JP2020033160A - コンベヤベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】コンベヤベルトの補強に用いられるディップ済み帆布における、幅方向での引張物性のバラツキや、トリートメント工程におけるシワの発生を抑制することで、安定した生産性能および高い性能を有するコンベヤベルトを提供する。【解決手段】1枚以上の帆布1を含む芯体補強層2と、ゴム層3A,3B,4A,4Bとからなるコンベヤベルトである。帆布を構成する経糸および緯糸が繊維コードからなり、経糸の、繊度をDL(dtex)、比重をρL(−)、撚り本数をnL(本)、単位長さあたりの打込み本数をNL(本/5cm)とし、緯糸の、繊度をDW(dtex)、比重をρW(−)、撚り本数をnW(本)、単位長さあたりの打込み本数をNW(本/5cm)としたとき、式(I)、[√{(DL/ρL)×nL}×NL]/[√{(DW/ρW)×nW}×NW]≦2.5(I)で示される関係を満足する。【選択図】図1
Description
本発明は、コンベヤベルトに関し、詳しくは、コンベヤベルトの補強に用いられる帆布の改良に関する。
物品の搬送に用いられる無端のコンベヤベルトとして、ゴム層を補強部材により補強した構造のものが知られている。このようなコンベヤベルトの補強部材のうち繊維材料を用いたものとしては、例えば、繊維コードを平織した平織物である帆布や、特許文献1に開示されているようなスダレ織構造の補強コード層などが用いられている。
コンベヤベルトの補強部材として帆布を用いる場合、帆布とゴム層との間の接着性を確保するために、あらかじめ帆布にRFL系接着剤等の汎用の接着剤を付着させて加熱するディッピング処理を行って、ディップ済み帆布を作製する。このディップ済み帆布を接着ゴムにより被覆して(トリートメント工程)、その両面をカバーゴムにより挟持することで、コンベヤベルトを得ることができる。
ところで、ディップ済み帆布を接着ゴムにより被覆するトリートメント工程においては、ディップ済み帆布を長手方向に沿って搬送しながらゴム被覆を行うが、この際にディップ済み帆布においてシワが発生する場合があった。また、ディップ済み帆布においては、幅方向に引張物性のバラツキが生ずる場合もあり、問題となっていた。このような引張物性のバラツキやシワの発生は、コンベヤベルトの製造工程や搬送性能に悪影響を及ぼすため、これらの問題を解消することが求められていた。
そこで本発明の目的は、コンベヤベルトの補強に用いられるディップ済み帆布における、幅方向での引張物性のバラツキや、トリートメント工程におけるシワの発生を抑制することで、安定した生産性能および高い性能を有するコンベヤベルトを提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、コンベヤベルトの補強に用いられる帆布について、その経糸と緯糸との関係を所定に規定することで、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のコンベヤベルトは、1枚以上の帆布を含む芯体補強層と、ゴム層とからなるコンベヤベルトにおいて、
前記帆布を構成する経糸および緯糸が繊維コードからなり、該経糸の、繊度をDL(dtex)、比重をρL(−)、撚り本数をnL(本)、単位長さあたりの打込み本数をNL(本/5cm)とし、該緯糸の、繊度をDW(dtex)、比重をρW(−)、撚り本数をnW(本)、単位長さあたりの打込み本数をNW(本/5cm)としたとき、下記式(I)、
[√{(DL/ρL)×nL}×NL]/[√{(DW/ρW)×nW}×NW]≦2.5 (I)
で示される関係を満足することを特徴とするものである。
前記帆布を構成する経糸および緯糸が繊維コードからなり、該経糸の、繊度をDL(dtex)、比重をρL(−)、撚り本数をnL(本)、単位長さあたりの打込み本数をNL(本/5cm)とし、該緯糸の、繊度をDW(dtex)、比重をρW(−)、撚り本数をnW(本)、単位長さあたりの打込み本数をNW(本/5cm)としたとき、下記式(I)、
