[実施形態]
以下、本発明の一実施形態に係る駐車場システム1を説明する。図1は、駐車場システム1が設置された駐車場Pを模式的に示した平面図である。駐車場Pの入口付近には、駐車券の発券処理を行う発券装置11と、発券装置11の制御下で車両の入場を規制するためのバーの昇降を行うゲート装置12と、駐車場Pに入場する車両の車種を特定する車種特定装置13と、入場する車両を前方から撮影するカメラ19と、入場する車両を後方から撮影するカメラ20が配置されている。
駐車場Pの出口付近には、駐車料金の精算処理を行う精算装置14と、精算装置14の制御下で車両の出場を規制するためのバーの昇降を行うゲート装置15が配置されている。なお、駐車場Pが、ゲート装置12とゲート装置15を備えないゲートレス式の駐車場であってもよい。
駐車場Pには、例えば床面にペンキ等により描かれた境界線により区分された複数の車室が含まれる。図1においては、駐車場Pに含まれる2つの車室、すなわち車室R1と車室R2が例示されている。なお、駐車場Pに含まれる車室の数は1以上のいずれの数であってもよい。以下、駐車場Pが備える複数の車室の各々を区別しない場合、車室Rという。
車室Rの各々には、非接触給電方式に従い送電を行う送電器16と、車室Rに進入してくる車両を当該車両が備える受電器が送電器16から効率的に受電できるような位置(以下、「受電位置」という)へと誘導する誘導装置17と、車室Rに接近してきた車両の車種に応じた受電位置に車両を誘導するように誘導装置17に対し動作を指示する指示装置18が配置されている。なお、送電器16はその上面が駐車場Pの地面と同じ高さとなるように設置されている。
車室R1に配置されている送電器16と、車室R2に配置されている送電器16は、車室Rにおけるそれらの位置が異なっている。車室R1においては送電器16が車室Rの概ね中央付近に配置されており、車両の前後方向における概ね中央位置に受電器が配置されている車両に対する給電が可能である。一方、車室R2においては送電器16が車室Rの中央より奥側(図1の下側)に配置されており、車両の前方位置に受電器が配置されている車両が前向き駐車をした場合と、車両の後方位置に受電器が配置されている車両が後向き駐車をした場合に、それらの車両に対する給電が可能である。
車種特定装置13はカメラ19及びカメラ20から駐車場Pに入場する車両を撮影した画像を取得し、取得した画像から特定した車両の車種に応じた給電可能な車室Rを車両の運転者に視覚的に案内するためのディスプレイと、給電可能な車室Rを車両の運転者に聴覚的に案内するためのスピーカと、各種制御を行う制御ユニット(例えば、通信機能を備えるコンピュータ)を備えている。
図2は、車種特定装置13の機能構成を示した図である。記憶部130は、各種データを記憶する。記憶部130が記憶するデータには、車種テーブルと車室テーブルが含まれる。車種テーブルは駐車場Pに入場してきた車両の受電器の位置を特定するために用いられるデータを格納するテーブルであり、車室テーブルは駐車場Pに入場してきた車両に給電可能な車室Rを特定するために用いられるデータを格納するテーブルである。
図3は、車種テーブルのデータ構成を例示した図である。車種テーブルは様々な車種の各々に応じたレコードを含み、各レコードには、車種を識別する車種名を示す車種名データ、その車種の車両の特徴を示す特徴データ、その車種の車両における受電器の位置を示す受電器位置データ、その車種の車両の左右の車輪の内側面間の距離を示す車輪間距離データが格納されている。車両の特徴とは、車両の車種を特定するための特徴であり、本実施形態においては、例として、車両全体の形状(車両形状)と、車両に付けられているエンブレムや型名を示す文字等のマークの形状(マーク形状)の特徴が用いられるものとする。車種テーブルにおいて、受電器を備えない車両の車種に関するレコードには受電器位置データ及び車輪間距離データは格納されない。従って、受電器位置データ及び車輪間距離データが格納されているか否かによって、そのレコードに応じた車種の車両が受電器を備えるか否かが分かる。
図4は、車室テーブルのデータ構成を例示した図である。車室テーブルは駐車場Pに含まれる複数の車室Rの各々に応じたレコードを含み、各レコードには、車室Rを識別する車室番号を示す車室番号データ、車室Rに配置されている送電器16の位置が中央付近と奥側のいずれであるかを示す送電器位置データ、車室Rに現在駐車されている車両の車番を示す駐車中車番データが格納されている。車室テーブルにおいて、現在空いている車室Rに関するレコードには駐車中車番データは格納されない。従って、駐車中車番データが格納されているか否かによって、そのレコードに応じた車室Rが空車であるか否かが分かる。
画像取得部131(図2参照)は、カメラ19及びカメラ20から車両を撮影した画像を取得する。画像認識部132は、画像取得部131が取得した画像から車両の特徴を認識する。また、画像認識部132は、画像取得部131が取得した画像から車番を認識する。車種特定部133は、画像認識部132が認識した車両の特徴と、車種テーブル(図3)に格納されている特徴データが示す特徴とのマッチングを行って、駐車場Pに入場してきた車両の車種を特定する。
車室・駐車方向決定部134は、車種テーブル(図3)のレコードのうち車種特定部133が特定した車種に応じたレコードの受電器位置データと車室テーブル(図4)に格納されているデータに基づき、駐車場Pに入場してきた車両に給電可能な車室Rと、その車両が給電を受けるための駐車方向(前向き駐車と後向き駐車のいずれか)を特定する。
通信部135は、画像認識部132が認識した車両の車番と、車種特定部133が特定した車種の車両の受電器の位置及び車輪間の距離、車室・駐車方向決定部134が特定した給電可能な車室Rの番号及び駐車方向とを示す入場車両データを、指示装置18の各々に送信する。
また、通信部135は、車両が駐車された車室Rに応じた指示装置18から、駐車が開始されたことを示す駐車開始データを受信する。駐車開始データには、車室Rの車室番号と駐車が開始された車両の車番とを示すデータが含まれている。また、通信部135は、駐車されていた車両が退室した車室Rに応じた指示装置18から、駐車が終了されたことを示す駐車終了データを受信する。駐車終了データには、車室Rの車室番号を示すデータが含まれている。車室・駐車方向決定部134は、通信部135がいずれかの指示装置18から受信した駐車開始データ及び駐車終了データに応じて、車室テーブル(図4)を更新する。
通知部136は、車両の運転者に対し車両への給電が可能な車室Rの番号と駐車方向を画像(文字等)及び音によって通知する。以下に、通知部136が行う通知の例を示す。
(車両が二次電池式電気自動車であり、給電可能な空車室がある場合)「給電可能な車室は1番、3番です。給電する場合は前向き駐車をして下さい。」
(車両が二次電池式電気自動車であり、給電可能な空車室がない場合)「給電可能な車室は満車です。」
なお、駐車場Pに入場した車両が二次電池式電気自動車でない場合、通知部136は何も通知を行わない。
指示装置18は、車室Rに接近する車両を撮影するカメラと、カメラにより撮影した画像から特定した車番の車両に対する給電の可否、給電可能な進行方向、車室Rにおける左右位置が大きくずれて受電位置への車両の誘導が不可能と判定した場合における駐車のやり直しの促し等を車両の運転者に対し視覚的に案内するためのディスプレイと、それらを車両の運転者に対し聴覚的に案内するためのスピーカと、各種制御を行う制御ユニット(例えば、通信機能を備えるコンピュータ)を備えている。
図5は、指示装置18の機能構成を示した図である。画像取得部181は、カメラによって撮影した、車室Rに入室してきた車両の画像を取得する。画像認識部182は、画像取得部131が取得した画像から車番を認識する。また、画像認識部182は、画像取得部131が取得した画像から車両及び車両の構成部の各々(車輪を含む)を認識する。車輪位置・サイズ特定部183は、画像認識部182が認識した車輪の位置(車室Rにおける左右方向における位置と、車両の左右方向における位置)とサイズを特定する。
誘導可否判定部184は、車輪位置・サイズ特定部183が特定した車室Rにおける左右方向における位置に基づき、指示装置18が車両を受電位置まで導くことが可能か否かを判定する。進行方向特定部185は、画像認識部182が認識した車両の形状や構成部の形状等に基づき、車室Rに入室してくる車両の進行方向、すなわち、車両が前進しながら車室Rに入室してきているか、それとも後進しながら車室Rに入室してきているかを判定する。
通信部186は、車種特定装置13から、駐車場Pに入場した車両の車番と、その車両の受電器の位置及び車輪間の距離と、その車両に給電可能な車室Rの番号及び駐車方向とを示す入場車両データを受信する。また、通信部186は、画像認識部182が認識した車両が車室R内で停車した場合、駐車が開始されたことを示す駐車開始データを車種特定装置13に送信する。また、通信部186は、画像認識部182が認識していた車両が車室Rから退室した場合、駐車が終了されたことを示す駐車終了データを車種特定装置13に送信する。
