JP2020028234A - 侵入防止体、保護装置及び保護構造 - Google Patents

侵入防止体、保護装置及び保護構造 Download PDF

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Abstract

【課題】被覆した幹を傷付ける虞をより一層軽減しつつ、確実に防除対象生物からの被害を抑えることが可能な保護装置を提供する。【解決手段】保護装置100は、上端及び下端で開口し、幹Tの外周を包囲可能な中空筒形状を有する管状体110と、該管状体110内部に配置され、管状体110の内周面から突出する複数の突起体125を有する侵入防止体120と、を備える。幹Tが管状体110に内挿された状態で、複数の突起体125が、防除対象生物の通過を規制可能な間隔で幹T周囲を包囲するように構成されている。突起体125の先端には、管状体110の軸方向に拡張されて延在する当接面128が形成されている。また、突起体125には、幹に当接する突起体125を突出方向と異なる方向に撓み変形させるように案内する案内部127が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、植物の幹に取り付けられて、動物や昆虫等の防除対象生物から植物を保護する保護装置、該保護装置に用いられる侵入防止体、及び、該保護装置による保護構造に関する。
果樹などの苗木や若木の幹は、ネズミなどの小動物にかじられたり、カミキリムシなどの害虫に穴を空けられることによって、被害にあうことが頻繁に報告されている。特に、苗木の幹の根元が、このような小動物や害虫によって損傷させられると、苗木が弱り、ついには枯死に至ってしまうことが多い。このような小動物や害虫などの防除対象生物を防除することを目的として、種々の対策がなされている。
例えば、特許文献1は、植物の幹に取り付けられて防除対象生物から植物を保護する保護装置を開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。保護装置(100)は、上端及び下端で開口し、幹(T)の外周を包囲可能な中空筒形状を有する管状体(110)と、該管状体(110)内部に配置され、管状体(110)の内周面から突出する複数の棒状突起体(125)を有する侵入防止体(120)と、を備える。幹(T)が管状体(110)に内挿された保護構造(10)において、複数の棒状突起体(125)が、防除対象生物の通過を規制可能な間隔で幹(T)周囲を包囲する。このとき、各棒状突起体(125)の先端が幹(T)の外周面に当接するように配置されている。各棒状突起体(125)は、必要に応じて上下左右方向に傾動した姿勢で、幹(T)の樹皮を傷つけない程度の力で幹(T)表面に当接する。そして、剛性を有する棒状突起体(125)が幹(T)表面にある程度の力で当接することにより、棒状突起体(125)と幹(T)との当接部分において摩擦力が発生する。それ故、棒状突起体(125)が管状体(110)内周面と幹(T)表面との間で張設されたように延伸し、その当接した姿勢が十分に維持され得る。
特開2018− 38306号公報
従来の特許文献1の保護装置では、棒状突起体の先端が丸まってはいるが、棒状突起体の先端と幹の外周面との間の接触はほぼ点接触であり、接触面積が僅かである。それ故、風で幹が揺れたときなど幹に揺動の強い力が加わったときに、棒状突起体の先端と幹とが擦れて幹を傷付ける虞があった。また、特許文献1の保護装置では、複数の棒状突起体が幹外周に当接したときに任意の方向に傾動変形するが、棒状突起体が幹外周面に当接する際、棒状突起体の延伸方向が幹外周面に対して垂直であると、棒状突起体が容易に傾動することができず、棒状突起体の先端が幹の外周面に強く当たったり、突き刺さったりして幹を傷付ける虞があった。具体的には、幹が成長して太くなると、複数の棒状突起体のうちの幹外周面に対して垂直に延びる棒状突起体が、幹外周面に食い込んで幹を傷つけたり、棒状突起体自体が破損して保護を維持できなくなってしまうことが問題として挙げられる。
本発明は、上記課題の少なくとも一方を解決するためになされたものであり、その目的は、被覆した幹を傷付ける虞をより一層軽減しつつ、確実に防除対象生物からの被害を抑えることが可能な保護装置、該保護装置に用いられる侵入防止体、及び、該保護装置を幹に設置した保護構造を提供することにある。
請求項1に記載の保護装置は、植物の幹に取り付けられて、所定の動物や昆虫等の防除対象生物から植物を保護するための保護装置であって、
上端及び下端で開口し、前記幹の外周を包囲可能な中空筒形状を有する管状体と、
前記管状体内部に配置され、前記管状体の内周面側を基端とし、前記幹の外周側を先端として延びる複数の突起体を有する侵入防止体と、を備え、
前記幹が前記管状体に内挿された状態で、前記複数の突起体が、前記防除対象生物の通過を規制可能な間隔で前記幹周囲を包囲するように構成され、
前記複数の突起体の少なくとも一部の突起体の先端には、前記管状体の軸方向に拡張されて延在する当接面が形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の保護装置は、植物の幹に取り付けられて、所定の動物や昆虫等の防除対象生物から植物を保護するための保護装置であって、
上端及び下端で開口し、前記幹の外周を包囲可能な中空筒形状を有する管状体と、
前記管状体内部に配置され、前記管状体の内周面側を基端とし、前記幹の外周側を先端として延びる複数の突起体を有する侵入防止体と、を備え、
前記幹が前記管状体に内挿された状態で、前記複数の突起体が、前記防除対象生物の通過を規制可能な間隔で前記幹周囲を包囲するように構成され、
前記複数の突起体の少なくとも一部の突起体には、前記幹に当接する突起体を突出方向と異なる方向に撓み変形させるように案内する案内部が設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の保護装置は、請求項2に記載の保護装置において、前記案内部は、前記突起体の先端側で前記管状体の軸方向に向けて屈曲又は湾曲する曲がり外周面として形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の保護装置は、請求項2又は3に記載の保護装置において、前記侵入防止体は、前記管状体の上端近傍に配置される第1の侵入防止体、及び、前記管状体の下端近傍に配置される第2の侵入防止体を有し、前記第1の侵入防止体の前記突起体は、前記案内部によって前記管状体の軸方向上方に撓み変形するように案内され、前記第2の侵入防止体の前記突起体は、前記案内部によって前記管状体の軸方向下方に撓み変形するように案内されることを特徴とする。
請求項5に記載の保護装置は、請求項2から4のいずれか一項に記載の保護装置において、前記複数の突起体の先端において、前記管状体の軸方向に拡張されて延在する当接面が形成され、前記当接面が前記案内部の先端側に連設されていることを特徴とする。
請求項6に記載の保護装置は、請求項1から5のいずれか一項に記載の保護装置において、前記突起体は、前記管状体の軸方向を厚み方向とする板状に形成され、軸方向に撓み変形するように構成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の保護装置は、請求項1から5のいずれか一項に記載の保護装置において、前記突起体は、断面円形状であることを特徴とする。
請求項8に記載の保護装置は、請求項1から7のいずれか一項に記載の保護装置において、前記管状体及び前記侵入防止体は、前記幹に径方向外方から取付可能な分割片として構成されていることを特徴とする。
請求項9に記載の侵入防止体は、上端及び下端で開口し、植物の幹の外周を包囲する管状体に取り付けられて、前記管状体と前記幹との間の隙間に所定の動物や昆虫等の防除対象生物が侵入することを防止するための侵入防止体であって、
前記管状体の内周面に装着可能に形成され、周方向の一部で切断された環状の帯状部と、
前記帯状部の内周面から内方に向けて基端から先端まで延びる複数の突起体と、を備え、
前記複数の突起体が前記防除対象生物の通過を規制可能な間隔で前記帯状部内周面に配置され、
