以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1 第1実施形態
1.1 液体吐出装置の概要
図1は、液体吐出装置1の概略構成を示す図である。液体吐出装置1は、液体の一例としてのインクを吐出するプリントヘッド21が搭載されたキャリッジ20が往復動し、搬送される媒体Pに対してインクを吐出することで、媒体Pに対して画像を形成するシリアル印刷方式のインクジェットプリンターである。以下の説明では、キャリッジ20が移動する方向をX方向、媒体Pが搬送される方向をY方向、インクが吐出される方向をZ方向
として説明する。なお、X方向、Y方向及びZ方向は互いに直交する方向として説明を行う。また、媒体Pとしては、印刷用紙、樹脂フィルム、布帛等の任意の印刷対象を用いることができる。
液体吐出装置1は、液体容器2、制御機構10、キャリッジ20、移動機構30及び搬送機構40を備える。
液体容器2には、媒体Pに吐出される複数種類のインクが貯留されている。液体容器2に貯留されるインクの色彩としては、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グレー等が挙げられる。このようなインクが貯留される液体容器2としては、インクカートリッジや、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、インクの補充が可能なインクタンク等が用いられる。
制御機構10は、例えばCPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリ等の記憶回路とを含み、液体吐出装置1の各要素を制御する。
キャリッジ20には、プリントヘッド21が搭載されている。また、キャリッジ20は、移動機構30に含まれる無端ベルト32に固定される。なお、液体容器2も、キャリッジ20に搭載されていてもよい。
プリントヘッド21には、制御機構10が出力する、プリントヘッド21を制御するための制御信号Ctrl−H及びプリントヘッド21を駆動するための1又は複数の駆動信号COMが入力される。そして、プリントヘッド21は、制御信号Ctrl−H及び駆動信号COMに基づいて、液体容器2から供給されるインクを吐出する。
移動機構30は、キャリッジモーター31及び無端ベルト32を含む。キャリッジモーター31は、制御機構10から入力される制御信号Ctrl−Cに基づいて動作する。無端ベルト32は、キャリッジモーター31の動作に従って回転する。これにより、無端ベルト32に固定されたキャリッジ20がX方向に往復動する。
搬送機構40は、搬送モーター41及び搬送ローラー42を含む。搬送モーター41は、制御機構10から入力される制御信号Ctrl−Tに基づいて動作する。搬送ローラー42は、搬送モーター41の動作に従って回転する。この搬送ローラー42の回転に伴って媒体PがY方向に搬送される。
以上のように液体吐出装置1は、搬送機構40による媒体Pの搬送と移動機構30によるキャリッジ20の往復動とに連動して、キャリッジ20に搭載されたプリントヘッド21からインクを吐出することで、媒体Pの表面の任意の位置にインクを着弾させ、媒体Pに所望の画像を形成する。
1.2 液体吐出装置の電気構成
図2は、液体吐出装置1の電気的な構成を示すブロック図である。液体吐出装置1は、制御機構10、プリントヘッド21、キャリッジモーター31、搬送モーター41及びリニアエンコーダー90を備える。
制御機構10は、駆動信号生成回路50、制御回路100及び電源回路110を含む。制御回路100は、例えば、マイクロコントローラー等のプロセッサーを含む。そして、制御回路100は、ホストコンピューターから入力される画像データ等の各種信号に基づいて、液体吐出装置1を制御するためのデータや各種信号を生成し出力する。
具体的には、制御回路100は、リニアエンコーダー90から入力される検出信号に基づいて、プリントヘッド21の走査位置を把握する。そして、制御回路100は、プリントヘッド21の走査位置に応じた各種信号を生成し出力する。詳細には、制御回路100は、プリントヘッド21の往復動を制御する為の制御信号Ctrl−Cを生成し、キャリッジモーター31に出力する。また、制御回路100は、媒体Pの搬送を制御する為の制御信号Ctrl−Tを生成し、搬送モーター41に出力する。なお、制御信号Ctrl−Cは、不図示のキャリッジモータードライバーを介して信号変換されたのち、キャリッジモーター31に入力されてもよく、同様に、制御信号Ctrl−Tは、不図示の搬送モータードライバーを介して信号変換されたのち、搬送モーター41に入力されてもよい。
また、制御回路100は、ホストコンピューターから入力される画像データ等の各種信号とプリントヘッド21の走査位置とに基づいて、プリントヘッド21を制御するための制御信号Ctrl−Hとして、印刷データ信号SI1〜SIn、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT及びクロック信号SCKを生成し、プリントヘッド21に出力する。
また、制御回路100は、プリントヘッド21が液体の正常な吐出が可能か否かを診断するための診断信号DIG−A〜DIG−Dを生成し、プリントヘッド21に出力する。ここで、第1実施形態における液体吐出装置1では、診断信号DIG−A〜DIG−Dのそれぞれとラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH及び印刷データ信号SI1のそれぞれとは、共通の伝搬経路を介してプリントヘッド21に入力される。具体的には、診断信号DIG−Aとラッチ信号LATとが共通の伝搬経路を介して入力され、診断信号DIG−Bとクロック信号SCKとが共通の伝搬経路を介して入力され、診断信号DIG−Cとチェンジ信号CHとが共通の伝搬経路を介して入力され、診断信号DIG−Dと印刷データ信号SI1とが共通の伝搬経路を介して入力される。
また、制御回路100は、駆動信号生成回路50にデジタル信号である駆動制御信号dAを出力する。
駆動信号生成回路50は、駆動回路50aを含む。駆動制御信号dAは、駆動回路50aに入力される。駆動回路50aは、駆動制御信号dAをデジタル/アナログ信号変換したのち、変換されたアナログ信号をD級増幅して駆動信号COMを生成する。すなわち、駆動制御信号dAは、駆動信号COMの波形を規定するデジタル信号であり、駆動回路50aは、駆動制御信号dAで規定された波形をD級増幅することで駆動信号COMを生成する。したがって、駆動制御信号dAは、駆動信号COMの波形を規定することができる信号であればよく、例えば、駆動制御信号dAはアナログ信号であってもよい。なお、駆動回路50aは、駆動制御信号dAで規定される波形を増幅できればよく、例えば、A級増幅回路、B級増幅回路又はAB級増幅回路等で構成されてもよい。
また、駆動信号生成回路50は、駆動信号COMの基準電位を示す基準電圧信号CGNDを出力する。基準電圧信号CGNDは、例えば、電圧値が0Vのグラウンド電位の信号であってもよく、電圧値が6V等の直流電圧の信号であってもよい。
駆動信号COM及び基準電圧信号CGNDは、制御機構10において分岐された後、プリントヘッド21に出力される。具体的には、駆動信号COMは、制御機構10において後述するn個の駆動信号選択回路200のそれぞれに対応するn個の駆動信号COM1〜COMnに分岐されたのち、プリントヘッド21に出力される。同様に、基準電圧信号CGNDは、制御機構10においてn個の基準電圧信号CGND1〜CGNDnに分岐されたのち、プリントヘッド21に出力される。この駆動信号COM1〜COMnを含む駆動信号COMが駆動信号の一例である。
電源回路110は、電圧VHV,VDD1,VDD2及びグラウンド信号GNDを生成して出力する。電圧VHVは、電圧値が例えば42Vの直流電圧の信号である。また、電圧VDD1,VDD2は、電圧値が例えば3.3Vの直流電圧の信号である。また、グラウンド信号GNDは、電圧VHV,VDD1,VDD2の基準電位を示す信号であって、例えば、電圧値が0Vのグラウンド電位の信号である。電圧VHVは、駆動信号生成回路50における増幅用の電圧等に用いられ、電圧VDD1,VDD2のそれぞれは、制御機構10における各種構成の電源電圧や制御電圧等に用いられる。また、電圧VHV,VDD1,VDD2及びグラウンド信号GNDは、プリントヘッド21にも出力される。なお、電圧VHV,VDD1,VDD2及びグラウンド信号GNDの電圧値は、上述した42V、3.3V及び0Vに限られるものではない。また、電源回路110は、電圧VHV,VDD1,VDD2及びグラウンド信号GND以外の複数の電圧値の信号を生成しても良い。
プリントヘッド21は、駆動信号選択回路200−1〜200−nと、温度検出回路210と、診断回路240と、温度異常検出回路250−1〜250−nと、複数の吐出部600とを含む。
診断回路240には、共通の配線で伝搬される診断信号DIG−Aとラッチ信号LAT、診断信号DIG−Bとクロック信号SCK、診断信号DIG−Cとチェンジ信号CH及び診断信号DIG−Dと印刷データ信号SI1が入力される。そして、診断回路240は、診断信号DIG−A〜DIG−Dに基づいてインクの正常な吐出が可能か否かを診断する。
例えば、診断回路240は、入力される診断信号DIG−A〜DIG−Dのうちのいずれかの信号、又は全ての信号の電圧値が正常であるか否かを検出し、当該検出結果に基づいて、プリントヘッド21と制御機構10とが正常に接続されているか否かを診断してもよい。また、診断回路240は、入力される診断信号DIG−A〜DIG−Dのうちのいずれかの信号、又は全ての信号の論理レベルの組合せに応じて、プリントヘッド21に含まれる駆動信号選択回路200−1〜200−n及び圧電素子60等の任意の構成を動作させ、当該動作に起因する電圧値が正常であるか否かを検出し、当該検出結果に基づいて、プリントヘッド21が正常に動作可能か否かを診断してもよい。すなわち、プリントヘッド21は、診断回路240の診断結果に基づいて、インクの正常な吐出が可能か否かの自己診断を行う。
診断回路240が、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、診断回路240は、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK及びチェンジ信号CHを、ラッチ信号cLAT、クロック信号cSCK及びチェンジ信号cCHとして出力する。ここで、診断信号DIG−D及び印刷データ信号SI1は、プリントヘッド21において分岐されたのち、分岐された一方が診断回路240に入力され、他方が駆動信号選択回路200−1に入力される。
なお、診断回路240が出力するチェンジ信号cCH、ラッチ信号cLAT及びクロック信号cSCKは、診断回路240に入力されるチェンジ信号CH、ラッチ信号LAT及びクロック信号SCKと同じ波形の信号であってもよい。すなわち、診断回路240は、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK及びチェンジ信号CHのそれぞれが入力される診断回路240の端子と、ラッチ信号cLAT、クロック信号cSCK及びチェンジ信号cCHのそれぞれが出力される診断回路240の端子とを診断回路240の内部において電気的に接続する。なお、チェンジ信号cCH、ラッチ信号cLAT及びクロック信号cSCKのそ
れぞれは、診断回路240において、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT及びクロック信号SCKのそれぞれが補正された波形の信号であってもよい。
また、診断回路240は、診断回路240における診断結果を示す診断信号DIG−Eを生成し、制御回路100に出力する。ここで、第1実施形態における診断回路240は、例えば、1又は複数の集積回路(IC:Integrated Circuit)装置として構成されている。
駆動信号選択回路200−1〜200−nのそれぞれには、電圧VHV,VDD1、駆動信号COM1〜COMn、印刷データ信号SI1〜SIn、クロック信号cSCK、ラッチ信号cLAT及びチェンジ信号cCHが入力される。電圧VHV,VDD1は、駆動信号選択回路200−1〜200−nのそれぞれの電源電圧及び制御電圧として機能する。そして、駆動信号選択回路200−1〜200−nのそれぞれは、印刷データ信号SI1〜SIn、クロック信号cSCK、ラッチ信号cLAT及びチェンジ信号cCHに基づいて、駆動信号COM1〜COMnを選択又は非選択とすることで、駆動信号VOUT1〜VOUTnを生成する。
駆動信号選択回路200−1〜200−nのそれぞれが生成した駆動信号VOUT1〜VOUTnは、対応する吐出部600に含まれる圧電素子60に供給される。圧電素子60は、駆動信号VOUT1〜VOUTnが供給されることで変位する。そして、当該変位に応じた量のインクが吐出部600から吐出される。
具体的には、駆動信号選択回路200−1には、駆動信号COM1、印刷データ信号SI1、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH及びクロック信号cSCKが入力される。そして、駆動信号選択回路200−1は、印刷データ信号SI1、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH及びクロック信号cSCKに基づいて駆動信号COM1の波形を選択又は非選択することで、駆動信号VOUT1を生成する。駆動信号VOUT1は、対応して設けられる吐出部600の圧電素子60の一端に供給される。また、当該圧電素子60の他端には、基準電圧信号CGND1が供給されている。そして、圧電素子60は、駆動信号VOUT1と基準電圧信号CGND1との電位差により変位する。
同様に、駆動信号選択回路200−i(iは1〜nのいずれか)には、駆動信号COMi、印刷データ信号SIi、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH及びクロック信号cSCKが入力される。そして、駆動信号選択回路200−iは、印刷データ信号SIi、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH及びクロック信号cSCKに基づいて駆動信号COMiの波形を選択又は非選択することで、駆動信号VOUTiを生成する。駆動信号VOUTiは、対応して設けられる吐出部600の圧電素子60の一端に供給される。また、当該圧電素子60の他端には、基準電圧信号CGNDiが供給されている。そして、圧電素子60は、駆動信号VOUTiと基準電圧信号CGNDiとの電位差により変位する。
また、プリントヘッド21には、n個の駆動信号選択回路200−1〜200−nのそれぞれに対応した複数の圧電素子60を有する。換言すれば、プリントヘッド21は、駆動信号選択回路200−1に対応する複数の圧電素子60により形成される駆動素子群と、駆動信号選択回路200−2に対応する複数の圧電素子60により形成される駆動素子群とを含む複数の駆動素子群を有する。
