JP2020031400A - Osnrスペクトル推定装置、osnrスペクトル推定方法およびプログラム - Google Patents

Osnrスペクトル推定装置、osnrスペクトル推定方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】伝送路のOSNRスペクトルの推定において、精度を維持しつつ、少ない測定回数、かつ、短時間で推定する。【解決手段】OSNRスペクトル推定装置は、所定波長のプローブ光による所定の伝送路のOSNRを、全波長チャネルよりも少ない所定数の波長チャネルにおいて光ノード2に推定させるOSNR推定部11と、光ノード2に測定させた所定数の波長チャネルのOSNRから、全波長チャネルのOSNRスペクトルを算出するOSNRスペクトル算出部12とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、OSNR(Optical Signal to Noise Ratio)スペクトル推定装置、OSNRスペクトル推定方法およびプログラムに関する。
近年、光ネットワークを自ら構築するプロパイダや、他社の通信インフラを用いて通信サービスを提供するVNO(Virtual Network Operator)などのように、ネットワーク運用形態の多様化が進んでいる。そのため、従来の高速・大容量・高信頼性といった要求事項に加え、構築・運用の容易性や、柔軟性、高効率性を併せ持ったダイナミック・フレキシブル光ネットワークの重要度が急速に増している。
従来の光ネットワークは、事前設計によりあらかじめ伝送品質を保証できるネットワーク構成で固定的に運用することにより、高い信頼性を担保してきた。しかし、光伝送信号の経路変更が頻繁に行われると、光ネットワークの状態は絶えず変化する。そのため、光ネットワークの新サービス提供に伴う経路変更は、変更後の光ネットワークを事前に設計する工数と時間とが必要であった。
光ネットワークの新サービス提供のスピードを損なわない形で、信頼性と柔軟性を同時に維持するためには、光ネットワークの信号品質を上位装置が監視して全体最適化の制御を行うことが必要となる。そのため、光伝送路状態や信号品質のリアルタイム監視系(非特許文献1)の研究開発が行われている。その応用として、光パス(伝送路)開通時の信号品質把握、信号品質劣化の要因・箇所特定がある。
伝送路状態を表す主要パラメータに、光信号対雑音パワー比を示すOSNRがある。OSNRは、光アンプ動作条件(利得、入力パワー、波長分布等)に依存し、経年劣化や環境条件変化により時変動する。そのため、パラメータによってOSNRを予測することは困難である。また、OSNRの劣化は伝送システムの各光ノードに配備されている光増幅器によって付加されるASE(Amplified Spontaneous Emission)雑音に依るところが大きい。そのため、光増幅器や伝送スパン毎にOSNRが測定されることが望ましい。
非特許文献2,3には、レシーバにおけるEnd−EndのOSNRを推定する技術が記載されている、また、非特許文献4には、各ノードでの光スペクトルアナライザ(OSA:Optical Spectrum Analyzer)によりリンク毎のOSNRを推定する技術が記載されている。更に、それらを組み合わせた技術も提案されている。
伝送路の光パスの各波長チャネルについてOSNRを測定(推定)するには、レシーバまたは光スペクトルアナライザが、例えば全て波長チャネルを順番に切り替えて測定(推定)することが考えられる(グリッドサーチ)。この場合の測定方法は簡単であるが、測定時間が膨大となり、測定した膨大なデータをネットワークコントローラへ転送して処理する必要がある。特に、各ノードでの光スペクトルアナライザからの測定データ(トラヒック)は、モニタ箇所が多いため膨大な量になる。
そこで、本発明は、伝送路のOSNRスペクトルの推定を、精度を維持しつつ、少ない測定回数、かつ、短時間で完了させ、トラヒックを減少させることを課題とする。
前記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明では、所定の伝送路のOSNRを、全波長チャネルよりも少ない所定数の波長チャネルにおいて光ノードに推定させる推定部と、前記光ノードに測定させた前記所定数の波長チャネルのOSNRから、全波長チャネルのOSNRスペクトルの平均値と分散、および、OSNR最小値または最大値を算出する算出部と、を備えることを特徴とするOSNRスペクトル推定装置とした。