前記複数の突起体の少なくとも一部の突起体の先端には、前記管状体の軸方向に拡張されて延在する当接面が形成されていることを特徴とする。
請求項10に記載の侵入防止体は、上端及び下端で開口し、植物の幹の外周を包囲する管状体に取り付けられて、前記管状体と前記幹との間の隙間に所定の動物や昆虫等の防除対象生物が侵入することを防止するための侵入防止体であって、
前記管状体の内周面に装着可能に形成され、周方向の一部で切断された環状の帯状部と、
前記帯状部の内周面から内方に向けて基端から先端まで延びる複数の突起体と、を備え、
前記複数の突起体が前記防除対象生物の通過を規制可能な間隔で前記帯状部内周面に配置され、
前記複数の突起体の少なくとも一部の突起体には、前記幹に当接する突起体を突出方向と異なる方向に撓み変形するように案内する案内部が設けられていることを特徴とする。
請求項11に記載の保護構造は、所定の動物や昆虫等の防除対象生物から植物を保護すべく、請求項1から8のいずれか一項に記載の保護装置が植物の幹に取り付けられたことを特徴とする。
請求項1に記載の保護装置によれば、幹を内挿する管状体の内部には、その内周面側の基端から幹の外周側の先端まで延伸する複数の突起体を有する侵入防止体が設けられている。そして、突起体の先端には、管状体の軸方向に拡張されて延在する当接面が形成されている。すなわち、突起体を幹外周面に当接させるように侵入防止体を幹に対して設置する際、突起体の先端で拡張する当接面が幹の外周面に面接触し、点接触と比べて接触面積を比較的大きく確保することができる。このように、突起体先端と幹外周面との接触面積が大きいと、接触箇所の摩擦抵抗によって突起体が幹の外周面から頻繁に動くことが抑えられ、さらに、突起体が幹外周面上で動いたとしても力が接触面全体に分散されるので、突起体の先端と幹とが擦れて幹を傷付けることが抑えられる。したがって、本発明の保護装置は、被覆した幹を傷付ける虞をより一層軽減しつつ、確実に防除対象生物からの被害を抑えることが可能である。
請求項2に記載の保護装置によれば、幹を内挿する管状体の内部には、その内周面側の基端から幹の外周側の先端まで延伸する複数の突起体を有する侵入防止体が設けられている。そして、突起体には、幹に当接する突起体を突出方向と異なる方向に撓み変形するように案内する案内部が設けられている。すなわち、突起体が幹外周面に対して垂直に比較的強い力で当接した場合であっても、案内部が突起体を突出方向(又は延伸方向)と異なる方向に撓み変形させ、突起体から幹外周面にかかる力を逸らすことができる。その結果、突起体の先端が幹外周面に突き刺さることを防止することができる。したがって、本発明の保護装置は、被覆した幹を傷付ける虞をより一層軽減しつつ、確実に防除対象生物からの被害を抑えることが可能である。
請求項3に記載の保護装置によれば、請求項2の発明の効果に加え、突起体が幹外周面に圧接する際、管状体の軸方向に向けて屈曲又は湾曲する曲がり外周面として形成された案内部が幹外周面に当接して、突起体を管状体の軸方向に向けて撓み変形させることができる。すなわち、複数の突起体は、幹の外周を包囲した状態で、案内部によって規則的に管状体の軸方向に屈曲することから、隣接する突起体が互いに離隔する方向に曲がって突起体間に大きい隙間が形成されることを防止することができる。
請求項4に記載の保護装置によれば、請求項2又は3の発明の効果に加え、突起体と幹外周面との当たりが強くなると、管状体の上端側の侵入防止体では、案内部が突起体を上方に傾動させ、管状体の下端側の侵入防止体では、案内部が突起体を下方に傾動させるように作用することから、突起体が撓み変形したときに、管状体の軸方向において、幹を保護する領域が減少することを防ぐことができる。
請求項5に記載の保護装置によれば、請求項2から4のいずれか一項の発明の効果に加え、突起体の先端において、管状体の軸方向に拡張されて延在する当接面が案内部の先端側に連設されている。すなわち、侵入防止体を幹に対して設置する際、突起体の先端で拡張する当接面が幹外周面に面接触し、点接触と比べて接触面積を比較的大きく確保することができる。このように、突起体先端と幹外周面との接触面積が大きいと、接触箇所の摩擦抵抗によって突起体が幹外周面から頻繁に動くことが抑えられ、さらに、突起体が幹外周面上で動いたとしても力が接触面全体に分散されるので、突起体の先端と幹とが擦れて幹を傷付けることを抑えることができる。
請求項6に記載の保護装置によれば、請求項1から5のいずれか一項の発明の効果に加え、侵入防止体を植物の幹を包囲するように設置する際、複数の板状の突起体が、幹外周面に当接して軸方向に撓み変形可能である。すなわち、周方向に並んだ板状の突起体が軸方向に屈曲することにより、突起体間の隙間をほとんど拡げることなく、幹をより確実に保護することができる。
請求項7に記載の保護装置によれば、請求項1から5のいずれか一項の発明の効果に加え、断面円形状の突起体は、その径方向に任意に傾動可能であることから、当接する幹の外周面形状に合わせて柔軟に対応することができる。
請求項8に記載の保護装置によれば、請求項1から7のいずれか一項の発明の効果に加え、管状体及び侵入防止体が幹に径方向外方から取付可能な分割片からなることにより、分割片で幹を挟み込んで、管状体を幹に容易に外挿させることができる。
請求項9に記載の侵入防止体によれば、侵入防止体は、管状体の内部に設置されたときに、内周面側の基端から幹の外周側の先端まで延伸する複数の突起体を備える。そして、突起体の先端には、管状体の軸方向に拡張されて延在する当接面が形成されている。すなわち、突起体を幹外周面に当接させるように侵入防止体を幹に対して設置する際、突起体の先端で拡張する当接面が幹外周面に面接触し、点接触と比べて接触面積を比較的大きく確保することができる。このように、突起体先端と幹外周面との接触面積が大きいと、接触箇所の摩擦抵抗によって突起体が幹外周面から頻繁に動くことが抑えられ、さらに、突起体が幹外周面上で動いたとしても力が接触面全体に分散されるので、突起体の先端と幹とが擦れて幹を傷付けることを抑えることができる。したがって、本発明の侵入防止体は、被覆した幹を傷付ける虞をより一層軽減しつつ、確実に防除対象生物からの被害を抑えることが可能である。
請求項10に記載の侵入防止体によれば、侵入防止体は、管状体の内部に設置されたときに、内周面側の基端から幹の外周側の先端まで延伸する複数の突起体を備える。そして、突起体には、幹に当接する突起体を突出方向と異なる方向に撓み変形するように案内する案内部が設けられている。すなわち、突起体が幹外周面に対して垂直に強い力で当接した場合であっても、案内部が突起体を突出方向(又は延伸方向)と異なる方向に撓み変形させ、突起体から幹外周面にかかる力を逸らすことができる。その結果、突起体の先端が幹外周面に突き刺さることを防止することができる。したがって、本発明の侵入防止体は、被覆した幹を傷付ける虞をより一層軽減しつつ、確実に防除対象生物からの被害を抑えることが可能である。
請求項11に記載の保護構造によれば、請求項1から8のいずれか一項の保護装置の発明の効果を保護構造として発揮することができる。すなわち、本発明の保護構造は、被覆した幹を傷付ける虞をより一層軽減しつつ、確実に防除対象生物からの被害を抑えることが可能である。