ここで、駆動信号選択回路200−1が、第1実施形態における第1駆動信号選択回路の一例である。そして、駆動信号選択回路200−1において駆動信号COMの波形選択を規定する印刷データ信号SI1が、第1実施形態における第1印刷データ信号の一例で
あり、駆動信号選択回路200−1が出力する駆動信号VOUT1により駆動する複数の圧電素子60により形成される駆動素子群が、第1実施形態における第1駆動素子群の一例であり、駆動信号VOUT1により駆動する複数の圧電素子60のいずれかが、第1実施形態における第1駆動素子の一例である。同様に、駆動信号選択回路200−2が第1実施形態における第2駆動信号選択回路の一例である。そして、駆動信号選択回路200−2において駆動信号COMの波形選択を規定する印刷データ信号SI2が、第1実施形態における第2印刷データ信号の一例であり、駆動信号選択回路200−2が出力する駆動信号VOUT2により駆動する複数の圧電素子60により形成される駆動素子群が、第1実施形態における第2駆動素子群の一例であり、駆動信号VOUT2により駆動する複数の圧電素子60のいずれかが、第1実施形態における第2駆動素子の一例である。
ここで、駆動信号選択回路200−1〜200−nのそれぞれは同様の回路構成を有する。その為、以下の説明において駆動信号選択回路200−1〜200−nを区別する必要がない場合、駆動信号選択回路200と称する。また、この場合において、駆動信号選択回路200に入力される駆動信号COM1〜COMnを駆動信号COMと称し、印刷データ信号SI1〜SInを印刷データ信号SIと称し、駆動信号選択回路200から出力される駆動信号VOUT1〜VOUTnを駆動信号VOUTと称する。なお、駆動信号選択回路200の動作の詳細については後述する。ここで、駆動信号選択回路200−1〜200−iのそれぞれは、例えば、集積回路装置として構成されている。
温度異常検出回路250−1〜250−nは、駆動信号選択回路200−1〜200−nのそれぞれに対応して設けられる。そして、温度異常検出回路250−1〜250−nは、対応する駆動信号選択回路200−1〜200−nの温度異常の有無を診断する。具体的には、温度異常検出回路250−1〜250−nは、電圧VDD2を電源電圧として動作する。そして、温度異常検出回路250−1〜250−nのそれぞれは、対応する駆動信号選択回路200−1〜200−nの温度を検出し、当該温度が正常であると診断した場合、ハイレベル(Hレベル)の異常信号XHOTを生成し、制御回路100に出力する。一方、温度異常検出回路250−1〜250−nのそれぞれは、対応する駆動信号選択回路200−1〜200−nの温度が異常であると診断した場合、ローレベル(Lレベル)の異常信号XHOTを生成し、制御回路100に出力する。
ここで、温度異常検出回路250−1〜250−nのそれぞれは同様の回路構成を有する。その為、以下の説明において温度異常検出回路250−1〜250−nを区別する必要がない場合、温度異常検出回路250と称する。なお、診断信号DIG−Eと異常信号XHOTとは、共通の伝搬経路を介して制御回路100に伝搬される。また、温度異常検出回路250の詳細については後述する。ここで、温度異常検出回路250−1〜250−iのそれぞれは、例えば、集積回路装置として構成されている。また、温度異常検出回路250−iと駆動信号選択回路200−iとが1つの集積回路装置として構成されていてもよい。
温度検出回路210はサーミスター等の温度検出素子を含む。そして、当該温度検出素子が検出した検出信号に基づいて、プリントヘッド21の温度情報を含むアナログ信号の温度信号THを生成し、制御回路100に出力する。
1.3 駆動信号の波形の一例
ここで、駆動信号生成回路50で生成される駆動信号COMの波形の一例、及び圧電素子60に供給される駆動信号VOUTの波形の一例について図3及び図4を用いて説明する。
図3は、駆動信号COMの波形の一例を示す図である。図3に示すように、駆動信号C
OMは、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T1の後、次にチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2と、期間T2の後、次にラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T3に配置された台形波形Adp3とを連続させた波形である。そして、台形波形Adp1が、圧電素子60の一端に供給された場合、当該圧電素子60に対応する吐出部600から、中程度の量のインクが吐出される。また、台形波形Adp2が、圧電素子60の一端に供給された場合、当該圧電素子60に対応する吐出部600から、中程度の量よりも少ない小程度の量のインクが吐出される。また、台形波形Adp3が圧電素子60の一端に供給された場合、当該圧電素子60に対応する吐出部600からインクは吐出されない。この台形波形Adp3は、吐出部600のノズル開孔部付近のインクを微振動させて、インク粘度の増大を防止するための波形である。
ここで、図3に示すラッチ信号LATが立ち上がってから、次にラッチ信号LATが立ち上がるまでの周期Taが、媒体Pに新たなドットを形成する印刷周期に相当する。以上のように、ラッチ信号LAT及びラッチ信号cLATは、プリントヘッド21からのインクの吐出タイミングを規定する信号であり、チェンジ信号CH及びチェンジ信号cCHは、駆動信号COMに含まれる台形波形Adp1,Adp2,Adp3の波形切替タイミングを規定する信号である。
また、台形波形Adp1,Adp2,Adp3のそれぞれの開始タイミング及び終了タイミングでの電圧は、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp1,Adp2,Adp3のそれぞれは、電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する波形となっている。なお、駆動信号COMは、周期Taにおいて、1つ又は2つの台形波形が連続した波形の信号であってもよく、また、4つ以上の台形波形が連続した波形の信号であってもよい。
図4は、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録」のそれぞれに対応する駆動信号VOUTの波形の一例を示す図である。
図4に示すように、「大ドット」に対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台形波形Adp2と、期間T3に配置された電圧Vcで一定の波形とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給された場合、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応した吐出部600から、中程度の量のインクと小程度の量のインクとが吐出される。よって、媒体Pには、それぞれのインクが着弾し合体することで大ドットが形成される。
「中ドット」に対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2,T3に配置された電圧Vcで一定の波形とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給された場合、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応した吐出部600から、中程度の量のインクが吐出される。よって、媒体Pには、このインクが着弾して中ドットが形成される。
「小ドット」に対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1,T3に配置された電圧Vcで一定の波形と、期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給された場合、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応した吐出部600から、小程度の量のインクが吐出される。よって、媒体Pには、このインクが着弾して小ドットが形成される。
「非記録」に対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1,T2に配置
された電圧Vcで一定の波形と、期間T3に配置された台形波形Adp3とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給された場合、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応した吐出部600のノズル開孔部付近のインクが微振動するのみで、インクは吐出されない。よって、媒体Pには、インクが着弾せずドットが形成されない。
ここで、電圧Vcで一定の波形とは、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Adp3のいずれも選択されていない場合において、直前の電圧Vcが圧電素子60の容量成分により保持された電圧からなる波形である。その為、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Adp3のいずれも選択されていない場合、電圧Vcが駆動信号VOUTとして圧電素子60に供給される。
なお、図3及び図4に示した駆動信号COM及び駆動信号VOUTはあくまでも一例であり、プリントヘッド21が搭載されるキャリッジ20の移動速度、プリントヘッド21に供給されるインクの物性、及び媒体Pの材質等に応じて、様々な波形の組み合わせが用いられてもよい。
1.4 駆動信号選択回路の構成
次に、駆動信号選択回路200の構成及び動作について図5〜図8を用いて説明する。図5は、駆動信号選択回路200の構成を示す図である。図5に示すように、駆動信号選択回路200は、選択制御回路220及び複数の選択回路230を含む。
選択制御回路220には、印刷データ信号SI、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH及びクロック信号cSCKが入力される。また、選択制御回路220には、シフトレジスター(S/R)222とラッチ回路224とデコーダー226との組が、複数の吐出部600の各々に対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200は、対応する吐出部600の総数mと同数のシフトレジスター222とラッチ回路224とデコーダー226との組を含む。ここで、印刷データ信号SIは、駆動信号COMの波形選択を規定する信号であり、クロック信号SCK及びクロック信号cSCKは、印刷データ信号SIが入力されるタイミングを規定するためのクロック信号である。
具体的には、印刷データ信号SIは、クロック信号cSCKに同期した信号であって、m個の吐出部600の各々に対して、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録」のいずれかを選択するための2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を含む、合計2mビットの信号である。印刷データ信号SIは、吐出部600に対応して、印刷データ信号SIに含まれる2ビット分の印刷データ[SIH,SIL]毎に、シフトレジスター222に保持される。具体的には、吐出部600に対応したm段のシフトレジスター222が互いに縦続接続されるとともに、シリアルで入力された印刷データ信号SIが、クロック信号cSCKに従って順次後段に転送される。なお、図5では、シフトレジスター222を区別するために、印刷データ信号SIが入力される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表記している。
m個のラッチ回路224の各々は、m個のシフトレジスター222の各々で保持された2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をラッチ信号cLATの立ち上がりでラッチする。
m個のデコーダー226の各々は、m個のラッチ回路224の各々によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をデコードする。そして、デコーダー226は、ラッチ信号cLATとチェンジ信号cCHとで規定される期間T1,T2,T3毎に選択信号Sを出力する。
図6は、デコーダー226におけるデコード内容を示す図である。デコーダー226は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]に従い選択信号Sを出力する。例えば、デコーダー226は、2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号Sの論理レベルを、期間T1,T2,T3のそれぞれにおいてH,H,Lレベルとして出力する。
選択回路230は、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200が有する選択回路230の数は、対応する吐出部600の総数mと同じである。図7は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の構成を示す図である。図7に示すように、選択回路230は、NOT回路であるインバーター232及びトランスファーゲート234を有する。
選択信号Sは、トランスファーゲート234において丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232によって論理反転されて、トランスファーゲート234において丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234の入力端には、駆動信号COMが供給される。具体的には、トランスファーゲート234は、選択信号SがHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通(オン)とし、選択信号SがLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通(オフ)とする。そして、トランスファーゲート234の出力端から駆動信号VOUTが出力される。
ここで、図8を用いて、駆動信号選択回路200の動作について説明する。図8は、駆動信号選択回路200の動作を説明するための図である。印刷データ信号SIは、クロック信号cSCKに同期してシリアルで入力されて、吐出部600に対応するシフトレジスター222において順次転送される。そして、クロック信号cSCKの入力が停止すると、各シフトレジスター222には、吐出部600の各々に対応した2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、印刷データ信号SIは、シフトレジスター222のm段、…、2段、1段の吐出部600に対応した順に入力される。