給電可否判定部187は、画像認識部182が認識した車番と、通信部186が車種特定装置13から受信した入場車両データが示す車番とに基づき、車室Rに入室してきた車両に対する給電が可能か否かを判定する。
ガイド移動指示部188は、画像認識部182が認識した車番と、通信部186が車種特定装置13から受信した入場車両データが示す車番と車両における受電器の位置及び車輪間の距離と、車輪位置・サイズ特定部183により特定された車輪の位置及び大きさに基づき、車室Rに入室してきた車両を受電位置へ誘導するように、誘導装置17に対し車輪誘導部172A(後述)及び車輪誘導部172B(後述)の移動を指示する。
通知部189は、車室Rに入室してきた車両の運転者に対し、車両への給電が可能な車室Rの番号と駐車方向を画像(文字等)及び音によって通知する。また、通知部189は、車室Rに入室してきた車両の左右方向の位置が、受電位置へと指示装置18が誘導可能な範囲から外れている場合、車両の運転者に対し駐車のやり直しを促す案内を画像(文字等)及び音によって通知する。以下に、通知部136が行う通知の例を示す。
(自装置に応じた車室Rで給電不可能な車両が入室してきた場合)「給電可能な車室は1番、3番です。この車室では給電できません。」
(自装置に応じた車室Rで給電可能な車両が入室してきた場合)「給電可能です。給電する場合は前向き駐車をして下さい。」
(車両の左右方向における位置が誘導可能な範囲から外れている場合)「いったん車両を車室から出して駐車し直して下さい。」
(車両の進行方向が給電可能な駐車方向に応じた進行方向でない場合)「給電する場合は前向き駐車をして下さい。後向き駐車では給電できません。」
なお、車室Rに接近してきた車両が二次電池式電気自動車でない場合、通知部189は何も通知を行わない。
図6は、誘導装置17の構成を説明するための図である。誘導装置17は、ベースユニット171と、ベースユニット171に取り付けられている車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bを備える。車輪誘導部172Aは、図1においてベースユニット171の左側に取り付けられており、車輪誘導部172Bは、図1においてベースユニット171の右側に取り付けられている。
ベースユニット171は、車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bの各々を個別に、左右方向(矢印X1及びX2で示される方向)及び前後方向(矢印Y1及びY2で示される方向)に移動する機構を備えている。ベースユニット171が車輪誘導部172Aを移動する機構は、例えば、車輪誘導部172Aを左右方向に移動するためのボールネジと、車輪誘導部172Aを前後方向に移動させるためのボールネジと、これらのボールネジを回転するモータとを備える。また、ベースユニット171が車輪誘導部172Bを移動する機構は、例えば、車輪誘導部172Bを左右方向に移動するためのボールネジと、車輪誘導部172Bを前後方向に移動させるためのボールネジと、これらのボールネジを回転するモータとを備える。なお、ベースユニット171が車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bを移動する機構は、ボールネジを用いたものに限られず、例えば、チェーンやギアにより車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bを移動する機構が採用されてもよい。
車室Rに車両が駐車されていない間は、車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bは所定の待機位置で待機している。車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bの待機位置は、どの車種の車両が入室してきても邪魔になりにくい位置が望ましい。例えば、車輪誘導部172Aの待機位置は、X1方向における移動可能な範囲の最も右側、Y1方向における移動可能な範囲の最も奥側の位置である。また、例えば、車輪誘導部172Bの待機位置は、X2方向における移動可能な範囲の最も左側、Y2方向における移動可能な範囲の最も奥側の位置である。
車輪誘導部172Aは、車室Rに駐車される車両の前後方向における位置を定める車輪止め1721Aと、その車両の車輪の左右方向における位置を目的位置へと誘導するガイドバー1722Aを備える。ガイドバー1722Aは車輪止め1721Aの図1における右側端部から車室Rの手前方向(図1における上方向)に向かい右方向に湾曲しながら延伸している。
車輪誘導部172Bは、車室Rに駐車される車両の前後方向における位置を定める車輪止め1721Bと、その車両の車輪の左右方向における位置を目的位置へと誘導するガイドバー1722Bを備える。ガイドバー1722Bは車輪止め1721Bの図1における左側端部から車室Rの手前方向(図1における上方向)に向かい左方向に湾曲しながら延伸している。
以下に、車両Cが駐車場Pに駐車される場合を例に、上記の構成を備える駐車場システム1の動作を説明する。図7は、車両Cが駐車場Pに入場する際に、駐車場システム1の車種特定装置13が行う処理の流れを示した図である。車両Cが駐車場Pの入口に接近すると、車種特定装置13は、空車の車室Rがあるか否かを判定する(ステップS001)。空車の車室Rがないと判定した場合(ステップS001;No)、車種特定装置13は画像及び音により、車両Cの運転者に対し満車である旨の通知を行う(ステップS002)。
続いて、車種特定装置13は、継続的にカメラ19及びカメラ20から車両Cを撮影した画像を取得し、取得した画像から車両Cを認識して、車両Cが駐車場Pの入口から立ち去ったか否かを判定する(ステップS003)。車両Cが駐車場Pの入口から立ち去ったと判定した場合(ステップS003;Yes)、車種特定装置13は処理を終了する。一方、車両Cが駐車場Pの入口から立ち去らずそこに留まっていると判定した場合(ステップS003;No)、車種特定装置13はステップS001以降の処理を繰り返す。
ステップS001において、空車の車室Rがあると判定した場合(ステップS001;Yes)、車種特定装置13は車両Cを撮影した画像をカメラ19及びカメラ20から取得し、取得した画像から車両Cの車種及び車番を特定する(ステップS101)。続いて、車種特定装置13は、特定した車種から、車両Cに受電器があるか否かを判定する(ステップS102)。車両Cに受電器がないと判定した場合(ステップS102;No)、車種特定装置13は処理を後述のステップS107に移す。
車両Cに受電器があると判定した場合(ステップS102;Yes)、車種特定装置13は車両Cの車種から特定される受電器の位置に基づき、車両Cに給電可能な空車の車室Rと、車両Cが給電を受けるための駐車方向を特定する(ステップS103)。続いて、車種特定装置13は、車両Cに給電可能な空車の車室Rがあるか否かを判定する(ステップS104)。
車両Cに給電可能な空車の車室Rがないと判定した場合(ステップS104;No)、車種特定装置13は画像及び音により、車両Cの運転者に対し給電可能な車室がない旨の通知を行う(ステップS105)。その後、車種特定装置13は処理を後述のステップS107に移す。
一方、車両Cに給電可能な空車の車室Rが1以上あると判定した場合(ステップS104;Yes)、車種特定装置13は画像及び音により、車両Cの運転者に対し給電可能な車室の番号と駐車方向の通知を行う(ステップS106)。
車両Cの運転者が車種特定装置13からの通知の内容を踏まえて駐車場Pへ入場するために発券装置11に対し駐車券の発券操作を行うと、発券装置11から駐車券の発券が行われるとともに、ゲート装置12がバーを上昇する。この場合、車両Cは駐車場Pに入場することになる。一方、車両Cの運転者が車種特定装置13からの通知の内容を踏まえて、例えば給電可能な空車の車室がない等の理由により駐車場Pへの入場を断念した場合、車両Cは駐車場Pから立ち去ることになる。また、車両Cの運転者が車種特定装置13からの通知の内容を踏まえて、例えば満車であるがいずれかの車室が空車になるまで待つと決めた場合、車両Cは駐車場Pの入口で留まることになる。
車種特定装置13は、継続的にカメラ19及びカメラ20から車両Cを撮影した画像を取得し、取得した画像から車両Cを認識して、車両Cが駐車場Pの入口から立ち去ったか、駐車場Pの入口で留まっているか、それとも、車両Cが駐車場Pに入場したか、を判定する(ステップS107)。車両Cが駐車場Pの入口から立ち去ったと判定した場合(ステップS107;1)、車種特定装置13は処理を終了する。車両Cが駐車場Pの入口で留まっていると判定した場合(ステップS107;2)、車種特定装置13はステップS001以降の処理を繰り返す。