このようにすることで、本発明によれば、伝送路のOSNRスペクトルの推定を少ない測定回数、かつ、短時間で完了させ、トラヒックを減少させることができる。
請求項2に記載の発明では、前記推定部は、所定波長チャネルのプローブ光によるOSNR測定結果を基に、ガウス過程回帰により事後分布の平均値と分散を求めて全波長チャネルのOSNRスペクトルを算出する、ことを特徴とする請求項1に記載のOSNRスペクトル推定装置とした。
このようにすることで、本発明によれば、OSNRスペクトルの推定を、少ない測定回数、かつ、短時間で完了させ、トラヒックを減少させることができる。
請求項3に記載の発明では、前記推定部は、前記事後分布の平均値の小ささ、および、前記事後分布の分散の大きさを評価した獲得関数の最大値を与える波長チャネルを、次に測定する波長チャネルとする、ことを特徴とする請求項2に記載のOSNRスペクトル推定装置とした。
このようにすることで、本発明によれば、局所解に陥ることなくOSNR最小値または最大値を推定できる。
請求項4に記載の発明では、前記算出部は、前記所定の伝送路の所定の波長チャネルにおけるOSNRが既に推定されている場合、当該OSNRに基づいてOSNRスペクトルの算出を開始する、ことを特徴とする請求項3に記載のOSNRスペクトル推定装置とした。
このようにすることで、本発明によれば、既に推定されたOSNRを用いて、更に少ない測定回数で完了し、トラヒックを減少させることができる。
請求項5に記載の発明では、各波長チャネルにおいて伝送可能なOSNRの基準を満たし、かつ、データレートが最大となる変調方式を決定する決定部、を更に備えることを特徴とする請求項3に記載のOSNRスペクトル推定装置とした。
このようにすることで、本発明によれば、算出したOSNRスペクトルに応じて最適な変調方式を決定できる。
請求項6に記載の発明では、前記決定部は、各波長チャネルにおける変調方式を一括で決定するか、または、波長チャネル毎にOSNRの基準を満たす変調方式を決定する、ことを特徴とする請求項5に記載のOSNRスペクトル推定装置とした。
このようにすることで、本発明によれば、OSNRが良好な場合には、短時間で変調方式を決定できる。
請求項7に記載の発明では、所定の伝送路のOSNRを、全波長チャネルよりも少ない所定数の波長チャネルにおいて光ノードに推定させるステップと、前記光ノードに推定させた前記所定数の波長チャネルのOSNRから、全波長チャネルのOSNRスペクトルの平均値と分散、および、OSNR最小値または最大値を算出するステップと、を実行することを特徴とするOSNRスペクトル推定方法とした。
このようにすることで、本発明によれば、伝送路のOSNRスペクトルの推定を、少ない測定回数、かつ、短時間で完了させ、トラヒックを減少させることができる。
請求項8に記載の発明では、所定の伝送路のOSNRを、全波長チャネルよりも少ない所定数の波長チャネルにおいて光ノードに推定させる工程と、前記光ノードに推定させた前記所定数の波長チャネルのOSNRから、全波長チャネルのOSNRスペクトルの平均値と分散、および、OSNR最小値または最大値を算出する工程と、をコンピュータに実行させるためのプログラムとした。
このようにすることで、本発明によれば、伝送路のOSNRスペクトルの推定を少ない測定回数、かつ、短時間で完了させ、トラヒックを減少させることができる。
本発明によれば、伝送路のOSNRスペクトルの推定を、精度を維持しつつ、少ない測定回数、かつ、短時間で完了させ、トラヒックを減少させることが可能となる。
本実施形態におけるOSNRスペクトル推定システムの概略の構成図である。 グリッドサーチでOSNRを推定するフローチャートである。 グリッドサーチでOSNRを推定する動作を示す図である。 OSNRの推定処理を示すフローチャートである。 OSNRの推定動作の5回目と、グリッドサーチの推定結果とを比較するグラフである。 OSNRの推定動作の6回目と、グリッドサーチの推定結果とを比較するグラフである。 OSNRの推定動作の7回目と、グリッドサーチの推定結果とを比較するグラフである。 波長チャネル毎に最適な変復調方式を選択する動作を示すグラフである。 波長チャネル毎に最適な変復調方式を選択する処理を示すフローチャートである。 OSNRの推定処理を示すシーケンス図である。 既に推定したOSNRデータが有る場合のOSNRの推定処理を示すフローチャートである。
