JP2020033606A - Al−Mg―Si系合金板の製造方法 - Google Patents

Al−Mg―Si系合金板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い導電率と高い強度を有するAl−Mg−Si系合金板の製造方法を提供する。【解決手段】Si:0.2〜0.8質量%、Mg:0.3〜1質量%、Fe:0.5質量%以下およびCu:0.5質量%以下を含有し、さらにTi:0.1質量%以下またはB:0.1質量%以下の少なくとも1種を含有し、残部Al及び不可避不純物からなる鋳塊に熱間圧延を実施する、3mm≦板厚≦9mmのAl−Mg−Si系合金板の製造方法であって、熱間圧延終了直後のAl−Mg−Si系合金板の表面温度を230℃以下とする。【選択図】なし

Description

この発明は、Al−Mg―Si系合金板の製造方法、特に熱伝導性、導電性、および強度に優れたAl−Mg―Si系合金板の製造方法に関する。
薄型テレビ、パーソナルコンピューター用薄型モニター、ノートパソコン、タブレットパソコン、カーナビゲーションシステム、ポータブルナビゲーションシステム、スマートフォンや携帯電話等の携帯端末等の製品のシャーシ、メタルベースプリント基板、内部カバーのように発熱体を内蔵または装着する部材材料においては、速やかに放熱するための優れた熱伝導性および強度が求められる。
JIS1100、1050、1070等の純アルミニウム合金は熱伝導性に優れるが、強度が低い。高強材として用いられるJIS5052等のAl−Mg合金(5000系合金)は、純アルミニウム系合金よりも熱伝導性および導電性が著しく劣る。
これに対しAl−Mg−Si系合金(6000系合金)は、熱伝導性および導電性が良く時効硬化により強度向上を図ることができるため、Al−Mg―Si系合金を用いて強度、熱伝導性、導電性に優れたアルミニウム合金板を得る方法が検討されている。
例えば、特許文献1には、Si:0.2〜1.5質量%、Mg:0.2〜1.5質量%、Fe:0.3質量%以下を含有し、さらに、Mn:0.02〜0.15質量%、Cr:0.02〜0.15%の1種または2種を含有するとともに、残部がAlおよび不可避不純物中のTiが0.2%以下に規制されるか、もしくはこれにCu:0.01〜1質量%か希土類元素:0.01〜0.2質量%の1種または2種を含有する組成を有するアルミニウム合金板を連続鋳造圧延により作製し、その後冷間圧延し、次いで500〜570℃の溶体化処理を行い、続いてさらに冷間圧延率5〜40%で冷間圧延を行い、冷間圧延後150〜190℃未満で加熱する時効処理を行うことを特徴とする熱伝導性、強度および曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板の製造方法が記載されている。
特許文献2には、Mgを0.1〜0.34質量%、Siを0.2〜0.8質量%、Cuを0.22〜1.0質量%含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、Si/Mg含有量比が1.3以上であるAl−Mg―Si系合金を、半連続鋳造で厚さ250mm以上の鋳塊とし、400〜540℃の温度で予備加熱を経て熱間圧延、50〜85%の圧下率で冷間圧延を施した後、140〜280℃の温度で焼鈍をすることを特徴とする、Al−Mg−Si系合金圧延板の製造方法が開示されている。
特許文献3には、Si:0.2〜0.8wt%、Mg:0.3〜0.9wt%、Fe:0.35wt%以下、Cu:0.20質量%以下を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなるAl−Mg―Si系合金鋳造塊を均質化処理し、熱間圧延および熱間仕上げ圧延した後に冷間圧延する合金の製造方法であって、前記熱間圧延の任意のパス工程において、パス前の材料温度を350〜450℃とするとともに、上がり板厚を10mm以下とし、前記冷間圧延の圧下率を30%以上とすることを特徴とするAl−Mg―Si系合金板の製造方法が開示されている。