車両Cが駐車場Pに入場したと判定した場合(ステップS107;3)、車種特定装置13は車両Cに関する入場車両データを生成し、生成した入場車両データを各車室Rの指示装置18に送信する(ステップS108)。その後、車種特定装置13は処理を終了する。なお、入場車両データは、車両Cの車番と、車両Cの受電器の位置及び車輪間の距離と、車両Cに給電可能な車室Rの番号及び駐車方向とを示す。以上が、車両Cが駐車場Pに入場する際に、車種特定装置13が行う処理の流れである。
図8は、ステップS108において車種特定装置13から送信された入場車両データを受信した際に、各車室Rの指示装置18が行う処理の流れを示した図である。各車室Rの指示装置18は、車種特定装置13から入場車両データを受信すると、受信した入場車両データに基づき、自装置に応じた車室Rにおいて車両Cに対し給電が可能か否かを判定する(ステップS201)。具体的には、指示装置18は、入場車両データが示す車室Rの番号に自装置に応じた車室Rの番号が含まれていれば、自装置に応じた車室Rにおいて車両Cに対する給電が可能と判定し、含まれていなければ、給電が不可と判定する。
指示装置18は、自装置に応じた車室Rにおいて車両Cに対する給電が不可と判定した場合(ステップS201;No)、処理を終了する。一方、自装置に応じた車室Rにおいて車両Cに対する給電が可能と判定した場合(ステップS201;Yes)、指示装置18は入場車両データが示す車両Cの受電器の位置及び車輪間の距離に基づき、車両Cを受電位置に誘導するための車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bの位置を特定する(ステップS202)。
続いて、指示装置18は、自装置に応じた車室Rに設置されている誘導装置17に対し、ステップS202で特定した位置へ車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bを移動するように指示する(ステップS203)。誘導装置17は、ステップS203において指示装置18から指示を受けると、車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bを指示された位置に移動する。このように、本実施形態では、車両Cが車室Rに到着する前に、車両Cを受電位置へ誘導するための車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bの移動が開始するため、車両Cが車室Rに到着した後にそれらの移動が開始する場合と比較し、車両Cが車室Rに入室する際、車両Cの運転者が車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bの移動が完了するまで待つ時間が短くなり望ましい。
ステップS203の後、指示装置18は継続的に所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS204)。所定時間が経過したと判定した場合(ステップS204;Yes)、指示装置18は、自装置に応じた車室Rに設置されている誘導装置17に対し、車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bを待機位置へ移動するように指示する(ステップS205)。誘導装置17は、指示装置18からの指示に従い、車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bを待機位置に移動する。
ステップS205の処理は、車両Cが駐車場Pに入場した後、所定時間が経過しても車室Rに車両Cが入室してこなかった場合に実行される。車両Cが駐車場Pに入場した後、所定時間が経過する前に車室Rに車両Cが入室してきた場合には、指示装置18はステップS205の処理を行わず、以下に図9A及び図9Bを用いて説明する一連の処理を行う。
運転者は、車両Cへ給電を行いたい場合、車種特定装置13から通知されたいずれかの番号の車室Rに向かい車両Cを運転し、その車室Rに対し、車種特定装置13から通知された駐車方向で車両Cを進入させる。図9A及び図9Bは、車両が車室Rに進入してきた際に、その車室Rに応じた指示装置18が行う処理の流れを示した図である。
指示装置18は、継続的にカメラで撮影している画像から車両が車室Rに進入してきたことを検知すると、それらの画像から車室Rに進入してきた車両の車番を特定する(ステップS301)。続いて、指示装置18は、車室Rに進入してきた車両の車番が、上述のステップS108(図7)において車種特定装置13から受信した入場車両データが示す車両Cの車番と一致するか否かを判定する(ステップS302)。
車室Rに進入してきた車両の車番が、入場車両データが示す車番と一致しないと判定した場合(ステップS302;No)、指示装置18は車両の運転者に対し画像及び音により、車両への給電ができない旨と、給電可能な車室Rの番号の通知を行う(ステップS303)。その後、指示装置18は処理を終了する。
一方、車室Rに進入してきた車両の車番が、入場車両データが示す車番と一致すると判定した場合(ステップS302;Yes)、指示装置18は自装置に応じた車室Rの番号が、入場車両データが示す車両Cに給電可能な車室Rの番号のいずれかと一致するか否かを判定する(ステップS304)。
指示装置18は、自装置に応じた車室Rの番号が、入場車両データが示す車両Cに給電可能な車室Rの番号のいずれかと一致しないと判定した場合(ステップS304;No)、車両の運転者に対し画像及び音により、車両への給電ができない旨と、給電可能な車室Rの番号の通知を行う(ステップS303)。その後、指示装置18は処理を終了する。
一方、指示装置18は、自装置に応じた車室Rの番号が、入場車両データが示す車両Cに給電可能な車室Rの番号のいずれかと一致すると判定した場合(ステップS304;Yes)、車両の運転者に対し画像及び音により、車両への給電が可能である旨と、入場車両データが示す駐車方向を通知する(ステップS305)。続いて、指示装置18は、カメラで撮影した画像から、車両Cの進行方向が給電可能な駐車方向に応じた進行方向であるか否かを判定する(ステップS306)。車両Cの進行方向が給電可能な駐車方向に応じた進行方向でないと判定した場合(ステップS306;No)、指示装置18は運転者に対し画像及び音により、駐車方向の変更を促す案内を通知する(ステップS307)。ステップS307の処理は、車両Cの進行方向が給電可能な駐車方向に応じた進行方向となるまで繰り返される。車両Cの運転者は、通知された駐車方向と異なる方向で車両を車室Rに進入させていた場合、車両Cをいったん車室Rから出して、指定された駐車方向で車両Cを再度、車室Rに進入させる。
車両Cの進行方向が給電可能な駐車方向に応じた進行方向であると判定した場合(ステップS306;Yes)、指示装置18は続いて、カメラで撮影した画像から、車室Rへ進入してくる車両Cの車輪の位置及び大きさを特定し(ステップS308)、特定した車輪の位置及び大きさに基づき、車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bの位置の調整の要否を判定する(ステップS309)。例えば、指示装置18は、車両Cの画像から認識した車輪の位置及び大きさに基づき実際の車両Cの車輪間の距離を特定し、特定した実際の車両Cの車輪間の距離が、入場車両データが示す車輪間の距離から所定量以上、乖離している場合、車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bの位置の調整が必要と判定する。指示装置18は、車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bの位置の調整が必要と判定した場合(ステップS309;Yes)、入場車両データが示す車輪間の距離から実際の車両Cの車輪間の距離が乖離している量に基づき、車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bの位置をどちらの方向にどれだけ調整すべきかを特定し、誘導装置17に対し車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bの位置の調整を指示する(ステップS310)。この指示に従い、誘導装置17は車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bを移動する。