そして、ラッチ信号cLATが立ち上がると、ラッチ回路224のそれぞれは、シフトレジスター222に保持されている2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。なお、図8において、LT1、LT2、…、LTmは、1段、2段、…、m段のシフトレジスター222に対応するラッチ回路224によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を示す。
デコーダー226は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2,T3のそれぞれにおいて、選択信号Sの論理レベルを図6に示す内容で出力する。
具体的には、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[1,1]の場合、選択信号Sを期間T1,T2,T3においてH,H,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2を選択し、期間T3において台形波形Adp3を選択しない。その結果、図4に示した「大ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号Sを期間T1,T2,T3においてH,L,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2を選択せず、期間T3において台形波形Adp3を選択しない。その結果、図4に示した「中ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[0,1]の場合、選択信号Sを期間T1,T2,T3においてL,H,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択せず、期間T2において台形波形Adp2を選択し、期間T3において台形波形Adp3を選択しない。その結果、図4に示した「小ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[0,0]の場合、選択信号Sを期間T1,T2,T3においてL,L,Hレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択せず、期間T2において台形波形Adp2を選択せず、期間T3において台形波形Adp3を選択する。その結果、図4に示した「非記録」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
以上のように、駆動信号選択回路200は、印刷データ信号SI、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH及びクロック信号cSCKに基づいて、駆動信号COMの波形を選択し、駆動信号VOUTを出力する。換言すれば、駆動信号選択回路200は、駆動信号COMの波形を選択し、圧電素子60に供給する。
1.5 温度異常検出回路の構成
次に、温度異常検出回路250について図9を用いて説明する。図9は、温度異常検出回路250の構成を示す図である。図9に示すように、温度異常検出回路250は、コンパレーター251、基準電圧生成回路252、トランジスター253、複数のダイオード254及び抵抗255,256を含む。なお、前述のとおり、温度異常検出回路250−1〜250−nはいずれも同じ構成を有する。そのため、図9では、温度異常検出回路250−2〜250−nの詳細な構成についての図示を省略する。
基準電圧生成回路252には、電圧VDD2が入力される。そして、基準電圧生成回路252は、電圧VDD2を変圧することで電圧Vrefを生成し、コンパレーター251の+側入力端子に供給する。基準電圧生成回路252は、例えば電圧レギュレーター回路などで構成される。
複数のダイオード254は、互いに直列に接続されている。そして、直列に接続された複数のダイオード254のうち、最も高電位側に位置するダイオード254のアノード端子には抵抗255を介して電圧VDD2が供給され、最も低電位側に位置するダイオード254のカソード端子にはグラウンド信号GNDが供給される。具体的には、温度異常検出回路250は複数のダイオード254として、ダイオード254−1,254−2,254−3,254−4を有する。ダイオード254−1のアノード端子には、抵抗255を介して電圧VDD2が供給されると共に、コンパレーター251の−側入力端子と接続される。ダイオード254‐1のカソード端子は、ダイオード254−2のアノード端子と接続される。ダイオード254−2のカソード端子は、ダイオード254−3のアノード端子と接続される。ダイオード254−3のカソード端子は、ダイオード254−4のアノード端子と接続される。ダイオード254−4のカソード端子にはグラウンド信号GNDが供給される。以上のように構成された抵抗255及び複数のダイオード254によって、コンパレーター251の−側入力端子には、複数のダイオード254のそれぞれの順方向電圧の和である電圧Vdetが供給される。なお、複数のダイオード254は4つに限られるものではない。
コンパレーター251は、電圧VDD2とグラウンド信号GNDとの電位差により動作する。そして、コンパレーター251は、+側入力端子に供給される電圧Vrefと−側入力端子に供給される電圧Vdetとを比較し、当該比較結果に基づく信号を出力端子か
ら出力する。
トランジスター253のドレイン端子には抵抗256を介して電圧VDD2が供給される。また、トランジスター253のゲート端子はコンパレーター251の出力端子と接続され、ソース端子にはグラウンド信号GNDが供給される。以上のように接続されたトランジスター253のドレイン端子に供給される電圧が、異常信号XHOTとして温度異常検出回路250から出力される。
基準電圧生成回路252が生成する電圧Vrefの電圧値は、複数のダイオード254の温度が所定の範囲内である場合の電圧Vdetよりも小さい。この場合において、コンパレーター251は、Lレベルの信号を出力する。したがって、トランジスター253はオフに制御され、その結果、温度異常検出回路250は、Hレベルの異常信号XHOTを出力する。
ダイオード254の順方向電圧は、温度が上昇すると低下する特性を有する。したがって、プリントヘッド21に温度異常が生じた場合、ダイオード254の温度が上昇し、それに伴って電圧Vdetが低下する。そして、当該温度上昇に起因して電圧Vdetが電圧Vrefを下回った場合に、コンパレーター251の出力信号は、LレベルからHレベルとなる。したがって、トランジスター253はオンに制御される。その結果、温度異常検出回路250は、Lレベルの異常信号XHOTを出力する。
また、図9に示すようにn個の温度異常検出回路250−1〜250−nの出力は、共通に接続されている。そして、温度異常検出回路250−1〜250−nのいずれかで温度異常が生じた場合、温度異常が生じた温度異常検出回路250に対応するトランジスター253がオンに制御される。その結果、異常信号XHOTが出力されるノードには、当該トランジスター253を介してグラウンド信号GNDが供給される。したがって、温度異常検出回路250−1〜250−nが出力する異常信号XHOTがLレベルに制御される。すなわち、温度異常検出回路250−1〜250−nは、ワイヤードオア接続されている。これにより、プリントヘッド21に複数の温度異常検出回路250が設けられた場合であっても、異常信号XHOTを伝搬するための配線数を増加させることなく、プリントヘッド21の温度異常の有無を示す異常信号XHOTを伝搬することができる。
1.6 プリントヘッドの構成
次に、プリントヘッド21の構成について説明する。図10はプリントヘッド21の構成を示す斜視図である。図10に示すように、プリントヘッド21は、ヘッド310及び基板320を有する。また、ヘッド310のZ方向おける下側の面には、複数の吐出部600が形成されたインク吐出面311が位置する。なお、以下の説明において、第1実施形態のプリントヘッド21は、6個の駆動信号選択回路200−1〜200−6を備えるとして説明を行う。すなわち、第1実施形態におけるプリントヘッド21には、6個の駆動信号選択回路200−1〜200−6のそれぞれに対応する6個の印刷データ信号SI1〜SI6と、6個の駆動信号COM1〜COM6と、6個の基準電圧信号CGND1〜CGND6とが入力される。
図11は、インク吐出面311の構成を示す平面図である。図11に示すように、インク吐出面311には、複数の吐出部600に含まれるノズル651を有するノズルプレート632が、X方向に6つ並んで設けられている。また、ノズルプレート632のそれぞれにおいて、ノズル651はY方向に並んで設けられる。すなわち、インク吐出面311には、6個のノズル列L1〜L6が形成されている。なお、図11では、各ノズルプレート632に形成されているノズル列L1〜L6には、ノズル651がY方向に1列で並んで設けられているが、ノズル651がY方向に2列以上で並んで設けられてもよい。
ノズル列L1〜L6は、駆動信号選択回路200−1〜200−6のそれぞれに対応して設けられる。具体的には、印刷データ信号SI1に基づいて駆動信号選択回路200−1が出力する駆動信号VOUT1は、ノズル列L1に設けられる複数の吐出部600が有する圧電素子60の一端に供給され、当該圧電素子60の他端には基準電圧信号CGND1が供給される。同様に、印刷データ信号SI2〜SI6に基づいて駆動信号選択回路200−2〜200−6が出力する駆動信号VOUT2〜VOUT6は、ノズル列L2〜L6のそれぞれに設けられる複数の吐出部600が有する圧電素子60の一端に供給され、対応する圧電素子60の他端には基準電圧信号CGND2〜CGND6のそれぞれが供給される。
次に、ヘッド310に含まれる吐出部600の構成について、図12を用いて説明する。図12は、ヘッド310に含まれる複数の吐出部600の内の1つの概略構成を示す図である。図12に示すように、ヘッド310は、吐出部600及びリザーバー641を含む。
リザーバー641は、ノズル列L1〜L6のそれぞれに対応して設けられる。そして、リザーバー641には、インク供給口661からインクが導入される。
吐出部600は、圧電素子60、振動板621、キャビティー631及びノズル651を含む。振動板621は、図12において上面に設けられた圧電素子60の変位に伴い変形する。そして、振動板621は、キャビティー631の内部容積を拡大/縮小させるダイヤフラムとして機能する。キャビティー631の内部には、インクが充填されている。そして、キャビティー631は、圧電素子60の変位により、内部容積が変化する圧力室として機能する。ノズル651は、ノズルプレート632に形成されると共に、キャビティー631に連通する開孔部である。そして、キャビティー631の内部容積の変化に応じてキャビティー631の内部に貯留されたインクが、ノズル651から吐出される。
圧電素子60は、圧電体601を一対の電極611,612で挟んだ構造である。この構造の圧電体601は、電極611,612に供給された電圧に応じて、電極611,612及び振動板621の中央部分が、両端部分に対して図12における上下方向に撓む。具体的には、電極611には、駆動信号VOUTが供給され、電極612には、基準電圧信号CGNDが供給される。そして、駆動信号VOUTの電圧が高くなると、圧電素子60の中央部分が上方向に撓み、駆動信号VOUTの電圧が低くなると、圧電素子60の中央部分が下方向に撓む。すなわち、圧電素子60が上方向に撓めば、キャビティー631の内部容積が拡大する。したがって、インクがリザーバー641から引き込まれる。また、圧電素子60が下方向に撓めば、キャビティー631の内部容積が縮小する。したがって、キャビティー631の内部容積の縮小の程度に応じた量のインクが、ノズル651から吐出される。以上のように、圧電素子60は、駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTにより駆動する。そして、圧電素子60が駆動することで、ノズル651からインクが吐出される。なお、圧電素子60は、図示した構造に限られず、圧電素子60の変位に伴いインクを吐出させることができる型であればよい。また、圧電素子60は、屈曲振動に限られず、縦振動を用いる構成でもよい。
すなわち、ノズル列L1〜L6のそれぞれに含まれる複数の圧電素子60が複数の圧電素子群を形成する。具体的には、駆動信号選択回路200−1に対応するノズル列L1に含まれる複数の圧電素子60が、第1実施形態における第1駆動素子群の一例であり、駆動信号選択回路200−2に対応するノズル列L2に含まれる複数の圧電素子60が、第1実施形態における第2駆動素子群の一例である。
図10に戻り基板320は、面321と、面321と対向する面322とを有し、辺323と、辺323に対してX方向で対向する辺324と、辺325と、辺325に対してY方向に対向する辺326とで形成される略矩形状である。なお、基板320の形状は矩形に限られるものではなく、例えば、六角形や八角形等の多角形であってもよく、さらには、一部に切欠きや弧等が形成されていてもよい。
ここで、図13及び図14を用いて、基板320の構成について説明する。図13は基板320を面322から見た場合の平面図である。また、図14は基板320を面321から見た場合の平面図である。
図13に示すように、基板320の面322には、電極群330a〜330fが設けられている。具体的には、電極群330a〜330fのそれぞれは、Y方向に並設された複数の電極を有する。そして、電極群330a〜330fのそれぞれは、Y方向に沿って電極群330a,330b,330c,330d,330e,330fの順に並んで設けられる。以上のように設けられた電極群330a〜330fのそれぞれには、不図示のフレキシブル配線基板(FPC:Flexible Printed Circuits)が電気的に接続される。
また、図13及び図14に示すように、基板320には、面321と面322とを貫通する貫通孔であるFPC挿通孔332a〜332cと、インク供給路挿通孔331a〜331fとが形成されている。
FPC挿通孔332aは、X方向において電極群330aと電極群330bとの間に位置し、電極群330aと電気的に接続されるFPCと、電極群330bと電気的に接続されるFPCとが挿通される。FPC挿通孔332bは、X方向において電極群330cと電極群330dとの間に位置し、電極群330cと電気的に接続されるFPCと、電極群330dと電気的に接続されるFPCとが挿通される。FPC挿通孔332cは、X方向において電極群330eと電極群330fとの間に位置し、電極群330eと電気的に接続されるFPCと、電極群330fと電気的に接続されるFPCとが挿通される。