なお、Al−Mg―Si系合金においては、熱伝導率と導電率が良好な相関性を示し、優れた熱伝導性を有するアルミニウム合金板は優れた導電率を有し、放熱部材材料はもちろん導電部材材料として用いることができる。
特開2007−9262号公報 特開2012−62517号公報 特開2000−87198号公報
特許文献1では、比較的高い強度を有するアルミニウム合金板が得られるものの、冷間圧延の途中のアルミニウム合金板に500℃以上の高温の熱処理とその後の急冷からなる溶体化処理を施した後、冷間圧延を更に実施した後時効処理を行うという複雑な工程が必要であり、製造コストが高くなる。
特許文献2記載の製造方法では、熱間圧延より後の工程において溶体化処理を必要としないが、特許文献2の実施例に記載された発明例の引張強さの最大値は213N/mm2(MPa)に留まる。
特許文献3では、特許文献2と同様に熱間圧延より後の工程において溶体化処理が不要であり、特許文献2より高い引張強さが得られるが、特許文献3の実施例では300N/mm2(MPa)を超える引張強度が得られるのは冷間圧延圧下率98%、製品板厚0.1mmの実施例に限定されており、強度向上には限界があった。
本発明は、上述した技術背景に鑑み、熱間圧延より後の工程において溶体化処理を適用することなく、高い導電率を有しさらに強度を改善することができるAl−Mg−Si系合金の板材の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)Si:0.2〜0.8質量%、Mg:0.3〜1質量%、Fe:0.5質量%以下およびCu:0.5質量%以下を含有し、さらにTi:0.1質量%以下またはB:0.1質量%以下の少なくとも1種を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるAl−Mg−Si系合金鋳塊に熱間圧延を実施する、3mm≦板厚≦9mmのAl−Mg−Si系合金板の製造方法であって、熱間圧延終了直後のAl−Mg−Si系合金板の表面温度が230℃以下であるAl−Mg−Si系合金板の製造方法。
(2)不純物としてのMn、Cr、およびZnが、それぞれ0.1質量%以下に規制されている前項1に記載のAl−Mg−Si系合金板の製造方法。
(3)不純物としてのNi、V、Ga、Pb、Sn、BiおよびZrが、それぞれ0.05質量%以下に規制されている前項1または前項2に記載のAl−Mg−Si系合金板の製造方法。
(4)不純物としてのAgが0.05質量%以下に規制されている前項1ないし前項3の何れか1項に記載のAl−Mg−Si系合金板の製造方法。
(5)不純物としての希土類元素の合計含有量が0.1質量%以下に規制されている前項1ないし前項4の何れか1項に記載のAl−Mg−Si系合金板の製造方法。
(6)熱間圧延終了直後のAl−Mg−Si系合金板の表面温度が200℃以下である前項1ないし前項5の何れか1項に記載のAl−Mg−Si系合金板の製造方法。
(7)熱間圧延の複数のパスのうち、パス直前のAl−Mg―Si系合金板の表面温度が470〜350℃であり、パスによるAl−Mg―Si系合金板の冷却、もしくはパスとパス後の強制冷却による平均冷却速度が50℃/分以上であるパスを少なくとも1回実施する前項1ないし前項6の何れか1項に記載のAl−Mg−Si系合金板の製造方法。
前項(1)に記載の発明によれば、Si:0.2〜0.8質量%、Mg:0.3〜1質量%、Fe:0.5質量%以下およびCu:0.5質量%以下を含有し、さらにTi:0.1質量%以下またはB:0.1質量%以下の少なくとも1種を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるAl−Mg−Si系合金鋳塊に熱間圧延を実施する、3mm≦板厚≦9mmのAl−Mg−Si系合金板の製造方法であって、熱間圧延終了直後のAl−Mg−Si系合金板の表面温度が230℃以下であるため、熱間圧延による有効な焼き入れ効果が得られ、高い引張強さを有するAl−Mg−Si系合金板を製造することができる。