[√{(DL/ρL)×nL}×NL]/[√{(DW/ρW)×nW}×NW]≦2.5 (I)
で示される関係を満足することを特徴とするものである。
本発明のコンベヤベルトにおいては、下記式(II)、
2.1≦[√{(DL/ρL)×nL}×NL]/[√{(DW/ρW)×nW}×NW]≦2.5 (II)
で示される関係を満足することが好ましい。
2.1≦[√{(DL/ρL)×nL}×NL]/[√{(DW/ρW)×nW}×NW]≦2.5 (II)
で示される関係を満足することが好ましい。
また、本発明のコンベヤベルトにおいては、前記経糸および緯糸が、合成繊維コードからなることが好ましい。
本発明によれば、コンベヤベルトの補強に用いられるディップ済み帆布における、幅方向での引張物性のバラツキや、トリートメント工程におけるシワの発生を抑制して、安定した生産性能および高い性能を有するコンベヤベルトを実現することが可能となった。
以下、本発明について、図面を用いて詳細に説明する。
図1に、本発明のコンベヤベルトの一例を示す幅方向断面図を示す。図示する本発明のコンベヤベルト10は、1枚以上、例えば、1〜8枚、図示する例では4枚の帆布1を含む芯体補強層2と、ゴム層とからなるものである。図示する例では、ゴム層は、上面カバーゴム層3A、下面カバーゴム層3Bおよびサイドゴム層4A,4Bからなるが、本発明のコンベヤベルトは、このような構成には限られない。また、図示はしないが、芯体補強層2において、4枚で積層された帆布1の上面および下面には、それぞれ接着ゴムが被覆されている。
図1に、本発明のコンベヤベルトの一例を示す幅方向断面図を示す。図示する本発明のコンベヤベルト10は、1枚以上、例えば、1〜8枚、図示する例では4枚の帆布1を含む芯体補強層2と、ゴム層とからなるものである。図示する例では、ゴム層は、上面カバーゴム層3A、下面カバーゴム層3Bおよびサイドゴム層4A,4Bからなるが、本発明のコンベヤベルトは、このような構成には限られない。また、図示はしないが、芯体補強層2において、4枚で積層された帆布1の上面および下面には、それぞれ接着ゴムが被覆されている。
図2に、本発明のコンベヤベルトにおける芯体補強層を構成する帆布の構造を示す説明図を示す。図中の矢印はコンベヤベルトの長手方向、すなわち、使用時に張力のかかるベルト駆動方向を示す。芯体補強層2を構成する帆布1は、経糸1Lと緯糸1Wとからなる平織物であり、コンベヤベルトの長手方向に沿って延びる糸が経糸1L、コンベヤベルトの幅方向に沿って延びる糸が緯糸1Wとなる。
本発明のコンベヤベルトにおいては、芯体補強層2を構成する帆布1を構成する経糸1Lおよび緯糸1Wとして、下記の条件を満足する繊維コードを用いた点が重要である。すなわち、本発明においては、帆布1を構成する経糸1Lの繊維コードの、繊度をDL(dtex)、比重をρL(−)、撚り本数をnL(本)、単位長さあたりの打込み本数をNL(本/5cm)とし、緯糸1Wの繊維コードの、繊度をDW(dtex)、比重をρW(−)、撚り本数をnW(本)、単位長さあたりの打込み本数をNW(本/5cm)としたとき、下記式(I)を満足するものとする。
[√{(DL/ρL)×nL}×NL]/[√{(DW/ρW)×nW}×NW]≦2.5 (I)
[√{(DL/ρL)×nL}×NL]/[√{(DW/ρW)×nW}×NW]≦2.5 (I)
ここで、上記式(I)における左辺は、分母が「√{(緯糸繊度/緯糸比重)×緯糸の撚り本数}×単位長さあたりの緯糸の打込み本数」を表し、分子が「√{(経糸繊度/経糸比重)×経糸の撚り本数}×単位長さあたりの経糸の打込み本数」を表す。すなわち、上記式(I)における左辺は、コンベヤベルトの長手方向の単位長さあたりに含まれる緯糸1Wの幅の総和に対する、コンベヤベルトの幅方向の単位長さあたりに含まれる経糸1Lの幅の総和の比率を示している。