インク供給路挿通孔331aは、X方向において電極群330aの辺323側に位置する。インク供給路挿通孔331b,331cは、X方向において電極群330bと電極群330cとの間に位置し、インク供給路挿通孔331bが辺325側、インク供給路挿通孔331cが辺326側となるようにY方向に沿って並んで位置する。インク供給路挿通孔331d,331eは、X方向において電極群330dと電極群330eとの間に位置し、インク供給路挿通孔331dが辺325側、インク供給路挿通孔331eが辺326側となるようにY方向に沿って並んで位置する。インク供給路挿通孔331fは、X方向において電極群330fの辺324側に位置する。そして、インク供給路挿通孔331a〜331fのそれぞれには、ノズル列L1〜L6のそれぞれに対応する吐出部600にインクを導入するためのインク供給口661と連通する不図示のインク供給路の一部が挿通される。
また、図13及び図14に示すように、基板320は、プリントヘッド21に含まれる基板320を、図1に示すキャリッジ20に固定するための固定部346〜349を有する。固定部346〜349のそれぞれは、基板320の面321と面322とを貫通する貫通孔である。そして、固定部346〜349を挿通した不図示のねじが、キャリッジ20に取付けられることで、基板320がキャリッジ20に固定される。なお、固定部346〜349は、基板320に形成された貫通孔に限られるものではない。例えば、固定部346〜349は、嵌め合せることで基板320をキャリッジ20に固定する構成であってもよい。
固定部346,347は、X方向においてインク供給路挿通孔331aの辺323側に位置し、固定部346が辺325側、固定部347が辺326側となるようにY方向に沿って並んで設けられる。また、固定部348,349は、X方向においてインク供給路挿通孔331fの辺324側に位置し、固定部348が辺325側、固定部349が辺326側となるようにY方向に沿って並んで設けられる。
また、図14に示すように、基板320の面321には、図2に示す診断回路240を構成する集積回路241が設けられている。具体的には、集積回路241は、基板320の面321側において、固定部347と固定部349との間であって、且つ電極群330a〜電極群330fの辺326側に設けられる。
また、図13及び図14に示すように、基板320には、コネクター350,360が設けられている。コネクター350は、基板320の面321側であって、辺323に沿って設けられている。コネクター360は、基板320の面322側であって、辺323に沿って設けられている。
ここで、図15を用いて、コネクター350,360の構成について説明する。図15は、コネクター350,360の構成を示す図である。図15に示すように、
コネクター350は、ハウジング351と、ハウジング351に形成されたケーブル取付部352と、複数の端子353とを有する。複数の端子353は、辺323に沿って並設されている。具体的には、26個の端子353が辺323に沿って並設されている。ここで、26個の端子353を、辺323に沿った方向において辺325側から辺326側に向かって順に、端子353−1,353−2,・・・,353−26と称する。ケーブル取付部352は、Z方向において複数の端子353の基板320に位置する。ケーブル取付部352には、フレキシブルフラットケーブル等の伝搬経路が取付けられる。
コネクター360は、ハウジング361と、ハウジング361に形成されたケーブル取付部362と、複数の端子363とを有する。複数の端子363は、辺323に沿って並設されている。具体的には、26個の端子363が辺323に沿って並設されている。ここで、26個の端子363を、辺323に沿った方向において辺325側から辺326側に向かって順に、端子363−1,363−2,・・・,363−26と称する。ケーブル取付部362は、Z方向において複数の端子363の基板320に位置する。ケーブル取付部362には、フレキシブルフラットケーブル等の伝搬経路が取付けられる。
コネクター350,360に取付けられる各種制御信号の伝搬経路としてのケーブルには、プリントヘッド21の動作を制御する為の各種信号が伝搬される。換言すれば、プリントヘッド21は、コネクター350,360を介して入力される各種信号に基づいて動作する。
ここで、図15に示すコネクター350では、ケーブル取付部352がZ方向において基板320側に位置し、複数の端子353がZ方向においてインク吐出面311側に位置しているが、図16に示すコネクター350のように、複数の端子353がZ方向において基板320側に位置し、ケーブル取付部352がZ方向においてインク吐出面311側に位置することが好ましい。図16は、コネクター350,360の他の構成を示す図である。
液体吐出装置1において、ノズル651から吐出されたインクの多くは、媒体Pに着弾し画像を形成する。しかしながら、ノズル651から吐出されたインクの一部が、媒体Pに着弾する前にミスト化し液体吐出装置1の内部に浮遊する場合がある。さらに、ノズル651から吐出されたインクが媒体Pに着弾した後であっても、プリントヘッド21が搭
載されたキャリッジ20の移動や、媒体Pの搬送に伴って生じる気流により、媒体Pに着弾したインクが、液体吐出装置1の内部に再浮遊する場合がある。そして、液体吐出装置1の内部に浮遊するインクがコネクター350に含まれた複数の端子353に付着した場合、当該端子間で短絡するおそれがある。その結果、プリントヘッド21に入力される各種信号の波形に歪みが生じ、プリントヘッド21から吐出されるインクの吐出精度を悪化させるおそれがある。
図16に示すコネクター350ように、複数の端子353がZ方向において基板320側に位置することで、コネクター350にケーブルが取付けられた場合に、液体吐出装置1の内部に浮遊するインクが付着する可能性の高いインク吐出面311側の面には、複数の端子353が設けられない。そのため、液体吐出装置1の内部に浮遊するインクに起因して、コネクター350に含まれる複数の端子353間で短絡が生じるおそれを低減することが可能となる。したがって、プリントヘッド21に入力される信号に歪みが生じるおそれを低減することが可能となる。
以上のように構成されたプリントヘッド21では、制御機構10から出力された駆動信号COM1〜COM6、基準電圧信号CGND1〜CGND6、印刷データ信号SI1〜SI6、ラッチ信号LAT,チェンジ信号CH,クロック信号SCKを含む複数の信号が、コネクター350,360を介してプリントヘッド21に入力される。そして、基板320に設けられる配線パターンで伝搬され電極群330a〜330fのそれぞれに入力される。
電極群330a〜330fのそれぞれに入力された各種信号は、電極群330a〜330fのそれぞれと電気的に接続されるFPCを介して、ノズル列L1〜L6のそれぞれに対応する駆動信号選択回路200−1〜200−6に入力される。そして、駆動信号選択回路200−1〜200−6は、入力される信号に基づいて駆動信号VOUT1〜VOUT6を生成し、ノズル列L1〜L6のそれぞれに含まれる圧電素子60に供給する。これにより、コネクター350,360に入力される各種信号が、複数の吐出部600に含まれる圧電素子60に供給される。なお、駆動信号選択回路200−1〜200−6のそれぞれは、ヘッド310の内部に設けられていてもよく、FPC上にCOF(Chip On Film)実装されていてもよい。
図17は、プリントヘッド21をY方向から見た場合の断面図である。図13に示すように、複数のノズル列L1〜L6は、X方向に並んで設けられる。具体的には、複数のノズル列L1〜L6は、基板320のコネクター350が設けられた辺323側から、辺324側に向かって、ノズル列L1,L2,L3,L4,L5,L6の順に並んで設けられる。すなわち、駆動信号選択回路200−1に対応するノズル列L1に含まれる複数の圧電素子60とコネクター350との最短距離は、駆動信号選択回路200−2に対応するノズル列L2に含まれる複数の圧電素子60とコネクター350との最短距離よりも短い。更にこの場合において、駆動信号選択回路200−1に対応するノズル列L1に含まれる複数の圧電素子60とコネクター350との間には、他のノズル列L2〜L6、及びノズル列L2〜L6のそれぞれに含まれる圧電素子60が位置しない。換言すれば、ノズル列L1は、インク吐出面311に形成されたノズル列L1〜L6の内、最もコネクター350側に位置する。
詳細は後述するが、ノズル列L1に対応する印刷データ信号SI1は、コネクター350を介してプリントヘッド21に入力される。そして、印刷データ信号SI1は、診断信号DIG−Dと共通の配線で伝搬され診断回路240に入力されると共に、駆動信号選択回路200−1にも入力される。駆動信号選択回路200−1に対応するノズル列L1を、インク吐出面311に形成されたノズル列L1〜L6の内、印刷データ信号SI1が入
力されるコネクター350側に設けることで、印刷データ信号SI1が伝搬される配線の配線長を短くすることが可能となる。したがって、印刷データ信号SI1及び診断信号DIG−Dが伝搬される配線においてノイズが干渉するおそれを低減することが可能となる。
1.7 プリントヘッドに入力される信号の詳細
以上のように構成された液体吐出装置1において、プリントヘッドに入力される信号の詳細について図18及び図19を用いて説明する。
図18は、コネクター350に入力される信号の詳細を説明するための図である。図18に示すように、コネクター350は、駆動信号COM1〜COM6のそれぞれが入力される端子と、基準電圧信号CGND1〜CGND6のそれぞれが入力される端子と、温度信号TH、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1、及び異常信号XHOTのそれぞれが入力される端子と、診断信号DIG−A〜DIG−Eのそれぞれが入力される端子と、電圧VHVが入力される端子と、複数のグラウンド信号GNDが入力される複数の端子とを含む。
具体的には、駆動信号COM1〜COM6のそれぞれは、端子353−11,353−9,353−7,353−5,353−3,353−1のそれぞれから入力される。ここで、駆動信号COM1が入力される端子353−11が第5端子の一例である。また、基準電圧信号CGND1〜CGND6は、端子353−12,353−10,353−8,353−6,353−4,353−2のそれぞれから入力される。
診断信号DIG−Aは、端子353−23から入力される。また、ラッチ信号LATも同様に、端子353−23から入力される。すなわち、端子353−23は、診断信号DIG−Aが入力される端子と、ラッチ信号LATが入力される端子とを兼ねる。ここで、診断信号DIG−Aが第1実施形態における第2診断信号の一例であり、診断信号DIG−Aが入力される端子353−23が第1実施形態における第2端子の一例である。
診断信号DIG−Bは、端子353−21から入力される。また、クロック信号SCKも同様に、端子353−6から入力される。すなわち、端子353−21は、診断信号DIG−Bが入力される端子と、クロック信号SCKが入力される端子とを兼ねる。ここで、診断信号DIG−Bが第1実施形態における第4診断信号の一例であり、診断信号DIG−Bが入力される端子353−21が第1実施形態における第4端子の一例である。
診断信号DIG−Cは、端子353−19から入力される。また、チェンジ信号CHも同様に、端子353−19から入力される。すなわち、端子353−19は、診断信号DIG−Cが入力される端子と、チェンジ信号CHが入力される端子とを兼ねる。ここで、診断信号DIG−Cが第1実施形態における第3診断信号の一例であり、診断信号DIG−Cが入力される端子353−19が第1実施形態における第3端子の一例である。
診断信号DIG−Dは、端子353−17から入力される。また、印刷データ信号SI1も同様に、端子353−17に入力される。すなわち、端子353−17は、診断信号DIG−Dが入力される端子と、印刷データ信号SI1が入力される端子とを兼ねる。ここで、診断信号DIG−Dが第1実施形態における第1診断信号の一例であり、診断信号DIG−Dが入力される端子353−17が第1実施形態における第1端子の一例である。
診断信号DIG−Eは、端子353−15に入力される。また、異常信号XHOTも同様に、コネクター350の端子353−15に入力される。すなわち、端子353−15
は、診断信号DIG−Eが入力される端子と、異常信号XHOTが入力される端子とを兼ねる。
以上のように、第1実施形態では、診断信号DIG−A〜DIG−Eのそれぞれと、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1及び異常信号XHOTのそれぞれとは共通の端子に入力される。ここで、診断信号DIG−A〜DIG−Eそれぞれと、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1及び異常信号XHOTのそれぞれとを共通の端子に入力する方法の一例について説明する。
例えば、制御回路100は、液体吐出装置1及びプリントヘッド21の動作状態に応じて、診断信号DIG−Aとラッチ信号LAT、診断信号DIG−Bとクロック信号SCK、診断信号DIG−Cとチェンジ信号CH及び診断信号DIG−Dと印刷データ信号SI1をそれぞれ時分割に生成する。具体的には、液体吐出装置1がインクを吐出する印刷状態である場合、制御回路100は、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH及び印刷データ信号SI1を生成してプリントヘッド21に出力する。また、液体吐出装置1がインクを吐出する印刷状態でなく、プリントヘッド21が自己診断を行う場合、制御回路100は、診断信号DIG−A〜DIG−Dを生成してプリントヘッド21に出力する。これにより、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH及び印刷データ信号SI1のそれぞれと、診断信号DIG−A〜DIG−Dのそれぞれとは共通の配線で伝搬された後、プリントヘッド21に入力される。すなわち、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH及び印刷データ信号SI1のそれぞれと、診断信号DIG−A〜DIG−Dのそれぞれとは、共通の端子に入力される。