前項(2)に記載の発明によれば、不純物としてのMn、Cr、およびZnが、それぞれ0.1質量%以下に規制されているため、高い引張強さを有するAl−Mg−Si系合金板を製造することができる。
前項(3)に記載の発明によれば、不純物としてのNi、V、Ga、Pb、Sn、BiおよびZrが、それぞれ0.05質量%以下に規制されているため、高い引張強さを有するAl−Mg−Si系合金板を製造することができる。
前項(4)に記載の発明によれば、不純物としてのAgが0.05質量%以下に規制されているため、高い引張強さを有するAl−Mg−Si系合金板を製造することができる。
前項(5)に記載の発明によれば、不純物としての希土類元素の合計含有量が0.1質量%以下に規制されているため、高い引張強さを有するAl−Mg−Si系合金板を製造することができる。
前項(6)に記載の発明によれば、熱間圧延終了直後のAl−Mg−Si系合金板の表面温度が200℃以下であるため、熱間圧延による焼き入れ効果を高めることができる。
前項(7)に記載の発明によれば、熱間圧延の複数のパスのうち、パス直前のAl−Mg―Si系合金板の表面温度が470〜350℃であり、パスによるAl−Mg―Si系合金板の冷却、もしくはパスとパス後の強制冷却による平均冷却速度が50℃/分以上であるパスを少なくとも1回実施するため、熱間圧延による焼き入れ効果を高めることができる。
本願発明者は、熱間圧延、冷間圧延を順次施するAl−Mg−Si系合金板の製造方法において、熱間圧延上がりの合金板の表面温度を所定の温度以下とすることで、高い導電率を維持しつつ高い強度を有するAl−Mg−Si系合金板が得られることを見出し本願の発明に至った。
以下に、本願のAl−Mg−Si系合金板の製造方法について詳細に説明する。
本願のAl−Mg−Si系合金組成において、各元素の添加目的および含有量の限定理由は下記のとおりである。
MgおよびSiは強度の発現に必要な元素であり、それぞれの含有量はSi:0.2質量%以上0.8質量%以下、Mg:0.3質量%以上1質量%以下とする。Si含有量が0.2質量%未満あるいはMg含有量が0.3質量%未満では十分な強度を得ることができない。一方、Si含有量が0.8質量%、Mg含有量が1質量%を超えると、熱間圧延での圧延負荷が高くなって生産性が低下し、得られるアルミニウム合金板の成形加工性も悪くなる。Si含有量は0.2質量%以上0.6質量%以下が好ましく、更に0.32質量%以上0.60質量%以下が好ましい。Mg含有量は、0.4質量%以上1.0質量%以下が好ましく、0.45質量%以上0.9質量%以下が更に好ましく、特に0.45質量%以上0.55質量%以下が好ましい。
FeおよびCuは成形加工上必要な成分であるが、多量に含有すると耐食性が低下する。本願においてFe含有量およびCu含有量はそれぞれ0.5質量%以下に規制する。Fe含有量は0.35質量%以下に規制することが好ましく、更に0.1質量%以上0.25質量%以下であることが好ましい。Cu含有量は0.2質量%以下であることが好ましく、更に0.1質量%以下が好ましい。
TiおよびBは、合金をスラブに鋳造する際に結晶粒を微細化するとともに凝固割れを防止する効果がある。前記効果はTiまたはBの少なくとも1種の添加により得られ、両方を添加してもよい。しかしながら、多量に含有すると、サイズの大きい晶出物が多く生成するため、製品の加工性や熱伝導性および導電率が低下する。Ti含有量は0.1質量以下が好ましく、更に0.005質量%以上0.05質量%以下が好ましい。また、B含有量は0.1質量%以下が好ましく、特に0.06質量%以下が好ましい。