本発明の一実施形態(第1実施形態)の保護装置の概略斜視図。 図1の保護装置の平面図。 図2の保護装置の(a)正面図、(b)側面図及び(c)背面図。 図3の保護装置の(a)A−A断面図及び(b)B−B断面図。 図1の保護装置の管状体の斜視図。 図5の管状体の(a)閉塞状態の平面図及び(b)開口状態の平面図。 図5の管状体の(a)正面図、(b)側面図及び(c)背面図。 図1の保護装置の侵入防止体の斜視図。 図8の侵入防止体の(a)平面図、(b)正面図、(c)背面図、及び(d)側面図。 図9の侵入防止体の(a)C−C断面図、及び、(b)D−D断面図。 図1の保護装置の拡開防止体の斜視図。 図11の拡開防止体の(a)平面図、(b)正面図、(c)背面図及び(d)側面図。 図1の保護装置の分解斜視図。 本実施形態の保護装置を植物の幹に取り付ける工程を説明する概略図であって、(a)拡開した管状体及び侵入防止体の内方に幹を挿入する工程を示し、(b)幹を挿入した管状体に拡開防止体を取り付ける工程を示す。 本発明の一実施形態(第1実施形態)の保護構造の概略斜視図。 図15の保護構造の概略縦断面図。 図16の保護構造の(a)E−E横断面図、及び(b)部分縦端面図。 図1の保護装置を大径の幹に取り付けた例を示す保護構造の概略断面図。 図1の保護装置の別使用例を示す保護構造の縦断面図。 本発明の別実施形態(第2実施形態)の保護装置の分解斜視図。 図20の保護装置の侵入防止体の斜視図。 図21の侵入防止体の(a)平面図、(b)正面図、(c)背面図、及び(d)側面図。 図21の侵入防止体の(a)F−F断面図、及び、(b)G−G断面図。 本発明の別実施形態(第2実施形態)の保護構造の概略縦断面図。 図24の保護構造の(a)H−H横断面図、及び(b)部分縦端面図。 図20の保護装置を大径の幹に取り付けた例を示す保護構造の概略断面図。 本発明の別実施例の保護装置の分解斜視図。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
[第1実施形態]
本発明の一実施形態の保護装置100は、植物の幹に取り付けられて、植物に被害をもたらす防除の対象とする所謂「防除対象生物」から植物を保護するものである。以下に説明する本実施形態の保護装置100では、保護対象の「植物」をリンゴの苗木又は若木とし、且つ、「防除対象生物」をネズミとしている。「防除対象生物」のネズミは、体長約10cm程度の小動物である。一般に、ネズミは、その習性により、リンゴの苗木や若木の幹の根元付近の樹皮をかじることが知られている。そして、リンゴの苗木や若木は、その幹がかじられることで、枯死してしまうことが多い。本実施形態の保護装置100は、主にネズミである小動物の被害からリンゴの苗木を保護するように構成されている。ただし、本発明の技術的思想は、リンゴの苗木・若木に限らない他の果樹、樹木、野菜、草花等の植物、及び、ネズミに限らない他の動物(例えば、ウサギ、鹿など)、鳥類(例えば、キツツキなど)、昆虫(例えば、カミキリムシ等)等の防除対象生物にも適用可能であり、本発明は以下に説明する実施形態に限定されないことは云うまでもない。また、本発明の「幹」は、樹木の主幹に限らず、植物の茎や、主幹から分岐した大小の枝をも含む概念である。
図1は、本発明の一実施形態の保護装置100の概略斜視図である。図2は、該保護装置100の概略平面図である。図3(a)〜(c)は、該保護装置100の正面図、側面図及び背面図である。図4は、該保護装置100のA−A断面図及びB−B断面図である。
図1乃至図3に示すとおり、保護装置100は、上端及び下端で開口し、植物(リンゴの苗木又は若木)の幹の外周を包囲可能な中空筒形状を有する管状体110と、該管状体110の上端で内部に配置され、管状体110の内周面から中心軸に向かって延びる複数の平板状の突起体125を有する侵入防止体120と、管状体110の外周面に装着された拡開防止体130とを備えてなる。図4に示すように、侵入防止体120が管状体110内部上端に配置され、拡開防止体130が管状体110の外周面に装着されている。以下、本実施形態の保護装置100を構成する各構成部材(管状体110,侵入防止体120,拡開防止体130)をそれぞれ説明する。
まず、図5乃至図7を参照して、本実施形態の保護装置100の一構成要素である管状体110について説明する。図5は、管状体110の斜視図である。図6(a),(b)は、管状体110の閉口状態及び開口状態の平面図である。図7(a)〜(c)は、管状体110の正面図、背面図及び側面図である。
図5に示すとおり、管状体110は、合成樹脂製の波付可撓管を加工したものである。すなわち、管状体110は、上端及び下端で開口した軸方向に延びる中空筒形状を有している。また、管状体110の外周面及び内周面には、軸方向に交互に山部及び谷部が連続的に形成されている。そして、管状体110の外周面の山部と内周面の谷部とが表裏一体の関係にある。本実施形態では、管状体110の外周面の(山部間の)谷部を外周凹部114と定め、内周面の(山部間の)谷部を内周凹部115と定めた。
また、管状体110は、幹に径方向外方から取付(外挿)可能であるように、円筒を縦軸方向に二分割した一対の分割体111,111を組み合わせてなる。管状体110の背面において、一対の分割体111,111は、周方向の一端でヒンジ113によって回動式に連結されている(図6、図7(c)参照)。ヒンジ113は、管状体110の周方向の一部で平面視略W字状に屈折して形成されている。そして、該ヒンジ113は、管状体110の軸方向全体において、軸方向に沿って連続的且つ直線的に延在している。なお、本実施形態の管状体110では、分割体111,111及びヒンジ113は、合成樹脂で一体成形されてなる。
各分割体111は、ヒンジ113の周方向の反対側に開口縁部112を有する。管状体110の正面において、各開口縁部112は、管状体110の縦軸方向に沿って連続的且つ直線的に延在している(図6及び図7(a)参照)。換言すると、一対の分割体111,111(開口縁部112,112)は、管状体110を縦軸方向に沿って切断することによって形成され得る。管状体110の当初形態では、対向する開口縁部112,112が互いに近接又は当接し、管状体110が周方向にほぼ閉塞されている。そして、一対の分割体111,111がヒンジ113を介して回動することで、開口縁部112,112が互いに離隔して拡開する(図6(a)、(b)参照)。すなわち、管状体110が拡径変形することにより、開口縁部112,112間に開口116が形成され得る。開口116は、管状体110の周方向の一部であり、且つ、ヒンジ113の反対側に位置する。他方、管状体110が拡開した状態から、管状体110がヒンジ113を介して縮径変形することで開口116が閉塞され得る。
本実施形態の管状体110は、ネズミに対する忌避効果を発揮すべく、防鼠成分を含有する材料(合成樹脂)で形成されてなる。具体的には、管状体110は、マイクロカプセル化されたカプサイシン類又はシクロヘキシミド等の防鼠成分を含有する合成樹脂成形体である。そして、防鼠成分を含むマイクロカプセルを合成樹脂に混入したことによって、ネズミに対する忌避効果を維持することができる。
なお、本実施形態では、管状体110の寸法は、リンゴの苗木Pの根元付近を被覆可能に定められている。より具体的には、管状体110の長さが約600〜700mmであり、径が約50〜60mmである。しかしながら、管状体の寸法は、保護対象の植物や樹木の種類、被覆する箇所や目的等に応じて、任意に選択され得る。また、本発明の管状体は、防鼠成分を含有しなくてもよく、一般的な合成樹脂や、金属などの他の材料で構成されてもよい。
図8乃至図10を参照して、本実施形態の保護装置100の一構成要素である侵入防止体120について説明する。図8は、侵入防止体120の斜視図である。図9(a)〜(d)は、侵入防止体120の平面図、正面図、背面図及び側面図である。図10(a),(b)は、侵入防止体120のC−C断面図及びD−D断面図である。
図8乃至図10に示すとおり、侵入防止体120は、周方向の一部で切断された環状の帯状部121と、該帯状部121の内周面全周から径方向内側に突出方向に沿って延伸する複数の突起体125と、を備える。なお、本実施形態において、突起体125の突出方向は、厳密には、突起体125の幅方向(又は周方向)中心を通る径方向と同じ方向をいう。
帯状部121は、管状体110の内周凹部115に内側から収容又は嵌着可能な大きさで構成されている。つまり、帯状部121の外径が管状体110の内周凹部115の内径に対応し、且つ、帯状部121の幅が内周凹部115の(縦軸方向の)幅に対応している。好ましくは、帯状部121の外径を内周凹部115の内径よりも僅かに大きくすることで、弾性的に縮径変形させた帯状部121を内周凹部115に一体的に保持することが可能となる。また、帯状体121の中心を貫通する中心軸の延伸方向が、管状体110の軸方向と一致するように構成されている。