また、診断信号DIG−Eと異常信号XHOTとを共通の端子に入力する方法としては、例えば、診断回路240における診断結果を示す診断信号DIG−Eが出力される配線と、異常信号XHOTが出力される配線とを、プリントヘッド21においてワイヤードオア接続し、当該ワイヤードオア接続された信号を共通の端子に入力する。そして、当該端子を介して、共通の配線で伝搬する。これにより、温度異常検出回路250における温度が異常であるか否かの診断結果と診断回路240における診断結果との少なくともいずれかが異常である場合、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能でないことを示すLレベルの信号が、当該端子に入力され、温度異常検出回路250における温度が異常であるか否かの診断と診断回路240における診断との双方が正常である場合、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であることを示すHレベルの信号が、当該端子に入力される。
なお、上述した診断信号DIG−A〜DIG−Eそれぞれと、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1及び異常信号XHOTのそれぞれとをコネクター350の共通の端子に入力する方法は一例であり、例えば、セレクター等を用いて、配線で伝搬される信号及び端子に入力される信号が切り替えられる構成であってもよい。
印刷データ信号SI、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK及び異常信号XHOTは、プリントヘッド21の吐出を制御するための重要な信号であり、これらの信号が伝搬される配線に接続不良などが生じた場合、インクの吐出精度が悪化するおそれがある。このような重要な信号が伝搬される配線とプリントヘッド21が自己診断を行う信号が伝搬される配線とを共通の配線とし、当該信号が入力される端子とプリントヘッド21が自己診断を行う信号が入力される端子とを共通の端子とすることで、プリントヘッド21の自己診断の結果に基づいて、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK及び異常信号XHOTが正常に伝搬されているか
否かの診断も可能となる。さらに、1つの配線で複数の信号を伝搬し、1つの端子に複数の信号が入力されるため、伝搬経路としてのケーブルに設けられるべき配線の数、及びコネクター350に設けられる端子数を少なくすることも可能となる。
以上のように、コネクター350は、診断信号DIG−Dが入力される端子353−17、診断信号DIG−Aが入力される端子353−23、診断信号DIG−Cが入力される端子353−19、診断信号DIG−Bが入力される端子353−21及び駆動信号COM1が入力される端子353−11を有する。
温度信号THは、端子353−25に入力される。また、電圧VHVは、端子353−13に入力される。また、グラウンド信号GNDは、端子353−14,353−16,353−18,353−20,353−22,353−24,353−26のそれぞれに入力される。
次に図19を用いて、コネクター360に入力される信号の詳細について説明する。図19は、コネクター360に入力される信号の詳細を説明するための図である。図19に示すように、コネクター360は、駆動信号COM1〜COM6のそれぞれが入力される端子と、基準電圧信号CGND1〜CGND6のそれぞれが入力される端子と、印刷データ信号SI2〜SI6のそれぞれが入力される端子と、電圧VHV,VDD1,VDD2のそれぞれが入力される端子と、複数のグラウンド信号GNDが入力される複数の端子とを含む。
具体的には、駆動信号COM1〜COM6のそれぞれは、端子363−12,363−10,363−8,363−6,363−4,363−2のそれぞれから入力される。また、基準電圧信号CGND1〜CGND6のそれぞれは、端子363−11,363−9,363−7,363−5,363−3,363−1のそれぞれから入力される。
印刷データ信号SI2〜SI6のそれぞれは、端子363−24,363−22,363−20,363−18,363−16のそれぞれから入力される。また、電圧VDD1は、端子363−26から入力され、電圧VDD2は、端子363−21から入力される。
グラウンド信号GNDは、端子353−13,353−14,353−15,353−17,353−19,353−23,353−25のそれぞれに入力される。
1.8 プリントヘッドに形成される配線
ここで、図20を用いて、コネクター350から入力される診断信号DIG−A〜DIG−Eが基板320の面321で伝搬される配線の一例について説明する。図20は、基板320の面321に形成された配線の一例を示す図である。なお、図20では、基板320に形成される配線の一部の図示を省略している。また、図20には、基板320の面322に形成される電極群330a〜330fが破線で示されている。
図20に示すように、基板320は、配線354−a〜354−oを有する。
端子353−23は、配線354−aと電気的に接続される。端子353−23から入力される診断信号DIG−Aとラッチ信号LATとは、配線354−aで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線354−aは、端子353−23と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG−Aとラッチ信号LATとが伝搬される配線354−aが第1実施形態の第2配線の一例である。
端子353−21は、配線354−bと電気的に接続される。端子353−21から入力される診断信号DIG−Bとクロック信号SCKとは、配線354−bで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線354−bは、端子353−21と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG−Bとクロック信号SCKとが伝搬される配線354−bが第1実施形態の第4配線の一例である。
端子353−19は、配線354−cと電気的に接続される。端子353−19から入力される診断信号DIG−Cとチェンジ信号CHとは、配線354−cで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線354−cは、端子353−19と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG−Cとチェンジ信号CHとが伝搬される配線354−cが第1実施形態の第3配線の一例である。
端子353−17は、配線354−dと電気的に接続される。端子353−17から入力される診断信号DIG−Dと印刷データ信号SI1とは、配線354−dで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線354−dは、端子353−17と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG−Dと印刷データ信号SI1とが伝搬される配線354−dが第1実施形態の第1配線の一例である。
端子353−15は、配線354−eと電気的に接続される。集積回路241から出力される診断信号DIG−E、及び異常信号XHOTは、配線354−eで伝搬された後、端子353−15に入力される。すなわち、配線354−eは、端子353−15と集積回路241とを電気的に接続する。
ここで、診断信号DIG−A〜DIG−Dのそれぞれを伝搬する配線354−a〜354−dのそれぞれには、ビア等が形成されていないことが好ましく、例えば、図20に示すように、コネクター350と診断回路240を構成する集積回路241とは、基板320の同一面である面321に設けられていることが好ましい。診断信号DIG−A〜DIG−Dのそれぞれは、集積回路241にいてインクの正常な吐出が可能か否かを診断する為の信号である。そのため、仮に診断信号DIG−A〜DIG−Dが伝搬される際に、周囲の雑音ノイズ等が干渉した場合、集積回路241は、当該診断を正常に行うことができず、その結果、プリントヘッド21の吐出精度が悪化するおそれがある。診断信号DIG−A〜DIG−Dのそれぞれを伝搬する配線354−a〜354−dに、ビア等を設けないことで、診断信号DIG−A〜DIG−Dに雑音ノイズ等が干渉するおそれを低減することが可能となる。
集積回路241は、前述のとおり、入力される診断信号DIG−A〜DIG−Dに基づいてプリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、入力されるラッチ信号LAT、クロック信号SCK及びチェンジ信号CHを、ラッチ信号cLAT、クロック信号cSCK及びチェンジ信号cCHとして駆動信号選択回路200に出力する。具体的には、集積回路241の不図示の端子から出力されるラッチ信号cLAT、クロック信号cSCK及びチェンジ信号cCHは、配線354−f〜354−hで伝搬されて駆動信号選択回路200に入力される。なお、図20においては、駆動信号選択回路200−1に入力されるラッチ信号cLAT、クロック信号cSCK及びチェンジ信号cCHが伝搬される配線354−f〜354−hのみを図示し、駆動信号選択回路200−2〜200−6に入力されるラッチ信号cLAT、クロック信号cSCK及びチェンジ信号cCHが伝搬される配線の図示を省略する。
詳細には、診断回路240を構成する集積回路241は、配線354−fと電気的に接続される。そして、診断回路240が、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、配線354−fは、集積回路241を介して配線354−
cと電気的に接続される。これにより、配線354−fには、チェンジ信号CHに基づくチェンジ信号cCHが入力される。チェンジ信号cCHは、配線354−f及び不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群330aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。このチェンジ信号cCHが伝搬される配線354−fが第1実施形態の第9配線の一例である。そして、チェンジ信号cCHは、電極群330aに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200−1に入力される。すなわち、配線354−fは、集積回路241と駆動信号選択回路200−1とを電気的に接続する。
また、集積回路241は、配線354−gと電気的に接続される。そして、診断回路240が、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、配線354−gは、集積回路241を介して配線354−bと電気的に接続される。これにより、配線354−gには、クロック信号SCKに基づくクロック信号cSCKが入力される。クロック信号cSCKは、配線354−g及び不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群330aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。このクロック信号cSCKが伝搬される配線354−gが第1実施形態の第8配線の一例である。そして、クロック信号cSCKは、電極群330aに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200−1に入力される。すなわち、配線354−gは、集積回路241と駆動信号選択回路200−1とを電気的に接続する。
また、集積回路241は、配線354−hと電気的に接続される。そして、診断回路240が、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、配線354−hは、集積回路241を介して配線354−aと電気的に接続される。これにより、配線354−hには、ラッチ信号LATに基づくラッチ信号cLATが入力される。ラッチ信号cLATは、配線354−h及び不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群330aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。このラッチ信号cLATが伝搬される配線354−hが第1実施形態の第7配線の一例である。そして、ラッチ信号cLATは、電極群330aに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200−1に入力される。すなわち、配線354−hは、集積回路241と駆動信号選択回路200−1とを電気的に接続する。
さらに図20に示すように、端子353−17は、配線354−iとも電気的に接続されている。端子353−17から入力される印刷データ信号SI1は、配線354−iで伝搬された後、不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群330aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。この印刷データ信号SI1が伝搬される配線354−iが第1実施形態の第5配線の一例である。そして、印刷データ信号SI1は、電極群330aに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200−1に入力される。すなわち、配線354−iは、端子353−17と駆動信号選択回路200−1とを電気的に接続する。
駆動信号COM1が入力される端子353−11は、配線354−jと電気的に接続される。そして、駆動信号COM1は、配線354−jで伝搬された後、不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群330aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。この駆動信号COM1が伝搬される配線354−jが第1実施形態の第6配線の一例である。そして、駆動信号COM1は、電極群330aに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200−1に入力される。すなわち、配線354−jは、端子353−11と駆動信号選択回路200−1とを電気的に接続する。
同様に、駆動信号COM2〜COM6が入力される端子353−9,353−7,353−5,353−3,353−1のそれぞれは、配線354−k〜354−oのそれぞれと電気的に接続される。そして、駆動信号COM2〜COM6のそれぞれは、配線354
−k〜354−oで伝搬された後、不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群330aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。
1.9 作用・効果