前述したように、芯体補強層2を作製する際には、帆布1に接着剤を付着させ加熱してディップ済み帆布とし、これを、コンベヤベルトの長手方向に相当する経糸に沿った方向に搬送しながら接着ゴムにより被覆させるが、この際、帆布1を構成する経糸1Lの量に対し緯糸1Wの量が少なすぎると、経糸1Lを拘束する緯糸1Wの量が不足して、ディップ済み帆布における経糸1Lと緯糸1Wとの織り状態が幅方向、すなわち緯糸の延びる方向において不均一となると考えられる。このため、ディップ済み帆布における幅方向端部と幅方向中央部とで、経糸1Lの密度に差異が生じ、これに伴い引張物性にも差異が生じて、これが、トリートメント工程においてディップ済み帆布に経糸方向に張力をかけて搬送する際における、帆布1に生ずるシワの原因にもなるものと考えられる。本発明者はこのような点に着目して鋭意検討した結果、上記式(I)における左辺で規定するようなパラメータを用いることで、帆布1における経糸1Lと緯糸1Wとの比率を適切に規定でき、さらに、上記式(I)で規定するような数値範囲とすることで、上記引張物性のバラツキやシワの発生の問題を解決できることを見出して、本願発明を完成するに至ったものである。
本発明によれば、帆布1を構成する経糸1Lおよび緯糸1Wが上記条件を満足するものとしたことで、帆布1における経糸1Lと緯糸1Wとの比率を適正な範囲とすることができ、ディップ済み帆布における幅方向の引張物性のバラツキや、ディップ済み帆布を接着ゴムにより被覆するトリートメント工程でのシワの発生を抑制することができる。すなわち、本発明においては、上記緯糸1Wの幅の総和に対する経糸1Lの幅の総和の比率を2.5以下として、経糸1Lの量に対する緯糸1Wの比率を大きくしているので、ディップ済み帆布の幅方向端部と幅方向中央部とで、経糸1Lの密度のバラツキを抑制して幅方向における引張物性の差異を低減し、シワの発生も抑制して、結果として接着ゴムによる被覆時におけるトリートメント加工安定性を向上することができ、また、コンベヤベルトの幅方向における引張物性を均一化することができる。
本発明のコンベヤベルトにおいては、芯体補強層2を構成する帆布1を構成する経糸1Lおよび緯糸1Wとして、下記式(II)、
2.1≦[√{(DL/ρL)×nL}×NL]/[√{(DW/ρW)×nW}×NW]≦2.5 (II)
で示される条件を満足する繊維コードを用いることが好ましい。上記緯糸1Wの幅の総和に対する経糸1Lの幅の総和の比率を2.1以上とすることで、経糸の織縮み率を十分に大きくとることができるので、コンベヤベルトの耐屈曲疲労性能を向上することができる。
2.1≦[√{(DL/ρL)×nL}×NL]/[√{(DW/ρW)×nW}×NW]≦2.5 (II)
で示される条件を満足する繊維コードを用いることが好ましい。上記緯糸1Wの幅の総和に対する経糸1Lの幅の総和の比率を2.1以上とすることで、経糸の織縮み率を十分に大きくとることができるので、コンベヤベルトの耐屈曲疲労性能を向上することができる。
本発明のコンベヤベルトにおいては、芯体補強層2を構成する帆布1を構成する経糸1Lおよび緯糸1Wが、上記式(I)、好適には上記式(II)で示される条件を満足する点のみが重要であり、これにより、本発明の所期の効果を得ることができる。
帆布1に用いる経糸1Lおよび緯糸1Wの具体的な条件としては、例えば、経糸1Lの繊維コードとしては、繊度500〜3500(dtex)、撚り本数1〜8(本)の繊維コードを、単位長さあたりの打込み本数20〜100(本/5cm)で用いることができ、緯糸1Wの繊維コードとしては、繊度500〜3500(dtex)、撚り本数1〜8(本)の繊維コードを、単位長さあたりの打込み本数10〜50(本/5cm)で用いることができる。