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
ネットワークコントローラにおいて、各リンクにおけるOSNR最小値を把握することは不可欠であるが、必ずしも全波長チャネル分のOSNRデータは必要ではない。
そこで、OSNR最小値の推定に向け、波長チャネル切替による測定回数の少ないOSNRスペクトルの推定方法を提案する。本実施形態は、測定時間、および、ネットワークコントローラへ転送するデータ量を大幅に削減することを狙いとする。
図1は、本実施形態におけるOSNRスペクトル推定システムSの概略の構成図である。
OSNRスペクトル推定システムSは、複数の光ノード2a〜2dと、これらを統括して制御するネットワークコントローラ1を含んで構成される。伝送路3aは、光ノード2aを始点とし、光ノード2cを介して光ノード2dに至る光バスである。伝送路3bは、光ノード2aを始点とし、光ノード2bを介して光ノード2dに至る光バスである。以下、伝送路3a,3bを区別しないときには、単に伝送路3と記載する。光ノード2a〜2dを特に区別しないときには、単に光ノード2と記載する。
ネットワークコントローラ1は、不図示のCPUと記憶部を備えるコンピュータであり、CPUが記憶部に格納されたプログラムを実行することで、OSNR推定部11、OSNRスペクトル算出部12、変調方式決定部13が具現化される。このネットワークコントローラ1は、不図示のコントロールプレーンを介して光ノード2a〜2dと通信可能に接続され、これら光ノード2a〜2dを制御する。
OSNR推定部11は、所定波長のプローブ光による所定の伝送路3のOSNRを、所定波長チャネルにおいて光ノード2に推定(測定)させるように指示する。具体的にいうと、OSNR推定部11は、伝送路3bの始端の光ノード2aに所定波長のプローブ光を出力させ、伝送路3bの終端の光ノード2dに、この伝送路3bのOSNRデータを推定(測定)させる。OSNR推定部11は、事後分布の平均値の小ささ、および、事後分布の分散の大きさを評価した獲得関数の最大値を与える波長チャネルを、次に測定する波長チャネルとする。
OSNRスペクトル算出部12は、光ノード2に推定(測定)させた所定数の波長チャネルのOSNRから、全波長チャネルのOSNRスペクトルの平均値と分散、および、OSNR最小値を算出する。このとき、光ノード2に推定(測定)させた波長チャネルの数は、全ての波長チャネルの数よりも少ない。これにより、伝送路のOSNRスペクトルの推定を、精度を維持しつつ短時間で完了させ、更にトラヒックを減少させることができる。このOSNR推定部11とOSNRスペクトル算出部12の処理は、後記する図4と図10と図11で詳細に説明する。
変調方式決定部13は、各波長チャネルにおいて伝送可能なOSNRの基準を満たし、かつ、データレートが最大となる変調方式を決定する。これにより、変調方式決定部13は、各伝送路の各波長チャネルにおいて最適な変調方式を、動的に決定することができる。この変調方式決定部13の処理は、後記する図9で説明する。
光ノード2は、複数の光送信機21と、CD/CDC−SW(Colorless/Directionless/Contentionless switch)部22と、WXC(Wavelength Cross Connect)部23と、複数の光受信機24とを備える。なお、図1では、光ノード2aを送信側として、送信に用いられる光送信機21と、CD/CDC−SW部22と、WXC部23とを図示している。図1では更に、光ノード2dを受信側として、受信に用いられる光受信機24と、CD/CDC−SW部22と、WXC部23とを図示している。
光送信機21は、所定波長の光信号を送信する。また光受信機24は、所定波長の光信号を受信すると共に、受信した光信号から、この所定波長の光信号(プローブ光)が通過した伝送路3(光パス)のOSNRデータを推定する光スペクトルアナライザとして動作する。
CD/CDC−SW部22は、次の3つの機能を有している。第1の機能は、任意波長の光信号をアド・ドロップできるカラーレス(Colorless)機能である。第2の機能は、任意方路への挿入(アド)と分岐(ドロップ)ができるディレクションレス(Directionless)機能である。第3の機能は、同一波長の光信号を衝突なくアド・ドロップできるコンテンションレス(Contentionless)機能である。これら3つの機能は、ネットワーク(波長ルーティング)の効率化、機器配置の柔軟性(装置スロット削減による省スペース化)、および低コスト化に寄与する。なお、CD/CDC−SW部22は、第3の機能であるコンテンションレス機能を有さない場合であっても、本実施形態に適用可能である。
