JP2020038135A - 風洞施設及び風洞試験方法 - Google Patents

風洞施設及び風洞試験方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020038135A
JP2020038135A JP2018165574A JP2018165574A JP2020038135A JP 2020038135 A JP2020038135 A JP 2020038135A JP 2018165574 A JP2018165574 A JP 2018165574A JP 2018165574 A JP2018165574 A JP 2018165574A JP 2020038135 A JP2020038135 A JP 2020038135A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wind
measurement
wind tunnel
laser light
tunnel facility
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018165574A
Other languages
English (en)
Inventor
一男 河合
Kazuo Kawai
一男 河合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Isuzu Motors Ltd filed Critical Isuzu Motors Ltd
Priority to JP2018165574A priority Critical patent/JP2020038135A/ja
Publication of JP2020038135A publication Critical patent/JP2020038135A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Aerodynamic Tests, Hydrodynamic Tests, Wind Tunnels, And Water Tanks (AREA)
  • Optical Radar Systems And Details Thereof (AREA)

Abstract

【課題】可視化試験に要するコストを低減可能な風洞施設を提供する。【解決手段】風路11及び送風機12を備え、風路11の中途位置に試験体14が配置される測定部13が形成され、送風機12により送風された風が測定部13でX方向に流れる風洞施設10が、ライダ20と情報処理装置30とを備え、ライダ20がレーザー光21を放射するとともに反射光22を受信するスキャン処理を所定の周期Tnごとに繰り返し、所定の測定領域15の全域に対してスキャン処理を行う構成であり、そのスキャン処理の繰り返しにより測定された測定値である複数の粒子Mxの移動速度Vx、移動方向Dx、及び、位置座標Pxに基づいて、情報処理装置30により、試験体14の周囲の風の流れを可視化する処理を行う構成である。【選択図】図1

Description

本開示は、風洞施設及び風洞試験方法に関し、より詳細には、試験体の周囲の風の流れを可視化又は情報化する風洞施設及び風洞試験方法に関する。
風洞施設としては、粒子画像流速計測法を用いた測定器(Particle Image Velocimeter;PIV)や粒子追跡法を用いた測定器(Particle Tracking Velocimeter;PTV)を用いて試験体の周囲の風の流れを可視化するものが提案されている。(例えば、特許文献1を参照)。また、ドップラー周波数偏移を利用するレーザードップラー流速計(Laser Doppler Velocimeter;LDV)を用いて試験体の周囲の風の流れを可視化又は情報化するものも提案されている。
特開2011−17600号公報
ところで、粒子画像流速計測法、粒子追跡法、及びドップラー周波数偏移を利用する方法は、人体(皮膚や目)に障害を与えるおそれがある高出力のレーザー光を放射する方法である。それ故、それらの方法を用いる区域は、国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission;IEC)の規格(IEC 60825−1)や日本工業規格(JIS C6802)で規定されるレーザー管理区域に限定される。
つまり、風洞施設は少なくとも一部がレーザー管理区域であり、保護具の着用や様々な安全装置の設置が義務付けられることから、可視化試験に掛かるコストが高くなるという問題があった。また、それらの流速計は、測定範囲が狭く、可視化試験又は情報化試験に要する時間を短縮することができないこともコストが高くなる要因になっている。
本開示の目的は、試験体の周囲の風の流れの可視化する又は情報化する試験に要するコストを低減可能な風洞施設を提供することである。
