JP2020035512A - 蛍光ランプ - Google Patents

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益規 徳永
Masunori Tokunaga
益規 徳永
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【課題】一対の電極間での放電エネルギー及び放電による電極部材の飛散を抑制し、他の対の電極への影響を低減できるランプを提供する。【解決手段】蛍光ランプ1は、ステム4と、第1の電極5と、第2の電極6と、を備え、ステム4から第1の電極5までの距離h1と、ステム4から第2の電極6までの距離h2とが異なる。【選択図】図2

Description

本発明は、蛍光ランプに関する。
一般の蛍光灯は、ガラス管の両端の電極に1対のタングステンを用いたフィラメントを具備しており、このフィラメントに電子放出物質が塗布されている。
この蛍光ランプの不点灯となる主な原因は、上記フィラメントの断線及び電子放出物質の消耗・枯渇によるものである。
長寿命の蛍光ランプにおいても、電極は1対であるが不点灯までの時間を延長するため、フィラメントを構成しているタングステンの形状を工夫してフィラメントの表面積を増やすことで、電子放出物質を多く塗布することを可能し、電子放出物質の枯渇までの時間を延長し長寿命化を行っている。
特許文献1および2には、複数の電極を具備し、放電に用いる電極の切替を行うことでランプの長寿命化が可能となっている蛍光灯が記載されている。
特開2006−339128号公報 特開平6−76795号公報
特許文献1および2に開示された蛍光灯では、複数の電極を具備し、電極の切替を行うことでランプの長寿命化が可能となっている。しかし、複数の電極の間の距離が短いため、蛍光灯点灯に用いている電極の放電による熱エネルギーを、点灯に寄与していない電極が受けてしまう。これにより、点灯に寄与していない電極のフィラメントが熱膨張により伸縮することで、点灯に寄与していない電極に塗布された電子放出物質が、フィラメントから剥離や脱落してしまう。そして、電子放出物質が剥離や脱落した電極を用いて放電を行うと、寿命までの十分な電子放出物質を確保できなくなることになる。
また、点灯に寄与している電極からフィラメントの構成部材であるタングステンや電子放出物質が蒸散して、点灯に寄与していない電子放出物質やランプ構成部材を覆い、電極切替時及び長期点灯時に不具合を生じる恐れがある。
本発明は、一対の電極間での放電エネルギー及び放電による電極部材の飛散を抑制し、他の対の電極への影響を低減することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る蛍光ランプは、ステムと、第1の電極と、第2の電極と、を備え、前記ステムから前記第1の電極までの距離と、前記ステムから前記第2の電極までの距離とが異なる。
本発明によれば、一対の電極間での放電エネルギー及び放電による電極部材の飛散を抑制し、他の対の電極への影響を低減することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施形態に係る、直管形蛍光ランプを示す図。 本発明の一実施形態に係る、蛍光ランプの片側断面の電極付近の状態を示す外観図。 本発明の一実施形態に係る、蛍光ランプの両端の電極の配置状態を示す外観図。
以下、図面等を用いて、本発明の実施例について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではない。本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能であり、下記の実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。なお、本実施形態では電極間の放電が直線の直管の蛍光灯を例に挙げて説明するが、形状はこれに限定されず、例えば、円形、四角形、六角形等の多角形のものにも適用することができる。
図1は本発明の一実施形態に係る直管形蛍光ランプを示す図であり、図2は本発明の一実施形態に係る蛍光ランプの片側断面の電極付近の状態を示す外観図である。
蛍光ランプ1の両端にある口金部2から供給された電力を、口金部2に具備された切替スイッチ3を介して、ステム4に埋め込まれたリード線へ供給する。そして、リード線を介して、放電間距離の異なる電極5と電極6に電力を供給する。
ステム4から電極5までの高さをh1とし、ステム4から電極6までの高さをh2とすると、h1>h2の関係を満たしている。そして、ランプ1において口金部2に対向する他の口金部にも同一の構成の電極があり、図3で後述するようにステム4から電極55までの高さをh3とし、ステム4から電極66までの距離をh4とすると、h3>h4の関係を満たしている。この電極5から電極55までの距離である放電間距離をL1とし、電極6から電極66までの放電間距離をL2とすると、L1<L2となっている。但し、対応する蛍光ランプの電力の規格値を超えない範囲の距離にて、放電間距離L2を調整することができる。なお、電極5と電極55を1対の電極、電極6と電極66を他の対の電極とする。
従来の蛍光ランプの電極は放電間距離が同じ長さであった。つまり、ステム4から電極までの距離が同じであった。一方、本実施例における電極5と電極6とはステム4からの距離が異なる。つまり、従来に比べて電極間の距離である電極5と電極6との間の長くなっている。これにより、ある電極から他の電極への熱エネルギー等による影響を低減することができる。