指示装置18は、車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bの位置の調整が不要と判定した場合(ステップS309;No)、又はステップS310の処理を終了した場合、続いて、継続的にカメラで撮影している画像から、車室Rへと進入してくる車両Cの左右方向における位置が、誘導装置17が車両Cを受電位置へと誘導可能な所定範囲内であるか否かを判定する(ステップS311)。指示装置18は、車両Cの左右方向における位置が、誘導装置17が車両Cを受電位置へと誘導可能な所定範囲から外れていると判定した場合(ステップS311;No)、運転者に対し画像及び音により、駐車のやり直しを促す案内を通知する(ステップS312)。ステップS312の処理は、車両Cの左右方向における位置が、誘導装置17が車両Cを受電位置へと誘導可能な所定範囲内となるまで繰り返される。
指示装置18は、車両Cの左右方向における位置が、誘導装置17が車両Cを受電位置へと誘導可能な所定範囲内であると判定した場合(ステップS311;Yes)、継続的にカメラで撮影している画像から、車両Cの駐車が開始されたか否かを判定する(ステップS313)。指示装置18は、例えば、前輪(前向き駐車の場合)又は後輪(後向き駐車の場合)が誘導装置17の車輪止め1721A及び車輪止め1721Bに接した状態が所定時間維持された場合、車両Cの駐車が開始されたと判定する。ステップS311とステップS313の処理は、車両Cの駐車が開始されるまで繰り返される。
指示装置18は、車両Cの駐車が開始されたと判定した場合(ステップS313;Yes)、駐車の開始を示す駐車開始データを車種特定装置13に送信する(ステップS314)。車種特定装置13は、駐車開始データを受信すると、受信した駐車開始データに基づき車室テーブル(図4)を更新する。続いて、指示装置18は、車両Cの運転者に対し画像及び音により、給電が可能である旨の案内を通知する(ステップS315)。その後、指示装置18は処理を終了する。
指示装置18の案内に応じて、運転者が、例えば車両Cの車載装置に対し受電開始を指示する操作を行うと、車両Cの受電器から、受電器に対向している送電器16に対し、送電の開始を要求するデータが送信される。そのデータに応じて、送電器16から受電器への非接触給電が開始される。その後、運転者は車両Cから降車してもよい。
その後、運転者は車両Cを車室Rから退室する際、送電器16から給電される電力により車両Cの二次電池への充電が完了しているか否かを、例えば車両Cの車載装置の表示により確認する。運転者は、充電が未完了の場合、車載装置に対し受電終了を指示する操作を行う。この操作に応じて、車両Cの受電器から送電器16に対し、送電の終了を要求するデータが送信される。そのデータに応じて、送電器16から受電器への非接触給電が終了される。
運転者は、充電が完了している場合、もしくは上記のように未完了の充電を途中終了するための操作を完了した場合、車両Cを車室Rから退室させることができる。図10は、車両Cが車室Rから退室する際に、指示装置18が行う処理の流れを示した図である。指示装置18は、継続的にカメラで撮影している画像から、車両Cが駐車を終了したか否かを判定する(ステップS401)。指示装置18は、例えば、車両Cが完全に車室Rから退出した場合、車両Cの駐車が終了されたと判定する。
指示装置18は、車両Cの駐車が終了されたと判定した場合(ステップS401;Yes)、駐車の終了を示す駐車終了データを車種特定装置13に送信する(ステップS402)。車種特定装置13は、駐車終了データを受信すると、受信した駐車終了データに基づき車室テーブル(図4)を更新する。
続いて、指示装置18は、誘導装置17に対し、車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bを待機位置へ移動するように指示する(ステップS403)。誘導装置17は、指示装置18からの指示に従い、車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bを待機位置に移動する。
その後、車両Cが駐車場Pから出場する際、精算装置14は駐車料金に給電料金を加算した料金の精算処理を行う。
上述した駐車場システム1によれば、車室Rに進入する車両が車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bにより最適な受電位置に誘導されて駐車される。その結果、送電器16から受電器への給電が効率的に行われる。その際、送電器16は移動しないため、電源から送電器16に給電を行う給電線が引きずられることはない。
[変形例]
上述の駐車場システム1は本発明の実施形態の一例であって、駐車場システム1に対しては様々な変形が可能である。以下にそれらの変形の例を示す。なお、以下に示す変形例の2以上が組み合わされてもよい。
(1)上述した駐車場システム1においては、車種特定装置13により入場する車両の車種の特定等が行われ、入場する車両に給電可能な車室Rに応じた指示装置18は、車種特定装置13から受信する入場車両データに応じて、車両が車室Rに到着する前に誘導装置17に車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bの移動を指示する。そのため、車両の運転者は速やかに車室Rに車両を進入させることができる。ただし、そのような利便性を得るために、駐車場システム1は各車室Rに設置された指示装置18に加え、車種特定装置13を備える必要がある。
一方、車両の車種を画像から特定する処理に要する時間や、特定した車種に応じた位置に車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bが移動するために要する時間が十分に短ければ、車両が車室Rに接近した後に車両の車種特定等の処理が行われてもよい。従って、指示装置18の各々が車種特定装置13の機能を備え、駐車場システム1が車種特定装置13を備えない構成が採用されてもよい。この変形例においては、指示装置18が撮影した画像から車両の車種の特定を行い、特定した車種の車両の受電器の位置に応じた受電位置を特定し、特定した受電位置へと車両を導くような位置に車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bを移動するように誘導装置17へ指示を行う。
(2)上述した駐車場システム1においては、各車室Rに設置される送電器16の前後方向の位置は、車室Rの概ね中央付近(図1、車室R1)と、車室Rの中央より奥側の位置のいずれかであるものとしている。これらの位置に加え、または車室Rの中央より奥側の位置に代えて、送電器16が車室Rの中央より手前側の位置に設置されている車室Rが設けられてもよい。図11は、車室の前後方向の中央より手前側の位置に送電器16が配置されている車室R3が設けられている駐車場Pを示した図である。この場合、車室R3においては、車両の前方位置に受電器が配置されている車両が後向き駐車をした場合と、車両の後方位置に受電器が配置されている車両が前向き駐車をした場合に、それらの車両に対する給電が可能である。
(3)上述した駐車場システム1においては、各車室Rに設置される送電器16の数は1つであるものとしている。これに代えて、各車室Rに設置される送電器16が2以上であってもよい。例えば、図12に示すように、車室Rの中央付近と奥側の2カ所に送電器16が配置されてもよい。この場合、車両における受電器の位置が前方、中央、後方のいずれであっても、受電器に対する給電が可能である。また、例えば、図13に示すように、車室Rの中央付近と奥側と手前側(図6における上側)の3カ所に送電器16が配置されてもよい。この場合、車両における受電器の位置によらず受電器に対する給電が可能であるとともに、車両の駐車方向が前向き駐車と後向き駐車のいずれであっても給電が可能である。
(4)上述した駐車場システム1において、車両の車種と車番は車両を撮影した画像に基づき特定される。車両の車種と車番を特定する方法はこれに限られない。例えば、車両にETC(Electronic Toll Collection System)の通信モジュールが搭載されている場合、車種特定装置13がETCの通信モジュールから送信されるデータを受信する通信インタフェースを備え、ETCの通信モジュールから受信したデータにより車番を特定してもよい。また、サーバ装置に様々な車両の車種と車番を示すデータが格納されている場合、車種特定装置13が車両を撮影した画像等から特定した車番を示すデータをサーバ装置に送信し、その応答としてサーバ装置から送信されてくる車種を示すデータを受信してもよい。また、車両内に車種を示すデータを送信可能な端末装置(車載装置や運転者が携帯する端末装置等)がある場合、車種特定装置13がその端末装置から送信されてくる車種を示すデータを受信してもよい。なお、車種特定装置13は、端末装置から送信されてくる車種を示すデータを、例えばBluetooth(登録商標)等の通信規格に従い端末装置から直接受信してもよいし、サーバ装置等の他の装置を介して間接的に受信してもよい。
