JP2020033570A - メンテナンス液及びメンテナンス方法 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の20℃における飽和溶解度が5.0質量%以上である重合性化合物を含み、
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有する紫外線硬化型組成物を被付着対象に向けて吐出する吐出ヘッドを備える装置のメンテナンスに用いられる、メンテナンス液。
〔2〕
前記重合性化合物が、下記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル、及び、芳香環を有する単官能(メタ)アクリレート化合物の少なくともいずれかを含む、前項〔1〕に記載のメンテナンス液。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 (1)
(式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は、水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
〔3〕
前記重合性化合物の20℃における粘度が、30mPa・s以下である、前項〔1〕又は〔2〕に記載のメンテナンス液。
〔4〕
前記重合性化合物の含有量が、前記メンテナンス液の総量に対して、40質量%以上である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
〔5〕
20℃における粘度が、20mPa・s以下である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
〔6〕
20℃における粘度が、前記紫外線硬化型組成物の20℃における粘度よりも5mPa・s以上低い、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
〔7〕
前記紫外線硬化型組成物が、前記重合性化合物を含み、
前記メンテナンス液中の前記重合性化合物の含有量が、前記紫外線硬化型組成物中の前記重合性化合物の含有量よりも10質量%以上多い、前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
〔8〕
前記アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の、20℃における前記重合性化合物に対する飽和溶解度が8.0質量%以上である、前項〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
〔9〕
シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくともいずれかを含む、前項〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
〔10〕
前記重合性化合物の分子量が、170以上である、前項〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
〔11〕
前記紫外線硬化型組成物中のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量が、5.0質量%以上である、前項〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
〔12〕
溶解度パラメータが、5.0以上である、前項〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
〔13〕
前記飽和溶解度は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドの20℃における飽和溶解度である、前項〔1〕〜〔12〕のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
〔14〕
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有する紫外線硬化型組成物を被付着対象に向けて吐出する吐出ヘッドを備える装置を、前項〔1〕〜〔13〕のいずれか1項に記載のメンテナンス液を用いてメンテナンスする工程を有する、メンテナンス方法。
〔15〕
前記装置が、吐出された前記紫外線硬化型組成物に紫外線を照射するための紫外線発光ダイオードを備え、
該紫外線発光素子が、発光ピーク波長を360〜420nmの範囲に有する、前項〔14〕に記載のメンテナンス方法。
〔16〕
前記装置が、前記紫外線硬化型組成物を加温する加温機構を備え、加温した組成物を吐出するものである、前項〔14〕又は〔15〕に記載のメンテナンス方法。
本実施形態のメンテナンス液は、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の20℃における飽和溶解度が5.0質量%以上である重合性化合物を含み、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有する紫外線硬化型組成物を被付着対象に吐出する吐出ヘッドを備える装置のメンテナンスに用いられる。
本実施形態のメンテナンス液は、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の20℃における飽和溶解度が5.0質量%以上である重合性化合物を含む。このような重合性化合物を含むことにより、メンテナンス時の洗浄性がより向上し、メンテナンス後においては紫外線硬化型組成物の硬化性の低下をより抑制できる。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 (1)
(上記式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は、水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
メンテナンス液が上記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステルを含有することにより、メンテナンス時の洗浄性がより向上し、メンテナンス後においては紫外線硬化型組成物の硬化性の低下をより抑制できる傾向にある。
芳香環を有する単官能(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定されないが、例えば、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレートが挙げられる。芳香環を有する単官能(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のメンテナンス液は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びアセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。このなかでも、界面活性剤として、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