上記の目的を達成する本発明の一態様の風洞施設は、風路、及び、送風機を備え、前記風路の中途位置に試験体が配置される測定部が形成され、前記送風機により送風された風が前記測定部で一方向に流れる風洞施設において、測定手段と処理手段とを備え、前記測定手段は、所定のレーザー光をパルス状に放射するライダを有し、そのライダが、前記レーザー光を放射するとともに放射したそのレーザー光が前記送風機により送風された風に含有される粒子で反射された反射光を受信するスキャン処理を所定の周期ごとに繰り返し、所定の測定領域の全域に対して複数回の前記スキャン処理を行う構成であり、前記処理手段は、前記測定手段による複数回の前記スキャン処理の繰り返しにより測定された測定値である前記測定領域に存在する複数の粒子の移動速度、移動方向、及び、位置座標に基づいて、前記試験体の周囲の風の流れを可視化又は情報化する処理を行う構成であることを特徴とする。
上記の目的を達成する本発明の一態様の風洞試験方法は、風路の上流側から送風機により前記風路の中途位置に形成された測定部で一方向に流れる風を送風し、前記測定部に配置された試験体の周囲の風の流れを可視化又は情報化する風洞試験方法であって、所定のレーザー光を放射するとともに放射したそのレーザー光が前記送風機により送風された風に含有される粒子で反射された反射光を受信するスキャン処理を所定の周期ごとに繰り返し、所定の測定領域の全域に対して複数回の前記スキャン処理を行って、前記測定領域に存在する複数の粒子の移動速度、移動方向、及び、位置座標を測定値として測定し、測定した前記測定値に基づいて、前記試験体の周囲の風の流れを可視化又は情報化することを特徴とする。
本発明の一態様によれば、試験体の周囲の風の流れの可視化する又は情報化する試験に要するコストを低減することができる。
風洞施設の第一実施形態を例示する天井面から見た平面図である。 図1の風洞施設を例示する側面から見た側面図である。 図1の測定装置及び情報処理装置を例示するブロック図である。 図3の測定装置による測定原理を例示する図である。 図3のディスプレイへの出力を例示する図である。 風洞試験方法を例示するフロー図である。 風洞施設の第二実施形態を例示する天井面から見た平面図である。 風洞施設の第三実施形態を例示する天井面から見た平面図である。
以下に、風洞施設10の実施形態について説明する。図中では、X方向を風路11の筒軸方向(一方向)とし、Y方向をX方向に直交する方向で、風路11の筒径方向のうちの水平方向として、Z方向をX方向及びY方向に直交する方向で、風路11の筒径方向のうちの鉛直方向とする。また、本開示では、周期的に変化する数値に関する符号にnを用いて、今回の周期における数値には符号にnを用いて、前回の周期における数値には符号に(n+1)を用いることとする。
図1及び図2に例示するように、第一実施形態の風洞施設10は、人工的に風の流れを発生させて、発生させた風の流れの中に試験体14を置き、試験体14の周りの気流の風速、風向を測定して可視化又は情報化する試験施設である。風洞施設10としては、エッフェル型風洞やゲッチンゲン型風洞が例示される。風洞施設10は、風路11、送風機12、ライダ20、及び情報処理装置30を備える。
なお、実施形態の風洞施設10は、測定手段として少なくとも一つのライダ20を備えるとともに、処理手段として情報処理装置30を備える構成としたが、本開示の風洞施設10はこの構成に限定されない。例えば、測定手段が、少なくとも一つのライダ20及び情報処理装置30の組み合わせで構成されて、ライダ20で検出した検出値に基づいて情報処理装置30で測定値を算出する構成としてもよい。
風路11は、風の通り道となる筒状の通路であり、エッフェル型風洞の場合に戻り風路が無くX方向に延在する筒状の通路で構成され、ゲッチンゲン型風洞の場合に環状の閉ループとなる筒状の通路で構成される。風路11の中途位置には、試験体14が設置される測定部13が形成される。
送風機12は、風路11に設置されて、風路11の内部に風を発生させる装置である。送風機12としては、軸流送風機や遠心送風機が例示される。送風機12により発生させた風には、大気中に含有される粒子(エアロゾルを含む)Mxが含まれる。なお、送風機12により発生させた風に含有される粒子Mxが、試験において不十分な量であれば、トレーサ粒子を発生させるトレーサ粒子発生機を風の流れに関して送風機12の下流側で、且つ、測定部13の上流側に設置してもよい。
測定部13は、風路11の中途位置であって、風の流れに関して送風機12の下流側に形成され、Z方向に対向配置される天井面13a及び底面13bと、Y方向に対向配置される側面13c、13dとで囲まれた空間である。なお、この実施形態で測定部13は、X方向に見て天井面13a、底面13b、及び側面13c、13dの四つの面に囲まれた矩形の空間で形成されるが、これに限定されない。例えば、測定部13は、底面13bとX方向に見て天井面13a及び側面13c、13dに相当するZ方向上方に向かって窪んだ円弧面とで囲まれた空間であってもよい。測定部13は、平面視で底面13bの中心部に試験体14が配置される。また、測定部13は、一方の側面13dにライダ20が配置される。