(5)上述した駐車場システム1において、車両が駐車場Pに入場する際に車両の運転者に対し行われる通知は車種特定装置13から行われるものとしている。また、車両が車室Rに入退室する際に車両の運転者に対し行われる通知は指示装置18から行われるものとしている。車両の運転者に対し通知を行う装置はこれらに限られない。例えば、車両に搭載されている端末装置や運転者が携帯する端末装置等により運転者に対する通知が行われてもよい。この場合、例えば、車種特定装置13及び指示装置18は端末装置に通知の指示を行い、端末装置が車種特定装置13又は指示装置18からの指示に従い通知を行う。なお、車種特定装置13及び指示装置18は、車両内の端末装置に対する指示を、端末装置に対し直接送信してもよいし、サーバ装置等の他の装置を介して間接的に送信してもよい。
(6)上述した駐車場システム1においては、車室Rに進入してくる車両の左側の車輪がガイドバー1722Aに接触するか、右側の車輪がガイドバー1722Bに接触した場合、車輪の側面とガイドバー1722A又はガイドバー1722Bの側面との間に生じる摩擦力によって車輪がそれ以上、奥側に進めなくなる場合がある。その場合、指示装置18から運転者に対し、駐車のやり直しを促す通知が行われ、運転者は車両の駐車をやり直す必要がある。そのような不便が発生する確率を低減させるために、誘導装置17が、車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bの車輪に対向する側面に配置された、鉛直方向の軸周りに自在に回転する部材を有してもよい。また、そのような不便が発生する確率を低減させるために、誘導装置17が、車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bの下方に配置された、車輪誘導部172A又は車輪誘導部172Bに接触した車輪の底面に接触した場合に車両の左右方向に自在に移動する部材を有してもよい。
図14は、この変形例に係る誘導装置27の構成を模式的に示した平面図である。誘導装置27は、車室Rの左側に配置された誘導ユニット27Aと、車室Rの右側に配置された誘導ユニット27Bを備える。誘導ユニット27Aと誘導ユニット27Bの構成は同じであるため、以下、誘導ユニット27Aの構成を説明する。
図15は、誘導ユニット27Aの構成を説明するための図である。誘導ユニット27Aは、車室Rに対し左右方向に移動可能なベースユニット271と、ベースユニット271に取り付けられベースユニット271に対し前後方向に移動可能な車輪誘導部272を備える。
車輪誘導部272は、左右方向に延伸する車輪止め2721と、車輪止め2721の左端部から前方へ延伸するガイドバー2722Aと、車輪止め2721の右端部から前方へ延伸するガイドバー2722Bと、ガイドバー2722A及びガイドバー2722Bの互いに対向する側面に配置された複数のローラ2723と、ガイドバー2722A及びガイドバー2722Bの下方に配置されたプレート2724を備える。
ローラ2723の各々は鉛直方向の軸周りに自在に回転する部材である。車輪の側面がローラ2723に接触した場合、車輪の進行に伴いローラ2723が回転する。その結果、車輪誘導部272と車輪の間に生じる摩擦力が低減され、車輪が車輪誘導部272に接触した後に車室Rの奥側に進行できなくなる、という不都合が回避される。
プレート2724は、車両の左右方向に自在に移動する板状の部材である。車輪の側面がローラ2723に接触した場合、車輪の進行に伴い車輪はローラ2723から左右方向の反力を受ける。車輪がローラ2723から受けた反力はプレート2724に伝達される。すなわち、プレート2724は車輪から左右方向の力を受ける。プレート2724は、車輪から受けた力に応じて左右方向に移動する。その結果、車輪誘導部272と車輪の間に生じる摩擦力が低減され、車輪が車輪誘導部272に接触した後に車室Rの奥側に進行できなくなる、という不都合が回避される。
図16は、車輪誘導部272のX−X断面を模式的に示した図である。ガイドバー2722Aとガイドバー2722Bは、プレート2724の下方に配置された板状体であるベースプレート2720を介して互いに連結されている。プレート2724の左側及び右側にはスプリング2725が配置されている。そのため、プレート2724は左右方向に自在に移動可能であるとともに、プレート2724に加えられていた左右方向の力が解放されると、プレート2724はベースプレート2720の左右方向における概ね中央の定位置に戻る。
プレート2724の下面には複数のローラ2726が配置されている。ローラ2726は前後方向の軸周りに自在に回転する部材であり、ベースプレート2720の上でプレート2724が左右方向に自在に移動することを可能とする。また、ベースプレート2720の下面には複数のキャスタ2727が配置されている。キャスタ2727は、例えば球体と球体を前後左右のいずれの方向にも回転自在に保持するベアリングを備える。キャスタ2727は、車輪誘導部272が前後左右のいずれの方向にも自在に移動することを可能とする。
例えば、車輪Wがガイドバー2722Aの側面に配置されているいずれかのローラ2723に接触すると、ローラ2723が回転する。その際、車輪Wはローラ2723に対し左方向の力を加えるため、ローラ2723から右方向の反力を受ける。ローラ2723から右方向の反力を受けた車輪Wはプレート2724に対し右方向の力を加える。プレート2724は、車輪Wから受けた力により右方向に移動する。その結果、車輪Wが車輪誘導部272に接触しても、車輪Wと車輪誘導部272の間に生じる摩擦力により車両がそれ以上進行できなくなるという不都合は生じない。
(7)上述した実施形態において、車室Rに入室する際、車両は運転者により運転されるものとしている。そのため、指示装置18は、車両の運転者に対し、駐車方向を通知したり、車両の左右方向における位置が受電位置へと誘導可能な範囲から外れた場合に駐車のやり直しを促す通知を行ったりするものとしている。車両が自動運転機能を備える場合、指示装置18は、運転者に対する通知を行う代わりに、車両の自動運転を制御している車載装置に対し、受電位置まで車両を自動運転するように指示を行ってもよい。この場合、指示装置18からの指示に従い車載装置が車両の自動運転を制御することで、受電位置に車両が駐車される。
(8)上述した実施形態において、駐車場Pに入場した車両に給電可能な空車の車室Rが複数ある場合、運転者はそれらの車室Rのいずれに車両を駐車してもよいものとしている。これに代えて、駐車場Pに入場した車両に給電可能な空車の車室Rが複数ある場合、例えば車種特定装置13がそれらの車室Rのいずれか1つをその車両が駐車すべき車室Rとして選択し、選択した車室Rの番号を運転者に通知してもよい。この場合、選択された車室Rに応じた誘導装置17のみが車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bの移動を行えばよい。
(9)送電器16が自装置の故障を検知する故障検知部を備え、自装置の故障を検知した場合、車種特定装置13に故障の通知を行う構成が採用されてもよい。この場合、車室テーブルは図17に示すように「送電器故障」欄を有するように構成される。
図18A及び図18Bは、この変形例に係る駐車場システム1が実行する処理のシーケンスの概要を示した図である。各車室Rの送電器16は継続的に自装置が正常動作しているか否かを判定している(ステップA101)。送電器16は、自装置が正常動作していないと判定した場合(ステップA101;No)、自装置の故障を車種特定装置13に通知する(ステップA102)。
車種特定装置13は、いずれかの送電器16から故障の通知を受け取ると、車室テーブル(図17)のレコードのうち、通知の送信元の送電器16が配置されている車室Rに応じたレコードの「送電器故障」欄に、送電器16が故障中であることを示すデータ(以下、「1」とする)を格納する(ステップA103)。
車種特定装置13は、継続的に、カメラ19及びカメラ20により撮影された画像から駐車場Pの入口に車両が接近してきたか否かを判定している(ステップA111)。車種特定装置13は、車両が駐車場Pの入口に接近してきたと判定した場合(ステップA111;Yes)、図7のステップS001〜ステップS108を行う。ただし、この変形例においては、図7のステップS103において、車種特定装置13は車室テーブル(図17)を参照し、送電器16が故障中の車室Rを給電可能な車室から除外する(ステップA112)。その後、車種特定装置13は図7のステップS106において、車両の運転者に対し給電可能な車室Rの番号を通知する(ステップA113)。その際、運転者に対し通知される給電可能な車室の番号には、送電器16が故障している車室の番号は含まれない。
その後、図7のステップS107において、車種特定装置13は車両が駐車場Pに入場したか否かを判定する(ステップA114)。車両が駐車場Pに入場したと判定した場合(ステップA114;Yes)、車種特定装置13は図7のステップS108において入場車両データを各車室Rの指示装置18に送信する(ステップA115)。ここで、車種特定装置13から指示装置18に送信される入場車両データが示す給電可能な車室の番号には、送電器16が故障している車室の番号は含まれない。