また、合金元素には種々の不純物元素が不可避的に含有されるが、MnおよびCrは伝導性および導電性を低下させ、Znは含有量が多くなると合金材の耐食性を低下させるため少ないことが好ましい。不純物としてのMn、Cr、およびZnのそれぞれの含有量は0.1質量%以下が好ましく、更に0.05質量%以下が好ましい。
上記以外のその他の不純物元素としては、Ni、V、Ga、Pb、Sn、Bi、Zr、Ag、希土類等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらその他の不純物元素のうち希土類以外は個々の元素の含有量として0.05質量%以下であることが好ましい。上記その他の不純物元素のうち希土類は、1種または複数種の元素が含まれていてもよく、ミッシュメタルの状態で含まれている鋳造用原料に由来するものでも良いが、希土類元素の合計含有量は0.1質量%以下であることが好ましく、更に0.05質量%以下であることが好ましい。
次に、本願規定のAl−Mg―Si系合金板を得るための処理工程について記述する。
常法にて溶解成分調整し、Al−Mg―Si系合金鋳塊を得る。得られた合金鋳塊に熱間圧延前加熱より前の工程として均質化処理を施すことが好ましい。
前記均質化処理は、500℃以上で行うことが好ましい。
前記熱間圧延前加熱はAl−Mg―Si系合金鋳塊中に晶出物およびMg、Siを固溶させ均一な組織とするために実施するが、温度が高すぎると共晶融解が生じるため、450℃以上580℃以下で行うことが好ましく、特に500℃以上580℃以下で行うことが好ましい。
Al−Mg―Si系合金鋳塊に均質化処理を行った後冷却し、熱間圧延前加熱を行っても良いし、均質化処理と熱間圧延前加熱を連続して行っても良く、前記均質化処理および熱間圧延前加熱の好ましい温度範囲にて均質化処理と熱間圧延前加熱を兼ねて同じ温度で加熱しても良い。
鋳造後熱間圧延前加熱前に鋳塊の表面近傍の不純物層を除去する為に鋳塊に面削を施すことが好ましい。面削は鋳造後均質化処理前であっても良いし、均質化処理後熱間圧延前加熱前であってもよい。
熱間圧延前加熱後のAl−Mg―Si系合金鋳塊に熱間圧延を施す。
熱間圧延は粗熱間圧延と仕上げ熱間圧延からなり、粗熱間圧延機を用い複数のパスからなる粗熱間圧延を行った後、粗熱間圧延機とは異なる仕上げ熱間圧延機を用いて仕上げ熱間圧延を行う。なお、本願において、粗熱間圧延機での最終パスを熱間圧延の最終パスとする場合は、仕上げ熱間圧延を省略することができる。
本願において、仕上げ熱間圧延は、上下一組のワークロールもしくは二組以上のワークロールが連続して設置された圧延機を用いて1方向からAl−Mg―Si系合金板を導入し1回のパスで実施される。
冷間圧延をコイルで実施する場合には、仕上げ熱間圧延後のAl−Mg―Si系合金板を巻き取り装置で巻き取って熱延コイルとすればよい。仕上げ熱間圧延を省略し、粗熱間圧延の最終パスを熱間圧延の最終パスとする場合は、粗熱間圧延の後、Al−Mg―Si系合金板を巻き取り装置にて巻き取って熱延コイルとしてもよい。
粗熱間圧延では、溶体化処理に準じてMgおよびSiが固溶された状態を保持した後、粗熱間圧延のパスによるAl−Mg―Si系合金板の冷却、もしくは粗熱間圧延のパスとパス後の強制冷却による温度降下により焼き入れの効果を得ことができる。
本願において粗熱間圧延の複数のパスのうち、パス直前Al−Mg―Si系合金板の表面温度が350℃以上470℃以下でありパスによるAl−Mg―Si系合金板の冷却、もしくはパスとパス後の強制冷却による平均冷却速度が50℃/分以上であるパスを制御パスと呼ぶ。制御パス直前のAl−Mg―Si系合金板の表面温度を350℃以上470℃以下としたのは、350℃未満では粗熱間圧延における急冷による焼き入れの効果が小さく、470℃より高い温度ではパス上がりのAl−Mg―Si系合金板の急冷が困難であるからである。
上記平均冷却速度は制御パスにおいて強制冷却を行わない場合は制御パスの開始から終了まで、制御パス後に強制冷却を行う場合は制御パスの開始から強制冷却の終了までのAl−Mg―Si系合金板の温度降下(℃)を要した時間(分)で除した値とする。