また、帯状部121の周方向の一部において、環体を切断するように切断部122が設けられている。つまり、帯状部121の周方向の両端部は、切断部122を隔てて僅かに離間している。他方、帯状部121の周方向の一部であって、切断部122の反対側にヒンジ部123が形成されている。すなわち、帯状部121は、ヒンジ部123を介して周方向の両端部を近接又は離隔する方向に弾性変形可能である。該ヒンジ部123は、帯状部121に一体的に形成され、略W字形状に屈折している。該ヒンジ部123は、管状体110のヒンジ113に重合可能な形状を有している。すなわち、管状体110と同様に、帯状部121は、ヒンジ部123を介して、切断部122を拡開させるように拡径変形可能である。
複数の突起体125は、防除対象生物(ネズミ)の通過を規制可能な間隔で、帯状部121の内周面の周方向全体から略中心に向けて突出形成されている。本実施形態では、複数の突起体125は、ほぼ一定の間隔で周方向に規則的に並んでいる。各突起体125において、その基端が管状体110の内周面側に位置し、その先端が幹の外周面側に位置する。また、各突起体125は、周方向に所定の幅を有するとともに、所定の剛性を有するように軸方向に所定の厚みを有する板状に形成されている。換言すると、突起体125は、管状体110の軸方向を厚み方向とする。突起体125の平面視において、幅方向の両側縁が中心に向けて直線状に延びており、突起体125の幅が基端から先端にかけて狭くなっている。そして、先端縁が周方向に沿って円弧状に延びている。つまり、突起体125は平面視において略台形状を有している。また、突起体125は、径方向に一様の厚みを有し、板バネ状に弾性変形可能な厚みで構成されている。さらに、突起体125の基端の幅方向の両側縁には、円弧状の切り欠きが形成されている。各突起体125は、径方向に所定の長さを有し、厚み方向(又は軸方向)に弾性的に傾動可能である。特には、各突起体125は、切り欠きによって突起体125根元が相対的に細幅となっていることから、その根元を中心に傾動変形し易い。
各突起体125は、その基端側で帯状部121の内周面から中心に向けて略直線的に延伸し、帯状部121の中心に近づいた先端側で軸方向上方に向けて折れ曲がり、そして、その先端で軸方向に沿って延びている。すなわち、突起体125は、軸方向に直交する水平面に沿って延在するとともに中心に向けて直線状に延びる基端側部位125aと、該基端側部位125a先端から軸方向上方に屈曲する屈曲部位125bと、該屈曲部位125b先端から軸方向に延びる先端側部位125cとから構成されている。また、突起体125の先端側部位125cの(軸方向の上方を向く)先端は樹皮を傷つけないように面取りされている。
そして、複数の突起体125の径方向の先端縁によって、帯状部121の中心に幹を内挿するための略円形の挿通部126が形成されている。各突起体125は、管状体110への装着時に幹の外周面に当接可能な径方向(突出方向)の長さを有していることが好ましい。換言すると、挿通部126に幹を挿通したときに各突起体125の先端を幹の外周面に当接させるべく、略円形の挿通部126の径は植物の幹よりも小さく定められることが好ましい。本実施形態では、挿通部126の径は、約30〜35mm程度である。ただし、挿通部126の径が植物の幹よりも大きくてもよいことはいうまでもない。
また、突起体125の屈曲部位125bの外面には、突起体125の先端側で管状体110の軸方向に向けて屈曲又は湾曲する曲がり外周面127が設けられている。曲がり外周面127は、図10(b)に示すように、(軸方向に直交する水平方向から)斜め下方を向いて帯状部121の中心軸に対面する円弧状の湾曲面又は傾斜面として構成されている。この曲がり外周面127は、突起体125の先端部位125cが幹に比較的強い力で当接したときに、突起体125を(突出方向と異なる)軸方向上方に撓み変形させるように案内する案内部として機能し得る。
さらに、複数の突起体125の軸方向に延びる先端部位125cの径方向先端の外面には、帯状体121の中心を向く当接面128が設けられている。当接面128は、曲がり外周面127の先端側に連設されている。該当接面128は、幹に対向するように、管状体110の軸方向に拡張されて延在する面状の部位である。つまり、当接面128は、幹の外周面に対して面接触することが可能である。そして、複数の突起体125の当接面128が協働して挿通部126の外周縁を形成している。特には、突起体125を突出方向(又は径方向)に垂直な面で切断した場合、突起体125の断面形状は、基端側部位125aの基端から先端にかけて漸次的又は連続的に小さくなり、屈曲部位125b及び先端側部位125cに到達すると、軸方向の上方に非連続的に拡張され、その突出方向先端で軸方向に延在する当接面128を構成する。
ここで、曲がり外周面127の案内部として作用を具体的に説明する。突起体125の突出方向に対して略垂直な対象外面(ここでは、幹外周面)に当接面128が当接した状態で、突出方向に互いに圧接することを想定する。まず、突起体125及び対象外面が比較的強い力で圧接すると、突起体125の当接面128に対して基端側に押し戻す力が作用し、突起体125全体が撓み変形を開始する。このとき、先端側部位125cの上端が自由端となっていることから、先端側部位125cの上端が突出方向基端側(径方向外方)に傾動するように撓み易い。そして、先端側部位125cが僅かに撓むことで、当接面128に隣接する曲がり外周面127が対象外面から押圧され得る。このとき、曲がり外周面127が斜め下方向を向く湾曲面(又は傾斜面)であることから、対象外面からの押圧力によって曲がり外周面127が上方に押し上げられる。その結果、突起体125が軸方向上方に傾動するように撓み変形し、対象外面に対する突出方向の力を上方に逸らすことができる。すなわち、曲がり外周面127は、突起体125を軸方向上方に傾動変形させるように案内し、突起体125の先端が対象外面に突き刺さることを防止する。
なお、本実施形態では、突起体125の長さは、約20〜30mmであり、その幅は約10〜20mmである。しかしながら、本発明の突起体は上記寸法に限定されず、その寸法は任意に選択され得る。また、本実施形態では、侵入防止体120は、合成樹脂によって一体成形されてなる。つまり、帯状部121及び突起体125は一体的に形成されている。しかしながら、本発明の侵入防止体の帯状部と突起体を別の素材(例えば、合成樹脂と金属)で形成してもよく、本実施形態に限定されることはない。
図11及び図12を参照して、本実施形態の保護装置100の一構成要素である拡開防止体130について説明する。図11は、拡開防止体130の斜視図である。図12(a)〜(d)は、拡開防止体130の平面図、正面図、背面図及び側面図である。
図11及び図12に示すように、拡開防止体130は、略C字形状の帯体であり、管状体110の外周凹部114に装着され、分割片111,111の拡開(又は分離)を防止するように機能する。拡開防止体130は、平面視円弧状に湾曲した曲板状の挟持板131と、該挟持板131の内周面から突出した突条132とを備えてなる。本実施形態では、拡開防止体130は、合成樹脂で一体成形されたものであるが、その材質は任意に選択され得る。
挟持板131は、その両端部が近接又は離隔する方向に弾性変形可能である。該挟持板131は、管状体110を外周面から把持可能な長さを有し、その円弧角が少なくとも180度よりも大きい。また、該挟持板131の幅は、外周凹部114の幅よりも大きい。他方、突条132は、挟持板131の全周に亘って周方向に連続して突出している。該突条132は、挟持板131の幅方向の略中央に位置し、その幅は挟持版131の幅よりも小さい。特には、挟持板131の幅は、管状体110の外周凹部114に収容又は嵌入可能に定められ、外周凹部114の幅よりも僅かに小さい。そして、該突条132の周方向の略中央には、変形補助部133が凹設されている。該変形補助部133は、挟持板131の拡径及び縮径方向への弾性変形を補助するようにも機能する。さらに、挟持板131の周方向先端近傍の外周面は、作業者による挟持板131の取り扱いの滑り止めとなるように、凹凸加工されている。
以上の各構成部材の説明を踏まえて、保護装置100の構成をより詳細に説明する。