WXC部23は、WDM(Wavelength Division Multiplexing)信号を各波長の光信号に分波し、分波後の光信号の通過(Through)、取り出し(Drop)、追加(Add)の選択を行う。
《グリッドサーチによるOSNRスペクトル推定方法》
以下の図2と図3を参照して、使用波長帯における全波長チャネルに対し推定を繰り返すグリッドサーチにより、OSNRスペクトルを推定する方法について説明する。
図2は、グリッドサーチでOSNRを推定するフローチャートである。以下、適宜図1を参照して説明する。
ネットワークコントローラ1のOSNR推定部11は、全波長チャネルにつき波長を順番に切り替えさせる処理を、ステップS10〜S13に亘って繰り返す。
OSNR推定部11は、伝送路3の始点の光ノード2に、この波長の光信号の出力を指示し(S11)、伝送路3の終点の光ノード2が推定したOSNRデータを受信する(S12)。具体的にいうと、伝送路3bの始点とは、例えば図1に示す光ノード2aであり、終点とは光ノード2dである。伝送路3bは、光ノード2aから光ノード2bを介して光ノード2dに至る光パスである。
そして、OSNR推定部11は、全波長チャネルに対して処理を繰り返したか判定する(S13)。これにより、伝送路3bの始点の光ノード2aから終点の光ノード2dまでのOSNRスペクトルを推定することができる。
図3は、グリッドサーチでOSNRを推定する動作を示す図である。
グラフの横軸は、波長チャネルを示し、縦軸はOSNRの値を示している。破線はOSNRを示し、白丸は各波長チャネルのOSNR推定値を示している。矢印は、各波長チャネルを長波長から短波長の順に推定を繰り返していることを示している。
この推定方法の特長は、アルゴリズムが簡単でかつ推定精度が高いことである。この推定方法の課題は、測定回数が多く、かつネットワークコントローラ1に転送して処理すべき測定データ量が多いことである。
《本実施形態のOSNRスペクトル推定方法》
本実施形態は、光スペクトルアナライザでのOSNR最小値、および、当該波長の探索を、ベイズ最適化によって効率化する。本実施形態のネットワークコントローラは、OSNR測定データに対するOSNR偏差の事後分布をガウス過程回帰によって計算し、事後分布の平均値μと分散σを基にした最適探索点の決定を繰り返して推定する。これにより、グリッドサーチと同様な推定精度を実現し、かつ光スペクトルアナライザでの波長チャネル切替回数が少くなり、ネットワークコントローラに転送・処理すべき測定データ量が少なくなる。
図4は、OSNRの推定処理を示すフローチャートである。以下、適宜図1を参照して説明する。
ネットワークコントローラ1のOSNR推定部11は、当初、ランダムに決定した光信号の波長を、始点の光ノード2に出力させる(S20)。この始点の光ノード2が出力した光信号は、所定の伝送路3を通って終点の光ノード2に到達する。終点の光ノード2は、OSNRデータを推定する。具体的にいうと、伝送路3の始点とは、例えば図1に示した光ノード2aである。伝送路3の終点とは、光ノード2dである。伝送路3bは、例えば光ノード2aから光ノード2bを介して光ノード2dに至る光パスである。
OSNR推定部11は、伝送路終点の光ノード2が推定したOSNRデータを受信する(S21)。
そして、OSNRスペクトル算出部12は、これまで推定したOSNRデータを基に、ガウス過程回帰を適用して事後分布の平均値μと分散σを求める(S22)。これにより、OSNRスペクトル算出部12は、OSNRスペクトルの平均値と分散を算出することができる。
OSNR推定部11は、獲得関数Mの最大値から、次に測定すべき波長を決定する(S23)。これは、ベイズ最適化と呼ばれる手法である。
本実施形態のOSNR推定部11は、これまでに推定したOSNRデータに基づいて、UCB(Upper Confidence Bound:上限信頼限界)戦略における獲得関数により、次に測定する点(波長チャネル)を決定している。ここでUCB戦略とは、評価値の信頼区間の上限が最も高い点(波長チャネル)を次に測定する戦略であり、理論的に最適解にたどり着けることが保証されている。