本実施形態のメンテナンス液は、重合禁止剤を含んでもよい。重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、1−o−2,3,5−トリメチルヒドロキノン、2−tert−ブチルヒドロキノン等のヒドロキノン類;カテコール、4−メチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール等のカテコール類;フェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、p−メトキシフェノール、クレゾール、ピロガロール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール類;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル骨格を有する化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を有する化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−アルキル骨格を有する化合物、及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−アシル骨格を有する化合物等のヒンダードアミン類が挙げられる。なお、重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のメンテナンス液は、溶剤をさらに含んでもよい。溶剤としては、特に限定されないが、例えば、有機溶剤又は水を用いることができる。
本実施形態のメンテナンス液は、その保存安定性及びヘッドからの吐出安定性を良好に維持するため、目詰まり改善のため、又はメンテナンス液の劣化を防止するため、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤などの、種々の添加剤を適宜添加することもできる。
メンテナンス液の20℃における粘度は、好ましくは20mPa・s以下であり、より好ましくは17.5mPa・s以下であり、さらに好ましくは15mPa・s以下である。メンテナンス液の20℃における粘度が上記範囲内であることにより、メンテナンス時の洗浄性がより優れる傾向にある。また、メンテナンス液の20℃における粘度の下限は、特に限定されないが、5.0mPa・s以上が好ましい。粘度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
溶解度パラメータ(SP値)=重合性化合物中のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の溶解度×当該重合性化合物の組成物中(100質量部)に対する含有量(質量%)÷100)
(組成物が複数の重合性化合物を含む場合は上記値を加算した総和である。)
本実施形態のメンテナンス液は、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有する紫外線硬化型組成物を被付着対象に向けて吐出する吐出ヘッドを備える装置のメンテナンスに用いられる。以下、装置の1実施形態として記録装置を記載するが装置は吐出ヘッドを備える装置であればよい。ここで「メンテナンス」とは、記録装置を洗浄すること、記録装置の組成物流路内を紫外線硬化型組成物からメンテナンス液へ置換すること、組成物流路内をメンテナンス液で充填することをいう。ここで、「組成物流路」とは、記録装置において、紫外線硬化型組成物を流通させるための流路をいう。組成物流路としては、例えば、紫外線硬化型組成物を貯留する紫外線硬化型組成物収容容器、紫外線硬化型組成物収容容器から吐出ヘッドに紫外線硬化型組成物を供給するための供給路、吐出ヘッド内において紫外線硬化型組成物をノズル開口部まで流通させるための流路が挙げられる。
記録装置は、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有する紫外線硬化型組成物を被付着対象に向けて吐出する吐出ヘッドを備える。より具体的には、記録装置は、組成物供給システムを備え、紫外線硬化型組成物収容容器から吐出ヘッドへ供給された紫外線硬化型組成物を、吐出ヘッドから被付着対象に向けて吐出し記録を行うものである。以下、本実施形態の記録装置について詳細に説明する。
吐出ヘッドは、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有する紫外線硬化型組成物を被付着対象に向けて吐出するものである。これにより、被付着対象に紫外線硬化型組成物が付着する。吐出ヘッドは、紫外線硬化型組成物を加温する加温機構を備えることが好ましい。これにより、紫外線硬化型組成物の粘度を低下させることができ、吐出安定性に優れた記録装置となる。
組成物供給システムは、例えば、紫外線硬化型組成物収容容器と、紫外線硬化型組成物を吐出するノズルを有する吐出ヘッドと、紫外線硬化型組成物収容容器及び吐出ヘッドを接続し、紫外線硬化型組成物収容容器から吐出ヘッドへ上記液体を供給する組成物供給路と、を備える。
被付着対象とは、2次元記録装置の場合は2次元の被記録媒体をいう。また、ステージ上に紫外線硬化型組成物を吐出し、紫外線などを照射し硬化させて断面形状パターンを作製し、作製された断面形状パターンに紫外線硬化型組成物をさらに吐出し、硬化させる工程を繰り返して断面形状パターンを積層する3次元記録装置の場合は、被付着対象はステージ又は硬化した紫外線硬化型組成物となる。
紫外線硬化型組成物は、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有する。また、紫外線硬化型組成物は、メンテナンス液に含まれ得る重合性化合物とメンテナンス液に含まれ得る上記重合性化合物を含むことが好ましい。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤は、長波長光のLEDを用いた紫外線硬化型組成物の硬化に適する。そのため、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を用いることにより、UV−LEDによる硬化プロセスにより優れ、紫外線硬化型組成物の硬化性、密着性が一層優れる傾向にある。本実施形態のメンテナンス液は、このような重合開始剤を含む紫外線硬化型組成物を用いる記録装置に対して用いられる。なお、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を用いた場合、メンテナンス時においてアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤が析出しやすいことが問題であるが、本実施形態のメンテナンス液であればこのような析出を抑制することができ、洗浄性に優れる。