図1及び図4(b)に示すように、管状体110の上端の内周凹部115に侵入防止体120が収容され、管状体110上端開口からの防除対象生物の侵入を防いでいる。図4(a)に示すように、内周凹部115において、侵入防止体120の帯状部121外周面が管状体110の内周面に当接している。より詳細には、帯状部121のヒンジ部123及び切断部122が、管状体110のヒンジ113及び開口縁部112にそれぞれ重なり合うように配置されている。このとき、帯状部121が若干縮径方向に弾性変形していることから、その弾性復帰力で帯状部121外周面が管状体110内周面に対して付勢されている。また、図4(b)に示すように、管状体110の内周面の山部間に形成された内周凹部115に帯状部121が嵌まっているので、帯状部121の縦軸方向の移動が規制されている。このように、侵入防止体120は管状体110に一体的に保持されている。それ故、管状体110に拡開防止体130を装着しない状態では、管状体110及び侵入防止体120が同時に拡開するように変形可能である。
また、図3に示すように、2つの拡開防止体130が管状体110の外周面に装着されている。2つの拡開防止体130は、管状体110の上端側及び下端側に互いに離隔して配置されている。図4(a)に示すように、拡開防止体130の挟持板131内面が管状体110の山部外周面に当接し、管状体110の外周方向を周方向の半分を超えて覆っている。このとき、挟持板131が若干拡径方向に弾性変形していることから、その弾性復帰力で挟持板131内周面が管状体110外周面に対して付勢されている。そして、図4(b)に示すように、突条132が山部間に形成された外周凹部114に収容されている。これにより、拡開防止体130の管状体110に対する縦軸方向の移動が規制されている。このように、拡開防止体130は管状体110に一体的に保持されている。すなわち、拡開防止体130が管状体110の外周面に装着されることで、管状体110及び侵入防止体120が拡開しない形態に維持され得る。本実施形態では、管状体110が波付可撓管からなることから、構造上、各分割片111の開口縁部112同士が完全に合致又は接合することが困難である。換言すると、各分割片111の開口縁部112同士が僅かにずれた状態で、開口116が閉塞される。すなわち、管状体110の表面に防除対象生物が侵入不可能な小さなスリット(又は隙間)が形成されるので、管状体110内外における通気性が向上する。これにより、管状体110内部に熱がこもる程度を軽減可能である。
そして、各構成部材が組み合わされた保護装置100では、図4(a)に示すように、その上端において、防除対象生物の通過を規制すべく、管状体110の内周面から複数の突起体125が突出し、該複数の突起体125の先端によって幹を挿通するための円形の挿通部126が定められている。
続いて、図13及び図14を参照して、各構成部材で保護装置100を組み立てつつ、該保護装置100をリンゴの苗木の幹Tに取り付ける方法を説明する。
図13は、保護装置100の分解斜視図である。図13に示すように、管状体110、侵入防止体120及び拡開防止体130が別体として構成され、管状体110に侵入防止体120及び拡開防止体130を装着することにより、保護装置100が完成する。
まず、図13に示すように、管状体110の開口116を拡開し、該開口116を介して管状体110内部に侵入防止体120を配置する。このとき、侵入防止体120を若干縮径するように変形させ、ヒンジ113及びヒンジ部123が重なるようにして、侵入防止体120を内周凹部115に収容する。収容後、侵入防止体120を弾性復帰させることで、侵入防止体120の帯状部121外周面が内周凹部115内周面に付着する。なお、本実施形態では、管状体110の最も上端側の内周凹部115が選択されたが、適宜変更可能である。
そして、図14(a)に示すように、一体となった管状体110及び侵入防止体120を同時に拡径変形させて、開口116(及び切断部122)を幹Tの径よりも大きく拡開させる。次いで、拡開した管状体110を径方向外方から幹Tに近接移動させ、該開口116を介して、幹Tを侵入防止体120の挿通部126に配置する。幹Tを管状体110(及び侵入防止体120)の内側に配置した後、開口116を閉塞させるように、管状体110及び侵入防止体120を縮径変形させる。続いて、図14(b)に示すように、複数の拡開防止体130を管状体110の径方向外方から装着することにより、管状体110の開口116が閉塞した状態が維持される。こうして、保護装置100がリンゴの苗木の幹Tに取り付けられ、保護構造10が構築される。
図15は、本実施形態の保護装置100をリンゴの苗木の幹Tに装着した保護構造10の斜視図である。図16は、該保護構造10の概略縦断面図である。図17(a),(b)は、該保護構造10のE−E断面図及び部分縦端面図である。
図15に示すように、保護構造10では、リンゴの苗木の幹Tの根元に保護装置100が取り付けられている。より詳細には、管状体110が幹Tを内挿し、その根元を外周から覆っている。そして、管状体110に拡開防止体130が取着されて、幹T表面が外部に露出することなく、開口116が閉塞された状態が維持されている。また、苗木及び保護装置100の傍らには、支柱Pが立設されている。該支柱Pと苗木の幹Tに紐が括り付けられている。
管状体110の下端は、図16に示すように、土壌に埋め込まれることによって閉塞されている。つまり、管状体110の下端開口が土で閉塞されることにより、管状体110の下端からのネズミの侵入が防止される。このとき、管状体110の凹凸形状が土壌に食い込むため、管状体110が土壌から抜け難くなる。
他方、管状体110の上端近傍に侵入防止体120が配置され、該侵入防止体120の複数の突起体125によって、管状体110の上端からのネズミの侵入が規制されている。特に、リンゴの主要産地である積雪が多い地域では、苗木の根元に積もった雪の上からネズミが管状体110内部に侵入することが想定されるが、管状体110の上端に侵入防止体120を配置したことで、本保護装置100はネズミの侵入を効果的に防いでいる。
図17(a),(b)に示すように、複数の突起体125の先端に形成された挿通部126に幹Tが貫通配置されている。また、各突起体125の先端の当接面128が幹Tの外周面に面状に接触するように配置されている。各突起体125は、軸方向に弾性変形しない程度の力で幹T表面に当接することが好ましい。そして、剛性を有する突起体125が幹T表面にある程度の力で面状に当接することにより、突起体125と幹Tとの当接部分において摩擦力が発生する。それ故、突起体125が管状体110内周面と幹T表面との間で張設されたように延伸し、その当接した姿勢が十分に維持され得る。しかしながら、突起体125の径方向の先端縁が、防除対象生物の侵入を防止可能な範囲で幹T表面から離隔していてもよい。突起体125の先端が幹Tの外周面に当接しなくても同様に、突起体125の自身の剛性によって、その姿勢を十分強固に維持することができる。つまり、管状体110の上端から侵入しようとするネズミを突起体125で強固にはね返すことができる。さらに、幹Tが風などでしなったり、揺動したりしても、突起体125の当接面128が幹T外周面に面で接触していることから、突起体125が幹Tの外周面上で頻繁に動くことが抑えられ、さらに、突起体125が幹T外周面上で動いたとしても、当接面128を介して、力が接触面全体に分散されて幹Tに伝わるので、幹T外面が損傷することが防止される。
本実施形態の保護構造10において、侵入防止体120が、突起体125の撓み案内方向が軸方向上方であるように筒状体141上端近傍に設置されることが好ましい。なぜなら、侵入防止体120が保護する軸方向の範囲をより広範にすることができるからである。しかしながら、本発明は、これに限定されず、例えば、侵入防止体120が上下逆にして管状体110の上端に設置され、突起体125が軸方向下方に傾動するように構成されてもよい。
また、本実施形態の保護構造10では、管状体110が防鼠成分を含んでいることから、ネズミを苗木から遠ざける忌避効果が発揮される。さらには、保護構造10において、図示しないが、管状体110又は苗木の根元を取り囲むように、土壌に防鼠シート(カプサイシン等の防鼠成分を含むマイクロカプセルを含有する樹脂シート)を任意に敷設することにより、より一層効果的にネズミから苗木を保護することが可能である。