ここで獲得関数Mは、式(1)に示すように、事後分布の平均値μが小さい程大きくなり、分散σが大きいほど大きくなるように設定されている。なお、式(1)のkは、定数である。
つまりOSNR推定部11は、事後分布の平均値の小ささ、および、事後分布の分散の大きさを評価した獲得関数の最大値を与える波長チャネルを、次に測定する波長チャネルとしている。
なお、事後分布の平均値μが小さい点の近傍を次の測定点に選ぶと、その測定点の平均値μは同様に小さな値となることが期待できる。しかし、平均値μだけで判断すると、局所解に陥ってしまうおそれがあるため、事後分布の分散σが大きい点も測定する必要がある。本実施形態のOSNR推定部11は、OSNR最小値の近傍を重点的に測定すると共に、事後分布の分散σが大きい箇所を測定するようにしている。
更に、OSNR推定部11は、測定点同士がどのくらい影響しあうかを表現するカーネル関数を導入して、次の測定点を決定するとよい。
OSNR推定部11は、ベイズ最適化で決定した波長の光信号を、伝送路3の始点の光ノード2に出力させ(S24)、伝送路3の終点の光ノード2が推定(測定)したOSNRデータを受信する(S25)。
更にOSNR推定部11は、直近に推定したOSNRデータと、直近よりも1回前に推定したOSNRデータとの差の絶対値が、基準値以内であるか否かを推定する(S26)。OSNR推定部11は、直近に推定したOSNRデータとそれより1回前に推定したOSNRデータとの差の絶対値が基準値を超えていたならば(No)、ステップS22に戻り、処理を繰り返す。OSNR推定部11は、直近に推定したOSNRデータとそれより1回前のOSNRデータとの差の絶対値が基準値以内ならば(Yes)、図4の処理を終了する。ステップS26の処理は、OSNR最小値の近傍において、分散σが収束したか否かを判定している。
本実施形態のシミュレーション結果を、以下の図5から図7に示す。このシミュレーションは、10Gbpsの強度変調直接検波(Intensity Modulation-Direct Detection:IM-DD)方式の信号を32チャネルの100GHz間隔で波長多重したのち、C帯(Conventional-band)のEDFA(Erbium Doped optical Fiber Amplifier)を5段通過させた場合のOSNRスペクトルを評価している。いずれのEDFAにおいても飽和領域での増幅模擬している。
図5は、OSNRの推定動作の5回目と、グリッドサーチの推定結果とを比較するグラフである。
凡例に示したように、円形アイコンは、測定(推定)したOSNRデータを示し、三角形アイコンは、グリッドサーチによる各波長チャネルのOSNRデータを示している。実線は、事後分布の平均値μを示している。ハッチング部分は、95%精度で推定される事後分布の分散σを示している。グラフ上部には、“next=22.000000”と記載されており、次に測定(推定)する波長チャネル番号が22であることを示している。
図6は、OSNRの推定動作の6回目と、グリッドサーチの測定結果とを比較するグラフである。
図5に示したOSNRデータに加えて、第22番の波長チャネルのOSNRデータが新たに推測されている。これにより、実線で示した事後分布の平均値μと、ハッチングで示した事後分布の分散σは、グリッドサーチによる各OSNRデータにより近づいている。
グラフ上部には、“next=19.000000”と記載されており、次に測定(推定)する波長チャネル番号が19であることを示している。
図7は、OSNRの推定動作の7回目と、グリッドサーチの測定結果とを比較するグラフである。
図5に示したOSNRデータに加えて、第19番の波長チャネルのOSNRデータが新たに推測されている。これにより、実線で示した事後分布の平均値μと、ハッチングで示した事後分布の分散σは、グリッドサーチによる各OSNRデータに更に近づいている。
また、6回目に推定したOSNRデータと7回目に推定したOSNRデータの差の絶対値が基準値よりも小さいので、ここでOSNRスペクトルの推定処理は終了する。
これら図5から図7に示したグラフは、32波長分のOSNRスペクトル、および、OSNR最小値を7回の測定回数で推定可能なことを示している。この場合、測定時間およびデータ量は、グリッドサーチと比較して78%削減できることになる。
本実施形態によれば、OSNR最小値が探索可能であり、かつ平均値μと分散σを含めたOSNRスペクトルの算出が可能である。これにより、OSNR最小値を把握することができ、かつ算出したOSNRスペクトルを用いて、波長チャネル毎に最適な変復調方式の選択が可能である。