以上のように本実施形態におけるプリントヘッド21及び液体吐出装置1では、自己診断を行うための診断信号DIG−A〜DIG−Dが伝搬される配線の内、共通の伝送経路を介してプリントヘッド21に入力された印刷データ信号SI1と診断信号DIG−Dとが基板320で伝搬される配線を、端子353−17において分岐し、分岐した一方の配線である配線354−dが診断回路240を構成する集積回路241に入力され、分岐した他方の配線である配線354−iが集積回路241を介さず電極群330aに含まれる電極を介して駆動信号選択回路200−1に供給される。これにより、駆動信号選択回路200−1に供給される印刷データ信号SI1は、集積回路241を介さずに駆動信号選択回路200−1に供給される。したがって、駆動信号選択回路200−1に供給される印刷データ信号SI1には、集積回路241が動作することにより生じる信号の遅延等に起因する波形の歪みが生じるおそれが低減される。すなわち、配線354−dを介して集積回路241に供給される診断信号DIG−Dに基づいて自己診断機能を実行すると共に、配線354−iを介して駆動信号選択回路200−1に供給される印刷データ信号SI1に基づいてインクの吐出精度を悪化させることなく印刷処理を実行することができる。これにより、プリントヘッド21及び液体吐出装置1において、自己診断機能を正常に実行することと、インクの吐出精度を悪化させることなく印刷処理を実行することとを両立することが可能となる。
2 第2実施形態
次に、第2実施形態の液体吐出装置1及びプリントヘッド21について説明する。なお、第2実施形態の液体吐出装置1及びプリントヘッド21を説明するにあたり、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
図21は、第2実施形態における液体吐出装置1の電気的な構成を示すブロック図である。図21に示すように、第2実施形態における制御回路100は、プリントヘッド21の吐出タイミングを規定する2つのラッチ信号LAT1,LAT2と、駆動信号COMの波形切替のタイミングを規定する2つのチェンジ信号CH1,CH2と、印刷データ信号SIが入力されるタイミングを規定するための2つのクロック信号SCK1,SCK2とを生成し、プリントヘッド21に出力する点で第1実施形態と異なる。また、制御回路100は、プリントヘッド21が液体の正常な吐出が可能か否かを診断するための診断信号DIG−A〜DIG−D,DIG−F〜DIG−Iを生成し、プリントヘッド21に出力する点で第1実施形態と異なる。
ここで、第2実施形態における液体吐出装置1では、診断信号DIG−Aとラッチ信号LAT1,診断信号DIG−Bとクロック信号SCK1,診断信号DIG−Cとチェンジ信号CH1,診断信号DIG−Dと印刷データ信号SI1,診断信号DIG−Fとラッチ信号LAT2,診断信号DIG−Gとクロック信号SCK2,診断信号DIG−Hとチェンジ信号CH2及び診断信号DIG−Iと印刷データ信号SInのそれぞれが共通の伝搬経路を介してプリントヘッド21に含まれる診断回路240に出力される。
診断回路240は、診断信号DIG−A〜DIG−D及び診断信号DIG−F〜DIG−Iのそれぞれに基づいてインクの正常な吐出が可能か否かを診断する。そして、診断回路240が、診断信号DIG−A〜DIG−Dに基づいてプリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、診断信号DIG−A〜DIG−Cと共通の伝搬経路を介して入力されるラッチ信号LAT1、クロック信号SCK1及びチェンジ信号CH1を、ラッチ信号cLAT1、クロック信号cSCK1及びチェンジ信号cCH
1として出力する。また、診断回路240が、診断信号DIG−F〜DIG−Iに基づいてプリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、診断信号DIG−F〜DIG−Hと共通の伝搬経路を介して入力されるラッチ信号LAT2、クロック信号SCK2及びチェンジ信号CH2を、ラッチ信号cLAT2、クロック信号cSCK2及びチェンジ信号cCH2として出力する。
ここで、診断回路240に入力される信号のうち診断信号DIG−Dと共通の伝搬経路を介して入力される印刷データ信号SI1は、プリントヘッド21において分岐されたのち、分岐された一方の信号が診断回路240に入力され、他方の信号が駆動信号選択回路200−1に入力される。また、診断回路240に入力される信号のうち診断信号DIG−Iと共通の伝搬経路を介して入力される印刷データ信号SInは、プリントヘッド21において分岐されたのち、分岐された一方の信号が診断回路240に入力され、他方の信号が駆動信号選択回路200−nに入力される。
なお、以下の説明において第2実施形態におけるプリントヘッド21は、10個の駆動信号選択回路200−1〜200−10を備えるとして説明する。したがって、第2実施形態におけるプリントヘッド21には、10個の駆動信号選択回路200−1〜200−10のそれぞれに対応する10個の印刷データ信号SI1〜SI10と、10個の駆動信号COM1〜COM10と、10個の基準電圧信号CGND1〜CGND10とが入力される。
ここで、駆動信号選択回路200−1が、第2実施形態における第1駆動信号選択回路の一例である。そして、駆動信号選択回路200−1において駆動信号COMの波形選択を規定する印刷データ信号SI1が、第2実施形態における第1印刷データ信号の一例であり、駆動信号選択回路200−1が出力する駆動信号VOUT1により駆動する複数の圧電素子60が、第2実施形態における第1駆動素子群の一例であり、駆動信号VOUT1により駆動する複数の圧電素子60のいずれかが、第2実施形態における第1駆動素子の一例である。同様に、駆動信号選択回路200−2が第2実施形態における第2駆動信号選択回路の一例である。そして、駆動信号選択回路200−2において駆動信号COMの波形選択を規定する印刷データ信号SI2が、第2実施形態における第2印刷データ信号の一例であり、駆動信号選択回路200−2が出力する駆動信号VOUT2により駆動する複数の圧電素子60が、第2実施形態における第2駆動素子群の一例であり、駆動信号VOUT2により駆動する複数の圧電素子60のいずれかが、第2実施形態における第2駆動素子の一例である。
また、駆動信号選択回路200−10が、第2実施形態における第1駆動信号選択回路の他の一例である。そして、駆動信号選択回路200−10において駆動信号COMの波形選択を規定する印刷データ信号SI10が、第2実施形態における第1印刷データ信号の他の一例であり、駆動信号選択回路200−10が出力する駆動信号VOUT10により駆動する複数の圧電素子60が、第2実施形態における第1駆動素子群の他の一例であり、駆動信号VOUT10により駆動する複数の圧電素子60のいずれかが、第2実施形態における第1駆動素子の他の一例である。同様に、駆動信号選択回路200−9が第2実施形態における第2駆動信号選択回路の他の一例である。そして、駆動信号選択回路200−9において駆動信号COMの波形選択を規定する印刷データ信号SI9が、第2実施形態における第2印刷データ信号の他の一例であり、駆動信号選択回路200−9が出力する駆動信号VOUT9により駆動する複数の圧電素子60が、第2実施形態における第2駆動素子群の他の一例であり、駆動信号VOUT9により駆動する複数の圧電素子60のいずれかが、第2実施形態における第2駆動素子の他の一例である。
図22は、第2実施形態におけるプリントヘッド21の構成を示す斜視図である。図2
2に示すように、プリントヘッド21は、ヘッド310及び基板320を有する。また、ヘッド310のZ方向おける下側の面には、複数の吐出部600が形成されたインク吐出面311が位置する。
図23は、第2実施形態におけるヘッド310のインク吐出面311を示す平面図である。図23に示すように、第2実施形態におけるインク吐出面311には、複数のノズル651が形成されたノズルプレート632が、X方向に10個並んで設けられている。また、ノズルプレート632のそれぞれおいて、ノズル651がX方向に並んで設けられるノズル列L1〜L10が形成されている。このノズル列L1〜L10のそれぞれは、駆動信号選択回路200−1〜200−10のそれぞれに対応して設けられる。すなわち、ノズル列L1〜L10のそれぞれに含まれる複数の圧電素子60が複数の圧電素子群を形成する。具体的には、駆動信号選択回路200−1に対応するノズル列L1に含まれる複数の圧電素子60が、第2実施形態における第1駆動素子群の一例であり、駆動信号選択回路200−2に対応するノズル列L2に含まれる複数の圧電素子60が、第2実施形態における第2駆動素子群の一例である。また、駆動信号選択回路200−10に対応するノズル列L10に含まれる複数の圧電素子60が、第2実施形態における第1駆動素子群の他の一例であり、駆動信号選択回路200−9に対応するノズル列L9に含まれる複数の圧電素子60が、第2実施形態における第2駆動素子群の他の一例である。
図22に戻り、基板320は、面321と、面321と対向する面322とを有し、辺323と、辺323に対してX方向で対向する辺324と、辺325と、辺325に対してY方向に対向する辺326とで形成される略矩形状である。
図24及び図25を用いて第2実施形態における基板320の構成について説明する。図24は第2実施形態における基板320を面322から見た場合の平面図である。また、図25は第2実施形態における基板320を面321から見た場合の平面図である。
図24及び図25に示すように基板320の面322には、電極群430a〜430jが設けられている。電極群430a〜430jのそれぞれは、Y方向に並設された複数の電極を有する。そして、電極群430a〜430jは、辺323側から辺324側に向かって、電極群430a,430b,430c,430d,430e,430f,430g,430h,430i,430jの順に位置する。
また、基板320には、基板320の面321と面322とを貫通する貫通孔であるインク供給路挿通孔431a〜431jと、FPC挿通孔432a〜432eとが形成されている。
FPC挿通孔432aは、X方向において電極群430aと電極群430bとの間に位置し、電極群430aと電気的に接続されるFPCと、電極群430bと電気的に接続されるFPCとが挿通される。FPC挿通孔432bは、X方向において電極群430cと電極群430dとの間に位置し、電極群430cと電気的に接続されるFPCと、電極群430dと電気的に接続されるFPCとが挿通される。FPC挿通孔432cは、X方向において電極群430eと電極群430fとの間に位置し、電極群430eと電気的に接続されるFPCと、電極群430fと電気的に接続されるFPCとが挿通される。FPC挿通孔432dは、X方向において電極群430gと電極群430hとの間に位置し、電極群430gと電気的に接続されるFPCと、電極群430hと電気的に接続されるFPCとが挿通される。FPC挿通孔432eは、X方向において電極群430iと電極群430jとの間に位置し、電極群430iと電気的に接続されるFPCと、電極群430jと電気的に接続されるFPCとが挿通される。
インク供給路挿通孔431aは、X方向において電極群430aの辺323側に位置する。インク供給路挿通孔431b,431cは、X方向において電極群430bと電極群430cとの間に位置し、インク供給路挿通孔431bが辺325側、インク供給路挿通孔431cが辺326側となるように並んで位置する。インク供給路挿通孔431d,431eは、X方向において電極群430dと電極群430eとの間に位置し、インク供給路挿通孔431dが辺325側、インク供給路挿通孔431eが辺326側となるように並んで位置する。インク供給路挿通孔431f,431gは、X方向において電極群430fと電極群430gとの間に位置し、インク供給路挿通孔431fが辺325側、インク供給路挿通孔431gが辺326側となるように並んで位置する。インク供給路挿通孔431h,431iは、X方向において電極群430hと電極群430iとの間に位置し、インク供給路挿通孔431hが辺325側、インク供給路挿通孔431iが辺326側となるように並んで位置する。インク供給路挿通孔431jは、X方向において電極群430jの辺324側に位置する。そしてインク供給路挿通孔431a〜431jのそれぞれには、ノズル列L1〜L10のそれぞれに対応する吐出部600にインクを導入するインク供給口661にインクを供給するための不図示のインク供給路の一部が挿通される。
図25に示すように、基板320の面321には、診断回路240を構成する集積回路241が設けられている。集積回路241は、基板320の面321側において、固定部347と固定部349との間であって、且つFPC挿通孔432a〜432eの辺326側に設けられる。そして、診断回路240を構成する集積回路241は、診断信号DIG−A〜DIG−D,DIG−F〜DIG−Iに基づいて、ノズル651からインクの正常な吐出が可能か否かを診断する。なお、図25では、診断回路240として1つの集積回路241を示しているが、2つ以上の集積回路で構成されていてもよい。具体的には、診断信号DIG−A〜DIG−Dに基づいて、ノズル651からインクの正常な吐出が可能か否かを診断する集積回路241と、診断信号DIG−F〜DIG−Iに基づいて、ノズル651からインクの正常な吐出が可能か否かを診断する集積回路241とが設けられていてもよい。
また、図24及び図25に示すように、基板320には、コネクター350,360,370,380が設けられている。コネクター350は、基板320の面321側であって、辺323に沿って設けられる。また、コネクター360は、基板320の面322側であって、辺323に沿って設けられる。ここで、第2実施形態におけるコネクター350,360は、含まれる複数の端子の数が20個である点のみが第1実施形態と異なり、その他については図15に示す構成と同様である。その為、第2実施形態におけるコネクター350,360についての詳細な説明を省略する。なお、第2実施形態におけるコネクター350に並設される20個の端子353を、辺323に沿った方向において、辺325側から辺326側に向かって順に、端子353−1,353−2,・・・,353−20と称する。同様に、第2実施形態におけるコネクター360に並設される20個の端子363を、辺323に沿った方向において、辺325側から辺326側に向かって順に、端子363−1,363−2,・・・,363−20と称する。
コネクター370は、基板320の面321側であって、辺324に沿って設けられている。また、コネクター380は、基板320の面322側であって、辺324に沿って設けられている。図26を用いて、コネクター370,380の構成について説明する。図26は、第2実施形態におけるコネクター370,380の構成を示す図である。
コネクター370は、ハウジング371と、ハウジング371に形成されたケーブル取付部372と、複数の端子373とを有する。複数の端子373は、辺324に沿って並設されている。具体的には、20個の端子373が辺324に沿って並設されている。ここで、20個の端子373を、辺324に沿った方向において辺325側から辺326側