図17は、設置当初の保護構造10の理想的な形態を表したものであるが、植物は経時成長して幹Tの径が大きくなることから、保護構造10も経時的に変化する。図18(a),(b)は、経時後の保護構造10を示す横断面図及び部分縦端面図である。図18に示すとおり、幹Tの大径に成長することにより、必然的に、当初よりも突起体125から幹T外周面へと伝わる力が大きくなり、突起体125が基端方向に押し戻される。このとき、突起体125から幹Tに伝わる力は、当接面128の面全体に分散されるので、幹T外面が損傷することが抑えられる。さらに、案内部としての曲がり外周面127の案内により、各突起体125が軸方向上方を向いて傾斜している。このとき、複数の突起体125が、互いに離隔するように周方向に撓み変形することなく、規則的に軸方向を向いていることから、隣接する突起体125間の隙間がほぼ一定の幅に保たれている。これにより、ネズミが通過可能な大きい隙間を作ることなく、管状体110へのネズミの侵入をより確実に防ぐことができる。したがって、経時的に幹Tが大径となった保護構造10においても、当初の保護構造10と同様に、幹T外表面を傷付けることなく、苗木の保護を維持することが可能である。
図19は、本実施形態の保護装置100の別の使用例を示している。図19の保護構造10’及び保護装置100’では、管状体110の上端及び下端の両方に侵入防止体120,120が取り付けられている。そして、管状体110の下端が土壌の上に載置されている。管状体110の上端近傍に配置された侵入防止体を第1の侵入防止体120aとし、管状体110の下端近傍に配置された侵入防止体を第2の侵入防止体120bとする。第1の侵入防止体120aが、突起体125の傾動方向が軸方向上方であるように筒状体141上端近傍に設置され、他方、第2の侵入防止体120bが、突起体125の傾動方向が軸方向下方であるように筒状体141上端近傍に設置されている。これにより、幹Tが大径となったとしても、保護装置100’によって保護される軸方向の領域を広範に維持することが可能である。すなわち、本変形例のように、土壌が固く管状体110の一部を地中に埋設できない場合には、管状体110の下端に侵入防止体120を配置することで、管状体110の下端開口からのネズミの侵入を効果的に防止することができる。なお、図示しないが、特定の状況においては、管状体110の下端のみに侵入防止体120が配置されてもよい。
以下、本発明に係る一実施形態の保護装置100の作用効果について説明する。
本実施形態の保護装置100によれば、幹Tを内挿する管状体110の内部には、その内周面側の基端から幹の外周側の先端まで延伸する複数の突起体125を有する侵入防止体120が設けられている。そして、突起体125の先端には、管状体110の軸方向に拡張されて延在する当接面128が形成されている。すなわち、侵入防止体120を幹Tに対して設置する際、突起体125の先端で拡張する当接面128が幹Tの外周面に面接触し、点接触と比べて接触面積を比較的大きく確保することができる。このように、突起体125先端と幹T外周面との接触面積が大きいと、接触箇所の摩擦抵抗によって突起体125が幹Tの外周面から頻繁に動くことが抑えられ、さらに、突起体125が幹T外周面上で動いたとしても力が接触面全体に分散されるので、突起体125の先端と幹Tとが擦れて幹Tを傷付けることが抑えられる。
また、本実施形態の保護装置100によれば、突起体125には、幹Tに当接する突起体125を突出方向と異なる方向に撓み変形するように案内する案内部(曲がり外周面)127が設けられている。すなわち、突起体125が幹T外周面に対して垂直に比較的強い力で当接した場合であっても、案内部127が突起体125を突出方向(又は延伸方向)と異なる方向に撓み変形させ、突起体125から幹T外周面にかかる力を逸らすことができる。その結果、幹Tが大径となった場合であっても、突起体125の先端が幹T外周面に突き刺さることを防止することができる。
さらに、従来(特許文献1)の保護装置では、より大径の幹に取り付けられると、複数の棒状突起体が幹外周に当接したときに各棒状突起体が個別に異なる方向に傾動変形することから、隣接する棒状突起体同士が互いに離れる方向に傾動する部位が生じ、幹と管状体との間に隙間が大きい部位が生じ得る。このような隙間からネズミより小さい害虫などが幹の根元に侵入することが考えられ、植物の保護が不十分となる虞があった。これに対し、本実施形態の保護装置100では、案内部(曲がり外周面)127が突起体125を規則的に管状体110の軸方向に向けて撓み変形させるように案内する。すなわち、本実施形態の保護装置100は、案内部127によって、隣接する突起体125が互いに離隔する方向に曲がることを規制し、突起体125間に大きな隙間が発生することを防ぐことで、苗木の保護をより確実に行うことができる。
したがって、本実施形態の保護装置100は、被覆した幹Tを傷付ける虞をより一層軽減しつつ、より確実に防除対象生物からの被害を抑えることが可能である。
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の実施形態や変形例を取り得る。以下、本発明の別実施形態を説明する。各実施形態において、下二桁の符番が共通する構成要素は、特定のない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
[第2実施形態]
次に、図20乃至図26を参照して、本発明の第2実施形態の侵入防止体220、保護装置200及び保護構造20について説明する。なお、第2実施形態の保護装置200の侵入防止体120以外の構成要素は、保護装置100の構成要素と共通であることから、その説明を省略する。
保護装置200は、図20に示すとおり、上端及び下端で開口し、植物(リンゴの苗木又は若木)の幹Tの外周を包囲可能な中空筒形状を有する管状体210と、該管状体210の上端で内部に配置され、管状体210の内周面から中心軸に向かって延びる複数の棒状の突起体225を有する侵入防止体220と、管状体210の外周面に装着された拡開防止体230とを備えてなる。
図21乃至図23を参照して、本実施形態の保護装置100の一構成要素である侵入防止体120について説明する。図21は、侵入防止体220の斜視図である。図22(a)〜(d)は、侵入防止体220の平面図、正面図、背面図及び側面図である。図23(a),(b)は、侵入防止体220のF−F断面図及びG−G断面図である。
図21乃至図23に示すとおり、侵入防止体220は、周方向の一部で切断された環状の帯状部221と、該帯状部221の内周面全周から径方向内側に突出方向に沿って延伸する複数の突起体225と、を備える。
帯状部221は、管状体210の内周凹部215に内側から収容又は嵌着可能な大きさで構成されている。つまり、帯状部221の外径が管状体210の内周凹部215の内径に対応し、且つ、帯状部221の幅が内周凹部215の(縦軸方向の)幅に対応している。また、帯状体221の中心を貫通する中心軸の延伸方向が、管状体210の軸方向と一致するように構成されている。
また、帯状部221の周方向の一部において、環体を切断するように切断部222が設けられている。つまり、帯状部221の周方向の両端部は、切断部222を隔てて僅かに離間している。他方、帯状部221の周方向の一部であって、切断部222の反対側にヒンジ部223が形成されている。すなわち、帯状部221は、ヒンジ部223を介して周方向の両端部を近接又は離隔する方向に弾性変形可能である。該ヒンジ部223は、帯状部221に一体的に形成され、略W字形状に屈折している。該ヒンジ部223は、管状体210のヒンジ213に重合可能な形状を有している。すなわち、管状体210と同様に、帯状部221は、ヒンジ部223を介して、切断部222を拡開させるように拡径変形可能である。