図8は、波長チャネル毎に最適な変復調方式を選択する動作を示すグラフである。
グラフの縦軸はOSNRデータを示し、グラフの横軸は波長チャネル番号を示している。グラフの上部には最適な変復調方式とその範囲が示されている。
波長チャネル番号が0から11までは、OSNRデータは16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)の要求基準を満たしており、変復調方式として16QAMが選択されている。16QAMは、1回の信号で16値の情報を送ることができる方式であり、伝送効率はよいが、OSNRの要求基準は高い。
波長チャネル番号が12から16までは、OSNRデータは16QAMの要求基準を満たさず、かつQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)の要求基準を満たしており、変復調方式としてQPSKが選択されている。QPSKは、1回の信号で4値の情報を送ることができる方式であり、16QAMよりも伝送効率は悪いが、16QAMよりもOSNRの要求基準は低い。
波長チャネル番号が17から21までは、OSNRデータはQPSKの要求基準を満たさず、変復調方式としてBPSK(Binary Phase shift Keying)が選択されている。BPSKは、1回の信号で2値の情報を送ることができる方式であり、QPSKよりも伝送効率は悪いが、これらの伝送形式のうち最も要求基準は低い。なお、図8ではBPSKの要求基準は記載を省略している。
波長チャネル番号が22から24までは、OSNRデータは16QAMの要求基準を満たさず、かつQPSKの要求基準を満たしており、変復調方式としてQPSKが選択されている。
波長チャネル番号が25から31までは、OSNRデータは16QAMの要求基準を満たしており、変復調方式として16QAMが選択されている。
図9は、波長チャネル毎に最適な変復調方式を選択する処理を示すフローチャートである。
最初に変調方式決定部13は、OSNRスペクトルの最小値が16QAMの基準値を満たすか否かを判定する(S60)。変調方式決定部13は、OSNRスペクトルの最小値が16QAMの基準値を満たすならば(Yes)、全ての波長チャネルの変調方式を16QAMとして(S61)、図9の処理を終了する。変調方式決定部13は、OSNRスペクトルの最小値が16QAMの基準値を満たさないならば(No)、ステップS62の処理に進む。
ステップS62〜S64において、変調方式決定部13は、全ての波長チャネルについての処理を繰り返す。この繰り返しにおいて、変調方式決定部13は、この波長チャネルのOSNRによって伝送可能と判断され、かつデータレートが最大となる変調方式を決定し(S63)、これを全波長チャネルについて処理するまで繰り返す(S64)。
ステップS64において、変調方式決定部13は、全ての波長チャネルについての処理を繰り返したならば、図9の処理を終了する。
これにより、変調方式決定部13は、リアルタイムに推定したOSNRスペクトルに基づき、伝送可能なOSNRの基準を満たしつつ、ビットレートを最大化する変復調方式を選択可能となる。つまり、変調方式決定部13は、各波長チャネルにおける変調方式を一括で決定するか、または、波長チャネル毎にOSNRの基準を満たす変調方式を決定する。
図10は、OSNRの測定処理を示すシーケンス図である。
ここで想定しているケースは、光ノード2a→光ノード2c→光ノード2dの伝送路3aで障害が発生したため、光ノード2a→光ノード2b→光ノード2dの伝送路3bへリストレーションする例である。
当初、光ノード2aは、光ノード2cを介して光ノード2dに光信号を送信する(S30)。その際、例えば光ノード2cに障害が発生し(S31)、光信号が光ノード2dに到達しなくなる。
ネットワークコントローラ1は、現在の伝送路3aの故障を検知すると(S32)、新たな伝送路3bに係るOSNRスペクトルの推定シーケンスを実行する。
ネットワークコントローラ1は、ランダムに波長を決定し(S33)、伝送路3bの始点の光ノード2aに、測定すべき波長チャネルを指示する(S34)。
伝送路3bの始点である光ノード2aは、任意の変調方式を選択し(S35)、新たな伝送路3bである光ノード2bを介して光ノード2dに達する光パスに、この波長チャネルの光信号を送信する(S36)。伝送路3bの終点である光ノード2dは、OSNRデータを推定し(S37)、推定したOSNRデータをネットワークコントローラ1に送信する(S38)。