測定部13には、試験体14を含む領域である測定領域15が設定される。測定領域15は、試験における可視化又は情報化の対象となる領域である。測定領域15は、三次元空間であり、その三次元空間に格子状に配置される複数の測定点16を有する。複数の測定点16は、試験における測定点として、測定領域15のX方向、Y方向、及び、Z方向のそれぞれに等間隔に配置される。測定領域15及び測定点16は、実際に目視にて存在するものではなく、試験における結果表示に用いられる。
測定領域15は、ライダ20から放射されるレーザー光21が当たる領域であり、ライダ20が設置される側面13d以外の面に設定される領域である。この実施形態の測定領域15は側面13d以外の面の全域に設定されるが、測定領域15は試験体14を含む領域であればよく、天井面13a、底面13b、及び側面13cのそれぞれの一部の領域に設定されてもよい。
測定部13は、その内表面のうちの測定領域15に存在する部位、つまり、ライダ20から放射されるレーザー光21が当たる部位が電磁波吸収体17で覆われる。具体的に、この実施形態で、測定部13は、ライダ20が設置される側面13dを除く天井面13a、底面13b、及び、側面13cのそれぞれが電磁波吸収体17で覆われる。
本開示において、電磁波吸収体17は、外部から入射する光(電磁波)を吸収する物質であり、外部から入射する光のうちの90%以上を吸収するものが望ましい。電磁波吸収体17としては、工業的に作り出されて最も黒体(外部から入射する光(電磁波)をあらゆる波長に渡って完全に吸収する物体)に近く、外部から入射する光(電磁波)のうちの99.96%以上を吸収するベンタブラックが例示される。
試験体14は、測定部13に配置される。試験体14は、その周囲の風の流れを可視化させたい対象そのものを用いてもよく、その対象を模した形状を成したものを用いてもよい。試験体14は、その外表面のうちの測定領域15に存在する部位、つまり、ライダ20から放射されるレーザー光21が当たる部位が電磁波吸収体18で覆われる。具体的に、この実施形態で、試験体14は、ライダ20からY方向に見て、反対側の面を除いた部位のそれぞれが電磁波吸収体18で覆われる。本開示で、電磁波吸収体18は、前述した電磁波吸収体17と同様の物質である。
ライダ20は、測定部13の側面13dに少なくとも一つ設置されて、パルス状のレーザー光21を放射して、測定領域15の全域に対して複数回のスキャン処理を行うことで、測定領域15に存在する複数の粒子Mxの移動速度(風速)Vx、移動方向(風向)Dx、及び、位置座標Pxを測定値として測定する装置である。ライダ20は、この実施形態で測定部13に一つ設置されるが、後述する第二実施形態のように測定部13に複数設置されてもよい。
図3に例示するように、ライダ20は、光源装置23、スキャナ24、光学装置25、方向調整機26、干渉計27、光受信機28、及び、信号処理機40を有する。ライダ20は、レーザー光21を放射するとともに反射光22を受信するスキャン処理を所定の周期Tnごとに繰り返し、所定の測定領域15の全域に対してスキャン処理を行う装置である。換言すると、ライダ20は、測定領域15に存在する風により移動する粒子Mxを対象とし、3Dスキャナセンサとしての機能とドップラーセンサとしての機能との二つの機能を有する装置である。
ライダ20としては、測定領域15の全域に渡って周期Tnごとにスキャン処理を繰り返し行うことができればよい。ライダ20は、レーザー光21を円錐状に放射する3次元のコーンビーム方式や、扇状に放射する2次元のファンビーム方式が例示され、コーン角やファン角が任意に設定可能である。ライダ20は、レーザー光21の放射範囲が測定領域15よりも狭い場合に、光学装置25の放射方向Dn(レーザー光21の中心の方向)が方向調整器26により可変可能な構成であることが望ましい。また、ライダ20は、周期TnごとにX方向左右に放射方向Dnが所定の間隔θnで可変するものが好ましく、周期TnごとにX方向のうちの風の流れに関して上流側から下流側に向かって放射方向Dnが所定の間隔θnで可変するものがより好ましい。放射方向Dnを風の流れに関して上流側から下流側に向かって可変させることで、測定領域15に存在する粒子Mxの移動を周期Tnごとに捕捉するには有利になる。なお、光学装置25の放射方向DnをZ方向上下に可変させる構成にしてもよい。
レーザー光21は、IEC60825−1(国際電気標準会議の規格)やJIS C6802(日本工業規格)で規定されるクラス1に準拠するレーザー光である。レーザー光21は、クラス1に準拠するレーザー光であればよいが、波長λ1が1.4μm以上且つ2.6μm以下の赤外レーザー光(アイセーフレーザー光ともいう)が望ましい。
レーザー光21は、合理的に予見可能な運転状況下において安全であるレーザーであり、仮に光学系により集光されたとしても眼に対して安全なレベルのレーザーである。レーザー光21を用いることで、試験中の作業者の皮膚への被曝や目視による眼の損傷の危険性がなくなり、安全性の確保に有利になる。また、レーザー光21を用いることで、ライダ20に対してクラス1を示すレベルを貼る以外の対策は要求されていないことから、コストの高い安全対策をする必要がなくなり、安全対策に対するコストの削減には有利になる。