また、経糸1Lおよび緯糸1Wに用いる繊維コードの材質としては、特に制限されないが、合成繊維コードを用いることが好ましい。合成繊維としては、具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロンMXD6等の脂肪族ポリアミド、アラミド(芳香族ポリアミド)、ビニロン等のポリビニルアルコールなどが挙げられる。中でも、PETやナイロン66を好適に用いることができ、例えば、経糸1Lおよび緯糸1WにPETを用いる場合や、経糸1Lおよび緯糸1Wにナイロン66を用いる場合の他、経糸1LにPETを用い、緯糸1Wにナイロン66を用いる組合せなどであってもよい。
帆布1に付着させる接着剤としては、汎用のもののいずれでもよいが、例えば、レゾルシノール、ホルムアルデヒド、レゾルシノールおよびホルムアルデヒドの縮合体、並びにラテックスを含むRFL系接着剤を用いることができる。このうちレゾルシノールおよびホルムアルデヒドの一部縮合体は、レゾール化反応により得ることができる。また、RFL分散液に含まれるラテックスとしては、ビニルピリジンラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(SBRラテックス)、天然ゴムラテックス、アクリル酸エステル共重合体系ラテックス、ブチルゴムラテックス、ニトリルゴムラテックス、クロロプレンラテックス等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
具体的に、帆布1に上記接着剤を付着させるディッピング工程は、帆布1の一部または全部を、上記RFL系接着剤に浸漬し、必要に応じて、ロール間を通すかまたはバキューム吸引するなどで余剰な接着剤を除去し、次いで、1段階または多段階の熱処理を施すことにより、行うことができる。熱処理における最終処理温度は、反応促進および実使用時の熱収縮の低減の点から180℃以上が好ましく、200℃以上であることがより好ましい。
ディッピング工程において接着剤を付着させたディップ済み帆布の片面または両面を、接着ゴムにより被覆して接着ゴム層を形成することで(トリートメント工程)、ゴム被覆帆布が得られ、このゴム被覆帆布を、所望に応じ1枚または2枚以上で積層することで、芯体補強層2を得ることができる。さらに、この芯体補強層2の周囲にゴム層としての上面カバーゴム層3A、下面カバーゴム層3Bおよびサイドゴム層4A,4Bを配置し、例えば、130〜170℃で、常法に従い加硫を行って、各部材を加硫接着することにより、本発明のコンベヤベルトを得ることができる。
本発明において、ディップ済み帆布の片面または両面に被覆する接着ゴムとしては、特に制限はされず、通常その用途に用いられるもののうちから適宜選択して用いることができる。具体的には例えば、以下のようなゴム組成物からなる接着ゴムが好適である。
(接着ゴム用ゴム組成物)
接着ゴム用ゴム組成物は、ゴム成分として、ジエン系ゴムを含有することが好ましい。ジエン系ゴムは、加硫により高い弾性や高い耐熱性等の性能を呈し得る。このようなジエン系ゴムとしては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)等の塩素系ジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
接着ゴム用ゴム組成物は、ゴム成分として、ジエン系ゴムを含有することが好ましい。ジエン系ゴムは、加硫により高い弾性や高い耐熱性等の性能を呈し得る。このようなジエン系ゴムとしては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)等の塩素系ジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