本実施例においては、蛍光ランプ1の使い始めは電極5と電極55との間の放電を行う。そして、電極5と電極55との間の放電が不能となった場合等に、使用者が切替スイッチ3を用いることで、電極6と電極66との間での放電が可能となる。この切替スイッチ3を電力供給ピン7近傍に設置した例にて説明しているが、設置場所はこれに限定されず、口金部2の任意の位置に設置しても良い。
電極5および電極55には、囲い8が設けられている。これにより、点灯中の電極からの電子放出物質や電極の構成部材であるタングステンが蒸散しても、電極近傍の蛍光ランプ1のガラス管内面に電子放出物質やタングステン等の非発光物質が付着するのを防止することができる。これにより、上記の非発光物質が電極近傍の蛍光体表面に付着することを防止し、蛍光体の発光を妨げない。なお、囲い8は電極6および電極66の周囲に設けても良い。
また、この囲い8は支持棒9に固定されることで支えられている。支持棒9の先端はステム4に埋め込まれており、電極5と導通しないようにされている。
さらに、電極5とステム4との間には、電極5に電力を供給するための2対のリード線が貫通させた構造である、セラミックス製の絶縁遮蔽板10が備わっている。この絶縁遮蔽板10により、電極5からの電子放出物質や電極5の構成部材である導通性のあるタングステンが蒸散しても、電極6やステム4に付着することを防止することができる。これにより、電極6と電極66との間での放電時や蛍光ランプ寿命末期時に、意図しない放電経路の形成を防ぐという効果がある。
以上より、囲い8と絶縁遮蔽板10とを設置することで、電極部材が飛散して蛍光ランプ1の内面表面へ付着を防止することができ、これにより光束低下を防止することができる。
また、電極間に高周波電力を印加してそのランプを点灯すると、寿命末期(累計で数千時間ランプを点灯した時点でランプは寿命となる。)に特有な現象が起こる。蛍光ランプ1の寿命が末期となることで電極(フィラメント)に塗布した電子放射性物質が無くなると、通常はランプは点灯しなくなり、寿命となる。ところが、電極の電子放射性物質が無くなったとしても、意図せずして放電が維持されることがある。つまり、電子放射性物質のなくなった電極や内部リード線を電極輝点として放電が持続することがある。この場合、特に内部リード線を輝点として放電が維持されると、定格値よりも大きい放電電流がリード線に流れることになる。これによってリード線が溶けて、最終的にはステム4が熱で溶融しランプが破損する現象が発生する恐れが有る。しかし、囲い8と絶縁遮蔽板10とを設置することで、前述の現象を抑制することが可能となる。そして、電極5と電極55との間の放電から電極6と電極66との間の放電に切り替えても、蛍光ランプ1の放電が可能となる。図2では電極5の周囲にのみ囲い8を設け、電極5と電極6との間に絶縁遮蔽板10を設けているが、すべての電極に囲い8を設け、電極6とステム4との間に絶縁遮蔽板10を設けても良い。これにより、更に寿命末期まで安全にランプを点灯することが可能となる。
図3は、蛍光ランプ1の両端の電極間距離及び電極の高さを示した図である。ステム4から電極5および電極6までの距離が同じ場合よりも、図3(a)に記載の通りステム4から電極5および電極6までの距離が異なる方が、図3における左右方向の成分の長さに起因して、電極5と電極6との間の電極間距離は長くなる。
次に、放電間距離を変更することで得られる効果を説明する。高周波点灯専用形FHF86を用いて、放電間距離の変更を行うため電極高さの異なるランプにて効率の改善が可能であるかの検討を行った。なお、基準となる電極高さであるステム4から電極(フィラメント)までの距離をh1としている。そして、基準となる距離h1よりもステム4から電極までの距離を短くすることで、放電間距離を長くした。そして、各仕様にて蛍光ランプ1の両端の電極高さを調整し、各仕様のランプ効率を測定した結果を表1に記載する。
Figure 2020035512
表1の結果の通り、電極高さh1の時のランプ効率(lm/W)を100%とした場合、電極高さを低くすることで、蛍光ランプ1の両端の放電間距離が長くなり、相対ランプ効率が良くなる。このことから、放電間距離が短い電極間で12,000hほど点灯し、電極が寿命に達した時の光束値は初期の90%前後に低下する。しかし、切替スイッチ3により放電間距離が長い電極間の放電に切替えることで、表1の結果の通り、放電間距離の延長によるランプ効率の改善が可能となる。つまり、放電間距離を延長することでランプ効率が上がることを利用して、放電間距離が短い1対目の電極(電極5と電極55)の点灯時の光束低下を、放電間距離が長い2対目の電極(電極6と電極66)により補うことができる。
次に、図3(b)を用いて、電極5および電極6の適切な配置について説明する。放電している電極間に障害物が存在すると、障害物からの不純物の蒸散及び放電経路の変化が起こりランプ効率の低下が発生する恐れがある。例えば電極6と電極66との間で放電している場合は、障害物としては電極5や囲い8などが挙げられる。よって、電極6と電極66との間における最短距離の線上に電極5などを配置しない構成を採用した。これにより、電極5や囲い8の構成部材が加熱等されて飛散するのを防止できる。また、電極5や電極6に接続されているリード線を図3に示すように曲げることで、最短距離の線上に電極5などが位置しないようにしている。さらに、前述のリード線を曲げることで、電極5と電極6との距離である電極間距離を長くすることができる。
1 蛍光ランプ
2 口金部
3 切替スイッチ
4 ステム
5 電極
6 電極
7 電力供給ピン
8 囲い
9 支持棒
10 絶縁遮蔽板
55 電極
66 電極