制御パス後の強制冷却は、Al−Mg―Si系合金板を圧延しながら圧延後の部位に対し順次実施してもよいし、Al−Mg―Si系合金板全体を圧延した後実施してもよい。
強制冷却の方法は限定されないが、水冷であっても空冷であってもよいし、クーラントを利用してもよい。
前記制御パスは少なくとも1回実施することが好ましく、複数回実施しても良い。制御パスを複数回実施する場合、各々の制御パスについてパス後に強制冷却を行うか否かを選択できる。パス直前Al−Mg―Si系合金板の表面温度が470〜350℃であって冷却速度が50℃/分以上であれば制御パスは複数回実施することができるが、1回の制御パスでAl−Mg―Si系合金板の温度を350℃未満に降下させることにより効率よく効果的に焼き入れを行うことができる。
本願において、粗熱間圧延の最終パス後に強制冷却を行わない場合は、熱間圧延の最終パス直後のAl−Mg―Si系合金板の表面温度を粗熱間圧延上がり温度とし、粗熱間圧延の最終パス後に強制冷却を行う場合は、強制冷却終了直後のAl−Mg―Si系合金板の表面温度を粗熱間圧延上がり温度とする。
本願において仕上げ熱間圧延を実施する場合は仕上げ熱間圧延の終了、仕上げ熱間圧延を実施しない場合は粗熱間圧延の最終パスの終了をもって熱間圧延の終了とし、熱間圧延終了直後のAl−Mg―Si系合金板の表面温度は230℃以下とする。熱間圧延終了直後の合金板の温度を230℃以下とすることにより有効な焼き入れ効果が得られる。
熱間圧延終了直後のAl−Mg―Si系合金板の表面温度が高すぎると、焼き入れの効果が不足し強度の向上が不十分となる。熱間圧延終了直後のAl−Mg―Si系合金板の表面温度は200℃以下が好ましく、更に150℃以下が好ましく、特に130℃以下が好ましい。
なお、粗熱間圧延の後仕上げ熱間圧延を行う場合は、仕上げ熱間圧延のパスによる焼き入れ効果を得るために、仕上げ熱間圧延直前のAl−Mg―Si系合金板の表面温度は270℃以下であることが好ましい。
また、仕上げ熱間圧延を行わず粗熱間圧延の最終パスが制御パスではない場合も同様に、粗熱間圧延最終パス直前のAl−Mg―Si系合金板の表面温度は270℃以下が好ましい。
一方、仕上げ熱間圧延を行わず粗熱間圧延の最終パスが制御パスである場合、制御パスが熱間圧延の最終パスとなるので、熱間圧延の最終パス直前のAl−Mg―Si系合金板の表面温度が470〜350℃であって、圧延もしくは圧延と圧延後の強制冷却により50℃/分以上の冷却速度で合金板の表面温度が230℃以下となるように制御パスを実施する。
Al−Mg―Si系合金に上記製造条件を適用することにより、高い導電率と高い強度を有する、板厚が3mm≦板厚≦9mmのAl−Mg−Si系合金板を得ることができる。
なお、本願のAl−Mg―Si系合金板の製造はコイルで行ってもよく、単板で行ってもよい。
以下に本発明の実施例および比較例を示す。
表1に示す化学組成の異なるアルミニウム合金スラブをDC鋳造法により得た。なお、希土類が含まれる化学組成番号20の鋳塊はミッシュメタルが含まれる原料を鋳造に用いた。
[実施例1]
表1の化学組成番号1のアルミニウム合金スラブに面削を施した。次に、面削後の合金スラブに対し加熱炉中で570℃5hの均質化処理を実施した後、同じ炉中で温度を変化させ540℃4hの熱間圧延前加熱を実施した。熱間圧延前加熱後540℃のスラブを加熱炉中から取り出し、粗熱間圧延を開始した。粗熱間圧延中の合金板の厚さが25mmとなった後、パス直前の合金板温度460℃から平均冷却速度80℃/分にて、粗熱間圧延の最終パスを実施し、粗熱間圧延上がり温度235℃で厚さ12mmの合金板とした。なお、粗熱間圧延の最終パスでは、圧延しながら合金板を移動させ、圧延後の合金板の部位に対し順次上下から水を合金板に噴霧する水冷による強制冷却を実施した。
粗熱間圧延の後、合金板に仕上げ熱間圧延直前温度225℃から仕上げ熱間圧延を実施し、厚さ7.0mmの合金板を得た。仕上げ熱間圧延直後の合金板の温度は130℃であった。
