JP2020036433A - 原子力発電所のケーブルの耐火構造及びその改造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
−構成−
図1は本発明の第1実施形態に係るケーブルの耐火構造の要部を表す断面図である。同図に示した耐火構造は原子力発電所におけるケーブルの耐火構造であって、電路2及び電路サポート3を含んで構成されている。電路2は防護対象であるケーブル1の敷設経路を構成する容器状の部材である。ケーブル1は制御棒駆動装置等の安全系設備に給電するケーブル等であり、原子力発電所において安全系設備は機能に応じて幾つかに区分(グループ分け)されている。ケーブル1についても第1の機能区分の安全系設備のケーブル、第2の機能区分の安全系設備のケーブル…といったように区分されている。各区分に用いられる複数のケーブル1を一纏まりとして共通の電路2に敷設し、電路2で周囲をガードすることによりケーブル1を保護している。
既存の原子力発電所に図1の耐火構造を適用する場合には、既存の電路を断熱材製の電路2に置換する。既存の電路と置換後の電路2は、電路2に所望の耐火能力が確保される限りにおいては同一形状でも良いが、異なっていても良い。電路サポート3は既存のものが活用できれば活用し、必ずしも新たに製作する必要はない。勿論必要に応じて新たな電路サポート3を設置しても良い。
本実施形態では、ケーブル1は電路2の内面に直接敷設されているので、ケーブル1の温度上昇は電路2の温度上昇に依存する。そこで電路2そのものを断熱材で構成することにより、ISO834−1の加熱条件下で電路2の外壁面が例えば火炎で熱せられても電路2により断熱してケーブル1の昇温を抑制できる。電路2を包囲する耐火層の追加が不要であるため、既存の追加した耐火層が電路2の周囲の障害物に干渉することを回避するための工事を必要としない。また耐火層の追加設置が必要ないので電路サポート3の補強工事も不要である。原子力発電所には数多くの電路が存在するため、耐火層の追加設置や電路サポートの補強工事を省略できる効果は大幅な工期短縮やコスト低減に直結し、前述した新規制基準への適応の遅れの大幅な抑制にも期待できる。また本質的には既存の電路を断熱材製のものに置換するだけで足りるので、複雑な設計変更を伴わず既存の原子力発電所に容易にかつ効率良く適用できる。本実施形態によれば、物量及び重量を抑えつつ必要十分な耐火能力を備えた原子力発電所のケーブル1の耐火構造を提供することができる。
図2は本発明の第2実施形態に係るケーブルの耐火構造の要部を表す断面図である。図2に示すように、本実施形態が第1実施形態(図1)と相違する点は電路2の構造にある。具体的には、第1実施形態ではトレイタイプの電路2を採用していたのに対し、本実施形態では電線管タイプの電路2を採用している。つまり電路2は筒状(本例では断面が四角形状の角筒)に形成されており、ケーブル1の外周を360度覆う構成である。電路2の壁面に開口は設置されていない。電路サポート3も必要箇所に設置されて電路2を支持する。電路2の材質や耐火能力を含め、電路2の形状以外の点について本実施形態は第1実施形態と同様である。
図3は本発明の第3実施形態に係るケーブルの耐火構造の要部を表す断面図、図4は全体を表す模式図である。これらの図に示したように、本実施形態では第2実施形態(図2)と同様に電線管タイプ(例えば角筒型)の電路2が採用されている。本実施形態が第2実施形態と相違する点は、電路2が1時間耐火層を構成している点、並びにチューブ4、ボンベ5、センサ6及び制御装置7を備えている点である。本願明細書では、ISO834−1で規定された加熱条件で加熱後1時間経過時にケーブル1の温度を200℃以下に抑えられる耐熱層を「1時間耐火層」と定義する。他の点については第2実施形態と同様である。
図5は本発明の第4実施形態に係るケーブルの耐火構造の要部を表す断面図である。同図に示したように、本実施形態が第1実施形態(図1)と相違する点は、電路2の接地面に凹凸が設けられている点である。第1実施形態では電路2の底面が平坦であったが、本実施形態では電路2の底面に複数の凸部9が設けられており、これにより底面が凹凸になっている。凸部9は例えば電路2の延在方向に延びるバー状のものであり、電路2の幅方向(図5中の左右方向)に間隔を空けて複数配置されている。凸部9は電路2の延在方向に長く延びるものに限らず、電路2の延在方向に間欠的に配置されたものでも良い。これにより第1実施形態に比べて電路サポート3や建屋の床面等との電路2の接触面積が小さくなっている。本実施形態では消火剤の散布機構を採用していないので、電路2は3時間耐火層とする。その他の点について、本実施形態は第1実施形態と同様である。