反射光22は、送風機12により送風された風とともに運ばれる粒子Mxにレーザー光21が照射されると、その周波数f2がドップラー効果によって放射時のレーザー光21の周波数f1からわずかに偏移する。つまり、レーザー光21の周波数f1と反射光22の周波数f2との周波数の偏移量(以下、偏移周波数という)Δfnは、放射時のレーザー光21の周波数f1と、ドップラーシフトした反射光22のうちの後方散乱光の周波数f2との差分である。本開示で、偏移周波数Δfnは、周波数f1から周波数f2を減算した値であり、その値が正の場合に粒子Mxが放射方向Dnに向かって移動する場合を示し、負の場合に粒子Mxが放射方向Dnの反対側に向かって移動する場合を示すものとする。
所定の周期Tnは、レーザー光21を放射する間隔を規定するパラメータであり、送風機12により送風される風速に応じて設定することが可能であり、その風速が速くなるほど短くすることが望ましい。所定の間隔θnは、放射方向Dnを規定するパラメータであり、光学装置25のX方向左右への回動角である。所定の間隔θnは、送風機12により送風される風速が速くなるほど大きくすることが望ましい。この実施形態で所定の間隔θnは回動角を示すが、所定の間隔はこれに限定されずに光学装置25のX方向左右への移動距離としてもよい。
信号処理機40は、各種情報処理を行う中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、その各種情報処理を行うために用いられるプログラムや情報処理結果を読み書き可能な内部記憶装置、及び各種インターフェースなどから構成されるハードウェアである。信号処理機40は、光源装置23、スキャナ24、及び、方向調整機26に電気的に接続される。また、信号処理機40は、情報処理装置30に電気的に接続されて、情報処理装置30で設定されるスキャン処理情報が入力される。
信号処理機40は、機能要素として、スキャン処理制御部41、位置情報処理部42、速度情報処理部43、及び、粒子情報処理部44を有する。各機能要素は、プログラムとして内部記憶装置に記憶されていて、適時、中央処理装置により実行されている。
スキャン処理制御部41は、情報処理装置30で設定されるスキャン処理情報が入力されて、そのスキャン処理情報に基づいて、光源装置23、スキャナ24、及び、方向調整機26を制御して、測定領域15の全域に渡ってスキャン処理を繰り返し行わせる機能要素である。ここでいうスキャン処理情報とは、測定領域15、周期Tnや間隔θnの情報である。
位置情報処理部42は、レーザー光21の放射から反射光22の受信までの往復時間Δtnに応じて、ライダ20から対象となる粒子Mxまでの距離Lnを算出する機能要素である。また、位置情報処理部42は、算出したその距離Lnと放射方向Dnとに応じて対象となる粒子Mxの位置座標Pxを算出する機能要素である。位置情報処理部42は、往復時間Δtnを計測して、TOF(Time Of Flight)方式により距離Lnを算出可能であればよい。TOF方式としては、具体的に位相差距離方式やパルス伝播方式が例示される。また、位置情報処理部42は、光学装置25により放射方向Dnを可変する場合に、試験開始時の放射方向を初期値として、所定の間隔θnを周期Tnごとに加算して放射方向Dnを算出し、光学装置25の位置を原点として、対象となる粒子Mxの位置座標Pxを算出可能であればよい。
速度情報処理部43は、ドップラー効果によるレーザー光21及び反射光22の間の偏移周波数Δfnに応じて、対象となる粒子Mxの放射方向Dnの速度Vnを算出する機能要素である。具体的に、速度Vnは、下記の数式(1)により求められる。ここでレーザー光21の周波数をλ1とする。
Figure 2020038135
図4に例示するように、粒子情報処理部44は、対象となる粒子Mxの移動速度Vx、移動方向Dx、及び位置座標Pxを測定する機能要素である。具体的に、粒子情報処理部44は、対象となる粒子Mxにおいて、今回の周期Tnにおける往復時間Δtnに応じた距離Lnと、前回の周期T(n−1)における往復時間Δt(n−1)に応じた距離L(n−1)及び偏移周波数Δf(n−1)に応じた速度V(n−1)とに基づいて、前回の周期T(n−1)における対象となる粒子Mxの移動速度Vx、移動方向Dx、及び、位置座標Pxを測定する機能要素である。
対象となる粒子Mxの移動速度Vx、移動方向Dx、及び、位置座標Pxを測定する場合に、前回の周期T(n−1)における距離L(n−1)と、今回の周期Tnにおける距離Lnとを取得する必要がある。そこで、測定領域15に存在する複数の粒子Mxの中から対象となる粒子Mxを特定する方法として、前回の周期T(n−1)における対象となる粒子Mxの放射方向Dnの速度V(n−1)に基づいて今回の周期Tnにおける対象となる粒子Mxの移動先を予測して特定することで、今回の周期Tnにおける距離Lnを特定することが可能となる。このように、ライダ20が3Dスキャナセンサとしての機能とドップラーセンサとしての機能との二つの機能を有することで、対象となる粒子Mxの移動速度Vx、移動方向Dx、及び、位置座標Pxを取得することが可能となる。なお、対象となる粒子Mxを特定する方法における距離Ln、L(n−1)は周期Tnごとの位置座標と置き換えてもよい。