特に、接着ゴム用ゴム組成物は、帆布との接着性をより向上させる観点から、ジエン系ゴムとして、天然ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレン−ブタジエンゴムのうちの少なくともいずれか1種を含有することが好ましく、天然ゴムおよび/またはスチレン−ブタジエンゴムを含有することがより好ましい。
接着ゴム用ゴム組成物のゴム成分におけるジエン系ゴムの割合としては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができ、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。ゴム成分におけるジエン系ゴムの割合が80質量%以上であることにより、得られるゴム組成物と帆布との接着性が高くなり、当該ゴム組成物からなる接着ゴム層と帆布とからなる芯体補強層2を用いたコンベヤベルトの耐久性を向上させることができる。
なお、ジエン系ゴムとして天然ゴムおよびスチレン−ブタジエンゴムを併用する場合、天然ゴムおよびスチレン−ブタジエンゴムの総含有量に対する天然ゴムの含有量の割合は、20質量%以上が好ましく、また、60質量%以下が好ましい。上記天然ゴムの含有量の割合が20質量%以上であることにより、コンベヤベルトの機械的強度を向上させることができ、一方、60質量%以下であることにより、コンベヤベルトの耐摩耗性を向上させることができるとともに、膜厚均一性をより向上させることができる。同様の観点から、天然ゴムおよびスチレン−ブタジエンゴムの総含有量に対する天然ゴムの含有量の割合は、30質量%以上がより好ましく、また、50質量%以下がより好ましい。
また、ジエン系ゴムとして天然ゴムおよびスチレン−ブタジエンゴムを併用する場合、天然ゴムおよびスチレン−ブタジエンゴムの総含有量に対するスチレン−ブタジエンゴムの含有量の割合は、40質量%以上が好ましく、また、80質量%以下が好ましい。上記スチレン−ブタジエンゴムの含有量の割合が40質量%以上であることにより、コンベヤベルトの耐老化性を向上させることができ、一方、80質量%以下であることにより、コンベヤベルトの耐屈曲亀裂性を向上させることができる。同様の観点から、天然ゴムおよびスチレン−ブタジエンゴムの総含有量に対するスチレン−ブタジエンゴムの含有量の割合は、50質量%以上がより好ましく、また、70質量%以下がより好ましい。
なお、接着ゴム用ゴム組成物は、ジエン系ゴムの他、ゴム成分として非ジエン系ゴム(ジエン系ゴム以外のゴム成分)を含有していてもよく、特に制限されることなく、ゴム製品に一般に用いられる非ジエン系ゴムを用いることができる。また、接着ゴム用ゴム組成物には、ジエン系ゴムおよび任意に非ジエン系ゴムを含む再生ゴムを用いることもできる。接着ゴム用ゴム組成物に再生ゴムを用いる場合、その配合量としては、コンベヤベルトの品質を十分に確保する観点から、再生ゴム中のポリマー成分が、配合するポリマー総量に対して20質量%以下であることが好ましい。
接着ゴム用ゴム組成物には、上述のゴム成分の他、ゴム業界で通常使用される配合剤として、例えば、カーボンブラックや炭酸カルシウム、シリカ、塩素化パラフィン、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤、酸化亜鉛(亜鉛華)などの加硫促進助剤、軟化剤、老化防止剤、スコーチ防止材、加工助剤、潤滑剤、充填剤、充填剤改質剤、粘着付与剤、着色剤などを、目的に応じて適宜用いることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
下記の表中に示す繊維コードからなる経糸および緯糸を用いた帆布にRFL系接着剤をディップ塗布して熱処理を施すことにより、幅1.5mのディップ済み帆布を作製した。このディップ済み帆布を巻出装置から巻出し、搬送ロールを介して搬送して、その両面を下記の表中に示す接着ゴムにより各0.4±0.1mm被覆して接着ゴム層を形成するトリートメント工程を行い、ゴム被覆帆布を得た。