ネットワークコントローラ1は、光ノード2dが推定したOSNRデータを基に、ガウス過程回帰を適用して事後分布の平均値μと分散σを求め(S39)、ベイズ最適化により、次に測定(推定)する波長を決定する(S40)。以下、シーケンスS41〜S45の動作は、前述したシーケンスS34〜S38と同様である。
シーケンスS46において、ネットワークコントローラ1は、直近とその前に推定したOSNRデータの差の絶対値が、基準値以下であるか否かを判定する。以下、この判定処理が成立するまで、シーケンスS39〜S46と同様な動作を繰り返す。これにより、光ノード2a→光ノード2b→光ノード2dの伝送路3bにおけるOSNRスペクトル特性を推定することができ、更にリストレーションパスにおける各波長チャネルのOSNRデータから伝送品質(QoT:Quality Of Transmission)を予測し、最適な変調方式を選択することができる。
ここで、光送信機21が出力可能な任意の変調方式の信号を、最適変調方式探索のプローブ光として用いるためには、光ノード2がCD/CDC−ROADM(reconfigurable optical add/drop multiplexer)であることが前提となる、CD/CDC−ROADMのColorless機能により、光ノード2は、物理的な接続替えすることなく、光送信機21が出力する光信号の波長を替えることができる。
図11は、既存のOSNRデータが有る場合のOSNRの推定処理を示すフローチャートであり、適宜図1を参照して説明する。
ネットワークコントローラ1のOSNR推定部11は、既に推定したOSNRデータが有るか否かを判定する(S50)。OSNR推定部11は、既に推定したOSNRデータが有るならば(Yes)、ステップS53の処理に進む。OSNR推定部11は、既に推定したOSNRデータが無いならば(No)、ステップS51の処理に進む。
ステップS51において、OSNR推定部11は、ランダムに決定した光信号の波長を、始点の光ノード2に出力させる(S51)。この始点の光ノード2が出力した光信号は、所定の伝送路3を通って終点の光ノード2に到達する。終点の光ノード2は、OSNRデータを推定する。具体的にいうと、伝送路3の始点とは、例えば図1に示す光ノード2aである。終点とは光ノード2dである。このときの伝送路3は、例えば光ノード2aから光ノード2bを介して光ノード2dに至る光パスである。
OSNR推定部11は、伝送路終点の光ノード2が推定したOSNRデータを受信する(S52)。
ステップS53において、OSNRスペクトル算出部12は、推定したOSNRデータを基に、ガウス過程回帰を適用して事後分布の平均値μと分散σを求める。これにより、OSNRスペクトル算出部12は、OSNRスペクトルの平均値と分散を算出することができる。
OSNR推定部11は、獲得関数の最大値から、次に測定すべき波長を決定する(S54)。これは、ベイズ最適化と呼ばれる手法である。ここで獲得関数は、事後分布の平均値μが小さい程大きくなり、事後分布の分散σが小さいほど大きくなるように設定されている。これにより、OSNR最小値の近傍を重点的に測定すると共に、事後分布の分散σが大きい箇所を測定するようにしている。
OSNR推定部11は、ベイズ最適化で決定した波長の光信号を、伝送路の始点の光ノード2に出力させ(S55)、伝送路の終点の光ノード2が推定(測定)したOSNRデータを受信する(S56)。
更にOSNR推定部11は、直近に推定したOSNRデータと、直近よりも1回前に推定したOSNRデータとの差の絶対値が基準値以内であるか否かを推定する(S57)。OSNR推定部11は、直近のOSNRデータとそれより1回前のOSNRデータとの差の絶対値が基準値を超えていたならば(No)、ステップS53に戻り、処理を繰り返す。OSNR推定部11は、直近のOSNRデータとそれより1回前のOSNRデータとの差の絶対値が基準値以内ならば(Yes)、図11の処理を終了する。ステップS57の処理は、OSNR最小値の近傍において、分散σが収束したか否かを判定している。
このように、選択した伝送路3において既に推定したOSNRデータが存在する場合、そのOSNRデータを用いることで、OSNRの測定回数を更に減らすことができる。
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能であり、例えば、次の(a)〜(f)のようなものがある。