情報処理装置30は、各種情報処理を行う中央処理装置、その各種情報処理を行うために用いられるプログラムや情報処理結果を読み書き可能な内部記憶装置、及び各種インターフェースなどから構成されるハードウェアである。情報処理装置30は、ライダ20に電気的に接続される。なお、情報処理装置30で、風洞施設10の風速などの試験環境を調節する場合は、情報処理装置30が送風機12に電気的に接続される。
情報処理装置30は、機能要素として、スキャン設定部31、可視化処理部32、及び、表示制御部33を有する。各機能要素は、プログラムとして内部記憶装置に記憶されていて、適時、中央処理装置により実行されている。
スキャン設定部31は、スキャン処理情報を設定する機能要素であり、送風機12により送風される風速、試験体14、測定領域15を含む情報に基づいて、測定領域15、周期Tnや間隔θnを設定する機能要素である。
可視化処理部32は、ライダ20により測定した複数の粒子Mxにおける移動速度Vx、移動方向Dx、及び位置座標Pxに基づいて、測定領域15の各測定点16における風速Vz及び風向Dzを算出する機能要素である。この各測定点16における風速Vz及び風向Dzを算出する方法は特に限定されない。例えば、可視化処理部32は、複数の粒子Mxの位置座標Pxと各測定点16の位置座標とを比較し、測定点16の周囲の複数の粒子Mxにおける移動速度Vx及び移動方向Dxの平均値を算出し、算出した値をその測定点16の風速Vz及び風向Dzとしてもよい。また、可視化処理部32は、測定点16に存在する、あるいはその近傍に存在する粒子Mxにおける移動速度Vx及び移動方向Dxをその測定点16の風速Vz及び風向Dzとしてもよい。
表示制御部33は、可視化処理部32で算出された各測定点16における風速Vz及び風向Dzを情報処理装置30のディスプレイ34に表示させる機能要素である。表示制御部33は、算出された数値である風速Vz及び風向Dzを図形や記号に変換してディスプレイ34に表示させる機能要素である。また、表示制御部33は、測定領域15における任意の断面を表示領域19として設定可能であり、設定した表示領域19に存在する各測定点16の風速Vz及び風向Dzを図形や記号に変換してディスプレイ34に表示させる機能要素でもある。
図6に例示するように、本開示の風洞試験方法は、測定領域15の全域に渡って複数回のスキャン処理を繰り返して測定値を測定し、測定したその測定値に基づいて試験体14の周囲の風の流れを可視化する方法である。
測定者が情報処理装置30に送風機12により送風される風速、試験体14、測定領域15を含む情報を入力すると、情報処理装置30のスキャン情報設定部31によりスキャン情報が設定される(S110)。
次いで、設定されたスキャン情報がライダ20の信号処理機40に送信されて、信号処理機40のスキャン処理部41により測定領域15の全域に渡って複数回のスキャン処理が行われる(S120)。この実施形態のスキャン処理は、入力されたスキャン情報に基づいて、周期Tnごとに放射方向Dnを間隔θnずつずらすことで測定領域15の全域に渡って、レーザー光21の放射と反射光22の受信とを繰り返す処理である。
次いで、スキャン処理が完了すると、信号処理機40の位置情報処理部42、速度情報処理部43、及び、粒子情報処理部44により、周期Tnごとのスキャン処理により取得した往復時間Δtnと偏移周波数Δfnとに応じて、測定領域15に存在する複数の粒子Mxの移動速度Vx、移動方向Dx、及び、位置座標Pxを測定する(S130)。具体的に、このステップでは、まず、位置情報処理部42により周期Tnごとの往復時間Δtnに応じた距離Lnを算出する。次いで、速度情報処理部43により周期Tnごとの偏移周波数Δfnに応じた放射方向Dnの速度Vnを算出する。次いで、粒子情報処理部44により、対象となる粒子Mxに対して、今回の周期Tnにおける距離Lnと、前回の周期T(n−1)における距離L(n−1)及び放射方向D(n−1)の速度V(n−1)とに基づいて、前回の周期T(n−1)におけるその対象となる粒子Mxの位置座標Pxにおける移動速度Vx及び移動方向Dxを測定する。
次いで、ライダ20で測定された測定値が情報処理装置30に入力されて、情報処置装置30の可視化処理部32、及び、表示制御部33により、ディスプレイ34に測定領域15の各測定点16における風速Vz及び風向Dzが図示される(S140)。このステップでは、まず、可視化処理部32によりライダ20で測定された測定値(複数の粒子Mxの移動速度Vx、移動方向Dx、及び、位置座標Px)に基づいて、測定領域15の各測定点16における風速Vz及び風向Dzを算出する。次いで、表示制御部33により算出した風速Vz及び風向Dzを図形や記号に変換してディスプレイ34に図示する。以上で、この風洞試験方法が完了する。