図6は本発明の第5実施形態に係るケーブルの耐火構造の要部を表す断面図である。同図に示したように、本実施形態が第3実施形態(図3及び図4)と相違する点は、電路2の内部が複数の管路に間仕切りされている点である。本実施形態では、電路2の幅方向の中央辺りに隔壁10を設置し、電路2の内部を2つの管路に仕切った場合を例示している(隔壁10の位置や数は例示した態様に限られない)。隔壁10は電路2の内部の床面から天井面まで隙間なく存在し、隔壁10により仕切られた2つの管路は繋がっておらず、両者は互いに完全に独立した空間として形成されている。本実施形態では、これら2つの管路にそれぞれケーブル1やチューブ4等が第3実施形態(図3及び図4)と同じ要領でそれぞれ設置されている。消化機構を搭載しているので、電路2は1時間耐火層で良い(勿論3時間耐火層としても良い)。その他の点は第3実施形態と同様である。
図7は本発明の第6実施形態に係るケーブルの耐火構造の要部を表す断面図である。同図に示したように、本実施形態が第4実施形態(図5)と相違する点は、電路が原子力発電所内のトレンチ11に収容されている点である。トレンチ11は例えば原子力発電所の建屋内の床等に適宜存在する溝である。本実施形態は、このトレンチ11を利用してトレンチ11の内部に電路2を配置した例である。その他の点は第4実施形態と同様である。
Claims (9)
- 原子力発電所におけるケーブルの耐火構造であって、
前記ケーブルを内側に敷設し前記ケーブルを直接支持する断熱材製の電路を備えた耐火構造。 - 請求項1の耐火構造において、
前記ケーブルの上方に位置するように前記電路の内部に設けたチューブ、及び前記チューブに消火剤を充填する充填装置を備えている耐火構造。 - 請求項1の耐火構造において、
前記電路がISO834−1に基づく3時間耐火層を構成している耐火構造。 - 請求項2の耐火構造において、
前記電路がISO834−1に基づく1時間耐火層を構成している耐火構造。 - 請求項2の耐火構造において、
前記チューブの内圧を検出するセンサと、
前記センサの信号を基に前記消火剤の散布を検知する制御装置と
を備えている耐火構造。 - 請求項1の耐火構造において、
前記電路の接地面に凹凸が設けられている耐火構造。 - 請求項1の耐火構造において、
前記電路の内部が複数の管路に間仕切りされている耐火構造。 - 請求項1の耐火構造において、
前記電路が前記原子力発電所内のトレンチに収容されている耐火構造。 - 既存の原子力発電所において内部にケーブルを敷設する電路を断熱材製のものに置換する耐火構造の改造方法。
Priority Applications (1)
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JP2018160302A JP2020036433A (ja) | 2018-08-29 | 2018-08-29 | 原子力発電所のケーブルの耐火構造及びその改造方法 |
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JP2018160302A JP2020036433A (ja) | 2018-08-29 | 2018-08-29 | 原子力発電所のケーブルの耐火構造及びその改造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113893480A (zh) * | 2021-10-29 | 2022-01-07 | 广东电网有限责任公司广州供电局 | 一种电缆坑灭火装置 |
JP2022055898A (ja) * | 2020-09-29 | 2022-04-08 | 株式会社エステック | 消火具、消火具敷設方法、及び消火システム |
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JP2016220408A (ja) * | 2015-05-20 | 2016-12-22 | 明星工業株式会社 | ケーブル耐火断熱装置 |
-
2018
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