下記の表中に示す繊維コードからなる経糸および緯糸を用いた帆布にRFL系接着剤をディップ塗布して熱処理を施すことにより、幅1.5mのディップ済み帆布を作製した。このディップ済み帆布を巻出装置から巻出し、搬送ロールを介して搬送して、その両面を下記の表中に示す接着ゴムにより各0.4±0.1mm被覆して接着ゴム層を形成するトリートメント工程を行い、ゴム被覆帆布を得た。
(トリートメント工程におけるシワの発生の有無)
上記トリートメント工程において、搬送ロールを介して搬送される際の各実施例および比較例のディップ済み帆布におけるシワの発生の有無を、目視により確認した。シワの発生がない場合を良、シワが発生した場合を不良とした。
シワが発生しなかった場合のみ、以下の端部破断強力/センター部破断強力の評価、および、屈曲疲労試験前後の破断強力の評価を行った。
上記トリートメント工程において、搬送ロールを介して搬送される際の各実施例および比較例のディップ済み帆布におけるシワの発生の有無を、目視により確認した。シワの発生がない場合を良、シワが発生した場合を不良とした。
シワが発生しなかった場合のみ、以下の端部破断強力/センター部破断強力の評価、および、屈曲疲労試験前後の破断強力の評価を行った。
(端部破断強力/センター部破断強力の評価)
本実施例では、ゴム被覆帆布において測定した破断強力の値を用いて評価を行った。端部破断強力は帆布の両端から各10cmの位置で切り出したサンプルを使用し、センター部破断強力は、幅方向中央位置で切り出したサンプルを使用した。各破断強力測定用サンプルのサイズは、経糸方向に30cm、緯糸方向に5cmとし、測定はJIS L 1096 A法に準拠して実施した。端部破断強力は、帆布両端から各10cmの位置のサンプルで測定した値のうち、センター部破断強力との差が大きい方の値を使用した。
本実施例では、ゴム被覆帆布において測定した破断強力の値を用いて評価を行った。端部破断強力は帆布の両端から各10cmの位置で切り出したサンプルを使用し、センター部破断強力は、幅方向中央位置で切り出したサンプルを使用した。各破断強力測定用サンプルのサイズは、経糸方向に30cm、緯糸方向に5cmとし、測定はJIS L 1096 A法に準拠して実施した。端部破断強力は、帆布両端から各10cmの位置のサンプルで測定した値のうち、センター部破断強力との差が大きい方の値を使用した。
得られた値から((端部破断強力)/(センター部破断強力))×100として、比を算出した。この比が100に近いほど、幅方向におけるバラツキが少なく、良好であるといえ、95〜105の場合を〇、95より小さく80以上あるいは105より大きく120以下の場合を△、それ以外を×とした。
(屈曲疲労試験前後の破断強力の評価)
上記トリートメント工程で得られた端部位置のゴム被覆帆布を、ハンドローラを用いて同方向に3層積層し、[ゴム組成物層A−ディップ済み帆布−ゴム組成物層B−ディップ済み帆布−ゴム組成物層C−ディップ済み帆布−ゴム組成物層D]の構造の未加硫の芯体補強層サンプルを調製した。
ここで、上記のゴム組成物層A〜Dは、同種のゴム組成物から調製したものであり、ゴム組成物層Bおよびゴム組成物層Cは、それぞれ2層の接着ゴムが積層されたものである。
上記トリートメント工程で得られた端部位置のゴム被覆帆布を、ハンドローラを用いて同方向に3層積層し、[ゴム組成物層A−ディップ済み帆布−ゴム組成物層B−ディップ済み帆布−ゴム組成物層C−ディップ済み帆布−ゴム組成物層D]の構造の未加硫の芯体補強層サンプルを調製した。
ここで、上記のゴム組成物層A〜Dは、同種のゴム組成物から調製したものであり、ゴム組成物層Bおよびゴム組成物層Cは、それぞれ2層の接着ゴムが積層されたものである。
