合でも、感応定数K1w、K1a、K2w、K2aを以下の方法で求めることができる。
先ず、水濃度がA1、酢酸濃度B1である第一の標準混合ガスと、水濃度がA2(≠A1)、酢酸濃度B2(≠B1)である第二の標準混合ガスを用意する。そして、第一の標準混合ガスを上記ガスセンサに導入して、第一の感応部での振動数変化量(標準混合ガスの感応検出値)F11と第二の感応部での振動数変化量(標準混合ガスの感応検出値)F12を測定する。次に、第二の標準混合ガスを上記ガスセンサに導入して、第一の感応部での振動数変化量(標準混合ガスの感応検出値)F12と第二の感応部での振動数変化量(標準混合ガスの感応検出値)F22を測定する。
第一の標準混合ガスによる第一の感応部の振動数変化量(標準混合ガスの感応検出値)F11は、水による振動数変化量と酢酸による振動数変化量の合算であるため、式(4)より式(53)として表せる。
11=K1w*A1+K1a*B1 …(53)
第二の標準混合ガスによる第一の感応部の振動数変化量(標準混合ガスの感応検出値)F12も、水による振動数変化量と酢酸による振動数変化量の合算であるため、式(4)より式(54)として表せる。
12=K1w*A2+K1a*B2 …(54)
第一の標準混合ガスによる第二の感応部の振動数変化量(標準混合ガスの感応検出値)F21も、水による振動数変化量と酢酸による振動数変化量の合算であるため、式(4)より式(55)として表せる。
21=K2w*A1+K2a*B1 …(55)
第二の標準混合ガスによる第二の感応部の振動数変化量(標準混合ガスの感応検出値)F22も、水による振動数変化量と酢酸による振動数変化量の合算であるため、式(4)より式(56)として表せる。
22=K2w*A2+K2a*B2 …(56)
式(53)と式(54)から、第一の感応部の水に対する感応定数K1wおよび酢酸に対する感応定数K1aが、下記の式(71)および(72)として導出できる。
1w=(F11*B2−F12*B1)/(A1*B2−A2*B1) …(71)
1a=(F12*A1−F11*A2)/(A1*B2−A2*B1) …(72)
式(55)と式(56)から、第二の感応部の水に対する感応定数K2wおよび酢酸に対する感応定数K2aが、下記の式(73)および(74)として導出できる。
2w=(F21*B2−F22*B1)/(A1*B2−A2*B1) …(73)
2a=(F22*A1−F22*A2)/(A1*B2−A2*B1) …(74)
[実施形態]
以下、この発明の実施形態について説明するが、この発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、この発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定はこの発明の必須要件ではない。
この実施形態では、図1に示す装置を用い、図2に示す手順で混合ガス濃度を測定する方法について説明する。
図1の装置は、フローセル型のQCMセンサ1と、QCMセンサ1に気体を導入する給気管2と、QCMセンサ1を通った気体を排出する排気管3と、給気管2の上流端に接続された窒素ガスバッグ4と、排気管3の途中に接続されたポンプ5を有する。給気管2には、分岐部品21a〜23aを介して、ガス導入管21〜23が接続されている。
この実施形態では、測定対象のガスは酢酸および水であるため、QCMセンサ1は、酢酸および水に対する感度が異なる第一の感応部(ch1)11と第二の感応部(ch2)12を有する。例えば、第一の感応部11では、水晶振動子の表面に、酢酸に対する感度が第二の感応部12よりも高いイオン液体膜が形成され、第二の感応部12では、水晶振動子の表面に、水に対する感度が第一の感応部11よりも高いイオン液体膜が形成されている。
先ず、第一の標準混合ガスおよび第二の標準混合ガスとして、酢酸と水が既知の異なる濃度で混合された二種類の混合ガスを用意する(図2のステップS1)。第一の標準混合ガスの酢酸濃度はB1であり、水の濃度はA1である。第二の標準混合ガスの酢酸濃度はB2(≠B1)であり、水の濃度はA2(≠A1)である。
また、ガス導入管21の上流端に、第一の標準混合ガスが入ったガスバック6を接続し、ガス導入管22の上流端に、第二の標準混合ガスが入ったガスバック7を接続する。また、ガス導入管23の上流端に、サンプルガス(測定対象の混合ガス)が入ったガスバック8を接続する。
次に、分岐部品21a〜23aを、分岐管21〜23側が閉じられた状態として、窒素ガスバッグ4から窒素ガスを10分以上、QCMセンサ1に導入する。次に、窒素ガスを導入し続けた状態で、分岐部品21aによりガス導入管21と給気管2を連通させて、ガスバック6から第一の標準混合ガスをQCMセンサ1に導入する。