複数の突起体225は、防除対象生物(ネズミ)の通過を規制可能な間隔で、帯状部221の内周面の周方向全体から略中心に向けて突出形成されている。つまり、突起体225の基端が管状体210の内周面側に位置し、先端が幹Tの外周側に位置する。各突起体225は、若干先細りした小径の棒状体であるが、一様の径を有する細長い柱体等であってもよい。各突起体225は、その基端側で帯状部221の内周面から中心に向けて略直線的に延伸し、帯状部221の中心に近づいた先端側で軸方向上方に向けて折れ曲がり、そして、その先端で軸方向に沿って延びている。すなわち、突起体225は、直線状に延びる基端側部位225aと、該基端側部位225a先端から軸方向上方に屈曲する屈曲部位225bと、該屈曲部位225b先端から軸方向に延びる先端側部位225cとから構成されている。また、突起体225は、横断面視円形状を有している。また、突起体225の基端側部位225aは、軸方向に直交する水平面上で延伸している。さらに、突起体225の先端部位225cの(軸方向の上方を向く)先端は樹皮を傷つけないように丸まっている。
各突起体225は、径方向に所定の長さを有するとともにある程度の剛性を有しており、任意の方向に弾性的に傾動可能である。特には、各突起体225の基端側部位225aにおいて、その根元が太くなるように基端側にテーパー部を形成し、その先端側で相対的に細い一様な径を有する定径部を形成することから、その先端側で傾動変形し易い。また、本実施形態では、複数の突起体225は、ほぼ一定の間隔(約5mm)で周方向に規則的に並んでいる。
そして、複数の突起体225の先端によって、帯状部221の中心に幹Tを内挿するための略円形の挿通部226が形成されている。各突起体225は、管状体210への装着時に幹Tの外周面に当接可能な径方向(突出方向)の長さを有していることが好ましい。換言すると、挿通部226に幹Tを挿通したときに各突起体225の先端を幹Tの外周面に当接させるべく、略円形の挿通部226の径は植物の幹Tよりも小さく定められることが好ましい。本実施形態では、挿通部226の径は、約30〜35mm程度である。
また、突起体225の屈曲部位225bの外面には、突起体225の先端側で管状体210の軸方向に向けて屈曲又は湾曲する曲がり外周面227が設けられている。曲がり外周面227は、図23(b)に示すように、(軸方向に直交する水平方向から)斜め下方を向いて帯状部221の中心軸に対面する円弧面又は湾曲面として構成されている。後述するとおり、この曲がり外周面227は、突起体225の先端部位225cが幹Tに比較的強い力で当接したときに、突起体225を突出方向と異なる軸方向上方に撓み変形させるように案内する案内部として機能する。第2実施形態の曲がり外周面227の案内部として作用は、第1実施形態の説明とほぼ同様である。
さらに、複数の突起体225の軸方向に延びる先端部位225cの径方向先端の外面には、帯状体221の中心を向く当接面228が設けられている。本実施形態では、当接面228は、棒状体の中心側の外面である。また、当接面228は、曲がり外周面227の先端側に連設されている。そして、複数の突起体225の当接面228が協働して挿通部226の外周縁を形成する。突起体225を突出方向(又は径方向)に垂直な面で切断した場合、突起体225の断面形状は、基端側部位225aの基端から先端にかけて漸次的又は連続的に小さくなり、屈曲部位225b及び先端側部位225cに到達すると、軸方向の上方に非連続的に拡張され、その突出方向先端で軸方向に延在する当接面228を構成する。つまり、当接面228は、幹Tに対向するように、管状体210の軸方向に拡張されて延在する面状の部位である。
なお、本実施形態では、突起体225の長さは、約10〜30mmであり、その径は約2〜3mmである。しかしながら、本発明の突起体は上記寸法に限定されず、その寸法は任意に選択され得る。また、本実施形態では、侵入防止体220は、合成樹脂によって一体成形されてなる。つまり、帯状部221及び突起体225は一体的に形成されている。しかしながら、本発明の侵入防止体の帯状部と突起体を別の素材(例えば、合成樹脂と金属)で形成してもよく、本実施形態に限定されることはない。
図24は、本実施形態の保護装置200をリンゴの苗木の幹Tに装着した保護構造20の概略縦断面図である。図25(a),(b)は、該保護構造10のH−H断面図及び部分縦断面図である。
図24に示すように、保護構造20では、リンゴの苗木の幹Tの根元に保護装置200が取り付けられている。管状体210の下端は、土壌に埋め込まれることによって閉塞されている。そして、管状体210の上端近傍に侵入防止体220が配置され、該侵入防止体220の複数の突起体225によって、管状体210の上端からのネズミの侵入が規制されている。
図25に示すように、複数の突起体225の先端に形成された挿通部226に幹Tが貫通配置されている。また、各突起体225の先端の当接面228が幹Tの外周面に面状に接触するように配置されている。各突起体225は、軸方向に弾性変形しない程度の力で幹T表面に当接することが好ましい。そして、剛性を有する突起体225が幹T表面にある程度の力で面状に当接することにより、突起体225と幹Tとの当接部分において摩擦力が発生する。それ故、突起体225が管状体210内周面と幹T表面との間で張設されたように延伸し、その当接した姿勢が十分に維持され得る。つまり、管状体210の上端から侵入しようとするネズミを突起体225で強固にはね返すことができる。さらに、幹Tが風などでしなったり、揺動したりしても、突起体225の当接面228が幹T外周面に面で接触していることから、突起体225が幹Tの外周面上で頻繁に動くことが抑えられ、さらに、突起体225が幹T外周面上で動いたとしても、当接面228を介して、力が接触面全体に分散されて幹Tに伝わるので、幹T外面が損傷することが防止される。
また、侵入防止体220が配置された位置では、管状体210(又は帯状部221)の内周面と幹Tの外周面との間に細長い複数の突起体225が存在するだけである。管状体210の上端が完全に開放された状態と比べて、平面において、全ての突起体225が管状体210内周面と幹T外周面との間の隙間を占める面積が非常に少ないことが明らかである。よって、管状体210内部の熱が、突起体225間の隙間を通って管状体210の上端開口から逃げることができる。さらには、複数の突起体225が上下にオフセットし、同一平面上の突起体225の占有面積が相対的に小さくなることから、本実施形態の保護装置200は、管状体210内部に熱がこもらないように配慮されている。そして、上述した開口縁部222間のスリット(ずれ)も管状体210内部から熱を逃がすことに貢献している。
図25は、設置当初の保護構造10の理想的な形態を表したものであるが、植物は経時成長して幹Tの径が大きくなることから、保護構造20も経時的に変化する。図26(a),(b)は、経時後の保護構造20を示す横断面図及び縦断面図である。図26に示すとおり、幹Tの大径に成長することにより、必然的に、当初よりも突起体225から幹T外周面へと伝わる力が大きくなり、突起体225が基端方向に押し戻される。このとき、突起体225から幹Tに伝わる力は、当接面228の面全体に分散されるので、幹T外面が損傷することが抑えられる。さらに、案内部としての曲がり外周面227により、各突起体225が軸方向上方を向いて傾斜している。このとき、複数の突起体225が、互いに離隔するように周方向に撓み変形することなく、規則的に軸方向を向いていることから、隣接する突起体225間の隙間がほぼ一定の幅に保たれている。これにより、ネズミが通過可能な隙間を作ることなく、管状体210へのネズミの侵入をより確実に防ぐことができる。したがって、経時的に幹Tが大径となった保護構造20においても、当初の保護構造20と同様に、幹T外表面を傷付けることなく、ネズミから苗木を保護することが可能である。
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形例を取り得る。以下、本発明の変形例を説明する。なお、変形例において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、説明がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