この未加硫の芯体補強層サンプルを、所定のモールド内で、3MPaの圧力負荷のもと、148℃で、tc(90)の1.5倍の時間だけ加硫し、室温下で一晩放置して、加硫済み芯体補強層サンプルを得た。ここで、tc(90)とは、8±1gの重量で切り出した塊状の未加硫の接着ゴム用ゴム組成物を用いて、加硫/硬化特性試験機(JSR株式会社製「CURELASTOMETER7」)により、JIS K6300−2およびISO6502に準拠して測定した155℃における90%加硫時間(tc(90))である。
上記加硫済み芯体補強層サンプルを、幅方向に25mm、長さ方向に400mmの大きさで切出し、高千穂精機株式会社製「高張力屈曲疲労試験機SER.2099」を使用して、初期張力を0.3kN、速度を60往復/分、プーリー径を150mmとし、20万往復の屈曲負荷を与えたものを屈曲疲労試験済サンプルとした。屈曲疲労試験に際しては、ゴム組成物層Dがプーリーに接触する側になるように配置した。
また、同様のサイズで切出し、屈曲疲労試験を行っていないものを屈曲疲労試験前サンプルとした。
また、同様のサイズで切出し、屈曲疲労試験を行っていないものを屈曲疲労試験前サンプルとした。
屈曲疲労試験前サンプルと屈曲疲労試験済サンプルについて、ゴム組成物層Cにナイフで30mmの切り込みを入れた後、切り込み部の片側を万力で作業台に固定し、もう一方の側を電動ウインチに固定した後、サンプルの長さ方向に剥離することで、[ゴム組成物層Cの一部−ディップ済み帆布−ゴム組成物層D]のサンプルを得た。
このサンプルに対して破断強力の測定を行い、((屈曲疲労試験済サンプルの破断強力)/(屈曲疲労試験前サンプルの破断強力))×100として、比を算出した。この比が大きいほど、屈曲疲労試験における破断強力の低下が少なく、耐屈曲疲労性が良好であるといえ、85より大きい場合を〇、85〜65の場合を△、65より小さい場合を×とした。
これらの結果を下記の表中に示す。
ゴム組成物B:天然ゴム40質量部と、スチレン−ブタジエンゴム60質量部と、炭酸カルシウム(日東粉化工業株式会社製「NS#100」、平均一次粒子径:2.1μm)82質量部と、カーボンブラック(東海カーボン株式会社製「シーストV」)30質量部と、さらに、常法に従い選択された量の加工助剤、潤滑剤、硫黄、加硫促進剤および酸化亜鉛を加えて、バンバリーミキサーを用い、未加硫のゴム組成物を調製した。
上記表中に示すように、本発明によれば、ディップ済み帆布における幅方向での引張物性のバラツキやシワの発生を抑制して、安定した性能を有するコンベヤベルトを実現できることが確かめられた。また、式(II)を満足するものとすることで、さらに、コンベヤベルトの耐屈曲疲労性能も向上できることがわかった。
1 帆布
1L 経糸
1W 緯糸
2 芯体補強層
3A 上面カバーゴム層
3B 下面カバーゴム層
4A,4B サイドゴム層
10 コンベヤベルト
1L 経糸
1W 緯糸
2 芯体補強層
3A 上面カバーゴム層
3B 下面カバーゴム層
4A,4B サイドゴム層
10 コンベヤベルト
Claims (3)
- 1枚以上の帆布を含む芯体補強層と、ゴム層と、からなるコンベヤベルトにおいて、
前記帆布を構成する経糸および緯糸が繊維コードからなり、該経糸の、繊度をDL(dtex)、比重をρL(−)、撚り本数をnL(本)、単位長さあたりの打込み本数をNL(本/5cm)とし、該緯糸の、繊度をDW(dtex)、比重をρW(−)、撚り本数をnW(本)、単位長さあたりの打込み本数をNW(本/5cm)としたとき、下記式(I)、
[√{(DL/ρL)×nL}×NL]/[√{(DW/ρW)×nW}×NW]≦2.5 (I)
で示される関係を満足することを特徴とするコンベヤベルト。 - 下記式(II)、
2.1≦[√{(DL/ρL)×nL}×NL]/[√{(DW/ρW)×nW}×NW]≦2.5 (II)
で示される関係を満足する請求項1記載のコンベヤベルト。 - 前記経糸および緯糸が、合成繊維コードからなる請求項1または2記載のコンベヤベルト。
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