重合性化合物としては、上記メンテナンス液に含まれ得るものとして例示したもの、及び、それ以外の重合性化合物を挙げることができる。重合性化合物をメンテナンス液に用いることにより、メンテナンス液をヘッド充填液として用い、長期充填させておく場合のヘッドアタック性を低下させることができ、また、メンテナンス後、紫外線硬化型組成物に再置換する際の再置換性を向上させることができる。
本実施形態の紫外線硬化型組成物は、顔料及び染料等の色材、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤などの、種々の添加剤を適宜添加することもできる。
本実施形態のメンテナンス方法は、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有する紫外線硬化型組成物を被付着対象に向けて吐出する吐出ヘッドを備える記録装置を、上記メンテナンス液を用いてメンテナンスする工程を有する。
下記の実施例及び比較例において使用したメンテナンス液及び紫外線硬化型組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔重合性化合物〕
V#192(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学工業社製、IRGACURE 819の飽和溶解度10質量%、DAROCUR TPOの飽和溶解度20質量%、粘度8.7mPa・s、分子量192)
SR508(ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー社製、IRGACURE 819の飽和溶解度4.0質量%、DAROCUR TPOの飽和溶解度8質量%、粘度10mPa・s、分子量242)
VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社製、IRGACURE 819の飽和溶解度6.0質量%、DAROCUR TPOの飽和溶解度12質量%、粘度2.5mPa・s、分子量186)
DA−141(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ナガセケムテックス社製、IRGACURE 819の飽和溶解度5.5質量%、DAROCUR TPOの飽和溶解度11質量%、粘度150mPa・s、分子量222)
IBXA(イソボルニルアクリレート、東亞合成社製、IRGACURE 819の飽和溶解度3.8質量%、DAROCUR TPOの飽和溶解度7.6質量%、粘度7.7mPa・s、分子量208)
FA−BZA(ベンジルアクリレート、日立化成社製、IRGACURE 819の飽和溶解度14.2質量%、DAROCUR TPOの飽和溶解度28.4質量%、粘度5.5mPa・s、分子量162)
LA(ラウリルアクリレート、大阪有機化学工業社製、IRGACURE 819の飽和溶解度2.0質量%、DAROCUR TPOの飽和溶解度4質量%、粘度4.0mPa・s、分子量240)
IOAA(イソオクチルアクリレート、大阪有機化学工業社製、IRGACURE 819の飽和溶解度3.0質量%、DAROCUR TPOの飽和溶解度6質量%、粘度2.0mPa・s、分子量184)
A−DPH(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 新中村化学工業社製、IRGACURE 819の飽和溶解度1質量%、DAROCUR TPOの飽和溶解度2質量%、粘度6600mPa・s、分子量578)
〔溶媒〕
TPGmME(トリプロピレングリコールモノメチルエーテル)
〔界面活性剤〕
BYK−UV3500(BASF社製)
〔重合禁止剤〕
MEHQ(p−メトキシフェノール、東京化成工業社製)
〔光重合開始剤〕
IRGACURE 819(BASF社製)
DAROCUR TPO(BASF社製)
IRGACURE 184(BASF社製)
IRGACURE 369(BASF社製)
〔色材〕
カーボンブラック
各材料を下記の表1及び2に示す組成で混合し、十分に撹拌し、各メンテナンス液及び各紫外線硬化型組成物を得た。なお、下記の表1及び2中、数値の単位は質量%であり、合計は100.0質量%である。
重合性化合物300gに、20℃において、光重合開始剤を添加し、撹拌回転速度300rpmにて3時間撹拌後、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)が溶解したか否かを確認した。この操作を繰り返し、溶解した最大のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の添加量を確認した。なお、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤が溶解したか否かは目視にて確認し、粒状に残っているアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の有無や重合性化合物全体が濁っているか否かで溶解したか否かを判断した。溶解した最大のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の添加量に基づいて、下記式により重合性化合物中のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の飽和溶解度を算出した。
重合性化合物中のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の飽和溶解度=溶解した最大のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の質量/(重合性化合物の質量+溶解した最大のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の質量)×100(%)
直径2mmのポリプロピレン製チューブ200mmに紫外線硬化型組成物を充填した。紫外線硬化型組成物を充填したポリプロピレン製チューブにメンテナンス液を流速0.6g/minで、20mL流した。メンテナンス液を20mL流した後のチューブ内の液体を採取し、1/100に希釈して吸光度を測定した。得られた吸光度に基づいて下記評価基準にて洗浄性を評価した。吸光度が低いほど、メンテナンス液が高い洗浄性を示すことを意味する。