以上のように、風洞施設10は、クラス1に準拠するレーザー光21の放射と反射光22の受信とのスキャン処理を測定領域15の全域に渡って複数回繰り返すことで、測定領域15に存在する複数の粒子Mxの移動を捕捉できる。
つまり、風洞施設10は、レーザー光21を用いることで、試験中の作業者の皮膚への被曝や目視による眼の損傷の危険性がなくなり、安全性の確保に有利になり、風洞施設10にレーザー管理区域を設ける必要がなくなる。また、風洞施設10は、それに伴って保護具の着用や様々な安全装置の設置も不要となる。以上のことから、風洞施設10によれば、安全性を確保することで、試験に掛かるコストを低減することができる。
また、風洞施設10は、ライダ20のスキャン処理が3Dスキャナセンサと同様の速度で行われる。つまり、風洞施設10は、測定領域15の全域に渡るライダ20によるスキャン処理に要する時間が、測定領域15の全域を粒子像流速計や粒子像追跡流速計などの風の流れを撮像する方式により測定に要する時間に比して短くなる。これにより、試験に要する時間を短縮するには有利になり、試験に掛かるコストを低減することができる。
風洞施設10は、レーザー光21の放射から反射光22の受信までの往復時間Δtnとドップラー効果によるレーザー光21及び反射光22の偏移周波数Δfnとに応じて、測定領域15内に存在する複数の粒子Mxの移動速度Vx、移動方向Dx、及び、位置座標Pxを測定する。より詳細に、風洞施設10は、今回の周期Tnにおける粒子Mxまでの距離Lnと、前回の周期T(n−1)における粒子Mxまでの距離L(n−1)及びその粒子Mxの放射方向D(n−1)の速度V(n−1)とに基づいて、前回の周期T(n−1)の粒子Mxの位置座標Pxにおける移動速度Vx及び移動方向Dxを測定する。
つまり、風洞施設10は、ライダ20が3Dスキャナセンサの機能とドップラーセンサの機能との二つの機能を利用することで、測定領域15に存在する粒子Mxの移動を捕捉することができる。このように、風洞施設10によれば、異なる測定機能を組み合わせることで、安全性の高いクラス1に準拠するレーザー光21を用いた可視化試験が実現可能になり、コストの低減には有利になる。また、風洞施設10によれば、二つの機能を利用することで、レーザードップラー流速計で測定する方式に比して試験結果が出力されるまでの情報処置装置30における計算工程の回数を減らすことができる。
風洞施設10は、ライダ20が測定した測定値に基づいて、測定領域15の複数の測定点16における風速Vz及び風向Vzを出力する構成である。つまり、風洞施設10は、試験体14の周囲の風の流れを可視化するだけでなく情報化することができる。これにより、試験体14の周囲の風の流れを試験前に予測した解析モデルと試験結果とを比較解析するには有利になる。また、一度の試験により測定領域15の任意の領域の風の流れを可視化したり、情報化したりすることが可能になる。
風洞施設10は、測定部13の内表面のうちの少なくとも測定領域15に存在する部位が電磁波吸収体17に覆われることが望ましく、また、試験体14の外表面のうちの少なくとも測定領域15に存在する部位が電磁波吸収体18に覆われることが望ましい。放射されたレーザー光21が電磁波吸収体17、18に吸収されることで、放射されたレーザー光21が測定部13の内表面や試験体14の外表面で後方散乱や反射することを防止することができる。これにより、ライダ20における反射光22以外の光の受信が抑制されることで、低ノイズ化を図ることができる。
図7に例示するように、第二実施形態の風洞施設10は、第一実施形態に対して、測定手段として複数のライダ20を有する点が異なる。また、図8に例示するように、第三実施形態の風洞施設10も同様に、測定手段として複数のライダ20を有する点が異なる。
ライダ20は、それ単体でパルス状のレーザー光21の放射と反射光22の受信とを行うことが可能であり、その放射と受信とを一セットとしたスキャン処理を周期Tnごとに行う装置である。つまり、風洞施設10において、ライダ20を複数設置することで、一つのライダ20がスキャン処理する領域を狭くすることができる。これにより、測定領域15の全域の測定に要する時間を短縮するには有利になる。
なお、放射方向Dnをずらすことなく測定領域15の全域に渡ってスキャン処理を行うことが可能な場合に、ライダ20は、光学装置25を動かさずにパルス状のレーザー光21を同一方向に放射する構成であればよい。
既述した実施形態では、ライダ20が測定手段として機能し、情報処理装置30が処理手段として機能する構成にしたが、ライダ20の信号処理機40の機能要素を情報処理装置30が有する構成にして、ライダ20及び情報処理装置30が測定手段及び処理手段として機能する構成としてもよい。
10 風洞施設
11 風路
12 送風機
13 測定部
14 試験体
15 測定領域