(a) 光ノード2が送受信可能な変復調方式は、16QAMとQPSKとBPSKに限定されない。8PSK(8 Phase Shift Keying)や64QAMなど、他の変復調方式であってもよい。
(b) UCB戦略における獲得関数に限定されず、PI(Probability of Improvement:改善確率)戦略や、EI(Expected of Improvement:期待改善量)戦略による獲得関数により、次に測定(推定)する点(波長)を決定してもよい。
(c) 獲得関数は、式(1)に限定されない。平均値μの小ささと分散σの大きさに反映するものであれば、任意の式であってもよい。
(d) OSNRスペクトルの推定処理の終了条件は、図4に示すステップS26の処理に限られず、例えば全周波数チャネル数の所定割合のOSNRデータを推定した際に、終了するようにしてもよい。
(e) OSNRスペクトル算出部が算出する値は、OSNRスペクトルの平均値と分散、および、OSNR最小値に限定されず、OSNRスペクトルの平均値と分散、および、OSNR最大値を算出してもよい。
(f) 図1に示した光ノード2の構成は一例である。光ノード2は、図1以外の構成であってもよく、限定されない。
S OSNRスペクトル推定システム
1 ネットワークコントローラ
11 OSNR推定部 (推定部)
12 OSNRスペクトル算出部 (算出部)
13 変調方式決定部 (決定部)
2,2a〜2d 光ノード
21 光送信機
22 CD/CDC−SW部
23 WXC部
24 光受信機
3,3a,3b 伝送路 (光パス)

Claims (8)

  1. 所定の伝送路のOSNRを、全波長チャネルよりも少ない所定数の波長チャネルにおいて光ノードに推定させる推定部と、
    前記光ノードに測定させた前記所定数の波長チャネルのOSNRから、全波長チャネルのOSNRスペクトルの平均値と分散、および、OSNR最小値または最大値を算出する算出部と、
    を備えることを特徴とするOSNRスペクトル推定装置。
  2. 前記推定部は、OSNR測定結果を基に、ガウス過程回帰により事後分布の平均値と分散を求めて全波長チャネルのOSNRスペクトルを算出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のOSNRスペクトル推定装置。
  3. 前記推定部は、前記事後分布の平均値の小ささ、および、前記事後分布の分散の大きさを評価した獲得関数の最大値を与える波長チャネルを、次に測定する波長チャネルとする、
    ことを特徴とする請求項2に記載のOSNRスペクトル推定装置。
  4. 前記算出部は、前記所定の伝送路の所定の波長チャネルにおけるOSNRが既に推定されている場合、当該OSNRに基づいてOSNRスペクトルの算出を開始する、
    ことを特徴とする請求項3に記載のOSNRスペクトル推定装置。
  5. 各波長チャネルにおいて伝送可能なOSNRの基準を満たし、かつ、データレートが最大となる変調方式を決定する決定部、
    を更に備えることを特徴とする請求項3に記載のOSNRスペクトル推定装置。
  6. 前記決定部は、各波長チャネルにおける変調方式を一括で決定するか、または、波長チャネル毎にOSNRの基準を満たす変調方式を決定する、
    ことを特徴とする請求項5に記載のOSNRスペクトル推定装置。
  7. 所定の伝送路のOSNRを、全波長チャネルよりも少ない所定数の波長チャネルにおいて光ノードに推定させるステップと、
    前記光ノードに推定させた前記所定数の波長チャネルのOSNRから、全波長チャネルのOSNRスペクトルの平均値と分散、および、OSNR最小値または最大値を算出するステップと、
    を実行することを特徴とするOSNRスペクトル推定方法。
  8. 所定の伝送路のOSNRを、全波長チャネルよりも少ない所定数の波長チャネルにおいて光ノードに推定させる工程と、
    前記光ノードに推定させた前記所定数の波長チャネルのOSNRから、全波長チャネルのOSNRスペクトルの平均値と分散、および、OSNR最小値または最大値を算出する工程と、
    をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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