(評価基準)
A:吸光度が0.5未満であった。
B:吸光度が0.5以上1.0未満であった。
C:吸光度が1.0以上であり、重合開始剤由来の析出物は発生しなかった。
D:吸光度が1.0以上であり、重合開始剤由来の析出物が発生した。
メンテナンス液及び紫外線硬化型組成物の20℃における粘度を粘度計(Physica社製 製品名MCR−300)を用いて測定した。得られた粘度に基づいて評価基準にて粘度を評価した。
(評価基準)
A 20℃における粘度が20mPa・s以下であった。
B 20℃における粘度が20mPa・s超過であった。
メンテナンス液の匂いを嗅いで、下記評価基準により、においを評価した。
(評価基準)
A:刺激臭なし
B:刺激臭あり
プリンター(セイコーエプソン社製、PX−7500改造機)を用いて紫外線硬化型組成物硬化性試験を行なった。まず、メンテナンス液カートリッジから吐出ヘッドまでを直径2mmのポリプロピレン製チューブ200mmで接続した。次いで、チューブから吐出ヘッドまでをメンテナンス液で充填した状態から、メンテナンス液カートリッジを紫外線硬化型組成物カートリッジに交換し、チューブへ流速0.6g/minで20mLの紫外線硬化型組成物を流した。その後、被記録媒体(東レ社製、製品名ルミラーS10)に対し、吐出ヘッドから紫外線硬化型組成物を吐出し、被記録媒体に付着した紫外線硬化型組成物に対し200mJ/cm2の照射エネルギーの紫外線を照射して、10μm厚のベタパターンの塗膜を形成した。紫外線ランプとしては395nmに発光ピーク波長を有するLEDを用いた。また、照射エネルギー[mJ/cm2]は、光源から照射される被照射表面における照射強度[mW/cm2]を測定し、これと照射継続時間[s]との積から求めた。照射強度の測定は、紫外線強度計UM−10、受光部UM−400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING, INC.)製)を用いて行った。
(評価基準)
A:タック性が確認されなかった。
B:塗膜の硬化は確認されたが、塗膜に傷が見られタック性が確認された。
C:塗膜の硬化不良が確認され、塗膜が全体的にウェット感が残る状態であった。
Claims (16)
- アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の20℃における飽和溶解度が5.0質量%以上である重合性化合物を含み、
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有する紫外線硬化型組成物を被付着対象に向けて吐出する吐出ヘッドを備える装置のメンテナンスに用いられる、メンテナンス液。 - 前記重合性化合物が、下記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル、及び、芳香環を有する単官能(メタ)アクリレート化合物の少なくともいずれかを含む、請求項1に記載のメンテナンス液。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 (1)
(式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は、水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。) - 前記重合性化合物の20℃における粘度が、30mPa・s以下である、請求項1又は2に記載のメンテナンス液。
- 前記重合性化合物の含有量が、前記メンテナンス液の総量に対して、40質量%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
- 20℃における粘度が、20mPa・s以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
- 20℃における粘度が、前記紫外線硬化型組成物の20℃における粘度よりも5mPa・s以上低い、請求項1〜5のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
- 前記紫外線硬化型組成物が、前記重合性化合物を含み、
前記メンテナンス液中の前記重合性化合物の含有量が、前記紫外線硬化型組成物中の前記重合性化合物の含有量よりも10質量%以上多い、請求項1〜6のいずれか1項に記載のメンテナンス液。 - 前記アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の、20℃における前記重合性化合物に対する飽和溶解度が8.0質量%以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
- シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくともいずれかを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
- 前記重合性化合物の分子量が、170以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
- 前記紫外線硬化型組成物中のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量が、5.0質量%以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
- 溶解度パラメータが、5.0以上である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
- 前記飽和溶解度は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドの20℃における飽和溶解度である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のメンテナンス液。
- アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有する紫外線硬化型組成物を被付着対象に向けて吐出する吐出ヘッドを備える装置を、請求項1〜13のいずれか1項に記載のメンテナンス液を用いてメンテナンスする工程を有する、メンテナンス方法。
- 前記装置が、吐出された前記紫外線硬化型組成物に紫外線を照射するための紫外線発光ダイオードを備え、
該紫外線発光素子が、発光ピーク波長を360〜420nmの範囲に有する、請求項14に記載のメンテナンス方法。 - 前記装置が、前記紫外線硬化型組成物を加温する加温機構を備え、加温した組成物を吐出するものである、請求項14又は15に記載のメンテナンス方法。
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