Figure 2020033606
[実施例2〜29、比較例1〜5]
表1に記載のアルミニウム合金スラブに面削を施した後、表2〜表5に記載の条件で、処理を施し、アルミニウム合金板を得た。なお、実施例1と同様に全ての実施例および比較例において均質化処理と熱間圧延前加熱は同じ炉で連続して実施し、粗熱間圧延最終パス後の強制冷却は、圧延しながら合金板を移動させ圧延後の合金板の部位に対し順次上下から水を合金板に噴霧する水冷、粗熱間圧延最終パス完了後に送風冷却する空冷、および強制冷却無しの中から選択した。
実施例7では、粗熱間圧延の最終パスを熱間圧延の最終パスとし、仕上げ熱間圧延を実施しなかった。
Figure 2020033606
Figure 2020033606
Figure 2020033606
Figure 2020033606
得られた合金板の引張強さおよび導電率以下の方法により評価した。
引張強さは、JIS5号試験片について、常温で常法により測定した。
導電率は、国際的に採択された焼鈍標準軟銅(体積低効率1.7241×10-2μΩm)の導電率を100%IACSとしたときの相対値(%IACS)として求めた。
引張強さおよび導電率の評価結果を表2〜表5に示す。
本願規定の化学組成を有し、熱間圧延終了直後の合金板の表面温度が230℃以下である実施例では、引張強さおよび導電率が高い値であるのに対し、化学組成、熱間圧延終了直後の合金板の表面温度のどちらかが本願規定範囲を満足しない比較例は、引張強さもしくは導電率の少なくともどちらかが実施例に劣る。

Claims (7)

  1. Si:0.2〜0.8質量%、Mg:0.3〜1質量%、Fe:0.5質量%以下およびCu:0.5質量%以下を含有し、さらにTi:0.1質量%以下またはB:0.1質量%以下の少なくとも1種を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるAl−Mg−Si系合金鋳塊に熱間圧延を実施する、3mm≦板厚≦9mmのAl−Mg−Si系合金板の製造方法であって、熱間圧延終了直後のAl−Mg−Si系合金板の表面温度が230℃以下であるAl−Mg−Si系合金板の製造方法。
  2. 不純物としてのMn、Cr、およびZnが、それぞれ0.1 質量%以下に規制されている請求項1に記載のAl−Mg−Si系合金板の製造方法。
  3. 不純物としてのNi、V、Ga、Pb、Sn、BiおよびZrが、それぞれ0.05質量%以下に規制されている請求項1または請求項2に記載のAl−Mg−Si系合金板の製造方法。
  4. 不純物としてのAgが0.05質量%以下に規制されている請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のAl−Mg−Si系合金板の製造方法。
  5. 不純物としての希土類元素の合計含有量が0.1質量%以下に規制されている請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のAl−Mg−Si系合金板の製造方法。
  6. 熱間圧延終了直後のAl−Mg−Si系合金板の表面温度が200℃以下である請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載のAl−Mg−Si系合金板の製造方法。
  7. 熱間圧延の複数のパスのうち、パス直前のAl−Mg―Si系合金板の表面温度が470〜350℃であり、パスによるAl−Mg―Si系合金板の冷却、もしくはパスとパス後の強制冷却による平均冷却速度が50℃/分以上であるパスを少なくとも1回実施する請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載のAl−Mg−Si系合金板の製造方法。
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