に向かって順に、端子373−1,373−2,・・・,373−20と称する。ケーブル取付部372は、Z方向において複数の端子373の基板320に位置する。ケーブル取付部372には、フレキシブルフラットケーブル等の伝搬経路が取付けられる。
コネクター380は、ハウジング381と、ハウジング381に形成されたケーブル取付部382と、複数の端子383とを有する。複数の端子383は、辺324に沿って並設されている。具体的には、20個の端子383が辺324に沿って並設されている。ここで、20個の端子383を、辺324に沿った方向において辺325側から辺326側に向かって順に、端子383−1,383−2,・・・,383−20と称する。ケーブル取付部382は、Z方向において複数の端子383の基板320に位置する。ケーブル取付部382には、フレキシブルフラットケーブル等の伝搬経路が取付けられる。
図27は、第2実施形態におけるプリントヘッド21をY方向から見た場合の断面図である。図27に示すように、複数のノズル列L1〜L10は、X方向に沿った方向に並んで設けられる。具体的には、複数のノズル列L1〜L10は、基板320のコネクター350が設けられた辺323側から、コネクター370が設けられた辺324側に向かって、ノズル列L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10の順に並んで設けられる。
すなわち、駆動信号選択回路200−1に対応するノズル列L1に含まれる複数の圧電素子60とコネクター350との最短距離は、駆動信号選択回路200−2に対応するノズル列L2に含まれる複数の圧電素子60とコネクター350との最短距離よりも短い。更にこの場合において、駆動信号選択回路200−1に対応するノズル列L1に含まれる複数の圧電素子60とコネクター350との間には、他のノズル列L2〜L10、及びノズル列L2〜L10のそれぞれに含まれる圧電素子60が位置しない。換言すれば、ノズル列L1は、インク吐出面311に形成されたノズル列L1〜L10の内、最もコネクター350側に位置する。
同様に、駆動信号選択回路200−10に対応するノズル列L10に含まれる複数の圧電素子60とコネクター370との最短距離は、駆動信号選択回路200−9に対応するノズル列L9に含まれる複数の圧電素子60とコネクター370との最短距離よりも短い。更にこの場合において、駆動信号選択回路200−10に対応するノズル列L10に含まれる複数の圧電素子60とコネクター370との間には、他のノズル列L1〜L9、及びノズル列L1〜L9のそれぞれに含まれる圧電素子60が位置しない。換言すれば、ノズル列L10は、インク吐出面311に形成されたノズル列L1〜L10の内、最もコネクター360側に位置する。
次に図28〜図31を用いて、コネクター350,360,370,380のそれぞれに入力される信号の詳細について説明する。
図28は、第2実施形態においてコネクター350に入力される信号の詳細を説明するための図である。図28に示すように、コネクター350は、駆動信号COM1〜COM5のそれぞれが入力される端子と、基準電圧信号CGND1〜CGND5のそれぞれが入力される端子と、温度信号TH、ラッチ信号LAT1、クロック信号SCK1、チェンジ信号CH1及び印刷データ信号SI1のそれぞれが入力される端子と、診断信号DIG−A〜DIG−Dのそれぞれが入力される端子と、複数のグラウンド信号GNDが入力される複数の端子とを含む。
具体的には、駆動信号COM1〜COM5のそれぞれは、端子353−9,353−7,353−5,353−3,353−2のそれぞれに入力される。ここで、駆動信号CO
M1が入力される端子353−9が第2実施形態における第5端子の一例である。また、基準電圧信号CGND1〜CGND5のそれぞれは、端子353−10,353−8,353−6,353−4,353−2のそれぞれに入力される。
診断信号DIG−A及びラッチ信号LAT1は、共に端子353−17に入力される。すなわち、端子353−17は、診断信号DIG−Aが入力される端子とラッチ信号LAT1が入力される端子とを兼ねる。この診断信号DIG−Aが第2実施形態における第2診断信号の一例であり、診断信号DIG−Aが入力される端子353−17が第2実施形態における第2端子の一例である。
診断信号DIG−B及びクロック信号SCK1は、共に端子353−15に入力される。すなわち、端子353−15は、診断信号DIG−Bが入力される端子とクロック信号SCK1が入力される端子とを兼ねる。この診断信号DIG−Bが第2実施形態における第4診断信号の一例であり、診断信号DIG−Bが入力される端子353−15が第2実施形態における第4端子の一例である。
診断信号DIG−C及びチェンジ信号CH1は、共に端子353−13に入力される。すなわち、端子353−13は、診断信号DIG−Cが入力される端子とチェンジ信号CH1が入力される端子とを兼ねる。この診断信号DIG−Cが第2実施形態における第3診断信号の一例であり、診断信号DIG−Cが入力される端子353−13が第2実施形態における第3端子の一例である。
診断信号DIG−D及び印刷データ信号SI1は、共に端子353−11に入力される。すなわち、端子353−11は、診断信号DIG−Dが入力される端子と印刷データ信号SI1が入力される端子とを兼ねる。この診断信号DIG−Dが第2実施形態における第1診断信号の一例であり、診断信号DIG−Dが入力される端子353−11が第2実施形態における第1端子の一例である。
以上のように、コネクター350は、診断信号DIG−Dが入力される端子353−11、診断信号DIG−Aが入力される端子353−17、診断信号DIG−Cが入力される端子353−13、診断信号DIG−Bが入力される端子353−15及び駆動信号COM1が入力される端子353−9を有する。
温度信号THは、コネクター350の端子353−19に入力される。また、グラウンド信号GNDは、端子353−12,353−14,353−16,353−18,353−20のそれぞれに入力される。
図29は、第2実施形態においてコネクター360に入力される信号の詳細を説明するための図である。図29に示すように、コネクター360は、駆動信号COM1〜COM5のそれぞれが入力される端子と、基準電圧信号CGND1〜CGND5のそれぞれが入力される端子と、印刷データ信号SI2〜SI5のそれぞれが入力される端子と、電圧VDD1が入力される端子と、複数のグラウンド信号GNDが入力される複数の端子とを含む。
具体的には、駆動信号COM1〜COM5のそれぞれは、端子363−10,363−8,363−6,363−4,363−2のそれぞれに入力される。また、基準電圧信号CGND1〜CGND5のそれぞれは、端子363−9,363−7,363−5,363−3,363−1のそれぞれに入力される。
印刷データ信号SI2〜SI5のそれぞれは、端子363−18,363−16,36
3−14,363−12のそれぞれに入力される。また、電圧VDD1は、端子363−20に入力される。また、グラウンド信号GNDは、端子353−11,353−13,353−15,353−17,353−19のそれぞれに入力される。
図30は、第2実施形態においてコネクター370に入力される信号の詳細を説明するための図である。図30に示すように、コネクター370は、駆動信号COM6〜COM10のそれぞれが入力される端子と、基準電圧信号CGND6〜CGND10のそれぞれが入力される端子と、異常信号XHOT、ラッチ信号LAT2、クロック信号SCK2、チェンジ信号CH2及び印刷データ信号SI10のそれぞれが入力される端子と、診断信号DIG−E〜DIG−Iのそれぞれが入力される端子と、複数のグラウンド信号GNDが入力される複数の端子とを含む。
具体的には、駆動信号COM6〜COM10のそれぞれは、端子373−2,373−4,373−6,373−8,373−10のそれぞれに入力される。ここで、駆動信号COM10が入力される端子373−10が第2実施形態における第5端子の他の一例である。また、基準電圧信号CGND6〜CGND10のそれぞれは、端子373−1,373−3,373−5,373−7,373−9のそれぞれに入力される。
診断信号DIG−E及び異常信号XHOTは、共に端子353−12に入力される。
診断信号DIG−F及びラッチ信号LAT2は、共に端子373−14に入力される。すなわち、端子353−14は、診断信号DIG−Fが入力される端子とラッチ信号LAT2が入力される端子とを兼ねる。この診断信号DIG−Fが第2実施形態における第2診断信号の他の一例であり、診断信号DIG−Fが入力される端子373−14が第2実施形態における第2端子の他の一例である。
診断信号DIG−G及びクロック信号SCK2は、共に端子373−16に入力される。すなわち、端子373−16は、診断信号DIG−Gが入力される端子とクロック信号SCK2が入力される端子とを兼ねる。この診断信号DIG−Gが第2実施形態における第4診断信号の他の一例であり、診断信号DIG−Gが入力される端子373−16が第2実施形態における第4端子の他の一例である。
診断信号DIG−H及びチェンジ信号CH2は、共に端子373−18に入力される。すなわち、端子373−8は、診断信号DIG−Hが入力される端子とチェンジ信号CH2が入力される端子とを兼ねる。この診断信号DIG−Hが第2実施形態における第3診断信号の他の一例であり、診断信号DIG−Cが入力される端子373−18が第2実施形態における第3端子の他の一例である。
診断信号DIG−I及び印刷データ信号SI10は、共に端子373−20に入力される。すなわち、端子373−20は、診断信号DIG−Iが入力される端子と印刷データ信号SI10が入力される端子とを兼ねる。この診断信号DIG−Iが第2実施形態における第1診断信号の他の一例であり、診断信号DIG−Iが入力される端子373−20が第2実施形態における第1端子の他の一例である。
以上のように、コネクター370は、診断信号DIG−Iが入力される端子373−20、診断信号DIG−Fが入力される端子373−14、診断信号DIG−Hが入力される端子373−18、診断信号DIG−Gが入力される端子373−16及び駆動信号COM10が入力される端子373−10を有する。
グラウンド信号GNDは、端子373−11,373−13,373−15,373−
17,373−19のそれぞれに入力される。
図31は、第2実施形態においてコネクター380に入力される信号の詳細を説明するための図である。図31に示すように、コネクター380は、駆動信号COM6〜COM10のそれぞれが入力される端子と、基準電圧信号CGND6〜CGND10のそれぞれが入力される端子と、印刷データ信号SI6〜DI9のそれぞれが入力される端子と、電圧VHV,VDD2のそれぞれが入力される端子と、複数のグラウンド信号GNDが入力される複数の端子とを含む。
具体的には、駆動信号COM6〜COM10のそれぞれは、端子383−1,373−3,373−5,373−7,373−9のそれぞれに入力される。また、基準電圧信号CGND6〜CGND10のそれぞれは、端子383−2,383−4,383−6,383−8,383−10のそれぞれに入力される。
印刷データ信号SI6〜SI9のそれぞれは、端子383−13,383−15,383−17,383−19のそれぞれに入力される。また、電圧VHVは、端子383−11に入力される。また、電圧VDD2は、端子383−16に入力される。
グラウンド信号GNDは、端子383−12,383−14,383−18,383−20のそれぞれに入力される。
ここで、図32を用いて、コネクター350から入力される診断信号DIG−A〜DIG−D、及びコネクター370から入力される診断信号DIG−E〜DIG−Iが基板320の面321で伝搬される配線の一例について説明する。図32は、第2実施形態における基板320の面321に形成された配線の一例を示す図である。なお、図32では、基板320に形成される配線の一部の図示を省略している。また、図32には、基板320の面322に形成される電極群430a〜430jが破線で示されている。
図32に示すように、基板320は、配線354−a〜354−d,354−f〜354−nと、配線374−a〜374−nとを有する。
端子353−17は、配線354−aと電気的に接続される。端子353−17から入力される診断信号DIG−Aとラッチ信号LAT1とは、配線354−aで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線354−aは、端子353−17と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG−Aとラッチ信号LAT1とが伝搬される配線354−aが第2実施形態の第2配線の一例である。
端子353−15は、配線354−bと電気的に接続される。端子353−15から入力される診断信号DIG−Bとクロック信号SCK1とは、配線354−bで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線354−bは、端子353−15と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG−Bとクロック信号SCK1とが伝搬される配線354−bが第2実施形態の第4配線の一例である。
端子353−13は、配線354−cと電気的に接続される。端子353−13から入力される診断信号DIG−Cとチェンジ信号CH1とは、配線354−cで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線354−cは、端子353−13と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG−Cとチェンジ信号CH1とが伝搬される配線354−cが第2実施形態の第3配線の一例である。
端子353−11は、配線354−dと電気的に接続される。端子353−11から入
力される診断信号DIG−Dと印刷データ信号SI1とは、配線354−dで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線354−dは、端子353−17と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG−Dと印刷データ信号SI1とが伝搬される配線354−dが第2実施形態の第1配線の一例である。
集積回路241は、前述のとおり、入力される診断信号DIG−A〜DIG−Dに基づいてプリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、入力されるラッチ信号LAT1、クロック信号SCK1及びチェンジ信号CH1を、ラッチ信号cLAT1、クロック信号cSCK1及びチェンジ信号cCH1として駆動信号選択回路200に出力する。具体的には、集積回路241の不図示の端子から出力されるラッチ信号cLAT1、クロック信号cSCK1及びチェンジ信号cCH1は、配線354−f〜354−hで伝搬されて駆動信号選択回路200に入力される。