これに伴い、QCMセンサ1は、第一の標準混合ガスが接触する直前の第一の感応部11および第二の感応部12の発振周波数(つまり、窒素ガスの接触による水晶振動子の発振周波数)を振動数変化の基準値として検出する。また、第一の標準混合ガスの接触による第一の感応部11および第二の感応部12の発振周波数を検出し、この検出値の基準値からの変化量を、第一の標準混合ガスによる第一の感応部11の振動数変化量F11および第二の感応部12の振動数変化量F12として算出する。つまり、QCMセンサ1により振動数変化量F11,F12を測定する(図2のステップS2)。
次に、分岐部品21aの分岐管21側を閉じて、窒素ガスを10分以上、QCMセンサ1に導入した後に、窒素ガスを導入し続けた状態で、分岐部品22aによりガス導入管22と給気管2を連通させて、ガスバック7から第二の標準混合ガスをQCMセンサ1に導入する。
これに伴い、QCMセンサ1は、第二の標準混合ガスが接触する直前の第一の感応部11および第二の感応部12の発振周波数を振動数変化の基準値として検出する。また、第二の標準混合ガスの接触による第一の感応部11および第二の感応部12の発振周波数を検出し、この検出値の基準値からの変化量を、第二の標準混合ガスによる第一の感応部11の振動数変化量F21および第二の感応部12の振動数変化量F22として算出する。つまり、QCMセンサ1により振動数変化量F21,F22を測定する(図2のステップS2)。
次に、測定された振動数変化量F11,F12と水の濃度A1,A2および酢酸濃度B1,B2を、上記式(71)に代入することで第一の感応部11の水に対する感応定数K1wを算出し、上記式(72)に代入することで第一の感応部11の酢酸に対する感応定数K1aを算出する。また、測定された振動数変化量F21,F22と水の濃度A1,A2および酢酸濃度B1,B2を、上記式(73)に代入することで第二の感応部12の水に対する感応定数K2wを算出し、上記式(74)に代入することで第二の感応部12の酢酸に対する感応定数K2aを算出する(図2のステップS3)。
次に、分岐部品22aの分岐管22側を閉じて、窒素ガスを10分以上、QCMセンサ1に導入した後に、窒素ガスを導入し続けた状態で、分岐部品23aによりガス導入管23と給気管2を連通させて、ガスバック8からサンプルガスをQCMセンサ1に導入する。
これに伴い、QCMセンサ1は、サンプルガスが接触する直前の第一の感応部11および第二の感応部12の発振周波数を振動数変化の基準値として検出する。また、サンプルガスの接触による第一の感応部11および第二の感応部12の発振周波数を検出し、この検出値の基準値からの変化量を、サンプルガスによる第一の感応部11の振動数変化量F1および第二の感応部12の振動数変化量F2として算出する。つまり、QCMセンサ1により振動数変化量F1,F2を測定する(図2のステップS4)。
これらの測定値F1,F2と、第一の感応部11の水に対する感応定数K1wおよび酢酸に対する感応定数K1a、第二の感応部12の水に対する感応定数K2wおよび酢酸に対する感応定数K2aを、上記式(61)に代入することでサンプルガスに含まれる水の濃度cwを算出し、上記式(62)に代入することでサンプルガスに含まれる酢酸の濃度caを算出する(図2のステップS5)。
実施形態の方法では、このようにして、サンプルガスに含まれる水の濃度cwおよび酢酸の濃度caが測定される。この方法によれば、原理的に、混合ガス中の選択的に感知したいガス成分由来の応答に感知したくないガス成分由来の応答が干渉するという問題が存在しないため、濃度測定の正確性が改善される。
また、感応定数K1w、K1a、K2w、K2aの算出も行っているが、その算出の際にも、測定対象の複数のガス毎に単一成分の標準ガスを用意しなくて済む。単一成分の標準ガスを使用した場合には、他成分のガスの混入を避けるためにハンドリングに手間がかかるが、標準混合ガスを使用することで、このような問題が解決できる。また、標準混合ガスを使用することで、単一成分の標準ガスを使用するよりも精度良く感応定数を算出できる。
なお、QCMセンサ1を、上記算出を行う演算部および記憶部を備えたマイクロプロセッサと、算出されたガス濃度を表示する表示部を有するものとすれば、図2のステップS2,S4で測定された振動数変化量が記憶され、ステップS3,S5の算出が演算部で実行され、水の濃度cwおよび酢酸の濃度caが表示部に表示される。
上記実施形態では、ガスセンサとしてQCMセンサを用いているが、これに限定されず、例えば、膜型表面応力センサまたは弾性表面波センサを用いてもよい。膜型表面応力センサの場合、感応部はシリコン膜であり、弾性表面波センサの場合、感応部は、電極を構成する金属薄膜または水晶である。