(1)本発明の保護装置は、上記実施形態の保護装置100,200に限定されない。例えば、図27は、本発明の別実施例の保護装置300を示している。図27に示すように、保護装置300は、完全に分離した分割体311,311からなる管状体310と、該管状体310内部に配置され、管状体310の内周面から一体的に突出する任意の方向に傾動可能な複数の突起体325を有する侵入防止体320と、分割体311,311を連結する拡開防止体330とを備えてなる。突起体325には、幹に当接する突起体325を突出方向と異なる方向に撓み変形させるように案内する案内部327、及び、管状体310の軸方向に拡張されて延在する当接面328が形成されている。すなわち、保護装置300では、上記実施形態の保護装置100,200と異なり、管状体30と(複数の突起体325からなる)侵入防止体320とが一体的に形成されている。さらに、管状体310の内周面及び外周面に凹凸が設けられていない。当該保護装置300が植物の幹に取り付けられると、幹が管状体310に内挿された状態で、複数の突起体325が、防除対象生物の通過を規制可能な間隔で幹周囲を包囲するように構成されていることから、本発明の保護装置の作用効果を十分に発揮することが可能である。すなわち、当業者であれば、本発明の技術的範囲内で保護装置の各構成要素の形状や形態を任意に改変可能であることは言うまでもない。
(2)本発明の保護装置の拡開防止体は、上記実施形態に限定されず、例えば、紐やゴムバンドに変更されてもよい。あるいは、拡開防止体として、分割片の開口縁部に、両者を結合するための係合爪等を一体的に設けてもよい。
(3)上記実施形態の侵入防止体では、全ての突起体に案内部(曲がり外周面)及び当接面が設けられているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、複数の突起体の一部に案内部及び/又は当接面が形成されていなくてもよい。また、突起体に当接面及び案内部のいずれか一方のみが形成されてもよい。さらに、本実施形態では、案内部が突起体を軸方向に屈曲するように案内するが、例えば、周方向などの任意の特定の方向に突起体を規則的に案内するように構成されてもよい。
(4)本発明が意図する防除対象生物は、上記実施形態のネズミに限定されない。すなわち、本発明の保護装置は、突起体の隙間等を変更することで種々の生物に対応可能である。例えば、防除対象生物を昆虫とした場合、突起体の間隔を短くすることで、昆虫が管状体内へ侵入して、植物に被害を与えることを防ぐことができる。あるいは、防除対象生物を子鹿などの比較的大きな動物とした場合、突起体の隙間を大きくしてもよく、尚且つ、その強度を高めるべく突起体を大きくすることで、植物への被害防ぐことができる。また、保護装置の大きさを変更することで、大木や草木などにも対応可能である。
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
100 保護装置
110 管状体
111 分割片
112 開口縁部
113 ヒンジ
114 外周凹部
115 内周凹部
116 開口
120 侵入防止体
121 帯状部
122 切断部
123 ヒンジ部
125 突起体
125a 基端側部位
125b 屈曲部位
125c 先端側部位
126 挿通部
127 曲がり外周面(案内部)
128 当接面
129 切り欠き
130 拡開防止体
131 挟持板
132 突条
133 変形補助部
T 植物(リンゴの苗木)の幹

Claims (11)

  1. 植物の幹に取り付けられて、所定の動物や昆虫等の防除対象生物から植物を保護するための保護装置であって、
    上端及び下端で開口し、前記幹の外周を包囲可能な中空筒形状を有する管状体と、
    前記管状体内部に配置され、前記管状体の内周面側を基端とし、前記幹の外周側を先端として延びる複数の突起体を有する侵入防止体と、を備え、
    前記幹が前記管状体に内挿された状態で、前記複数の突起体が、前記防除対象生物の通過を規制可能な間隔で前記幹周囲を包囲するように構成され、
    前記複数の突起体の少なくとも一部の突起体の先端には、前記管状体の軸方向に拡張されて延在する当接面が形成されていることを特徴とする保護装置。
  2. 植物の幹に取り付けられて、所定の動物や昆虫等の防除対象生物から植物を保護するための保護装置であって、
    上端及び下端で開口し、前記幹の外周を包囲可能な中空筒形状を有する管状体と、
    前記管状体内部に配置され、前記管状体の内周面側を基端とし、前記幹の外周側を先端として延びる複数の突起体を有する侵入防止体と、を備え、
    前記幹が前記管状体に内挿された状態で、前記複数の突起体が、前記防除対象生物の通過を規制可能な間隔で前記幹周囲を包囲するように構成され、
    前記複数の突起体の少なくとも一部の突起体には、前記幹に当接する突起体を突出方向と異なる方向に撓み変形させるように案内する案内部が設けられていることを特徴とする保護装置。
  3. 前記案内部は、前記突起体の先端側で前記管状体の軸方向に向けて屈曲又は湾曲する曲がり外周面として形成されていることを特徴とする請求項2に記載の保護装置。
  4. 前記侵入防止体は、前記管状体の上端近傍に配置される第1の侵入防止体、及び、前記管状体の下端近傍に配置される第2の侵入防止体を有し、前記第1の侵入防止体の前記突起体は、前記案内部によって前記管状体の軸方向上方に撓み変形するように案内され、前記第2の侵入防止体の前記突起体は、前記案内部によって前記管状体の軸方向下方に撓み変形するように案内されることを特徴とする請求項2又は3に記載の保護装置。
  5. 前記複数の突起体の先端において、前記管状体の軸方向に拡張されて延在する当接面が形成され、前記当接面が前記案内部の先端側に連設されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の保護装置。
  6. 前記突起体は、前記管状体の軸方向を厚み方向とする板状に形成され、軸方向に撓み変形するように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の保護装置。
  7. 前記突起体は、断面円形状であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の保護装置。
  8. 前記管状体及び前記侵入防止体は、前記幹に径方向外方から取付可能な分割片として構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の保護装置。
  9. 上端及び下端で開口し、植物の幹の外周を包囲する管状体に取り付けられて、前記管状体と前記幹との間の隙間に所定の動物や昆虫等の防除対象生物が侵入することを防止するための侵入防止体であって、
    前記管状体の内周面に装着可能に形成され、周方向の一部で切断された環状の帯状部と、
    前記帯状部の内周面から内方に向けて基端から先端まで延びる複数の突起体と、を備え、
    前記複数の突起体が前記防除対象生物の通過を規制可能な間隔で前記帯状部内周面に配置され、
    前記複数の突起体の少なくとも一部の突起体の先端には、前記管状体の軸方向に拡張されて延在する当接面が形成されていることを特徴とする侵入防止体。
  10. 上端及び下端で開口し、植物の幹の外周を包囲する管状体に取り付けられて、前記管状体と前記幹との間の隙間に所定の動物や昆虫等の防除対象生物が侵入することを防止するための侵入防止体であって、
    前記管状体の内周面に装着可能に形成され、周方向の一部で切断された環状の帯状部と、
    前記帯状部の内周面から内方に向けて基端から先端まで延びる複数の突起体と、を備え、
    前記複数の突起体が前記防除対象生物の通過を規制可能な間隔で前記帯状部内周面に配置され、
    前記複数の突起体の少なくとも一部の突起体には、前記幹に当接する突起体を突出方向と異なる方向に撓み変形するように案内する案内部が設けられていることを特徴とする侵入防止体。
  11. 所定の動物や昆虫等の防除対象生物から植物を保護すべく、請求項1から8のいずれか一項に記載の保護装置が植物の幹に取り付けられたことを特徴とする保護構造。
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