各車室Rに応じた指示装置18は、車種特定装置13から入場車両データを受信すると、図8のステップS201〜ステップS205を行う。指示装置18は、図8のステップS201において、入場車両データに基づき、自装置に応じた車室Rにおいて、駐車場Pに入場した車両に対し給電が可能か否かを判定する(ステップA121)。給電が可能と判定した場合(ステップA121;Yes)、指示装置18は図8のステップS203において、自装置に応じた車室Rの誘導装置17に対し車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bの移動を指示する(ステップA122)。指示装置18から指示を受けた誘導装置17は、その指示に従い、車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bを、車両を受電位置に誘導する位置へと移動する(ステップA123)。
指示装置18は、図8のステップS201において、給電が不可であると判定した場合(ステップA121;No)、誘導装置17に対し車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bの移動を指示することはない。上述したように、送電器16が故障している車室Rの番号は、車種特定装置13から指示装置18に送信される入場車両データが示す給電可能な車室の番号に含まれない。従って、送電器16が故障している車室Rに応じた指示装置18は、誘導装置17に車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bの移動を指示することはない。そのため、送電器16が故障している車室Rの車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bが無駄に移動することはない。
各車室Rに応じた指示装置18は、継続的にカメラで撮影している画像から車両が車室Rに進入してきたか否かを判定している(ステップA131)。指示装置18は、車両が車室Rに進入してきたと判定した場合(ステップA131;Yes)、図9A及び図9BのステップS301〜ステップS315を行う。指示装置18は、図9AのステップS302及びS304において、入場車両データに基づき、車室Rに進入してきた車両に対し自装置に応じた車室Rにおいて給電が可能か否かを判定する(ステップA132)。
給電が可能と判定した場合(ステップA132;Yes)、指示装置18は図9AのステップS305において、車両の運転者に対し給電が可能である旨の通知を行う(ステップA133)。一方、給電が不可と判定した場合(ステップA132;No)、指示装置18は図9AのステップS303において、車両の運転者に対し給電が不可である旨の通知を行う(ステップA134)。この場合、送電器16が故障している車室Rに応じた指示装置18は、車両に対する給電が不可である旨の通知を行うことになる。
上記のように、この変形例によれば、車両が駐車場Pに入場する際や車室Rに進入する際に、車両の運転者に対し、送電器16の故障の状況が反映された給電可否に関する正しい情報が通知される。また、送電器16が故障している車室Rにおいて、車輪誘導部172Aと車輪誘導部172Bの無駄な移動が防止される。
(10)誘導装置17が自装置の故障を検知する故障検知部を備え、故障検知部が誘導装置17の故障を検知した場合、車種特定装置13に故障の通知を行う構成が採用されてもよい。この場合、車室テーブルは図19に示すように「誘導装置故障」欄を有するように構成される。
図20A、図20B及び図20Cは、この変形例に係る駐車場システム1が実行する処理のシーケンスの概要を示した図である。各車室Rの誘導装置17は継続的に自装置が正常動作しているか否かを判定している(ステップA201)。誘導装置17は、自装置が正常動作していないと判定した場合(ステップA201;No)、自装置の車輪誘導部172A及び車輪誘導部172B(以下、単に「車輪誘導部」という)の位置が待機位置であるか否かを特定する(ステップA202)。なお、車輪誘導部の位置が不明である場合、誘導装置17は車輪誘導部の位置が待機位置ではないとみなす。続いて、誘導装置17は、自装置の故障と、自装置の車輪誘導部の位置が待機位置であるか否かの判定結果を車種特定装置13に通知する(ステップA203)。
車種特定装置13は、いずれかの誘導装置17から通知を受け取ると、車室テーブル(図19)のレコードのうち、通知の送信元の誘導装置17が配置されている車室Rに応じたレコードの「誘導装置故障」欄に、通知の内容を示すデータを格納する(ステップA204)。「誘導装置故障」欄に格納されるデータは、誘導装置17が故障中であり車輪誘導部が待機位置であることを示すデータ(以下、「1」とする)と、誘導装置17が故障中であり車輪誘導部が待機位置でないことを示すデータ(以下、「2」とする)のいずれかである。
車種特定装置13は、継続的に、カメラ19及びカメラ20により撮影された画像から駐車場Pの入口に車両が接近してきたか否かを判定している(ステップA211)。車種特定装置13は、車両が駐車場Pの入口に接近してきたと判定した場合(ステップA211;Yes)、図7のステップS001〜ステップS108を行う。ただし、この変形例においては、図7のステップS103において、車種特定装置13は車室テーブル(図19)の「誘導装置故障」欄に、誘導装置17が故障中であり車輪誘導部が待機位置であることを示す「1」が格納されている車室Rを、給電可能な車室から除外する(ステップA212)。また、車種特定装置13は、車室テーブル(図19)の「誘導装置故障」欄に、誘導装置17が故障中であり車輪誘導部が待機位置でないことを示す「2」が格納されている車室Rを、駐車可能な車室から除外する(ステップA213)。誘導装置17が故障中であり車輪誘導部が待機位置でない車室を駐車可能な車室から除外する理由は、その車室へ車両が進入すると、待機位置でない車輪誘導部によって車両の車輪がロックされたり、損傷したりする危険があるためである。
その後、車種特定装置13は図7のステップS106において、車両の運転者に対し給電可能な車室の番号を通知する(ステップA214)。その際、運転者に対し通知される給電可能な車室の番号には、誘導装置17が故障している車室の番号は含まれない。また、ステップA214の通知において、車種特定装置13は車両の運転者に対し、誘導装置17が故障中であり車輪誘導部が待機位置でない車室の番号を、駐車不可の車室の番号として通知する。その際の通知は、例えば「給電可能な車室は3番です。給電する場合は前向き駐車をして下さい。1番の車室は装置の故障のため使用できません。」といったものとなる。
その後、図7のステップS107において、車種特定装置13は車両が駐車場Pに入場したか否かを判定する(ステップA215)。車両が駐車場Pに入場したと判定した場合(ステップA215;Yes)、車種特定装置13は図7のステップS108において入場車両データを各車室Rの指示装置18に送信する(ステップA216)。ここで、車種特定装置13から指示装置18に送信される入場車両データが示す給電可能な車室の番号には、誘導装置17が故障している車室の番号は含まれない。また、車種特定装置13から指示装置18に送信される入場車両データは、誘導装置17が故障中であり車輪誘導部が待機位置でない車室の番号を、駐車不可の車室の番号として示す。
各車室Rに応じた指示装置18は、車種特定装置13から入場車両データを受信すると、図8のステップS201〜ステップS205を行う。指示装置18は、図8のステップS201において、入場車両データに基づき、自装置に応じた車室Rにおいて、駐車場Pに入場した車両に対し給電が可能か否かを判定する(ステップA221)。
給電が可能と判定した場合(ステップA221;Yes)、指示装置18は図8のステップS203において、自装置に応じた車室Rの誘導装置17に対し車輪誘導部の移動を指示する(ステップA222)。指示装置18から指示を受けた誘導装置17は、その指示に従い、車輪誘導部を、車両を受電位置に誘導する位置へと移動する(ステップA223)。
指示装置18は、図8のステップS201において、給電が不可であると判定した場合(ステップA221;No)、誘導装置17に対し車輪誘導部の移動を指示することはない。上述したように、誘導装置17が故障している車室Rの番号は、車種特定装置13から指示装置18に送信される入場車両データが示す給電可能な車室の番号に含まれない。従って、誘導装置17が故障している車室Rに応じた指示装置18は、誘導装置17に車輪誘導部の移動を指示することはない。そのため、誘導装置17が故障している車室Rの車輪誘導部が無駄に移動することはない。