詳細には、診断回路240を構成する集積回路241は、配線354−fと電気的に接続される。そして、診断回路240が、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、配線354−fは、集積回路241を介して配線354−cと電気的に接続される。これにより、配線354−fには、チェンジ信号CH1に基づくチェンジ信号cCH1が入力される。チェンジ信号cCH1は、配線354−f及び不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群430aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。このチェンジ信号cCH1が伝搬される配線354−fが第2実施形態の第9配線の一例である。そして、チェンジ信号cCH1は、電極群430aに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200−1に入力される。すなわち、配線354−fは、集積回路241と駆動信号選択回路200−1とを電気的に接続する。
また、集積回路241は、配線354−gと電気的に接続される。そして、診断回路240が、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、配線354−gは、集積回路241を介して配線354−bと電気的に接続される。これにより、配線354−gには、クロック信号SCK1に基づくクロック信号cSCK1が入力される。クロック信号cSCK1は、配線354−g及び不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群430aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。このクロック信号cSCK1が伝搬される配線354−gが第2実施形態の第8配線の一例である。そして、クロック信号cSCK1は、電極群430aに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200−1に入力される。すなわち、配線354−gは、集積回路241と駆動信号選択回路200−1とを電気的に接続する。
また、集積回路241は、配線354−hと電気的に接続される。そして、診断回路240が、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、配線354−hは、集積回路241を介して配線354−aと電気的に接続される。これにより、配線354−hには、ラッチ信号LAT1に基づくラッチ信号cLAT1が入力される。ラッチ信号cLAT1は、配線354−h及び不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群430aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。このラッチ信号cLAT1が伝搬される配線354−hが第2実施形態の第7配線の一例である。そして、ラッチ信号cLAT1は、電極群430aに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200−1に入力される。すなわち、配線354−hは、集積回路241と駆動信号選択回路200−1とを電気的に接続する。
さらに図32に示すように、端子353−11は、配線354−iとも電気的に接続されている。端子353−11から入力される印刷データ信号SI1は、配線354−iで伝搬された後、不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群43
0aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。この印刷データ信号SI1が伝搬される配線354−iが第2実施形態の第5配線の一例である。そして、印刷データ信号SI1は、電極群430aに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200−1に入力される。すなわち、配線354−iは、端子353−11と駆動信号選択回路200−1とを電気的に接続する。
駆動信号COM1が入力される端子353−9は、配線354−jと電気的に接続される。そして、駆動信号COM1は、配線354−jで伝搬された後、不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群430aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。この駆動信号COM1が伝搬される配線354−jが第2実施形態の第6配線の一例である。そして、駆動信号COM1は、電極群430aに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200−1に入力される。すなわち、配線354−jは、端子353−9と駆動信号選択回路200−1とを電気的に接続する。
同様に、駆動信号COM2〜COM5が入力される端子353−7,353−5,353−3,353−1のそれぞれは、配線354−k〜354−nのそれぞれと電気的に接続される。そして、駆動信号COM2〜COM5のそれぞれは、配線354−k〜354−mで伝搬された後、不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群430aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。
端子373−20は、配線374−aと電気的に接続される。端子373−20から入力される診断信号DIG−Iと印刷データ信号SI10とは、配線374−aで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線374−dは、端子373−20と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG−Iと印刷データ信号SI10とが伝搬される配線374−dが第2実施形態の第1配線の他の一例である。
端子373−18は、配線374−bと電気的に接続される。端子373−18から入力される診断信号DIG−Hとチェンジ信号CH2とは、配線374−bで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線374−bは、端子373−18と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG−Hとチェンジ信号CH2とが伝搬される配線374−bが第2実施形態の第3配線の他の一例である。
端子373−16は、配線374−cと電気的に接続される。端子373−16から入力される診断信号DIG−Gとクロック信号SCK2とは、配線374−cで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線374−cは、端子373−16と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG−Bとクロック信号SCK2とが伝搬される配線374−cが第2実施形態の第4配線の他の一例である。
端子373−14は、配線374−dと電気的に接続される。端子373−14から入力される診断信号DIG−Fとラッチ信号LAT2とは、配線374−dで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線374−dは、端子373−14と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG−Fとラッチ信号LAT2とが伝搬される配線374−dが第2実施形態の第2配線の他の一例である。
集積回路241は、入力される診断信号DIG−F〜DIG−Iに基づいてプリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、入力されるラッチ信号LAT2、クロック信号SCK2及びチェンジ信号CH2を、ラッチ信号cLAT2、クロック信号cSCK2及びチェンジ信号cCH2として駆動信号選択回路200に出力する。具体的には、集積回路241の不図示の端子から出力されるラッチ信号cLAT2、クロック信号cSCK2及びチェンジ信号cCH2は、配線374−f〜374−hで
伝搬されて駆動信号選択回路200に入力される。
詳細には、診断回路240を構成する集積回路241は、配線374−fと電気的に接続される。そして、診断回路240が、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、配線374−fは、集積回路241を介して配線374−dと電気的に接続される。これにより、配線374−fには、ラッチ信号LAT2に基づくラッチ信号cLAT2が入力される。ラッチ信号cLAT2は、配線374−f及び不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群430jに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。このラッチ信号cLAT2が伝搬される配線374−fが第2実施形態の第9配線の他の一例である。そして、ラッチ信号cLAT2は、電極群430jに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200−10に入力される。すなわち、配線374−fは、集積回路241と駆動信号選択回路200−10とを電気的に接続する。
また、集積回路241は、配線374−gと電気的に接続される。そして、診断回路240が、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、配線374−gは、集積回路241を介して配線374−cと電気的に接続される。これにより、配線374−gには、クロック信号SCK2に基づくクロック信号cSCK2が入力される。クロック信号cSCK2は、配線374−g及び不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群430jに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。このクロック信号cSCK2が伝搬される配線374−gが第2実施形態の第8配線の他の一例である。そして、クロック信号cSCK2は、電極群430jに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200−10に入力される。すなわち、配線374−gは、集積回路241と駆動信号選択回路200−10とを電気的に接続する。
また、集積回路241は、配線374−hと電気的に接続される。そして、診断回路240が、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、配線374−hは、集積回路241を介して配線374−bと電気的に接続される。これにより、配線374−hには、チェンジ信号CH2に基づくラッチ信号cLAT2が入力される。チェンジ信号cCH2は、配線374−h及び不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群430jに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。このチェンジ信号cCH2が伝搬される配線374−hが第2実施形態の第7配線の他の一例である。そして、チェンジ信号cCH2は、電極群430jに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200−10に入力される。すなわち、配線374−hは、集積回路241と駆動信号選択回路200−10とを電気的に接続する。
さらに図32に示すように、端子373−14は、配線374−iとも電気的に接続されている。端子373−14から入力される印刷データ信号SI10は、配線374−iで伝搬された後、不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群430jに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。この印刷データ信号SI10が伝搬される配線374−iが第2実施形態の第5配線の他の一例である。そして、印刷データ信号SI10は、電極群430jに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200−10に入力される。すなわち、配線374−iは、端子373−14と駆動信号選択回路200−1とを電気的に接続する。
駆動信号COM10が入力される端子373−10は、配線374−jと電気的に接続される。そして、駆動信号COM10は、配線374−jで伝搬された後、不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群430jに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。この駆動信号COM10が伝搬される配線374−jが第2実施形態の第6配線の他の一例である。そして、駆動信号COM10は、電極群430jに接
続されるFPCを介して駆動信号選択回路200−10に入力される。すなわち、配線374−jは、端子373−10と駆動信号選択回路200−10とを電気的に接続する。
同様に、駆動信号COM6〜COM9が入力される端子373−7,373−6,373−4,373−2のそれぞれは、配線374−k〜374−nのそれぞれと電気的に接続される。そして、駆動信号COM6〜COM9のそれぞれは、配線374−k〜374−mで伝搬された後、不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群430jに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。
以上のように、2つのコネクター350,360のそれぞれから、2組の診断信号DIG−A〜DIG−D及び診断信号DIG−F〜DIG−Iとが入力される場合であっても、第1実施形態と同様に、自己診断機能を正常に実行することと、インクの吐出精度を悪化させることなく印刷処理を実行することとを両立することが可能となる。
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。