20 ライダ(測定手段)
21 レーザー光
22 反射光
30 情報処理装置(可視化手段)
Mn 粒子
Tn 周期
Vx 移動速度
Dx 移動方向
Px 位置座標

Claims (9)

  1. 風路、及び、送風機を備え、前記風路の中途位置に試験体が配置される測定部が形成され、前記送風機により送風された風が前記測定部で一方向に流れる風洞施設において、
    測定手段と処理手段とを備え、
    前記測定手段は、所定のレーザー光をパルス状に放射するライダを有し、そのライダが、前記レーザー光を放射するとともに放射したそのレーザー光が前記送風機により送風された風に含有される粒子で反射された反射光を受信するスキャン処理を所定の周期ごとに繰り返し、所定の測定領域の全域に対して複数回の前記スキャン処理を行う構成であり、
    前記処理手段は、前記測定手段による複数回の前記スキャン処理の繰り返しにより測定された測定値である前記測定領域に存在する複数の粒子の移動速度、移動方向、及び、位置座標に基づいて、前記試験体の周囲の風の流れを可視化又は情報化する処理を行う構成であることを特徴とする風洞施設。
  2. 前記測定手段は、前記レーザー光の放射から前記反射光の受信までの往復時間とドップラー効果による前記レーザー光及び前記反射光の間の周波数の偏移量とに応じて、前記測定領域内に存在する粒子の移動速度、移動方向、及び、位置座標を測定する構成である請求項1に記載の風洞施設。
  3. 前記測定手段は、前記測定領域内に存在する粒子の対象となる粒子において、今回の周期における前記往復時間に応じた前記ライダからその対象となる粒子までの距離と、前回の周期における前記往復時間に応じた前記ライダからその対象となる粒子までの距離及び前記周波数の偏移量に応じたその対象となる粒子の前記放射方向の速度とに基づいて、前記前回の周期におけるその対象となる粒子の位置座標における移動速度及び移動方向を測定する構成である請求項2に記載の風洞施設。
  4. 前記処理手段は、前記測定手段が測定した前記測定値に基づいて、前記測定領域に格子状に配置される複数の測定点における風速及び風向を出力する構成である請求項1〜3のいずれか1項に記載の風洞施設。
  5. 前記測定手段は、複数の前記ライダを有し、
    複数の前記ライダそれぞれが、前記測定領域を複数に分割した分割領域のそれぞれに前記レーザー光を放射する構成である請求項2〜4のいずれか1項に記載の風洞施設。
  6. 前記測定部の内表面のうちの少なくとも前記測定領域に存在する部位が電磁波吸収体に覆われる請求項1〜5のいずれか1項に記載の風洞施設。
  7. 前記試験体の外表面のうちの少なくとも前記測定領域に存在する部位が電磁波吸収体に覆われる請求項1〜6のいずれか1項に記載の風洞施設。
  8. 前記レーザー光がIEC60825−1で規定されるクラス1に準拠する請求項1〜7のいずれか1項に記載の風洞施設。
  9. 風路の上流側から送風機により前記風路の中途位置に形成された測定部で一方向に流れる風を送風し、前記測定部に配置された試験体の周囲の風の流れを可視化又は情報化する風洞試験方法であって、
    所定のレーザー光を放射するとともに放射したそのレーザー光が前記送風機により送風された風に含有される粒子で反射された反射光を受信するスキャン処理を所定の周期ごとに繰り返し、所定の測定領域の全域に対して複数回の前記スキャン処理を行って、前記測定領域に存在する複数の粒子の移動速度、移動方向、及び、位置座標を測定値として測定し、
    測定した前記測定値に基づいて、前記試験体の周囲の風の流れを可視化又は情報化することを特徴とする風洞試験方法。
JP2018165574A 2018-09-05 2018-09-05 風洞施設及び風洞試験方法 Pending JP2020038135A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018165574A JP2020038135A (ja) 2018-09-05 2018-09-05 風洞施設及び風洞試験方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018165574A JP2020038135A (ja) 2018-09-05 2018-09-05 風洞施設及び風洞試験方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020038135A true JP2020038135A (ja) 2020-03-12

Family

ID=69737973

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018165574A Pending JP2020038135A (ja) 2018-09-05 2018-09-05 風洞施設及び風洞試験方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020038135A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111855737A (zh) * 2020-07-15 2020-10-30 中国科学院工程热物理研究所 借助电磁吸力触发的平面风洞换热系数测量方法及系统