各車室Rに応じた指示装置18は、継続的にカメラで撮影している画像から車両が車室Rに進入してきたか否かを判定している(ステップA231)。指示装置18は、車両が車室Rに進入してきたと判定した場合(ステップA231;Yes)、入場車両データに基づき、自装置に応じた車室Rが駐車不可の車室であるか否かを判定する(ステップA232)。ステップA232において、指示装置18は、入場車両データが示す駐車不可の車室の番号に、自装置に応じた車室Rの番号が含まれていれば、自装置に応じた車室Rが駐車不可の車室であると判定し、含まれていなければ、自装置に応じた車室Rが駐車不可の車室ではないと判定する。
指示装置18は、自装置に応じた車室Rが駐車不可の車室であると判定した場合(ステップA232;Yes)、車両の運転者に対し駐車が不可である旨の通知を行う(ステップA233)。指示装置18は、継続的にカメラで撮影した画像から車両を認識して、車両が車室Rの付近から立ち去ったか否かを判定する(ステップA234)。車両が車室Rの付近から立ち去ったと判定した場合(ステップA234;Yes)、指示装置18は処理を終了する。一方、車両が車室Rの付近から立ち去らずそこに留まっていると判定した場合(ステップA234;No)、指示装置18はステップA233以降の処理を繰り返す。その結果、誘導装置17が故障し、車輪誘導部が待機位置でない車室Rに駐車をしようとしている車両の運転者に対しては、繰り返し、その車室Rへ駐車ができないことが通知される。
指示装置18は、ステップA232において、自装置に応じた車室Rが駐車不可の車室でないと判定した場合(ステップA232;No)、図9A及び図9BのステップS301〜ステップS315を行う。指示装置18は、図9AのステップS302において、入場車両データに基づき、車室Rに進入してきた車両に対し自装置に応じた車室Rにおいて給電が可能か否かを判定する(ステップA235)。
給電が可能と判定した場合(ステップA235;Yes)、指示装置18は図9AのステップS305において、車両の運転者に対し給電が可能である旨の通知を行う(ステップA236)。一方、給電が不可と判定した場合(ステップA235;No)、指示装置18は図9AのステップS303において、車両の運転者に対し給電が不可である旨の通知を行う(ステップA237)。この場合、誘導装置17が故障しており、車輪誘導部が待機位置である車室Rに応じた指示装置18は、車両に対する給電が不可である旨の通知を行うことになる。
上記のように、この変形例によれば、車両が駐車場Pに入場する際や車室Rに進入する際に、車両の運転者に対し、誘導装置17の故障の状況が反映された給電可否に関する正しい情報が通知される。また、誘導装置17が故障している車室Rにおいて、車輪誘導部の無駄な移動が防止される。さらに、誘導装置17が故障しており、車輪誘導部が待機位置でない車室Rにおいては、車両の運転者に対し、駐車ができない旨の通知が繰り返し行われる。そのため、車輪誘導部によって車両の車輪がロックされたり、損傷したりする危険が回避される。
(11)上述した実施形態において、誘導装置17が備える車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bは、車室に進入する車種に応じた位置に移動する。駐車場Pを利用する車両の車種が常に同じである場合や、それらの車種が異なっても車輪の左右方向の間隔や受電器の位置等がほぼ同じである場合には、誘導装置17は車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bを移動する機構を備えなくてもよい。この場合、車室Rに進入する車両は、固定位置に配置された車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bにより最適な受電位置に誘導されて駐車されることになる。なお、誘導装置17が車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bを移動する機構を備えない場合、指示装置18は車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bの移動に関する処理(図8の処理、図9AのステップS309及びS310、図10のステップS403)を行わない。
(12)上述した実施形態において、送電器16から受電器への給電の開始及び途中終了は運転者が車載装置に対し行う操作に従い実行されるものとした。送電器16から受電器への給電の開始及び途中終了が実行されるトリガはこれに限られない。例えば、車両のドアがロックされたことをトリガに、送電器16から受電器への給電が開始されてもよい。また、送電器16から受電器への給電が実行されているときに車両を発進する操作(例えば、モータの始動を指示する操作)が行われた場合、その操作をトリガに送電器16から受電器への給電が終了されてもよい。
(13)上述した実施形態において、送電器16はその上面が駐車場Pの地面と同じ高さとなるように設置されているものとした。従って、駐車場システム1は、車両を車室Rに誘導するにあたり、車両の最低地上高を考慮する必要がない。しかしながら、送電器16の上面は必ずしも駐車場Pの地面と同じ高さでなくてもよい。
送電器16の上面が駐車場Pの地面より高い場合、車室Rに駐車される車両の最低地上高(地面から車体底面の最下部までの高さ)が送電器16の上面よりも低いと、車両と送電器16が接触して送電器16又は車両が損傷する危険がある。従って、駐車場システム1が、最低地上高が低く送電器16と接触する危険がある車両の運転者に対し、駐車ができない旨の通知を行ってもよい。
この変形例では、車種テーブルは図21に示すように「最低地上高」欄を有するように構成される。この欄には、各車種の車両の最低地上高を示すデータが格納されている。
図22A及び図22Bは、この変形例に係る駐車場システム1が実行する処理のシーケンスの概要を示した図である。車種特定装置13は、継続的に、カメラ19及びカメラ20により撮影された画像から駐車場Pの入口に車両が接近してきたか否かを判定している(ステップA301)。車種特定装置13は、車両が駐車場Pの入口に接近してきたと判定した場合(ステップA301;Yes)、図7のステップS001〜ステップS108を行う。
ただし、この変形例においては、図7のステップS102に先んじて、車種特定装置13は車種テーブル(図21)を参照し、ステップS101において特定した車種の車両の最低地上高が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップA302)。ステップA302の判定で用いられる閾値は、送電器16の上面の高さに、車両の上下動による最低地上高の変動を考慮した所定の長さ(例えば5cm)を加えた値である。
車両の最低地上高が所定の閾値以上でないと判定した場合(ステップA302;No)、車種特定装置13は、車両の運転者に対し駐車が不可である旨の通知を行う(ステップA303)。その際の通知は、例えば「この駐車場に設置されている送電器に対し車両の最低地上高が低すぎるため、駐車できません。」といったものとなる。
続いて、車種特定装置13は、継続的にカメラ19及びカメラ20が撮影した画像から車両を認識して、車両が駐車場Pの入口から立ち去ったか否かを判定する(ステップA304)。車両が駐車場Pの入口から立ち去ったと判定した場合(ステップA304;Yes)、車種特定装置13は処理を終了する。一方、車両が駐車場Pの入口から立ち去らずそこに留まっていると判定した場合(ステップA304;No)、車種特定装置13はステップA303以降の処理を繰り返す。その結果、最低地上高が低く、送電器16に車両の底面が接触する危険のある車両の運転者に対しては、繰り返し、駐車場Pに駐車ができないことが通知される。
ステップA302において、車両の最低地上高が所定の閾値以上であると判定した場合(ステップA302;Yes)、車種特定装置13は図7のステップS102以降の処理を行う。そして、図7のステップS107において、車種特定装置13は車両が駐車場Pに入場したか否かを判定する(ステップA305)。車両が駐車場Pに入場したと判定した場合(ステップA305;Yes)、車種特定装置13は図7のステップS108において入場車両データを各車室Rの指示装置18に送信する(ステップA306)。
各車室Rに応じた指示装置18は、車種特定装置13から入場車両データを受信すると、図8のステップS201〜ステップS205を行う。指示装置18は、図8のステップS201において、入場車両データに基づき、自装置に応じた車室Rにおいて、駐車場Pに入場した車両に対し給電が可能か否かを判定する(ステップA311)。給電が可能と判定した場合(ステップA311;Yes)、指示装置18は図8のステップS203において、自装置に応じた車室Rの誘導装置17に対し車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bの移動を指示する(ステップA312)。指示装置18から指示を受けた誘導装置17は、その指示に従い、車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bを、車両を受電位置に誘導する位置へと移動する(ステップA313)。