Claims (4)

  1. ステムと、第1の電極と、第2の電極と、を備え、
    前記ステムから前記第1の電極までの距離と、前記ステムから前記第2の電極までの距離とが異なることを特徴とする、蛍光ランプ。
  2. 請求項1に記載の蛍光ランプにおいて、
    前記ステムから前記第1の電極までの距離は前記ステムから前記第2の電極までの距離よりも長く、
    前記第1の電極の周囲に囲いを備えることを特徴とする蛍光ランプ。
  3. 請求項1または2に記載の蛍光ランプにおいて、
    前記ステムから前記第1の電極までの距離は前記ステムから前記第2の電極までの距離よりも長く、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に、遮蔽部材を備えることを特徴とする蛍光ランプ。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の蛍光ランプにおいて、
    前記ステムと前記第1の電極と前記第2の電極とを蛍光ランプの両端にそれぞれ備え、
    前記蛍光ランプの一端において前記ステムから前記第1の電極までの距離は前記ステムから前記第2の電極までの距離よりも長く、前記蛍光ランプの他端において前記ステムから前記第1の電極までの距離は前記ステムから前記第2の電極までの距離よりも長く、
    前記蛍光ランプの一端の前記第2の電極から前記蛍光ランプの他端の前記第2の電極の直線上には、前記第1の電極が設けられていないことを特徴とする蛍光ランプ
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