CN114112285A (zh) * 2021-11-24 2022-03-01 中国空气动力研究与发展中心空天技术研究所 一种带连杆滑槽的“x”型节流机构
CN114486167A (zh) * 2022-04-18 2022-05-13 中国空气动力研究与发展中心低速空气动力研究所 低速风洞模型尾撑地效试验地板槽口随动密封系统及方法
CN117969012A (zh) * 2024-03-28 2024-05-03 中国空气动力研究与发展中心高速空气动力研究所 风洞动态试验流动显示多周期移相同步测量方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111855737A (zh) * 2020-07-15 2020-10-30 中国科学院工程热物理研究所 借助电磁吸力触发的平面风洞换热系数测量方法及系统
CN111855737B (zh) * 2020-07-15 2023-09-12 中国科学院工程热物理研究所 借助电磁吸力触发的平面风洞换热系数测量方法及系统
CN114112285A (zh) * 2021-11-24 2022-03-01 中国空气动力研究与发展中心空天技术研究所 一种带连杆滑槽的“x”型节流机构
CN114112285B (zh) * 2021-11-24 2023-12-01 中国空气动力研究与发展中心空天技术研究所 一种带连杆滑槽的“x”型节流机构
CN114486167A (zh) * 2022-04-18 2022-05-13 中国空气动力研究与发展中心低速空气动力研究所 低速风洞模型尾撑地效试验地板槽口随动密封系统及方法
CN117969012A (zh) * 2024-03-28 2024-05-03 中国空气动力研究与发展中心高速空气动力研究所 风洞动态试验流动显示多周期移相同步测量方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2020038135A (ja) 風洞施設及び風洞試験方法
US11422255B2 (en) Slope stability LiDAR
RU2008106053A (ru) Способ и лидарная система для измерения турбулентностей атмосферы, осуществляемого на борту летательных аппаратов, а также в аэропортах и на ветровых электростанциях
JP5252696B2 (ja) 航空機搭載用光学式遠隔気流計測装置
RU2365523C2 (ru) Способ и устройство измерения турбулентности воздуха вокруг летательного аппарата
Diehm et al. Mitigation of crosstalk effects in multi-LiDAR configurations
JP4806949B2 (ja) レーザレーダ装置
CN103983975B (zh) 基于两种雷达的大气运动垂直速度检测方法及系统
CN110006848B (zh) 一种获取气溶胶消光系数的方法和装置
JPWO2016181854A1 (ja) ガス濃度測定装置
JP2009042177A (ja) 物体検出装置
CN110617876B (zh) 电力设备异响定位方法
JP2021114169A (ja) 警報システム
JP4859208B2 (ja) 乱気流の検知方法
JP5511196B2 (ja) 後方乱気流検出装置
US12111335B2 (en) Measurement of gas flow rate
CN114667459A (zh) 雷达及雷达的数据处理方法、可移动平台、存储介质
US20160231348A1 (en) Laser anemometry system and method
US8976342B2 (en) Method for estimating the transverse component of the velocity of the air in a doppler LiDAR measurement
KR20190077072A (ko) 2개 이상의 레이저 도플러 센서를 갖는 입자 센서
CN108873015A (zh) 一种激光测风雷达侧向风测量装置和方法
JP6984737B2 (ja) 測距センサ、制御装置、制御方法及びプログラム
WO2022157922A1 (ja) 気体漏れ検出装置、気体漏れ検出システム及び気体漏れ検出方法
JP2017053646A (ja) 流れの可視化方法
JP2021039689A (ja) 警報システム