各車室Rに応じた指示装置18は、継続的にカメラで撮影している画像から車両が車室Rに進入してきたか否かを判定している(ステップA321)。車両が車室Rに進入してきたと判定した場合(ステップA321;Yes)、指示装置18はカメラにより撮影した画像から車両を認識して、認識した車両の実際の最低地上高を特定する(ステップA322)。続いて、指示装置18は、特定した最低地上高が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップA323)。ステップA323の判定で用いられる閾値は、ステップA302において用いられる閾値と同じものである。
車両の最低地上高が所定の閾値以上でないと判定した場合(ステップA323;No)、車種特定装置13は、車両の運転者に対し駐車が不可である旨の通知を行う(ステップA324)。その際の通知は、ステップA303における通知と同様のものとなる。
続いて、指示装置18は、継続的にカメラにより撮影した画像から車両を認識して、車両が車室Rの付近から立ち去ったか否かを判定する(ステップA325)。車両が車室Rの付近から立ち去ったと判定した場合(ステップA325;Yes)、指示装置18は処理を終了する。一方、車両が車室Rの付近から立ち去らずそこに留まっていると判定した場合(ステップA325;No)、指示装置18はステップA324以降の処理を繰り返す。その結果、最低地上高が低く、送電器16に車両の底面が接触する危険のある車両の運転者に対しては、繰り返し、駐車場Pに駐車ができないことが通知される。
ステップA323において、車両の最低地上高が所定の閾値以上であると判定した場合(ステップA323;Yes)、指示装置18は図9A及び図9BのステップS301〜ステップS315を行う(ステップA326)。
上記のように、この変形例によれば、車両が駐車場Pに入場する際や車室Rに進入する際に、車両の最低地上高が十分な高さでない場合、車両の運転者に対し、駐車ができない旨の通知が繰り返し行われる。そのため、車両の底面と送電器16の接触により車両又は送電器16が損傷する危険が回避される。
なお、上記の変形例の説明においては、車種特定装置13は駐車場Pの入口において車両の車種から特定される最低地上高に基づき、車両の底面が送電器16に接触しない十分な最低地上高を有しているか否かの判定を行うものとしたが、車種特定装置13がカメラ19及びカメラ20により撮影された画像から車両を認識し、認識した車両の実際の最低地上高を特定し、特定した実際の最低地上高に基づき、車両の底面が送電器16に接触しない十分な最低地上高を有しているか否かの判定を行ってもよい。
(14)車両に搭載されている受電器の地面からの高さが高すぎて、送電器16から受電器への給電が行えない場合があり得る。そのような場合に、車種特定装置13及び指示装置18が、車両の運転者に対し、車両に対する給電ができない旨の通知を行ってもよい。
この変形例では、車種テーブルは図23に示すように「受電器高」欄を有するように構成される。この欄には、各車種の車両の受電器の高さ(以下、「受電器高」という)を示すデータが格納されている。
図24A及び図24Bは、この変形例に係る駐車場システム1が実行する処理のシーケンスの概要を示した図である。車種特定装置13は、継続的に、カメラ19及びカメラ20により撮影された画像から駐車場Pの入口に車両が接近してきたか否かを判定している(ステップA401)。車種特定装置13は、車両が駐車場Pの入口に接近してきたと判定した場合(ステップA401;Yes)、図7のステップS001〜ステップS108を行う。
ただし、この変形例においては、図7のステップS103に先んじて、車種特定装置13は車種テーブル(図23)を参照し、車両の受電器高が所定の閾値以下か否かを判定する(ステップA402)。ステップA402の判定で用いられる閾値は、受電器が送電器16から許容可能な最低効率で電力の供給を受けることができる送電器16と受電器との距離である。
車両の受電器高が所定の閾値以下でないと判定した場合(ステップA402;No)、車種特定装置13は、図7のステップS103において、いずれの車室Rも給電可能な車室として特定しない。従って、図7のステップS105において、車種特定装置13は車両の運転者に対し、給電不可の通知を行うことになる(ステップA403)。その際の通知は、例えば「この駐車場に設置されている送電器に対し車両の受電器の高さが高すぎるため、給電できません。」といったものとなる。
ステップA402において、受電器高が所定の閾値以下であると判定した場合(ステップA402;Yes)、車種特定装置13は、図7のステップS104において、車両に給電可能な車室Rがあるか否かを判定する(ステップA404)。車両に給電可能な車室Rがないと判定した場合(ステップA404;No)、車種特定装置13は図7のステップS105において、車両の運転者に対し給電不可の通知を行う(ステップA403)。一方、車両に給電可能な車室Rがあると判定した場合(ステップA404;Yes)、車種特定装置13は図7のステップS106において、車両の運転者に対し給電可能な車室Rの番号を通知する(ステップA405)。
その後、図7のステップS107において、車種特定装置13は車両が駐車場Pに入場したか否かを判定する(ステップA406)。車両が駐車場Pに入場したと判定した場合(ステップA406;Yes)、車種特定装置13は図7のステップS108において入場車両データを各車室Rの指示装置18に送信する(ステップA407)。
各車室Rに応じた指示装置18は、車種特定装置13から入場車両データを受信すると、図8のステップS201〜ステップS205を行う。指示装置18は、図8のステップS201において、入場車両データに基づき、自装置に応じた車室Rにおいて、駐車場Pに入場した車両に対し給電が可能か否かを判定する(ステップA411)。給電が可能と判定した場合(ステップA411;Yes)、指示装置18は図8のステップS203において、自装置に応じた車室Rの誘導装置17に対し車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bの移動を指示する(ステップA412)。指示装置18から指示を受けた誘導装置17は、その指示に従い、車輪誘導部172A及び車輪誘導部172Bを、車両を受電位置に誘導する位置へと移動する(ステップA413)。
各車室Rに応じた指示装置18は、継続的にカメラで撮影している画像から車両が車室Rに進入してきたか否かを判定している(ステップA421)。車両が車室Rに進入してきたと判定した場合(ステップA421;Yes)、指示装置18は図9A及び図9BのステップS301〜ステップS315を行う。
ただし、この変形例においては、図9AのステップS305に先んじて、指示装置18はカメラにより撮影した画像から車両を認識して、認識した車両の実際の受電器高を特定する(ステップA422)。続いて、指示装置18は、特定した受電器高が所定の閾値以下であるか否かを判定する(ステップA423)。ステップA423の判定で用いられる閾値は、ステップA402において用いられる閾値と同じものである。
車両の受電器高が所定の閾値以下でないと判定した場合(ステップA423;No)、指示装置18は図9AのステップS303において、車両の運転者に対し給電が不可である旨の通知を行う(ステップA424)。その際の通知は、ステップA403における通知と同様のものとなる。
一方、ステップA423において、車両の受電器高が所定の閾値以下であると判定した場合(ステップA423;Yes)、指示装置18は図9AのステップS305において、車両の運転者に対し給電が可能である旨の通知を行う(ステップA425)。
上記のように、この変形例によれば、車両が駐車場Pに入場する際や車室Rに進入する際に、車両の運転者に対し、車両の受電器高が考慮された給電可否に関する正しい情報が通知される。
なお、上記の変形例の説明においては、車種特定装置13は駐車場Pの入口において車両の車種から特定される受電器高に基づき、車両への給電の可否を判定するものとしたが、車種特定装置13がカメラ19及びカメラ20により撮影された画像から車両を認識し、認識した車両の実際の受電器高を特定し、特定した実際の受電器高に基づき、車両への給電の可否を判定してもよい。
(15)上述した実施形態及び変形例の説明において用いた具体的なデータ構造、処理の流れ、構造物の形状、配置、数量等はあくまで例示であって、様々に変更されてよい。例えば、誘導装置17の形状は図6等に例示のものに限られない。