また、第一態様の方法は、例えば、水分、酸素、二酸化炭素等が含まれる呼気中から、疾病マーカーである脂肪族アルデヒド類を定量検知する方法などにも応用可能である。
実施形態で説明した図1の装置を用いて、実施形態で説明した方法により、サンプルガス(酢酸と水の混合ガス)の酢酸濃度と水濃度を測定した。
サンプルガスとして、水の濃度が2510ppmであり、酢酸の濃度が150ppmであるものを用意した。
第一の標準混合ガスとしては、酢酸の濃度B1が100ppmで、水の濃度A1が4660ppmであるものを用意した。第二の標準混合ガスとしては、酢酸の濃度B2が200ppmで、水の濃度A2が2350ppmであるものを用意した。
そして、実施形態と同じ方法で、第一の標準混合ガスのQCMセンサ1への導入とQCMセンサ1による振動数変化量F11,F12の測定、第二の標準混合ガスのQCMセンサ1への導入とQCMセンサ1による振動数変化量F21,F22の測定を行った。次に、実施形態と同じ方法で、感応定数K1w,K1a,K2w,K2aの算出、サンプルガスのQCMセンサ1への導入とQCMセンサ1による振動数変化量F1,F2の測定、サンプルガスの水の濃度cwおよび酢酸の濃度caの算出を行った。なお、実際の測定における経過時間と振動数変化量との関係を図3にグラフで示す。
算出されたサンプルガスの水の濃度cwは2690ppmであり、酢酸の濃度caは136ppmであった。これらの値は、それぞれ、サンプルガスの実際の水の濃度2510ppm、酢酸の濃度150ppmに近い値であった。
1 QCMセンサ(ガスセンサ)
11 第一の感応部
12 第二の感応部
2 給気管
21 ガス導入管
22 ガス導入管
23 ガス導入管
21a 分岐部品
22a 分岐部品
23a 分岐部品
3 排気管
4 窒素ガスバック
5 ポンプ
6 第一の標準混合ガスが入ったガスバッグ
7 第二の標準混合ガスが入ったガスバッグ
8 サンプルガス(測定対象の混合ガス)が入ったガスバッグ

Claims (6)

  1. 感応部を有するガスセンサを用いた混合ガス濃度の測定方法であって、
    測定対象の複数のガスの数(n)と同じ数だけ、前記複数のガスに対する感度が異なる複数の感応部を、前記ガスセンサに設け、
    混合ガスを前記複数の感応部に接触させて得られる複数の感応検出値(F1〜Fn)と、前記複数の感応部の前記測定対象の各ガスに対する感応定数(K11〜Knn)と、から、前記混合ガスにおける前記測定対象のガスの濃度を算出する混合ガス濃度の測定方法。
  2. 前記複数の測定対象のガスを異なる既知の濃度で含む複数の標準混合ガスを用意し、前記複数の標準混合ガスを前記複数の感応部に接触させて、前記複数の標準混合ガス毎に感応検出値を得、
    前記既知の濃度と前記複数の標準混合ガスの感応検出値とから、前記複数の感応部の前記測定対象のガスに対する感応定数を算出する請求項1記載の混合ガス濃度の測定方法。
  3. 前記複数の感応部は、表面に異なる分子感応膜が形成された水晶振動子であり、
    前記感応検出値は、前記水晶振動子の振動数変化量であり、
    前記感応定数は、吸着等温式の吸着定数である請求項1または2記載の混合ガス濃度の測定方法。
  4. 測定対象のガスは酢酸および水であり、酢酸および水に対する感度が異なる二個の感応部を前記ガスセンサに設け、
    二個の感応検出値(F1,F2)と、前記二個の感応部の酢酸に対する感応定数(K1a,K2a)および水に対する感応定数(K1w,K2w)と、から、前記混合ガスにおける酢酸および水の濃度を算出する請求項1〜3のいずれか一項に記載の混合ガス濃度の測定方法。
  5. 混合ガスに含まれる複数のガスの濃度を検出するセンサであって、
    測定対象の複数のガスに対する感度が異なる複数の感応部と、
    混合ガスを前記複数の感応部に接触させて得られる複数の感応検出値(F1〜Fn)と、前記複数の感応部の前記測定対象の各ガスに対する感応定数(K11〜Knn)と、から、前記混合ガスにおける前記測定対象のガスの濃度を算出する演算部と、
    を有するガスセンサ。
  6. 潤滑剤で潤滑されている転がり軸受内の気体を請求項5記載のガスセンサに導入し、前記潤滑剤の化学的な劣化により前記気体中に生じるガス状のカルボニル化合物の量を、前記ガスセンサで検出することにより、前記潤滑剤の劣化状態を評価する潤滑剤劣化状態評価方法。
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